JP2012242997A - 乗換時間計算システム及び乗換時間計算方法 - Google Patents

乗換時間計算システム及び乗換時間計算方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電子乗車券の利用履歴から駅構内における乗換移動時間を効率的かつ正確に算出する。
【解決手段】プロセッサ及びメモリを備える計算機によって構成される乗換時間計算システムであって、乗換パターン情報に含まれる経路と同一経路のデータを移動ログから抽出し、、該抽出されたデータの特性を代表する値を計算する統計処理手段と、前記乗換パターン情報に含まれる経路と同一経路のデータから、最短の移動時間を求める最短時間計算手段と、前記計算された代表値と前記最短時間とに基づいて、乗換時間を計算する乗換時間計算手段と、を備え、前記乗換時間計算手段は、第1の駅から第3の駅で乗り換えて第2の駅へ至る経路の移動時間を代表する値から、前記第1の駅から前記第3の駅に至る経路の最短移動時間と、前記第3の駅から前記第2の駅に至る経路の最短移動時間とを減じることによって、前記第3の駅における乗換時間を算出する。
【選択図】図5

Description

本発明は、鉄道利用者及び鉄道駅に関する情報を生成するための計算機システムに関し、特に、ICカード乗車券の利用履歴データから鉄道利用者の駅構内における乗り換えを分析する技術に関する。
航空機、電車、バスなどの交通手段を用いて初めての場所に向かう場合には経路検索システムなどを用いて出発地から目的地までの経路を探索する方法が広く普及している。一般的な経路検索システムによる電車の乗換案内では、乗り換えを含む検索結果の場合、乗換駅に電車が到着する時刻と乗換後の電車の発車時刻が提示される。乗換前の電車の到着時刻と乗換後の電車の発車時刻との間には、実際には駅構内を移動する時間と次の電車を待つ時間が含まれている。しかし、経路検索システムは、その合計時間を提示する方法が主流であるため、利用者は実際に駅構内を歩く時間が分からないことが多かった。
さらに、乗換案内システムで用いられる駅構内の移動時間は、一般的に、乗換検索エンジンを提供する会社毎に決められている。この移動時間は、調査員による実測に頼ることが多く、調査に手間がかかる上に、大きな問題や変化(例えば、駅の工事による通路の変更)がない限りは更新されないため、細かな状況変化に対応できないという問題があった。例えば、朝夕などの混雑する時間帯においては、日中などの閑散時間帯に比べて乗換移動時間は長くかかると考えられるが、そのような細かな調整はされていないのが一般的である。
ところで、無線センサデバイス、GPS、非接触IC技術などの進歩により、様々な産業分野において人や物の位置や行動データを取得し、取得したデータを解析することによって抽出された行動履歴情報がマーケティングなどに利用されている。例えば、鉄道のICカード乗車券には、各カードを一意に識別する識別子が付与されているため、ICカード乗車券が通過した改札機の場所や購買した店舗を対応付けることによって、そのICカード乗車券の所有者の行動をある程度、把握することが可能になる。
一方、特許文献1には、交通機関を利用して出発地から目的地までの、乗り継ぎを含む経路を探索して案内するナビゲーションシステムにおいて、乗継場所における乗継時間を実勢に応じて最適化して経路探索を行い、最適な経路を案内するシステムが開示されている。
特開2006−193020号公報
前述した特許文献1に記載された技術では、経路案内という観点から、ある駅における乗換時間(乗継時間)を統計的に算出し、算出した結果を蓄積しておくことによって、経路探索を最適化する。しかし、利用者が実際の所要時間を入力しなければならないので、利用者の入力間違いや、主観的な値の入力を避けることができず、長期間にわたってデータを収集することが困難であることから、時系列的な変化を調査することが難しい。
本発明は、電子乗車券の利用履歴から駅構内における乗換移動時間を効率的かつ正確に算出することを目的とする。
本願において開示される発明の代表的な一例を示せば以下の通りである。すなわち、プロセッサ及びメモリを備える計算機によって構成される乗換時間計算システムであって、交通機関の利用者が該交通機関を利用した経路の識別子及び該経路の移動時間を含む移動ログと、該交通機関の経路を含む乗換パターン情報と、を保持し、前記乗換パターン情報に含まれる経路と同一経路のデータを前記移動ログから抽出し、該抽出されたデータの移動時間を統計処理して、該抽出されたデータの特性を代表する値を計算する統計処理手段と、前記乗換パターン情報に含まれる経路と同一経路のデータから、最短の移動時間を求める最短時間計算手段と、前記計算された代表値と前記最短時間とに基づいて、乗換時間を計算する乗換時間計算手段と、を備え、前記乗換時間計算手段は、第1の駅から第3の駅で乗り換えて第2の駅へ至る経路の移動時間を代表する値から、前記第1の駅から前記第3の駅に至る経路の最短移動時間と、前記第3の駅から前記第2の駅に至る経路の最短移動時間とを減じることによって、前記第3の駅における乗換時間を算出する。
本発明の代表的な実施の形態によれば、駅構内における乗換移動時間を効率的かつ正確に算出することができる。
一般的な駅構内の概略を示す図である。 駅Xから駅Yへ電車で移動するときの所要時間の内訳を説明する図である。 駅Aから駅Bへ電車で移動するときに、駅Cで電車を一回乗り換える場合の所要時間の内訳を説明する図である。 乗換駅における乗換徒歩移動時間の算出を説明する図である。 本発明の実施形態の情報処理システムの全体構成図である。 ID付き位置ログデータのデータ構造を説明する図である。 ID付き購買ログデータのデータ構造を説明する図である。 マスタデータの構造を説明する図である。 移動ログデータの構造を説明する図である。 交通系非接触ICカードの利用履歴から移動ログデータを生成する手順を説明する図である。 乗換駅における乗換移動時間を算出する際に利用可能な発着駅の組み合わせを説明する図である。 乗換パターンリストのデータ構造を説明する図である。 乗換パターンの候補を抽出する処理手順を説明する図である。 最短時間リストのデータ構造を説明する図である。 乗換移動時間リストのデータ構造を説明する図である。 乗換を含まない移動パターンの最短時間を求める処理手順を示す図である。 乗換駅における乗換移動時間を求める処理手順を示す図である。 時間データが格納された配列集合から代表(平均)的な値を求める処理手順を示す図である。 算出した代表(平均)的な乗換移動時間の相対値と実際の乗換移動時間との差を評価する処理手順を示す図である。 ユーザ別に乗継時間を集計した例を示す説明図である。 利用者向け乗換移動時間マップの画面例を示す図である。 利用者向け乗換移動時間変化グラフの画面例を示す図である。 利用者向け乗換経路検索画面の例を示す図である。 利用者向け乗換経路検索結果画面の例を示した図である。
図1から図22を用いて、本発明の実施形態による乗換駅構内における乗換徒歩移動時間の算出方法と、利用者や企業へ情報を提供するシステムの例について説明する。
図1は、駅構内の概略を示す図である。
一般的に、駅構内の移動は、動線102で示すように、徒歩での移動が多く、この駅から入場した利用者は改札101から目的の路線が発着するホーム103、104までを歩いて移動する。また、この駅で路線を乗換える利用者は、例えばホーム103からホーム104までを歩いて移動する。
駅によっては改札とホームとの間や、ホーム間を移動する通路が、複数存在する場合もある。そのような駅を頻繁に利用する者は、どの改札や通路が最も近くて便利かを経験的に知っていると考えられる。
図2は、駅X201から駅Y202へ電車で移動する場合の所要時間の内訳を説明する図である。
駅X201の改札を通って電車に乗り、駅Y202まで移動して電車を降り、駅Y202の改札を通るまでの所要時間は、以下の四つの時間に分けることができる。
所要時間=Tx_in+Tw+Tr+Ty_out
ここで、Tx_in(211)は、駅X201の改札を通ってから電車が来るホームまでの移動時間であり、Tw(212)は、駅X201のホームで電車が来るのを待つ時間である。Tr(213)は、実際に電車に乗っている時間であり、Ty_out(214)は、電車を降りて駅Y202の改札を出るまでの移動時間である。
この場合、目的地に一刻でも早く着こうと急いで移動した利用者の所要時間の内、駅X201の改札を通ってから電車が来るホームまでの移動時間(Tx_in(211))と、電車を降りて駅Y202の改札を出るまでの移動時間(Ty_out(214))とは、最も小さく(例えば、0に近く)なる。さらに、駅X201においてホームに到着したと同時に運よく目的の電車がきたような利用者の所要時間の内訳は、ホームで電車が来るのを待つ時間(Tw(212))が限りなく0に近くなる。
図3は、駅A203から駅B204へ電車で移動するときに、駅C205で電車を一回乗り換える場合の所要時間の内訳を説明する図である。
駅A203の改札を通って電車に乗り、駅C205で電車を降りて徒歩で移動し、別の電車に乗り換えて駅B204まで移動して電車を降り、駅204の改札を通るまでの時間を所要時間は、以下の七つの時間に分けることができる。
所要時間=Ta_in+Tw1+Tr1+Tx+Tw2+Tr2+Tb_out
ここで、Ta_in(215)は、駅A203の改札を通ってから電車が来るホームまでの移動時間であり、Tw1(216)はホームで電車が来るのを待つ時間である。また、Tr1(217)は、実際に一つ目の電車に乗っている時間であり、Tx(218)は、一つ目の電車を駅C205で降りて、次の電車が来るホームへ移動するまでの時間である。さらに、Tw2(219)は、ホームで二つ目の電車が来るのを待つ時間であり、Tr2(220)は、実際に二つ目の電車に乗っている時間である。最後に、Tb_out(221)は、二つ目に乗った電車を駅B204で降りて、駅B204の改札を出るまでの移動時間である。
この場合、実際に電車に乗っている時間Tr1(217)及びTr2(220)は、急行列車と各駅停車とが混在する場合を除けば、どの利用者にもほぼ一律で変わらない。他の五つの時間Ta_in(215)、Tw1(216)、Tx(218)、Tw2(219)、Tb_out(221)は、各人の急ぎ度合や運行ダイヤとのタイミングなど、利用者によって個人差が大きい。しかし、図2で説明したものと同様に、徒歩移動に関する時間であるTa_in(215)、Tx(218)、Tb_out(221)は、急いでいる人ほど0に近づく可能性が高く、ホームで電車を待つ時間であるTw1(216)、Tw2(219)は、運よく待たずに電車に乗れた人ほど0に近くなる。
図4は、駅A203から駅B204へ電車で移動するときに、駅Cで一回、電車を乗換える場合に、乗換駅Cにおける乗換徒歩移動時間218の算出を説明する図である。図4では、駅A203から駅B204、駅A203から駅C205、駅C205から駅B204の三つの移動パターンの所要時間の内訳を用いて、乗換駅Cにおける乗換徒歩移動時間Tx(218)を求める方法について説明する。
まず、図4の(1)は、図3で示したパターンと同様に、駅A203の改札を通って電車に乗り、駅Cで電車を降りて徒歩で移動し、別の電車に乗り換えて駅B204まで移動して電車を降り、駅204の改札を通るまでの時間Tall_1(224)を全所要時間とし、Tall_1(224)を七つの時間215〜221に分けた場合の説明図である。
また、図4には、二つの移動パターン(2)(3)を並べで記載したもので、駅A203の改札を通って電車に乗り、駅C205で電車を降りて改札を通るまでの所要時間Tall_2(225)と、駅C205の改札を通って電車に乗り、駅B204で電車を降りて改札を通るまでの所要時間Tall_3(226)との、それぞれの所要時間の内訳を示す。
すなわち、移動パターン(2)において、駅A203の改札を通って電車に乗り、駅C205で電車を降りて改札を通るまでの所要時間Tall_2(225)は、図2で説明したように駅A203の改札を通ってから電車が来るホームまでの移動時間Ta_in(215)と、ホームで電車が来るのを待つ時間Tw1(216)と、実際に電車に乗っている時間Tr1(217)と、電車を降りて駅C205の改札を出るまでの移動時間Tc_out(222)の四つに分けられる。また、移動パターン(3)において、駅C205の改札を通って電車に乗り、駅B204で電車を降りて改札を通るまでの所要時間Tall_3(226)も、駅C205の改札を通ってから電車が来るホームまでの移動時間Tc_in(223)と、ホームで電車が来るのを待つ時間Tw2(219)と、実際に電車に乗っている時間Tr2(220)と、電車を降りて駅B204の改札を出るまでの移動時間Tb_out(221)の四つに分けられる。
この三つの移動パターンの所要時間Tall_1(224)、Tall_2(225)、Tall_3(226)が短い利用者は、ホームに到着したタイミングで電車が到着したなどによって電車の待ち時間が0に近く、駅構内における移動についても改札からホームまでが近いなどによって、移動も素早く効率的であったといえる。このような所要時間が短いデータに着目すると、駅の改札を通ってから電車が来るホームまでの移動時間Ta_in(215)、Tc_in(223)とホームで電車が来るのを待つ時間Tw1(216)、Tw2(219)と、目的の駅で電車を降りて改札を出るまでの移動時間Tc_out(222)、Tb_out(221)とが0に近く、個人差が少ない値になっていると考えられる。
そこで、駅A203の改札を通って電車に乗り、駅Cで電車を降りて徒歩で移動し、別の電車に乗り換えて駅B204まで移動して電車を降り、駅B204の改札を通るまでの時間Tall_1(224)の最短時間から、駅A203の改札を通って電車に乗り、駅C205で電車を降りて改札を通るまでの所要時間Tall_2(225)の最短時間と、駅C205の改札を通って電車に乗り、駅B204で電車を降りて改札を通るまでの所要時間Tall_3(226)の最短時間とを減じることによって、駅Cにおける乗換徒歩移動時間Tx(218)を、下式を用いて求ることができる。
Tall_1−(Tall_2+Tall_3)=Tx−(Tc_out+Tc_in)
上式において、駅A203で電車に乗って駅C205で降りる移動パターンと、駅C205で電車に乗って駅B204で降りる移動パターンとの最短時間では、Tc_in(223)とTc_out(222)は0に近い値である。また、このTc_in(223)とTc_out(222)が無視できない程度の値である場合でも、駅Cでの乗換徒歩移動時間の変化を相対的に算出することが可能である。
図5は、本発明の実施形態の情報処理システムの全体構成図である。
システムの主要な構成要素は、利用者105が所持する非接触型ICカード(又は、同等の機能を持つICチップを内蔵した携帯端末)106と、駅に設置された改札機101と、改札機101で取得したデータをサーバ群へ送信するネットワーク107である。サーバ群は、履歴サーバ111、計算サーバ112及び情報配信サーバ113を含み、非接触型ICカード106の利用データを蓄積し、解析する。なお、非接触ICカード106及び改札機101の詳細な構成の説明は省略する。
非接触型ICカード106を所持した利用者105が改札機101を通過すると、改札機101は、ICカード106を識別するユーザID、通過日時などを含む位置情報を収集し、収集した情報を改札機101内に蓄積し、所定のタイミングでデータサーバ108に転送する。
データサーバ108は、改札機101が収集したデータを、元データとして蓄積する。また、データサーバ108は、データを受信した際又は所定のタイミング(例えば、一時間おき、一日おき等)で、必要なデータを履歴サーバ111へネットワーク107を介して送信する。改札機101以外の、例えば、駅構内や駅周辺の店舗に設置されているカード読み取り端末、POSレジ端末、自動販売機等からも同様にデータが収集される。例えば、非接触型ICカード106を所持した利用者105が、店舗に設置されたカード読み取り端末にカードをかざした際、カード読み取り端末は、ICカード106を識別するユーザID、日時、金額などを含む購買情報を蓄積し、所定のタイミングでデータサーバ108に転送する。
サーバ群に含まれる履歴サーバ111、計算サーバ112及び情報配信サーバ113は、ネットワーク107に接続しており、各サーバ間、及び各改札機101との間、利用者端末116、118と通信することができる。なお、本実施形態では、履歴サーバ111、計算サーバ112及び情報配信サーバ113をサーバ群として説明するが、1又は複数の物理計算機によって、これらサーバ群の機能を実行できるように構成してもよい。
履歴サーバ111は、ネットワークインタフェース、CPU、メモリ及び記憶部を備える計算機であり、改札機101などの端末が収集した利用者のデータを、データサーバ108からネットワーク107を経由して受信し、データ格納部121に記録する。履歴サーバ111は、各ユーザの位置履歴を格納するID付き位置ログデータ122、購買履歴を格納するID付き購買ログデータ123、駅に関連する基本的なマスタデータ124な、及び、ID付き位置ログデータ122を一次加工した移動ログデータ125を格納する。駅に関連する基本的なマスタデータ124は、更新された場合に、システムの外部から入力され、更新される。
計算サーバ112は、履歴サーバ111に蓄積されたデータを用いてICカード利用者の移動データを生成し、区間毎及び駅構内における移動時間を算出する。計算サーバ112は、主に、ネットワークインタフェース138、CPU131、メモリ132及び記憶部133を備える計算機である。ネットワークインタフェース138は、ネットワーク107に接続するためのインタフェースである。記憶部133は、移動ログ生成プログラム134、区間毎の移動時間算出プログラム135、駅構内移動時間算出プログラム136などのプログラム群と、計算処理によって得られた統計値及び指標値などを格納するデータ格納部137を含む。記憶部133は、例えば、ハードディスクドライブ、CD−ROMドライブ、フラッシュメモリなどの不揮発性記憶装置である。なお、記憶部133は、複数の記録装置に各種プログラム、各種データを分割して記録するものでもよい。
各プログラム群が実行される際は、履歴サーバ111から分析対象となるデータを読み出してメモリ132へ一時的に格納し、プログラム134、135、136をメモリに読み出して、CPU131で実行することによって各種機能を実現する。これらのプログラムの実行のタイミングは、例えば、利用者が要求したタイミングや履歴サーバ111に新たなデータが追加されるでもよいし、毎日決められた時間に実行されるバッチ処理で行ってもよい。
情報配信サーバ113は、ネットワークインタフェース143、144、CPU145、メモリ146及び記録部147を備える計算機である。ネットワークインタフェース143、144は、ネットワーク107に接続するためのインタフェースである。記録部147は、例えば、ハードディスクドライブ、CD−ROMドライブ、フラッシュメモリなどの不揮発性記憶装置であり、各種プログラム、各種データを記録する。なお、記録部147は、複数の記録装置に各種プログラム、各種データを分割して記録するものでもよい。
情報配信サーバ113は、駅の特性評価値や自分の行動傾向などの情報を、インターネット114を介して、携帯情報端末116及び家庭用又は公共の情報端末118(利用者115、117)に提供する。記録部147は、検索処理プログラム142と、情報配信プログラム143を記録する。CPU145は、記録部147に記録されている各種プログラムをメモリに読み出して、実行することによって、情報配信サーバ113の各種機能を実行する。具体的には、検索処理プログラム141を実行することによって、利用者が入力した条件に基づいてデータを検索する。また、情報配信プログラム142を実行することによって、利用者に提示するために加工された情報を配信する。これらの情報は、基本的に各利用者が情報配信サーバ113にアクセスしたタイミングで生成される。
図6A、図6Bは、履歴サーバ111に格納される代表的なデータの構造をそれぞれ1レコード分を示す説明図である。
図6Aに示すように、ID付き位置ログデータ122は、ログID241、対象となるユーザのユーザID242、どのデータ読み取り端末を通過したかの情報から関連付けられる駅ID243、その読み取り端末を通過した利用時刻244、及び、入場か出場かなどの利用種別245などの情報を含む。ここで利用種別とは、例えば、改札機や入出場ゲートのログであれば「入場」又は「出場」、物販用端末のログであれば「購買」などの処理の種別を示す情報である。
また、図6Bに示すように、ID付き購買ログデータ123には、ログID251、対象となるユーザのユーザID252、どのデータ読み取り端末(物販用端末)を通過したかの情報から関連付けられる店舗ID253、その読み取り端末を通過した利用時刻254、及び、最寄駅ID255などの情報が含まれる。
ID付き位置ログデータ122及びID付き購買ログデータ123は、新規にデータが生成される度に送信され、蓄積されてもよいし、又は、利用が少なくなる時間帯(例えば、深夜)に一括して送られてもよい。履歴サーバ111側は、ログデータの送信のタイミングに合わせて格納処理を行う。
図7は、履歴サーバ111に格納されるマスタデータ124の構造を示す説明図である。
まず、駅に関する基本データである駅マスタ260は、駅を識別する駅ID261、駅名262、鉄道会社263、住所などの所在地264、及び、緯度経度265などの情報を含む。駅及び路線の構成に変更があった場合、データが随時追加及び修正される。
路線に関する基本データである路線マスタ270は、路線を識別する路線ID271、路線名272、鉄道会社273、普通列車か特急列車かを区別するための路線タイプ274などの情報を含む。
駅及び路線を関連付けるための基本データである駅・路線関係マスタ280は、路線を識別する路線ID281、その路線に含まれる駅の駅ID282、駅の順序を管理する順序番号283、及び、停車駅又は通過駅のどちらであるかを識別する駅種別284、及び、始発駅からの所要時間285などの情報を含む。
さらに経路に関する基本データである経路マスタ290は、経路を識別する経路ID291、入場駅ID292、出場駅ID293、及び、乗車する路線数分の路線IDと乗換駅IDの情報などを含む。例えば、入場駅ID292から出場駅ID293への移動において1回だけ電車に乗る場合、乗車する路線を示す路線ID1(294)にデータが格納される。また、入場駅ID292から出場駅ID293への移動において2回以上電車に乗る場合、乗車する路線を示す路線ID1(294)、乗換駅を識別する乗換駅ID1(295)、次に乗る電車を示す路線ID2(296)・・・のように、乗車回数301の値に応じて順次、データが格納される。
また、経路マスタ290は、この経路の総合的な情報を示す乗車回数301、標準時間302、最短時間303及び料金304などの情報を含む。入場駅ID292と出場駅ID293との組み合わせに対応する経路が複数存在する場合、一般的に利用頻度の最も高い経路を第一経路として割り当てる。
店舗データマスタ310は、店舗ID311、店舗名称312、店舗の住所313、運営企業名314、及び、最寄駅ID315などの情報を含む。運営企業名314は、店舗を運営している業者の名称である。また、最寄駅ID315はその店舗の住所情報により、駅IDと関連付けることができる。これらの情報の他、例えば、店舗の規模や業種などのデータを格納しておくことによって、より多角的な分析が可能になる。
これらのマスタデータ124(例えば、駅、路線、店舗)は変更があった場合、システムの外部から入力されて更新される。
図8は、履歴サーバ111に格納される移動ログデータ125の構造を示す説明図である。
移動ログデータ125は、ID付き位置ログデータ122及びID付き購買ログデータ123から生成される一次加工後のデータであり、ログを識別するログID321、対象となるユーザのユーザID322、改札機を通過して駅に入場した時刻を示す入場日時323、改札機を通過して駅から出場した時刻を示す出場日時324、入場駅ID325、出場駅ID326、移動にかかった料金を示す支払額327、経路マスタ290に含まれる経路情報と関連付けるための経路ID328、及び、入場日時323から出場日時324までの間に同じICカードを用いた購買の有無を示す購買フラグ329などの情報を含む。これらの情報の他、例えば、移動ログデータ125は、購買した店舗及び当該店舗の最寄駅の情報を含んでもよい。
図9は、交通系非接触ICカード106の利用データから移動ログデータ125を生成する手順を説明する図である。
履歴サーバ111への格納処理は毎日、決められた時刻に1回、バッチ処理で行われるものとして説明する。
まず、新しく収集されたID付き位置ログデータ122及びID付き購買ログデータ123に含まれるユーザID242、252及び利用時刻244、254を参照して、全データをユーザID順及び時刻順に並び替える(ステップ400)。
次に、ステップ400で並び替えられたデータに対して、ユーザIDの数だけ、ステップ402〜411の処理を繰り返す(ステップ401)。
まず、入場駅、入場日時、出場駅、出場日時及び購買フラグを格納する変数を初期化する(ステップ402)。
次に、時刻順に並んだデータを一つずつ取り出し、利用種別245の値によって場合分け処理を行う(ステップ403)。
利用種別245の値が「入場」である場合(ステップ404)、入場駅の変数に駅ID243の値を、入場日時の変数に利用時刻244の値をそれぞれセットし、購買フラグの変数に「0」をセットする(ステップ405)。
一方、利用種別245の値が「購買」である場合(ステップ410)、入場駅及び入場日時の変数に値がセットされていれば、購買フラグの変数に「1」をセットし、入場駅及び入場日時の変数に値がセットされていなければ、このデータは無視して次のデータの処理に進む(ステップ411)。
利用種別245の値が「出場」である場合(ステップ406)、入場駅及び入場日時の変数に値がセットされている場合に限り、出場駅の変数に駅ID243の値を、出場日時の変数に利用時刻244の値をそれぞれセットする(ステップ407)。さらに入場駅及び出場駅の二つの変数の値を用いて、経路マスタ290から該当する経路を検索し、一致した経路ID291を抽出する(ステップ408)。最後に、移動ログデータ125にログID、ユーザID、入場日時、出場日時、入場駅ID、出場駅ID、支払額及び経路IDの情報を格納する(ステップ409)。ここで、ログID321には通し番号をセットする。
図10は、乗換駅Cにおける乗換移動時間を算出する際に利用可能な発着駅の組み合わせを説明する図である。
例えば、乗換駅C(362)において路線1(360)から路線2(361)に乗り換える移動時間を求めたい場合、路線1(360)のいずれかの駅から入場して路線2(361)のいずれかの駅で出場する発着駅の組み合わせ373を選択する。すなわち、駅S1〜S3(363〜365)が出発駅エリア371に選ばれ、駅E1〜E3(366〜368)が到着駅エリア372に選ばれた場合、乗換駅C(362)における乗換移動時間を算出する際に利用可能な発着駅の組み合わせ373は、発駅と着駅の全ての組み合わせで決まるため、この図では九つの組み合わせが可能である。
なお、乗換駅C(362)以外を通る可能性もある経路が含まれるような発着駅の組み合わせは、経路が一意に決まらないので、あらかじめ除外することが望ましい。
また、この発着駅の組み合わせを選別する際に、対象となる乗換駅と前後の路線を指定することによって、マスタデータ124を用いて機械的に、発着駅の組み合わせを抽出することが可能である。
図11は、乗換パターンリスト340のデータ構造を示す説明図である。
乗換パターンリスト340は、図10で説明したように、任意の乗換駅における乗換移動時間を算出するための発着駅の組み合わせを管理するデータであり、通し番号である乗換パターンID341、乗換駅ID342、乗換駅まで乗車する路線の路線ID343、乗換駅から乗車する路線の路線ID344、その乗換駅342での路線343から路線344へ乗り換えるパターンを持つ全ての組み合わせの経路ID(345、348、・・・)、入場駅ID(346、・・・)、及び、出場駅ID(347、・・・)の情報を含む。すなわち、乗換パターンリスト340には、その乗換駅342で路線343から路線344へ乗り換えるパターンの数の経路ID、入場駅ID及び出場駅IDの組み合わせを含む。
図12は、乗換パターンの候補を抽出する処理手順を説明する図である。
乗換パターンリスト340は、計算サーバ112の記憶部137に格納されており、履歴サーバ111に蓄積されている経路マスタ290の新規な格納及び更新と同じタイミングで生成及び更新される。
まず、経路マスタ290の全データから乗車回数301の値が2である経路情報を全て抽出し(ステップ500)、乗換パターンリスト340のテーブルを初期化する(ステップ501)。乗車回数が2の経路情報を抽出することによって、乗り換えを1回だけ含む経路を抽出することができる。
次に、ステップ500で抽出した全ての経路情報について一つずつ、ステップ503〜507の処理を繰り返す(ステップ502)。
まず、抽出した経路情報の「乗換駅ID1(295)、路線ID1(294)、路線ID2(296)」の組み合わせが乗換パターンリスト340内の「乗換駅ID342、乗換前路線343、乗換後路線344」の組み合わせと一致するレコードがあるかを判定する(ステップ503)。
抽出した経路情報の組み合わせが乗換パターンリスト340に存在しない場合(ステップ504)、乗換パターンリスト340に新しくレコードを作成し、乗換駅ID342、乗換前路線343、乗換後路線344、経路ID1(345)、入場駅ID1(346)、出場駅ID1(347)の各項目に、経路マスタ290の乗換駅ID1(295)、路線ID1(294)、路線ID2(296)、経路ID2、入場駅ID(292)、出場駅ID(293)のデータを格納する(ステップ505)。
一方、抽出した経路情報の組み合わせが乗換パターンリスト340に存在する場合(ステップ506)、該当する乗換パターンリスト340の経路IDi、入場駅IDi、出場駅IDiの項目に、経路マスタ290の経路ID、入場駅ID、出場駅IDを追加し、格納する(ステップ507)。
図13A及び図13Bは、乗換を含まない全ての入場駅と出場駅の組み合わせ(移動パターン)について最短時間の値及び乗換移動時間の値を格納するデータの構造を示す図である。
最短時間リスト380及び乗換移動時間390は、乗換パターンリスト340と同様に、計算サーバ112の記憶部137に格納されており、履歴サーバ111にID付き位置ログデータ122及びID付き購買ログデータ123が新しく蓄積され、移動ログデータ125が更新されるタイミングに(例えば、一定時間間隔で)生成及び更新される。
最短時間リスト380は、図13Aに示すように、入場駅ID381、出場駅ID382、最短時間のデータ383、その最短時間を求めるために利用したデータの開始期間384、終了期間385、及び、時間帯386などの情報を含む。
乗換移動時間リスト390は、図13Bに示すように、乗換駅ID391、乗換前路線392、乗換後路線393、乗換移動時間のデータ394、標準移動時間のデータ395、乗換移動時間394を求めるために利用したデータの開始期間396及び終了期間397、及び、時間帯398などの情報を含む。
ここでデータ開始期間384、396、データ終了期間385、397、及び、時間帯386、398の項目に関しては、外部からの入力によって所定時間単位(例えば、1ヶ月単位、1時間単位など)が予め設定されており、その設定値に応じて移動ログデータ125の入場時刻323又は出場時刻324の値を参照して分類される。
図14は、乗換を含まない移動パターンの最短時間を求める処理手順を示す図である。
最短時間リスト380は、計算サーバ112の記憶部137に格納されている。最短時間リスト380の生成及び更新は、履歴サーバ111に格納されている移動ログデータ125が新規の格納及び更新と同じタイミングで行われる。
まず、経路マスタ290の全データから乗車回数301の値が1である経路情報を全て抽出し(ステップ600)、抽出された各経路情報について、ステップ602〜608の処理を繰り返す(ステップ601)。乗車回数が1の経路情報を抽出することによって、乗り換えを含まない経路を抽出して、最短時間を求めることができる。
ステップ602では、入場日時323(又は、出場日時324)及び経路ID328の値が一致する全てのデータを移動ログデータ125から抽出し、最短時間変数STを経路マスタデータの標準時間302×定数値に初期化する(ステップ602)。
ここで、定数は正の値であり、予め固定値として設定しておくとよい。正の定数値を乗じた初期値を設定する理由は、標準時間302×定数倍の値でデータを足切りすることによって、データ数が少ない区間においても極端に長い値が最短時間として抽出されないようにするためである。また、データ開始期間、終了期間及び時間帯の種類は予め設定しておき、設定された全てのデータ開始期間、終了期間及び時間帯の組み合わせの分だけ同じ処理を行うことになるが、一つのデータ開始期間、終了期間及び時間帯が決まった場合の処理の例を示す。
なお、ステップ602において、データの抽出条件に曜日を追加してもよい。
次に、ステップ602で抽出した全ての移動ログデータについて、一つずつ、ステップ604〜607の処理を繰り返す(ステップ603)。
具体的には、移動ログデータの入場日時323及び出場日時324の値を参照し、出場時刻から入場時刻を減じた値(出場時刻−入場時刻)が最短時間変数STの値より小さい場合(ステップ604)、出場時刻から入場時刻を減じた値を最短時間変数STに設定する(ステップ605)。
一方、出場時刻から入場時刻を減じた値が最短時間変数STの値以上である場合(ステップ606)、次の移動ログデータを処理する(ステップ607)。
全ての移動ログデータに対してステップ604〜607の処理が終了した後、最短時間リスト380に、入場駅ID、出場駅ID、最短時間変数ST、データ開始期間、データ終了期間及び時間帯の項目を新規に追加する(ステップ608)。
図15は、乗換駅における乗換移動時間を求める処理手順を示す図である。
乗換移動時間リスト390は、計算サーバ112の記憶部137に格納されており、履歴サーバ111に格納されている移動ログデータ125の新規な格納及び更新と同じタイミングで生成及び更新される。
まず、乗換パターンリスト340に格納されている全てのデータを抽出し、一つずつ、ステップ701〜713の処理を繰り返す(ステップ700)。
次に、配列構造になっている平均移動時間リストの変数を初期化する(ステップ701)。
次に、乗換パターンリスト340から抽出した各データに含まれる経路IDの数を調べ、経路IDの数だけステップ703〜712を繰り返す(ステップ702)。
まず、移動ログデータ125から経路IDの項目を参照し、乗換パターンリストデータの「経路IDi」を含むデータを全て抽出し、所要時間リストの変数と最短時間変数ST1、ST2を初期化する(ステップ703)。
ここでデータ開始期間、終了期間及び時間帯の種類は予め設定しておくとよい。設定された全てのデータ開始期間、終了期間及び時間帯の組み合わせの分だけ同じ処理を行うことになるが、一つのデータ開始期間、終了期間及び時間帯が決まった場合の処理の例を示す。
なお、ステップ703において、データの抽出条件に曜日を追加してもよい。
次に、ステップ703で抽出した全ての移動ログデータについて、一つずつ、ステップ705〜708の処理を繰り返す(ステップ704)。この繰り返し処理によって、図4に示すTall_1(224)を求めることができる。
具体的には、移動ログデータの入場日時323の値、出場日時324の値及び経路マスタ290の標準時間302の値を参照し、出場時刻から入場時刻を減じた値(出場時刻−入場時刻)が経路標準時間302×定数dの値より小さい場合(ステップ705)、出場時刻から入場時刻を減じた値を所要時間リストに設定する(ステップ706)。ここで定数dは正の値であり、予め固定値として設定しておくとよい。定数dに正の固定値を設定する理由は、経路標準時間302×定数dの値でデータを足切りすることによって、データ数が少ない区間においても極端に長い値が平均移動時間として抽出されないようにするためである。
また、移動ログデータ125に含まれる購買フラグの値を参照し、移動中に購買を行っていない可能性の高いデータに限定することによって、純粋に移動だけを行ったデータの比率を高くし、所要時間の平均値の精度を高くすることができる。さらに、出発駅から到着駅への経路が複数存在する場合、購買情報の最寄駅の値を用いて、利用した経路を判定することもできる。
一方、出場時刻から入場時刻を減じた値が経路標準時間302×定数dの値より大きい場合(ステップ707)、次の移動ログデータを処理する(ステップ708)。
全ての移動ログデータに対してステップ705〜708の処理が終了した後、所要時間リストのデータを用いて平均時間T_aveを算出する(ステップ709)。この平均時間T_aveの算出方法は後述する。
次に、最短時間リスト380から入場駅ID381の値と出場駅ID382の値とを参照し、現在セットされている乗換パターンリスト340の入場駅ID346の値と最短時間リスト380の入場駅ID381の値とが一致し、さらに、乗換パターンリスト340の乗換駅ID342の値と最短時間リスト380の出場駅ID382の値とが一致するデータを抽出し、最短時間383の値を変数ST1にセットする(ステップ710)。
同様に、最短時間リスト380の入場駅ID381の値と出場駅ID382の値とを参照し、現在セットされている乗換パターンリスト340の乗換駅ID342の値と最短時間リスト380の入場駅ID381の値とが一致し、さらに、乗換パターンリスト340の出場駅ID347と最短時間リスト380の入場駅ID381の値とが一致するデータを抽出し、最短時間383の値を変数ST2にセットする(ステップ711)。
次に、平均時間T_aveから最短時間変数ST1、ST2の和を減じた値(T_ave−(ST1+ST2))を算出し、平均移動時間リストの変数に追加する(ステップ712)。
繰り返し処理が終了した後、平均移動時間リストから代表的な平均移動時間を算出し、乗換移動時間リスト390内の該当するデータの乗換移動時間394の項目に格納する(ステップ713)。標準乗換移動時間395の値も前述の乗換移動時間394と同様の方法で算出し、経路マスタ290内の標準時間302に格納する。標準乗換移動時間395は、代表的な平均移動時間を算出することで求められるため、詳細な説明を省略する。ここで代表的な平均移動時間を求める方法については後述する。
図16は、時間データが格納された配列集合から代表(平均)的な値を求める処理手順を示す図である。
まず、時間データが格納された配列集合全体から平均値μと標準偏差σを算出する(ステップ800)。平均値と標準偏差の求める式は、一般的なものを用いることができ、データ数をNとし、データをX1、X2、・・・Xnとした場合、下記の式によって求めることができる。
平均μ=(X1+X2+X3+・・+Xn)/N
標準偏差σ=sqrt{{(X1−μ)2+(X2−μ)2+・・+(Xn−μ)2}/N}
次に、時間データが格納された配列集合の要素に対してステップ802〜803の処理を繰り返す(ステップ801)。
まず、時間データの値を参照し、その値が平均値μ−標準偏差σ×定数より小さいか、又は、平均値μ+標準偏差σ×定数より大きい場合(ステップ802)、その時間データを外れ値として元の時間データが格納された配列集合から削除する(ステップ803)。この定数値が小さければ外れ値が厳しく判定され、多くのデータが除外される。
繰り返し処理が終了した後、残った時間データ配列集合から、集団を代表する値(例えば、平均値、中央値など)を算出し、乗換移動時間リスト390の乗換移動時間394及び標準乗換移動時間395の項目に新たにデータを格納する。
図17は、算出した代表(平均)的な乗換移動時間の相対値と実際の乗換移動時間との差を評価する処理手順を示す図である。
まず、乗換移動時間リスト390に格納された全てのレコードを抽出し、平均の差に対応する変数diffを初期化する(ステップ850)。
次に、抽出したレコード分だけステップ851〜852の処理を繰り返す。抽出した乗換移動時間リストのデータの乗換移動時間394の値を変数T_aveに設定する。また標準乗換移動時間395の値を変数T_defに設定する(ステップ851)。
そして、T_aveからT_defを減じた値(T_ave−T_def)の絶対値を変数diffにを加算する(ステップ852)。
繰り返し処理が終了した後、変数diffを乗換移動時間リスト390から抽出したレコード数で除算し、乗換移動時間394及び標準的な乗換移動時間395の平均的な差分値を求める(ステップ853)。標準的な乗換移動時間395の精度が高く、この差分の値が十分に信頼できる値であれば、この平均差分の値を乗換移動時間394に加算することによって乗換移動時間の絶対値を高い精度で求めることができる。
図18は、ユーザ別に乗継時間を集計した例を示す。
全ユーザの乗継時間をユーザ別に集計し、乗継回数が所定回数以上のユーザの乗り継ぎの傾向に基づいて、ユーザを分類する。分類の例としては、例えば、
a.短い(例えば、いつも最短に近い)時間で乗り継ぎをする人
b.長い時間でゆっくり乗り継ぎをする人
c.時間帯や曜日で傾向が大きく変わる人と、変わらない人
d.よく使う駅(エリア)と、あまり使わない駅で違いがある人と、違いがない人
のように分類できる。
このような分類によって、乗継に関する利用傾向をユーザ別に推測し、ユーザの傾向に基づいた案内や誘導等に利用することができる。
図19は、情報配信サーバ113によって生成及び配信される画面の一例で、利用者向け乗換移動時間マップの画面例を示す図である。
図19に示す画面例では、駅A910、駅B911、駅C912、駅D913、駅E914、駅F915、駅G916、駅H917、路線1(900)、路線2(901)及び路線3(902)を含む略地図が表示される。この略地図によると、駅C912及び駅E914が乗換駅である。例えば、乗換駅C912では、A駅910の方面から乗車して駅C912を経由して駅B911の方面へ移動するパターンと、駅B911の方面から乗車して駅C912を経由して駅A910の方面へ移動するパターンと、駅B911の方から乗車して駅C912を経由して駅D913の方面へ移動するパターンと、駅D913の方面から乗車して駅C912を経由して駅B911の方面へ移動するパターンの四つの乗換の方向がある。すなわち、乗換徒歩移動時間も四つ乗換の方向で異なる値が算出される。各パターン毎に乗換時間を分かりやすく表示することによって、各方面別に必要な乗換移動時間を直感的に把握可能な画面を提供することができる。
図20は、情報配信サーバ113によって生成及び配信される画面の一例で、利用者向け乗換移動時間変化グラフの画面例を示す図である。
図20に示す画面例では、例えば、縦軸1000に乗換移動時間、横軸1001に時刻を設定し、1時間単位で時間帯別に乗換徒歩移動時間を算出した結果をグラフ1002で表示する。乗換徒歩移動時間を時間帯別にグラフで表示することによって、乗換移動時間の変化と、時間帯別の混雑度を推定することができる。
また、日中の時間帯の乗換徒歩移動時間を1として他の時間帯の乗換徒歩移動時間を比率で表すことによって、混雑の時間推移を直感的に把握することができる。
また、日中の時間帯と朝夕の時間帯の乗換徒歩移動時間の増減率を算出することによって、他の駅の混雑度と比較することができる。
図19及び図20の画面を生成するための情報は、計算サーバ112の記憶部137に格納されており、利用者115、117が情報端末116、118を用いて、所定のWebページにアクセスし、プルダウンメニューなどで駅又はエリアを選択して指定した条件に従って、検索処理プログラム141が実行され、必要な情報が取得される。情報配信プログラム142は、検索処理プログラム141によって取得された情報を編集し、情報を情報端末116、118に配信する。
図21は、情報配信サーバ113によって生成及び配信される利用者向け乗換経路検索画面1100の例を示す図である。
サーバ113から配信された乗換経路検索画面1100上で、利用者115、117が指定した条件を受けて検索処理プログラム141が実行され、情報配信プログラム142が検索結果を編集し、情報端末116、118に配信される。
まず、利用者115、117が、情報端末116、118を用いて、例えばWebブラウザの画面上のプルダウンメニューで表示内容を選択する。これらの表示条件は利用者115、117が設定画面やマウス、キーボードなどの入力インタフェースを用いて設定することが可能である。
例えば、利用者115、117が乗換経路検索画面1100上で、出発駅1101、到着駅1102、日付1103、時間1104、出発時間か到着時間かを選択する種別1105、検索結果の表示順1106を入力又は選択する。なお、日付、時間などは、予め現在の日時などが設定されており、利用者が選択しない場合に初期値が設定される。情報端末116、118は、指定された条件を検索処理プログラム141へ送信する。
乗換経路検索画面における表示順は、所要時間順、金額順などが一般的であるが、本発明による乗換駅構内における乗換徒歩移動時間の算出結果を用いることによって、徒歩移動時間順で検索結果を表示することができる。これは、徒歩移動を少なくしたい利用者に徒歩で移動する時間の短い順に検索結果を並び替えるというオプション機能である。
さらに、時間帯別の乗換徒歩移動時間の結果を用いて、混雑度の低い経路順に表示するオプション機能を導入することもできる。
図22は、情報配信サーバ113によって生成及び配信される利用者向け乗換経路検索結果画面1200の例を示した図であり、徒歩移動時間の短い順に検索結果を並び替えた画面を示す。
利用者115、117が情報端末116、118を用いて乗換経路検索画面1100上で選択したメニューに従って、検索処理プログラム141が実行され、配信プログラム142が検索結果を編集及び配信する。
出発地がA駅で到着駅がB駅となる条件で検索処理プログラム141を実行した結果、C駅で乗り換えるパターンと、D駅で乗り換えるパターンが抽出された。配信プログラム142は、検索結果を徒歩移動時間の短い順に並び替え、C駅で乗り換えるパターンを経路1、D駅で乗り換えるパターンを経路2とした画面を生成し、利用者に配信する。
なお、本発明の実施形態では、乗換徒歩移動時間を求めるために交通系非接触ICカードの利用履歴を用いる例を示したが、これに加えて携帯電話等で取得した位置情報や購買履歴を合わせて分析することによって、より精度や質を向上させた乗換時間を求めることができる。
以上説明したように、本発明の実施形態によると、日々、大勢の人に利用されている交通系ICカードの履歴情報(電車の乗降データ)から得られた駅利用者の行動データを分析することによって、駅構内における乗換移動時間をより正確に求めることができる。
特に、駅Aから駅Cで乗り換えて駅Bへ至る経路の平均移動時間から、駅Aから駅Cに至る経路の最短移動時間と、駅Cから駅Bに至る経路の最短移動時間とを減じることによって、駅Cにおける乗換時間を算出するので、
また、最短移動時間の最小値を標準移動時間より極めて大きいデータを除外して、最短移動時間を求めるので、データ数が少ない区間においても極端に長い値が最短時間として抽出されず、適切な最短移動時間を求めることができる。
また、移動時間が標準時間より極めて大きいデータを除外して平均移動時間を求めるので、データ数が少ない区間においても極端に長い値が平均移動時間として抽出されず、適切な平均移動時間を求めることができる。
また、乗換移動時間を算出する際に方面別、平日・休日の別、時間帯別、季節別などの条件によって詳細な移動所要時間を算出できるので、各条件における混雑度合を指標化することができ、利用者のリクエストに応じて情報を配信することができる。
また、乗換移動時間の変化を分析することによって、駅の構造の変化や駅利用者の行動傾向を反映した情報を提供することができる。
さらに、徒歩での移動を少なくしたい利用者に対して、本発明の実施形態の方法によって求めた乗換駅の乗換移動時間に基づいて乗換移動時間の大小で順位付けをした乗換案内を行うことができ、そのような乗換案内プログラムを提供することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々変形して実施可能であることが可能であることは、当業者に理解されよう。
101 改札機
106 ICカード
107 ネットワーク
108 データサーバ
111 履歴サーバ
112 計算サーバ
113 情報配信サーバ
114 インターネット
115、117 利用者
116、118 情報端末

Claims (10)

  1. プロセッサ及びメモリを備える計算機によって構成される乗換時間計算システムであって、
    交通機関の利用者が該交通機関を利用した経路の識別子及び該経路の移動時間を含む移動ログと、該交通機関の経路を含む乗換パターン情報と、を保持し、
    前記乗換パターン情報に含まれる経路と同一経路のデータを前記移動ログから抽出し、該抽出されたデータの移動時間を統計処理して、該抽出されたデータの特性を代表する値を計算する統計処理手段と、
    前記乗換パターン情報に含まれる経路と同一経路のデータから、最短の移動時間を求める最短時間計算手段と、
    前記計算された代表値と前記最短時間とに基づいて、乗換時間を計算する乗換時間計算手段と、を備え、
    前記乗換時間計算手段は、第1の駅から第3の駅で乗り換えて第2の駅へ至る経路の移動時間を代表する値から、前記第1の駅から前記第3の駅に至る経路の最短移動時間と、前記第3の駅から前記第2の駅に至る経路の最短移動時間とを減じることによって、前記第3の駅における乗換時間を算出することを特徴とする乗換時間計算システム。
  2. 前記統計処理手段は、前記経路の移動時間が所定の時間以上であるデータを、前記統計処理に用いないことを特徴とする請求項1に記載の乗換時間計算システム。
  3. 前記乗換時間計算システムは、前記乗換駅における標準の乗換時間を保持し、
    前記最短時間計算手段は、
    乗換パターン情報に含まれる経路と同一経路のデータを前記移動ログから抽出し、
    該抽出されたデータのうち、最短の移動時間を求め、
    前記最短時間の最小値を、前記標準の乗換時間に所定の正の値を乗じた値に設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の乗換時間計算システム。
  4. 前記乗換時間計算システムは、
    乗車駅、乗換駅、下車駅及び経路における乗車回数のデータを含む経路情報を保持し、
    前記経路情報から乗車回数が2回のデータを抽出し、該抽出されたデータの経路を前記乗換パターン情報に追加する乗換パターン情報生成手段を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の乗換時間計算システム。
  5. 前記移動ログは、前記交通機関を利用するために駅へ入場又は出場した日時を含み、
    前記統計処理手段及び前記最短時間計算手段は、時間帯、季節及び曜日の少なくとも一つのパラメータの入力を受け付け、
    前記統計処理手段は、前記経路が同一であり、且つ、前記受け付けたパラメータと前記入場日時又は出場日時とが一致するデータを前記移動ログから抽出し、
    前記最短時間計算手段は、前記経路が同一であり、且つ、前記受け付けたパラメータと前記入場日時又は出場日時とが一致するデータの最短の移動時間を求めることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の乗換時間計算システム。
  6. プロセッサ及びメモリを備える計算機によって構成される乗換時間計算システムにおいて実行される乗換時間計算方法であって、
    前記乗換時間計算システムは、交通機関の利用者が該交通機関を利用した経路の識別子及び該経路の移動時間を含む移動ログと、該交通機関の経路を含む乗換パターン情報と、を保持し、
    前記方法は、
    前記乗換パターン情報に含まれる経路と同一経路のデータを前記移動ログから抽出し、該抽出されたデータの移動時間を統計処理して、該抽出されたデータの特性を代表する値を計算する統計処理ステップと、
    前記乗換パターン情報に含まれる経路と同一経路のデータから、最短の移動時間を求める最短時間計算ステップと、
    前記計算された代表値と前記最短時間とに基づいて、乗換時間を計算する乗換時間計算ステップと、を含み、
    前記乗換時間計算ステップでは、第1の駅から第3の駅で乗り換えて第2の駅へ至る経路の移動時間を代表する値から、前記第1の駅から前記第3の駅に至る経路の最短移動時間と、前記第3の駅から前記第2の駅に至る経路の最短移動時間とを減じることによって、前記第3の駅における乗換時間を算出することを特徴とする乗換時間計算方法。
  7. 前記統計処理ステップでは、前記経路の移動時間が所定の時間以上であるデータを、前記統計処理に用いないことを特徴とする請求項6に記載の乗換時間計算方法。
  8. 前記乗換時間計算システムは、前記乗換駅における標準の乗換時間を保持し、
    前記最短時間計算ステップでは、
    乗換パターン情報に含まれる経路と同一経路のデータを前記移動ログから抽出し、
    該抽出されたデータのうち、最短の移動時間を求め、
    前記最短時間の最小値を、前記標準の乗換時間に所定の正の値を乗じた値に設定することを特徴とする請求項6又は7に記載の乗換時間計算方法。
  9. 前記乗換時間計算システムは、乗車駅、乗換駅、下車駅及び経路における乗車回数のデータを含む経路情報を保持し、
    前記方法は、前記経路情報から乗車回数が2回のデータを抽出し、該抽出されたデータの経路を前記乗換パターン情報に追加する乗換パターン情報生成ステップを含むことを特徴とする請求項6から8のいずれか一つに記載の乗換時間計算方法。
  10. 前記移動ログは、前記交通機関を利用するために駅へ入場又は出場した日時を含み、
    前記統計処理ステップ及び前記最短時間計算ステップでは、時間帯、季節及び曜日の少なくとも一つのパラメータの入力を受け付け、
    前記統計処理ステップでは、前記経路が同一であり、且つ、前記受け付けたパラメータと前記入場日時又は出場日時とが一致するデータを前記移動ログから抽出し、
    前記最短時間計算ステップでは、前記経路が同一であり、且つ、前記受け付けたパラメータと前記入場日時又は出場日時とが一致するデータの最短の移動時間を求めることを特徴とする請求項6から9のいずれか一つに記載の乗換時間計算方法。
JP2011111199A 2011-05-18 2011-05-18 乗換時間計算システム及び乗換時間計算方法 Active JP5671748B2 (ja)

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