以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態の遊技機及びカードユニットの正面図である。
遊技機1は、島設備に固定される本体枠(外枠)2にヒンジ4を介して一側部が開閉回動自在に取り付けられる開閉枠を備える。開閉枠は、前面枠(遊技枠)3及びガラス枠(前枠)18によって構成される。
前面枠3には、遊技領域10aを有する遊技盤10(図2参照)が、裏面に取り付けられた収納フレーム(図示省略)に収装される。また、前面枠3には、遊技盤10の前面を覆うカバーガラス(透明部材)18aを備えたガラス枠18が取り付けられる。前面枠3及びガラス枠18は、それぞれ個別に開放することが可能であり、例えば、ガラス枠18のみを開放して遊技盤10の遊技領域10a(図2参照)にアクセスすることができる。また、前面枠3をガラス枠18が開放されていない状態で開放することによって、遊技盤10の裏側に配置された遊技制御装置500(図3参照)などにアクセスすることができる。
ガラス枠18のカバーガラス18aの周囲には、装飾光を発光する装飾部材9が備えられている。装飾部材9の内部にはランプやLED等によって構成された枠装飾装置(図示省略)が備えられている。枠装飾装置を所定の発光態様によって発光させることによって、装飾部材9が所定の発光態様によって発光する。
ガラス枠18の上方中央部には、照明ユニット11が備えられる。照明ユニット11の内部には、LEDやランプなどの発光部材が備えられる。
照明ユニット11の左側には第1可動式照明13が、右側には第2可動式照明14が備えられる。第1可動式照明13及び第2可動式照明14は、上スピーカー30aの上方に配置されている。第1可動式照明13及び第2可動式照明14には、LEDなどの照明部材の他に、照明駆動モータ(図示省略)がそれぞれ備えられており、演出内容に応じて動作(例えば、回転)するように制御される。
また、遊技機1には、音響(効果音、警報音、報知音等)を発するスピーカー30が備えられる。スピーカー30には、上スピーカー30a及び下スピーカー30bが含まれる。上スピーカー30aはガラス枠18の上方に配置され、下スピーカー30bは後述する演出ボタン31の下方に配置される。
第1可動式照明13の右側には、遊技機1において異常が発生したことなどを報知するための遊技状態LED32が備えられている。遊技機1において異常が発生した場合には、さらに、スピーカー30から異常を報知するための報知音が出力される。
遊技機1で発生する異常には、遊技機1の故障及び不正行為の実施などが含まれる。不正行為は、例えば、磁石によって発射された遊技球の軌道を不正に操作する行為や、遊技機1を振動させる行為などである。これらの不正行為は、磁気センサスイッチ(SW)39a(図3参照)によって磁気を検出したり、振動センサスイッチ(SW)39b(図3参照)によって振動を検出したりすることによって検知される。また、不正に開閉枠を開放する行為も不正行為に含まれる。このとき、枠開放センサスイッチ(前面枠開放検出スイッチ3b、ガラス枠開放検出スイッチ18b、図3参照)によって営業時間中に前面枠3やガラス枠18の開閉枠が開放されたことが検出される。以上のような不正行為が検出されると、遊技状態LED32やスピーカー30などによって異常が報知されるようになっている。
ガラス枠18のカバーガラス18aの下方には、上皿21などを含む上皿ユニットが備えられる。上皿21は、図示しない打球発射装置に遊技球(遊技媒体)を供給する。
さらに、ガラス枠18の下方位置であって前面枠3に固定される固定パネルには、下皿23及び打球発射装置の操作部24等が備えられる。遊技者が操作部24を回動操作することによって、打球発射装置は、上皿21から供給される遊技球を遊技盤10の遊技領域10a(図2参照)に発射する。
下皿23には、下皿23に貯まった遊技球を排出するための下皿球抜き機構が備えられる。前面枠3の下部右側には、ガラス枠18を施錠するための鍵25が備えられている。
また、上皿ユニットのうち上皿21の手前側には、遊技者からの操作入力を受け付けるための演出ボタンスイッチ(SW)を内蔵する演出ボタン31(操作手段)が備えられている。遊技者は、演出ボタン31を操作することによって、表示装置48(図2参照)における変動表示ゲームにおいて遊技者の操作を介入させた演出を行うことが可能となる。例えば、演出内容を選択させることができる。なお、変動表示ゲームには、特図変動表示ゲームと普図変動表示ゲームが含まれ、本明細書では、単に変動表示ゲームとした場合には、特図変動表示ゲームを指すものとする。
また、変動表示ゲームの実行中だけでなく、特別な遊技状態が発生していない遊技状態で遊技者が演出ボタン31を操作することによっても演出パターンを変更するようにしてもよい。なお、特別な遊技状態とは、例えば、後述する特定遊技状態(普電サポート状態または時短状態)や変動表示ゲームにおいて特別結果(大当り、小当り)の発生確率が高い状態(確変状態)や大当り状態(特別遊技状態)である。
また、変動表示ゲームが開始された後、演出ボタン31の操作を促進するための操作促進演出が実行され、操作促進演出が実行されている間に演出ボタン31を操作することによって、始動記憶に対応する変動表示ゲームの結果を事前に予告する予告演出などを実行するようにしてもよい。
上皿21の右上部には、遊技者が遊技球を借りる場合に操作する球貸ボタン26、球貸しが可能か否かを報知する球貸可LED27、及び、カードユニット6からプリペイドカードを返却させるために操作されるカード返却ボタン29が設けられている。球貸可LED27は、球貸しが可能な状態である場合にのみ点灯するようにしてもよいし、不可能な状態である場合とで点灯する際の色を変えて点灯するようにしてもよい。また、球貸可LED27とカード返却ボタン29との間には、プリペイドカードなどの残高を表示する残高表示器28が設けられる。残高表示器28には、後述するカードユニット6のカード挿入口61に挿入されたプリペイドカード又は会員カードに記憶された有価価値及び紙幣挿入口63に挿入された紙幣の有価価値が表示される。
また、下皿23には、下皿23に貯留された遊技球を排出するための下皿球抜き機構47が備えられる。下皿球抜き機構47によって下皿23に貯留された遊技球が排出されると、排出された遊技球は、遊技機1の内部であって下皿23の下部に設置された遊技媒体計数装置49に流下する。
遊技媒体計数装置49に流下した遊技球は、島設備に排出される。なお、遊技媒体計数装置49の遊技球を排出する部分には、計数器491が備えられる。計数器491は、遊技媒体計数装置49から島設備へ排出される遊技球の数を計数する。計数された遊技球は、計数球となる。
本発明の実施の形態では、一台の遊技機ごとに遊技結果として排出される遊技球(計数球)の計測を行い、その計数結果を持球として台間機等で記憶管理しておき、この持球の範囲内で再貸出しを行う各台計数システムを有する。各台計数システムに係る詳細な説明は、図4にて後述する。なお、本発明の遊技機は、各台計数式に限らず封入球式でもよい。
続いて、遊技機1の左側に備えられたカードユニット6について説明する。
カードユニット6は、カード挿排口61、情報表示装置62、紙幣挿入口63を備える。
カード挿排口61は、カードユニット6の下部に設けられる。カード挿排口61には、プリペイドカード又は会員カード等のカードが挿入される。
情報表示装置62は、カードユニット6の中央付近に設けられる。情報表示装置62は、情報表示部621及び操作部622を備える。
紙幣投入口63は、カードユニット6の上方に設けられる。紙幣投入口63には、紙幣が投入される。
ここで、情報表示装置62の情報表示部621は、カード情報表示画面、遊技情報表示画面、残高情報表示画面等を表示する。カード情報表示画面では、カード挿排口61に挿入されたプリペイドカード又は会員カードに記憶された情報(会員情報)が表示される。遊技情報表示画面では、例えば、遊技機1において所定期間の間に実行された特図変動表示ゲームの回数及び特図変動表示ゲームの結果が大当りである回数が表示される。残高情報表示画面では、カード挿排口61に挿入されたプリペイドカード又は会員カードに記憶された有価価値及び紙幣投入口63に挿入された紙幣の有価価値が表示される。
また、情報表示装置62の操作部622は、メインメニューボタン622a、台番設定ボタン622b、機種指定ボタン622c、TV切替ボタン622d、及び再プレイボタン622eを備える。操作部622が操作されると、情報表示部621の表示画面が切り替わる。
メインメニューボタン622aは、情報表示部621に表示される表示画面の内容をタッチパネルで選択する初期画面に戻すことができる。
台番設定ボタン622bは、特定の台番の遊技機における遊技情報を見ることができる。
機種指定ボタン622cは、特定の機種の遊技機における遊技情報を見ることができる。
台番や機種に応じた遊技情報は、カード挿排口61に挿入されたプリペイドカード又は会員カードに記憶された情報(会員情報)に基づいて表示される遊技情報でもよいし、遊技場のホールコンピュータ等で管理されている遊技情報に基づいて表示される遊技情報でもよい。
TV切替ボタン622dは、情報表示部621に表示されている表示画面の内容が切り替わる。例えば、遊技情報表示画面では、発射した遊技球の数及び大当りの回数が通常表示されており、TV切替ボタン622dが操作されると発射した遊技球の数及び始動入賞口に入賞した遊技球の数が表示される。
再プレイボタン622eは、遊技者が遊技の結果獲得し、遊技場に預けている遊技球(貯球)の数、再プレイ可能回数、再利用する貯球数の上限、球単価等の遊技情報を見ることができ、貯球による再プレイの可否がわかる。再プレイが可能である場合は、後述する持ち球払出操作ボタン68の操作が有効である。
さらに、紙幣投入口63の上方には、カード利用可LED64が設けられる。また、紙幣投入口63の下方には、上から順に紙幣投入可LED65、カード挿入中LED66が設けられる。そして、これらのLEDは、カードユニット6の動作に対応して色を変化させる。例えば、カードユニット6が利用可能状態である場合には、カード利用可LED64は緑色に点灯し、カードユニット6のカード挿排口61にカードが挿入されている間、カード利用可LED64は赤色に点灯し、カード挿入中LED66は緑色に点灯する。また、紙幣投入口63に紙幣を投入可能である場合に、紙幣投入可LED65は緑色に点灯し、紙幣投入口63に紙幣が投入されて識別されるまでの間、紙幣投入可LED65は赤色に点灯する。
遊技者が保持する遊技球(持球数)を使用して遊技を行う場合には、カードユニット6が遊技球を払い出す。具体的には、カードユニット6のカード挿排口61の上部に遊技媒体払出口67及び持ち球払出操作ボタン68が設けられ、遊技者が持ち球払出操作ボタン68を押すと、遊技媒体払出口67から遊技球が払い出される。遊技媒体払出口67から払い出された遊技球は、遊技媒体払出口67から遊技機1に延びる払出案内路67aによって、上皿21に案内される。
ここでは計数球を持球としているが、その他に貯球を持球とする場合もある。計数球は、前述したように現在遊技中の遊技機1の遊技媒体計数装置49から島設備へ排出される遊技球である。貯球は、遊技者が精算した結果、遊技場に預け入れられた遊技球である。
なお、本実施形態では、持球と貸球を区別している。持球を使用する場合には、カードユニット6の持ち球払出操作ボタン68を押すが、貸球を使用する場合には、遊技機1の球貸ボタン26を押す。しかし、持球を再使用することを、持球を特殊景品と交換し、特殊景品を現金化して現金で遊技球を借りるとみなせば、持球も貸球と言うことができる。
図2は、本発明の実施の形態の遊技機に備えられる遊技盤の正面図である。
遊技盤10は、各種部材の取り付けベースとなる平板状の遊技盤本体10b(木製又は合成樹脂製)を備え、該遊技盤本体10bの前面にガイドレール35で囲まれた遊技領域10aを有している。また、遊技盤本体10bの前面であってガイドレール35の外側には、前面構成部材(サイドケース)33が取り付けられている。さらに、遊技領域10aの右下側の前面構成部材33は、前面の中央部が黒色透明の証紙プレート36で覆われている。そして、このガイドレール35で囲まれた遊技領域10a内に打球発射装置から遊技球を発射して遊技を行うようになっている。遊技領域10aには、打球方向変換部材としての風車45や多数の障害釘(図示略)などが配設されており、発射された遊技球はこれらの打球方向変換部材により転動方向を変えながら遊技領域10aを流下する。
遊技領域10aの略中央には、変動表示ゲームの表示領域となる窓部を形成するセンターケース46が取り付けられている。センターケース46に形成された窓部の後方には、複数の識別情報を変動表示(可変表示)する変動表示ゲームの演出を実行可能な演出表示装置(変動表示装置)としての表示装置48が配置されている。表示装置48は、例えば、液晶ディスプレイを備え、センターケース46の窓部を介して遊技盤10の前面側から表示内容が視認可能となるように配置される。なお、表示装置48は、液晶ディスプレイを備えるものに限らず、EL、CRT等のディスプレイを備えるものであってもよい。
表示画面の画像を表示可能な領域(表示領域)には、複数の変動表示領域が設けられており、各変動表示領域に識別情報(特別図柄)や変動表示ゲームを演出するキャラクタが表示される。その他、表示画面には遊技の進行に基づく画像(例えば、大当り表示、ファンファーレ表示、エンディング表示等)が表示される。
また、センターケース46の窓部下方には、ステージ部46aが設けられる。センターケース46のステージ部46aには、遊技領域10aを流下する遊技球を受け入れられるように遊技領域10aに向けて開口し、センターケース46の内部に配置されたワープ通路(図示省略)を通過した遊技球が排出される。センターケース46のステージ部46aは、第1始動入賞口37及び第2始動入賞口38の上方に配置されているため、ステージ部46a上で転動した遊技球が第1始動入賞口37及び第2始動入賞口38上に流下しやすいように構成されている。第1始動入賞口37及び第2始動入賞口38についての詳細は後述する。
遊技領域10aのセンターケース46の左側には、普通図柄始動ゲート(普図始動ゲート)34が設けられている。普図始動ゲート34の内部には、該普図始動ゲート34を通過した遊技球を検出するためのゲートスイッチ(SW)34a(図3参照)が設けられている。そして、遊技領域10a内に打ち込まれた遊技球が普図始動ゲート34内を通過すると、普図変動表示ゲームが実行される。
さらに、センターケース46の左下側には、三つの一般入賞口44が配置され、センターケース46の右下側には、一つの一般入賞口44が配置されている。また、一般入賞口44への遊技球の入賞は、一般入賞口44に備えられた入賞口スイッチ(SW)44a〜44n(図3参照)によって検出される。
また、センターケース46の下方には、特図変動表示ゲームの開始条件を与える第1始動入賞口(第1始動入賞領域)37が設けられ、その直下には上部に逆「ハ」の字状に開いて遊技球が流入し易い状態に変換する一対の可動部材38aを備えるとともに内部に第2始動入賞口(第2始動入賞領域)38が配設されている。そして、遊技球が第1始動入賞口37又は第2始動入賞口38に入賞した場合には、補助遊技として特図変動表示ゲームが実行される。
第2始動入賞口38の一対の可動部材38aは、常時は遊技球の直径程度の間隔をおいた閉じた閉状態(遊技者にとって不利な状態)を保持している。ただし、第2始動入賞口38の上方には、第1始動入賞口37が設けられているので、閉じた状態では遊技球が入賞できないように構成されている。
そして、普図変動表示ゲームの結果が所定の停止表示態様となった場合には、駆動装置としての普電ソレノイド38b(図3参照)によって、逆「ハ」の字状に開いて第2始動入賞口38に遊技球が流入し易い開状態(遊技者にとって有利な状態、入賞容易状態)に変化させられるように構成されている。
なお、可動部材38aは、後述する遊技制御装置によって制御される。遊技制御装置は、入賞容易状態の発生頻度を高めたり、入賞容易状態の発生時間を長くしたりすることで、前述の特定遊技状態(普電サポート状態、時短状態)を発生させる。
さらに遊技領域10aの第2始動入賞口38の下方には、大入賞口ソレノイド42b(図3参照)によって上端側が手前側に倒れる方向に回動して開放可能になっているアタッカ形式の開閉扉42aを有する大入賞口を備えた特別変動入賞装置42が設けられている。特別変動入賞装置42は、特図変動表示ゲームの結果によって大入賞口を閉じた状態(遊技者にとって不利な閉塞状態)から開放状態(遊技者にとって有利な状態、特別遊技状態)に変換し、大入賞口内への遊技球の流入を容易にさせることで、遊技者に所定の遊技価値(賞球)を付与するようになっている。なお、大入賞口の内部(入賞領域)には、当該大入賞口に入った遊技球を検出する検出手段としてのカウントスイッチ42d(図3参照)が配設されている。
一般入賞口44、第1始動入賞口37、第2始動入賞口38、及び特別変動入賞装置42の大入賞口に遊技球が入賞すると、払出制御装置580(図3参照)は、入賞した入賞口の種類に応じた数の賞球を払出装置から前面枠3の上皿21又は下皿23に排出するように制御する。また、特別変動入賞装置42の下方には、入賞口などに入賞しなかった遊技球を回収するアウト口43が設けられている。
また、遊技領域10aの外側(例えば、遊技盤10の右下部)には、表示装置48における特図変動表示ゲーム(第1特図変動表示ゲーム、第2特図変動表示ゲーム)、及び普図始動ゲート34への入賞をトリガとする普図変動表示ゲームを実行する一括表示装置50が設けられている。さらに、一括表示装置50には、現在の遊技状態などの情報を表示する表示部51〜60が設けられている。
ここで、本発明の第1の実施の形態の遊技機1における遊技の流れ、及び変動表示ゲーム(普図変動表示ゲーム、特図変動表示ゲーム)の詳細について説明する。
前述のように、本発明の第1の実施の形態の遊技機1では、図示しない打球発射装置から遊技領域10aに向けて遊技球(パチンコ球)が打ち出されることによって遊技が行われる。打ち出された遊技球は、遊技領域10a内の各所に配置された障害釘や風車45等の方向転換部材によって転動方向を変えながら遊技領域10aを流下し、普図始動ゲート34、一般入賞口44、第1始動入賞口37、第2始動入賞口38又は特別変動入賞装置42に入賞するか、遊技領域10aの最下部に設けられたアウト口43へ流入し遊技領域から排出される。そして、一般入賞口44、第1始動入賞口37、第2始動入賞口38又は特別変動入賞装置42に遊技球が入賞すると、入賞した入賞口の種類に応じた数の賞球が、払出制御装置580によって制御される払出ユニットから、前面枠3の上皿21又は下皿23に排出される。
前述のように、普図始動ゲート34内には、該普図始動ゲート34を通過した遊技球を検出するゲートスイッチ34a(図3参照)が設けられている。普図始動ゲート34は、例えば、非接触型のスイッチである。遊技領域10a内に打ち込まれた遊技球が普図始動ゲート34内を通過すると、ゲートスイッチ34aによって検出され、普図変動表示ゲームが実行される。
また、普図変動表示ゲームを開始できない状態、例えば、既に普図変動表示ゲームが行われ、その普図変動表示ゲームが終了していない場合や、普図変動表示ゲームの結果が当りとなって第2始動入賞口38が開放状態に変換されている場合に、普図始動ゲート34を遊技球が通過すると、普図始動記憶数の上限数未満ならば、普図始動記憶数が加算(+1)されて普図始動記憶が1つ記憶されることとなる。
また、普図始動記憶には、普図変動表示ゲームの当りはずれを決定するための当り判定用乱数値が記憶されるようになっていて、この当り判定用乱数値が判定値と一致した場合に、当該普図変動表示ゲームが当りとなって特定の結果態様(特定結果)が導出されることとなる。
普図変動表示ゲームは、一括表示装置50に設けられた変動表示部(普図表示器)53(図17(A)参照)で実行されるようになっている。普図表示器53は、普通識別情報(普図、普通図柄)として点灯状態の場合に当りを示し、消灯状態の場合にはずれを示すLEDから構成され、このLEDを点滅表示することで普通識別情報の変動表示を行い、所定の変動表示時間の経過後、LEDを点灯又は消灯することで結果を表示するようになっている。
なお、普通識別情報として例えば数字、記号、キャラクタ図柄などを用い、これを所定時間変動表示させた後、停止表示させることにより行うように構成してもよい。この普図変動表示ゲームの停止表示が特定結果となれば、普図の当りとなって、第2始動入賞口38の一対の開閉部材38aが所定時間(例えば、0.3秒間)開放される開放状態となる。これにより、第2始動入賞口38に遊技球が入賞し易くなり、特図2変動表示ゲームが実行される回数が多くなる。
普図始動ゲート34への通過検出時に抽出した普図乱数値が当り値であるときには、普図表示器53に表示される普通図柄が当り状態で停止し、当り状態となる。このとき、第2始動入賞口38は、内蔵されている普電ソレノイド38b(図3参照)が駆動されることにより、開閉部材38aが所定の時間(例えば、0.3秒間)だけ開放する状態に変換され、第2始動入賞口38への遊技球の入賞が許容される。
第1始動入賞口37への入賞球及び第2始動入賞口38への入賞球は、それぞれは内部に設けられた始動口1スイッチ37d(図3参照)と始動口2スイッチ38d(図3参照)によって検出される。第1始動入賞口37に入賞した遊技球は特図1変動表示ゲームの始動入賞球として検出され、4個を限度に記憶されるとともに、第2始動入賞口38に入賞した遊技球は特図2変動表示ゲームの始動入賞球として検出され、4個を限度に記憶される。
また、この始動入賞球の検出時にそれぞれ大当り乱数値や大当り図柄乱数値、並びに各変動パターン乱数値が抽出され、抽出された乱数値は、遊技制御装置500(図3参照)内の特図記憶領域(RAMの一部)に特図始動入賞記憶として各々所定回数分(例えば、最大で4回分)を限度に記憶される。そして、この特図始動入賞記憶の記憶数は、一括表示装置50の始動入賞数報知用の記憶表示部(特図1保留表示器54、特図2保留表示器55)に表示されるとともに、センターケース46の表示装置48においても表示される。
遊技制御装置500は、第1始動入賞口37又は第2始動入賞口38への入賞、若しくは各始動記憶に基づいて、特図表示器(表示装置48、特図1表示器51又は特図2表示器52)で特図1変動表示ゲーム又は特図2変動表示ゲームを行う。
特図1変動表示ゲーム及び特図2変動表示ゲームは、複数の識別情報(特図、特別図柄)を変動表示したのち、所定の結果態様を停止表示することで行われる。また、表示装置48にて各特図変動表示ゲームに対応して複数種類の識別情報(例えば、数字、記号、キャラクタ図柄など)を変動表示させる飾り特図変動表示ゲームが実行されるようになっている。
表示装置48における飾り特図変動表示ゲームは、例えば前述した数字等で構成される飾り特別図柄(識別情報)が左(第一特別図柄)、右(第二特別図柄)、中(第三特別図柄)の順に変動表示を開始して、所定時間後に変動している図柄を順次停止させて、特図変動表示ゲームの結果を表示することで行われる。また、表示装置48では、特図入賞記憶の記憶数に対応する飾り特別図柄による飾り特図変動表示ゲームを行うとともに、興趣向上のためにキャラクタの出現など多様な演出表示が行われる。
さらに、第1始動入賞口37又は第2始動入賞口38への入賞が所定のタイミングでなされたとき(具体的には、入賞検出時の当り乱数値が当り値であるとき)には特図変動表示ゲームの結果として表示図柄により特定の結果態様(特別結果態様)が導出されて、大当り状態(特別遊技状態)となる。また、これに対応して表示装置48の表示態様も特別結果態様(例えば、「7,7,7」等のゾロ目数字のいずれか)となる。
このとき、特別変動入賞装置42は、大入賞口ソレノイド42b(図3参照)への通電によって、大入賞口が所定の時間(例えば、30秒)だけ、遊技球を受け入れない閉状態(遊技者に不利な状態)から遊技球を受け入れやすい開状態(遊技者に有利な状態)に変換される。すなわち、特別変動入賞装置42に備えられた大入賞口が所定の時間又は所定数の遊技球が入賞するまで大きく開くので、この間遊技者は多くの遊技球を獲得することができるという特典が付与される。
なお、特図1表示器51、特図2表示器52は、別々の表示器でもよいし同一の表示器でもよいが、各特図変動表示ゲームが同時に実行されないようにする。また、表示装置48における飾り特図変動表示ゲームについても、特図1変動表示ゲームと特図2変動表示ゲームとを別々の表示装置や別々の表示領域で実行するようにしてもよいし、同一の表示装置や表示領域で実行するようにしてもよい。この場合、特図1変動表示ゲーム及び特図2変動表示ゲームに対応する飾り特図変動表示ゲームが同時に実行されないようにする。
また、特図2変動表示ゲームは、特図1変動表示ゲームよりも優先して実行されるようになっている。すなわち、特図1変動表示ゲームと特図2変動表示ゲームの始動記憶があり、特図変動表示ゲームの実行が可能な状態になった場合は、特図2変動表示ゲームが実行される。
また、特図1変動表示ゲーム(特図2変動表示ゲーム)が開始可能な状態で、かつ、始動記憶数が0の状態で、第1始動入賞口37(第2始動入賞口38)に遊技球が入賞すると、始動権利の発生に伴って始動記憶が記憶される。このとき、始動記憶数が1加算されるとともに、直ちに始動記憶に基づいて、特図1変動表示ゲーム(特図2変動表示ゲーム)が開始され、この際に始動記憶数が1減算される。
一方、特図1変動表示ゲーム(特図2変動表示ゲーム)が直ちに開始できない状態、例えば、既に特図1変動表示ゲーム又は特図2変動表示ゲームが行われ、その特図変動表示ゲームが終了していない状態や、特別遊技状態となっている場合に、第1始動入賞口37(第2始動入賞口38)に遊技球が入賞すると、始動記憶数が上限数未満ならば、始動記憶数が1加算されて始動記憶が1つ記憶される。そして、始動記憶数が1以上となった状態で、特図1変動表示ゲーム(特図2変動表示ゲーム)が開始可能な状態(前回の特図変動表示ゲームの終了若しくは特別遊技状態の終了)となると、始動記憶数が1減算されるとともに、記憶された始動記憶に基づいて特図1変動表示ゲーム(特図2変動表示ゲーム)が開始される。
なお、以下の説明において、特図1変動表示ゲームと特図2変動表示ゲームを区別しない場合は、単に特図変動表示ゲームと称する。
なお、特に限定されるわけではないが、前述した第1始動入賞口37内の始動口1スイッチ37d、第2始動入賞口38内の始動口2スイッチ38d、ゲートスイッチ34a、入賞口スイッチ44a〜44n、カウントスイッチ42dには、磁気検出用のコイルを備え該コイルに金属が近接すると磁界が変化する現象を利用して遊技球を検出する非接触型の磁気近接センサ(以下、近接スイッチと称する)が使用されている。前面枠3に前面枠開放検出スイッチ3bやガラス枠18に設けられたガラス枠開放検出スイッチ18bには、機械的な接点を有するマイクロスイッチを用いることができる。
図3は、本発明の実施の形態の遊技制御装置の構成を示すブロック図である。
遊技機1は遊技制御装置500を備え、遊技制御装置500は、遊技を統括的に制御する主制御装置(主基板)であって、遊技用マイクロコンピュータ(以下、遊技用マイコンと称する)511を有するCPU部510と、入力ポートを有する入力部520と、出力ポートやドライバなどを有する出力部530、CPU部510と入力部520と出力部530との間を接続するデータバス540などからなる。
CPU部510は、アミューズメントチップ(IC)と呼ばれる遊技用マイコン511と、入力部520内の近接スイッチ用のインタフェースチップ(近接I/F)521からの信号(始動入賞検出信号)を論理反転して遊技用マイコン511に入力させるインバータなどからなる反転回路512と、水晶振動子のような発振子を備え、CPUの動作クロックやタイマ割込み、乱数生成回路の基準となるクロックを生成する発振回路(水晶発振器)513などを有する。遊技制御装置500及び該遊技制御装置500によって駆動されるソレノイドやモータなどの電子部品には、電源装置300で生成されたDC32V,DC12V,DC5Vなど所定のレベルの直流電圧が供給されて動作可能に構成される。
電源装置300は、24Vの交流電源からDC32Vの直流電圧を生成するAC−DCコンバータやDC32Vの電圧からDC12V,DC5Vなどのより低いレベルの直流電圧を生成するDC−DCコンバータなどを有する通常電源部310と、遊技用マイコン511の内部のRAM511cに対して停電時に電源電圧を供給するバックアップ電源部320と、停電監視回路や初期化スイッチを有し、遊技制御装置500に停電の発生、回復を知らせる停電監視信号や初期化スイッチ信号、リセット信号などの制御信号を生成して出力する制御信号生成部330などを備える。
この実施の形態では、電源装置300は、遊技制御装置500と別個に構成されているが、バックアップ電源部320及び制御信号生成部330は、別個の基板上あるいは遊技制御装置500と一体、すなわち、主基板上に設けるように構成してもよい。遊技盤10及び遊技制御装置500は機種変更の際に交換の対象となるので、実施例のように、電源装置300若しくは主基板とは別の基板にバックアップ電源部320及び制御信号生成部330を設けることにより、交換の対象から外しコストダウンを図ることができる。
バックアップ電源部320は、電解コンデンサのような大容量のコンデンサ1つで構成することができる。バックアップ電源は、遊技制御装置500の遊技用マイコン511(特に内蔵RAM)に供給され、停電中あるいは電源遮断後もRAM511cに記憶されたデータが保持されるようになっている。制御信号生成部330は、例えば通常電源部310で生成された32Vの電圧を監視してそれが例えば17V以下に下がると停電発生を検出して停電監視信号を変化させるとともに、所定時間後にリセット信号を出力する。また、電源投入時や停電回復時にもその時点から所定時間経過後にリセット信号を出力する。遊技制御装置500は、停電復旧後、RAM511cに保持された遊技データに基づいて、停電前の遊技状態に復旧させる。なお、バックアップ電源部320は、遊技データを2〜3日以上保持させることが可能となっている。
初期化スイッチ信号は初期化スイッチがオン状態にされたときに生成される信号で、遊技用マイコン511内のRAM511c及び払出制御装置580内のRAMに記憶されている情報を強制的に初期化する。特に限定されるわけではないが初期化スイッチ信号は電源投入時に読み込まれ、停電監視信号は遊技用マイコン511が実行するメインプログラムのメインループの中で繰り返し読み込まれる。リセット信号は強制割込み信号の一種であり、制御システム全体をリセットさせる。
遊技用マイコン511は、CPU(中央処理ユニット、マイクロプロセッサ)511a、データを書き換え不能に記憶する(読出し専用の)ROM(リードオンリメモリ、不揮発性記憶手段)511b及びデータを書き換え可能に記憶する(随時読出し書込み可能な)RAM(ランダムアクセスメモリ、揮発性記憶手段)511cを備える。
ROM511bは、遊技制御のための不変の情報(プログラム、固定データ、各種乱数の判定値等)を不揮発的に(書き換え不能に)記憶し、RAM511cは、遊技制御時にCPU511aの作業領域や各種信号や乱数値の記憶領域として利用される。ROM511b又はRAM511cとして、EEPROMのような電気的に書換え可能な不揮発性メモリを用いてもよい。
また、ROM511bは、例えば、特図変動表示ゲームの実行時間、演出内容、リーチ状態の発生の有無などを規定する変動パターンを決定するための変動パターン振り分け情報を記憶している。
変動パターン振り分け情報とは、始動記憶として記憶されている変動パターン乱数1〜3をCPU511aが参照して変動パターンを決定するための振り分け情報である。また、変動パターン振り分け情報には、結果がはずれとなる場合に選択されるはずれ変動パターン振り分け情報、結果が15R当りや2R当りとなる場合に選択される大当り変動パターン振り分け情報等が含まれる。例えば、特図変動表示ゲームがリーチなしの変動パターンに係る変動パターン振り分け情報、特図変動表示ゲームにてノーマル(N)リーチを実行する変動パターンに係る変動パターン振り分け情報、特図変動表示ゲームにてスペシャル(SP)1リーチを実行する変動パターンに係る変動パターン振り分け情報、特図変動表示ゲームにてスペシャル(SP)2リーチを実行する変動パターンに係る変動パターン振り分け情報、大当りとなる特図変動表示ゲームにてプレミアムリーチを実行する変動パターンに係る変動パターン振り分け情報等がある。
さらに、これらのパターン振り分け情報には、後半変動パターン振り分け情報、前半変動パターン振り分け情報が含まれている。
ここで、ROM511bは、特図変動表示ゲームにおける実行時間の設定に係る変動振り分け情報を複数記憶した変動振り分け情報記憶手段を構成している。
また、リーチ(リーチ状態)とは、表示状態が変化可能な表示装置を有し、該表示装置が時期を異ならせて複数の表示結果を導出表示し、該複数の表示結果が予め定められた特別結果態様となった場合に、遊技状態が遊技者にとって有利な遊技状態(特別遊技状態)となる遊技機1において、複数の表示結果の一部がまだ導出表示されていない段階で、既に導出表示されている表示結果が特別結果態様となる条件を満たしている表示状態(例えば、最後に停止する識別情報を除く複数の識別情報が特別遊技状態となる特別結果を発生可能な識別情報で停止し、最後に停止する識別情報が変動表示している状態)をいう。また、別の表現をすれば、リーチ状態とは、表示装置の変動表示制御が進行して表示結果が導出表示される前段階にまで達した時点でも、特別結果態様となる表示条件からはずれていない表示態様をいう。そして、例えば、特別結果態様が揃った状態を維持しながら複数の変動表示領域による変動表示を行う状態(いわゆる全回転リーチ)もリーチ状態に含まれる。また、リーチ状態とは、表示装置の表示制御が進行して表示結果が導出表示される前段階にまで達した時点での表示状態であって、表示結果が導出表示される以前に決定されている複数の変動表示領域の表示結果の少なくとも一部が特別結果態様となる条件を満たしている場合の表示状態をいう。
よって、例えば、特図変動表示ゲームに対応して表示装置に表示される飾り特図変動表示ゲームが、表示装置48における左、中、右の変動表示領域の各々で所定時間複数の識別情報を変動表示した後、左、右、中の順で変動表示を停止して結果態様を表示するものである場合、左、右の変動表示領域で、特別結果態様となる条件を満たした状態(例えば、同一の識別情報)で変動表示が停止した状態がリーチ状態となる。またこの他に、すべての変動表示領域の変動表示を一旦停止した時点で、左、中、右のうち何れか二つの変動表示領域で特別結果態様となる条件を満たした状態(例えば、同一の識別情報となった状態、ただし特別結果態様は除く)をリーチ状態とし、このリーチ状態から残りの一つの変動表示領域を変動表示するようにしてもよい。
また、リーチ状態には複数のリーチ演出が含まれ、特別結果態様が導出される可能性が異なる(信頼度が異なる)リーチ演出として、ノーマルリーチ、スペシャル1リーチ、スペシャル2リーチ、スペシャル3リーチ、プレミアムリーチ等が設定されている。なお、信頼度は、リーチなし<ノーマルリーチ<スペシャル1リーチ<スペシャル2リーチ<スペシャル3リーチ<プレミアムリーチの順に高くなるようになっている(リーチ演出によって特別結果態様が導出される確率が異なる)。また、リーチ状態は、少なくとも特図変動表示ゲームで特別結果態様が導出される場合(大当りとなる場合)における変動表示態様に含まれるようになっている。すなわち、特図変動表示ゲームで特別結果態様が導出されないと判定される場合(はずれとなる場合)における変動表示態様が含まれることもある。
ここで、信頼度の高低は、特別結果態様が導出されるときの演出選択及び特別結果態様が導出されないときの演出選択の割合によって算出することができる。
例えば、特別結果態様が導出される変動表示ゲームでは、上記SP1リーチは10%の割合で選択され、上記SP3リーチは40%の割合で選択されるとする。一方、特別結果態様が導出されない変動表示ゲームでは、上記SP1リーチは5%の割合で選択され、上記SP3リーチは1%の割合で選択されるとする。このような選択割合が設定されていることで、SP1リーチの期待度はSP3リーチの期待度よりも低いということが言える。
CPU511aは、ROM511b内の遊技制御用プログラムを実行して、払出制御装置580や演出制御装置550に対する制御信号(コマンド)を生成したり、ソレノイドや表示装置の駆動信号を生成して出力したりして遊技機1全体の制御を行う。
また、図示しないが、遊技用マイコン511は、特図変動表示ゲームの大当り判定用乱数や大当りの図柄を決定するための大当り図柄用乱数、普図変動表示ゲームの当り判定用乱数等を生成するための乱数生成回路を備えている。さらに、水晶発振器513からの発振信号(原クロック信号)に基づいてCPU511aに対する所定周期(例えば、4ミリ秒)のタイマ割込み信号や乱数生成回路の更新タイミングを与えるクロックを生成するクロックジェネレータを備えている。
また、CPU511aは、後述する特図ゲーム処理における始動口スイッチ監視処理(S2501)や特図普段処理(S2509)にて、ROM511bに記憶されている複数の変動パターン振り分け情報の中から、何れか一の変動パターン振り分け情報を取得する。具体的には、CPU511aは、特図変動表示ゲームの遊技結果(大当り又ははずれ)や、現在の遊技状態としての特図変動表示ゲームの確率状態(通常確率状態又は高確率状態)、現在の遊技状態としての第2始動入賞口38の動作状態(通常動作状態又は時短動作状態)、始動記憶数などに基づいて、複数の変動パターン振り分け情報の中から、何れか一の変動パターン振り分け情報を選択して取得する。
払出制御装置580は、遊技制御装置500からの賞球払出し指令(払出制御コマンドやデータ)に従って、払出ユニットの払出モータを駆動させ、賞球を払い出させるための制御を行う。また、払出制御装置580は、カードユニット6からの貸出要求信号に基づいて払出ユニットの払出モータを駆動させ、貸球を払い出させるための制御を行う。また、払出制御装置580が遊技球の発射許可信号を出すことで、発射制御装置581が発射可能状態になる。
遊技制御装置500の入力部520には、第1始動入賞口37内の始動口1スイッチ37d、第2始動入賞口38内の始動口2スイッチ38d、普図始動ゲート34内のゲートスイッチ34a、入賞口スイッチ44a〜44n、カウントスイッチ42dに接続され、これらのスイッチから供給されるハイレベルが11Vでロウレベルが7Vのような負論理の信号が入力され、0V−5Vの正論理の信号に変換するインタフェースチップ(近接I/F)521が設けられている。近接I/F521は、入力の範囲が7V−11Vとされることで、近接スイッチのリード線が不正にショートされたり、スイッチがコネクタから外されたり、リード線が切断されてフローティングになったような異常な状態を検出することができ、異常が検知された場合には異常検知信号を出力するように構成されている。このとき、異常検知信号は、入力ポート523に入力される。
近接I/F521に入力された信号の出力はすべて入力ポート522に供給され、データバス540を介して遊技用マイコン511に読み込まれるとともに、遊技制御装置(主基板)500から中継基板591を介して図示しない試射試験装置へ供給されるようになっている。また、近接I/F521の出力のうち始動口1スイッチ37dと始動口2スイッチ38dの検出信号は、入力ポート522の他、反転回路512を介して遊技用マイコン511へ入力されるように構成されている。反転回路512を設けているのは、遊技用マイコン511の信号入力端子が、マイクロスイッチなどからの信号が入力されることを想定し、かつ負論理、すなわち、ロウレベル(0V)を有効レベルとして検知するように設計されているためである。
したがって、始動口1スイッチ37dと始動口2スイッチ38dとしてマイクロスイッチを使用する場合には、反転回路512を設けずに遊技用マイコン511に検出信号を直接入力させるように構成することができる。つまり、始動口1スイッチ37dと始動口2スイッチ38dからの負論理の信号を遊技用マイコン511に直接入力させたい場合には、近接スイッチを使用することはできない。前述のように近接I/F521は、信号のレベル変換機能を有する。このようなレベル変換機能を可能にするため、近接I/F521には、電源装置300から通常のICの動作に必要な例えば5Vのような電圧の他に、12Vの電圧が供給されるようになっている。
また、入力部520には、遊技機1の前面枠3等に設けられた不正検出用の磁気センサスイッチ39a及び振動センサスイッチ39bからの信号及び近接I/F521により変換された第1始動入賞口37内の始動口1スイッチ37d、第2始動入賞口38内の始動口2スイッチ38d、ゲートスイッチ34a、入賞口スイッチ44a〜44n、カウントスイッチ42dからの信号を取り込んでデータバス540を介して遊技用マイコン511に供給する入力ポート522が設けられている。入力ポート522が保持しているデータは、遊技用マイコン511が入力ポート522に割り当てられているアドレスをデコードすることによってイネーブル信号CE1をアサート(有効レベルに変化)することよって、読み出すことができる。後述の他のポートも同様である。
さらに、入力部520には、遊技機1の前面枠3に設けられた前面枠開放検出スイッチ3b及びガラス枠18に設けられたガラス枠開放検出スイッチ18bからの信号、及び払出制御装置580からの払出異常を示すステータス信号や払出し前の遊技球の不足を示すシュート球切れスイッチ信号、オーバーフローを示すオーバーフロースイッチ信号を取り込んでデータバス540を介して遊技用マイコン511に供給する入力ポート523が設けられている。オーバーフロースイッチ信号は、下皿23に遊技球が所定量以上貯留されていること(満杯になったこと)を検出したときに出力される信号である。
また、入力部520には、電源装置300からの停電監視信号や初期化スイッチ信号、リセット信号などの信号を遊技用マイコン511等に入力するためのシュミットトリガ回路524が設けられており、シュミットトリガ回路524はこれらの入力信号からノイズを除去する機能を有する。電源装置300からの信号のうち停電監視信号と初期化スイッチ信号は、一旦、入力ポート523に入力され、データバス540を介して遊技用マイコン511に取り込まれる。つまり、前述の各種スイッチからの信号と同等の信号として扱われる。遊技用マイコン511に設けられている外部からの信号を受ける端子の数には制約があるためである。
一方、シュミットトリガ回路524によりノイズ除去されたリセット信号RSTは、遊技用マイコン511に設けられているリセット端子に直接入力されるとともに、出力部530の各出力ポートに供給される。また、リセット信号RSTは出力部530を介さずに中継基板591に直接出力することで、試射試験装置へ出力するために中継基板591のポート(図示省略)に保持される試射試験信号をオフするように構成されている。また、リセット信号RSTを中継基板591を介して試射試験装置へ出力可能に構成するようにしてもよい。なお、リセット信号RSTは入力部520の各入力ポート(522,523)には供給されない。リセット信号RSTが入る直前に遊技用マイコン511によって出力部530の各出力ポートに設定されたデータはシステムの誤動作を防止するためリセットする必要があるが、リセット信号RSTが入る直前に入力部520の各入力ポート(522,523)から遊技用マイコン511が読み込んだデータは、遊技用マイコン511のリセットによって廃棄されるためである。
遊技制御装置500の出力部530は、データバス540に接続され払出制御装置580へ出力する4ビットのデータ信号とデータの有効/無効を示す制御信号(データストローブ信号)及び演出制御装置550へ出力するデータストローブ信号SSTBを生成する第1出力ポート531aと、演出制御装置550へ出力する8ビットのデータ信号を生成する第2出力ポート531bとを備える。遊技制御装置500から払出制御装置580及び演出制御装置550へは、パラレル通信でデータが送信される。また、出力部530には、演出制御装置550の側から遊技制御装置500へ信号を入力できないようにするため、すなわち、片方向通信を担保するために第1出力ポート531aからのデータストローブ信号SSTB及び第2出力ポート531bからの8ビットのデータ信号を出力する単方向のバッファ532aが設けられている。なお、第1出力ポート531aから払出制御装置580へ出力する信号に対してもバッファを設けるようにしてもよい。
さらに、出力部530には、データバス540に接続され図示しない認定機関の試射試験装置へ変動表示ゲームの特図柄情報を知らせるデータや大当りの確率状態を示す信号などを中継基板591を介して出力するバッファ532bが実装可能に構成されている。このバッファ532bは遊技店に設置される実機(量産販売品)としてのパチンコ遊技機の遊技制御装置(主基板)には実装されない部品である。なお、近接I/F521から出力される始動口スイッチなど加工の必要のないスイッチの検出信号は、バッファ532bを通さずに中継基板591を介して試射試験装置へ供給される。
一方、磁気センサスイッチ39aや振動センサスイッチ39bのようにそのままでは試射試験装置へ供給できない検出信号は、一旦、遊技用マイコン511に取り込まれて他の信号若しくは情報に加工される。例えば、遊技機が遊技制御できない状態であることを示すエラー信号としてデータバス540からバッファ532b、中継基板591を介して試射試験装置へ供給される。なお、中継基板591には、バッファ532bから出力された信号を取り込んで試射試験装置へ供給するポートや、バッファを介さないスイッチの検出信号の信号線を中継して伝達するコネクタなどが設けられている。中継基板591上のポートには、遊技用マイコン511から出力されるチップイネーブル信号CEも供給され、該信号CEにより選択制御されたポートの信号が試射試験装置へ供給されるようになっている。
また、出力部530には、データバス540に接続され特別変動入賞装置42を開閉させるソレノイド(大入賞口ソレノイド42b)や第2始動入賞口38の可動部材38aを開閉させるソレノイド(普電ソレノイド38b)の開閉データと、一括表示装置50のLEDのカソード端子が接続されているデジット線のオン/オフデータを出力するための第3出力ポート531c、一括表示装置50に表示する内容に応じてLEDのアノード端子が接続されているセグメント線のオン/オフデータを出力するための第4出力ポート531d、大当り情報など遊技機1に関する情報を外部情報端子508へ出力するための第5出力ポート531eが設けられている。外部情報端子508から出力された遊技機1に関する情報は、例えば遊技店に設置された情報収集端末や遊技場内部管理装置(図示省略)に供給される。
さらに、出力部530には、第1ドライバ(駆動回路)533a、第2ドライバ533b、第3ドライバ533c、及び第4ドライバ533dが設けられている。第1ドライバ533aは、第3出力ポート531cから出力される大入賞口ソレノイド42bの開閉データ信号を受けてソレノイド駆動信号や普電ソレノイド38bの開閉データ信号を受けてソレノイド駆動信号を生成し出力する。第2ドライバ533bは、第3出力ポート531cから出力される一括表示装置50の電流引き込み側のデジット線のオン/オフ駆動信号を出力する。第3ドライバ533cは、第4出力ポート531dから出力される一括表示装置50の電流供給側のセグメント線のオン/オフ駆動信号を出力する。第4ドライバ533dは、第5出力ポート531eから管理装置等の外部装置へ供給する外部情報信号を外部情報端子508へ出力する。
第1ドライバ533aには、32Vで動作するソレノイドを駆動できるようにするため、電源電圧としてDC32Vが電源装置300から供給される。また、一括表示装置50のセグメント線を駆動する第3ドライバ533cには、DC12Vが供給される。デジット線を駆動する第2ドライバ533bは、表示データに応じたデジット線を電流で引き抜くためのものであるため、電源電圧は12V又は5Vのいずれであってもよい。12Vを出力する第3ドライバ533cによりセグメント線を介してLEDのアノード端子に電流を流し込み、接地電位を出力する第2ドライバ533bによりカソード端子よりセグメント線を介して電流を引き抜くことで、ダイナミック駆動方式で順次選択されたLEDに電源電圧が流れて点灯される。外部情報信号を外部情報端子508へ出力する第4ドライバ533dは、外部情報信号に12Vのレベルを与えるため、DC12Vが供給される。なお、バッファ532bや第3出力ポート531c、第1ドライバ533a等は、遊技制御装置500の出力部530、すなわち、主基板ではなく、中継基板591側に設けるようにしてもよい。
さらに、出力部530には、外部の検査装置592へ各遊技機の識別コードやプログラムなどの情報を送信するためのフォトカプラ534が設けられている。フォトカプラ534は、遊技用マイコン511が検査装置592との間でシリアル通信によってデータの送受信を行えるように双方通信可能に構成されている。なお、かかるデータの送受信は、通常の汎用マイクロプロセッサと同様に遊技用マイコン511が有するシリアル通信端子を利用して行われるため、入力ポート522のようなポートは設けられていない。
図4は、本発明の実施の形態の遊技装置の遊技球の貸出に関する各種信号の説明図である。
遊技装置1000は、パチンコ機(遊技機)1と、該パチンコ機に隣接して設けられるカードユニット6とから構成される。遊技装置1000は、前述したように、遊技結果として排出される遊技球を各遊技機に付設させる遊技媒体計数装置49(台計数機)で計数し、その計数結果(計数球)を持球として台間機等で記憶管理しておき、この持球の範囲内で再貸出しを行う各台計数システムを有する。
遊技機1は、その制御体系として遊技の進行を制御する遊技制御装置500と、遊技制御装置500からの払出制御コマンドやカードユニット6からの貸球要求(BRDY)信号に基づいて払出モータ580eを駆動させ、遊技球の払出に関する制御を行う払出制御装置580と、払出制御装置580からの発射許可信号の受信によって遊技球を発射可能な状態にする発射制御装置581と、払出制御装置580に電力の供給を行う電源装置300と、を備える。
払出制御装置580は、CPU580a、ROM580b、RAM580c、入出力インタフェース(入出力I/F)580d等を備える。払出制御装置580は、入出力I/F580dを介して、払出球検出SW67d、エラー解除SW71、シュート球切れSW72、オーバーフローSW73などが接続され、これらスイッチ等からの検出信号が入力されるようになっている。
エラー解除SW71は、払出制御装置580にエラーが発生した場合に、遊技店の店員等が発生したエラーの原因を解消した際に、遊技店の店員等によって操作され、エラー状態を解除するためのスイッチである。
そして、入出力I/F580dは、これらの入力された各種信号を中継し、CPU580aに対し出力する。また、払出異常ステータス信号、オーバーフローSW信号、シュート球切れSW信号は、遊技機制御装置500へ出力される。
また、払出制御装置580は、払出装置から払い出す遊技球数(賞球数)など遊技に係る情報を外部情報端子508に出力し、外部の管理装置において遊技情報を一括管理できるようにする。また、払出制御装置580はエラーナンバー表示LED510を備える。エラーナンバー表示LED510は、払出制御装置580に発生したエラーの種類を特定可能に表示する。
カードユニット6は、遊技機1からの信号の入力を受け付け、遊技機1へ各種信号を出力したり、遊技球の貸出の制御を行う貸出ユニット制御装置600を備える。貸出ユニット制御装置600は、CPU600a、ROM600b、RAM600c、入出力インタフェース(入出力I/F)600d等を備える。
まず、貸出ユニット制御装置600と払出制御装置580との間で通信される貸出に関する信号について説明する。
カードユニット6が遊技機1に接続されると、払出制御装置580は、カードユニット6の貸出ユニット制御装置600が払出制御装置580に接続されているか否かを確認するための接続確認(PSI)信号を貸出ユニット制御装置600に送信する。
そして、接続されると、貸出ユニット制御装置600は、払出制御装置580に対して後述するBRDY信号やBRQ信号等の送受信を行うためのフォトカプラを駆動させるための電源として18Vを電源(VL)信号によって供給する。
また、払出制御装置580は、遊技球を払い出す準備が整っている場合に、貸出ユニット制御装置600に対して貸出準備(PRDY)信号を出力する。なお、遊技球を払い出す準備が整っている場合とは、払出制御装置580のRAMに電源投入時又は停電復旧時の初期設定が行われた場合や貸し出すべき遊技球の準備ができている状態である。
次に、貸出ユニット制御装置600は、球貸ボタン26から球貸信号が入力された場合に、球貸ボタン26の1回の操作で貸し出される有価価値(例えば、500円)分の遊技球が払い出されるまで、払出制御装置580に貸出要求(BRDY)信号を出力する。
続いて、貸出ユニット制御装置600は、BRDY信号を出力してから所定時間経過後、払出制御装置580に貸出指令(BRQ)信号を出力する。BRQ信号は、球貸ボタン26の1回の操作で貸し出される有価価値を分割して払い出すために出力される信号で、例えば、100円分の遊技球を払い出す指令である。なお、1回のBRQ信号の入力で払い出される遊技球の数を貸出数という。
そして、払出制御装置580は、BRQ信号が入力された場合に、BRQ信号が入力されたことを示す要求了解+払出完了(EXS)信号を出力する。なお、貸出ユニット制御装置600は、EXS信号が入力された場合、BRQ信号の出力を停止する。
次に、払出制御装置580は、BRQ信号に設定された有価価値(100円)分の遊技球を払い出すと、BRQ信号の入力による貸出数分の遊技球が払い出されたことを示すために、EXS信号の出力を停止する。
貸出ユニット制御装置600は、EXS信号の出力が停止されたことを検出すると、球貸ボタン26の1回の操作で貸し出される有価価値が未だ払い出されていない場合には、BRQ信号を出力する。一方、球貸ボタン26の1回の操作で貸し出される有価価値が払い出された場合には、BRDY信号の出力を停止する。
続いて、貸出ユニット制御装置600が行う制御について説明する。
貸出ユニット制御装置600は、カード返却ボタン29から返却信号が入力された場合に、カードユニット6のカード挿入口61に挿入されたプリペイドカード又は会員カードをカード挿入口61から返却する。
貸出ユニット制御装置600は、球貸しが可能である場合に、球貸可LED27を点灯する。また、残高表示器28に、カード挿入口61に挿入されたプリペイドカード又は会員カードに記憶された有価価値及び紙幣挿入口63に挿入された紙幣の有価価値を表示する。
貸出ユニット制御装置600は、カードユニット6が利用できる状態である場合にカード利用可LED64を点灯させる。また、カードユニット6にカードが挿入中である場合にカード挿入中LED66を点灯させる。
そして、カードリーダライタ601は、カード挿入口61に挿入されたカードに記憶された情報を読み取り、その情報を貸出ユニット制御装置600に出力する。そして、貸出ユニット制御装置600は、カードリーダライタ601によって読み取られた残高を残高表示器28に表示する。また、貸出ユニット制御装置600は、カードユニット6に挿入されているカードにデータを書き込む場合に書き込む情報を、カードリーダライタ601に出力する。
カードユニット6の紙幣投入口63に紙幣を投入されると、紙幣識別装置602が投入された紙幣を識別する。この間、貸出ユニット制御装置600は、紙幣投入可LED65を赤色に点灯させる。そして識別が終了して紙幣投入が可能となったら緑色に点灯させる。
また、貸出ユニット制御装置600は、カードユニット6に備わる情報表示装置62(情報表示部621)に表示される表示内容を制御するための表示制御信号を情報表示装置62に出力する。なお、情報表示部621が表示する内容の一つは、貸球価値表示器として現在設定されている球単価(貸球価値)の表示である。
貸出ユニット制御装置600には、情報表示部621のタッチパネルが操作された場合に表示装置62から操作信号が入力される。貸出ユニット制御装置600は、貸球価値設定SW603が操作された場合に貸球価値設定信号が入力されることにより貸球価値を設定する。貸球価値設定SW603は、貸し出される遊技球1個当たりの有価価値(球単価)を設定するためのスイッチである。なお、貸球に限らず持球1個当たりの有価価値を設定可能にしてもよい。
遊技者が遊技の結果獲得する遊技球(持球)は、島設備に排出される際に遊技媒体計数装置49において計数され、その計数結果が貸出ユニット制御装置600に入力される。貸出ユニット制御装置600は、下皿球抜き機構47が操作される場合に、遊技媒体計数装置49に計数開始の信号を出力する。
貸出ユニット制御装置600には、遊技者が持球(貯球)を使用して遊技を行う場合に、持ち球払出操作ボタン68の操作信号が入力される。そして、遊技媒体払出口67から遊技球を払い出す。持球を使用した遊技が可能か否かは、持球数と持球有価価値に応じて決まる。持球の再利用の可否や持球の球単価等の遊技情報は、カードユニット6の情報表示装置62に設けられる再プレイボタン622eを操作した場合に、情報表示部621に表示される。
以上のような各台計数システムが導入される場合には、遊技者が獲得した遊技球(持球)を貯留する貯留箱は不要である。遊技者の持球は全てデータとして扱われるので、遊技者は、例えば多量の遊技球を獲得した場合であっても、多量の遊技球を獲得したということを認識しづらいという問題点がある。
なお、各台計数システムを有する遊技機に限らず、封入球式遊技機においても前述の問題点が発生する。封入球式遊技機とは、パチンコ遊技機等の遊技機内に所定数の遊技球を封入し、発射位置から遊技領域に遊技球(封入球)を発射し、遊技領域を流下した遊技球を回収して再び発射位置に導いて遊技球を循環使用して遊技を行う遊技機のことである。
ところで、各台計数システムや封入球式遊技機が導入される以前の遊技システムや遊技機においては、遊技者が多量の遊技球を獲得した場合には、該遊技球を貯留箱に貯留し、該遊技者の足元等に置いておく、所謂球積みを行うことが一般的であった。この球積みによって、遊技者自身が多量の遊技球を獲得したことを実感するとともに、周囲の遊技客にも多量の遊技球の獲得があったことを認識させ、遊技店の雰囲気を盛り上げる効果が得られていた。
これに対し、特開2006−254955号公報における封入球式遊技機には、持球数が多くなった場合に持球数のデジタル表示などに加え、持球数に対応して照明を点灯したり、該照明の発光色を変更したりすることで、持球数が多いことを遊技者やその周囲の遊技客に報知する報知手段が設けられている。
しかしながら、前述の報知手段での報知では、球積みがある場合に比べて、遊技者及び周囲の遊技客は多量の遊技球の獲得があったことを直観的に認識することができない。すなわち、従来は遊技場において球積みが行われることで、通路がせばめられる、貯留箱が床面を埋め尽くすといった空間的な変化が発生する。これにより遊技者は多量の遊技球の獲得があったことを直観的に認識することができていた。
そこで、前述の封入式遊技機や各台計数システムが用いられる場合において、遊技場の店員が疑似的に貯留箱に遊技球をディスプレイすることも考えられるが、防犯的な観点やディスプレイ用の遊技球を別途確保する必要があることなどを考えると実現するのは難しく現実的ではない。
本発明は、実際には球積みが行われない場合であっても、多量の遊技球の獲得があったことを遊技者が直観的に認識可能な遊技装置を提供することも目的としており、以下のどちらか一方の解決手段により前述の問題点を解決することが可能である。
本発明は、遊技者の保持する持球数を管理する持球管理手段を備える遊技装置において、遊技の進行に関連する仮想画像と撮影した遊技場の実画像とを合成した合成画像を表示可能な情報端末が、該仮想画像を表示するために撮影する標識情報を表示する情報表示手段と、前記情報表示手段によって表示される標識情報を、前記持球数に応じて制御可能な標識情報制御手段と、を備え、前記標識情報制御手段は、前記持球数に対応して、貯留箱に貯留された遊技球の仮想画像と、撮影した遊技場の実画像とを合成した合成画像を表示するための標識情報を表示させることを特徴とする。
また、本発明は、遊技者の保持する持球数を管理する持球管理手段を備える遊技装置において、遊技の進行に関連する仮想画像と撮影した遊技場の実画像とを合成した合成画像を表示可能な情報端末が、該仮想画像を表示するために撮影する標識情報を表示する情報表示媒体を備え、前記情報表示媒体は、前記持球数に応じてそれぞれ異なる標識情報を表示する複数の情報表示媒体を含み、
前記複数の情報表示媒体のうち、いずれかの情報表示媒体によって、貯留箱に貯留された遊技球の仮想画像と、撮影した遊技場の実画像とを合成した合成画像を表示するための標識情報を表示することを特徴とする。
本発明によれば、遊技場に実際に貯留箱をディスプレイしなくても、合成画像でその場にディスプレイされているような光景を見ることが可能になる。このため、各台計数システムの遊技機や封入球式遊技機しか設置されていなくても、遊技場の雰囲気を盛り上げることができる。
特に、標識情報をデジタル表示する場合には、持球数の変化に応じてリアルタイムでの制御が可能である。また、標識情報を情報表示媒体でアナログ表示する場合には、店員が情報表示媒体を交換するだけで持球数に応じた適切な仮想画像を表示することができる。
以下、本発明の具体的内容について説明する。
まず、本発明で用いられる拡張現実(AR:Augmented Reality)技術について説明する。AR技術とは、情報端末で仮想画像を表示するためのARマーカ(標識情報)を読み取ることで、読み取った情報端末の画面上において、仮想画像と実画像とを合成した合成画像(拡張現実画像)を表示する技術である。
図5は、本発明の実施の形態のARマーカについて説明する図である。
ARマーカは、図5(A)に示すように正方形の黒枠で囲われた中に仮想画像を表示するため標識情報領域が設けられているものである。
情報端末は、まず、ARマーカの黒枠(図5(A))により画像表示位置を検出する。そして、図5(B)に示すように標識情報領域を抽出し、図5(C)に示すように標識情報領域を解像度に応じて分割する。分割した領域の白黒比率を数値化することで表示する仮想画像が特定される。
〔ARマーカ:遊技機にて表示されるパターン〕
図6は、本発明の実施の形態において遊技機にてARマーカを表示する場合の仮想画像制御について説明する図である。
図6(A)は、仮想画像制御のブロック図である。
遊技機1にはARマーカ(標識情報)100aの表示を行う表示手段(情報制御手段)100が備えられる。
携帯端末装置(情報端末)810には仮想画像制御手段800が備えられる。仮想画像制御手段800は、遊技機1(すなわち実画像801a)を撮影する撮影手段801と、遊技機1に表示されたARマーカ100aを検出する検出手段802と、前述のように検出したARマーカ100aに応じて仮想画像803aを生成する仮想画像生成手段803と、撮影した実画像801aと仮想画像803aとを合成した合成画像(拡張現実画像)804aを生成する画像合成手段804と、携帯端末装置810に合成画像804aを表示画像として表示する拡張現実画像表示手段805と、を含む。
図6(B)は、仮想画像制御手段800を有する携帯端末装置810の一例である。
ここで、携帯端末装置810はスマートフォン(携帯電話)である。スマートフォン810には、ARマーカ100aと対応する仮想画像803a及び合成画像804aの生成、表示が可能なアプリケーションが内蔵されている。スマートフォン810は、遊技機1に表示されるARマーカ100aを検出する。
なお、携帯端末装置810は、前述のようなアプリケーションが内蔵されていればスマートフォンに限らない。専用のメガネ型装置などでもよい。
図7は、本発明の実施の形態において遊技機にてARマーカを表示する場合の仮想画像表示の一例である。
図7(A)は、仮想画像制御を実行したときの様子を表した一例である。
遊技機1の表示装置48にARマーカ100aが表示される。そして、スマートフォン810によって遊技機1の前面側の画像801aが撮影され、表示装置48に表示されるARマーカ100aが読み取られる。このときARマーカ100aに対応する仮想画像803aは「激熱!!」である。スマートフォン810の表示画面には、撮影した実画像801aのARマーカ100aが仮想画像803aに置き換えられた合成画像804a、すなわち遊技機1の表示装置48の手前に「激熱!!」という言葉が映し出されている画像が表示される。
図7(B)及び図7(C)は、その他の仮想画像例である。図7(B)の仮想画像803aは、文字ではなく遊技球が貯められる貯留箱である。図7(C)の仮想画像803aは、キャラクタである。
このように、遊技機1の画面上にARマーカ100aが表示される場合は、当該遊技機1の遊技状態に対応した仮想画像803aを遊技者に見せることが可能である。
〔ARマーカ:外部遊技設備にて表示されるパターン〕
図8は、本発明の実施の形態において外部の遊技設備にてARマーカを表示する場合の仮想画像制御について説明する図である。なお、前述の図6と同様の説明は省略する。
図8(A)は、仮想画像制御のブロック図である。
ここでは、遊技機1の外部の遊技設備110にはARマーカ100aの表示を行う表示手段100が備えられる。そして、携帯端末装置810には仮想画像制御手段800が備えられ、仮想画像制御手段800の検出手段802は、外部の遊技設備110に表示されたARマーカ100aを検出する。
図8(B)は、仮想画像制御手段を有する携帯端末装置の一例である。
携帯端末装置810の一例であるスマートフォンは、遊技機1の周辺設備110に表示されるARマーカ100aを検出する。
図9は、本発明の実施の形態において外部の遊技設備にてARマーカを表示する場合のARマーカ表示の一例である。
図9(A)は、ARマーカを表示する外部の遊技設備を説明する図である。
ここでは、ARマーカ100aを表示する外部の遊技設備110として、遊技機1の左側にARマーカ100aが表示されたPOP(情報表示媒体)110が配置される。POP110は、遊技盤10に対して垂直方向にARマーカ100aが表示された面が向くように設けられる。
図9(B)は、ARマーカのパターンを示すテーブルである。
ARマーカ100aのパターンは3種類あり、それぞれに仮想画像803aが定義されている。この場合は、仮想画像803aとして出玉データに応じた貯留箱の画像が定義される。ここでは、ARマーカ100aの各パターンにより出玉(データ)の多さを貯留箱によって表している。そして、ARマーカ100aが表示されたPOP110は、遊技店の店員が対象の遊技機1の出玉データを確認して、店員によって対応するパターンのARマーカ100aが表示されたPOP110に差し替えられる。このように、店員がPOP110を交換するだけで出玉に応じた適切な仮想画像803aを表示することができる。
図9(C)は、ARマーカの別パターンである。
ARマーカ100aが表示されたPOP110は、出玉数表示を兼ねている。これにより、遊技者及び対象の遊技機1で遊技していない遊技者(通路を歩行中など周囲の遊技客)は、当該遊技機1の出玉状況を視認しやすくなるので、宣伝効果が得られる。
なお、POP110の配置は、図9(A)で示したような位置に限らない。POPは、対象となる遊技機1の床面や椅子の背もたれの裏面などに配置してもよい。また、POP110は、遊技店の店員によって手動で差し替えられるものではなく、遊技機1から外部に出力される遊技情報(出玉情報)に応じて出玉数及び対応するパターンのARマーカ100aを表示する表示器でもよい。持球数の変化などに応じてリアルタイムでの制御が可能である。
このように、ARマーカ100aを遊技機1の外部の遊技設備110で表示する場合には、遊技機1から外部に出力される遊技情報に応じて当該遊技機1と出玉数を関連させた出玉アピール演出が可能である。
図10は、本発明の実施の形態において外部の遊技設備にてARマーカを表示する場合の仮想画像表示の一例である。
前述の図9(A)の状態を図中の携帯端末装置810の位置から撮影し、図中の2台の遊技機1のARマーカ100aを検出する場合に生成される合成画像804aは、遊技者が保持する持球数に応じて遊技場に貯留箱が積み上げられている画像となる。そして、この場合の合成画像804aは、実画像801aに仮想画像803aを追加した画像であり、ARマーカ100aは合成画像804aにおいても表示される。
このように、ARマーカ100aに遊技者が保持する持球数の情報(出玉データ)を含め、その持球数を貯留箱に貯留した状態を仮想画像803aとする。そして、仮想画像803aが実画像801aに合成され、あたかも遊技場に球積みしているかのような合成画像804aが生成される。これにより、遊技者及び周囲の遊技者は、実際に遊技場に貯留箱が積まれていなくても積まれているような光景を見ることが可能である。そして、遊技者及び周囲の遊技客は遊技機1の出玉量を実感することができ、遊技場の雰囲気を盛り上げることができる。
〔ARマーカ:外部遊技設備にて表示、遊技機特定に用いられるパターン〕
図11は、本発明の実施の形態においてARマーカによって遊技機を特定し、対応する出玉データをネットワークを介して情報端末に送信する場合の仮想画像制御について説明する図である。
図11(A)は、仮想画像制御のブロック図である。図11(B)は、図11(A)の仮想画像制御におけるデータ通信を図式化した図である。
ここでは、遊技機1以外の外部の遊技設備110にARマーカ100aの表示を行う表示手段100が備えられるが、ARマーカ100aは対応する遊技機1を特定するためのものである。このため、前述のように遊技状況に応じてARマーカ100aが変化することはない。
そして、携帯端末装置(情報端末)810には仮想画像制御手段800のうち、実画像801aを撮影する撮影手段801と、ARマーカ100aを検出する検出手段802aと、撮影した実画像801aと仮想画像803aとを合成して合成画像804aを生成する画像合成手段804と、携帯端末装置810に合成画像804aを表示する拡張現実画像表示手段805と、を含む。
また、遊技機1は、遊技情報を外部サーバ820に送信する送信手段101を有する。
ここでは、仮想画像生成手段803は、携帯端末装置810ではなく外部サーバ820に設けられる。外部サーバ820は、遊技情報を受信する受信手段821と、仮想画像生成手段803と、を含む。
仮想画像制御手段800において外部サーバ820は、遊技機1から送信される遊技情報を受信し、遊技情報に応じて仮想画像803aを生成する。一方、携帯端末装置810は、遊技機1の外部の遊技設備110に表示されたARマーカ100aを検出し、その検出情報を外部サーバ820の仮想画像生成手段803に送信する。このときARマーカ100aによって遊技機1が特定されるので、外部サーバ820は、多くの遊技機1から送信された遊技情報のうち特定された遊技機1の仮想画像データ803aを携帯端末装置810に送信する。そして、携帯端末装置810では、撮影した遊技機1の実画像801aと、外部サーバ820から受信した対応する遊技機1の仮想画像803aとを合成して合成画像804aを生成する。
なお、遊技機1は、遊技情報を直接仮想画像制御手段800に送信するとは限らず、ガードサンドや呼び出しランプなどホール設備を経由して送信してもよい。また、携帯端末装置810は、外部サーバ820に設けた仮想画像生成手段803から対応する画像データ803aを受信するとしたが、これに限らない。携帯端末装置810は、仮想画像生成手段803を有し、予めアプリ内に設定された複数の画像データから遊技情報に応じた仮想画像803aを選んでもよい。
続いて、図12から図14を参照して、前述の図11の仮想画像制御について具体的な処理を説明する。
〔遊技情報送信処理〕
図12は、本発明の実施の形態の遊技情報送信処理の手順を示すフローチャートである。
まず、遊技制御装置500は、遊技情報送信タイミングか否かを判定する(S1201、S1202)。送信タイミングは、SPリーチ発生時や大当り終了時としてもよいし、定期的に送信するようにしてもよい。
遊技制御装置500は、遊技情報を送信する送信タイミングでない場合には(S1202の結果が「N」)、遊技情報送信処理を終了する。
また、遊技制御装置500は、送信タイミングである場合には(S1202の結果が「Y」)、変動表示ゲーム情報をRWMの所定領域に設定する(S1203)。次に、持球情報をRWMの所定領域に設定する(S1204)。そして、設定された情報を送信する(S1205)。なお、送信タイミングがSPリーチ発生時の場合に変動表示ゲーム情報を送信し、大当り終了時の場合に持球情報を送信するようにしてもよい。
〔仮想画像生成処理〕
図13は、本発明の実施の形態の仮想画像生成処理の手順を示すフローチャートである。ここでは、図11に示すとおり外部サーバ820のサーバ制御装置が仮想画像生成処理を実行する。
まず、サーバ制御装置820は、遊技制御装置500から送信された遊技情報を受信したか否かを判定する(S1301、S1302)。
サーバ制御装置820は、遊技情報を受信していない場合には(S1302の結果が「N」)、仮想画像生成処理を終了する。
また、サーバ制御装置820は、遊技情報を受信している場合には(S1302の結果が「Y」)、受信した変動表示ゲーム情報から表示すべき仮想画像を判定する(S1303)。次に、今回表示する仮想画像は持球情報に対応する仮想画像であるか否かを判定する(S1304)。
そして、サーバ制御装置820は、今回表示する仮想画像が持球情報に対応する仮想画像である場合には(S1304の結果が「Y」)、持球情報に対応する仮想画像データ803aを生成する(S1305)。
一方、サーバ制御装置820は、今回表示する仮想画像が持球情報に対応する仮想画像でない場合には(S1304の結果が「N」)、変動表示ゲーム情報に対応する仮想画像データ803aを生成する(S1306)。
最後に、サーバ制御装置820は、前述のS1305又はS1306において生成した仮想画像データ803aを携帯端末装置810の画像合成手段804に送信して(S1307)、仮想画像生成処理を終了する。
〔合成画像生成処理〕
図14は、本発明の実施の形態の合成画像生成処理の手順を示すフローチャートである。ここでは、図11に示すとおり携帯端末装置810の端末制御装置が合成画像生成処理を実行する。
まず、端末制御装置810は、サーバ制御装置820から仮想画像データ803aを受信したか否かを判定する(S1401、S1402)。受信の確認は、所定の領域に仮想画像データ803aが記憶されているか否かを確認する。
端末制御装置810は、仮想画像データ803aを受信していない場合には(S1402の結果が「N」)、合成画像生成処理を終了する。
また、端末制御装置810は、仮想画像データ803aを受信した場合には(S1402の結果が「Y」)、検出手段802によってARマーカ100aを検出したか否かを判定する(S1403、S1404)。
そして、端末制御装置810は、マーカ検出をしていない場合には(S1404の結果が「N」)、合成画像生成処理を終了する。
また、端末制御装置810は、マーカ検出を行った場合には(S1404の結果が「Y」)、撮影手段801によって撮影された遊技機1の実画像データ801aを準備する(S1405)。次に、受信した仮想画像データ803aと実画像データ801aとを合成して拡張現実画像データ804aを生成する(S1406)。そして、拡張現実画像804aが表示手段805によって表示されるように設定して(S1407)、合成画像生成処理を終了する。
このように図12〜図14の制御処理が実行されることにより、携帯端末装置810のカメラで撮影される映像801aに仮想画像803aが現れる(表示される)のである。
なお、前述の制御処理は、図11に対応させて、遊技情報送信処理(図12)は遊技機1で実行され、仮想画像生成処理(図13)は外部サーバ820で実行され、合成画像生成処理(図14)は携帯端末装置810で実行されるが、これに限らない。例えば、携帯端末装置810が仮想画像生成手段803を有する場合は、仮想画像生成処理は携帯端末装置810で実行される。また、携帯端末装置810のアプリ内に予め画像データが保存されている場合には、仮想画像生成処理(図13)において、遊技情報に対応する仮想画像データ803aが準備される。そして、合成画像生成処理(図14)の仮想画像データ受信判定(S1401、S1402)では、アプリ内のデータ保存場所を参照して仮想画像データ803aが準備されているか否かを判定する。
図15は、本発明の実施の形態において外部の遊技設備にてARマーカを表示する場合のARマーカ表示の一例である。
図15(A)は、ARマーカ表示の一例である。
ARマーカ100aは、遊技機1の正面に備えられ当該遊技機1を遊技する遊技者が着席する椅子(周辺設備)110の背もたれに表示される。ARマーカ100aは、椅子110の背もたれに掛けられたカバー等に設けられる。そしてARマーカ100aの表示により、対応する遊技機1が特定される。
具体的には、65番台の遊技機には「AR1」のマーカ表示、66番台の遊技機には「AR2」のマーカ表示、67番台の遊技機には「AR3」のマーカ表示が対応付けられている。
なお、ARマーカ100aは、呼び出しランプ部にAR表示器を設けて、当該AR表示器において表示されるようにしてもよい。
遊技者は、遊技店独自のWiFi(Wireless Fidelity)に携帯端末装置810を接続する。これにより携帯端末装置810と店内サーバ(外部サーバ)820とが無線で相互接続可能になるので、携帯端末装置810でARマーカ100aを読み取ることで、対応する遊技機1の持球データを取得することができる。
なお、携帯端末装置810のアプリケーションにおいて、遊技店の登録データがあるサーバを指定したり、遊技店専用にカスタマイズしたりして、遊技者が遊技する遊技機と持球データとを対応可能にしてもよい。
図15(B)は、店内サーバデータのテーブルである。
店内サーバでは、ARマーカ表示(番号)に対応して、対応する遊技機と、該遊技機における持球データが記憶されている。なお、持球データは、該遊技機の遊技に使用される会員カードに対応した持球データでもよい。
そして、前述の仮想画像生成処理(図13)のS1305の処理において、持球データ(持球情報)に対応する仮想画像データ803aが生成される。
〔仮想画像決定〕
図16は、本発明の実施の形態において貯留箱の仮想画像を表示する場合の画像内容を決定する条件テーブルの一例である。ここでは遊技機A及び遊技機Bの仮想画像について、どのように表示内容を決定するかを説明する。
図16(A)は、遊技機A及び遊技機Bの仕様を示すテーブルである。
上段は遊技機Aの仕様である。大当り確率は、確率状態が低確率状態のときは300分の1であり、確率状態が高確率状態のときは30分の1である。そして、大当りとなるときの出玉は、1500発である。
下段は遊技機Bの仕様である。大当り確率は、確率状態が低確率状態のときは100分の1であり、確率状態が高確率状態のときは10分の1である。そして、大当りとなるときの出玉は、95%の確率で500発であり、5%の確率で1500発である。
図16(B)は、仮想画像決定テーブルである。
遊技機Aの持球は持球数2000発で満杯となる貯留箱で表され、遊技機Bの持球は持球数1000発で満杯となる貯留箱で表される。このため、遊技機Aは1回の大当りで貯留箱の75%が貯まり、遊技機Bは1回の大当りでほとんどの場合貯留箱の50%が貯まる表示となる。
ここで、遊技機A及び遊技機Bによる出玉を同じサイズの貯留箱で表すと、1回の大当りにおける貯留箱の数は、ほとんどの場合において遊技機Aが遊技機Bの3倍となる。しかし、遊技機Aは遊技機Bに比べて大当りになったときの出玉数は多いが大当りになる確率が低いので、大当りになって出玉を獲得するまでに遊技機Bよりも多くの遊技球を使用している可能性が高い。
そこで、遊技機の仕様に応じて貯留箱のサイズを変える。これにより、大当り確率を考慮した、すなわち大当りになるまでに打った遊技球数と大当りの結果遊技者が獲得する遊技球数(持球数)との割合を考慮した貯留箱数が表示されるので、遊技者は遊技機の仕様に応じた出玉価値を感じ取ることができる。
〔ARマーカ:遊技機の一括表示装置にて表示されるパターン〕
図17は、本発明の実施の形態において一括表示装置にてARマーカを表示する場合について説明する図である。
図17(A)は、遊技機1の一括表示装置50の詳細である。
一括表示装置50は、7セグメント型の表示器(LEDランプ)等で構成された変動表示ゲーム用の第1特図変動表示部(特図1表示器)51及び第2特図変動表示部(特図2表示器)52と、普図変動表示ゲーム用の変動表示部(普図表示器)53と、同じくLEDランプで構成された各変動表示ゲームの始動記憶数報知用の記憶表示部(特図1記憶表示器54、特図2記憶表示器55、普図記憶表示器56)を備える。
また、一括表示装置50には、大当りが発生すると点灯して大当り発生を報知する第1遊技状態表示部(第1遊技状態表示器)57、時短状態が発生すると点灯して時短状態発生を報知する第2遊技状態表示部(第2遊技状態表示器)58、遊技機1の電源投入時に大当りの確率状態が高確率状態となっているエラーを表示するエラー表示器59、大当り時のラウンド数(特別変動入賞装置42の開閉回数)を表示するラウンド表示部60が設けられている。
特図1表示器51又は特図2表示器52における特図変動表示ゲームは、変動表示ゲームの実行中、すなわち、表示装置48において飾り特図変動表示ゲームを行っている間は、7セグメント型の表示器のセグメントを点滅させることによって、識別情報(特別図柄)を所定時間ごとに切り替える変動表示を行う。
そして、識別情報の変動表示の開始時点で決定されている変動時間が経過すると、変動表示ゲームの結果に対応する識別情報で変動表示を停止して、特図1表示器51又は特図2表示器52における特図変動表示ゲームを終了する。
本発明の実施の形態では、特図1表示器51又は特図2表示器52は、ARマーカ100aを表示するAR表示器として使用されてもよい。
図17(B)は、特図1表示器51又は特図2表示器52をAR表示器として使用する場合の使用例である。
この場合、特図1表示器51又は特図2表示器52の7セグメント型のLEDランプ周囲は、正方形の黒枠で囲われる。そして、黒枠内の7セグメントによってARマーカ100aの標識情報が表示される。ここでは、大当りとなった場合に7セグメントのうち3本のセグメントを使って、図中に示すようなARマーカ100aが表示される。当該ARマーカ100aに対応する仮想画像803aは、白帯に「確変!」というメッセージが入った画像である。遊技者が携帯端末装置810で特図1表示器51を撮影すると、携帯端末装置810の画面には、実画像801aの標識情報表示部分の手前に「確変!」というメッセージが表示されるように仮想画像803aを合成した合成画像804aが表示される。これにより、特図1表示器51を撮影した遊技者のみ大当り終了後の遊技状態が確変状態となることを知ることができる。
本発明の実施の形態では、仮想画像(遊技状態の報知)803aに対応するARマーカ100aを撮影するアプリケーションを使用した遊技者だけが、遊技状態を知ることができるが、当該アプリケーションは遊技店が遊技店の会員だけに配布するようなアプリでもよい。
〔ARマーカ:仮想画像で遊技方法を説明するパターン〕
図18は、本発明の実施の形態においてARマーカによって遊技方法を説明する場合について説明する図である。
遊技機1が客待ち状態であり、遊技盤10の表示装置48に客待ちデモ画面が表示される。このとき表示装置48にはARマーカ100aも表示される。そして、遊技者がARマーカ100aを取り込むと、撮影した遊技機画像801aに仮想画像803aとして矢印と吹き出しが浮かび上がり、吹き出しの中に遊技を開始する手順が表示される。
具体的には、まず、遊技機1の上部に「遊技方法」と表示される。次に、遊技機1の左側部に設置されるカードユニット6の紙幣挿入口63に矢印が向けられ、吹き出しの中には「STEP1 ここにお金を入れて下さい」と表示される。また、遊技機1の中央付近に設けられる球貸ボタン26に矢印が向けられ、吹き出しの中には「STEP2 ここを押して下さい」と表示される。そして、遊技機1の右下に設けられる打球発射装置の操作部24に矢印が向けられ、吹き出しの中には「STEP3 右に回して下さい」と表示される。
このようにすれば、遊技の開始方法がわからない遊技者であっても、始めにお金を投入して、投入したお金で遊技球を借り、操作部24を右に回して借りた遊技球を遊技盤10に打ち出すことが容易にできる。
なお、本発明の実施の形態では、具体的に操作する場所に矢印を向けて操作方法を表示したが、サンドの位置は遊技機本体と対応付けられない場合もあるので、明確に現金の投入場所を示さなくてもよい。
また、客待ち時に表示装置48にARマーカ100aを表示して、マーカの検出により遊技方法を仮想画像803aとして表示する他にも、エラー発生時に表示装置48にARマーカ100aを表示して、マーカの検出によりエラー発生箇所の矢印やエラー内容を仮想画像803aとして表示してもよい。
〔画面遷移:ARマーカを予告演出に用いる場合〕
図19は、本発明の実施の形態においてARマーカを予告演出に用いる場合の画面遷移の一例である。
図19(A)は、変動表示ゲームが実行され、表示装置48の画面中央で識別情報が変動している画面表示である。
図19(B)は、変動していた識別情報が停止したときの画面表示である。左側は7の数字でぞろ目になった状態で、右側は6の数字でぞろ目になった状態である。このとき両者は大当りとなり、7ラウンドの特別遊技状態が発生する。
図19(C)は、予告画面表示である。画面左下に停止状態の識別情報が表示され、画面右上にはラウンド数が表示され、画面中央にARマーカ100aが表示される。そして識別情報が7でぞろ目になった場合(左側の画面)には、ARマーカ100aの上に「おめでとう!」とメッセージが表示される。また、識別情報が6でぞろ目になった場合(右側の画面)には、ARマーカ100aの上に「知りたい人はどうぞ」とメッセージが表示される。
図20は、本発明の実施の形態においてARマーカを予告演出に用いる場合の拡張現実画像の一例である。
図20(A)は、前述の図19(C)の左側の画面表示(識別情報が7でぞろ目)に対応する画面表示である。このとき遊技者が表示装置48を撮影し、ARマーカ100aを検出すると、遊技者が所持する携帯端末装置810の画面には、表示装置48のARマーカ100aが表示されていた位置に仮想画像803aとして寅の顔の役物の画像(キャラクタ画像)が表示される。
ここで、仮想画像803aは、キャラクタ画像のみならずARマーカ100aの黒枠外に該当する背景画像を有している。したがって、遊技者が表示装置48の画面全体を撮影しても、携帯端末装置810の表示画像(合成画像)804aに残る実画像801aは、仮想画像803aの表示位置を特定するARマーカ100aの黒枠の一部のみである。表示装置48の画面においてARマーカ100aの上に表示される「おめでとう!」のメッセージ、画面右上に表示されるラウンド数、及び画面左下に表示される識別情報の表示は、仮想画像803aの背景画像によって非表示にされることになる。
また、仮想画像803aはキャラクタ画像と背景画像を有し、丸々実画像801aと置き換えられてもよい。この場合、遊技者が表示装置48を撮影すると、携帯端末装置810の表示画像(合成画像)804aに実画像801aは残らない。実画像801aのARマーカ100aの位置にキャラクタ画像が表示されるよう仮想画像803aが表示される。キャラクタ画像の周りには、ARマーカ100aの置き換えであることがわかるようにARマーカ100aの黒枠が表示される。
このため、遊技者は、携帯端末装置810の画面表示において寅の顔の役物の画像を視認しやすい。寅の顔の役物は、実際に遊技機1に設けられ可動制御されるものであるが、通常は表示装置48の画面前方まで可動できない。ここでは、その役物が可動したかのように、仮想画像803aとして役物の画像が表示される。これにより、遊技者に特別な祝福だと思わせることができる。
図20(B)は、前述の図19(C)の右側の画面表示(識別情報が6でぞろ目)に対応する画面表示である。このとき遊技者が表示装置48を撮影し、ARマーカ100aを検出すると、遊技者が所持する携帯端末装置810の画面には、表示装置48のARマーカ100aが表示されていた位置に仮想画像803aとして「残念!確変ではありません。」とメッセージ画像が表示される。ここで仮想画像803aは、図20(A)と同様に、メッセージ画像のみならず背景画像を有する。
本発明の実施の形態では、大当り終了後は確率状態が高確率か低確率かがわからない曖昧モードになるが、その後最終的には確率状態が報知される仕様となっている(ただし、7のぞろ目での大当り終了後は必ず高確率状態となる)。このため、確率状態を知りたい遊技者はARマーカ100aを検出することで早めに知ることができる。このように、遊技者の意思に基づいて確率状態の報知タイミングを選択することができるので、遊技の興趣が向上する。
なお、前述では仮想画像803aがキャラクタ画像又はメッセージ画像のみならず背景画像を有する。そして、実画像801aの前面に仮想画像803aを表示することで、合成画像804aにおいて表示装置48に表示されている情報(メッセージ、ラウンド数、識別情報)が非表示にされているが、これに限らない。仮想画像803aの背景画像により非表示にするのではなく、合成画像804aを生成する後述の合成画像生成処理(図28)において実画像801aの情報を非表示にする処理を施してもよい。また、仮想画像803aはキャラクタ画像又はメッセージ画像のみで、表示装置48に表示されている情報も合成画像804aに表示するようにしてもよい。
合成画像804aは、実画像801aの一部を仮想画像803aに置き換えた画像、実画像801aの前面に仮想画像803aを表示した画像、これらの画像に表示処理を施した画像及び実画像801aを丸々仮想画像803aに置き換えた画像のいずれでもよい。
以上のように、予告演出においてARマーカ100aを利用することで、遊技者が所持する携帯端末装置810の画面には、表示装置48で実際に表示されている実画像801aと仮想画像803aとが合成された合成画像804aが表示されることとなる。実画像801aを丸々仮想画像803aに置き換えて合成画像804aとする場合であっても、仮想画像803aは表示装置48における画面表示(実画像801a)に似せており遊技画面の一部となる画像である。このため本発明の実施の形態の予告演出は、従来のような二次元コードの取り込みによる変動表示ゲームの結果態様に係るメッセージのみが表示されるものよりも現実味を帯び、説得力がある予告演出になる。
図21は、本発明の実施の形態においてARマーカを識別情報に用いる場合の表示装置の画面表示の一例である。
図21(A)は、特図変動表示ゲーム実行中において3つの識別情報が変動中の画面表示である。
図21(B)は、変動中の3つの識別情報のうち、真ん中の識別情報にARマーカ100aが変動表示される場合の画面表示である。この場合、遊技者はARマーカ100aを読み取ることで真ん中の識別情報の最終停止態様(数字)を知ることができる。このときの仮想画像803aは、真ん中の識別情報の停止画像のみでもよいし、対応する識別情報が停止した状態の画像が含まれていれば3つの識別情報を対象としてもよい。また、通常の識別情報(数字)とARマーカ100aを組み合わせた(両方を表示する)識別情報を変動表示させるものでもよい。
このように合成画像804aにおいて、遊技機1では変動中の識別情報の停止態様を報知することで、遊技者に特別感を与えることができる。さらに、3つの識別情報の停止態様を報知することで、遊技機1の特図変動表示ゲームの結果が導出されたかのような演出を行うことが可能である。
図22は、本発明の実施の形態においてARマーカの表示位置を制御する場合の表示装置の画面遷移の一例である。
図22(A)は、特図変動表示ゲーム実行中において3つの識別情報が変動中の画面表示である。識別情報は画面中央に表示され、画面右上にARマーカ100aが表示されている。そして、表示装置48の右側には遊技の進行に応じて作動するキャラクタ(寅の顔)の可動役物(演出用可動装置)120が配置されている。ここでは、遊技者はARマーカ100aを読み取ることで、実行中の特図変動表示ゲームの結果が大当りとなる可能性の信頼度を知ることができる。このときの仮想画像803aは、可動役物120からオーラが出ているかのように可動役物120の周りを色や光で際立たせる画像であり、役物演出の補助演出の役割を担う。
図22(B)は、可動役物120の演出(可動)が始まり、可動役物120が表示装置48の画面前方に可動しているときの画面表示である。このとき識別情報は可動役物120が可動しても遊技者が視認できるように画面左下に小さく表示される。ここで、仮想画像803aはARマーカ100aに対応する位置に表示される。そして、仮想画像803aは可動役物120の周囲に表示する必要があることから、可動役物120の可動に伴ってARマーカ100aの表示位置も移動する(変更する)。図に示すように可動役物120が左に動く場合には、ARマーカ100aも同様に左に動く。ARマーカ100aの移動に関する情報は、遊技制御装置500によって前述の遊技情報送信処理(図12)で設定され、演出制御装置550に送信される。
このように、可動役物120に対応するARマーカ100aを設ければ、可動役物120に関連した合成画像804aを表示することが可能である。別途表示装置やLED等を設けることなく可動役物120の移動軌跡に合わせて補助演出を実行することができるので、効果的な演出を実行することができる。
以下、図23以降を参照して、ARマーカ100aを先読み予告に用いる場合について説明する。
〔メイン処理(遊技制御装置)〕
まず、遊技制御装置500による制御のうちメイン処理について説明する。図23Aは、本発明の実施の形態の遊技制御装置によって実行されるメイン処理の前半部のフローチャートである。図23Bは、本発明の実施の形態の遊技制御装置によって実行されるメイン処理の後半部のフローチャートである。
メイン処理は、遊技機1の電源投入時に実行される。例えば、遊技場で営業を開始するために遊技機の電源を投入する場合や停電から復帰した場合に実行される。
遊技制御装置500は、メイン処理の実行が開始されると、まず、割込み禁止する(S2301)。次いで、割込みが発生した場合に実行されるジャンプ先を示すベクタアドレスを設定する割込みベクタ設定処理を実行する(S2302)。さらに、割込みが発生したときにレジスタ等の値を退避する領域の先頭アドレスであるスタックポインタを設定する(S2303)。さらに、割込み処理のモードを設定する(S2304)。
次に、遊技制御装置500は、払出制御装置(払出基板)580のプログラムが正常に起動するまで待機する(S2305)。例えば、4ミリ秒間待機する。このように制御することによって、電源投入の際に、遊技制御装置500が先に起動してしまい、払出制御装置580の起動が完了する前に、コマンドを当該払出制御装置580に送信してしまい、払出制御装置580が送信されたコマンドを取りこぼすのを回避することができる。
その後、遊技制御装置500は、RAMやEEPROM等の読出し書込み可能なRWM(リードライトメモリ)に対するアクセスを許可する(S2306)。さらに、全出力ポートをオフ(出力が無い状態)に設定する(S2307)。また、遊技用マイコン511に予め搭載されているシリアルポートを使用しない状態に設定する(S2308)。本実施形態では、払出制御装置580や演出制御装置550とパラレル通信を行っているため、シリアルポートを使用しないためである。
続いて、遊技制御装置500は、電源装置300内の初期化スイッチ信号がオンに設定されているか否か判定する(S2309)。初期化スイッチ信号は、遊技機1に電源が投入された場合に、初期化された状態で遊技を開始するか否かを設定するための信号である。例えば、閉店時などに正常に電源が切断され、翌日の開店時に電源が投入された場合には、初期化された状態で遊技が開始されるように、初期化スイッチ信号がオンに設定される。一方、停電発生後に再度電源が投入された場合には、遊技を可能な限り停電前の遊技状態に近い状態で再開するために、遊技機が初期化されないように、初期化スイッチ信号がオフに設定される。
遊技制御装置500は、初期化スイッチ信号がオフに設定されている場合には(S2309の結果が「N」)、RWM内の停電検査領域のデータが正常であるか否かをチェックする(S2310〜S2313)。さらに詳しく説明すると、停電検査領域には、停電検査領域1及び停電検査領域2が含まれている。そして、停電検査領域1には停電検査領域チェックデータ1、停電検査領域2には停電検査領域チェックデータ2が記憶される。S2310及びS2311の処理では停電検査領域1に記憶された停電検査領域チェックデータ1が正常であるか否かをチェックする。同様に、S2312及びS2313の処理では停電検査領域2に記憶された停電検査領域チェックデータ2が正常であるか否かをチェックする。
遊技制御装置500は、RWM内の停電検査領域の停電検査領域チェックデータが正常であると判定された場合には(S2313の結果が「Y」)、チェックサムと呼ばれる検証用データを算出するチェックサム算出処理を実行する(S2314)。
そして、遊技制御装置500は、チェックサム算出処理で算出されたチェックサムの値と、電源切断時に算出されたチェックサムの値とを比較し(S2315)、これらの値が一致するか否かを判定する(S2316)。
一方、遊技制御装置500は、初期化スイッチ信号がオンに設定されている場合(S2309の結果が「Y」)、停電検査領域の値が正常でない場合(S2311又はS2313の結果が「N」)、電源切断時のチェックサムの値とS2314の処理で算出されたチェックサムの値とが一致しない場合には(S2316の結果が「N」)、図23BのS2341〜S2345の初期化処理を実行する。初期化処理の詳細については後述する。
遊技制御装置500は、算出されたチェックサムの値と電源切断時のチェックサムの値とが一致する場合には(S2316の結果が「Y」)、停電処理が正常に実行されたため、停電前の状態に復旧させるための処理を実行する(図23BのS2317〜S2323)。まず、停電時の情報が正常に記憶されていたか否かを判定するための情報が記憶されていた、RWM(リードライトメモリ:実施例ではRAM)内の領域をクリア(初期化)する。具体的には、すべての停電検査領域をクリアし(S2317)、チェックサムが記憶されていた領域をクリアする(S2318)。さらに、エラー関連の情報、及び不正行為を監視するための情報を記憶する領域をリセットする(S2319)。
次に、遊技制御装置500は、RWM内の遊技状態を記憶する領域から停電発生時の遊技状態が高確率状態であったか否かを判定する(S2320)。高確率でないと判定された場合には(S2320の結果が「N」)、S2323以降の処理を実行する。
また、遊技制御装置500は、停電発生時の遊技状態が高確率状態であったと判定された場合には(S2320の結果が「Y」)、高確率報知フラグをオンに設定して高確率報知フラグ領域にセーブ(保存)する(S2321)。続いて、一括表示装置50に設けられる高確率報知LED(エラー表示器59)をオン(点灯)に設定する(S2322)。
さらに、遊技制御装置500は、特図ゲーム処理番号に対応する停電復旧時のコマンドを演出制御装置550に送信する(S2323)。特図ゲーム処理番号は、特図ゲームの状態を示す番号であり、停電発生時にRWMの所定の領域に記憶されている。このように、特図ゲーム処理番号に対応する停電復旧時のコマンドを演出制御装置550に送信することによって、可能な限り停電発生前に近い状態で遊技を再開することができるのである。
ここで、初期化処理を実行する場合について説明する。前述のように、初期化処理は、正常に電源が切断された遊技機を起動する場合や停電発生前の状態に復帰できない場合に実行される。
遊技制御装置500は、初期化処理において、まず、アクセス禁止領域よりも前の全作業領域をクリアする(S2341)。さらに、アクセス禁止領域よりも後の全スタック領域をクリアする(S2342)。そして、初期化すべき領域に電源投入時用の初期値をセーブ(保存)する(S2343)。
続いて、遊技制御装置500は、RWMクリアに関する外部情報(セキュリティ信号)を出力する出力タイマ初期値をセキュリティ信号制御タイマ領域にセーブする(S2344)。そして、初期化処理の最後に電源投入時のコマンドを演出制御装置550に送信し(S2345)、S2324以降の処理を実行する。
遊技制御装置500は、S2323又はS2345の処理が終了すると、遊技用マイコン511(クロックジェネレータ)内のタイマ割込み信号及び乱数更新トリガ信号(CTC)を発生するCTC(Counter/Timer Circuit)回路を起動させる(S2324)。
なお、CTC回路は、遊技用マイコン511内のクロックジェネレータに設けられている。クロックジェネレータは、水晶発振器513からの発振信号(原クロック信号)を分周する分周回路と、前述したCTC回路とを備えている。タイマ割込み信号は、分周された信号に基づいてCPU511aに所定周期(例えば、4ミリ秒)のタイマ割込みを発生させるための信号である。乱数更新トリガ信号(CTC)は、分周された信号に基づいて乱数生成回路に供給され、乱数生成回路が乱数を更新するトリガとなる。
遊技制御装置500は、CTC回路を起動すると、乱数生成回路の起動設定を行う(S2325)。具体的には、CPU511aが乱数生成回路内の所定のレジスタ(CTC更新許可レジスタ)に乱数生成回路を起動させるためのコード(指定値)を設定するなどの処理を実行する。さらに、電源投入時の乱数生成回路内の所定のレジスタ(ソフト乱数レジスタ1〜n)の値を、対応する各種初期値乱数の初期値(スタート値)としてRWMの所定領域にセーブする(S2326)。その後、遊技制御装置500は、割込みを許可する(S2327)。
なお、本実施形態のCPU511a内の乱数生成回路では、電源投入毎にソフト乱数レジスタの初期値が変更されるように構成されており、ソフト乱数レジスタの初期値に基づいて各種初期値乱数の初期値(スタート値)を設定することによって、ソフトウェアで生成される乱数の規則性を崩すことが可能となり、遊技者による不正な乱数の取得を困難にすることができる。各種初期値乱数には、例えば、大当り図柄を決定する乱数(大当り図柄乱数1、大当り図柄乱数2)、普図変動表示ゲームの当りを決定する乱数(当り乱数)が含まれる。
続いて、遊技制御装置500は、各種初期値乱数の値を更新して乱数の規則性を崩すための初期値乱数更新処理を実行する(S2328)。また、本実施形態では、大当り乱数は乱数生成回路において生成される乱数を使用して生成するように構成されている。すなわち、大当り乱数はハードウェアで生成されるハード乱数であり、大当り図柄乱数、当り乱数、変動パターン乱数はソフトウェアで生成されるソフト乱数である。なお、各種乱数の発生源は前述の態様に限定されるわけではなく、大当り乱数がソフトウェア乱数であってもよいし、大当り図柄乱数、当り乱数、変動パターン乱数がハードウェア乱数であってもよい。
さらに、初期値乱数更新処理が実行された後、遊技制御装置500は、電源装置300から入力され、ポート及びデータバスを介して読み込まれる停電監視信号をチェックする回数を設定する(S2329)。チェック回数には、通常、2以上の値が設定される。停電監視信号をチェックすることによって停電が発生したか否かを判定することができる。遊技制御装置500は、停電監視信号がオンであるか否かを判定する(S2330)。停電監視信号がオンでない場合、すなわち、停電していない場合には(S2330の結果が「N」)、S2328の初期値乱数更新処理を再び実行し、S2328からS2330までの処理を繰り返し実行する(ループ処理)。
また、初期値乱数更新処理(S2328)の前に割り込みを許可(S2327)することによって、初期値乱数更新処理中にタイマ割込みが発生した場合に、割込み処理を優先して実行することが可能となる。したがって、初期値乱数更新処理の実行が完了するまでタイマ割込み処理を実行できないために、割込み処理に含まれる各種処理を実行する時間が不足してしまうことを回避できる。
なお、初期値乱数更新処理(S2328)は、メイン処理の他に、タイマ割込み処理で初期値乱数更新処理を実行してもよい。ただし、タイマ割込み処理で初期値乱数更新処理を実行する場合には、両方の処理で初期値乱数更新処理が実行されることを回避するため、メイン処理における初期値乱数更新処理の実行時に割込みを禁止し、初期値乱数を更新後に割込みを解除する必要がある。しかし、本実施形態のようにタイマ割込み処理で初期値乱数更新処理を実行せず、メイン処理でのみ初期値乱数更新処理を実行すれば、初期値乱数更新処理の前に割込みを解除しても問題が生じることはなく、さらに、メイン処理が簡素化されるという利点がある。
一方、遊技制御装置500は、停電監視信号がオンに設定されている場合には(S2330の結果が「Y」)、停電監視信号がオンに設定されていることを連続して検出した回数がS2329の処理で設定したチェック回数に到達したか否かを判定する(S2331)。停電監視信号がオンに設定されていることを連続して検出した回数がチェック回数に到達していない場合には(S2331の結果が「N」)、再度、停電監視信号がオンであるか否かを判定する(S2330)。すなわち、停電監視信号がオンである場合にはチェック回数分だけ停電監視信号がオンであるか否かを判定する。
遊技制御装置500は、停電監視信号がオンに設定されていることを連続して検出した回数がチェック回数に到達した場合には(S2331の結果が「Y」)、停電が発生したものと見なして停電発生時の処理を実行する(S2332〜S2338)。
遊技制御装置500は、割込みを禁止し(S2332)、全出力ポートをオフに設定する(S2333)。その後、停電復旧検査領域1に停電復旧検査領域チェックデータ1をセーブし(S2334)、さらに、停電復旧検査領域2に停電復旧検査領域チェックデータ2をセーブする(S2335)。
さらに、遊技制御装置500は、RWMの電源遮断時のチェックサムを算出するチェックサム算出処理を実行し(S2336)、算出されたチェックサムの値をRWMのチェックサム領域にセーブ(保存)する(S2337)。最後に、RWMの内容が変更されないように、RWMへのアクセスを禁止し(S2338)、遊技機1の電源が遮断されるまで待機する。このように、停電復旧検査領域にチェック用のデータをセーブするとともに、電源遮断時のチェックサムを算出して記憶させることで、電源の遮断の前にRWMに記憶されていた情報が正しくバックアップされているか否かを電源再投入時に判定することが可能となる。
〔タイマ割込み処理(遊技制御装置)〕
次に、タイマ割込み処理について説明する。図24は、本発明の実施の形態のタイマ割込み処理の手順を示すフローチャートである。
タイマ割込み処理は、クロックジェネレータ内のCTC回路によって生成される周期的(例えば、1ミリ秒周期)なタイマ割込み信号がCPU511aに入力されることによって開始される。
タイマ割込み処理が開始されると、遊技制御装置500は、まず、所定のレジスタに保持されている値をRWMに移すことによってレジスタを退避させる(S2401)。なお、本実施形態では遊技用マイコンとしてZ80系のマイコンを使用している。Z80系のマイコンには、表レジスタと裏レジスタが備えられており、表レジスタに保持されている値を裏レジスタに退避させることでS2401の処理を実装することが可能である。
次に、遊技制御装置500は、入力部520を介して入力される各種センサやスイッチなどからの入力信号を取り込み、各入力ポートの状態を読み込む入力処理を実行する(S2402)。各種センサには、始動口1スイッチ37d、始動口2スイッチ38d、普図のゲートスイッチ34a、カウントスイッチ42dなどが含まれる。また、入力処理では、入力信号にチャタリング除去等を行って入力情報を確定させる。
さらに、遊技制御装置500は、各種処理でセットされた遊技制御に関する出力データを、演出制御装置550及び払出制御装置580に送信するための出力処理を実行する(S2403)。出力データは、ソレノイド等のアクチュエータの駆動制御などを行うための情報であり、制御対象となるソレノイドには、例えば、大入賞口ソレノイド(SOL)42b、普電ソレノイド(SOL)38bが含まれる。また、出力処理では、遊技機における遊技データを収集する情報収集端末装置(図示せず)に遊技データを出力するも含まれる。
次に、遊技制御装置500は、各種処理で送信バッファにセットされたコマンドを演出制御装置550や払出制御装置580等に送信(出力)するコマンド送信処理を実行する(S2404)。具体的には、特図変動表示ゲームにおける識別情報の変動パターンを指定する変動パターン指定コマンド、及び停電から復旧した場合に演出制御装置550に停電復旧処理を実行させる停電復旧コマンドを演出制御装置550に送信したり、払出装置から払い出す賞球数を指定する賞球コマンドを払出制御装置580に送信したりする。
さらに、遊技制御装置500は、大当り図柄乱数1及び大当り図柄乱数2を更新する乱数更新処理1を実行し(S2405)、続いて特図変動表示ゲームにおける変動パターンを決定するための変動パターン乱数を更新する乱数更新処理2を実行する(S2406)。乱数更新処理1及び乱数更新処理2では、各種乱数にランダム性を付与するために、各種乱数に対応するカウンタ(大当り乱数カウンタ、当り乱数カウンタ、演出決定用乱数カウンタなど)の値を1ずつ加算する。
その後、遊技制御装置500は、各種入賞口スイッチなどを監視したり、枠の不正な開放などのエラーを監視したりする入賞口スイッチ/エラー監視処理が実行される(S2407)。各種入賞口スイッチには、例えば、始動口1スイッチ37d、始動口2スイッチ38d、ゲートスイッチ34a、入賞口スイッチ44a〜44n、カウントスイッチ42dが含まれる。入賞口スイッチ/エラー監視処理では、これらのスイッチから正常な信号が入力されているか否かを監視したりする。エラーの監視としては、前面枠3やガラス枠18が不正に開放されていないかなどを対象としている。
さらに、遊技制御装置500は、特図変動表示ゲームに関する処理を行う特図ゲーム処理を実行する(S2408)。なお、特図ゲーム処理の詳細については、図25にて後述する。続いて、普図変動表示ゲームに関する処理を行う普図ゲーム処理を実行する(S2409)。
次に、遊技制御装置500は、特図変動ゲームの表示や遊技に関する各種情報を表示するセグメントLEDの表示内容を制御するセグメントLED編集処理を実行する(S2410)。具体的には、特図変動表示ゲーム及び普図変動表示ゲームの結果をセグメントLED(例えば、一括表示装置50)に出力するためのパラメータを編集する。
遊技制御装置500は、磁気センサスイッチ39aや振動センサスイッチ39bからの検出信号をチェックし、異常があるか否かを判定する磁気エラー監視処理を実行する(S2411)。異常の発生を検出した場合には、スピーカー30から報知音を出力したり、遊技状態LED32を点灯させたりするなどして外部に報知する。
次に、遊技制御装置500は、外部情報端子508から出力する各種信号を編集する外部情報編集処理を実行する(S2412)。
そして、遊技制御装置500は、割込み要求をクリアして割込みの終了を宣言する(S2413)。その後、S2401の処理で一時退避されていたレジスタを復帰させ(S2414)、禁止設定されていた外部機器による割込み及びタイマ割込みを許可し(S2415)、タイマ割込み処理を終了し、メイン処理に復帰する。
〔特図ゲーム処理〕
次に、前述したタイマ割込み処理における特図ゲーム処理(S2408)の詳細について説明する。図25は、本発明の実施の形態の特図ゲーム処理の手順を示すフローチャートである。
特図ゲーム処理では、始動口1スイッチ37d及び始動口2スイッチ38dによる入力信号の監視、特図変動表示ゲームに関する処理全体の制御、特図(識別情報)の表示の設定を行う。
特図ゲーム処理が開始されると、遊技制御装置500は、まず、始動口1スイッチ37d及び始動口2スイッチ38dの入賞を監視する始動スイッチ監視処理を実行する(S2501)。
始動口スイッチ監視処理では、第1始動入賞口37、第2始動入賞口38に遊技球の入賞があると、各種乱数(大当り乱数など)の抽出を行い、当該入賞に基づく特図変動表示ゲームの開始前の段階で入賞に基づく遊技結果を事前に判定する遊技結果事前判定を行う。
次に、遊技制御装置500は、カウントスイッチ監視処理を実行する(S2502)。カウントスイッチ監視処理では、特別変動入賞装置42内に設けられたカウントスイッチ42dによって当該特別変動入賞装置42に入賞した遊技球を検出し、入賞した遊技球の数を監視する。
次に、遊技制御装置500は、特図ゲーム処理タイマが既にタイムアップしているか、又は、特図ゲーム処理タイマを更新(−1)した結果、当該特図ゲーム処理タイマがタイムアップしたか否かをチェックする(S2503)。なお、特図ゲーム処理タイマは、後述する特図ゲーム処理番号に応じて分岐させる各処理(S2509〜S2515)を実行するときに初期値がセットされ、S2503の処理で当該特図ゲーム処理タイマの値を1減じる。この初期値としてセットされる値は、当該特図ゲーム処理番号に応じた処理を終了させるまでの時間値であり、例えば、特図普段処理(S2509;特図ゲーム処理番号「0」)においてセットされる値は、特図変動表示ゲームにおいて特別図柄が変動表示されている時間値がセットされる。そして、特図ゲーム処理タイマの値が0になると、タイムアップしたと判断される。
遊技制御装置500は、特図ゲーム処理タイマがタイムアップしていない場合には(S2504の結果が「N」)、S2516以降の処理を実行する。
一方、遊技制御装置500は、特図ゲーム処理タイマがタイムアップした場合には(S2504の結果が「Y」)、特図ゲーム処理番号に対応する処理に分岐させるために参照する特図ゲームシーケンス分岐テーブルをレジスタに設定する(S2505)。さらに、当該テーブルに基づいて特図ゲーム処理番号に対応する処理の分岐先アドレスを取得する(S2506)。そして、分岐処理終了後のリターンアドレスをスタック領域に退避させ(S2507)、ゲーム処理番号に応じて処理を分岐させる(S2508)。
遊技制御装置500は、ゲーム処理番号が「0」の場合には(S2508の結果が「0」)、特図普段処理を実行する(S2509)。特図普段処理は、特図変動表示ゲームの変動開始を監視し、特図変動表示ゲームの変動開始の設定や演出の設定、特図変動中処理を実行するために必要な情報の設定等を行う。
遊技制御装置500は、ゲーム処理番号が「1」の場合には(S2508の結果が「1」)、特図変動中処理を実行する(S2510)。特図変動中処理は、特図変動表示ゲームにおける識別情報の停止表示時間の設定や、特図表示中処理を行うために必要な情報の設定等を行う。
遊技制御装置500は、ゲーム処理番号が「2」の場合には(S2508の結果が「2」)、特図表示中処理を実行する(S2511)。特図表示中処理は、特図変動表示ゲームの結果が大当りであれば、大当りの種類に応じたファンファーレコマンドの設定や、各大当りの大入賞口開放パターンに応じたファンファーレ時間を設定したり、ファンファーレ/インターバル中処理を行うために必要な情報の設定等を行ったりする。
遊技制御装置500は、ゲーム処理番号が「3」の場合には(S2508の結果が「3」)、ファンファーレ/インターバル中処理を実行する(S2512)。ファンファーレ/インターバル中処理は、大入賞口の開放時間の設定や開放回数の更新、大入賞口開放中処理を行うために必要な情報の設定等を行う。
遊技制御装置500は、ゲーム処理番号が「4」の場合には(S2508の結果が「4」)、大入賞口開放中処理を実行する(S2513)。大入賞口開放中処理は、大当りラウンドが最終ラウンドでなければインターバルコマンドを設定する一方で最終ラウンドであれば大当り終了画面のコマンドを設定したり、大入賞口残存球処理を行うために必要な情報を設定したりする。
また、大入賞口開放中処理は、特図変動表示ゲームの結果が特別結果になった場合に大入賞口の開放時間に基づいて特別変動入賞装置42の開閉扉42aを開放して遊技者に遊技価値を付与する特別遊技状態を発生させるものであるため、遊技制御装置500が特別遊技状態制御手段をなす。
遊技制御装置500は、ゲーム処理番号が「5」の場合には(S2508の結果が「5」)、大入賞口残存球処理を実行する(S2514)。大入賞口残存球処理は、大当りラウンドが最終ラウンドの場合に大入賞口内にある残存球が排出されるための時間を設定したり、大当り終了処理を行うために必要な情報の設定等を行ったりする。
大入賞口残存球処理では、特別図柄の処理タイマの更新とファンファーレ/インターバル中処理、又は大当り終了処理を行うために必要な情報を設定する。また、大入賞口の最大開放時間が経過したか、又は大入賞口に遊技球が規定数(所定数)だけ入賞したかを判定し、いずれかの条件が成立した場合に開閉扉42aを閉鎖する。これが所定ラウンド数繰り返し実行された後、特図ゲーム処理番号を6に設定する。
遊技制御装置500は、ゲーム処理番号が「6」の場合には(S2508の結果が「6」)、大当り終了処理を実行する(S2515)。大当り終了処理は、S2509の特図普段処理を行うために必要な情報の設定等を行う。
その後、遊技制御装置500は、特図1表示器51における図柄の変動を制御するためのテーブルを準備する(S2516)。続いて、特図1表示器51に係る図柄変動制御処理を実行する(S2517)。
さらに、遊技制御装置500は、特図2表示器52における図柄の変動を制御するためのテーブルを準備する(S2518)。続いて、特図2表示器52に係る図柄変動制御処理を実行する(S2519)。
〔特図保留情報判定処理〕
続いて、特図保留情報判定処理の詳細について説明する。図26は、本発明の実施の形態の特図保留情報判定処理の手順を示すフローチャートである。
特図保留情報判定処理は、前述の特図ゲーム処理(図25)の始動口スイッチ監視処理(S2501)において、第1始動入賞口37又は第2始動入賞口38に遊技球が入賞した場合に共通して実行される特図始動口スイッチ共通処理の中の処理である。
特図保留情報判定処理は、各始動記憶に基づく特図変動表示ゲームの開始タイミングより前に当該始動記憶に対応した結果関連情報(遊技結果情報)を判定するための先読み処理である。
遊技制御装置500は、まず、先読み演出を実行してよい条件を満たしているか否かをチェックする(S2601)。先読み演出を実行してよい条件とは、特図2変動表示ゲームを特図1変動表示ゲームの実行に優先させて実行させる場合に、特図始動口スイッチ共通処理における監視対象の始動口スイッチが始動口2スイッチ38dであること、又は、監視対象の始動口スイッチが始動口1スイッチ37dである場合には普電サポート中又は大当り中でないこと、である。
そして、遊技制御装置500は、先読み演出を実行してよい条件を満たしていない場合には(S2602の結果が「N」)、特図保留情報判定処理を終了する。すなわち、特図2変動表示ゲームを特図1変動表示ゲームの実行に優先させて実行させる場合であって、監視対象の始動口スイッチが始動口1スイッチ37d、かつ、普電サポート中又は大当り中のときは、当該始動記憶に対応した結果関連情報(遊技結果情報)を判定する先読み処理を実行しないように構成される。
一方、遊技制御装置500は、先読み演出を実行してよい条件を満たしている場合には(S2602の結果が「Y」)、保留中の始動記憶が大当りであるか否かを判定する大当り判定処理を実行する(S2603)。大当り判定処理は、保留中の始動記憶に含まれる大当り乱数値が大当り判定値と一致するか否かを判定することによって、当該始動記憶にかかる変動表示ゲームの結果が大当りであるか否かを判定する。
そして、遊技制御装置500は、大当り判定処理の判定結果が大当りの場合には(S2604の結果が「Y」)、対象の始動口スイッチに対応する大当り図柄乱数チェックテーブルを設定する(S2605)。大当り図柄乱数チェックテーブルには、大当り時の識別情報を特定する図柄情報や始動口入賞演出図柄コマンドが定義されている情報テーブルのアドレスや大当り乱数の判定値に応じた大当り種類の振り分け率が定義されている。
次に、遊技制御装置500は、大当り図柄乱数をチェックし、対応する大当り情報テーブルを取得し、演出内容を選択するためのテーブルとして設定する(S2606)。
一方、遊技制御装置500は、大当り判定処理の判定結果が大当りでない場合には(S2604の結果が「N」)、演出内容を選択するためのテーブルとしてはずれ情報テーブルを設定する(S2607)。
続いて、遊技制御装置500は、前述のS2606又はS2607の処理で設定した情報テーブルから図柄情報を取得し、RWMの作業用の図柄情報領域にセーブする(S2608)。さらに、設定した情報テーブルから始動入賞演出図柄コマンドを取得し、RWMの入賞演出図柄コマンド領域にセーブする(S2609)。
次に、遊技制御装置500は、対象の始動口スイッチに対応する始動口入賞フラグを準備した後(S2610)、対象の始動口入賞演出コマンド設定テーブルを準備する(S2611)。
続いて、遊技制御装置500は、対象の始動口に関して設定された特図情報を設定するための特図情報設定処理を実行する(S2612)。そして、特図変動表示ゲームにおける変動態様のうち、後半変動パターン設定処理を実行した後(S2613)、特図変動表示ゲームの前半変動パターンを設定する変動パターン設定処理を実行する(S2614)。
そして、遊技制御装置500は、前述の変動パターン設定処理(S2614)で準備された前半変動番号に対応する始動口入賞演出コマンド(MODE)を算出し、準備する(S2615)。また、前述の後半変動パターン設定処理(S2613)で後半変動番号領域にセーブされた後半変動番号の値を始動口入賞演出コマンド(ACTION)として準備する(S2616)。S2615及びS2616の処理で変動パターンに対応する始動入賞演出コマンドを準備し、コマンド設定処理を実行する(S2617)。
続いて、遊技制御装置500は、入賞演出図柄コマンド領域から始動口入賞演出図柄コマンドをロードして準備し(S2618)、コマンド設定処理を実行する(S2619)。その後、特図保留情報判定処理を終了する。
すなわち、S2615及びS2616の処理で始動口入賞演出コマンドを準備し、さらにS2618の処理で始動口入賞演出図柄コマンドを準備して、始動記憶に対応する判定結果(先読み結果)を、対応する始動記憶に基づく特図変動表示ゲームの開始のタイミングより前に演出制御装置550に対して通知することが可能になっている。演出制御装置550は、表示装置48に表示されている保留表示の表示態様を変化させるなどして、その特図変動表示ゲームの開始タイミングより前に遊技者に特図変動表示ゲームの結果を報知する。
〔始動口入賞演出図柄コマンド及び始動口入賞演出コマンド〕
図27は、本発明の実施の形態の始動口入賞演出図柄コマンド及び始動口入賞演出コマンドについて説明するテーブルである。
始動口入賞演出図柄コマンド及び始動口入賞演出コマンドは、前述の特図保留情報判定処理(図26)で設定されるコマンドである。
本発明の実施の形態では、始動口入賞演出図柄コマンドは3種類ある。始動口入賞演出図柄コマンドのMODE部のコマンドは「FDH」で表され、対象の始動記憶(保留)の結果(「はずれ」、「15R通常大当り」、「15R確変大当り」)に応じてACTION部のコマンド(「11H」〜「13H」)が決まる。始動口入賞演出図柄コマンドの送信によって、遊技制御装置500は、対象の保留の結果(はずれ、大当り種類)を演出制御装置550に指示する。
また、始動口入賞演出コマンドは10種類ある。始動口入賞演出コマンドのMODE部のコマンド(「E0H」)は前半変動番号に対応する。そして、ACTION部のコマンド(「01H」〜「0AH」)は後半変動番号の値に対応し、対象の始動記憶(保留)の結果(「はずれ」、「大当り」)及びリーチ系統(リーチなし含む)が特定される。始動口入賞演出コマンドの送信によって、遊技制御装置500は、対象の保留の結果(はずれか大当りか)及びリーチ系統情報を演出制御装置550に指示する。
このように始動口入賞演出図柄コマンド及び始動口入賞演出コマンドは、全ての遊技結果と、全ての変動パターンとの組み合わせごとにコマンドが用意される。
〔先読み予告設定処理〕
図28は、本発明の実施の形態の先読み予告設定処理の手順を示すフローチャートである。
先読み予告設定処理は、演出制御装置550によって実行される処理であり、表示装置48における先読み予告の態様を設定する。
演出制御装置550は、まず、新たに事前判定コマンドを受信したか否かを確認する(S2801)。事前判定コマンドとは、前述の特図保留情報設定処理(図26)において設定された始動口入賞演出図柄コマンド及び始動口入賞演出コマンドである。事前判定コマンドは、対応する始動記憶に基づく特図変動表示ゲームの開始のタイミングより前に遊技制御装置500から演出制御装置550に送信される。
演出制御装置550は、事前判定コマンドを受信していない場合には(S2802の結果が「N」)、先読み予告設定処理を終了する。
一方、演出制御装置550は、新たに事前判定コマンドを受信している場合には(S2802の結果が「Y」)、受信した事前判定コマンドの内容を対応する始動記憶領域にセーブする(S2803)。
次に、演出制御装置550は、先読み予告を実行中であるか否かを判定する(S2804)。そして、先読み予告実行中である場合には(S2804の結果が「Y」)、先読み予告設定処理を終了する。
演出制御装置550は、先読み予告実行中でない場合には(S2804の結果が「N」)、事前判定コマンドのうち始動口入賞演出図柄コマンドから対象となる始動記憶の図柄情報を取得する(S2805)。
続いて、演出制御装置550は、取得した図柄情報から当該始動記憶が大当りであるか否かを判定する(S2806)。
そして、演出制御装置550は、大当りではない(はずれである)場合には(S2806の結果が「N」)、先読み予告選択テーブル1を設定する(S2807)。
また、演出制御装置550は、大当りである場合には(S2806の結果が「Y」)、保留数が3未満のときに(S2808の結果が「N」)先読み予告選択テーブル2を設定し(S2809)、保留数が3以上のときに(S2808の結果が「Y」)先読み予告選択テーブル3を設定する(S2810)。
次に、演出制御装置550は、事前判定コマンドのうち始動口入賞演出コマンドから当該始動記憶のリーチ系統情報を取得する(S2811)。そして、前述のS2807、S2809又はS2810で設定した先読み予告選択テーブル及び取得したリーチ系統情報から先読み予告の態様を選択し(S2812)、先読み予告を実行する場合には(S2813の結果が「Y」)、選択した先読み予告を設定して(S2814)、先読み予告設定処理を終了する。また、先読み予告を実行しない場合には(S2813の結果が「N」)、先読み予告設定処理を終了する。
〔先読み予告選択テーブル〕
続いて図29及び図30を参照して、前述の先読み予告設定処理(図28)において設定される先読み予告選択テーブルの詳細について説明する。図29及び図30は、本発明の実施の形態の先読み予告に関するテーブルである。
図29(A)は、先読み予告態様のテーブルである。先読み予告態様として、保留の色を「青」、「黄」又は「赤」に変更する態様と、保留をARマーカ表示とする態様とがある。保留の色によって期待度が異なり、「青」→「黄」→「赤」の順に先読み予告の期待度が大きくなる。そして、保留がARマーカ表示とする場合には、仮想画像は大当り確定の予告になる。先読み予告態様は、先読み予告選択テーブルのリーチ系統情報によって設定された選択率に応じて、抽選によっていずれかの態様が選択される。
図29(B)は、先読み予告選択テーブル1である。先読み予告選択テーブル1は、前述の先読み予告設定処理(図28)において対象の始動記憶が「はずれ」となる場合に設定されるテーブルである。
この場合、リーチ系統情報は、「リーチなし」「Nリーチ」「SP1」「SP2」「SP3」の5種類がある。そして、先読み予告態様及び先読み予告態様の選択率は、リーチ系統情報の信頼度に応じて設定されている。
具体的には、「リーチなし」及び「Nリーチ」の場合に、先読み予告態様は、変化なし(先読み予告実行しない)、又は、期待度が低い「青」に色変更の2パターンが設定される。そして「青」に色変更する態様が選択される確率は、「リーチなし」よりも「Nリーチ」の方が1%高い。また、先読み予告を実行する確率はそれぞれ1%、2%である。
また、「SP1」の場合は、期待度が中の「黄」に色変更するパターンが追加され、「青」に色変更する態様は20%、「黄」に色変更する態様は10%の確率で選択される。「SP2」の場合は、さらに期待度が大の「赤」に色変更するパターンが追加され、「青」「黄」「赤」に色変更する態様は、それぞれ15%、10%、5%の確率で選択される。「SP3」の場合は、色変更の態様は「黄」又は「赤」のどちらかとなり、それぞれ10%、20%の確率で選択される。
このように、信頼度の低いリーチ系統の場合には、先読み予告の実行確率が低く、先読み予告を実行する場合でも期待度の低い先読み予告となる。そして、SPリーチになると30%の確率で先読み予告が実行される。また、SPリーチの信頼度が高くなるほど期待度の高い先読み予告となる確率が高くなる。
図30(A)は、先読み予告選択テーブル2である。先読み予告選択テーブル2は、前述の先読み予告設定処理(図28)において対象の始動記憶が「大当り」となる場合であって、保留数が3つ未満である場合に設定されるテーブルである。
この場合、リーチ系統情報は、「Nリーチ」「SP1」「SP2」「SP3」の4種類がある。リーチ系統の信頼度が高くなると、先読み予告の実行確率が高くなり、期待度の大きな先読み予告が選択される確率も高くなる。
具体的には、「Nリーチ」の場合に、先読み予告態様は、変化なし(先読み予告実行しない)、又は、期待度が低い「青」に色変更の2パターンが設定される。そして、それぞれの選択確率は、90%、10%である。
また、「SP1」の場合は、40%の確率で先読み予告が実行される。「青」「黄」「赤」に色変更する態様は、それぞれ5%、15%、20%である。「SP2」の場合は、60%の確率で先読み予告が実行される。 「青」「黄」「赤」に色変更する態様は、それぞれ10%、20%、30%である。「SP3」の場合は、50%の確率で先読み予告が実行される。「青」「黄」「赤」に色変更する態様は、それぞれ5%、5%、40%である。
図30(B)は、先読み予告選択テーブル3である。先読み予告選択テーブル3は、前述の先読み予告設定処理(図28)において対象の始動記憶が「大当り」となる場合であって、保留数が3つ以上である場合に設定されるテーブルである。
前述した先読み予告選択テーブル2と異なる点は、リーチ系統がSPリーチである場合には先読み予告態様にARマーカ100aを含む点である。ARマーカ表示が選択される確率は、先読み予告選択テーブル2において「赤」に色変更する態様が選択される確率のうちの一部が割り当てられる。ARマーカ表示が選択される確率は、「SP1」又は「SP2」の場合に5%であり、「SP3」の場合に10%である。
〔画面表示〕
図31は、本発明の実施の形態においてARマーカを先読み予告に用いる場合の画面表示の一例である。
図31(A)は、表示装置48における特図変動表示ゲーム実行中の画面表示である。画面中央では3つの識別情報が変動中である。画面下には特図保留表示領域が設けられ、左側の特図1保留表示領域に保留玉が3つ表示されている。右側の特図2保留表示領域には保留玉はない。
図31(1B)及び(2B)は、変動中の識別情報が停止し、大当りとなる特図1の保留(始動記憶)が発生した場合に、対応する保留玉の先読み予告態様を表した画面表示である。このとき既に保留数が3つあるので、前述の先読み予告設定処理(図28)により先読み予告選択テーブル3を用いて大当りとなる保留の先読み予告態様が決定される。
図31(1B)は、4つ目の保留玉を期待度が大の「赤」に色変更する先読み予告態様の場合の画面表示である。図31(2B)は、4つ目の保留玉をARマーカで表示する先読み予告態様の場合の画面表示である。
図31(1C)及び(2C)は、大当りとなる保留に対応する先読み予告演出の画面表示である。
図31(1C)は、前述の図31(1B)で「赤」に色変更された保留玉に対応する先読み予告演出として大当り確定ムービーが表示される場合の画面表示である。本実施形態では色変更した保留玉に対応する先読み予告演出が開始されると当該保留玉の色は元に戻るようにしたが、色変更したままでもよい。画面中央で大当り確定ムービーが表示される間、3つの識別情報は画面左下に表示される。そして、先読み予告演出中であっても、先行保留に基づいて特図変動表示ゲームが順次実行され、識別情報は変動する。なお、先行保留に基づく変動表示ゲームに関する表示を行わないことも考えられるが、全ての遊技者にゲーム進行を正しく把握させるという観点から考えると適切ではないし、遊技者が、はずれとなるとしても先行保留に基づく変動表示ゲームも楽しみたいと考える場合もある。従って、表示装置48では先行保留に基づく変動表示ゲームに関する表示を行うのが望ましい。
このように表示装置48では、先読み予告演出としてムービー等の画像を表示する場合にも、先行保留に基づく変動表示ゲームの内容として、同じ画面上に識別情報も表示していなければならない。そして、大当りとなる保留まで貯まっている先行保留を消化するために特図変動表示ゲームが順次実行されるので、識別情報は変動と停止を繰り返す。また、画面上には保留玉も表示されている。このため、表示装置48において真に連続性のある演出が行いにくかった。
これに対し、本発明では、図31(2B)のように保留玉の先読み予告態様としてARマーカ表示を含み、遊技者が携帯端末装置(情報端末)810でARマーカ100aを読み取ることで、遊技者が所有する携帯端末装置810において先読み予告演出が行われるようにする。つまり、仮想画像803aとして先読み予告演出画像が設定される。
図31(2C)は、遊技者が所有する携帯端末装置810において、先読み予告演出として大当り確定ムービーが表示される場合の画面表示である。このように携帯端末装置810で先読み予告演出としてムービー等の画像を表示する場合は、画面上で識別情報や保留玉などの表示は非表示にできる。また、遊技機1の可動役物120の作動にも捉われない演出が可能である。このため表示装置48での演出よりも自由な演出が可能となる。
このとき、携帯端末装置810における合成画像804aは、表示装置48での画面表示に対して先読み予告演出に関係のない邪魔な表示を隠す表示処理を行った画像でもよい。表示処理は、前述の合成画像生成処理(図28)において実行される。また、表示装置48における画面表示とは完全に別の画像を仮想画像803aとして丸々差し替えるような画像でもよい。
このように、合成画像804a上では識別情報等先読み予告に不要な情報を非表示にすることができるので、遊技者は、大当りとなる保留が消化されるまでのはずれの保留に対する特図変動表示ゲームなどを意識することなく真に連続性がある先読み予告演出を楽しむことができる。
〔実施の形態の効果〕
以上のように、本発明の実施の形態によれば、AR技術を用いることで、遊技者は携帯端末装置(情報端末)810において撮影した遊技機1の実画像801aと仮想画像803aとを合成した拡張現実画像(合成画像)804aを見ることができる。仮想画像803aとして、遊技方法の説明、識別情報の停止結果態様、遊技に係る補助演出など遊技の進行に関連する画像を設定することにより、従来にない斬新な演出を実行することができ、効果的な演出が可能となる。
また、ARマーカ(標識情報)100aの表示位置(情報表示領域)は、遊技機1の表示装置48に限らず、遊技機1の一括表示装置50や周辺設備110に設けることができる。このためARマーカ100aの表示位置とARマーカ100aに対応する仮想画像803aの表示内容との組み合わせは多種多様である。さらに仮想画像803aはデータなので、データの更新によりARマーカ100aに対応する仮想画像803aの表示内容を変更することも容易である。これらにより、多岐にわたる遊技演出が可能になるので、遊技の興趣が向上する。また、遊技者は、ARマーカ100aを読み取って携帯端末装置810で拡張現実画像804aを見るという行為に飽きることがない。
表示装置48(情報表示領域)の周囲に遊技の進行に応じて作動する可動役物(演出用可動装置)120が配置されている場合には、可動役物120に対応するARマーカ100aを設ければ、可動役物120に関連した拡張現実画像804aを表示することが可能である。別途表示装置やLED等を設けることなく可動役物120の移動軌跡に合わせて補助演出を実行することができるので、効果的な演出を実行することができる。
そして、可動役物120の作動に応じてARマーカ100aの表示位置が変更されるので、作動する可動役物120に対して適切な位置に仮想画像803aを表示することができる。
また、仮想画像803aとして可動役物120の画像を設定し、実際の可動役物120では届かない領域に仮想画像803aを表示することで、遊技者に特別感を与えることができる。
特図変動表示ゲームの実行中にARマーカ100aを読み取ることで変動中の識別情報の停止結果態様が表示される拡張現実画像804aが生成される場合には、遊技者は、遊技機1では変動中の識別情報の停止結果態様を拡張現実画像804aにおいて知ることができるので、特別感を得ることができる。さらに、拡張現実画像804aにおいて全ての識別情報の停止結果態様を報知することで、遊技機1の特図変動表示ゲームの結果が導出されたかのような演出を行うことが可能である。
ARマーカ100aを先読み予告に用いる場合には、拡張現実画像804a上では識別情報等先読み予告に不要な情報を非表示にすることができるので、自由な演出を行うことができる。また、遊技者は、実行中の特図変動表示ゲームなどを意識することなく先読み予告演出に集中して楽しむことができる。
特に、大当りとなる保留に対して先読み予告が行われ、当該保留が消化されるまでに時間を要する場合であっても、当該保留の消化前に実行される特図変動表示ゲーム(はずれ)を気にすることなく当該保留に基づく演出を純粋に楽しむことができる。
また、遊技者が保持する持球数を管理するサーバ820を備える遊技装置1000において、ARマーカ100aを遊技機1の周辺設備110に表示し、持球数に応じて貯留箱に貯留された遊技球を仮想画像803aとして表示する場合には、遊技場に実際に貯留箱をディスプレイしなくても、拡張現実画像804aでその場にディスプレイされているような光景を見ることが可能になる。このため、各台計数タイプの遊技機や封入球式遊技機しか設置されていなくても、遊技場の雰囲気を盛り上げることができる。
特に、ARマーカ100aをデジタル表示する場合には、持球数の変化に応じてリアルタイムでの制御が可能である。また、ARマーカ100aを店内ポップのような媒体(情報表示媒体)110でアナログ表示する場合には、店員が媒体110を交換するだけで持球数に応じた適切な仮想画像803aを表示することができる。
なお、今回開示した実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではない。また、本発明の範囲は前述した発明の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び内容の範囲でのすべての変更が含まれることが意図される。