まず、本実施形態のパチンコ遊技機の概要について説明する。
本実施形態は、種々の図柄を変動表示する表示装置を備えた遊技機であって、前記遊技機を制御する複数種類の制御コマンドを送信する主制御手段と、前記制御コマンドを受信し、該制御コマンドに基づく制御を行う副制御手段とを備え、前記主制御手段は、該主制御手段の起動時に行われる初期化処理にて、前記複数種類の制御コマンドのうち該主制御手段の初期化を意味する初期化コマンドを前記副制御手段へ送信する処理を行い、前記副制御手段は、前記初期化コマンドの受信の有無に関わらず、該副制御手段の起動時に行われる初期化処理の完了後に、前記制御コマンドを受信可能とする。
本実施形態の遊技機では、例えば、開店時に遊技機を起動したときや、何らかの原因で遊技機がリセットされたとき、初期化処理が行われる。また、主制御手段は、その初期化処理の中で副制御手段に初期化コマンドを送信する。
ここで、副制御手段は、その初期化コマンドを受信したか否かに関わらず、副制御手段の初期化処理の完了後に、主制御手段から送信された制御コマンドを受信することができる。
したがって、主制御手段から初期化コマンドが正常に送信されなかった場合や、副制御手段で初期化コマンドが何らかの原因で受信できなかった場合にも、副制御手段は、制御が不能となることがなく、その後に受信した制御コマンドに基づいて、例えば、表示制御を行うことができる。
また、本実施形態の遊技機において、副制御手段は、該副制御手段の起動時に行われる初期化処理として、初めに、少なくとも前記制御コマンドの受信に必要な初期設定をする第1の処理を行い、その後、該制御コマンドの受信割込みを許可する第2の処理を行い、前記第2の処理が終了したときには、前記制御コマンドを受信可能とし、前記第2の処理の後、前記第1の処理の内容以外の初期設定をする第3の処理を行い、その後、前記制御コマンドの受信割込み以外の割込みを許可する第4の処理を行うことが好ましい。
第1の処理の制御コマンドの受信に必要な初期設定とは、例えば、制御コマンドを格納する領域を確保するため、コマンド受信用バッファを初期状態とする設定である。また、第2の処理の制御コマンドの割込みの許可とは、制御コマンドの受信割込みが実行されるように許可することを意味する。
副制御手段の初期化処理では、制御コマンドの受信に関係する初期設定と、これ以外の初期設定が分離され、制御コマンドの受信に関係しない初期設定については、初期化処理の後半に実行することができる。同様に、制御コマンド受信割込み以外の割込み(例えば、タイマ割込み)の許可も初期化処理の後半に実行することができる。
この制御は、遊技機の様々な部分の初期設定や割込み設定を一度にまとめて行う方法よりも時間を要せず、制御コマンドの受信に関係する処理のみを優先して実行するものである。これにより、早期に制御コマンドの受信が可能となる。
また、本実施形態の遊技機において、前記主制御手段は、前記遊技機に異常が発生した場合には、前記副制御手段に前記複数種類の制御コマンドのうち前記異常に関する異常コマンドを送信することが好ましい。
本実施形態の遊技機では、例えば、異常検知センサが異常を検知した場合に、その異常検知信号に基づいて、主制御手段が副制御手段に異常コマンドを送信する。
副制御手段は、第2の処理により、制御コマンドの受信割込みが許可されたときには、制御コマンドの受信が可能となる。したがって、制御コマンドの1つである異常コマンドの受信も可能となり、副制御手段は、異常コマンドに基づく制御を行うことができる。
また、本実施形態の遊技機において、前記副制御手段は、前記異常コマンドを受信した場合には、少なくとも前記表示装置により異常の報知をすることが好ましい。
副制御手段は、異常コマンドを受信した場合には、表示装置に「扉が開いています」等の異常表示をさせることができる。このとき、装飾LEDやスピーカ等の報知部材によって、表示装置の表示と連動した異常報知を行ってもよい。
副制御手段は、受信した異常コマンドにより、表示装置にて異常の報知を行うことができるので、セキュリティの高い遊技機を実現することができる。
次に、図1を参照して、本実施形態のパチンコ遊技機を構成する部分について説明する。図1に示すように、パチンコ遊技機1は、矩形状の外枠2と、この外枠2に開閉可能に枢着された前面枠3および前扉5を備えている。
前面枠3は、額縁状であり開口部に遊技盤4(図3参照)が取付け可能となっている。また、前扉5の中央部にはガラス板6が嵌め込まれており、外部より遊技盤4が視認可能となっている。
前扉5の上部左右両側にはスピーカ7が設けられている。スピーカ7は、遊技に伴う演出効果音を外部に出力する音響出力部である。また、前扉5の左右両側および上部には枠装飾LED8が設けられている。枠装飾LED8は、遊技の演出に連動してLEDが発光、点滅する発光装飾部である。
前扉5の下側には前面板9があり、その左端部は前面枠3に開放可能に枢着されている。前面板9には、発射機構を作動させるための発射ハンドル10、遊技球を貯留する上貯留皿11、下貯留皿12等が設けられている。
また、上貯留皿11の表面部分には、内蔵ランプが点灯したとき操作が可能となる左演出ボタン13と、中央演出ボタン14が設けられている。演出ボタン13、14は、遊技中に操作の機会が与えられ、ボタンを押下することにより演出を変化させることができる。
図2は、本実施形態のパチンコ遊技機の背面側の斜視図である。図2に示すように、パチンコ遊技機1の背面には、遊技盤4を裏側から押さえる枠体状の裏機構盤16が取り付けられている。
この裏機構盤16の上部には、パチンコホール側島設備の遊技球補給装置(図示省略)から供給される遊技球を貯留する遊技球貯留タンク17が設けられている。
また、遊技球貯留タンク17から球を導出するタンクレール18の傾斜下端には、遊技球を払い出すための遊技球払出装置19が設けられている。さらに、裏機構盤16の上部の隅部には、パチンコホールにある全遊技機を統括的に管理するホールコンピュータ(図4参照)に電気的に接続するための外部端子基板21が、端子基板ケース22に収納され、設けられている。
また、裏機構盤16の略中央には、遊技盤4の裏側に装着された透明の裏カバー23が備えられており、この裏カバー23内に、演出制御基板25を収納した透明の演出制御基板ケース25aと、液晶制御基板26を収納した透明の液晶制御基板ケース26aとが設けられている。
液晶制御基板ケース26aの下方には、その内部に主制御基板24を収納した透明な主制御基板ケース24aが設けられている。
主制御基板24は、パチンコ遊技機1の動作を統括的に制御するものである。主制御基板24は、各種スイッチやセンサと接続されているため、これらの検知信号を受信して各種処理を行う。なお、主制御基板24は、本発明の「主制御手段」に相当する。
また、主制御基板24には、RAMクリアスイッチ27が設けられている。RAMクリアスイッチ27を押下することによりRAM領域の記憶内容は消去され、パチンコ遊技機1は初期状態となる。
演出制御基板25は、主制御基板24から送信される各種制御コマンドを受信し、その制御コマンドに基づいて、例えば、盤面装飾LED35による演出を制御し、或いは液晶表示装置36によりエラーを報知する。なお、演出制御基板25は、本発明の「副制御手段」に相当する。
主制御基板ケース24aの下方には、電源基板28を収めた透明な電源基板ケース28aと、払出制御基板29を収めた透明な払出制御基板ケース29aが配設されている。
さらに、発射ハンドル10に対応する位置には、遊技球を打撃する打撃槌やこれを駆動する発射モータを備えた遊技球発射装置(図示省略)の後側に発射制御基板30が設けられている。
次に、図3を参照して、本実施形態のパチンコ遊技機1の遊技盤4について説明する。
図3に示すように遊技盤4は、略正方形のパネルで形成され、その盤面上の遊技領域4aは、化粧板4bの前面にビス等で固定されるセンター飾り体34a、左部コーナー飾り体34b、右部コーナー飾り体34c等の部材によって区画形成されている。飾り体34a〜34cは、ポリカーボネート等の硬質樹脂材料を用いた射出成形によってそれぞれ一体成型で形成されている。
センター飾り体34aには、複数の盤面装飾LED35が配置されている。盤面装飾LED35は、各遊技における図柄の変動表示や予告表示にともない発光色や発光態様を変化させ、演出を盛り上げる発光装飾部である。
遊技盤4の中央部には開口が形成され、この開口内に液晶表示装置36の表示画面が配置される。液晶表示装置36は、種々の数字、キャラクタ等が描かれた図柄や背景画像、リーチ等の各種演出を遊技に応じて表示する表示器である。なお、液晶表示装置36は、本発明の「表示装置」に相当する。
センター飾り体34aの右側には、人形の頭部及び胴体の形状をした可動役物37c、人形の腕の形状をした可動役物37dが配置されている。また、液晶表示装置36の前面下方には下駄の形状の可動役物37e配置されている。可動役物37c〜37eは、いずれも遊技における演出や大当り期待度に応じて動作する。
液晶表示装置36の下方には、第1特別図柄始動口38aおよび第2特別図柄始動口38bからなる始動入賞装置38が配置されている。遊技領域4aを流下する遊技球が第1特別図柄始動口38a、または第2特別図柄始動口38bに入賞することにより抽選が行われ、後述する特別図柄表示装置43aにて変動表示がなされる。また、液晶表示装置36でも、特別図柄の抽選に対応した変動表示が行われる。
第2特別図柄始動口38bは開閉部材を備えており、開閉部材が開放した場合、遊技球が入賞し易い状態となる。上記開閉部材は、普通図柄の抽選に当選した場合に、所定回数、所定時間開放するようになっている。以下では、第2特別図柄始動口38bと開閉部材を合わせた装置を普通電動役物と称することがある。
始動入賞装置38の下方には、第1大入賞装置39aが配置されている。また、始動入賞装置38の右側には、第2大入賞装置39bが配置されている。大入賞装置39a、39bは、共に特別図柄の抽選に当選したとき、すなわち大当りとなったときに所定時間開放される入賞装置である。遊技球が大入賞装置39a、39bの内部にある大入賞口(図示省略)に入賞することにより、多くの賞球を獲得することが可能となっている。
遊技領域4aの右側下方には、特別図柄表示装置43aおよび普通図柄表示装置43bが配置されている。特別図柄表示装置43aは、2個の7セグメントLED(左及び中)から構成され、特別図柄始動口38a、38bへの入賞を契機として特別図柄を変動させ、抽選結果を表示する。なお、残り1個の7セグメントLED(右)は、特別図柄及び普通図柄の保留球数や、時短状態であることを表示するために設けられている。
普通図柄表示装置43bは、複数のLEDからなる表示器であり、普通図柄用始動ゲート40aへの入賞を契機として普通図柄を始動させ、LEDの点灯により抽選結果を表示する。
遊技領域4aの左側には、普通図柄用始動ゲート40aや遊技球の流下方向を変化させる風車41、多数の遊技釘(図示省略)が配置されている。普通図柄用始動ゲート40aは、後述する普通図柄の始動契機となる入賞装置である。遊技球が普通図柄用始動ゲート40aを通過することにより抽選が行われ、普通図柄表示装置43bにて、普通図柄の変動表示がなされる。
また、第2大入賞装置39bの上方には、右普通図柄用始動ゲート40bが配置されている。これは、右打ちをする遊技状態の場合の普通図柄用の始動ゲートであり、遊技者が右打ちをしているか否かを検知する役割も有する。
遊技領域4aの左側下方には、複数の一般入賞口42が配置されている。遊技球が一般入賞口42に入賞すると所定数の賞球の払出しが行われる。
また、遊技領域4aの最も左側には、発射機構により発射された遊技球を遊技領域4aに案内するため略上下方向に延びたガイドレール44が配置されている。ガイドレール44は、金属製の帯状の外内2本のガイドレール44a、44bで構成されている。
これら外内2本のガイドレール44aおよび44bの間で上下方向に延びた空間が、前記発射機構から発射された遊技球が通過する発射通路45を形成している。内側ガイドレール44bの上端には、発射球の発射方向(遊技領域4a側)への通過を許可すると共に戻り方向(発射通路45側)への通過を阻止する戻り球防止片46が配設されている。また、内側ガイドレール44bの最下部にはアウト球回収口47と、アウト球回収口47にアウト球を導入する球寄せ部48が形成されている。
図4は、パチンコ遊技機1の制御装置の構成を示すブロック図である。なお、図4では信号を中継する中継基板や、本発明に関係のない一部の部材の構成を省略した。
この制御装置は、パチンコ遊技機1の動作を統括的に制御する主制御基板24と、主制御基板24からコマンド受けて演出の制御をする演出制御基板25を中心に構成される。電源基板28は、主制御基板24を初めとした各基板に接続され、外部電源から交流電圧24Vを受けて直流電圧に変換し、各基板に供給する。
主制御基板24は、その内部に、主制御基板側CPU241と、ROM242と、RAM243を備えている。主制御基板側CPU241は、いわゆるプロセッサ部であり、大当りを発生させるか否かの抽選処理、決定された変動パターンや停止図柄の情報から制御コマンド作成し、演出制御基板25に送信する等の処理を行う。
ROM242は、一連の遊技機制御手順を記述した制御プログラムや制御データ等を格納した記憶部である。また、RAM243は、主制御基板側CPU241の処理で設定されたデータを一時記憶するワークエリアを備えた記憶部である。
主制御基板24には、RAMクリアスイッチ27、始動入賞口センサ38c、大入賞口センサ39c、始動ゲート通過センサ40c、一般入賞口センサ42c、磁気センサ50、電波センサ51、振動センサ52が接続され、各検知信号を受信可能となっている。
磁気センサ50は、パチンコ遊技機1に磁石等を近づけた場合に、異常を検知するセンサである。また、電波センサ51は、パチンコ遊技機1に対し強い電波が発せられた場合に異常を検知するセンサであり、振動センサ52は、パチンコ遊技機1に対し強い振動が与えられた場合に異常を検知するセンサである。
また、主制御基板24には、特別図柄表示装置43a、普通図柄表示装置43bが接続され、主制御基板側CPU241が抽選処理により取得した乱数情報は、各図柄表示装置43a、43bに送信される。
さらに、主制御基板24には、パチンコ遊技機1の外部へ接続する端子を備えた外部端子基板21が接続されている。遊技における大当り、入賞数、ゲーム数等の各種情報は、主制御基板24から外部端子基板21を介してホールコンピュータに送信される。
さらに、主制御基板24には、払出制御基板29が接続されている。払出制御基板29には、下貯留皿満杯センサ12cおよび扉開放センサ32が接続されているため、これらのセンサが異常を検知すると、検知信号は払出制御基板29から主制御基板24に送信される。なお、払出制御基板29には、遊技球払出装置19と、発射制御基板30(さらに発射装置10aと接続)が接続している。
次に、演出制御基板25は、その内部に、演出制御基板側CPU251と、ROM252と、RAM253を備えている。演出制御基板側CPU251はいわゆるプロセッサ部であり、主制御基板24から送信された制御コマンドを受信し、その制御コマンドに基づいた各種演出を制御する処理を行う。
ROM252は、一連の演出制御手順を記述した制御プログラムや演出データ等を格納した記憶部である。また、RAM253は、演出制御基板側CPU251の処理で設定されたデータを一時記憶するワークエリアを備えた記憶部である。
演出制御基板25には、スピーカ7、枠装飾LED8、盤面装飾LED35、可動役物用モータ37a、可動役物位置検出センサ37b、左演出ボタン13、中央演出ボタン14が接続されている。これにより、演出制御基板25は、例えば、スピーカ7の効果音や各LED等の動作を制御し、演出効果を高めている。
可動役物用モータ37a、可動役物位置検出センサ37bは、演出制御基板25に直接接続しているので、可動役物37の位置を検出して、可動役物用モータ37aの動作等に問題があった場合、主制御基板24に影響されることなく、液晶表示装置36にエラーの表示が行える。
演出ボタン13、14をは、遊技者が有効期間にこれらを押下げることで、検知信号が演出制御基板25に送信され、液晶表示装置36に表示される演出が変化する。
演出制御基板25には、液晶制御基板26が接続されている。液晶制御基板26は、演出制御基板25からコマンドを受けて液晶表示装置36の表示制御を行うものである。
液晶制御基板26は、その内部に、液晶制御CPU261と、液晶制御ROM262と、液晶制御RAM263と、映像表示プロセッサVDP264と、画像データROM265と、VRAM266を備えている。
液晶制御CPU261は、いわゆるプロセッサ部であり、演出制御基板25から受信した液晶制御コマンドに基づいて表示制御を行うために必要な液晶制御データを生成する。また、そのデータを映像表示プロセッサVDP264に出力する。
液晶制御ROM262は、液晶制御CPU261の動作手順を記述したプログラムを格納した記憶部であり、液晶制御RAM263は、ワークエリアやバッファメモリとして機能する記憶部である。
映像表示プロセッサVDP264は、液晶表示装置36に表示する画像データの画像処理を行うプロセッサである。また、画像データROM265は、映像表示プロセッサVDP264が画像処理を行うために必要な画像データを格納した記憶部であり、VRAM266は、映像表示プロセッサVDP264が画像処理した画像データを一時記憶する記憶部である。
上記の構成により液晶制御基板26は、演出制御基板25から送信された液晶制御コマンドに基づき画像処理を行い、液晶表示装置36に演出画像や動画を表示している。
次に、図5A、Bを参照して、従来例と本発明の実施例1を比較して説明する。図5A(a)は、主制御基板24、演出制御基板25が正常に起動した場合を示している。
まず、演出制御基板25の起動によって、演出制御基板25の初期化処理が開始する。その初期化処理が終了した後には、僅かなアイドルタイムがある。一方、主制御基板24は、起動時に演出制御基板25の初期化処理が終了するのに十分な時間待機した後、演出制御基板25に向けて初期表示コマンドを送信する。
初期設定コマンドを受信した演出制御基板25は、初期表示を行う。初期表示コマンドは、待機画面の表示コマンドであり、初期表示では、演出制御基板25は、液晶表示装置36に「RAMクリア処理中」又は、「バックアップ処理中」等のメッセージを表示させる。「しばらくお待ちください」等のメッセージを表示してもよい。
主制御基板24は、初期表示コマンドを送信した後、自身の初期化処理を開始する。主制御基板24と演出制御基板25の初期化処理を同時に開始し、主制御基板24の初期化処理が先に終了した場合、主制御基板24は、その時点で初期表示コマンドを送信してしまう。このような場合、初期化処理中の演出制御基板25は、初期表示コマンドを受信できず、初期表示の処理が行えなくなるので、故意に主制御基板24の初期化処理タイミングを後にずらしている。
主制御基板24は、初期化処理が終了すると通常遊技状態となる。これに伴って、演出制御基板25も通常遊技状態に移行する。通常遊技処理では、例えば、始動入賞があった場合に主制御基板24にて抽選処理が行われ、その始動入賞に対する図柄変動が液晶表示装置36に表示される。
また、通常遊技状態に前扉5の開放があった場合には、扉開放センサ32の検出信号がOFFからONに変化し、扉開放センサ32から主制御基板24に向けて扉開放検知信号が送信される。このとき、主制御基板24は、演出制御基板25に向けて扉開放エラーコマンドを送信するので、液晶表示装置36には、「扉が開いています」等のエラー報知がなされる。
ここで、扉開放エラーコマンドは、本発明の「異常コマンド」に相当する。また、例えば、磁気センサ50(図4参照)により磁気異常が検出された場合に、主制御基板24から演出制御基板25に向けて送信される磁気異常コマンドも「異常コマンド」の1つである。同様に、電波センサ51の電波検出による電波異常コマンドや、振動センサ52の振動検出による振動異常コマンドも本発明の「異常コマンド」に含まれる。
以上は、主制御基板24と演出制御基板25が正常に起動した場合であるが、主制御基板24から送信された各種制御コマンドを演出制御基板25で受信することができれば、その制御コマンドに応じて液晶表示装置36に各種表示が行われる。
次に、図5A(b)を参照して、初期表示コマンドがノイズ等の影響で正常に送信されなかった場合について説明する。図5Aの場合と同様に、まず、演出制御基板25の初期化処理が開始し、主制御基板24は、演出制御基板25の初期化処理が終了するのに十分な時間待機した後、演出制御基板25に向けて初期表示コマンドを送信する。
ここで、ノイズ等によって初期表示コマンドが正常に送信されなかった場合には、初期表示が開始されず、初期化処理が完了したままの状態が継続する。液晶表示装置36には、何も表示されないか、液晶制御基板26単体の制御で表示可能な「POWER ON」等の文字が表示される。
一方、主制御基板24は、所定時間待機した後に、自身の初期化処理を開始し、この処理が終了すると通常遊技状態となる。しかし、この状態で前扉5の開放があった場合には、主制御基板24は、演出制御基板25に向けて扉開放エラーコマンドを送信しても、液晶表示装置36の表示が変化せず、依然として初期化処理が完了した状態のままである。
演出制御基板25は、初期表示コマンドを受信できなかった場合には、主制御基板24の初期化処理にてRAMクリア処理、又はバックアップ処理のいずれが行われたかの判断することができない。
したがって、主制御基板24から制御コマンドが送信された場合にも、演出制御基板25は、コマンドの解析処理等の処理が行えず、液晶表示装置36に適切な表示をさせることができない。すなわち、パチンコ遊技機1に異常が発生した場合にも、エラー報知を行えないので、セキュリティが非常に低い状態となってしまう。
[実施例1]
次に、図5Bを参照して、本発明の実施例1について説明する。実施例1では、初期表示コマンドがノイズ等の影響で主制御基板24から正常に送信されなかった場合であっても、扉開放によるエラー報知等を行うことができるように演出制御基板25の初期化処理に工夫がなされている。
図5Aの場合と同様に、まず、演出制御基板25の初期化処理が開始し、主制御基板24は、演出制御基板25の初期化処理が終了するのに十分な時間待機した後、演出制御基板25に向けて初期表示コマンドを送信する。
ノイズ等によって初期表示コマンドが正常に送信されなかった場合には、演出制御基板25では、初期表示が開始されず、初期化処理が完了したままの状態が継続する。一方、主制御基板24は、所定時間待機した後に、自身の初期化処理を行い、この処理が終了すると通常遊技状態となる。
ここで、図5Aのケースと同様に前扉5の開放があった場合には、扉開放センサ32の検出信号は、OFFからONに変化する。そして、主制御基板24から演出制御基板25に向けて扉開放エラーコマンドが送信されるが、演出制御基板25は、扉開放エラーコマンドを受信して液晶表示装置36に、「扉が開いています」等のエラー報知をさせることができる。
このとき、枠装飾LED8や盤面装飾LED35、又はスピーカ7等の複数の報知部材によって、液晶表示装置36の表示と連動したエラー報知を行ってもよい。
詳細は後述するが、本発明の演出制御基板25の初期化処理では、初期化処理の初めのステップにて、「コマンド受信割込みの設定及び許可」を行っている。また、初期化処理の中に受信コマンドの種類を解析する「受信コマンド解析処理」が含まれている。
したがって、演出制御基板25は、主制御基板24から制御コマンドを受信することができ、その後、液晶表示装置36に受信した制御コマンドに基づく適切な表示をさせることができる。以下では、このような制御を可能とするパチンコ遊技機1の各処理について説明する。
まず、図6Aを参照して、パチンコ遊技機1の主制御側電源投入処理について説明する。この電源投入処理は、主制御基板24の電源投入時に行われる処理である。
主制御基板24は、まず、割込みを禁止とする(ステップS01)。すなわち、電源投入処理においては、タイマ割込み等の割込み処理が実行されないように禁止の設定をする。その後、ステップS02に進む。
次に、主制御基板24は、各種初期設定を行う(ステップS02)。具体的には、割込みモード、スタックポインタ、内蔵WDT(Watch Dog Timer)、入出力ポートの初期設定を行う。その後、ステップS03に進む。
次に、主制御基板24は、RAMクリアスイッチ信号の読込みを行う(ステップS03)。電源投入時にRAMクリアスイッチ27(図2、4参照)が操作された場合には、RAMクリアスイッチ信号がオンとなり、操作されたことが分かるようになっている。なお、RAMクリアスイッチ信号の読込みは、RAMクリアスイッチ27が操作されたか否かに関わらず行われる。その後、ステップS04に進む。
次に、主制御基板24は、演出制御基板起動待ち時間をセットする(ステップS04)。演出制御基板25が完全に起動する前に、主制御基板24が制御コマンドを送信することがないように、主制御基板24は、演出制御基板25の起動(初期化処理)が完了するまで一定時間待機する。実際には、この待機時間は3秒程度である。その後、ステップS05に進む。
次に、主制御基板24は、演出制御基板起動待ち時間を−1する(ステップS05)。この処理と、以降のステップS06、S07を併せて、演出制御基板25の起動待ち時間が経過するまで繰り返すループ処理となるが、ここでは、副制御基板起動待ち時間を1だけデクリメントする。その後、ステップS06に進む。
次に、主制御基板24は、内蔵WDTをクリアする(ステップS06)。これは、演出制御基板25の起動待ち時間が経過するまでのループ処理の間に、ウォッチドッグタイマ(WDT)をクリアすることで、定期的にCPU241をリセットして、再スタートさせる処理となる。その後、ステップS07に進む。
次に、主制御基板24は、演出制御基板起動待ち時間となったか否かを判定する(ステップS07)。演出制御基板起動待ち時間となった場合には、「YES」の判定となり、ステップS08に進む。一方、まだ起動待ち時間となっていない場合には、「NO」の判定となり、ステップS05〜S07の処理を繰り返す。
ステップS07の判定が「YES」である場合、主制御基板24は、電源異常信号を2回読込む(ステップS08)。電源異常信号とは、電源スイッチがオフとなった際に、電源基板28から送信される信号である。ノイズ等の影響で、読込んだ信号が本来の状態とは異なっている場合があるので、確認のため、この信号を2回読込むようにしている。その後、ステップS09に進む。
次に、主制御基板24は、電源異常信号が一致したか否かを判定する(ステップS09)。これは、電源異常信号の一致を確認して、信号の正確性を保持する処理である。電源異常信号が一致した場合は、「YES」の判定となり、ステップS10に進む。一方、電源異常信号が一致しない場合は、「NO」の判定となり、ステップS08、S09の処理を繰り返す。
ステップS09の判定が「YES」である場合、主制御基板24は、電源異常信号がオンしているか否かを判定する(ステップS10)。電源異常信号がオンしている場合には、「YES」の判定となり、ステップS08〜S10の処理を繰り返す。一方、電源異常信号がオンしていない場合は、「NO」の判定となり、ステップS11に進む。
ステップS10の判定が「NO」である場合、主制御基板24は、内蔵RAMのライト許可をする(ステップS11)。この処理により初めて、主制御基板24のRAM243は、書込み動作が可能となる。その後、ステップS12に進む。
次に、主制御基板24は、待機画面表示コマンドの送信を行う(ステップS12)。主制御基板24は、演出制御基板25に向けて待機画面表示コマンドを送信するので、これを受信した演出制御基板25は、液晶表示装置36に待機画面を表示させる。その後、ステップS13(図6B参照)に進む。
次に、主制御基板24は、内蔵WDTをクリアする(ステップS13)。ステップS13、S14は、払出制御基板29の起動確認のためのループ処理であるが、ここでもウォッチドッグタイマ(WDT)をクリアすることで定期的にCPU241をリセットする。その後、ステップS14に進む。
次に、主制御基板24は、電源投入信号がオンしているか否かを判定する(ステップS14)。払出制御基板29の電源投入信号がオンしている場合には、「YES」の判定となり、ステップS15に進む。一方、電源投入信号がオンしていない場合には、「NO」の判定となり、ステップS13、S14の処理を繰り返す。
ステップS14の判定が「YES」である場合、主制御基板24は、RAMクリアスイッチ信号がオンしているか否かを判定する(ステップS15)。RAMクリアスイッチ信号がオンしている場合は、「YES」の判定となり、ステップS19に進む。一方、RAMクリアスイッチ信号がオンしていない場合は、「NO」の判定となり、ステップS16に進む。
ステップS15の判定が「NO」である場合、主制御基板24は、バックアップフラグがオンしているか否かを判定する(ステップS16)。すなわち、ステップS15、S16では、主制御基板24の電源投入時に行われる処理がRAMクリア処理か、又はバックアップ処理かを判定していることになる。
バックアップフラグがオンしている場合には、「YES」の判定となり、ステップS17に進む。一方、バックアップフラグがオンしていない場合には、「NO」の判定となり、ステップS19に進む。
ステップS16の判定が「YES」である場合、主制御基板24は、チェックサムが一致するか否かを判定する(ステップS17)。ここで、チェックサムが一致しない場合とは、RAM243に異常があり、正常なバックアップ処理が行えない場合である。
チェックサムが一致する場合には、「YES」の判定となり、ステップS18に進む。一方、チェックサムが一致していない場合には、「NO」の判定となり、ステップS19に進む。
ステップS17の判定が「YES」である場合、主制御基板24は、バックアップ復帰時処理を行う(ステップS18)。バックアップ復帰時処理は、電源断のときのRAM243の状態を保持して、主制御基板24を起動する処理である。以下、図7を参照して、電源投入処理中のバックアップ復帰時処理の詳細について説明する。
まず、主制御基板24は、電源復帰表示コマンドを送信する(ステップS181)。具体的には、主制御基板24は、演出制御基板25に向けて電源復帰表示コマンドを送信するので、これを受信した演出制御基板25は、液晶表示装置36に電源復帰表示をさせる。その後、ステップS182に進む。
次に、主制御基板24は、遊技情報を報知する(ステップS182)。この処理は、電源断時の遊技情報を保持していることの報知である。例えば、電源断のとき潜伏確変状態であった場合、起動時には、いわゆる「朝一確変ランプ(図示省略)」で確変状態であることを報知する等の処理であり、バックアップ復帰に特有の処理となる。その後、ステップS183に進む。
次に、主制御基板24は、特図1、2保留球数指定コマンドを送信する(ステップS183)。ここで、特図1とは、遊技球が第1特別図柄始動口38aに入賞した場合に変動する特別図柄であり、特図1保留球数指定コマンドとは、第1特別図柄始動口38aに入賞した遊技球の保留球数を指定する制御コマンドである。
主制御基板24は、演出制御基板25に向けて特図1保留球数指定コマンドを送信するので、これを受信した演出制御基板25は、特別図柄表示装置43a、又は液晶表示装置36に保留球数を表示する。これも、バックアップ復帰に特有の処理である。なお、特図2とは、遊技球が第2特別図柄始動口38bに入賞した場合に変動する特別図柄である。その後、ステップS184に進む。
次に、主制御基板24は、変動パターン振分け指定番号に対応したコマンドを送信する(ステップS184)。主制御基板24は、演出制御基板25に向けて、始動入賞によって記憶されている変動パターン振分け指定番号に対応した制御コマンドを送信する。また、これを受信した演出制御基板25は、液晶表示装置36にその制御コマンドに対応した変動パターンを表示する。その後、ステップS185に進む。
次に、主制御基板24は、客待ち中であるか否かを判定する(ステップS185)。現在、客待ち中であれば、「YES」の判定となり、ステップS186に進む。一方、客待ち中でなければ、「NO」の判定となり、ステップS187に進む。
ステップS185の判定が「YES」である場合、主制御基板24は、デモコマンドを送信する(ステップS186)。具体的には、主制御基板24は、演出制御基板25に向けてデモコマンドを送信するので、これを受信した演出制御基板25は、液晶表示装置36にデモンストレーション画面を表示させる。その後、ステップS187に進む。
最後に、主制御基板24は、各種フラグをクリアする(ステップS187)。具体的には、乱数回路異常確認フラグ、エラーフラグ、電波エラーカウンタ、磁気エラーカウンタ、各入賞口エラーカウンタを0クリアする。その後、このバックアップ復帰時処理を終了し、図6BのステップS20に進む。
次に、ステップS15の判定が「YES」である場合、また、ステップS16、S17の判定が「NO」である場合、主制御基板24は、RAMクリア時処理を行う(ステップS19)。RAMクリア時処理は、RAM243に記憶された情報をクリアして、初期状態として主制御基板24を起動する処理である。以下、図8を参照して、電源投入処理中のRAMクリア時処理について説明する。
まず、主制御基板24は、RAMを初期化する(ステップS191)。この処理により、電源断の際、RAM243に記憶されていた各種情報は消去される。その後、ステップS192に進む。
次に、主制御基板24は、RAMクリア表示コマンドを送信する(ステップS192)。具体的には、主制御基板24は、演出制御基板25に向けてRAMクリア表示コマンドを送信するので、これを受信した演出制御基板25は、液晶表示装置36にRAMクリア表示画面を表示させる。その後、ステップS193に進む。
次に、主制御基板24は、デモコマンドを送信する(ステップS193)。ここでは、主制御基板24は、演出制御基板25に向けてデモコマンドを送信するので、これを受信した演出制御基板25は、液晶表示装置36にデモンストレーション画面を表示させる。その後、ステップS194に進む。
最後に、主制御基板24は、RAMクリア報知タイマを設定する(ステップS194)。RAMクリアの処理が行われた場合には、主制御基板24は、その報知ため枠装飾LED8を点灯、点滅させたり、スピーカ7から報知音を発生させる。この報知は、例えば、30秒間継続するので、ここではその時間を設定する。そして、RAMクリア時処理を終了し、図6BのステップS20に進む。
図6Bに戻り、ステップS18、又はステップS19の後、主制御基板24は、CTCの設定を行う(ステップS20)。主制御基板24は、タイマ/カウンタ回路(CTC:Counter Timer Circuit)によって、後述するタイマ割り込み処理が4ms周期ごとに実行されるように設定する。その後、ステップS21に進む。
次に、主制御基板24は、割込みを禁止とする(ステップS21)。ステップS21〜S23は、主制御基板24のメインループ処理となるが、まずは、タイマ割込み等が実行されないように禁止の設定をする。その後、ステップS22に進む。
次に、主制御基板24は、各種乱数を更新する(ステップS22)。具体的には、普通図柄用乱数及び特別図柄用乱数の初期値変更に使用する乱数を更新する処理となる。その後、ステップS23に進む。
次に、主制御基板24は、割込みを許可する(ステップS23)。この処理により、メインループ処理の期間に4ms周期のタイマ割込みが呼び出され、実行される。1回のタイマ割込みが終了すると、メインループ処理を繰り返し、また4msが経過した時点で、タイマ割込み処理が実行される。なお、タイマ割込み処理の詳細については、省略する。
次に、図9を参照して、演出制御側のメイン処理について説明する。このメイン処理には、演出制御基板25の起動時に行われる初期化処理が含まれている。
まず、演出制御基板25は、初期化処理を行う(ステップS51)。以下、図10を参照して演出制御基板25の初期化処理の詳細について説明する。
まず、演出制御基板25は、CPUレジスタの初期設定を行う(ステップS511)。具体的には、各ポートを入力、出力の何れかとするかの設定や、シリアル転送に関して機能設定を行う。このステップでパチンコ遊技機1の全ての初期設定を行うと多くの時間を必要とするので、制御コマンドの受信に関係する初期設定に留めている。その後、ステップS512に進む。
次に、演出制御基板25は、CPUメモリの初期設定を行う(ステップS512)。これは、CPU251のメモリの初期設定であるが、具体的には、制御コマンドの受信に必要なRAM領域を確保するため、コマンド受信用バッファ及び受信バッファポインタの初期設定を行う。その後、ステップS513に進む。
次に、演出制御基板25は、コマンド受信割込みの設定を行う(ステップS513)。コマンド受信割込みとは、主制御基板24から制御コマンドが送信された場合に実行される割込み処理である(詳細は後述する)。割込み処理には、タイマ割込み処理等、複数の割込み処理があり、優先順位も定義されている。このため、このような割込みの設定を行い、優先順位を最上位とする必要がある。その後、ステップS514に進む。なお、ステップS511〜S513は、本発明の「第1の処理」に相当する。
次に、演出制御基板25は、コマンド受信割込みを許可する(ステップS514)。これにより、主制御基板24から制御コマンドが送信された場合に、コマンド受信割込み処理が実行されるようになり、制御コマンドは受信用バッファに格納される。その後、ステップS515に進む。なお、ステップS514は、本発明の「第2の処理」に相当する。
演出制御基板25の初期化処理のうち、ステップS514までの処理が終了するとコマンド受信割込みが許可されるので、演出制御基板25は、主制御基板24から送信される制御コマンドの受信が可能となる。また、演出制御基板25は、後述する可動役物位置検出センサ37b等の信号についても、各ポートの入力、出力の設定を行っているので、情報の取得が可能となる。
次に、演出制御基板25は、CPUメモリの初期設定を行う(ステップS515)。ここでは、上述のステップS512で初期設定がされたCPU251以外のワークエリア、スタックポインタ等の記憶エリアの初期設定を行う。その後、ステップS516に進む。
次に、演出制御基板25は、YMZの初期設定を行う(ステップS516)。YMZとは、音声再生用LSIであるが、これは、YMZが起動するまでの待機時間を含めた処理となる。その際、待機時間中に定期的なリセットがかからないように、内蔵WDTによりリセットする時間も含んでいる。その後、ステップS517に進む。
次に、演出制御基板25は、入力バッファの初期設定を行う(ステップS517)。具体的には、電源断前の情報で、エッジデータ(OFF→ONの情報)が残っていると、誤作動が生じるおそれがあるので、エッジデータをクリアする。その後、ステップS518に進む。
次に、演出制御基板25は、可動役物の初期設定を行う(ステップS518)。ここでは、RAM253に記憶されたモータ(可動役物用モータ37a)等の動作ステータス等の設定値のみを判断し、初期化のためのデータをセットする。その後、ステップS519に進む。
次に、演出制御基板25は、割込みの設定を行う(ステップS519)。ここでは、タイマ割込み処理(詳細は後述する)及びYMZ割込み処理の設定を行う。すなわち、コマンド受信割込み以外の割込み処理については、コマンド受信割込み処理の設定と分離して、このステップにて設定する。その後、ステップS520に進む。なお、ステップS515〜S519は、本発明の「第3の処理」に相当する。
最後に、演出制御基板25は、割込みの許可を行う(ステップS520)。ここでは、前ステップで設定したタイマ割込み処理及びYMZ割込み処理を許可するので、これらの割込み処理が実行されるようになる。その後、この処理を終了する。なお、ステップS520は、本発明の「第4の処理」に相当する。
次に、図9に戻り、ステップS51の初期化処理が終了すると、演出制御基板25は、メインループ更新周期となったか否かを判定する(ステップS52)。メインループとは、後述するステップS54〜S59までの処理であるが、その更新周期は16msとなっている。
ステップS52に進んでから更新周期の16msが経過すると、「YES」の判定となり、ステップS54に進む。一方、16ms経過する前の状態では、更新周期となっていないので、「NO」の判定となる。この場合、ステップS53に進む。
ステップ52の判定が「NO」である場合、演出制御基板25は、各種ソフト乱数の更新処理を行う(ステップS53)。その後、ステップS52の判定が「YES」となるまでステップS52、S53の処理を繰り返す。このループの期間には、1ms周期のタイマ割込み処理(図12参照)が実行され、演出制御基板25は、この割込み処理回数をカウントして、上記の16msが経過したか否かを判定する。
ステップ52の判定が「YES」である場合、演出制御基板25は、LEDデータ更新処理を行う(ステップS54)。上述の通り、ステップS54〜S59はメインループの処理となるが、ここでは、枠装飾LED8、盤面装飾LED35のデータを更新することで、LEDの発光態様を変化させる。その後、ステップS55に進む。
次に、演出制御基板25は、受信コマンド解析処理を行う(ステップS55)。演出制御基板25は、コマンド受信割込みを許可(ステップS514)したことにより、コマンド受信用バッファに格納された制御コマンドについて、その種別を判定する。したがって、演出制御基板25は、受信した制御コマンドに基づく処理を行うことができる。その後、ステップS56に進む。
次に、演出制御基板25は、メインシナリオ更新処理を行う(ステップS56)。演出制御基板25は、受信した制御コマンドの演出シナリオに基づいて液晶制御コマンド、サウンド出力、LEDの出力設定等の概要を設定する。その後、ステップS57に進む。
次に、演出制御基板25は、サウンド出力処理を行う(ステップS57)。演出制御基板25は、前ステップで更新した設定により、スピーカ7からサウンドを出力させる。その後、ステップS58に進む。
次に、演出制御基板25は、ソレノイド更新処理を行う(ステップS58)。演出制御基板25は、可動役物37や大入賞装置39に用いられているソレノイドの詳細な動作を設定する。その後、ステップS59に進む。
次に、演出制御基板25は、ノイズ対策用処理を行う(ステップS59)。演出制御基板25は、YMZ等の周辺LSIについてノイズの影響を受けていないかチェックする。演出制御基板25は、この処理が終了すると、ステップS52に戻り、以降の処理を継続して実行する。
次に、図11を参照して、コマンド受信割込み処理について説明する。コマンド受信割込み処理は、主制御基板24から制御コマンドが送信された場合に、演出制御基板25のメイン処理に対して実行される割込み処理である。演出制御基板25のメイン処理のうち、「コマンド受信割込み許可(ステップS514)」までの処理が終了すると、コマンド受信割込み処理が実行されるようになる。
まず、演出制御基板25は、1回目のコマンド受信ポートをリードする(ステップS61)。すなわち、コマンド受信ポートにある制御コマンドの読込みを行う。その後、ステップS62に進む。
次に、演出制御基板25は、コマンド受信用バッファのポインタを算出する(ステップS62)。コマンド受信用バッファはRAM253中のポインタで指示される領域である。すなわち、ここでは、受信した制御コマンドを格納するコマンド受信用バッファのポインタを算出する。その後、ステップS63に進む。
次に、演出制御基板25は、2回目のコマンド受信ポートをリードする(ステップS63)。コマンド受信ポートの制御コマンドは、ノイズ等の対策のため合計2回の読込みを行う。その後、ステップS64に進む。
次に、演出制御基板25は、コマンド受信ポートの1回目、2回目のリード結果が同じか否かを判定する(ステップS64)。2つの受信データ、すなわち、受信した制御コマンドが同じである場合、「YES」の判定となり、ステップS65に進む。一方、2つの受信データが同じでない場合、「NO」の判定となり、このコマンド受信割込み処理を終了する。
ステップS64の判定が「YES」である場合、演出制御基板25は、コマンド受信用バッファに受信データをセーブする(ステップS65)。これは、ノイズ等に影響されず制御コマンドが受信できた場合に、それをコマンド受信用バッファに格納する処理となる。その後、ステップS66に進む。
最後に、演出制御基板25は、コマンド受信用バッファのポインタを更新する(ステップS66)。コマンド受信用バッファは、前ステップで書込まれた領域と異なる領域に次回の受信データを書込むため、書込み領域を指示するポインタを更新する必要がある。その後、このコマンド受信割込み処理を終了する。
次に、図12を参照して、タイマ割込み処理について説明する。タイマ割込み処理は、演出制御基板25のメイン処理に対して、1ms周期で実行される割込み処理である。
まず、演出制御基板25は、CPUレジスタの初期設定をする(ステップS71)。具体的には、演出制御基板25は、ポートのリフレッシュ初期値の設定を行う。その後、ステップS72に進む。
次に、演出制御基板25は、出力処理を行う(ステップS72)。具体的には、演出制御基板25は、可動役物37に用いられているソレノイドやモータの出力処理を行う。その後、ステップS73に進む。
次に、演出制御基板25は、ボタン入力状態更新処理を行う(ステップS73)。演出制御基板25は、演出ボタン13、14の操作がされた場合に、入力状態を更新する。その後、ステップS74に進む。なお、演出ボタン13、14が操作されなかった場合には、入力状態は更新されず、そのままステップS74に進む。。
次に、演出制御基板25は、液晶制御コマンド送信処理を行う(ステップS74)。ここでは、演出制御基板25は、液晶制御基板26に向けて液晶制御コマンドを送信するので、これを受信した液晶表示装置36には、上記液晶制御コマンドに応じた演出が表示される。その後、ステップS75に進む。
次に、演出制御基板25は、モータ更新処理を行う(ステップS75)。演出制御基板25は、可動役物37等に用いられているモータ(可動役物用モータ37a)の詳細な動作設定をする。その後、ステップS76に進む。
次に、演出制御基板25は、LEDデータ出力処理を行う(ステップS76)。演出制御基板25は、必要なタイミングで枠装飾LED8、盤面装飾LED35を点灯、点滅させるLEDデータ出力を行う。その後、ステップS77に進む。
最後に、演出制御基板25は、メインループ更新周期用ワークを+1する(ステップS77)。これは、メインループの処理(図9のステップS54〜S59)の更新周期である16msをカウントするため、メインループ更新周期用ワークを1だけインクリメントする処理である。その後、タイマ割込み処理を終了する。以上、パチンコ遊技機1の実施例1の一連の動作を説明した。
上記のように実施例1では、演出制御基板25は、初期化処理の初めのステップでコマンド受信割込みの設定及び許可をする。このような処理により、演出制御基板25は、制御コマンドを取りこぼすことなく受信することができる。また、演出制御基板25は、主制御基板24から送信される初期表示コマンドがなくても、受信した制御コマンドに基づくエラーの報知等の制御を行うことができる。
[実施例2]
次に、図13を参照して、本発明の実施例2について説明する。本実施例は、可動役物イニシャライズ処理(図10のステップS518に相当)にて異常が検出された場合に、演出制御基板25が可動役物位置検出センサ37bの信号に基づいてエラー報知を行うものである。
可動役物イニシャライズ処理を行わなければ、遊技中の可動役物の動作タイミングで、これらが動作しないことが判明する。したがって、演出制御基板25の初期化処理の中に、可動役物イニシャライズ処理のステップを設けて、可動役物エラーがあった場合に、直ちにエラー報知を行うこととしている。
また、演出制御基板25は、可動役物位置検出センサ37bに直接接続しているので、主制御基板24の影響を受けない。すなわち、主制御基板24から送信される初期表示コマンドを受信しなくても、エラー報知を行えるようになっている。
図13に示すように、演出制御基板25は、起動時の初期化処理を開始するが、その処理の後半が可動役物イニシャライズ処理となっている。可動役物イニシャライズ処理は、全ての可動役物37c〜37i(詳細は後述する)を一度動作させ、動作に異常がないことを確認するものである。
例えば、人形の腕の形状をした可動役物37dの可動役物イニシャライズ処理では、可動範囲内で可動役物用モータ37a(図4参照)を正転及び逆転させて、その動作を確認し、最終的に可動役物37dを原点位置にセットする。
主制御基板24は、演出制御基板25の上記初期化処理が終了するのに十分な時間待機した後、演出制御基板25に向けて初期表示コマンドを送信する。図示していないが、可動役物イニシャライズ処理にて異常が検出されなければ、演出制御基板25は、初期表示コマンドを受信して初期表示を開始し、その後、通常遊技状態に移行する。
図13は、特に、可動役物37c〜37iのいずれかに動作の異常が検出された場合のタイミングチャートを示している。可動役物イニシャライズ処理において、可動役物37c〜37iが動作しているとき、可動役物位置検出センサ37bはON状態を保っている。
演出制御基板25は、ポートの入力を確認することにより、可動役物37c〜37iの動作に異常が生じたと判断することができ、液晶表示装置36に適切な表示をさせることができる。すなわち、演出制御基板25は、主制御基板24から初期表示コマンドを受信しなくても、可動役物エラー信号によって、エラー報知が可能である。
次に、図14を参照して、パチンコ遊技機1の可動役物イニシャライズ処理とエラー報知について説明する。まず、図14(a)は、可動役物イニシャライズ処理が行われている状態を示している。
液晶表示装置36の周辺にあるセンター飾り34aには、図3では図示していない可動役物37f〜37iが存在している。これらは、通常時は視認できない位置にあるが(図14(b)参照)、演出に応じて液晶表示装置36の手前に出現する。
可動役物イニシャライズ処理では、全ての可動役物37c〜37iを動作させて異常がないことを確認するので、図14(a)に示すように、一度、液晶表示装置36の手前に可動役物37c〜37hが出現する(可動役物37iが動作していない点は後述する)。
具体的には、可動役物37cは、センター飾り34aの中心側に傾いて液晶表示装置36の一部を覆い、可動役物37dは、その先端が液晶表示装置36の中心付近となるように回動する。また、可動役物37eは、両方が起立した状態となり、可動役物37f〜37iは、それぞれ液晶表示装置36の中心に向けて移動する。
図14(a)は、特に、異常によって可動役物37iが適切に動作をせず、原点位置に留まった状態を示している。このような場合が可動役物エラーであり、エラー報知の対象である。
一方、図14(b)は、可動役物イニシャライズ処理の後、エラー報知が行われている状態を示している。図14(b)に示すように、可動役物37c〜37hは、それぞれ原点位置に戻る。また、液晶表示装置36には、例えば、「エラー1 右上役物エラー」の表示がなされる。
これは、演出制御基板25が可動役物位置検出センサ37bからの入力に基づいて、何れかの可動役物に異常が発生したと判断し、液晶制御基板26にエラー報知のための制御コマンドを送信することによる。このとき、枠装飾LED8や盤面装飾LED35、又はスピーカ7等の複数の報知部材によって、液晶表示装置36の表示と連動したエラー報知を行ってもよい。
実施例2は、演出制御基板25が初期化処理の初めのステップでコマンド受信割込みの設定及び許可をする点において、実施例1と同じである。しかし、可動役物位置検出センサ37bが演出制御基板25に直接接続されているため、演出制御基板25は、主制御基板24から送信される制御コマンドによらなくても、エラー報知が可能となる点において異なる。
以上の実施例は、本発明の一例であり、これ以外にも本発明を実施することができる種々の変形例が考えられる。
実施例1、2では、パチンコ遊技機1に発生する異常として、扉開放と可動役物の動作異常の例を示したが、本発明の異常には、磁気異常、電波異常、球詰まり異常等のあらゆる異常が含まれる。
また、実施例1では、主制御基板24から演出制御基板25に送信される制御コマンドとして、異常コマンドを例示したが、これに限られるものではない。演出制御基板25は、第2の処理(図10参照)まで終了したときには、図柄変動用表示コマンド等のいかなる制御コマンドも受信が可能である。
さらに、演出制御基板25は、図柄変動用表示コマンド等の制御コマンドを受信した後、このコマンドに基づく内容を液晶表示装置36に表示するようにしてもよい。また、枠装飾LED8や盤面装飾LED35、又はスピーカ7等の複数の報知部材によって、液晶表示装置36の表示と連動したエラー報知を行うようにしてもよい。
また、実施例1では、初期表示コマンドが正常に送信されなかった場合に生じる課題の解決手段を示したが(図5B参照)、初期表示コマンドが送信されなかった場合を想定して、演出制御基板25の初期化処理の完了を確認する手段を設けてもよい。
例えば、演出制御基板25は、初期化処理のうち可動役物の初期設定(図10のステップS518)において、演出ボタン13、14の初期設定も同時に行い、この処理の終了時に演出ボタン13、14のうち、少なくとも一方の内蔵ランプを点灯させる。そして、遊技店の店員が演出ボタン13、14を押下げたとき、上記の初期化処理が完了していれば、スピーカ7から検査音が鳴るようにする。
この検査音が鳴るのは、演出制御基板25の初期化処理の初めのステップにて「コマンド受信割込みの設定及び許可」を行われるため、演出制御基板25が、演出ボタン13、14が押下げられたときに送信される信号を受信できることによる。
したがって、店員は、演出制御基板25の初期化処理が完了したことを演出ボタン13、14の操作により認識することができ、液晶表示装置36に初期表示が開始されない場合にも、演出制御基板25の初期化処理が完了し、制御コマンドの受信が可能な状態となっていることが分かる。
このような確認手段があれば、主制御基板24の待機時間が終わる前(演出制御基板25のアイドルタイム期間)であっても、演出制御基板25の動作確認が可能である。また、演出ボタン13、14は、演出制御基板25に直接接続されているため、主制御基板24の状態によらなくても、演出制御基板25の初期化処理の完了を確認できる。
以上、本発明の実施例としてパチンコ遊技機について説明したが、本発明は、これに限らず、回胴式遊技機、パロット機、アレンジボール機、雀球式遊技機等の遊技機にも適用可能である。