JP2012248949A - インピーダンス整合回路 - Google Patents

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Hiromitsu Uchida
浩光 内田
Kazuhisa Yamauchi
和久 山内
Masatoshi Nakayama
正敏 中山
Saneto Kimura
実人 木村
Kunihiro Endo
邦浩 遠藤
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Abstract

【課題】低損失かつ広帯域なインピーダンス整合を実現することができるインピーダンス整合回路を得ることを目的とする。
【解決手段】信号源が入力端子1aに接続されて、インピーダンス整合の対象である負荷2が通過端子1bに接続されており、その負荷2が有する反射係数に応じて結合度Cが決定されている方向性結合器1と、方向性結合器1のアイソレーション端子に接続されている無反射終端3とを備え、その負荷2が有する反射係数に応じて電気長θが決定された先端開放スタブ4が方向性結合器1の結合端子に接続されている。
【選択図】図1

Description

この発明は、周波数依存性を有する負荷を整合対象とするインピーダンス整合回路に関するものである。
周波数依存性を有する負荷を整合対象とするインピーダンス整合回路としては、例えば、分布定数線路とスタブなどのリアクタンス素子から構成されているリアクティブな無損失整合回路や、リアクティブな可変整合回路、あるいは、抵抗素子からなる減衰器などがある。
図6は一般的なインピーダンス整合回路を示す構成図である。
特に図6(a)のインピーダンス整合回路は、分布定数線路と先端開放スタブからなるリアクティブなL型整合回路であり、図6(b)のインピーダンス整合回路は、抵抗素子からなるπ型減衰器である。
図6(a)のL型整合回路では、信号源、負荷のインピーダンス及び整合周波数が与えられると、完全なインピーダンス整合を取るために、分布定数線路及び先端開放スタブの電気長と特性インピーダンスが定められる。
一方、図6(b)のπ型減衰器では、厳密には完全なインピーダンス整合を取ることはできない(完全な反射抑圧はできない)が、負荷の反射係数をΓ、減衰器の減衰量をA(0<A<1)とすると、信号源から見た反射係数を広帯域に亘ってΓAに減じることができる。
各種の高周波回路において、信号源と負荷の間でインピーダンス整合を取るにあたり、時として、整合対象となる負荷のインピーダンスが大きな周波数依存性を有する場合がある。
例えば、アンテナなどのように、等価的に共振回路を含むような負荷が該当する。
整合対象となる負荷のインピーダンスが周波数依存性を有する場合、図7のスミスチャートに示すように、決して小さくはない反射係数Γで、その反射位相が動作周波数範囲内で大きく回転する。
図6(a)のL型整合回路を用いる場合、周波数依存性を有する負荷のインピーダンス整合を十分に取ることはできない。
例えば、図7の点Xの負荷インピーダンスが点X’に動くことで、完全整合が取れるように図6(a)のL型整合回路が設計されている場合、点Yの負荷は、点Y’に動いてしまうため、その反射係数が却って増大してしまうことがある。
負荷インピーダンスの周波数依存性が比較的小さい場合には、図6(a)のL型整合回路を多段に従続接続することで、より広帯域な整合が取れることが定性的には知られているが、図7に示したような周波数依存性の大きな負荷に対しては殆ど効果を呈さない。
そこで、リアクティブな整合回路に対して可変リアクタンス素子を導入することで、動作の対象となる周波数帯域の全域に亘る広帯域整合を断念する代わりに、実際の動作における占有帯域幅のインピーダンス整合を確保することが考えられてきている。
図8は特許文献1に開示されている反射形可変整合回路を示す等価回路である。
図8において、110は結合度3dBの方向性結合器、111a,111bは可変反射回路である。
図8の反射形可変整合回路において、方向性結合器110から可変反射回路111a,111bを見た反射係数をΓ,Γとすると、反射形可変整合回路全体のS行列は、以下の式(1),(2)で与えられる。
11=S22=(Γ−Γ)/2 (1)
21=S12=−j(Γ+Γ)/2 (2)
したがって、バラクタダイオードなどの可変リアクタンス素子を用いて可変反射回路111a,111bを構成し、整合対象となる負荷のインピーダンスに応じて反射係数Γ,Γを変化させて、整合回路のSパラメータを適切に設定すれば、負荷インピーダンスに対して完全整合を取ることが可能となる。
しかし、この方法では、広帯域に亘って整合を取ることは極めて困難であり、可変リアクタンス素子を用いることで、回路の複雑化や大型化を招く原因となる。
なお、図6(b)のπ型減衰器を用いることで、インピーダンス不整合に起因する不要反射を吸収させる場合、一般的に、π型減衰器は十分な広帯域性を有しているため、広帯域に亘ってインピーダンス不整合を軽減することが可能になるが、同時に通過損失が生じてしまう問題がある。
例えば、反射係数Γ=−10dBの負荷に対して、A=−3dB(=0.7)のπ型減衰器を適用する場合、信号源から負荷を見込んだ反射係数をΓA=−16dBにまで低減することができるが、同時に3dBの通過損失が生じる。
特開2005−311711号公報(図2)
従来のインピーダンス整合回路は以上のように構成されているので、分布定数線路と先端開放スタブからなるリアクティブなL型整合回路を用いる場合、広帯域に亘って整合を取ることが困難であり、また、可変リアクタンス素子を用いることで、回路の複雑化や大型化を招く課題があった。
π型減衰器を用いる場合、広帯域に亘ってインピーダンス不整合を軽減することが可能になるが、同時に通過損失が生じてしまう課題があった。
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、低損失かつ広帯域なインピーダンス整合を実現することができるインピーダンス整合回路を得ることを目的とする。
この発明に係るインピーダンス整合回路は、信号源が入力端子に接続されて、インピーダンス整合の対象である負荷が通過端子に接続されており、その負荷が有する反射係数に応じて結合度が決定されている方向性結合器と、方向性結合器のアイソレーション端子に接続されている無反射終端とを備え、その負荷が有する反射係数に応じて反射振幅及び反射位相特性が決定された反射回路が方向性結合器の結合端子に接続されているようにしたものである。
この発明によれば、信号源が入力端子に接続されて、インピーダンス整合の対象である負荷が通過端子に接続されており、その負荷が有する反射係数に応じて結合度が決定されている方向性結合器と、方向性結合器のアイソレーション端子に接続されている無反射終端とを備え、その負荷が有する反射係数に応じて反射振幅及び反射位相特性が決定された反射回路が方向性結合器の結合端子に接続されているように構成したので、低損失かつ広帯域なインピーダンス整合を実現することができる効果がある。
この発明の実施の形態1によるインピーダンス整合回路を示す構成図である。 この発明の実施の形態2によるインピーダンス整合回路を示す構成図である。 この発明の実施の形態2によるインピーダンス整合回路を示す構成図である。 この発明の実施の形態3によるインピーダンス整合回路を示す構成図である。 この発明の実施の形態4によるインピーダンス整合回路を示す構成図である。 一般的なインピーダンス整合回路を示す構成図である。 整合対象となる負荷のインピーダンスが周波数依存性を有する場合、反射位相が動作周波数範囲内で大きく回転する旨を示す説明図である。 特許文献1に開示されている反射形可変整合回路を示す等価回路である。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるインピーダンス整合回路を示す構成図である。
図1において、方向性結合器1は周波数依存性を有する負荷2の反射係数に応じて結合度が決定されている。
方向性結合器1の入力端子1aには信号源が接続され、方向性結合器1の通過端子1bにはインピーダンス整合の対象である負荷2が接続される。
方向性結合器1のアイソレーション端子には無反射終端3が接続される。
方向性結合器1の結合端子には負荷2が有する反射係数に応じて反射振幅及び反射位相特性が決定されている反射回路が接続されており、その反射回路は、負荷2が有する反射係数に応じて電気長θが決定されている先端開放スタブ4を用いて構成されている。
次に動作について説明する。
信号源と接続されている入力端子1aから入力された入射波は、方向性結合器1を通過するが、通過端子1bに接続されている負荷2に反射される。
その反射波は、再び、方向性結合器1を通過して、信号源側の入力端子1aに至る成分Vaと、方向性結合器1の結合端子に至り、その結合端子に接続されている先端開放スタブ4に全反射されて、再び方向性結合器1を通過して、信号源側の入力端子1aに至る成分Vbとからなる。
ここで、信号源側の入力端子1aにおける入射波の振幅をVo、方向性結合器1の結合度をCとする。
また、負荷2が有する反射係数は振幅特性|Γ|と位相特性φで表され、その振幅特性|Γ|と位相特性φは既知であるとする。
この場合、方向性結合器1の結合端子から先端開放スタブ4を見た反射振幅が1、反射位相が−2θになることを考えると、上記反射波の成分Vaは、下記の式(3)のように表される。
Va
=−jVo(1−C0.5×|Γ|exp[−jφ]×[−j(1−C0.5
=−Vo|Γ|(1−C)exp[−jφ]
(3)
また、上記反射波の成分Vbは、下記の式(4)のように表される。
Vb
=CVo×exp[−j2θ]×C
=CVoexp[−j2θ]
(4)
したがって、信号源と接続されている入力端子1aで反射波が0となる完全整合を取るためには、Va+Vb=0とする必要がある。
式(3),(4)より、Va+Vb=0となる条件は、下記の式(5),(6)のように導出される。
C=[|Γ|/(1+|Γ|)]0.5 (5)
θ=φ/2 (6)
よって、方向性結合器1の通過端子1bに接続される負荷2の反射係数|Γ|exp[−jφ]が与えられると、式(5),(6)に基づいて、方向性結合器1の結合度Cと、先端開放スタブ4の電気長θを設計することで、周波数依存性が大きな負荷2に対して、広帯域に整合を取ることが可能になる。
ただし、この実施の形態1では、信号源から与えられる入射波の一部が方向性結合器1の結合端子に分波されるため、負荷2に到達する通過波は、その分だけ失われることになる。
その損失量は、(1−C0.5により与えられ、例えば、振幅特性が|Γ|=−10dBであるとすると、上記の式(5)より、結合度はC=0.49(−6.2dB)となり、損失量は(1−C0.5=0.87(−1.2dB)となる。
上述したように、図6(b)のπ型減衰器を用いている場合、同一の通過損失を許容して得られる反射係数は、−10−2×1.2=−12.4dBにしかならず、残留反射が比較的大きくなるが、この実施の形態1のインピーダンス整合回路では、残留反射を0(−∞dB)とすることが可能になる。
この実施の形態1のインピーダンス整合回路の動作帯域幅を広帯域化するには、如何にして、広帯域に亘って式(5)を満たす方向性結合器1を実現し、式(6)を満たす先端開放スタブ4を実現するかに依存している。
負荷2の反射振幅|Γ|の周波数依存性が大きい場合には、式(5)を広帯域に亘って満たすような方向性結合器1を実現することは極めて困難であるが、反射振幅|Γ|が整合帯域幅に亘ってほぼ一定となる場合には、例えば、結合線路形のカプラを方向性結合器1として用いることで、数オクターブに亘る広帯域な特性を得ることができる。
なお、式(5)が厳密には満たされないとしても、式(6)の位相条件を極力満たすようにすることで、上述した2つの反射波成分Va,Vbが互いに相当量相殺されることになるため、実用上十分なインピーダンス整合効果を得ることができる。
一方、式(6)を満たす先端開放スタブ4の設計については、仮に、負荷2の位相特性φが周波数に対する一次関数の関係とみなせるような周波数分散性の小さな特性であれば、この実施の形態1により十分なインピーダンス整合効果が得られる。
逆に負荷2の位相特性φが周波数に対して、一次関数であるとはみなせないような周波数分散性の大きな特性である場合には、この実施の形態1による広帯域なインピーダンス整合は難しくなり、後述する別の実施の形態に依ることになる。
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、信号源が入力端子1aに接続されて、インピーダンス整合の対象である負荷2が通過端子1bに接続されており、その負荷2が有する反射係数に応じて結合度Cが決定されている方向性結合器1と、方向性結合器1のアイソレーション端子に接続されている無反射終端3とを備え、その負荷2が有する反射係数に応じて電気長θが決定された先端開放スタブ4が方向性結合器1の結合端子に接続されているように構成したので、反射係数の周波数依存性が比較的大きな負荷2に対して、低損失かつ広帯域なインピーダンス整合を実現することができる効果を奏する。
実施の形態2.
図2はこの発明の実施の形態2によるインピーダンス整合回路を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
方向性結合器1の結合端子には負荷2が有する反射係数に応じて反射振幅及び反射位相特性が決定されている反射回路が接続されており、その反射回路は、負荷2が有する反射係数に応じて電気長θが決定されている分布定数線路11と、分布定数線路11に対して周期的(あるいは、準周期的)にシャントに装荷されている複数の先端開放スタブ12(容量性素子)とを用いて構成されている。
次に動作について説明する。
上記実施の形態1では、先端開放スタブ4を方向性結合器1の結合端子に接続しているものを示したが、この実施の形態2では、その先端開放スタブ4に代えて、分布定数線路11を方向性結合器1の結合端子に接続し、その分布定数線路11に対して、周期的に複数の先端開放スタブ12をシャントに装荷している点で、上記実施の形態1と相違している。
上記相違点以外は、上記実施の形態1と同一であるため、動作原理は、ほぼ実施の形態1と同じであるが、この実施の形態2では、分布定数線路11に対して、先端開放スタブ12を装荷することで、反射回路の反射位相特性の周波数分散性を意図的に付加している点で、上記実施の形態1と異なっている。
式(6)の整合条件を満たすために、負荷2の位相特性φに追随して、反射回路の反射位相特性を決定するに際し、負荷2の位相特性φが周波数分散性の大きな特性である場合、その位相特性φに合わせて、インピーダンス整合回路の反射回路の反射位相特性についても、周波数分散性を大きくする必要がある。
この実施の形態2は、負荷2の位相特性φが周波数分散性の大きな特性である場合、反射回路の反射位相特性も、周波数分散性を大きくすることができるようにしているものである。
即ち、この実施の形態2では、分布定数線路11に対して、周期的に複数の先端開放スタブ12を装荷することで、低域周波数帯では、単なる伝送線路とほぼ同一の低分散性の線路となるが、高域周波数帯では、先端開放スタブ12の容量成分に起因する遅波効果(周波数が単なる伝送線路と比べて大きくなる効果)が生じ、反射位相特性の位相遅れが周波数の増加と共により大きくなってくる。
したがって、負荷2の位相特性φが高域周波数帯で、より多くの位相遅れを有するような特性の場合には、上記実施の形態1よりも、この実施の形態2の方が、より完全整合に近いインピーダンス整合を取ることが可能となる。
以上で明らかなように、この実施の形態2によれば、反射回路が、負荷2が有する反射係数に応じて電気長θが決定されている分布定数線路11と、分布定数線路11に対して、シャントに接続されている複数の先端開放スタブ12とを用いて構成されているので、反射位相の周波数依存性が比較的大きな周波数分散性の高い負荷2に対して、低損失かつ広帯域なインピーダンス整合を実現することができる効果を奏する。
なお、この実施の形態2では、分布定数線路11に対して、複数の先端開放スタブ12がシャントに装荷されているものを示したが、分布定数線路11に対して、複数の先端短絡スタブ(誘導性素子)がシャントに装荷されていてもよい。
また、図3に示すように、分布定数線路11と直列に容量性素子13(あるいは誘導性素子)が周期的(あるいは準周期的)に装荷されていてもよい。
また、分布定数線路11に対して、シャントに装荷されている先端開放スタブ12(あるいは先端短絡スタブ)と、分布定数線路11に対して、直列に装荷されている容量性素子13(あるいは誘導性素子)とが適宜組み合わされていてもよい。
これらの場合にも、反射回路における反射位相特性の周波数分散性を適宜制御することができる。
実施の形態3.
図4はこの発明の実施の形態3によるインピーダンス整合回路を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
図4のインピーダンス整合回路では、反射回路が、インピーダンス整合周波数帯域の中心周波数が共振周波数である1以上の共振回路を用いて構成されており、先端短絡スタブ21a〜21dのそれぞれが共振回路を構成している。
先端短絡スタブ21a〜21dは分布定数線路からなり、インピーダンス整合回路の動作中心周波数で電気長が約1/4波長である。
なお、先端短絡スタブ21a〜21dでは、隣の先端短絡スタブと電磁結合されてインターデジタル型結合線路が構成されている。
次に動作について説明する。
上記実施の形態1では、先端開放スタブ4を方向性結合器1の結合端子に接続しているものを示したが、この実施の形態3では、その先端開放スタブ4に代えて、隣接の先端短絡スタブ21a〜21dが電磁結合されているインターデジタル型結合線路を方向性結合器1の結合端子に接続している。
インターデジタル型結合線路を構成している先端短絡スタブ21a〜21dは、1/4波長分布定数共振器として機能するため、そのインターデジタル型結合線路は、計4個の結合した共振器群と見なすことができる。
一般に、計N個の結合した共振器群は、その結合度に応じて決まる下限周波数fLから上限周波数fHの間において、通過位相が約180°遷移することが知られている。
したがって、計N個の結合した共振器群は、通過位相の周波数に対する微係数が下記の式(7)で表される。
180N/(fH−fL) (7)
一方、インターデジタル型結合線路と線路長の合計が同じになる線路(下限周波数fLと上限周波数fHの中間周波数で電気長が1/4波長になる線路)を単に計N個従続接続した線路を考えると、その通過位相の周波数に対する微係数は下記の式(8)で表され、式(7)のインターデジタル型結合線路の場合の微係数より小さくなる。
180N/(fH+fL) (8)
このことは、本発明によるインピーダンス整合回路の反射回路としてインターデジタル型結合線路を用いることで、上述した先端開放スタブ4や先端短絡スタブと比べて、ほぼ同一の寸法ながら、より多くの位相変化量が得られることを意味する。
したがって、負荷2の反射位相φが整合帯域内で大きく変化する場合には、この実施の形態3のインピーダンス整合回路を用いることで、回路の小型化を図ることが可能になる。
以上で明らかなように、この実施の形態3によれば、反射回路が、インピーダンス整合周波数帯域の中心周波数が共振周波数である先端短絡スタブ21a〜21dを用いて構成されているので、反射位相が整合周波数帯域内で大きく変化するような負荷2に対して、低損失かつ広帯域なインピーダンス整合を実現することができる効果を奏する。
実施の形態4.
図5はこの発明の実施の形態4によるインピーダンス整合回路を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
先端開放スタブ31は分布定数線路から構成されており、先端開放スタブ31は方向性結合器1の結合端子に接続され、インピーダンス整合回路の動作中心周波数で電気長が約N/2波長(Nは自然数)となる。
抵抗素子32は先端開放スタブ31と並列に接続されている。
次に動作について説明する。
上記実施の形態1では、先端開放スタブ4を方向性結合器1の結合端子に接続しているものを示したが、この実施の形態4では、先端開放スタブ31を方向性結合器1の結合端子に接続し、更に、抵抗素子32を先端開放スタブ31と並列に接続している点で相違している。
上記実施の形態1では、負荷2の反射振幅|Γ|が整合帯域内でほぼ一定になる場合には、完全整合に近いインピーダンス整合が取れるが、時として、負荷2の反射振幅|Γ|は整合帯域の中心周波数で小さく、その帯域端で大きくなる場合がある。
その場合、負荷2の反射振幅|Γ|が小さく、ほぼ0となるような周波数においては、反射回路から信号源側に対して信号を反射させる必要はなく、逆に反射回路への入射波を吸収させる方がインピーダンス整合上好ましい。
この実施の形態4は、そのような状況に対応するためのものであり、反射回路を構成する先端開放スタブ31が、中心周波数では並列共振状態となるため、その先端開放スタブ31と並列に接続されている抵抗素子32に入射波が吸収される。
一方、中心周波数からの周波数偏移が大きくなる場合には、先端開放スタブ31によって反射回路の反射振幅が増加して1に近くなる。
抵抗素子32の抵抗値Rを負荷2の反射振幅|Γ|の中心周波数近傍での値に合わせて適切に設定することにより、反射振幅|Γ|が整合帯域端で大きく、かつ、帯域中心で小さくなるような負荷2に対しても、広帯域に亘ってインピーダンス整合を取ることが可能となる。
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
1 方向性結合器、1a 入力端子、1b 通過端子、2 負荷、3 無反射終端、4 先端開放スタブ、11 分布定数線路、12 先端開放スタブ(容量性素子)、13 容量性素子、21a〜21d 先端短絡スタブ(共振回路)、31 先端開放スタブ、32 抵抗素子。

Claims (5)

  1. 信号源が入力端子に接続されて、インピーダンス整合の対象である負荷が通過端子に接続されており、上記負荷が有する反射係数に応じて結合度が決定されている方向性結合器と、上記方向性結合器のアイソレーション端子に接続されている無反射終端と、上記方向性結合器の結合端子に接続され、上記負荷が有する反射係数に応じて反射振幅及び反射位相特性が決定された反射回路とを備えたインピーダンス整合回路。
  2. 反射回路は、負荷が有する反射係数に応じて電気長が決定されている分布定数線路を用いて構成されていることを特徴とする請求項1記載のインピーダンス整合回路。
  3. 反射回路は、負荷が有する反射係数に応じて電気長が決定されている分布定数線路と、上記分布定数線路に対して直列又はシャントに接続されている複数の容量性素子あるいは誘導性素子とを用いて構成されていることを特徴とする請求項1記載のインピーダンス整合回路。
  4. 反射回路は、インピーダンス整合周波数帯域の中心周波数が共振周波数である1以上の共振回路を用いて構成されていることを特徴とする請求項1記載のインピーダンス整合回路。
  5. 反射回路と並列に抵抗素子が接続されていることを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載のインピーダンス整合回路。
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