JP2012245042A - 内視鏡用投光ユニット - Google Patents

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Abstract

【課題】青色光で蛍光体を励起させて白色光を生成する際に、色むらの発生を防ぐとともに青色光の利用効率を高める。
【解決手段】中心波長445nmの第1青色レーザ光を、ライトガイド24aを介して蛍光体50に入射させる。蛍光体50では、入射した第1青色レーザ光のうちの一部が蛍光物質に吸収されて蛍光を発するとともに、蛍光物質に吸収されなかった第1青色レーザ光をフィラー50aによって散乱させて広がり角を拡げる。蛍光体50を出射した蛍光及び第1青色レーザ光は、凹レンズ51に入射する。凹レンズ51では、第1青色レーザ光の広がり角を更に拡げることにより、第1青色レーザ光の広がり角を蛍光の広がり角に合わせる。凹レンズ51を出射した第1青色レーザ光及び蛍光の合波光は、白色光として被検体に照射される。
【選択図】図2

Description

本発明は、内視鏡の先端部に設けられ、被検体に照明光を照射する内視鏡用投光ユニットに関する。
医療分野においては、内視鏡を用いた被検体内の診断及び治療が広く行われている。内視鏡は、被検体に挿入される挿入部を備えており、この挿入部の先端部に設けられた照明窓から被検体に向けて照明光が照射される。そして、照明光で照明された被検体を、挿入部の先端部に設けたCCDなどの撮像素子で撮像し、この撮像により得られた撮像信号に基づいて、モニタに内視鏡画像を表示する。
被検体内の照明には、キセノンランプやハロゲンランプなどの白色光が用いられることが多いが、キセノンランプ等は、比較的大型であり、また消費電力も大きいといった問題がある。これに対して、特許文献1では、青色LED(Light Emitting Diode)の青色光とこの青色光で蛍光体を励起することで発光する蛍光との合波によって白色光を生成している。このように、青色LED及び蛍光体を使って白色光を生成することで、キセノンランプ等に対して、小型化と省電力化を図ることができる。
特開2006−61685号公報
特許文献1のように、白色光を生成する際に青色光を蛍光体に入射させたときには、一部の青色光が蛍光体で吸収されて蛍光を発する一方で、その残りの青色光はそのまま直進的に透過する。そのため、蛍光体から出射する蛍光と青色光とでは、広がり角がそれぞれ異なる。したがって、このような広がり角の違いから、被検体上では、青色光と蛍光が重なり合う混色領域は白色となるが、それら光が重なり合わない非混色領域ができた場合には、その非混色領域は白色以外の色となってしまう。即ち、被検体上で色むらが生じてしまう。このような色むらが生じた状態で取得した内視鏡画像では、正確な診断を行うことができないことがある。
色むらの発生を防ぐ方法の一つとして、直進的に出射する青色光を散乱させるフィラーを蛍光体に混入させることが考えられる。このフィラーの混入により、青色光の広がり角が拡大するため、色むらを減らし、またほとんど無くすことができる。しかしながら、フィラーは、青色光を四方八方に散乱させるため、その混入率によっては、蛍光体内だけで散乱し、被検体にまで届かない青色光が多くなることがある。このような場合には、フィラーの混入は青色光の利用効率を低下させることになる。
本発明は、青色光で蛍光体を励起させて白色光を生成する際に、色むらの発生を防ぐとともに青色光の利用効率を高めることができる内視鏡用投光ユニットを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、内視鏡の先端部に設けられ、被検体に向けて照明光を照射する内視鏡用投光ユニットにおいて、所定波長の第1の照明光のうち少なくとも一部を波長変換して第2の照明光を生成する波長変換部と、前記波長変換部で波長変換されなかった第1の照明光を散乱させてその広がり角を拡大する散乱部材とを有する波長変換部材と、前記波長変換部材を出射した第1の照明光の広がり角を更に拡大するとともに、その広がり角が更に拡大された第1の照明光と第2の照明光の合波光を前記照明光として前記被検体に照射する広がり角拡大手段とを備えることを特徴とする。
前記広がり角拡大手段は、前記第1の照明光の広がり角を前記第2の照明光の広がり角に合わせることが好ましい。前記広がり角拡大手段は凹レンズであることが好ましい。
前記第1の照明光は所定波長の第1青色狭帯域光で、前記第2の照明光は、前記第1青色狭帯域光が前記波長変換部で波長変換された緑色〜赤色の蛍光であり、前記凹レンズは、前記第1青色狭帯域光の広がり角を前記蛍光の広がり角に合わせることが好ましい。前記第1青色狭帯域光は中心波長が445nmであることが好ましい。
前記第1の照明光は互いに中心波長が異なる第1及び第2青色狭帯域光であり、前記第2の照明光は、前記第1及び第2青色狭帯域光が波長変換部で波長変換された緑色〜赤色の蛍光であり、前記凹レンズは、前記第1及び第2青色狭帯域光の広がり角を前記蛍光の広がり角に合わせることが好ましい。前記第1青色狭帯域光は中心波長が445nmであり、前記第2青色狭帯域光は中心波長が405nmであることが好ましい。
前記波長変換部材は蛍光体であることが好ましい。前記散乱部材はフィラーであることが好ましい。前記第1の照明光は青色レーザ光であることが好ましい。
本発明によれば、所定波長の第1の照明光のうち少なくとも一部を波長変換部材で波長変換して第2の照明光を生成する際、波長変換部材で波長変換されなかった第1の照明光の広がり角は、波長変換部材内の散乱部材によって大きくするとともに、波長変換部材の出射後に入射する広がり角拡大手段で更に大きくされる。これにより、第1の照明光の広がり角を第2の照明光の広がり角に合わせることができるため、色むらの発生を防ぐことができる。
さらに、本発明では、波長変換部材内の散乱部材と広がり角拡大手段の2つに分けて、第1の照明光の広がり角を拡大している。したがって、第1の照明光の利用効率の点から、最小限の散乱部材しか波長変換部材に混入せず、波長変換部材内で第1の照明光の広がり角を十分に拡大できない場合であっても、その後の広がり角拡大手段で更に広がり角を拡げることによって、第1の照明光の広がり角を第2の照明光の広がり角に合わせることができる。これにより、第1の照明光の利用効率を高めた状態で、色むらの発生を防ぐことができる。
第1実施形態の内視鏡システムに示す図である。 電子内視鏡の先端部の断面を示す図である。 電子内視鏡の先端部の先端面を示す図である。 第1青色レーザ光の利用効率とフィラー混入率との関係を表すグラフである。 蛍光体出射後の第1青色レーザ光及び蛍光の広がり角と光強度の関係を表すとともに、その蛍光体出射後の第1青色レーザ光及び蛍光が被検体上に照射された場合の照射エリアを表す図である。 凹レンズ出射後の第1青色レーザ光及び蛍光の広がり角と光強度の関係を表すとともに、その蛍光体出射後の第1青色レーザ光及び蛍光が被検体上に照射された場合の照射エリアを表す図である。 第2実施形態の内視鏡システムに示す図である。 蛍光体出射後の第1、第2青色レーザ光及び蛍光の広がり角と光強度の関係を表すとともに、その蛍光体出射後の第1、第2青色レーザ光及び蛍光が被検体上に照射された場合の照射エリアを表す図である。 凹レンズ出射後の第1、第2青色レーザ光及び蛍光の広がり角と光強度の関係を表すとともに、その蛍光体出射後の第1、第2青色レーザ光及び蛍光が被検体上に照射された場合の照射エリアを表す図である。 蛍光物質が蛍光を励起発光する機能と光拡散機能の2つの機能を備えていることを説明するための図である。 光量分布の測定方法を説明するための図である。 実施例1−1,1−2で用いられる投光ユニットを表す図である。 半値全幅の差とフィラー混入率との関係を示すグラフである。 半値全幅を説明するための図である。 フィラー混入率が5%のときの半値全幅の差と凹レンズの曲率との関係を示すグラフである。 フィラー混入率が7%のときの半値全幅の差と凹レンズの曲率との関係を示すグラフである。 実施例2−1,2−2で用いられる投光ユニットを表す図である。 半値全幅の差とフィラー混入率との関係を示すグラフである。 フィラー混入率が7%のときの半値全幅の差と凹レンズの曲率との関係を示すグラフである。 フィラー混入率が5%のときの半値全幅の差と凹レンズの曲率との関係を示すグラフである。 比較例1で用いられる投光ユニットを表す図である。 比較例2で用いられる投光ユニットを表す図である。 比較例3で用いられる投光ユニットを表す図である。
図1に示すように、第1実施形態の内視鏡システム2は、被検体を撮影する電子内視鏡10と、内視鏡画像を生成するプロセッサ装置12と、このプロセッサ装置12内に設けられ、被検体を照明する照明光を供給する光源装置13と、内視鏡画像を表示するモニタ14と、被検体内に送り込む水を貯留する送水タンク16とを備えている。
電子内視鏡10は、患者の体腔内に挿入される挿入部20と、挿入部20の基端部分に連設され、医師や技師などの術者が手元で操作を行なう操作部22と、操作部22から延びるユニバーサルコード24とからなる。挿入部20は、先端から順に、先端部26、湾曲部27、及び可撓管部28で構成されている。先端部26は、硬質な樹脂材料で形成されている。可撓管部28は、細径かつ長尺な管状に形成されるとともに、可撓性を有しており、操作部22と湾曲部27とを接続する。
湾曲部27は、操作部22に設けられた上下用操作ノブ30及び左右用操作ノブ31の回転操作に応じて上下左右に湾曲するように構成されている。上下用操作ノブ30を回転操作すると、湾曲部27が上下方向に湾曲し、左右用操作ノブ31を回転操作すると、湾曲部27が左右方向に湾曲する。
ユニバーサルコード24には、プロセッサ装置12から供給される光及び空気の取り込みと、電源や各種の制御信号の伝送に用いられるコネクタ36とが設けられている。電子内視鏡10は、コネクタ36を介してプロセッサ装置12に着脱自在に接続される。
光源装置13は、中心波長445nmの第1青色レーザ光を発する第1レーザ光源13aを備えている。第1レーザ光源13aから発せられる第1青色レーザ光は、ユニバーサルコード24内のライドガイド24a,24bを介して、電子内視鏡の先端部26まで導光される。導光された第1青色レーザ光は、一部が先端部26に設けられた蛍光体50で吸収されることにより緑色〜赤色の蛍光を励起発光させるとともに、蛍光体で吸収されなかった光はそのまま蛍光体を透過する。これにより、先端部26からは、第1青色レーザ光と蛍光が合わさった白色光が被検体に照射される。被検体からの戻り光は、被検体の像として電子内視鏡10内の撮像素子42(図3参照)により撮像される。なお、ライトガイド24a,24bは、光ファイバなどの導光部材で構成される。
プロセッサ装置12は、電子内視鏡10の撮像により得られる撮像信号を、ユニバーサルコード24内の信号ケーブル24cを介して受信する。プロセッサ装置12では、受信した撮像信号に各種画像処理を施すことによって、画像データを生成する。この生成された画像データに基づいて、モニタ14に被検体の内視鏡画像が表示される。
図2に示すように、電子内視鏡の先端部26には、被検体に向けて照明光を照射するための2灯の第1及び第2投光ユニット38,39と、観察窓40及び撮像レンズ41を介して受光した被検体の像を、CCDなどの撮像素子42で撮像する撮像ユニット43が設けられている。
図3に示すように、第1及び第2投光ユニット38,39は、先端部26の先端面26aにおいて、撮像ユニット43に関して左右対称の位置に設けられている。なお、先端部26には、第1及び第2投光ユニット38,39、撮像ユニット43の他、スネアなどの処置具を露呈させる処置具出口46や観察窓40に向けて洗浄用の空気又は水を吐出する送気送水ノズル48が設けられている。
図2に示すように、第1投光ユニット38は、ライトガイド24aによって導光された第1青色レーザ光を一部吸収して緑色〜赤色の蛍光を発するとともに、吸収しなかった光をそのまま透過させる蛍光体50と、蛍光体50から出射した第1青色レーザ光の広がり角を拡大する広がり角拡大機能を備えるとともに、この広がり角を拡大した第1青色レーザ光及び蛍光を被検体に向けて出射する照明窓の機能を備えた凹レンズ51を有している。
この第1投光ユニット38では、蛍光体50とライトガイド24aは、互いに光学的に接続された状態でフェルール55によって保持されている。フェルール55は中空の円筒部材であり、軸方向に延びた貫通孔55a内にライトガイド24aが挿通されている。また、フェルール55は、先端側に開口部を有する略円柱状または直方体状の先端格納部55b内で、蛍光体50を接着剤56によって固定している。
このフェルール55は、凹レンズ51とともに、スリーブ60によって保持されている。このスリーブ60は、蛍光体50の出射面と凹レンズ51の入射面が対向した状態で、フェルール55及び凹レンズ51を保持している。
蛍光体50は、青色レーザ光の一部を吸収して蛍光を発する蛍光物質及びこの蛍光物質の吸収されなかった青色レーザ光を散乱させるフィラー50aを、無機ガラスなどの被覆部材と混合して形成されている。蛍光物質は第1青色レーザ光で励起されるものであれば特に限定されないが、下記(i)〜(xi)のものを1種または2種を組み合わせて用いることが好ましい。
(i)アルカリ土類金属ハロゲンアパタイト、
(ii)アルカリ土類金属ホウ酸ハロゲン、
(iii)アルカリ土類金属アルミン酸塩、
(iv)酸窒化物又は窒化物、
(v)アルカリ土類ケイ酸塩、アルカリ土類窒化ケイ素、
(vi)硫化物、
(vii)アルカリ土類チオガレート、
(viii)ゲルマン酸塩、
(ix)希土類アルミン酸塩、
(x)希土類ケイ酸塩、
(xi)Eu等のランタノイド系元素で主に賦活された有機及び有機錯体
なお、蛍光物質に代えて、顔料など(例えばペリレン等の蛍光染料)を使用してもよい。
フィラー50aとしては、シリカ(ヒュームシリカ、沈降性シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、超微粉無定形シリカ、無水珪酸等)、石英、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛、一酸化錫、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、酸化アルミニウム、窒化硼素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の金属窒化物、SiC等の金属炭化物、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム等の金属炭酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物、ほう酸アルミニウム、チタン酸バリウム、リン酸カルシウム、珪酸カルシウム、クレー、石膏、硫酸バリウム、マイカ、ケイソウ土、白土、無機バルーン、タルク、リトポン、ゼオライト、ハロイサイト、蛍光物質、金属片(銀粉等)等が挙げられる。また、強度を得るために、チタン酸カリウム、ケイ酸バリウム、ガラスファイバー等の針状のフィラーを用いてもよい。なかでも、チタン酸バリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素等が好ましい。
フィラー50aは、蛍光体50への混入率によって、蛍光体50から出射する第1青色レーザ光の広がり角を調整することができる。一般的に、短波長の第1青色レーザ光の広がり角は中〜長波長の蛍光の広がり角よりも小さいため、フィラー50aの混入率を大きくして第1青色レーザ光の広がり角を拡げることで、色むらの解消を図っている。しかしながら、フィラー50aの混入率を上げた場合には、蛍光体50内だけで散乱し、被検体にまで届かない第1青色レーザ光が多くなる。これは、青色レーザ光の利用効率を低下さる原因の一つとなる。
例えば、第1レーザ光源13aから発せられる第1青色レーザ光の光量Iaのうち、実際に被検体にまで届いた青色レーザ光の光量Ibの割合(Ib/Ia×100(%))を利用光率とし、蛍光体50に占めるフィラー50aの含有率をフィラー混入率とした場合、利用効率とフィラー混入率との関係は図4のように示される。この図4によれば、フィラー混入率の増加とともに利用効率は減少し、フィラー混入率が10%になったときには利用効率が50%、即ち第1レーザ光源13aから発せられた第1青色レーザ光のうち半分しか被検体の照明に使用されないことを示している。
そこで、第1青色レーザ光の利用効率を低下させることなく、第1青色レーザ光の広がり角を拡げるために、蛍光体50から出射した第1青色レーザ光の広がり角を更に拡げる凹レンズ51が用いられる。例えば、フィラー50aは利用効率を一定以上保つために最低限しか混入しない場合には、図5に示すように、蛍光体50出射後の第1青色レーザ光の広がり角は十分に拡がらない。そのため、被検体上の照明エリアには、第1青色レーザ光と蛍光とが重なり合わない非混色領域R1が生じてしまう。
このフィラー50aで十分に拡げることができなかった第1青色レーザ光の広がり角は、凹レンズ51によって更に拡げられる。一方、凹レンズ51には、第1青色レーザ光とともに蛍光も入射するが、蛍光は第1青色レーザ光よりも波長が大きいので、蛍光の広がり角はスネルの法則より、青色ほどではない。したがって、図6に示すように、凹レンズ51によって、第1青色レーザ光の広がり角を蛍光の広がり角にまで広げることができる。これにより、第1青色レーザ光と蛍光とが重なり合わない非混色領域R1(図5参照)が無くなるため、色むらの発生を防ぐことができる。
なお、凹レンズ51は、蛍光体50から出射した第1青色レーザ光の広がり角を蛍光の広がり角に一致させることができる程度の屈折力(パワー)を有していることが好ましい。したがって、蛍光体50から出射した第1青色レーザ光の広がり角が小さい時には屈折力を大きくし、出射した第1青色レーザ光の広がり角が大きい場合には屈折力を小さくする。
第2投光ユニット39は、第1投光ユニット38と同様の蛍光体50、凹レンズ51、フェルール55、及びスリーブ60を備えている。また、第2投光ユニット39の各部材の配置等は第1投光ユニット38と同様である。そのため、詳細な説明は省略する。
図7に示すように、第2実施形態の内視鏡システム100では、光源装置13に、中心波長405nmの第2青色レーザ光を発する第2レーザ光源13bを新たに設け、第1レーザ光源13aから発する中心波長445nmの第1青色レーザ光と、第2レーザ光源13bから発する中心波長405nmの第2青色レーザ光の2つで蛍光体を励起させる。なお、それ以外については第1実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
第2実施形態の内視鏡システム100では、第2レーザ光源13bから発せられる第2青色レーザ光は、第1レーザ光源13aからの第1青色レーザ光とコンバイナ101で合波され、この合波された光がライドガイド24a,24bで蛍光体50まで導光される。そして、第1及び第2青色レーザ光の合波光が蛍光体50に入射することで、第1及び第2青色レーザ光の一部が蛍光体50の蛍光物質に吸収されて蛍光を発し、残りの第1及び第2青色レーザ光が蛍光体50内のフィラー50aで散乱する。
フィラー50aは、第1実施形態と同様に、第1及び第2青色レーザ光の利用効率の低下を避けるために、最小限しか蛍光体に混入されていない。したがって、図8に示すように、第1及び第2青色レーザ光の広がり角は、フィラー50aの散乱により拡がるものの、蛍光の広がり角までは拡がらない。そのため、蛍光と第1及び第2青色レーザ光とが重なり合わない非混色領域R2ができてしまう。
蛍光体50を出射した第1及び第2青色レーザ光と蛍光は、凹レンズ51に入射する。この凹レンズ51で、第1及び第2青色レーザ光の広がり角を拡げることにより、図9に示すように、第1及び第2青色レーザ光の広がり角と蛍光の広がり角とはほぼ一致する。これにより、非混色領域R2(図8参照)が無くなるため、色むらが発生することは無い。凹レンズ51を出射した第1及び第2青色レーザ光と蛍光は、白色光として被検体に照射される。
なお、第2実施形態においても、凹レンズ51は、蛍光体50から出射した第1及び第2青色レーザ光の広がり角を蛍光の広がり角に一致させることができる程度の屈折力(パワー)を有していることが好ましい。中心波長405nmの第2青色レーザ光は、中心波長445nmの第1青色レーザ光よりも短波長であるため、凹レンズ51では屈折率が高くなる。したがって、凹レンズ51は、蛍光体50から出射した第1及び第2青色レーザ光の広がり角に応じて屈折力を決めるとともに、第1及び第2青色レーザ光の波長差をも考慮して屈折力を決める必要がある。
なお、第1及び第2実施形態では、蛍光体内にフィラーを混入することによって、蛍光体から出る出射光の広がり角を拡大したが、フィラーを混入せずに、蛍光体の蛍光物質が持つ光散乱機能だけで広がり角を拡大してもよい。例えば、第1実施形態の場合であれば、図10に示すように、蛍光体50において、緑発光用蛍光物質80は、中心波長445nmの第1青色レーザ光で緑色の蛍光を励起発光するだけでなく、赤発光用蛍光物質81で励起発光する赤色の蛍光を散乱させる。同様にして、赤発光用蛍光物質81は、第1青色レーザ光で赤色の蛍光を励起発光するだけでなく、緑発光用蛍光物質80で励起発光する緑色の蛍光を散乱させる。このように、各蛍光物質80,81が持つ光拡散機能を生かすことで、フィラー50aを混入することなく、蛍光体50から出る出射光の広がり角を拡大することができる。
また、第2実施形態の場合であれば、第1青色レーザ光とともに蛍光体に入射させる中心波長405nmの第2青色レーザ光は、その約10%が蛍光物質に吸収されて蛍光を発する一方、蛍光物質に吸収されなかった約90%の第2青色レーザ光は、他の蛍光物質によって拡散される。そこで、第2実施形態では、緑発光及び赤発光用蛍光物質の混入率を調整することによって、フィラー50aを混入することなく、第2青色レーザ光の広がり角を拡大することができる。
なお、蛍光や青色レーザ光の光量分布の測定方法については、以下のように行うことが好ましい。図11に示すように、光源である第1(または第2)投光ユニット38を中心に設置し、この投光ユニット90の光軸Lに直交する面内であって、且つ照射中心Cから一定距離だけ離れた第1測定位置において、光量測定器90で光量の測定を行う。この第1測定位置での光量測定値が配光角90°の光強度となる。次に、第1測定位置から周方向に一定角度Aだけ離れた第2測定位置に、光量測定器90を移動させて光量の測定を行う。この第2測定位置での光量測定値が、配光角(90−A)°の光強度となる。同様にして、一定角度ずつ光量測定器をずらしながら配光角の光強度を求める。これにより、配光角+90°〜−90°における光量分布(例えば図5等)が得られる。
以下の実施例1―1〜2―2と比較例1〜3によって本発明を更に具体的に説明する。
[実施例1−1]
実施例1−1では、電子内視鏡10の先端部に、図12に示す第1投光ユニット38及びこの第1投光ユニット38と同様の第2投光ユニット39の2つ設けた。第1投光ユニット38は第1レーザ光源13aとライトガイド24aで光学的に接続し、このライドガイド24aを介して、中心波長445nmの第1青色レーザ光を入射させた。第1投光ユニット38では、ライドガイド24aからの第1青色レーザ光を蛍光体50に入射させた。蛍光体50では、第1青色レーザ光の一部が蛍光物質に吸収されて500nm〜700nmの蛍光を発する一方で、残りの第1青色レーザ光をフィラー50aで散乱させて広がり角を大きくした。フィラー50aの混入率は5%とした。第1青色レーザ光及び蛍光は、直径0.9mmの蛍光体50の出射面から出射した。蛍光体50を出射した第1青色レーザ光及び蛍光は、凹レンズ51に入射させた。この凹レンズ51で第1青色レーザ光の広がり角を更に拡げた。凹レンズ51を出射した第1青色レーザ光及び蛍光は、白色光として被検体に照射した。なお、第2投光ユニット39からも同様に、フィラー及び凹レンズで広がり角を大きくした第1青色レーザ光及び蛍光を、白色光として被検体に照射した。
この実施例1−1では、蛍光と第1青色レーザ光の半値全幅の差が3.5°以下となる凹レンズ51の曲率を、シミュレーションで求めた。なお、凹レンズ51を使用しない場合には、図13に示すように、フィラー混入率が10%のとき、第1青色レーザ光の半値全幅と蛍光の半値全幅との差は3.5°となる。この程度の差であれば、色むらが発生することはほとんど無い。したがって、実施例1−1のように、フィラー混入率が5%の場合には、凹レンズ51のパワーで半値全幅を3.5°以下にすることによって、色むらを無くす。なお、「半値全幅」とは、図14に示すように、光強度が50%になるときの配光角の幅をいう。
なお、シミュレーションを行うにあたって、凹レンズの厚さTを0.2mmに、有効径を1.5mmに、第1青色レーザ光に対する屈折率を1.9079に、蛍光に対する屈折率を1.8817に設定した。
シミュレーションの結果、図15に示すように、曲率を大きくするほど、半値全幅の差が小さくなった。曲率が0.4を超えると半値全幅の差は3.5°以下となり、曲率が0.6になると、半値全幅の差は約2.5°となった。そこで、実施例1−1においては、曲率0.6の凹レンズ51を使用した。
[実施例1−2]
フィラー50aの混入率を7%とし、このフィラー混入率の下で、蛍光と第1青色レーザ光の半値全幅の差を3.5°以下にする凹レンズの曲率をシミュレーションで求めた。それ以外は、実施例1−1と同様に実施した。
シミュレーションの結果、図16に示すように、曲率0.3を境に半値全幅の差は増減するものの、曲率0.1〜0.4の間においては、半値全幅の差は3.5°以下に抑えられている。そこで、実施例1−2においては、0.1〜0.4の間の一定値を曲率とする凹レンズ51を使用した。
[実施例2−1]
図17に示すように、中心波長445nmの第1青色レーザ光に加えて中心波長405nmの第2青色レーザ光を蛍光体50に入射させ、下記レンズデータを有する凹レンズ51で第1及び第2青色レーザ光の広がり角を拡げ、フィラーの混入率を7%にした以外は、実施例1−1と同様に実施した。なお、実施例2−1では、第1レーザ光源13aから発した第1青色レーザ光と第2レーザ光源13bから発した第2青色レーザ光は、コンバイナ101で合波してから、ライドガイド24aに入射させた。
この実施例2−1では、蛍光と第1青色レーザ光の半値全幅の差Δθ1と、蛍光と第2青色レーザ光の半値全幅の差Δθ2の差分値D(|Δθ1−Δθ2|)が最小となる凹レンズ51の曲率を、シミュレーションで求めた。なお、凹レンズ51を使用しない場合には、差分値Dは、図18に示すように、フィラー混入率が10%のときに最も小さくなり(差分値Dは約2°)、このときには色むらはほとんど生じない。したがって、差分値Dが2°以下となる凹レンズ51の曲率を求める。なお、シミュレーションを行うにあたって、第2青色レーザ光に対する屈折率を1.9207とし、それ以外のパラメータ(厚さT、有効径、第1青色レーザ光に対する屈折率、蛍光に対する屈折率)は実施例1−1と同様とした。
シミュレーションの結果、図19に示すように、曲率0.1で差分値Dは「0」となった。そこで、実施例2−2においては、曲率が0.1の凹レンズ51を使用した。
[実施例2−2]
フィラー50aの混入率を5%とし、このフィラーの混入率の下で、差分値Dが2°以下となる凹レンズ51の曲率をシミュレーションで求めた。それ以外は、実施例2−1と同様に実施した。
シミュレーションの結果、図20に示すように、曲率0.3〜0.4の間において、差分値Dは2°以下となった。そこで、実施例2−2においては、0.3〜0.4の間の一定値を曲率とする凹レンズ51を使用した。
[比較例1]
図21に示すように、第1及び第2投光ユニット38,39には、屈折力を有しない照明窓52を設け、フィラー50aだけで第1青色レーザ光の広がり角を拡げた。フィラー50aの混入率は、実施例1−1よりも大きくした。それ以外については、実施例1−1と同様に実施した。
[比較例2]
図22に示すように、第1及び第2投光ユニット38,39に、屈折力を有しない照明窓52を設けた以外は実施例1−1と同様に実施した。
[比較例3]
図23に示すように、第1及び第2投光ユニット38,39に、屈折力を有しない照明窓52を設けた以外は実施例2−1と同様に実施した。
[結果]
実施例1−1〜2−2では、フィラー50aとともに凹レンズ51を使用することで、励起光である青色レーザ光(実施例1−1,1−2では第1青色レーザ光、実施例2−1,2−2では第1及び第2青色レーザ光)の利用効率を下げることなく、色むらを解消することができた。これに対して、比較例1では、フィラー50aの混入率を上げることによって、色むらの解消を図ることができる一方で、被検体にまで届かない光が多くなり、第1青色レーザ光の利用効率が落ちてしまった。また、比較例2では、第1青色レーザ光の広がり角が蛍光の広がり角よりも狭いため、色むらが生じてしまった。また、比較例3においても、第1及び第2青色レーザ光の広がり角が蛍光の広がり角よりも狭いため、色むらが生じてしまった。
38 第1投光ユニット
39 第2投光ユニット
50 蛍光体
50a フィラー
51 凹レンズ

Claims (10)

  1. 内視鏡の先端部に設けられ、被検体に向けて照明光を照射する内視鏡用投光ユニットにおいて、
    所定波長の第1の照明光のうち少なくとも一部を波長変換して第2の照明光を生成する波長変換部と、前記波長変換部で波長変換されなかった第1の照明光を散乱させてその広がり角を拡大する散乱部材とを有する波長変換部材と、
    前記波長変換部材を出射した第1の照明光の広がり角を更に拡大するとともに、その広がり角が更に拡大された第1の照明光と第2の照明光の合波光を前記照明光として前記被検体に照射する広がり角拡大手段とを備えることを特徴とする内視鏡用投光ユニット。
  2. 前記広がり角拡大手段は、前記第1の照明光の広がり角を前記第2の照明光の広がり角に合わせることを特徴とする請求項1記載の内視鏡用投光ユニット。
  3. 前記広がり角拡大手段は凹レンズであることを特徴とする請求項1または2記載の内視鏡用投光ユニット。
  4. 前記第1の照明光は所定波長の第1青色狭帯域光で、前記第2の照明光は、前記第1青色狭帯域光が前記波長変換部で波長変換された緑色〜赤色の蛍光であり、
    前記凹レンズは、前記第1青色狭帯域光の広がり角を前記蛍光の広がり角に合わせることを特徴とする請求項3記載の内視鏡用投光ユニット。
  5. 前記第1青色狭帯域光は中心波長が445nmであることを特徴とする請求項4記載の内視鏡用投光ユニット。
  6. 前記第1の照明光は互いに中心波長が異なる第1及び第2青色狭帯域光であり、前記第2の照明光は、前記第1及び第2青色狭帯域光が波長変換部で波長変換された緑色〜赤色の蛍光であり、
    前記凹レンズは、前記第1及び第2青色狭帯域光の広がり角を前記蛍光の広がり角に合わせることを特徴とする請求項3記載の内視鏡用投光ユニット。
  7. 前記第1青色狭帯域光は中心波長が445nmであり、前記第2青色狭帯域光は中心波長が405nmであることを特徴とする請求項6記載の内視鏡用投光ユニット。
  8. 前記波長変換部材は蛍光体であることを特徴とする請求項1ないし7いずれか1項記載の内視鏡用投光ユニット。
  9. 前記散乱部材はフィラーであることを特徴とする請求項1ないし8いずれか1項記載の内視鏡用投光ユニット。
  10. 前記第1の照明光は青色レーザ光であることを特徴とする請求項1ないし9いずれか1項記載の内視鏡用投光ユニット。
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