JP2002194387A - 油脂の安定化方法 - Google Patents

油脂の安定化方法

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JP2002194387A
JP2002194387A JP2000396954A JP2000396954A JP2002194387A JP 2002194387 A JP2002194387 A JP 2002194387A JP 2000396954 A JP2000396954 A JP 2000396954A JP 2000396954 A JP2000396954 A JP 2000396954A JP 2002194387 A JP2002194387 A JP 2002194387A
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oil
fat
fats
oils
fatty acid
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JP2000396954A
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Masayuki Abe
阿部真幸
Tadayoshi Shiraishi
白石忠義
Kazuo Miyashita
宮下和夫
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 共役不飽和脂肪酸含有油脂の酸化劣化を抑制
し、油脂を長期間にわたり安定に保持しうる油脂類の安
定化方法を提供すること。 【解決手段】共役不飽和脂肪酸含有油脂と他の油脂とを
エステル交換すること、更に、該エステル交換油脂に、
イカ由来脂質及び/又は茶抽出物を添加することによる
油脂類の安定化方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、共役不飽和脂肪酸
含有油脂の安定化方法に関する。詳しくは共役不飽和脂
肪酸を含む不安定な油脂と他の油脂とをエステル交換す
る事による共役不飽和脂肪酸含有油脂の安定化方法に関
するものである。また、本発明は該エステル交換油脂に
イカ由来脂質及び/又は茶抽出物を添加する事による、
共役不飽和脂肪酸含有油脂の安定化方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】一般に、油脂類は、酸素・熱・光などの
作用を受け易く、長期間の保存などにより食品中の油脂
が酸化し、これによる品質低下や栄養の低下、人体への
毒性の発現が大きな問題になっている。従来、油脂類の
酸化を防止する目的でブチルヒドロキシアニソール(B
HA)あるいはジブチルヒドロキシトルエン(BHT)
等のフェノール系合成酸化防止剤が使用されていたが、
近年では、油脂の酸化防止剤として天然物由来のトコフ
ェロール等が使用されるようになってきた。しかしなが
ら、トコフェロール等の共役不飽和脂肪酸含有油脂に対
する酸化防止効果は十分とはいえない。すなわち、共役
不飽和脂肪酸を含有するザクロ種子油などは、不安定
で、時間の経過と共に酸素・熱・光などの作用を受けて
酸化劣化し、異味、異臭を発生すると同時に、重合物を
生成する。この酸化劣化は、機能性食品、健康食品等の
製品に異臭をもたらすだけでなく、共役不飽和脂肪酸が
有する本来の機能性を低下させることから、それらを含
有する製品の開発を困難にすることが予想される。この
ような現状から、安全性が高く、酸化防止効果の高い共
役不飽和脂肪酸含有油脂の安定化方法の開発が望まれて
いる。
【0003】一方、トリステアリンとトリオレインを等
モル混合し、ナトリウムメトキサイドを触媒にしてエス
テル交換反応を行って得られたエステル交換油脂は、ト
リステアリンとトリオレインの等モル混合油脂より、酸
化安定性が高い事(J.Am.Oil Chem.So
c.、60、1105(1983))、トリまたはポリ
エン酸残基を10%以上含有する油脂1〜50重量部
と、トリまたはポリエン酸残基が10%未満で飽和脂肪
酸残基を25%以上含有する油脂99〜50重量部とを
ランダムエステル交換させて得られるエステル交換油
脂、例えば、パーム油及び精製カツオ油を混合したもの
を原料油とし、ランダムエステル交換反応した油脂は、
酸化安定性が高いことが報告されている(特開平6−2
87593号公報)。しかしながら、不飽和結合を有す
る油脂の中においても、より不安定な油脂である共役不
飽和脂肪酸含有油脂を対象とした、エステル交換油脂の
酸化安定性に関する検討は、これまでなされていなかっ
たのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、不安
定な共役不飽和脂肪酸を含む油脂類の酸化を抑制し、該
油脂類を安定に保持しうる、安全性の高い共役不飽和脂
肪酸含有油脂の安定化方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を達成するため鋭意研究をすすめてきた。その結果、
共役不飽和脂肪酸含有油脂と他の油脂を混合し、エステ
ル交換反応を行って得られたエステル交換油脂は、共役
不飽和脂肪酸含有油脂と他の油脂との単なる混合油脂に
比較して酸化安定性が高まる事、該エステル交換油脂に
対して、イカ由来脂質及び/又は茶抽出物を添加して混
合すると、油脂の酸化劣化を更に、強力に抑制し、油脂
を安定に保持しうる効果があることを見出し、これらの
知見に基づき本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明の第1は、共役不飽和脂
肪酸含有油脂と他の油脂とをエステル交換する事を特徴
とする油脂の安定化方法に関する。
【0007】好ましい実施態様としては、共役不飽和脂
肪酸含有油脂と他の油脂とをエステル交換して得られる
エステル交換油脂に対して、イカ由来脂質及び/又は茶
抽出物を添加する事を特徴とする上記記載の油脂の安定
化方法に関する。
【0008】更に好ましい実施態様としては、イカ由来
脂質の添加量が、共役不飽和脂肪酸含有油脂と他の油脂
とをエステル交換して得られるエステル交換油脂100
重量部に対して0.01〜50重量部である上記記載の
油脂の安定化方法に関する。
【0009】別の更に好ましい実施態様としては、茶抽
出物の添加量が、共役不飽和脂肪酸含有油脂と他の油脂
とをエステル交換して得られるエステル交換油脂100
重量部に対して0.01〜10重量部である上記記載の
油脂の安定化方法に関する。
【0010】別の更に好ましい実施態様としては、共役
不飽和脂肪酸含有油脂が、ザクロ種子油であることを特
徴とする上記記載の油脂の安定化方法に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明について説明する。
【0012】本発明における共役不飽和脂肪酸含有油脂
とは、共役ジエン構造、共役トリエン構造、共役テトラ
エン構造等の、共役二重結合を有する脂肪酸を構成脂肪
酸として含んでなる油脂のことである。本発明に適用で
きる共役不飽和脂肪酸含有油脂としては、共役不飽和脂
肪酸を含む油脂であれば、植物由来、動物由来、水産動
物由来、微生物由来の油脂、共役化反応油脂などいかな
るものでもよく、例えば、ザクロ種子油、ニガウリ種子
油、サクランボ種子油、キンセンカ種子油、キササゲ種
子油、アブラギリ種子油、ホウセンカ種子油、共役化ド
コサヘキサエン酸(CDHA)油脂、共役リノール酸ト
リグリセリド、等が挙げられ、入手の容易さ等より、ザ
クロ種子油が好ましい。これらの油脂を単独あるいは混
合、分別、エステル交換したものを単独あるいは2種以
上を混合して使用することができる。なお、共役化油脂
とは、アルカリ共役化法(特開平10−130199号
公報)等、公知の方法で共役二重結合を導入した脂肪酸
を構成脂肪酸として有する油脂を表す。共役不飽和脂肪
酸含有油脂中の共役不飽和酸の含量には特に限定はな
く、共役不飽和酸脂肪酸量の多少に関わらず、油脂の安
定化効果を効果を発揮することが出来るが、好ましくは
10重量%以上であり、より好ましくは30重量%以上
であり、特に好ましくは45重量%以上で顕著な安定化
効果を得ることが出来る。
【0013】また、他の油脂としては、植物由来、動物
由来、水産動物由来、微生物由来の油脂など、いかなる
ものでもよく、例えば、オリーブ油、パーム油、大豆
油、ナタネ油、ヤシ油、綿実油、コーン油、サフラワー
油、米糠油、牛脂、豚脂、イワシ、ニシン、サバ等から
得られる魚体油、など、いかなるものでもよく、これら
の油脂を単独あるいは混合、硬化、分別、エステル交換
したものを単独あるいは2種以上を混合したものでも何
ら問題ない。
【0014】本発明においては、共役不飽和脂肪酸含有
油脂と他の油脂との配合割合は特に限定されず、いかな
る範囲でも油脂の安定化効果を得ることが出来る。
【0015】本発明に適用できるエステル交換の方法は
特に限定されず、非選択的エステル交換反応及び選択的
エステル交換反応を用いることができ、酵素を用いる生
物学的な方法でも、化学触媒を用いる化学的な方法で
も、公知の方法であれば何れの方法も用いることができ
る。生物学的エステル交換反応は、例えば、粉体リパー
ゼ、固定化リパーゼ、微生物菌体などを用いて実施でき
る。ヒト、ウシ、ブタの膵臓、胃、唾液などから得られ
る動物由来リパーゼ、ナタネ、大豆、ヒマワリなどの油
脂を多く含む種子や、小麦、オーツ麦、米糠などの穀類
から得られる植物由来リパーゼ、アスペルギルス ニガ
ー(Aspergillus niger)、キャンジ
ダ シリンドラセー(Candida cylindr
acea)、ゲオトリカム キャンジダム(Geotr
ichum candidum)、ムコール ミーハイ
Mucor miehei)、リゾープス アルヒザ
ス(Rhizopus arrhizus)、リゾープ
ス キネンシス(Rhizopus chinensi
)、リゾープス デレマー(Rhizopus de
lemar)、リゾープス ジャポニカス(Rhizo
pus japonicus)、リゾープス ニベウス
Rhizopus niveus)、シュドモーナス
アエルギノーサ(Pseudomonas aeru
ginosa)などから得られる微生物由来のリパーゼ
を用いて実施できる。工業的に生産されており入手が容
易である等の点から、微生物由来のリパーゼが好まし
い。例えば、固定化リパーゼ(リポザイムIM:ノボ社
製)を用いる場合は、油脂混合物を0〜5倍量のヘキサ
ンなどの有機溶媒に溶解し、油脂混合物に対して1〜5
0重量%の固定化リパーゼを添加し、35〜65℃で1
〜72時間反応させ、必要により脱酸、脱色、脱臭する
事により、エステル交換油脂を得ることができる。
【0016】化学的エステル交換反応は、例えば、メチ
ルアルキレート、アルカリ金属、金属石けん、金属水素
化物、金属アミドなどを用いて実施できる。例えば、ナ
トリウムメチラートを用いる場合は、油脂混合物を60
〜80℃で加熱撹拌しながら真空下あるいは窒素ガスを
バブリングして充分水分を除去した後、混合油脂に対し
て0.01〜10重量%のナトリウムメチラートを添加
し、10分〜2時間反応させ、必要により脱酸、脱色、
脱臭する事により、エステル交換油脂を得ることができ
る。
【0017】本発明においては、共役不飽和脂肪酸含有
油脂と他の油脂をエステル交換することで油脂を安定化
させる。なお、油脂を安定化させるとは、油脂の酸化に
より生成する酸化生成物を測定して評価する。一般的に
は、過酸化物価(POV)法、カルボニル価(COV)
法、チオバルビツール酸(TBA)法、蛍光測定法、化
学発光法などの抗酸化活性測定法があるが、これらの中
で、最も一般的に使用されるPOVの上昇と、共役不飽
和脂肪酸含有油脂において生じやすいとされる熱酸化重
合による重合物の生成量で安定化の度合いを表す。具体
的には、単に混合した油脂と比して、POV、或いは、
重合物含量が増えていないことをもって安定化している
という。
【0018】本発明においては、共役不飽和脂肪酸含有
油脂と他の油脂をエステル交換して得られるエステル交
換油脂に対して、イカ由来脂質及び/又は茶抽出物を添
加することで、より高い安定性を得ることが出来る。エ
ステル交換油脂に対する溶解性の良さ等より、イカ由来
脂質がより好ましい。
【0019】本発明に用いられるイカ由来脂質として
は、イカ由来のものであれば特に限定されず、例えば、
イカの内臓(イカゴロ)、イカの可食部(筋肉、足、
耳)等を原料に、公知の溶剤による抽出、他の動植物油
による抽出、煮出法、などの通常用いられている方法に
より得られる脂質である。本発明におけるイカ由来脂質
を得るためのイカとは、いわゆるイカと呼ばれている十
腕類目、甲イカ類亜目あるいはツツイカ類亜目に属する
軟体動物をいい、具体的には、コウイカ、ヤリイカ、ス
ルメイカ、ホタルイカ、アオリイカ等が挙げられるが、
特に限定はない。油脂にイカ由来脂質を添加するに当た
っては、対象とする油脂に均一に混合するのが望まし
い。その際の混合方法は、特に限定されるもではなく、
例えば通常用いられている機械的な撹拌機などが採用で
きる。また、添加するイカ由来脂質の添加量は、特に制
限はないが、本発明の目的を達成するためには、共役不
飽和脂肪酸含有油脂と他の油脂とをエステル交換して得
られるエステル交換油脂100重量部に対してイカ由来
脂質0.01〜50重量部が好ましく、より好ましくは
1〜30重量部である。添加するイカ由来脂質の割合が
0.01部未満の時は、本発明の効果を十分発揮できな
い恐れがある。50重量部を越えての添加は、効果が頭
打ちとなる。
【0020】本発明に用いられる茶抽出物としては、茶
由来のものであれば特に限定されず、例えば、緑茶、ウ
ーロン茶、紅茶等を原料に、公知の熱水による抽出、含
水エタノール、含水熱エタノール、エタノール、などの
通常用いられている方法により得られるものであるが、
特に限定はない。油脂に茶抽出物を添加するに当たって
は、対象とする油脂に均一に混合するのが望ましい。そ
の際の混合方法は、特に限定されるもではなく、例えば
通常用いられている機械的な撹拌機などが採用できる。
また、添加する茶抽出物の添加量は、特に制限はない
が、本発明の目的を達成するためには、共役不飽和脂肪
酸含有油脂と他の油脂とをエステル交換して得られるエ
ステル交換油脂100重量部に対して茶抽出物0.01
〜10重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜5重
量部である。添加する茶抽出物の割合が0.01部未満
の時は、本発明の効果を十分発揮できない恐れがある。
10重量部を越えての添加は、効果が頭打ちとなる。
【0021】更に、他の酸化防止剤を併用することで、
より高い酸化防止効果を得ることができる。酸化防止剤
としては、具体的には、トコフェロール、L−アスコル
ビン酸、L−アスコルビン酸−パルミチン酸エステル、
レシチン、ローズマリー抽出物、ヒマワリ抽出物、コー
ヒー豆抽出物、リンゴ抽出物等、一般に用いられている
酸化防止剤が挙げられる。酸化防止剤の種類、添加量
は、特に制限はなく、本発明を達成するためには、例え
ばトコフェロールの場合、エステル交換油脂に対して、
0〜5重量%添加することが好ましい。
【0022】以上のようにして共役不飽和脂肪酸含有油
脂と他の油脂とをエステル交換する事により、POVの
上昇や重合物の生成などに代表される油脂の酸化が抑制
され、油脂を安定に保持しうる効果が得られる。イカ由
来脂質及び/又は茶抽出物を添加することにより、更
に、強力に油脂の酸化を抑制する事ができる。
【0023】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれら実施例に何ら制限されるものでは
ない。
【0024】(製造例1)ザクロ種子油の製造 カリフォルニア産ザクロより種子を取り出し、水洗した
のち、40℃で一昼夜乾燥して、乾燥種子を得た。該乾
燥種子2kgをオースター・ブレンダー(オスター社
製)にて粉砕したのち、常法によりヘキサン抽出して、
共役トリエン脂肪酸を主たる構成脂肪酸として71.6
%含むザクロ種子油約240gを得た。なお、共役トリ
エン脂肪酸含量の測定は、常法(硫酸−メタノール法)
に従い脂肪酸メチルエステルを調製後、HP5890シ
リーズII(ヒューレット・パッカード社製)を用いた
ガスクロマトグラフィーで行った。具体的には、カラム
はスペルコ製SP−2380(100m×0.25mm
ID、0.20μm)を接続し、検出器としてFIDを
用い、キャリアーガスとしてヘリウムを用いて分析し
た。カラム温度、インジェクション温度及び検出器温度
は、それぞれ、185℃、200℃及び210℃で行っ
た。
【0025】(製造例2)ホウセンカ種子油の製造 ホウセンカ種子(タキイ種苗株式会社より購入)2kg
をオースター・ブレンダー(オスター社製)にて粉砕し
たのち、常法によりヘキサン抽出して、共役テトラエン
脂肪酸を48.0%含むホウセンカ種子油約170gを
得た。なお、共役テトラエン脂肪酸含量の測定は、社団
法人日本油化学会編 基準油脂分析試験法(1996年
版)に準拠し、UV吸収を測定する事により算出した。
【0026】(製造例3)共役化DHA油脂の製造 プロピレングリコール(ナカライテスク製)300gに
水酸化カリウム(ナカライテスク製)100gを溶解
し、溶解後15分間窒素バブリングを行い、100℃ま
で昇温した。昇温後、DHA50(マルハ株式会社製)
200gを加え、窒素気流下で100℃、4時間反応さ
せた。反応終了後、反応溶液を室温まで冷却し、塩酸で
中和し、15分間撹拌した。続いて、反応溶液をpH3
に調製し、蒸留水を加えて10分間撹拌した。次いでヘ
キサン抽出を3回行い、ヘキサン溶液を5%NaCl溶
液及び蒸留水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム(ナカライ
テスク製)で脱水後、ろ過を行った。ろ過後、ヘキサン
を留去し、共役不飽和脂肪酸を含む生成物(CDHA−
FFA)を得た。該CDHA−FFA160g、グリセ
リン(ナカライテスク製)45g、蒸留水5g及びリポ
ザイムIM15gとの混合物を撹拌しながら、50℃、
72時間反応を行った。反応終了後、油層を回収、水洗
し、共役化DHAグリセリド(CDHA−Gly)得
た。該CDHA−Gly150g、CDHA−FFA4
0gを混合し、50℃、減圧下で脱水処理後、ヘキサン
190gを加えた。この系の水分は90ppmであっ
た。なお、水分の測定はカールフィッシャー水分計MK
C−210型(京都電子工業株式会社製)で行った。更
に、リポザイムIM15gを混合し、撹拌しながら、5
0℃で120時間反応を行った。反応終了後、リポザイ
ムIMを濾別し、シリカゲルカラムを用い常法に従って
トリグリセリド画分(共役化DHA油脂)170gを得
た。共役化DHA油脂に含まれる、共役不飽和脂肪酸は
共役ジエン脂肪酸33.8重量%、共役トリエン脂肪酸
10.4重量%、共役テトラエン脂肪酸7.3重量%及
び共役ペンタエン酸1.8重量%であった。なお、共役
不飽和脂肪酸含量は、社団法人日本油化学会編 基準油
脂分析試験法(1996年版)に準拠し、UV吸収を測
定する事により算出した。
【0027】(製造例4)イカ内臓由来脂質の製造 新鮮なスルメイカの内臓500gをオースター・ブレン
ダー(オースター社製)にてペースト状にしたのち、こ
れに塩化メチレン1000ml、およびメタノール50
0mlを添加し、これを撹拌し、暗所に2時間静置した
のち、アドバンテック東洋濾紙NO.2にて固形部分を
除去して濾液を得た。この濾液の下層画分を回収し、5
0mlのエタノールを添加したのち、30℃にて減圧濃
縮し、濃褐色のイカ内臓由来脂質74gを得た。
【0028】(製造例5)イカ可食部由来脂質の製造 新鮮なスルメイカの可食部を原料として脂質を抽出し
た。すなわち、スルメイカの筋肉部1600g、および
足400gを原料とした以外は、実施例1と同様に脂質
を抽出し、淡黄色のイカ可食部由来脂質25.6gを得
た。
【0029】(実施例1)製造例1で得られたザクロ種
子油100g及びパーム高融点部100gを、ヘキサン
200gに溶解し、蒸留水0.1gを加え、固定化リパ
ーゼ(リポザイムIM:ノボ社製)10gを触媒として
用い、50℃で24時間エステル交換反応を行い、エス
テル交換油脂を得た。該エステル交換油脂をランシマッ
ト679型(メトローム社製)を用い、温度80℃、通
気量10L/時間とし、試料量を5gとして、3時間の
酸化劣化を行った。酸化劣化させた油脂についてPOV
及び重合物含量を測定した。POV(meq/kg)
は、社団法人日本油化学会編 基準油脂分析試験法(1
996年版)に準拠して測定した。重合物含量の測定
は、LC−10AD型送液ポンプ(島津製作所製)を用
いた高速液体クロマトグラフィーで行った。具体的に
は、カラムはTSKgel G2000H HR(東ソ
ー株式会社製)及びTSKgel G1000H HR
(東ソー株式会社製)を直列に接続し、検出器として示
差屈折計(島津製作所製;RID−10A)を用い、移
動相としてテトラヒドロフラン(ナカライテスク製)を
用いて分析した。なお、重合物とは、トリグリセリド
(TG)より分子量の大きい成分を表し、重合物含量
は、TGより分子量の大きい成分に相当するピーク面積
の総和を全ピーク面積に対する百分率で表した。その結
果を表1に示す。
【0030】
【表1】 (実施例2)製造例1で得られたザクロ種子油50g及
びパーム高融点部50gを混合し、ナトリウムメチラー
ト0.2gを触媒として用い、80℃で30分間エステ
ル交換反応を行い、エステル交換油脂を得た。該エステ
ル交換油脂を実施例1と同様に酸化劣化させた。その結
果を表1に示す。
【0031】(比較例1)製造例1で得られたザクロ種
子油50g及びパーム高融点部50gを混合し、混合油
脂を得た。該混合油脂を実施例1と同様に酸化劣化させ
た油脂についてPOV及び重合物含量を測定した。
【0032】表1に示すように、単なる混合油脂に比較
し、リパーゼによるエステル交換油脂はPOVの上昇及
び重合物の生成を抑制していた。このことから、本発明
の方法によれば、共役トリエン脂肪酸含有油脂、すなわ
ち、共役不飽和脂肪酸含有油脂の酸化を抑制し、油脂を
安定に保持できることがわかった。また、化学触媒によ
るエステル交換油脂もPOVの上昇及び重合物の生成を
抑制していた。このことから、エステル交換した油脂
は、その方法が、リパーゼによる方法でも、化学的な方
法でもよく、共役不飽和脂肪酸含有油脂の酸化を抑制
し、油脂を安定に保持できることがわかった。
【0033】(実施例3)パーム高融点部の代わりに、
ナタネ油を使用した以外は、実施例1と同様にエステル
交換油脂を得た。
【0034】(比較例2)パーム高融点部の代わりに、
ナタネ油を使用した以外は、比較例1と同様に混合油脂
を得た。
【0035】(実施例4)ザクロ種子油の代わりに、共
役リノール酸トリグリセリド(リノール油脂株式会社
製)を使用した以外は、実施例1と同様にエステル交換
油脂を得た。
【0036】(比較例3)ザクロ種子油の代わりに、共
役リノール酸−TGを使用した以外は、比較例1と同様
に混合油脂を得た。
【0037】(実施例5)ザクロ種子油の代わりに、製
造例2で得られたホウセンカ種子油を使用した以外は、
実施例1と同様にエステル交換油脂を得た。
【0038】(比較例4)ザクロ種子油の代わりに、製
造例2で得られたホウセンカ種子油を使用した以外は、
比較例1と同様に混合油脂を得た。
【0039】表1に示すように、単なる混合油脂に比較
し、エステル交換油脂はPOVの上昇及び重合物の生成
を抑制していた。このことから、本発明の方法によれ
ば、共役テトラエン脂肪酸含有油脂、すなわち、共役不
飽和脂肪酸含有油脂の酸化を抑制し、油脂を安定に保持
できることがわかった。
【0040】(実施例6)ザクロ種子油の代わりに、製
造例3で得られた共役化DHA含有油脂を使用した以外
は、実施例1と同様にエステル交換油脂を得た。
【0041】(比較例5)ザクロ種子油の代わりに、製
造例3で得られた共役化DHA含有油脂を使用した以外
は、比較例1と同様に混合油脂を得た。
【0042】その結果を表1に示した。表1に示すよう
に、単なる混合油脂に比較し、エステル交換油脂はPO
Vの上昇及び重合物の生成を抑制していた。このことか
ら、本発明の方法によれば、共役化DHA含有油脂、す
なわち、共役不飽和脂肪酸含有油脂の酸化を抑制し、油
脂を安定に保持できることがわかった。
【0043】(実施例7)実施例1で得られたエステル
交換油脂50gを100mlのビーカーに取り、製造例
4で得られたイカ内臓由来脂質2.5gを添加し、マグ
ネチックスターラーSR−200(アドバンテック東洋
株式会社製)で撹拌することにより均一に混合したもの
を作成した。前記のサンプルを、実施例1と同様に酸化
劣化させた油脂についてPOV及び重合物含量を測定し
た。その結果を表1に示した。
【0044】表1に示すように、単なる混合油脂に比較
し、酸化安定性の向上したエステル交換油脂に対して、
イカ内臓由来脂質を添加する事により、更に強力にPO
Vの上昇及び重合物の生成を抑制していた。このことか
ら、本発明の方法、すなわちエステル交換反応及びイカ
由来脂質の添加を組み合わせることにより、共役トリエ
ン脂肪酸含有油脂、すなわち、共役不飽和脂肪酸含有油
脂の酸化を抑制し、油脂を安定に保持できることがわか
った。
【0045】(実施例8)イカ内臓由来脂質2.5gの
代わりに、製造例5で得られたイカ可食部由来脂質0.
5gを使用した以外は、実施例7と同様に実施した。そ
の結果を表1に示した。表1に示すように、単なる混合
油脂に比較し、酸化安定性の向上したエステル交換油脂
に対して、イカ可食部由来脂質を添加する事により、更
に強力にPOVの上昇及び重合物の生成を抑制してい
た。このことから、本発明の方法、すなわちエステル交
換反応及びイカ由来脂質の添加を組み合わせることによ
り、共役不飽和脂肪酸含有油脂の酸化を抑制し、油脂を
安定に保持できることがわかった。
【0046】(実施例9)イカ内臓由来脂質2.5gの
代わりに、茶抽出物(ポリフェノン60:三井農林株式
会社製)0.25gを使用した以外は、実施例7と同様
に実施した。その結果を表1に示した。表1に示すよう
に、単なる混合油脂に比較し、酸化安定性の向上したエ
ステル交換油脂に対して、茶抽出物を添加する事によ
り、更に強力にPOVの上昇及び重合物の生成を抑制し
ていた。このことから、本発明の方法、すなわちエステ
ル交換反応及び茶抽出物の添加を組み合わせることによ
り、共役不飽和脂肪酸含有油脂の酸化を抑制し、油脂を
安定に保持できることがわかった。
【0047】(実施例10)ザクロ種子油の代わりに、
共役リノール酸トリグリセリド(リノール油脂株式会社
製)を使用した以外は、実施例8と同様に実施した。そ
の結果を表1に示した。表1に示すように、単なる混合
油脂に比較し、酸化安定性の向上したエステル交換油脂
に対して、イカ可食部由来脂質を添加する事により、更
に強力にPOVの上昇及び重合物の生成を抑制してい
た。このことから、本発明の方法、すなわちエステル交
換反応及びイカ可食部由来脂質の添加を組み合わせるこ
とにより、共役不飽和脂肪酸含有油脂の酸化を抑制し、
油脂を安定に保持できることがわかった。
【0048】(実施例11)ザクロ種子油の代わりに、
製造例2で得られたホウセンカ種子油を使用した以外
は、実施例8と同様に実施した。その結果を表1に示し
た。表1に示すように、単なる混合油脂に比較し、酸化
安定性の向上したエステル交換油脂に対して、イカ可食
部由来脂質を添加する事により、更に強力にPOVの上
昇及び重合物の生成を抑制していた。このことから、本
発明の方法、すなわちエステル交換反応及びイカ可食部
由来脂質の添加を組み合わせることにより、共役不飽和
脂肪酸含有油脂の酸化を抑制し、油脂を安定に保持でき
ることがわかった。
【0049】(実施例12)ザクロ種子油の代わりに、
製造例3で得られた共役化DHA含有油脂を使用した以
外は、実施例5と同様に実施した。その結果を表1に示
した。表1に示すように、単なる混合油脂に比較し、酸
化安定性の向上したエステル交換油脂に対して、イカ可
食部由来脂質を添加する事により、更に強力にPOVの
上昇及び重合物の生成を抑制していた。このことから、
本発明の方法、すなわちエステル交換反応及びイカ可食
部由来脂質の添加を組み合わせることにより、共役不飽
和脂肪酸含有油脂の酸化を抑制し、油脂を安定に保持で
きることがわかった。
【0050】
【発明の効果】本発明の方法によれば、共役不飽和脂肪
酸含有油脂においてPOVの上昇や重合物の生成などに
代表される酸化劣化を抑制し、油脂を長時間にわたり安
定に保持することができる。また、本発明のエステル交
換油脂に天然由来のイカ由来脂質及び/又は茶抽出物を
添加することで、酸化安定性は更に増す。本発明による
安定化された共役不飽和脂肪酸含有油脂は、天然由来の
成分で構成する事が可能であり、一般食品、機能性食
品、健康食品等に利用され、本発明は産業上極めて有用
である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】共役不飽和脂肪酸含有油脂と他の油脂とを
    エステル交換する事を特徴とする油脂の安定化方法。
  2. 【請求項2】共役不飽和脂肪酸含有油脂と他の油脂とを
    エステル交換して得られるエステル交換油脂に対して、
    イカ由来脂質及び/又は茶抽出物を添加する事を特徴と
    する請求項1記載の油脂の安定化方法。
  3. 【請求項3】イカ由来脂質の添加量が、共役不飽和脂肪
    酸含有油脂と他の油脂とをエステル交換して得られるエ
    ステル交換油脂100重量部に対して0.01〜50重
    量部である請求項1および2何れかに記載の油脂の安定
    化方法。
  4. 【請求項4】茶抽出物の添加量が、共役不飽和脂肪酸含
    有油脂と他の油脂とをエステル交換して得られるエステ
    ル交換油脂100重量部に対して0.01〜10重量部
    である請求項1および2何れかに記載の油脂の安定化方
    法。
  5. 【請求項5】共役不飽和脂肪酸含有油脂が、ザクロ種子
    油である事を特徴とする請求項1〜4記載の油脂の安定
    化方法。
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