JP2014066964A - パターン位相差フィルム及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、基材11上に配向パターンを付与してパターン配向層を形成する工程と、このパターン配向層上に重合性液晶組成物36からなる位相差層形成用層を形成する工程と、乾燥機38において除電装置39を用いることで、重合性液晶組成物36が塗布された塗布基材を除電しながら重合性液晶組成物36を乾燥し、重合性液晶組成物36を上記配向パターンに沿って配列させて位相差層を形成する工程とを含む。この除電は、導電性繊維を紐状又は糸状とした導電繊維線39A,39B,39C・・・を用いて行われ、導電繊維線は、乾燥機38内における搬送ローラ40A,40B,40C・・・どうしの間にそれぞれ設けられている。
【選択図】図2
Description
図1は、本実施形態の製造方法によって得られるパターン位相差フィルム1を示す図である。なお、以下では「パターン位相差」を「位相差」と略記するが、特に断りがない限り、「位相差」は、「パターン位相差」と同義である。位相差フィルム1は、基材11上にパターン配向層12が形成され、このパターン配向層12上に、重合性液晶組成物を含む位相差層13が形成されることによって得られる。
基材11は、透明フィルム材であり、パターン配向層12を支持する機能を有し、長尺に形成されている。
パターン配向層12は、2種類の配向パターンを交互に有する。本実施形態において、配向パターンは、偏光照射により光配向性を発揮する光配向材料を用いて光照射によって配向させる光配向方式によって形成される。
位相差層13は、液晶性を示し分子内に重合性官能基を有する棒状化合物を含む。位相差層13は、上記配向パターンに沿って形成されるため、右目用の領域に対応する第1位相差領域13Aと、左目用の領域に対応する第2位相差領域13Bとを有する。
以下では、光配向方式によって形成する場合における位相差フィルム1の製造方法について説明するが、位相差フィルム1は、賦型UV方式によって形成されたものであってもよい。
まず、ロール31に巻き取った長尺フィルムから基材11を提供し、この基材11上にパターン配向層用組成物32を塗工する組成物塗工処理を行う。
基材11は、透明フィルム材であり、パターン配向層12を支持する機能を有し、長尺に形成されている。
Re[nm]=(Nx−Ny)×d[nm]
で表わされる値である。Re値は、例えば、位相差測定装置KOBRA−WR(王子計測機器社製)を用い、平行ニコル回転法により測定することができる。また、本明細書においては、特に別段の記載をしない限り、Re値は波長589nmにおける値を意味するものとする。
基材11の提供にあたっては、長尺フィルムを連続的に搬送できるものであれば、特に限定されるものではなく、一般的な搬送手段を用いる方法を用いることができる。具体的には、ロール状の長尺フィルムを供給する巻き出し機及び長尺フィルムを巻き取る巻き取り機等を用いる方法、ベルトコンベア、搬送用ロール等を用いる方法を挙げることができる。また、エアの吐出と吸引とを行うことにより、長尺配向膜形成用フィルムを浮上させた状態で搬送する浮上式搬送台を用いる方法であっても良い。
光配向方式によってパターン配向層12を形成する場合、パターン配向層12は、以下に説明するパターン配向層用組成物を含有する。このパターン配向層用組成物は、偏光照射により光配向性を発揮する光配向材料を含有する。
パターン配向層用組成物32を塗工するにあたり、本実施形態では、グラビアコートの手法を適用してパターン配向層用組成物32を塗工しているが、これに限るものではない。具体的には、グラビアコート法のほか、リバースコート法、ナイフコート法、ディップコート法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、スピンコート法、ロールコート法、プリント法、浸漬引き上げ法、カーテンコート法、ダイコート法、キャスティング法、バーコート法、エクストルージョンコート法、E型塗布方法等を用いることができる。
パターン配向層形成用層形成処理では、乾燥機33を用いてパターン配向層用組成物を熱硬化させる。この処理では、図示しない反転ローラにより基材11の上下を逆転させた後、乾燥機33に導き、ここでパターン配向層用組成物を熱硬化させた後、半乾きの状態で次の工程に送出する。
続いて、パターン配向層形成用層12’に対して紫外線を照射する紫外線照射処理について、図3を参照しながら詳しく説明する。
まず、図3の(A)に示すように、右目用の領域に対応する第1配向準備領域12’Aを遮光せず、左目用の領域に対応する第2配向準備領域12’Bだけを遮光したマスク11を介して、直線偏光による紫外線(偏光紫外線)をパターン配向層形成用層12’に向けて照射することにより、遮光されていない第1配向準備領域12’Aを所望の方向に配向させる。続いて、図3の(B)に示すように、1回目の照射とは偏光方向が90度異なる直線偏光により紫外線をパターン配向層形成用層12’の全面に照射し、1回目の照射では未露光の第2配向準備領域12’Bを所望の方向に配向させる。これら2回の紫外線照射により、2種類の配向パターンが形成される。
図2に戻り、位相差層形成用塗工液塗工処理について説明する。本実施形態では、位相差層形成用塗工液の供給装置39から位相差層形成用塗工液を塗工している。具体的な塗工の方法としては、パターン配向層12上に位相差層形成用塗工液からなる塗膜を安定的に形成できる方法であれば特に限定されるものではなく、(A)組成物塗工処理で説明したものと同じものを例示できる。
位相差層形成用塗工液は、1種又は2種以上の重合性液晶化合物を含有する。以下、このことについて詳しく説明する。
重合性液晶化合物は、屈折率異方性を有し、賦型処理によって発現される配向パターンに沿って規則的に配列することにより、所望の位相差性を付与する機能を有する。重合性液晶化合物として、例えば、ネマチック相、スメクチック相等の液晶相を示す材料が挙げられるが、他の液晶相を示す液晶化合物と比較して規則的に配列させることが容易である点で、ネマチック相を示す液晶化合物を用いることがより好ましい。
上記した重合性液晶化合物は、通常溶媒に溶かされている。溶媒は、重合性液晶化合物を均一に分散できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ベンゼン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン(以下「CHN」という。)等のケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGME)等のエーテル系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化アルキル系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、シクロヘキサン等のアノン系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(以下「IPA」という。)等のアルコール系溶媒を例示することができるが、これらに限られるものではない。また、溶媒は、1種類であってもよいし、2種類以上の溶媒の混合溶媒であってもよい。
重合性液晶組成物は、必要に応じて他の化合物を含むものであっても良い。他の化合物は、上記した重合性液晶化合物の配列秩序を害するものでなければ特に限定されるものではなく、例えば、重合開始剤、重合禁止剤、可塑剤、界面活性剤及びシランカップリング剤等を挙げることができる。
重合開始剤として、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミン)ベンゾフェノン、α−アミノ・アセトフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、ベンジルメトキシエチルアセタール、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンズスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンジルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、n−フェニルチオアクリドン、4,4−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、カンファーキノン、アデカ社製N1717、四臭化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾイン、エオシン、メチレンブルー等の光還元性色素とアスコルビン酸やトリエタノールアミンのような還元剤との組み合わせ等を例示できる。本実施形態では、これらの光重合開始剤を1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
重合禁止剤は、重合性液晶組成物の保存安定性を高めるために用いられる。重合禁止剤として、例えば、ジフェニルピクリルヒドラジド、トリ−p−ニトロフェニルメチル,p−ベンゾキノン、p−tert−ブチルカテコール、ピクリン酸、塩化銅、メチルハイドロキノン、メトキノン、tert−ブチルハイドロキノン等の反応の重合禁止剤を用いることができるが、保存安定性の点から、ハイドロキノン系重合禁止剤が好ましく、メチルハイドロキノンを用いるのが特に好ましい。
界面活性剤は、重合性液晶組成物の動的表面張力を調整し、位相差層の横スジムラを抑制するために用いられる。
位相差層13は棒状化合物が含有されることにより、位相差性を発現するものになっているところ、当該位相差性の程度は棒状化合物の種類及び位相差層13の厚さに依存して決定されるものである。したがって、位相差層形成用層の厚さは、所定の位相差性を達成できる範囲内とするものであれば特に限定されるものではなく、位相差フィルム1の用途等に応じて適宜決定されるものである。
続いて、レベリング装置37を用いて、位相差層形成用層の層厚を均一にするレベリング処理を行う。位相差層形成用塗工液からなる位相差層形成用層の厚さは、その後に形成される位相差層13の面内位相差がλ/4分に相当するような範囲内となるように塗布することが好ましい。これにより、第1位相差領域13A及び第2位相差領域13Bを通過する直線偏光を、互いに直交関係にある円偏光にすることができ、結果として、より精度良く三次元映像を表示できるためである。
続いて、位相差層形成用塗工液の塗膜に含まれる棒状化合物を、上記パターン配向層12に含まれる第1配向領域12A及び第2配向領域12Bの異なる配向方向に沿って、棒状化合物を配列させる。棒状化合物を配列させる方法としては、所望の方向に配列させることができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、乾燥機38を用いて棒状化合物を液晶相形成温度以上に加温することが挙げられる。
その後、冷却機40を用いて、基材11/パターン配向層12/位相差層13からなる積層体を冷却する冷却処理を行う。冷却処理は、積層体が室温になる程度まで行えばよい。
続いて、重合性棒状化合物を重合し硬化させる硬化処理を行う。重合性棒状化合物を重合させる方法としては、重合性棒状化合物が有する重合性官能基の種類に応じて任意に決定すればよいが、適量の重合開始剤を加えて、活性放射線の照射により硬化させる方法が好ましい。活性放射線としては、重合性棒状化合物を重合することが可能な放射線であれば特に限定されるものではないが、通常は装置の容易性等の観点から紫外光又は可視光を使用することが好ましく、具体的には、パターン配向層12を形成する際に用いた紫外線と同様とすることができる。このような硬化処理を経ることにより、互いに重合して、網目(ネットワーク)構造の状態にすることができるため、列安定性を備え、かつ、光学特性の発現性に優れた位相差層13を形成できる。
上記位相差フィルム1は、三次元表示用のフラットパネルディスプレイに用いることが好適であり、三次元表示用のフラットパネルディスプレイに用いることで、光配向性に優れるという格別の効果を奏する。
図2で説明した製造工程を経て実施例及び比較例に係る位相差フィルムを得た。その際、基材は、表面に防眩処理が施されたTAC基材(商品名:TD60UL−P,厚さ:60μm,富士フィルム社製)を用い、搬送速度は10m/minとした。
上記除電を行わなかったこと以外は、実施例と同じ方法にて比較例1に係るパターン位相差フィルムを得た。比較例1では、除電を行わなかったことから、隣り合う乾燥ガイドロール間の最大帯電圧は−10kVであった。
上記除電を行わなかったが、液晶層のコーティングの直前までは除電を実施したこと以外は、実施例と同じ方法にて比較例2に係るパターン位相差フィルムを得た。比較例2では、重合性液晶組成物の乾燥処理時には除電を行っていないことから、乾燥処理時における隣り合う乾燥ガイドロール間の最大帯電圧が−10kVである一方、液晶層のコーティングの直前までは除電を実施していたことから、コーティング前における原反の最大帯電圧は−5kvであった。
まず、位相差フィルムの外観を評価した。外観の評価は、位相差フィルムの両面に偏光板(商品名:HCL2−5618HCS,サンリッツ社製)をクロスニコル配置となるように貼り合わせ、貼り合わせた部材を液晶用バックライトに設置し、部材正面の光漏れの程度を暗室下にて目視で観察した。特異的な光漏れがほとんどなく、光軸ズレが認められない場合を“○”とし、光軸ズレが一部でも認められる場合を“×”とした。結果を表2に示す。
また、密着性を評価した。クロスカットガイド(コーテック社製)を用い、新しい刃を装着したカッターで液晶面に碁盤目状にキズをつけ、その後、セロハンテープにてJIS K5600(新)に基づく剥離試験を同じ場所で5回実施し、100マス中何%残るかを測定した。結果を表2に示す。
面内位相差・光軸は、位相差・光軸測定装置Axostep(アクソメトリクス社製)を用い、1辺が1mの正方形からなる1m2のシートカットしたサンプルについて、波長550nmにおける面内位相差(Re値)・光軸について光軸ズレが発生している箇所を限定して測定することによって行った。面内位相差(Re値)および光軸の平均値及び標準偏差を表2に示す。
11 基材
12 パターン配向層
13 位相差層
36 重合性液晶組成物
38 乾燥機
39 除電装置
39A,39B,39C・・・ 導電繊維線
40A,40B,40C・・・ 搬送ローラ
Claims (5)
- 基材と、
この基材上に形成され、配向パターンが形成されているパターン配向層と、
このパターン配向層上に形成され、重合性液晶組成物を含有する位相差層とを含むパターン位相差フィルムであって、
1m2にシートカットした測定サンプルについて、クロスニコル下で光モレを確認したときの、特異的な光軸ズレの個数が1個未満であるパターン位相差フィルム。 - 基材上に配向パターンを付与してパターン配向層を形成する工程と、
このパターン配向層上に重合性液晶組成物からなる位相差層形成用層を形成する工程と、
前記重合性液晶組成物が塗布された塗布基材を除電しながら前記重合性液晶組成物を乾燥することで、前記重合性液晶組成物を前記配向パターンに沿って配列させて位相差層を形成する工程とを含む、パターン位相差フィルムの製造方法。 - 前記除電は、導電性繊維を紐状又は糸状とした導電繊維線を用いて行われ、
前記導電繊維線は、前記重合性液晶組成物を乾燥する乾燥機内における搬送ローラと搬送ローラとの間にそれぞれ設けられている、請求項2に記載のパターン位相差フィルムの製造方法。 - 前記除電は、前記導電繊維線を電極支持体に直線状に張架して除電電極とし、これに交流高電圧を印加するとともに、この導電繊維線に対し前記パターン位相差フィルムを非接触で交差させることによって行われ、
前記重合性液晶組成物からなる層の表面と前記導電繊維線との距離は20mm以下である、請求項3に記載のパターン位相差フィルムの製造方法。 - 1m2にシートカットした測定サンプルについて、クロスニコル下で光モレを確認したときの、特異的な光軸ズレの個数が1個未満である、請求項2から4のいずれかに記載のパターン位相差フィルムの製造方法。
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