JP2012241208A - めっき下地塗膜層 - Google Patents

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Abstract

【課題】
熱可塑性樹脂を基材として用いると、めっき下地塗膜層を形成するための塗料中に含まれる有機溶媒と該基材とが接触し、基材が膨潤・収縮、或いは溶解してしまう。その結果、基材表面に凹凸が出来、その凹凸によって基材上に設けられた乾燥途中の塗膜が動き、塗膜自体に追随性がないのでクラックが生じてしまう。そして、該塗膜層にクラックが生じた状態で、無電解めっき法により金属めっき膜を設けると断線不良が起きてしまう。
【構成】
本発明のめっき下地塗膜層は、合成樹脂と無機系フィラーの固形分比が、合成樹脂1質量部に対して0.1ないし0.7質量部であり、かつTg(ガラス転移点)が30℃以下の合成樹脂を該塗膜層の合成樹脂中に、固形分比率で15質量%以上含むことで塗膜層のクラック発生を防止できると共に、得られた塗膜層上にめっき析出性および密着性に優れた無電解めっき法による金属めっき膜を設けることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、熱可塑性樹脂からなる基材上にめっき下地塗膜層を設ける際、該塗膜層にクラックが生じず、しかも、その塗膜層上にめっき析出性および密着性に優れた無電解めっき法による金属めっき膜を設けることができるめっき下地塗膜層に関する。
特許文献1には、三次元形状のめっき物の製造方法について開示されている。具体的には、基材上に設けためっき下地塗膜層が三次元成形時に分断されることなく、さらにはめっき析出性と密着性に優れた金属めっき膜を形成するために、基材上に還元性高分子微粒子とバインダーとからなるパターン化されためっき下地塗膜層を設け、その後、三次元成形を施し、そして該塗膜層上に無電解めっき法により金属めっき膜を設けるものである。
特開2011−074407号公報
しかしながら、ポリカーボネート系樹脂に代表される熱可塑性樹脂を基材として用いると、めっき下地塗膜層を形成するための塗料中に含まれる有機溶媒と該基材とが接触し、基材が膨潤・収縮、或いは溶解してしまう。その結果、基材表面に凹凸が出来、その凹凸によって基材上に設けられた乾燥途中の塗膜が動き、塗膜自体に追随性がないのでクラックが生じてしまう。そして、該塗膜層にクラックが生じた状態で、無電解めっき法により金属めっき膜を設けると断線不良が起きてしまう。さらに、該塗膜層にクラックが生じた状態で真空成形やプレス成形にて基材を三次元化した後、無電解めっき法により金属めっき膜を設けると断線不良がより促進されてしまう。
そこで、本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、めっき下地塗膜層において、合成樹脂と無機系フィラーの固形分比が、合成樹脂1質量部に対して0.1ないし0.7質量部であり、かつTg(ガラス転移点)が30℃以下の合成樹脂を該塗膜層の合成樹脂中に、固形分比率で15質量%以上含むことで塗膜層のクラック発生を防止できると共に、得られた塗膜層上にめっき析出性および密着性に優れた無電解めっき法による金属めっき膜を設けることができることを見出した。
すなわち、本発明の請求項1記載のめっき下地塗膜層は、熱可塑性樹脂からなる基材上に無電解めっき法により金属めっき膜を設ける際、該基材上にはめっき下地塗膜層を設けてなるものであり、該めっき下地塗膜層は、導電性又は還元性の高分子微粒子、合成樹脂、無機系フィラーからなり、合成樹脂と無機系フィラーの固形分比が、合成樹脂1質量部に対して、0.1ないし0.7質量部であり、該合成樹脂は、Tgが30℃以下の合成樹脂を該塗膜層の合成樹脂中に、固形分比率で15質量%以上含むことを特徴とする。
また、本発明の請求項2記載のめっき下地塗膜層は、前記請求項1記載のめっき下地塗膜層の構成に加えて、該塗膜層における導電性又は還元性の高分子微粒子と合成樹脂の固形分比は、該高分子微粒子1質量部に対して0.1ないし60質量部であることを特徴とする。
本発明のめっき下地塗膜層は、基材が有機溶媒と接触して膨潤、収縮、或いは溶解して基材表面に凹凸が出来ても、その基材上に設けた塗膜層にはクラックが生じない上、得られた塗膜層上にめっき析出性および密着性に優れた無電解めっき法による金属めっき膜を設けることができる。
めっき下地塗膜層の表面状態であり、クラックが生じていない事を示す図である。 めっき下地塗膜層上に、無電解めっき法により金属めっき膜を設け、その金属めっき膜の表面状態であり、クラックが生じていない事を示す図である。 めっき下地塗膜層の表面状態であり、クラックが生じている事を示す図である。 めっき下地塗膜層上に、無電解めっき法により金属めっき膜を設け、その金属めっき膜の表面状態であり、クラックが生じている事を示す図である。
本発明のめっき下地塗膜層は、熱可塑性樹脂からなる基材上に無電解めっき法により金属めっき膜を設ける際、該基材上にはめっき下地塗膜層を設けてなるものであり、該めっき下地塗膜層は、導電性又は還元性の高分子微粒子、合成樹脂、無機系フィラーからなり、合成樹脂と無機系フィラーの固形分比が、合成樹脂1質量部に対して、0.1ないし0.7質量部であり、該合成樹脂は、Tgが30℃以下の合成樹脂を該塗膜層の合成樹脂中に、固形分比率で15質量%以上含むことを特徴とする。
1)基材
本発明の基材としては、熱可塑性樹脂であればよく、例えば、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ABS系樹脂が挙げられる。
また、基材の形状は特に限定されないが、例えば、板状(シート状も含む)、フィルム状が挙げられる。他にも、基材として、例えば、射出成形などにより樹脂を成形した成形品が挙げられる。そして、この成形品に本発明のめっき下地塗膜層を介して金属めっき膜を設けることにより、例えば、自動車向けの装飾めっき品を作製できたり、或いは、フィルム上に本発明のめっき下地塗膜層を介して金属めっき膜をパターン状に設けることにより、例えば、電気回路品を作製することができる。
2)めっき下地塗膜層
本発明のめっき下地塗膜層は、導電性又は還元性の高分子微粒子、合成樹脂、無機系フィラーからなる下地塗料を基材上に塗布することで形成される。
・還元性の高分子微粒子
本発明の還元性の高分子微粒子は、0.01S/cm未満の導電率を有するπ−共役二重結合を有する高分子であれば特に限定されないが、例えば、ポリアセチレン、ポリアセン、ポリパラフェニレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン及びそれらの各種誘導体が挙げられ、好ましくは、ポリピロールが挙げられる。また、還元性の高分子微粒子としては、0.01S/cm以下が好ましく、より好ましくは0.005S/cm以下の導電率を有する高分子微粒子が好ましい。還元性の高分子微粒子は、π−共役二重結合を有するモノマーから合成して使用する事ができるが、市販で入手できる還元性の高分子微粒子を使用することもできる。
・導電性の高分子微粒子
本発明の導電性の高分子微粒子としては、導電性を有するπ−共役二重結合を有する高分子であれば特に限定されないが、例えば、ポリアセチレン、ポリアセン、ポリパラフェニレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン及びそれらの各種誘導体が挙げられ、好ましくは、ポリピロールが挙げられる。導電性の高分子微粒子は、π−共役二重結合を有するモノマーから合成して使用する事ができるが、市販で入手できる導電性の高分子微粒子を使用することもできる。
また、上記還元性の高分子微粒子や導電性の高分子微粒子の製造方法は、特開2011−074407号公報に記載されている方法を採用することができる。
・合成樹脂(バインダー)
本発明の合成樹脂としては、例えばポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリ(N−ビニルカルバゾール) 系樹脂、炭化水素系樹脂、ケトン系樹脂、フェノキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチルセルロース系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ABS系樹脂、ポリウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、アルキド系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコン系樹脂等の合成樹脂が挙げられる。そして、これら樹脂において、Tgが30℃以下の合成樹脂を該塗膜層の合成樹脂中に、固形分比率で15質量%以上含むように用いればよい。15%未満であると、該塗膜層にクラックが生じる。
合成樹脂の使用量は、固形分比で、導電性又は還元性の高分子微粒子1質量部に対して0.1ないし60質量部の範囲であるのが好ましい。合成樹脂が60質量部を超えると金属めっきが析出し難く、合成樹脂が0.1質量部未満であると、基材層との密着性が劣り易い。
・無機系フィラー
本発明に使用する無機系フィラーとしては、例えば、カーボンブラック、酸化チタン及びシリカ粒子等が挙げられる。
無機系フィラーの使用量は、固形分比で、合成樹脂1質量部に対して0.1ないし0.7質量部の範囲である。無機系フィラーの使用量が0.7質量部を超えると、めっき下地塗膜層にクラックが生じる。また、無機系フィラーの使用量が0.1質量部未満であると、基材層と金属めっき膜との密着性に劣る。
・溶媒
本発明の導電性又は還元性の高分子微粒子、合成樹脂、無機系フィラーを含むめっき下地塗膜層を形成するための前記下地塗料には、導電性又は還元性の高分子微粒子、合成樹脂、無機系フィラーに加えて、溶媒を含み得る。
前記下地塗料に含み得る溶媒としては、例えば、酢酸ブチル等の脂肪族エステル類、トルエンやキシレン等の芳香族溶媒、メチルエチルケトンやシクロヘキサノン等のケトン類、シクロヘキサン等の環状飽和炭化水素類、n−オクタン等の鎖状飽和炭化水素類、メタノール、エタノール、n−オクタノール等の鎖状飽和アルコール類、安息香酸メチル等の芳香族エステル類、ジエチルエーテル等の脂肪族エーテル類及びこれらの混合物等が挙げられる。尚、導電性又は還元性の高分子微粒子として、予め有機溶媒に分散された分散液を使用する場合は、分散液に使用されている有機溶媒を下地塗料の溶媒の一部又は全部として使用することができる。
更に、前記下地塗料は用途や塗布対象物等の必要に応じて、分散安定剤、増粘剤、顔料、染料、無機物等の充填剤を加えることも可能である。
本発明の基材上に、前記下地塗料を例えばパターン状に塗布する方法としては、例えば、スクリーン印刷機、グラビア印刷機、フレキソ印刷機、オフセット印刷機、ドライオフセット印刷機、パッド印刷機、インクジェット印刷機等を用いて、印刷することができる。乾燥条件も特に限定されず、室温、又は加熱条件下で行うことができる。
本発明のめっき下地塗膜層の厚さは、0.05μmないし30μmの範囲とするのが好ましい。塗膜層の厚さが0.05μmより薄くすると、金属めっきが析出し難く、塗膜層の厚さが30μmを超えると、塗膜層が凝集破壊し易くなる。
また、本発明のめっき下地塗膜層上に無電解めっき法により金属めっき膜を設ける際、めっき下地塗膜層における高分子微粒子は、還元性の微粒子である必要がある。したがって、前記下地塗料として、導電性の高分子微粒子を用いて形成されためっき下地塗膜層の場合、高分子微粒子を還元性とするために脱ドープ処理が行われる。脱ドープ処理としては、還元剤、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム等の水素化ホウ素化合物、ジメチルアミンボラン、ジエチルアミンボラン、トリメチルアミンボラン、トリエチルアミンボラン等のアルキルアミンボラン、及び、ヒドラジン等を含む溶液で処理して還元する方法、又は、アルカリ性溶液で処理する方法が挙げられる。
操作性及び経済性の観点からアルカリ性溶液で処理するのが好ましい。導電性の高分子微粒子を用いて形成された層は、緩和な条件下で短時間のアルカリ処理により脱ドープを達成することが可能である。例えば、1M 水酸化ナトリウム水溶液中で、20ないし50℃、好ましくは30ないし40℃の温度で、1ないし30分間、好ましくは3ないし10分間処理される。上記の脱ドープ処理により、導電性の高分子微粒子を用いて形成された塗膜層中の高分子微粒子は還元されて、還元性の高分子微粒子となる。
また、本発明のめっき下地塗膜層が設けられた基材に、三次元成形を施してから無電解めっき法により金属めっき膜を設けてもよい。なお、ここでいう三次元成形とは、真空成形、プレス成形、圧空成形を施し、基材を三次元化(立体化)することである。
3)無電解めっき法
上記のようにして製造された、めっき下地塗膜層が形成された基材を無電解めっき法によりめっき物とするが、該無電解めっき法は、通常知られた方法に従って行うことができる。即ち、前記基材を塩化パラジウム等の触媒金属を付着させるための触媒液に浸漬した後、水洗等を行い、無電解めっき浴に浸漬することによりめっき物を得ることができる。
触媒液は、無電解めっきに対する触媒活性を有する貴金属(触媒金属)を含む溶液であり、触媒金属としては、パラジウム、金、白金、ロジウム等が挙げられ、これら金属は単体でも化合物でもよく、触媒金属を含む安定性の点からパラジウム化合物が好ましく、その中でも塩化パラジウムが特に好ましい。好ましい、具体的な触媒液としては、0.05%塩化パラジウム−0.005%塩酸水溶液(pH3)が挙げられる。
処理温度は、20ないし50℃、好ましくは30ないし40℃であり、処理時間は、0.1ないし20分、好ましくは、1ないし10分である。
上記の操作により、塗膜中の還元性の高分子微粒子は、結果的に、導電性の高分子微粒子となる。
上記で処理された基材は、金属を析出させるためのめっき液に浸され、これにより無電解めっき膜が形成される。めっき液としては、通常、無電解めっきに使用されるめっき液であれば、特に限定されない。即ち、無電解めっきに使用できる金属、銅、金、銀、ニッケル等、全て適用することができるが、銅が好ましい。無電解銅めっき浴の具体例としては、例えば、ATSアドカッパーIW浴(奥野製薬工業(株)社製)等が挙げられる。
処理温度は、20ないし50℃、好ましくは30ないし40℃であり、処理時間は、1ないし30分、好ましくは、5ないし15分である。
得られためっき物は、該塗膜層中の合成樹脂の融点より低い温度において、数時間以上、例えば、2時間以上養生するのが好ましい。
次に、本発明のめっき下地塗膜層上に無電解めっき法により金属めっき膜を設けると、該塗膜層中の高分子微粒子は、最終的に導電性の高分子微粒子となるが、その理由について説明する。
先ず、本発明のめっき下地塗膜層は、導電性又は還元性の高分子微粒子、合成樹脂、無機系フィラーを含む塗膜層である。そして、導電性の高分子微粒子、合成樹脂、無機系フィラーを含む塗膜層の場合、前述したように該導電性の高分子微粒子を脱ドープ処理して還元性の高分子微粒子とする。すなわち、無電解めっきを行う前の塗膜層は、還元性の高分子微粒子、合成樹脂、無機系フィラーを含む状態にしておく必要がある。続いて、還元性の高分子微粒子を含む塗膜層上に、無電解めっき法により金属めっき膜を設けるが、具体的にはパラジウム等の触媒金属を該塗膜層上の還元性の高分子微粒子に還元・吸着させ、該パラジウム等の触媒金属が吸着された塗膜層上に金属めっき膜を形成するが、この際のパラジウム等の触媒金属の還元及び高分子微粒子への吸着は、例えば、ポリピロールの場合、下図で示される状態になると考えられる。
即ち、還元性の高分子微粒子(ポリピロール)がパラジウムイオンを還元することにより、高分子微粒子上にパラジウム(金属)が吸着されるが、これにより、高分子微粒子(ポリピロール)はイオン化される、即ち、パラジウムによりドーピングされた状態となり、結果として導電性を発現する。したがって、該塗膜層上に無電解めっき法により金属膜を設けて得られた塗膜層は、結果的に導電性の高分子微粒子、合成樹脂、無機系フィラーを含むものとなる。
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
製造例1:還元性のポリピロール微粒子分散液の調製
アニオン性界面活性剤ペレックスOT−P(花王株式会社製)0.42mmol、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系ノニオン界面活性剤エマルゲン409P(花王株式会社製)2.1mmol、トルエン10mL、イオン交換水100mLを加えて20℃に保持しつつ乳化するまで撹拌した。得られた乳化液にピロールモノマー21.2mmolを加え、1時間撹拌し、次いで過硫酸アンモニウム6mmolを加えて2時間重合反応を行った。反応終了後、有機相を回収し、イオン交換水で数回洗浄して、トルエンに分散した還元性能を有する還元性ポリピロール微粒子を得た。なお、得られたトルエン分散液中の還元性のポリピロール微粒子の固形分は、5%であった。
製造例2:還元性のポリアニリン微粒子分散液の調製
アニオン性界面活性剤ペレックスOT−P(花王株式会社)0.42mmol、ソルビタン脂肪酸エステル系ノニオン界面活性剤レオドールSP−030V(花王株式会社)0.424mmolとポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(商品名:レオドール TW−0320V)2.12mmol、トルエン10mL、イオン交換水100mLを加えて20℃に保持しつつ乳化するまで撹拌した。得られた乳化液にアニリンモノマー21.2mmolを加え、1時間撹拌し、次いで過硫酸アンモニウム4mmolを加えて2時間重合反応を行った。反応終了後、有機相を回収し、イオン交換水で数回洗浄して、トルエンに分散した還元性能を有する還元性ポリアニリン微粒子を得た。尚、得られたトルエン分散液中の還元性ポリアニリン微粒子の固形分は、5%であった。
(実施例1)
・めっき下地塗料の調製
先ずは、合成樹脂(B)について、Tgが30℃以下の合成樹脂(a)であるTg=10℃(東洋紡績(株)社製のVYLON GK68BS:ポリエステル系樹脂)と、Tgが30℃超えの合成樹脂(b)であるTg=67℃(東洋紡績(株)社製のVYLON 23CS:ポリエステル系樹脂)とを、表1に示すように合成樹脂(B)中のTg=30℃以下の合成樹脂(a)の固形分比率、すなわち、[(a)/(a)+(b)]×100=20[%]となるように、Tg=30℃以下の合成樹脂(a)とTgが30℃超えの合成樹脂(b)を配合し、合成樹脂(B)を得た。
続いて、得られた合成樹脂(B)に、無機系フィラー(日本エアロジル(株)社製のアエロジル200:粉末シリカ)を固形分比で、合成樹脂(B):無機系フィラー(C)=1:0.4となるように配合し、プレ撹拌後、3本ロールミルにて分散させた。
続いて、製造例1で調製した還元性ポリピロール微粒子分散液に、前記で調製した合成樹脂(B)及び無機系フィラー(C)を含む分散液を固形分比で、高分子微粒子(A):合成樹脂(B):無機系フィラー(C)=1:4:1.6となるように配合し、撹拌、脱泡を行い、めっき下地塗料を得た。
・めっき下地塗膜層の製造
PCフィルム(帝人化成(株)社製のパンライト1151:ポリカーボネート)からなる基材上に、上記めっき下地塗料をスクリーン印刷機にてL/S=1.0mm/1.0mmの細線パターンを印刷し、乾燥させてめっき下地塗膜層を得た。
得られためっき下地塗膜層について、目視でクラックが生じているのか確認した。結果、図1に示すようにクラックが生じていなかったので表1には○と示した。
(実施例2)
めっき下地塗料において、固形分比で、高分子微粒子(A):合成樹脂(B):無機系フィラー(C)=1:4:2.8となるように配合し、その結果、合成樹脂(B):無機系フィラー(C)=1:0.7となった以外は実施例1と同様の方法にてめっき下地塗膜層を得た。なお、得られためっき下地塗膜層にはクラックが生じていなかったので、表1には○と示した。
(実施例3)
めっき下地塗料において、固形分比で、高分子微粒子(A):合成樹脂(B):無機系フィラー(C)=1:4:0.4となるように配合し、その結果、合成樹脂(B):無機系フィラー(C)=1:0.1となった以外は実施例1と同様の方法にてめっき下地塗膜層を得た。なお、得られためっき下地塗膜層にはクラックが生じていなかったので、表1には○と示した。
(実施例4)
めっき下地塗料において、合成樹脂(B)中にTgが30℃以下の合成樹脂(a)を含む固形分比率:[(a)/(a)+(b)]×100=15[%]となるように配合した以外は実施例1と同様の方法にてめっき下地塗膜層を得た。なお、得られためっき下地塗膜層にはクラックが生じていなかったので、表1には○と示した。
(実施例5)
めっき下地塗料において、合成樹脂(B)中に、Tgが30℃以下の合成樹脂(a)を含む固形分比率:[(a)/(a)+(b)]×100=100[%]とし、すなわち、合成樹脂(b)としてTg=10℃の合成樹脂のみを使用した以外は実施例1と同様の方法にてめっき下地塗膜層を得た。なお、得られためっき下地塗膜層にはクラックが生じていなかったので、表1には○と示した。
(実施例6)
めっき下地塗料において、Tg=10℃の合成樹脂の代わりに、合成樹脂(a)としてTg=20℃(日本合成(株)社製のニチゴーポリエスターLP035:ポリエステル系樹脂)を使用した以外は実施例1と同様の方法にてめっき下地塗膜層を得た。なお、得られためっき下地塗膜層にはクラックが生じていなかったので、表1には○と示した。
(実施例7)
めっき下地塗料において、製造例1の還元性のポリピロール微粒子の代わりに、製造例2の還元性のポリアニリン微粒子を用いた以外は実施例1と同様の方法にてめっき下地塗膜層を得た。なお、得られためっき下地塗膜層にはクラックが生じていなかったので、表1には○と示した。
(実施例8)
基材として、PCフィルムの代わりに、A−PETフィルム(ダイヤケミカル(株)社製のノバクリアーSG007:未延伸のポリエチレンテレフタレート)を用いた以外は実施例1と同様の方法にてめっき下地塗膜層を得た。なお、得られためっき下地塗膜層にはクラックが生じていなかったので、表1には○と示した。
(実施例9)
基材として、PCフィルムの代わりに、アクリルフィルム(三菱レイヨン(株)社製のアクリプレンHBS006:アクリル樹脂)を用いた以外は実施例1と同様の方法にてめっき下地塗膜層を得た。なお、得られためっき下地塗膜層にはクラックが生じていなかったので、表1には○と示した。
(実施例10)
基材として、PCフィルムの代わりに、ABSフィルム(テクノポリマー(株)社製のVALVETECH NSG400:ABS樹脂)を用いた以外は実施例1と同様の方法にてめっき下地塗膜層を得た。なお、得られためっき下地塗膜層にはクラックが生じていなかったので、表1には○と示した。
比較例1
めっき下地塗料において、固形分比で、高分子微粒子(A):合成樹脂(B):無機系フィラー(C)=1:4:3.2となるように配合し、その結果、合成樹脂(B):無機系フィラー(C)=1:0.8となった以外は実施例1と同様の方法にてめっき下地塗膜層を得た。なお、得られためっき下地塗膜層には図3に示すようにクラックが生じていたので、表1には×と示した。
比較例2
めっき下地塗料において、固形分比で、高分子微粒子(A):合成樹脂(B):無機系フィラー(C)=1:4:0.2となるように配合し、その結果、合成樹脂(B):無機系フィラー(C)=1:0.05となった以外は実施例1と同様の方法にてめっき下地塗膜層を得た。なお、得られためっき下地塗膜層にはクラックが生じていなかったので、表1には○と示した。
比較例3
めっき下地塗料において、合成樹脂(B)中に、Tgが30℃以下の合成樹脂(a)を含む固形分比率:[(a)/(a)+(b)]×100=10[%]となるように配合した以外は実施例1と同様の方法にてめっき下地塗膜層を得た。なお、得られためっき下地塗膜層にはクラックが生じていたので、表1には×と示した。
比較例4
めっき下地塗料において、Tg=10℃の合成樹脂の代わりに、Tg=35℃(日本合成(株)社製のニチゴーポリエスターTP249:ポリエステル系樹脂)を使用し、すなわち、合成樹脂(B)としては、Tg=35℃とTg=67℃の混合樹脂であり、かつTg=35℃の合成樹脂が合成樹脂(B)中に20質量%存在するように配合した以外は、実施例1と同様の方法にてめっき下地塗膜層を得た。なお、得られためっき下地塗膜層にはクラックが生じていたので、表1には×と示した。
比較例5
基材として、PCフィルムの代わりに、A−PETフィルム(ダイヤケミカル(株)社製のノバクリアーSG007:未延伸のポリエチレンテレフタレート)を用いた以外は比較例1と同様の方法にてめっき下地塗膜層を得た。なお、得られためっき下地塗膜層にはクラックが生じていたので、表1には×と示した。
比較例6
基材として、PCフィルムの代わりに、アクリルフィルム(三菱レイヨン(株)社製のアクリプレンHBS006:アクリル樹脂)を用いた以外は比較例1と同様の方法にてめっき下地塗膜層を得た。なお、得られためっき下地塗膜層にはクラックが生じていたので、表1には×と示した。
比較例7
基材として、PCフィルムの代わりに、ABSフィルム(テクノポリマー(株)社製のVALVETECH NSG400:ABS樹脂)を用いた以外は比較例1と同様の方法にてめっき下地塗膜層を得た。なお、得られためっき下地塗膜層にはクラックが生じていたので、表1には×と示した。
続いて、実施例1ないし10、及び比較例1ないし7で得られためっき下地塗膜層が形成された基材各々を、0.02%塩化パラジウム−0.01%塩酸水溶液中に35℃で5分間浸漬後、洗浄水で水洗した。
次に、該基材を無電解銅めっき浴 ATSアドカッパーIW浴(奥野製薬工業(株)製)に浸漬して、35℃で10分間浸漬し銅めっきを施し、洗浄水で水洗した後、水分を乾燥させて金属めっき膜の厚みが0.3μmのめっき物を製造した。
得られためっき物について、めっき析出性と密着性を評価し、その結果を表1に示す。尚、評価方法は以下に示す通りである。
<めっき析出性>
無電解めっき処理後、目視にて析出性を評価した。
金属めっき膜にクラックがない(図2参照) :○
金属めっき膜にクラックがある(図4参照) :×
<密着性>
無電解めっきが施されたパターン印刷基材にセロハンテープを貼り付け、剥離することにより金属めっき膜の密着性を評価した。
金属めっき膜の剥離がない :○
金属めっき膜の剥離がある :×

Claims (2)

  1. 熱可塑性樹脂からなる基材上に無電解めっき法により金属めっき膜を設ける際、該基材上にはめっき下地塗膜層を設けてなるものであり、
    該めっき下地塗膜層は、導電性又は還元性の高分子微粒子、合成樹脂、無機系フィラーからなり、
    合成樹脂と無機系フィラーの固形分比が、合成樹脂1質量部に対して、0.1ないし0.7質量部であり、
    該合成樹脂は、Tgが30℃以下の合成樹脂を該塗膜層の合成樹脂中に、固形分比率で15質量%以上含むことを特徴とするめっき下地塗膜層。
  2. 該塗膜層における導電性又は還元性の高分子微粒子と合成樹脂の固形分比は、該高分子微粒子1質量部に対して0.1ないし60質量部であることを特徴とする請求項1記載のめっき下地塗膜層。
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