JP2012240250A - 光学素子の成形方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 光学性能に優れる光学素子を連続成形しても形状バラツキが小さくすることが可能な成形方法を提供する。
【解決手段】 光学面を成形するための金型部材と側面を成形するための金型部材に温度差をつけて成形することにより、樹脂の配向方向を変え複屈折の影響が小さくなるように成形する。また金型が開いた状態で加熱を開始することにより、側面を成形するための金型部材は光学面を成形するための金型部材から離れた状態で加熱を開始できるので、光学面を成形するための金型部材の温度は安定した状態で成形を開始することができ、形状バラツキの小さい生産性のよい光学素子が得られる。
【選択図】 図1

Description

本発明は高精度が要求される光学素子成形品を射出成形や射出圧縮成形などで製造する際の光学素子の成形方法に関するものである。特にレーザービームプリンタや複写機の走査光学系に用いられるfθレンズなどのような角型プラスチック光学素子の成形方法に関するものである。
近年、レーザー走査光学系に用いられるfθレンズなどの光学素子においては、プリンタや複写機の高性能化に伴い、複屈折や内部屈折率分布などの光学性能の改善が求められている。複屈折が大きいと光がレンズを透過する際に異常光が発生し、ビームスポットの変形、回転、肥大などの問題が起こる。また屈折率分布は樹脂特有の粘弾性特性により緩和挙動を示すので、これにより屈折率分布が大きいレンズは時間経過とともにスポット位置が変動するという問題がある。
これらの光学性能悪化の要因は、樹脂の冷却収縮過程における冷却速度の局部的な差により成形品内部に発生する内部歪によるものであることが知られている。従来技術において内部歪を低減し光学性能を向上させる手法や、複屈折の影響が出ない方向に樹脂を配向させることで光学性能を向上させる手法が開示されている。
例えば特許文献1では、光学面を成形するための金型部材と、側面を成形するための金型部材の双方にヒータを備え、金型内における第1冷却工程で光学面から先に冷却し、さらに金型から取り出した後に第2冷却工程で徐冷する。これにより、内部の屈折率分布を低減することが技術が開示されている。
特許文献2では、側面を成形するための金型部材にヒータを備え、光学面を成形するための金型部材をガラス転移点(以下Tgと記す)以下とし、かつ側面を成形するための金型部材の一部をTg以上であって、Tg+30以下とした状態のまま成形品の取り出しを行なう。これにより、ヒケを非光学部のみに発生させ、内部歪を低減する技術が開示されている。
特許文献3では、光学面を成形するための金型部材にヒータを備え、金型内において光軸方向と略直交する方向に固化が進行するように冷却する。これにより、製品として使用する際のレーザー偏光方向に対して問題となる角度を持った配向を少なくし、複屈折の影響を少なくする技術が開示されている。
特開2002−283352号公報 特開2006−150734号公報 特開平9−193257号公報
本発明が解決しようとする課題は複屈折による光学性能の悪化を改善し、かつ本来射出成形が有している高い生産性を維持することにある。
上記特許文献1では、金型内に樹脂を射出充填する前に金型全体を所定温度に加熱する工程が必要であり、また金型から取り出した後に除冷が必要となるため、生産性が悪化するという問題があった。
また上記特許文献2では、側面を成形するための金型部材の温度をTg以上(Tg+30)以下とした状態で、樹脂を充填、冷却、取出しを行うことが記載されている。しかし、側面をひけさせるため側面を成形するための金型部材の温度がTg以上の時成形品を金型から取出すことが必要であり、そのため光学素子の光学面の形状精度が安定せず、近年求められるようになった光学性能を満たすために更なる改善が求められていた。また、成形中常時光学面を成形するための金型部材と側面を成形するための金型部材の温度差を保たなければないが、温度制御が難しく、また、型開閉時に急激な温度変動が発生し、連続成形の安定性が悪化するという問題があった。
また上記特許文献3には、光学面を成形するための金型部材と側面を成形するための金型部材に温度差をつけることによって光軸方向と直交方向に樹脂を配向させる手法が開示されている。しかし、このように樹脂を配向させた場合、製品使用時のレーザー偏光方向に対する複屈折の影響が少なからず残ることが本発明人の実験により明らかとなり、近年求められるようになった光学性能を満たすために更なる改善が求められていた。また、ここで開示されている手法においても成形中常時光学面を成形するための金型部材と側面を成形するための金型部材の温度差を保たなければならないが、温度制御が難しい。また、型開閉時に急激な温度変動が発生し、連続成形の安定性が悪化するという問題があった。
本出願に係わる発明は、上述した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、低コストで光学性能に優れた光学素子を安定して連続成形する方法を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明の光学素子の成形方法は、光学素子の光学面を形成するための金型部材と光学素子の側面を成形するための金型部材からなる、金型のキャビティに樹脂を射出充填し、前記充填した樹脂を冷却して光学素子を成形する成形方法において、
型開された金型の、前記側面を成形するための金型部材と前記光学面を成形するための金型部材が接触しないように離れた状態で、前記側面を成形するための金型部材に設けた加熱手段により前記側面を成形するための金型部材の加熱を開始する工程と、前記金型を型締めし、前記キャビティに樹脂を射出充填する工程と、前記側面を成形するための金型部材の温度が、Tg以上に上昇した後低下するように、前記加熱手段による加熱を停止する工程と、前記射出充填された樹脂を冷却固化させる冷却工程の後、前記金型を型開し、成形された光学素子を金型から取り出す工程と、を有することを特徴とする。
本発明の成形方法によれば、側面を成形するための金型部材は光学面を成形するための金型部材から離れた状態で加熱を開始するので、効率よく加熱することができる。また、光学面を成形するための金型部材の温度は安定した状態で成形を開始することができる。これにより、低コストで光学性能に優れた光学素子を安定して連続成形することが可能となる。
成形中の温度履歴を表す図 光学素子の一例の概略斜視図 射出成形用金型の概略断面図 複屈折とビームスポットの関係を表す図
以下、本発明の好適な実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。ただし、発明の範囲を限定するものではない。
図2は本発明の光学素子の一例であるfθレンズ3の斜視図を示す。fθレンズ3は、例えば、レーザービームプリンタのスキャナユニットに使用されるレンズであり、ポリゴンミラー等の光偏向器によって偏向されたレーザーを感光ドラム上に等速走査させつつ結像させるレンズである。4は光線が透過する光学面、5は光学面と隣接する非光学面、すなわち側面である。光学面には、光学有効領域(画像形成に有効な光線が通過する領域)と非光学有効領域(画像形成に有効でない光線が通過する領域)が存在する。本明細書においては、図2におけるX方向を光軸方向、Y方向を主走査方向、Z方向を副走査方向、光学面と隣接する非光学面5を側面と称することにする。fθレンズ3は熱可塑性プラスチックを用いて製造されることが多く、例えば日本ゼオン社製ZEONEX(登録商標)や三井化学社製APEL(登録商標)、JSR社製ARTON(登録商標)などを用いて射出成形により製造される。
図3は本発明の一実施形態における光学素子の成形方法で用いる射出成形用金型6の一例を示す断面図であって、図2(a)に示したfθレンズ3のA断面を金型とともに示している。
射出成形用金型6は固定側金型7と可動側金型8を備え、固定側金型7および可動側金型8はそれぞれ、光学面4を形成するための光学面を成形するための金型部材9、10を備えている。さらに可動側金型8は光学面と隣接する側面5を形成する側面を成形するための金型部材11を備えており、前記光学面を成形するための金型部材と、前記側面を成形するための金型部材とに囲まれた空間であるキャビティ15を形成する。固定側金型7および可動側金型8はそれぞれ冷却手段(例えば水管)14を備え、金型外に配置された温度調節装置(不図示)によりそれぞれの金型の温度を制御する。側面を成形するための金型部材11は加熱手段(例えばカートリッジヒーター)12と温度センサー13を備え、金型外に配置された温度調節装置(不図示)により側面を成形するための金型部材の温度を制御する。
次に本発明の光学素子の成形方法の実施形態について、図1に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施形態における光学素子の成形方法の特徴を最もよく表す図面であり、成形中の時間経過に伴う金型温度の変化を表している。1は光学面を成形するための金型部材の温度履歴、2は側面を成形するための金型部材の温度履歴である。aは、前ショットにおける型開動作が開始された時間を示す。bは側面を成形するための金型部材に設けた加熱手段による加熱を開始した時間を示す。cは当該ショットにおいて型閉動作が完了し金型(キャビティ)内に樹脂が射出充填された時間を示す。dは側面を成形するための金型部材11の温度が再びTgとなる時間を示す。eは型開動作が開始された時間を示す。つまり、eは前ショットのaであり、これを繰り返し行なう。なお本明細書においては、1ショットのサイクルは型閉完了cから始まり、樹脂充填、冷却、型開、取出しを経て次ショットの型閉cが完了するまでとする。
(側面を成形するための金型部材の加熱を開始する工程)
前ショットの型開を開始する時間aから当該ショットの型閉を完了する時間cの間の時間bに側面を成形するための金型部材11に設けた加熱手段12による加熱を開始する。この時、前記側面を成形するための金型部材と前記光学面を成形するための金型部材が接触しないように離れた状態にある。これによって側面を成形するための金型部材11の効率的な加熱が可能となる。これは以下のような理由によるものと考えられる。図3(a)は金型が閉じた状態を示している。このとき加熱手段12を用いて側面を成形するための金型部材11を加熱した場合、加熱手段12によって発生した熱は側面を成形するための金型部材11に接する光学面を成形するための金型部材9、10、固定側金型7、可動側金型8に伝達することがわかる。一方、図3(b)は金型が開いた状態を示している。このとき側面を成形するための金型部材11に接する金型部材は可動側金型8のみであることがわかる。したがって加熱手段12によって発生した熱の多くは側面を成形するための金型部材11の加熱に使われるため効率よく側面を成形するための金型部材11を加熱することができる。
(溶融樹脂を射出充填する工程)
その後金型を閉じ、光学素子の光学面を形成するための光学面を成形するための金型部材9、10と、側面を形成する側面を成形するための金型部材11とに囲まれた空間である前記キャビティ15に、溶融樹脂を射出充填する。側面を成形するための金型部材11の温度を加熱手段12の熱により上昇させ、光学面を形成するための金型部材9、10より側面を成形するための金型部材11の温度が高くなるように加熱する。そして側面を成形するための金型部材11の温度が、使用樹脂材料のガラス転移温度Tg以上になるように加熱する。このときに発生する光学面を成形するための金型部材9、10と側面を成形するための金型部材11の温度差によって樹脂の配向方向を光軸方向に揃えることが可能となり、複屈折が改善する。
(金型冷却工程)
側面を成形するための金型部材11の温度が、Tg以上に上昇した後、低下するように、加熱手段12への通電を停止する、もしくは電力量を減らすことにより金型を冷却し始める。これにより、Tg以上に上昇した、前記側面を成形するための金型部材の温度は、低下し始める。本明細書において、加熱を停止する、とは、加熱手段12への通電を完全に停止することだけではなく、電力量を減らすことも含むこととする。この際、側面を成形するための金型部材11が冷却され側面を成形するための金型部材11の温度が再びTgとなる時間dのときに光学面を成形するための金型部材9、10の温度が(Tg−30)℃以上(Tg−5)℃以下となるように金型温度を制御することが好ましい。例えば使用樹脂材料のガラス転移温度Tg=137℃である場合は107℃以上132℃以下に、冷却手段(例えば水管)14によって、金型温度を制御する。
金型の冷却中、側面を成形するための金型部材の温度がTgとなったときに光学面を成形するための金型部材の温度が(Tg−30)℃以上(Tg−5)℃以下である状態を経過させる。これにより、成形品の光軸方向から見た複屈折を低減させることができることを本願発明者は見出した。成形中の金型温度が上記状態にあるとき、側面を成形するための金型部材が接する部分の樹脂の温度はTg以上である。すなわち光学素子の側面5を形成する樹脂は未固化状態になる。一方、光学面を成形するための金型部材が接する部分の樹脂の温度はTg未満であり、光学素子の光学面4を形成する樹脂は固化状態とすることができる。これにより光学面4から中心部に向けて冷却固化されることになり、樹脂配向も光学面4から中心部に向けて配向することになる。これにより、fθレンズをレーザーが透過する方向において、複屈折の影響が小さくなり、光学性能が向上する。
それに対し、光学面を成形するための金型部材と側面を成形するための金型部材の温度をいずれも使用樹脂材料のガラス転移温度Tgより低い温度として、通常の射出成形を行うと樹脂の冷却は光学素子の外形形状に沿った形で進む。従って、樹脂の配向も光学素子の外形形状に沿う形で配向し、結果として複屈折の影響を大きく受ける。
また、側面を成形するための金型部材の温度がTgとなったときの光学面を成形するための金型部材の温度が(Tg−5)℃よりも高い場合、複屈折を十分に低減させることができないことが実験よりわかった。側面を成形するための金型部材の温度がTgとなったときの光学面を成形するための金型部材の温度が(Tg−30)℃未満である場合は、光学面を成形するための金型部材と側面を成形するための金型部材に温度差がつき過ぎてしまっている。そのためその後の冷却過程で、側面を成形するための金型部材の付近の冷却速度が光学面を成形するための金型部材付近の冷却速度に比べて速くなってしまい、内部の屈折率分布がつき過ぎてしてしまう。これを避ける為には、金型全体をゆっくり冷却しなければならず、成形サイクルが長くなり、成形コストが高くなるという問題が発生する。
(光学素子を金型から取り出す工程)
その後、十分に金型内で冷却した後、時間eで光学素子を金型から取り出すことにより光学面の形状精度を崩すことなく離型することができる。また、金型から光学素子を取り出す際、光学面を成形するための金型部材9、10と側面を成形するための金型部材11の温度差が10℃以下の状態で取り出すようにすると、一段と光学面の形状精度が向上することがわかった。これは以下のような理由によるものと考えられる。図3(b)は成形品を取り出すために金型を開いた状態を示している。この図に示したとおり、型開き中は側面を成形するための金型部材11が金型のほかの部位と接触する面積が減少する。金型のほかの部位は温度調節水管14により温度を制御されているが、側面を成形するための金型部材11は金型が開いている間、金型のほかの部位と接触する面積が減少しているため温度調節水管14より受ける制御の影響が小さくなる。よって、予め金型が開く時間eの段階で光学面を成形するための金型部材と側面を成形するための金型部材の温度差を10℃以下にしておくことで、温度調節水管14から受ける影響を小さくすることができる。結果として再現性のよりよい成形を実現することができるため、光学面の形状精度も一段と向上する。また、成形品を金型から取り出す際には光学面を成形するための金型部材と側面を成形するための金型部材の温度差を10℃以下とすることにより、型開閉に伴う各金型部材の温度変化を抑えることができる。各金型部材の温度が安定するまで待つ時間を設けなくとも安定した成形を行うことが可能となる。また、図1の実施形態においては、金型温度にあまり差がない状態で成形品を取り出すことができるので、次のサイクルに向けて金型温度の調整時間が短くて済み、必要以上にサイクルが長くなることを抑制し低コストでの成形が可能となる。
また、金型の型開動作を開始する時間eから次のショットの型閉動作が完了するまでの間に側面を成形するための金型部材11の加熱を開始する。これにより、側面を成形するための金型部材は光学面を成形するための金型部材から離れた状態で加熱を開始するので、光学面を成形するための金型部材の温度は安定した状態で成形を開始することができる。すなわち安定した連続成形を行うことが可能となる。本明細書においては、加熱を開始する、とは、加熱手段12への通電を開始することだけではなく、電力量を増やすことも含むこととする。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例により限定されるものではない。
(実施例1)
図1に示した金型温度履歴で光学素子を成形した。樹脂材料として、Tgが137℃である日本ゼオン社製ZEONEX(登録商標) E48Rを用いた。
側面を成形するための金型部材11に設けたカートリッジヒーター12により側面を成形するための金型部材(側面駒)の加熱を開始するタイミングを変えて連続成形を行なった。加熱を開始するタイミングは、前ショットの型開開始時、前ショットの型開完了時、前ショットの型閉開始時、当該ショットの型閉完了時とした。温調手段12による加熱は成形途中で終了し、再び次のショットの同じタイミングで加熱を開始するようにして成形した。また型開開始時(図1における時間d)の光学面を成形するための金型部材(鏡面駒)と側面を成形するための金型部材(側面駒)の温度差が5℃となるようにカートリッジヒーターへの電力供給量や通電を止めるタイミング調節して成形した。得られた光学素子の表面形状を測定し各条件の形状バラツキを評価した。
(比較例1)
側面を成形するための金型部材(側面駒)11に設けたカートリッジヒーター12により側面を成形するための金型部材(側面駒)の加熱を開始するタイミングを、前ショットの型開開始5秒前、当該ショットの型閉完了5秒後として連続成形を行った。
(実施例1と比較例1の比較)
実施例1及び比較例1の側面を成形するための金型部材(側面駒)11の加熱を開始するタイミングが異なる光学素子それぞれについて、連続成形における形状バラツキの関係を表1に示した。
ただし、(1)は前ショットの型開開始5秒前、(2)は前ショットの型開開始時、(3)は前ショットの型開完了時、(4)は前ショットの型閉開始時、(5)は当該ショットの型閉完了時、(6)は当該ショットの型閉完了5秒後を示す。
以上のように側面を成形するための金型部材(側面駒)11の加熱開始タイミングが前ショットの型開開始前、もしくは当該ショットの型閉完了後である光学素子については、連続成形時の形状バラツキが大きく、歩留まりが悪化してしまった。それに対し、側面を成形するための金型部材(側面駒)11の加熱開始タイミングが前ショットの型開開始から当該ショットの型閉完了までの間であった光学素子については、連続成形時の形状バラツキも小さく、歩留まりも良好であった。
(実施例2)
側面を成形するための金型部材(側面駒)11の加熱開始タイミングを前ショットの型開完了時とし、金型の冷却中、側面を成形するための金型部材(側面駒)11の温度がTgとなったとき(図1における時間d)の光学面を成形するための金型部材(鏡面駒)の温度を変えて成形を行なった。光学面を成形するための金型部材(鏡面駒)の温度は、107℃、127℃、及び132℃になるように調整した。そして、得られた光学素子の複屈折の主軸角差、屈折率分布を測定した。光学面を成形するための金型部材(鏡面駒)の温度はカートリッジヒーターからの熱と温調水管の温度がバランスして時間dにおいて前記温度となるように温調水管の温度を調節した。
(比較例2)
金型の冷却中、側面を成形するための金型部材(側面駒)の温度がTgとなったとき(図1における時間d)の光学面を成形するための金型部材(鏡面駒)の温度が、97℃及び134℃になるように調整して、それぞれ成形を行なった以外は、実施例2同様の方法で成形を行った。
(実施例2と比較例2の比較)
実施例2及び比較例2の側面を成形するための金型部材(側面駒)の温度がTgになった時の光学面を成形するための金型部材(鏡面駒)の温度が異なる光学素子それぞれについて、複屈折の大小と屈折率分布の関係を表2に示した。
以上のように、側面を成形するための金型部材(側面駒)の温度がTgとなった時間dにおける光学面を成形するための金型部材(鏡面駒)の温度が132℃以上となると複屈折の影響が大きくなってしまい、実際にレーザーを透過させた際のスポット肥大が顕著となった。図4(a)は複屈折が大きい光学面を成形するための金型部材(鏡面駒)の温度134℃の条件で成形したレンズを用いて結像させたスポット画像を示している。図4(b)は複屈折が小さい光学面を成形するための金型部材(鏡面駒)の温度127℃の条件で成形したレンズを用いて結像させたスポット画像を示している。図4(a)に見られるように、複屈折が大きくなったことにより発生した異常光の影響によりスポットの形状が変形しスポット径も大きくなった。
また時間dにおける光学面を成形するための金型部材(鏡面駒)の温度が107℃未満となった場合には、屈折率分布が大きくなってしまい、時間経過によるピント位置の移動量が大きなってしまった。
(実施例3)
側面を成形するための金型部材(側面駒)11の加熱開始タイミングを前ショットの型開完了時とた。そして、金型の冷却中、側面を成形するための金型部材(側面駒)の温度がTgとなったとき(図1における時間d)の光学面を成形するための金型部材(鏡面駒)の温度を、127℃とし、実施例1同様の方法で成形を行なった。離型時(図1における時間e)における光学面を成形するための金型部材(鏡面駒)と側面を成形するための金型部材(側面駒)の温度差を、5℃及び10℃に調整して、それぞれ得られた光学素子の成形ばらつきの関係を測定した。光学面を成形するための金型部材(鏡面駒)と側面を成形するための金型部材(側面駒)の温度差はカートリッジヒーターへの電力供給量や通電を止めるタイミングを調節して、前記温度差となるようにした。
(比較例3)
光学面を成形するための金型部材(鏡面駒)と側面を成形するための金型部材(側面駒)の温度差が、15℃となるように離型した以外は、実施例2同様の方法で成形を行なった。
(実施例3と比較例3の比較)
実施例3及び比較例3の離型時(図1における時間e)における光学面を成形するための金型部材(鏡面駒)と側面を成形するための金型部材(側面駒)の温度差が異なる光学素子それぞれについて、形状バラツキの関係を表3に示した。
以上のように、時間eにおける光学面を成形するための金型部材(鏡面駒)と側面を成形するための金型部材(側面駒)の温度差が10℃よりも大きくなると光学素子の形状バラツキが大きくなり、連続成形における歩留まりが悪化した。
ここで成形した複屈折、屈折率分布、形状バラツキが小さいレンズはレーザービームが感光体上にスポットする際に、複屈折の影響によってスポット径の肥大を招くことなく良好なスポットを実現することができた。よって走査光学系の光学性能としては十分満足できるものであった。
1 光学面を成形するための金型部材の温度履歴
2 側面を成形するための金型部材の温度履歴
3 プラスチック光学素子
4 光学面
5 側面
6 射出成形用金型
7 固定側金型
8 可動側金型
9 固定側の光学面を成形するための金型部材
10 可動側の光学面を成形するための金型部材
11 側面を成形するための金型部材
12 カートリッジヒーター
13 側面を成形するための金型部材温度制御用センサー
14 温度調節水管
15 レンズキャビティ

Claims (3)

  1. 光学素子の光学面を形成するための金型部材と光学素子の側面を成形するための金型部材からなる、金型のキャビティに樹脂を射出充填し、前記充填した樹脂を冷却して光学素子を成形する成形方法において、
    型開された金型の、前記側面を成形するための金型部材と前記光学面を成形するための金型部材が接触しないように離れた状態で、前記側面を成形するための金型部材に設けた加熱手段により前記側面を成形するための金型部材の加熱を開始する工程と、
    前記金型を型閉し、前記キャビティに樹脂を射出充填する工程と、
    前記光学面を形成するための金型部材より前記側面を成形するための金型部材の温度が高く、かつ、前記側面を成形するための金型部材の温度が、Tg以上に上昇した後、低下するように、前記加熱手段の加熱を停止する工程と、
    前記射出充填された樹脂を冷却固化させる冷却工程の後、
    前記金型を型開し、成形された光学素子を金型から取り出す工程と、
    を有することを特徴とする光学素子の成形方法。
  2. 前記射出充填された樹脂を冷却する冷却工程は、
    前記側面を成形するための金型部材の温度がTgとなったときに前記光学面を成形するための金型部材の温度が(Tg−30)℃以上(Tg−5)℃以下となるように前記金型を冷却することを特徴とした請求項1記載の光学素子の成形方法。
  3. 前記光学素子を金型から取り出す工程は、前記光学面を成形するための金型部材と前記側面を成形するための金型部材の温度差が10℃以下となった時、前記金型から前記光学素子を取り出すことを特徴とする請求項1または2記載の光学素子の成形方法。
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