JP2000210019A - フライ用油脂の製造法 - Google Patents
フライ用油脂の製造法Info
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Abstract
の重合物のこびりつきが少なく、フライヤーへの汚れが
低減されたフライ用油脂の提供。 【解決手段】 液体油および/または固体脂に多価不飽
和脂肪酸からなるトリグリセリドを含んだ油脂を加えエ
ステル交換することにより、全トリグリセリドに占める
トリリノレンの割合を6重量%以下、こびりつき試験の
値を1.2以上とすることを特徴とするフライ用油脂の
製造法。多価不飽和脂肪酸からなるトリグリセリドを含
んだ油脂がアマニ油であることが好ましい。
Description
る。さらに詳しくはフライヤーへの油脂由来の重合物の
こびりつきが少ない油脂の製造法に関する。
フライ、ドレッシング、マヨネーズ等に使用されてい
る。特に、天ぷら、フライにおいて、連続的なフライが
長時間に及ぶと、フライヤーの側面やヒーター部分に油
脂由来の重合物がこびりつく汚れを生じ、洗浄時に汚れ
を落としにくい等の作業上の問題を生じている。したが
って、フライ用の油脂としてはパーム系の飽和脂肪酸の
トリグリセリドを多く含むヨウ素価の低い油脂を使用す
ることが一般的である。これまで検討されたフライ用油
脂の改質としては、精製工程の工夫、分別、水素添加、
エステル交換等によるものがある。低級脂肪酸、3不飽
和脂肪酸型トリグリセリドにより焦げつきを改善したも
の(特開昭61−249344公報)やのジグリセライ
ド、モノグリセライド、ポリグリセリン等により泡汚れ
の低減、泡立ちの改善、焦げつき、離型性の改良を行っ
たものがある(特開平07−16053公報、特開平0
9−28289公報および特開平09−52865公
報)。しかしながら、これらはフライ油のフライヤーへ
こびりつく汚れの改善を目的としたものではない。この
他こびりつきの改善として、特開昭61−166359
公報の中鎖トリグリセリドを使用してレシチン等の分散
剤を配合した離型油があり、オーブン内の焦げつき付着
の抑制を行っているが、フライ油としての使用目的で、
連続フライ時のフライヤーの汚れについて検討したもの
ではない。また臭いの改善として、エイコサペンタエン
酸、ドコサヘキサエン酸のグリセリン結合位置により自
動酸化および揮発生成分への影響が報告されているが
(日本油化学学会誌、第47巻、第9号、873〜87
8頁、1998年)、フライ油としての使用およびフラ
イヤーへの汚れについての言及はみられない。
フライにおいてフライヤーへの油脂由来の重合物のこび
りつきが少なく、フライヤーへの汚れが低減されたフラ
イ用油脂を提供することである。
を達成するために、鋭意検討を重ねた結果、液体油およ
び/または固体脂に多価不飽和脂肪酸からなるトリグリ
セリドを含んだ油脂を加えエステル交換することが、連
続フライにおけるフライヤーへの油脂由来の重合物のこ
びりつきが少ないことに密接に関連することを見出し、
本発明に至ったものである。すなわち本発明は、液体油
および/または固体脂に多価不飽和脂肪酸からなるトリ
グリセリドを含んだ油脂を加えエステル交換することに
より、全トリグリセリドに占めるトリリノレンの割合を
6重量%以下、本文記載のこびりつき試験の値を1.2
以上とすることを特徴とする、フライ用油脂の製造法に
関する。多価不飽和脂肪酸からなるトリグリセリドを含
んだ油脂がアマニ油であることが好ましい。
際の連続フライにおけるフライヤーへの油脂由来の重合
物のこびりつきを反映するモデル試験である。すなわ
ち、こびりつき試験は、検体油脂3gを直径10cmの
時計皿にとり、180℃の乾燥器中で加熱する。その
際、時計皿をシャーレ上に乗せて固定する。適当な時間
が経過したところで時計皿を取り出し、素早く裏返しに
して余分な油脂を流した後、溶剤で更にこびりついた部
分だけを残すように洗う。洗浄後に残った部分をこびり
つき量として求め、最初の重量の20重量%を超えるま
での時間を測定する。なお、本発明のこびりつき試験の
値とは、本発明の処理を行った検体と行っていない検体
(対照)についてこびりつき試験を行い、その比を求め
たものをいう。 こびりつき試験の値=(処理検体の20重量%を超える
までの時間)÷(対照検体の20重量%を超えるまでの
時間) こびりつき試験の値が1.2未満であると、連続フライ
における重合物のこびりつきが多く、フライヤーの汚れ
が酷くなり、本発明の目的を達成できない。
用いてもよいし、合成されたものを用いてもよい。具体
的には、大豆油、コーン油、綿実油、サフラワー油、ゴ
マ油、米油、パーム油分別液体油、ヤシ油分別液体油、
トリオレイン等を用いればよい。これらの液体油は、未
精製品、半精製品およびすでに精製を終えたもののいず
れでもよく、これら液体油を1種単独で用いてもよい
し、2種以上の組合せで用いてもよい。本発明に用いる
固体脂としては、天然に存在するものを用いてもよい
し、合成されたものを用いてもよい。具体的には、牛
脂、豚脂、パーム油分別固体脂、ヤシ油分別固体脂、ト
リステアリン等を用いればよい。これらの固体脂は、未
精製品、半精製品およびすでに精製を終えたもののいず
れでもよく、これら固体脂を1種単独で用いてもよい
し、2種以上の組合せで用いてもよい。さらに液体油と
固体脂を組合せて用いてもよい。
グリセリドを含んだ油脂を組み合わせることは必項であ
る。多価不飽和脂肪酸は脂肪酸の分子内に二重結合を2
以上含む脂肪酸をいい、リノール酸、リノレン酸、アラ
キドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン
酸、ドコサヘキサエン酸等が挙げられる。多価不飽和脂
肪酸からなるトリグリセリドを含んだ油脂としては、α
−リノレン酸を含むアマニ油、リノール酸を含む菜種
油、大豆油、コーン油、綿実油、サフラワー油、ヒマワ
リ油等の植物油、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサ
エン酸を含む魚油等が挙げられる。特にアマニ油が好ま
しい。本発明のフライ用油脂においては、液体油および
/または固体脂に5〜50重量%の多価不飽和脂肪酸か
らなるトリグリセリドを含んだ油脂を加えてエステル交
換することにより、フライ用油脂中の全脂肪酸に占める
トリリノレンの割合を6重量%以下、好ましくは0.1
〜5重量%にする。6重量%を越えると連続フライにお
けるフライヤーへの油脂の重合物のこびりつきが少ない
という特長が生じない。
の重合物のこびりつきが少ないフライ用油脂は、原料と
しての液体油および/または固体脂に多価不飽和脂肪酸
からなるトリグリセリドを含んだ油脂を適宜配合した
後、ナトリウムメチラートを触媒としてまたは脂質分解
酵素の存在下にエステル交換反応を行い、この際にフラ
イ用油脂中の全トリグリセリドに占めるトリリノレンの
割合を前記特定範囲内に入るようにエステル交換反応を
調整することにより得ることができる。
るトリリノレンの割合は、原料油脂組成を勘案し、原料
油脂の使用比率を調整し、エステル交換反応中の反応生
成物のトリグリセリド組成を測定することによって調整
できる。
ル交換反応を行う場合、液体油および/または固体脂5
0〜95重量%と多価不飽和脂肪酸からなるトリグリセ
リドを含んだ油脂50〜5重量%とを混合した後、混合
物を100mmHg以下の減圧下で80〜120℃に加
熱し、原料混合物に含まれる気体成分および水分を除去
する。これにナトリウムメチラート0.02〜0.5重
量%を添加し、常圧・窒素気流下あるいは10mmHg
以下の減圧下で10〜60分間、80〜120℃で攪拌
することでエステル交換反応を行う。反応の完了はガス
クロマトグラフィーにより反応生成物のトリグリセリド
組成を測定することにより確認する。反応の停止は反応
生成物に水を添加するかリン酸等の酸を添加して行う。
その後、触媒および過剰の酸を除去するために十分な水
洗を行い、乾燥後、反応油を常法にて脱色、脱臭する。
行う場合、液体油および/または固体脂50〜95重量
%と多価不飽和脂肪酸からなるトリグリセリドを含んだ
油脂50〜5重量%とを混合し、脂質分解酵素の活性が
十分に発揮される反応温度である40〜100℃の範囲
に調温する。これに脂質分解酵素を原料混合物に対して
0.005〜10重量%の割合で添加し、2〜48時間
の範囲でエステル交換反応を行う。この反応は常圧下で
窒素気流中で行うことが望ましい。反応の完了はガスク
ロマトグラフィーにより反応生成物のトリグリセリド組
成を測定することにより確認する。反応の停止は酵素を
濾過により除去することで行う。反応生成物は水洗、乾
燥の後、常法にて脱色、脱臭する。脂質分解酵素として
は、アルカリゲネス属、キャンディダ属、リゾプス属、
ムコール属またはシュードモナス属由来のリパーゼや、
肝臓由来のホスホリパーゼA等が挙げられるが、特にキ
ャンディダ属またはリゾプス属由来のリパーゼが好まし
い。
用油脂は、そのままで、もしくはフライ用油脂に通常用
いられる添加剤を配合して使用することができる。かか
る添加剤としては、保存安定性向上、酸化安定性向上、
熱安定性向上、低温下での結晶抑制等を目的としたポリ
グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソ
ルビタン脂肪酸エステル、ビタミンE、アスコルビン酸
脂肪酸エステル、リグナン、コエンザイムQ、リン脂
質、オリザノール等、成人病予防作用、生活習慣病予防
作用、生体内酸化抑制作用、肥満症予防作用を期待した
ビタミンE、アスコルビン酸脂肪酸エステル、リグナ
ン、コエンザイムQ、リン脂質、オリザノール等が挙げ
られる。
油、サフラワー油、大豆油といった一般に市販されてい
る通常の食用油と同等あるいはそれ以上の風味を持ち、
炒め物、揚げ物、マリネ等の調理に使用できることはも
ちろんのこと、油脂を含有する食品であるドレッシン
グ、マヨネーズ、マーガリン、菓子類、ケーキ、飲料等
にも使用可能である。調理品の種類によって風味の特性
は異なるが、素材の味を生かしたさっぱりとした料理を
作ることが可能である。また、フライ調理時における油
のハネ度合いおよび泡立ちは、通常の食用油と同等ある
いはそれ以下である。
説明するが、本発明はそれらによって限定されるもので
はない。
50gにアマニ油を350g加えたものを原料油脂とし
て3Lガラス容器に入れ、105℃で50分、減圧下で
脱水後、80℃まで冷却する。油温を80℃に保ちなが
ら、ナトリウムメチラートを1g加えて攪拌機で100
rpm、20分間攪拌させた後、油脂を精製してフライ
用油脂を得た。このフライ用油脂のトリグリセリド組成
をカラムGS−1を用いたガスクロマトグラフィーおよ
び「基準油脂試験法(1996)」に準じて測定した
(以下の実施例でも同様)。また、こびりつき試験を行
った。こびりつき試験の対照としてパームオレイン:ア
マニ油=65:35の混合油を用い、こびりつき試験を
行った。結果を表1に示す。
れ、60℃に保ちながらアルカリゲネス属(Alcaligene
s sp.)由来の脂質分解酵素(名糖産業製)を1g加え
て攪拌機で200rpm、18時間分散させた後、ろ過
により酵素を除去した。それぞれ得られた油脂を精製し
てフライ用油脂を得た。このフライ用油脂のトリグリセ
リド組成の測定とこびりつき試験を行った。結果を表1
に示す。
ステンレス容器に入れ、実施例2と同様のエステル交換
を行い、精製してフライ用油脂を得た。このフライ用油
脂のトリグリセリド組成の測定とこびりつき試験を行っ
た。こびりつき試験の対照として菜種油:アマニ油=7
0:30の混合油を用いた。結果を表2に示す。
50gに菜種油650gを加えたものを原料油脂として
2Lステンレス容器に入れ、実施例2と同様にエステル
交換を行い、精製してフライ用油脂を得た。このフライ
用油脂のトリグリセリド組成の測定とこびりつき試験を
行った。こびりつき試験の対照としてパームオレイン:
菜種油=35:65の混合油を用いた。結果を表3に示
す。
イ後のフライヤーの汚れを測定した。すなわち、3Lフ
ライヤーにサンプル油脂2Kg入れ、フライドポテト1
00gを油温180℃で3分間調理する。フライは1時
間毎に行い、1日の加熱時間は8時間とする。7日間の
連続フライ後、フライヤーにこびりついた汚れの重量を
測定した。こびりつき量は始めのフライ油重量とこびり
ついた汚れの百分率とする。対照としてパームオレイ
ン:アマニ油=65:35の混合油を用いた。結果を表
4に示す。
こびりつき量を測定した。試験は実施例5と同様に行っ
た。結果を表4に示す。
おいても油脂由来の重合物のフライヤーへのこびりつき
が少なく、フライ調理時における油のハネ度合いおよび
泡立ちは、通常の食用油と同等あるいはそれ以下であ
る。
Claims (2)
- 【請求項1】 液体油および/または固体脂に多価不飽
和脂肪酸からなるトリグリセリドを含んだ油脂を加えエ
ステル交換することにより、全トリグリセリドに占める
トリリノレンの割合を6重量%以下、本文記載のこびり
つき試験の値を1.2以上とすることを特徴とするフラ
イ用油脂の製造法。 - 【請求項2】 多価不飽和脂肪酸からなるトリグリセリ
ドを含んだ油脂がアマニ油である請求項1記載のフライ
用油脂の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11016352A JP2000210019A (ja) | 1999-01-26 | 1999-01-26 | フライ用油脂の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11016352A JP2000210019A (ja) | 1999-01-26 | 1999-01-26 | フライ用油脂の製造法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000210019A true JP2000210019A (ja) | 2000-08-02 |
Family
ID=11913978
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11016352A Pending JP2000210019A (ja) | 1999-01-26 | 1999-01-26 | フライ用油脂の製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000210019A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005210978A (ja) * | 2004-01-30 | 2005-08-11 | Nof Corp | アンチエイジング用油脂組成物 |
JP2009100734A (ja) * | 2007-10-03 | 2009-05-14 | Nisshin Oillio Group Ltd | 食用油脂組成物 |
JP2010202774A (ja) * | 2009-03-03 | 2010-09-16 | Nisshin Oillio Group Ltd | 食用油の製造方法及び該方法により製造された食用油 |
JP4625141B1 (ja) * | 2010-07-12 | 2011-02-02 | 株式会社J−オイルミルズ | 油脂組成物 |
JP2014117193A (ja) * | 2012-12-13 | 2014-06-30 | Kao Corp | 油脂組成物 |
-
1999
- 1999-01-26 JP JP11016352A patent/JP2000210019A/ja active Pending
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2009100734A (ja) * | 2007-10-03 | 2009-05-14 | Nisshin Oillio Group Ltd | 食用油脂組成物 |
JP4501035B2 (ja) * | 2007-10-03 | 2010-07-14 | 日清オイリオグループ株式会社 | 食用油脂組成物 |
JP2010202774A (ja) * | 2009-03-03 | 2010-09-16 | Nisshin Oillio Group Ltd | 食用油の製造方法及び該方法により製造された食用油 |
JP4625141B1 (ja) * | 2010-07-12 | 2011-02-02 | 株式会社J−オイルミルズ | 油脂組成物 |
JP2012019700A (ja) * | 2010-07-12 | 2012-02-02 | J-Oil Mills Inc | 油脂組成物 |
JP2014117193A (ja) * | 2012-12-13 | 2014-06-30 | Kao Corp | 油脂組成物 |
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