以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の一実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10を正面側から見た斜視図、図2及び図3はパチンコ機10の主要な構成を展開して示す斜視図である。なお、図2では便宜上パチンコ機10の遊技領域PE内の構成を省略している。
図1に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11に取り付けられた遊技機主部12とを有している。
外枠11は板材を四辺に連結し構成されるものであって矩形枠状をなしている。外枠11を島設備に取り付け固定することにより、パチンコ機10が遊技ホールに設置される。なお、パチンコ機10において外枠11は必須の構成ではなく、遊技場の島設備に外枠11が備え付けられた構成としてもよい。
遊技機主部12は、外枠11によって開閉可能な状態で支持されている。具体的には、外枠11における上枠部と左枠部との連結部分に上側支持用金具17が固定されており、さらに外枠11における下枠部と左枠部との連結部分に下側支持用金具18が設けられている。これら上側支持用金具17及び下側支持用金具18により支持機構が構成され、当該支持機構により外枠11に対して遊技機主部12がパチンコ機10の正面視で左側を回動基端側、右側を回動先端側としてパチンコ機10の前方へ回動可能とされている(図2及び図3参照)。
図2に示すように、遊技機主部12は、ベース体としての内枠13と、その内枠13の前方に配置される前扉枠14と、内枠13の後方に配置される裏パックユニット15とを備えている。なお、遊技機主部12のうち内枠13が外枠11に対して回動可能に支持されている。詳細には、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として内枠13が前方へ回動可能とされている。
内枠13には、前扉枠14が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として前方へ回動可能とされている。また、内枠13には、裏パックユニット15が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として後方へ回動可能とされている(図3参照)。
<前扉枠14>
次に、前扉枠14について説明する。図2に示すように、前扉枠14は、外形が外枠11とほぼ同一形状をなす合成樹脂製の枠体20を主体に構成されており、内枠13における前面のほぼ全域を覆っている。枠体20の中央部分には後述する遊技領域PEのほぼ全域を前方から視認することができるようにした略楕円状の窓部21が形成されており、その窓部21はガラスユニット22によって同前扉枠14の背面側から塞がれている。
ガラスユニット22は、透明性を有する複数のガラスパネル23と、それらガラスパネル23を保持するガラスホルダとを備えている。ガラスホルダには、ガラスパネル23の保持領域を前後に仕切る仕切り部が形成されており、両ガラスパネル23は仕切り部を挟んで前後に相対向している。つまり、両ガラスパネル23の間に所定の隙間を確保することにより、ガラスパネル23同士の干渉を回避しつつ、それらガラスパネル23によって遊技領域PEをパチンコ機10の正面側から2重に覆った状態となっている。
なお、必ずしも両ガラスパネル23をガラスホルダを用いてユニット化する必要は無く、各ガラスパネル23を枠体20に対して個々に取り付ける構成としてもよい。更には、ガラスパネルの枚数は任意であり、1枚としてもよいし、3枚以上としてもよい。但し、安全性及び防犯性向上の観点から、複数のガラスパネルを採用し、それら各ガラスパネルを所定の隙間を挟んで前後に対向させることが好ましい。因みに、ガラスパネルに代えて透明性を有する合成樹脂性のパネル部材を採用することも可能である。
図1に示すように、ガラスユニット22(詳しくは窓部21)の周囲には、各種ランプ等の発光手段が設けられている。例えば、窓部21の周縁に沿ってLED等の発光手段を内蔵した環状電飾部26が設けられている。環状電飾部26では、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯や点滅が行われる。また、環状電飾部26の中央であってパチンコ機10の最上部には所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ部27が設けられ、さらにその左右側方には賞球払出中に点灯する賞球ランプ部28が設けられている。また、左右の賞球ランプ部28に近接した位置には、遊技状態に応じた効果音などが出力されるスピーカ部29が設けられている。
前扉枠14(枠体20)における窓部21の下方には、手前側へ膨出した上側膨出部31と下側膨出部32とが上下に並設されている。上側膨出部31内側には上方に開口した上皿33が設けられており、下側膨出部32内側には同じく上方に開口した下皿34が設けられている。上皿33は、後述する払出装置より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら後述する遊技球発射機構側へ導くための機能を有する。また、下皿34は、上皿33内にて余剰となった遊技球を貯留する機能を有する。
上側膨出部31において上皿33(遊技球の貯留領域)よりも前側となる部位には、遊技者等により手動操作される操作スイッチ40が設けられている。操作スイッチ40は、後述する図柄表示装置(詳しくは表示画面)等にて所定の演出を行わせること等を目的として遊技の進行の過程で遊技者が所定の指示を行うための機能が付与されている。
下側膨出部32の右方には、手前側へ突出するようにして遊技球発射ハンドル41が設けられている。遊技球発射ハンドル41が操作されることにより、後述する遊技球発射機構から遊技球が発射される。
前扉枠14の背面には、図2に示すように、通路形成ユニット45が取り付けられている。通路形成ユニット45は、合成樹脂により成形されており、上皿33に通じる前扉側上皿通路と下皿34に通じる前扉側下皿通路とを有している。通路形成ユニット45において、その上側隅部には後方に突出し上方に開放された受口部が形成されており、当該受口部を仕切壁によって左右に仕切ることで前扉側上皿通路の入口部分と前扉側下皿通路の入口部分とが区画形成されている。前扉側上皿通路に入った遊技球は上皿33に導かれ、前扉側下皿通路に入った遊技球は下皿34に導かれることとなる。
前扉枠14の背面における回動基端側には、その上端部及び下端部に突起軸が設けられている。これら突起軸は内枠13に対する組付機構を構成する。また、前扉枠14の背面における回動先端側には、図2に示すように、後方に延びる鉤金具49が上下方向に複数並設されている。これら鉤金具49は内枠13に対する施錠機構を構成する。
<内枠13>
次に、図2及び図3に基づき内枠13について詳細に説明する。内枠13は、外形が外枠11と同様に略矩形状をなす樹脂ベース50を主体に構成されている。樹脂ベース50の高さ寸法は、外枠11の高さ寸法よりも若干小さく設定されている。また、樹脂ベース50は外枠11の上側枠部に寄せて配置され、外枠11の下側枠部と樹脂ベース50との間には若干の隙間が形成されている。外枠11にはこの隙間を塞ぐようにして幕板が装着されている。幕板は、樹脂ベース50(詳しくはその下端部)の下方に配置されており、内枠13が外枠11に対して閉じられた状態では樹脂ベース50が幕板の上に載ることとなる。
樹脂ベース50の前面における回動基端側には、その上端部及び下端部に支持金具51,52が取り付けられている。支持金具51,52には軸孔が形成されており、それら軸孔に前扉枠14の突起軸が挿入されることにより、内枠13に対して前扉枠14が回動可能に支持されている。
樹脂ベース50の前面における回動先端側には、前扉枠14の背面に設けられた鉤金具49を挿入するための挿入孔がそれぞれ設けられている。本パチンコ機10では、図3に示すように、内枠13や前扉枠14を施錠状態とするための施錠装置55が内枠13の背面側に隠れて配置される構成となっている。したがって、鉤金具49が挿入孔を介して施錠装置55(詳しくは前扉用鉤受け部材)に係止されることによって、前扉枠14が内枠13に対して開放不能に施錠される。また、施錠装置55は、内枠13の後方へ延びる内枠用鉤部材57を有している。これら内枠用鉤部材57が外枠11の鉤受け部材19に引っ掛かることにより遊技機主部12が外枠11に対して閉じた状態で施錠される。
樹脂ベース50の右下隅部には、施錠装置55の解錠操作を行うためのシリンダ錠58が設置されている。シリンダ錠58は施錠装置55に一体化されており、シリンダ錠58の鍵穴に差し込んだキーを右に回すと内枠13に対する前扉枠14の施錠が解除され、シリンダ錠58の鍵穴に差し込んだキーを左に回すと外枠11に対する内枠13の施錠が解除されるように施錠装置55が構成されている。
樹脂ベース50の中央部には略楕円形状の窓孔54が形成され、樹脂ベース50に装着された遊技盤60によって同窓孔54が後方から塞がれている。遊技盤60は、木製の合板と同合板における前側の板面を覆うシート材とを有してなり、その前面が上記窓孔54を通じて樹脂ベース50の正面側に露出している。この露出している部位、すなわち遊技盤60の前面には、遊技球が流下する遊技領域PEが形成されている。なお、遊技盤60は木製に限定されるものではなく、合成樹脂製とすることも可能である。
以下、図4に基づき遊技盤60(特に遊技領域PEに配された各種構成)について説明する。図4は遊技盤60の正面図である。
<遊技盤60>
遊技盤60には、自身の厚さ方向(前後方向)に貫通する大小複数の開口部が形成されている。各開口部には一般入賞口61、作動入球部62,63、可変入球装置65、スルーゲート66、可変表示ユニット67等がそれぞれ配設されている。一般入賞口61、作動入球部62,63、可変入球装置65への入球が発生すると、それが検知センサにより検知され、その検知結果に基づいて所定数の賞球の払い出し等の特典が遊技者に付与される。
遊技盤60の最下部にはアウト口68が設けられており、各種入賞口等に入らなかった遊技球はアウト口68を通って遊技領域PEから排出される。ここで、入球とは、所定の開口部位を遊技球が通過することを意味し、同開口部位を通過した後に遊技球が遊技領域PEから排出される態様だけでなく、開口部位を通過した後に遊技領域PEから排出されない態様も含まれる。但し、以下の説明では、アウト口68への遊技球の入球と明確に区別するために、一般入賞口61、作動入球部62,63、可変入球装置65、スルーゲート66への入球を、入賞とも表現する。
また、遊技盤60には、遊技球の流下経路を適宜分散,調整等するために多数の釘69が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)が配設されている。これら釘69や風車等の各種構成によって、遊技球の流下経路が分化され、上述した一般入賞口61等への入賞が適度な確率で発生するように調整されている。
上記可変表示ユニット67は遊技盤60の中央に配されており、同可変表示ユニット67の周辺に上記作動入球部62,63等が配設されている。作動入球部62,63は、可変表示ユニット67の下方及び右方に配置されている。以下便宜上、下側の作動入球部を「下側作動入球部62」と称し、右側の作動入球部を「右側作動入球部63」と称する。
右側作動入球部(抽選契機入球部)63については特に、開閉式の入球補助装置(入球補助手段)又は開閉部材(開閉手段)としての電動役物71が設けられている。電動役物71は、可動片71aと同可動片71aを駆動させるソレノイド式の駆動部71bとを有してなり、当該可動片71aを動作させることにより右側作動入球部63における入口部(右側作動口63a)への入球が可能又は容易となる開状態(サポート状態又は補助状態)と、同入球が不可又は上記開状態よりも困難となる閉状態(非サポート状態又は非補助状態)とに切替可能となっている。
遊技領域PEにおいて可変表示ユニット67の側方となる領域(右ルート)であって、右側作動入球部63の上流側(詳しくは直上)となる位置には、上記スルーゲート66が配置されている。遊技球のスルーゲート66の通過をトリガとした抽選にて当選となった場合には、電動役物71が予め設定された時間に亘って開状態となる。
右側作動入球部63の電動役物71におけるサポートモードとしては、遊技領域PEに対して同様の態様で遊技球の発射が継続されている状況で比較した場合に、右側作動口63aが単位時間当たりに開放状態となる頻度が相対的に高低となるように、低頻度サポートモード(低頻度サポート状態又は低頻度ガイド状態)と高頻度サポートモード(高頻度サポート状態又は高頻度ガイド状態)とが設定されている。
スルーゲート66には遊技球が通過する球通路が形成されており、この通過経路を通過した遊技球は、釘69を配列して形成された誘導通路64を通じて右側作動入球部63へ到達する構成となっている。このようにして、右側作動入球部63への入球確率を高める工夫をすることにより、後述する高頻度サポートモード中は、投資を抑えながら(持ち球の減りを抑えながら)遊技を進めることができる。
右側作動入球部63にも遊技球が通過する球通路が形成されており、右側作動入球部63へ入賞しなかった遊技球は、右側作動入球部63を素通りして右側作動入球部63の下方に配置された可変入球装置65へ向けて流下することとなる。
可変入球装置(特別入球装置又は特別入球手段)65には、遊技盤60の背面側へと通じる大入賞口65aが形成され、当該大入賞口65aを開閉する開閉手段としての開閉機構が設けられている。当該開閉機構は、大入賞口65a用の開閉部材としての開閉扉65bを有してなる。開閉扉65bは、遊技球の入球が可能又は容易となる開状態(補助状態又は受入状態)と、同入球が不可又は困難となる閉状態(非補助状態又は非受入状態)とに切替可能となっている。また、同開閉扉65bは遊技盤60の背面側に設けられた可変入球駆動部65c(詳しくはソレノイド)と連結されており、通常時においては開閉扉65bが閉状態のまま維持され、内部抽選において開閉実行モード(開閉実行状態)への移行に当選した場合に開状態に切り替えられるようになっている。
ここで、開閉実行モードとは、大当たり当選となった場合に移行することとなるモードである。当該開閉実行モードにおける可変入球装置65の開放態様としては、例えば所定時間(本実施の形態においては0.3sec又は30sec)の経過又は所定個数(本実施の形態においては10個)の入賞を1ラウンドとして、複数ラウンド(本実施の形態においては4ラウンド又は15ラウンド)を上限として開閉扉65bの開放が繰り返されるように設定されている。
ここで、各作動入球部62,63及び可変入球装置65の配置について補足説明する。
上記可変表示ユニット67の左側となる領域に向けて遊技球が発射された場合には、可変表示ユニット67の側方を通過した遊技球は遊技領域PEにおいて当該可変表示ユニット67の下側となる領域へと誘導される。この際、右側作動入球部63を素通りした遊技球は可変入球装置65へと流下し、当該可変入球装置65の大入賞口65aへ入球しなかった場合には、アウト口68を通じて遊技領域PE外に排出される。一方、上記下側作動入球部62については右ルートを流下した遊技球が到達不可となるように配置されている。
なお、可変入球装置65には、遊技球を遊技領域PEにおいて可変表示ユニット67の下側となる領域(詳しくは下側作動入球部62よりも下流側となる領域)へ向けて誘導する誘導部が形成されており、可変入球装置65を素通りした遊技球はアウト口68へ向けて流下することとなる。つまり、下側作動入球部62については、可変表示ユニット67の右側となる領域へ向けて発射された遊技球が到達不可となる位置に配置されている。故に、下側作動入球部62への入賞を狙う場合には、遊技領域PEにおいて可変表示ユニット67の左側となる領域(左ルート)へ遊技球を発射する必要がある。
次に、可変表示ユニット67について説明する。可変表示ユニット67には、作動入球部62,63への入賞をトリガとして図柄を可変表示(変動表示)する図柄表示装置75が設けられている。
図柄表示装置75は、液晶ディスプレイを備えた液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置により表示画面75aにおける表示内容が制御される。図柄表示装置75の表示画面75aには、例えば上、中及び下に並べて図柄が表示され、これらの図柄が左右方向にスクロールされるようにして変動表示されるようになっている。そして、大当たりに当選した場合には、予め設定されている有効ライン上に所定の組み合わせの図柄が停止表示され、上記開閉実行モード(特別遊技状態又は大当たり)に移行することとなる。なお、図柄表示装置75については必ずしも液晶表示装置である必要はなく、ドットマトリクスや7セグタイプの表示装置であってもよい。
また、可変表示ユニット67には、図柄表示装置75を囲むようにしてセンターフレーム76が配設されている。センターフレーム76は、遊技盤60に対してその前面側から固定されており、このように固定された状態では遊技盤60の前面から起立した状態となることで当該センターフレーム76と上記ガラスユニット22との間の隙間寸法が遊技球の直径寸法よりも小さくなるように構成されている。これにより、遊技領域PEを流下する遊技球が図柄表示装置75に衝突することが回避され、且つ遊技領域PEを流下する遊技球の流下経路が可変表示ユニット67(詳しくはセンターフレーム76)を右側から迂回する上記右ルートと、左側から迂回する左ルートに大別されている。
なお、上述した可変入球装置65、右側作動入球部63及びスルーゲート66については、右ルートに配置されており、左ルートを流下する遊技球はそれら可変入球装置65、右側作動入球部63及びスルーゲート66に入賞することが回避される。一方、右ルートを流下する遊技球は下作動口83aに入賞することが回避される。このため、右側作動入球部63の電動役物71が高頻度サポートモードになっている場合又は開閉実行モードとなっている場合には、右ルートへ遊技球を発射することで遊技を有利に進めることができ、低頻度サポートモードとなっている場合には左ルートへ遊技球を発射することで遊技を有利に進めることができる。つまり、遊技者は、遊技状況に応じて遊技球の流下経路を右ルート/左ルートから選択することにより、遊技を有利に進めることが可能となる。
作動入球部62,63は、可変表示ユニット67寄りとなる位置に配置されている。作動入球部62,63への入賞をトリガとして、大当たりが発生し得るため、遊技者は作動入球部62,63に入賞するか否かに注目するとともに、大当たりが発生するか否かを把握するため図柄表示装置75に注目するものと考えられる。作動入球部62,63を可変表示ユニット67寄りに設けたことは、遊技者が注目したい箇所を可変表示ユニット67周辺に集中させるための工夫である。
可変入球装置65の下方には、主表示ユニット81が配されている。主表示ユニット81は、遊技領域PEの下部側の外縁に沿って配置されており、遊技盤60の前面からパチンコ機10前方に突出している。主表示ユニット81の前面は、遊技領域PEをパチンコ機10前方から視認可能とする上記ガラスユニット22(詳しくは後側のガラスパネル23)と対向しており、さらに後側のガラスパネル23との間の距離は遊技球1個分よりも狭くなっている。これにより、主表示ユニット81の前面の前方を遊技球が落下することが回避されている。主表示ユニット81については、後述する主制御装置に電気的に接続されており、主表示部の表示内容は当該主制御装置によって制御される構成となっている。
主表示ユニット81においてガラスユニット22と対向している部分には、所定の絵柄等が表示される主表示部Dが設けられている。主表示部Dは、下側作動入球部62(下側作動口62a)への入賞に基づいた抽選結果を表示する右側作動入球部用表示部DRと、右側作動入球部63(右側作動口63a)への入賞に基づいて行われた抽選結果を表示する右側作動入球部用表示部DRとを有してなる。
右側作動入球部用表示部DRでは、下側作動入球部62への入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、下側作動入球部62への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が明示される。下側作動入球部62への入賞に基づく内部抽選の結果が開閉実行モードへの移行に対応した当選結果であった場合には、右側作動入球部用表示部DRにて変動表示が停止され、停止結果として所定の絵柄が表示された後に、上記開閉実行モードへ移行される。
右側作動入球部用表示部DRでは、右側作動入球部63への入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、右側作動入球部63への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が明示される。右側作動入球部63への入賞に基づく内部抽選の結果が大当たり又は特別当たりに対応した当選結果であった場合には、右側作動入球部用表示部DRにて変動表示が停止され、停止結果として所定の絵柄が表示された後に、その結果に応じて上記開閉実行モードに移行される。
ここで、いずれかの作動入球部62,63への入賞に基づいて、対応する作動入球部用表示部DL,DRにて変動表示が開始され、所定の停止結果を表示し上記変動表示が停止されるまでが遊技回の1回に相当する。但し、遊技回の1回は、上記の内容に限定されることはなく、例えば、単一の表示領域が設けられ、いずれの作動入球部62,63への入賞が発生したとしてもその単一の表示領域にて変動表示が行われる構成においては、当該単一の表示領域にて変動表示が開始され、所定の停止結果を表示した状態で上記変動表示が停止されるまでを遊技回の1回とする。
主表示ユニット81の主表示部Dには第1保留数表示部LS及び第2保留数表示部RSが設けられている。第1保留数表示部LSは、下側作動口62aに対応しており遊技球が下側作動口62aに入賞した回数は最大4回まで保留され第1保留数表示部LSの点灯によってその保留数が表示されるようになっている。第2保留数表示部RSは、右側作動口63aに対応しており、遊技球が右側作動口63aに入賞した回数は最大4回まで保留され第2保留数表示部の点灯によってその保留数が表示されるようになっている。
また、主表示ユニット81の主表示部Dには、スルーゲート66への入賞に基づいた抽選結果を表示するスルーゲート用表示部DSが設けられている。スルーゲート用表示部DSでは、スルーゲート66への入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、スルーゲート66への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が明示される。スルーゲート66への入賞に基づく内部抽選(サポート抽選)の結果が電役開放状態への移行に対応した当選結果であった場合には、スルーゲート用表示部DSにて所定の停止結果が表示されて変動表示が停止された後に、電役開放状態へ移行する。電役開放状態では、右側作動入球部63に設けられた上記電動役物71が所定の態様で開放される。
更に、本実施の形態においては遊技球がスルーゲート66を通過した回数は最大4回まで保留される構成が採用されているが、主表示ユニット81の主表示部Dにはその保留個数を表示する保留数表示部DHが設けられている。
これら各表示部DL,DR,LS,RS,DS,DHについては、前扉枠14のガラスユニット22を通じてパチンコ機10前方から視認可能となっているとともに、これら各種表示部DL,DR,LS,RS,DS,DHの前方を遊技球が移動することが回避されることで視認性が担保されている。
再び図2を用いて内枠13の構成について説明すれば、樹脂ベース50において遊技盤60の搭載領域の下方には、上記遊技球発射ハンドル41の操作に基づいて遊技領域PEへ向けて遊技球を発射する遊技球発射機構110が設けられている。遊技球発射機構110は、所定の発射待機位置に配置された遊技球を打ち出すソレノイド111と、同ソレノイド111によって打ち出された遊技球の発射方向を規定する発射レール112と、上記発射待機位置に遊技球を供給する球送装置113と、それら各種構成111〜113が装着されているベースプレート114とを主要な構成として備えており、同ベースプレート114が樹脂ベース50に固定されることで樹脂ベース50に対して一体化されている。
発射レール112は、遊技盤60側に向けて上り傾斜となるように、斜めに傾いた状態でベースプレート114に固定されている。発射レール112の下流側の端部(すなわち下端部)寄りとなる位置には、球送装置113から供給された遊技球を上述した発射待機位置に留める球ストッパが配されている。球ストッパよりも更に下流側となる位置に、上記ソレノイド111が配置されている。
ソレノイド111は、後述する電源・発射制御装置に対して電気的に接続されている。その電源・発射制御装置からの電気的な信号の出力に基づいてソレノイド111の出力軸が伸縮方向に往復動することにより、発射待機位置に置かれた遊技球が遊技盤60側、詳しくは遊技盤60に装着された誘導レール100に向けて打ち出される。
誘導レール100は、遊技領域PEを同遊技領域PEの外形が略円形状となるように区画形成している。また、誘導レール100は、遊技球の直径よりも若干大きな隙間を隔てて対峙するように配置された内レール101及び外レール102からなり、それら両レール101,102によって一条の誘導通路103が区画形成されている。誘導通路103は、発射レール112の先端側(斜め下方)に開放された入口部分と、遊技領域PEの上部に位置する出口部分とを有している。ソレノイド111の動作に基づいて発射された遊技球は、発射レール112→誘導レール100(入口部分→出口部分)の順に移動することにより遊技領域PEに導かれる。遊技球発射ハンドル41の操作量を調整することにより、遊技領域PEにおいて可変表示ユニット67の左側となる領域や同遊技領域PEにおいて可変表示ユニット67の右側となる領域への遊技球の打ち分けが可能となっている。
なお、遊技盤60において出口部分の先側、詳しくは内レール101の先端付近には、遊技領域PEに到達した遊技球の同誘導通路103内への逆戻りを防止する逆戻り防止部材106が取り付けられており、先んじて遊技領域PEに至った遊技球によって後続する遊技球の打ち出しが妨げられることを抑制している。
誘導レール100(図4参照)及び発射レール112は、同誘導レール100の入口部分と発射レール112の先端部分とが遊技盤60の下端縁を挟んで斜めに対峙するように配置されている。つまり、それら両レール100,112は、同誘導レール100の入口部分と発射レール112の先端部分とが遊技盤60の下端縁近傍にて左右にずれるようにして配置されている。これにより両レール100,112を遊技盤60の下端縁に近づけつつ、誘導レール100の入口部分と発射レール112との間には所定間隔の隙間を形成している。
このようにして形成された隙間よりも下側にはファール球通路46が配設されている。ファール球通路46は前扉枠14の通路形成ユニット45に一体成形されている。仮に遊技球発射機構110から発射された遊技球が遊技領域PEまで至らずファール球として誘導通路103内を逆戻りする場合には、それらファール球が上記隙間を介してファール球通路46内に入ることとなる。ファール球通路46は前扉側下皿通路に通じており、ファール球通路46に入った遊技球は図1に示した下皿34に排出される。これにより、ファール球と次に発射される遊技球との干渉が抑制される。
樹脂ベース50において発射レール112の左方(詳しくは前扉枠14を支持している側)には樹脂ベース50を前後方向に貫通する貫通孔が形成されており、この貫通孔に通路形成部材121が配設されている。通路形成部材121は、樹脂ベース50に対してネジ止めされており、本体側上皿通路と本体側下皿通路とを有している。それら本体側上皿通路及び本体側下皿通路の上流側は、後述する遊技球分配部に通じている。また、通路形成部材121の下方には前扉枠14に取り付けられた通路形成ユニット45の受口部が入り込んでおり、本体側上皿通路の下方には前扉側上皿通路が配置され、本体側下皿通路の下方には前扉側上皿通路が配置されている。
樹脂ベース50において通路形成部材121の下方には、本体側上皿通路及び本体側下皿通路を開閉する開閉部材124が取り付けられている。開閉部材124はその下端に設けられた支軸により前後方向に回動可能に支持されており、さらに本体側上皿通路及び本体側下皿通路を閉鎖する前方位置に付勢する付勢部材が設けられている。従って、前扉枠14を内枠13に対して開いた状態では開閉部材124が図示の如く起き上がり、本体側上皿通路及び本体側下皿通路を閉鎖する。これにより、本体側上皿通路又は本体側下皿通路に遊技球が貯留されている状態で前扉枠14を開放した場合、その貯留球がこぼれ落ちてしまうといった不都合が防止できる。これに対し、前扉枠14を閉じた状態では、前扉枠14の通路形成ユニット45に設けられた受口部により付勢力に抗して開閉部材124が押し開けられる。この状態では、本体側上皿通路と前扉側上皿通路とが連通し、さらに本体側下皿通路と前扉側下皿通路とが連通している。
次に、図3に基づき内枠13(樹脂ベース50及び遊技盤60)の背面構成について説明する。
樹脂ベース50の背面における回動基端側には、軸受け金具132が上下に並設されている。軸受け金具132には、上下に離間させて軸受け部が形成されており、これら軸受け部により内枠13に対して裏パックユニット15が回動可能に取り付けられている。
樹脂ベース50の背面には、係止金具135が複数設けられており、これら係止金具135によって上述したように樹脂ベース50に対して遊技盤60が取り付けられている。ここで、遊技盤60の背面の構成を説明する。
遊技盤60の中央に配置される可変表示ユニット67には、当該可変表示ユニット67を背後から覆うようにして表示制御装置が取り付けられている(図示は省略)。そして、表示制御装置の後方には当該表示制御装置に重なるようにして報知・演出制御装置ユニット142が搭載されている。報知・演出制御装置ユニット142は、報知・演出制御装置610と、取付台144とを具備する構成となっており、取付台144上に報知・演出制御装置610が装着されている。
報知・演出制御装置610は、後述する主制御装置からの指示に従い音声やランプ表示、及び表示制御装置の制御を司る報知・演出制御基板を具備しており、報知・演出制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス145に収容されて構成されている。
遊技盤60の背面には、図3に示すように、可変表示ユニット67の下方に集合板150が設けられている。集合板150には、各種入賞口に入賞した遊技球を回収する遊技球回収機構や、各種入賞口等への遊技球の入球を検知する検知機構などが設けられている。
遊技球回収機構について説明すると、集合板150には、一般入賞口61等の各種入球部に対して個々に対応する回収通路が設けられている。これら回収通路は、それら入球部から遊技盤60の背面に沿って下っており、遊技球の落下経路を規定している。各回収通路は、同遊技盤60の下端付近にて合流しており、一般入賞口61等の入球部を通過した遊技球は何れも回収通路を介して遊技盤60の下部に集合することとなる。各回収通路の出口部分は、下方に開放されており、その先側(詳しくは遊技盤60の下方)には後述する排出通路が設けられている。回収通路により遊技盤60の下方に集合した遊技球は、排出通路へと導出される。なお、アウト口68も同様に排出通路に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球もアウト口68を介して排出通路へ導出される。
検知機構について説明すると、集合板150には、一般入賞口61等の各種入球部に対して個々に対応する検知センサが設けられている。これら各種検知センサは、上記一般入賞口61等の入球部に連なる各回収通路の途中位置に配置されており、同回収通路にて遊技球の落下経路が規定された状態にて遊技球の通過を検知する。より詳しくは、各検知センサは、各回収通路の途中位置に設けられた検知領域を遊技球が通過することで、一般入賞口61等の入球口への入球を検知するものであり、具体的には上記検知領域を遊技球が通過した場合に生じる磁場の変化を把握する磁気センサが採用されている。
これら各種検知センサは、遊技盤60の背面側に設けられた主制御装置ユニット160(詳しくは主制御装置)に電気的に接続されており、それら検知センサにおける検知信号が同主制御装置に対して出力される構成となっている。以下、主制御装置ユニット160及びそれに付随する構成について説明する。
主制御装置ユニット160は、集合板150を後側から覆うようにして遊技盤60に搭載されており、合成樹脂製の取付台161と、同取付台161に搭載された主制御装置162とによって構成されている。主制御装置162は、遊技の主たる制御を司る機能(主制御回路)と、電源を監視する機能(停電監視回路)とを有する主制御基板を具備しており、当該主制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス163に収容されて構成されている。
基板ボックス163は、略直方体形状のボックスベース(表ケース体)とこのボックスベースの開口部を覆うボックスカバー(裏ケース体)とを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印手段としての封印部によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス163が封印されている。封印部は、基板ボックス163の長辺部に複数設けられ、そのうち少なくとも一つが用いられて封印処理が行われる。
封印部はボックスベースとボックスカバーとを開封不能に結合する構成であれば任意の構成が適用できるが、封印部を構成する長孔に係止爪を挿入することでボックスベースとボックスカバーとが開封不能に結合されるようになっている。封印部による封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期に且つ容易に発見可能とするものであって、一旦開封した後でも再度封印処理を行うこと自体は可能である。すなわち、複数の封印部のうち、少なくとも一つの長孔に係止爪を挿入することにより封印処理が行われる。そして、収容した主制御基板の不具合発生の際や主制御基板の検査の際など基板ボックス163を開封する場合には、係止爪が挿入された封印部と他の封印部との連結部分を切断する。これにより、基板ボックス163のボックスベースとボックスカバーとが分離され、内部の主制御基板を取り出すことができる。その後、再度封印処理する場合は他の封印部の長孔に係止爪を挿入する。基板ボックス163の開封を行った旨の履歴を当該基板ボックス163に残しておけば、基板ボックス163を見ることで不正な開封が行われた旨が容易に発見できる。
基板ボックス163の一方の短辺部には、その側方に突出するようにして複数の結合片が設けられている。これら結合片は、取付台161に形成された複数の被結合片と1対1で対応しており、結合片と被結合片とにより基板ボックス163と取付台161との間で封印処理が行われる。
<裏パックユニット15>
次に、図2及び図3に基づき裏パックユニット15について説明する。
図2に示すように、内枠13は裏パックユニット15によって後方から覆われている。裏パックユニット15は、裏パック201を備えており、当該裏パック201に対して、払出機構部202、排出通路盤及び制御装置集合ユニット204が取り付けられている。
裏パック201は透明性を有する合成樹脂により成形されており、図3に示すように払出機構部202などが取り付けられるベース部211と、パチンコ機10後方に突出し略直方体形状をなす保護カバー部212とを有する。保護カバー部212は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも可変表示ユニット67を囲むのに十分な大きさを有する。
ベース部211には、その右上部に外部端子板213が設けられている。外部端子板213には各種の出力端子が設けられており、これらの出力端子を通じて遊技ホール側の管理制御装置に対して各種信号が出力される。また、ベース部211にはパチンコ機10後方からみて右端部に上下一対の掛止ピンが設けられており、掛止ピンを内枠13に設けられた軸受け金具132(詳しくは軸受け部)に挿通させることで、裏パックユニット15が内枠13に対して回動可能に支持されている。また、ベース部211における回動先端部には、内枠13に設けられた被締結孔に対して締結するための締結具が設けられており、当該締結具を被締結孔に嵌め込むことで内枠13に対して裏パックユニット15が固定されている。
ベース部211には、保護カバー部212を迂回するようにして払出機構部202が配設されている。払出機構部202には、裏パック201の最上部に配されているとともに上方に開口したタンク221が設けられており、遊技ホールの島設備から供給される遊技球がそのタンク221に逐次補給される。タンク221の下方には、下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレールが連結され、タンクレールの下流側には上下方向に延びるケースレールが連結されている。ケースレールの最下流部には払出装置222が設けられている。払出装置222より払い出された遊技球は、当該払出装置222の下流側に設けられた払出通路を通じて、裏パック201のベース部211に設けられた遊技球分配部に供給される。
遊技球分配部は、払出装置222より払い出された遊技球を上皿33、下皿34又は後述する排出通路の何れかに振り分けるための機能を有し、内側の開口部が上述した本体側上皿通路及び前扉側上皿通路を介して上皿33に通じ、外側の開口部が本体側下皿通路及び前扉側下皿通路を介して下皿34に通じるように形成されている。
図3に示すように、ベース部211の下端部には、当該下端部を前後に挟むようにして排出通路盤及び制御装置集合ユニット204が取り付けられている。排出通路盤203には、制御装置集合ユニット204と対向する面に後方に開放された排出通路が形成されており、当該排出通路の開放部は制御装置集合ユニット204によって塞がれている。排出通路は、遊技ホールの島設備等へ遊技球を排出するように形成されており、上述した回収通路等から排出通路に導出された遊技球は当該排出通路を通ることでパチンコ機10外部に排出される。
制御装置集合ユニット204は、横長形状をなす取付台を有し、同取付台に払出制御装置181と電源・発射制御装置191とが搭載されている。これら払出制御装置181と電源・発射制御装置191とは、払出制御装置181がパチンコ機10後方となるように前後に重ねて配置されている。
払出制御装置181においては基板ボックス内に払出装置222を制御する払出制御基板が収容されており、当該払出制御基板に設けられた状態復帰スイッチが基板ボックス外に突出している。例えば、払出装置222における球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチが押されると、球詰まりの解消が図られるようになっている。
電源・発射制御装置191は、基板ボックス内に電源・発射制御基板が収容されており、当該基板により、各種制御装置等で要する所定の電源が生成されて出力され、さらに遊技者による遊技球発射ハンドル41の操作に伴う遊技球の打ち出しの制御が行われる。また、電源・発射制御装置191にはRAM消去スイッチが設けられている。本パチンコ機10は各種データの記憶保持機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。したがって、例えば遊技ホールの営業終了の場合のように通常手順で電源を遮断すると遮断前の状態が記憶保持されるが、RAM消去スイッチを押しながら電源を投入すると、RAMデータが初期化されるようになっている。
<パチンコ機10の電気的構成>
次に、パチンコ機10の電気的構成について、図5のブロック図に基づき説明する。
主制御装置162に設けられた主制御基板601には、MPU602が搭載されている。MPU602には、当該MPU602により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM603と、そのROM603内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM604と、割込回路、タイマ回路、データ入出力回路、乱数発生器としての各種カウンタ回路などが内蔵された素子である。なお、MPU602が有する機能の一部、例えば、ROM603の機能やRAM604の機能などを別の素子として有する構成としてもよい。
MPU602には、入力ポート及び出力ポートがそれぞれ設けられている。MPU602の入力側には、主制御装置162に設けられた停電監視基板605、払出制御装置181、各種検知センサなどが接続されている。停電監視基板605には電源・発射制御装置191が接続されており、MPU602には停電監視基板605を介して電力が供給される。また、各種検知センサの一部として、一般入賞口61用の検知センサ151a、下側作動入球部62用の検知センサ151b、右側作動入球部63用の検知センサ151c、可変入球装置65用の検知センサ151d、スルーゲート66用の検知センサ151eが接続されており、これら各種検知センサ151a〜151eからの検知情報(検知信号)に基づき、主制御装置162のMPU602にて各入球部への入賞判定(入球判定)が実行される。また、MPU602では、下側作動入球部62(下側作動口62a)及び右側作動入球部63(右側作動口63a)への入賞に基づいて大当たり発生抽選を実行するとともに、スルーゲート66への入賞に基づいてサポート発生抽選を実行する。
MPU602の出力側には、停電監視基板605、払出制御装置181及び報知・演出制御装置610(詳しくは報知・演出制御基板611)が接続されている。払出制御装置181には、例えば、上記入賞対応入球部への入賞判定結果に基づいて賞球コマンドが出力される。この場合、賞球コマンドの出力に際しては、ROM603のコマンド情報記憶エリア603aが参照される。そして、一般入賞口61への入賞を特定した場合には10個の遊技球の払出に対応した賞球コマンドが出力され、大入賞口65aへの入賞を特定した場合には15個の遊技球の払出に対応した賞球コマンドが出力され、下側作動口62aへの入賞を特定した場合には3個の遊技球の払出に対応した賞球コマンドが出力され、右側作動口63aへの入賞を特定した場合には4個の遊技球の払出に対応した賞球コマンドが出力される。
報知・演出制御装置610には、変動開始コマンド、種別コマンド、変動終了コマンド、オープニングコマンド及びエンディングコマンドなどの各種コマンドが出力される。この場合、これら各種コマンドの出力に際しては、ROM603のコマンド情報記憶エリア603aが参照される。これら各種コマンドの詳細については、後に説明する。なお、上記各コマンドは、所定のバイト数の情報として構成されており、当該所定のバイト数の情報として各種情報が含まれている。
また、MPU602の出力側には、右側作動入球部63に付随した電動役物71を駆動させる駆動部71b、可変入球装置65の開閉扉65bを駆動させる可変入球駆動部65c、主表示ユニット81の保留数表示部LS,RS,DHや各種入球部用表示部DL,DR,DS等が接続されている。主制御基板601には各種ドライバ回路が設けられており、当該ドライバ回路を通じてMPU602は各種駆動部等の駆動制御を実行する。
つまり、開閉実行モードにおいては大入賞口65aが開閉されるように、MPU602において可変入球装置65における可変入球駆動部65cの駆動制御が実行される。また、右側作動入球部63の電動役物71の開放状態当選(サポート当選)となった場合には、電動役物71が開閉されるように、MPU602において駆動部71bの駆動制御が実行される。また、各遊技回に際しては、MPU602において主表示ユニット81の主表示部Dにおける右側作動入球部用表示部DR又は右側作動入球部用表示部DRの表示制御が実行される。
さらには、MPU602の出力側には、外部端子板213が接続されている。外部端子板213には、状態移行に際して信号出力するための出力端子として、大当たり信号出力端子等が設けられている。MPU602は、遊技結果が大当たり結果となった場合には、遊技ホール側の管理制御装置に対して、大当たり信号出力端子を通じて大当たり信号を出力することができる。具体的には、通常時では、大当たり信号出力端子からLOWレベル信号が出力されており、大当たり結果となった場合にはHIレベル信号が出力される。なお、この信号の出力態様は逆でもよい。
停電監視基板605は、主制御基板601と電源・発射制御装置191とを中継し、また電源・発射制御装置191から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視する。払出制御装置181は、主制御装置162から入力した賞球コマンドに基づいて、払出装置222により賞球や貸し球の払出制御を行うものである。
電源・発射制御装置191は、例えば、遊技場等における商用電源(外部電源)に接続されている。そして、その商用電源から供給される外部電力に基づいて主制御基板601や払出制御装置181等に対して各々に必要な動作電力を生成するとともに、その生成した動作電力を所定の電力経路を通じて供給する。
また、電源・発射制御装置191は、遊技球発射機構110の発射制御を担うものであり、遊技球発射機構110(詳しくはソレノイド111)は所定の発射条件が整っている場合に駆動される。より具体的には、電源・発射制御装置191には、遊技球発射ハンドル41に設けられた操作レベル検知センサとタッチセンサとが接続されている。操作レベル検知センサは、遊技球発射ハンドル41の操作量(回動量)を検知するセンサであり、この操作レベル検知センサからの情報に基づいて遊技球発射機構110による遊技球の発射強度(発射速度)が決定されることとなる。タッチセンサは、遊技者が遊技球発射ハンドル41に触れている場合に情報を出力する構成となっており、電源・発射制御装置191ではこの情報に基づいて遊技者が遊技球発射ハンドル41に触れているか否かを把握することができる構成となっている。タッチセンサからの情報に基づいて遊技者が遊技球発射ハンドル41に触れていると判定し、且つ操作レベル検知センサにて遊技球発射ハンドル41が操作されていると判定した場合に遊技球の発射が許可されることとなる。
<表示画面75aにおける図柄表示>
ここで、図6及び図7を参照して図柄表示装置75の表示内容について説明する。図6は図柄表示装置75の表示画面75aにおける表示内容を説明するための説明図、図7は図柄表示装置75の表示画面75aにおいて表示される図柄を説明するための説明図である。
図6に示すように、図柄表示装置75の表示画面75aには、上段・中段・下段の3つの図柄列Z1,Z2,Z3が設定されている。各図柄列Z1〜Z3は、主図柄と副図柄が所定の順序で配列されて構成されている。そして、表示画面75aでは、これら各図柄列Z1〜Z3の図柄が周期性をもって所定の向き(具体的には、右から左)にスクロールするように変動表示される。この場合、上図柄列Z1には、「1」〜「9」の9種類の主図柄が数字の降順に配列されるとともに、各主図柄の間に副図柄が1つずつ配されている。下図柄列Z3には、「1」〜「9」の9種類の主図柄が数字の昇順に配列されるとともに、各主図柄の間に副図柄が1つずつ配されている。つまり、上図柄列Z1と下図柄列Z3は18個の図柄により構成されている。これに対し、中図柄列Z2には、数字の昇順に「1」〜「9」の9種類の主図柄が配列された上で「9」の主図柄と「1」の主図柄との間に「4」の主図柄が付加的に配列され、これら各主図柄の間に副図柄が1つずつ配されている。つまり、中図柄列Z2に限っては、10個の主図柄が配されて20個の図柄により構成されている(図7参照)。
また、図6(b)に示すように、表示画面75aは、図柄列毎に3個の図柄が停止表示されるようになっており、結果として3×3の計9個の図柄が停止表示されるようになっている。また、表示画面75aには、5つの有効ライン、すなわち左ラインL1、中ラインL2、右ラインL3、右下がりラインL4、右上がりラインL5が設定されている。そして、上図柄列Z1→下図柄列Z3→中図柄列Z2の順に変動表示が停止し、いずれかの有効ラインに所定の図柄の組み合わせ(例えば同一の数字が付された図柄の組み合わせ)が形成された状態で全図柄列Z1〜Z3の変動表示が終了すれば、通常大当たり結果又は確変大当たり結果の発生として大当たり動画が表示されるようになっている。
なお、上記のように各図柄列の変動表示が停止されることに鑑みれば、上図柄列Z1を第1図柄列(又は第1絵柄列)、下図柄列Z3を第2図柄列(又は第2絵柄列)、中図柄列Z2を第3図柄列(又は第3絵柄列)と称することができる。
本パチンコ機10では、奇数番号(1,3,5,7,9)が付された主図柄は「特定図柄」に相当し、明示15R確変大当たり結果が発生する場合には、同一の特定図柄の組み合わせが上記有効ライン(図6参照)のうち1のライン上に停止表示され、その後に確変大当たりが発生した旨を明示する明示用画像が表示されるようになっている。
また、偶数番号(2,4,6,8)が付された主図柄は「非特定図柄」に相当し、明示15R通常大当たり結果が発生する場合には、同一の非特定図柄の組み合わせが上記有効ライン(図6参照)のうち1のライン上に停止表示され、その後に通常大当たりが発生した旨を明示する明示用画像が表示されるようになっている。
非明示4R通常大当たり結果又は非明示4R確変大当たり結果となった場合には、上図柄列と下図柄列とによって同一図柄の組み合わせが停止された状態にて、それら両図柄が待機している有効ラインと同一のライン上(後述するリーチライン上)に上記各種図柄と置換された特殊図柄等(チャンス図柄)が停止表示される。そして、非明示15R確変大当たり結果となった場合には、その大当たりの種別に関しては図柄表示装置75の表示画面75a上では明示されない構成となっている。つまり、表示画面75aに停止表示された図柄の組み合わせを目視で確認しても、今回の大当たり結果が通常大当たり結果及び確変大当たり結果の何れであるかを判断することができない構成となっている。
また、上述した主表示部Dの作動入球部用表示部DL,DRにおいては、当否抽選の結果が明示される。当該作動入球部用表示部DL,DRにおいては上述した大当たりの種別に関しても区別して表示されるが、各作動入球部用表示部DL,DRにおいては同作動入球部用表示部DL,DRを構成している複数のLEDを個々に点灯/消灯させることにより、また発色パターンを様々に変化させることにより各大当たりに対応する絵柄が多様になっている。これにより、当該作動入球部用表示部DL,DRを目視で確認したとしても、大当たりの種別を識別することが困難となっている。
なお、図柄表示装置75における図柄の変動表示の態様は上記のものに限定されることはなく任意であり、図柄列の数、図柄列における図柄の変動表示の方向、各図柄列の図柄数などは適宜変更可能である。例えば、複数の図柄列を横並びとなるように設定し、図柄列における図柄の変動表示の方向を縦方向に設定してもよい。
表示画面75aの下部、詳しくは個別に設定された上図柄列の変動表示領域と中図柄の変動表示領域と下図柄の変動表示領域とを有してなる変動表示領域MEの下方には、保留表示領域が設定されている。当該保留表示領域は、遊技球が下側作動口62aに入賞した場合の最大保留個数と同一の数の単位保留表示領域が左右方向に並ぶようにして区画表示された上作動口用の保留数表示領域Daと、遊技球が右側作動口63aに入賞した場合の最大保留個数と同一の数の単位保留表示領域が左右方向に並ぶようにして区画表示された下作動口用の保留数表示領域Dbとによって構成されている。
具体的には、遊技球が下側作動口62aに入賞した場合の最大保留個数は4個であり、これに対応させて下側作動口用の保留数表示領域Daには、第1単位保留表示領域、第2単位保留表示領域、第3単位保留表示領域、第4単位保留表示領域が設定されている。また、遊技球が右側作動口63aに入賞した場合の最大保留個数は4個であり、これに対応させて右側作動口用の保留数表示領域Dbには、第1単位保留表示領域、第2単位保留表示領域、第3単位保留表示領域、第4単位保留表示領域が設定されている。
例えば、遊技球が下側作動口62aに入賞した場合の保留個数が1個の場合には、第1単位保留表示領域のみにて所定の保留用画像が表示され、遊技球が下側作動口62aに入賞した場合の保留個数が4個の場合には、第1単位保留表示領域〜第4単位保留表示領域の全てにおいて所定の保留用画像が表示される構成となっている。なお、図6(b)においては、下側作動口62aにおける保留個数が3個であり、右側作動口63aにおける保留個数が2個である場合について例示している。
<各種カウンタについて>
次に、図8を参照して上述の如く構成されたパチンコ機10の動作について説明する。図8は当否抽選などに用いられる各種カウンタの内容を説明するための説明図である。
MPU602は遊技に際し各種カウンタ情報を用いて、大当たり発生抽選、主表示部Dの表示の設定(すなわち各種表示部DL,DR,DSにおける発光態様の設定)、図柄表示装置75の図柄表示の設定などを行うこととしており、具体的には、大当たり発生の抽選に使用する大当たり乱数カウンタC1と、確変大当たり結果や通常大当たり結果等の大当たり種別を判定する際に使用する大当たり種別カウンタC2と、図柄表示装置75にて外れ変動を実行する際のリーチ抽選に使用するリーチ乱数カウンタC3と、大当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する乱数初期値カウンタCINIと、主表示ユニット81の作動入球部用表示部DL,DR及び図柄表示装置75における変動表示時間を決定する変動種別カウンタCSとを用いることとしている。さらに、右側作動入球部63の電動役物71を電役開放状態とするか否かの抽選に使用する電動役物開放カウンタC4を用いることとしている。
各カウンタC1〜C3,CINI,CS,C4は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。各カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM604の所定領域に設定された抽選カウンタ用バッファ604aに適宜格納される。RAM604には、下側作動入球部用保留エリアRaと、右側作動入球部用保留エリアRbと、実行エリアAEと、総保留数記憶領域とよりなる保留球格納エリア604bが設けられている。そして、この保留球格納エリア604bに、下側作動入球部62又は右側作動入球部63への遊技球の入賞履歴に合わせて、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各値が時系列的に格納されるようになっている。
各カウンタについて詳しくは、大当たり乱数カウンタC1は、例えば0〜599の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり599)に達した後0に戻る構成となっている。特に大当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINIの値が当該大当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、乱数初期値カウンタCINIは、大当たり乱数カウンタC1と同様のループカウンタである(値=0〜599)。大当たり乱数カウンタC1は定期的に更新され、遊技球が下側作動入球部62又は右側作動入球部63に入賞したタイミングでRAM604の保留球格納エリア604bに格納される。より詳しくは、下側作動入球部62に遊技球が入賞したタイミングでRAM604の下側作動入球部用保留エリアRaに格納され、右側作動入球部63に遊技球が入賞したタイミングでRAM604の右側作動入球部用保留エリアRbに格納される。
大当たり当選となる乱数の値は、ROM603における当否情報群記憶手段としての当否テーブル記憶エリア603bに当否テーブル(当否情報群)として記憶されている。ここで、当否テーブルの内容について図9を用いて説明する。図9に示すように、当否テーブルとしては、図9(a)の低確率モード用の当否テーブル(低確率用当否情報群)と、図9(b)の高確率モード用の当否テーブル(高確率用当否情報群)とが設定されている。つまり、本パチンコ機10は、当否抽選手段における抽選モードとして、低確率モード(低確率状態)と高確率モード(高確率状態)とが設定されている。
上記抽選に際して低確率モード用の当否テーブルが参照されることとなる遊技状態下では、図9(a)に示すように、大当たり当選となる乱数の値(すなわち、当選情報)は「7」,「307」,「508」の3個である。つまり「0〜599」の大当たり乱数カウンタC1の値のうち「7」,「307」,「507」が大当たり結果に対応しており、1度の抽選による実質的な大当たり確率が1/200となっている。一方、上記抽選に際して高確率モード用の当否テーブルが参照されることとなる遊技状態下では、図9(b)に示すように、大当たり当選となる乱数の値(すなわち、当選情報)は「5」,「7」,「36」・・・「572」、「598」の30個である。つまり「0〜599」の大当たり乱数カウンタC1の値のうち「5」,「7」,「36」・・・「572」、「598」が大当たり結果に対応しており、1度の抽選による実質的な大当たり確率が1/20となっている。なお、低確率モードよりも高確率モードの方の当選確率が高くなるのであれば、上記当選となる乱数の数及び値は任意である。なお、各抽選モードにおいて、大当たり当選となる乱数の値以外は、外れとなる。
大当たり種別カウンタC2は、0〜29の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり29)に達した後0に戻る構成となっている。ここで、本実施の形態では、複数の大当たり結果が設定されている。これら複数の大当たり結果は、(1)開閉実行モードにおける可変入球装置65の開閉制御の態様、(2)開閉実行モード終了後の当否抽選手段における抽選モード、(3)開閉実行モード終了後の右側作動入球部63の電動役物71におけるサポートモード、という3つの条件に差違が設定されている。これにより、大別して4つの大当たりが設定されている。以下、上記各条件について説明する。
開閉実行モードにおける可変入球装置65の開閉制御の態様としては、開閉実行モードが開始されてから終了するまでの間における可変入球装置65への入賞の発生頻度が相対的に高低となるように高頻度入賞モードと低頻度入賞モードとが設定されている。
具体的には、高頻度入賞モードでは、開閉実行モードの開始から終了までに、可変入球装置65の大入賞口65aの開閉が15回(高頻度用回数)行われるとともに、1回の開放は30sec(高頻度時間)が経過するまで又は大入賞口65aへの入賞個数が10個(高頻度個数)となるまで継続される。一方、低頻度入賞モードでは、開閉実行モードの開始から終了までに、可変入球装置65の大入賞口65aの開閉が4回(低頻度用回数)行われるとともに、1回の開放は0.3sec(低頻度時間)が経過するまで又は大入賞口65aへの入賞個数が10個(低頻度個数)となるまで継続される。
この場合に、本パチンコ機10では、遊技球発射ハンドル41が遊技者により操作されている状況では、0.6secに1個の遊技球が遊技領域に向けて発射されるように遊技球発射機構110が駆動制御される。これに対して、低頻度入賞モードでは、上記のとおり1回の下側大入賞口64aの開放時間は0.3secとなっている。つまり、低頻度入賞モードでは、遊技球の発射周期よりも1回の大入賞口の開放時間が短くなっている。したがって、低頻度入賞モードにかかる開閉実行モードでは実質的に遊技球の入賞が発生しにくくなっている。
なお、高頻度入賞モード及び低頻度入賞モードにおける大入賞口の開閉回数、1回の開放に対する開放制限時間(又は開放制限期間)及び1回の開放に対する開放制限個数は、高頻度入賞モードの方が低頻度入賞モードよりも、開閉実行モードが開始されてから終了するまでの間における大入賞口への入賞の発生頻度が高くなるのであれば、上記の値に限定されることはなく任意である。但し、高頻度入賞モードと低頻度入賞モードとの間での特典の差異を明確にする上では、低頻度入賞モードにかかる開閉実行モードでは、実質的に可変入球装置への入賞が発生しない構成とするとよい。
右側作動入球部63の電動役物71におけるサポートモードとしては、遊技領域PEに対して同様の態様で遊技球の発射が継続されている状況で比較した場合に、右側作動入球部63の電動役物71が単位時間当たりに開放状態となる頻度が相対的に高低となるように、低頻度サポートモード(低頻度サポート状態又は低頻度ガイド状態)と高頻度サポートモード(高頻度サポート状態又は高頻度ガイド状態)とが設定されている。
低頻度サポートモードと高頻度サポートモードとでは、電動役物開放カウンタC4を用いた電動役物開放抽選(サポート抽選)における電役開放状態当選(サポート当選)となる確率が異なっている。具体的には、高頻度サポートモードにおいては低頻度サポートモードよりもサポート抽選に当選する確率が高くなるように設定されている。より詳しくは、本実施の形態においては、高頻度サポートモード中にスルーゲート66への入賞が発生した場合にサポート抽選に当選する確率は100%となっており、低頻度サポートモード中にスルーゲート66への入賞が発生した場合にサポート抽選に当選する確率は20%となっている。
また、高頻度サポートモード及び低頻度サポートモードにおいては、サポート抽選に当選した場合に電動役物71が開放状態となる回数が同じ(詳しくは3回)となるように設定されている一方、1回当たりの開放時間に差が設定されている。具体的には、高頻度サポートモードにおいては1回の開放時間が5secとなるように設定されているのに対して低頻度サポートモードにおいては1回の開放時間が0.15secとなるように設定されている。
更には、高頻度サポートモードでは1回のサポート抽選が行われてから次のサポート抽選が行われる上で最低限確保される確保時間が2secであるのに対して、低頻度サポートモードでは同確保時間が12secとなるように差が設定されている。
上記のように高頻度サポートモードでは、低頻度サポートモードよりも右側作動入球部63の右側作動口63aへの入賞が発生する確率が高くなる。換言すれば、低頻度サポートモードでは、右側作動入球部63(右側作動口63a)よりも下側作動入球部62(下側作動口62a)への入賞が発生する確率が高くなるが、高頻度サポートモードでは、下側作動入球部62(下側作動口62a)よりも右側作動入球部63(右側作動口63a)への入賞が発生する確率が高くなる。そして、右側作動入球部63(右側作動口63a)への入賞が発生した場合には、所定個数の遊技球の払出が実行されるため、高頻度サポートモードでは、遊技者は持ち球をあまり減らさないようにしながら遊技を行うことができる。
なお、高頻度サポートモードを低頻度サポートモードよりも単位時間当たりに電役開放状態となる頻度を高くする上での構成は、上記のものに限定されることはなく、例えばサポート抽選に当選した場合の開放回数に差を設定してもよい。さらには、開放回数、開放時間及び当選確率のうち、いずれか1条件又は任意の組み合わせの条件を相違させることで、高頻度サポートモードと低頻度サポートモードとの設定を行う構成としてもよい。
大当たり種別カウンタC2は定期的に更新され、下側作動入球部62(下側作動口62a)又は右側作動入球部63(右側作動口63a)に遊技球が入賞したタイミングでRAM604の保留球格納エリア604bに格納される。より詳しくは、下側作動入球部62(下側作動口62a)に遊技球が入賞したタイミングでRAM604の下側作動入球部用保留エリアRaに格納され、右側作動入球部63(右側作動口63a)に遊技球が入賞したタイミングでRAM604の右側作動入球部用保留エリアRbに格納される。
<遊技結果の振り分け>
大当たり種別カウンタC2に対する遊技結果の振分先(すなわち、当否抽選及び振分抽選による抽選結果)は、ROM603における振分情報群記憶手段としての振分テーブル記憶エリア603cに振分テーブル(振分情報群)として記憶されている。ここで、振分テーブルの内容について図10を用いて説明する。図10に示すように、振分テーブルとしては、図10(a)の下側作動入球部用の振分テーブル(第1振分情報群)と、図10(b)の右側作動入球部用の振分テーブル(第2振分情報群)とが設定されている。
下側作動入球部用の振分テーブルでは、図10(a)に示すように、遊技結果の振分先として、明示15R通常大当たり結果(低確率対応遊技結果)、非明示4R通常大当たり結果(低確率対応遊技結果)、非明示4R確変大当たり結果(高確率対応遊技結果)、明示15R確変大当たり結果(高確率対応遊技結果)が設定されている。
明示15R通常大当たり結果は、開閉実行モードとして高頻度入賞モードが実行され、開閉実行モードの終了後には、当否抽選モードが低確率モードとなるとともにサポートモードが高頻度サポートモードとなる大当たり結果である。この高頻度サポートモードについては、当該モード中に実行された遊技回が100回に到達するまで継続される。
非明示4R通常大当たり結果は、開閉実行モードとして低頻度入賞モードが実行され、開閉実行モードの終了後には、当否抽選モードが低確率モードとなるとともにサポートモードが低頻度サポートモードとなる大当たり結果である。
非明示4R確変大当たり結果は、開閉実行モードとして低頻度入賞モードが実行され、開閉実行モードの終了後には、当否抽選モードが高確率モードとなるとともにサポートモードが低頻度サポートモードとなる大当たり結果である。この高確率モードについては、当該モード中に大当たりに当選するまで継続される。
明示15R確変大当たり結果は、開閉実行モードとして高頻度入賞モードが実行され、開閉実行モードの終了後には、当否抽選モードが高確率モードとなるとともにサポートモードが高頻度サポートモードとなる大当たり結果である。これら高確率モード及び高頻度サポートモードについては、同モード中に大当たりに当選するまで継続される。
下側作動入球部用の振分テーブルでは、「0〜29」の大当たり種別カウンタC2の値のうち、「0〜4」が明示15R通常大当たり結果に対応しており、「5〜9」が非明示4R通常大当たり結果に対応しており、「10〜19」が非明示4R確変大当たり結果に対応しており、「20〜29」が非明示4R通常大当たり結果に対応しており、「45〜49」が明示15R通常大当たり結果に対応している。
一方、右側作動入球部用の振分テーブルでは、図10(b)に示すように、遊技結果の振分先として、明示15R通常大当たり結果(低確率対応遊技結果)、明示15R確変大当たり結果(高確率対応遊技結果)が設定されている。つまり、所謂右打ちを行なっている状態では実質的な出球の期待できない非明示4R大当たりへの振分が回避される構成となっている。
なお、以下の説明では、当否抽選モードが低確率モードであり且つサポートモードが低頻度サポートモードである状態を「通常遊技状態」、当否抽選モードが高確率モードであり、サポートモードが高頻度サポートモードである状態を「確変遊技状態」、当否抽選モードが低確率モードであり、サポートモードが高頻度サポートモードである状態を「時短遊技状態」、当否抽選モードが高確率モードであり、サポートモードが低頻度サポートモードである状態を「潜伏遊技状態」と称する。
再び図8を参照し、リーチ乱数カウンタC3は、例えば0〜238の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり238)に達した後0に戻る構成となっている。リーチ乱数カウンタC3は定期的に更新され、遊技球が下側作動入球部62(下側作動口62a)又は右側作動入球部63(右側作動口63a)に入賞したタイミングでRAM604の保留球格納エリア604bに格納される。より詳しくは、下側作動入球部62(下側作動口62a)に遊技球が入賞したタイミングでRAM604の下側作動入球部用保留エリアRaに格納され、右側作動入球部63(右側作動口63a)に遊技球が入賞したタイミングでRAM604の右側作動入球部用保留エリアRbに格納される。そして、ROM603のリーチ用テーブル記憶エリアに記憶されたリーチ用テーブルに基づいてリーチを発生させるか否かを決定することとしている。
但し、開閉実行モードに移行する遊技回(当否抽選に当選となる遊技回)においては、MPU602では、後述する特殊遊技状態を除いてリーチ乱数カウンタC3の値に関係なくリーチ発生の決定を行う。なお、リーチ表示の発生に対応したリーチ乱数カウンタC3の数は、各遊技状態において同一となっているが、遊技状態に応じて各々個別に設定されるものであってもよい。例えば、サポートモードが高頻度サポートモードである場合の方が、低頻度サポートモードよりも、リーチ表示の発生に対応したリーチ乱数カウンタC3の数が多く設定された構成としてもよい。
ここで、リーチ表示(リーチ状態)とは、図柄(絵柄)の変動表示(又は可変表示)を行うことが可能な図柄表示装置75を備え、遊技結果が開閉実行モード対応の遊技結果となった遊技回では変動表示後の停止表示結果が特別表示結果となり得る遊技機において、図柄表示装置75における図柄(絵柄)の変動表示(又は可変表示)が開始されてから停止表示結果が導出表示される前段階で、前記特別表示結果となり易い変動表示状態であると遊技者に思わせるための表示状態をいう。
換言すれば、図柄表示装置75の表示画面75aに表示される複数の図柄列のうち一部の図柄列について図柄を停止表示させることで、開閉実行モードの発生に対応した図柄の組み合わせが成立する可能性があるリーチ図柄の組み合わせを表示し、その状態で残りの図柄列において図柄の変動表示を行う表示状態のことである。
より具体的には、図柄の変動表示を終了させる前段階として、図柄表示装置75の表示画面75a内の予め設定された有効ライン上に、開閉実行モードの発生に対応した図柄の組み合わせが成立する可能性のあるリーチ図柄の組み合わせを停止表示させることによりリーチラインを形成させ、当該リーチラインが形成されている状況下において最終停止図柄列により図柄の変動表示を行うことである。
表示画面75aにおける表示内容について更に詳しく説明すると、最初に右図柄列において図柄の変動表示が終了され、さらに左図柄列において図柄の変動表示が終了された状態において、いずれかの有効ラインに当たり図柄の組み合わせを構成する数字が付された主図柄が停止表示されることでリーチラインが形成され、当該リーチラインが形成されている状況化において中図柄列にて図柄の変動表示が行われることでリーチ表示となる。そして、大当たり発生時には、リーチラインを形成している主図柄とともに当たり図柄の組み合わせを構成する数字が付された主図柄がリーチライン上に停止表示されるようにして中図柄列における図柄の変動表示が終了される。
また、リーチ表示には、上記のようにリーチ図柄の組み合わせを表示した状態で、残りの図柄列において図柄の変動表示を行うとともに、その背景画面において所定のキャラクタなどを動画として表示することによりリーチ演出を行うものや、リーチ図柄の組み合わせを縮小表示させる又は非表示とした上で、表示画面の略全体において所定のキャラクタなどを動画として表示することによりリーチ演出を行うものが含まれる。また、リーチ表示が行われている場合又はリーチ表示の前に所定のキャラクタといった所定画像を用いた予告表示を行うか否かの決定を、リーチ乱数カウンタC3やその他のカウンタを用いて行うようにしてもよい。
変動種別カウンタCSは、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり198)に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCSは、主表示ユニット81(主表示部D)の右側作動入球部用表示部DR及び右側作動入球部用表示部DRにおける変動表示時間と、図柄表示装置75における図柄の変動表示時間とをMPU602において決定する上で用いられる。変動種別カウンタCSは、後述する通常処理が1回実行される毎に1回更新され、当該通常処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。そして、右側作動入球部用表示部DR及び右側作動入球部用表示部DRにおける変動表示の開始時及び図柄表示装置75による図柄の変動開始時における変動パターン決定に際して変動種別カウンタCSのバッファ値が取得される。
電動役物開放カウンタC4は、例えば、0〜250の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり250)に達した後0に戻る構成となっている。電動役物開放カウンタC4は定期的に更新され、スルーゲート66に遊技球が入賞したタイミングでRAM604の電役保留エリア604cに格納される。そして、所定のタイミングにおいて、その格納された電動役物開放カウンタC4の値によって右側作動入球部63の電動役物71を開放状態に制御するか否かの抽選が行われる。例えば、C4=0〜190であれば、電動役物71を開放状態に制御し、C4=191〜250であれば、電動役物71を開放状態に制御しない。
既に説明したように、MPU602では、少なくとも変動種別カウンタCSのバッファ値を用いて、右側作動入球部用表示部DR及び右側作動入球部用表示部DRにおける変動表示時間が決定されるが、その決定に際してはROM603の変動表示時間テーブル記憶エリア603dが用いられる。また、MPU602では、実行エリアAEに格納されている大当たり乱数カウンタC1の値及び大当たり種別カウンタC2の値を用いて、右側作動入球部用表示部DR及び右側作動入球部用表示部DRにおける停止結果が決定されるが、その決定に際してはROM603の停止結果テーブル記憶エリア603eが用いられる。
<主制御基板601のMPU602にて実行される各種処理について>
次に、主制御基板601のMPU602により実行される各制御処理を説明する。MPU602の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、メイン処理終了後に実行される通常処理と、通常処理に対して定期的に割り込んで起動されるタイマ割込み処理とがあり、説明の便宜上、はじめにタイマ割込み処理を説明し、その後通常処理を説明する。
<タイマ割込み処理>
先ず、タイマ割込み処理について、図11のフローチャートを参照しながら説明する。本処理はMPU602により定期的に(例えば2msec周期で)起動される。
ステップS101では、各種検知センサ例えば(上記検知センサ151a〜151e)の読み込み処理を実行する。すなわち、主制御装置162に接続されている各種検知センサの状態を読み込むとともに、当該検知センサの状態(検知センサからの検知情報)を判定して検出情報(入賞検知情報)を保存する。例えば、下側作動口62aへの入球が発生したと判定した場合には、RAM604の各種フラグ格納エリア604eに下側作動入球部用の入賞検知フラグを格納し、右側作動口63aへの入球が発生したと判定した場合には、同各種フラグ格納エリア604eに右側作動入球部用の入賞検知フラグを格納する。また、スルーゲート66を遊技球が通過したと判定した場合には、RAM604の各種フラグ格納エリア604eにスルーゲート用の入賞検知フラグを格納する。
その後、ステップS102では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1インクリメントするとともに、そのカウンタ値が最大値に達した際0にクリアする。そして、乱数初期値カウンタCINIの更新値を、RAM604の該当するバッファ領域に格納する。
続くステップS103では、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3及び電動役物開放カウンタC4の更新を実行する。具体的には、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3及び電動役物開放カウンタC4をそれぞれ1インクリメントすると共に、それらのカウンタ値が最大値に達した際それぞれ0にクリアする。そして、各カウンタC1〜C4の更新値を、RAM604の該当するバッファ領域に格納する。
続くステップS104では、スルーゲート66への入賞に伴うスルー用の入賞処理を実行する。スルー用の入賞処理では、RAM604の各種フラグ格納エリア604eにスルーゲート用の入賞検知フラグが格納されているか否かを判定し、同フラグが格納されている場合には電役保留エリアに記憶されている役物保留記憶数が4未満であることを条件として、前記ステップS103にて更新した電動役物開放カウンタC4の値を電役保留エリアに格納する。そして、各種フラグ格納エリア604eにスルーゲート用の入賞検知フラグが格納されている場合には、同入賞検知フラグを消去して当該スルーゲート用の入賞処理を終了する。
ステップS104のスルーゲート用の入賞処理を実行した後はステップS105に進み、当該ステップS105にて作動入球部62,63(作動口62a,63a)への入賞に伴う作動入球部用の入賞処理を実行し、本タイマ割込み処理を終了する。
<作動入球部用の入賞処理>
ここで、図12及び図13のフローチャートを参照して作動入球部用の入賞処理について説明する。
ステップS201では、遊技球が下側作動入球部62(下側作動口62a)に入賞(始動入賞)したか否かをRAM604の各種フラグ格納エリア604eに下側作動入球部用の入賞検知フラグが格納されているか否かによって判定する。同入賞検知フラグが格納されていると判定した場合、すなわち遊技球が下側作動入球部62(下側作動口62a)への入賞が発生した旨の検知信号を受信した場合には、ステップS202に進み、払出制御装置181に遊技球を3個払い出させるための賞球コマンドをセットする。
続くステップS203では、下側作動入球部62(下側作動口62a)に遊技球が入賞した旨を示す情報を遊技ホール側のホールコンピュータHCに対して信号出力すべく外部信号設定処理を行う。これにより、下側作動入球部62(下側作動口62a)への入賞が発生した旨がホールコンピュータHCにて把握される。
その後、ステップS204では、下側作動入球部用の保留エリアRaの保留数記憶領域に格納された値を読み出し、当該保留エリアRaに保留記憶されている始動保留記憶数RaNをセットする(以下、下側作動入球部用始動保留記憶数RaNともいう)。その後、ステップS205では、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各値を格納する情報取得処理を行い、本入賞処理を終了する。
一方、ステップS201にて遊技球が下側作動入球部62(下側作動口62a)に入賞していないと判定した場合にはステップS206に進む。ステップS206では、RAM604の各種フラグ格納エリア604eに右側作動入球部用の入賞検知フラグが格納されているか否かによって判定する。同入賞検知フラグが格納されていると判定した場合、すなわち遊技球が右側作動入球部63への入賞が発生した旨の検知信号を受信した場合には、ステップS207に進み、払出制御装置181に遊技球を4個払い出させるための賞球コマンドをセットする。なお、ステップS202,S207にてセットした賞球コマンドは、後述する通常処理の外部出力処理S401にて払出制御装置181に送信される。
続くステップS208では、右側作動入球部63(右側作動口63a)に遊技球が入賞した旨を示す情報を遊技ホール側のホールコンピュータHCに対して信号出力すべく外部信号設定処理を行う。これにより、右側作動入球部63(右側作動口63a)への入賞が発生した旨がホールコンピュータHCにて把握される。
その後、ステップS209では、右側作動入球部用の保留エリアRbの保留数記憶領域に格納された値を読み出し、当該保留エリアRbに保留記憶されている始動保留記憶数RbNをセットする(以下、右側作動入球部用始動保留記憶数RbNともいう)。その後、ステップS205にて情報取得処理を行い、本入賞処理を終了する。
一方、ステップS201,S206の両処理にてそれぞれ否定判定をした場合、すなわち下側作動入球部62及び右側作動入球部63のいずれにも遊技球が入賞しなかった場合には、そのまま本入賞処理を終了する。
ここで、図14を参照して、ステップS205の情報取得処理について説明する。
<情報取得処理>
情報取得処理においては先ずステップS301にて、上述したステップS204又はステップS209にてセットした始動保留記憶数N(RaN又はRbN)が上限値(本実施の形態では4)未満であるか否かを判定する。始動保留記憶数Nが上限値である場合にはそのまま本情報取得処理を終了し、上限値未満である場合には、ステップS302にて対応する結果表示部用保留エリアの始動保留記憶数Nを1インクリメントするとともに、ステップS303にて総保留数記憶領域に格納された値(以下、共通保留数CRNと言う)を1インクリメントする。
続くステップS304では、上記ステップS103にて更新した大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3及び変動種別カウンタCSの各値を、対応する結果表示部用保留エリアの空き記憶領域エリアのうち最初の記憶エリア、すなわち上記ステップS302にて1インクリメントした保留記憶数と対応する記憶エリアに格納する。
つまり、下側作動入球部用の始動保留記憶数RaNがセットされている場合には、前記ステップS103にて更新した大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3及び変動種別カウンタCSの各値を、下側作動入球部用の保留エリアRaの空き記憶エリアのうち最初の記憶エリア、すなわち上記ステップS302にて1インクリメントした下側作動入球部用の始動保留記憶数RaNと対応する保留エリアRaに格納する。
また、右側作動入球部用の始動保留記憶数RbNがセットされている場合には、上記ステップS103にて更新した大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各値を、右側作動入球部用の保留エリアRbの空き記憶エリアのうち最初の記憶エリア、すなわち上記ステップS302にて1インクリメントした右側作動入球部用の始動保留記憶数RbNと対応する保留エリアRbに格納する。
続くステップS305及びステップS306では、下側作動入球部62又は右側作動入球部63への入賞が発生したことをサブ側(副側)の制御装置である報知・演出制御装置610及び表示制御装置620に認識させるための処理である保留情報の確認処理及び保留コマンドの設定処理を実行する。その後、上記入賞検知フラグが格納されている場合には同フラグを消去し、本情報取得処理を終了する。
ステップS306の保留コマンドの設定処理にて設定された保留コマンドは後述する通常処理の外部出力処理(ステップS401)にて報知・演出制御装置610に送信されることとなる。なお、ステップS305,S306の各処理についての詳細な説明は後述する。
<通常処理>
次に、通常処理の流れを図14のフローチャートを参照しながら説明する。通常処理は電源投入に伴い起動されるメイン処理が実行された後に開始される処理であり、通常処理では遊技の主要な処理が実行される。その概要として、ステップS401〜S407の処理が4msec周期の定期処理として実行され、その残余時間でステップS409,S410のカウンタ更新処理が実行される構成となっている。
通常処理において、ステップS401では、タイマ割込み処理又は前回の通常処理で設定したコマンド等の出力データをサブ側の各制御装置に送信する。具体的には、賞球コマンドの有無を判定し、賞球コマンドが設定されていればそれを払出制御装置181に送信する。また、変動開始コマンド、種別コマンド、変動終了コマンド等の遊技回用の演出に対応したコマンドや開閉実行モード用の演出に対応したコマンドといった演出用のコマンドが設定されている場合にはそれを報知・演出制御装置610に送信する。また、RAM604の外部出力バッファに設定されている情報に応じて、外部端子板213に対する出力設定を行う。
次に、ステップS402では、変動種別カウンタCSの更新を実行する。具体的には、変動種別カウンタCSを1インクリメントするとともに、カウンタ値が最大値に達した際にはカウンタ値を0にクリアする。そして、変動種別カウンタCSの更新値を、RAM604の該当するバッファ領域に格納する。
続くステップS403では、各遊技回の遊技を進行させるための遊技回制御処理を実行する。この遊技回制御処理では、大当たり等の当否判定及び大当たり種別の振分判定を行うとともに、図柄表示装置75による図柄の変動表示の設定、主表示ユニット81(主表示部D)における作動入球部用表示部DL,DRなどの表示制御などを行う。
その後、ステップS404では、遊技状態を移行させるための遊技状態移行処理を実行する。詳細は後述するが、この遊技状態移行処理により、遊技状態が開閉実行モード、高確率モード、高頻度サポートモードなどに移行する。
ステップS405では、右側作動入球部63に設けられた電動役物71を駆動制御するための電役サポート用処理を実行する。この電役サポート用処理では、RAM604の電役保留エリア604cに格納されている電動役物開放カウンタC4から取得した数値情報を用いて電動役物71を開放状態とするか否かの電役開放抽選(サポート抽選)を行うとともに、電役開放状態当選となった場合には電動役物71の開閉処理を実行する。また、電役開放抽選の抽選結果を教示するように、主表示ユニット81(主表示部D)におけるスルーゲート用表示部DSの表示制御を行う。
既に説明したとおり、電動役物71によるサポートの態様として、低頻度サポートモード及び高頻度サポートモードが設定されており、遊技状態移行処理にていずれかのサポートモードへの移行が行われる。この場合、RAM604の各種フラグ格納エリア604eに高頻度サポートフラグがセットされている場合は高頻度サポートモードとなり、当該フラグがセットされていない場合には低頻度サポートモードとなる。
電役サポート用処理では、RAM604の各種フラグ格納エリア604eに高頻度サポートフラグがセットされているか否かを判定することで、高頻度サポートモードであるか否かを判定する。そして、高頻度サポートモードである場合には低頻度サポートモードの場合よりも、電役開放状態当選となった際に、電動役物71が開放状態となる回数を多く設定するとともに、1回の開放時間を長く設定する。また、高頻度サポートモードである場合は、電役開放状態当選となり電動役物71の開放状態が複数回発生する場合において、1回の開放状態が終了してから次の開放状態が開始されるまでの閉鎖時間が、1回の開放時間よりも短くなるように設定する。
ちなみに、開閉実行モードに移行した場合には、RAM604の各種フラグ格納エリア604eに高頻度サポートフラグがセットされていたとしても、サポートモードは強制的に低頻度サポートモードに設定される。
続くステップS406では、遊技球発射制御処理を実行する。遊技球発射制御処理では、遊技球発射ハンドル41に対して発射操作が行われていることに基づき電源・発射制御装置191から出力される発射許可信号を入力していることを条件として、所定の発射期間(例えば、0.6sec)に1回、遊技球発射機構110のソレノイド111を励磁する。これにより、遊技球が遊技領域に向けて打ち出される。
続くステップS407では、RAM604に停電フラグがセットされているか否かを判定する。停電フラグは、停電監視基板605において停電の発生が確認され当該停電監視基板605からMPU602のNMI端子に停電信号が入力されることによりセットされ、次回のメイン処理にて消去されるフラグである。
停電フラグがセットされていない場合は、繰り返し実行される複数の処理の最後の処理が終了したこととなるので、ステップS408にて次の通常処理の実行タイミングに至ったか否か、すなわち前回の通常処理の開始から所定時間(本実施形態では4msec)が経過したか否かを判定する。そして、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間内において、乱数初期値カウンタCINI及び変動種別カウンタCSの更新を繰り返し実行する。つまり、ステップS409では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行するとともに、ステップS410では、変動種別カウンタCSの更新を実行する。
ここで、ステップS401〜S406の各処理の実行時間は遊技の状態に応じて変化するため、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間は一定でなく変動する。故に、かかる残余時間を使用して乱数初期値カウンタCINIの更新を繰り返し実行することにより、乱数初期値カウンタCINI(すなわち、大当たり乱数カウンタC1の初期値)をランダムに更新することができ、同様に変動種別カウンタCSについてもランダムに更新することができる。
一方、ステップS407にて、停電フラグがセットされていると判定した場合は、電源遮断が発生したことになるので、ステップS411以降の電断時処理を実行する。つまり、ステップS411では、タイマ割込み処理の発生を禁止し、その後、ステップS411にてRAM判定値を算出、保存し、ステップS413にてRAM604のアクセスを禁止した後に、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。
<遊技回制御処理>
ここで、ステップS403の遊技回制御処理を図15〜図17のフローチャートを参照して説明する。
遊技回制御処理においては先ず、図15のフローチャートに示すように、ステップS501にて開閉実行モード中か否かを判定する。開閉実行モード中である場合には、ステップS502以降の処理、すなわちステップS503〜ステップS505の遊技回開始用処理及びステップS506〜ステップS509の遊技回進行処理のいずれも実行することなく、本遊技回制御処理を終了する。
開閉実行モード中でない場合には、ステップS502にて、主表示部Dの作動入球部用表示部DL,DRが変動表示中であるか否かを判定する。作動入球部用表示部が変動表示中でない場合には、ステップS503〜ステップS505の遊技回開始用処理に進む。遊技回開始用処理では、先ずステップS503にて、始動保留球の総数(共通保留数CRN)が「0」か否かを判定する。共通保留数CRNが「0」である場合とは、保留球格納エリア604bに保留情報が記憶されていないことを意味する。したがって、そのまま本遊技回制御処理を終了する。
一方、共通保留数CRNが「0」でない場合には、ステップS504にて下側作動入球部用保留エリアRa又は右側作動入球部用保留エリアRbに記憶されているデータに基づいて変動表示用に設定するためのデータ設定処理を実行する。
<データ設定処理>
データ設定処理では、先ず下側作動入球部用保留エリアRa及び右側作動入球部用保留エリアRbに記憶された保留情報のうち最も古いものがどちらの保留エリアRa,Rbに格納されているかを判定する。そして、上述した最も古い保留情報が格納されている保留エリアを対象として、以下の処理を実行する。なお、以下の説明においては、先ず下側作動入球部用保留エリアRaが対象となった場合について説明し、その後、右側作動入球部用保留エリアRbが対象となった場合について説明する。
ステップS601にて、下側作動入球部用保留エリアRaの始動保留球数RaN及び共通保留数CRNを1ディクリメントし、続くステップS602にて当該下側作動入球部用保留エリアRaの第1エリアに格納されたデータを実行エリアAEに移動する。
その後、ステップS603にて下側作動入球部用保留エリアRaの各エリアに格納されたデータ(すなわち、保留情報)をシフトさせる処理を実行する。このデータシフト処理は、第1エリア〜第4エリアに格納されているデータを下位エリア側に順にシフトさせる処理であって、第1エリアのデータをクリアするとともに、第2エリア→第1エリア、第3エリア→第2エリア、第4エリア→第3エリアといった具合に各エリア内のデータがシフトされる。
続くステップS604にて保留エリアのデータのシフトが行われたことを報知・演出制御装置610及び表示制御装置620に認識させるための情報であるシフト時コマンドを設定する。その後、本データ設定処理を終了する。このようにして設定されたシフト時コマンドは、通常処理(図14)におけるステップS401にて、報知・演出制御装置610を経由し、表示制御装置620に送信される。表示制御装置620では、シフト時コマンドを受信することで、下側作動入球部用の保留数表示領域Daにおける表示を、保留個数の減少に対応させて変更するための処理を実行する。
一方、右側作動入球部用保留エリアRbが対象となった場合についても同様に、先ず右側作動入球部用保留エリアRbの始動保留球数RbN及び共通保留数CRNを1ディクリメントし、右側作動入球部用保留エリアRbの第1エリアに格納されたデータを実行エリアAEに移動する。
その後、右側作動入球部用保留エリアRbの各エリアに格納されたデータ(すなわち、保留情報)をシフトさせる処理を実行する。このデータシフト処理は、第1エリア〜第4エリアに格納されているデータを下位エリア側に順にシフトさせる処理であって、第1エリアのデータをクリアするとともに、第2エリア→第1エリア、第3エリア→第2エリア、第4エリア→第3エリアといった具合に各エリア内のデータがシフトされる。
続いて、保留エリアのデータのシフトが行われたことを報知・演出制御装置610及び表示制御装置620に認識させるための情報であるシフト時コマンドを設定する。その後、本データ設定処理を終了する。このようにして設定されたシフト時コマンドは、通常処理(図14)におけるステップS401にて、報知・演出制御装置610を経由し、表示制御装置620に送信される。表示制御装置620では、シフト時コマンドを受信することで、右側作動入球部用の保留数表示領域Dbにおける表示を、保留個数の減少に対応させて変更するための処理を実行する。
以上詳述したデータ設定処理を行った後は、ステップS505にて主表示ユニット81(詳しくは主表示部Dの作動入球部用表示部DL,DR)における変動表示及び図柄表示装置75における変動表示を開始させるための変動開始処理を実行した後に、本遊技回制御処理を終了する。
<変動開始処理>
次に、ステップS505の変動開始処理について、図17のフローチャートを参照して説明する。
変動開始処理では、先ずステップS701にて、今回の変動開始処理にて参照した保留情報が大当たり当選に対応しているか否かを判定するための当否判定処理を実行する。当否判定処理では、先ず当否抽選モードが高確率モードであるか否かを判定する。具体的には、RAM604の各種フラグ格納エリア604eに高確率モードフラグが格納されているか否かによって判定する。高確率モードフラグは、開閉実行モード終了時に当該開閉実行モードの契機となった大当たり結果が確変大当たり結果である場合に各種フラグ格納エリア604eに格納され、次回の大当たりが発生した場合に消去されるフラグである。
高確率モードであると判定した場合には当否テーブル記憶エリア603bに記憶されているテーブルのうち高確率モード用の当否テーブルを参照して、実行エリアAEに格納された情報のうち当否判定用の情報、すなわち大当たり乱数カウンタC1にかかる数値情報が高確率用の大当たり数値情報と一致しているか否かを判定する。また、低確率モードであると判定した場合には当否テーブル記憶エリア603bに記憶されているテーブルのうち低確率モード用の当否テーブルを参照して、実行エリアAEに格納されている大当たり乱数カウンタC1にかかる数値情報が低確率用の大当たり数値情報と一致しているか否かを判定する。
続くステップS702では、ステップS701における当否判定処理の結果が大当たり当選に対応した結果であるか否かを判定する。大当たり当選に対応した結果である場合には、ステップS703にて種別判定処理を実行する。
種別判定処理では、実行エリアAEに格納された情報のうち種別判定用の情報、すなわち大当たり種別カウンタC2によって更新された情報から取得した情報を把握するとともに、今回の数値情報が下側作動入球部62への入球に基づくものであるかそれとも右側作動入球部への入球に基づくものであるかを判定する。
大当たり種別カウンタC2にかかる数値情報が下側作動入球部62への入球に基づいた数値情報である場合には、振分テーブル記憶エリア603cに記憶されている振分テーブルのうち下側作動入球部用の振分テーブルを参照して、上記把握した大当たり種別カウンタC2にかかる数値情報がいずれの大当たり結果に対応しているのかを特定する。具体的には、明示15R確変大当たり結果,明示15R通常大当たり結果,非明示4R確変大当たり結果,非明示4R通常大当たり結果のうちいずれの大当たり結果に対応しているのかを特定する。
大当たり種別カウンタC2にかかる数値情報が右側作動入球部63への入球に基づいた数値情報である場合には、振分テーブル記憶エリア603cに記憶されている振分テーブルのうち右側作動入球部用の振分テーブルを参照して、上記把握した大当たり種別カウンタC2にかかる数値情報がいずれの大当たり結果に対応しているのかを特定する。具体的には、明示15R確変大当たり結果,明示15R通常大当たり結果のうちいずれの大当たり結果に対応しているのかを特定する。
続くステップS704では、ステップS703における種別判定処理において特定した情報に基づいて今回の大当たり当選の種別が確変大当たり結果であるか否かを判定する。明示15R確変大当たり結果又は非明示確変大当たり結果である場合には、ステップS705にて確変大当たり用の停止結果設定処理を実行し、確変大当たり結果でない場合(すなわち明示15R通常大当たり結果又は非明示4R通常大当たり結果である場合)には、ステップS706にて通常大当たり用の停止結果設定処理を実行する。また、ステップS702にて大当たり当選ではないと判定した場合には、ステップS707にて外れ時用の停止結果設定処理を実行する。
なお、既に説明したように明示15R確変大当たり結果及び明示15R通常大当たり結果については、停止結果を目視で確認することにより、何れの大当たり結果であるかを容易に把握することが可能となっているが、非明示4R確変大当たり結果及び非明示4R通常大当たり結果について停止結果を目視で確認したとしても何れの大当たり結果であるかを把握困難又は把握不可となるように設定されている。つまり、明示大当たり結果に対応する停止結果と比較して非明示大当たり結果に対応する停止結果については識別性が低くなるように構成されている。
ステップS705〜ステップS707の各停止結果設定処理では、主表示部Dに最終的に停止表示させる絵柄の態様の情報を、ROM603の停止結果テーブル記憶エリア603eに記憶されている停止結果テーブルを参照して特定し、その特定した情報をRAM604に記憶する。また、ステップS705及びステップS706では、今回の遊技回の当否判定結果が、確変大当たり結果又は通常大当たり結果であることをMPU402にて特定するための情報をRAM604の各種フラグ格納エリア604eに格納する。具体的には、ステップS705では確変大当たりフラグを格納し、ステップS706では通常大当たりフラグを格納する。
ステップS705〜ステップS707のいずれかの処理を実行した後は、ステップS708にて、変動表示時間の設定処理を実行する。
<変動表示時間の設定処理>
<変動表示時間の設定処理>
変動表示時間の設定処理では、図18のフローチャートに示すように、先ずステップS801にて、上記当否抽選に当選しているか否かを判定する。具体的には、RAM604の各種フラグ格納エリア604eに確変大当たりフラグ又は通常大当たりフラグの何れかが格納されているか否かを判定する。
ステップS801にて否定判定をした場合、すなわち上記当否抽選の結果が外れ結果である場合には、ステップS802に進む。ステップS802では、今回の遊技回において図柄表示装置75にてリーチ表示が発生するか否かを判定する。具体的には、実行エリアAEに格納されているリーチ乱数カウンタC3の値がリーチ発生に対応した値である場合には、リーチ表示の発生として、ステップS802にて肯定判定をする。リーチ乱数カウンタC3の値を用いたリーチ発生の有無の特定に際しては、ROM603のリーチ判定用テーブル記憶エリアに記憶されているリーチ判定用テーブルを参照する。
ステップS801及びステップS802の何れか一方にて肯定判定をした場合にはステップS803に進み、ROM603の変動表示時間テーブル記憶エリア603dに記憶されているリーチ発生用変動表示時間テーブルを参照して今回の変動種別カウンタCSの値等に対応した変動表示時間情報を取得し、続くステップS804にてその変動表示時間情報をRAM604の各種カウンタエリア604dに設けられた変動表示時間カウンタエリア(変動表示時間計測手段)にセットする。その後、本設定処理を終了する。
つまり、本実施の形態においては、当否抽選の結果が大当たり当選結果である場合又は同当否抽選の結果が外れ結果となり且つリーチ発生用の抽選に当選した場合に、リーチ表示を実行する構成となっている。
ここで、リーチ表示には、変動表示態様が異なるノーマルリーチ表示とスーパーリーチ表示とが設けられている。リーチ発生用変動表示時間テーブルには、ノーマルリーチ表示及びスーパーリーチ表示それぞれに対応した変動表示時間情報が設定されており、当該テーブルを参照することによって、それぞれのリーチ表示に対応した変動表示時間情報が取得される。なお、リーチ表示の種類の決定に関しては、リーチ表示の種類と変動種別カウンタCSの値とが対応したテーブルが設けられており、当該テーブルを参照することで、今回の変動種別カウンタCSの値に対応したリーチ表示が決定される。
さらに、リーチ発生用変動表示時間テーブルは、大当たりの種別に対応している。具体的には、確変大当たり結果の場合に、特定図柄の組み合わせを停止表示できるように、変動表示時間が設定されているとともに、通常大当たり結果の場合に、非特定図柄の組み合わせを停止表示できるように、変動表示時間が設定されている。
一方、ステップS802にて否定判定をした場合には、ステップS805にて変動表示時間テーブル記憶エリア603dに記憶されているリーチ非発生用変動表示時間テーブルを参照して今回の変動種別カウンタCSの値に対応した変動表示時間を取得し、ステップS806にてその変動表示時間情報を上記変動表示時間カウンタエリアにセットする。その後、本設定処理を終了する。
なお、リーチ非発生時における変動表示時間情報は、始動保留球数Nの数が多いほど変動表示時間が短くなるように設定されている。但し、これに限定されることはなく、例えば、始動保留球数Nの数に依存しない構成としてもよく、始動保留球数Nの数が少ないほど変動表示時間が短くなるように設定されていてもよい。また、サポートモードが高頻度サポートモードである状況においては低頻度サポートモードである状況よりも、保留情報の数が同一である場合で比較して、短い変動表示時間が選択されるようにリーチ非発生用変動表示時間テーブルが設定されているが、これに限定されることはなく、選択される変動表示時間が同一であってもよく、上記の関係とは逆であってもよい。さらには、リーチ発生時における変動表示時間に対して、上記構成を適用してもよく、大当たり当選時と外れリーチ時とで選択され易い変動表示時間と選択され難い変動表示時間とが異なっている構成としてもよい。また、確変大当たり用の変動表示時間テーブル、通常大当たり用の変動表示時間テーブル、外れリーチ用の変動表示時間テーブル及び完全外れ用の変動表示時間テーブルがそれぞれ個別に設定されている構成としてもよい。
以上のとおり、各遊技回の変動表示時間は、リーチ発生の有無、リーチ表示の種類、保留情報の数及び変動種別カウンタの値等をパラメータとして決定される。但し、各遊技回の変動表示時間は、他の保留情報の内容、具体的には、他の保留情報に含まれる大当たり判定用の情報、種別判定用の情報及びリーチ判定用の情報をパラメータとすることなく決定される。
変動開始処理(図17)の説明に戻り、ステップS708にて変動表示時間の設定処理を実行した後は、ステップS709にて、変動用コマンド及び種別コマンドを設定する。変動用コマンドには、リーチ発生の有無の情報及び変動表示時間の情報が含まれる。また、種別コマンドには、遊技結果の情報が含まれる。つまり、種別コマンドには、遊技結果の情報として、確変大当たり結果の情報、通常大当たり結果の情報、外れ結果の情報などが含まれる。
ステップS709にて設定された変動用コマンド及び種別コマンドは、通常処理(図14)におけるステップS401にて、報知・演出制御装置610及び表示制御装置620に送信される。報知・演出制御装置610では、受信した変動用コマンド及び種別コマンドに基づいて、その遊技回における表示ランプ部24〜26の発光パターンやスピーカ部29からの音の出力パターンを決定し、その決定した演出の内容が実行されるように表示ランプ部24〜26及びスピーカ部29を制御する。
また、報知・演出制御装置610では、受信した変動用コマンド及び種別コマンドに基づいてその遊技回における図柄表示装置75での変動表示パターンを決定し、その決定した変動表示パターンが実行されるように、上記変動用コマンド及び種別コマンドをその情報形態を維持したまま変動表示パターンを特定するための情報を付加して表示制御装置620に送信する。その後、ステップS710にて主表示部Dの作動入球部用表示部DL,DRにおいて絵柄の変動表示を開始させた後に、本変動開始処理を終了する。
遊技回制御処理(図15)の説明に戻り、主表示部Dの作動入球部用表示部DL,DRが変動表示中である場合には、ステップS506〜ステップS509の遊技回進行用処理を実行する。遊技回進行用処理では、先ずステップS506にて、今回の遊技回の変動表示時間が経過したか否かを判定する。具体的には、RAM604の変動表示時間カウンタエリアに格納されている変動表示時間情報の値が「0」となったか否かを判定する。当該変動表示時間情報の値は、上述したように、変動表示時間の設定処理(図18)においてセットされる。また、このセットされた変動表示時間情報の値は、タイマ割込み処理(図11)が起動される度に、1ディクリメント(減算)される。
変動表示時間が経過していない場合には、ステップS507にて変動表示用処理を実行する。変動表示用処理では、主表示部Dの作動入球部用表示部DL,DRにおける表示態様を変更する。その後、本遊技回制御処理を終了する。
変動表示時間が経過している場合には、ステップS508にて変動終了処理を実行する。変動終了処理では、上記ステップS705〜ステップS707のいずれかの処理にてRAM604に記憶した情報を特定し、その情報に対応した絵柄が主表示部Dの作動入球部用表示部DL,DRにて停止表示されるように当該作動入球部用表示部DL,DRを制御する。
続くステップS509では、変動終了コマンドを設定する。その後、本遊技回制御処理を終了する。ステップS509にて設定された変動終了コマンドは、通常処理(図15)におけるステップS401にて、報知・演出制御装置610に送信される。報知・演出制御装置610では、受信した変動終了コマンドをその情報形態を維持したまま表示制御装置620に送信する。表示制御装置620では、当該変動終了コマンドを受信することにより、その遊技回における最終停止図柄の組み合わせを確定表示(最終停止表示)させる。
<遊技状態移行処理>
次に図19のフローチャートを参照して、ステップS404の遊技状態移行処理について説明する。
遊技状態移行処理においては、先ずステップS901にて、開閉実行モード中か否かを判定する。開閉実行モード中でない場合にはステップS902に進み、1の遊技回の主表示ユニット81(詳しくは作動入球部用表示部)における絵柄の変動表示が終了したタイミングか否かを判定する。変動表示が終了したタイミングでない場合には、そのまま本遊技状態移行処理を終了する。
変動表示が終了したタイミングである場合には、ステップS903にて、今回の遊技回の遊技結果が開閉実行モードへの移行に対応したものであるか否かを判定する。具体的には、RAM604に、通常大当たりフラグ又は確変大当たりフラグのいずれかが格納されているか否かを判定する。上記各フラグのいずれもが格納されていない場合には、そのまま本遊技状態移行処理を終了する。
上記各フラグのいずれかが格納されている場合には、ステップS904にて、RAM604の各種カウンタエリア604dに設けられたラウンドカウンタエリアRCに、15R対応大当たり結果である場合には「15」をセットし、4R対応大当たり結果である場合には「4」をセットする。ラウンドカウンタエリアRCは、可変入球装置65の大入賞口65aが開放された回数をカウントするためのカウンタエリアである。その後、本遊技状態移行処理を終了する。
一方、開閉実行モード中である場合には、ステップS901にて肯定判定をし、ステップS905に進む。ステップS905では、大入賞口開閉処理を実行する。大入賞口開閉処理では、大入賞口65aが閉鎖中である場合には、ラウンドカウンタエリアRCが「1」以上であることを条件として、可変入球駆動部65cを駆動状態とすることで大入賞口65aを開放させる。また、大入賞口65aが開放中である場合には、当該大入賞口65aの開放から所定時間が経過していること又は所定個数の遊技球が入賞していることを条件として、可変入球駆動部65cの駆動状態を停止し、大入賞口65aを閉鎖させる。
続くステップS906では、ラウンドカウンタエリアRCの値が「0」か否かを判定する。ラウンドカウンタエリアRCの値が「0」でない場合には、そのまま本遊技状態移行処理を終了する。ラウンドカウンタエリアRCの値が「0」である場合には、ステップS907にて、開閉実行モード終了時の移行処理を実行する。
開閉実行モード終了時の移行処理では、RAM604に明示15R確変大当たりフラグが格納されている場合には、当否抽選モードを高確率モードに設定するとともに、サポートモードを高頻度サポートモードに設定する。なお、これら高確率モード及び高頻度サポートモードは少なくとも大当たり当選が次回発生するまで維持される。また、RAM604に明示15R通常大当たりフラグが格納されている場合には、当否抽選モードを低確率モードに設定するとともに、サポートモードを高頻度サポートモードに設定する。但し、高頻度サポートモードは遊技回が100回継続した場合に終了され、その後、当否抽選モードが低確率モードであり且つサポートモードが低頻度サポートモードである通常遊技状態に移行する。
RAM604に非明示4R確変大当たりフラグが格納されている場合には、当否抽選モードを高確率モードに設定するとともに、サポートモードを低頻度サポートモードに設定する。なお、高確率モードは少なくとも大当たり当選が次回発生するまで維持される。また、RAM604に非明示4R通常大当たりフラグが格納されている場合には、当否抽選モードを低確率モードに設定するとともに、サポートモードを低頻度サポートモードに設定する。
その後、ステップS908にて、開閉実行モードの終了処理を実行した後に、本遊技状態移行処理を終了する。開閉実行モードの終了処理では、通常大当たりフラグ又は確変大当たりフラグのうち、格納されているフラグを消去する。
<報知・演出制御装置610>
次に、図20のブロック図を参照して報知・演出制御装置610にかかる電気的構成について補足説明する。
報知・演出制御装置610は、MPU612が搭載された報知・演出制御基板611を具備している。MPU612には、当該MPU612により実行される各種プログラムや固定値データを記憶したROM613と、そのROM613内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM614と、割込回路、タイマ回路、データ入出力回路、乱数発生器としての各種カウンタ回路などが内蔵されている。なお、MPU612においてはROM613及びRAM614が1チップ化されていることは必須の構成ではなく、それぞれが個別にチップ化された構成としてもよい。これは、他の制御装置のMPUにおいても同様である。
MPU612には、入力ポート及び出力ポートがそれぞれ設けられている。MPU612の入力側には主制御装置162が接続されており、当該主制御装置162から既に説明した、変動用コマンド、種別コマンド、変動終了コマンドといった遊技回制御用コマンド(遊技回制御用情報)を受信する。また、シフト時コマンドや後述する保留コマンドといった保留表示制御用コマンド(保留表示制御用情報)、更には、オープニングコマンドやエンディングコマンドといった開閉実行モード用コマンド(開閉実行モード用情報)を受信する。
MPU612の出力側には、既に説明したように前扉枠14に設けられた表示ランプ部26〜28、スピーカ部29、表示制御装置620が接続されている。この場合に、上記各種コマンドは、情報形態をそのまま維持した状態(一部のコマンドについては情報が付加された状態)で表示制御装置620に送信される。
表示制御装置620は、プログラムROM623及びワークRAM624が複合的にチップ化されたMPU622と、ビデオディスプレイプロセッサ(VDP)525と、キャラクタROM626と、ビデオRAM627と、AR対応コードROM628とが搭載された表示制御基板621を備えている。
MPU622は、報知・演出制御装置610から受信した各種コマンドを解析し又は受信したコマンドに基づき所定の演算処理を行ってVDP625の制御(具体的にはVDP625に対する内部コマンドの生成)を実施する。
プログラムROM623は、MPU622により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶するためのメモリであり、背景画像用のJPEG形式画像データも併せて記憶保持されている。
ワークRAM624は、MPU622による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグ等を一時的に記憶するためのメモリである。
VDP625は、図柄表示装置75に組み込まれた液晶表示部ドライバとしての画像処理デバイスを直接操作する一種の描画回路である。VDP625はICチップ化されているため「描画チップ」とも呼ばれ、その実体は、描画処理専用のファームウェアを内蔵したマイコンチップとでも言うべきものである。VDP625は、MPU622、ビデオRAM627等のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在するとともに、ビデオRAM627に記憶させて、当該画像データをキャラクタROM626から所定のタイミングで読み出して図柄表示装置75に表示させる。
キャラクタROM626は、図柄表示装置75に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するための画像データライブラリとしての役割を担うものである。このキャラクタROM626には、各種の表示図柄のビットマップ形式画像データ、ビットマップ画像の各ドットでの表現色を決定する際に参照する色パレットテーブル等が保持されている。
なお、キャラクタROM626を複数設け、各キャラクタROM626に分担して画像データ等を記憶させておくことも可能である。また、前記プログラムROM623に記憶した背景画像用のJPEG形式画像データをキャラクタROM626に記憶する構成とすることも可能である。
報知・演出制御装置610におけるMPU612の入力側には前扉枠14に設けられ遊技者によって操作される操作スイッチ40が接続されており、当該操作スイッチ40からの検知情報(検知信号)が入力される。MPU612においては、当該検知情報に基づいて操作スイッチ40が操作されたか否かを判定し、当該判定の結果操作が行われたと判定した場合には当該操作が有効期間内に行われたことを条件として同操作に対応する演出や解説等を実行するためのコマンドを表示制御装置620に送信する。
MPU612では、主制御装置162から送信された変動用コマンドを受信することで、遊技回用の演出を開始させる必要があることを認識し、遊技回用演出開始処理を実行する。また、主制御装置162から送信された終了コマンドを受信することで、遊技回用の演出を終了させる必要があることを認識し、遊技回用演出終了処理を実行する。また、主制御装置162から送信された大当たり演出用の各種コマンドを受信することで、大当たり演出を開始させる必要があること又は進行させる必要があることを認識し、大当たり演出用処理を実行する。
また、主制御装置162から送信されたデモ表示用のコマンドを受信することで、デモ表示を開始させる必要があることを認識し、デモ表示用処理を実行する。なお、図柄表示装置75の表示画面75aにてデモ表示が行われている状況下にて同操作スイッチ40が操作された場合にパチンコ機10の遊技モードを切り替えるための画面を表示し、当該画面にて切替操作が行われることで遊技モードの切り替え等を行なう。この遊技モードについての詳細は後述する。
因みに、MPU452において主制御装置162からコマンドを受信するとは、主制御装置162からコマンドを直接受信する構成に限定されることはなく、中継基板を経由してコマンドを受信する構成も含まれる。
遊技回用演出開始処理では、変動用コマンド及び種別コマンドの両コマンドに基づいて、該当遊技回の変動表示時間(表示継続期間)を把握する変動表示時間の把握処理と、リーチ表示の有無を把握するリーチ表示把握処理と、大当たり結果の有無を把握する大当たり結果発生の把握処理と、大当たり結果が発生する場合における大当たり種別を把握する大当たり種別の把握処理とを実行する。また、リーチ表示把握処理、大当たり結果発生の把握処理及び大当たり種別の把握処理における把握結果に基づいて、本遊技回において図柄表示装置75の表示画面75aにて行う表示演出の種類を決定する表示演出把握処理を実行するとともに、本遊技回において図柄表示装置75の表示画面75aに最終停止表示させる図柄の種類を決定する図柄種別把握処理を実行する。そして、これら各把握処理の結果に基づいて、変動表示時間の情報及び表示演出の種類の情報を含む変動パターンコマンドと最終停止表示させる図柄の種類の情報を含む図柄指定コマンドとを、表示制御装置620に送信する。
また、遊技回用演出開始処理では、上記各処理の処理結果に基づいて、遊技回用の表示発光テーブルと遊技回用の音声テーブルとをROM613から読み出す。遊技回用の表示発光テーブルにより、該当する遊技回の進行過程における発光部26〜28の発光態様が規定される。また、遊技回用の音声テーブルにより、該当する遊技回の進行過程におけるスピーカ部29からの出力態様が規定される。
本実施の形態においては、図柄表示装置75にて演出が実行される際に、その進行状況に応じて表示演出や表示演出の解説を行うための情報が記憶されたAR対応コードROM628を有していることを特徴の1つとしている。
VDP625においては、背景画像用のレイヤ、図柄用のレイヤ、キャラクタ用のレイヤ及びコード用のレイヤ(AR用のレイヤ)を重ねることで画像データを生成する。上記表示モード切替処理によってAR機能が有効化されている場合には、AR対応情報を表示すべきタイミングとなった場合にAR対応コードROM628からその状況に対応するAR対応情報を読み込む。これにより当該AR対応情報はAR用のレイヤに描画され上記画像データにAR対応情報が含まれることとなる。
ここで、図21に基づき図柄表示装置75(表示画面75a)にて表示される図柄の変動表示態様の概要について補足説明する。図21(a)は変動表示態様の種類を示す概略図、図21(b)群は各変動表示態様の概要を示す概略図である。
図21(a)に示すように、表示画面75aにて実行される図柄の変動表示態様については、完全外れ,ノーマルリーチA,ノーマルリーチB,スーパーリーチA,スーパーリーチBの5つに大別される。これら各変動表示態様については、変動表示時間が異なるように設定されており、主制御装置162からのコマンドに付与され変動表示時間に係る情報に基づいて遊技回毎の変動表示態様の概要を把握可能となっている。
具体的には、完全外れの変動表示時間については「3sec〜8sec」(保留数に応じて差が設定されている)、ノーマルリーチAの変動表示時間については「10〜14sec」、ノーマルリーチBの変動表示時間についてはノーマルリーチAの変動表示時間よりも長い「15〜19sec」、スーパーリーチAの変動表示時間についてはノーマルリーチA,Bの変動表示時間よりも長い「20〜25sec」、スーパーリーチBの変動表示時間についてもノーマルリーチA,Bの変動表示時間よりも長い「20〜25sec」となっている。
各スーパーリーチA,Bについては、対応する変動表示時間が同様となるように設定されている。報知・演出制御装置610にてスーパーリーチA,Bの種類を決定する場合には、演出決定用のテーブルが参照されるが、この際受信したコマンドから取得された変動表示時間が長い程、又は大当たりに当選している場合には、スーパーリーチB>スーパーリーチAの順に選択されやすくなっている。なお、報知・演出制御装置610から表示制御装置620に変動用のコマンドが送信される場合には、これら選択された演出態様を特定するための情報が付加される。表示制御装置620では、当該コマンドに基づいて演出態様を特定することが可能となっている。
ここで、図21(b1)を参照してノーマルリーチA,Bの変動表示態様について説明する。ノーマルリーチA,Bが選択された場合には、先ず停止表示されている全ての図柄列の変動表示(スクロール表示)を開始し、その後、上段の図柄列Z1において図柄の変動表示を終了し(停止表示させ)、さらに下段の図柄列Z3において図柄の変動表示を終了する(停止表示させる)。このようにして上下の図柄列Z1,Z3を停止表示した状態において、いずれかの有効ラインL1〜L5(図6参照)に同一の数字が付された主図柄が停止表示されることでリーチラインが形成される。そして、当該リーチラインが形成されている状況下において中段の図柄列Z2の変動表示が行われることでリーチ表示となる。
リーチ表示となった後、中段の図柄列Z2を停止表示することにより、変動表示が終了する。そして、リーチライン上に当該リーチ表示を構成している図柄と同一の図柄が停止することで大当たりに当選した旨が報知され、同リーチライン上にそれ以外の図柄が停止することで大当たりに当選していない旨が報知されることとなる。このようにして、最終停止表示された図柄の組み合わせについては所定期間に亘ってそのまま維持される。つまり、停止表示期間が経過するまでは今回の遊技回が続いており、当該停止表示期間が経過することにより次の遊技回への移行が許容されることとなる。
本実施の形態においてはリーチラインが形成された後の中図柄列Z2の変動表示時間に差を設定することにより、ノーマルリーチAとノーマルリーチBとの違いを生じさせているが、両者の差の設定の仕方については任意である。例えば、変動表示が開始されてからリーチラインが形成されるまでの時間に差を設定することにより、上記変動表示時間の差を確保することも可能である。
次に、上述したノーマルリーチA,Bの変動表示態様を踏まえてスーパーリーチA,Bの変動表示態様について説明する。図21(b2),(b3)に示すように、スーパーリーチA,Bについては、ノーマルリーチA,Bと同様の過程を経て上述したリーチラインを形成する。そして、リーチラインを形成した後、中図柄列Z2の変動表示に併せて、所定のキャラクタを動画として表示することによりリーチ演出を行う構成となっている。具体的には、スーパーリーチAにおいてはリーチラインが形成された後、中図柄列Z2の変動表示領域ME(図6(b)参照)の中央に妖精を模したキャラクタが表示されスーパーリーチBにおいてはリーチラインが形成された後、中図柄列Z2の変動表示領域MEの中央に女の子を模したキャラクタが表示されることとなる。
<携帯電話CPとパチンコ機10との連携に係る構成>
本実施の形態に示すパチンコ機10においては、カメラC及びカメラCによって撮影された画像を表示する表示画面DSを有してなる携帯電話CP(「携帯端末」に相当)との連携によって表示演出の多様化が実現されていることを特徴の1つとしている。具体的には、パチンコ機10によって携帯電話CP(表示画面DS)の表示制御を行うことにより、携帯電話CPを通じてパチンコ機10を見た場合に現実環境に情報を付加・強調等する拡張現実(Augmented Reality)機能(以下、AR機能と称する)が搭載されていることを特徴の1つとしている。以下、図22を参照して、携帯電話CPとパチンコ機10との連携(特殊表示演出)に係る構成について説明する。図22(a)は遊技関連情報の配信システムを示す概略図、図22(b)は携帯電話CP及びパチンコ機10の連携の流れを示す概略図である。
本実施の形態では、パチンコ機10が省エネモード等の待機状態となっている状況下にて上記操作スイッチ40を操作することにより、パチンコ機10の仕様等に関する情報の表示や携帯電話CPとの連携に係る情報の表示等が行われる。連携に係る情報としては、インターネット網に接続された情報配信サーバへのアクセス情報や情報配信サーバから配信される情報を特定するための特定情報をコード化したもの(具体的にはQRコード(登録商標))が表示される。
図22(b)に示すように、携帯電話CPとパチンコ機10とを連携させる場合には、先ず上記QRコードを図柄表示装置75の表示画面75aに表示させて、それを携帯電話CPに付属のカメラCによって読み取る読取作業を行う。これにより、携帯電話CPが基地局→インターネット網を通じて情報配信サーバに接続される(図22(a)参照)。
その後、情報配信サーバのメインメニュー表示から対象となる情報としての連携用プログラム(以下、連携アプリという)を選択し、情報配信サーバから携帯電話CPに連携アプリをダウンロードする。携帯電話CPにて記憶された連携アプリを起動することにより、携帯電話CPがパチンコ機10に連携する連携モードとなる。
連携モードにおいては、カメラCからの情報を読み取って、その読み取った情報に関連付けられた画像等の追加表示を行うことが可能となる。この連携モードとした場合には、携帯電話CPの自動電源OFF機能が無効化され、携帯電話CPをパチンコ機10用のサブディスプレイとして機能させることが可能となる。
携帯電話CPを連携モードとした後は、パチンコ機10についても携帯電話CPの表示制御を行うモード(以下、AR対応モードという)への切り替えを行なう。これにより、携帯電話CPとパチンコ機10との連携が許容された状態となる。
但し、このような連携については、遊技者の趣向にそぐわない場合やある程度の期間遊技を継続することで(当該遊技機に慣れることで)表示演出の流れをある程度把握された場合には不要になる可能性もある。そこで、上記連携を行うAR対応モードと、当該連携を行わないAR非対応のモード(通常モード又はAR非対応モード)との何れかを遊技者が選択できる構成となっている。
以下、図23を参照してこれらAR対応モード及びAR非対応モードの選択について説明する。報知・演出制御装置610のMPU612においては、定期的に実行される通常処理の一環として(モード選択の準備処理として)表示モード切替用処理を実行する。
図23(a)のフローチャートに示すように、表示モード切替用処理においては、先ずステップS1001にて図柄表示装置75(表示画面75a)にてデモ表示が行われているか否かを判定する。具体的には、RAM614の各種フラグ格納エリア614cにデモ表示用フラグが格納されているか否かを判定する。本パチンコ機10では、一定期間に亘って作動入球部62,63への入球が発生しなかった場合には、RAM614の各種フラグ格納エリアにデモ表示用フラグが格納され、消費電力が小さく抑えられた省エネ状態へ移行する構成となっている。省エネ状態では、スピーカ部29からのBGMの出力がカットされ、各種表示ランプ部26〜28が消灯され、更に輝度が抑えられた状態で表示画面75aに所定のデモ動画が表示されることとなる。
ここで、図23(b1)の概略図を参照してデモ表示について補足説明する。図23(b1)に示すように、デモ表示中は表示画面75aの下部にモード切替を促すメッセージ、具体的には「AR対応モードを希望される場合には操作スイッチを押して下さい。」が表示される。
ステップS1001にて否定判定をした場合には、そのまま本表示モード切替用処理を終了する。一方、ステップS1001にて肯定判定をした場合には、ステップS1002に進む。ステップS1002では案内画面が表示されているか否かを判定する。案内画面は上記メッセージに従って操作スイッチ40が操作された場合に表示される画面であり、ステップS1002にて否定判定をした場合にはステップS1003に進む。
ステップS1003にて操作スイッチ40の操作が行われたか否かを判定し、肯定判定をした場合には、表示制御装置620に対して案内画面表示コマンドを送信する。これにより、図柄表示装置75の表示画面75aにて案内画面が表示されることとなる。ここで、図23(b2)の概略図を参照して案内画面について説明する。案内画面では、表示画面75aの上部に、選択を促すメッセージが表示され、それに併せて表示画面75aの中央に「ON」及び「OFF」のボタンが表示される。これら各ボタンが順次点灯→消灯を繰り返す。「ON」ボタンが点灯しているタイミングにて操作スイッチ40が操作された場合にはAR対応モードが設定され、「OFF」ボタンが点灯しているタイミングにて操作スイッチ40が操作された場合にはAR対応モードが解除される。
具体的には、図23(a)のステップS1002にて肯定判定をした場合、すなわち案内画面が表示中であると判定した場合には、ステップS1005に進む。ステップS1005では操作スイッチ40による切り替え操作が行われたか否かを判定する。ステップS1005にて否定判定をした場合には、未だ操作が行われていないとして本表示切替用処理を終了する。一方、ステップS1005にて肯定判定をした場合には、ステップS1006にて表示制御装置620に表示モード切替コマンドを送信して本表示切替用処理を終了する。ステップS1006にて送信されるコマンドは2種類存在している。具体的には、上記「ON」ボタンが点灯しているタイミングで操作スイッチ40が操作されたことを示すコマンド(AR対応モード用コマンド)と、「OFF」ボタンが点灯しているタイミングにて操作スイッチ40が操作されたことを示すコマンド(AR非対応モード用コマンド)との何れかが表示制御装置620に送信されることとなる。
表示制御装置620では、これらのコマンドを受信することで、AR対応モードとするか否かを判定する。具体的には、表示制御装置620においては定期的に実行される通常処理の一環として表示モード切替処理が実行される。表示モード切替処理は、表示制御装置620が上記表示モード切替コマンドを受信した場合に実行される処理である。
表示モード切替処理では、図23(c)のフローチャートに示すように、先ずステップS1101にて受信した表示モード切替コマンドがAR対応モード用コマンドであるか否かを判定する。ステップS1101にて肯定判定をした場合にはステップS1102に進み、MPU622のワークRAM624に設けられた各種フラグ格納エリア624cにAR対応モード用フラグを格納する。このフラグが格納されている状況下にて遊技回が実行される場合には、表示演出実行時に携帯電話CPの表示制御を行う「識別情報」としてAR対応情報が表示されることとなる。
一方、ステップS1101にて否定判定をした場合にはステップS1103に進み、MPU622のワークRAM624に設けられた各種フラグ格納エリア624cにAR対応モード用フラグが格納されている場合にはこれを消去する。このフラグが格納されていない状況下にて遊技回が実行される場合には、表示演出実行時に上記AR対応情報が表示されないように規制されることとなる。
<表示制御装置620によるAR対応情報の描画について>
次に、図24及び図25を参照して図柄表示装置75(表示画面75a)に表示されるAR対応情報の表示に係る構成及びAR対応情報の表示態様について説明する。図24(a)はレイヤ構造を示す概略図、図24(b)はAR対応情報を構成するシンボルと図柄との関係を示す概略図、図25はAR対応情報の表示態様を示す概略図である。
表示制御装置620のMPU622では、複数のレイヤを重ね合わせることにより表示画面75aに表示する画像データを遊技進行に応じて生成する。具体的には、主図柄及び副図柄からなる複数の図柄列の表示に対応した図柄用レイヤ、キャラクタやエフェクト等の演出用画像の表示に対応した演出用レイヤ、背景画像の表示に対応した背景用レイヤの順に手前側から重ね合わせることにより画像データを生成する。このような並びでレイヤを重ね合わせることにより、図柄が背景等の画像に隠れることを抑え、図柄の視認性が担保されている。
上記表示モード切替処理によってAR対応モードとなっている場合、すなわち携帯電話CPとの連携機能が有効化されている場合、VDP625においてはAR対応情報を表示すべきタイミングとなったことを条件として上記AR対応コードROM628からコード化されたAR対応情報を読み出して、当該AR対応情報をAR用レイヤに描画する処理を行う。これにより、表示画面75aに表示される画像に、AR用レイヤに描画されAR対応情報が含まれることとなる。
AR用レイヤは図柄用レイヤよりも前側(表側)に位置するように構成されているため、AR対応情報は図柄よりも前側に表示されることとなる。つまり、表示画面75aに表示されたAR対応情報は、図柄,背景画像、演出用画像に隠れることが回避される構成となっている。
ここで、AR対応情報について補足説明する。AR対応情報は、複数のシンボル画像が組み合わされることで構成されている。具体的には、AR対応情報の表示位置及び向きに係る情報が付与された位置検出シンボルTPと、当該AR対応情報の内容を特定するための情報が付与されたデータシンボルDPとによって構成されている。
これら位置検出シンボルTP及びデータシンボルDPについては、枠線と枠線に囲まれた空白領域の中央に配された中心点と、枠線の外側に設けられた余白領域とからなる点では共通している。但し、位置検出シンボルTPがデータシンボルDPよりも大きく設定されており、更には枠線の太さは共通となっている一方で中心点の大きさを相違させることで、両者の差別化が図られている。
上述したAR用レイヤにて各シンボルDP,TPが描画される描画範囲XE(表示範囲XE)については、各シンボルDP,TPの少なくとも一部が有効ライン上に停止された図柄と重なるように設定されている。より具体的には、停止表示された図柄が描画範囲XE内に収まるように(含まれるように)図柄の外形よりも一回り大きくなるように設定されている。このため、AR対応モードにてAR対応情報が表示される場合には、図柄用レイヤとAR用レイヤとを重ねることにより、表示画面75aにおいて当該AR対応情報を構成する各シンボルDP,TPが主図柄又は副図柄と重なるようにして表示されることとなる。
なお、本実施の形態における描画範囲XEについては、図柄の描画範囲よりも大きくなるように設定したが、両者を完全に一致させる又は描画範囲XEが図柄の描画範囲よりも小さくなるように設定してもよい。背景画像等の他の絵柄についても遊技進行に伴う変化が生じる可能性があるため、背景画像等の他の絵柄と比較して動きの少ない図柄内に各シンボルDP,TPを収めることにより、それら他の絵柄の変化の影響を受けにくくすることができる。
また、図7に示したように複数種の主図柄を用いて図柄列を構成する場合には、主図柄毎に大きさや外形が若干相違し得る。描画範囲XEについては、これら各種主図柄に共通となるように構成するとよい。これにより、描画範囲XEが過度に多様になることを抑制できる。但し、主図柄と副図柄とを併用する本遊技機では、それら図柄の大きさに明確な差違が存在する。そこで、上記描画範囲XEについては主図柄用に設定された相対的に大きな描画範囲XEと、副図柄用に設定された相対的に小さな描画範囲XEとの2種を設定し、停止表示された図柄(シンボルを重ねる対象となる図柄)に応じてこれら2つの描画範囲XEを使い分けることが好ましい。詳細について後述するが、本実施の形態においては、AR対応情報を表示する場合には停止表示される図柄の組合せを考慮してシンボルTP,DPの表示態様が決定される構成となっている。
表示画面75aに停止表示された図柄の組み合わせによって遊技の結果(大当たりの当否結果)が報知される。つまり、表示される図柄の組み合わせは遊技者に付与される特典と密接に関係しているため、遊技者の注目は図柄に向きやすい。携帯電話CPを通じて図柄表示装置75の表示画面75aを見る場合であっても、カメラCの撮影範囲内に図柄が収まるようにして撮影することにより、当該携帯電話CPの表示画面DSを通じた図柄の視認性が担保されるように調整されるものと想定される。本実施の形態においては、このように遊技者の注目の向きやすい図柄に対してAR対応情報を重ねて表示することにより、AR対応情報がカメラCの撮影範囲から外れる等してAR機能が上手く発揮されなくなるといった不都合の発生を回避している。
AR対応情報については、都度の遊技回にて表示されるのではなく、リーチ表示が実行される遊技回にて表示される構成となっている。つまり、リーチ表示が実行されることがパチンコ機10と携帯電話CPとの連携を行なうための実行条件の1つを構成している。リーチ表示に移行する場合には、図25(a)に示すように、上図柄列Z1用の変動表示領域MEUにて図柄列のスクロール表示が停止し且つ下図柄列Z3用の変動表示領域MELにて図柄列のスクロール表示が停止することとなる。つまり、上下に3分割された上変動表示領域MEU,中変動表示領域MEM,下変動表示領域MELのうち中変動表示領域MEM以外の変動表示領域では、図柄列のスクロール表示が停止して図柄の視認性が担保された状態となる。
本実施の形態ではAR対応情報を構成する位置検出シンボルTP及びデータシンボルDPが停止表示された上変動表示領域MEU及び下変動表示領域MELに表示される構成となっており、携帯電話CPのカメラCによるシンボルDP,TPの捕捉がスクロール表示の影響等によって難しくなることを抑制している。
ここで、位置検出シンボルTPとデータシンボルDPとの表示態様の違いについて補足説明する。
既に説明したように、本実施の形態では、有効ラインL1〜L5とスクロールラインとが交差する位置(図6参照)が図柄の停止表示される停止表示位置となっている。そして、都度の遊技回にて停止表示される図柄の数が計9個となるように規定されている。位置検出シンボルTPについては、停止表示位置と座標が一致するように設定されており、都度の表示でその位置が変化しない「基準点」を構成している。
具体的には、上変動表示領域MEUにて有効ラインL1とスクロールラインとが交差する位置に第1位置検出シンボルTP1が表示され、同じく上変動表示領域MEUにて有効ラインL3とスクロールラインとが交差する位置に第2位置検出シンボルTP2が表示される。つまり、上段に停止する3つの絵柄のうち中央の絵柄を挟んだ左右の絵柄が位置検出シンボルTPの重複対象となっている。
下変動表示領域MELにて有効ラインL1とスクロールラインとが交差する位置に第3位置検出シンボルTP3が表示される。第3位置検出シンボルTP3は中変動表示領域MEMを挟んで第1位置検出シンボルTP1と反対側(第1位置検出シンボルTP1の直下)に位置するように表示される。
これら第1位置検出シンボルTP1〜第3位置検出シンボルTP3によって直角3角形が形成されている。携帯電話CPではこれら3つの位置検出シンボルTPを識別することにより、携帯電話CPの向きや傾き更には表示画面75aからの距離等を把握可能となっている。後述するAR対応画像を携帯電話CPの表示画面DSに表示する場合には、把握した携帯電話CPの向きや傾き距離等を考慮して、位置検出シンボルTPを基準に当該AR対応画像を表示する。
上変動表示領域MEUにて第2有効ラインL2とスクロールラインとが交差する位置に停止している図柄、すなわち上記位置検出シンボルTPの表示対象となっていない図柄が第1データシンボルDP1の表示対象となっている。
また、下変動表示領域MELにて第2有効ラインL2とスクロールラインとが交差する位置に停止している図柄が第2データシンボルDP2の表示対象となっており、同じく下変動表示領域MELにて第3有効ラインL3とスクロールラインとが交差する位置に停止している図柄が第3データシンボルDP3の表示対象となっている。すなわち上記位置検出シンボルTPの表示対象となっていない図柄が第2データシンボルDP2及び第3データシンボルDP3の表示対象となっている。
既に説明したように、位置検出シンボルTPについてはデータシンボルDPよりも大きくなっており、カメラC等による識別が容易となっている。データシンボルDPの描画範囲については位置検出シンボルTPと関連性が付与されている。例えば第1位置検出シンボルTP1と第2位置検出シンボルTP2との間に第1データシンボルDP1の描画範囲が位置するように限定されている。携帯電話CPによりデータシンボルDP1を識別する際には位置検出シンボルTPに基づいて予め識別する範囲が限定されることとなり、識別力が相対的に低いデータシンボルDPの識別が困難になることを抑制している。
AR対応情報の内容については、第1データシンボルDP1〜第3データシンボルDP3の位置関係によって規定されている。具体的には、AR対応情報の内容については、図25(b)に示すように、第1データシンボルDP1と第2データシンボルDP2との距離L1、第2データシンボルDP2と第3データシンボルDP3との距離L2、第3データシンボルDP3と第1データシンボルDP1との距離L3との3つの距離、より詳しくは3辺の比に対応付けられている。
携帯電話CP(詳しくはAR対応の連携アプリ)においては、カメラCによって特定された第1データシンボルDP1〜第3データシンボルDP3によって構成される3角形の各辺の長さを算出することにより、表示されているAR対応情報の内容を把握する。携帯電話CPにインストールされたAR対応の連携アプリには、パチンコ機10(AR対応コードROM628)に記憶された各種AR対応情報と1対1で対応付けられた情報が記憶されており、カメラCを通じて把握した情報と当該記憶されている情報とを照合することで、どの様な情報がパチンコ機10から発信されているかを把握する構成となっている。
なお、携帯電話CPが表示画面75aに正対してない場合(表示画面75aに対して傾いている場合)には、上記位置検出シンボルTPの位置関係も変化する。3辺の長さを把握する場合には、把握された携帯電話CPの傾きを考慮して長さ(比率)の補正が行われる。
本実施の形態では、3辺の長さの異なる複数種のAR対応情報が1のAR画像に対応付けられており、情報形態の複雑化を抑えつつ対応幅を拡げている。これは、AR対応情報を見た遊技者が携帯電話CPを使用することなくその内容が把握されることを抑制するための工夫である。
また、本実施の形態では、3辺の比によってAR対応情報の内容が特定されている。このため、例えば、3つのデータシンボルDP1〜DP3の位置関係を維持しながら回転させることにより、同じ内容を特定している場合であっても、見た目を相違させることができる。また、縮小/拡大が許容されることにより、更なる見た目の多様化を実現できる。これは、遊技者によってAR対応情報の内容が見抜かれることを抑制する上で有利である。
ここで、データシンボルの数を少なくした場合には、携帯電話CPによるデータシンボルの把握を容易として、処理負荷の軽減や応答性の向上等の各種メリットを享受できる。しかしながら、その反面、遊技者がAR対応情報を直視することでその内容が見抜かれる可能性が高くなり、携帯電話CPを利用してAR機能が活用される機会が減ってしまうと懸念される。一方、データシンボルの数を無闇に増やしてしまうと、その様な不都合の発生を抑制できる反面、携帯電話CPの処理負荷の増大や応答性の低下等によってAR機能が上手く発揮されなくなると懸念される。この点、本実施の形態では、複数のデータシンボルDPの相互の位置関係によってAR対応情報の内容を定めることにより、遊技者の目視での判別を困難としつつ、携帯電話CPの応答性向上等の効果を享受できる。
特に、データシンボルDP1の表示範囲は描画領域XE1内に限定され、データシンボルDP2の表示範囲は描画領域XE2内に限定され、データシンボルDP3の表示範囲は描画領域XE3内に限定されている。このように、複数のデータシンボルの識別が必要な構成であっても、各データシンボルの表示範囲を個々に限定しておくことで、識別を行なう際の制御負荷の増大や応答性の低下等を好適に抑制することができる。
次に報知・演出制御装置610のMPU612にて遊技回が開始される場合に実行されるAR対応の連携表示用の設定処理について説明する。AR対応の連携表示用の設定処理については、通常遊技状態,確変遊技状態,時短遊技状態にて実行される第1種連携表示用の設定処理と、潜伏遊技状態にて実行される第2種連携表示用の設定処理に大別される。先ず、図26のフローチャートを参照して第1種連携表示用の設定処理について説明する。
<第1種連携表示用の設定処理>
第1種連携表示用の設定処理では、先ずステップS1201にてAR対応モードとなっているか否かを判定する。ステップS1201にて否定判定をした場合には、そのまま本設定処理を終了する。
ステップS1201にて肯定判定をした場合には、ステップS1202にて今回の遊技回がスーパーリーチA及びスーパーリーチBの何れかに対応しているか否かを判定する。ステップS1202にて肯定判定をした場合には、ステップS1203にて停止図柄組み合わせの把握処理を行う。
報知・演出制御装置610のMPU612では、遊技回を開始する前に当該遊技回の変動表示態様及び変動表示後に停止表示される図柄の組み合わせ等を決定する開始制御処理が実行される。本設定処理はこの開始制御処理の後に実行される処理であり、当該設定処理を行う際には先の決開始制御処理における決定内容を参照して、ステップS1203の処理等を行う。
既に説明したように、本実施の形態においては、AR対応情報を構成が位置検出シンボルTP及びデータシンボルDPによって構成されている。位置検出シンボルTPについては、図柄の停止表示態様とは関係なくその描画位置が決まっているが、データシンボルDPの描画範囲については、当該データシンボルDPが重ねて表示される対象が主図柄及び副図柄の何れになるかによって相違する。具体的には、対象が主図柄の場合の描画範囲XEは対象が副図柄の場合の描画範囲XEよりも広くなっている。そこで、AR対応情報を表示する場合には、描画範囲XEを何れとするかを停止図柄に基づいて把握する。
ステップS1203の把握処理を実行した後はステップS1204に進み、ステップS1203にて把握した停止図柄の組み合わせに基づいてステップS1204では当否履歴表示用の設定処理を行う。具体的には、当否履歴表示の表示に対応するAR対応情報を図柄表示装置75の表示画面75aに表示させるためのコマンドを表示制御装置620に出力する処理を行う。このコマンドには、データシンボルDPの描画範囲を主図柄及び副図柄の何れに対応させるかの情報が含まれる。
詳細については後述するが、表示制御装置620ではこのコマンドに基づいてAR対応情報の表示を行うための処理を実行する。因みに、AR対応情報はノーマルリーチA又はノーマルリーチBが実行される場合にも表示される。これは、AR対応情報の表示 = スーパーリーチ確定等となることを回避するための工夫である。
ステップS1204の処理を実行した後は、ステップS1205にて当否履歴表示更新用の設定処理を行い、第1種連携表示用の設定処理を終了する。本実施の形態では、スーパーリーチA及びスーパーリーチBが実行される場合には、上述した当否履歴表示がスーパーリーチA及びスーパーリーチBに対応するものに変化するように構成されている。ステップS1205の設定処理では、当否履歴表示の更新に係るAR対応情報を図柄表示装置75の表示画面75aに表示させるためのコマンド(更新用コマンド)を表示制御装置620に出力する処理を行う。
ステップS1202の説明に戻り、当該ステップS1202にて否定判定をした場合、すなわち、スーパーリーチA又はスーパーリーチBに対応する遊技回ではないと判定した場合には、ステップS1206に進む。ステップS1206では今回の遊技回がノーマルリーチA又はノーマルリーチBに対応しているか否かを判定する。ステップS1206にて否定反地をした場合には、そのまま本第1種連携表示用の設定処理を終了する。
ステップS1206にて肯定判定をした場合には、ステップS1207に進む。ステップS1207では、連携表示を行うか否かの可否抽選処理を実行する。可否抽選処理にて参照されるテーブルについては、大当たり結果に対応するものと、外れ結果に対応するものとが設けられており、大当たり結果である場合には、外れ結果である場合と比較して当該抽選処理に当選しやすくなっている。
ステップS1207の抽選処理にて非当選となった場合には、本第1種連携表示用の設定処理を終了する。一方、ステップS1207の抽選にて当選した場合には、ステップS1208にて肯定判定し、ステップS1209に進む。
ステップS1209では連携表示パターン決定処理を行う。ノーマルリーチA及びノーマルリーチBに対応した遊技回では、連携表示パターンとして、当否履歴の表示、当該遊技回にて大当たり当選となる期待度を示唆する表示の何れを行うかが抽選によって決定する。なお、大当たり結果に対応する遊技回においては前者よりも後者が選択されやすくなっており、外れ結果に対応する遊技回においては後者よりも前者が選択され役なっている。これにより、期待度を示唆する表示が行なわれた場合に大当たり結果となる期待度が、当否履歴の表示が行われた場合に大当たり結果となる期待度よりも高くなっている。
ステップS1209の決定処理を経て当否履歴表示を行う旨の決定がなされた場合には、ステップS1211に進む。ステップS1211では停止図柄組み合わせの把握処理を行う。その後、ステップS1212にて当否履歴表示用の設定処理を実行して本第1連携表示用の設定処理を終了する。なお、ステップS1211及びステップS1212の各処理についてはステップS1203及びステップS1204の各処理と同様であるため、説明を援用する。
ステップS1209の決定処理を経て期待度を示唆する表示する旨の決定がなされた場合には、ステップS1213にて停止図柄組み合わせの把握処理を行う。その後、ステップS1214にて期待度示唆表示用の設定処理を実行して本第1連携表示用の設定処理を終了する。具体的には、期待度示唆の表示に対応するAR対応情報を図柄表示装置75の表示画面75aに表示させるためのコマンドを表示制御装置620に出力する処理を行う。詳細については後述するが、表示制御装置620ではこのコマンドに基づいてAR対応情報の表示を行うための処理を実行する。
<第2種連携表示用の設定処理>
次に図27のフローチャートを参照して第2種連携表示用の設定処理について説明する。但し、第2種連携表示用の設定処理については基本的に第1種連携表示用の設定処理と同様であり、ノーマルリーチA又はノーマルリーチBに対応する遊技回である場合の設定に係る構成が相違している。そこで、以下の説明では第1種連携表示用の設定処理と共通する部分については説明を援用し、当該第1種連携表示用の設定処理との相違点を中心に説明する。
第2種連携表示用の設定処理では、先ずステップS1301にてAR対応モードとなっているか否かを判定する。ステップS1301にて否定判定をした場合には、そのまま本設定処理を終了する。
ステップS1301にて肯定判定をした場合には、ステップS1302にて今回の遊技回がスーパーリーチA及びスーパーリーチBの何れかに対応しているか否かを判定する。ステップS1302にて肯定判定をした場合には、ステップS1303にて停止図柄組み合わせの把握処理を行う。ステップS1303にて把握した停止図柄の組み合わせに基づいてステップS1304では当否履歴表示用の設定処理を行う。ステップS1304の処理を実行した後は、ステップS1305に進み当否履歴表示更新用の設定処理を行い、第1種連携表示用の設定処理を終了する。
ステップS1302の説明に戻り、当該ステップS1302にて否定判定をした場合、すなわち、スーパーリーチA又はスーパーリーチBに対応する遊技回ではないと判定した場合には、ステップS1306に進む。ステップS1306では今回の遊技回がノーマルリーチA又はノーマルリーチBに対応しているか否かを判定する。ステップS1306にて否定判定をした場合には、そのまま本第2種連携表示用の設定処理を終了する。
ステップS1306にて肯定判定をした場合には、ステップS1307にて停止図柄組み合わせの把握処理を行う。その後、ステップS1308にて遊技状態告知用の設定処理を実行して本第2連携表示用の設定処理を終了する。遊技状態告知用の設定処理では、遊技状態が上記潜伏遊技状態であることの告知に対応するAR対応情報を図柄表示装置75の表示画面75aに表示させるためのコマンドを表示制御装置620に出力する処理を行う。詳細については後述するが、表示制御装置620ではこのコマンドに基づいてAR対応情報の表示を行うための処理を実行する。
次に、図28及び図29(a)のフローチャートを参照当否履歴表示を行うための構成について説明し、その後、図29(b)の概略図を参照して当否履歴表示の概要について説明する。
<当否履歴表示について>
当否履歴表示は、リーチ表示が行われる場合に、遊技の進行状況を踏まえて当該リーチ表示がどの程度の実績があるものかを携帯電話CPの表示画面DSに表示させるものである。このような履歴表示を行うことにより、例えば遊技機の仕様等を熟知していない遊技初心者であっても、多様な演出が設定された遊技機に対して困惑してしまうといった不都合を回避し、演出の多様化によって注目度を向上させる効果を上手く発揮させることができる。
但し、演出実行時の各変動表示態様は、既に説明したように作動入球部62,63への入賞時に取得した乱数値と予め記憶されている変動表示態様選択用のテーブルとを参照して選択される。かかる構成においては、長期的(例えば月単位や年単位)に見れば都度選択された変動表示態様の実績(当否の振分け)が上記テーブルによって規定された設定値に近くなるようにして収束する。しかしながら、一日に実行される遊技回には限度があり、短期的(例えば日単位)で見れば都度選択された変動表示態様の実績(当否の振分け)がばらつくため上記設定値に収束するとは限らない。
このようなばらつきは、遊技者からしてみればその変動表示態様が調子のよいものか悪いものかを判断する材料ともなり得る。つまり、遊技中の台で実行される各種スーパーリーチを比較した場合、スーパーリーチBよりもスーパーリーチAのほうが期待持てるといった逆転現象が発生し得る。遊技機の仕様を熟知した遊技者にとっては各種変動表示態様(スーパーリーチ)の好調・不調を自身の知識や経験に基づいて判断できるが、その日その台における選択の偏りをも踏まえて判断することは困難である。
更には、遊技機の仕様を熟知していない遊技初心者にとっては、その演出の期待度が如何ほどのものであり、その日の遊技機の状態を加味してみた場合にどれほどの期待が持てるかを判断することは極めて困難であると想定される。つまり、多様な演出を実現しても、その演出が期待の持てるものであるか否かがその日の台の調子等に左右される構成においては、実績を踏まえて判断することにより、分かりにくくなることを抑制できる。
このような実情を踏まえて、本実施の形態においては、パチンコ機10の電源投入時からの表示演出の実行回数及びその結果を記憶し、表示演出が実行される際に、それら記憶された情報に基づいて当該表示演出がどの程度期待できるものであるかを表示する工夫がなされている。
ここで、図28のフローチャートを参照して当該工夫にかかる構成について説明する。表示制御装置620のMPU622においては定期的に実行される通常処理の一環として各演出に応じた当否情報の蓄積処理が実行される。
当該蓄積処理が実行される場合には、先ずステップS1401にて変動開始コマンドを受信したか否かを判定する。ステップS1401にて否定判定をした場合には、そのまま本蓄積処理を終了する。一方、ステップS1401にて肯定判定をした場合にはステップS1402に進み変動表示態様の把握処理を行う。具体的には、変動開始コマンドは変動表示態様を特定するための情報を含んでおり、この情報に基づいて変動表示態様を特定する。
ステップS1402にて変動表示態様を把握した後は、ステップS1403に進み、今回受信した変動開始コマンドがスーパーリーチAに対応しているか否かを判定する。ステップS1403にて肯定判定をした場合にはステップS1404に進み、ワークRAM624の各種カウンタエリア624bに設けられたスーパーリーチA実行回数カウンタの更新処理を行う。具体的には当該カウンタを「1」加算する処理を行う。当該カウンタはパチンコ機10の電源遮断時に0クリアされるが、電源がONとなっている期間中はカウント値が記憶保持されることとなる。
ステップS1404にて更新処理を実行した後は、ステップS1405に進み今回受信した変動開始コマンドが大当たりに対応しているか否かを判定する。ステップS1405にて否定判定をした場合には、そのまま本蓄積処理を終了する。ステップS1405にて肯定判定をした場合にはステップS1406に進む。
ステップS2306では、ワークRAM624の各種カウンタエリア624bに設けられたスーパーリーチA経由当選カウンタの更新処理を行う。具体的には当該カウンタを「1」加算する処理を行う。当該カウンタはパチンコ機10の電源遮断時に0クリアされるが、電源がONとなっている期間中はカウント値が記憶保持されることとなる。
ステップS1402の説明に戻り、当該ステップS1402にて否定判定をした場合にはステップS1407に進む。ステップS1407では、今回受信した変動開始コマンドがスーパーリーチBに対応しているか否かを判定する。ステップS1407にて肯定判定をした場合にはステップS1408に進み、ワークRAM624の各種カウンタエリア624bに設けられたスーパーリーチB実行回数カウンタの更新処理を行う。具体的には当該カウンタを「1」加算する処理を行う。当該カウンタはパチンコ機10の電源遮断時に0クリアされるが、電源がONとなっている期間中はカウント値が記憶保持されることとなる。
ステップS1408にて更新処理を実行した後は、ステップS1409に進み今回受信した変動開始コマンドが大当たりに対応しているか否かを判定する。ステップS1409にて否定判定をした場合には、そのまま本蓄積処理を終了する。ステップS1409にて肯定判定をした場合にはステップS1410に進む。
ステップS1410では、ワークRAM624の各種カウンタエリア624bに設けられたスーパーリーチB経由当選カウンタの更新処理を行う。具体的には当該カウンタを「1」加算する処理を行う。当該カウンタはパチンコ機10の電源遮断時に0クリアされるが、電源がONとなっている期間中はカウント値が記憶保持されることとなる。
ステップS1407の説明に戻り、当該ステップS1407にて否定判定をした場合にはステップS1411に進む。ステップS1411では、今回受信した変動開始コマンドがノーマルリーチA又はノーマルリーチBに対応しているか否かを判定する。ステップS1411にて肯定判定をした場合にはステップS1412に進み、ワークRAM624の各種カウンタエリア624bに設けられたノーマルリーチA,B実行回数カウンタの更新処理を行う。具体的には当該カウンタを「1」加算する処理を行う。当該カウンタはパチンコ機10の電源遮断時に0クリアされるが、電源がONとなっている期間中はカウント値が記憶保持されることとなる。
ステップS1412にて更新処理を実行した後は、ステップS1413に進み今回受信した変動開始コマンドが大当たりに対応しているか否かを判定する。ステップS1413にて否定判定をした場合又は上記ステップS1411にて否定判定をした場合には、そのまま本蓄積処理を終了する。ステップS1411にて肯定判定をした場合にはステップS1414に進む。
ステップS1414では、ワークRAM624の各種カウンタエリア624bに設けられたノーマルリーチA,B経由当選カウンタの更新処理を行う。具体的には当該カウンタを「1」加算する処理を行う。当該カウンタはパチンコ機10の電源遮断時に0クリアされるが、電源がONとなっている期間中はカウント値が記憶保持されることとなる。
一般的に、遊技ホールにおいては営業時間の終了後に節電等の目的でパチンコ機10等への電力の供給が停止される。本実施の形態における表示制御装置620には電源遮断時に情報を記憶保持するバックアップ機能が付与されていないため、上述した各種カウンタの値は、日単位で記憶保持されることとなる。図柄表示装置75の表示画面75aには、このようにして日毎に蓄積された情報に基づく当否履歴を携帯電話CPの表示画面DSに表示させるためのAR対応情報が表示される。
<当否履歴表示用処理>
具体的には図29(a)のフローチャートに示すように、表示制御装置620のMPU622では定期的に実行される通常処理の一環として当否履歴表示用処理が実行される。
当否履歴表示用処理においては、先ずステップS1501にて報知・演出制御装置610から履歴表示用のコマンドを受信しているか否かを判定する。ステップS1501にて否定判定をした場合には、そのまま本当否履歴表示用処理を終了する。つまり、上記当否履歴の表示は表示演出の解説(拡張現実)の一環として行われるものであり、AR対応モード中に履歴表示用のコマンドを受信したことを条件として実行される。
ステップS1501にて肯定判定をした場合にはステップS1502に進み、リーチ表示への移行タイミングであるか否かを判定する。ステップS1502にてリーチ表示への移行タイミングであると判定した場合にはステップS1503に進む。ステップS1503では上記各種カウンタの値と各種値に対応する表示態様が記憶されたテーブルとを参照してAR対応情報の表示態様、詳しくはデータシンボルDPの表示態様を決定し、その後、ステップS1504ではVDP625に対して当該表示態様にてAR対応情報を表示させる(描画させる)コマンドを送信する。VDP625では、AR対応コードROM628に記憶された各種AR対応情報の中から当該コマンドに対応するAR対応情報をAR用レイヤに描画する処理を行う。
携帯電話CPのカメラCによって図柄表示装置75の表示画面75aに表示されたAR対応情報が撮影され、当該AR対応情報の識別がなされることで携帯電話CPの表示画面DSにAR対応画像が追加表示される。ここで、図29(b)を参照して、追加表示されるAR画像について例示する。なお、図29(b)群についてはリーチ表示が実行される場合の表示例である。
通常変動表示からリーチ表示へ移行する場合には、当日に実行されたリーチ表示の総数と、各種リーチ表示を経由して大当たりに当選した回数とが分数表示される。具体的には、図29(b1)に示すように、予め規定された定形文として「本日の当選確率」が表示画面DSにキャプション表示され、それに併せて上記分数が表示される。これにより、遊技者は遊技中の台にて当該リーチ表示がどれほど期待できるものであるかを把握することができる。なお、リーチ表示が始めて実行される場合、すなわちリーチ実行回数カウンタの値が0である場合には、その旨を示すメッセージとして「本日初のリーチです」がキャプション表示されることとなる。
リーチ表示へ移行した場合に、その日単位でみた場合にはどれほどの信頼度があるのかを明示することで、実行中のリーチ表示がどれほど期待できるものであるかを把握することができる。
リーチ表示がノーマルリーチA,ノーマルリーチB,スーパーリーチA,スーパーリーチBの何れであっても上記履歴表示用のコマンドに基づいて携帯電話CPの表示画面DSに表示される情報について同様の形態となっている。但し、スーパーリーチA,スーパーリーチBへ発展(昇格)する場合には、それに応じて表示画面DSに表示される情報もスーパーリーチに対応したものに変更されることとなる。具体的には、報知・演出制御装置610から更新用コマンドを受信していることに基づいて、上記変更が行われるように携帯電話CPの表示制御が行われる。
<当否履歴更新用処理>
具体的には図30(a)のフローチャートに示すように、表示制御装置620のMPU622では定期的に実行される通常処理の一環として当否履歴更新用処理が実行される。
当否履歴更新用処理においては、
先ずステップS1601にて報知・演出制御装置610から更新用のコマンドを受信しているか否かを判定する。ステップS1601にて否定判定をした場合には、そのまま本当否履歴更新用処理を終了する。当否履歴の更新は表示演出の解説(拡張現実)の一環として行われるものであり、AR対応モード中に更新用のコマンドを受信したことを条件として実行される。
ステップS1601にて肯定判定をした場合にはステップS1602に進み、ノーマルリーチからスーパーリーチへの移行タイミング(発展タイミング)であるか否かを判定する。ステップS1602にて否定判定をした場合、すなわち上記更新用のコマンドを受信している場合であっても未だスーパーリーチへの移行タイミングとなっていないと判定した場合には、本当否履歴更新用処理を終了する。
ステップS1602にて肯定判定をした場合にはステップS1603に進む。ステップS1603では実行されるスーパーリーチについて予め設定されている期待度(設定値)と、上記蓄積処理によって蓄積されたデータに基づく実際の当否状況(実績値)との比較処理を行う。
ステップS1603にて比較処理を実行した後はステップS1604に進む。ステップS1604では実績値が当選率100%であるか否かを判定する。ステップS1604にて肯定判定をした場合にはステップS1605に進み、携帯電話CPの表示画面DSにそのスーパーリーチが期待の持てるものであることを示すメッセージとして「絶好調!!」が表示されるように表示制御を行うべく当該結果に対応するAR対応情報を表示画面75aに表示させる(描画させる)コマンドを送信する。VDP625では、AR対応コードROM628に記憶された各種AR対応情報の中から当該コマンドに対応するAR対応情報をAR用レイヤに描画する処理を行う。
一方、ステップS1604にて否定判定をした場合にはステップS1606にて累積記憶された当否状況(実績値)が設定値を上回っているか否かを判定する。ステップS1606にて肯定判定をした場合にはステップS1607に進む。ステップS1607では、携帯電話CPの表示画面DSにそのスーパーリーチが期待の持てるものであることを示すメッセージとして「好調!」が表示されるように表示制御を行うべく当該結果に対応するAR対応情報を表示画面75aに表示させる(描画させる)コマンドを送信する。VDP625では、AR対応コードROM628に記憶された各種AR対応情報の中から当該コマンドに対応するAR対応情報をAR用レイヤに描画する処理を行う。
ステップS1606にて否定判定をした場合にはステップS1608に進む。ステップS1608では、携帯電話CPの表示画面DSにそのスーパーリーチが期待の低いものであることを示すメッセージとして「不調」が表示されるように表示制御を行うべく当該結果に対応するAR対応情報を表示画面75aに表示させる(描画させる)コマンドを送信する。VDP625では、AR対応コードROM628に記憶された各種AR対応情報の中から当該コマンドに対応するAR対応情報をAR用レイヤに描画する処理を行う。
携帯電話CPのカメラCによって図柄表示装置75の表示画面75aに表示されたAR対応情報が撮影され、当該AR対応情報の識別がなされることで携帯電話CPの表示画面DSにAR画像が追加表示される。つまり、それまで表示画面DSに表示されていたAR画像の表示が更新されることとなる。ここで、図30(b)を参照し、更新されたAR画像について例示する。なお、図30(b)群についてはスーパーリーチAが実行される場合の表示例である。
ノーマルリーチからスーパーリーチAへ移行する場合には、当日に実行されたスーパーリーチAの回数と、当該スーパーリーチAを経由して大当たりに当選した回数とが分数表示され、これに加えて予め設定されたスーパーリーチAの期待度が分数表示され、更にそれら両情報に基づいて当該スーパーリーチAが好調であるか否かがキャプション表示される。
具体的には、実績値が設置値を上回っている場合には、図30(b1)に示すようにその旨を示す定形文として「好調」が携帯電話CPの表示画面DSにキャプション表示され、実績値が設定値を下回っている場合には、図30(b2)に示すようにその旨を示す定形文として「不調」がキャプション表示されることとなる。
このような構成とすれば、遊技者は、遊技機の仕様に関する知識レベルに関係なく、実行されているスーパーリーチがどの程度信頼できるかを容易に把握することが可能となる。これにより、解説機能を好適に発揮させることができる。
そもそも、各変動表示態様(スーパーリーチ)の選択についてはテーブルと乱数の値とを照らし合わせることで決定されており、実質的に同テーブルにより当選時や非当選時に選択される可能性(確率)が決まっている。つまり、実際にその変動表示態様が選択された場合の当選期待度についてはそれぞれの変動表示態様に対応して決まっている。
しかしながら、これら各変動表示態様は、既に説明したように取得した乱数の値とテーブルとを参照しての選択されるため、長期スパン(例えば月単位や年単位)では設定値に近くなるように収束するが、日単位では上記設定値に収束するとは限らない。
このようなばらつきは、遊技者からしてみればその変動表示態様が調子のよいものか悪いものかを判断する材料ともなり得る。遊技機の仕様を熟知した遊技者にとっては好調・不調を自身の知識に基づいて判断できるが、その日その台における変動表示態様の選択の偏りをも踏まえて判断することは困難である。
更には、遊技機の仕様を熟知していない遊技初心者にとっては、その演出の期待度が実際には如何ほどに設定されているものであり、その日に限って見た場合には設定値を上回っているのかそれとも下回っているのかを判断することは極めて困難であると想定される。つまり、多様な演出を実現しても、その演出が期待できるものであるか否かがその日の台の調子等に左右される構成においては、実績を踏まえて判断することにより、より精度よく当否の予想をすることができる。
このような実情を考慮して、本実施の形態においては、スーパーリーチが実行される際には表示制御装置620にて設定値と実績値との比較を行った上でスーパーリーチの解説態様を決定するという上記工夫がなされている。
以上詳述した当否履歴表示に係るA用画像については携帯電話CPの表示画面DSにて変動表示領域MEから外れた位置に表示されることとなる。一方、上述した期待度示唆や遊技状態告知に係る表示については、AR画像が表示画面DSにて変動表示領域MEと重なる位置に表示されるように構成されている。
ここで、図31を参照して期待度示唆に対応するAR画像及び遊技状態告知に対応するAR画像について説明する。図31(a)はAR対応情報に基づく期待度示唆表示を示す概略図、図31(b)はAR対応情報に基づく遊技状態告知表示を示す概略図である。
先ず、ノーマルリーチについては、スーパーリーチと比較して視覚的変化が少なく遊技者の注目が低下しやすい演出であると想定される。但し、ノーマルリーチが実行される場合であっても大当たりに当選することはある。上述した期待度示唆や遊技状態告知を敢えてノーマルリーチが実行される場合に行うことで、AR対応モードにおいては、ノーマルリーチが実行される場合に遊技者の期待を煽って、遊技が単調になることを抑制されるように工夫されている。
期待度示唆表示と遊技状態告知表示とについては表示態様が一部類似しているため、先ず前者について説明する。図柄表示装置75の表示画面75aに表示されたAR対応情報に基づいて期待度示唆表示を行なう場合には、図31(a)に示すように、リーチ表示への移行に伴って停止表示された図柄を囲むようにして携帯電話CPの表示画面DSに表示されている同図柄にエフェクトが追加される。つまり、図柄表示装置75の表示画面75aでは図柄はそのまま表示されているが、携帯電話CP越しに同図柄を見ることでエフェクトが追加される。
このエフェクトは複数色存在し、青色 < 緑色 < 赤色の順に大当たりに当選する期待度が高くなるように設定されている。どの色でエフェクトを表示するかについては、報知・演出制御装置610にて予め決定されており、その内容がAR対応情報に組み込まれている。携帯電話CPでは表示画面75aに表示されたAR対応情報に基づいてどの色でエフェクトを追加するかを判定する。
このように、パチンコ機10側では単なるノーマルリーチが実行される場合であっても、携帯電話CP越しに当該ノーマルリーチを見ることで、ノーマルリーチ自体が多様化されることとなる。これにより、遊技進行の単調化を抑制して、遊技への注目度を好適に向上させることができる。
次に、遊技状態告知表示について説明する。遊技状態告知表示については、潜確遊技状態となっている場合に発生する演出であり、その前半は上記期待度示唆表示と共通となっている。つまり、遊技状態告知表示が開始されたタイミングでは図31(a)に示すように、携帯電話CP越しに見た図柄にエフェクトが付与される。
その後、中図柄列Z2のスクロール速度が遅くなって低識別表示から高識別表示に切り替ると、中図柄列を構成する図柄にもエフェクトが追加される。そして、リーチライン上に停止する絵柄に重なるようにして「潜伏!」の文字が表示されることとなる。つまり、あたかも、中図柄の一部が潜確遊技状態に対応するチャンス図柄に変換されたかのように表示されることとなる。この表示によって、遊技者に現在の遊技状態が潜確遊技状態であることが告知されることとなる。
上述した期待度示唆の表示態様と遊技状態告知の表示態様とを一部共通化することにより、リーチ表示の最終段階までどちらの表示が行われているのかを把握することが困難となっている。潜確遊技状態では次回の大当たりに当選するまで当否抽選が遊技者に有利となるように実行されるため、見た目で判別することが困難な通常遊技状態及び潜確遊技状態のいずれであっても遊技状態告知により潜確遊技状態の告知が行なわれることを期待して遊技が行われると想定される。そこで、上述の如く敢えて期待度示唆の表示態様と遊技状態告知の表示態様とを一部共通化することにより、通常遊技状態中であっても、図31(a)に示すAR画像の表示によって遊技者の注目を好適に向上させることができる。
既に説明したように、本実施の形態に示したAR機能については、表示画面75aに表示されるAR対応情報により携帯電話CPの表示画面DSの表示制御を行うことを特徴としている。携帯電話CPの処理負荷の軽減や応答性の向上等を実現しようとすれば、AR対応情報の簡略化を図ることが好ましいが、これでは遊技者が当該AR対応情報を目視で確認してその内容を把握しやすくなると懸念される。つまり、携帯電話CPの処理負荷の軽減等を実現しようとすることが、遊技者によってAR機能が活用される機会を減少させる要因になり得る。
本実施の形態ではこのような事情に配慮した各種工夫が施されているが、それ以外にも当該不都合の発生を抑える工夫がなされている。具体的には、AR対応情報を構成する位置検出シンボルTP及びデータシンボルDPの表示タイミング/表示期間を相違させている。以下、図32及び図33を参照して、当該工夫について説明する。図32(a)はAR対応情報に基づく期待度示唆表示及び遊技状態告知表示の流れを示すタイミングチャート、図32(b)は図柄表示装置の表示画面に表示されるAR対応情報の表示の流れを示す概略図、図33(a)はAR対応情報に基づく当選履歴表示の流れを示すタイミングチャート、図33(b)は図柄表示装置の表示画面に表示されるAR対応情報の表示の流れを示す概略図である。
先ず、図32を参照して上記期待度示唆表示及び遊技状態告知表示が行われる場合の流れについて説明する。
図32(a)に示すように、ta1のタイミングにて遊技回が開始すると、図柄表示装置75の表示画面75aにて停止表示されていた各図柄列の変動表示(スクロール表示)が開始される(図32(b1)参照)。当該遊技回についてはノーマルリーチに対応しており、上図柄列Z1及び下図柄列Z3が停止表示されリーチ表示となったta2のタイミングにて、表示画面75aにAR対応情報を構成する位置検出シンボルTPが表示されることとなる。このタイミングでは、位置検出シンボルTPのみが表示され、データシンボルDPについては表示されていない(図32(b2)参照)。
リーチ表示となったta2のタイミングから所定の待機期間が経過したta3のタイミングでは、表示画面75aにデータシンボルDPが追加表示される(図32(b3)参照)。位置検出シンボルTPの先行表示により、この時点では携帯電話CPのカメラCの焦点が表示画面75aに合っており、識別された位置検出シンボルTPに基づいてどの範囲にデータシンボルDPが表示されるかが携帯電話CP側で把握されている。
つまり、データシンボルDPの描画範囲については位置検出シンボルTPに対応付けられているため、位置検出シンボルTPを捉えた携帯電話CPでは同位置検出シンボルTPに基づいてデータシンボルDPが表示される範囲を絞り込むことができる。これにより、データシンボルDPが表示されてから携帯電話CPにて同データシンボルDPを捉えるまでの期間の短縮が図られている。ta3のタイミングにてデータシンボルDPを捉えたことにより、携帯電話CPの表示画面DSにはAR画像が表示されることとなる(図31(a)参照)。
ta3のタイミングから所定の表示期間が経過したta4のタイミングでは、表示されている位置検出シンボルTP及びデータシンボルDPのうちデータシンボルDPが非表示となる(図32(b4)参照)。この場合であっても、携帯電話CPでは表示画面DSに表示すべきAR画像を把握しているためデータシンボルDPが消えることで、AR画像の表示がキャンセルされるといった不都合は生じない。
その後、ta5のタイミングにてリーチ表示(変動表示)が終了し(図32(b5)参照)、変動表示が終了してからta6のタイミングまで遊技結果の確定表示が行われる。そして、ta6のタイミングにて次の遊技回が開始することなる。
携帯電話CPの表示画面DSに表示されているAR画像及び図柄表示装置75の表示画面75aに表示されている位置検出シンボルについては、確定表示が終了するta6のタイミングにて非表示となる(図32(b6)参照)。
なお、AR画像を表示しているタイミングにて、携帯電話CPの位置が変化した場合には、カメラCにより位置検出シンボルTPを捉えていることを条件としてAR画像の表示位置の修正が行われる。但し、携帯電話CPの変位量が大きくなってカメラCの撮影範囲から位置検出シンボルTPが外れた場合には、上述したAR画像の位置修正が行われることなく、最後に検出した位置検出シンボルTPの位置に基づいてAR画像の表示が継続されることとなる。
次に、図33を参照してスーパーリーチに対応した当選履歴表示が行われる場合の流れについて説明する。
図33(a)に示すように、tb1のタイミングにて遊技回が開始すると、図柄表示装置75の表示画面75aにて停止表示されていた各図柄列の変動表示(スクロール表示)が開始される(図33(b1)参照)。当該遊技回についてはスーパーリーチに対応しており、上図柄列Z1及び下図柄列Z3が停止表示されリーチ表示となったtb2のタイミングにて、表示画面75aにAR対応情報を構成する位置検出シンボルTPが表示されることとなる。このタイミングでは、位置検出シンボルTPのみが表示され、データシンボルDPについては表示されていない(図33(b2)参照)。
リーチ表示となったtb2のタイミングから所定の待機期間が経過したtb3のタイミングでは、表示画面75aにデータシンボルDPが追加表示される(図33(b3)参照)。位置検出シンボルTPの先行表示により、この時点では携帯電話CPのカメラCの焦点が表示画面75aに合っており、識別された位置検出シンボルTPに基づいてどの範囲にデータシンボルDPが表示されるかが携帯電話CP側で把握されている。
つまり、データシンボルDPの描画範囲については位置検出シンボルTPに対応付けられているため、位置検出シンボルTPを捉えた携帯電話CPでは同位置検出シンボルTPに基づいてデータシンボルDPが表示される範囲を絞り込むことができる。これにより、データシンボルDPが表示されてから携帯電話CPにて同データシンボルDPを捉えるまでの期間の短縮が図られている。tb3のタイミングにてデータシンボルDPを捉えたことにより、携帯電話CPの表示画面DSにはAR画像が表示されることとなる(図29(b)参照)。
tb3のタイミングから所定の表示期間が経過したtb4のタイミングでは、表示されている位置検出シンボルTP及びデータシンボルDPのうちデータシンボルDPが非表示となる(図33(b4)参照)。この場合であっても、携帯電話CPでは表示画面DSに表示すべきAR画像を把握しているためデータシンボルDPが消えることで、AR画像の表示がキャンセルされるといった不都合は生じない。
その後、tb2のタイミングから所定の期間を経過したtb5のタイミングにてリーチ表示がノーマルリーチに対応するものからスーパーリーチに対応するものに昇格(発展)する(図33(b5)参照)。これに併せて、図柄表示装置75の表示画面75aには履歴表示を更新すべく新たなデータシンボルDPが表示されることとなる。このデータシンボルDPの表示によって、携帯電話CPの表示画面DSに表示されているAR画像がスーパーリーチに対応するものに更新されることとなる(図30(b)参照)。
tb5のタイミングから所定の表示期間が経過したtb6のタイミングでは、表示されている位置検出シンボルTP及びデータシンボルDPのうちデータシンボルDPが非表示となる(図33(b6)参照)。この場合であっても、携帯電話CPでは表示画面DSに表示すべきAR画像を把握しているためデータシンボルDPが消えることで、AR画像の表示がキャンセルされるといった不都合は生じない。
以降は、tb7のタイミングにてリーチ表示(変動表示)が終了し、変動表示が終了してからtb8のタイミングまで遊技結果の確定表示が行われる。そして、tb8のタイミングにて次の遊技回が開始することなる。
携帯電話CPの表示画面DSに表示されているAR画像及び図柄表示装置75の表示画面75aに表示されている位置検出シンボルについては、確定表示が終了するtb8のタイミングにて非表示となる(図32(b6)参照)。
なお、AR画像を表示しているタイミングにて、携帯電話CPの位置が変化した場合には、カメラCにより位置検出シンボルTPを捉えていることを条件としてAR画像の表示位置の修正が行われる。但し、携帯電話CPの変位量が大きくなってカメラCの撮影範囲から位置検出シンボルTPが外れた場合には、上述したAR画像の位置修正が行われることなく、最後に検出した位置検出シンボルTPの位置に基づいてAR画像の表示が継続されることとなる。
以上詳述した実施の形態によれば以下の優れた効果が期待できる。
図柄表示装置75(表示画面75a)においては、作動入球部62,63への入球に基づいて決定された表示態様により図柄が表示される。この際、表示画面75aには、携帯電話CPの表示制御を行うための情報として遊技状況に応じて設定されたAR対応情報が併せて表示される。このAR対応情報が表示されている状況下では、携帯電話CPの表示画面DSを通じて図柄表示装置75の表示画面75aを見ることにより、当該表示画面75aに表示されている画像に重なるようにして同AR対応情報に対応するAR画像が表示されることとなる。
AR対応情報はコード化されており、このようにしてコード化されたAR対応情報によって携帯電話CPに表示される画像の表示制御を行うことにより、図柄表示装置75の表示画面75aを直視した場合に得られる情報よりも多くの情報を遊技者に供給することができる。パチンコ機10と携帯電話CPとの連携により供給される情報量を変化させて、図柄表示装置75を直視した場合と携帯電話CPを通じて図柄表示装置75を見た場合とで視覚的な差違を生じさせることにより、遊技の単調化の抑制に貢献できる。
特に、携帯電話CPの表示画面DSでは遊技者の注目が向きやすい図柄表示装置75(表示画面75a)に情報を追加するようにしてその表示内容が改変される。これは、拡張現実機能(AR機能)を利用する際の遊技者の利便性を向上させる上で有利である。
また、遊技者によっては表示演出等の簡素さを好む場合もあり、遊技の流れ等によって情報の多さが煩わしいとの印象を与える要因にもなり得る。つまり、例えば図柄表示装置75の表示画面75a単独で全ての情報を表示することにより、上述したような多様なニーズに対応することが困難になると想定される。
この点、本実施の形態に示す構成によれば、AR機能を活用している状況下であっても情報が不要又は煩わしいと感じた場合には、視点を携帯電話CPから図柄表示装置75の表示画面75aに移したり、携帯電話CPの使用を止めたりすることでそのような不都合が解消される。故に、遊技者の様々なニーズに対応することができる。また、遊技中に遊技機側にて表示内容を強制的に書き替える必要がないため、様々なニーズへの対応により制御負荷が極端に増加することを抑制できる。
上述したようにコード化した画像によりAR対応情報を構成することは、図柄表示装置75の表示画面75aに表示される図柄等の表示領域が圧迫されることを抑制しつつ、当該AR対応情報により多くの内容を包含させる上でも有利である。また、AR対応情報を目視で確認することにより当該AR対応情報が何を意味しているかが遊技者によって容易に判別可能となれば、上述したAR機能が活用される頻度が低下し、当該AR機能による斬新な表示等を実現する機能が利用されなくなると懸念される。この点、AR対応情報をコード化しておくことで、当該AR対応情報が遊技者により目視で確認された場合であっても、その意味が携帯電話CPを用いることなく把握されるといった不都合の発生を抑制できる。
上記AR機能については、例えば図柄表示装置75に表示された内容のみでは把握しきれない情報を遊技者に提供する上でその効果が好適に発揮させることができる。この点に配慮した場合、報知・演出制御装置610により設定された図柄の表示態様(例えば可変表示態様や停止表示される絵柄組み合わせ)に応じてAR対応情報を設定することにより、AR機能を付加する上で遊技機本来の図柄表示を行う機能に制約等が生じることを回避し、図柄表示に係る制御負荷の増大等を好適に抑制できる。
上述の如く図柄表示装置75の表示画面75a(詳しくは変動表示領域ME)にて図柄の可変表示及びAR対応情報の表示を行う構成では、携帯電話CPのカメラCによって変動表示領域MEを撮影することによりAR対応情報→AR画像の表示を行なうことができる。携帯電話CPを通じて遊技者に提供される情報が図柄表示装置75の表示画面75a(詳しくは当該表示画面75aに表示される画像)と併せて当該携帯電話CPの表示画面DSに表示されることにより、遊技者が注目すべき情報を表示画面DS内に集約できる。
表示画面75aにおける変動表示領域MEにてAR対応情報を表示することは上記効果を発揮する上で好ましい。しかしながら、同変動表示領域MEに表示される画像については周辺画像の変化(動き)によってカメラCによる捕捉が困難になり得る。表示されたAR対応情報を携帯電話CPによって捉えることが困難になることは、AR画像の表示を難しくする要因となるため好ましくない。この点、本実施の形態によれば、一部の図柄列のスクロール表示が停止することで移行するリーチ表示が行なわれている状況下にてAR対応情報を表示することにより、表示画面75aの変化の影響を抑えて当該不都合の発生を抑制することが可能となっている。
特に、既に停止表示されている図柄列の変動表示領域MEU,MELをAR対応情報の表示領域として利用することにより、最終停止図柄をスクロール表示させる場合にAR対応情報が当該最終停止図柄のスクロール表示の視認性を低下させる要因になることを抑制したり、図柄のスクロール表示の影響によってAR対応情報の捕捉が困難になることを抑制したりすることができる。これにより、図柄とAR対応情報とを表示画面75aにて好適に共存させることが可能となる。
図柄表示装置75の表示画面75aにおいて停止表示されている図柄以外の部分については、背景、エフェクト、キャラク等の各種表示が行われることがある。そこで、停止表示されている図柄自体をAR対応情報の表示対象として利用することにより、表示されたAR対応情報がエフェクト等の各種表示の邪魔になることを回避できる。同様にそれらエフェクト等の各種表示が携帯電話CPによるAR対応情報の把握を妨げる要因になることを回避できる。これにより、AR対応情報の表示とエフェクト等の各種表示とを図柄表示装置75の表示画面75aにて好適に共存させることができる。
また、図柄を停止表示させる場合には、都度の遊技回にて停止位置を変更するのではなく、予め設定された停止位置にて図柄が停止表示されるように規定されている。このような技術を考慮すれば、図柄に重ねてAR対応情報を表示させることにより、AR対応情報の表示位置のばらつきを好適に抑制することができる。これは、都度のAR対応情報の表示にて撮影対象の位置の変化を抑えてAR対応情報の読み取りに係る負担を軽減する上で好ましい。
特に、AR対応情報が、位置検出シンボルTP及びデータシンボルDPによって構成され、位置検出シンボルTPに対応付けられてデータシンボルDPの位置が規定されている構成では、AR対応情報の表示位置や向きを特定するための位置検出シンボルTPを図柄に重ねて表示することにより、データシンボルDPの捕捉の足がかりを迅速に把握させることが可能となる。これにより、AR対応情報に対応するAR画像を携帯電話CPの表示画面DSに表示させる際の応答性を好適に向上させることができる。
先に表示されている位置検出シンボルTPを捕捉した場合、当該位置検出シンボルTPの表示位置に基づいてデータシンボルDPの表示位置の絞込みができる。このため、表示画面75aにて上記エフェクト等の各種表示が行われている場合であっても、それに起因してデータシンボルDPの識別が困難になることを抑制できる。故に、携帯電話CPによってAR対応情報を識別する際の効率を向上させることができる。
「情報特定用画像」としてのデータシンボルDPの表示を簡素化することは携帯電話CPによる識別機能を上手く発揮させる上で好ましい。但し、情報特定用画像が簡素化されることは、遊技者が携帯電話CPを使用することなくAR対応情報を解読することが可能又は容易になる要因にもなり得る。つまり、携帯電話CPの負荷を軽減することは、AR機能を上手く発揮させる上で障害になると懸念される。
この点、AR対応情報を特定するための情報を含まない位置検出シンボルTPを先に表示させ、それよりも後にデータシンボルDPを表示することにより以下の効果が期待できる。すなわち、位置検出シンボルTPにより携帯電話CPを識別用の準備が整った状態とした上で、データシンボルDPを表示することができる。これにより、データシンボルDPの表示期間を短くすることができる。これは、携帯電話CPの識別にかかる処理負荷を軽減しつつ、それに起因してAR機能が上手く活用されなくなることを回避する上で優れている。
遊技者が携帯電話CPを利用して図柄表示装置75(表示画面75a)を撮影する場合には、上述した理由から表示画面75aにおける図柄の変動表示領域MEが当該携帯電話CPの表示画面DSに表示されるようにして撮影が行われると想定される。そこで、変動表示領域ME内に停止表示された図柄と重なる位置又は当該図柄の周辺位置にAR対応情報を表示する構成とすれば、変動表示領域MEの撮影によってAR対応情報が撮影されることとなる。故に、AR機能を好適に発揮させることができる。
特に、都度の遊技回にて図柄が停止表示される有効ラインを共通化しておくことにより、AR対応情報の読み取りパターンが無駄に多様化されることを抑制できる。これにより、AR対応情報の表示→AR画像の表示の応答性を好適に向上できる。なお、AR対応情報を構成する位置検出シンボルTPについては、都度の表示で同じ位置に表示される構成となっている。このように、表示位置を共通化することにより、AR対応情報に係る情報容量が膨大になることを抑制している。また、位置検出シンボルTPの表示位置を共通化することは、AR対応情報の識別等に係る処理負荷を軽減する上でも有益である。
各データシンボルDPの表示範囲が限定的となっているため、携帯電話CPによるデータシンボルDPのサーチ範囲を減縮できる。これは、AR画像の表示に係る携帯電話CPの応答性を向上する上で好ましい。このような構成においては、一見すると遊技者にとっても識別が容易となり得る。但し、データシンボルDPは複数の画像の組み合わせによって構成されている。故に、データシンボルDPを目視で確認したとしても同データシンボルDPからAR対応情報の内容が遊技者によって解読されることを抑制し、AR機能の存在意義の低下を好適に回避できる。
リーチ表示としてノーマルリーチ及びスーパーリーチが行われる構成においては、遊技者は期待度が相対的に高く設定されたスーパーリーチが行われることに期待しながら遊技を行うこととなる。換言すれば、スーパーリーチが行われる場合と比較してノーマルリーチが行われる場合の当該リーチ表示への注目度は低くなりやすい。このような事情から、スーパーリーチが行われる場合には期待感の高まりによってAR機能が利用されやすくなると想定されるものの、ノーマルリーチが行われる場合には期待感の低下からAR機能が利用されにくくなると想定される。故に、AR機能によって遊技への積極的参加や遊技への注目度の向上を図ろうとしても、当該効果が上手く発揮されなくなると懸念される。
そこで、ノーマルリーチが行われることを条件として、通常遊技状態よりも遊技者に有利な潜確遊技状態となっていることをAR機能によって遊技者に報知する構成とすれば、ノーマルリーチが行われる場合には、遊技状態が報知されること(当該遊技回ではなく後の遊技回にて付与判定結果となること)を期待してAR機能が活用される。故に、ノーマルリーチが行われる場合であっても、遊技者の注目度の低下やそれに起因してAR機能が活用されなくなることを好適に抑制できる。
<その他の実施の形態>
なお、上述した実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。因みに、以下の別形態の構成を、上記実施の形態における構成に対して、個別に適用してもよく、相互に組み合わせて適用してもよい。
(1)上記実施の形態では、「識別情報」としてのAR対応情報によって「携帯端末」としての携帯電話CPの表示制御を行うことにより、例えばリーチ表示の期待度の報知や遊技状態の報知を行う構成としたが、携帯電話CPに表示させる具体的内容については、当該表示内容がその時周囲を取り巻く現実環境に情報を付加・強調等させて遊技者の見た現実世界を拡張させること(現実の一部を改変すること)ができるものであれば足り、上記実施の形態に例示したものに限定されるものではない。
例えば、AR対応情報をカメラCで認識した携帯電話CPの表示画面DSに図柄表示装置75の表示画面75aには存在しないキャラクタ画像を表示させて、当該キャラクタ画像を表示画面DS内にて動作させる構成としてもよい。また、表示画面75aにキャラクタ等の画像が表示されている場合に同画像と同じであると認識される画像を表示画面DSに表示させる一方、各表示画面75a,DSに表示されている画像の動きを相違させてもよい。
(2)上記実施の形態では、「識別情報」として2次元コードであるAR対応画像を表示する構成としたが、情報量が圧縮された(コード化された)ものを表示する上ではバーコードやQRコード(登録商標)を使用することも可能である。なお、上記実施の形態では3つのデータシンボルの位置関係に識別情報を付与する構成としたがデータシンボルの数については任意である。また、「識別情報」については必ずしもコード化された画像である必要はない。例えばAR画像表示用の所定のキャラクタ等の模様を表示する構成とすることも可能である。
(3)上記実施の形態では、「識別情報」としてのAR対応情報を構成する位置検出シンボル及びデータシンボルのうち前者については、リーチ表示が開始されてから当該リーチ表示(遊技回)が終了するまで表示が継続される構成(図32,図33参照)としたが、必ずしもこれに限定されるものではない。位置検出シンボルをどのタイミングで非表示にするかは任意であり、リーチ表示中に当該位置検出シンボルを非表示とすることも可能である。
但し、「携帯端末」としての携帯電話CPについては、遊技者の手で持った状態で使用されることが多い。つまり、手振れ等によって携帯電話CPの位置がAR対応画像の表示中に変化する可能性が高い。上記実施の形態では、AR対応画像の表示位置が位置検出シンボルの表示位置と対応付けられており、AR対応の連携アプリによって位置検出シンボルの位置の確認が定期的に実行される。これにより、上述した位置の変化によってAR対応画像の表示がずれるといった不都合の発生を好適に抑制することができる。このような事情に鑑みれば、AR対応情報を構成する位置検出シンボル及びデータシンボルのうち前者については、AR対応画像が表示される期間に合わせて表示が継続される構成とすることが好ましい。
(4)上記変形例(3)にて説明したように、携帯電話CPの位置ばらつきによってAR機能が上手く発揮されない可能性がある。そこで、パチンコ機10の前扉枠14において「絵柄表示手段」としての図柄表示装置75(詳しくは表示画面75a)と対向する部分(例えばガラスユニット22)に携帯電話CPを配置すべき位置を示すマーカを設けたり、携帯電話CPを配置可能な端末置き部を設けたりするとよい。これにより、AR機能を好適に発揮させることが可能となる。
(5)上記実施の形態では、「絵柄表示手段」としての図柄表示装置75に表示される図柄に重ねて「識別情報」としてのAR対応情報(詳しくは位置検出シンボル及びデータシンボル)を表示する構成としたが、AR対応情報については必ずしも図柄に重ねて表示する必要はない。但し、図柄の停止位置が上記有効ラインL1〜L5の交差する位置となるように規定されている点、更には停止表示された図柄については変動表示(スクロール表示)が継続されている図柄と比較して動きが抑えられている点、図柄の組み合わせによって大当たりの当選の有無等が告知される点に鑑みれば、停止表示されている図柄に重ねてAR対応情報を表示することには、AR機能を好適に発揮させることができるという技術的意義がある。
(6)上記実施の形態では、図柄列を主図柄及び副図柄を用いて形成したが、これに限定されるものではない。少なくとも主図柄に相当する構成を有していればよい。但し、大当たりに対応する図柄組み合わせにおいてその役割が低い副図柄については主図柄と比較してその形状がシンプルとなりやすく、複数の副図柄について共通の画像が使用されている。そこで、このような比較的簡素な副図柄を「識別情報」としてのAR対応情報の表示対象とすることには、「携帯端末」としての携帯電話CPにてAR対応情報の把握を容易にする上で有利である。
(7)上記実施の形態では、複数の図柄列及び複数の有効ラインL1〜L5の組み合わせによって、表示画面75aに上下方向(縦方向)及び左右方向(横方向)にて各々複数の図柄が表示される構成としが、このような構成に限定されるものではない。例えば、有効ラインを一列となるように設定し、表示画面75aに上図柄列を構成する図柄、中図柄列を構成する図柄、下図柄列を構成する図柄が各々1つずつ停止表示される構成とすることも可能である。
但し、縦横複数の図柄を表示させることが可能となっている構成にて位置検出シンボルを図柄に重ねて表示することにより、同位置検出シンボルをカメラCにより把握した際に、携帯電話CPの向き等を把握することができ、どの位置にどの向きでAR画像を表示すべき状況であるかが決定される。つまり、上記実施の形態に示した停止図柄の数及び並びと位置検出シンボルの表示とは上記機能を発揮する上で有機的に結合されている。故に、位置検出シンボルに方向に係る情報を付与しつつ、その識別力を担保する上では、上記実施の形態に示したような縦横複数の図柄が表示画面75aに停止表示される構成とすることが好ましい。
(8)上記実施の形態では、「絵柄表示手段」としての図柄表示装置75にて図柄の変動表示が行われている状況下にて「識別情報」としてのAR対応情報を同図柄表示装置75の表示画面75aに表示する構成としたが、どのタイミング又はどの期間にてAR対応情報を表示するかについては任意に変更することも可能である。
例えば、上記実施の形態ではリーチ表示に移行したタイミングにてAR対応情報の表示を開始する構成としたが、リーチ表示に移行する前又は後のタイミングにてAR対応情報の表示を開始する構成としてもよい。
(9)上記実施の形態では、AR対応情報を構成する位置検出シンボルとデータシンボルとの表示開始タイミングをずらす構成としたが、これら両シンボルの表示開始タイミングを揃えたり、データシンボルの表示開始タイミングを位置検出シンボルの表示開始タイミングよりも先としたりすることも可能である。
また、位置検出シンボルの表示期間をデータシンボルの表示期間よりも短く設定する上では、例えば同じデータシンボルの表示を複数回に分けて行う構成としつつも、その表示期間の和が位置検出シンボルの表示期間よりも短くなるようにすることも可能である。
(10)上記実施の形態では、AR対応情報を構成する位置検出シンボル及びデータシンボルを上変動表示領域MEU及び下変動表示領域MELの両領域に表示する構成としたが、少なくとも図柄の変動表示が停止されている領域に各シンボルを表示する構成であれば足り、複数の表示領域をシンボルの表示領域として利用する必要はない。
但し、上記実施の形態に示したように複数のデータシンボルの位置関係によってAR対応情報に違い生じさせる構成では、データシンボルの位置が近くなることにより、遊技者の視界に全てのデータシンボルが収まる等して、当該AR対応情報の内容が携帯電話CPを仕様することなく遊技者によって把握される可能性が高くなる。故に、望ましくはデータシンボルの表示を簡素化する上では、個々のデータシンボルの表示領域を離して設定することが好ましい。
(11)上記実施の形態では、携帯電話CPの表示画面DSにてAR画像が図柄表示装置75の表示画面75aに重なるようにして表示されるように、AR画像の表示位置を位置検出シンボルの位置に対応付ける構成としたが、AR画像をどの位置に表示させるかについては任意である。但し、遊技者の注目が表示画面75aに向きやすい点に配慮すれば、携帯電話CPのカメラCによる撮影範囲についても図柄が表示されている領域(変動表示領域ME)になりやすいと想定される。故に、望ましくは、表示画面75aの変動表示領域MEと重なる位置にAR画像が表示されるように当該AR画像の表示位置と位置検出データとの対応付けを行なうことが好ましい。
(12)複数のレイヤを重ねることにより図柄表示装置75の表示画面75aに表示される画像が構築される構成にて最も手前側となるように設定されたレイヤをAR用レイヤとしたが、AR対応情報が表示画面75aに表示される他の各種画像に覆われることを回避できるのであれば、上記レイヤ構造に用いる必要はない。
例えば、表示制御装置620のキャラクタROM626にAR対応情報が付与されていない図柄と、AR対応情報が付与された図柄とを個別に設け、AR対応情報を表示する場合には後者の図柄が表示される構成とすることも可能である。但し、このような構成とした場合には、キャラクタROM626の記憶容量が無駄に圧迫され得る。故に、上記レイヤ構造によって、図柄とAR対応情報とを描画を行なう場合に融合(一体化)させる構成とすることが好ましい。
(13)上記実施の形態では、遊技モードがAR対応モードとなっていることを前提として、「識別情報」としてのAR対応情報を表示する構成としたが、必ずしもこれに限定されるものではない。遊技モードに関係なくAR対応情報を表示する構成とすることも可能である。
また、AR対応情報を表示する条件として、実際に遊技が行われていることを加味してもよい。例えば、遊技球の発射操作が行われていることや上皿33に遊技球が残存していることをAR対応情報の表示条件に加えることも可能である。
(14)上記実施の形態では、「絵柄表示手段」としての図柄表示装置75に、「携帯端末」としての携帯電話CPの表示制御を行う「識別情報」としてのAR対応情報を表示する構成としたが、これに限定されるものではない。「識別情報」については例えば遊技盤60や前扉枠14に設けられた装飾等に表示される構成としてもよいし、装飾そのものに「識別情報」としての機能を付与してもよい。
例えば、キャラクタ等の絵柄や造形物が上記装飾として使用されている構成においては、携帯電話CPのカメラCによって当該装飾が確認された場合に、当該携帯電話CPの表示画面DSにこの装飾と同一であると認識される画像を当該装飾に重なるようにして表示させて、当該表示された画像が遊技進行等に応じて表示画面DS内で動作する構成としてもよい。
(15)上記実施の形態では、基地局及びインターネット網を介して情報配信サーバから「携帯端末」としての携帯電話CPにARモード対応の連携アプリが供給される構成としたが、携帯電話CPにAR対応の連携アプリがインストールすることが可能であれば、当該アプリの供給経路については任意である。例えば、パチンコ機10から有線通信又は無線通信によって同アプリを携帯電話CPに供給する構成とすることも可能である。
(16)上記実施の形態では、「携帯端末」として携帯電話CPを利用する場合について例示したが、「撮影部」としてのカメラC及び「表示部」としての表示画面DSを有する構成であってAR対応の連携アプリをインストールできるのあれば、その対象は携帯電話CPに限定されるものではない。例えば、所謂PDA等の携帯情報端末を利用することも可能である。
(17)上記各実施の形態では、報知・演出制御装置610と表示制御装置620とを別体としたがこれらを一体化してもよい。
(18)上記実施の形態とは異なる他のタイプのパチンコ機等、例えば特別装置の特定領域に遊技球が入ると電動役物が所定回数開放するパチンコ機や、特別装置の特定領域に遊技球が入ると権利が発生して大当たりとなるパチンコ機、他の役物を備えたパチンコ機、アレンジボール機、雀球等の遊技機にも、本発明を適用できる。
また、弾球式でない遊技機、例えば、複数種の図柄が周方向に付された複数のリールを備え、メダルの投入及びスタートレバーの操作によりリールの回転を開始し、ストップスイッチが操作されることでリールが停止した後に、表示窓から視認できる有効ライン上に特定図柄又は特定図柄の組み合わせが成立していた場合にはメダルの払い出し等といった特典を遊技者に付与するスロットマシンにも本発明を適用できる。
更に、外枠に開閉可能に支持された遊技機本体に貯留部及び取込装置を備え、貯留部に貯留されている所定数の遊技球が取込装置により取り込まれた後にスタートレバーが操作されることによりリールの回転を開始する、パチンコ機とスロットマシンとが融合された遊技機にも本発明を適用できる。
<上記実施の形態から抽出される発明群について>
以下、上述した実施の形態から抽出される特徴的な構成について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
以下の特徴群は、「パチンコ機等の遊技機には、表示画面にて絵柄を変動表示する絵柄表示装置を備えているものがある。この種の遊技機では、例えば遊技領域に設けられた作動口を遊技球が通過したことを契機として、当たり状態等の遊技者にとって有利な特定遊技状態を発生させるか否かの抽選が行われるとともに、絵柄の変動表示が開始される。抽選に当選した場合には、表示画面に特定の絵柄組合せ等が最終停止表示されるとともに、遊技状態が特定遊技状態に移行する(例えば特許文献1)。」という背景技術について、「近年では、遊技への注目度を高めるべく様々な工夫がなされている。しかしながら、遊技機の構成においては遊技への注目度の向上を実現する上では未だ改善の余地がある。」という発明が解決しようとする課題をもってなされたものである。
特徴1.表示画面(表示画面75a)を有し、当該表示画面にて絵柄を可変表示する絵柄表示手段(図柄表示装置75)と、
前記絵柄表示手段の表示制御を行う表示制御手段(報知・演出制御装置610や表示制御装置620)と
を備え、
前記表示制御手段は、
作動検出手段(例えば作動入球部62用の検知センサ)による作動条件成立(例えば入賞)を示す検出結果に基づいて、前記絵柄の表示態様を設定する第1設定手段(報知・演出制御装置610のMPU612における図柄の表示態様を決定する機能)と、
撮影部(カメラC)と、当該撮影部により撮影された画像を表示する表示部(表示画面DS)と、同撮影部の撮影範囲内において予め記憶された識別情報が存在する場合に当該識別情報を認識し且つ前記撮影部で撮影された画像に同識別情報に対応する画像を重ねて表示させる手段とを有する携帯端末(例えば携帯電話CP)により識別される前記識別情報の表示態様を遊技状況(例えば、遊技状態、AR対応モードになっているか否か、リーチ表示に係る遊技回であるか否か等)に応じて設定する第2設定手段(報知・演出制御装置610のMPU612にて連携表示態様を決定する機能)と、
前記第1設定手段及び前記第2設定手段によって設定された表示態様にて前記絵柄及び前記識別情報の両方を前記表示画面に表示させる表示実行手段(表示制御装置620の描画機能)と
を有していることを特徴とする遊技機。
特徴1に示す絵柄表示手段(表示画面)においては、作動検出手段の検出結果に基づいて決定された表示態様により絵柄が表示される。この際、表示画面には、携帯端末の表示制御を行うための情報として遊技状況に応じて設定された識別情報が併せて表示される。この識別情報が表示されている状況下では、携帯端末の表示部を通じて絵柄表示手段の表示画面を見ることにより、当該表示画面に表示されている画像に重なるようにして同識別情報に対応する画像が表示されることとなる。
このように、識別情報によって携帯端末に表示される画像の表示制御を行うことにより、絵柄表示手段の表示画面を直視した場合に得られる情報よりも多くの情報を遊技者に供給することができる。遊技者に供給される情報量を遊技機と携帯端末との連携によって変化させて、絵柄表示手段を直視した場合と携帯端末を通じて絵柄表示手段を見た場合とで視覚的な変化を生じさせることにより、遊技の単調化の抑制に貢献できる。
遊技者の注目が絵柄表示手段(表示画面)に向きやすい点に配慮したが場合、携帯端末の表示部では絵柄表示手段に表示された画像に識別情報に対応する画像が追加される。このようにして表示部の表示内容を改変する構成とすれば、本来注目した部位とは異なる部位を撮影する(目線を変える)必要性を排除できる。つまり、識別情報を絵柄が表示される対象(表示画面)と同じ対象に表示することにより、上記機能(所謂、拡張現実(Augmented Reality):以下AR機能と称する)を利用する際の遊技者の利便性を好適に向上させることができ、AR機能の活用を促進できる。なお、以下の説明では携帯端末に表示される識別情報に対応する画像を便宜上「AR画像」と称する。
また、表示演出等の簡素さを好む遊技者も存在する。更には、都度の遊技にて定常的に多くの情報が表示されることは、遊技者に煩わしいとの印象を与える要因になり得る。つまり、例えば絵柄表示手段(表示画面)単独で全ての情報を供給する構成では、上述したような多様なニーズに対応することが困難になると想定される。この点、本特徴に示す構成によれば、AR機能を活用している状況下であっても情報が不要又は煩わしいと感じた場合には、視点を携帯端末から絵柄表示手段の表示画面に移したり、携帯端末の使用を止めたりすることでそのような不都合が解消される。故に、遊技者の様々なニーズに対応することができる。また、遊技中に遊技機側にて表示内容を強制的に書き替える必要がないため、様々なニーズへの対応により制御負荷が極端に増加することを抑制できる。
特徴2.前記第2設定手段は、前記表示部に表示される前記識別情報に対応した画像の表示領域よりも前記表示画面における当該識別情報の表示領域が小さくなるようにしてコード化した画像を当該識別情報として設定する手段を有していることを特徴とする特徴1に記載の遊技機。
特徴2に示すように、識別情報をコード化された画像とすれば、当該識別情報の存在が表示画面に表示される絵柄等の表示領域を圧迫する要因になることを抑制できる。これにより、当該識別情報に含まれる情報量を担保しつつ、表示画面にて絵柄等との共存を好適に実現できる。
また、仮に識別情報を目視で確認することにより当該識別情報が何を意味しているかを遊技者が容易に判別可能である場合、上述したAR機能が活用される頻度が低下し、当該AR機能による斬新な表示等を実現するという効果が上手く発揮されなくなる。この点、識別情報をコード化しておくことで、当該識別情報が遊技者により目視で確認された場合であっても、その内容が携帯端末を用いることなく把握されることを抑制し、AR機能の活用を促すことができる。これにより、特徴1に示した効果を好適に発揮させることができる。
なお、本特徴に示す構成を「前記第2設定手段は、前記表示部に表示される前記識別情報に対応した画像の情報量よりも前記表示画面における当該識別情報の情報量が少なくなるようにしてコード化された画像を当該識別情報として設定する手段を有している」構成とすることも可能である。
特徴3.前記第2設定手段は、前記第1設定手段により設定された絵柄の表示態様に基づいて前記識別情報の表示態様を設定する手段を有していることを特徴とする特徴1又は特徴2に記載の遊技機。
本特徴に示すように、第1設定手段により設定された表示態様(例えば可変表示態様や停止表示される絵柄組み合わせ)に応じて識別情報を設定することにより、例えば表示画面における絵柄表示から直接把握しきれない情報を遊技者に提供することが可能である。また、遊技機本来の絵柄表示を行う機能に追加する形でAR機能が発揮させることができるため、AR機能によって絵柄表示に影響が及ぶことを抑制できる。例えば遊技機がAR機能対応のモードと、AR機能非対応のモードとを有する構成とした場合でも、それにより絵柄表示に係る制御を変更する必要がなく、両モードにて絵柄表示に係る制御を共通化できる。故に、AR機能の存在により絵柄表示に係る制御負荷が増大することを好適に抑制できる。
特徴4.前記作動条件成立を示す検出結果に基づいて、特別情報を取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段の取得した特別情報が、予め設定されている付与情報に対応しているか否かの付与判定を行う付与判定手段と、
前記付与判定手段による付与判定の結果が判定対象の特別情報が前記付与情報に対応しているとする付与対応結果となったことに基づいて、遊技者に対して特典を付与する特典付与手段と
を備え、
前記表示制御手段は、前記表示画面において絵柄の可変表示を開始させ、前記付与判定の判定結果に対応した停止結果を表示し前記絵柄の可変表示が終了されることを遊技回の1回として各遊技回の絵柄の可変表示が行われるように前記絵柄表示手段を制御する遊技回制御手段を有し、
前記表示画面にて実施される可変表示の態様には、前記可変表示を開始した後に、付与対象となる絵柄組み合わせが成立する可能性のある各絵柄のうち最終停止絵柄を除く他の絵柄を停止表示させている状況下にて同最終停止絵柄を可変表示させるリーチ変動表示を行わせる態様が含まれており、
前記表示手段は、前記リーチ変動表示となっている場合に前記識別情報を表示する手段を有していることを特徴とする特徴1乃至特徴3のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴1等に示したように、絵柄表示手段の表示画面にて絵柄の可変表示及び識別情報の表示を行う構成では、携帯端末の撮影部によって識別情報(絵柄の表示領域)を撮影することにより識別情報→識別情報対応の画像の表示を行なうことができる。携帯端末を通じて遊技者に提供される情報(AR画像)が絵柄表示手段の表示画面に表示されている画像と併せて当該携帯端末の表示部に表示されることにより、遊技者が注目すべき情報を表示部内に集約できる。
ここで、表示画面における絵柄の可変表示領域にて識別情報を表示することは上記効果を発揮する上で好ましい。しかしながら、同領域に単に識別情報を表示した場合には絵柄や当該絵柄の周辺画像の変化(動き)によって撮影部による識別情報の捕捉が困難になり得る。これは、携帯端末によるAR画像の表示を難しくする要因となるため好ましくない。この点、本特徴によれば、絵柄の可変表示が停止しているリーチ変動表示中に識別情報を表示することにより、絵柄の可変表示による画像の変化の影響を抑えることができる。これにより上記不都合の発生を好適に抑制できる。
特徴5.前記表示画面には、前記複数の絵柄を可変表示させる表示領域(例えば変動表示領域MEU,MEM,MEL)が各絵柄に対応させて各々設けられており、
前記表示手段は、前記各表示領域のうち既に絵柄が停止表示されている表示領域に前記識別情報を表示させる手段を有していることを特徴とする特徴1乃至特徴4のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴1等に示したように、絵柄表示手段の表示画面にて絵柄の可変表示及び識別情報の表示を行う構成では、携帯端末の撮影部によって識別情報(絵柄の表示領域)を撮影することにより識別情報→AR画像の表示を行なうことができる。携帯端末を通じて遊技者に提供される情報(AR画像)が絵柄表示手段の表示画面に表示されている画像と併せて当該携帯端末の表示部に表示されることにより、遊技者が注目すべき情報を表示部内に集約できる。
ここで、表示画面における絵柄の可変表示領域にて識別情報を表示することは上記効果を発揮する上で好ましい。しかしながら、同領域に表示される画像については周辺画像の変化(動き)によって撮影部による認識が困難になり得る。表示された識別情報の携帯端末による意識が難しくなることは、AR画像の表示を難しくする要因となるため好ましくない。この点、本特徴によれば、既に停止表示された絵柄の表示領域に識別情報を表示させることにより、そのような不都合の発生を好適に抑制できる。
特に、特徴4との組み合わせにおいては、リーチ変動表示の移行に伴って停止表示された絵柄用の表示領域を識別情報の表示領域として利用するとよい。これにより、最終停止絵柄を可変表示させる場合に識別情報が当該最終停止絵柄の可変表示の視認性を低下させる要因になることを抑制し、絵柄と識別情報とを表示画面にて好適に共存させることが可能となる。
特徴6.前記表示手段は、前記停止表示されている絵柄に重ねて前記識別情報を表示させる手段を有していることを特徴とする特徴5に記載の遊技機。
表示画面において停止表示されている絵柄以外の部分については、背景、エフェクト、キャラク等の各種表示が行われる。但し、これらの表示は絵柄の視認を妨げないようにして行われることが多く、絵柄の視認性が担保されることが一般的である。このような実情を配慮した場合、停止表示されている絵柄自体を識別情報の表示対象として利用することにより、表示された識別情報がエフェクト等の各種表示の邪魔になることを回避できる。同様にそれらエフェクト等の各種表示が携帯端末による識別情報の把握を妨げる要因になることを回避できる。これにより、識別情報の表示と、エフェクト等の各種表示と絵柄表示手段の表示画面にて好適に共存させることができる。
また、絵柄を停止表示させる場合には、都度の可変表示にて停止位置を変更するのではなく、予め設定された停止位置にて絵柄が停止表示されるように規定されていることが一般的である。このような技術を考慮すれば、絵柄に重ねて識別情報を表示させることにより、識別情報の表示範囲が絞られることとなる。これは、都度の識別情報の表示にて撮影対象の位置の変化を抑えて遊技者の負担を軽減する上で好ましい構成である。
特徴7.前記識別情報は、当該識別情報の内容を特定するための情報特定用画像(例えばデータシンボルDP)と、当該識別情報の表示位置や向きを特定するための位置検出用画像(例えば位置検出シンボルTP)とを有してなり、
前記表示手段は、前記停止表示されている絵柄に重ねて前記位置検出用画像を表示させる手段を有していることを特徴とする特徴5に記載の遊技機。
絵柄を停止表示させる場合には、都度の可変表示にて停止位置を変更するのではなく、予め設定された停止位置にて絵柄が停止表示されるように規定されていることが一般的である。このような技術を考慮すれば、絵柄に重ねて識別情報を表示させることにより、識別情報の表示位置のばらつきを好適に抑制することができる。
特に、位置検出用画像については、絵柄表示手段の表示画面に表示される画像と、携帯端末の表示部に表示される画像(AR画像)との位置関係等を規定する上で重要となる。つまり、位置検出機能が上手く発揮されないと、表示画面に表示される画像(特に絵柄)と表示部に追加されるAR画像との位置関係を担保することが困難になる。この点、位置検出の基準を絵柄と重ねる構成とすれば、両者の位置関係のばらつきを抑えて、AR画像を表示する場合の表示位置を好適に担保することができる。
特徴8.前記識別情報は、当該識別情報の内容を特定するための情報特定用画像(例えばデータシンボルDP)と、当該識別情報の表示位置や向きを特定するための位置検出用画像(例えば位置検出シンボルTP)とを有してなり、
前記表示手段は、前記位置検出用画像を表示した後に前記情報特定用画像を表示する手段を有していることを特徴とする特徴1乃至特徴7のいずれか1つに記載の遊技機。
情報特定用画像を簡素化することは携帯端末による識別機能を上手く発揮させる上で好ましい。但し、情報特定用画像が簡素化されることは、遊技者が携帯端末を使用することなく識別情報を解読することが可能又は容易になる要因にもなり得る。つまり、携帯端末の負荷を軽減することは、AR機能を上手く発揮させる上で障害になると懸念される。この点、識別情報を特定するための情報を含まない位置検出用画像を先に表示させ、それよりも後に情報特定用画像を表示することにより以下の効果が期待できる。すなわち、位置検出用画像により携帯端末を識別用の準備が整った状態とした上で、情報特定用画像を表示することができる。これにより、情報特定用画像の表示期間を短くすることができる。これは、携帯端末の識別にかかる処理負荷を軽減しつつ、それに起因してAR機能が上手く活用されなくなることを回避する上で優れている。
特徴9.前記情報特定用画像の表示位置は、前記位置検出用画像の表示位置に対応付けられていることを特徴とする特徴8に記載の遊技機。
特徴9によれば、先に表示されている位置検出用画像を把握した場合、当該位置検出用画像の表示位置に基づいて情報特定用画像の表示位置の絞込みができる。このため、表示画面にて上記エフェクト等の各種表示が行われている場合であっても、それに起因して情報特定用画像の識別が困難になることを抑制できる。故に、携帯端末によって識別情報を識別する際の効率を向上させることができる。
特徴10.前記表示手段は、前記位置検出用画像の表示期間よりも前記情報特定用画像の表示期間が短くなるように設定されていることを特徴とする特徴8又は特徴9に記載の遊技機。
情報特定用画像の表示が長期に亘って継続されることは、特徴8等に示した不都合等が発生する要因となる。位置検出用画像の表示後に情報特定用画像の表示を行う構成にて、当該情報特定用画像の表示期間を短く設定することにより、当該不都合の発生を好適に抑制できる。
特徴11.前記情報特定用画像は、互いに離間して表示される複数の特定用画像の組み合わせによって構成されており、
それら特定用画像像毎に個別に設定された表示領域での表示位置の違いにより複数種の前記識別情報が構築されていることを特徴とする特徴7乃至特徴10のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴11によれば、各情報特定用画像の表示領域が決まっているため、携帯端末による情報特定用画像のサーチ範囲を限定することができる。これは、携帯端末の応答性を向上する上で好ましい。このような構成においては、一見すると遊技者にとっても識別が容易となり得る。但し、識別情報は特定用画像単体ではなく複数の特定用画像の組み合わせによって決まる。故に、特定用画像から識別情報が遊技者によって解読されることを抑制し、AR機能の存在意義の低下を好適に回避できる。
特徴12.前記作動条件成立を示す検出結果に基づいて、特別情報を取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段の取得した特別情報が、予め設定されている付与情報に対応しているか否かの付与判定を行う付与判定手段と、
前記付与判定手段による付与判定の結果が判定対象の特別情報が前記付与情報に対応しているとする付与対応結果となったことに基づいて、遊技者に対して特典を付与する特典付与手段と
を備え、
前記表示制御手段は、前記表示画面において絵柄の可変表示を開始させ、前記付与判定の判定結果に対応した絵柄組合せを有効ライン上に停止表示し前記絵柄の可変表示が終了されることを遊技回の1回として遊技回毎の表示制御を行う遊技回制御手段を有し、
前記表示手段による前記識別情報の表示位置は、前記絵柄と重なる位置又は絵柄の周辺位置となるように規定されていることを特徴とする特徴1乃至特徴11のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴1に示したように、遊技者が携帯端末を用いてAR機能を享受する上では、表示画面における絵柄が当該携帯端末の表示部に表示されるようにして撮影が行われると想定される。そこで、絵柄と重なる位置又は絵柄の周辺位置に識別情報を表示する構成とすれば、絵柄の撮影によって識別情報が撮影されることとなる。故に、AR機能を好適に発揮させることができる。
特に、都度の遊技回にて絵柄が停止表示される有効ラインを共通化しておくことにより、識別情報の読み取りパターンが無駄に多様化されることを抑制し、識別情報が表示された場合の携帯端末による識別情報対応の画像の表示を行う際の応答性を好適に向上できる。
なお、「前記識別情報は、当該識別情報の表示位置や向きを特定するための位置検出用画像(例えば位置検出シンボルTP)と、同識別情報を特定するための情報特定用画像(例えばデータシンボルDP)とを有してなる」構成との組み合わせにおいては特に、「第1方向及び当該第1方向と交差する第2方向に複数の絵柄が停止する構成にて、前記第1方向に離間して停止している複数絵柄又は同絵柄の周辺と、前記第2方向に離間してい停止している複数の絵柄又は同絵柄の周辺とに位置検出用画像が各々表示される構成」とすることにより、上下方向左右方向も容易に特定できるため、携帯端末の表示部に追加表示される画像が既に表示されている絵柄等の関係で位置・方向がずれることを好適に抑制することができる。
特徴13.第1遊技状態と、当該第1遊技状態よりも遊技に有利な第2遊技状態とが設けられており、
前記第1遊技状態と前記第2遊技状態との区別を不可又は困難とする手段を備え、
前記第2設定手段は、遊技状態が前記第1遊技状態及び第2遊技状態の何れであるかの情報が含まれた識別情報を設定する手段を有し、
前記表示手段は、前記絵柄の可変表示が開始してから終了するまでの間に前記識別情報を表示するように構成されていることを特徴とする特徴1乃至特徴12のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴13によれば、絵柄の可変表示が行われていること(遊技が行われていること)を条件として識別情報が表示される。このように、識別情報の表示期間を制限することにより、AR機能を利用した遊技への積極的な参加を促すことができる。
特徴14.前記作動条件成立を示す検出結果に基づいて、特別情報を取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段の取得した特別情報が、予め設定されている付与情報に対応しているか否かの付与判定を行う付与判定手段と、
前記付与判定手段による付与判定の結果が判定対象の特別情報が前記付与情報に対応しているとする付与対応結果となったことに基づいて、遊技者に対して特典を付与する特典付与手段と
を備え、
前記表示制御手段は、前記表示画面において絵柄の可変表示を開始させ、前記付与判定の判定結果に対応した停止結果を表示し前記絵柄の可変表示が終了されることを遊技回の1回として各遊技回の絵柄の可変表示が行われるように前記絵柄表示手段を制御する遊技回制御手段を有し、
前記表示画面にて実施される可変表示の態様には、前記可変表示を開始した後に、付与対象となる絵柄組み合わせが成立する可能性のある各絵柄のうち最終停止絵柄を除く他の絵柄を停止表示させている状況下にて同最終停止絵柄を可変表示させるリーチ変動表示を行わせる態様が含まれており、
前記リーチ変動表示には、第1リーチ変動表示と、前記付与対応結果となる期待度が当該第1リーチ変動表示よりも低い第2リーチ変動表示とが設けられており、
第1遊技状態と、当該第1遊技状態よりも遊技に有利な第2遊技状態とが設けられており、
前記第1遊技状態と前記第2遊技状態との区別を不可又は困難とする手段を備え、
前記第2設定手段は、前記第2遊技状態となっている状況下にて前記第2リーチ変動表示が行われる場合に、前記携帯端末の前記表示部にて遊技状態が前記第2遊技状態に対応する画像を表示させるための識別情報を設定する手段を有していることを特徴とする特徴1乃至特徴12のいずれか1つに記載の遊技機。
リーチ変動表示として第1リーチ変動表示及び第2リーチ変動表示が行われる構成においては、遊技者は期待度が高い第1リーチ変動表示が行われることに期待しながら遊技を行うこととなる。換言すれば、第1リーチ変動表示が行われる場合と比較して第2リーチ変動表示が行われる場合の当該リーチ変動表示への注目度は低くなりやすい。
このような事情から、第1リーチ変動表示が行われる場合には期待感の高まりによってAR機能が利用されやすくなると想定されるものの、第2リーチ変動表示が行われる場合には期待感の低下からAR機能が利用されにくくなると想定される。故に、折角AR機能を利用して遊技への積極的参加や遊技への注目度の向上を図ろうとしても、当該効果が上手く発揮されなくなると懸念される。
そこで、第2リーチ変動表示が行われることを条件として、遊技者に有利な第2遊技状態となっていることをAR機能によって遊技者に報知する構成とすれば、第2リーチ変動表示が行われる場合には、遊技状態が報知されること(当該遊技回ではなく後の遊技回にて付与判定結果となること)を期待してAR機能が活用される。故に、第2リーチ変動表示が行われる場合であっても、遊技者の注目度の低下やそれに起因してAR機能が活用されなくなることを好適に抑制できる。
以下に、以上の各特徴を適用し得る遊技機の基本構成を示す。
パチンコ遊技機:遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル41)と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段(遊技球発射機構110)と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く球通路(誘導レール100)と、遊技領域(遊技領域PE)内に配置された各遊技部品(釘69等)とを備え、それら各遊技部品のうち所定の通過部(一般入賞口61等)を遊技球が通過した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。
スロットマシン等の回胴式遊技機:複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄列を最終停止表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段の操作に起因して又は所定時間経過することにより図柄の変動が停止され、その停止時の最終停止図柄が特定図柄であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態(ボーナスゲーム等)を発生させるようにした遊技機。
球使用ベルト式遊技機:複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄列を最終停止表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段の操作に起因して又は所定時間経過することにより図柄の変動が停止され、その停止時の最終停止図柄が特定図柄であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態(ボーナスゲーム等)を発生させるようにし、さらに、球受皿を設けてその球受皿から遊技球を取り込む投入処理を行う投入装置と、前記球受皿に遊技球の払出を行う払出装置とを備え、投入装置により遊技球が投入されることにより前記始動用操作手段の操作が有効となるように構成した遊技機。