以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。図1は、本実施例のパチンコ機GMを示す斜視図である。このパチンコ機GMは、島構造体に着脱可能に装着される矩形枠状の木製外枠1と、外枠1に固着されたヒンジ2を介して開閉可能に枢着される前枠3とで構成されている。この前枠3には、遊技盤5が、裏側からではなく、表側から着脱自在に装着され、その前側には、ガラス扉6と前面板7とが夫々開閉自在に枢着されている。
ガラス扉6の外周には、LEDランプなどによる電飾ランプが、略C字状に配置されている。一方、ガラス扉6の下側には、スピーカが配置されている。
前面板7には、発射用の遊技球を貯留する上皿8が装着され、前枠3の下部には、上皿8から溢れ出し又は抜き取った遊技球を貯留する下皿9と、発射ハンドル10とが設けられている。発射ハンドル10は発射モータと連動しており、発射ハンドル10の回動角度に応じて動作する打撃槌によって遊技球が発射される。
上皿8の外周面には、チャンスボタン11が設けられている。このチャンスボタン11は、遊技者の左手で操作できる位置に設けられており、遊技者は、発射ハンドル10から右手を離すことなくチャンスボタン11を操作できる。このチャンスボタン11は、通常時には機能していないが、ゲーム状態がボタンチャンス状態となると内蔵ランプが点灯されて操作可能となる。なお、ボタンチャンス状態は、必要に応じて設けられるゲーム状態である。
上皿8の右部には、カード式球貸し機に対する球貸し操作用の操作パネル12が設けられ、カード残額を3桁の数字で表示する度数表示部と、所定金額分の遊技球の球貸しを指示する球貸しスイッチと、ゲーム終了時にカードの返却を指令する返却スイッチとが設けられている。
図2に示すように、遊技盤5の表面には、金属製の外レールと内レールとからなるガイドレール13が環状に設けられ、その略中央には、背面側に延びる中央開口HOが設けられている。そして、中央開口HOの奥底には、液晶カラーディスプレイで構成された表示装置DISPが配置されている。
また、表示装置DISPの前面に形成される空間には、可動演出を実現する可動演出体AMU(図6〜図9参照)が昇降自在に配置されている。可動演出体AMUは、昇降機構ALVに接続された第一部材51と、第一部材51の前面側に配置された第二部材52とに分離されているが、何れも、単一のガイド軸PLに案内されて一体的に昇降する。
この可動演出体AMUは、第一部材51が最上部に位置する待機状態(原点位置)では、第二部材52に内蔵された磁性体と、遊技機本体(又は可動演出体のフレーム)に固定された磁性体(磁石)との磁着力によって、第二部材52が吊下げ状態で保持されている。この待機状態では、第一部材51と第二部材52が前後方向に重合されることで、可動演出体AMUがコンパクト化されて収納空間を節約している。なお、磁着力による第二部材52の吊下げ状態は、第一部材51の降下時に、第一部材51の支持部57,57(直方体部SQ)が、第一部材51を下方に押圧することで解消される。
遊技領域の適所には、図柄始動口15、大入賞口16、普通入賞口17、ゲート18が配設されている。これらの入賞口15〜18は、それぞれ内部に検出スイッチを有しており、遊技球の通過を検出できるようになっている。
表示装置DISPは、大当り状態に係わる特定図柄を変動表示すると共に背景画像や各種のキャラクタなどをアニメーション的に表示する装置である。この表示装置DISPは、中央部に特別図柄表示部Da〜Dcと右上部に普通図柄表示部19を有している。そして、特別図柄表示部Da〜Dcでは、大当り状態の招来を期待させるリーチ演出が実行されたり、特別図柄表示部Da〜Dc及びその周りでは、当否結果を不確定に報知する予告演出などが実行される。
普通図柄表示部19は普通図柄を表示するものであり、ゲート18を通過した遊技球が検出されると、普通図柄が所定時間だけ変動し、遊技球のゲート18の通過時点において抽出された抽選用乱数値により決定される停止図柄を表示して停止するようになっている。
図柄始動口15は、左右一対の開閉爪を備えた電動式チューリップで開閉されるよう例えば構成され、普通図柄表示部19の変動後の停止図柄が当り図柄を表示した場合には、開閉爪が所定時間だけ、若しくは、所定個数の遊技球を検出するまで開放されるようになっている。
図柄始動口15に遊技球が入賞すると、特別図柄表示部Da〜Dcの表示図柄が所定時間だけ変動し、図柄始動口15への遊技球の入賞タイミングに応じた抽選結果に基づいて決定される停止図柄で停止する。なお、特別図柄表示部Da〜Dc及びその周りでは、一連の図柄演出の間に、予告演出が実行される場合がある。また、予告演出の一種として、可動演出体AMUが中央開口HOの位置に降下してくることがある。そして、目的位置まで降下した可動演出体AMUは、第二部材52に配置された日本刀(演出部品)が、その鞘SAから抜かれる可動演出を実行した後、元の原点位置に上昇する。
大入賞口16は、例えば前方に開放可能な開閉板16aで開閉制御されるが、特別図柄表示部Da〜Dcの図柄変動後の停止図柄が「777」などの大当り図柄のとき、「大当りゲーム」と称する特別遊技が開始され、開閉板16aが開放されるようになっている。
大入賞口16の開閉板16aが開放された後、所定時間が経過し、又は所定数(例えば10個)の遊技球が入賞すると開閉板16aが閉じる。このような動作は、最大で例えば15回まで特別遊技が継続され、遊技者に有利な状態に制御される。なお、特別図柄表示部Da〜Dcの変動後の停止図柄が特別図柄のうちの特定図柄であった場合には、特別遊技の終了後のゲームが高確率状態となるという特典が付与される。
図3は、本実施例のパチンコ機GMの全体回路構成を示すブロック図である。図中の一点破線矢印は、主に、直流電圧ラインを示している。
図示の通り、このパチンコ機GMは、AC24Vを受けて各種の直流電圧やシステムリセット信号SYSなどを出力する電源基板20と、遊技制御動作を中心統括的に担う主制御基板21と、主制御基板21から受けた制御コマンドCMDに基づいてランプ演出及び音声演出を実行する演出制御基板22と、演出制御基板22から受けた制御コマンドCMD’に基づいて表示装置DISPを駆動する液晶制御基板23と、主制御基板21から受けた制御コマンドCMD”に基づいて払出モータMを制御して遊技球を払い出す払出制御基板24と、遊技者の操作に応答して遊技球を発射させる発射制御基板25と、を中心に構成されている。
但し、この実施例では、主制御基板21が出力する制御コマンドCMDは、コマンド中継基板26と演出インターフェイス基板27を経由して、演出制御基板22に伝送される。また、演出制御基板22が出力する制御コマンドCMD’は、演出インターフェイス基板27を経由して、液晶制御基板23に伝送され、主制御基板21が出力する制御コマンドCMD”は、主基板中継基板28を経由して、払出制御基板24に伝送される。なお、演出インターフェイス基板27と演出制御基板22とは、ケーブルを使用することなくコネクタによって直結されている。
これら主制御基板21、演出制御基板22、液晶制御基板23、及び払出制御基板24には、ワンチップマイコンを備えるコンピュータ回路がそれぞれ搭載されている。そこで、これらの制御基板21〜24に搭載された回路、及びその回路によって実現される動作を機能的に総称して、本明細書では、主制御部21、演出制御部22、液晶制御部23、及び払出制御部24と言うことがある。なお、演出制御部22、液晶制御部23、及び払出制御部24の全部又は一部がサブ制御部である。
ところで、このパチンコ機GMは、図3の破線で囲む枠側部材GM1と、遊技盤5の背面に固定された盤側部材GM2とに大別されている。枠側部材GM1には、ガラス扉6や前面板7が枢着された前枠3と、その外側の木製外枠1とが含まれており、機種の変更に拘わらず、長期間にわたって遊技ホールに固定的に設置される。一方、盤側部材GM2は、機種変更に対応して交換され、新たな盤側部材GM2が、元の盤側部材の代わりに枠側部材GM1に取り付けられる。なお、枠側部材GM1を除く全てが、盤側部材GM2である。
図3の破線枠に示す通り、枠側部材GM1には、電源基板20と、払出制御基板24と、発射制御基板25と、枠中継基板32と、外部端子基板OTと、球貸機UTとのインターフェイス基板IFとが含まれており、これらの回路基板が、前枠3の適所に各々固定されている。一方、遊技盤5の背面には、主制御基板21、演出制御基板22、液晶制御基板23が、表示装置DISPやその他の回路基板と共に固定されている。そして、枠側部材GM1と盤側部材GM2とは、一箇所に集中配置された接続コネクタCN1〜CN4によって電気的に接続されている。
図3に示す通り、電源基板20は、接続コネクタCN2を通して、主基板中継基板28に接続され、接続コネクタCN3を通して、電源中継基板30に接続されている。そして、主基板中継基板28は、電源基板20から受けたシステムリセット信号SYS、RAMクリア信号、電圧降下信号、バックアップ電源、DC12V、DC32Vを、そのまま主制御部21に出力している。同様に、電源中継基板30も、電源基板20から受けたシステムリセット信号SYSや、交流及び直流の電源電圧を、そのまま演出インターフェイス基板27に出力している。なお、演出インターフェイス基板27は、受けたシステムリセット信号SYSを、そのまま演出制御部22と液晶制御部23に出力している。
一方、払出制御基板24は、中継基板を介することなく、電源基板20に直結されており、主制御部21が受けると同様の、システムリセット信号SYS、RAMクリア信号、電圧降下信号、バックアップ電源を、その他の電源電圧と共に直接的に受けている。
ここで、電源基板20が出力するシステムリセット信号SYSは、電源基板20に交流電源24Vが投入されたことを示す信号であり、この信号によって各制御部21〜24のワンチップマイコンその他のIC素子が電源リセットされるようになっている。主制御部21及び払出制御部24が、電源基板20から受けるRAMクリア信号は、各制御部21,24のワンチップマイコンの内蔵RAMの全領域を初期設定するか否かを決定する信号であって、係員が操作する初期化スイッチのON/OFF状態に対応した値を有している。
主制御部21及び払出制御部24が、電源基板20から受ける電圧降下信号は、交流電源24Vが降下し始めたことを示す信号であり、この電圧降下信号を受けることによって、各制御部21、24では、停電や営業終了に先立って、必要な終了処理を開始するようになっている。また、バックアップ電源は、営業終了や停電により交流電源24Vが遮断された後も、主制御部21と払出制御部24のワンチップマイコンの内蔵RAMのデータを保持するDC5Vの直流電源である。したがって、主制御部21と払出制御部24は、電源遮断前の遊技動作を電源投入後に再開できることになる(電源バックアップ機能)。このパチンコ機では少なくとも数日は、各ワンチップマイコンのRAMの記憶内容が保持されるよう設計されている。
一方、演出制御部22と液晶制御部23には、上記した電源バックアップ機能が設けられていない。しかし、演出制御部22と液晶制御部23には、システムリセット信号SYSが共通して供給されており、他の制御部21,24と、ほぼ同期したタイミングで電源リセット動作が実現される。
図3及び図4に示す通り、演出インターフェイス基板27は、コマンド中継基板26と、電源中継基板30と、枠中継基板31と、演出制御基板22と、ランプ接続基板34と、液晶制御基板23と、インバータ基板33とに接続されている。
図4に示すように、演出制御部22は、音声演出・ランプ演出・可動演出体による予告演出・データ転送などの処理を実行するワンチップマイコン40と、ワンチップマイコン40の制御プログラムなどを記憶するEPROM41と、ワンチップマイコン40からの指示に基づいて音声信号を再生して出力する音声再生出力回路42と、再生される音声信号の元データである圧縮音声データを記憶する音声用メモリ43と、ウォッチドッグタイマWDTとを備えて構成されている。
ワンチップマイコン40には、パラレル入出力ポートPIOが内蔵されている。そして、パラレルポートPIOからは、制御コマンドCMD’及びストローブ信号STB’と共に、可動演出体AMUを構成する昇降モータMOa,MOb及び演出モータMOcを回転させる駆動データが出力されている。図示の通り、出力された駆動データは、ドライバ回路45を経由して各モータMOa〜MOcに供給される。なお、各モータMOa〜MOcは、ステッピングモータで構成されている。
ここで、昇降モータMOa,MObは、可動演出体AMUを上下方向に往復運動させる昇降機構ALVを構成しており、演出モータMOcは、第二部材52の演出部品(日本刀の鞘)を往復運動させる可動演出を実現している。また、回転モータMOa〜MOcに関連して、4つの位置検出センサSNa,SNb1,SNb2,SNcが設けられており、その検出スイッチ信号Sa,Sb,Scは、センサ基板SENSを経由してパラレルポートPIOに入力されている。図示の通り、4個の位置検出センサに対して、ワンチップマイコン40に供給される検出スイッチ信号Sa,Sb,Scは3ビットに纏められている。
ウォッチドッグタイマWDTは、ワンチップマイコン40から定期的に供給されるクリアパルスでリセットされるが、プログラムの暴走などによって、このクリアパルスが途絶えると、リセット信号RESETを出力するようになっている。その結果、ワンチップマイコン40は、初期状態に強制的にリセットされ、プログラムの暴走状態などが解消される。
図4に示す通り、演出制御基板22のワンチップマイコン40には、主制御基板21から出力された制御コマンドCMDとストローブ信号(割込み信号)STBとが、演出インターフェイス基板27のバッファ48を経由して供給されている。割込み信号STBは、ワンチップマイコンの割込み端子INTに供給されている。そして、ストローブ信号STBによって起動される受信割込み処理によって、演出制御部22は、制御コマンドCMDを取得する。
演出制御部22が取得する制御コマンドCMDには、(a)エラー報知その他の報知用制御コマンドなどの他に、(b)図柄始動口への入賞に起因する各種演出動作の概要を特定する制御コマンド(変動パターンコマンド)が含まれている。ここで、変動パターンコマンドで特定される演出動作の概要には、演出開始から演出終了までの演出総時間と、大当り抽選における当否結果とが含まれている。なお、これらに加えて、リーチ演出や予告演出の有無などを含めて変動パターンコマンドで特定しても良いが、この場合でも、演出内容の具体的な内容は特定されていない。
そのため、演出制御部22では、変動パターンコマンドCMDを取得すると、これに続いて演出抽選を行い、取得した変動パターンコマンドで特定される演出概要を更に具体化している。
例えば、リーチ演出や予告演出について、その具体的な内容が決定される。そして、決定された具体的な遊技内容にしたがい、LED群などの点滅によるランプ演出や、スピーカによる音声演出の準備動作を行うと共に、液晶制御部23に対して、ランプやスピーカによる演出動作に同期した図柄演出に関する制御コマンドCMD’を出力する。また、可動演出体AMUを使用する予告動作時には、昇降モータMOa,MObを回転させた後、演出モータMOcを回転させる。
ところで、遊技機の電源投入時には、昇降モータMOa,MObと演出モータMOcが適宜に回転して待機位置(原点位置)に回収されるようになっている。このような初期動作を実行するのは、前日の営業終了時には、遊技動作が継続されていても電源が遮断されるので、遊技途中の中途半端な状態のままで可動演出体AMUが停止している可能性があるからである。したがって、前日の停止位置に拘わらず、営業開始時には、可動演出体AMUは、本来の待機位置で遊技動作の開始を待つことになる。
このような可動演出を含む各種の演出動作に同期した図柄演出を実現するため、演出制御部22は、液晶制御部23に対するストローブ信号(割込み信号)STB’と共に、制御コマンドCMD’を演出インターフェイス基板27に向けて出力する。なお、演出制御部22は、表示装置に関連する報知用制御コマンドや、その他の制御コマンドを受信した場合は、その制御コマンドを、そのまま割込み信号STB’と共に演出インターフェイス基板27に向けて出力する。
上記した演出制御基板22の構成に対応して、演出インターフェイス基板27は、8ビット長の制御コマンドCMD’と1ビット長の割込み信号STB’を受けるよう構成されている。そして、これらのデータCMD’,STB’は、バッファ回路46を経由して、そのまま液晶制御基板23に出力される。また、演出インターフェイス基板27は、演出制御部22から出力されるランプ駆動用の信号を受け、これを、ランプ接続基板34を経由してLEDランプ群に供給する。その結果、主制御部21が出力した制御コマンドCMDに対応するランプ演出が実現される。
図5(a)は、演出制御基板22に搭載されたドライバ回路45と、昇降モータMOaとの接続関係を示す回路図である。なお、便宜上、昇降モータMOaに対するドライバ回路45だけを記載しているが、昇降モータMObや演出モータMOcに対するドライバ回路45も全く同一構成である。
この実施例では、何れのモータMOa〜MOcも、二相励磁されるステッピングモータで構成され、各ドライバ回路45は、ダーリントン接続されたトランジスタTrとダンパーダイオードDpとを有して構成されている。また、駆動テーブルTBLに格納された駆動データΦ1〜Φ4のうち、ポインタPTa〜PTcが指示する駆動データが、対応するモータMOa〜MOcに4mS毎に供給されるよう構成されている。なお、3つのポインタPTa〜PTcは、3つのモータMOa〜MOcに対応しており、各モータMOa〜MOcの回転方向に対応して、正方向又は負方向に循環的に更新される。
図5(b)は、センサ基板SENSの構成を示す回路図である。センサ基板SENSには、4つの位置検出センサSNa,SNb1,SNb2,SNcと、位置検出センサSNb1,SNb2の出力を受けるORゲートGとで構成されている。なお、位置検出センサSNaは、正面視で、可動演出体AMUの左上位置、位置検出センサSNb1は、可動演出体AMUの右上位置、位置検出センサSNb2は、可動演出体AMUの左下位置に配置されている(図9参照)。また、位置検出センサSNcは、第二部材52の演出部品(日本刀の鞘SA)の原点位置を検出する箇所に配置されている。
各センサSNa,SNb1,SNb2,SNcは、具体的には、発光部と受光部とを有するフォトインタラプタPHで構成され、発光部は、フォトダイオードで構成され、受光部は、フォトトランジスタで構成されている。フォトダイオードとフォトトランジスタには各々、電流制限抵抗を通して電源電圧Vccが供給され、フォトトランジスタのコレクタ端子の電圧が、検出スイッチ信号Sb1,Sb2,Sa,Sbとして出力される。
そのため、検出スイッチ信号Sb1,Sb2,Sa,Sbは、フォトインタラプタPHが遮光されない通常時は、Lレベルであるが、フォトインタラプタPHが遮光されるON動作時にはHレベルとなる。そして、検出スイッチ信号Sb1,Sb2は、ORゲートGを経由して出力されるので、演出制御基板22のパラレル入出力ポートPIOの入力端子には、全体として3ビットの検出スイッチ信号Sa,Sb,Scが入力されることになる。
このように、本実施例では、可動演出体AMUの右上位置と左下位置に配置された位置検出センサSNb1,SNb2のORゲート出力が検出スイッチ信号Sbとなる。そのため、検出スイッチ信号SbがONレベル(Hレベル)である場合には、右上位置と左下位置の何れのセンサSNb1,SNb2が、ON状態であるかが判定できない。しかし、本実施例に係る可動演出体AMUでは、その構造上、2つの位置検出センサSNb1,SNb2が共にON状態となる可能性はないので、単純なプログラム処理を設けるだけで、検出スイッチ信号Sbによって、位置検出センサSNb1,SNb2の本来の機能を発揮させることができる。そのため、ワンチップマイコンに内蔵された入力ポートの入力端子を無駄に消費することがない。なお、この点は更に後述する。
図6は、実施例に係る可動演出体AMUを図示したものであり、可動演出体AMUが、待機位置(原点)に退避した上昇状態(a)と、演出位置に移動した降下状態(b)とを示している。また、図7は、上昇状態の可動演出体AMUについて、日本刀や家紋MNなどを除去した状態を示している。なお、図6〜図7では、便宜上、演出部品たる日本刀は、何れの場合にも、鞘SAから抜けて刃BLが現れる露出状態となっている。しかし、実際の待機状態(図6(a)及び図7)では、日本刀の鞘SAが、左方向に移動して日本刀の鍔GUに接触している。
先に説明した通り、この可動演出体AMUは、一対のガイド軸PL,PLに案内されて垂直方向に往復移動する第一部材51と第二部材52とに分離されて構成されている。そして、第一部材51は、昇降機構ALVによって垂直方向上下に移動可能に構成されている。なお、ガイド軸PL,PLにコイルスプリングSP,SP(図7)を巻着して、第二部材52を垂直上方に付勢する構成を追加しても良い。
図6に示す通り、第二部材52には日本刀が固定され、日本刀の背面には、家紋MNの上半分M1が固定されている。また、第一部材51には、家紋MNの下半分M2が固定されている。本実施例では、第一部材51がガイド軸PLのやや後方に偏移して配置され、第二部材52が、ガイド軸PLのやや前方に偏移して配置されている(図7(c))。そのため、図6(a)の待機状態では、家紋MNの上下M1,M2が平面視で重合するなど、演出部品や装飾部品をコンパクトに収容することが可能となる。一方、第一部材51が降下した演出位置では、後方側の家紋M2が、前方側の家紋M1の下方に位置して、遊技者の正面視で単一の家紋MNが完成される。この完成状態では、上下の家紋M1,M2の接続位置に日本刀が位置するので、遊技者にとって上下の家紋M1.M2の前後関係が意識されることはない。
昇降機構ALVは、独立して回転可能な左右の昇降モータMOa,MObと、昇降モータMOa,MObの回転を伝達する駆動ギア53及び従動ギア54と、従動ギア54の垂直上方に配置される回転ローラ55と、従動ギア54と回転ローラ55に保持されて周回する歯付きベルト56とを有して構成されている。なお、便宜上、一部しか図示していないが、歯付きベルト56の内周には、その全周に亘って係合歯THが形成されている。
図9に示す通り、左右の昇降モータMOa,MObに近接して当接ローラRL,RLが配置されている。そして、当接ローラRL,RLが、歯付きベルト56の外周平坦面を内向きに押圧することで、歯付きベルト56に適度なテンションを付与している。そのため、歯付きベルト56が永年使用によって伸びることがあっても、従動ギア54と係合歯THとの確実な歯合を可能にして円滑な昇降動作を実現している。
また、2つの昇降モータMOa,MObは、何れか一方だけを任意の方向に回転させることができるよう構成されている。そのため、この独立回転によって可動演出体AMUの原点位置への復帰動作を確実にしている。もっとも、通常は、昇降モータMOa,MObは、順方向又は逆方向に同期して回転することで、可動演出体AMUの円滑で迅速な昇降動作を実現している。なお、駆動ギア53と従動ギア54のギア比N:1は、この実施例では、N>1に設定されており、可動演出体AMUの高速動作を可能にしている。
図7及び図8に示す通り、第一部材51は、ガイド軸PLを受け入れるガイド孔が形成された左右の支持部57,57と、支持部57,57の内側に掛け渡された基体BS1と、支持部57,57の外側に配置された連結部58,58とが一体化されて構成されている。支持部57は、ガイド孔を貫通された直方体部SQと、略平板状の取付部BD1,BD2とを有して一体構成され、連結部58は、支持部57の取付部BD2に固定されている。なお、基体BS1には、演出モータMOcに対応する湾曲部ARMが設けられることで、降下時における第二部材52(演出モータMOc)との不要な干渉を避けている。
連結部58は、支持部57の取付部BD2と共に、第一部材51を歯付きベルト56に連結させる部分であり、連結部58の裏面には、歯付きベルト56の係合歯THに対応する係合歯が設けられている、そして、連結部58の裏面と、取付部BD2とが、歯付きベルト56を歯合状態で挟着することで、第一部材51は、歯付きベルト56の周回移動に対応して円滑に昇降される。また、支持部57と連結部58とは、歯付きベルト56の周回移動のストッパとして機能するので、第一部材51は、図6(a)の原点位置より上昇することはなく、図6(b)の演出位置より降下することはない。
図8に示す通り、連結部58には、遊技機の前面に向けて突出する係止突起PRと、背面側に延びる遮光片SHが設けられている。ここで、係止突起PRは、第二部材52の左右の突出片EGを受け止めて支持する部分である。
図6や図9に現れる通り、待機状態の第一部材51(図9(a)原点位置)における、左右の連結部58,58の遮光片SHに近接して位置検出センサSNa,SNb1が配置されている。また、演出状態の第一部材51(図9(b)演出位置)における、左側の連結部58の遮光片SHに近接して位置検出センサSNb2が配置されている。
そのため、図9(a)の原点位置では、位置検出センサSNa,SNb1の検査光が遮光片SHによって遮光されて、検出スイッチ信号Sa,Sb1がON状態となる。一方、図9(b)の演出位置では、位置検出センサSNb2の検査光が遮光片SHによって遮光されて、検出スイッチ信号Sb2がON状態となる。
第二部材52は、図7に示す通り、その移動方向に直交して水平に延びる基体BS2に、各種の演出部品や装飾部品が装着されて構成され、その左右終端部に、突出片EG,EG(図8)が延設されている。そして、基体BS2の左右両端には、ガイド軸PLを受け入れるガイド孔が形成されている。また、基体BS2の右端部には、日本刀の可動演出時のガイド部材66が固定されている。
この実施例では、演出部品として、演出モータMOcの回転に伴って抜き差しされる日本刀を使用し、装飾部品として、家紋MNを使用しているが、何ら限定されるものではなく、その他の部品を使用しても良いのは勿論である。
図7(c)に示す通り、基体BS2の背面には、家紋MNの上半分M1が固定されている。そして、家紋M1の上部には、磁性体MGが配置されている。この磁性体MGに対応して遊技機の本体には、永久磁石が配置されており、図6(a)の原点位置では、磁性体MGが永久磁石に磁着されている。本実施例では、このような構成を採るので、原点位置の待機状態(図6(a))では、第二部材52の重量が、事実上、第一部材51に加わることがない。
また、図7(c)に示す通り、基体BS2の背面には、演出モータMOcが固定され、演出モータMOcの回転軸は、基体BS2を貫通してピニオン62に接続されている。そして、ピニオン62に歯合するラックギア63には、スライド溝GVを移動するスライドバー64と、取付板65とが固定されている。ここで、スライド溝GVの左端部には、原点センサたる位置検出センサSNcが配置されている。したがって、スライドバー64が、左方向に限界位置まで移動すると、位置検出センサSNcがON状態となって原点位置が検出される。
また、ラックギア63と一体的に移動する取付板65には、断面が略半楕円状に形成された日本刀の鞘SAが固定され、日本刀の鞘SAの内側には、ガイド部材66が配置されている。なお、ガイド部材66の内部には、演出モータMOcの荷重にバランスするウェイトWTが配置されている。また、日本刀の刃BLは、半透明に構成され、その内部には、複数の発光ダイオードが配置されている。
第二部材52は、上記の通りに構成されているので、演出モータMOcの回転に伴って、ラックギア63が左右に移動すると、日本刀の鞘SAが、ガイド部材66に案内されて左右に移動する。そして、左方向に限界位置まで移動して位置検出センサSNcがON状態となるタイミングでは、日本刀の鞘SAが鍔GUに接触するよう構成されている。
なお、本実施例では、(1)基体BS2の左右中央位置であって、その背面に装飾部品(家紋)の一部(上半分)を取り付けたこと、(2)基体BS1の左右中央位置であって、その前面に装飾部品の別の一部(下半分)を取り付けたこと、(3)演出動作時には、分割構成の装飾部材を一体化させること、などの理由から演出モータMOcを基体BS2の一方側(左側)に偏移させて配置している。そして、演出モータMOcの荷重にバランスさせるためのウェイトWTを配置している。但し、このような構成に限定されるものではなく、別の装飾部品や演出部品を使用する場合には、演出モータMOcを基体BS2の左右中央位置に配置しても良い。
続いて、第一部材51の係止突起PRと、第二部材52の突出片EGとの相互関係を確認的に説明する。
<待機状態>
先に説明した通り、第一部材51が限界位置まで上昇した待機状態(図6(a))では、第二部材52が、磁着力によって遊技機本体に吊下げられている。そのため、突出片EGは、係止突起PRに接触しているものの、第二部材52の荷重が、特に、第一部材51の係止突起PRに加わることはない。
<降下動作>
待機状態の原点位置から、可動演出体AMUが降下動作を開始すると、最初、第二部材52を残して、第一部材51だけが降下するので、第二部材52の突出片EGと、第一部材51の係止突起PRとが離間状態となる。
第一部材51が初期降下を終えて、第一部材51の支持部57(直方体部SQ)が、第二部材52に接触すると、第二部材52が押下されて、磁着状態の第二部材52が遊技機本体から切り離されて落下する。しかし、第二部材52の突出片EGが、第一部材51の係止突起PRに受止められるので、第二部材52のそれ以上の落下は、係止突起PRによって阻止される。そして、第一部材51に受止められた第二部材52は、第一部材51と共に演出位置(図6(b))に向けて降下する。
<演出位置>
可動演出体AMUが演出位置に達すると、上下幅がやや幅太の第二部材52は、その位置で停止されるが、上下幅の狭い第一部材51は、第二部材52を残して更に降下する。そして、遮光片SHが位置検出センサSNb2を遮光する位置で、第一部材51の降下動作は停止される。そのため、第一部材51が最下部に位置する停止状態では、突出片EGと係止突起PRとは離間している(図6(b)参照)。
<上昇動作>
上昇動作は、降下動作の反対であり、第一部材51が初期上昇した後、係止突起PRが突出片EGに係合して、第一部材51と第二部材52とが一体的に上昇する。そして、遮光片SHが位置検出センサSNa,SNb1をON動作させると、その待機位置で上昇動作を停止する。
図10〜図12は、上記した可動演出体AMUの演出動作を実現する演出制御部22の動作内容を説明するフローチャートである。
図10に示す通り、演出制御部22の動作は、電源投入後に開始されるメイン処理(a)と、4mS毎に起動されるタイマ割込み処理(b)と、ストローブ信号STBによって起動される受信割込み処理(不図示)とを含んで実行されている。なお、図10(c)には、受信コマンド解析処理(ST8)の詳細が図示され、図10(d)には、演出シナリオ進行処理(ST9)の一部である可動演出処理の内容が示されている。
図10(a)に示す通り、メイン処理では、最初に、ワンチップマイコン40などの初期設定と共に、ポインタPTa〜PTc及び動作モードMDを初期設定して4mS毎のタイマ割込みを許可する(ST1)。ここで、ポインタPTa〜PTcは、ステッピングモータMOa〜MOcに出力すべき駆動データΦ1〜Φ4を特定するポインタであり、駆動テーブルTBL(図5(a))の先頭アドレスに初期設定される。また、動作モードMDは、可動演出の待機状態を意味する「0」から、可動演出中を意味する「1」〜「4」に変化するが、初期状態では、原点復帰処理を実現するため、特に「−1」に初期設定される。
ステップST1の処理で割込みが許可されたことにより、その後は、4mS毎に図10(b)に示す割込み処理プログラムが起動される。そして、割込み処理プログラムでは、割込みフラグINTを1にセットして処理を終える(ST11)。
そのため、メイン処理では、割込みフラグINTが1となるのを待ち(ST2)、INT=1となると、割込みフラグINTを0にリセットして(ST3)、可動演出体の原点復帰処理を実行する(ST4)。図11は、原点復帰処理(サブルーチン)の詳細を示しているが、ここでは、一回の原点復帰サブルーチン処理において、モータMOa〜MOcの何れかに駆動データを出力するよう構成されている。そして、可動演出体AMUが原点位置に復帰した段階では、動作モードMDが0に設定される(ST41)。
そのため、メイン処理では、原点復帰サブルーチン処理を一回実行する毎に、動作モードMDを判定して(ST5)、MD=0となるまで、モータの駆動処理(原点復帰処理(ST5))を、4mS毎に繰返す(ST2〜ST5)。
以下、図11を参照しつつ、4mS毎に実行される原点復帰処理(ST4)を説明する。先ず、全ての検出スイッチ信号Sa〜Scを、入力ポートPIOから取得して記憶する(ST31)。次に、原点センサSNcの検出スイッチ信号Scを判定し(ST32)、もしOFF状態であれば、演出モータMOcに駆動データを出力することで、1ステップだけ演出モータMOcを逆回転させる(ST33)。具体的には、ポインタPTcを逆方向に更新し、更新後のポインタPTcが示す駆動データを演出モータMOcに出力する。
このような処理を設けるのは、前日の営業終了時に、演出部品(日本刀)が抜かれた状態のままで電源が遮断されることもあるからである。そして、演出モータMOcを逆回転すると、ピニオン62とラックギア63が機能して、日本刀の鞘SAが鍔GUに近づく。そのため、4mS毎に、ステップST33の処理を繰返していると、やがて、日本刀の鞘SAが鍔GUに接触するタイミングで、原点センサSNcの検出スイッチ信号ScがON状態となる。
そこで、そのような場合にはステップST32の判定に続いて、左上位置に配置されている位置検出センサSNaの検出スイッチ信号Saを判定する(ST34)。ここで、検出スイッチ信号SaがOFF状態であれば、次に、検出スイッチ信号Sbを判定する(ST35)。先に説明した通り、検出スイッチ信号Sbは、右上位置に配置した位置検出センサSNb1と、左下位置に配置した位置検出センサSNb2の検出スイッチ信号の論理OR値を意味する。
但し、第一部材51の構造上、位置検出センサSNb1,SNb2が共にON状態であることはありえず、位置検出センサSNb1,SNb2が共にOFF状態であるか(検出スイッチ信号SbがOFF)、何れか一方がON状態であるか(検出スイッチ信号SbがON)のいずれかである。
そして、ここでは、左上位置に配置した位置検出センサSNaはOFF状態である場合を説明しているので、検出スイッチ信号SbがOFF状態である前者の場合には、可動演出体AMUを一体的に上昇させるべく、2つの昇降モータMOa,MObを1ステップだけ逆回転させる(ST36)。具体的には、ポインタPTa,PTbを逆方向に更新し、更新後のポインタPTa,PTbが示す駆動データを、対応する昇降モータMOa,MObに出力する。
一方、検出スイッチ信号SbがON状態である場合には、可動演出体AMUの右端の状態に拘らず、可動演出体AMUの左端は、原点位置に復帰していないので(SNaはOFF)、可動演出体AMUの左側だけを上昇させるべく、昇降モータMOaを1ステップだけ逆回転させる(ST37)。具体的には、ポインタPTaを逆方向に更新し、更新後のポインタPTaが示す駆動データを昇降モータMOaに出力する。
検出スイッチ信号SbがON状態である場合、左下位置の位置検出センサSMb2がON状態の場合(図示(7)の状態)と、右上位置の位置検出センサSMb1がON状態の場合(図示(6)の状態)とがあり、その何れかが区別できない。しかし、可動演出体AMUの左端が降下していることだけは明らかであるので、昇降モータMOaだけを逆回転させるのである。
ところで、ステップST34の判定で、検出スイッチ信号SaがON状態である場合には、続いて、検出スイッチ信号Sbを判定する(ST38)。そして、検出スイッチ信号SbがOFFレベルであって、位置検出センサSNb1,SNb2が共にOFF状態である場合には、可動演出体AMUの右側だけを上昇させるべく、昇降モータMObを1ステップだけ逆回転させる(ST39)。
このような処理(ST34〜ST39)を繰返していると、やがて、可動演出体AMUが原点位置に復帰して、検出スイッチ信号Saと検出スイッチ信号Sbが共にON状態となる。そこで、その場合には、ステップST38の判定に続いて、全てのモータMOa〜MOcを非駆動状態にすると共に(ST40)、待機状態であることを示すべく動作モードMDを「0」に設定する(ST41)。
なお、ステップST40の処理によって昇降モータMOa,MObが非駆動状態に移行することによる弊害も懸念されるが、本実施例では、可動演出体AMUが第一部材51と第二部材52に区分され、第一部材51が軽量化されていることから、昇降モータMOa,MObに接続されている第一部材51が、自然降下することはない。また、家紋M1に内蔵された磁性体MGが、機器本体に配置された永久磁石に磁着されているので、第二部材52が自然降下することもない。なお、コイルスプリングSP,SPを付加した場合には、その上向き付勢力も有効に機能する。
以上の通り、本実施例によれば、単純なプログラム処理(図11参照)を設けるだけで、検出スイッチ信号Sbによって、位置検出センサSNb1,SNb2の本来の機能を発揮させることができ、可動演出体AMUを円滑に原点に復帰させることができる。
つづいて、初期処理を終えた後のメイン処理(図10)について説明する。メイン処理のステップST6の処理では、割込みフラグINTが1になるのを繰り返しチェックすることになる。そして、割込みフラグINT=1となると、これをリセットした後に(ST7)、受信コマンド解析処理を実行する(ST8)。
受信コマンドには、変動パターンコマンド、予告演出コマンド、報知用制御コマンドなどが含まれている。そこで、受信コマンド解析処理では、図10(c)に示す通り、先ず、変動パターンコマンドを新規に受信したか否かを判定し(ST12)、変動パターンコマンドを受信している場合には、演出内容を具体的に特定する演出抽選を実行する(ST14)。そして、これから実行すべき演出シナリオについて初期設定処理を実行する(ST15)。その他、予告演出コマンドを受信した場合にも、予告演出のシナリオについて初期設定をする(ST13、ST15)。予告演出には可動演出体AMUを回転させる演出が含まれている。そして、このようにして初期設定された演出シナリオは、その他のランプ演出処理などと共に、メイン処理において、4mS間隔で進行される(ST9〜ST10)。
演出シナリオ処理には、図10(d)に示す可動演出処理が含まれている。可動演出処理では、シナリオの進行を4mS毎にチェックして(ST20)、可動演出の開始タイミングに達すると動作モードMDを1に初期設定する(ST21)。次に、動作モードの値をチェックして、MD=1,2,3の何れかであれば、可動演出体AMUの移動を伴う可動演出を実行する(ST23)。一方、MD=4であれば、可動演出体AMUを原点位置に復帰させるべく図11に示す原点復帰処理を実行する(ST24)。先に説明した通り、可動演出の待機状態や原点復帰処理の完了後には動作モードMDがMD=0であるので、そのような場合には、何もしないで、可動演出処理を終える。
図12は、可動演出の内容を説明するフローチャートである。ここでは、原点位置で待機している可動演出体AMUを、演出位置まで降下させ、日本刀を抜いた後、刃の内部に設けた発光ダイオードを点滅させる予告演出を実行することにする。そして、このような予告演出(可動演出)を終えた後は、可動演出体AMUを元の原点位置に復帰させている。
以下、図12に基づいて可動演出体AMUの移動演出処理(ST23)の動作内容を説明する。先ず、全ての検出スイッチ信号Sa〜Scを、入力ポートPIOから取得して記憶する(ST50)。そして、動作モードMDの値を判定する(ST51)。移動演出処理の開始時には、動作モードMD=1であるので(ST21参照)、このような場合には、昇降モータMOa,MObを1ステップだけ順方向に回転させる。具体的には、ポインタPTa,PTbを順方向に更新し、更新後のポインタPTa,PTbが示す駆動データを各昇降モータMOa,MObに出力する。
続いて、初期状態がゼロのカウンタ変数CNTをインクリメントして(ST53)、その値が予備回転数DUYに達するまで、ステップST50〜ST52の処理を繰返す。このような予備回転処理を設けるのは、本実施例では、左下位置と右上位置の位置検出センサSNb1,SNb2の検出スイッチ信号の論理OR値しか取得していないためである。すなわち、検出スイッチ信号SbがON状態の場合に、可動演出体AMUの左端が演出位置に達したのか、それとも、可動演出体AMUの右端が原点位置に止まっているのか区別できないので、可動演出体AMUが、必ず、原点位置から離れるまで2つの昇降モータMOa,MObを予備回転させている。
そして、カウンタ変数CNTが予備回転数DUYを超えた後は、検出スイッチ信号Sbを判定して(ST55)、もし、検出スイッチ信号SbがON状態であれば、可動演出体AMUが演出位置まで降下したと判断して、動作モードMDを2にすると共に、カウンタ変数CNTをゼロに初期設定する(ST56)。
したがって、その後は、ステップST50〜ST51の後に、ステップST57の処理が実行される。ここでは、演出モータMOcを順方向に1ステップだけ回転させる(ST57)。具体的には、ポインタPTcを順方向に更新し、更新後のポインタPTcが示す駆動データを演出モータMOcに出力する。
本実施例では、遊技機の電源投入後に原点復帰処理(ST2〜ST5)を実行しており、その結果、スライドバー64や日本刀の鞘SAが原点位置に復帰しているので、演出モータMOcを順回転させることで、日本刀の鞘SAを右方向に移動させる。
日本刀を抜くために必要な演出モータMOcの回転数は、予め、確定されているので、カウンタ変数CNTをインクリメントした後(ST58)、そのカウンタ変数CNTの値が必要回転数TGTに達したか否かを判定する(ST59)。
そして、CNT=TGTとなれば、動作モードMDを3にすると共に、カウンタ変数CNTをゼロに初期設定する(ST60)。
動作モードMDが3に変化した後は、ステップST50〜ST51の後に、ステップST61の処理が実行される。ステップST61では、発光ダイオードの点滅処理が実行される(ST61)。そして、カウンタ変数CNTをインクリメントしつつ、予め決定されている演出時間に達するかを判定する(ST63)。そして、演出時間に達すると、動作モードMDを4にすると共に、カウンタ変数CNTをゼロに初期設定する(ST64)。
その後は、可動演出処理(図10(d))のステップST22の判定の後に、原点復帰処理(ST24)が実行されるので、抜かれた日本刀が元の状態に戻り、可動演出体AMUが上昇して限定位置に復帰する。
以上、本発明の実施例について具体的に説明したが、具体的な記載内容は特に本発明を限定するものではない。例えば、実施例では、演出制御部22において可動演出体AMUを回転駆動したが、この構成に代えて、演出インターフェイス基板や主制御基板において回転駆動してもよいのは勿論である。なお、本発明は、弾球遊技機に限定されないのは勿論であり、スロットマシンなどにも好適に適用可能である。
また、図12の予備回転動作に代えて、検出スイッチ信号SbがOFF→ONと順番に変化することを検出しても良い。この場合には図12の破線に示すように、先ず、検出スイッチ信号SbがOFF状態になるまで、2つの昇降モータMOa,MObを順方向に回転させ(ST71〜ST72)、検出スイッチ信号SbがOFF状態となると、移行フラグFLGを1にセットする(ST73)。そして、移行フラグFLG=1の状態で、検出スイッチ信号SbがON状態となるまで(ST74)、2つの昇降モータMOa,MObを順方向に回転させれば良い。
また、例えば、遊技機が強く叩かれたような場合に、可動演出体AMUが、原点位置で傾斜状態となっている可能性が否定できない場合には、2つの昇降モータMOa,MObを同期回転させるのではなく、個別に回転させるのが効果的である。図13は、この場合の実施例であり、左上位置の検出スイッチ信号SaがON状態で、検出スイッチ信号SbがON状態である場合には、2つの昇降モータMOa,MObを同期回転させるが(ST77〜ST80)、検出スイッチ信号SbがOFF状態である場合には、左側の昇降モータMOaだけを順回転させる(ST81)。
一方、左上位置の検出スイッチ信号SaがOFF状態で、検出スイッチ信号SbがON状態である場合には、右側の昇降モータMObだけを順回転させる(ST83)。そして、検出スイッチ信号Saと検出スイッチ信号Sbが共にOFF状態になれば、判定フラグFLGを1にセットする(ST84)。
その後の処理は、図12の場合と同じであり、検出スイッチ信号Sbが新たにON状態となるまで、2つの昇降モータMOa,MObを同期回転させる(ST85〜ST88)。
以上、3つの位置検出センサSNa,SNb1,SNb2を設ける実施例について説明した。しかし、可動演出体AMUが重量化したり、或いは、重心位置がやや偏移しているような場合には、右下位置に、4つ目の位置検出センサSNdを設けるのも効果的である。
図14は、4個目の位置検出センサSNdを設けた場合における、原点位置から演出位置への簡略移動処理を説明するフローチャートである。動作内容は、図11に示す原点復帰処理と実質的に同じであり、位置検出センサSNaの判定(ST34)に代えて、位置検出センサSNdが判定される(ST34’)。そして、その検出スイッチ信号SdがOFF状態であって、且つ、検出スイッチ信号SbがON状態であれば、駆動モータMOaの逆回転(ST37)に代えて、駆動モータMObが順回転される(ST37’)。なお、検出スイッチ信号Sdと検出スイッチ信号Sbが共にOFF状態であれば、2つの昇降モータMOa,MObを順回転させる(ST36’)。
一方、位置検出センサSNdの検出スイッチ信号SdがON状態となると、検出スイッチ信号SbがOFF状態であれば、昇降モータMObの逆回転(ST39)に代えて、昇降モータMOaを順回転させる(ST39’)。そして、検出スイッチ信号SbがON状態になれば、その状態で目標位置(演出位置)への到達と判断する(ST56)。
なお、以上の簡略移動処理では、位置検出センサSNaの値を判定しなかったが、図14の下段に示すように、検出スイッチ信号Saも含めて判定すると更に円滑な移動が可能となる。