JP2012246346A - 油脂のエステル交換反応促進用組成物 - Google Patents

油脂のエステル交換反応促進用組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】 水洗処理などの脂肪酸金属塩を除去する処理を施さずとも、脂肪酸金属塩含有量の少ないエステル交換油脂を、短時間で工業的に製造することである。しかも、エステル交換反応速度を落とすことのないエステル交換反応促進用組成物、並びに該反応促進用組成物を製造する方法を提供すること。
【解決手段】 トリアシルグリセライドとアルカリ触媒を反応させた後、反応物中から脂肪酸金属塩を除去することによって得られるエステル交換反応促進用組成物を用いて、エステル交換したい原料となるトリアシルグリセライドをエステル交換すること。
【選択図】なし

Description

本発明は、油脂のエステル交換反応を促進するために添加する、反応促進用組成物に関する。
油脂の改質技術の1つである、エステル交換反応は、ワックスエステル、各種脂肪酸エステル、糖エステルやステロイド等の製造法、あるいは植物油、動物油の改質法として重要な技術であり、水素添加や晶析・分別の技術と並んで広く利用されている。また、油脂のエステル交換反応は2つの種類に分類され、油脂を融解させた状態で行うランダムエステル交換反応や、反応油脂中に含まれるトリ飽和酸グリセライドなどの高融点油脂成分を結晶化させながら行うダイレクトエステル交換反応があり、目的の油脂組成によって反応方法が選択されている。
上記2種類のエステル交換反応の触媒としては、低価格であること、反応性が高いことなどからナトリウムメチラートなどのアルカリ触媒が広く用いられている。しかし、アルカリ触媒を用いたエステル交換反応によって生成する油脂は、一般に着色しているだけでなく、触媒残渣や副生成される脂肪酸金属塩類を含むため、油脂精製の際にそれらをエステル交換反応油脂中から除去しなければならない。そのために、エステル交換反応終了後には、各種の吸着剤を用いた脱色処理や、水洗処理による脂肪酸金属塩の除去などが行われている。しかし、水洗処理を行う場合、エステル交換反応油脂と水との接触回数を増加させるために、エステル交換反応油脂と水を激しく混合すると乳化してしまい、その後の水の分離が困難となり、反応油脂の歩留まりも低下してしまう。一方、乳化を引き起こさないように、反応油脂と水を穏やかに接触させると、反応油脂中からの脂肪酸金属塩除去効率が悪くなるという問題がある。そこで、脂肪酸金属塩を除去する処理に関する多くの試みが行われている。
例えば、特許文献1には動植物油脂をランダムエステル交換反応させた後、直ちに水を添加し、触媒を不活性化し、同時に、副生した脂肪酸金属塩類を水和物として遊離をはかり、遠心分離ないしは濾過により脂肪酸金属塩類を除去し、ついで水洗によってエステル交換反応油脂中の残存脂肪酸金属塩を除去する方法が開示されている。
また、特許文献2には、エステル交換反応油脂に対して、水を3%添加して脂肪酸金属塩類を水和物として遊離させた後、遠心分離によって脂肪酸金属塩類を除去し、次いで水洗を行った後に、吸着剤を用いての脱色処理を行う方法が開示されている。
特許文献1や2に記載されている脂肪酸金属塩を除去する処理は、脂肪酸金属塩類による吸着剤の吸着性低下を有効に防止できるが、脂肪酸金属塩類を除去するために処理液を遠心分離機に導入しなければならないため、処理を一連の工程で行うことができず、処理効率が著しく低いという欠点がある。更に、エステル交換反応油脂中の脂肪酸金属塩類は遠心分離だけでは完全除去できず、遠心分離後の処理液は水洗を行うことが必要であるという欠点もある。また、遠心分離を行わずに水洗だけで遊離した脂肪酸金属塩類を除去するときには、大量の水が必要となり、やはり生産効率が低い。
また、特許文献3にはエステル交換油100重量部あたり0.3ないし5.0重量部の水を添加し、次いで脱水、および吸着剤を添加しての脱色処理を行った後、濾過を行い、エステル交換油中に含まれる脂肪酸金属塩類、アルカリ触媒および脱色処理後の吸着剤を除去する方法も開示されている。この方法によれば、水を添加した後、この水を脱水して除去することにより、エステル交換油中に副生物として含まれる脂肪酸金属塩類が凝集して大きな粒子に成長する。すると、吸着剤の吸着性能の低下が有効に防止され、吸着剤による脱色を効果的に行うことが可能となる。しかし、この方法でも脂肪酸金属塩類を除去するために水の添加と脱水を行うため、やはり生産効率が低い。
更に、非特許文献1においては、エステル交換反応させる油脂とアルカリ触媒の混合反応液を、エステル交換反応を促進させるための反応促進用組成物として用いる方法も開示されている。この方法によれば、前記反応促進用組成物を脱水された未反応原料油脂の中に加えることで、効率よく連続的にエステル交換反応を進めることができる。アルカリ触媒は、トリアシルグリセライドとの複合物が発生することでエステル交換反応が始まるため、前記エステル交換反応促進用組成物をあらかじめ作製しておくことにより、反応時間の短縮が可能となる。しかし、この方法では反応時間を短縮することはできても、水洗工程、脱色工程のような精製工程が必要であり、アルカリ触媒を用いた際のエステル交換反応後の精製工程に時間を要している。
また、ダイレクトエステル交換反応は、トリ飽和酸トリアシルグリセライドなどの高融点成分を結晶化させるために、通常のエステル交換反応よりも低温で行うため、反応速度を向上させるためにはアルカリ触媒を多く用いる必要があるが、副産物として生成される脂肪酸金属塩によって、以下の悪影響が出ることが知られている。一つは、生成された脂肪酸金属塩が結晶化し、ダイレクトエステル交換反応品の粘度を上昇させてしまうという問題があった。また、一方ではダイレクトエステル交換反応終了時点で、液体トリアシルグリセライド成分のみを回収するために濾過を行う場合、脂肪酸金属塩結晶がトリアシルグリセライド結晶のネットワークに影響を及ぼすために、濾過速度や液体トリアシルグリセライドの回収率を著しく低下させてしまう問題もあった。
特開昭56−10598号公報 特開昭51−61510号公報 特開2010−31190号公報
油化学、第28巻、第10号、26−34頁参照
上記のような問題に鑑み、特にダイレクトエステル交換反応中の脂肪酸金属塩の悪影響に関して、工業的に有効な手立てがなく、解決策が待ち望まれていた。
そこで本発明の目的は、水洗処理などの脂肪酸金属塩を除去する処理を施さずとも、脂肪酸金属塩含有量の少ないエステル交換油脂を、短時間で工業的に製造することである。しかも、エステル交換反応速度を落とすことのないエステル交換反応促進用組成物、並びに該反応促進用組成物を製造する方法を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、アルカリ触媒とトリアシルグリセライドの混合物がエステル交換反応を持続した状態にあるところへ、脱水した濾過助剤を混合して攪拌し、濾過して得た組成物は、脂肪酸金属塩が除去されており、該組成物をエステル交換反応させたい原料混合物に添加すると、新たに脂肪酸金属塩を生成することなくエステル交換反応できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の第一は、トリアシルグリセライドとアルカリ触媒を反応させた後、反応物中から脂肪酸金属塩を除去することによって得られるエステル交換反応促進用組成物に関する。好ましい実施態様は、エステル交換反応促進用組成物全体中、脂肪酸金属塩の含有量が0.9重量%以下である上記記載のエステル交換反応促進用組成物に関する。本発明の第二は、エステル交換反応促進用組成物を作製するためのエステル交換反応時間が30分以内で、トリアシルグリセライドとアルカリ触媒を反応させた後、水分含有量を0.3重量%以下に調整した濾過助剤を撹拌混合しながらフィルターを通過させ、濾液を回収することを特徴とするエステル交換反応促進用組成物の製造方法に関する。好ましい実施態様は、濾過助剤が、活性白土、パーライト、二酸化珪素、珪藻土から選ばれる少なくとも1種である上記記載のエステル交換反応促進用組成物の製造方法に関する。本発明の第三は、請求項1又は2に記載のエステル交換反応促進用組成物を、エステル交換したい原料となるトリアシルグリセライド100重量部に対して5〜35重量部添加してエステル交換反応を行うことを特徴とする油脂組成物の製造方法に関する。好ましい実施態様は、エステル交換反応がダイレクトエステル交換反応であり、反応温度が20〜70℃である上記記載の油脂組成物の製造方法に関する。
本発明に従えば、水洗処理などの脂肪酸金属塩を除去する処理を施さずとも、脂肪酸金属塩含有量の少ないエステル交換油脂を、短時間で工業的に製造することである。しかも、エステル交換反応速度を落とすことのないエステル交換反応促進用組成物、並びに該反応促進用組成物を製造する方法を提供することが提供することができる
以下、本発明につき、更に詳細に説明する。本発明のエステル交換反応促進用組成物は、トリアシルグリセライドとアルカリ触媒とのエステル交換反応を開始後、一定の時間反応したら、反応物中から脂肪酸金属塩を除去処理することによって、脂肪酸金属塩の含有量が特定量以下のエステル交換反応促進用組成物が得られる。エステル交換反応油脂全体中の脂肪酸金属塩の含有量は、少なければ少ない程良いが、0.9重量%以下が好ましく、0.6重量%以下がより好ましく、0.3重量%以下が更に好ましい。
本発明のエステル交換反応促進用組成物の原料となるトリアシルグリセライドは、動物油、植物油の何れを使用しても構わない。ただし、トリアシルグリセライドとアルカリ触媒を反応させる際に、トリアシルグリセライド中の水分がエステル交換反応を阻害するため、原料油脂中の水分含有量は0.1重量%以下まで減少させておくことが好ましく、より好ましくは0.05重量%以下、さらに好ましくは0.03重量%以下、特に好ましくは0.01重量%以下である。ここで、原料油脂を脱水するには、加熱真空脱水や窒素バブリングなどを行えばよい。
本発明のエステル交換反応促進用組成物の作製に用いるアルカリ触媒としては、エステル交換能を有している物質であれば何を使用しても良いが、低温での活性が高いことからはカリウムナトリウム合金が好ましく、経済性や扱い易さからはナトリウムメチラートが好ましい。
本発明のエステル交換反応促進用組成物の作製に用いる濾過助剤としては、トリアシルグリセライドとアルカリ触媒の反応によって生成する脂肪酸金属塩を除去させる効果が得られること、エステル交換反応促進能を失活させないこと、さらに、脂肪酸金属塩は濾過中に凝集して濾過速度が低下しやすいため、濾過速度を上昇させる効果を有していれば、何を使用してもかまわない。具体的には、活性白土、パーライト、二酸化珪素、珪藻土、活性炭などが挙げられる。また、濾過助剤は2種類以上を使用して用いても構わないが、経済性や作業の簡便さなどを考え、1種類のみを使用することが好ましい。
前記濾過助剤は、トリアシルグリセライドと脂肪酸金属塩の反応物中から、脂肪酸金属塩を除去するために用いられる。しかし、通常の濾過助剤をそのまま用いる場合、濾過助剤に含まれる水分によって、反応促進用組成物が有するエステル交換反応促進能を失活させてしまうため、好ましくない。そのため、濾過助剤を脂肪酸金属塩の除去に使用する前に、濾過助剤を脱水しておく必要があるが、その方法に関しては特に限定がなく、例えば120℃以上の乾熱脱水や、真空脱水を用いることによって、濾過助剤から水分を除去することは可能である。
しかし、乾熱脱水の場合には、濾過助剤を室温に戻すと、すぐに吸湿してしまう場合がある。また、真空脱水の場合には、濾過助剤を大気下に戻すと、すぐに吸湿してしまう場合がある。そのため、反応系全体を窒素雰囲気下などの、水分の存在しない状況にすることで、再度吸湿を避けることは可能となるが、製造コストが上がり、本発明の効果を享受しにくい場合がある。そこで、脱水後に起こる濾過助剤の吸湿をできるだけ抑えるには、以下のようにして濾過助剤を脱水することが好ましい。
<濾過助剤の脱水方法>
まず、濾過助剤をトリアシルグリセライドと十分に攪拌・混合させる。このとき用いるトリアシルグリセライドとしては特に限定はないが、脱水された濾過助剤を、その後アルカリ触媒と混合したトリアシルグリセライドと接触させることを考慮し、エステル交換反応促進用組成物の原料としてアルカリ触媒との混合に供される前記トリアシルグリセライドと同じものを使用することが好ましい。
トリアシルグリセライドと混合された濾過助剤は、そのまま真空下で脱水を行う。トリアシルグリセライドは通常水分を吸湿しづらいため、トリアシルグリセライド中に分散すれば濾過助剤も吸湿しづらい。さらに、十分に脱水された濾過助剤は、トリアシルグリセライド中から分離しても、表面がトリアシルグリセライドの膜で覆われているため、トリアシルグリセライドの吸湿分以上は吸湿することはない。このため、濾過助剤中の水分を低下させた後も、濾過助剤の低水分状態を容易に維持することが可能となる。脱水後の濾過助剤中の水分含有量は少なければ少ない程良く、0.3重量%以下が好ましく、より好ましくは0.1重量%以下、さらに好ましくは0.05重量%以下、特に好ましくは0.03重量%以下である。
なお、濾過助剤の脱水は、そのまま乾熱脱水や真空脱水を行った直後にトリアシルグリセライドと十分に攪拌・混合してもよいが、操作性や攪拌混合前の若干の吸水などを考慮すると、前者のほうが好ましい。
また、トリアシルグリセライド中で脱水された濾過助剤の水分量の測定方法は、以下のようにすれば良い。
<トリアシルグリセライド中の濾過助剤の水分量の測定方法>
トリアシルグリセライド中の濾過助剤の水分量は、カールフィッシャー水分計を用いることで、測定することができる。まず、トリアシルグリセライドと脱水した濾過助剤の混合物中の水分量を、カールフィッシャーを用いて測定する。その後、フィルター濾過などによって濾過助剤を除いたトリアシルグリセライド中の水分量を同様に測定する。これら2つの水分量の差を、濾過助剤の水分量として算出する。
本発明において、エステル交換反応促進用組成物の製造の際に除去される脂肪酸金属塩は、セッケンと一般的に呼ばれている成分であり、油脂中のトリアシルグリセライド中の脂肪酸と、アルカリ触媒が反応することで生成される。具体的にはパルミチン酸ナトリウムやステアリン酸カリウムなどが挙げられる。
本発明である脂肪酸金属塩を除去したエステル交換反応促進用組成物は、エステル交換反応を促進したい原料動植物油と混合することで、脂肪酸金属塩含有量の少ないエステル交換反応生成物を得ることができるため、エステル交換反応促進用組成物中の脂肪酸金属塩は少ないほど好ましい。たとえ、エステル交換反応促進用組成物中の脂肪酸金属塩含有量が多い場合であっても、該組成物をエステル交換したい原料となるトリアシルグリセライドと混合した後のエステル交換反応生成物全体中に含まれている脂肪酸金属塩含有量が少なければ構わない。但し、エステル交換反応促進用組成物中の脂肪酸金属塩含量が多い場合は、原料動植物油と混合量が減るため、エステル交換反応促進能は低減する場合がある。
そのため、エステル交換反応促進用組成物の混合量は、該組成物添加後のエステル交換反応停止時のエステル交換反応生成物全体中の脂肪酸金属塩含有量が0.9重量%以下になるように混合することが好ましく、0.6重量%以下になるように混合することがより好ましく、0.3重量%以下になるように混合することが更に好ましい。上記脂肪酸金属塩含有量を満たせば、エステル交換反応促進用組成物中の脂肪酸金属塩量は問わない。但し、通常、エステル交換反応促進用組成物全体中の脂肪酸金属塩量は、12重量%が好ましく、6重量%以下がより好ましく、3重量%以下がさらに好ましい。
なお、本発明のエステル交換反応促進用組成物中の脂肪酸金属塩の測定は、社団法人日本油化学協会編「基準油脂分析法」(発行年:1996年)の2.6.2−1996セッケンに記載された方法に従えばよい。
本発明のエステル交換反応促進用組成物は、特に限定はないが、以下のようにすれば、好適に製造することができる。
<エステル交換反応促進用組成物の製造方法1(濾過助剤不混合)>
前記のように水分含量を減らしたトリアシルグリセライド100重量部に対して、アルカリ触媒を好ましくは0.04〜4重量部、より好ましくは0.2重量部〜2重量部、さらに好ましくは0.4重量部〜1.6重量部を添加し、十分に攪拌・混合して反応させる。アルカリ触媒の使用量が0.04重量部より少ないと、本発明のエステル交換反応促進用組成物のエステル交換反応促進能が低くなる場合がある。また、4重量部より多いと、トリアシルグリセライドとの反応後に生成される脂肪酸金属塩量が多くなる場合がある。
前記トリアシルグリセライドとアルカリ触媒との反応温度は、反応が進む温度であれば特に問題はないが、反応が早く進むという点では高温下がよいが、温度が高すぎると油脂の劣化につながる。そのため、反応温度は50〜90℃が好ましく、70〜90℃がより好ましく、80〜90℃がさらに好ましい。
前記トリアシルグリセライドとアルカリ触媒との反応時間に関しては、エステル交換反応を開始してから、濾過によって脂肪酸金属塩を除去するまでの時間が重要である。即ち、エステル交換反応油脂から脂肪酸金属塩を除去する際には、生成された脂肪酸金属塩がエステル交換反応油脂中でネットワークを形成することで凝固することを利用する。油脂中での脂肪酸金属塩のネットワークは、時間と共に増加するため、エステル交換反応時間が長い方が、多くの脂肪酸金属塩を除去できるので好ましい。なお、反応系中から脂肪酸金属塩を除去した後もエステル交換反応状態は続く。
なおここで、本発明においては、エステル交換反応開始から脂肪酸金属塩分の濾過による除去を開始するまでの時間を、エステル交換反応促進用組成物を作製するためのエステル交換反応時間と呼ぶことにする。前記において、エステル交換反応促進用組成物を作製するためのエステル交換反応時間が長すぎると、脂肪酸金属塩のネットワークが成長しすぎて、濾過が困難となるため、エステル交換反応促進用組成物を作製するためのエステル交換反応時間が短い場合、濾過時間が早くなる点では好ましい。そのため、エステル交換反応促進用組成物を作製するためのエステル交換反応時間は、3分間〜1時間が好ましく、より好ましくは5分間〜40分間、さらに好ましくは10分間〜30分間である。
前記において、脂肪酸金属塩を除去する際には、トリアシルグリセライドとアルカリ触媒のエステル交換反応混合物を、脱水した濾過助剤を敷き詰めたフィルターを通過させることで、該反応混合物から脂肪酸金属塩を除去することができ、得られる濾液がエステル交換反応促進用組成物である。なお、フィルターを通過させるタイミングは、前記エステル交換反応促進用組成物を作製するためのエステル交換反応時間を満たすように調整すればよい。
前記における濾過助剤の使用量は、少な過ぎると脂肪酸金属塩除去効果が少ない場合があり、多すぎると脂肪酸金属塩除去効果は大きいものの加工コストが高くなる場合がある。そのため、濾過助剤の使用量は、原料として用いるトリアシルグリセライドとアルカリ触媒の合計量100重量部に対して、0.5〜10重量部が好ましく、より好ましくは1〜7重量部、さらに好ましくは2〜5重量部である。
なお、本発明のエステル交換反応促進用組成物は、空気中の水分と接触することで、反応促進能が失活してしまう恐れがあるため、製造方法1は無水系、即ち窒素雰囲気下や真空下などで行うことが好ましい。
<エステル交換反応促進用組成物の製造方法2(濾過前濾過助剤混合)>
エステル交換反応促進用組成物の製造方法1において、エステル交換反応混合物から脂肪酸金属塩を除去する際、前記濾過助剤の脱水方法に従って得られる、脱水後の濾過助剤をトリアシルグリセライドと分離しないままの混合物に、アルカリ触媒とトリアシルグリセライドとの反応混合物を添加し、そしてこのトリアシルグリセライド、濾過助剤、アルカリ触媒の混合物をフィルター濾過すること以外は、同様にして、エステル交換反応促進用組成物である濾液を得る。
なお、本発明のエステル交換反応促進用組成物は、空気中の水分と接触することで、反応促進能が失活してしまう恐れがあるため、製造方法2は無水系、即ち窒素雰囲気下や真空下などで行うことが好ましい。
<エステル交換反応促進用組成物の製造方法3(一括混合))>
前記濾過助剤の脱水方法に従って得られる、脱水後の濾過助剤をトリアシルグリセライドと分離しないままの混合物に、アルカリ触媒を添加して攪拌・混合し、このトリアシルグリセライド、濾過助剤、アルカリ触媒の混合物をフィルター濾過することで、エステル交換反応促進用組成物である濾液を得る。この製造方法におけるエステル交換反応促進用組成物を作製するためのエステル交換反応時間は、アルカリ触媒を添加して攪拌・混合した時点から、トリアシルグリセライド、濾過助剤、アルカリ触媒の混合物をフィルター濾過するまでの時間になり、該エステル交換反応時間は同様に、3分間〜1時間が好ましく、より好ましくは5分間〜40分間、さらに好ましくは10分間〜30分間である。
なお、本発明のエステル交換反応促進用組成物は、空気中の水分と接触することで、反応促進能が失活してしまう恐れがあるため、製造方法3は無水系、即ち窒素雰囲気下や真空下などで行うことが好ましい。
<エステル交換反応油脂組成物の製造方法>
エステル交換反応促進用組成物を用いて、所望のトリアシルグリセライドのエステル交換反応を行う。その際の、エステル交換反応条件は特に限定がなく、通常の条件で構わないが、エステル交換反応温度は、20〜90℃が好ましく、より好ましくは30〜90℃、さらに好ましくは40〜80℃、特に好ましくは50〜70℃である。
さらに、エステル交換反応促進用組成物を用いた動植物油などのトリアシルグリセライドのエステル交換がダイレクトエステル交換反応である場合も、エステル交換反応温度とエステル交換反応促進用組成物中の脂肪酸金属塩含有量以外の条件は、通常のエステル交換と同様の条件で行うことが可能である。
前記ダイレクトエステル交換反応温度に関しては、20〜60℃が好ましく、より好ましくは30〜50℃である。20℃より低いと、例えばジ飽和酸ジ不飽和酸トリアシルグリセライドのようなトリ飽和酸トリアシルグリセライド以外の成分も同時に結晶化してしまうため、トリ飽和酸トリアシルグリセライドとトリ不飽和酸トリアシルグリセライドを増加させる反応であるダイレクトエステル交換反応の目的を満たすことができない場合がある。60℃より高いと、油脂を劣化させる恐れがあると共に、高融点成分であるトリ飽和酸トリグリセライドが結晶化されないため、ランダム化された状態から反応が進まない場合がある。
また、ダイレクトエステル交換反応時における脂肪酸金属塩含有量は少ないほどよいが、ダイレクトエステル反応油脂組成物全体中1重量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.6重量%以下、さらに好ましくは0.3重量%以下、特に好ましくは0.1重量%以下である。1重量%を超えると、反応油脂組成物の粘度が上昇したり、脂肪酸金属塩結晶がトリアシルグリセライド結晶のネットワークに影響を及ぼし、ダイレクトエステル交換反応油脂組成物を溶解することなく液状油脂を分離し難くなる場合がある。
ここで、ダイレクトエステル交換反応油脂組成物中の固体脂含有量が増加すると、粘度も同時に増加する場合があるが、目的とするトリアシルグリセライド組成を得るためには、ダイレクトエステル交換反応の終了時点までに発生する固体脂含有量を変更することはできない。しかし、前述のようにダイレクトエステル交換反応油脂組成物を溶解することなく液状油脂を分離する場合、粘度がより低いほど分離しやすいため、ダイレクトエステル反応油脂組成物の粘度は10000cp以下にコントロールすることが好ましく、7000cp以下にコントロールすることがより好ましく、4000cp以下にコントロールすることがさらに好ましい。
上記において、ダイレクトエステル交換反応油脂組成物の粘度をコントロールするには、以下のようにすればよい。粘度を高くしたい場合は、該反応油脂組成物中の脂肪酸金属塩含有量を多くするか、該反応油脂組成物の冷却速度を速める。粘度を低くしたい場合は、逆のことをすればよい。
エステル交換反応促進用組成物を、エステル交換反応を行う動植物油などのトリアシルグリセライドに添加するタイミングは、脂肪酸金属塩除去処理を行ってから20分以内が好ましく、該処理後3分以内であればより好ましい。脂肪酸金属塩除去処理を行って20分を超えてからエステル交換反応促進用組成物を添加すると、エステル交換反応促進用組成物の有するエステル交換反応促進能が失活する場合がある。
また、エステル交換反応促進用組成物を生成する手間が軽減できるため、タンクなどに貯蔵しておくことも好ましく、貯蔵しておく場合はエステル交換反応促進用組成物中の水分含有量を0.05重量%以下に保つ必要があり、より好ましくは0.03重量%以下、さらに好ましくは0.01重量%以下である。また、長時間貯蔵すると変色する場合があるため、エステル交換反応促進用組成物としての使用は24時間以内が好ましく、12時間以内がより好ましく、6時間以内がさらに好ましく、3時間以内が特に好ましい。
エステル交換反応油脂組成物の製造に用いるエステル交換反応促進用組成物の使用量は、特に限定はなく、そのままエステル交換油として使用することもできるが、エステル交換したい原料となるトリアシルグリセライド100重量部に対して、5〜35重量部添加することが好ましい。エステル交換反応促進用組成物の使用量が5重量部より少ない場合、エステル反応速度が低い場合がある。35重量部を超えて添加しようとすると、用いるエステル交換反応促進用組成物中の脂肪酸金属塩含有量をできるだけ少なくしておく必要があり、また常に大量のエステル交換反応促進用組成物の備蓄が必要となってハンドリングが悪くなる場合がある。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例において「部」や「%」は重量基準である。
<トリアシルグリセライドに結合した脂肪酸の総炭素数の分析>
本発明のトリアシルグリセライドに結合した総炭素数含量の測定は、ガスクロマトグラフィーを用いて行い、得られた各ピークのリテンションタイム及びエリア比から算出した。以下に、分析の条件を記す。
カラム:Agilent社製「DB−1」(約1m×0.25mm×0.25μm)
注入口温度:320℃
FID検出器温度:330℃
オーブン温度:100℃より開始し、10℃/分の速度で320℃まで昇温し、320℃で8分間保持する。
注入口圧力:25kPa
分析試料:約50mgの油脂をイソオクタン4mLに溶解し、溶液1μLをガスクロマトグラフィーで分析した。
<エステル交換反応油脂のエステル交換反応率の測定>
エステル交換の反応率は、エステル交換反応前後のトリアシルグリセライドに結合した脂肪酸の上記総炭素数分析結果において、特定の総炭素数を有するトリアシルグリセライドに着目し、反応前の総炭素数の測定結果を0%、反応後の総炭素数は100%ランダムエステル交換したとする場合の計算値を用い、反応前後での測定結果の差を100分率で表したものを用いた。
<エステル交換反応促進用組成物中の脂肪酸金属塩含有量の測定>
社団法人日本油化学協会編「基準油脂分析法」(発行年:1996年)の2.6.2−1996セッケンに記載された方法に従って測定した。
<エステル交換反応促進能の判定>
実施例・比較例で得られたエステル交換反応促進用組成物100重量部を、エステル交換反応促進用組成物を作製するために用いた原料と同じ油脂100重量部に加え、90℃、真空状態(3torr)で攪拌(300rpm)を行った。攪拌を1時間行った後、エステル交換反応が進行していれば、エステル交換反応促進用組成物のエステル交換反応促進能があると判定し、「〇」と表記した。促進能が無い場合は、「×」と表記した。
(実施例1) エステル交換反応促進用組成物1の作製
表1に従って、パームオレイン(ヨウ素価:60)400重量部と活性白土(水澤化学製「NVZ」)4重量部をナスフラスコに入れ、攪拌(300rpm)しながら、真空状態(3torr)での脱水を90℃で30分間行い、活性白土中の水分含有量を0.08重量%まで低下させた。活性白土の脱水後、パームオレインと活性白土の混合物中に、ナトリウムメチラート1.6重量部を加え、90℃で20分間、真空状態(3torr)で撹拌(300rpm)を行った(脂肪酸金属塩含有量:2.4重量%)。その後、濾紙(アドバンテック社製「No.2」)を敷いたヌッチェを用い、400重量部/分の速度で活性白土をろ過分離し、エステル交換反応促進用組成物1を得た。また、エステル交換反応促進用組成物1中の脂肪酸金属塩含有量は、0.423重量%であった。
Figure 2012246346
(実施例2) エステル交換反応促進用組成物2の作製
パームオレイン(ヨウ素価:60)100重量部と活性白土(水澤化学製「NVZ」)4重量部をナスフラスコに入れ、攪拌(300rpm)しながら、真空状態(3torr)での脱水を90℃で30分間行い、活性白土中の水分含有量を0.075重量%まで低下させた。脱水後の活性白土は、濾過によって分離を行った。また、活性白土の脱水と平行し、パームオレイン(ヨウ素価:60)400重量部をナスフラスコに入れ、攪拌(300rpm)しながら、真空状態(3torr)での脱水を90℃で30分間行い、油脂中の水分量を0.03重量%に調整した。その後、ナトリウムメチラートを1.6重量部加えて20分間保持し、エステル交換反応を行った。このエステル交換反応物100重量部に対して、前記脱水した活性白土を2重量部添加し、90℃で10分間、真空状態(3torr)で攪拌(300rpm)した(脂肪酸金属塩含有量:2.5重量%)。その後、濾紙(アドバンテック社製「No.2」)を敷いたヌッチェを用い、410重量部/分の速度でエステル交換反応物中より活性白土を濾過分離し、エステル交換反応促進用組成物2を得た。また、エステル交換反応促進用組成物2中の脂肪酸金属塩含有量は、0.598重量%であった。
(実施例3) エステル交換反応促進用組成物3の作製
パームオレイン(ヨウ素価:60)400重量部とパーライト(東興パーライト工業製「トプコパーライト」)12重量部をナスフラスコに入れ、攪拌(300rpm)しながら、真空状態(3torr)での脱水を90℃で30分間行い、活性白土中の水分含有量を0.007重量%まで低下させた。活性白土の脱水後、パームオレインと活性白土の混合物中に、ナトリウムメチラートを1.6重量部加え、90℃で20分間、真空状態(3torr)で撹拌(300rpm)を行った(脂肪酸金属塩含有量:2.45重量%)。その後、濾紙(アドバンテック社製「No.2」)を敷いたヌッチェを用い、140重量部/分の速度でパーライトを濾過分離し、エステル交換反応促進用組成物3を得た。また、エステル交換反応促進用組成物3中の脂肪酸金属塩含有量は、0.68重量%であった。
(実施例4) エステル交換反応促進用組成物4の作製
パームオレイン(ヨウ素価:60)400重量部と活性白土(日本活性白土製「SA1」)12重量部をナスフラスコに入れ、攪拌(300rpm)しながら、真空状態(3torr)での脱水を90℃で30分間行い、活性白土中の水分含有量を0.06重量%まで低下させた。活性白土の脱水後、パームオレインと活性白土の混合物中に、ナトリウムメチラートを1.6重量部加え、90℃で20分間、真空状態(3torr)で撹拌(300rpm)を行った(脂肪酸金属塩含有量:2.36重量%)。その後、濾紙(アドバンテック社製「No.2」)を敷いたヌッチェを用い、400重量部/分の速度で活性白土を濾過分離し、エステル交換反応促進用組成物4を得た。また、エステル交換反応促進用組成物4中の脂肪酸金属塩含有量は、0.319重量%であった。
(実施例5) エステル交換反応促進用組成物5の作製
牛脂400重量部と活性白土(水澤化学製「ミズカライフF−2G」)12重量部をナスフラスコに入れ、攪拌(300rpm)しながら、真空状態(3torr)での脱水を90℃で30分間行い、活性白土中の水分含有量を0.06重量%まで低下させた。活性白土の脱水後、パームオレインと活性白土の混合物中に、ナトリウムメチラートを1.6重量部加え、90℃で20分間、真空状態(3torr)で撹拌(300rpm)を行った(脂肪酸金属塩含有量:2.4重量%)。その後、濾紙(アドバンテック社製「No.2」)を敷いたヌッチェを用い、160重量部/分の速度で濾過によって活性白土を分離することで、エステル交換反応促進用組成物5を得た。また、本エステル交換反応促進用組成物5中の脂肪酸金属塩含有量は、0.174重量%であった。
(実施例6) エステル交換反応促進用組成物6の作製
パームオレイン(ヨウ素価:60)400重量部と活性白土(水澤化学製「NVZ」)6重量部をナスフラスコに入れ、攪拌(300rpm)しながら、真空状態(3torr)での脱水を90℃で30分間行い、活性白土中の水分含有量を0.07重量%まで低下させた。活性白土の脱水後、パームオレインと活性白土の混合物中に、ナトリウムメチラートを1.6重量部加え、90℃で20分間、真空状態(3torr)で撹拌(300rpm)を行った(脂肪酸金属塩含有量:2.42重量%)。また、同時にパームオレイン(ヨウ素価:60)100重量部とケイソウ土(昭和化学製「ラジオライト#700」)6重量部をナスフラスコに入れ、攪拌(300rpm)しながら、真空状態(3torr)での脱水を90℃で30分間行い、活性白土中の水分含有量を0.007重量%まで低下させた。脱水後のケイソウ土は、濾過によって分離を行った。分離されたケイソウ土150重量部を、濾紙(アドバンテック社製「No.2」)を敷いたヌッチェ上に敷き詰め、その上からパームオレイン、活性白土、ナトリウムメチラートの混合物407.6重量部を80重量部/分の速度で濾過させることで、濾液をエステル交換反応促進用組成物6として得た。また、本エステル交換反応促進用組成物6中の脂肪酸金属塩含有量は、0.137重量%であった。
(実施例7) エステル交換反応促進用組成物7の作製
菜種油100重量部とパーライト(東興パーライト工業製「トプコパーライト」)3重量部をナスフラスコに入れ、攪拌(300rpm)しながら、真空状態(3torr)での脱水を90℃で30分間行い、パーライト中の水分含有量を0.007重量%まで低下させた。パーライトの脱水後、パームオレインとパーライトの混合物中に、ナトリウムメチラートを1.6重量部加え、90℃で20分間、真空状態(3torr)で撹拌(300rpm)を行った(脂肪酸金属塩含有量:2.4重量%)。その後、濾紙(アドバンテック社製「No.2」)を敷いたヌッチェを用い、100重量部/分の速度でパーライトを濾過分離し、エステル交換反応促進用組成物7を得た。また、エステル交換反応促進用組成物7中の脂肪酸金属塩含有量は、0.84重量%であった。
(実施例8) エステル交換反応促進用組成物8の作製
パームオレイン(ヨウ素価:60)400重量部とパーライト(東興パーライト工業製「トプコパーライト」)4重量部をナスフラスコに入れ、攪拌(300rpm)しながら、真空状態(3torr)での脱水を90℃で30分間行い、パーライト中の水分含有量を0.005重量%まで低下させた。パーライトの脱水後、パームオレインとパーライトの混合物中に、ナトリウムメチラートを1.6重量部加え、90℃で1時間、真空状態(3torr)で撹拌(300rpm)を行った(脂肪酸金属塩含有量:2.4重量%)。その後、濾紙(アドバンテック社製「No.2」)を敷いたヌッチェを用い、40重量部/分の速度でパーライトを濾過分離しで、エステル交換反応促進用組成物8を得た。また、エステル交換反応促進用組成物8中の脂肪酸金属塩含有量は、0.186重量%であった。
(比較例1) エステル交換反応促進用組成物9の作製
パームオレイン(ヨウ素価:60)400重量部をナスフラスコに入れ、攪拌(300rpm)しながら、真空状態(3torr)での脱水を90℃で30分間行った後、ナトリウムメチラートを1.6重量部加え、真空状態(3torr)で20分間攪拌し、エステル交換反応促進用組成物9を得た。本エステル交換反応促進用組成物9中の脂肪酸金属塩含有量は、2.45重量%であった。
(比較例2) エステル交換反応促進用組成物10の作製
パームオレイン(ヨウ素価:60)400重量部をナスフラスコに入れ、攪拌(300rpm)しながら、真空状態(3torr)での脱水を90℃で30分間行った後、ナトリウムメチラートを1.6重量部加え、真空状態(3torr)で20分間攪拌し、トリアシルグリセライドとアルカリ触媒の混合物を得た。未脱水の活性白土(水澤化学製「NVZ」)を4重量部加え、90℃で20分間、真空状態(3torr)で攪拌(300rpm)した(脂肪酸金属塩含有量:2.4重量%)。その後、濾紙(アドバンテック社製「No.2」)を敷いたヌッチェを用い、400重量部/分の速度で活性白土を濾過分離しで、エステル交換反応促進用組成物10を得た。エステル交換反応促進用組成物10中の脂肪酸金属塩含有量は0.71重量%まで低下していた。
(比較例3) エステル交換反応促進用組成物11の作製
パームオレイン(ヨウ素価:60)400重量部とパーライト(東興パーライト工業製「トプコパーライト」)4重量部をナスフラスコに入れ、攪拌(300rpm)しながら、真空状態(3torr)での脱水を90℃で30分間行い、パーライト活性白土中の水分含有量を0.008重量%まで低下させた。パーライトの脱水後、パームオレインとパーライトの混合物中に、ナトリウムメチラートを1.6重量部加え、90℃で2時間、真空状態(3torr)で撹拌(300rpm)を行った(脂肪酸金属塩含有量:2.4重量%)。その後、濾紙(アドバンテック社製「No.2」)を敷いたヌッチェを用い、濾過を行った。しかし、1時間経過しても濾過を終了させることができず、得られた濾液、即ちエステル交換反応促進用組成物11の量は、130重量部のみであった。また、エステル交換反応促進用組成物11中の脂肪酸金属塩含有量は、0.167重量%であった。
(実施例9) エステル交換反応促進用組成物を用いたトリアシルグリセライドのエステル交換反応
真空状態(3torr)の状態のセパラブルフラスコに入ったパームオレイン(ヨウ素価:60)1200重量部(水分含有量:0.005重量%)を、300rpmで攪拌しながら50℃に保ち、そこへ実施例1で得られたエステル交換反応促進用組成物1を400重量部添加した。そしてエステル交換反応は53分間で終了した。また、反応後のエステル交換反応油脂中の脂肪酸金属塩含有量は、0.106重量%であった。なお、それらの結果などは、表2にまとめた。
Figure 2012246346
(実施例10)エステル交換反応促進用組成物を用いたトリアシルグリセライドのエステル交換反応
実施例1で作成したエステル交換反応促進用組成物200重量部を、セパラブルフラスコに入ったパームオレイン(ヨウ素価60)1,400重量部(水分含有量:0.007重量%)に対して、70℃、300rpm、真空状態(3torr)の状態で添加した。エステル交換反応は30分間で終了した。また、反応後のエステル交換反応油脂中の脂肪酸金属塩含有量は、0.051重量%であった。なお、それらの結果などは、表2にまとめた。
(実施例11)エステル交換反応促進用組成物を用いたトリアシルグリセライドのエステル交換反応
実施例2で作成したエステル交換反応促進用組成物400重量部を、セパラブルフラスコに入ったパームオレイン(ヨウ素価60)1200重量部(水分含有量:0.006重量%)に対して、80℃、300rpm、真空状態(3torr)の状態で添加した。エステル交換反応は5分間で終了した。また、反応後のエステル交換反応油脂中の脂肪酸金属塩含有量は、0.15重量%であった。なお、それらの結果などは、表2にまとめた。
(実施例12)エステル交換反応促進用組成物を用いたトリアシルグリセライドのエステル交換反応
実施例5で作成したエステル交換反応促進用組成物100重量部を、セパラブルフラスコに入った牛脂1500重量部(水分含有量:0.009重量%)に対して、70℃、300rpm、真空状態(3torr)の状態で添加した。エステル交換反応は10分間で終了した。また、反応後のエステル交換反応油脂中の脂肪酸金属塩含有量は、0.044重量%であった。なお、それらの結果などは、表2にまとめた。
(比較例4)エステル交換反応促進用組成物を用いたトリアシルグリセライドのエステル交換反応
比較例1で作成したエステル交換反応促進用組成物400重量部を、セパラブルフラスコに入ったパームオレイン(ヨウ素価60)1,200重量部(水分含有量:0.009重量%)に対して、50℃、300rpm、真空状態(3torr)の状態で添加した。エステル交換反応は50分間で終了した。反応後のエステル交換反応油脂中の脂肪酸金属塩含有量は、0.625重量%であった。なお、それらの結果などは、表2にまとめた。
(比較例5)エステル交換反応促進用組成物を用いたトリアシルグリセライドのエステル交換反応
比較例1で作成したエステル交換反応促進用組成物200重量部を、セパラブルフラスコに入ったパームオレイン(ヨウ素価60)1,400重量部(水分含有量:0.009重量%)に対して、70℃、300rpm、真空状態(3torr)の状態で添加した。エステル交換反応は30分間で終了した。反応後のエステル交換反応油脂中の脂肪酸金属塩含有量は、0.31重量%であった。なお、それらの結果などは、表2にまとめた。
(比較例6)エステル交換反応促進用組成物を用いたトリアシルグリセライドのエステル交換反応
パームオレイン(ヨウ素価60)1600重量部(水分含有量:0.007重量%)をセパラブルフラスコに入れ、攪拌(300rpm)しながら、50℃にて温調した。その後、真空状態(3torr)の状態で、ナトリウムメチラート1.6重量部を添加した。エステル交換反応は85分間で終了した。反応後のエステル交換反応油脂中の脂肪酸金属塩含有量は、0.64重量%であった。また、得られたエステル交換反応油脂を水洗し、脂肪酸金属塩除去処理を行ったところ、得られた油脂中の脂肪酸金属塩は0.053重量%であった。なお、それらの結果などは、表2にまとめた。
(比較例7)
パームオレイン(ヨウ素価60)1600重量部(水分含有量:0.01重量%)をセパラブルフラスコに入れ、攪拌(300rpm)しながら、50℃にて温調した。その後、真空状態(3torr)の状態で、ナトリウムメチラート0.8重量部を添加した。エステル交換反応は170分間で終了した。反応後のエステル交換反応油脂中の脂肪酸金属塩含有量は、0.325重量%であった。なお、それらの結果などは、表2にまとめた。
<固体脂含有量の測定>
油脂中の固体脂含有量は、社団法人日本油化学協会編「基準油脂分析法」(発行年:1996年)の2.2.9−2003固体脂含量(NMR法)に記載された方法により、測定を行った。
<粘度の測定>
油脂の粘度は、社団法人日本油化学協会編「基準油脂分析法」(発行年:1996年)の2.2.10.5−1996粘度(ブルックフィールド法)に記載された方法により、測定を行った。
(実施例13)エステル交換反応促進用組成物を用いたトリアシルグリセライドのダイレクトエステル交換反応
実施例1で作成したエステル交換反応促進用組成物400重量部を、セパラブルフラスコに入ったパームオレイン(ヨウ素価60)1,200重量部(水分含有量:0.005重量%)に対して、80℃、100rpm、真空状態(3torr)の状態で添加した。80℃で20分間保持した後に、反応温度を35℃に低下させ、24時間後に反応を終了させた。反応油脂の固体脂含有量は26.1%、粘度は3,600cpであった。また、反応油脂中の脂肪酸金属塩含有量は0.106重量%であった。また、反応油脂組成物中から圧力濾過(最大圧力3MPa)を用いて、液状油成分980重量部(収率:61%)を得た。なお、それらの結果などは、表3にまとめた。
Figure 2012246346
(比較例9)エステル交換反応促進用組成物を用いたトリアシルグリセライドのダイレクトエステル交換反応
比較例1で作成したエステル交換反応促進用組成物400重量部を、セパラブルフラスコに入ったパームオレイン(ヨウ素価60)1,200重量部(水分含有量:0.005重量%)に対して、80℃、100rpm、真空状態(3torr)の状態で添加した。80℃で20分間保持した後に、反応温度を35℃に低下させ、24時間後に反応を終了させた。反応油脂の固体脂含有量は25.9%、粘度は12400cpであった。また、反応油脂中の脂肪酸金属塩含有量は0.625重量%であった。また、反応油脂組成物中から圧力濾過(最大圧力3MPa)を用いて、液状油成分850重量部(収率:53重量%)を得た。なお、それらの結果などは、表3にまとめた。

Claims (6)

  1. トリアシルグリセライドとアルカリ触媒を反応させた後、反応物中から脂肪酸金属塩を除去することによって得られるエステル交換反応促進用組成物。
  2. エステル交換反応促進用組成物全体中、脂肪酸金属塩の含有量が0.9重量%以下である請求項1に記載のエステル交換反応促進用組成物。
  3. エステル交換反応促進用組成物を作製するためのエステル交換反応時間が30分以内で、トリアシルグリセライドとアルカリ触媒を反応させた後、水分含有量を0.3重量%以下に調整した濾過助剤を撹拌混合しながらフィルターを通過させ、濾液を回収することを特徴とするエステル交換反応促進用組成物の製造方法。
  4. 濾過助剤が、活性白土、パーライト、二酸化珪素、珪藻土から選ばれる少なくとも1種である請求項3に記載のエステル交換反応促進用組成物の製造方法。
  5. 請求項1又は2に記載のエステル交換反応促進用組成物を、エステル交換したい原料となるトリアシルグリセライド100重量部に対して5〜35重量部添加してエステル交換反応を行うことを特徴とする油脂組成物の製造方法。
  6. エステル交換反応がダイレクトエステル交換反応であり、反応温度が20〜70℃である請求項5に記載の油脂組成物の製造方法。
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