JP2012242512A - 配向層用原版、位相差フィルムの製造方法、長尺状配向膜および長尺位相差フィルム - Google Patents

配向層用原版、位相差フィルムの製造方法、長尺状配向膜および長尺位相差フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、低コストかつ粉塵や静電気の発生が少なく、優れた配向規制力を有する配向膜を形成可能な配向層用原版を提供することを主目的とする。
【解決手段】本発明は、表面に微細凹凸形状が形成されたロール基材を有し、上記微細凹凸形状の形成方向が、上記ロール基材の回転方向に対して45°の方向であることを特徴とする配向層用原版を提供することにより、上記課題を解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は、低コストかつ粉塵や静電気の発生が少なく、優れた配向規制力を有する配向膜を形成可能な配向層用原版に関するものである。
従来の一般的な液晶表示装置としては、図16に示すように、入射側の偏光板102Aと、出射側の偏光板102Bと、液晶セル104とを有するものを挙げることができる。
偏光板102Aおよび102Bは、所定の振動方向の振動面を有する直線偏光(図中、矢印で模式的に図示)のみを選択的に透過させるように構成されたものであり、それぞれの振動方向が相互に直角の関係になるようにクロスニコル状態で対向して配置されている。
また、液晶セル104は画素に対応する多数のセルを含むものであり、偏光板102Aと102Bとの間に配置されている。
ここで、このような液晶表示装置100において、液晶セル104が、負の誘電異方性を有するネマチック液晶が封止されたVA(Vertical Alignment)方式(図中、液晶のダイレクターを点線で模式的に図示)を採用している場合を例に挙げると、入射側の偏光板102Aを透過した直線偏光は、液晶セル104のうち非駆動状態のセルの部分を透過する際に、位相シフトされずに透過し、出射側の偏光板102Bで遮断される。これに対し、液晶セル104のうち駆動状態のセルの部分を透過する際には、直線偏光が位相シフトされ、この位相シフト量に応じた量の光が出射側の偏光板102Bを透過して出射される。これにより、液晶セル104の駆動電圧を各セル毎に適宜制御することにより、出射側の偏光板102B側に所望の画像を表示することができる。なお、液晶表示装置100としては、上述したような光の透過および遮断の態様をとるものに限らず、液晶セル104のうち非駆動状態のセルの部分から出射された光が出射側の偏光板102Bを透過して出射される一方で、駆動状態のセルの部分から出射された光が出射側の偏光板102Bで遮断されるように構成された液晶表示装置も考案されている。
ところで、上述したようなVA方式の液晶セル104のうち非駆動状態のセルの部分を直線偏光が透過する場合を考えると、液晶セル104は複屈折性を有しており、厚さ方向の屈折率と面方向の屈折率とが異なるので、入射側の偏光板102Aを透過した直線偏光のうち液晶セル104の法線に沿って入射した光は位相シフトされずに透過するものの、入射側の偏光板102Aを透過した直線偏光のうち液晶セル104の法線から傾斜した方向に入射した光は液晶セル104を透過する際に位相差が生じて楕円偏光となる。この現象は、液晶セル104内で垂直方向に配向した液晶分子が、正のCプレートとして作用することに起因したものである。なお、液晶セル104を透過する光(透過光)に対して生じる位相差の大きさは、液晶セル104内に封入された液晶分子の複屈折値や、液晶セル104の厚さ、透過光の波長等にも影響される。
以上の現象により、液晶セル104内のあるセルが非駆動状態であり、本来的には直線偏光がそのまま透過され、出射側の偏光板102Bで遮断されるべき場合であっても、液晶セル104の法線から傾斜した方向に出射された光の一部が出射側の偏光板102Bから洩れてしまうことになる。
このため、上述したような従来の液晶表示装置100においては、正面から観察される画像に比べて、液晶セル104の法線から傾斜した方向から観察される画像の表示品位が主にコントラストが低下することが原因で悪化するという問題(視角依存性の問題)があった。
上述したような従来の液晶表示装置100における視角依存性の問題を改善するため、現在までに様々な技術が開発されており、その一つとして、例えば特許文献1または特許文献2に開示されているように、コレステリック規則性の分子構造を有する位相差層(複屈折性を示す位相差層)を用い、このような位相差層を液晶セルと偏光板との間に配置することにより光学補償を行うようにした液晶表示装置が知られている。
ここで、コレステリック規則性の分子構造を有する位相差光学素子では、λ=nav・p(p:液晶分子の螺旋構造における螺旋(ヘリカル)ピッチ、nav:螺旋軸に直交する平面内での平均屈折率)で表される選択反射波長が、例えば特許文献1または特許文献2に開示されているように、透過光の波長よりも小さくなる、または大きくなるように調整している。
このような位相差層を有する位相差フィルムとしては、棒状化合物を一定方向に配列させる配向規制力を有する配向膜と、配向膜上に形成され、液晶材料等の屈折率異方性を有する材料を含む位相差層と、を有するものが用いられている。また、配向膜への配向規制力の付与方法としては、通常、配向膜にラビング処理(摩擦)を施すことにより行われている。
しかしながら、このようなラビング処理による配向規制力を付与する方法では、配向膜表面のラビング処理により、微細な粉塵や静電気を生じ、その結果、クリーンな環境を要求される液晶ディスプレイ等の表示装置の製造の歩留まりを低下させる原因となるといった問題があった。
また、特許文献3では、配向膜として光配向材料を含む光配向膜を用いる方法が開示されている。このような方法によれば、粉塵や静電気の発生のないものとすることができるが、光配向材料が非常に高価であり、また、このような光配向膜を配向させるのに用いる偏光の紫外線照射装置も高価であることから、高コストなものとなるといった問題があった。また、ラビング処理により配向規制力を付与されたものと比較し、配向規制力が低い傾向があるといった問題があった。
特開平3−67219号公報 特開平4−322223号公報 特開2005−49865号公報
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、低コストかつ粉塵や静電気の発生が少なく、優れた配向規制力を有する配向膜を形成可能な配向層用原版を提供することを主目的とするものである。
上記課題を解決するために本発明は、表面に微細凹凸形状が形成されたロール基材を有し、上記微細凹凸形状の形成方向が、上記ロール基材の回転方向に対して45°の方向であることを特徴とする配向層用原版を提供する。
本発明によれば、微細状凹凸形状が一定方向に形成されていることにより、棒状化合物を一定方向に配列できる優れた配向規制力を有する配向層を有する配向膜を、低コストで製造することができ、また、製造時に粉塵や静電気の発生の少ないものとすることができる。
また、長手方向に対して45°の方向に上記微細凹凸形状が転写された配向層を形成することができ、例えば、アクティブ方式の3次元表示装置に好適に用いられるものとすることができる。
本発明は、上述の配向層用原版上に、配向層形成用樹脂組成物からなる配向層形成用層を接触させた後、加圧し、上記配向層形成用層に上記配向層用原版表面の形状を賦型する賦型工程と、上記賦型工程後に、上記配向層形成用層を硬化させる硬化工程および上記配向層形成用層を上記配向層用原版から剥離し、配向層を形成する剥離工程と、上記配向層上に、屈折率異方性を有する棒状化合物を含む位相差層形成用塗工液を塗布する塗布工程と、上記位相差層形成用塗工液の塗膜に含まれる棒状化合物を、上記配向層に形成された微細凹凸形状の方向に沿って配列させる配向工程と、を有することを特徴とする位相差フィルムの製造方法を提供する。
本発明によれば、上記配向層用原版を用いることにより、長尺方向に対して45°の方向に配列した棒状化合物を含む位相差層を有する位相差フィルムを容易に得ることができる。また、製造時に粉塵や静電気の発生の少ないものとすることができる。
本発明は、表面に微細凹凸形状が形成されている長尺状の配向層を有し、上記微細凹凸形状の形成方向が、上記配向層の長手方向に対して45°の方向であることを特徴とする長尺状配向膜を提供する。
本発明によれば、長手方向に対して45°の方向に微細凹凸形状が形成されていることにより、例えば、アクティブ方式の3次元表示装置に好適に用いられるものとすることができる。また、長尺状であるため、位相差フィルムを大量に形成可能な長尺位相差フィルムを容易に形成することができる。また、長尺状であることにより、製造プロセスの自由度を高いものとすることができる。
本発明は、上述の長尺状配向膜と、上記長尺状配向膜に含まれる配向層上に形成され、屈折率異方性を有する棒状化合物を含む位相差層と、を有することを特徴とする長尺位相差フィルムを提供する。
本発明によれば、3次元表示装置に適用可能な位相差フィルムを容易かつ大量に形成することができる。
また、長尺状であることにより、位相差フィルムの製造プロセスの自由度を高いものとすることができる。
本発明においては、上記位相差層の面内レターデーション値がλ/4であることが好ましい。アクティブ方式の3次元表示装置に好適に用いられるものとすることができるからである。
本発明の配向層用原版によれば、低コストかつ粉塵や静電気の発生が少なく、優れた配向規制力を有する配向層を形成することができるという効果を奏する。
本発明の配向層用原版の一例を示す概略図である。 図1の原版の表面を示す概略平面図である。 図2のA−A線断面図である。 本発明の原版を用いて形成される配向膜を説明する説明図である。 本発明における微細凹凸形状を説明する説明図である。 本発明の位相差フィルムの製造方法の一例を示す工程図である。 本発明の位相差フィルムの製造方法の一例を示す工程図である。 本発明における加圧方法を説明する説明図である。 本発明における加圧方法を説明する説明図である。 本発明に用いられる透明フィルム基材を説明する説明図である。 本発明における他の工程を説明する説明図である。 本発明の長尺状配向膜の一例を示す概略平面図である。 図12のB−B線断面図である。 本発明の長尺状位相差フィルムの一例を示す概略平面図である。 図14のC−C線断面図である。 従来の液晶表示装置を示す概略分解斜視図である。
本発明は、配向層用原版、それを用いた位相差フィルムの製造方法、それを用いて形成された長尺状配向膜および長尺位相差フィルムおよびそれを用いた位相差フィルムの製造方法に関するものである。
以下、本発明の配向層用原版、位相差フィルムの製造方法、長尺状配向膜、および長尺位相差フィルムについて詳細に説明する。
A,配向層用原版
まず、本発明の配向層用原版について説明する。
本発明の配向層用原版は、表面に微細凹凸形状が形成されたロール基材を有し、上記微細凹凸形状の形成方向が、上記ロール基材の回転方向に対して45°の方向であることを特徴とするものである。
このような本発明の原版について図を参照して説明する。図1は、本発明の原版の一例を示す概略図である。図2は図1の原版表面の概略平面図であり、図3は図2のA−A線断面図である。図1〜図3に例示するように、本発明の原版10は、表面に微細凹凸形状が形成されたロール基材1を有し、上記微細凹凸形状の形成方向が、上記ロール基材1の回転方向に対して45°の方向であるものである。
なお、図2中の矢印は、微細凹凸形状の形成方向を示すものである。
本発明によれば、微細状凹凸形状が一定方向に形成されていることにより、棒状化合物を一定方向に配列できる優れた配向規制力を有する配向層を有する配向膜を、低コストで製造することができ、また、製造時に粉塵や静電気の発生の少ないものとすることができる。
また、長手方向に対して45°の方向に上記微細凹凸形状が転写された配向層を形成することができ、例えば、アクティブ方式の3次元表示装置に好適に用いられるものとすることができる。
このようなアクティブ方式の3次元表示装置に用いられる態様としては、右目用および左目用の位相差層として、棒状化合物の配列方向が45°異なる第1位相差領域および第2位相差領域をパターン状に含むパターン位相差フィルムと組み合わせて用いる態様を挙げることができる。
すなわち、上記第1位相差領域および第2位相差領域の面内レターデーション値をλ/2分に相当するものとし、さらに、本発明の原版を用いて形成された配向層上に面内レターデーション値がλ/4となるように形成された位相差層を有するλ/4板とを組み合わせて用いることにより、容易に3次元表示装置を製造することができる。
ここで、上記形成方向の場合にλ/4板と組み合わせることにより、容易に3次元表示装置を製造することができる点について、より詳細に説明する。図4は、本発明の原版を用いて形成されたλ/4板と、パターン位相差フィルムを組み合わせて用い、3次元表示可能な液晶表示装置を作製した場合の一例を示す概略図である。図4に例示するように、本発明の原版を用いて形成されたλ/4板とパターン位相差フィルムとを組み合わせて用いる液晶表示装置は、パッシブ方式により3次元表示が可能なものとなる。その原理は次の通りである。
まず、フラットパネルディスプレイを構成するカラーフィルタの画素を、右目用映像表示画素と左目用映像表示画素の2種類の複数の画素にパターン状に分割し、一方のグループの画素では右目用の映像を表示させ、他方のグループの画素では左目用の映像を表示させる。次に、パターン位相差フィルムとして、位相差層の第1位相差領域が左目用映像表示画素の配列パターンに対応するように形成され、かつ第2位相差領域が右目用映像表示画素の配列パターンに対応するように形成されたものを用意する。そして、このようなパターン位相差フィルムを、第2直線偏光板の表示面側に配置し、さらにλ/4板をパターン位相差フィルムの表示面側に配置する。このとき、第1位相差領域の遅相軸の方向と、第2直線偏光板の偏光軸の方向とが45°で交差するようにし、さらに第1位相差領域の遅相軸方向とλ/4板の遅相軸方向とが平行または直交の関係になるようにする。このようにパターン位相差フィルムとλ/4板とを配置することによって、右目用映像表示画素および左目用映像表示画素によって表示された映像(以下、それぞれ「右目用映像」、「左目用映像」と称する場合がある。)は、次のような経路で観察者に視認されることになる。
すなわち、右目用映像表示画素および左目用映像表示画素によって表示された各映像は、まず、第2直線偏光板を透過することから、それぞれが直線偏光に変換されることになる。ここで、図4においては、第2直線偏光板の偏光軸は0°方向となっているため、第2偏光板を透過した各映像も、0°方向の直線偏光となる。次に、このように直線偏光(0°)に変換された各映像は、パターン位相差フィルムに入射することになるが、左目用映像は第1位相差領域を通過し、右目用映像は第2位相差領域を通過するため、左目用映像は偏光軸が90°の直線偏光(L1)として、パターン位相差フィルムを透過するが、右目用映像には変化はなく、偏光軸が0°の直線偏光(L2)のままパターン位相差フィルムを透過することになる。次に、L1およびL2がλ/4板に入射することにより、左目用映像は右旋回の円偏光(C1)に、右目用映像は左旋回の円偏光(C2)に、それぞれ変換されることになる。
このように、パターン位相差フィルムおよびλ/4板を通過した右目用映像および左目用映像は、互いに直交する円偏光に変換されることになるため、視聴者に右目用レンズと左目用レンズとに互いに直交する円偏光レンズを採用した円偏光メガネを装着させ、右目用映像が右目用レンズのみを通過し、かつ左目用映像が左目用レンズのみを通過するようにすることによって、右目用映像が右目のみに届き、左目用映像が左目のみに届くようにすることができ、3次元表示が可能となるのである。
ここで、本発明の原版のように回転方向に対して45°の方向に微細凹凸が形成されていることにより、このような原版を用いて形成された配向層も長手方向に対して45°の方向に棒状化合物を配列させることができるものとすることができる。また、このような配向層上に位相差層を形成した場合には、長手方向に対して45°の方向に配列した棒状化合物を含む位相差層とすることができる。このため、長手方向に対して、垂直方向に位相差フィルムを裁断することのみで、遅相軸方向が第1位相差領域の遅相軸方向と平行または直交の関係となるλ/4板とすることができ、ロスなく3次元表示装置に用いられるλ/4板を得ることができるのである。
本発明の配向層用原版は、ロール基材を有するものである。
以下、本発明の配向層用原版の各構成について詳細に説明する。
1.ロール基材
本発明に用いられるロール基材は、表面に微細凹凸形状を有するものである。
また、微細凹凸形状の形成方向が、上記ロール基材の回転方向に対して45°の方向であるものである。
(1)微細凹凸形状
本発明における微細凹凸形状は一定方向に形成されるものであり、このような微細凹凸形状が転写されることにより、棒状化合物を一定方向に配列させることが可能な配向層を形成することができるものである。
本発明における微細凹凸形状は、配向層に転写された際に棒状化合物を一定方向に配列させることができるものであれば特に限定されるものではない。ここで、棒状化合物はライン状凹凸構造が形成された表面においては、当該ライン状凹凸構造の長手方向に平行に配列性質を有するため、本発明における微細凹凸形状は、ライン状凹凸構造からなるものであることが好ましい。このようなライン状凹凸構造によれば上記棒状化合物を配列される方向を予め決定することができるからである。
本発明におけるライン状凹凸構造が形成される態様としては、微小なライン状凹凸構造が略一定方向にランダムに形成された態様であってもよく、あるいはライン状凹凸構造がストライプ状に形成された態様であってもよい。
ここで、微小なライン状凹凸構造が略一定方向にランダムに形成された態様とは、例えば、表面にラビング処理がなされた場合等に形成されるような微小な傷のようなライン状凹凸構造が、略一定方向に形成された態様を意味するものである。具体的には、微小なライン状凹凸構造の断面形状としては、凹凸構造を有し、上記棒状化合物を所定の方向に配列できるものであれば特に限定されるものではなく、略矩形、略三角形、略台形等とすることができる。また、一定の形状でなくともよい。
一方、ライン状凹凸構造がストライプ状に形成された態様とは、壁状に形成された凸部が一定の間隔でストライプ状に形成された態様を意味するものである。ライン状凹凸構造の大きさは前述のランダムの態様よりも比較的大きく、例えば表面にラビング処理がなされた場合に形成されるような微小な傷のような凹凸形状はこれに含まれないものである。
本発明においては、なかでも、微細凹凸形状が上記ストライプ状のライン状凹凸構造であることが好ましい。微小なライン状凹凸構造が略一定方向にランダムに形成された態様と、ストライプ状のライン状凹凸構造に形成された態様とでは、後者の方が棒状化合物に対する配向規制力を強く発現することができるからである。
ストライプ状のライン状凹凸構造が形成される場合、ライン状凹凸構造の高さ、幅、および周期は棒状化合物を配列させることができる範囲内であれば特に限定されるものではない。中でも本発明においてはストライプ状のライン状凹凸構造の幅は、1nm〜100000nmの範囲内であることが好ましく、10nm〜10000nmの範囲内であることがより好ましく、100nm〜1000nmの範囲内であることがさらに好ましい。また、ストライプ状のライン状凹凸構造の高さは、1nm〜1000nmの範囲内であることが好ましく、10nm〜100nmの範囲内であることがより好ましく、20nm〜50nmの範囲内であることがさらに好ましい。さらに、ストライプ状のライン状凹凸構造の周期は2nm〜200000nmの範囲内であることが好ましく、20nm〜20000nmの範囲内であることがより好ましく、200nm〜2000nmの範囲内であることがさらに好ましい。
また、微小なライン状凹凸構造がランダムに形成される場合、微小なライン状凹凸構造の高さ、幅、および周期は棒状化合物を配列させることができる範囲内であれば特に限定されるものではない。中でも本発明においては微小なライン状凹凸構造の幅は、0.1nm〜10000nmの範囲内であることが好ましく、0.1nm〜1000nmの範囲内であることがより好ましく、0.1nm〜100nmの範囲内であることがさらに好ましい。また、微小なライン状凹凸構造の高さは、0.1nm〜10000nmの範囲内であることが好ましく、0.1nm〜1000nmの範囲内であることがより好ましく、0.1nm〜100nmの範囲内であることがさらに好ましい。さらに、微小なライン状凹凸構造の周期は0.1nm〜10000nmの範囲内であることが好ましく、0.1nm〜1000nmの範囲内であることがより好ましく、0.1nm〜100nmの範囲内であることがさらに好ましい。
ここで、ライン状凹凸構造の高さ、幅、および周期はそれぞれ図5におけるl、m、nで示される距離を意味する。
本発明における微細凹凸形状の形成方向としては、上記ロール基材の回転方向に対して45°の方向であれば特に限定されるものではないが、本発明においては、なかでも、上記ロール基材の回転方向に対して、45°±3°の範囲内であることが好ましく、なかでも、45°±2°程度の範囲内であることが好ましく、なかでも、45°±1°程度の範囲内であることが好ましい。高性能な3次元表示装置を形成可能なものとすることができるからである。
なお、回転方向に対して45°の方向とは、45°のみならず、回転方向に対して135°の方向のものも含むものである。
(2)ロール基材
本発明に用いられるロール基材は、ロール状の基材であれば特に限定されるものではなく、具体的には、ロール形状、スリーブ形状等とすることができ、なかでも、スリーブ形状であることが好ましい。
スリーブ形状の場合、ロール形状のものに比べて軽量であり、取扱いが容易となるといった利点を有するからである。
ここで、ロール形状の基材としては、具体的には、軸付ロール、軸なしパイプ等を挙げることができる。ここで、軸なしパイプとは、その厚みが3000μm以上である円筒形状の基材を指すものである。
また、スリーブ形状とはシームレスの基材の帯状体を表し、上記スリーブ形状の基材は空気圧力や応力により容易に変形させることができるものであり、具体的にはその厚みが1000μm以下の円筒形状の基材を指すものである。
本発明におけるロール基材としては、継ぎ目のないシームレスであることが好ましいが、板状の基材を円筒状にした継ぎ目を有するものであっても良い。
本発明における基材を構成する材料としては、上記微細凹凸形状を精度良く形成できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ニッケル、銅、アルミニウム、スズ、クロム、ステンレス(SUS)、鉄等の金属材料;SiO、SiO、Al、GeO、TiO、Cr、ZrO、Ta、Nb等の無機酸化物;Si、AlN等の無機窒化物;SiO等の無機酸化窒化物;SiC等の無機炭化物;DLC(ダイアモンドライクカーボン)等の無機材料、さらには、樹脂等を挙げることができ、なかでも、金属材料であることが好ましく、特に、ニッケル、クロム、銅、ステンレス(SUS)、鉄、アルミ等であることが好ましく、なかでも特に、ニッケル、銅であることが好ましい。上記材料であることにより、耐久性に優れたものとすることができるからである。また、微細凹凸形状を容易に形成することができるからである。
2.原版
本発明の原版は、上記ロール基材を有するものであるが、必要に応じて、その他の構成を有するものであっても良い。
具体的には、上記ロール基材の微細凹凸形状が形成される表面の反対表面上に配置され、ロール基材を支持する支持基体等を挙げることができる。なお、このような支持基体としては、一般的な原版に用いられるものと同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
本発明の原版の用途としては、3次元表示装置に用いられる位相差フィルムの製造に使用される配向膜の形成用途に用いられるものであるが、なかでも本発明においては、優れた配向規制力や、粉塵や静電気の発生の少ないことが求められる配向膜の形成に用いられることが好ましい。
本発明の原版の形成方法としては、微細凹凸形状を上記ロール基材表面に、上記ロール基材の回転方向に45°の方向に形成できる方法であれば特に限定されるものではないが、例えば、ロール基材を準備し、ロール基材の表面をロール基材の回転方向に対して45°の方向に研磨することにより微小なライン状凹凸構造を形成する研磨処理を行う方法を挙げることができる。
特に、先端に微細凹凸形状を有するダイヤモンドバイト等のバイト等を用いて、上記ロール基材の表面をロール基材の回転方向に対して45°の方向に切削することにより、ストライプ状のライン状凹凸構造を形成する切削処理を行う方法を好ましく用いることができる。
上記研磨方法としては、微小なライン状凹凸構造を棒状化合物を配列可能に形成できる方法であれば特に限定されるものではないが、砥石研磨、ペーパー研磨、テープ研磨、サンドブラスト法、ショットブラスト法、グリットブラスト法、ガラスビーズブラスト法等のブラスト法、ナイロン、ポリプロピレン、塩化ビニル樹脂などの合成繊維からなる合成樹脂毛、不織布、動物毛、スチールワイヤ等のブラシ材を用いるブラシグレイニング法、金属ワイヤーで引っかくワイヤーグレイニング法、研磨剤を含有するスラリー液を供給しながらブラシ研磨する方法(ブラシグレイニング法)、ボールグレイン法、液体ホーニング法等のバフ研磨法、ショットピーニング法、回転型バレルや振動型バレルを用いたバレル研磨法、リューター研磨法、砥粒流動研磨法、電解研磨法、化学研磨法、化学複合研磨法、電解複合研磨法、化学機械研磨法、CMP研磨法等を挙げることができる。本工程においては、なかでも、研磨カスが溜まらない方法であることが好ましく、特に、テープ研磨法、ブラシグレイニング法等であることが好ましい。微小なライン状凹凸構造を精度良く形成できるからである。また、研磨カスが残存することによる賦型不良を防止することができるからである。
B.位相差フィルムの製造方法
次に、本発明の位相差フィルムの製造方法について説明する。
本発明の位相差フィルムの製造方法は、上述の配向層用原版上に、配向層形成用樹脂組成物からなる配向層形成用層を接触させた後、加圧し、上記配向層形成用層に上記配向層用原版表面の形状を賦型する賦型工程と、上記賦型工程後に、上記配向層形成用層を硬化させる硬化工程および上記配向層形成用層を上記配向層用原版から剥離し、配向層を形成する剥離工程と、上記配向層上に、屈折率異方性を有する棒状化合物を含む位相差層形成用塗工液を塗布する塗布工程と、上記位相差層形成用塗工液の塗膜に含まれる棒状化合物を、上記配向層に形成された微細凹凸形状の方向に沿って配列させる配向工程と、を有することを特徴とするものである。
このような本発明の位相差フィルムの製造方法について図を参照しながら説明する。図6および図7は、本発明の位相差フィルムの製造方法の一例を示す工程図である。まず、図6(a)に例示するように、透明フィルム基材11上に上記配向層形成用樹脂組成物を塗工し、上記配向層形成用層12´を形成し、上記配向層形成用層12´を、微細凹凸形状がロールの回転方向に対して45°の方向に形成されたロール基材1を有する原版(ロール版)10上に配置することにより接触させた後、加圧ロールにて加圧することにより(図6(b))、上記配向層形成用層12´に、ロール版10の微細凹凸形状を賦型し、その後、配向層形成用層12´に対してロール版10上に接触させた状態で紫外線を照射し(図6(c))、配向層形成用層を硬化させ、上記配向層形成用層12´を上記ロール版10から剥離することにより、上記透明フィルム基材11上に微細凹凸形状が長手方向に対して45°の方向に形成された配向層12を形成する(図6(d))。
次いで、図7(a)に示すように、上記配向層12上に、屈折率異方性を有する棒状化合物を含む位相差層形成用塗工液を塗布して塗膜を形成し、その塗膜13´を加熱することにより、塗膜13´に含まれる棒状化合物を、上記配向層12に形成された微細凹凸形状の方向に沿って配列させることにより(図7(b))、上記配向層12に形成された微細凹凸形状と同一方向、すなわち、上記配向層の長手方向に対して45°の方向に配列された棒状化合物を含む位相差層13を形成し、位相差フィルム30とするものである(図7(c))。
なお、この例においては、図6(a)〜(b)が賦型工程であり、図6(c)が硬化工程であり、図6(d)が剥離工程であり、図7(a)が塗布工程であり、図7(b)〜(c)が配向工程である。
本発明によれば、上記配向層用原版を用いることにより、長尺方向に対して45°の方向に配列した棒状化合物を含む位相差層を有する位相差フィルムを容易に得ることができる。
また、配向層形成用層自体をラビング処理するものではないので、製造時に粉塵や静電気の発生が少ないものとすることができる。
本発明の位相差フィルムの製造方法は、少なくとも賦型工程、硬化工程、剥離工程、塗布工程および配向工程を含むものである。
以下、本発明の位相差フィルムの製造方法の各工程について詳細に説明する。
1.賦型工程
本発明の製造方法における賦型工程は、上記配向層用原版上に、配向層形成用樹脂組成物からなる配向層形成用層を接触させた後、加圧し、上記配向層形成用層に上記配向層用原版表面の形状を賦型する工程である。
なお、本工程に用いられる原版については、上記「A.配向層用原版」の項に記載の内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
(1)配向層形成用層
本工程に用いられる配向層形成用層は、配向層形成用樹脂組成物からなるものである。
本工程に用いられる配向層形成用樹脂組成物としては、上記原版上に接触させた後、加圧することにより原版の表面形状を賦型できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、電離放射線硬化性樹脂組成物、熱硬化性樹脂組成物、電子線硬化性樹脂組成物、熱可塑性樹脂組成物等を挙げることができる。
本工程においてはこれらの何れの構成材料であっても好適に用いることができるが、なかでも電離放射線硬化性樹脂組成物が用いられることが好ましい。電離放射線硬化性樹脂組成物が用いられることにより、生産性の高いものにできるからである。なお、配向層形成用樹脂組成物として、電離放射線硬化性樹脂組成物が用いられた場合、本発明により形成される配向層は硬化された電離放射線硬化性樹脂組成物からなることになる。
本発明に用いられる電離放射線硬化性樹脂組成物の具体例としては、例えば、ウレタンアクリレート,エポキシアクリレート,ポリエステルアクリレート,ポリエーテルアクリレート,メラミンアクリレート等のアクリロイル基を有する重合性オリゴマー,モノマーと、アクリル酸,アクリルアミド,アクリロニトリル,スチレン等重合性ビニル基を有する重合性オリゴマー,モノマー等の単体あるいは配合したものに、必要に応じて増感剤等の添加剤を加えたものに光重合開始剤を加えたもの等を挙げることができる。また、必要に応じて溶媒を含むものであっても良い。
このような溶媒としては、上記モノマー等を均一に溶解または分散できるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、ベンゼン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化アルキル系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒、およびジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、シクロヘキサン等のアノン系溶媒、メタノール、エタノール、およびプロパノール等のアルコール系溶媒を例示することができるが、これらに限られるものではない。また、本工程に用いられる溶媒は、1種類でもよく、2種類以上の溶媒の混合溶媒でもよい。
また、熱硬化性樹脂組成物および熱可塑性樹脂組成物としては、アクリル樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、シクロオレフィン樹脂、シクロオレフィンコポリマー樹脂等を含むものを用いることができる。
また、本工程に用いられる配向層形成用樹脂組成物は、必要に応じて、酸素に対する変化を抑制するための酸化防止剤、光に対する変化を抑制するための光安定化剤、紫外性を吸収する紫外線吸収剤、粘度を調整するための粘度調節剤、屈折率を調整するための屈折率調整剤、賦型性を向上させるためのフッ素系またはシリコン系潤滑剤等を含むものであっても良い。
本工程に用いられる配向層形成用樹脂組成物の粘度としては、上記原版表面の形状を配向層形成用層に加圧により賦型することができるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、25℃において、5mPa・s〜200000mPa・sの範囲内であることが好ましく、なかでも、10mPa・s〜100000mPa・sの範囲内であること好ましく、特に、30mPa・s〜3000mPa・sの範囲内であることがさらに好ましい。
また、溶融型の樹脂の場合には、例えば、190℃におけるメルトフローインデックス(MFI)が、0.1g/10分以上であることが好ましく、なかでも1.0g/10分以上であることが好ましく、特に5.0g/10分以上であることが好ましい。上記粘度が上述の範囲内であることにより賦型性に優れたものとすることができるからである。
本工程に用いられる配向層形成用層の厚みとしては、上記原版の表面形状を精度よく賦型できるものであれば特に限定されるものではなく、配向層とした際の厚みが一般的な位相差フィルムの配向層と同程度となるものとすることができる。具体的には、0.5μm〜20μmの範囲内とすることができる。
(2)賦型工程
本工程は、上記原版上に、配向層形成用樹脂組成物からなる配向層形成用層を接触させた後、加圧し、上記配向層形成用層に上記原版表面の形状を賦型する工程である。
本工程において加圧した際に付与される圧力としては、配向層形成用層に上記原版の表面形状を安定的に賦型できるものであれば特に限定されるものではなく、本工程に用いられる配向層形成用樹脂組成物の粘度等に応じて適宜選択されるものであり、上記配向層形成用樹脂組成物および上記原版を用いて、上記原版の形状を上記配向層形成用層にどの程度賦型することができるか、圧力を調整しながら繰り返し実験を行うことにより見出されるものである。例えば、上述した粘度を有する上記配向層形成用樹脂組成物を用いた場合、上記圧力は、10MPa/cm〜2000MPa/cmの範囲内であることが好ましく、なかでも100MPa/cm〜1000MPa/cmの範囲内であることが好ましく、特に、150MPa/cm〜500MPa/cmの範囲内であることが好ましい。上記圧力が低すぎると、上記配向層形成用層が上記原版にあまり入り込まず、上記微細凹凸形状における凸構造の高さが十分ではないものとなるおそれがあるからであり、上記圧力が高すぎると、上記配向層形成用層が上記原版に入り込み過ぎて、原版から抜けなくなるおそれがあるからである。
本工程において、上記圧力を加圧する方法としては、配向層形成用層に上記原版の表面形状を安定的に賦型できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ベルトプレス方式、ロールタッチ方式等を用いる方法を挙げることができる。
以下、これらの方式を用いて配向層形成用層に上記圧力を負荷する方法を図を用いて説明する。
図8は、本発明における加圧方法を説明する説明図である。図8は、ロールタッチ方式により加圧する方法を例示するものであり、透明フィルム基材11を巻き出す巻き出し機51aと、配向層形成用樹脂組成物を吐出し配向層形成用層12´を形成する配向層形成用ダイ53と、紫外線を配向層形成用層12´に対して照射する紫外線照射装置55と、ロール版10から配向層形成用層を剥離する剥離ロール52と、配向膜20を巻き取る巻き取り機51bと、を有し、さらに、配向層形成用層12´をロール版10に加圧するゴム等の弾性を有する加圧ロール50を有する配向膜製造装置を用いて加圧する方法を例示するものである。ロールタッチ方式においては、ゴム等の弾性を有する加圧ロールを用いることにより、加圧ロールが変形するため、ロール版と配向層形成用層との接触時間を長くすることができるため、配向層形成用層に所望の微細凹凸形状を安定して賦型することが可能となる。
また、図9は、本発明における加圧方法を説明する説明図である。図9は、ベルトプレス方式により加圧する方法を例示するものであり、ロール版10に直接、配向層形成用樹脂組成物を吐出する配向層形成用ダイ53と、加圧ベルト56とを有する配向膜製造装置を用いて加圧する方法を例示するものである。ベルトプレス方式においては、原版としてロール版を用いた場合、ロール版と加圧ベルトとを対峙させることによって、配向層形成用層に圧力を負荷することができる。ベルトプレス方式はロール版と配向層形成用層との接触時間を長くすることができるため、配向層形成用層に所望の微細凹凸形状を安定して賦型することが可能となる。
なお、図9において説明していない符号については、図8と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
本工程における賦型方法としては、上記配向層形成用層に上記原版の表面形状を精度よく賦型できるものであれば特に限定されるものではないが、上記配向層用原版上に上記配向層形成用樹脂組成物を塗工し、上記配向層形成用層を形成する充填処理と、上記配向層形成用層上に透明フィルム基材を配置する配置処理と、を行った後に、加圧する方法(第1実施態様)、透明フィルム基材上に上記配向層形成用樹脂組成物を塗工し、上記配向層形成用層を形成する配向層形成用層形成処理と、上記配向層形成用層を、上記配向層用原版上に接触させる接触処理と、を行った後に加圧する方法(第2実施態様)、上記配向層用原版上に上記配向層形成用樹脂組成物を塗工し、上記配向層形成用層を形成する充填処理、を行った後に、加圧する方法(第3実施態様)であることが好ましい。微細凹凸形状を安定的に形成することができるからである。
以下、このような賦型方法について説明する。
(a)第1実施態様
本態様の賦型方法は、上記原版上に上記配向層形成用樹脂組成物を塗工し、上記配向層形成用層を形成する充填処理と、上記配向層形成用層上に透明フィルム基材を配置する配置処理と、を行った後に加圧する方法である。このような賦型方法により賦型することにより、透明フィルム基材上に、配向層を容易に形成することができる。
本態様に用いられる透明フィルム基材としては、樹脂材料からなり所定の透明性を有するものであれば特に限定されるものではない。中でも本発明に用いられる透明フィルム基材は、位相差性が低いものであることが好ましい。より具体的には、本発明に用いられる透明フィルム基材は、面内レターデーション値(Re値)が、0nm〜10nmの範囲内であることが好ましく、0nm〜5nmの範囲内であることがより好ましく、0nm〜3nmの範囲内であることがさらに好ましい。透明基材の面内レターデーション値が上記範囲よりも大きいと、例えば、本発明の製造方法により製造される位相差フィルムを用いて3次元表示装置を製造した場合に、得られる3次元表示装置の表示品質が悪くなってしまう場合があるからである。
本態様に用いられる透明フィルム基材は、可視光領域における透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。ここで、透明フィルム基材の透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
また、本態様に用いられる透明フィルム基材としては、例えば、トリアセチルセルロース等のアセチルセルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレンやポリメチルペンテン等のオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテルサルホンやポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、(メタ)アクロニトリル、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー等の樹脂からなるものを挙げることができるが、透明フィルム基材の面内レターデーションをゼロに近付けやすいことからアセチルセルロース系樹脂、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー等の樹脂、アクリル系樹脂が好ましい。
透明フィルム基材の厚みについては、本発明の製造方法により製造される位相差フィルムの用途および透明フィルム基材を構成する材料等に応じて適宜決定することができるものであり、特に限定されるものではないが、通常は、20μm〜188μmの範囲内であることが好ましく、30μm〜90μmの範囲内であることがより好ましい。
なお、上記配向層が紫外性硬化性樹脂からなる場合は、透明フィルム基材と紫外線硬化性樹脂の接着性を向上させるためのプライマ層を透明フィルム基材上に形成してもよい。このプライマ層は、透明フィルム基材および紫外線硬化性樹脂との双方に接着性を有し、可視光学的に透明であり、紫外線を通過させるものであればよく、例えば、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体系,ウレタン系のものを使用することができる。
本態様における透明フィルム基材としては、上記配向層が形成される面とは反対の面上に、図10に例示するようにアンチグレア層または反射防止層15等を有するものであっても良い。表示装置を製造した際に、表示品質の良い表示装置を得ることができる位相差フィルムを形成可能となるからである。
本態様においては、このような反射防止層が形成されていることにより、本発明の製造方法により製造される位相差フィルムを用いて液晶表示装置を製造した際に、表示品質の良い液晶表示装置を得ることができるという利点がある。なお、上記反射防止層、およびアンチグレア層は一方のみが用いられてもよく、または両方が用いられてもよい。
上記アンチグレア層は、太陽や蛍光灯などからの外光が、表示装置の表示画面に入射して反射することから生じる画面の映り込みを低減させる機能を有する層である。一方、上記反射防止層は、表面の正反射率を抑えることで画像のコントラストがよくなり、その結果、画像の視認性を向上させる機能を有するものである。本態様に用いられるアンチグレア層、反射防止層としては、所望のアンチグレア機能、または反射防止機能を有するものであれば特に限定されるものではなく、表示画質向上を目的として表示装置に用いられるものとして一般的に公知のものを用いることができる。上記アンチグレア層としては、例えば、微粒子を分散させた樹脂層を挙げることができ、上記反射防止層としては、例えば、屈折率の異なる複数の層が積層された構成を有するものを挙げることができる。尚、アンチグレア層の最表面に反射防止層を設ければ、明室における画像の視認性を更に向上することができる。
本態様における充填処理で行われる上記原版上への配向層形成用樹脂組成物の塗工方法としては、均一の厚みの配向層形成用層を形成できる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、ロールコート法、Tダイコート法、キャストコート法、ブレードコート法、バーコート法、ワイヤーバーコート法、公知の方法を用いることができる。
本態様においては、なかでも、配向層形成用樹脂組成物への溶媒の添加が不要な方法であることが好ましく、特に、溶融押し出し法、ノンソルコーティング法を好ましく用いることができる。乾燥処理等を不要とすることができ、工程通過性に優れたものとすることができるからである。
ここで、溶融押し出し法としては、例えば、上記配向層形成用樹脂組成物をガラス転移温度以上熱分解温度以下の温度範囲内で熱溶融させた状態で準備し、Tダイを用いて押し出す方法等が挙げられる。
また、充填処理後、適宜乾燥処理や熱またはUVやEBによるハーフキュア処理を入れることができる。
本態様における配置処理で行われる上記配向層形成用層上に透明フィルム基材を配置する方法としては、上記配向層形成用層と透明フィルム基材が十分に密着することができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、原版上の配向層形成用層上に、ロール状の透明フィルム基材を連続的に巻き出しながら配置する方法等を挙げることができる。
(b)第2実施態様
本態様の賦型方法は、透明フィルム基材上に上記配向層形成用樹脂組成物を塗工し、上記配向層形成用層を形成する配向層形成用層形成処理と、上記配向層形成用層を、上記原版上に接触させる接触処理と、を行った後に加圧する方法である。このような賦型方法であることにより、透明フィルム基材上に配向層が積層された位相差フィルムを容易に形成することができる。
この場合、配向層形成用樹脂には配向層形成用樹脂と相溶性がある溶剤を含んでいても良い。溶剤を含有する場合、透明フィルム基材の上に配向層形成用樹脂組成物を塗工したのち、溶剤を蒸発させる乾燥処理を行うことが望ましい。また溶剤として、透明フィルム基材に浸透することで透明フィルム基材と配向層形成用層との間に溶剤浸透層を形成することができるため、透明フィルム基材と配向層との界面で発生するニジムラや密着不良を防止することが可能となる。
本態様における配向層形成用層形成処理で行われる透明フィルム基材上に上記配向層形成用樹脂組成物を塗工する方法としては、所望の厚みの配向層形成用層を形成できる方法であれば良く、上記「(a)第1実施態様」の項に記載の充填処理と同様とすることができる。
本態様における接触処理で行われる上記配向層形成用層を、上記原版上に接触させる方法としては、上記原版に配向層形成用層が十分に密着することができる方法であれば特に限定されるものではなく、上記「(a)第1実施態様」の項に記載の配置処理と同様とすることができる。
(c)第3実施態様
本態様の賦型方法は、上記原版上に上記配向層形成用樹脂組成物を塗工し、上記配向層形成用層を形成する充填処理、を行った後に加圧する方法である。このような賦型方法であることにより、例えば、配向層のみを容易に得ることができる。
本態様における充填処理で行われる、上記原版上に上記配向層形成用樹脂組成物を塗工する方法としては、所望の厚みの配向層形成用層を形成できるものであれば特に限定されるものではないが、上記「(a)第1実施態様」の項に記載の充填処理と同様とすることができる。
(3)配向領域
本工程を行うことにより配向層形成用層に形成される配向領域は、上記原版の表面形状が賦型されたものである。
したがって、上記配向層形成用層に形成された配向領域は、ロールの回転方向、すなわち、配向層形成用層の長手方向(長尺方向)に対して45°の方向に微細凹凸形状が形成されたものとなる。
2.硬化工程
本発明の製造方法における硬化工程は、賦型工程後の上記配向層形成用層を硬化させる工程である。
本工程において、上記配向層形成用層を硬化させる方法としては、上記配向層形成用層を構成する配向層形成用樹脂組成物に応じて適宜選択されるものであるが、例えば、上記配向層形成用樹脂組成物が電離放射線硬化性樹脂組成物の場合、紫外線硬化法および電子線硬化法等を挙げることができ、上記配向層形成用樹脂組成物が熱硬化性樹脂組成物の場合、加熱硬化法および常温硬化法等を挙げることができる。また、上記配向層形成用樹脂組成物として熱可塑性樹脂組成物を用いる場合は、冷却ロールなどを接触させる冷却法により硬化させることができる。
本工程における紫外線硬化法にて照射する紫外線の照射方法としては、通常、配向層形成用層の原版と接触する面の反対面から照射する方法が用いられるが、本工程が上記剥離工程後に行われる場合には、必要に応じて、原版と接触する面から照射する方法を用いるものであっても良い。短時間で十分に硬化させることができるからである。
本工程において紫外線硬化法にて硬化する場合、配向層形成用層の硬化率(反応率)としては、20%〜97%の範囲内であることが好ましく、なかでも30%〜90%の範囲内であることが好ましい。得られた配向層を保管した際に、微細凹凸形状がつぶされて形状不良を生じたり、ブリード物が発生しやすくなり配向層の液晶コート面側の汚染し、液晶配向不良を起こすといった不具合を防ぐことができるからである。また、液晶層との密着性を確保することが可能になる等の利点があるからである。
なお、硬化率とは、本工程を行った後の配向層に含まれる反応性を有する官能基のモル数をX本工程を行う前に配向層形成用層に含まれていた反応性を有する官能基のモル数をYとしたときに、(Y−X)/Y × 100(%)で表されるものである。
本工程においては、紫外線硬化法にて紫外線を照射する際に、配向層形成用層を加熱するものであっても良い。反応効率を向上させることができるからである。
本工程において、配向層形成用層を加熱する方法としては、配向層形成用層を所望の温度とすることができる方法であれば特に限定されるものではなく、公知の加熱方法を用いることができるが、具体的には、原版として温度調節可能なものを用いる方法や、赤外線照射装置、温風送風装置等を用いる方法を挙げることができる。
3.剥離工程
本発明の製造方法における剥離工程は、上記配向層形成用層を上記原版から剥離し、配向層を形成する工程である。
本工程における剥離方法としては、硬化された上記配向層形成用層、すなわち配向層を傷つけることなく上記原版を剥離することができれば、特に限定されるものではない。具体的には、既に説明した図8または図9に示すような剥離用ロールを用いて剥離する方法を挙げることができる。
本工程を行う順番としては、上記賦型工程後に行われるものであれば特に限定されるものではないが、上記硬化工程後に行われることが好ましい。上記硬化工程が、上記原版および配向層形成用層を接触させた状態で行われることにより、上記配向層形成用層に賦型された原版表面の形状を、安定的に硬化させることができ、得られる配向層表面の形状を高精度なものとすることができるからである。
4.塗布工程
本発明における塗布工程は、上記配向層上に、屈折率異方性を有する棒状化合物を含む位相差層形成用塗工液を塗布する工程である。
本工程に用いられる位相差層形成用塗工液に含まれる棒状化合物としては、屈折率異方性を有するものであり、配向領域、すなわち、配向層の表面に形成された微細凹凸形状の配向規制力に沿って規則的に配列することにより本工程における位相差層に所望の位相差性を付与できるものであれば特に限定されるものではない。なかでも本工程に用いられる棒状化合物は、液晶性を示す液晶性材料であることが好ましい。液晶性材料は屈折率異方性が大きいため、本発明の製造方法により製造される位相差フィルムに所望の位相差性を付与することが容易になるからである。
本工程に用いられる上記液晶性材料としては、例えば、ネマチック相、スメクチック相等の液晶相を示す材料を挙げることができる。本工程においては、これらのいずれの液晶相を示す材料であっても好適に用いることができるが、なかでもネマチック相を示す液晶性材料を用いることが好ましい。ネマチック相を示す液晶性材料は、他の液晶相を示す液晶性材料と比較して規則的に配列させることが容易であるからである。
また、本工程においては上記ネマチック相を示す液晶性材料として、メソゲン両端にスペーサを有する材料を用いることが好ましい。メソゲン両端にスペーサを有する液晶性材料は柔軟性に優れるため、このような液晶性材料を用いることにより、本発明の製造方法により製造される位相差フィルムを透明性に優れたものにできるからである。
さらに、本工程に用いられる棒状化合物は、分子内に重合性官能基を有するものが好適に用いられ、なかでも3次元架橋可能な重合性官能基を有するものがより好適に用いられる。上記棒状化合物が重合性官能基を有することにより、上記棒状化合物を重合して固定することが可能になるため、配列安定性に優れ、位相差性の経時変化が生じにくい位相差層を得ることができるからである。なお、重合性官能基を有する棒状化合物を用いた場合、本工程を行うことにより形成される位相差層には、重合性官能基によって架橋された棒状化合物が含有されることになる。
なお、上記「3次元架橋」とは、液晶性分子を互いに3次元に重合して、網目(ネットワーク)構造の状態にすることを意味する。
上記重合性官能基としては、例えば、紫外線、電子線等の電離放射線、或いは熱の作用によって重合する重合性官能基を挙げることができる。これら重合性官能基の代表例としては、ラジカル重合性官能基、或いはカチオン重合性官能基等が挙げられる。さらにラジカル重合性官能基の代表例としては、少なくとも一つの付加重合可能なエチレン性不飽和二重結合を持つ官能基が挙げられ、具体例としては、置換基を有するもしくは有さないビニル基、アクリレート基(アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基を包含する総称)等が挙げられる。また、上記カチオン重合性官能基の具体例としては、エポキシ基等が挙げられる。その他、重合性官能基としては、例えば、イソシアネート基、不飽和3重結合等が挙げられる。これらの中でもプロセス上の点から、エチレン性不飽和二重結合を持つ官能基が好適に用いられる。
さらにまた、本工程における棒状化合物は液晶性を示す液晶性材料であって、末端に上記重合性官能基を有するものが特に好ましい。このような棒状化合物を用いることにより、例えば、互いに3次元に重合して、網目(ネットワーク)構造の状態にすることができるため、列安定性を備え、かつ、光学特性の発現性に優れた上記を形成することができるからである。
なお、本工程においては片末端に重合性官能基を有する液晶性材料を用いた場合であっても、他の分子と架橋して配列安定化することができる。
本工程に用いられる棒状化合物の具体例としては、下記式(1)〜(17)で表される化合物を例示することができる。
なお、本工程において上記棒状化合物は、1種類のみを用いてもよく、または、2種以上を混合して用いてもよい。例えば、上記棒状化合物として、両末端に重合性官能基を1つ以上有する液晶性材料と、片末端に重合性官能基を1つ以上有する液晶性材料とを混合して用いると、両者の配合比の調整により重合密度(架橋密度)及び光学特性を任意に調整できる点から好ましい。また、信頼性確保の観点からは、両末端に重合性官能基を1つ以上有する液晶性材料が好ましいが、液晶配向の観点からは両末端の重合性官能基が1つであることが好ましい。
本工程に用いられる棒状化合物の位相差層形成用塗工液中の含有量としては、配向層上に塗布する塗布方法に応じて、位相差層形成用塗工液の粘度を所望の値にできるものであれば特に限定されない。なかでも本工程においては、上記位相差層形成用塗工液中、5質量%〜30質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも、10質量%〜20質量%の範囲内であることが好ましい。
本工程に用いられる位相差層形成用塗工液としては、上記棒状化合物を少なくとも含むものであるが、通常、溶媒を含むものである。また、必要に応じて他の化合物を含むものであっても良い。
このような溶媒としては、上記棒状化合物を均一に溶解または分散できるものであれば特に限定されるものではないが、上記「1.賦型工程」の項に記載の内容と同様とすることができる。
また、他の化合物としては、本工程により形成される位相差層において、棒状化合物の配列秩序を害するものでなければ特に限定されるものではない。本工程に用いられる上記他の化合物としては、例えば、カイラル剤、重合開始剤、重合禁止剤、可塑剤、界面活性剤、および、シランカップリング剤等を挙げることができる。
本工程においては、上記棒状化合物として上記重合性液晶材料を用いる場合は、上記他の化合物として重合開始剤または重合禁止剤を用いることが好ましい。
上記重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミン)ベンゾフェノン、α−アミノ・アセトフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、ベンジルメトキシエチルアセタール、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンズスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンジルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、n−フェニルチオアクリドン、4,4−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、カンファーキノン、アデカ社製N1717、四臭化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾイン、エオシン、メチレンブルー等の光還元性色素とアスコルビン酸やトリエタノールアミンのような還元剤との組み合わせ等を例示できる。本工程では、これらの光重合開始剤を1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
さらに、上記光重合開始剤を用いる場合には、光重合開始助剤を併用することができる。このような光重合開始助剤としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン等の3級アミン類や、2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミド安息香酸エチル等の安息香酸誘導体を例示することができるが、これらに限られるものではない。
上記重合禁止剤としては、例えば、ジフェニルピクリルヒドラジド、トリ−p−ニトロフェニルメチル、p−ベンゾキノン、p−tert−ブチルカテコール、ピクリン酸、塩化銅、メチルハイドロキノン、メトキノン、tert−ブチルハイドロキノン等の反応の重合禁止剤を用いることができるが、なかでも保存安定性の点からハイドロキノン系重合禁止剤が好ましく、メチルハイドロキノンを用いるのが特に好ましい。
また、本工程における位相差層形成用塗工液には、下記に示すような他の化合物を添加することができる。添加できる他の化合物としては、例えば、多価アルコールと1塩基酸または多塩基酸を縮合して得られるポリエステルプレポリマーに、(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリエステル(メタ)アクリレート;ポリオール基と2個のイソシアネート基を持つ化合物を互いに反応させた後、その反応生成物に(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリウレタン(メタ)アクリレート;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸ポリグリシジルエステル、ポリオールポリグリシジルエーテル、脂肪族または脂環式エポキシ樹脂、アミノ基エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂、(メタ)アクリル酸を反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート等の光重合性化合物;アクリル基やメタクリル基を有する光重合性の液晶性化合物等が挙げられる。
本工程における位相差層形成用塗工液の塗布方法としては、配向層上に位相差層形成用塗工液からなる塗膜を安定的に形成できる方法であれば特に限定されるものではない。本工程において、具体的には、上記「1.賦型工程」の項に記載の配向層形成用層の形成方法と同様とすることができる。
本工程により形成される塗膜の厚みは、後述する配向工程後に、所定の位相差性を達成できる範囲内とするものであれば特に限定されるものではなく、本発明の製造方法により製造される位相差フィルムの用途等に応じて適宜決定されるものである。
本工程においては、なかでも、上記配向工程後の面内レターデーションがλ/4分に相当するような範囲内の厚みであることが好ましい。パターン位相差フィルムと共に3次元表示装置の製造に好適に用いられるものとすることができるからである。
本工程においては、上記配向工程後の面内レターデーションがλ/4分に相当するような範囲内の厚みにする場合、具体的にどの程度の厚みにするかは、棒状化合物の種類により適宜決定されることになる。もっとも、当該厚みは本工程において一般的に用いられる棒状化合物であれば、通常、上記配向工程後の厚みが0.1μm〜1.9μmの範囲内となるものであることが好ましく、0.25μm〜1.75μmの範囲内となるものであることがより好ましく、0.5μm〜1.5μmの範囲内となるものであることがさらに好ましい。
5.配向工程
本発明における配向工程は、上記位相差層形成用塗工液の塗膜に含まれる棒状化合物を、上記配向層に形成された微細凹凸形状の方向に沿って配列させる工程である。
本工程における棒状化合物を配向層に形成された微細凹凸形状の方向に沿って配列させる方法としては、所望の方向に配列させることができる方法であれば特に限定されるものではなく、一般的な方法を用いることができるが、棒状化合物が液晶性材料である場合には、上記塗膜を棒状化合物の液晶相形成温度以上に加温する方法が用いられる。具体的には、上記棒状化合物の種類等により異なるものであるが、50℃〜60℃の範囲内で加温する方法を挙げることができる。
本工程により形成される位相差層の面内レターデーション値としては、本発明により製造される位相差フィルムの用途等に応じて適宜決定することができる。したがって、本発明により製造される位相差フィルムの用途に応じて適宜調整すればよい。
本工程においては、位相差層の面内レターデーション値がλ/4分に相当する程度のものとする場合には、具体的には、100nm〜160nmの範囲内であることが好ましく、110nm〜150nmの範囲内であることがより好ましく、120nm〜140nmの範囲内であることがさらに好ましい。
ここで、面内レターデーション値とは、屈折率異方体の面内方向における複屈折性の程度を示す指標であり、面内方向において屈折率が最も大きい遅相軸方向の屈折率をNx、遅相軸方向に直交する進相軸方向の屈折率をNy、屈折率異方体の面内方向に垂直な方向の厚みをdとした場合に、
Re[nm]=(Nx−Ny)×d[nm]
で表わされる値である。面内レターデーション値(Re値)は、例えば、王子計測機器株式会社製 KOBRA−WRを用い、平行ニコル回転法により測定することができるし、微小領域の面内レタデーション値はAXOMETRICS社(米国)製のAxoScanでミューラーマトリクスを使って測定することも出来る。また、本願明細書においては特に別段の記載をしない限り、Re値は波長589nmにおける値を意味するものとする。
6.位相差フィルムの製造方法
本発明の位相差フィルムの製造方法は、上記賦型工程、硬化工程、剥離工程、塗布工程および配向工程を少なくとも有するものであるが、必要に応じて、塗布工程後に、位相差層形成用塗工液の塗膜を乾燥する乾燥工程や、上記棒状化合物として重合性液晶材料を用いる場合、上記重合性液晶材料を重合する重合工程を有するものであっても良い。
上記乾燥工程における塗膜の乾燥方法としては、加熱乾燥方法、減圧乾燥方法、ギャップ乾燥方法等、一般的に用いられる乾燥方法を用いることができる。また、本工程における乾燥方法は、単一の方法に限られず、例えば残留する溶媒量に応じて順次乾燥方式を変化させる等の態様により、複数の乾燥方式を採用してもよい。
さらに、上記塗膜の乾燥方法としては、一定の温度に調整された乾燥風を、上記塗膜に当てる方法を用いることもできるが、このようは乾燥方法を用いる場合は、上記塗膜に当てる乾燥風の風速が3m/秒以下であることが好ましく、特に0.5m/秒以下であることが好ましい。
上記重合工程における重合性液晶材料の重合方法としては、重合性液晶材料が有する重合性官能基の種類に応じて任意に決定すればよい。なかでも本工程においては、活性放射線の照射により硬化させる方法が好ましい。活性放射線としては、重合性液晶材料を重合することが可能な放射線であれば特に限定されるものではないが、通常は装置の容易性等の観点から紫外光または可視光を使用することが好ましい。
また、本発明においては、上記原版の表面を定期的に清掃する清掃工程を有するものであっても良い。
また、必要に応じて、上記配向層上に透明フィルム基材を積層する積層工程を有するものであっても良い。なお、配向層および透明フィルム基材の積層方法としては、上述の配向層形成用層形成処理のように、透明フィルム基材上に配向層形成用樹脂組成物を塗工する方法や、上記配向層に透明フィルム基材を加熱圧着する方法や、接着剤等を介して貼り合わせる方法等を挙げることができる。
さらに、上記硬化工程および剥離工程後に、配向層形成用層をより十分に硬化させるための第2硬化工程を有するものであっても良い。上記配向層をより硬度に優れたものとすることができるからである。また、硬化工程および剥離工程に要する時間を短いものとすることが可能となる等、プロセスを自由度の高いものとすることができるからである。
具体的には、上記配向層形成用樹脂組成物が電離放射線硬化性樹脂組成物である場合には、上記硬化工程として紫外線硬化法を用いて上記配向層形成用層の原版と接触する面を硬化させ表面形状を転写した後、上記剥離工程により、上記配向層を原版から剥離し、その後、第2硬化工程として、上記配向層の上記原版と接触する面に対して紫外線照射を行うことができる。
また、上記配向層形成用樹脂組成物が電離放射線硬化性および熱可塑性を有する樹脂組成物である場合には、まず、加熱して溶融状態とした状態で上記賦型工程を行った後、上記硬化工程として冷却法により硬化を用い、上記配向層形成用層の原版と接触する面を硬化させ表面形状を転写した後、上記剥離工程により、上記配向層を原版から剥離し、その後、第2硬化工程として、上記配向層の上記原版と接触する面に対して紫外線照射を行う紫外線硬化法を用いることができる。
このような第2硬化工程における上記配向層の硬化方法としては、上記硬化工程と同様とすることができる。
本工程における紫外線硬化法にて照射する紫外線の照射方法としては、配向層形成用層の原版と接触する面から照射する方法でも、接触する面の反対面から照射する方法でも良いが、上記接触する面から照射する方法であることが好ましい。上記配向層を、上記原版の表面形状をより安定的に保持するものとすることができるからである。
また、本発明においては、図11に例示するような位相差層上に粘着層16を形成する粘着層形成工程(図11(a)〜(b))およびセパレータ17を積層するセパレータ積層工程(図11(b)〜(c))や、配向工程後に、長尺状の位相差フィルムを裁断し、枚葉に成形された位相差フィルムとして得るための裁断工程を有するものであっても良い。
また、図11中の符号については、図7のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
本発明においては、これらの各工程が独立して行われるもの、すなわち、工程毎に長尺状のフィルム等をロール状に巻き取られた状態から巻き出し、所定の処理を行った後に巻き取るものであっても良いが、全工程が連続して行われること、すなわち、原材料から最終製造物である位相差フィルムが途中ロール状に巻き取られることなくロールトゥロールで製造されることが好ましい。
C.長尺状配向膜
次に本発明の長尺状配向膜について説明する。
本発明の長尺状配向膜は、表面に微細凹凸形状が形成されている長尺状の配向層を有し、上記微細凹凸形状の形成方向が、上記配向層の長手方向に対して45°の方向であることを特徴とするものである。
このような本発明の長尺状配向膜について図を参照して説明する。図12は、本発明の長尺状配向膜の一例を示す概略平面図である。図13は図12のB−B線断面図である。図12〜図13に例示するように、本発明の長尺状配向膜20は、透明フィルム基材11と、上記透明フィルム基材11上に形成され、表面に微細凹凸形状が形成されている長尺状の配向層12を有し、上記微細凹凸形状の形成方向が、上記配向層12の長手方向に対して45°の方向のものである。
本発明によれば、配向層の長手方向に対して45°の方向に微細凹凸形状が形成されていることにより、例えば、アクティブ方式の3次元表示装置に好適に用いられるものとすることができる。また、長尺状であるため、位相差フィルムを大量に形成可能な長尺位相差フィルムを容易に形成することができる。また、長尺状であることにより、製造プロセスの自由度を高いものとすることができる。
本発明の長尺状配向膜は、配向層を有するものである。
以下、本発明の長尺状配向膜の各構成について詳細に説明する。
1.配向層
本発明における配向層は、表面に微細凹凸形状が形成されているものである。また、上記微細凹凸形状の形成方向が、配向層の長手方向に対して45°の方向のものである。
本発明における微細凹凸形状としては、上記棒状化合物を一定方向に配列させることができるものであれば特に限定されるものではなく、上記「A.配向層用原版」の項に記載の内容と同様とすることができる。
本発明における微細凹凸形状の形成方向は、上記配向層の長手方向に対して45°の方向のものである。本発明においては、なかでも、上記透明フィルム基材の長手方向に対して、45°±3°の範囲内であることが好ましく、なかでも、45°±2°程度の範囲内であることが好ましく、なかでも、45°±1°程度の範囲内であることが好ましい。高性能な3次元表示装置を形成可能なものとすることができるからである。
本発明における配向層を構成する構成材料としては、表面に所定の微細凹凸形状を形成できるものであれば特に限定されるものではない。このような構成材料としては、上記「B.位相差フィルムの製造方法」の項に記載の内容と同様とすることができる。
本発明に用いられる配向層は、長尺状のものである。
ここで、長尺状であるとは、ロール状に巻き取ることができる程度の長さのものであることをいうものであり、製造装置に設置できる重量等に応じて任意に決定すればよいが、具体的には、長さが10m以上の範囲内とすることが好ましく、なかでも、50m〜5000mの範囲内とすることが好ましく、特に、100m〜4000mの範囲内とすることが好ましい。
また、長さは幅に対して10倍以上であることが好ましく、なかでも50倍〜5000倍の範囲内であることが好ましく、特に、100倍〜4000倍の範囲内であることがこの好ましい。取扱い性等に優れたものとすることができるからである。
2.長尺状配向膜
本発明の長尺状配向膜は、上記配向層を有するものである。
本発明の長尺パターン配向膜は、少なくとも配向層を有するものであるが、通常、上記配向層上に形成された透明フィルム基材を有するものである。長尺状の透明フィルム基材を準備し、この長尺状の透明フィルム基材上に上記配向層を形成可能な配向層形成用樹脂組成物を塗布することで、容易に長尺状の配向層を形成できるからである。
本発明において用いられる透明フィルム基材としては、上記配向層を安定的に支持することができるものであれば特に限定されるものではないが、上記「B.位相差フィルムの製造方法」の項に記載の内容と同様とすることができる。
本発明の長尺状配向膜の形成方法としては、上記配向層を有するものであれば特に限定されるものではないが、上記「B.位相差フィルムの製造方法」の項に記載の方法を好ましく用いることができる。
D.長尺位相差フィルム
次に本発明の長尺位相差フィルムについて説明する。
本発明の長尺位相差フィルムは、上述の長尺状配向膜と、上記長尺状配向膜に含まれる配向層上に形成され、屈折率異方性を有する棒状化合物を含む位相差層と、を有することを特徴とするものである。
このような本発明の長尺位相差フィルムについて図を参照して説明する。図14は、本発明の長尺位相差フィルムの一例を示す概略平面図であり、図15は図14のC−C線断面図である。図1に例示するように、本発明の長尺位相差フィルム30は、上述の長尺状配向膜20と、上記長尺状配向膜に含まれる配向層12上に形成された位相差層13と、を有するものである。
また、本発明における位相差層13に含まれる棒状化合物の配列方向は、上記配向層に形成された微細凹凸形状の形成方向と同様に、上記配向層の長手方向に対して45°の方向である。
本発明によれば、3次元表示装置に適用可能な位相差フィルムを容易かつ大量に形成することができる。
また、長尺状であることにより、位相差フィルムの製造プロセスの自由度を高いものとすることができる。
本発明の長尺位相差フィルムは、上述の長尺状配向膜および位相差層を有するものである。
以下、本発明の長尺位相差フィルムの各構成について詳細に説明する。
なお、上記配向膜については、上記「C.長尺状配向膜」の項に記載の内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
1.位相差層
本発明に用いられる位相差層は、上記長尺状配向膜の配向層上に形成され、屈折率異方性を有する棒状化合物を含むものである。
本発明においては、上記位相差層が上記配向層上に形成されていることにより、位相差層に含まれる棒状化合物は、上記配向層に形成された微細凹凸形状の形成方向と同様に、上記配向層の長手方向に対して45°の方向である。
なお、本発明に用いられる棒状化合物、位相差層の厚み、および位相差層の面内レターデーション等については、上記「B.位相差フィルムの製造方法」の項に記載の内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
2.長尺状位相差フィルム
本発明の長尺状位相差フィルムは、上記長尺状配向膜および位相差層を有するものであるが、必要に応じて他の構成を有してもよいものである。このような他の構成の例としては、上記「B.位相差フィルム製造方法」の項に記載の内容と同様とすることができる。
本発明の長尺状位相差フィルムの形成方法としては、上記配向層および位相差層を有するものであれば特に限定されるものではないが、上記「B.位相差フィルムの製造方法」の項に記載の方法を好ましく用いることができる。
本発明の位相差フィルムの用途としては、視野角補償や、第1位相差領域および第2位相差領域を有するパターン位相差フィルムと共に用いられる3次元表示装置等を挙げることができ、なかでも、粉塵や静電気による影響を受けやすく、また低コストであることが要求される表示装置に好適に用いられる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。
[実施例1]
直径5cm、長さ20cmの大きさの表面が銅であるロール状基材を準備し、回転させながら、FIB加工で作製したピッチが200nmの凹凸を有するダイヤモンドバイトで左右方向に、銅表面の切削後の凹凸形状が回転方向に対して斜め45度になる様に切削した。その後、UV硬化性樹脂(DIC株式会社製ユニディック RC23−207)を銅版上に塗布し、その上に密着性を改善するためのプライマー(DIC株式会社製ユニディックRC20−075)を塗布した透明なフィルム(富士フィルム株式会社製フジタック)を乗せて密着させ、紫外線を照射して硬化させた。
次に、上記透明フィルム基材を銅版から剥離し、凹凸形状を透明フィルム基材上に賦形することにより、上記透明フィルム基材上に配向層を形成した。SEMで配向層の断面形状を観察したところ、200nmピッチの凹凸が斜め45度の方向に観測された。
次に、シクロヘキサノンに固形分15%で溶解した下記構造式で表わされる液晶性材料の溶液に、光重合開始剤(BASF株式会社製イルガキュア184)を5重量%を加えた溶液を、上記配向層が形成された透明フィルム基材上にスピンコーターで塗布、80℃で10分乾燥し、紫外線を照射して硬化することにより、位相差フィルムを作製した。
作製した位相差フィルムを偏光板クロスニコルの中に入れて回転させたところ、90度回転する毎に、明と暗が反転した。
尚、今回の銅版切削にはダイヤモンドバイトを用いたが、LCD製造に使われているラビング用の布を使ってもよい。
1 … ロール基材
11 … 透明フィルム基材
12´ … 配向層形成用層
12 … 配向層
13 … 位相差層
15 … 反射防止層またはアンチグレア層
16 … 粘着層
17 … セパレータ
10 … 配向層用原版
20 … 配向膜
30 … 位相差フィルム

Claims (5)

  1. 表面に微細凹凸形状が形成されたロール基材を有し、
    前記微細凹凸形状の形成方向が、前記ロール基材の回転方向に対して45°の方向であることを特徴とする配向層用原版。
  2. 請求項1に記載の配向層用原版上に、配向層形成用樹脂組成物からなる配向層形成用層を接触させた後、加圧し、前記配向層形成用層に前記配向層用原版表面の形状を賦型する賦型工程と、
    前記賦型工程後に、前記配向層形成用層を硬化させる硬化工程および前記配向層形成用層を前記配向層用原版から剥離し、配向層を形成する剥離工程と、
    前記配向層上に、屈折率異方性を有する棒状化合物を含む位相差層形成用塗工液を塗布する塗布工程と、
    前記位相差層形成用塗工液の塗膜に含まれる棒状化合物を、前記配向層に形成された微細凹凸形状の方向に沿って配列させる配向工程と、
    を有することを特徴とする位相差フィルムの製造方法。
  3. 表面に微細凹凸形状が形成されている長尺状の配向層を有し、
    前記微細凹凸形状の形成方向が、前記配向層の長手方向に対して45°の方向であることを特徴とする長尺状配向膜。
  4. 請求項3に記載の長尺状配向膜と、
    前記長尺状配向膜に含まれる配向層上に形成され、屈折率異方性を有する棒状化合物を含む位相差層と、
    を有することを特徴とする長尺位相差フィルム。
  5. 前記位相差層の面内レターデーション値がλ/4であることを特徴とする請求項4に記載の長尺位相差フィルム。
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