JP2012243587A - 接点機構及びこれを使用した電磁接触器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】通電路に介挿された一対の固定接点部2a,2bを有する固定接触子2と該一対の固定接点部2a,2bに接離可能な一対の可動接点部3b,3cを有する可動接触子3との少なくとも一方の形状を、通電時に前記固定接点部及び前記可動接点部間に発生する開極方向の電磁反発力に抗するローレンツ力を発生する形状とし、前記一対の固定接点部及び前記一対の可動接点部間に発生するアークを反対側の固定接点部側に駆動する力を抑制する磁性体14a,14bを前記固定接触子及び可動接触子の少なくとも一方に配置した。
【選択図】図2
Description
また、同様の構成において流れる電流により発生する磁界によってアークを駆動させる電磁接触器の接触子構造が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、ヒューズや回路遮断器と組み合わせて回路を構成する電磁接触器は、短絡時に流れる大電流の通電時に可動接触子が電磁反発力によって開極することを阻止する必要があり、上述した特許文献2に記載の従来例を適用するには、一般的には可動接触子の固定接触子に対する接触圧を確保する接触スプリングのばね力を大きくすることで対処している。
この未解決の課題を解決するために、前記固定接触子及び可動接触子の少なくとも一方の形状を、通電時に前記固定接触子及び前記可動接触子間に発生する開極方向の電磁反発力に抗するローレンツ力を高める形状とすることが考えられる。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、全体の構成を大型化することなく通電時に可動接触子を開極させる電磁反発力を抑制することができるとともに、アークの消弧性能を向上させるようにした接点機構及びこれを使用した電磁接触器を提供することを目的としている。
この構成によると、第1及び第3の導電部で逆方向の電流が流れることになり、可動接触子の導電板と固定接触子の第3の導電板部との間に可動接触子を固定接触子に接触させる方向の電磁反発力を発生することができる。また、第2の導電板部に配置した磁性体により、固定接触子及び可動接触子間に発生するアークを反対側の固定接触子側に駆動する力を抑制することができる。
この構成によると、電磁接触器の通電時に可動接触子及び固定接触子間を開極させる電磁反発力に抗するローレンツ力を発生させて、可動接触子を固定接触子に接触させる接触スプリングのバネ力を小さくすることができる。これに応じて、可動接触子を駆動する電磁石の推力も小さくすることができ、小型な電磁接触器を提供することができる。また、磁性体によって固定接触子及び可動接触子間に発生するアークを反対側の固定接触子側に駆動する力を抑制することができる。
図1は本発明による接点機構を適用した電磁接触器を示す断面図である。
図1において、1は例えば合成樹脂製の本体ケースである。この本体ケース1は、上部ケース1aと下部ケース1bの2分割構造を有する。上部ケース1aには、接点機構CMが内装されている。この接点機構CMは、上部ケース1aに固定配置された固定接触子2と、この固定接触子2に接離自在に配設された可動接触子3とを備えている。
固定鉄心5の中央脚部5aにはコイルホルダ7に巻装された単相交流が供給される電磁コイル8が固定されている。また、コイルホルダ7の上面と可動鉄心6の中央脚6aの付け根との間に可動鉄心6を固定鉄心5から離れる方向に付勢する復帰スプリング9が配設されている。
そして、可動鉄心6の上端に接触子ホルダ11が連結されている。この接触子ホルダ11にはその上端側に軸直角方向に形成された挿通孔11aに、可動接触子3が接触スプリング12によって固定接触子2に対して所定の接触圧を得るように下方に押圧されて保持されている。
一方、固定接触子2は、図2に拡大図示するように、可動接触子3の可動接点部3b,3cに下側から対向する一対の固定接点部2a,2bを支持して導電板3aと平行に外側に向かう第1の導電板部2c,2dと、この第1の導電板部2c,2dの導電板3aより外側となる外側端部から導電板3aの端部の外側を通って上方に延長する第2の導電板部2e,2fとで形成されたL字状導電板部2g,2hを備えている。そして、これらL字状導電板部2g,2hの上端に、図1に示すように、上部ケース1aの外側に延長して固定された外部接続端子2i,2jに連結されている。
今、操作用電磁石4の電磁コイル8が非励磁状態である状態では、固定鉄心5及び可動鉄心6間に電磁吸引力が生じることはなく、復帰スプリング9によって、可動鉄心6が固定鉄心5から上方に離れる方向に付勢され、この可動鉄心6の上端がストッパ13に当接することにより電流遮断位置に保持される。
しかしながら、固定接触子2は、図2に示すように、第1の導電板部2c,2d及び第2の導電板部2e,2fによってL字状導電板部2g,2hが形成されているので、上述した電流路が形成されることにより、可動接触子3を流れる電流に対し、図2(c)に示す磁界を形成する。このため、フレミングの左手の法則により、可動接触子3の導電板3aに可動接点部3b,3cを固定接点部2a,2b側に押し付ける開極方向の電磁反発力に抗するローレンツ力を作用させることができる。
この接点機構CMの閉極状態から操作用電磁石4の励磁を停止して、電流遮断状態とすると、図2(d)に示すように、固定接触子2のL字状導電板部2g,2hの固定接点部2a,2bから可動接触子3の可動接点部3b,3cが上方に離間する。このとき、固定接点部2a,2b及び可動接点部3b,3c間にアーク15a,15bが発生する。このアーク15aの電流方向は開極方向となり、アーク15bの電流方向は開極方向と逆方向となる。
同様に、固定接点部2bと可動接点部3cとの間に発生するアーク15bに隣接するL字状導電板部2hの第2の導電板部2fにも内側面を覆う磁性体板14bを配置しているので、この磁性体板14bによって第2の導電板部2eが発生する磁場をシールドし、アーク15bに影響しないようにすることができる。
すなわち、アーク15a,15bを可動接触子3の導電板部3a上の電流方向に対して垂直方向へ移動するように外部磁界を与えて、この垂直方向にアーク15a,15bの遮断に十分な遮断空間を与えることにより、アーク15a,15bを確実に遮断することができる。
特に、大電流時には、アークが受ける電磁反発力が大きくなり、この傾向が顕著となる。固定接触子2のL字状導電板部2g,2hの第2の導電板部2e,2fとアークの発生箇所との距離を引き離すことでアークへの影響は低減されるが、固定接触子が可動接触子の外側に大きく形成されることとなり、装置が大型化してしまう。
この第2の実施形態では、可動接触子の背面側に固定接触子及び可動接触子に対して発生する開極方向の電磁反発力に抗するローレンツ力を発生させるようにしたものである。
すなわち、第2の実施形態では、図4に示すように、前述した第1の実施形態における図2の構成において、固定接触子2のL字状導電板部2g,2hにおける第2の導電板部2e,2fを可動接触子3の導電板3aの端部の上端側を覆うように折り曲げて、導電板3aと平行な第3の導電板部2m,2nを形成してC字状導電部2o,2pを形成したことを除いては前述した第1の実施形態と同様の構成を有する。
この接点機構CMの開極状態から操作用電磁石4の電磁コイル8を励磁することにより、固定鉄心5で吸引力が発生されて可動鉄心6が復帰スプリング9に抗して下方に吸引される。これによって、接点機構CMが、図4(b)に示すように、接触子ホルダ11が下降して可動接触子3の可動接点部3b,3cが固定接触子2の固定接点部2a,2bに接触スプリング12の接触圧で接触し閉極状態となる。
このとき、固定接触子2の固定接点部2a,2b及び可動接触子3の可動接点部3b、3c間に可動接点部3b,3cを開極させる方向の電磁反発力が発生する。
このため、アーク15aで発生する磁場と、第2の導電板部2eで発生する磁場とは互いに反発する方向に発生するため、その反発力を弱めるために、固定接触子2の第2の導電板部2eの内側面を覆うように磁性体板14aを配置することにより、第2の導電板部2eが発生する磁場をシールドし、アーク15aに影響しないようすることができる。また、同様にして、固定接点部2bと可動接点部3c間に発生するアーク15bに隣接する固定接触子2の第2の導電板部2fからの磁場を磁性体板14bでシールドし、アーク15bに影響しないようにすることができる。
また、上記第2の実施形態においては、前述した第1の実施形態の電磁接触器1に新たな接点機構CMを適用した場合について説明したが、これに限定されるものではない。
一方、固定接点支持絶縁基板22には、長手方向(図5における左右方向)に所定間隔を保って固定接触子2の支持導電部26を挿通する貫通孔22a及び22bが形成され、これら貫通孔22a及び22b内に上面側から固定接触子2の支持導電部26を挿通し、下面側でピン27をC字状導電部2o,2pの挿通孔25に嵌合させてろう付けすることにより、固定接触子2o,2pを固定接点支持絶縁基板22に支持する。
一方、操作用電磁石4は、図5に示すように、側面から見て扁平なU字状の磁気ヨーク31と、この磁気ヨーク31の開放端となる上端部間に固定された平板状の上部磁気ヨーク32とを備えている。
このスプール34は、円筒状補助ヨーク33を挿通する中央円筒部35と、この中央円筒部35の下端部から半径方向外方に突出する下フランジ部36と、中央円筒部35の上端より僅かに下側から半径方向外方に突出する上フランジ部37とで構成されている。そして、中央円筒部35、下フランジ部36及び上フランジ部37で構成される収納空間に電磁コイル38が巻装されている。
そして、円筒状補助ヨーク33及びスプール34の中央円筒部35の内周側に、非磁性体製で有底筒状に形成されたキャップ41が配置されている。このキャップ41は、開放端に半径方向外方に延長して形成されたフランジ部41aが上部磁気ヨーク32の下面にシール接合されている。これによって、接点収納ケース21及びキャップ41が上部磁気ヨーク32の貫通孔32aを介して連通される密封容器が形成されている。そして、接点収納ケース21及びキャップ41で形成される密封容器内に水素ガス、窒素ガス、水素及び窒素の混合ガス、空気、SF6等のガスが封入されている。
また、上部磁気ヨーク32の上面に、円環状に形成された永久磁石44が可動プランジャ43の周鍔部43aを囲むように固定されている。この永久磁石44は上下方向すなわち厚み方向に例えば上端側をN極とし、下端側をS極とするように着磁されている。
また、永久磁石44を環状に形成したので、例えば特開平2−91901号公報に記載されているように永久磁石を左右に分割して2つ配置する場合に比較して、部品点数が少なくなってコストダウンが図れる。また、永久磁石44の内周面近傍に可動プランジャ43の周鍔部43aが配置されるため、永久磁石44で生じる磁束を通す閉回路に無駄がなく、漏れ磁束が少なくなり、永久磁石の磁力を効率的に使用することができる。
また、可動プランジャ43の上端面には絶縁角筒体24の底面部に形成された貫通孔24aを通じて上方に突出して可動接触子3を支持する連結軸46が固定されている。
この釈放状態では、可動プランジャ43の周鍔部43aが永久磁石44の磁力によって補助ヨーク45に吸引されており、復帰スプリング42の付勢力と相まって可動プランジャ43が外部からの振動や衝撃等によって不用意に下方に移動することなく補助ヨーク45に当接された状態が確保される。
このため、アーク15aで発生する磁場と、第2の導電板部2eで発生する磁場とは互いに反発する方向に発生するため、その反発力を弱めるために、固定接触子2の第2の導電板部2eの内側面を覆うように磁性体板14aを配置することにより、第2の導電板部2eが発生する磁場をシールドし、アーク15aに影響しないようすることができる。また、同様にして、固定接点部2bと可動接点部3c間に発生するアーク15bに隣接する固定接触子2の第2の導電板部2fからの磁場を磁性体板14bでシールドし、アーク15bに影響しないようにすることができる。
この第3の実施形態では、前述した第2の実施形態とは逆に可動接触子にC字状折り返し部を形成するようにしたものである。
すなわち、第3の実施形態では、図6(a)〜図6(c)に示すように、可動接触子3の導電板3aの両端側から上方に延長する第1の導電板部3d,3eと、この第1の導電板部3d,3eの上端から内方に延長する第2の導電板部3f,3gとで、導電板3aの上方側に折り返すC字状折り返し部3h,3iが形成されている。これらC字状折り返し部3h,3iの第2の導電板部3f,3gにおける先端側の下面に可動接点部3j,3kが形成されている。
しかしながら、可動接触子3は、図5に示すように、導電板3a、第1の導電板部3d,3e及び第2の導電板部3f,3gによってC字状折り返し部3h,3iが形成されているので、可動接触子3の導電板3aと固定接触子2の第4の導電板部2q,2rとに逆方向の電流が流れることになる。このため、図6(b)に示すように、可動接触子3の導電板3aと固定接触子2の第4の導電板部2q,2rとの間の空間Ac,Adに、電磁反発力を作用させて可動接触子3の可動接点部3j,3kを固定接触子2の固定接点部2w,2xに押し付けるローレンツ力を発生することができる。このローレンツ力によって、固定接触子2の固定接点部2w,2x及び可動接触子3の可動接点部3j,3k間に発生する開極方向の電磁反発力に抗することが可能となり、大電流の通電時に可動接触子3の可動接点部3j,3kが開極することを防止することができる。
同様にして、固定接触子2の固定接点部2xと可動接点部3k間に発生するアーク15bに隣接する可動接触子3の第1の導電板部3eからの磁場のアーク15bへの影響を低減するように第1の導電板部3eの周囲を覆う磁性体板14bを配置して、第1の導電板部3eが発生する磁場を確実にシールドし、この第1の導電板部3eで発生する磁場がアーク15bに影響しないようにしている。
この第3の実施形態でも、固定接触子2及び可動接触子3間に生じる開極方向の電磁反発力に抗するローレンツ力を発生することができ、かつアークに隣接する導体板部をアークから遠ざけることなく導電板部から発生する磁場がアークに影響することを抑制できるため、前述した第1及び第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
上記第3の実施形態においては、アーク15a,15bに対して固定接触子2のL字状導電板部2u,2vの第2の導電板部2s,2tも可動接触子3の第1の導電板部3d,3eよりは距離が遠いがアーク15a,15bに近づいているので、これら第2の導電板部2s,2tにも磁性体板14a,14bを固定配置するようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、本発明の接点機構CMを電磁接触器に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、開閉器等の任意の機器に適用することができる。
Claims (5)
- 通電路に介挿された一対の固定接点部を有する固定接触子と該一対の固定接点部に接離可能な一対の可動接点部を有する可動接触子との少なくとも一方の形状を、通電時に前記固定接点部及び前記可動接点部間に発生する開極方向の電磁反発力に抗するローレンツ力を発生する形状とし、
前記一対の固定接点部及び前記一対の可動接点部間に発生するアークを反対側の固定接触子側に駆動する力を抑制する磁性体を前記固定接触子及び可動接触子の少なくとも一方に配置した
ことを特徴とする接点機構。 - 前記可動接触子は、可動部に支持され、表裏の一方の面における両端側にそれぞれ接点部を有する導電板を備え、
前記固定接触子は、前記導電板の接点部に対向する固定接点部を支持してそれぞれ前記導電板と平行に当該導電板の両端より外側に向かう第1の導電板部と、該第1の導電板部の外方端部から前記導電板の端部の外側を通って延長する第2の導電板部とで形成されたL字状導電板部を備え、
前記磁性体を前記第2の導電板部の少なくとも前記固定接点部側を覆うように配置した
ことを特徴とする請求項1に記載の接点機構。 - 前記固定接触子は、前記第2の導電板部の端部から前記導電板と平行に内方に延長する第3の導電板部を有してC字状に構成され、
前記磁性体を前記第2の導電板部の少なくとも前記固定接点部側を覆うように配置した
ことを特徴とする請求項2に記載の接点機構。 - 前記可動接触子は、可動部に支持される導電板部と、該導電板部の両端に形成されたC字状折り返し部と、該C字状折り返し部の前記導電板部との対向面に形成された接点部とを備え、
前記固定接触子は、前記C字状折り返し部内に前記導電板部と平行に配設された前記可動接触子の接点部と接触する接点部を形成した一対の第1の導電板部と、該一対の第1の導電板部の内側端からそれぞれ前記C字状折り返し部の端部の内側を通って延長する第2の導電板部とで構成されるL字状導電板部を備え、
前記磁性体を前記可動接触子のC字状折り返し導体板部の少なくとも内側面を覆うように配置した
ことを特徴とする請求項1に記載の接点機構。 - 前記請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の接点機構を備え、前記可動接触子が操作用電磁石の可動鉄心に連結され、前記固定接触子が外部接続端子に接続されていることを特徴とする電磁接触器。
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