JP5990281B2 - 接点装置及びこれを使用した電磁開閉器 - Google Patents
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Description
例えば、所定距離だけ離間して配設されたそれぞれ固定接点を有する一対の固定接触子と、これら一対の固定接触子に接離自在に配設された左右端に可動接点を有する可動接触子と、可動接触子を駆動する電磁石装置と、可動接触子及び固定接触子を収納する囲み部材とを備え、囲み部材の外側に可動接触子と平行にアーク消弧用の永久磁石を配置した電磁開閉装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、開極時に固定接触子及び可動接触子間に発生するアークによる可動接触子の消耗を抑制することができる接点装置及びこれを使用した電磁開閉器を提供することを目的としている。
この第1の態様によると、可動接触子及び一対の固定接触子の何れか一方の他方に対向する位置に形成された導電性のアーク転流板部で、可動接触子が一対の固定接触子から離間する際に発生するアークの足を可動接触子からアーク転流板部に転流させることができ、可動接触子及び一対の固定接触子のアーク転流部を設けた側の消耗を抑制することができる。
また、取付板部を可動接触子の一対の固定接触子とは反対側の面に取付けることにより、アーク転流板部を可動接触子に容易に装着することができる。しかも一対のアーク転流側板部によって可動接触子の側面が覆われるので、可動接触子の消耗をより少なくすることができる。
この第2の態様によると、アーク転流板部の溶融温度が可動接触子の溶融温度より高いので、アーク転流板部へアークの足を転流させることにより、アークによるダメージをアーク転流板部で請け負って可動接触子の消耗を抑制することができる。
この構成によると、簡単な構成で開極時に発生するアークを確実に消弧して遮断性能を向上することができる接点装置及びこれを使用した電磁開閉器を提供することができる。
また、上記効果を有する接点装置を電磁開閉器に適用することにより、簡易な構成で開極時に発生するアークによる可動接触子の消耗を抑制して長寿命化できる電磁接触器、電磁継電器等の電磁開閉器を提供することができる。
図1は本発明に係る接点装置を電磁接触器に適用した場合の第1の実施形態を示す断面図、図2は接点収納ケースの分解斜視図である。この図1及び図2において、10は電磁接触器であり、この電磁接触器10は接点機構を配置した接点装置100と、この接点装置100を駆動する電磁石ユニット200とで構成されている。
接点装置100は、図1及び図2から明らかなように、接点機構101を収納する消弧室としての接点収納ケース102を有する。この接点収納ケース102は、絶縁性を有し下端を開放した桶状体103と、この桶状体103の下端面に接合された金属角筒体104とで構成されている。金属角筒体104は、そのフランジ部105が後述する電磁石ユニット200の上部磁気ヨーク210にシール接合されて固定されている。
接点機構101は、図1に示すように、接点収納ケース102の天板103aの貫通孔106及び107に挿通されて固定された一対の固定接触子111及び112を備えている。これら固定接触子111及び112のそれぞれは、天板103aの貫通孔106及び107に挿通される上端に外方に突出するフランジ部113を有する接点支持導体部114と、この接点支持導体部114に連結されて天板103aの下面側に配設され内方端に平坦な接点部115を形成した接点導体部116とを備えている。
連結軸131は、上端に外方に突出するCリング又はEリングでなる止め輪131aによって固定リング131bが抜け止めされ、この固定リング131bの下側に可動接触子130が配置されている。
このアーク転流板部133は、図2に示すように、可動接触子130の一対の固定接触子111及び112とは反対側の下面に接触する取付板部134を有する。この取付板部134は、中央部に連結軸131を挿通する貫通孔135aを形成した中央板部135と、この中央板部135の左右両端部に形成された下方に折り曲げられた折曲部136a,136bと、この折曲部136a,136bの下端から中央板部135と平行に外方に延長する延長部137a,137bとで構成されている。そして、左右両端の延長部137a,137bの前後側面にそれぞれ上方に延長し、可動接触子130の前後両側面に嵌合する一対のアーク転流側板部138a及び138bが一体に形成されている。
この可動接触子130は、釈放状態で、両端の接点部130aと固定接触子111及び112の接点導体部116の下板部の平坦な接点部115とが所定間隔を保って離間した状態となる。また、可動接触子130は、投入位置で、両端の接点部が固定接触子111及び112の接点導体部116の下端の平坦な接点部115に、接触スプリング139による所定の接触圧で接触するように設定されている。
これら一対のアーク消弧用永久磁石143及び144は、厚み方向に互いの対向磁極面が同極例えばN極となるように着磁されている。そして、桶状体103の一対の固定接触子111,112と可動接触子130との対向位置の前後方向両外側には、図3に示すようにアーク消弧空間145及び146が形成されている。
したがって、可動接触子130が一対の固定接触子111及び112から離間する際に発生するアーク150は、図3に示すように、アーク消弧用永久磁石143及び144からの磁束により、アーク消弧用永久磁石143側のアーク消弧空間145側に引き伸ばされる。
しかしながら、次の瞬間には、アーク転流板部133のアーク転流側板部138aの上部側に転流し、アーク150の足がアーク消弧用永久磁石143及び144の磁束により引き伸ばされるに従ってアーク転流側板部138a及び138bの下端側に移動し、最終的に、図3に示すように、アーク転流側板部138a及び138bと延長部137a及び137bとの連結部に到達する。
このスプール204は、円筒状補助ヨーク203を挿通する中央円筒部205と、この中央円筒部205の下端部から半径方向外方に突出する下フランジ部206と、中央円筒部205の上端より僅かに下側から半径方向外方に突出する上フランジ部207とで構成されている。そして、中央円筒部205、下フランジ部206及び上フランジ部207で構成される収納空間に励磁コイル208が巻装されている。
また、スプール204の中央円筒部205の上部側に固定鉄心211が配置されている。この固定鉄心211の対向する下部側に所定距離離間して可動鉄心212が配置され、この可動鉄心212と固定鉄心211との間に復帰スプリング214を配設されている。また、可動鉄心212に可動接触子130を支持する連結軸131が固定されている。
今、固定接触子111が例えば大電流を供給する電力供給源に接続され、固定接触子112が負荷に接続されているものとする。
この状態で、電磁石ユニット200における励磁コイル208が非励磁状態にあって、電磁石ユニット200で可動鉄心212を下降させる励磁力を発生していない釈放状態にあるものとする。この釈放状態では、可動鉄心212が復帰スプリング214によって、固定鉄心211から下方に離れる方向に付勢される。
このため、可動鉄心212に連結軸131を介して連結されている接点機構101の可動接触子130の接点部130aが固定接触子111及び112の平坦な接点部115から下方に所定距離だけ離間している。このため、固定接触子111及び112間の電流路が遮断状態にあり、接点機構101が開極状態となっている。
このように、可動鉄心212が上昇することにより、可動鉄心212に連結軸131を介して連結されている可動接触子130も上昇し、その接点部130aが固定接触子111及び112の平坦な接点部115に接触スプリング139の接触圧で接触する。
このため、外部電力供給源の大電流が固定接触子111、可動接触子130、及び固定接触子112を通じて負荷に供給される閉極状態となる。
これによって、電磁石ユニット200で可動鉄心212を上方に移動させる励磁力がなくなることにより、可動鉄心212が復帰スプリング214の付勢力によって下降する。
この可動鉄心212が下降することにより、連結軸131を介して連結された可動接触子130が下降する。これに応じて接触スプリング139で接触圧を与えている間は可動接触子130が固定接触子111及び112に接触している。その後、接触スプリング139の接触圧がなくなった時点で可動接触子130が固定接触子111及び112から下方に離間する開極状態となる。
このとき、アーク消弧用永久磁石143及び144の対向磁極面がN極であり、その外側がS極であるので、このN極から出た磁束が、平面から見て各アーク消弧用永久磁石143及び144固定接触子111の接点部115と可動接触子130の接点部130aとの対向部のアーク発生部を可動接触子130の長手方向に内側から外側に横切ってS極に達して磁界が形成される。同様に、固定接触子112の接点部115と可動接触子130の接点部130aとのアーク発生部を可動接触子130の長手方向に内側から外側に横切ってS極に達して磁界が形成される。
このため、固定接触子111の接点部115と可動接触子130の接点部となる接点部130aとの間では、電流が固定接触子111側から可動接触子130側に流れるとともに、磁束Φの向きが内側から外側に向かう方向となる。このため、フレミングの左手の法則によって、可動接触子130の長手方向と直交し且つ固定接触子111の接点部115と可動接触子130との開閉方向と直交してアーク消弧空間145側に向かう大きなローレンツ力が作用する。
このとき、アークが外側のアーク消弧空間145内に引き伸ばされることにより、可動接触子130では、アークの足が可動接触子130の角部130bから素早くアーク転流板部133のアーク転流側板部138aに転流し、このアークの足がアーク転流側板部138aの下側に順次移動する。そして、最終的に、図3に示すように、アーク150がアーク消弧空間145の内壁面に沿って大きく引き伸ばされる。
この結果、可動接触子130の寿命を長寿命化することができ、電磁接触器10の信頼性を向上させることができる。
この第2の実施形態では、アーク転流板部133の形状を上下逆転させたものである。
すなわち、第2の実施形態では、第1の実施形態で前述したアーク転流板部133が、図5に示すように、可動接触子130の一対の固定接触子111,112とは反対側の下面に接触する平板状の取付板部301と、この取付板部301の一対の固定接触子111,112に対向する左右端部側における前後端部にそれぞれ下方に延長するアーク転流側板部302a,302bが設けられた構成とされている。ここで、取付板部301には中央部に連結軸131を挿通する貫通孔301aが形成されている。
このようにアーク転流板部133の取付板部301を可動接触子130の下面に接触させて連結軸131に装着し、図4に示すように、可動接触子130を一対の固定接触子111,112に対向させた状態とする。
その他の構成については前述した第1の実施形態と同様の構成を有し、図4〜図6において図1〜図3との対応部分には同一符号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
したがって、上記第2の実施形態でも、前述した第1の実施形態と同様に、可動接触子130を固定接触子111,112から離間させる開極放開始状態としたときに可動接触子130の接点部130aと一対の固定接触子111,112の接点部115との間にアークが発生する。
そして、電磁石143及び144の磁束によってアーク消弧空間145又は146側に引き伸ばされ始めると、可動接触子130のアークの足が可動接触子130の角部130bから前後側面を下側に移動する。その後、可動接触子130の下側の角部130cからアーク転流板部133に転流し、アークの足がアーク転流板部133のアーク転流側板部302a,302bを下側に移動し、最終的に、アーク転流側板部302a,302bの下端部に達して図6に示すようにアークがアーク消弧空間145又は146の内壁に沿うように大きく引き伸ばされて消弧される。
なお、上記第2の実施形態においても、アーク転流板部133の取付板部301の長手方向の中央部を切断除去して左右端部の取付板部301とアーク転流側板部302a,302bとで断面逆U字状の2組アーク転流板部を形成し、これらアーク転流板部を個別に可動接触子130の一対の固定接触子111,112とは反対側に、ねじ、ロウ付け、溶接等の固定手段によって固定するようにしてもよい。この場合でも、上記第2の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
また、上記第1及び第2の実施形態においては、アーク転流板部を可動接触子130とは別体に構成した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、アーク転流側板部138a及び138bを可動接触子130に一体に形成するようにしてもよい。
また、電磁石ユニット200としては上記構成に限定されるものではなく、任意の構成を採用することができ、要は可動接触子130を一対の固定接触子111,112に対して接離可能に駆動できればよいものである。
また、上記第1及び第2の実施形態においては、接点収納ケース102及びキャップ230で密封容器を構成し、この密封容器内にガスを封入する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、遮断する電流が低い場合にはガス封入を省略するようにしてもよい。
この第3の実施形態は、可動接触子にアーク転流板部を取付ける場合に代えて固定接触子にアーク転流板部を取付けるようにしたものである。
すなわち、第3の実施形態では、電磁接触器10が図7に示すように構成されている。
この電磁接触器10は接点機構を配置した接点装置400と、この接点装置400を駆動する電磁石ユニット500とで構成されている。
接点装置400は、図7及び図8から明らかなように、接点機構401を収納する消弧室としての接点収納ケース402を有する。この接点収納ケース402は、金属製の下端部に外方へ突出するフランジ部403を有する金属角筒体404と、この金属角筒体404の上端を閉塞する平板状のセラミック絶縁基板で構成される固定接点支持絶縁基板405とを備えている。
金属角筒体404は、そのフランジ部403が後述する電磁石ユニット500の上部磁気ヨーク510にシール接合されて固定されている。
接点機構401は、図7に示すように、接点収納ケース402の固定接点支持絶縁基板405の貫通孔406及び407に挿通されて固定された一対の固定接触子411及び412を備えている。これら固定接触子411及び412のそれぞれは、固定接点支持絶縁基板405の貫通孔406及び407に挿通される上端に外方に突出するフランジ部413を有する支持導体部414と、この支持導体部414に連結されて固定接点支持絶縁基板405の下面側に配設され内方側を開放したC字状部415とを備えている。
ここで、支持導体部414とC字状部415とは、支持導体部414の下端面に突出形成されたピン414aをC字状部415の上板部416に形成された貫通孔420内に挿通した状態で例えばロウ付けによって固定されている。なお、支持導体部414及びC字状部415の固定は、ロウ付けに限らず、ピン414aを貫通孔420に嵌合させたり、ピン414aに雄ねじを形成し、貫通孔420に雌ねじを形成して両者を螺合させたりしてもよい。
この磁性体板419は、中間板部417の周囲を覆うように形成してもよく、中間板部417に流れる電流による磁場をシールドできればよい。
このように、固定接触子411及び412のC字状部415に絶縁カバー421を装着することにより、このC字状部415の内周面では下板部418の上面側のみが露出されて接点部418aとされている。
連結軸431は、上端に外方に突出するフランジ部431aが形成されている。この連結軸431に下端側から接触スプリング434に挿通し、次いで可動接触子430の貫通孔433を挿通して、接触スプリング434の上端をフランジ部431aに当接させこの接触スプリング434で所定の付勢力を得るように可動接触子430を例えばCリング435によって位置決めする。
また、接点収納ケース402の角筒体404の内周面には、図7及び図8に示すように、例えば合成樹脂材で有底角筒状に形成された絶縁筒体440が配設されている。この絶縁筒体440には、固定接触子411及び412の接点部418aと可動接触子430の接点部418との対向部の前後位置にそれぞれアーク消弧室445及び446が形成されている。
このアーク転流板部450は、図8及び図9に示すように、上板部451とこの上板部451の前後端部に下板部418の前後側面と平行に下方に延長する前後側板部452及び453とで略逆U字状に形成されている。
このスプール504は、円筒状補助ヨーク503を挿通する中央円筒部505と、この中央円筒部505の下端部から半径方向外方に突出する下フランジ部506と、中央円筒部505の上端から半径方向外方に突出する上フランジ部507とで構成されている。そして、中央円筒部505、下フランジ部506及び上フランジ部507で構成される収納空間に励磁コイル508が巻装されている。
そして、スプール504の中央円筒部505内に、底部と磁気ヨーク501の底板部502との間に復帰スプリング514を配設した可動プランジャ515が上下に摺動可能に配設されている。この可動プランジャ515には、上部磁気ヨーク510から上方に突出する上端部に半径方向外方に突出する周鍔部516が形成されている。
また、可動プランジャ515の上端面には可動接触子430を支持する連結軸431が螺着されている。
この釈放状態から、電磁石ユニット500の励磁コイル508を励磁すると、この電磁石ユニット500で励磁力を発生させて、可動プランジャ515を復帰スプリング514の付勢力及び環状永久磁石520の吸引力に抗して下方に押し下げる。
このように、可動プランジャ515が下降することにより、可動プランジャ515に連結軸431を介して連結されている可動接触子430も下降し、その接点部430aが固定接触子411及び412の接点部418aに接触スプリング434の接触圧で接触する。
このため、外部電力供給源の大電流が固定接触子411、可動接触子430、及び固定接触子412を通じて負荷に供給される閉極状態となる。
これによって、電磁石ユニット500で可動プランジャ515を下方に移動させる励磁力がなくなることにより、可動プランジャ515が復帰スプリング514の付勢力によって上昇し、周鍔部516が補助ヨーク525に近づくに従って環状永久磁石520の吸引力が増加する。
なお、上記第3の実施形態においては、アーク転流板部450が逆U字形状に形成されている場合について説明したが、これに限定されるものではなく、図9とは上下反転させた略U字状として下板部418に取付けるようにしてもよい。
また、電磁石ユニット500としては上記構成に限定されるものではなく、任意の構成を採用することができ、要は可動接触子430を一対の固定接触子411,412に対して接離可能に駆動できればよいものである。
また、上記第1〜第3の実施形態においては、本発明を電磁接触器に適用する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、電磁継電器等の他の電磁開閉器にも本発明を適用することができる。
Claims (3)
- 消弧室内に所定間隔を持って固定配置された一対の固定接触子と、
前記消弧室内に前記一対の固定接触子に対して接離可能に配設された可動接触子とを備え、
前記可動接触子に当該可動接触子が前記一対の固定接触子から離間する開極時に発生するアークの足を転流させる導電性のアーク転流板部を形成し、
前記アーク転流板部は、前記可動接触子の前記一対の固定接触子とは反対側に接触し、
前記一対の固定接触子に対向する位置に一対の固定接触子から離れる方向に折り曲げ延長する折曲延長部を有する取付板部と、該取付板部の折曲延長部から前記可動接触子の側縁に接触して延長する一対のアーク転流側板部とで構成されている
ことを特徴とする接点装置。 - 前記アーク転流板部は前記可動接触子より溶融温度の高い金属板で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の接点装置。
- 前記請求項1又は2に記載の接点装置を備え、前記可動接触子が電磁石装置の可動鉄心に連結され、前記一対の固定接触子が外部接続端子に接続されていることを特徴とする電磁開閉器。
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