以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
この実施形態のリニアアクチュエータは、図1に示すように、大きくは内部に設けられているインナコア2と、当該インナコア2の外周に同一の軸心となるように設けられたアウタコア3と、上記の軸心を構成するシャフト6と、当該シャフト6の外周で上記アウタコア3を支持する一対の板バネ41、42と、板バネ41、42の前後方向にそれぞれ設けられたストッパ部材51、52から構成されている。
この構成を、図2に示す中心断面図を用いてさらに詳細に説明する。
シャフト6は図中右側の後端部63から図中左側の先端部62に向かって延出された円柱状に形成されており、長手方向中央より図中右寄りに大径部61が形成されている。
この大径部61の端面61aから図中左側の先端部62までが、挿通部64としてインナコア2や板バネ41、42の内部に挿通される。この挿通部64と大径部61とは同軸上に形成されている。
シャフト6の挿通部64には板バネ42、スペーサ72、インナコア2、スペーサ71、板バネ41が順に嵌合され、さらにシャフト6の先端部62近傍にはバネ部材としての皿バネ73および固定カラー74が嵌合されている。こうすることによって、当該固定カラー74の端面74bと大径部61の端面61aとの間で、板バネ41、42とインナコア2とが皿バネ73によって軸方向に付勢されつつ位置規制されるようになっている。
ここで、本実施形態の説明において、軸方向とはシャフト6における軸方向を意味するとともに、半径方向および円周方向とはそれぞれシャフト6における半径方向および円周方向を意味し、インナコア2やアウタコア3の軸心を基準とした方向と同義であって、特に断らない限り以下の説明においてもこの定義を使用する。
インナコア2は積層鋼板によって形成されるとともに、当該インナコア2を軸方向の前後より挟み込むようにしてコアカバー21、22が設けられるとともに、当該コアカバー21、22の外側にコイル25、26が設けられている。これらのコイル25、26に電流を印加することによって、図中の上下方向の磁界を発生させることができる。さらに、インナコア2の上下には永久磁石23、24が設けられており、これらの永久磁石23、24はそれぞれ軸方向に異なる磁極が配されるように構成されるとともに、上下の永久磁石23、24で互いに磁極の向きが異なるように配置されている。
インナコア2の軸方向の前後には、円筒状のスペーサ71、72がそれぞれ一方の端面を当接させるようにして設けられており、当該スペーサ71、72の他方の端面にはそれぞれ板バネ41、42が当接するようにして設けられている。板バネ71、72はインナコア2の外周にまで延在し、ガイドピン93を介してアウタコア3を支持するように構成されている。
アウタコア3は、上側コア31、下側コア32として図中の上下方向に2分割されて構成されており、それぞれガイドピン93、93が挿通されるようにして設けられ、これらを用いて板バネ41、42を介して半径方向に位置決めが行われるようになっている。また、アウタコア3を軸方向前後に挟み込むようにしてストッパ部材51、52が設けられており、これらもアウタコア3と同様にガイドピン93、93によって位置決めが行われる。さらに、このように各部材が配置された状態で、ボルト91、91およびナット92、92によって軸方向に固定が行われるようになっている。
以上のような大まかな構成を示す各部品の形状および構成について、以下詳細に説明していく。
図3に示す分解斜視図を用いて再度、部品間の構成を説明すると、インナコア2はスペーサ71、72を介して軸方向の前後を板バネ41、42に挟み込まれた状態とされ、これらの貫通孔2a、41a、42aの内部をシャフト6の挿通部64を挿通させた上で、シャフト6の先端部62近傍に皿バネ73と各貫通孔2a、41a、42aよりも大径に構成された固定カラー74が嵌め込まれる。このようにして、インナコア2および板バネ41、42はシャフト6の軸心Xと同一の軸心を有するようにして半径方向に位置決めされるとともに、軸方向に対して位置決めがなされる。
上記のようにシャフト6の外周への嵌合を行う前に、インナコア2に対しては、図4のようにして周辺部品の取付けを行っておく。インナコア2はそれぞれ軸方向を厚み方向とする積層鋼板により形成されており、後に詳述するようにそれぞれの鋼板に形成されたカシメ部2jによって相互に連結されることによって一体化されている。軸方向の前面2b、後面2cは平面として構成されるとともに、前面2bには軸方向の凸部としてカシメ部2jが設けられており、後面2cには凹部としてカシメ部(図示せず)が設けられている。そして、前面2bから後面2cに渡って、中心部に貫通孔2aが形成されるとともに、上面2dと下面2eとは円周方向に沿った曲面にほぼ近くなるようにして形成されている。さらに、上面2dの下方および下面2eの上方で貫通孔2a寄りの位置には、コイル25、26を巻くための逃げ部としてそれぞれ段差部2f、2gが形成されている。
インナコア2を軸方向前後に挟み込むようにして当接するスペーサ71、72は円筒状に形成されており、これらの端面にもインナコア2と同様にカシメ部71j、72jが設けられている。そのため、インナコア2に設けたカシメ部の一部と、スペーサの71、72のカシメ部71j、72jが係合することによって、軸方向に押圧した際に相互に位置規制がなされるようになっている。
また、インナコア2を軸方向前後に挟み込むようにして、コアカバー21、22が設けられており、これらによってインナコア2のほぼ全体を覆うことになる。コアカバー21、22はそれぞれ開口孔21a、22aが設けられており、当該開口孔21a、22aは上記スペーサ71、72の外径よりも大きく形成されているために、スペーサ71、72の端面71b、72cは軸方向に完全に露出するようになっている。このようにコアカバー71、72をインナコア2に取り付けた状態で、上下より永久磁石23、24が取り付けられるようになっている。永久磁石23、24はそれぞれ半径方向外側に向けて凸となる曲面を有する形状に構成されており、内面23b、24bがコアカバー21、22にガイドされつつインナコア2の上面2dまたは下面2eに接するようにして取り付けられる。このようにインナコア2に対して取付けた状態で、外面23a、24aが貫通孔2aの軸を中心とする円筒面の一部を構成する曲面となるようにして形成されている。
さらに、インナコア2に対してコアカバー21、22を取り付けた状態で、インナコア2の段差部2f、2gに対応するコアカバー21、22の段差部21b、21c、22b、22cの位置にコイル25、26を形成する。これらのコイル25、26に対して電流を印加することによって、永久磁石23、24が形成する磁場を変化させることができるようになっている。
上記のようにインナコア2、コアカバー21、22、スペーサ71、72、永久磁石23、24およびコイル25、26を事前に組み立てた状態とした上で、これらを中心に図3のように他の部品とともにリニアアクチュエータ1として組立てを行っていく。
スペーサ71、72と各々隣接するようにして板バネ41、42が設けられている。板バネ41、42は四角形状に形成された枠部41e、42eと、当該枠部41e、42eと図中の上下位置で連結され、「8」の字形状に形成されたバネ部41f、42fと、その中心に設けられたリング状の取付部41h、42hとから構成される。このように構成されることで、取付部41h、42hを固定した状態ではバネ部41f、42fが変形することによって枠部41e、42eが軸方向に弾性的に変位することができるようになっている。取付部41h、42hの端面のうち一方は、スペーサ71、72に当接するようにして軸方向に位置決めがなされる。また、取付部41h、42hの中心に設けられた貫通孔41a、42aはインナコア2の貫通孔2aと同軸上に配置された上で、シャフト6が挿通されるようになっている。板バネ41、42の枠部41e、42eの図中の上下位置には、貫通孔41aの中心と一直線に並ぶようにして切り欠き部41b、41b、42b、42bが形成されている。組立時においては、この切り欠き部41b、41b、42b、42bに沿ってガイドピン93、93が図中の上下より挿入されるようにして、上側コア31および下側コア32の位置決めが行われる。また、枠部41、42の四隅にはボルト孔41g〜41g、42g〜42gが形成されており、当該部分には組立時の最終段階においてはボルト91〜91が挿通されるようになっている。
以下、板バネ41、42の詳細な構成について、板バネ42を例にとって説明していく。板バネ42は図8に示すようにして、打ち抜き加工によって形成された板バネ用鋼板42P1〜42P5を積層させ相互に連結することによって構成されている。各板バネ用鋼板42P1〜42P5は全体形状を同一に形成され、各々形成されたボルト孔部42g1〜g5、切り欠き部42b1〜b5、貫通孔部42a1〜a5は積層された後には一体化して図3に示すような一個のボルト孔42g、切り欠き部42b、貫通孔42aを構成する。
それぞれの枠部42e1〜e5には周方向に12箇所カシメ部42j1〜42j5を設け、取付部42h1〜h5には各々、図中の左右方向に2箇所のカシメ部42j1〜42j5を設けている。当該カシメ部42j1〜42j5は、プレス加工によって断面が逆V型になるようにして形成されるものであって、図中の左方向に向けて凸になるようにしてある。そのため、凸側の面に対する裏面では同形状の凹型になっている。そのため、こうした形状のカシメ部42j1〜42j5の位置を合わせて重ね合わせることによって、凹部と凸部とを係合させることができる。さらに、このようにして薄板を積層させた状態でプレス機等によって積層方向に押圧力を付与することによって、カシメ部42j1〜42j5を微小に変形させて相互の連結力を強めて一体化することが可能となっている。
本実施形態においては、図3に示した板バネ42は上記のように構成した板バネ41と同じものとしており、リニアアクチュエータ1として構成する際に同じ方向となるようにして組み込むものである。
上記のように構成した板バネ41、42によって、図3のようにしてスペーサ71、72を介してインナコア2を挟み込むように配置した上で、これらの中心にシャフト6を挿通させることになる。なお、インナコア2に対しては上述したように事前にコアカバー21、22、永久磁石23、24、コイル25、26を取り付けておく。
このようにして組み立てた際には、図5に示すような形態になる。インナコア2を中心として、図中の左方向より板バネ41、スペーサ71、インナコア2、スペーサ72、板バネ42の順に配置した状態で、これらの中心に設けた各貫通孔41a、71a、2a、72a、42aの内部にシャフト6の挿通部64を挿通させ、大径部61の端面61aから図中左側の板バネ41までが軸方向に順次当接するようにしている。インナコア2、スペーサ71、72、板バネ41、42の中心に設けた各貫通孔2a、71a、72a、41a、42aの内径は挿通部64の外径とほぼ等しく設定されており、挿通部64が緊密に挿通されることによって半径方向に位置決めがなされる。また、円周方向に対しては、各部材に形成されたカシメ部2j、71j、72j、41j、42j(図3、図4参照)の一部が係合することによって位置規制が行われるようになっている。このような状態にした上で、バネ部材としての皿バネ73と固定カラー74をシャフト6の挿通部64に嵌め込んでいく。固定カラー74の中心に設けられた貫通孔74aはシャフト6の挿通部64の外径よりもやや小さな内径を有しており、この固定カラー74は油圧シリンダ等を用いてシャフト6の先端部62より図中右方向に圧入されることによって、圧入後は貫通孔74aの内周面が挿通部64の外周面を把持することで強固に位置の固定が行われる。
固定カラー74の圧入に際しては、軸方向に押圧するのみであり、ネジを締め込む場合のように円周方向の力を作用させないため、組み込みにあたって各部材の位置を円周方向にずらすことがない。そのため、格別注意を働かせることなく容易に組み込みを行うことができるとともに、組立不良を減らすことができる。
この固定カラー74の外径は、インナコア2、スペーサ71、72、板バネ41、42の各貫通孔2a、71a、72a、41a、42aよりも大径に構成されているため、固定カラー74は軸方向の位置規制部材として作用する。すなわち、固定カラー74の端面74bと大径部61の端面61aとの間でインナコア2、スペーサ71、72、板バネ41、42は軸方向に位置規制がなされる。上記のような固定カラー74の圧入に際して、皿バネ73は軸方向に圧縮されるようにして変形されるため、この皿バネ73の復元力が常にインナコア2、スペーサ71、72、板バネ41、42に対して軸方向に作用することになる。このため、シャフト6の熱収縮による固定カラー74の軸方向への位置ズレやシャフト6の熱膨張によって、インナコア2、スペーサ71、72および板バネ41、42と固定カラー74との軸方向への相対位置が変化する場合であっても、隙間が生じないように皿バネ73の形状が復元するとともに、常に変わることなくインナコア2、スペーサ71、72および板バネ41、42に対して軸方向への付勢力を働かせることができる。これにより、シャフト6の外周で軸方向に対して隙間が生じないとともに、板バネ41、42の支持条件を変化させないようにすることが可能となっている。そのため、温度変化の激しい過酷な状況の下で使用しても、リニアアクチュエータ1としての特性の変化が少なくなる。
さらには、インナコア2、スペーサ71、72、板バネ41、42に対して軸方向への付勢力を働かせるためのバネ部材として皿バネ73を用いることで、皿バネ73の内周面をシャフト6の外周に嵌め込むだけで位置精度良く容易に支持させることが可能であるとともに、円周方向に均一に付勢力を作用させることができる。このため板バネ41、42を全周に渡って方向性なく均一に支持することができ、よりリニアアクチュエータ1としての特性の安定化に寄与している。
また、固定カラー74をシャフト6に対して圧入する際に、固定カラー74の端面74bがインナコア2、スペーサ71、72および板バネ41、42に対して軸方向に押圧力を付与することになるために、上述のように円周方向の位置決めとして機能していた各部材に形成されたカシメ部2j、71j、72j、41j、42j(図3、図4参照)の一部は、係合箇所が微小に変形することで互いに連結力が増加して一体化がなされる。
上記のようにして、シャフト6を基準にしてインナコア2、スペーサ71、72、板バネ41、42、皿バネ73および固定カラー74を組み込んだ後は、図3に示す形態で上側コア31と下側コア32がそれぞれ図中の上下より取り付けられ、アウタコア3を構成する。上側コア31および下側コア32によって構成されるアウタコア3は、インナコア2の半径方向外側でインナコア2を囲むようにして設けられており、板バネ41、42の枠部41e、42eによって軸方向に挟まれるようにして設けられる。アウタコア3は、内面に磁極部31a、32aを形成されており、それぞれが永久磁石23、24と適切な隙間を有しつつ対向されるように構成されている。上側コア31および下側コア32には、それぞれ磁極部31a、32aの外側に設けられたピン孔31b、32bに挿通されるようにしてガイドピン93、93が設けられており、当該ガイドピン93を上述した板バネ41、42に形成された切り欠き部41b、42bに挿入することによって位置決めを行いつつ組み込むことができるようになっている。
このようなガイドピン93を用いた位置決め機能を有していることから、組立時において正確にアウタコア3とインナコアとが同一の軸心Xを有するように位置決めを行うことができ、永久磁石23、24と磁極部31a、32aとを衝突させて損傷を生じさせることがないとともに、両者の間で適切な隙間を形成することができるようになっている。また、上側コア31および下側コア32は、それぞれ板バネ41、42に設けたボルト孔41g〜41g、42g〜42gと対応する位置に貫通孔31c、31c、32c、32cが設けられており、組立の最終段階でボルト91〜91を挿通することができるようになっている。
上記のような形状を有する上側コア31および下側コア32は、詳細には以下のような構成からなる。以下、代表して上側コア31を用いて説明する。
上側コア31は、図6のような構成を有しており、軸方向に配置された5つのコア要素31B1〜B5を一体化したものである。それぞれのコア要素31B1〜B5は、コの字型に形成されるとともに、各々打ち抜きによって形成された薄い鋼板を積層することによって構成されている。これらの薄板を連結させるための方法は、図8を用いて板バネ42を例として説明した薄板42P1〜P5の各部に形成したカシメ部42j1〜42j5を使用した締結方法と同じものである。
図6に戻って、コア要素31B1〜B5は、各部にカシメ部31j1〜j5を有しており、当該カシメ部31j1〜j5は図中の左方向に向かって凸部を形成するとともに、右方向に向かって凹部を形成しているため、コア要素31B1〜B5を重ね合わせた際にはカシメ部31j1〜j5が係合して位置規制が行われるようになっている。また、コア要素31B1〜B5は、それぞれがボルト孔部31c1〜31c5とピン孔部31b1〜b5を形成されており、コア要素31B1〜B5が連結されて一体として上側コア31を構成した際には、それぞれボルト孔31cとピン孔31bとを構成することになる。当該ピン孔31bの内部には軸方向にガイドピン93が挿通され、ガイドピン93の両端部が上側コア31より突出するようになる。また、コア要素31B1〜B5のコの字型の両端部にはそれぞれ段差部31d1〜d5、31e1〜e5が形成されており、当該部分が上側コア31として一体化された後には下側コア32(図3参照)の同じ部分と噛み合うように構成されている。
本実施形態においては、図3に示した下側コア32として、上記のように構成した上側コア31と同じ形状のものを用いており、上側コア31とは上下を逆にして使用するものである。
図3に戻って、上側コア31および下側コア32をガイドピン93、93によって位置決めしつつ板バネ41、42の間に配置した後には、これらをさらに軸方向の外側より挟み込むようにしてストッパ部材51、52を組み込んでいく。ストッパ部材51、52は、それぞれ外形を矩形状に構成され、板バネ41、42やアウタコア3の外形とほぼ同一になるようにされている。各ストッパ部材51、52は、図中の上下にそれぞれ溝部51b、51b、52b、52bを備えており、この部分がアウタコア3より軸方向に突出したガイドピン93、93の両端に嵌め合わされることにより位置決めが行われ、アウタコア3と同様にシャフト6の軸心Xと中心軸が同一になるようにされる。
ストッパ部材51、52はそれぞれ「8」の字状に形成されているとともに、その中心部には孔部51a、52aが設けられ、これらの孔部51a、52aの内径は上述した、固定カラー74の外径およびシャフト6の大径部61の外径よりも僅かに大きくなるように設定されている。そのため、固定カラー74や大径部61は当該孔部51a、52aに干渉することはない。また、ストッパ部材51、52にはそれぞれ四隅にボルト孔51c〜51c、52c〜52cが設けられている。
このような形状に構成されるストッパ部材51、52は、詳細には以下のような構成からなる。以下、代表して図中左側のストッパ部材51を用いて説明する。
ストッパ部材51は、図7のような構成を有しており、2つのストッパ要素51B1、51B2を軸方向に連結することによって構成されるものである。ストッパ要素51B1、51B2は外形がほぼ同一の矩形状に形成されているが、ストッパ要素51B1は「8」の字状に、ストッパ要素51B2は「O」の字状に形成されているものである。これらのストッパ要素51B1、51B2は、各々薄い打ち抜き鋼板を積層することによって構成されている。これらの薄板は、各々に設けられたカシメ部51j1〜51j1、51j2〜51j2を軸方向に係合させることによって連結させていくものであり、図3に示した板バネ41、42、インナコア2およびアウタコア3と同様の方法によって構成するものである。
なお、ストッパ部材51はリニアアクチュエータ1として組み立てた際に軸方向に凸部が生じないようにするため、図7におけるカシメ部51j1〜51j1が図中の左方向に突出しないように配慮してある。この手法については後に詳述する。
ストッパ部材52(図3参照)も、上記のようにしてストッパ部材51と同様に製作するものではあるが、図3のようにしてリニアアクチュエータ1として組立てた際には、ストッパ部材51とは異なり、軸方向外側に対して凹部が形成される向きにカシメ部材(図7参照)が形成されることになる。
それぞれのストッパ部材51、52の中心に設けられた孔部51a、52aの内周面は、それぞれ固定カラー74およびシャフト6の大径部61の各外周面との間で隙間を構成する。さらに孔部51a、52aと対向する位置には、固定カラー74の外周に樹脂製カラー75が嵌め込まれているとともに、大径部61aの外周に樹脂製カラー76が嵌め込まれている。このように樹脂製カラー75、76を嵌め込まれた固定カラー74およびシャフト6の大径部61と、これらと対向するストッパ部材51、52の孔部51a、52aとの隙間を、図2に示すようにそれぞれδ2、δ3として定義する。他方、永久磁石23、24と磁極部31a、32aとの間の隙間をδ1として定義する。本実施形態においては、δ2とδ3とは同じ大きさになるように設定するとともに、これらがδ1よりも小さくなるように設定している。そのため、インナコア2とアウタコア3とが半径方向に相対変位した場合であっても、永久磁石23、24と磁極部31a、32aとが接触する前に、樹脂製カラー75、76がストッパ部材51、52の孔部51a、52aの内周面に当接してストッパとして機能するために、永久磁石23、24と磁極部31a、32aとの接触を防止することができるようになっている。
樹脂製カラー75、76は、図9(a)および(b)に示すようにして、固定カラー74およびシャフト6の大径部61に取り付けられる。なお、図9(b)はシャフト6より、インナコア5や板バネ41、42等の部品を取り外した場合を想定して、単純化して示した模式図である。固定カラー74およびシャフト6の大径部61にはそれぞれ段差部74c、61bとして小径部を形成しており、これらの部分に樹脂製カラー75、76が嵌め込まれるようになっている。
樹脂製カラー75、76は同一の形状を有し、それぞれ薄い円筒状に形成されており、円周方向の一箇所に、切断部75a、76aが設けられている。そのため、当該部分より拡径するようにして上記段差部74c、74bに嵌め込み、それぞれの復元力によって内周面が密着して位置が固定されるようになっている。切断部75a、75bは軸方向に対して斜めに設けられているとともに、上記段差部74c、74bに取り付けた状態で、円周方向のいずれの箇所においても樹脂製カラー75、76を構成する一部が存在するように寸法を設定している。そのため、インナコア2とアウタコア3とが半径方向のいずれの方向に対して相対変位したとしても、変わらずストッパとしての機能が働くようになっている。
上記のようにして、ストッパ部材51、52を形成して組み込んだ状態では、ストッパ部材51、52に設けたボルト孔51c〜51c、52c〜52cは、板バネ41、42に設けたボルト孔41g〜41g、42g〜42gおよびアウタコア3に設けたボルト孔31c、31c、32c、32cと軸方向に連続することになる。そのため、ストッパ部材51、52を組み込み終えた状態でボルト91〜91を挿通させ、その先端にナット92〜92を締め込むことによって、ストッパ部材51、52、板バネ41、42、アウタコア3を軸方向に締結することができる。
この際には、ストッパ部材51、52、板バネ41、42、アウタコア3に形成されたカシメ部51j、52j、41j、42j、31j、32jを構成する凸部および凹部はそれぞれ軸方向に係合され、さらに押圧力を付与されることによって微小変形を生じ、より強い締結力が発生することになる。
このようにして軸方向への締結を行った後には、アウタコア3は板バネ41、42の枠体41e、42eおよびストッパ部材51、52と一体となって動作することができるようになり、図1に示すリニアアクチュエータ1として構成されることになる。
ここで、上述したインナコア2、アウタコア3、バネ部材41、42およびストッパ部材51、52を構成するために用いた、積層鋼板を相互に連結させるための手法について詳述する。図10(a)にカシメ部の構造を模式的に表した例を示す。
この例では、5枚の薄板81a〜eを連結する場合を示している。薄板81c〜eにはそれぞれカシメ部82c〜eとして上述したような凸部を形成している。この凸部は、側方すなわち紙面の奥行きと手前との二箇所に平行な切り込みを入れつつ、その切り込みの間を片側(図中左方向)に向けて逆V型に凸となるようにして変形させたものである。当該凸部は、裏面方向(図中右方向)に対しては凹部を形成するために、薄板81c〜eを重ね合わせたときには凹凸が重なり合うようにしてカシメ部82c〜eが係合する。また、この例においては薄板82a、82bにはカシメ部82a、82bとして矩形の開口部を形成している。当該部分には、薄板81cに形成したカシメ部82cとしての凸部が挿入されるようにして係合することができる。このようにカシメ部82a〜82eを係合させた状態で、積層方向に押圧することによって、カシメ部82a〜82eが微小変形して相互に締結力を生じるようになっている。
このカシメ部82a〜82eの構成例においては、図中左側の薄板81a、81bのカシメ部82a、82bを矩形の開口部としているために、薄板81a〜eを積層して連結させた状態でも、薄板81aの表面より図中の左側に凸となる部位を生じさせないようにすることができる。ただし、このように一部のカシメ部82a、82bを開口部として構成することは、鋼板同士を締結するために必須ではなく、全てのカシメ部を上記逆V型として同じ形状に形成させることも可能である。上記のうち、一部のカシメ部82a、82bに開口部を設ける手法で構成したものが図3に示すストッパ部材51であり、全てのカシメ部を同じ逆V型として、外方に向かって凸となる部分が生じるようにして形成したものがストッパ部材52、インナコア2、アウタコア3、板バネ42である。板バネ41は上述したように、皿バネ73に当接するカシメ部分のみが凸部を形成しないように構成し、その他の部分は凸となる部分が生じるようにして構成している。
このようにして、各部材を、カシメ部を形成した積層鋼板を用いて簡単に形成できるとともに、それらのカシメ部を係合部として用いつつ、さらに積層方向に加圧することで部材間に締結力を働かせることが可能に構成されている。
また、図10(b)の例のようにカシメ部を構成することも可能である。この例では、カシメ部182a〜eが軸方向より見て円形に形成されており、図10(a)における逆V型のものとは異なり、側方に切り込みを有していない。そして、図10(b)におけるカシメ部182a〜eは、薄板181b〜181eに形成したものは、図中の左方向に円形の凸部を構成するとともに、裏面である図中の右方向に対しては円形の凹部を構成する。また、薄板181aにおけるカシメ部182aは同じ円形の孔部として構成されている。これらのカシメ部182a〜eは薄板181a〜181eを積層させた際に係合し、さらに軸方向に押圧力を付与することによって相互に締結力を生じさせることができる。
上記のようにして、図1および図2のように構成されたリニアアクチュエータ1は、次のようにして動作する。以下、図2を用いて説明を行う。
本実施形態におけるリニアアクチュエータ1は、シャフト6を固定して用いるためものであるため、シャフト6の外周(挿通部)64に嵌め込まれ、固定カラー74および皿バネ73によって軸方向に位置決めを行われているインナコア2は、いわゆる固定子として機能する。そして、同様にシャフト6によって支持される板バネ41、42によって、インナコア2の半径方向外側に、かつ、同一軸心となるように設けられているアウタコア3は可動子として機能する。アウタコア3は、板バネ41、42によってその板厚方向、すなわちシャフト6の軸方向に変位することが可能に弾性支持された状態となっている。
インナコア2に対しては、図中の上下にそれぞれ永久磁石23、24が設けられており、これらの永久磁石23、24と対向するようにして、アウタコア3の内面には磁極部31a、32aが設けられ、両者の間で隙間δ1を形成している。上述したように永久磁石23、24はそれぞれ軸方向に異なる磁極が配されるようにされており、これらの磁極を中心に磁場が発生するようになっている。永久磁石23、24と磁極部31a、32aの位置関係は、リニアアクチュエータ1としての特性が決まる重要な要素であり、板バネ41、42とインナコア2との間で円周方向に位置ズレが生じることは効率の低下に繋がる。そのため、本実施形態のように、固定カラー74を軸方向に圧入していくのみで円周方向への力を作用させずに組立を行うことのできる構成とすることで、機器としての特性を損なうことがなくなる。
インナコア2に巻き付けるようにして設けたコイル25、26に電流を印加することによって、軸方向に磁場の偏りを生じさせることができる。電流を印加していない状態では、磁極部31a、32aはそれぞれ永久磁石23、24の軸方向中心部に対向するように配置されており、電流を印加して磁場に偏りを生じさせることによって磁極部31a、32aに対して軸方向の推力を作用させることができる。こうすることで、アウタコア3を軸方向に変位させることが可能となるとともに、電流を正逆に正弦波状に変化させることによって、任意の加速度および周波数でもってアウタコア3を振動させることもできる。こうした機能を利用して、アクティブ制振器として使用することも可能である。
こうしたリニアアクチュエータ1を温度変化の激しい場所で使用した場合には、一般にはシャフト6の軸方向への寸法変化に起因して特性が変化することがある。具体的には、シャフト6の温度が他の部材よりも上昇して相対的に伸びが生じた場合や、シャフト6の温度が他の部材よりも低下して固定カラー74が軸方向に押し出されるようにして図の左方向に位置がずれる場合がある。このような場合には、いずれも固定カラー74の端面74bと大径部61の端面61a間の寸法が他の部材に対して相対的に増大することによって、外周に取り付けているインナコア2、板バネ41、42およびスペーサ71、72に対して軸方向の隙間が生じることや、板バネ41の固定が弱くなることで見かけ上バネ長が増大するようにしてアウタコア3の支持条件が変化することにつながる。しかしながら、本実施形態におけるリニアアクチュエータ1では、固定カラー74に隣接して皿バネ73が圧縮された状態で設けられているために、僅かなシャフト6の寸法変化や固定カラー74の位置ズレによる影響は皿バネ73の圧縮シロによって吸収され、固定カラー74の端面74bと大径部61の端面61aとの間で位置規制されるインナコア2、板バネ41、42、スペーサ71、72に対しては常に軸方向に付勢力が働くようになっている。そのため、シャフト6の軸方向に対して隙間が生じたりアウタコア3の支持条件が変化したりすることによって、リニアアクチュエータ1としての特性が変化することがない。
また、上記のようにシャフト6の長さがインナコア2に対して相対的に縮む場合において、固定カラー74の位置がずれることによってシャフト6やインナコア2等への過大な応力の発生を抑制することもでき、各部材の損傷を防ぐようになっている。
また、同一の電力によって推力を増大させ、効率を向上させるためには、永久磁石23、24と磁極部31a、32aとの隙間δ1を小さくし、漏れ磁束を低減することが有用である。しかしながら、こうした手法は永久磁石23、24と磁極部31a、32aとが衝突する可能性がある。永久磁石23、24は一般に脆い材質によって構成されているために、磁極部31a、32aとの衝突で損傷を生じ動作不能となる恐れがある。また、上記隙間δ1が十分に大きく、永久磁石23、24と磁極部31a、32aとが接触しない場合であっても、半径方向の相対変位が大きすぎると板バネ41、42が塑性変形したり、損傷したりすることによって有効なバネとして機能しなくなりリニアアクチュエータ1として必要な特性を失う可能性もある。
上記のような不具合が生じないように本実施形態のリニアアクチュエータ1においては、効率向上のためにδ1を小さな寸法に設定するとともに、軸方向の前後にストッパ部材51、52を設け、これらの軸心に形成した孔部51a、52aの内周面と、固定カラー74およびシャフト6の大径部61との外周面とが、永久磁石23、24と磁極部31a、32aとが接触する前に接触してストッパとして機能するようになっている。そのために孔部51a、52aの内周面と、固定カラー74およびシャフト6の大径部61との外周面との隙間δ2、δ3が上記δ1よりも小さく設定されている。また、これらのδ2、δ3の隙間は、板バネ41、42の損傷および変形を防ぐ目的としても十分小さなものとなっている。
上記のように、固定カラー74と大径部61とは、各端面74b、61aの間でインナコア2、板バネ41、42、スペーサ71、72の位置規制を行いつつ、皿バネ73の付勢力を働かせるための基点として作用するとともに、永久磁石23、24と磁極部31a、32aとの接触を防止するためのストッパとしての機能も兼ね備えることができる。そのため、簡単な構成としつつコンパクト化を果たすことも可能になっている。
また、固定カラー74、大径部61の外周には、樹脂製カラー75、76が嵌め込まれており、ストッパとして機能する際には当該樹脂製カラー75、76が、ストッパ部材51、52の孔部51a、52aの内周面に当接する。そのため、当接した際の衝撃を樹脂材料によって吸収することができ、騒音の発生を抑えることができるとともに、当接しつつすべり軸受けとして機能することで摺動抵抗を減らして軸方向への相対変位を行わせることもでき、ストッパ機能を働かせながらアウタコア3の軸方向に対する移動を継続させることも可能である。さらには、シャフト6および固定カラー74を金属によって構成するとともに、その上に薄い樹脂製カラー75、76を設けるだけで上記の効果を発揮させることができるため、拡径自由に構成したことと相俟って簡単に設置することができるとともに隙間δ2、δ3を全周に渡って均一に精度良く構成することが可能である。
以上のように、本発明のリニアアクチュエータ1は、インナコア2と、当該インナコア2を軸方向に前後から挟みこむようにして設けられた一対の板バネ41、42と、当該一対の板バネ41、42によって支持されつつ前記インナコア2と同一の軸心を有するように、かつ、当該インナコア2の半径方向外側に設けられたアウタコア3とを具備し、前記インナコア2に永久磁石23、24が設けられ、前記アウタコア3に前記永久磁石23、24と所定の間隔で対向する磁極部31a、32aを形成したものであって、前記インナコア2および前記一対の板バネ41、42が前記同一の軸心の位置に各々貫通孔2a、41a、42aを形成されており、一端部63側に大径部61を有するシャフト6が他端部62側より前記各貫通孔2a、41a、42aに緊密に挿通された上で、前記貫通孔2a、41a、42aより突出した前記他端部62に固定カラー74が軸方向に圧入して設けられているとともに、前記板バネ41と前記固定カラー74との間にバネ部材73が設けられており、前記インナコア2および前記一対の板バネ41、42が前記大径部61と前記固定カラー74との間で前記バネ部材73によって前記シャフト6の軸方向に付勢力を与えられつつ位置規制されるように構成したものである。
このように構成しているため、インナコア2と板バネ41、42との間で円周方向の位置ズレを生じさせることなく簡単に組立を行うことができるとともに、熱によってシャフト6に伸びが発生した場合や固定カラー74の位置が軸方向にずれた場合であっても、バネ部材73による付勢力が作用して、常に板バネ41、42とインナコア2とを軸方向に押圧することができ、内部で軸方向の隙間が生じないとともに、板バネ41、42によるアウタコア3の支持条件が変化しない。そのため、温度変化の激しい過酷な状況下で使用してもリニアアクチュエータ1としての特性が変わらず、安定して使用することができる。
さらに、前記バネ部材73が皿バネによって形成されており、当該皿バネ73の内周が前記シャフト6の外周に嵌合されるようにして構成されているため、板バネ41、42とインナコア2に作用させる軸方向の押圧力を、シャフト6の円周方向に対して均一に発生させることができるため、板バネ41、42の支持をより安定させることが可能となり、リニアアクチュエータ1としての特性をより安定化させることが可能となる。
また、前記アウタコア3が軸方向の両側で、かつ、前記シャフト6の大径部61および前記固定カラー74に対応した位置に各々ストッパ部材52、51を備えており、当該各ストッパ部材52、51は前記大径部61および前記固定カラー74の外周に対して所定の隙間を有しつつ配置される孔部52a、51aを備えており、前記所定の隙間が前記永久磁石23、24と磁極31a、32aの間隔よりも小さくなるようにして構成されているため、軸方向の位置決め機能と、径方向のストッパとしての機能を同じ部分が有することで、上記の効果を有しつつ、板バネ41、42や永久磁石23、24の損傷を生じないリニアアクチュエータ1を簡単かつコンパクトに構成できる。
また、前記大径部61および前記固定カラー74の外周に樹脂製カラー76、75を設けるようにして構成しているため、これらが径方向のストッパとして機能した際でも、接触時の衝撃を吸収することができるとともに摺動抵抗を少なくすることができるために、インナコア2とアウタコア3の相対動作を継続して行わせることが可能となる。
さらに、前記樹脂製カラー75、76が円周方向の一箇所に切断部75a、76aを設けられ、拡径可能にされているとともに、前記切断部75a、76aが軸方向に対して斜めに設けられており、前記円周方向のいずれの箇所においても少なくとも前記樹脂製カラー75、76を構成する一部が存在するように形成されているため、上記効果を有する樹脂製カラー75、76を簡単に取付ができるとともに、インナコア2とアウタコア3とが半径方向のいずれの方向に変位したとしても確実にストッパとしての機能を働かせることが可能となる。
なお、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
例えば、図9を用いて説明した樹脂製カラー75、76はこの形態に限らず、図11(a)、(b)のように、ストッパ部材151、152の孔部151a、152a側に設けるように変形することも可能である。このようにしても、孔部151a、152aと固定カラー174およびシャフト106の大径部161の間の接触時の衝撃緩和や摺動抵抗の低減といった上記と同様の効果を得ることができる。この場合においては、樹脂製カラー175(176)の寸法を、ストッパ部材151(152)の板厚より軸方向に長く設定し、軸方向両端に鍔部175b、175b(176b、176b)を設けるとともに、円周方向の一部に切断部175c(176c)を形成するようにして構成する。当該切断部175c(176c)によって、縮径するように変形させた上で孔部151a(152a)の内部に挿入した上で、復元力を利用して孔部151a(152a)の内周面に密着させる。このようにして取り付けた後は、鍔部175b、175b(176b、176b)によって軸方向に位置規制されることになる。
また、図12(a)、(b)のようにして樹脂製カラー275(276)を構成することも可能である。この場合に樹脂製カラー275(276)は一部に切断部275c(276c)を有する単純なリング形状に形成され、ストッパ部材251(252)に設けた孔部251a(252a)は内部に同心の溝部251b(252b)が形成されており、当該溝部251b(252b)に収まるようにして樹脂製カラー275(276)が挿入される。これらがストッパとして機能する際には、樹脂製カラー275(276)の内面が固定カラー174およびシャフト106の大径部161と当接することになる。
また、上記の実施形態においては、インナコア2を固定子として、アウタコア3を可動子として構成したが、これを逆にすることも差し支えない。
さらに、上記の実施形態では、インナコア2に永久磁石23、24とコイル25、26を設け、アウタコア3に磁極部31a、32aを形成していたが、これを逆にすることも可能である。
また、上記の実施形態では、シャフト6(106)の挿通部64(164)を丸断面になるようにして構成していたが、インナコア2およびアウタコア3を同一の軸心を有するように支持することができ、皿バネ73を嵌め込んだ上で固定カラー75(175、275)を圧入することができる限り、丸断面にすることは必須ではなく、外周の一部に平面部を設けたり、楕円形状や多角形状の断面を有するように構成したりすることも可能である。また、インナコア2、スペーサ71、72、板バネ41、42、皿バネ73および固定カラー75(175、275)が嵌合される挿通部64(164)を、長手方向全体に渡って外径や断面形状が同一になるように形成することも必須とはいえず、外周に嵌め込む各部材を同一の軸心を有するように支持することができ、それらの部材の間で軸方向に押圧力を順次伝達させることができる限り、各部材が取り付けられる部分に応じて挿通部64(164)の外径や断面形状を異ならせることも可能である。
また、上記の実施形態においては、バネ部材としての皿バネ73を固定カラー74(174)と板バネ41の間に取り付ける構成としていたが、軸方向に付勢力を働かせることが可能である限り、シャフト6の大径部61(161)と固定カラー74(174)の間のいずれの位置に設けることも可能である。例えば、シャフト6(106)の大径部61(161)と板バネ42との間に設けることも好適である。さらには、固定カラー74(174)と板バネ41との間および大径部61(161)と板バネ42との間の双方に皿バネ73を取り付ける構成としても良い。
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。