発明者は、鋭意研究の結果、衣類乾燥装置において、エネルギー上昇を抑制する目的ではなく、乾燥効率を向上させる目的で、乾燥用空気の一部を外部に排出させることを思いついた。そして、発明者は、乾燥用空気を当該衣類乾燥装置の外部に排出させる前に、乾燥用空気が有する熱量を蒸発器で回収させることにより、衣類乾燥装置の乾燥効率の向上が可能であることを見出した。本発明は、以上のような知見に基づいてなされたものである。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1に、本発明に従った衣類乾燥装置の一例であるドラム式洗濯乾燥機100を示す。図1に示すように、ドラム式洗濯乾燥機100は、外箱1を備えている。外箱1は、ドラム式洗濯乾燥機100の本体の外形を形成している。外箱1は略直方体形状を有している。また、ドラム式洗濯乾燥機100は水槽2と回転ドラム3と駆動部としてモータ4とを備えている。
回転ドラム3は、水平方向または水平方向から傾斜した方向に延びる回転軸線を中心に回転する。回転ドラム3の材質としては、ステンレス鋼板が一般的に用いられている。回転ドラム3の周壁3aと底部3bとには、給水、排水および通気のための複数の小孔(図示せず)が形成されている。周壁3aは、回転ドラム3のうちの筒状の部分である。ドラム式洗濯乾燥機100では、周壁3aは略円筒形状を有している。また、周壁3aは、回転軸線が延びる方向と平行な方向に延びている。
周壁3aには、複数のバッフル(図示せず)が配置されている。バッフルは、回転軸線と略平行に延びている。また、バッフルは、回転軸線を中心とする円の半径方向の内方に向かって周壁3aから突出している。
水槽2は、有底筒形状を有している。回転ドラム3は、水槽2の内部の空間に収容されている。水槽2の下部には、カウンターウェイト(図示せず)が取り付けられている。なお、水槽2全体のバランスをとるため、複数個のカウンターウェイトが水槽2に取り付けられていてもよい。また、カウンターウェイトは、水槽2の上部に取り付けられていてもよい。回転ドラム3の開口部の縁の外側には、図示しない液体バランサが取り付けられている。
回転ドラム3は、被乾燥対象物としての洗濯物5を収納する。回転ドラム3の底部3bの外側面には、駆動軸41が固定されている。モータ4は、水槽2の底部3bの外側面に取り付けられている。モータ4は、駆動軸41に連結されている。
ドラム式洗濯乾燥機100は、ヒートポンプ71を熱源として利用する衣類乾燥装置である。図2に示すように、ヒートポンプ71は、圧縮機14と凝縮器15と蒸発器部分171と蒸発器部分172と膨張弁としての絞り部16とを備えている。蒸発器部分171は、第1の蒸発器部分の一例である。蒸発器部分172は、第2の蒸発器部分の一例である。蒸発器部分171と蒸発器部分172とは、ヒートポンプ71の蒸発器17の一例である。
圧縮機14は、冷媒を圧縮して冷媒の温度を上昇させる。凝縮器15は、圧縮機14によって圧縮された冷媒と空気とを熱交換させることによって空気を加熱させる。絞り部16は、空気を加熱させた冷媒の圧力を減圧する。蒸発器部分171と蒸発器部分172とは、減圧された冷媒と空気とを熱交換させることによって空気を冷却させる。また、ヒートポンプ71は、冷媒配管18を備えている。冷媒配管18は、圧縮機14、凝縮器15、絞り部16、蒸発器部分172、および、蒸発器部分171の順に冷媒が循環するように、圧縮機14と凝縮器15と絞り部16と蒸発器部分171と蒸発器部分172とを連結する。凝縮器15と蒸発器部分171と蒸発器部分172とは、例えばフィンチューブ型の熱交換器である。
ドラム式洗濯乾燥機100(図1参照)は、空気流出路131を備えている。空気流出路131は、流出口131aを有し、空気循環経路60から流出口131aを介して空気循環経路60の外部に空気を流出させる。流出口131aは、空気循環経路60のうちの乾燥室32と蒸発器部分171との間の部分に形成されている。
図1に示すように、ドラム式洗濯乾燥機100は、乾燥室32とファン9と空気循環経路60と制御部20とを備えている。回転ドラム3の内部の空間が乾燥室32として機能する。また、乾燥室32には、凝縮器15で加熱された空気が供給される。図1と図2とを参照するように、空気循環経路60は、乾燥室32、蒸発器部分171、凝縮器15、および、乾燥室32の順に空気が循環するように、ヒートポンプ71と乾燥室32とに接続されている。
第1の送風機の一例としてのファン9は、凝縮器15で加熱された空気を乾燥室32へ送風する。図1と図2とを参照するように、空気循環経路60を流れる乾燥用空気は、乾燥室32、蒸発器部分171、凝縮器15、ファン9、および、乾燥室32の順に循環する。
空気循環経路60のうち、ヒートポンプ71の内部に配置された部分は、主流路61である。また、空気循環経路60は、接続路62と供給路63とを有している。接続路62は、空気循環経路60のうち、凝縮器15とファン9との間を延びる部分である。供給路63は、空気循環経路60のうち、ファン9と乾燥室32との間を延びる部分である。主流路61においては、乾燥用空気は少なくとも凝縮器15を通過する。主流路61においては、乾燥用空気が蒸発器部分171および凝縮器15の順に流れる。
蒸発器部分171は、主流路61に配置され、且つ、主流路61を流れる空気を冷却させる。蒸発器部分172は、空気流出路131に配置され、且つ、空気流出路131を流れる空気を冷却させる。また、ドラム式洗濯乾燥機100(図1参照)は、ファン19を備えている。第2の送風機の一例としてのファン19は、空気流出路131に配置されている。ファン19は、蒸発器部分172で冷却された空気を空気循環経路60の外部へ送風する。
さらに、ドラム式洗濯乾燥機100(図1参照)は、空気流入路121を備えている。空気流入路121は、流入口121aを有し、空気循環経路60の外部から流入口121aを介して空気循環経路60に空気を流入させる。流入口121aは、空気循環経路60のうちの蒸発器部分171と凝縮器15との間の部分に形成されている。ファン19は、空気流出路131において、蒸発器部分172よりも下流側に配置されている。
ドラム式洗濯乾燥機100(図1参照)は、温度湿度検知部22を備えている。温度湿度検知部22は、空気循環経路60のうち、例えば蒸発器部分171と凝縮器15との間を流通する空気の温度と相対湿度とを検知する。
なお、温度湿度検知部22の配置は、特に限定されない。温度湿度検知部22は、空気循環経路60に配置されていればよい。温度湿度検知部22は、空気循環経路60を形成する管状部材の外側に配置されていてもよく、内側に配置されていてもよい。また、複数の温度湿度検知部22が、空気循環経路60に配置されていてもよい。
また、図1に示すように、制御部20は判定部21を有している。ドラム式洗濯乾燥機100において、ドラム式洗濯乾燥機100の運転に必要な制御についての判定は、判定部21によって判断されている。制御部20は、例えば温度湿度検知部22(図2参照)によって検知された乾燥用空気の温度と湿度とに基づき、ヒートポンプ71とファン19とファン9とを制御する。また、モータ4が制御部20に制御されることにより、回転ドラム3の回転、停止、および、回転数が調整される。
ドラム式洗濯乾燥機100は、開閉部81(図2参照)を備えている。図2に示すように、開閉部81は、空気流入路121に配置され、空気循環経路60に流入させる空気の量を調整する。開閉部81は、制御部20(図1参照)に例えば電磁的または電子的に接続されている。ドラム式洗濯乾燥機100の外部の雰囲気空気の温度および湿度を含む状態と、ヒートポンプ71の状態および乾燥用空気の状態とを制御部20が検知し、これらの検知結果に基づいて、制御部20が開閉部81を制御する。
開閉部81の作動により、空気流入路121が開閉され、空気流入路121に流入する空気の量が調整される。なお、空気循環経路60の外部の雰囲気空気の温度および湿度を含む状態を検知するセンサ(図示せず)等は、ドラム式洗濯乾燥機100において所望の位置に配置されている。なお、開閉部81は、空気流入路121のうちの開閉部81よりも上流側の静圧と、主流路61のうちの蒸発器部分171と凝縮器15との間の静圧との差に基づき、作動するものであってもよい。
以上にように構成されたドラム式洗濯乾燥機100が洗濯物5を乾燥させるための動作について説明する。まず、モータ4が駆動されることによって回転ドラム3が回転されると共に、ファン9とヒートポンプ71との駆動が開始される。乾燥用空気は、ファン9が発生させる気流により、二点鎖線にて示す矢印のように空気循環経路60を流れる。なお、図1および図2にて示す二点鎖線の矢印は、気流が流れる方向を概略的に示すものであり、気流の速度または規模を示すものではない。
ファン9が発生させた気流により、乾燥室32に流入した空気は、乾燥室32で撹拌される洗濯物5から水分を得て、ヒートポンプ71へ向かって空気循環経路60を流通する。空気循環経路60からヒートポンプ71へ流入した空気の一部は、蒸発器部分171で露点以下に除湿される。除湿された後の空気は、凝縮器15で加熱されて高温化且つ低湿度化され、乾燥用空気として再び乾燥室32に流入する。このような空気の流れが繰り返されることにより、洗濯物5の乾燥が進行する。
一方、乾燥室32から空気循環経路60を介してヒートポンプ71へ流入した空気の他の一部は、蒸発器部分171を通過せずに、流出口131aを介して空気流出路131に流出する。空気循環経路60から空気流出路131に流出した空気は、蒸発器部分172を通過する。蒸発器部分172を通過する空気は、蒸発器部分172において除湿される。このように、ドラム式洗濯乾燥機100の外部に排出される空気は、蒸発器部分172にて除湿された後のものである。このように、ドラム式洗濯乾燥機100は、乾燥用空気がドラム式洗濯乾燥機100の外部に排出される前に、乾燥用空気の熱量を蒸発器部分172で回収することができる。すなわち、ドラム式洗濯乾燥機100は、空気循環経路60を循環する乾燥用空気のうち、蒸発器17を通過した乾燥用空気の一部を凝縮器15に流通させ、蒸発器17を通過した乾燥用空気の他の一部を凝縮器15に流通させずにドラム式洗濯乾燥機100の外部に排出させる。
開閉部81は、ドラム式洗濯乾燥機100が洗濯物5を乾燥させるように運転している場合には、空気流入路121を開放する。これにより、空気流入路121に雰囲気空気が流入する。空気流入路121に流入した雰囲気空気は、流入口121aを介して空気循環経路60の主流路61に流入する。このように、ドラム式洗濯乾燥機100の乾燥の運転が継続している場合に開閉部81が空気流入路121を開放しているときには、空気流入路121から主流路61に流入される空気と、主流路61から空気流出路131に流出される空気とにより、空気循環経路60の外部の空気と主流路61を流れる空気とが入れ替えられている。
次に、ヒートポンプ71の冷凍サイクルと乾燥用空気との熱交換について説明する。圧縮機14によって高温化且つ高圧化された気体状態の冷媒(R134a)は、凝縮器15へ送られる。凝縮器15において、冷媒の熱量が乾燥用空気へ放熱されることにより、冷媒の液化が進行する。凝縮器15を通過した冷媒は、絞り部16で減圧される。絞り部16において、減圧と流量が制御された冷媒は、熱量を放出して、低温且つ低圧の液体に変化する。蒸発器部分172では、乾燥室32からヒートポンプ71に戻ってきた空気のうち、空気流出路131を流れる空気から蒸発器部分172が熱量を回収することにより、冷媒のガス化が進行する。また、蒸発器部分171では、乾燥室32からヒートポンプ71に戻ってきた空気のうち、主流路61を流れる空気から蒸発器部分171が熱量を回収することにより、冷媒のガス化が進行する。
なお、空気循環経路60の外部の雰囲気空気の温度と湿度とによっては、空気循環経路60の空気の一部と雰囲気空気とを入れ替える場合に、ドラム式洗濯乾燥機100において乾燥効率が低下してしまう。具体的には、主流路61のうちの蒸発器部分171と凝縮器15との間の部分の温度よりも雰囲気空気の温度が低温の場合には、空気循環経路60の主流路61を流れる空気の一部と雰囲気空気とを入れ替えることは好ましくない。
空気循環経路60を流れる空気の一部を雰囲気空気と入れ替えない場合には、開閉部81によって空気流入路121を閉塞させることにより、空気流入路121からは主流路61に空気が流入することが無い。また、空気流出路131において、空気流出路131を介して主流路61に雰囲気空気が流入しない程度にファン19を作動させることにより、空気流出路131の空気の流れを遮断することができる。また、ドラム式洗濯乾燥機100が、洗濯物5を乾燥させるように運転している場合には、ファン9が作動している。このような開閉部81とファン19とファン9との作動により、雰囲気空気の状態および乾燥用空気の状態に応じて、または、雰囲気空気の状態もしくは乾燥用空気の状態に応じて、空気の入れ替えを調整することができる。このように、ドラム式洗濯乾燥機100は、乾燥効率の向上が図られている。
一方、以下では、空気循環経路60を流れる空気の一部が雰囲気空気と入れ替えられない場合について説明する。例えば、標準試験環境(気温;20℃、65%RH)において、流入口121aと流出口131aとが閉塞されているドラム式洗濯乾燥機100(図1参照)を用いて、洗濯物5の乾燥行程を行う。この乾燥行程においては、乾燥重量が6kgである洗濯物5を用いて、ファン9を2400rpmで回転させている。
流入口121aと流出口131aとが閉塞されたドラム式洗濯乾燥機100の乾燥の運転を長時間継続する場合は、圧縮機14を駆動するためにドラム式洗濯乾燥機100の外部から加えられた電力と、ドラム式洗濯乾燥機100の外部へ自然に放出される熱量との差だけドラム式洗濯乾燥機100の全体のエネルギーが上昇していく。そのため、乾燥用空気をそのまま循環し続ける場合には、乾燥用空気全体が有する熱量が増加するとともに、ヒートポンプ71を循環する冷媒の熱量が増加して冷媒の圧力が増加する。その結果、乾燥運転の後半の冷凍サイクルは、乾燥運転の前半のものに比べて、次第に高圧側に移動する(図3参照)。
このままドラム式洗濯乾燥機100の運転を続けることにより、冷媒の圧力が圧縮機14の過負荷の上限値に達する場合には、安全装置(図示せず)等を作動させることによってドラム式洗濯乾燥機100の運転を停止させる必要がある。そのため、ドラム式洗濯乾燥機100の運転の途中で、ドラム式洗濯乾燥機100の全体のエネルギーの上昇を抑制する必要がある。しかしながら、乾燥行程の途中で圧縮機14の回転数を2400rpmから例えば2150rpmに低下させることにより、圧縮機14の吐出部(図示せず)の圧力が上昇することが抑制され且つ吐出部の圧力が略一定の状態で推移する。なお、当該試験環境下において、圧縮機14の吐出部の圧力が略一定の状態であるときの蒸発器部分171と凝縮器15との間の部分(以下、Bという)の乾燥用空気の温度は約18℃であり、相対湿度は100%RHであった。
図4は、当該試験環境下において、空気循環経路60のうち、ファン9と蒸発器部分171との間の部分(以下、Cという)の静圧と、ファン9の下流側の部分(以下、Dという)の静圧と、蒸発器部分171の上流側の部分(以下、Aという)の静圧との分布を示すグラフである。図4に示すように、Dの静圧が他の部分の静圧に比べて最も高く、乾燥室32(図1参照)、A、B、および、Cの順に乾燥用空気が流れることにより、A、B、および、Cの順に静圧が低下していく。
当該試験環境下においては、Bを流通する空気、つまり、約18℃の温度と100%RHの相対湿度を有する空気を凝縮器15で加熱させ、凝縮器15で加熱された空気を用いて洗濯物を乾燥させている。この約18℃の温度と100%RHの相対湿度を有する空気を凝縮器15で加熱させるよりも、当該試験環境下において20℃の温度と65%RHの相対湿度とを有する雰囲気空気を凝縮器15で加熱させた方が、乾燥効率の向上が可能である。ただし、蒸発器17を通過した後に、乾燥用空気のすべてをドラム式洗濯乾燥機100の外部に排出するような、いわゆるオープン型の構成を有する衣類乾燥装置においては、当該衣類乾燥装置の周辺に高湿度の空気が大量に放出されることにより、カビを発生させる等の不具合が生じる。
ゆえに、ドラム式洗濯乾燥機100は、図2に示すように流入口121aと流出口131aとが開放されている。流入口121aと流出口131aとが開放されたドラム式洗濯乾燥機100の構成では、上述のように、空気流出路131から乾燥用空気の一部を流出させることができる。蒸発器部分172は、空気循環経路60から空気流出路131に流出される乾燥用空気の一部から熱量を回収する。例えば、蒸発器部分171と蒸発器部分172とが略同程度の熱交換性能を有している場合は、ドラム式洗濯乾燥機100の外部には、約18℃の温度と100%RHの相対湿度とを有する空気が空気流出路131を介して排出される。また、空気流入路121からは、排出される空気よりも高い温度と低い相対湿度とを有する雰囲気空気が流入される。このように、ドラム式洗濯乾燥機100では、空気循環経路60の空気の一部と雰囲気空気とが入れ替えられることにより、乾燥効率の向上が可能である。
以上のように、第1実施形態のドラム式洗濯乾燥機100は、ヒートポンプ71と、乾燥室32と、空気循環経路60とを備えている。ヒートポンプ71は、圧縮機14と、凝縮器15と、絞り部16と、蒸発器17と、冷媒配管18とを含む。圧縮機14は、冷媒を圧縮して冷媒の温度を上昇させる。凝縮器15は、圧縮機14によって圧縮された冷媒と空気とを熱交換させることによって空気を加熱させる。絞り部16は、空気を加熱させた冷媒の圧力を減圧する。蒸発器17は、減圧された冷媒と空気とを熱交換させることによって空気を冷却させる。冷媒配管18は、圧縮機14、凝縮器15、絞り部16、および、蒸発器17の順に冷媒が循環するように、圧縮機14と凝縮器15と絞り部16と蒸発器17とを連結する。
乾燥室32は、洗濯物5を収納する。乾燥室32には、凝縮器15で加熱された空気が供給される。空気循環経路60は、乾燥室32、蒸発器17、凝縮器15、および、乾燥室32の順に空気が循環するように、ヒートポンプ71と乾燥室32とに接続されている。また、ドラム式洗濯乾燥機100は、空気循環経路60を循環する乾燥用空気のうち、蒸発器17を通過した乾燥用空気の一部を凝縮器15に流通させ、蒸発器17を通過した乾燥用空気の他の一部を凝縮器15に流通させずにドラム式洗濯乾燥機100の外部に排出させる。
ドラム式洗濯乾燥機100によれば、乾燥用空気の一部は、蒸発器17を通過した後にドラム式洗濯乾燥機100の外部に排出される。このように、乾燥用空気がドラム式洗濯乾燥機100の外部に排出される前に、乾燥用空気の熱量が蒸発器17で回収されることにより、ヒートポンプ71の冷媒の温度と圧力とを維持することができる。そのため、ドラム式洗濯乾燥機100によれば、乾燥効率を向上させることが可能である。
ドラム式洗濯乾燥機100は、空気流出路131を備えている。空気流出路131は、空気循環経路60のうちの乾燥室32と蒸発器17のうちの蒸発器部分171との間の部分に形成された流出口131aを有している。また、空気流出路131は、空気循環経路60から流出口131aを介して空気循環経路60の外部に空気を流出させる。また、ドラム式洗濯乾燥機100において、空気循環経路60は主流路61を有している。主流路61において、乾燥用空気は少なくとも凝縮器15を通過する。さらに、ドラム式洗濯乾燥機100において、蒸発器17は、蒸発器部分171と蒸発器部分172とを有している。蒸発器部分171は、主流路61に配置され且つ主流路61を流れる空気を冷却させる。蒸発器部分172は、空気流出路131に配置され且つ空気流出路131を流れる空気を冷却させる。
この構成によれば、空気循環経路60を流れる乾燥用空気の一部は、主流路61に配置された蒸発器部分171を通過した後に凝縮器15を通過する。また、空気循環経路60を流れる乾燥用空気の他の一部は、空気循環経路60から流出口131aを介して空気流出路131に流出する。空気流出路131に流出した乾燥用空気は、蒸発器部分172を通過した後にドラム式洗濯乾燥機100の外部に排出される。このように、ドラム式洗濯乾燥機100によれば、乾燥用空気がドラム式洗濯乾燥機100の外部に排出される前に、空気流出路131に配置された蒸発器部分172で乾燥用空気の熱量を回収することができる。これにより、ヒートポンプ71の冷媒の温度と圧力とを維持することができる。
ドラム式洗濯乾燥機100は、ファン9とファン19とを備えている。ファン9は、凝縮器15で加熱された空気を乾燥室32へ送風する。ファン19は、空気流出路131に配置されている。また、ファン19は、蒸発器部分172で冷却された空気を空気循環経路60の外部へ送風する。
この構成によれば、ファン9により、空気循環経路60において乾燥用空気を安定的に循環させることができる。また、乾燥用空気を流出させるために必要な十分な静圧差が、蒸発器部分172の前後において生じていない場合でも、ファン19の作動により、必要な量の乾燥用空気をドラム式洗濯乾燥機100の外部に排出することができる。
ドラム式洗濯乾燥機100において、圧縮機14と凝縮器15と絞り部16と蒸発器部分171と蒸発器部分172とは、圧縮機14、凝縮器15、絞り部16、蒸発器部分172、および、蒸発器部分171の順に冷媒が循環するように、冷媒配管18によって連結されている。
一般的に、蒸発器の内部において冷媒が気液二相を維持し、蒸発器の出口において全ての冷媒を蒸発させることができる場合には、蒸発器の熱交換効率を最大限に発揮することができる。しかしながら、圧縮機が液状の冷媒を吸い込むことを回避する必要があるため、蒸発器の出口よりも上流側で冷媒の蒸発を完了するように絞り部の開度等が制御される。そのため、蒸発器の最終段では、熱交換性能が低下する。なお、圧縮機の回転数が上昇される方向、絞り部の開度が大きくされる方向、または、蒸発器と乾燥用空気の熱交換量が増大する方向は、蒸発器の冷媒配管において気相領域が拡大する方向である。
一方、ドラム式洗濯乾燥機100の構成によれば、蒸発器17の最終段を含む蒸発器部分171が、冷媒配管18によって蒸発器部分172に接続されている。これにより、蒸発器17の最終段が蒸発器部分172に含まれないように、ヒートポンプ71を構成することができる。すなわち、通常の制御範囲において、蒸発器部分172には、熱交換性能が低下する部分が含まれない。そのため、空気流出路131を流通する空気は、空気流出路131からドラム式洗濯乾燥機100の外部に流出される空気の熱量が蒸発器部分172において十分に回収されたうえで、ドラム式洗濯乾燥機100の外部に流出される。すなわち、ドラム式洗濯乾燥機100の構成によれば、蒸発器17のうちの蒸発器部分172によって十分に熱交換された空気がドラム式洗濯乾燥機100の外部に流出される。言い換えると、十分に熱交換されなかった空気がドラム式洗濯乾燥機100の外部に流出されることを回避することができる。このように、ドラム式洗濯乾燥機100の構成によれば、蒸発器17の最終段を含まない蒸発器部分172によって空気が十分に熱交換されるとともに、最終段を含む蒸発器部分171によっても乾燥用空気が熱交換されるため、蒸発器部分171と蒸発器部分172とよって乾燥用空気の熱量を確実に回収することができる。なお、ここでいう通常の制御範囲とは、蒸発器17の出口よりも上流側で冷媒の蒸発を完了するように絞り部16の開度等を制御する範囲を指す。制御が不十分である場合には、蒸発器部分171の内部全体と蒸発器部分172の一部とにおいて冷媒が気相状態となる。
ドラム式洗濯乾燥機100は、空気流入路121をさらに備えている。空気流入路121は、空気循環経路60のうちの蒸発器17と凝縮器15との間の部分に形成された流入口121aを有し且つ空気循環経路60の外部から流入口121aを介して空気循環経路60に空気を流入させる。
この構成によれば、空気循環経路60の外部の空気が、乾燥用空気のうちの蒸発器17を通過した後の空気に混入される。つまり、洗濯物5の乾燥に用いられる空気には、空気循環経路60の外部から空気循環経路60のうちの蒸発器17よりも下流側に流入された空気が含まれる。そのため、乾燥用空気が乾燥室32に供給される前に、蒸発器17で無駄に冷却されることがない。これにより、凝縮器15で空気の加熱に要するエネルギーを減らすことができ、消費電力を抑制することが可能である。したがって、乾燥効率をさらに向上させることが可能である。
ドラム式洗濯乾燥機100は、開閉部81を備えている。開閉部81は、空気流入路121に配置され、空気循環経路60に流入させる空気の量を調整する。
この構成によれば、開閉部81の作動に基づき、ドラム式洗濯乾燥機100の外部から空気循環経路60に流入する空気の量を調整することができる。
なお、ドラム式洗濯乾燥機100において制御部20が配置される位置は、特に限定されない。図1に示す制御部20は、概略的に示されるものであって、上述のように所望の機能を奏するものであればよい。
ドラム式洗濯乾燥機100において、ファン9の駆動量とファン19の駆動量とは、調整可能である。少なくともファン19の駆動量が調整されることにより、空気循環経路60から空気流出路131に流出させる高湿度の空気の量を調整することができる。また、ドラム式洗濯乾燥機100の運転の開始から終了までの間において、例えば所定の時間ごとにそれぞれ異なる駆動量でファン19が駆動するように、ファン19の駆動量が調整されることにより、各所定の時間に応じた量の空気を空気循環経路60から排出させることができる。
(第2実施形態)
以下では、本発明に従った衣類乾燥装置のヒートポンプの他の一例としてのヒートポンプ72について、図5を用いて説明する。なお、以下において、第1実施形態に係るドラム式洗濯乾燥機100と同一の構成のものには同符号を付し、その説明を省略する。
ヒートポンプ72は、ドラム式洗濯乾燥機100において、ヒートポンプ71(図1参照)と例えば略同一の位置に配置されている。図5に示すように、ヒートポンプ72は、圧縮機24と凝縮器25と蒸発器27と膨張弁としての絞り部26とを備えている。蒸発器27は、ヒートポンプ72の蒸発器の一例である。
圧縮機24は、冷媒を圧縮して冷媒の温度を上昇させる。凝縮器25は、圧縮機24によって圧縮された冷媒と空気とを熱交換させることによって空気を加熱させる。絞り部26は、空気を加熱させた冷媒の圧力を減圧する。蒸発器27は、減圧された冷媒と空気とを熱交換させることによって空気を冷却させる。また、冷媒配管28は、圧縮機24、凝縮器25、絞り部26、および、蒸発器27の順に冷媒が循環するように、圧縮機24と凝縮器25と絞り部26と蒸発器27とを連結する。凝縮器25と蒸発器27とは、例えばフィンチューブ型の熱交換器である。蒸発器27は、主流路61に配置され、且つ、主流路61を流れる空気を冷却させる。
空気循環経路60は、乾燥室32(図1参照)、蒸発器27、凝縮器25、および、乾燥室32の順に空気が循環するように、ヒートポンプ72と乾燥室32とに接続されている。また、ファン9は、凝縮器25で加熱された空気を乾燥室32へ送風する。空気循環経路60を流れる乾燥用空気は、乾燥室32、蒸発器27、凝縮器25、ファン9、および、乾燥室32の順に循環する。主流路61において、乾燥用空気は、蒸発器27および凝縮器15の順に流れる。
ヒートポンプ72を備えたドラム式洗濯乾燥機100は、空気流出路132をさらに備えている。空気流出路132は、流出口132aを有し、空気循環経路60から流出口132aを介して空気循環経路60の外部に空気を流出させる。流出口132aは、空気循環経路60のうちの蒸発器27と凝縮器25との間の部分に形成されている。
また、ヒートポンプ72を備えたドラム式洗濯乾燥機100は、ファン29をさらに備えている。第2の送風機の一例としてのファン29は、空気流出路132に配置されている。また、ファン29の作動により、蒸発器27で冷却された空気が空気循環経路60の外部へ送風される。
さらに、ヒートポンプ72を備えたドラム式洗濯乾燥機100は、空気流入路122をさらに備えている。空気流入路122は、流入口122aを有し、空気循環経路60の外部から流入口122aを介して空気循環経路60に空気を流入させる。流入口122aは、空気循環経路60のうちの蒸発器27と凝縮器15との間の部分に形成されている。空気流入路122を介して主流路61に流入した雰囲気空気は、流入口122a付近で、方向D1に流れることによって凝縮器25に向かって主流路61を移動する。一方、蒸発器27を通過した乾燥用空気の一部は、流出口132a付近で方向D2に流れることにより、主流路61から空気流出路132に流出する。
ヒートポンプ72を備えたドラム式洗濯乾燥機100は、開閉部82をさらに備えている。開閉部82の構成および作動原理は、ヒートポンプ71を備えたドラム式洗濯乾燥機100の開閉部81のものと同様である。
なお、主流路61のうちの蒸発器27と凝縮器25との間の部分の静圧が、ドラム式洗濯乾燥機100の外部の静圧(つまり大気圧)に比べて負圧である場合は、ファン29を常に作動させる必要がある。この場合にファン29が作動していないときには、蒸発器27を通過した後の乾燥用空気の一部が、空気流出路132を介してドラム式洗濯乾燥機100の外部に流出し難い。そのため、ヒートポンプ72を備えたドラム式洗濯乾燥機100においては、ファン29を常に作動させておくことが好ましい。
しかしながら、ヒートポンプ72を備えたドラム式洗濯乾燥機100では、主流路61のうちの蒸発器27と凝縮器25との間の部分に、空気流入路122と空気流出路132とが接続されている。そのため、空気流入路122から流入した雰囲気空気の一部が、凝縮器25に向かって移動せずに、空気流出路132から流出するような事態が起こる。このような事態を回避するために、流入口122aと流出口132aとは、主流路61において可能な限り離れた位置に形成されていることが好ましい。例えば、流入口122aと凝縮器25との間隔が、流出口132aと蒸発器27との間隔よりも狭いように、流入口122aと流出口132aとが主流路61に形成されていることにより、このような事態を回避することができる。
以上のように、第2実施形態のドラム式洗濯乾燥機100のヒートポンプ72は、圧縮機24と、凝縮器25と、絞り部26と、蒸発器27と、冷媒配管28とを含む。圧縮機24は、冷媒を圧縮して冷媒の温度を上昇させる。凝縮器25は、圧縮機24によって圧縮された冷媒と空気とを熱交換させることによって空気を加熱させる。絞り部26は、空気を加熱させた冷媒の圧力を減圧する。蒸発器27は、減圧された冷媒と空気とを熱交換させることによって空気を冷却させる。冷媒配管28は、圧縮機24、凝縮器25、絞り部26、および、蒸発器27の順に冷媒が循環するように、圧縮機24と凝縮器25と絞り部26と蒸発器27とを連結する。
空気循環経路60は、乾燥室32、蒸発器27、凝縮器25、および、乾燥室32の順に空気が循環するように、ヒートポンプ72と乾燥室32とに接続されている。また、ドラム式洗濯乾燥機100は、空気循環経路60を循環する乾燥用空気のうち、蒸発器27を通過した乾燥用空気の一部を凝縮器25に流通させ、蒸発器27を通過した乾燥用空気の他の一部を凝縮器25に流通させずにドラム式洗濯乾燥機100の外部に排出させる。
ドラム式洗濯乾燥機100によれば、乾燥用空気の一部は、蒸発器27を通過した後にドラム式洗濯乾燥機100の外部に排出される。このように、乾燥用空気がドラム式洗濯乾燥機100の外部に排出される前に、乾燥用空気の熱量が蒸発器27で回収されることにより、ヒートポンプ72の冷媒の温度と圧力とを維持することができる。そのため、ドラム式洗濯乾燥機100によれば、乾燥効率を向上させることが可能である。
また、ヒートポンプ72を備えたドラム式洗濯乾燥機100は、空気流出路132を備えている。空気流出路132は、空気循環経路60のうちの蒸発器27と凝縮器25との間の部分に形成された流出口132aを有している。空気流出路132は、空気循環経路60から流出口132aを介して空気循環経路60の外部に空気を流出させる。
この構成によれば、空気循環経路60を流れる乾燥用空気の一部は、蒸発器27を通過した後に凝縮器25を通過する。また、空気循環経路60を流れる乾燥用空気の他の一部は、蒸発器27を通過した後に流出口132aを介して空気流出路132に流出する。空気循環経路60から空気流出路132に流出した乾燥用空気は、ドラム式洗濯乾燥機100の外部に排出される。
また、この構成によれば、ヒートポンプ72は、蒸発器の一例としての蒸発器27の他に他の蒸発器を備えておらず、蒸発器27および冷媒配管28に係る構成が簡略化されている。これにより、冷媒配管28を含むヒートポンプ72と、空気流入路122と、空気流出路132との構成が簡略化されている。したがって、ヒートポンプ72を備えたドラム式洗濯乾燥機100によれば、乾燥用空気をドラム式洗濯乾燥機100の外部に排出する前に、乾燥室32を通過した後の空気の熱量を比較的簡易な構成によって蒸発器27で回収することができる。
ヒートポンプ72を備えたドラム式洗濯乾燥機100は、ファン9とファン29とを備えている。ファン9は、凝縮器25で加熱された空気を乾燥室32へ送風する。また、ファン29は、空気流出路132に配置され、蒸発器27で冷却された空気を空気循環経路60の外部へ送風する。
この構成によれば、ファン9により、空気循環経路60において乾燥用空気を安定的に循環させることができる。また、空気循環経路60と空気流出路132とのうちの蒸発器27の前後において十分な静圧差が生じていない場合、または、主流路61のうちの蒸発器27と凝縮器25との間の部分の静圧が大気圧に対してそれ程大きくない場合でも、第2の送風機により、必要な量の乾燥用空気をドラム式洗濯乾燥機100の外部に排出することができる。
ヒートポンプ72を備えたドラム式洗濯乾燥機100は、空気流入路122を備えている。空気流入路122は、空気循環経路60のうちの蒸発器27と凝縮器25との間の部分に形成された流入口122aを有し且つ空気循環経路60の外部から流入口122aを介して空気循環経路60に空気を流入させる。
この構成によれば、空気循環経路60の外部の空気が、乾燥用空気のうちの蒸発器27を通過した後の空気に混入される。つまり、洗濯物5の乾燥に用いられる空気には、空気循環経路60の外部から空気循環経路60のうちの蒸発器27よりも下流側に流入された空気が含まれる。そのため、乾燥用空気が乾燥室32に供給される前に、蒸発器27で無駄に冷却されることがない。これにより、凝縮器25で空気の加熱に要するエネルギーを減らすことができ、消費電力を抑制することが可能である。したがって、乾燥効率をさらに向上させることが可能である。
以上に開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正と変形を含むものである。