<第1の実施の形態>
以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の第1の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の正面図、図2はパチンコ機10を斜め前方から見た斜視図、図3及び図4はパチンコ機10の主要な構成を展開して示す斜視図である。なお、図3では便宜上パチンコ機10の遊技領域内の構成を省略している。
図1に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11に取り付けられた遊技機主部12とを有している。
外枠11は木製の板材を四辺に連結し構成されるものであって矩形枠状をなしている。パチンコ機10は、外枠11を島設備に取り付け固定することにより、遊技場の島設備に設置される。なお、パチンコ機10において外枠11は必須の構成ではなく、遊技場の島設備に外枠11が備え付けられた構成としてもよい。
この外枠11によって遊技機主部12が開閉可能な状態で支持されている。具体的には、図2に示すように、外枠11における上枠部と左枠部との連結部分に上側支持用金具17が固定されており、さらに外枠11における下枠部と左枠部との連結部分に下側支持用金具18が固定されている。これら上側支持用金具17及び下側支持用金具18により支持機構が構成され、当該支持機構により外枠11に対して遊技機主部12がパチンコ機10の正面視で左側を回動基端側、右側を回動先端側としてパチンコ機10の前方へ回動可能とされている。
図3に示すように、遊技機主部12は、ベース体としての内枠13と、その内枠13の前方に配置される前扉枠14と、内枠13の後方に配置される裏パックユニット15(図4参照)とを備えている。なお、遊技機主部12のうち内枠13が外枠11に対して回動可能に支持されている。
内枠13における回動基端側の端部には、前扉枠14が回動可能に取り付けられており、同前扉枠14は正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として前方へ回動可能とされている。また、内枠13における回動基端側の端部には、図4に示すように、裏パックユニット15が回動可能に取り付けられており、同裏パックユニット15が正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として後方へ回動可能とされている。
次に、前扉枠14について説明する。なお、以下の説明では、図1及び図2を参照するとともに、前扉枠14の背面の構成については図3及び図5を参照する。図5は前扉枠14を背面側から見た分解斜視図である。
図3に示すように、前扉枠14は、外形が外枠11とほぼ同一形状をなす合成樹脂製の枠体20を主体に構成されており、内枠13における前面側のほぼ全域を覆っている。枠体20の中央部分には後述する遊技領域PEのほぼ全域を遊技機前方から視認することができるようにした略楕円状の窓部21(図1参照)が形成されており、その窓部21はガラスユニット30によって同前扉枠14の背面側から覆われている。
ガラスユニット30は、透明性を有する複数のガラスパネル31と、それらガラスパネル31を保持するガラスホルダとにより構成されている。ガラスホルダ33は、窓部21に沿って形成された環状の枠部を有しており、同枠部によって囲まれた領域にガラスパネル31が収容されている。
各ガラスパネル31は、枠部に形成された仕切り部を挟んで相対向した状態で、同仕切り部に対して接着されている。これにより、ガラスパネル31の間に所定の隙間が確保され、ガラスパネル31同士の干渉を回避しつつ、それらガラスパネル31によって遊技領域PEがパチンコ機10の正面側から2重に覆われた状態となっている。
図1に示したように、窓部21の周囲には各種ランプ等の発光手段が設けられている。例えば、窓部21の周縁に沿ってLED等の発光手段を内蔵した環状電飾部24が設けられている。環状電飾部24では、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯や点滅が行われる。より詳しくは、環状電飾部24の中央であってパチンコ機10の最上部には所定のエラー時に点灯する機能が付与されたトップランプ部25が設けられ、窓部21の左右両側には賞球払出中に点灯する機能が付与されたサイドランプ部26が設けられている。また、トップランプ部25の左右両側には、遊技状態に応じた効果音などが出力されるスピーカ部27が設けられている。
再び図2を参照して説明すれば、前扉枠14における窓部21の下方には、手前側へ膨出した上側膨出部28と下側膨出部29とが上下に並設されている。上側膨出部28には上方に開口した上皿28aが設けられており、下側膨出部29には同じく上方に開口した下皿29aが設けられている。上皿28aは、後述する払出装置より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら後述する遊技球発射機構側へ導く機能を有している。また、下皿29aは、上皿28a内にて余剰となった遊技球を貯留する機能を有している。
上側膨出部28において上皿28a(遊技球の貯留領域)よりも前側となる部位には、遊技者らにより手動操作される操作スイッチ40が設けられている。操作スイッチ40は、後述する図柄表示装置の表示画面等にて所定の演出を行わせたり、遊技モード(詳細については後述する)を選択したりする場合に遊技者によって操作される操作手段を構成している。
下側膨出部29と横並びとなる位置には、手前側へ突出するようにして遊技球発射ハンドル45が設けられている。遊技球発射ハンドル45が操作されることにより、後述する遊技球発射機構から遊技球が発射される。
前扉枠14の背面には、図3に示すように、通路形成ユニット50が取り付けられている。通路形成ユニット50は、合成樹脂により成形されており、上皿28aに通じる前扉側上皿通路と、下皿29a(図2等参照)に通じる前扉側下皿通路とが形成されてなる。通路形成ユニット50の上側隅部には後方に突出し上方に開放された受口部53が形成されており、当該受口部53を仕切壁54によって左右に仕切ることで前扉側上皿通路と前扉側下皿通路の入口部分とが形成されている。前扉側上皿通路及び前扉側下皿通路は上流側が後述する遊技球分配部に通じており、前扉側上皿通路に入った遊技球は上皿28aに導かれ、前扉側下皿通路に入った遊技球は下皿29aに導かれる。
次に、図5に基づき内枠13について詳細に説明する。図5は内枠13の正面図である。なお、図5においては、図3と同様にパチンコ機10の遊技領域内の構成を省略している。
内枠13は、外形が外枠11とほぼ同一形状をなす樹脂ベース60を主体に構成されている。樹脂ベース60の前面における回動基端側(図5の左側)には、その上端部及び下端部に支持金具71,72が取り付けられている。また、前扉枠14の背面における回動基端側(図2の左側)には、それら支持金具71,72に対応させて軸受け金具57,58が設けられている。支持金具71,72には軸部が形成されており、それら軸部が前扉枠14の軸受け金具57,58の軸受け孔に挿入されることで内枠13に対して前扉枠14が回動可能に支持されている。つまり、これら支持金具71,72及び軸受け金具57,58は内枠13に対する組付機構を構成している。
内枠13の前面には施錠装置75が設けられている。施錠装置75は、前扉枠14に向けて延びる複数の前扉用鉤部材76を有している。これら前扉用鉤部材76に対応させて、前扉枠14の背面には内枠13側に延びる鉤受け部材59が複数設けられている(図3参照)。前扉用鉤部材76が鉤受け部材59に引っ掛かることにより前扉枠14が閉じた状態で施錠される。また、図4に示すように、施錠装置75は、内枠13の後方へ延びる内枠用鉤部材77を有している。これら内枠用鉤部材77が外枠11の鉤受け部材19に引っ掛かることにより遊技機主部12が外枠11に対して閉じた状態で施錠される。
再び図7を参照して説明すれば、樹脂ベース60の右下隅部には、施錠装置75の解錠操作を行うためのシリンダ錠78が設置されている。シリンダ錠78は施錠装置75に一体化されており、その先端部分(鍵穴部分)が上記前扉枠14に設けられた孔部を通じてパチンコ機10の前方に露出している。シリンダ錠78の鍵穴に差し込んだキーを右に回すことで内枠13に対する前扉枠14の施錠が解除され、同キーを左に回すことで外枠11に対する内枠13の施錠が解除される。
樹脂ベース60の前面における略中央部分には、遊技盤80を収容する遊技盤収容部61が形成されている。遊技盤収容部61は、パチンコ機10の後方に凹み、遊技盤80を収容する収容空間を区画形成しており、樹脂ベース60に取り付けられた遊技盤80がその収容空間に嵌まった状態となっている。
遊技盤収容部61は、遊技盤80の背面に対向する平板状の対向板部62と、同対向板部62から遊技機前方へ起立し遊技盤80の周縁に沿って延びる周壁部63とによって構成されている。対向板部62は、その略中央に中央開口64が形成されており、内枠13の正面視において略矩形枠状をなしている。周壁部63は、遊技盤80における上下左右の各端面に対して個々に対向する上側壁部65,下側壁部66,左側壁部67,右側壁部68が連なってなり、全体として遊技盤80を囲む環状をなしている。なお、周壁部63は中央開口64を囲むようにして形成されているとも言える。
遊技盤80は、木製の合板と同合板における前側の板面を覆うセルシートとを有してなり、その前面が遊技盤収容部61の開放部分を通じて樹脂ベース60の正面側に露出している。この露出している部位、すなわち遊技盤80の前面には、遊技球が流下する遊技領域PEが形成されている。既に説明したように遊技領域PEはガラスユニット30(詳しくはガラスパネル31)によって覆われている。後側のガラスパネル31は、遊技盤80の前面との隙間が遊技球の直径よりも僅かに大きくなるように、すなわち遊技領域PEを流下する遊技球が同遊技領域PEの同一箇所にて前後に並ばないように配置されている。これにより、遊技領域PEでの球詰まりを抑制している。なお、遊技盤80は木製に限定されるものではなく、合成樹脂製とすることも可能である。
以下、図6に基づき遊技盤80(特に遊技領域PEに配された各種構成)について説明する。図6は遊技盤80の正面図である。
遊技盤80には、ルータ加工が施されることによって自身の厚さ方向(前後方向)に貫通する大小複数の開口が形成されている。各開口には、一般入賞口81、可変入賞装置82、作動口83a,83b、スルーゲート84、可変表示ユニット85、メイン表示部90等がそれぞれ設けられている。一般入賞口81、可変入賞装置82及び作動口83a,83bに遊技球が入ると、それら遊技球が後述する検知スイッチにより検知され、その検知結果に基づいて所定数の賞球の払い出しが実行される。その他に、遊技盤80の最下部にはアウト口86が設けられており、各種入賞口等に入らなかった遊技球はアウト口86を通って遊技領域PEから排出される。
また、遊技盤80には、遊技球の流下経路を適宜分散,調整等するために多数の釘87が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)が配設されている。これら釘87や風車等の各種構成によって、遊技球の流下経路が分化され、上述した一般入賞口81等への入賞が適度な確率で発生するように調整されている。
可変入賞装置82は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、大当たりの際に遊技球が入賞しやすい所定の開放状態に切り換えられるようになっている。可変入賞装置82の開放態様としては、所定時間(例えば30秒間)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、同可変入賞装置82の開放が複数ラウンド(例えば15ラウンド)を上限として繰り返されるように設定されている。
可変表示ユニット85は遊技盤80の中央上寄りに配置されており、その下方に作動口83a,83bが配置されている。より詳しくは、作動口83a,83bは、作動口83aを上側、作動口83bを下側として上下に並設されている。下側の作動口83bには、左右一対の可動片よりなるガイド片(サポート片)としての電動役物が設けられている。電動役物は、作動口83bへの入球が不可又は困難となる閉鎖状態(非サポート状態又は非ガイド状態)と、当該閉鎖状態よりも遊技球の入球が容易となる開放状態(サポート状態又はガイド状態)とに切り替え可能となっており、上記スルーゲート84への入賞に基づく抽選に当選した場合に主制御装置によって開放状態となるように制御される。電動役物の開閉態様としては、上側の作動口83aよりも下側の作動口83bへの入賞頻度が低くなるように設定された低頻度サポートモードと、上側の作動口83aよりも下側の作動口83bへの入賞頻度が高くなるように設定された高頻度サポートモードとが設定されており、各作動口83a,83bへの入球に基づく抽選によって所定の当たり結果となった場合に低頻度サポートモードから高頻度サポートモードへ移行される構成となっている。
可変表示ユニット85及び作動口83a,83bは、遊技性を司る部位であり遊技者の注意が集まりやすい。それら可変表示ユニット85及び作動口83a,83bを遊技機中央において上下に並べて配置することで両者間での視線の移動量を抑え、遊技者の目に生じる負担の低減に貢献している。
メイン表示部90は、遊技領域PEの下部側の外縁に沿って配設された装飾部材、詳しくは後述する誘導レールとともに遊技領域PEを区画形成する遊技領域区画部材に設けられている。装飾部材は、遊技盤80の盤面からパチンコ機10前方に延出している。より具体的には、装飾部材の前面は、遊技領域PEをパチンコ機10前方から視認可能とするために前扉枠14に設けられたガラスパネル31と対向しており、さらにガラスパネル31との間の距離は遊技球1個分よりも狭くなっている。これにより、装飾部材の前面の前方を遊技球が落下していくのが防止されている。
メイン表示部90は装飾部材の前面から露出するようにして設けられている。これにより、メイン表示部90を前扉枠14のガラスユニット30を通じてパチンコ機10前方から視認可能となっているとともに、当該メイン表示部90の前方を遊技球が落下していくことが抑制されている。
図示による詳細な説明は省略するが、メイン表示部90は複数の発光体を有してなり、それら発光体群によって作動口用結果表示部、役物用結果表示部、上作動口83a用の保留数表示部、下作動口83b用の保留数表示部、スルーゲート84用の保留数表示部が構成されている。
作動口用結果表示部は、各作動口83a,83bに1対1で対応させて上作動口用の表示領域と下作動口用の表示領域と有しており、これら表示領域において、上作動口83a又は下作動口83bへの入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が明示される。この場合、同表示領域では、作動口83a,83bへの入賞をトリガとして、各発光体における点灯及び消灯を順次行うことによる絵柄の変動表示(可変表示)が行われ、その変動表示の停止結果として、同入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が明示される。つまり、上作動口83aへの入賞に基づく抽選結果は上作動口用の表示領域にて明示され、下作動口83bへの入賞に基づく抽選結果は下作動口用の表示領域にて明示される。
役物用結果表示部は、スルーゲート84への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果を明示するための表示部である。この場合、役物用結果表示部では、スルーゲート84への入賞をトリガとして、発光体群の点灯及び消灯を順次行うことによる絵柄の変動表示(又は、可変表示若しくは切換表示)が行われ、その変動表示の停止結果として、スルーゲート84への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が表示によって明示される。スルーゲート84への入賞に基づく内部抽選の結果が電役開放状態への移行に対応した当選結果であった場合には、役物用結果表示部にて所定の停止結果が表示されて変動表示が停止された後に、電役開放状態へ移行する。電役開放状態では、下作動口83bに設けられた電動役物83cが所定の態様で開放状態となる。
また、遊技球が作動口83a,83bを通過した回数は最大4回まで保留され、各作動口用の保留数表示部によってその保留個数が表示されるようになっている。同様に、遊技球がスルーゲート84を通過した回数は最大4回まで保留され、スルーゲート用の保留数表示部によってその保留個数が表示されるようになっている。
可変表示ユニット85は、作動口83a,83bへの入賞をトリガとして図柄を可変表示する図柄表示装置94を備えている。図柄表示装置94は、液晶ディスプレイ(表示画面94a)を備えた液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置によりその表示内容が制御されている。具体的には、表示画面94aにおいては、上段,中段及び下段に並べて図柄が表示され、これらの図柄が左右方向にスクロールされるようにして変動表示される。そして、大当たり発生時には、予め設定されている有効ライン上に所定の組合せの図柄が停止表示され、特別遊技状態へと移行される。なお、表示画面94aにおける表示態様を以下のように変更してもよい。すなわち、左,中及び右に並べて図柄を表示し、それら図柄を上下スクロールさせるようにして変動表示させてもよい。
また、可変表示ユニット85は、図柄表示装置94を囲むようにして形成されたセンターフレーム95を備えており、このセンターフレーム95によって遊技領域PEを流下する遊技球が図柄表示装置94に衝突することが回避されている。
再び図5を用いて説明すれば、樹脂ベース60における遊技盤収容部61(遊技盤80)の下方には、遊技球発射ハンドル45の操作に基づいて遊技領域PEへ遊技球を発射する遊技球発射機構110が設けられている。遊技球発射機構110は、所定の発射待機位置に配置された遊技球を打ち出すソレノイド111と、同ソレノイド111によって打ち出された遊技球の発射方向を規定する発射レール112と、上記発射待機位置に遊技球を供給する球送装置113と、それら各種構成111〜113が装着されているベースプレート114とを主要な構成として備えており、同ベースプレート114が後述する補強プレートを介して樹脂ベース60に取り付けられている。
発射レール112は、遊技盤80側に向けて上り傾斜となるように、斜めに傾いた状態でベースプレート114に固定されている。発射レール112の下流側の端部(すなわち下端部)寄りとなる位置には、球送装置113から供給された遊技球を上述した発射待機位置に留める球ストッパが配されている。球ストッパよりも更に下流側となる位置に、上記ソレノイド111が配置されている。
ソレノイド111は、後述する電源・発射制御装置に対して電気的に接続されている。その電源・発射制御装置からの電気的な信号の出力に基づいてソレノイド111の出力軸が伸縮方向に往復動することにより、発射待機位置に置かれた遊技球が遊技盤80側、詳しくは遊技盤80に装着された誘導レール100に向けて打ち出される。
誘導レール100は、上記遊技領域区画部材とともに遊技領域PEを同遊技領域PEの外形が略円形状となるように区画形成している。また、誘導レール100は、遊技球の直径よりも若干大きな隙間を隔てて対峙するように配置された内レール101及び外レール102からなり、それら両レール101,102によって一条の誘導通路103が区画形成されている。誘導通路103は、発射レール112の先端側(斜め下方)に開放された入口部分104と、遊技領域PEの上部に位置する出口部分105とを有している。ソレノイド111の動作に基づいて発射された遊技球は、発射レール112→誘導レール100(入口部分104→出口部分105)の順に移動することにより遊技領域PEに導かれる。なお、遊技盤80において出口部分105の先側、詳しくは内レール101の先端付近には、遊技領域PEに到達した遊技球の同誘導通路103内への逆戻りを防止する逆戻り防止部材106が取り付けられており、先んじて遊技領域PEに至った遊技球によって後続する遊技球の打ち出しが妨げられることを抑制している。
誘導レール100を構成している各レール101,102は、遊技領域PEの略中央部分を中心とする円弧状をなしている。このため、誘導通路103を通過する遊技球は、自身に発生する遠心力により外レール102に沿って、すなわち外レール102に接触したまま移動(摺動又は転動)しやすくなっている。
誘導レール100は、遊技球発射ハンドル45が遊技球を遊技領域PEに到達させることができる程度に操作された場合に、すなわち遊技球発射ハンドル45の操作量が第1の規定量を超えた場合に、発射レール112から打ち出された遊技球が当該誘導レール100の入口部分104、詳しくは外レール102において発射レール112の延長上に位置する特定部位に着地するように形成されている。
外レール102は、その特定部位における接線の向きが発射レール112のレール方向と略同一となるように形成されている。発射された遊技球の移動方向と、特定部位における接線の方向とを揃えることにより、遊技球の着地によって生じる衝撃を低減するとともに同遊技球の跳ね返りを抑え、誘導レール100によるそれら遊技球の円滑な誘導を可能としている。
なお、外レール102は、当該外レール102を遊技盤80に対して固定する固定手段として複数の固定ピンを備えている。固定ピンは外レール102に沿って配設されており、それら固定ピンの間に上記特定部位が設定されている。これにより、特定部位での外レール102の若干の撓み変形(弾性変形)を許容し、同特定部位に遊技球が着地した際の衝撃を低減することが可能となっている。
図5に示すように、誘導レール100及び発射レール112は、同誘導レール100の入口部分104と発射レール112の先端部分とが遊技盤80の下端縁を挟んで斜めに対峙するように配置されている。つまり、それら両レール100,112は、同誘導レール100の入口部分104と発射レール112の先端部分とが遊技盤80の下端縁近傍にて左右にずれるようにして配置されている。これにより両レール100,112を遊技盤80の下端縁に近づけつつ、誘導レール100の入口部分104と発射レール112との間には所定間隔の隙間を形成している。
このようにして形成された隙間よりも下側にはファール球通路55(図3参照)が配設されている。ファール球通路55は前扉枠14の通路形成ユニット50に一体成形されている。仮に遊技球発射機構110から発射された遊技球が遊技領域PEまで至らずファール球として誘導通路103内を逆戻りする場合には、それらファール球が上記隙間を介してファール球通路55内に入ることとなる。ファール球通路55は前扉側下皿通路52に通じており、ファール球通路55に入った遊技球は図1等に示した下皿29aに排出される。これにより、ファール球と次に発射される遊技球との干渉が抑制される。
また、樹脂ベース60には、遊技盤収容部61からの遊技盤80の取り外しを不可とするロック状態と、同遊技盤80の取り外しを許容するアンロック状態とに切替可能なロック装置が複数設けられている。ロック装置はロック状態にて遊技盤80の前面に当接する当接部を有しており、同当接部が遊技盤80の前面に当接することによって遊技盤80の前扉枠14側への変位が抑えられることとなる。
樹脂ベース60において発射レール112の左方(詳しくは前扉枠14を支持している側)には樹脂ベース60を前後方向に貫通する貫通孔が形成されており、この貫通孔を覆うようにして通路形成部材121が配設されている。通路形成部材121は、樹脂ベース60に対してネジ止めされており、本体側上皿通路122と本体側下皿通路123とを有している。それら本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123の上流側は、後述する遊技球分配部に通じている。また、通路形成部材121の下方には前扉枠14に取り付けられた通路形成ユニット50の受口部53(図3参照)が入り込んでおり、本体側上皿通路122の下方には前扉側上皿通路が配置され、本体側下皿通路123の下方には前扉側上皿通路51が配置される。
樹脂ベース60において通路形成部材121の下方には、本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123からの遊技球の流出を規制するシャッタ124が設けられている。シャッタ124は、両通路の出口部分を狭め遊技球の流出を阻止する阻止位置と、遊技球の流出を許容する許容位置との両位置に切り替え可能な状態で樹脂ベース60によって支持されている。また、樹脂ベース60にはシャッタ124を阻止位置に向けて付勢する付勢部材が取り付けられており、前扉枠14を内枠13に対して開いた状態では付勢部材の付勢力によってシャッタ124が阻止位置に留まる構成となっている。これにより、本体側上皿通路122又は本体側下皿通路123に遊技球が貯留されている状態で前扉枠14を開放した場合に、その貯留球がこぼれ落ちてしまうといった不都合が回避されている。これに対し、前扉枠14を閉じた状態では、前扉枠14の通路形成ユニット50に設けられた受口部53により上記付勢力に抗してシャッタ124が許容位置に押し戻される。この状態では、本体側上皿通路122及び前扉側上皿通路51と、本体側下皿通路123及び前扉側下皿通路52とがそれぞれ連通し、遊技球の移動が許容されることとなる。
次に、図7に基づき内枠13(樹脂ベース60及び遊技盤80)の背面構成について説明する。図7は内枠13の背面図である。
樹脂ベース60の背面における回動基端側(図7の右側)には、軸受け金具132が取り付けられている。軸受け金具132には、上下に離間させて軸受け部133が形成されており、これら軸受け部133により内枠13に対して裏パックユニット15が回動可能に取り付けられている。また、樹脂ベース60の背面には、裏パックユニット15を内枠13に固定するための固定レバー134が複数設けられている。
既に説明したように樹脂ベース60における遊技盤収容部61の底部分(すなわち上記対向板部62)には樹脂ベース60の厚さ方向に貫通し同樹脂ベース60の背面側に開放された中央開口64が形成されており、その中央開口64が遊技盤収容部61に収容された遊技盤80によって内枠13の正面側から覆われている。遊技盤80の背面には制御装置等の各種構成が搭載されており、それら各種構成は中央開口64を通じて内枠13の背面側に露出した状態となっている。ここで、図8に基づき遊技盤80の背面の構成について詳細に説明する。図8は遊技盤80を後方から見た斜視図である。
遊技盤80の背面には、可変表示ユニット85(図6参照)を遊技盤80に対して搭載する合成樹脂製の台座部材141が固定されている。台座部材141は、遊技盤80側に開放された略箱状をなしており遊技盤80の背面のほぼ全域を覆っている。台座部材141の一部は樹脂ベース60の中央開口64を通じて同樹脂ベース60の背面側に突出しており、その突出した部分に対して上述した図柄表示装置94(図6参照)と、その図柄表示装置94を駆動するための表示制御装置とが取り付けられている。これら図柄表示装置94及び表示制御装置は前後方向(樹脂ベース60の厚さ方向)に図柄表示装置が前側且つ表示制御装置が後側となるように重ねて配置されている。さらに、遊技盤80には、表示制御装置の後方に位置するようにして報知・演出制御装置ユニット142が搭載されている。報知・演出制御装置ユニット142は、報知・演出制御装置143と、取付台144とを具備する構成となっており、取付台144上に報知・演出制御装置143が装着されている。
報知・演出制御装置143は、後述する主制御装置からの指示に従い音声やランプ表示、及び表示制御装置の制御を司る報知・演出制御基板を具備しており、報知・演出制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス145に収容されて構成されている。
報知・演出制御装置ユニット142の下方には、台座部材141を後方から覆うようにして主制御装置ユニット160が設けられている。主制御装置ユニット160は、遊技盤80の背面に固定された合成樹脂製の取付台161と、その取付台161に搭載された主制御装置162とを有している。主制御装置162は、遊技の主たる制御を司る機能(主制御回路)と、電源を監視する機能(停電監視回路)とを有する主制御基板を具備しており、当該主制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス163に収容されて構成されている。
基板ボックス163は、略直方体形状のボックスベース(表ケース体)とこのボックスベースの開口部を覆うボックスカバー(裏ケース体)とを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印手段としてのボックス封印部164によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス163が封印されている。ボックス封印部164は、基板ボックス163の短辺部に複数設けられ、そのうち少なくとも1つが用いられて封印処理が行われる。
ボックス封印部164はボックスベースとボックスカバーとを開封不能に結合する構成であれば任意の構成が適用できるが、ボックス封印部164を構成する係止孔部に係止ピンを挿入することでボックスベースとボックスカバーとが開封不能に結合されるようになっている。ボックス封印部164による封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期に且つ容易に発見可能とするものであって、一旦開封した後でも再度封印処理を行うこと自体は可能である。すなわち、複数のボックス封印部164のうち、少なくとも1つの係止孔部に係止ピンを挿入することにより封印処理が行われる。そして、収容した主制御基板の不具合発生の際や主制御基板の検査の際など基板ボックス163を開封する場合には、係止ピンが挿入されたボックス封印部と基板ボックス163本体との連結部分を切断する。これにより、基板ボックス163のボックスベースとボックスカバーとが分離され、内部の主制御基板を取り出すことができる。その後、再度封印処理する場合は他の係止孔部に係止ピンを挿入する。基板ボックス163の開封を行った旨の履歴を当該基板ボックス163に残しておけば、基板ボックス163を見ることで不正な開封が行われた旨が容易に発見できる。
基板ボックス163と取付台161とは台座封印部165によって開封不能に連結されている。詳しくは、台座封印部165は、ボックス封印部164と同様に係止孔部及び係止ピンを有しており、係止孔部に対して係止ピンが挿入されることで基板ボックス163と取付台161とが分離不能に結合されるようになっている。これにより、基板ボックス163の不正な取り外しが行われた場合に、その事実を把握しやすくなっている。
台座部材141において遊技盤80の背面と対向している部分には、前記一般入賞口81,可変入賞装置82,上作動口83a,下作動口83bの遊技盤開口部に対応し且つ下流側で1カ所に集合する回収通路が形成されている。これにより、一般入賞口81等に入賞した遊技球は何れも回収通路を介して遊技盤80の下方に集合する構成となっている。つまり、台座部材141には各種入賞口に入賞した遊技球を回収する機能が付与されている。
遊技盤80の下方には後述する排出通路が配されており、回収通路によって遊技盤80の下方に集合した遊技球は排出通路内に導出される。なお、アウト口86についても同様に排出通路に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球はアウト口86を介して排出通路内に導出される。
また、上記回収通路には、遊技盤80表側の一般入賞口81に入賞した遊技球を検知する入賞口スイッチと、可変入賞装置82に入賞した遊技球を検知するカウントスイッチと、作動口83a,83bに入った遊技球を検知する作動口スイッチとが装着されており、それら各種スイッチによって入賞検知機構が構成されている。更に、台座部材141において可変表示ユニット85の左右両側には、スルーゲート84を通過する遊技球を検知するゲートスイッチが設けられている。これら各種スイッチは主制御装置162に対して電気的に接続されており、各スイッチによる検知情報が同主制御装置162に出力される構成となっている。
次に、図4及び図9に基づき裏パックユニット15について説明する。図9は裏パックユニット15の正面図である。
図4に示したように、内枠13は裏パックユニット15によって後方から覆われている。裏パックユニット15は、図9に示すように、裏パック201を備えており、当該裏パック201に対して、払出機構部202、排出通路盤及び制御装置集合ユニット204が取り付けられている。
裏パック201は透明性を有する合成樹脂により成形されており、払出機構部202などが取り付けられるベース部211と、パチンコ機10後方に突出し略直方体形状をなす保護カバー部212とを有する。保護カバー部212は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも可変表示ユニット85を囲むのに十分な大きさを有する。
ベース部211には、その右上部に外部出力端子板213が設けられている。外部出力端子板213には各種の出力端子が設けられており、これらの出力端子を通じて遊技ホール側の管理制御装置(ホールコンピュータHC)へ各種信号が出力される。また、ベース部211にはパチンコ機10後方からみて右端部に上下一対の掛止ピン214が設けられており、掛止ピン214を内枠13に設けられた前記軸受け部133に挿通させることで、裏パックユニット15が内枠13に対して回動可能に支持されている。ベース部211には、内枠13に設けられた固定レバー134が挿通される複数の挿通部215が形成されており、固定レバー134が挿通部215に挿通された状態にてベース部211に後方から当接することにより内枠13に対して裏パックユニット15が固定されている。
ベース部211には、保護カバー部212を迂回するようにして払出機構部202が配設されている。払出機構部202には、裏パック201の最上部に配されているとともに上方に開口したタンク221が設けられており、遊技ホールの島設備から供給される遊技球がそのタンク221に逐次補給される。タンク221の下方には、下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール222が連結され、タンクレール222の下流側には上下方向に延びるケースレール223が連結されている。ケースレール223の最下流部には払出装置224が設けられている。払出装置224より払い出された遊技球は、当該払出装置224の下流側に設けられた図示しない払出通路を通じて、裏パック201のベース部211に設けられた遊技球分配部225に供給される。
遊技球分配部225は、払出装置224より払い出された遊技球を上皿28a、下皿29a又は後述する排出通路の何れかに振り分けるための機能を有し、内側の開口部が上述した本体側上皿通路122及び前扉側上皿通路を介して上皿28aに通じ、外側の開口部が本体側下皿通路123及び前扉側下皿通路を介して下皿29aに通じるように形成されている。
ベース部211の下端部には、当該下端部を前後に挟むようにして排出通路盤及び制御装置集合ユニット204が取り付けられている。排出通路盤には、制御装置集合ユニット204と対向する面に後方に開放された排出通路が形成されており、当該排出通路の開放部は制御装置集合ユニット204によって塞がれている。排出通路は、遊技ホールの島設備等へ遊技球を排出するように形成されており、上述した回収通路等から排出通路に導出された遊技球は当該排出通路を通ることでパチンコ機10外部に排出される。
制御装置集合ユニット204は、横長形状をなす取付台241を有し、取付台241に払出制御装置242と電源・発射制御装置243とが搭載されている。これら払出制御装置242と電源・発射制御装置243とは、払出制御装置242がパチンコ機10後方となるように前後に重ねて配置されている。
払出制御装置242においては基板ボックス244内に払出装置224を制御する払出制御基板が収容されており、当該払出制御基板に設けられた状態復帰スイッチ245が基板ボックス244外に突出している。例えば、払出装置224における球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ245が押されると、球詰まりの解消が図られるようになっている。
電源・発射制御装置243は、基板ボックス246内に電源・発射制御基板が収容されており、当該基板により、各種制御装置等で要する所定の電源が生成されて出力され、さらに遊技者による遊技球発射ハンドル45の操作に伴う遊技球の打ち出しの制御が行われる。また、電源・発射制御装置243には電源スイッチ247が設けられている。電源スイッチ247を操作することにより、パチンコ機10の電源を投入状態(オン状態)又は遮断状態(オフ状態)に切り替え可能となっている。
ここで、本パチンコ機10(詳しくは主制御装置162)は各種データの記憶保持機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。例えば遊技ホールの営業終了の場合のように通常手順で電源を遮断すると遮断前の状態が記憶保持される。上記主制御装置162には、RAM消去スイッチ166が設けられている。当該RAM消去スイッチ166を押しながら電源を投入すると、主制御装置162に記憶されているRAMデータが初期化されるようになっている。
<パチンコ機10の電気的構成>
次に、パチンコ機10の電気的構成について図10のブロック図に基づき説明する。
主制御装置162に設けられた主制御基板401には、MPU402が搭載されている。MPU402は、当該MPU402により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM403と、そのROM403内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM404と、割込回路、タイマ回路、データ入出力回路、乱数発生器としての各種カウンタ回路などが内蔵された素子である。なお、MPU402が有する機能の一部、例えば、ROM403の機能やRAM404の機能などを別の素子として有する構成としてもよい。
MPU402には、入力ポート及び出力ポートがそれぞれ設けられている。MPU402の入力側には、主制御装置162に設けられた停電監視基板405、払出制御装置242及び各種検知センサ311a〜311eなどが接続されている。この場合に、停電監視基板405には電源・発射制御装置243が接続されており、MPU402には停電監視基板405を介して電力が供給される。また、各種検知センサ311a〜311eの一部として、一般入賞口81、可変入賞装置82、上作動口83a、下作動口83b及びスルーゲート84などの各種入賞対応入球部(払出対応入球部)に設けられた検知センサがそれぞれ接続されており、これら検知センサからの検知情報(検知信号)に基づいて主制御装置162のMPU402により各入球部への入賞判定(入球判定)が行われる。また、MPU402では、上作動口83a及び下作動口83bへの入賞に基づいて大当たり発生抽選を実行するとともに、スルーゲート84への入賞に基づいてサポート発生抽選を実行する。
MPU402の出力側には、停電監視基板405、払出制御装置242及び報知・演出制御装置143が接続されている。払出制御装置242には、例えば、上述した作動口83a,83b等の入賞対応入球部への入賞判定結果に基づいて賞球コマンドが出力される。この場合、賞球コマンドの出力に際しては、ROM403のコマンド情報記憶エリア425が参照される。そして、一般入賞口81への入賞を特定した場合には10個の遊技球の払出に対応した賞球コマンドが出力され、可変入賞装置82への入賞を特定した場合には15個の遊技球の払出に対応した賞球コマンドが出力され、上作動口83aへの入賞を特定した場合には3個の遊技球の払出に対応した賞球コマンドが出力され、下作動口83bへの入賞を特定した場合には4個の遊技球の払出に対応した賞球コマンドが出力される。
報知・演出制御装置143には、主制御装置162から変動用コマンド、種別コマンド、変動終了コマンド、オープニングコマンド及びエンディングコマンドなどの各種コマンドが出力される。この場合、これら各種コマンドの出力に際しては、ROM403のコマンド情報記憶エリア425が参照される。これら各種コマンドの詳細については、後に説明する。なお、上記各コマンドは、所定のバイト数の情報として構成されており、当該所定のバイト数の情報として各種情報が含まれている。
また、MPU402の出力側には、可変入賞装置82の開閉扉を開閉動作させる可変入賞駆動部82c、下作動口83bの電動役物83cを開閉動作させる電動役物駆動部83d、及びメイン表示部90が接続されている。主制御基板401には各種ドライバ回路が設けられており、当該ドライバ回路を通じてMPU402は各種駆動部の駆動制御を実行する。
つまり、開閉実行モードにおいては大入賞口82aが開閉されるように、MPU402において可変入賞駆動部82cの駆動制御が実行される。また、電動役物83cのサポート抽選に当選した場合には、電動役物83cが開閉されるように、MPU402において電動役物駆動部83dの駆動制御が実行される。また、MPU402によってメイン表示部90の表示制御が実行される。
さらには、MPU402の出力側に外部出力端子板213が接続されており、この外部出力端子板213を通じて遊技ホール側の管理制御装置(ホールコンピュータHC)に対して各種入球部への入球情報や大当たり等の抽選結果に関する情報等が出力される。これにより、ホールコンピュータHCにてパチンコ機10の状態等を把握することが可能となっている。
停電監視基板405は主制御基板401と電源・発射制御装置243とを中継しており、同停電監視基板405には電源・発射制御装置243から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視する機能が付与されている。払出制御装置242は、主制御装置162から入力した賞球コマンドに基づいて、払出装置224により賞球や貸し球の払出制御を行うものである。
電源・発射制御装置243は、例えば、遊技場等における商用電源(外部電源)に接続されている。そして、その商用電源から供給される外部電力に基づいて主制御基板401や払出制御装置242等に対して各々に必要な動作電力を生成するとともに、その生成した動作電力を所定の電力経路を通じて供給する。また、電源・発射制御装置243は、遊技球発射機構110の発射制御を担うものであり、遊技球発射機構110は所定の発射条件が整っている場合に駆動される。
報知・演出制御装置143は、主制御装置162から入力した各種コマンドに基づいて、前扉枠14に設けられた表示ランプ部24〜26やスピーカ部27等を駆動制御するとともに、表示制御装置150を制御するものである。特に、報知・演出制御装置143では、主制御装置162から入力された各種コマンドに基づいて各遊技回における演出態様、例えば図柄表示装置94における図柄の変動表示態様の概要(例えばリーチ発生の有無及びリーチ演出の内容等)を決定し、それら演出にかかる情報を付加した状態で各コマンドを表示制御装置150に送信する。
表示制御装置150では、報知・演出制御装置143から入力されたコマンドに基づいて、図柄表示装置94の表示制御を実行する。この場合に、表示制御装置150では、主制御装置162から入力した各種コマンドに基づいて、図柄表示装置94における図柄の変動表示態様の詳細(例えばエフェクトの種類や予告演出の有無等)や図柄の停止表示態様(変動表示の終了に伴い最終的に停止表示させる図柄の組み合わせの種類)を決定する。
ここで、各遊技回の図柄の変動表示に係る構成及び同変動表示の内容について説明する。なお、以下の説明においては適宜図11を参照する。図11は図柄表示装置の表示画面における表示内容を説明するための説明図である。
図11(a)に示すように、図柄表示装置94の表示画面94aには、上段・中段・下段の3つの図柄列Z1,Z2,Z3が設定されている。各図柄列Z1〜Z3は、主図柄と副図柄が所定の順序で配列されて構成されている。そして、表示画面94aでは、これら各図柄列Z1〜Z3の図柄が周期性をもって所定の向き(具体的には、右から左)にスクロールするように変動表示される。この場合、上図柄列Z1には、「1」〜「9」の9種類の主図柄が数字の降順に配列されるとともに、各主図柄の間に副図柄が1つずつ配されている。下図柄列Z3には、「1」〜「9」の9種類の主図柄が数字の昇順に配列されるとともに、各主図柄の間に副図柄が1つずつ配されている。つまり、上図柄列Z1と下図柄列Z3は18個の図柄により構成されている。これに対し、中図柄列Z2には、数字の昇順に「1」〜「9」の9種類の主図柄が配列された上で「9」の主図柄と「1」の主図柄との間に「4」の主図柄が付加的に配列され、これら各主図柄の間に副図柄が1つずつ配されている。つまり、中図柄列Z2に限っては、10個の主図柄が配されて20個の図柄により構成されている。
また、図11(b)に示すように、表示画面94aは、図柄列毎に3個の図柄が停止表示されるようになっており、結果として3×3の計9個の図柄が停止表示されるようになっている。また、表示画面94aには、5つの有効ライン、すなわち左ラインL1、中ラインL2、右ラインL3、右下がりラインL4、右上がりラインL5が設定されている。そして、上図柄列Z1→下図柄列Z3→中図柄列Z2の順に変動表示が停止し、いずれかの有効ラインに所定の図柄の組み合わせ(例えば同一の数字が付された図柄の組み合わせ)が形成された状態で全図柄列Z1〜Z3の変動表示が終了すれば、通常大当たり結果又は確変大当たり結果の発生として大当たり動画が表示されるようになっている。
なお、上記のように各図柄列の変動表示が停止されることに鑑みれば、上図柄列Z1を第1図柄列(又は第1絵柄列)、下図柄列Z3を第2図柄列(又は第2絵柄列)、中図柄列Z2を第3図柄列(又は第3絵柄列)と称することができる。
上記各主図柄のうち、奇数番号(1,3,5,7,9)が付された主図柄は「特定図柄」に相当し、確変大当たり結果が発生する場合には、例えば同一の特定図柄の組み合わせが停止表示される。また、偶数番号(2,4,6,8)が付された主図柄は「非特定図柄」に相当し、通常大当たり結果が発生する場合には、例えば同一の非特定図柄の組み合わせが停止表示される。
なお、図柄表示装置94における図柄の変動表示の態様は上記のものに限定されることはなく任意であり、図柄列の数、図柄列における図柄の変動表示の方向、各図柄列の図柄数などは適宜変更可能である。例えば、複数の図柄列を横並びとなるように設定し、図柄列における図柄の変動表示の方向を縦方向に設定してもよい。
表示画面94aの下部、詳しくは個別に設定された上図柄列用の変動表示領域と中図柄列用の変動表示領域と下図柄列用の変動表示領域とによって構成された変動表示領域MEの下方には、保留表示領域が設定されている。当該保留表示領域は、遊技球が上作動口83aに入賞した場合の最大保留個数と同一の数の単位保留表示領域が左右方向に並ぶようにして区画表示された上作動口用の保留数表示領域Daと、遊技球が下作動口83bに入賞した場合の最大保留個数と同一の数の単位保留表示領域が左右方向に並ぶようにして区画表示された下作動口用の保留数表示領域Dbとによって構成されている。
具体的には、遊技球が上作動口83aに入賞した場合の最大保留個数は4個であり、これに対応させて上作動口用の保留数表示領域Daには、第1単位保留表示領域、第2単位保留表示領域、第3単位保留表示領域、第4単位保留表示領域が設定されている。また、遊技球が下作動口83bに入賞した場合の最大保留個数は4個であり、これに対応させて下作動口用の保留数表示領域Dbには、第1単位保留表示領域、第2単位保留表示領域、第3単位保留表示領域、第4単位保留表示領域が設定されている。
例えば、遊技球が上作動口83aに入賞した場合の保留個数が1個の場合には、第1単位保留表示領域のみにて所定の保留用画像が表示され、遊技球が上作動口83aに入賞した場合の保留個数が4個の場合には、第1単位保留表示領域〜第4単位保留表示領域の全てにおいて所定の保留用画像が表示される構成となっている。なお、図11(b)においては、上作動口83aにおける保留個数が3個であり、下作動口83bにおける保留個数が2個である場合について例示している。なお、以下の説明では「保留個数」を単に「保留数」とも称する。
<各種カウンタについて>
次に、上記の如く構成されたパチンコ機10の動作について説明する。
MPU402は遊技に際し各種カウンタ情報を用いて、大当たり発生抽選、メイン表示部90の表示の設定、図柄表示装置94の図柄表示の設定などを行うこととしており、具体的には、図12の概略図に示すように、大当たり発生の抽選に使用する大当たり乱数カウンタC1と、確変大当たり結果や通常大当たり結果等の大当たり種別を判定する際に使用する大当たり種別カウンタC2と、図柄表示装置94が外れ変動する際のリーチ抽選に使用するリーチ乱数カウンタC3と、大当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する乱数初期値カウンタCINIと、図柄表示装置94における変動表示時間を決定する変動種別カウンタCSとを用いることとしている。さらに、下作動口83bの電動役物83cを電役開放状態とするか否かの抽選に使用する電動役物開放カウンタC4を用いることとしている。
各カウンタC1〜C3,CINI,CS,C4は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。各カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM404の所定領域に設定された抽選カウンタ用バッファ431に適宜格納される。抽選カウンタ用バッファ431において、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3に対応した情報は、上作動口83a又は下作動口83bへの入賞が発生した場合に、取得情報記憶手段としての保留球格納エリア432に格納される。
保留球格納エリア432は、上作動口用保留エリアRa及び下作動口用保留エリアRbからなる保留エリアREと、実行エリアAEとを備えている。保留エリアRa,Rbは、第1エリアRa1,Rb1、第2エリアRa2,Rb2、第3エリアRa3,Rb3、第4エリアRa4,Rb4を備えており、上作動口83a又は下作動口83bへの入賞履歴に合わせて、抽選カウンタ用バッファ431に格納されている大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各数値情報が保留情報として、いずれかのエリアRa1〜Ra4,Rb1〜Rb4に格納される。なお、当該保留情報が特別情報に相当する。
この場合、第1エリアRa1,Rb1〜第4エリアRa4,Rb4には、上作動口83a又は下作動口83bへの入賞が複数回連続して発生した場合に、第1エリアRa1,Rb1→第2エリアRa2,Rb2→第3エリアRa3,Rb3→第4エリアRa4,Rb4の順に各数値情報が時系列的に格納されていく。このようにそれぞれ4つのエリアRa1〜Ra4,Rb1〜Rb4が設けられていることにより、上作動口83a又は下作動口83bへの遊技球の入賞履歴がそれぞれ最大4個まで保留記憶されるようになっている。また、保留球格納エリア432には総保留数記憶領域が設けられており、当該総保留数記憶領域には上作動口83a又は下作動口83bへの入賞履歴を保留記憶している数を特定するための情報が格納される。
実行エリアAEは、メイン表示部90の変動表示を開始する際に、保留エリアREの第1エリアRa1,Rb1に格納された各値を移動させるためのエリアであり、1遊技回の開始に際しては実行エリアAEに記憶されている各種数値情報に基づいて、当否判定などが行われる。
各カウンタについて詳しくは、大当たり乱数カウンタC1は、例えば0〜299の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり299)に達した後0に戻る構成となっている。特に大当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINIの値が当該大当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、乱数初期値カウンタCINIは、大当たり乱数カウンタC1と同様のループカウンタである(値=0〜599)。大当たり乱数カウンタC1は定期的に更新され、遊技球が上作動口83a又は下作動口83bに入賞したタイミングでRAM404の保留球格納エリア432に格納される。
大当たり当選となる乱数の値は、ROM403における当否情報群記憶手段としての当否テーブル記憶エリア421に当否テーブル(当否情報群)として記憶されている。ここで、当否テーブルの内容について説明する。
当否テーブルには、2進数の情報からなるアドレス情報と、同じく2進数の情報からなる大当たり数値情報とが1対1で対応させて設定されている。具体的には、アドレス情報は10進数で表して「1」〜「10」の10種類が設定されているとともに、大当たり数値情報は10進数で表して「7」,「36」,「67」,「100」,「131」,「164」,「195」,「223」,「241」,「272」の10種類が設定されており、これらアドレス情報と大当たり数値情報とが1対1で対応付けられている。各大当たり数値情報の数値は、大当たり乱数カウンタC1において更新され得る乱数情報の数値範囲である「0」〜「299」に含まれている。
ここで、本パチンコ機10では、当否抽選手段における抽選モードとして、低確率モード(低確率状態)と高確率モード(高確率状態)とが設定されている。そして、低確率モードにおいて参照される大当たり数値情報の数と、高確率モードにおいて参照される大当たり数値情報の数とが異なっており、前者の方が後者よりも少ない数となっている。具体的には、低確率モードにおいては当否抽選に際して、アドレス情報が「1」である大当たり数値情報のみが参照され、高確率モードにおいては当否抽選に際して、全てのアドレス情報に対応した大当たり数値情報が参照される。つまり、低確率モードでは大当たり当選となる数値情報が1個であり、高確率モードでは低確率モードよりも多い10個である。これにより、低確率モードにおいて大当たり当選となる確率が1/300であるのに対して高確率モードにおいて大当たり当選となる確率が1/30であり、高確率モードの方が低確率モードよりも大当たり当選となる確率が高くなる。なお、低確率モードよりも高確率モードの方の当選確率が高くなるのであれば、上記当選となる乱数の数及び値は任意である。
大当たり種別カウンタC2は、0〜29の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。大当たり種別カウンタC2は定期的に更新され、遊技球が上作動口83a又は下作動口83bに入賞したタイミングでRAM404の保留球格納エリア432に格納される。
ここで、本パチンコ機10では、(1)開閉実行モード終了後の当否抽選手段における当否抽選モード、(2)開閉実行モード終了後の下作動口83bの電動役物83cにおけるサポートモード、という2つの条件に差異を設けることにより、複数種の大当たり結果が設定されている。当否抽選モードとしては、上述したとおり低確率モードと高確率モードとが設定されている。
サポートモードとしては、遊技領域PEに対して同様の態様で遊技球の発射が継続されている状況で比較した場合に、下作動口83bの電動役物83cが単位時間当たりに開放状態となる頻度が相対的に高低となるように、低頻度サポートモード(低頻度サポート状態又は低頻度ガイド状態)と高頻度サポートモード(高頻度サポート状態又は高頻度ガイド状態)とが設定されている。
具体的には、低頻度サポートモードと高頻度サポートモードとでは、電動役物開放カウンタC4を用いた電動役物開放抽選における電役開放状態当選となる確率は同一(例えば、共に4/5)となっているが、高頻度サポートモードでは低頻度サポートモードよりも、電役開放状態当選となった際に電動役物83cが開放状態となる回数が多く設定されており、さらに1回の開放時間が長く設定されている。この場合、高頻度サポートモードにおいて電役開放状態当選となり電動役物83cの開放状態が複数回発生する場合において、1回の開放状態が終了してから次の開放状態が開始されるまでの閉鎖時間は、1回の開放時間よりも短く設定されている。さらにまた、高頻度サポートモードでは低頻度サポートモードよりも、1回の電動役物開放抽選が行われてから次の電動役物開放抽選が行われる上で確保される確保時間として短い時間が選択されるように設定されている。
上記のように高頻度サポートモードでは、低頻度サポートモードよりも下作動口83bへの入賞が発生する確率が高くなる。換言すれば、低頻度サポートモードでは、下作動口83bよりも上作動口83aへの入賞が発生する確率が高くなるが、高頻度サポートモードでは、上作動口83aよりも下作動口83bへの入賞が発生する確率が高くなる。そして、下作動口83bへの入賞が発生した場合には、所定個数の遊技球の払出が実行されるため、高頻度サポートモードでは、遊技者は持ち球をあまり減らさないようにしながら遊技を行うことができる。
なお、高頻度サポートモードにおいて低頻度サポートモードよりも単位時間当たりに電役開放状態となる頻度を高くする上での構成は、上記のものに限定されることはなく、例えば電動役物開放抽選における電役開放状態当選となる確率を高くする構成としてもよい。また、1回の電動役物開放抽選が行われてから次の電動役物開放抽選が行われる上で確保される確保時間(例えば、スルーゲート84への入賞に基づき役物用結果表示部にて実行される変動表示の時間)が複数種類用意されている構成においては、高頻度サポートモードでは低頻度サポートモードよりも、短い確保時間が選択され易い又は平均の確保時間が短くなるように設定されていてもよい。さらには、開放回数を多くする、開放時間を長くする、1回の電動役物開放抽選が行われてから次の電動役物開放抽選が行われる上で確保される確保時間を短くする(すなわち、役物用結果表示部における1回の変動表示時間を短くする)、係る確保時間の平均時間を短くする及び当選確率を高くするのうち、いずれか1条件又は任意の組み合わせの条件を適用することで、低頻度サポートモードに対する高頻度サポートモードの有利性を高めてもよい。
大当たり種別カウンタC2に対する遊技結果の振分先は、ROM403における振分情報群記憶手段としての振分テーブル記憶エリアに振分テーブル(振分情報群)として記憶されている。そして、かかる振分先として、通常大当たり結果(低確率対応特別遊技結果)と、確変大当たり結果(高確率対応特別遊技結果)とが設定されている。
通常大当たり結果は、開閉実行モードの終了後に、当否抽選モードが低確率モードとなるとともに、サポートモードが移行後において遊技回数が終了基準回数(具体的には、100回)となるまで高頻度サポートモードとなる大当たり結果である。なお、終了基準回数が経過した後に、低頻度サポートモードに移行する。
確変大当たり結果は、開閉実行モードの終了後に、当否抽選モードが高確率モードとなるとともに、サポートモードが高頻度サポートモードとなる大当たり結果である。当該高頻度サポートモードは、当否抽選における抽選結果が大当たり状態当選となり、それによる開閉実行モードに移行するまで継続する。
振分テーブルにおいて、「0〜9」が通常大当たり結果に対応しており、「10〜29」が確変大当たり結果に対応しているが、この数値の振分は任意である。また、大当たり結果の振分先は、上記の2種類に限定されることはなく、例えば、開閉実行モードにおいて遊技球の獲得期待値が高低となるように複数のモードを設定し、当該開閉実行モードの移行先のモードに差異を設けることで大当たり結果の種別を上記の2種類よりも増やす構成としてもよい。
リーチ乱数カウンタC3は、例えば0〜238の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり238)に達した後0に戻る構成となっている。リーチ乱数カウンタC3は定期的に更新され、遊技球が上作動口83a又は下作動口83bに入賞したタイミングでRAM404の保留球格納エリア432に格納される。より詳しくは、上作動口83a又は下作動口83bに遊技球が入賞したタイミングでRAM404の保留エリアREに格納される。そして、ROM403のリーチ用テーブル記憶エリアに記憶されたリーチ用テーブルに基づいてリーチを発生させるか否かを決定することとしている。但し、開閉実行モードに移行する遊技回においては、MPU402では、リーチ乱数カウンタC3の値に関係なくリーチ発生の決定を行う。なお、リーチ表示の発生に対応したリーチ乱数カウンタC3の数は、各遊技状態において同一となっているが、遊技状態に応じて各々個別に設定されるものであってもよい。例えば、サポートモードが高頻度サポートモードである場合の方が、低頻度サポートモードよりも、リーチ表示の発生に対応したリーチ乱数カウンタC3の数が多く設定された構成としてもよい。
ここで、リーチ表示(リーチ状態)とは、図柄(絵柄)の変動表示(又は可変表示)を行うことが可能な図柄表示装置94を備え、可変入賞装置82の開閉実行モードが高頻度入賞モードとなる遊技回では変動表示後の停止表示結果が特別表示結果となる遊技機において、図柄表示装置94における図柄(絵柄)の変動表示(又は可変表示)が開始されてから停止表示結果が導出表示される前段階で、前記特別表示結果となり易い変動表示状態であると遊技者に思わせるための表示状態をいう。
換言すれば、図柄表示装置94の表示画面94aに表示される複数の図柄列のうち一部の図柄列について図柄を停止表示させることで、高頻度入賞モードの発生に対応した大当たり図柄の組み合わせが成立する可能性があるリーチ図柄の組み合わせを表示し、その状態で残りの図柄列において図柄の変動表示を行う表示状態のことである。
より具体的には、図柄の変動表示を終了させる前段階として、図柄表示装置94の表示画面94a内の予め設定された有効ライン上に、高頻度入賞モードの発生に対応した大当たり図柄の組み合わせが成立する可能性のあるリーチ図柄の組み合わせを停止表示させることによりリーチラインを形成させ、当該リーチラインが形成されている状況下において最終停止図柄列により図柄の変動表示を行うことである。
図11を参照してリーチ表示の表示内容について具体的に説明すると、最初に上段の図柄列Z1において図柄の変動表示が終了され、さらに下段の図柄列Z3において図柄の変動表示が終了された状態において、いずれかの有効ラインL1〜L5に同一の数字が付された主図柄が停止表示されることでリーチラインが形成され、当該リーチラインが形成されている状況下において中段の図柄列Z2において図柄の変動表示が行われることでリーチ表示となる。そして、高頻度入賞モードが発生する場合には、リーチラインを形成している主図柄と同一の数字が付された主図柄がリーチライン上に停止表示されるようにして中段の図柄列Z2における図柄の変動表示が終了される。
また、リーチ表示には、上記のようにリーチ図柄の組み合わせを表示した状態で、残りの図柄列において図柄の変動表示を行うとともに、その背景画面において所定のキャラクタなどを動画として表示することによりリーチ演出を行うものや、リーチ図柄の組み合わせを縮小表示させる又は非表示とした上で、表示画面の略全体において所定のキャラクタなどを動画として表示することによりリーチ演出を行うものが含まれる。また、リーチ表示が行われている場合又はリーチ表示の前に所定のキャラクタといった所定画像を用いた予告表示を行うか否かの決定を、リーチ乱数カウンタC3やその他のカウンタを用いて行うようにしてもよい。
変動種別カウンタCSは、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり198)に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCSは、メイン表示部90における変動表示時間と、図柄表示装置94における図柄の変動表示時間とをMPU402において決定する上で用いられる。変動種別カウンタCSは、後述する通常処理が1回実行される毎に1回更新され、当該通常処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。そして、図柄表示装置94による図柄の変動開始時における変動パターン決定に際して変動種別カウンタCSのバッファ値が取得される。
電動役物開放カウンタC4は、例えば、0〜249の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり249)に達した後0に戻る構成となっている。電動役物開放カウンタC4は定期的に更新され、スルーゲート84に遊技球が入賞したタイミングでRAM404の電役保留エリア433に格納される。そして、所定のタイミングにおいて、その格納された電動役物開放カウンタC4の値によって電動役物83cを開放状態に制御するか否かの抽選が行われる。例えば、C4=0〜199であれば、電動役物83cを開放状態に制御し、C4=200〜249であれば、電動役物83cを開放状態に制御しない。
既に説明したように、MPU402では、少なくとも変動種別カウンタCSのバッファ値を用いて、図柄表示装置94における変動表示時間が決定されるが、その決定に際してはROM403の変動表示時間テーブル記憶エリア423が用いられる。また、MPU402では、実行エリアAEに格納されている大当たり乱数カウンタC1の値及び大当たり種別カウンタC2の値を用いて、メイン表示部90における停止結果が決定されるが、その決定に際してはROM403の停止結果テーブル記憶エリア424に記憶された停止結果テーブルが参照される。
<主制御装置162にて実行される各種処理について>
次に、主制御装置162内のMPU402にて各遊技回での遊技を進行させる上で実行されるタイマ割込み処理及び通常処理を説明する。なお、MPU402では、上記タイマ割込み処理及び通常処理の他に、電源投入に伴い起動されるメイン処理やNMI端子(ノンマスカブル端子)への停電信号の入力により起動されるNMI割込み処理が実行されるが、これらの各種処理については説明を省略する。
<タイマ割込み処理>
先ず、タイマ割込み処理について、図13のフローチャートを参照しながら説明する。本処理はMPU402により定期的に(例えば2msec周期で)起動される。
ステップS101では、各種検知センサ311a〜311eの読み込み処理を実行する。すなわち、主制御装置162に接続されている各種検知センサ311a〜311eの状態を読み込むとともに、当該検知センサの状態(検知センサからの検知情報)を判定して検出情報(入賞検知情報)を保存する。例えば、上作動口83aへの入球が発生したと判定した場合には、RAM404の各種フラグ格納エリア435に上作動口用の入賞検知フラグを格納し、下作動口83bへの入球が発生したと判定した場合には、同各種フラグ格納エリア435に下作動口用の入賞検知フラグを格納する。また、スルーゲート84を遊技球が通過したと判定した場合には、RAM404の各種フラグ格納エリア435にスルーゲート用の入賞検知フラグを格納する。
その後、ステップS102では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1インクリメントするとともに、そのカウンタ値が最大値に達した際0にクリアする。そして、乱数初期値カウンタCINIの更新値を、RAM404の該当するバッファ領域に格納する。
続くステップS103では、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3及び電動役物開放カウンタC4の更新を実行する。具体的には、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3及び電動役物開放カウンタC4をそれぞれ1インクリメントすると共に、それらのカウンタ値が最大値に達した際それぞれ0にクリアする。そして、各カウンタC1〜C4の更新値を、RAM404の該当するバッファ領域に格納する。
続くステップS104では、スルーゲート84への入賞に伴うスルー用の入賞処理を実行する。スルー用の入賞処理では、RAM404の各種フラグ格納エリア435にスルーゲート用の入賞検知フラグが格納されているか否かを判定し、同フラグが格納されている場合には電役保留エリアに記憶されている役物保留記憶数が4未満であることを条件として、前記ステップS103にて更新した電動役物開放カウンタC4の値を電役保留エリアに格納する。また、報知・演出制御装置143に対して、保留記憶数と対応する可変表示ユニット85の保留ランプ部99を点灯させるための処理を実行する。そして、各種フラグ格納エリア435にスルーゲート用の入賞検知フラグが格納されている場合には、同入賞検知フラグを消去して当該スルーゲート用の入賞処理を終了する。
ステップS104のスルーゲート用の入賞処理を実行した後はステップS105に進み、当該ステップS105にて作動口83a,83bへの入賞に伴う作動口用の入賞処理を実行し、本タイマ割込み処理を終了する。
<作動口用の入賞処理>
ここで、図14及び図15のフローチャートを参照して作動口用の入賞処理について説明する。
ステップS201では、遊技球が上作動口83aに入賞(始動入賞)したか否かをRAM404の各種フラグ格納エリア435に上作動口用の入賞検知フラグが格納されているか否かによって判定する。同入賞検知フラグが格納されていると判定した場合、すなわち遊技球が上作動口83aへの入賞が発生した旨の検知信号を受信した場合には、ステップS202に進み、払出制御装置242に遊技球を3個払い出させるための賞球コマンドをセットする。
続くステップS203では、上作動口83aに遊技球が入賞した旨を示す情報を遊技ホール側のホールコンピュータHCに対して信号出力すべく外部信号設定処理を行う。これにより、上作動口83aへの入賞が発生した旨がホールコンピュータHCにて把握される。
その後、ステップS204では、上作動口用の保留エリアRaの保留数記憶領域に格納された値を読み出し、当該保留エリアRaに保留記憶されている始動保留記憶数RaNをセットする(以下、上作動口用始動保留記憶数RaNともいう)。その後、ステップS205では、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各値を格納する情報取得処理を行い、本入賞処理を終了する。
一方、ステップS201にて遊技球が上作動口83aに入賞していないと判定した場合にはステップS206に進む。ステップS206では、RAM404の各種フラグ格納エリア435に下作動口用の入賞検知フラグが格納されているか否かによって判定する。同入賞検知フラグが格納されていると判定した場合、すなわち遊技球が下作動口83bへの入賞が発生した旨の検知信号を受信した場合には、ステップS207に進み、払出制御装置242に遊技球を4個払い出させるための賞球コマンドをセットする。なお、ステップS202,S207にてセットした賞球コマンドは、後述する通常処理の外部出力処理S401にて払出制御装置242に対して送信される。
続くステップS208では、下作動口83bに遊技球が入賞した旨を示す情報を遊技ホール側のホールコンピュータHCに対して信号出力すべく外部信号設定処理を行う。これにより、下作動口83bへの入賞が発生した旨がホールコンピュータHCにて把握される。
その後、ステップS209では、下作動口用の保留エリアRbの保留数記憶領域に格納された値を読み出し、当該保留エリアRbに保留記憶されている始動保留記憶数RbNをセットする(以下、下作動口用始動保留記憶数RbNともいう)。その後、ステップS205にて情報取得処理を行い、本入賞処理を終了する。
一方、ステップS201,S206の両処理にてそれぞれ否定判定をした場合、すなわち上作動口83a,下作動口83bのいずれにも遊技球が入賞しなかった場合には、そのまま本入賞処理を終了する。
ここで、図15のフローチャートを参照して、ステップS205の情報取得処理について説明する。
<情報取得処理>
情報取得処理においては先ずステップS301にて、上述したステップS204又はステップS209にてセットした始動保留記憶数N(RaN又はRbN)が上限値(本実施の形態では4)未満であるか否かを判定する。始動保留記憶数Nが上限値である場合にはそのまま本情報取得処理を終了し、上限値未満である場合には、ステップS302にて対応する結果表示部用保留エリアの始動保留記憶数Nを1インクリメントするとともに、ステップS303にて総保留数記憶領域に格納された値(以下、共通保留数CRNと言う)を1インクリメントする。
続くステップS304では、上記ステップS103にて更新した大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3及び変動種別カウンタCSの各値を、対応する結果表示部用保留エリアの空き記憶領域エリアのうち最初の記憶エリア、すなわち上記ステップS302にて1インクリメントした保留記憶数と対応する記憶エリアに格納する。
つまり、上作動口用の始動保留記憶数RaNがセットされている場合には、前記ステップS103にて更新した大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3及び変動種別カウンタCSの各値を、上作動口用の保留エリアRaの空き記憶エリアのうち最初の記憶エリア、すなわち上記ステップS302にて1インクリメントした上作動口用の始動保留記憶数RaNと対応する保留エリアRaに格納する。
また、下作動口用の始動保留記憶数RbNがセットされている場合には、上記ステップS103にて更新した大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各値を、下作動口用の保留エリアRbの空き記憶エリアのうち最初の記憶エリア、すなわち上記ステップS302にて1インクリメントした下作動口用の始動保留記憶数RbNと対応する保留エリアRbに格納する。
続くステップS305では、上作動口83a又は下作動口83bへの入賞が発生したことをサブ側(副側)の制御装置である報知・演出制御装置143及び表示制御装置150に認識させるための処理である保留コマンドの設定処理を実行する。その後、上記入賞検知フラグが格納されている場合には同フラグを消去し、本情報取得処理を終了する。
ステップS306の保留コマンドの設定処理にて設定された保留コマンドは後述する通常処理の外部出力処理(ステップS401)にて報知・演出制御装置143に送信されることとなる。
<通常処理>
次に、通常処理の流れを図16のフローチャートを参照しながら説明する。通常処理は電源投入に伴い起動されるメイン処理が実行された後に開始される処理であり、通常処理では遊技の主要な処理が実行される。その概要として、ステップS401〜S406の処理が4msec周期の定期処理として実行され、その残余時間でステップS408,S409のカウンタ更新処理が実行される構成となっている。
通常処理においては先ず、ステップS401にて外部信号出力処理を実行する。ステップS401の外部信号出力処理では、タイマ割込み処理又は前回の通常処理で設定したコマンド等の出力データをサブ側の各制御装置に送信する。具体的には、賞球コマンドの有無を判定し、賞球コマンドが設定されていればそれを払出制御装置242に対して送信する。また、変動用コマンド、種別コマンド、変動終了コマンド等の演出用コマンドが設定されている場合にはそれを報知・演出制御装置143に対して送信する。
次に、ステップS402では、変動種別カウンタCSの更新を実行する。具体的には、変動種別カウンタCSを1インクリメントするとともに、カウンタ値が最大値に達した際にはカウンタ値を0にクリアする。そして、変動種別カウンタCSの更新値を、RAM404の該当するバッファ領域に格納する。
続くステップS403では、各遊技回における遊技を制御するための遊技回制御処理を実行する。この遊技回制御処理では、大当たり判定、図柄表示装置94による図柄の変動表示の設定、メイン表示部90の表示制御などを行う。
ステップS403の遊技回制御処理を実行した後は、ステップS404に進み、遊技状態移行処理を実行する。詳細は後述するが、この遊技状態移行処理により、遊技状態が開閉実行モード、高確率モード、高頻度サポートモードなどに移行する。なお、ステップS403の遊技回制御処理及びステップS404の遊技状態移行処理についての詳細は後述する。
続くステップS405では、下作動口83bに設けられた電動役物83cを駆動制御するための電役サポート用処理を実行する。この電役サポート用処理では、RAM404の電役保留エリア433に格納されている電動役物開放カウンタC4から取得した数値情報を用いて電動役物83cを開放状態とするか否かの電役開放抽選を行うとともに、電役開放状態当選となった場合には電動役物83cの開閉処理を実行する。また、電役開放抽選の抽選結果を教示するように、メイン表示部90の表示制御などを行う。
ここで、既に説明したとおり、電動役物83cによるサポートの態様として、低頻度サポートモードと高頻度サポートモードとが設定されており、遊技状態移行処理にていずれかのサポートモードへの移行が行われる。この処理を経てRAM404の各種フラグ格納エリア435に高頻度サポートフラグがセットされている場合は高頻度サポートモードとなり、当該フラグがセットされていない場合には低頻度サポートモードとなる。
電役サポート用処理では、RAM404の各種フラグ格納エリア435に高頻度サポートフラグがセットされているか否かを判定することで、高頻度サポートモードであるか否かを判定する。そして、高頻度サポートモードである場合には低頻度サポートモードの場合よりも、電役開放状態当選となった際に、電動役物83cが開放状態となる回数を多く設定するとともに、1回の開放時間を長く設定する。また、高頻度サポートモードである場合は、電役開放状態当選となり電動役物83cの開放状態が複数回発生する場合において、1回の開放状態が終了してから次の開放状態が開始されるまでの閉鎖時間が、1回の開放時間よりも短くなるように設定する。
ちなみに、開閉実行モードに移行した場合には、RAM404の各種フラグ格納エリア435に高頻度サポートフラグがセットされていたとしても、サポートモードは強制的に低頻度サポートモードに設定される。
その後、ステップS406では、遊技球発射制御処理を実行する。遊技球発射制御処理では、電源・発射制御装置243から発射許可信号を入力していることを条件として、所定期間(例えば、0.6sec)に1回、遊技球発射機構110のソレノイドを励磁する。これにより、遊技球が遊技領域PEに向けて打ち出される。
続くステップS407にて次の通常処理の実行タイミングに至ったか否か、すなわち前回の通常処理の開始から所定時間(本実施の形態では4msec)が経過したか否かを判定する。そして、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間内において、乱数初期値カウンタCINI及び変動種別カウンタCSの更新を繰り返し実行する。
つまり、ステップS408では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1加算するとともに、そのカウンタ値が最大値に達した際に0クリアする。そして、乱数初期値カウンタCINIの更新値を、RAM404の該当するエリアに格納する。また、ステップS409では、変動種別カウンタCSの更新を実行する。具体的には、変動種別カウンタCSを1加算するとともに、それらのカウンタ値が最大値に達した際に0クリアする。そして、変動種別カウンタCSの更新値を、RAM404の該当するエリアに格納する。
ここで、ステップS401〜S406の各処理の実行時間は遊技の状態に応じて変化するため、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間は一定でなく変動する。故に、かかる残余時間を使用して乱数初期値カウンタCINIの更新を繰り返し実行することにより、乱数初期値カウンタCINI(すなわち、大当たり乱数カウンタC1の初期値)をランダムに更新することができ、同様に変動種別カウンタCSについてもランダムに更新することができる。
なお、詳細な説明については省略するが、主制御装置162には電源スイッチ247が操作されたり、パチンコ機10への電力の供給が遮断されたりして電源がOFFとなった場合に、その時点での遊技にかかる情報を記憶する機能が付与されている。パチンコ機10への電力の供給が開始された起動時には、それら記憶された情報を参照して電断前の状態に復帰可能となっている。因みに、上記RAM消去スイッチ166が操作された状態で電源スイッチ247がONになった場合については、上記記憶された情報が消去されることとなる。一方、その他の各種制御装置については、このようなバックアップ機能は有していないため、電源がOFFとなった場合には、それまで記憶保持されていた各種データが消去されることとなる。
<遊技回制御処理>
次に、ステップS403の遊技回制御処理を図17〜図20のフローチャート等を参照して説明する。
遊技回制御処理においては先ず、図17のフローチャートに示すように、ステップS501にて開閉実行モード中か否かを判定する。開閉実行モード中である場合には、ステップS502以降の処理、すなわちステップS503〜ステップS505の遊技回開始用処理及びステップS506〜ステップS509の遊技回進行処理のいずれも実行することなく、本遊技回制御処理を終了する。
開閉実行モード中でない場合には、ステップS502にて、メイン表示部90の作動口用結果表示部が変動表示中であるか否かを判定する。作動口用結果表示部が変動表示中でない場合には、ステップS503〜ステップS505の遊技回開始用処理に進む。遊技回開始用処理では、先ずステップS503にて、始動保留球の総数(共通保留数CRN)が「0」か否かを判定する。共通保留数CRNが「0」である場合とは、保留球格納エリア432に保留情報が記憶されていないことを意味する。したがって、そのまま本遊技回制御処理を終了する。
一方、共通保留数CRNが「0」でない場合には、ステップS504にて保留球格納エリア432の保留エリアREに記憶されているデータを変動表示用に設定するためのデータ設定処理を実行し、さらにステップS505にてメイン表示部90における変動表示及び図柄表示装置94における変動表示を開始させるための変動開始処理を実行した後に、本遊技回制御処理を終了する。
ここで、ステップS504のデータ設定処理及びステップS505の変動開始処理について詳細に説明する。先ず、ステップS504のデータ設定処理について、図18のフローチャートを参照して説明する。
<データ設定処理>
データ設定処理では、先ず上作動口用の保留エリアRa及び下側作動口用の保留エリアRbに記憶された保留情報のうち最も古いものがどちらの保留エリアRa,Rbに格納されているかを判定する。そして、上述した最も古い保留情報が格納されている保留エリアを対象として、以下の処理を実行する。なお、以下の説明においては、先ず上側作動口用の保留エリアRaが対象となった場合について説明し、その後、下側作動口用の保留エリアRaが対象となった場合について説明する。
ステップS601にて、保留エリアRaの始動保留球数RaN及び共通保留数CRNを1ディクリメントする。続くステップS602にて、保留エリアRaの第1エリアRa1に格納されたデータを実行エリアAEに移動する。
その後、ステップS603にて、保留エリアRaの各エリアRa1〜Ra4に格納されたデータ(すなわち、保留情報)をシフトさせる処理を実行する。このデータシフト処理は、第1エリアRa1〜第4エリアRa4に格納されているデータを下位エリア側に順にシフトさせる処理であって、第1エリアRa1のデータをクリアするとともに、第2エリアRa2→第1エリアRa1、第3エリアRa3→第2エリアRa2、第4エリアRa4→第3エリアRa3といった具合に各エリア内のデータがシフトされる。
続くステップS604では、保留エリアのデータのシフトが行われたことを報知・演出制御装置143に認識させるための情報であるシフト時コマンドを設定する。その後、本データ設定処理を終了する。ステップS604にて設定されたシフト時コマンドは、通常処理(図16)におけるステップS401にて、報知・演出制御装置143を経由し、表示制御装置150に送信される。表示制御装置150では、シフト時コマンドを受信することで、上作動口用の保留数表示領域Daにおける表示を、保留個数の減少に対応させて変更するための処理を実行する。
一方、下側作動口用の保留エリアRbが対象となった場合についても同様に、先ず、ステップS601にて、保留エリアRbの始動保留球数RbN及び共通保留数CRNを1ディクリメントする。続くステップS602にて、保留エリアRbの第1エリアRb1に格納されたデータを実行エリアAEに移動する。
その後、ステップS603にて、保留エリアRbの各エリアRb1〜Rb4に格納されたデータ(すなわち、保留情報)をシフトさせる処理を実行する。このデータシフト処理は、第1エリアRb1〜第4エリアRb4に格納されているデータを下位エリア側に順にシフトさせる処理であって、第1エリアRb1のデータをクリアするとともに、第2エリアRb2→第1エリアRb1、第3エリアRb3→第2エリアRb2、第4エリアRb4→第3エリアRb3といった具合に各エリア内のデータがシフトされる。
続くステップS604では、保留エリアのデータのシフトが行われたことを報知・演出制御装置143に認識させるための情報であるシフト時コマンドを設定する。その後、本データ設定処理を終了する。ステップS604にて設定されたシフト時コマンドは、通常処理(図16)におけるステップS401にて、報知・演出制御装置143を経由し、表示制御装置150に送信される。表示制御装置150では、シフト時コマンドを受信することで、下作動口用の保留数表示領域Dbにおける表示を、保留個数の減少に対応させて変更するための処理を実行する。
<変動開始処理>
次に、ステップS505の変動開始処理について、図19のフローチャートを参照して説明する。
変動開始処理では、先ずステップS701にて、今回の変動開始処理にて参照した保留情報が大当たり当選に対応しているか否かを判定するための当否判定処理を実行する。具体的には、実行エリアAEに格納された情報のうち大当たり判定用の情報、すなわち大当たり乱数カウンタC1によって更新された情報から取得した情報を把握する。そして、当否抽選モードが低確率モードである場合には、ROM403の当否テーブル記憶エリア421に記憶された低確率モード用の当否テーブルを参照して、上記把握した情報が大当たり当選に対応した情報に含まれているかを特定し、当否抽選モードが高確率モードである場合には、ROM403の当否テーブル記憶エリア421に記憶された高確率モード用の当否テーブルを参照して、上記把握した情報が大当たり当選に対応した情報に含まれているかを特定する。
続くステップS702では、ステップS701における当否判定処理の結果が大当たり当選に対応した結果であるか否かを判定する。大当たり当選に対応した結果である場合には、ステップS703にて種別判定処理を実行する。
種別判定処理では、実行エリアAEに格納された情報のうち種別判定用の情報、すなわち大当たり種別カウンタC2によって更新された情報から取得した情報を把握する。また、ROM403の振分テーブル記憶エリアに記憶された振分テーブルを参照して、上記把握した種別判定用の情報が確変大当たり結果に対応した情報に含まれているかを特定する。
続くステップS704では、ステップS703における種別判定処理において特定した情報に基づいて今回の大当たり当選の種別が確変大当たり結果であるか否かを判定する。確変大当たり結果である場合には、ステップS705にて確変大当たり用の停止結果設定処理を実行し、確変大当たり結果でない場合には、ステップS706にて通常大当たり用の停止結果設定処理を実行する。また、ステップS702にて大当たり当選ではないと判定した場合には、ステップS707にて外れ時用の停止結果設定処理を実行する。
ステップS705〜ステップS707の各停止結果設定処理では、メイン表示部90に最終的に停止表示させる絵柄の態様の情報を、ROM403の停止結果テーブル記憶エリア424に記憶されている停止結果テーブルを参照して特定し、その特定した情報をRAM404に記憶する。また、ステップS705及びステップS706では、今回の遊技回の当否判定結果が、確変大当たり結果又は通常大当たり結果であることをMPU402にて特定するための情報をRAM404の各種フラグ格納エリア435に格納する。具体的には、ステップS705では確変大当たりフラグを格納し、ステップS706では通常大当たりフラグを格納する。
ステップS705〜ステップS707のいずれかの処理を実行した後は、ステップS708にて、変動表示時間の設定処理を実行する。
<変動表示時間の設定処理>
変動表示時間の設定処理では、図20のフローチャートに示すように、先ずステップS801にて、上記当否抽選に当選しているか否かを判定する。具体的には、RAM404の各種フラグ格納エリア435に確変大当たりフラグ又は通常大当たりフラグの何れかが格納されているか否かを判定する。
ステップS801にて否定判定をした場合、すなわち上記当否抽選の結果が外れ結果である場合には、ステップS802に進む。ステップS802では、今回の遊技回において図柄表示装置94にてリーチ表示が発生するか否かを判定する。具体的には、実行エリアAEに格納されているリーチ乱数カウンタC3の値がリーチ発生に対応した値である場合には、リーチ表示の発生として、ステップS802にて肯定判定をする。リーチ乱数カウンタC3の値を用いたリーチ発生の有無の特定に際しては、ROM403のリーチ判定用テーブル記憶エリアに記憶されているリーチ判定用テーブルを参照する。
ステップS801及びステップS802の何れか一方にて肯定判定をした場合にはステップS803に進み、ROM403の変動表示時間テーブル記憶エリア423に記憶されているリーチ発生用変動表示時間テーブルを参照して今回の変動種別カウンタCSの値等に対応した変動表示時間情報を取得し、続くステップS804にてその変動表示時間情報をRAM404の各種カウンタエリア434に設けられた変動表示時間カウンタエリア(変動表示時間計測手段)にセットする。その後、本設定処理を終了する。
つまり、本実施の形態においては、当否抽選の結果が大当たり当選結果である場合又は同当否抽選の結果が外れ結果となり且つリーチ発生用の抽選に当選した場合に、リーチ表示を実行する構成となっている。
ここで、リーチ表示には、変動表示態様が異なるノーマルリーチ表示とスーパーリーチ表示とが設けられている。リーチ発生用変動表示時間テーブルには、ノーマルリーチ表示及びスーパーリーチ表示それぞれに対応した変動表示時間情報が設定されており、当該テーブルを参照することによって、それぞれのリーチ表示に対応した変動表示時間情報が取得される。なお、リーチ表示の種類の決定に関しては、リーチ表示の種類と変動種別カウンタCSの値とが対応したテーブルが設けられており、当該テーブルを参照することで、今回の変動種別カウンタCSの値に対応したリーチ表示が決定される。
さらに、リーチ発生用変動表示時間テーブルは、大当たりの種別に対応している。具体的には、確変大当たり結果の場合に、特定図柄の組み合わせを停止表示できるように、変動表示時間が設定されているとともに、通常大当たり結果の場合に、非特定図柄の組み合わせを停止表示できるように、変動表示時間が設定されている。
一方、ステップS802にて否定判定をした場合には、ステップS805にて変動表示時間テーブル記憶エリア423に記憶されているリーチ非発生用変動表示時間テーブルを参照して今回の変動種別カウンタCSの値に対応した変動表示時間を取得し、ステップS806にてその変動表示時間情報を上記変動表示時間カウンタエリアにセットする。その後、本設定処理を終了する。
なお、リーチ非発生時における変動表示時間情報は、始動保留球数Nの数が多いほど変動表示時間が短くなるように設定されている。但し、これに限定されることはなく、例えば、始動保留球数Nの数に依存しない構成としてもよく、始動保留球数Nの数が少ないほど変動表示時間が短くなるように設定されていてもよい。また、サポートモードが高頻度サポートモードである状況においては低頻度サポートモードである状況よりも、保留情報の数が同一である場合で比較して、短い変動表示時間が選択されるようにリーチ非発生用変動表示時間テーブルが設定されているが、これに限定されることはなく、選択される変動表示時間が同一であってもよく、上記の関係とは逆であってもよい。さらには、リーチ発生時における変動表示時間に対して、上記構成を適用してもよく、大当たり当選時と外れリーチ時とで選択され易い変動表示時間と選択され難い変動表示時間とが異なっている構成としてもよい。また、確変大当たり用の変動表示時間テーブル、通常大当たり用の変動表示時間テーブル、外れリーチ用の変動表示時間テーブル及び完全外れ用の変動表示時間テーブルがそれぞれ個別に設定されている構成としてもよい。
以上のとおり、各遊技回の変動表示時間は、リーチ発生の有無、リーチ表示の種類、保留情報の数及び変動種別カウンタの値等をパラメータとして決定される。但し、各遊技回の変動表示時間は、他の保留情報の内容、具体的には、他の保留情報に含まれる大当たり判定用の情報、種別判定用の情報及びリーチ判定用の情報をパラメータとすることなく決定される。
変動開始処理(図19)の説明に戻り、ステップS708にて変動表示時間の設定処理を実行した後は、ステップS709にて、変動用コマンド及び種別コマンドを設定する。変動用コマンドには、リーチ発生の有無の情報及び変動表示時間の情報が含まれる。また、種別コマンドには、遊技結果の情報が含まれる。つまり、種別コマンドには、遊技結果の情報として、確変大当たり結果の情報、通常大当たり結果の情報、外れ結果の情報などが含まれる。
ステップS709にて設定された変動用コマンド及び種別コマンドは、通常処理(図16)におけるステップS401にて、報知・演出制御装置143に送信される。報知・演出制御装置143では、受信した変動用コマンド及び種別コマンドに基づいて、その遊技回における表示ランプ部24〜26の発光パターンやスピーカ部27からの音の出力パターンを決定し、その決定した演出の内容が実行されるように表示ランプ部24〜26及びスピーカ部27を制御する。また、報知・演出制御装置143は、受信した変動用コマンド及び種別コマンドに基づいてその遊技回における図柄表示装置94での変動表示パターンを決定し、その決定した変動表示パターンが実行されるように、上記変動用コマンド及び種別コマンドをその情報形態を維持したまま変動表示パターンを特定するための情報を付加して表示制御装置150に送信する。その後、ステップS710にてメイン表示部90の作動口用表示部において絵柄の変動表示を開始させた後に、本変動開始処理を終了する。
遊技回制御処理(図16)の説明に戻り、メイン表示部90が変動表示中である場合には、ステップS506〜ステップS509の遊技回進行用処理を実行する。遊技回進行用処理では、先ずステップS506にて、今回の遊技回の変動表示時間が経過したか否かを判定する。具体的には、RAM404の変動表示時間カウンタエリアに格納されている変動表示時間情報の値が「0」となったか否かを判定する。当該変動表示時間情報の値は、上述したように、変動表示時間の設定処理(図20)においてセットされる。また、このセットされた変動表示時間情報の値は、タイマ割込み処理(図13)が起動される度に、1ディクリメント(減算)される。
変動表示時間が経過していない場合には、ステップS507にて変動表示用処理を実行する。変動表示用処理では、メイン表示部90における表示態様を変更する。その後、本遊技回制御処理を終了する。
変動表示時間が経過している場合には、ステップS508にて変動終了処理を実行する。変動終了処理では、上記ステップS705〜ステップS707のいずれかの処理にてRAM404に記憶した情報を特定し、その情報に対応した絵柄がメイン表示部90にて停止表示されるように当該メイン表示部90を制御する。
続くステップS509では、変動終了コマンドを設定する。その後、本遊技回制御処理を終了する。ステップS509にて設定された変動終了コマンドは、通常処理(図16)におけるステップS401にて、報知・演出制御装置143に送信される。報知・演出制御装置143では、受信した変動終了コマンドをその情報形態を維持したまま表示制御装置150に送信する。表示制御装置150では、当該変動終了コマンドを受信することにより、その遊技回における最終停止図柄の組み合わせを確定表示(最終停止表示)させる。
<遊技状態移行処理>
次に、ステップS404の遊技状態移行処理を図21のフローチャートを参照して説明する。
遊技状態移行処理においては、先ずステップS901にて、開閉実行モード中か否かを判定する。開閉実行モード中でない場合にはステップS902に進み、1の遊技回のメイン表示部90(詳しくは作動口用表示部)における絵柄の変動表示が終了したタイミングか否かを判定する。変動表示が終了したタイミングでない場合には、そのまま本遊技状態移行処理を終了する。
変動表示が終了したタイミングである場合には、ステップS903にて、今回の遊技回の遊技結果が開閉実行モードへの移行に対応したものであるか否かを判定する。具体的には、RAM404に、通常大当たりフラグ又は確変大当たりフラグのいずれかが格納されているか否かを判定する。上記各フラグのいずれもが格納されていない場合には、そのまま本遊技状態移行処理を終了する。
上記各フラグのいずれかが格納されている場合には、ステップS904にて、RAM404の各種カウンタエリア434に設けられたラウンドカウンタエリアRCに、「15」をセットする。ラウンドカウンタエリアRCは、可変入賞装置82の大入賞口82aが開放された回数をカウントするためのカウンタエリアである。その後、本遊技状態移行処理を終了する。
一方、開閉実行モード中である場合には、ステップS901にて肯定判定をし、ステップS905に進む。ステップS905では、大入賞口開閉処理を実行する。大入賞口開閉処理では、大入賞口82aが閉鎖中である場合には、ラウンドカウンタエリアRCが「1」以上であることを条件として、可変入賞駆動部82cを駆動状態とすることで大入賞口82aを開放させる。また、大入賞口82aが開放中である場合には、当該大入賞口82aの開放から所定時間が経過していること又は所定個数の遊技球が入賞していることを条件として、可変入賞駆動部82cの駆動状態を停止し、大入賞口82aを閉鎖させる。
続くステップS906では、ラウンドカウンタエリアRCの値が「0」か否かを判定する。ラウンドカウンタエリアRCの値が「0」でない場合には、そのまま本遊技状態移行処理を終了する。ラウンドカウンタエリアRCの値が「0」である場合には、ステップS907にて、開閉実行モード終了時の移行処理を実行する。
開閉実行モード終了時の移行処理では、RAM404に確変大当たりフラグが格納されている場合には、当否抽選モードを高確率モードに設定するとともに、サポートモードを高頻度サポートモードに設定する。なお、これら高確率モード及び高頻度サポートモードは少なくとも大当たり当選が次回発生するまで維持される。また、RAM404に通常大当たりフラグが格納されている場合には、当否抽選モードを低確率モードに設定するとともに、サポートモードを高頻度サポートモードに設定する。但し、高頻度サポートモードは遊技回が100回継続した場合に終了され、その後、当否抽選モードが低確率モードであり且つサポートモードが低頻度サポートモードである通常遊技状態に移行する。
その後、ステップS908にて、開閉実行モードの終了処理を実行した後に、本遊技状態移行処理を終了する。開閉実行モードの終了処理では、通常大当たりフラグ又は確変大当たりフラグのうち、格納されているフラグを消去する。
<報知・演出制御装置143>
次に、図22のブロック図を参照して報知・演出制御装置143にかかる電気的構成について補足説明する。
報知・演出制御装置143は、MPU452が搭載された報知・演出制御基板451を具備している。MPU452には、当該MPU452により実行される各種プログラムや固定値データを記憶したROM453と、そのROM453内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM454と、割込回路、タイマ回路、データ入出力回路、乱数発生器としての各種カウンタ回路などが内蔵されている。なお、MPU452においてはROM453及びRAM454が1チップ化されていることは必須の構成ではなく、それぞれが個別にチップ化された構成としてもよい。これは、他の制御装置のMPUにおいても同様である。
MPU452には、入力ポート及び出力ポートがそれぞれ設けられている。MPU452の入力側には主制御装置162が接続されており、当該主制御装置162から既に説明した、変動用コマンド、種別コマンド、変動終了コマンドといった遊技回制御用コマンド(遊技回制御用情報)を受信する。また、シフト時コマンドや後述する保留コマンドといった保留表示制御用コマンド(保留表示制御用情報)、更には、オープニングコマンドやエンディングコマンドといった開閉実行モード用コマンド(開閉実行モード用情報)を受信する。
MPU452の出力側には、既に説明したように前扉枠14に設けられた表示ランプ部24〜26、スピーカ部27、表示制御装置150が接続されている。この場合に、上記各種コマンドは、情報形態をそのまま維持した状態(一部のコマンドについては情報が付加された状態)で表示制御装置150に送信される。
また、MPU452の入力側には前扉枠14に設けられ遊技者によって操作される操作スイッチ40が接続されており、当該操作スイッチ40からの検知情報(検知信号)が入力される。MPU452においては、当該検知情報に基づいて操作スイッチ40が操作されたか否かを判定し、当該判定の結果操作が行われたと判定した場合には当該操作が有効期間内に行われたことを条件として同操作に対応する演出や解説等を実行するためのコマンドを表示制御装置150に送信する。
MPU452では、主制御装置162から送信された変動用コマンドを受信することで、遊技回用の演出を開始させる必要があることを認識し、遊技回用演出開始処理を実行する。また、主制御装置162から送信された終了コマンドを受信することで、遊技回用の演出を終了させる必要があることを認識し、遊技回用演出終了処理を実行する。また、主制御装置162から送信された大当たり演出用の各種コマンドを受信することで、大当たり演出を開始させる必要があること又は進行させる必要があることを認識し、大当たり演出用処理を実行する。また、主制御装置162から送信されたデモ表示用のコマンドを受信することで、デモ表示を開始させる必要があることを認識し、デモ表示用処理を実行する。
なお、MPU452において主制御装置162からコマンドを受信するとは、主制御装置162からコマンドを直接受信する構成に限定されることはなく、中継基板に中継されたコマンドを受信する構成も含まれる。
遊技回用演出開始処理では、変動用コマンド及び種別コマンドの両コマンドに基づいて、該当遊技回の変動表示時間(表示継続期間)を把握する変動表示時間の把握処理と、リーチ表示の有無を把握するリーチ表示把握処理と、大当たり結果の有無を把握する大当たり結果発生の把握処理と、大当たり結果が発生する場合における大当たり種別を把握する大当たり種別の把握処理とを実行する。また、リーチ表示把握処理、大当たり結果発生の把握処理及び大当たり種別の把握処理における把握結果に基づいて、本遊技回において図柄表示装置94の表示画面94aにて行う表示演出の種類を決定する表示演出把握処理を実行するとともに、本遊技回において図柄表示装置94の表示画面94aに最終停止表示させる図柄の種類を決定する図柄種別把握処理を実行する。そして、これら各把握処理の結果に基づいて、変動表示時間の情報及び表示演出の種類の情報を含む変動パターンコマンドと最終停止表示させる図柄の種類の情報を含む図柄指定コマンドとを、表示制御装置150に送信する。
また、遊技回用演出開始処理では、上記各処理の処理結果に基づいて、遊技回用の表示発光テーブルと遊技回用の音声テーブルとをROM453から読み出す。遊技回用の表示発光テーブルにより、該当する遊技回の進行過程における発光部24〜26の発光態様が規定される。また、遊技回用の音声テーブルにより、該当する遊技回の進行過程におけるスピーカ部27からの出力態様が規定される。
ここで、図23に基づき図柄表示装置94(表示画面94a)にて表示される図柄の変動表示態様の概要について補足説明する。図23(a)は変動表示態様の種類を示す概略図、図23(b)群は各変動表示態様の概要を示す概略図である。
図23(a)に示すように、表示画面94aにて実行される図柄の変動表示態様については、完全外れ,ノーマルリーチA,ノーマルリーチB,スーパーリーチA,スーパーリーチB,スーパーリーチCの5つに大別される。これら各変動表示態様については、変動表示時間が異なるように設定されており、主制御装置162からのコマンドに付与され変動表示時間に係る情報に基づいて遊技回毎の変動表示態様の概要を把握可能となっている。
具体的には、完全外れの変動表示時間については「3sec〜8sec」(保留数に応じて差が設定されている)、ノーマルリーチAの変動表示時間については「10〜14sec」、ノーマルリーチBの変動表示時間についてはノーマルリーチAの変動表示時間よりも長い「15〜19sec」、スーパーリーチAの変動表示時間についてはノーマルリーチA,Bの変動表示時間よりも長い「20〜25sec」、スーパーリーチBの変動表示時間についてはノーマルリーチA,Bの変動表示時間よりも長い「20〜25sec」、スーパーリーチCの変動表示時間についてはノーマルリーチA,Bの変動表示時間よりも長い「20〜25sec」となっており、各スーパーリーチA〜Cは基本的に変動表示時間が長くなるにつれて大当たりの当選期待度が高くなるように設定されている。
より詳しくは、各スーパーリーチA〜Cについては、対応する変動表示時間が同様となるように設定されている。報知・演出制御装置143にてスーパーリーチA〜Cの種類を決定する場合には、演出決定用のテーブルが参照されるが、この際受信したコマンドから取得された変動表示時間が長い程、又は大当たりに当選している場合には、スーパーリーチC>スーパーリーチB>スーパーリーチAの順に選択されやすくなっている。なお、報知・演出制御装置143から表示制御装置150に変動用のコマンドが送信される場合には、これら選択された演出態様を特定するための情報が付加される。表示制御装置150では、当該コマンドに基づいて演出態様を特定することが可能となっている。
ここで、図23(b1)を参照してノーマルリーチA,Bの変動表示態様について説明する。ノーマルリーチA,Bが選択された場合には、先ず停止表示されている全ての図柄列の変動表示(スクロール表示)を開始し、その後、上段の図柄列Z1において図柄の変動表示を終了し(停止表示させ)、さらに下段の図柄列Z3において図柄の変動表示を終了する(停止表示させる)。このようにして上下の図柄列Z1,Z3を停止表示した状態において、いずれかの有効ラインL1〜L5(図6参照)に同一の数字が付された主図柄が停止表示されることでリーチラインが形成される。そして、当該リーチラインが形成されている状況下において中段の図柄列Z2の変動表示が行われることでリーチ表示となる。
リーチ表示となった後、中段の図柄列Z2を停止表示することにより、変動表示が終了する。そして、リーチライン上に当該リーチ表示を構成している図柄と同一の図柄が停止することで大当たりに当選した旨が報知され、同リーチライン上にそれ以外の図柄が停止することで大当たりに当選していない旨が報知されることとなる。このようにして、最終停止表示された図柄の組み合わせについては所定期間に亘ってそのまま維持される。つまり、停止表示期間が経過するまでは今回の遊技回が続いており、当該停止表示期間が経過することにより次の遊技回への移行が許容されることとなる。
本実施の形態においてはリーチラインが形成された後の中図柄列Z2の変動表示時間に差を設定することにより、ノーマルリーチAとノーマルリーチBとの違いを生じさせているが、両者の差の設定の仕方については任意である。例えば、変動表示が開始されてからリーチラインが形成されるまでの時間に差を設定することにより、上記変動表示時間の差を確保することも可能である。
次に、上述したノーマルリーチA,Bの変動表示態様を踏まえてスーパーリーチA,B,Cの変動表示態様について説明する。図23(b2)〜(b4)に示すように、スーパーリーチA,B,Cについては、ノーマルリーチA,Bと同様の過程を経て上述したリーチラインを形成する。そして、リーチラインを形成した後、中図柄列Z2の変動表示に併せて、所定のキャラクタを動画として表示することによりリーチ演出を行う構成となっている。具体的には、スーパーリーチAにおいてはリーチラインが形成された後、中図柄列Z2の変動表示領域ME(図11(b)参照)の中央に妖精を模したキャラクタが表示され、スーパーリーチBにおいてはリーチラインが形成された後、中図柄列Z2の変動表示領域の中央(変動表示領域MEの中央)に男の子を模したキャラクタが表示され、スーパーリーチCにおいてはリーチラインが形成された後、中図柄列Z2の変動表示領域MEの中央に女の子を模したキャラクタが表示されることとなる。
本実施の形態においては、図柄表示装置94にて実行される表示演出が多様なものとなっており、リーチ表示となった後にスーパーリーチA〜Cに発展する際に複数の分岐を経由することとなる。そこで、図24を参照して、図柄表示装置94にて実行される演出の流れについて補足説明する。図24(a)はリーチ表示後の挙動を示す概略図、図24(b)は演出の分岐態様を示す概略図である。
リーチ表示となる場合には、そのリーチラインを形成している図柄と同一の図柄が当該リーチ表示となったタイミングにてリーチラインを横切るように上下の各図柄列における変動停止タイミングと中図柄列の変動表示のタイミングとが調整されている。
図24(a)に示すように、ノーマルリーチAはリーチ表示後の演出の進行パターンが2つ用意されており、ノーマルリーチAが選択された場合にはリーチ表示後に以下の2つのパターンに分岐するように設定されている。すなわち、ノーマルリーチA自体その変動表示態様は一義的なものではなく、中図柄列が1周することなく停止する場合(変動表示時間が相対的に短い場合)と、中図柄列が1周した後に停止する場合(変動表示時間が相対的に長い場合)とに大別される。大当たりに対応した遊技回にてノーマルリーチAが実行される場合には前者よりも後者のほうが選択されやすくなっており、中図柄列の変動表示時間が長いほど大当たりへの期待度が大きくなるように設定されている。
ノーマルリーチBについても、リーチ表示後に以下の2つのパターンに分岐するように設定されている。すなわち、ノーマルリーチBについてもその変動表示態様は一義的なものではなく、中図柄列が1周した後に停止する場合と、中図柄列が2周した後に停止する場合とに大別される。大当たりに対応した遊技回にてノーマルリーチAが実行される場合には前者よりも後者のほうが選択されやすくなっており、中図柄列の変動表示時間が長いほど大当たりへの期待度が大きくなるように設定されている。
各スーパーリーチA〜Cについても、リーチ表示後の発展パターンが複数設定されている。具体的には、リーチ表示後に中図柄列が1周した後にスーパーリーチへと発展する場合と、中図柄列が2周した後にスーパーリーチへと発展する場合とが設定されている。大当たりに対応した遊技回にてスーパーリーチA〜Cが実行される場合には前者よりも後者のほうが選択されやすくなっており、中図柄列の変動表示時間が長いほど大当たりへの期待度が大きくなるように設定されている。
ここで、図24(b)を参照して図柄表示装置94にて実行される表示演出の分岐態様について説明する。
変動表示が開始した後は、そのまま変動表示が停止するかリーチ表示に移行するかに分岐することとなる。リーチ表示に移行した場合には、そのまま中図柄列が1周することなく変動表示が停止する場合(ノーマルリーチA確定)と、中図柄列が1周する場合とに分岐する。なお、このようにリーチ表示に移行した直後は見かけ上、ノーマルリーチA,B及びスーパーリーチA〜Cの何れとなるかは判別困難又は不可となっている。
中図柄列が1周した後は、中図柄列が2周する前に変動表示が停止する場合(ノーマルリーチA,B)と、中図柄列が2周する前にスーパーリーチA〜Cに発展する場合と、中図柄列が2周する場合とに分岐する。中図柄列が2周した時点でノーマルリーチAの可能性が否定され、当該変動表示がノーマルリーチB又はスーパーリーチA〜Cの何れかに対応しているものに限定される。
中図柄列が2周した後は、そのまま中図柄列の変動表示が停止する場合(ノーマルリーチB確定)と、スーパーリーチA〜Cの何れかに発展する場合とに分岐する。既に説明したように、ノーマルリーチよりもスーパーリーチのほうが大当たりに当選時に選択される確率(すなわち当選期待度)が高く設定されているため、中図柄列が2周した時点で大当たりへの当選期待度が高まることとなる。
ここで、図25を参照してスーパーリーチへの発展の流れについて例示する。図25は、スーパーリーチAにかかる演出の流れを示す概略図であり、図25(a)→図25(b)→図25(c)→図25(d)→図25(e)→図25(f)→図25(g)→図25(h)の順に演出が進行する。
図25(a)に示すように変動表示開始時には、停止表示されていた上・中・下の各図柄列が右側から左側へとスクロールする。その後、上図柄列→下図柄列の順にスクロール表示が停止しリーチ表示へ移行した場合には(図25(b)参照)、同タイミングにてリーチライン上に停止している図柄とともに大当たりに対応する図柄組み合わせを構成し得る図柄が有効ライン上を通過する。
このようにしてリーチ表示に移行して中図柄列のスクロール表示が継続されている場合には、中図柄列が一周するまでは各図柄列の大きさが元のまま維持される。図25に示すパターンでは、中図柄列が2周するまでスクロール表示が継続される。ここで、図25(c)に示すように、中図柄列が1周した後は、中図柄列が徐々に拡大されるのに併せて、上下の各図柄列が縮小されることとなる。その後も中図柄列のスクロール表示が継続され、2周した後は中図柄列が更に拡大されるのに併せて、上下の各図柄列が更に縮小されることとなる(図25(d)参照)。
その後は、停止中の図柄とともに大当たり対応の図柄組み合わせを形成し得る図柄が有効ライン上を通り過ぎるのに伴って「CHANCE」図柄が表示画面94aに表示されるのに併せて、それまで変動表示領域ME全体に表示されていた停止図柄が表示画面94aの右上(縮小表示領域SE)に縮小表示される(図25(e)参照)。「CHANCE」図柄は何れかの主図柄のうち上記有効ライン上を通り過ぎた図柄に続く図柄に置き換えて表示され、当該図柄が有効ライン上に停止することでスーパーリーチへの発展が確定する。
図25(f)に示すように、有効ライン上に「CHANCE」図柄が停止した後は、「CHANCE」図柄が縮小され、それまで表示画面94aの右上に縮小表示されていた停止図柄群が初期位置に復帰する。その後、表示画面94aの中央には妖精を模したキャラクタが表示され、中図柄列のスクロール表示が再開される(図25(g)参照)。
キャラクタ表示に併せて中図柄列のスクロール表示が行われ、最終的に中図柄列のスクロール表示が終了した時点で大当たりに対応する図柄組み合わせ又は外れに対応する図柄組み合わせが停止表示され、キャラクタ表示がOFFとなる。なお、図25(h)の例においては、「7」図柄が有効ライン上の揃った状態で停止表示されている。この後は、予め設定されたオープニング動画が表示されて、開閉実行モードへと移行する。
本実施の形態においては、図23及び図24に示したように、リーチ表示後の表示演出が多様に分岐する構成となっており、分岐ルートに応じて大当たりの当選期待度に差が生じる構成となっている。このような構成とすることで表示演出が単調になって遊技者の遊技への注目度が早期に低下する(飽きる)ことを抑制することが可能となっている。
但し、このような演出の多様化を行った場合、遊技機の仕様等を熟知した熟練者等に対しては興趣向上効果を上手く発揮させることができる反面、遊技機の仕様等をよくわかっていない遊技初心者にとっては何が起こっているのかを理解するのが一層困難になり得る。これでは、上述した演出の多様化による本来の目的が上手く達成されなくなると懸念される。
そこで本実施の形態においては、多様な演出を行う構成としつつも遊技者が困惑するといった不都合を生じにくくする工夫が施されている。以下、当該工夫について説明する。
上述した課題を分析した場合、遊技者の困惑が生じやすいポイントは以下の2つに大別されると想定される。
(1)表示演出の分岐ポイント及び分岐のパターン
(2)表示演出がどのように進むことが遊技者にとって有利な展開であるか
である。詳細については後述するが、本実施の形態においては、表示演出が実行される場合に、上記各ポイントに対応させて表示演出についての解説を適宜行うことにより、表示演出に対する遊技者の理解を促す構成が採用されている。
但し、このような解説については、遊技者の趣向にそぐわない場合やある程度の期間遊技を継続することで(当該遊技機に慣れることで)表示演出の流れをある程度把握された場合には不要になる可能性もある。そこで、上記解説を行うモード(以下便宜上、リアルタイム解説モードと称する)と、当該解説を行わないモードとの何れかを遊技者が選択できる構成となっている。
以下、図26を参照して当該モード選択について説明する。報知・演出制御装置143においては定期的に実行される通常処理の一環として(モード選択の準備処理として)表示モード切替用処理を実行する。図26(a)のフローチャートに示すように、表示モード切替用処理においては、先ずステップS1001にて図柄表示装置94(表示画面94a)にてデモ表示が行われているか否かを判定する。具体的には、RAM454の各種フラグ格納エリア473にデモ表示用フラグが格納されているか否かを判定する。本パチンコ機10では、一定期間に亘って作動口83への入球が発生しなかった場合には、RAM454の各種フラグ格納エリアにデモ表示用フラグが格納され、消費電力が小さく抑えられた省エネ状態へ移行する構成となっている。省エネ状態では、スピーカ部27からのBGMの出力がカットされ、各種ランプ部24〜26が消灯され、更に輝度が抑えられた状態で表示画面94aに所定のデモ動画が表示されることとなる。
ここで、図26(b1)の概略図を参照してデモ表示について補足説明する。図26(b1)に示すように、デモ表示中は表示画面94aの下部にモード切替を促すメッセージ、具体的には「リアルタイム解説モードを希望される場合には操作スイッチを押して下さい。」が表示される。
ステップS1001にて否定判定をした場合には、そのまま本表示モード切替用処理を終了する。一方、ステップS1001にて肯定判定をした場合には、ステップS1002に進む。ステップS1002では案内画面が表示中であるか否かを判定する。案内画面は上記メッセージに従って操作スイッチ40が操作された場合に表示される画面であり、ステップS1002にて否定判定をした場合にはステップS1003に進む。
ステップS1003にて操作スイッチ40の操作が行われたか否かを判定し、肯定判定をした場合には、表示制御装置150に対して案内画面表示コマンドを送信する。これにより、図柄表示装置94の表示画面94aにて案内画面が表示されることとなる。ここで、図26(b2)の概略図を参照して案内画面について説明する。案内画面では、表示画面94aの上部に、選択を促すメッセージが表示され、それに併せて表示画面94aの中央に「ON」及び「OFF」のボタンが表示される。これら各ボタンが順次点灯→消灯を繰り返す。「ON」ボタンが点灯しているタイミングにて操作スイッチ40が操作された場合にはリアルタイム解説モードが設定され、「OFF」ボタンが点灯しているタイミングにて操作スイッチ40が操作された場合にはリアルタイム解説モードが解除される。
具体的には、図26(a)のステップS1002にて肯定判定をした場合、すなわち案内画面が表示中であると判定した場合には、ステップS1005に進む。ステップS1005では操作スイッチ40による切り替え操作が行われたか否かを判定する。ステップS1005にて否定判定をした場合には、未だ操作が行われていないとして本表示切替用処理を終了する。一方、ステップS1005にて肯定判定をした場合には、ステップS1006にて表示制御装置150に表示モード切替コマンドを送信して本表示切替用処理を終了する。ステップS1006にて送信されるコマンドは2種類存在している。具体的には、上記「ON」ボタンが点灯しているタイミングで操作スイッチ40が操作されたことを示すコマンド(リアルタイム解説対応コマンド)と、「OFF」ボタンが点灯しているタイミングにて操作スイッチ40が操作されたことを示すコマンド(リアルタイム解説非対応コマンド)との何れかが表示制御装置150に送信されることとなる。
表示制御装置150では、これらのコマンドを受信することで、リアルタイム解説モードとするか否かを判定する。具体的には、表示制御装置150においては定期的に実行される通常処理の一環として表示モード切替処理が実行される。表示モード切替処理は、表示制御装置150が上記表示モード切替コマンドを受信した場合に実行される処理である。表示モード切替処理では、図26(c)に示すように、先ずステップS1101にて受信した表示モード切替コマンドがリアルタイム解説対応コマンドであるか否かを判定する。
ステップS1101にて肯定判定をした場合にはステップS1102に進み、MPU502のワークRAM504に設けられた各種フラグ格納エリアにリアルタイム解説用フラグを格納する。このフラグが格納されている状況下にて遊技回が実行される場合には、表示演出実行時に上述したリアルタイム解説が実行されることとなる。
一方、ステップS1101にて否定判定をした場合にはステップS1103に進み、MPU502のワークRAM504に設けられた各種フラグ格納エリアにリアルタイム解説用フラグが格納されている場合にはこれを消去する。このフラグが格納されていない状況下にて遊技回が実行される場合いは、表示演出実行時に上記解説が行われないよう規制されることとなる。
以下、先ず図22を参照して表示制御装置150の電気的構成について補足説明し、その後図27を参照してリアルタイム解説の態様について説明する。
表示制御装置150は、プログラムROM503及びワークRAM504が複合的にチップ化されたMPU502と、ビデオディスプレイプロセッサ(VDP)505と、キャラクタROM506と、ビデオRAM507と、キャプションROM508とが搭載された表示制御基板501を備えている。
MPU502は、報知・演出制御装置143から受信した各種コマンドを解析し又は受信したコマンドに基づき所定の演算処理を行ってVDP505の制御(具体的にはVDP505に対する内部コマンドの生成)を実施する。
プログラムROM503は、MPU502により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶するためのメモリであり、背景画像用のJPEG形式画像データも併せて記憶保持されている。
ワークRAM504は、MPU502による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグ等を一時的に記憶するためのメモリである。
VDP505は、図柄表示装置94に組み込まれた液晶表示部ドライバとしての画像処理デバイスを直接操作する一種の描画回路である。VDP505はICチップ化されているため「描画チップ」とも呼ばれ、その実体は、描画処理専用のファームウェアを内蔵したマイコンチップとでも言うべきものである。VDP505は、MPU502、ビデオRAM507等のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在するとともに、ビデオRAM507に記憶させて、当該画像データをキャラクタROM506から所定のタイミングで読み出して図柄表示装置94に表示させる。
キャラクタROM506は、図柄表示装置94に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するための画像データライブラリとしての役割を担うものである。このキャラクタROM506には、各種の表示図柄のビットマップ形式画像データ、ビットマップ画像の各ドットでの表現色を決定する際に参照する色パレットテーブル等が保持されている。
なお、キャラクタROM506を複数設け、各キャラクタROM506に分担して画像データ等を記憶させておくことも可能である。また、前記プログラムROM503に記憶した背景画像用のJPEG形式画像データをキャラクタROM506に記憶する構成とすることも可能である。
本実施の形態においては、図柄表示装置94にて演出が実行される際に、その進行状況に応じて演出の解説を行うための情報が記憶されたキャプションROM508を有していることを特徴の1つとしている。
VDP505においては、背景画像用のレイヤ、図柄用のレイヤ、キャラクタ用のレイヤ及びキャプション用のレイヤを重ねることで画像データを生成する。上記表示モード切替処理によってリアルタイム解説機能が有効化されている場合には、キャプションを表示すべきタイミングとなった場合にキャプションROM508からその状況に対応するキャプションを読み込む。これにより当該キャプションはキョプション用のレイヤに描画され上記画像データにキャプションが含まれることとなる。
表示制御装置150のMPU502においては、上記通常処理の他に定期的に実行されるタイマ割り込み処理が設定されている。このタイマ割り込み処理にて、キャプション表示を実現するためのリアルタイム解説用表示処理が実行される。
図27(a)のフローチャートに示すように、リアルタイム解説用表示処理においては先ず、ステップS1201にて変動表示が開始されたか否かを判定する。ステップS1201にて否定判定をした場合、すなわち遊技回が始まっていない場合にはそのまま本リアルタイム解説用表示処理を終了する。
ステップS1201にて肯定判定をした場合には、ステップS1202に進みリアルタイム解説モードが選択されているか否かを判定する。具体的には、ワークRAM504に設けられた各種フラグ格納エリアにリアルタイム解説用フラグが格納されているか否かを判定する。ステップS1202にて否定判定をした場合には、そのまま本リアルタイム解説用表示処理を終了する。
ステップS1202にて肯定判定をした場合にはステップS1203に進む。ステップS1203ではリアルタイム解説を実行するタイミングであるか否かを判定する。表示制御装置150にて実行される表示演出の流れは予め設定されている。ここで、一連の表示演出にて解説を行うべきタイミングについては、それぞれの表示演出に対応付けられたタイムテーブルとしてプログラムROM503に記憶されている。このタイムテーブルによって変動表示開始後のどのタイミングでどのような解説(本実施の形態においてはキャプション表示)を実行するかが予め規定されているため、リアルタイム解説用表示処理では、ステップS1201〜S1203の条件を全てクリアした場合には、ステップS1204にてリアルタイム解説を実行する処理を行う。具体的には、表示画面94aの下部(変動表示領域MEと保留数表示領域Da,Dbとの間)にキャプションを表示する処理を実行して、本リアルタイム解説用表示処理を終了する。なお、解説の態様については視覚的なものに限定されるものではなく音声等の聴覚的なものであってもよいし、両者を併用してもよい。
ここで、図27(b)の概略図を参照して、スーパーリーチAが実行される場合のリアルタイム解説の態様を例示する。
遊技回が始まると図柄表示装置94の表示画面94aにて各図柄列のスクロール表示(変動表示)が開始される。変動表示の開始から所定の期間が経過したタイミングにて先ず上側の図柄列が停止表示され、続いて下側の図柄列が停止表示される。図27(b)の例においては、有効ライン上に「6」図柄及び「7」図柄が停止して大当たりに対応する図柄組み合わせが形成される1ステップ前の状態(上記リーチ表示)となる。このようにリーチ表示になった場合には、表示画面94aにおいて変動表示領域MEと保留球表示領域との間に設けられたキャプション表示領域に変動表示領域MEにおける表示内容の解説が表示される。具体的には、リーチ表示に移行した旨を示すメッセージとして「リーチがかかったぞ」が表示される。
その後、中図柄列のスクロール表示が継続され、リーチ表示に移行してから中図柄列が1周したタイミング、すなわち演出の分岐箇所を経過したタイミングにて、大当たりの当選期待度が上昇した旨を示すメッセージとして「1周目経過 チャンスアップ↑」が表示画面94aに表示される。
既に説明したように、中図柄列のスクロール表示が継続されてリーチ表示に移行してから中図柄列が2周するタイミングが演出の分岐箇所となっている。ここで、中図柄列のスクロール表示がそのまま維持され2周経過した場合には、そのタイミングにて、大当たりの当選期待度が更に上昇した旨を示すメッセージとして「2周目経過 チャンスアップ↑↑」が表示画面94aに表示される。
その後、中図柄列において停止中の上図柄及び下図柄とともに大当たりに対応の図柄の組み合わせ形成し得る図柄(「6」図柄及び「7図柄」)が有効ラインに到達する前のタイミングにおいては、大当たりに移行するにはどのようにして中図柄が停止すればよいかを示すメッセージ(詳しくは「中央に7,6図柄が停止すれば大当たり!」)が表示画面94aに表示される。
図27(b)に示す例はスーパーリーチAに対応しているため、この時点で「6」図柄又は「7」図柄が有効ライン上に停止することはなく、それら両図柄が有効ライン上を通り過ぎることとなる。この通過タイミングが演出の分岐ポイントとなっている。両図柄が有効ライン上を通過した直後のタイミングでは、既に説明したように上図柄列及び中図柄列が表示画面94aの右上(縮小表示領域SE)に縮小表示されるとともに、中図柄列を構成する1図柄として「CHANCE」図柄が出現する。
このように変動表示の態様が変化したタイミングにて、表示画面94aにはどのようになれば大当たりの当選期待度が高くなるかを示すメッセージとして「中央にCHANCE図柄停止で発展だ!」が表示される。そして、「CHANCE」図柄が中央位置(有効ライン)に近づいたタイミングではメッセージの内容が「止まれ〜!」に変更されることとなる。
そして、「CHANCE」図柄が中央位置(有効ライン)に停止した場合には、演出が遊技者にとって有利なパターンで進行している旨を示すメッセージとして「発展 大チャンス!」が表示画面94aに表示される。その後、図柄列の縮小表示が解除され、通常の表示に復帰したことに併せて表示画面94aの中央には妖精を模したキャラクタが表示され、更に表示画面94aの下部には大当たりに移行するにはどのようにして中図柄が停止すればよいかを示すメッセージ(詳しくは「中央に7,6図柄が停止すれば大当たり!」)が表示画面94aに再表示される。
そして、最終的に中図柄列のスクロール表示が停止して、大当たりに対応する図柄組み合わせが表示された場合には、表示画面94aの下部に大当たりが確定した旨を示すメッセージとして「大当たり確定」が表示されることとなる。
以上詳述した第1の実施の形態によれば、以下の優れた効果が期待できる。
表示演出を経由して抽選結果を遊技者に告知するタイプの遊技機においては、表示演出を複数設定して単調化を抑えることにより、遊技機への興味が早々に低下することを抑制することができる。ただし、表示演出を多様なものとした場合、遊技機の仕様等を熟知した熟練者等に対して興趣向上効果を上手く発揮させることができる反面、遊技機の仕様等をよくわかっていない遊技初心者にとっては何が起こっているのかを理解するのが一層困難になり得る。これでは、上述した演出の多様化機能を上手く発揮させることが難しくなると懸念される。
この点、上記実施の形態に示したように、表示演出が行われている場合にその表示演出の進行に応じて当該表示演出の解説を行う構成とすれば、演出に対する理解を促すことができ、上記不都合の発生を回避することが可能となる。特に、表示演出の実行中にその進行に応じて(例えば連動又は同期させて)解説を行うことで、演出内容と解説内容との結びつきを強くすることができる。これにより、更なる理解の容易化に貢献できる。
また、実際に表示演出が実行されている表示画面94aに解説領域(キャプションの表示領域)を設けることで、遊技者が解説を見逃す機会を軽減できる。これにより、上述した効果を好適に発揮させることが可能となっている。
表示演出がその進行途中で分岐する構成として演出の多様化を図った場合には、分岐パターンがどのようなものがあるか、またどようにして表示演出が進行することが当選期待度の高いものに対応しているかが分かりにくくなる。そこで、表示演出(分岐演出)が分岐箇所に到達する場合にその分岐にかかる演出の解説を行うことにより、遊技者に当該演出の理解を促すことができる。これにより、演出の多様化による注目度向上効果を上手く発揮させることが可能となる。
なお、本実施の形態においては、リアルタイム解説機能が有効となっている場合には、キャプション用のレイヤとその他のレイヤとをVDP505にて重ねることで画像データを生成する構成としたが、演出の分岐タイミング等が予め決まっている場合には、キャプション用の画像とキャラクタ又は図柄の画像とを一体的なものとしてレイヤを共通とすることも可能である。但し、この場合には、各種演出に対してキャプションを含むデータとキャプションを含まないデータとを併有する必要がありデータ容量が膨大になると想定される。故に、好ましくは上記実施の形態に示したように、キャプション用のレイヤを別途設けリアルタイム解説モードとなっている場合にのみ当該レイヤを有効化する構成とすることが好ましい。
また、既に説明したように各ノーマルリーチA,Bについても対応する演出時間にある程度の幅が設定されており、各スーパーリーチA〜Cについても対応する演出時間にある程度の幅が設定されている。このため、詳細には演出が分岐するタイミングは多様なものとなる。このような構成においては、本実施の形態に示したように、各変動表示時間に対応した演出用のタイミングテーブルを参照して分岐箇所を把握する構成とすることで、分岐タイミングの多様化を図りつつ、それに起因したデータ容量の増大を好適に抑制することができる。
<第2の実施の形態>
上記第1の実施の形態においては、表示制御装置150は自身に予め記憶された表示演出用のタイムテーブルに基づいて表示演出の進行状況を把握し、演出の分岐タイミングについても当該タイムテーブルから把握する構成とした。つまり、表示制御装置150内の情報に基づいて演出の解説を行うべきタイミングを把握する構成とした。但し、演出の分岐タイミングについては、必ずしも表示制御装置150内の情報に基づいて把握する必要はなく、表示制御装置150外からの情報に基づいて把握する構成とすることも可能である。本実施の形態においては、表示演出の進行状況を監視する監視手段を別途設け、この監視手段からの情報に基づいて解説を行う構成としたことを特徴の1つとしている。以下、図28(a)を参照して上記監視手段にかかる構成について説明する。図28(a)は監視手段を示す概略図である。なお、上記第1の実施の形態と共通する各種構成については説明を省略する。
遊技盤80に設けられた図柄表示装置94は、台座部材141を介して遊技盤80に取り付けられることにより遊技盤80の前面よりも表示画面94aが後方にオフセットするようにして配置されている。表示画面94aは遊技盤80(詳しくは板体)に形成された中央開口を通じて遊技機前方から視認可能となっており、遊技盤80の前面には中央開口に沿うようにしてセンターフレーム95が配設されている。上述の如くこのセンターフレーム95については遊技盤80の前面から遊技機前方に起立しており、当該センターフレーム95によって囲まれた領域への遊技球の流入を制限している。
センターフレーム95の左右両側部において、中央開口側を向いている面には監視カメラ701が取り付けられている。監視カメラ701は表示画面94a側を向いており、表示画面94aの表示内容を監視対象としている。本実施の形態においては、監視カメラ701をセンターフレーム95の左右両側部に配置することで、すなわち右側の監視カメラ701Rと左側の監視カメラ701Lとを併用することにより表示画面94aにおいて監視カメラ701の死角となる部分を軽減している。
なお、図28(a)には各監視カメラ701L,701Rの監視範囲を2点鎖線によって明示しており、両監視カメラ701L,701Rによる監視範囲には変動表示領域MEのほぼ全域が含まれている。
監視カメラ701は監視制御装置180に電気的に接続されている。監視カメラ701からの情報は監視制御装置180へ送信され、当該監視制御装置180では監視カメラ701からの情報に基づいて画像解析処理を行うことで表示画面94aの表示内容を把握可能となっている。
監視制御装置180は報知・演出制御装置143に電気的に接続されており、上記画像解析処理によって特定の結果が得られた場合には、その旨を示す情報が報知・演出制御装置143に送信されることとなる。具体的には、表示画面94aにて実行される表示演出が上述した分岐に到達する等して解説を行う必要がある状況になった場合には、その旨を示すコマンドが報知・演出制御装置143に送信される。つまり、本実施の形態においては、監視カメラ701及び監視制御装置180によって表示画面94aを監視可能な監視手段が構築されており、この監視手段による監視結果に基づいて上記リアルタイム解説が実行される構成となっている。
ここで、図28(b)のフローチャートを参照して、監視制御装置180にて実行されるリアルタイム解説用の準備処理について説明する。当該準備処理は、パチンコ機10が通常の遊技状態である場合、すなわち節電モード(デモ表示モード)になっていない場合に、監視制御装置180にて定期的に実行される処理である。
リアルタイム解説準備処理においては先ず、ステップS1301にて遊技回中であるか否かを判定する。具体的には、変動開始時には変動開始コマンドが報知・演出制御装置143から入力され、変動終了時には報知・演出制御装置143から変動終了コマンドが入力される。これら入力されたコマンドに基づいて、遊技回中(変動表示中)であるか否かを判定する。
ステップS1301にて否定判定をした場合には、そのまま本リアルタイム解説準備処理を終了する。一方、ステップS1301にて肯定判定をした場合には、監視カメラ701からの情報(画像データ)に基づいて画像解析処理を実行する。監視制御装置180ではこの画像解析処理の結果に基づいて、本準備処理を実行したタイミングで表示画面94aにて実行されている表示演出がどのフェーズにあるのかを把握する。
ステップS1302にて画像解析処理を実行した後はステップS1303に進み、表示画面94aの表示内容に特定の変化があったか否かを判定する。ここで、特定の変化とは、例えばリーチ表示となったタイミングであるか否かや、リーチ表示後の演出分岐ポイントとなったか否か等、図27にて例示した各種キャプションを表示すべきタイミングであるか否かを判定する。ステップS1303にて否定判定をした場合には、そのまま本準備処理を終了する。一方、ステップS1303にて肯定判定をした場合にはステップS1304に進み、ステップS1303における判定の結果に対応した開設用コマンドを報知・演出制御装置143に送信する。報知・演出制御装置143は当該コマンドを受信した場合には、同コマンドを表示制御装置150に転送する。なお、ステップS1304にて送信されるコマンドは解説内容にかかる情報を含んでおり、表示制御装置150では当該コマンドを受信した場合に表示演出の解説を実行すべきタイミングであること、またどのような解説を実行すべきであるかを把握することが可能となっている。
監視手段からの情報(コマンド)に基づいて表示制御装置150により実行される解説の態様については、第1の実施の形態と同様であるため図27(b)等を参照されたい。
本実施の形態においては、上記第1の実施の形態における各種スーパーリーチA〜C以外にスーパーリーチD及びスーパーリーチEが設定されており、表示演出の多様化が実現されている。上述した監視手段については、これら各スーパーリーチD,Eについては、上述したリアルタイム解説機能の他に誤作動を監視する機能が付与されている。そこで、以下、図29を参照してスーパーリーチDと監視機能との関係について説明し、その後スーパーリーチEと監視機能との関係について説明する。
図29(a1)に示すように、本実施の形態における可変表示ユニット85の上部には、可動演出装置801が設けられている。可動演出装置801はセンターフレーム95の背後に隠れ遊技機前方からの視認が困難又は不可となる待機位置と、表示画面94aの中央部分と重なる演出位置とに移動可能なっている。
スーパーリーチDが実行される場合には、可動演出装置801が待機位置から演出位置へと降下する。この際、表示画面94aでは可動演出装置801の外形に合わせたエフェクトが表示され、表示画面94aと可動演出装置801とによる連動演出が行われる。
このように、表示画面94aの表示内容と可動演出装置801(特にその形態や位置)に関連性を付与すれば、表示画面94a単体で演出を行う場合と比較してよりダイナミックな演出を実現し、演出に対する注目度の更なる向上が期待できる。
しかしながら、可動演出装置801を採用されている場合には、繰り返しの動作等による可動演出装置801の劣化等に起因して当該可動演出装置801の動作不良が発生すると懸念される。仮に、このような動作不良が頻発した場合には、可動演出装置801と表示画面84aの表示内容との関係性が崩れる等して、本来の演出効果が発揮されなくなる。
スーパーリーチDの発生頻度が高ければホール管理者等がその異常に気づいてメンテナンス等を行うことも考えられる。しかしながら、可動演出装置801がそもそも発生頻度がそれほど高くないスーパーリーチにて動作する前提では、ホール管理者による気付きが遅れる可能性が高い。
そこで、本実施の形態においては、上記異常が発生した場合には、当該スーパーリーチDを規制して他のスーパーリーチに差し替えたり、異常発生をホール管理者に通知したりする等の各種対応を行う際に監視装置701が活用されている。
ここで、図29(b1)のフローチャートを参照して監視制御装置180にて実行される第1種エラー報知用処理について説明する。
第1種エラー報知用処理においては、先ずステップS1401にて可動演出装置連動演出(スーパーリーチD又は第1種特別演出)対応の遊技回であるか否かを判定する。具体的には、報知・演出制御装置143にてスーパーリーチDが選択された場合には、その旨を示すコマンドが監視制御装置180に送信され、監視制御装置180では当該コマンドを受信している場合には図28(b)に示したリアルタイム解説準備処理に加えて当該報知用処理を実行する。
ステップS1401にて否定判定をした場合には、そのまま本報知用処理を終了する。一方、ステップS1401にて肯定判定をした場合には、ステップS1402に進み、可動役物連動演出完成タイミングであるか否かを判定する。具体的には、可動演出装置801が演出位置へと降下し、表示画面94aに当該可動演出装置801用のエフェクトが表示されたタイミングであるか否かを判定する。具体的には、このタイミングかかる情報は、上記コマンドに含まれており、当該情報に基づいて判定を行う。
ステップS1402にて否定判定をした場合には、そのまま本報知用処理を終了する。一方、ステップS1402にて肯定判定をした場合にはステップS1403に進み、監視カメラ701からの情報に基づいて画像解析処理を実行する。なお、当該ステップS1403にて実行される画像解析処理においては、その対象が可動演出装置801とその周辺部位に限定される。
画像解析処理を実行した後はステップS1404に進む。ステップS1404では可動演出装置801と表示画面94aのエフェクトにズレが生じているか否かを判定する。ステップS1404にて否定判定をした場合、すなわちズレが発生していないと判定した場合には、そのまま本報知用処理を終了する。
一方、ステップS1404にて肯定判定をした場合には、ステップS1405に進む。ステップS1405では、ズレ発生に対応した解説コマンドを報知・演出制御装置143に送信する。報知・演出制御装置143は当該コマンドを受信した場合には同コマンドを表示制御装置150に転送し、報知・演出制御装置143及び表示制御装置150では当該コマンドを受信した場合には以下の各処理を実行する。
表示制御装置150では表示画面94aに動作不良が生じている旨のメッセージを表示する処理を実行する。これにより、表示画面94aには当該スーパーリーチDが終了するまで、「動作不良発生」のメッセージが表示されることとなる。一方、報知・演出制御装置143では、メンテナンス作業が行われて動作不良が解消するまで、スーパーリーチDが選択されないように演出選択用テーブルをスーパーリーチDが選択候補にないものに変更する。
ステップS1405の処理を実行した後はステップS1406に進み、外部報知処理を実行する。具体的には、外部出力端子板213を通じてホールコンピュータHCに動作不良が発生している旨の情報を出力する。
このように、監視手段を用いて連動演出が上手く実行されているか否かを監視する構成とすることで、演出が上手く実行されず遊技者を困惑させてしまうといった不都合を生じにくくすることができる。
次に、スーパーリーチE(第2種特別演出又はブラックアウト演出)について説明する。図29(a2)に示すように、スーパーリーチEは表示画面94aを一時的に消灯させるブラックアウト演出である。リーチ表示への以降後等に表示画面94aを意図的に消灯させて次に何が起こるかを分からなくすることにより、演出に対する注目度の向上を図っている。
しかしながら、上述した事象は例えば表示制御装置150や図柄表示装置94等の誤動作によっても発生し得る。仮にこのような誤動作が発生した場合には、遊技者は上記演出と区別することが困難になると懸念される。そもそも、スーパーリーチが大当たりの期待度が高い(大当たりに当選している場合に選択されやすい)演出である点を考慮すれば、このような誤動作が生じた場合には、遊技者の期待感を意図せず煽った挙句に外れ結果となるため遊技者に不快感を与える可能性が高い。
また、このような事象は表示制御装置150等では把握しきれない可能性あるため、それら制御装置150等で当該誤動作の発生への対策を講じることは困難であると想定される。
この点、本実施の形態に示すように監視カメラ701にて表示画面94aの監視を行う構成においては、そのような事象を見逃さず、それが誤作動であるか演出の一環であるかを遊技者に説明できる。故に、誤作動発生時に無駄に喪失感を与えずにすむ。以下、当該思想を実現するために監視制御装置180にて実行される処理(第2種エラー報知用処理)について図29(b2)を参照して説明する。
第2種エラー報知用処理においては先ず、ステップS1501にてブラックアウト演出(スーパーリーチE)対応の遊技回であるか否かを判定する。具体的には報知・演出制御装置143にてブラックアウト演出が選択された場合には、その旨を示すコマンドが監視制御装置180に送信され、監視制御装置180では当該コマンドを受信している場合には図28(b)に示したリアルタイム解説準備処理に加えて当該報知用処理を実行する。
ステップS1501にて否定判定をした場合には、そのまま本報知用処理を終了する。一方、ステップS1501にて肯定判定をした場合には、ステップS1502に進み、ブラックアウトが発生したか否かを判定する。具体的には図28(b)のステップS1302による画像解析の結果に基づいてブラックアウトが発生したか否かを判定する。
ステップS1502にて否定判定をした場合には、そのまま本報知用処理を終了する。一方、ステップS1502にて肯定判定をした場合にはステップS1503に進む。ステップS1503では表示エラーに対応した解説コマンドを報知・演出制御装置143に送信する。報知・演出制御装置143では当該コマンドを受信した場合には、エラーが発生した旨を示すメッセージをスピーカ部27から出力する処理を行う。これにより、遊技者は現在発生しているブラックアウトが演出の一部ではなく、誤動作に基づくものであることを把握することができ、期待感を保ちながらブラックアウトからの復帰を待つといった不都合を生じにくくすることができる。
ステップS1503の処理を実行した後はステップS1504に進み、外部報知処理を実行する。具体的には、外部出力端子板213を通じてホールコンピュータHCに動作不良が発生している旨の情報を出力する。
以上、詳述したように監視カメラ701及び監視制御装置180によって動作不良を監視する構成とすることにより、遊技者に不快感を与える機会を減らすことができ、誤動作に起因した遊技機への興趣低下を好適に抑制することができる。
<第3の実施の形態>
第2の実施の形態においては監視カメラ701による監視範囲を変動表示領域MEとしたが、監視範囲についてはこれに限定されるものではない。例えば、監視範囲を保留数表示領域Da,Dbにまで拡げることも可能である。更には、遊技領域PEを監視範囲とすることも可能である。本実施の形態においては、上記各実施の形態とは異なり、作動口83への入賞が発生した場合に、その当否情報等が報知・演出制御装置143及び表示制御装置150に送信される構成となっており、それに応じた所謂先読み演出を行うことが可能となっている。そして、このような演出を保留数表示領域Da,Dbにて実行し、そのような演出に関する解説を実行することを特徴の1つとしている。
以下、先ず上記先読み演出を実行するための前提となる構成について図30〜図33のフローチャートを参照して説明する。
<保留情報の確認処理>
主制御装置162のMPU402にて実行されるタイマ割込み処理においては、図13に示した各種処理を実行した後に保留情報の確認処理が実行される。図30のフローチャートに示すように、保留情報の確認処理においては、先ずステップS1601にて、保留球格納エリア432の各保留エリアRa,Rbに記憶された始動保留記憶数RaN,RbNと、同保留球格納エリア432の総保留数記憶領域に記憶された共通保留数CRNとを読み出し、かかる保留個数の情報をMPU402のレジスタに記憶する。その後、ステップS1602〜S1606にて今回の入賞によって取得された保留情報に大当たり当選の情報が含まれているか否かを確認する。
具体的には、先ずステップS1602にて、上作動口83a又は下作動口83bへの今回の入賞に基づきステップS304(図15参照)にて取得した保留情報のうち大当たり判定用の情報、すなわち取得済みの大当たり乱数カウンタC1の値を把握する。
続くステップS1603では、低確率モードであるか否かを判定する。具体的には、RAM404の各種フラグ格納エリア435に高確率モードフラグが格納されているか否かを判定することで、現状の当否抽選モードが低確率モードであるか否かを判定する。低確率モードである場合にはステップS1604に進み、低確率モード用の当否テーブルを参照してステップS1602にて把握した大当たり判定用の情報(大当たり乱数カウンタC1の値)が大当たり当選に対応する情報群に含まれているかを特定する。また、高確率モードである場合にはステップS1605に進み、上述した高確率モード用の当否テーブルを参照して、ステップS302(図15参照)にて把握した大当たり判定用の情報(大当たり乱数カウンタC1の値)が大当たり当選として設定された情報に含まれているかを特定する。
ステップS1604又はステップS1605の後はステップS1606に進み、ステップS1602にて把握した大当たり判定用の情報(大当たり乱数カウンタC1の値)が大当たり当選に対応しているか否かを判定する。大当たり当選に対応している場合には、ステップS1607にてMPU402のレジスタに大当たり情報を記憶し、そのまま本保留情報の確認処理を終了する。
一方、ステップS1606にて否定判定をした場合には、ステップS1608に進む。ステップS1608では、上作動口83a又は下作動口83bへの今回の入賞に基づきステップS304(図15参照)にて取得した保留情報のうち外れリーチ判定用の情報、すなわち取得済みのリーチ乱数カウンタC3の値を把握する。
続くステップS1609では、ROM403のリーチ判定用テーブル記憶エリア(リーチ判定用情報群記憶手段)426に記憶されているリーチ判定用テーブル(リーチ判定用情報群)を参照して、ステップS1608にて把握したリーチ判定用の情報(リーチ乱数カウンタC3の値)がリーチ当選として設定された情報に含まれているかを特定する。
ステップS1609の処理を実行した後はステップS1610に進み、ステップS1608にて把握したリーチ判定用の情報(リーチ乱数カウンタC3の値)がリーチ発生に対応しているか否かを判定する。リーチ発生に対応している場合には、ステップS1611にて、MPU402のレジスタにリーチ発生情報を記憶した後に、本確認処理を終了する。一方、リーチ発生に対応していない場合には、そのまま本確認処理を終了する。
<保留コマンドの設定処理>
主制御装置162のMPU402にて実行されるタイマ割込み処理においては、上記保留情報の確認処理を実行した後に保留コマンドの設定処理が実行される。以下、図31のフローチャートを参照して保留コマンドの設定処理について説明する。
保留コマンドの設定処理においては先ず、ステップS1701にて、MPU402のレジスタに大当たり情報が記憶されているか否かを判定することで、直前の保留情報の確認処理(図30)において大当たり判定用の情報が大当たり当選に対応していると特定されたか否かを判定する。大当たり情報が記憶されている場合にはステップS1702に進み、大当たり対応保留コマンドを設定する。なお、上記コマンドの設定や後述する各種コマンドの設定は、RAM404に設けられたコマンド設定エリアに対してコマンド情報を格納することにより行われる。
一方、ステップS1701にて否定判定をした場合、すなわちMPU402のレジスタに大当たり情報が記憶されていないと判定した場合には、ステップS1703に進み、MPU402のレジスタにリーチ発生情報が記憶されているか否かを判定することで、直前の保留情報の確認処理(図30)においてリーチ判定用の情報がリーチ発生に対応していると特定されたか否かを判定する。リーチ発生情報が記憶されている場合には、ステップS1704にて外れリーチ対応保留コマンドを設定し、リーチ発生情報が記憶されていない場合には、ステップS1705にて完全外れ対応保留コマンドを設定する。
ステップS1702,S1704,S1705にて保留コマンドの設定を行う場合には、記憶されている大当たり種別カウンタC2の値や変動種別カウンタCSの値等を参照して変動表示時間を決定し、同変動表示時間にかかる情報を当該保留コマンドに格納する。変動表示時間の決定に際しては、上記ステップS505(図17参照)に示した変動表示時間の設定処理と同じように、変動表示時間テーブルが参照される。このようにして設定された保留コマンドが表示制御装置150に送信され、同表示制御装置150においては同保留コマンドに基づいて図柄の変動表示態様等を把握可能となる。
ステップS1702、ステップS1704、ステップS1705のいずれかのコマンド設定処理を実行した後は、ステップS1706にて、保留個数の情報を上記保留コマンドに対して設定する処理を実行する。かかる処理として具体的には、上記設定された保留コマンドの情報は、複数バイトの情報として構成されており、そのうちの一部のビットに対して、自身が保留コマンドである旨の情報や保留コマンドの種別の情報が含まれているとともに、保留個数の情報が設定可能となっている。この場合に、ステップS1706では、先ず直前の保留情報の確認処理(図30)におけるステップS1601にてMPU402のレジスタに記憶された保留個数の情報を読み出し、その後に、既に設定されている保留コマンドにおける保留個数の情報用のビットに対して上記読み出した保留個数の情報を論理和などの演算処理によって格納する。これにより、ステップS1702、ステップS1704、ステップS1705のいずれかの処理にて設定された保留コマンドに対して、かかる保留コマンドに対応した保留情報が何個目のものであるかを特定するための情報が含まれることとなる。以上詳述したステップS1706の処理を実行した後に、本保留コマンド設定処理を終了する。
なお、ステップS1706にて保留個数の情報が含められた保留コマンドは、次回の通常処理(図16)におけるステップS401の外部出力処理により、報知・演出制御装置143に送信される。報知・演出制御装置143では、かかる保留コマンドを受信することにより、保留情報が増加したことを特定する。また、報知・演出制御装置143では、保留コマンドをその形態を維持したまま表示制御装置150に送信する。表示制御装置150では、その受信した保留コマンドに基づいて画像データ準備用の処理等を実行する。当該準備用の処理については後に詳細に説明する。
また、保留コマンドの設定の仕方は、表示制御装置150において保留コマンドによって、大当たり当選の有無、大当たり当選の場合にはその際の大当たり種別、大当たり当選でない場合にはリーチ発生の有無等、言い換えれば図柄の変動表示態様を特定することができるのであれば任意である。例えば、大当たり対応保留コマンド,外れリーチ対応保留コマンド,完全外れ対応保留コマンドの組み合わせが、各保留個数に対応させて個別に設定されており、保留コマンドの設定処理では、保留情報の確認処理(図30)における確認結果に応じて一の保留コマンドを選択する構成とすることも可能である。
次に、図32のフローチャートを参照して、主制御装置162から報知・演出制御装置143→表示制御装置150へコマンドが送信された場合に同表示制御装置150にて実行されるコマンド対応処理のうち保留コマンドに対応するもの(以下、保留コマンド対応処理と称する)について説明する。なお、保留コマンド対応処理は、所定の周期(例えば、2msec周期)で繰り返し起動される。
<保留コマンド対応処理>
図32のフローチャートに示すように、保留コマンド対応処理においては先ず、ステップS1801にて大当たり対応コマンドを受信しているか否かを判定する。ここで、表示制御装置150のMPU502ではコマンドの受信を報知・演出制御装置143から行うが、この受信したコマンドはワークRAM504のコマンド格納エリアに一旦格納される。当該コマンド格納エリアは、複数のコマンドを個別に記憶可能であって先に記憶したコマンドから読み出し可能なリングバッファとして構成されており、複数のコマンドを同時期に受信した場合であってもそれら各コマンドに対応した処理を良好に実行できるようになっている。ステップS1801の判定に際しては、コマンド格納エリアにおける今回の読み出し対象のエリアに大当たり対応保留コマンドを受信しているか否かを判定する。なお、かかるコマンドの読み出しの構成は、以下のコマンドの読み出しにおいても同様である。
大当たり対応保留コマンドを受信している場合には、ステップS1802にて、今回受信したコマンドに含まれる保留個数の情報を特定し、その特定した保留個数の情報をワークRAM504の各種カウンタエリアに格納された消去用カウンタに設定する。当該消去用カウンタに設定された保留個数の情報は、後述するように、新たに遊技回が開始されるたびに1ディクリメントされるように更新される。
ステップS1802にて消去用カウンタの設定を行った後は、ステップS1803に進み、大当たり対応設定処理を実行する。大当たり対応設定処理では、新たに受信した保留情報が大当たりに対応するものであることを示す大当たり対応フラグをワークRAM504の各種フラグ格納エリアに格納する。
ステップS1801の説明に戻り、当該ステップS1801にて否定判定をした場合には、ステップS1805に進む。ステップS1805の判定に際しては、コマンド格納エリアにおける今回の読み出し対象のエリアに外れリーチ対応保留コマンドを受信しているか否かを判定する。
ステップS1805にて否定判定をした場合にはステップS1806に進み、はずれリーチ対応設定処理を実行する。外れリーチ対応設定処理では、新たに受信した保留情報が外れリーチに対応するものであることを示す外れリーチ対応フラグをワークRAM504の各種フラグ格納エリアに格納する。
ステップS1803,S1806の処理を実行した後、又はステップS1805にて否定判定をした場合には、ステップS1804に進み、ワークRAM504の保留情報格納エリア(詳しくは第1エリア〜第8エリアにおいて保留情報が格納されていないエリアのうち最も若いエリア)に、上記大当たり対応フラグ・外れリーチ対応フラグの有無に基づき、大当たりに対応する保留情報、外れリーチに対応する保留情報、外れに対応する保留情報をセットし、本保留コマンド対応処理を終了する。
ここで、保留情報格納エリアにかかる構成について補足説明する。保留情報格納エリアは、上述の如く第1エリア〜第8エリアを有しており、各エリアにつき1の保留情報を格納可能な構成となっている。各エリアに格納された保留情報は、主制御装置162からシフト時コマンドを受信することにより、すなわち遊技回が開始された場合に、下位エリア側に順にシフトされることとなる。具体的には、第1エリアのデータをクリアするとともに、第2エリア→第1エリア、第3エリア→第2エリア、第4エリア→第3エリア ・・・ 第8エリア→第7エリアといった具合に各エリア内のデータがシフトされる。なお、主制御装置162の保留球格納エリア432においては、上作動口用保留エリアRaと下作動口用保留エリアRbとが区別して設けられていたが、表示制御装置150の保留情報格納エリアにおいては入球先に関係なく保留情報が時系列的にまとめて記憶される構成となっている。
次に図33(a)のフローチャートを参照して表示制御装置150のMPU502にて実行される保留数表示処理について説明する。なお、保留コマンド対応処理は、所定の周期(例えば、2msec周期)で繰り返し起動される。
保留数表示処理においては先ず、ステップS1901にてシフト時コマンドを受信したか否かを判定する。ステップS1901にて肯定判定をした場合には、ステップS1902に進み保留表示シフト処理を実行して本保留数表示処理を終了する。保留表示シフト処理においては、今回の保留情報が上作動口83a及び下作動口83bの何れに対応しているかを判定し、保留数表示エリアRa,Rbの表示を更新する。具体的には、図33(b)群に示すように、保留数が保留数表示領域Ra,Rbに表示されている模様(詳しくは丸)の数に対応しており、シフト時コマンドを受信することで、この模様の数を変更(減少)させる。
ステップS1901の説明に戻り、当該ステップS1901にて否定判定をした場合には、ステップS1903に進む。ステップS1903では保留コマンドを受信したか否かを判定する。ステップS1903にて否定判定をした場合には、そのまま本保留数表示処理を終了する。一方、ステップS1903にて肯定判定をした場合には、ステップS1904に進む。
ステップS1904では表示態様の決定処理を実行する。具体的には、保留コマンド対応処理にて設定された保留情報に基づいて上記模様の決定を行う。本実施の形態においては、当該模様が大別して2種類設定されている。具体的には白丸と黒丸とが設定されている。後者は前者よりの大当たりの当選期待度が高い場合に選択されやすくなっている。ここで、表示制御装置150のプログラムROM503には保留表示の模様を決定する3つのテーブルが記憶されている。詳しくは大当たり対応の保留情報の場合に参照されるテーブルと、外れリーチ対応の保留情報の場合に参照されるテーブルと、外れ対応の保留情報の場合に参照されるテーブルである。ステップS1904の処理においては、保留コマンド対応処理のステップS1803,S1806にて格納されたフラグ有無に応じて参照するテーブルを決定する。
ステップS1904にて表示態様を決定した後は、ステップS1905にて保留数表示追加処理を実行して本保留数表示処理を終了する。ここで、図33(b)群を参照して、ステップS1905の処理に基づく保留数表示の変化について説明する。
保留コマンドを受信した場合には、保留数が増えるようにして保留数表示領域Da,Dbの表示を変更する。図33(b)に示す例では、下作動口83bへの入球が発生して保留コマンドが送信されており、この保留コマンドは外れリーチに対応するものである。この場合、外れリーチ対応のテーブルを参照して抽選により追加する保留表示の模様を決定する。ここでは、相対的に期待度が高く設定された黒丸が選択されたため、図33(b1)→図33(b2)に示すように、下作動口用の保留数表示領域Daに黒丸が追加されることとなる。
これにより、3つ後の遊技回にて大当たりに当選する期待度が高い旨が示されることとなる。このように、保留数表示の態様を工夫することで、遊技者に現在進行中の遊技回だけでなく将来実行される遊技回への注目を促すことが可能となる。
但し、このような機能を追加して更なる注目度の向上を図った場合であっても、遊技者の注目は専ら現在進行中の遊技回、すなわち変動表示領域MEの表示内容に向きやすいと想定される。遊技者の注目が変動表示領域MEに集中している状況下においては上述した保留数表示に変化を与えてもそれに気付かない可能性がある。また、遊技機の仕様等を熟知していない遊技初心者の場合には、保留数表示の変化があったとしてもその意味を理解できない可能性もある。そこで、本実施の形態においては、上記監視手段を利用してこのような実情への対応がなされている。具体的には、監視カメラ701による監視範囲を変動表示領域MEだけでなく表示画面94aの全域に変更し、更には前扉枠14に遊技領域PEにおける作動口83周辺を監視する監視カメラが追加されている。このように、監視範囲を拡張するのに併せて上記保留数表示にかかる解説を実行する構成となっている。
以下、図34(a)のフローチャートを参照して監視制御装置180にて実行される保留表示にかかるリアルタイム解説用処理について説明する。
当該リアルタイム解説用処理では、先ずステップS2001にて遊技回中であるか否かを判定する。ステップS2001にて否定判定をした場合にはそのまま本解説用処理を終了する。一方、ステップS2001にて肯定判定をした場合には、上記追加した監視カメラからの情報に基づいて入球部を構成する作動口83周辺の画像解析処理を実行する。
ステップS2002にて画像解析処理を実行した後は、ステップS2003に進みその画像解析処理の結果に基づいて入球が発生したか否かを判定する。ステップS2003にて否定判定をした場合にはそのまま本解説用処理を終了する。
ステップS2003にて肯定判定をした場合には、ステップS2004にて監視カメラ701による監視範囲の変更を行う。具体的には、表示画面94a全体から保留数表示領域Da,Dbへと変更する。これにより、現在進行中の表示演出についての解説に優先して以下に示す入賞発生に関する解説が優先的に実行される状態となる。
ステップS2004の変更処理を実行した後は、ステップS2005に進み保留数の表示態様に違いがあるか否かを判定する。具体的には、模様が黒丸の保留表示がなされているか否かを判定する。ステップS2005にて肯定判定をした場合にはステップS2006に進み、保留表示の変化に対応した解説コマンドを報知・演出制御装置143→表示制御装置150に送信する。
表示制御装置150では、当該コマンドを受信したことに基づいて変動表示領域MEと保留数表示領域Da,Dbとの間に設けられたキャプション表示領域CEに大当たりに当選している可能性の高い入賞が発生した旨を示すメッセージ(「入球発生 矢印の遊技回に注目!」)とその保留球を示す矢印とを表示する(図34(b)参照)。
一方、ステップS2005にて否定判定をした場合、すなわち上述した期待度の高い保留表示がなされていないと判定した場合には、ステップS2007に進む。ステップS2007では、監視カメラ701による監視範囲を表示画面94a全体に復帰させる処理を実行する。これにより、再び現在進行中の表示演出についての解説が優先される状態となる。
既に説明したように、表示画面94aにて表示演出を実行している最中、特にリーチ表示となっている場合には、遊技者の注意が変動表示領域MEに向きやすく、このようなタイミングにて保留表示が大当たり期待度の高いものに変更されたとしても遊技者がこれを見落とす可能性が高い。その保留表示が続くことで何れは遊技者が気付くとしても、インパクトにかけるものとなってしまう。一方、図柄変動表示が停止している状況(遊技回中でない場合)、例えば保留数が「0」である場合等には、遊技者の注目は作動口83や保留数表示領域Da,Dbに向きやすくこのような状況で保留表示が大当たり期待度の高いものに変更された場合、これが見逃される機会はそれほど多くはならないと想定される。
本実施の形態においては、このような事情を考慮して、遊技回中すなわち遊技者の注意が変動表示領域MEに向きやすい状況下にて保留表示が期待度の高いものとなった場合には、その旨を遊技者に伝えるメッセージを表示する構成としている。これにより、遊技者が保留表示を変化させるという演出を見逃す機会を減らすことができる。特に、その表示(キャプション)については、変動表示領域MEと保留数表示領域Da,Dbとの間に設けられたキャプション表示領域CEに表示することで、キャプションと保留表示の変化との関連性が分かりづらくなることを抑制できる。
監視カメラ701による監視範囲が表示画面94aの全体に及ぶように拡張している場合には、監視制御装置180における画像処理の負荷が大きくなる。そこで、保留表示に係るメッセージ表示の可否を判定する際には、遊技回中の入球を契機として監視範囲を保留数表示領域Da,Dbに絞っておくことにより、上述した画像処理の負荷を軽減できる。なお、このような監視範囲の切り替えが行われる前については、監視カメラ701による監視範囲を変動表示領域MEとしておけばよく、変動表示領域MEと保留数表示領域Da,Dbとの両者を同時に監視対象とする必要は必ずしもない。
<第4の実施の形態>
第1の実施の形態に示すように、表示画面94aにて実行される表示演出が途中で多岐に分岐する分岐タイプの演出(以下、単に分岐演出ともいう)である場合には、演出の多様化を好適に実現できる。しかしながらその反面、分岐演出全体を把握していないと、どのような場合に大当たり期待度が高くなるのかが分かりづらくなり、遊技者を困惑させてしまう可能性がある。そこで、第1の実施の形態等においては演出の分岐ポイントに対応させて解説を行うことにより(各種メッセージをキャプション表示することにより)、上記不都合の発生を抑える構成としたが、本実施の形態においては、この解説の態様が第1の実施の形態とは大きく異なっている。
そこで以下、図35を参照して本実施の形態にて表示演出のリアルタイム解説を実行するための構成について説明する。図35(a)は表示画面94aの概略図、図35(b)は表示画面94aの部分拡大図である。
上記各実施の形態においては、変動表示領域MEと保留数表示領域Da,Dbとの間を解説用の領域(キャプション用の表示領域)としたが、本実施の形態においては、これに変えて、変動表示領域MEの隅部に一部が重なるようにしてマップ表示領域NEが設けられている(図35(a)参照)。
マップ表示領域NEは、分岐演出の全体の流れ(分岐ルート)をマップ化して示すための領域あり、表示制御装置150のVDP505ではマップ表示用のレイヤが別途用意されている。マップ表示領域NEに表示されるマップは半透明で表示され、図柄や背景等の視認性が担保されている。
図35(b)には表示されるマップが例示されている。マップの概要については、第1の実施の形態にて図24(b)を用いて示した演出分岐パターンの概略図と同様となっている。具体的には、「スタート」等の状態を示す複数のタグと、それら各タグを繋ぐルートを示す点線とによって構成されている。なお、図35(b)に示すようにマップ表示領域NEの下部には、右方向(分岐の枝葉が展開する方向)に延びる矢印が表示されており、一連の演出にて分岐が多く発生することにより大当たりの期待度が高くなることを示唆している。
このマップについては、表示制御装置150によって表示制御されている。そこで以下図36(a)のフローチャートを参照して、表示制御装置150にて実行されるマップ表示用処理について説明する。なお、詳細な説明は省略するが、本実施の形態においても上記第1の実施の形態と同様にリアルタイム解説モードのON/OFFを遊技者が任意に選択できる構成となっている。当該マップ表示用処理については、報知・演出制御装置143からリアル解説モードのON/OFFにかかるコマンドを受信した場合に起動される処理である。
マップ表示用処理においては先ず、ステップS2101にてリアルタイム解説モードがONであるか否かを判定する。具体的には上述した受信コマンドがリアルタイム解説モードをONにするためのコマンドであるか否かを判定する。
ステップS2101にて否定判定をした場合には、詳細は説明するがマップ表示を無効化して本マップ表示用処理が終了される。一方、ステップS2101にて肯定判定をした場合にはステップS2102に進む。ステップS2102ではマップ表示用のレイヤを有効化する処理を実行する。
ステップS2102の処理を実行した後はステップS2103に進み、規制機表示機能有効化処理を実行する。本実施の形態に示すマップにおいては、演出がどのように進行してきたか、又は現状がマップ全体のどの位置にあたるかが併せて表示される構成となっている。ステップS2102,S2103の各処理を実行することにより、以降VDP505にて描画処理が実行される際には、マップ及び軌跡の表示が加味されることとなる。
ここで、図36(b)のフローチャートを参照して、VDP505にて実行される描画処理について説明する。
描画処理においては先ずステップS2201にて、既に受信している描画リストにて指示された描画データの作成が完了しているか否かを判定する。描画データの作成が完了している場合には、ステップS2202にて、MPU502から新たな描画リストを受信しているか否かを判定する。新たな描画リストを受信している場合には、ステップS2203にて受信時の対応処理を実行する。
受信時の対応処理では、描画リストに含まれるターゲットバッファの情報から、今回受信した描画リストに対応した1フレーム分の画像をいずれのフレーム領域に作成するかを把握して、その把握したフレーム領域を描画データの作成対象として設定する。
続くステップS2204では、内容把握処理を実行する。内容把握処理では、描画リストにおいて描画対象として最初に設定されている画像データの種類を把握するとともに、当該画像データの各種パラメータを把握する。この際、上記マップ表示が有効化されている場合には、マップROMから読み出すマップを把握するともに、演出の進行状況をプログラムROM503に記憶されたタイムテーブルかの情報に基づいて軌跡表示を行う箇所を把握する。また、例えばスプライトデータの場合には、ビットマップ画像の各ドットに対して色パレットデータを適用する。
続くステップS2205では、書き込み処理を実行する。書き込み処理では、ステップS2204における内容把握処理の把握結果に基づいて、作成対象として設定されているフレーム領域に今回の描画対象の画像データを書き込む。
一方、ステップS2201にて、既に受信している描画リストにて指示された描画データの作成途中であると判定した場合には、ステップS2206にて描画リストのカウンタの更新処理を実行する。これにより、描画対象が次の描画順序の画像データに切り換えられる。そして、当該切り換えられた画像データについて、上記ステップS2204及びステップS2205の処理を実行する。つまり、描画処理が複数回実行されることで、一の描画リストにより指示された1フレーム分の画像の描画データが作成される。
なお、1回の描画処理で1個の画像データのみが処理される構成に限定されることはなく、1回の描画処理で複数個の画像データが処理される構成としてもよく、また描画処理の各処理回において同一個数の画像データが処理される構成に限定されることはなく、描画処理の各処理回において異なる個数の画像データが処理される構成としてもよい。
ステップS2202にて否定判定した場合、又はステップS2205の処理を実行した後は、ステップS2207にて、表示回路584において1フレーム分の画像信号出力が完了しているか否かを判定する。完了していない場合にはそのまま本描画処理を終了し、完了している場合にはステップS2208にて表示CPU520,530にV割込み信号を出力した後に、本描画処理を終了する。
上記1フレーム分の描画データの作成は20msec周期の範囲内で完了するように行われる。また、作成された描画データに基づいて表示回路584から図柄表示装置94に画像信号が出力されるが、既に説明したとおりダブルバッファ方式が採用されているため、当該画像信号の出力は当該出力に係るフレームに対して1フレーム分後の描画データの作成と並行して行われる。なお、表示回路584は1フレーム分の画像信号の出力が完了する毎に参照対象とするフレーム領域を交互に切り換えるセレクタ回路を有しており、当該セレクタ回路による切換によって、制御部581において描画データの描画対象となっているフレーム領域が画像信号を出力するための出力対象とならないように規制されている。
以上の描画処理の結果として表示画面94aのマップ表示領域NEに表示されるマップ及び軌跡表示の変化を、図37の概略図を参照してスーパーリーチが選択された場合について例示する。リアルタイム解説モードがONとなっており、最も大当たり期待度の高い分岐演出としてスーパーリーチが選択された場合には、図37(a1)→図37(a2)→図37(a3)→図37(a4)→図37(a5)→図37(a6)の順にマップ表示が変化することとなる。
遊技回が開始される前のタイミングではマップ全体が青色で表示されている。ここで、各図柄列のスクロール表示(変動表示)が開始されると、図37(a1)に示すように「スタート」タグが青色から赤色に変化するとともにルート表示をしている点線が1つ目の分岐位置まで赤色に変更される。
次に、表示演出が進みリーチ表示に移行すると、図38(a2)に示すように「リーチ」タグが赤色に変化し、当該「リーチ」タグから下方に延びる点線が直下の分岐位置まで赤色に変更される。これにより、遊技者はこの先、そのまま変動表示が終了するか、それともスクロール表示が継続されるかの分岐に差し掛かっていることを把握することができる。また、上記表示態様の変化に合わせて、マップ表示領域NEの下部に設けられた矢印の基端部を含む一部が赤色に変化する。
リーチ表示に移行してから中図柄列が1周すると、図37(a3)に示すように「1周目」タグが赤色に変更され、当該「1周目」タグから下方に延びる点線が直下の分岐位置まで赤色に変更される。これに併せて、下部矢印の赤色部分が拡大することとなる。これにより、遊技者は大当たり期待度が上昇していることを把握することができ、この後の展開としては、そのまま変動表示が終了する場合と、スーパーリーチに発展する場合と、中図柄のスクロール表示が継続される場合との何れかに分岐することを把握でき、更には下部矢印の先端寄りに位置するスクロール表示の継続が最も大当たり期待度が高くなるルートであることを把握できる。
中図柄列のスクロール表示が継続され2周目を経過すると、図37(a4)に示すように、「2周目」タグが赤色に変更さ、当該「2周目」タグから下方に延びる点線が直下の分岐位置まで赤色に変更される。これに併せて、下部矢印の赤色部分が拡大することとなる。これにより、遊技者は大当たり期待度が更に上昇していることを把握することができ、この後の展開としては、そのまま変動表示が終了する場合と、スーパーリーチに発展する場合との何れかに分岐することを把握でき、更には下部矢印の先端寄りに位置するスーパーリーチへの発展が最も大当たり期待度が高くなるルートであることを把握できる。
その後、スーパーリーチに発展するタイミングでは、図37(a5)に示すように、「発展」タグが赤色に変更され、これに併せて下部矢印の赤色部分が拡大することとなる。これにより、遊技者は大当たり期待度が更に上昇していることを把握することができる。
スーパーリーチへ発展した後、中図柄列のスクロール表示が停止した場合には、「終了」タグが赤色に変更され、大当たりに対応する図柄組み合わせが有効ライン上に停止した場合には、下部の矢印全体が赤色に変更されることとなる。
以上詳述した、一連のマップ及び軌跡表示については、次の遊技回が開始されるタイミングにて元の表示状態に復帰される。つまり、全てが青色表示に変更されることとなる。
このように、分岐演出の全体像をマップ化して表示する構成とすることで遊技者に表示演出がどのように進行するかを教示することができる。かかる構成によれば、分岐演出によって演出の多様化を図った場合に遊技者が困惑することを好適に抑制できる。
また、表示演出の進行に応じて軌跡表示がなされることで、表示演出がどのフェーズにあるかまたその後の分岐パターンにはどのようなものがあるかを即座に把握することができ、表示演出の多様化に起因して発生し得る上記各種不都合を好適に解消できる。
<第5の実施の形態>
上記第4の実施の形態においては、全ての分岐ルートをマップ化して表示し、マップ全体を表示させたまま軌跡表示を行う構成とした。仮に分岐パターンが多くなったり、マップを大きく表示させたりしようとすれば、変動表示領域MEとマップ表示領域NEとの重なりが大きくなり、図柄の変動表示自体が見づらくなる可能性がある。そこで、このような事情を配慮した場合には、マップ表示を全体表示と部分表示とで切り替える構成とすることも可能である。具体的には、表示制御装置150のMPU502には表示演出がどのようにして進行するかが予め記憶されている。本実施の形態においてはこの情報に基づき表示演出の進行に合わせてマップ全体の一部、詳しくはその時点での到達箇所とその後に選択され得る直下の分岐ルートとを含む部分を表示させる構成とすることも可能である。
以下、本実施の形態におけるマップ表示の態様を図38を参照して説明する。
遊技回の間のインターバル期間においては、図38(a1)に示すように、マップ表示領域NEにマップが全体表示されている。ここで、遊技回が開始され図柄のスクロール表示が開始されリーチ表示に移行すると、図38(a2)に示すように「リーチ」タグとその分岐先としての「終了」タグ及び「1周目」タグと、それらを結ぶ経路(破線)が拡大表示される。この時点では「リーチ」タグが赤く変化し、分岐箇所までの破線が赤色に変更される点では上記第4の実施の形態と同様であるが、本実施の形態においては分岐箇所が大きく表示されているため、この箇所については点滅表示させることにより、現在位置をより明確に遊技者に教示することが可能となっている。
また、リーチ表示となった後に中図柄列のスクロール表示が1周した場合には、図38(a3)に示すようにマップ全体における拡大表示部分が変化する。具体的には、「1周目」タグとその分岐先としての「終了」タグ、「発展」タグ、「2周目」タグと、それらを結ぶ経路(破線)が拡大表示される。この時点では「1周目」タグが赤く変化し、分岐箇所までの破線が赤色に変更され、更に上記図38(a2)と同様に分岐箇所が点滅表示する。
このように、表示演出の進行状況に応じてマップの部分拡大表示を行う構成とすれば、マップ表示領域NEを無駄に大きくすることなく効率よく解説機能を発揮させることができる。
<第6の実施の形態>
第1の実施の形態等に示したように、表示演出実行時にリアルタイムで進行状況等を解説する機能を付与することにより、例えば遊技機の仕様等を熟知していない遊技初心者であても、多様な演出が設定された遊技機に対して困惑してしまうといった不都合を回避し、演出の多様化によって注目度を向上させる効果を上手く発揮させることができる。
但し、演出実行時の各変動表示態様は、既に説明したように作動口83への入賞時に取得した乱数値と予め記憶されている変動表示態様選択用のテーブルとを参照しての選択される。かかる構成においては、長期的(例えば月単位や年単位)に見れば都度選択された変動表示態様の実績(当否の振分け)が上記テーブルによって規定された設定値に近くなるようにして収束する。しかしながら、一日に実行される遊技回には限度があり、短期的(例えば日単位)で見れば都度選択された変動表示態様の実績(当否の振分け)がばらつくため上記設定値に収束するとは限らない。
このようなばらつきは、遊技者からしてみればその変動表示態様が調子のよいものか悪いものかを判断する材料ともなり得る。つまり、遊技中の台で実行される各種スーパーリーチを比較した場合、スーパーリーチCよりもスーパーリーチAのほうが期待持てるといった逆転現象が発生し得る。遊技機の仕様を熟知した遊技者にとっては各種変動表示態様(スーパーリーチ)の好調・不調を自身の知識や経験に基づいて判断できるが、その日その台における選択の偏りをも踏まえて判断することは困難である。
更には、遊技機の仕様を熟知していない遊技初心者にとっては、その演出の期待度が如何ほどのものであり、その日の遊技機の状態を加味してみた場合にどれほどの期待が持てるかを判断することは極めて困難であると想定される。つまり、多様な演出を実現しても、その演出が期待の持てるものであるか否かがその日の台の調子等に左右される構成においては、実績を踏まえて判断することにより、分かりにくくなることを抑制できる。
このような実情を踏まえて、本実施の形態においては、パチンコ機10の電源投入時からの表示演出の実行回数及びその結果を記憶し、表示演出が実行される際に、それら記憶された情報に基づいて当該表示演出がどの程度期待できるものであるかを表示する工夫がなされている。
ここで、図39及び図40を参照して当該工夫にかかる構成について説明する。表示制御装置150のMPU502においては定期的に実行される通常処理の一環として各演出に応じた当否情報の蓄積処理が実行される。
当該蓄積処理が実行される場合には、図39のフローチャートを示すように、先ずステップS2301にて変動開始コマンドを受信したか否かを判定する。ステップS2301にて否定判定をした場合には、そのまま本蓄積処理を終了する。一方、ステップS2301にて肯定判定をした場合にはステップS2302に進み変動表示態様の把握処理を行う。具体的には、変動開始コマンドは変動表示態様を特定するための情報を含んでおり、この情報に基づいて変動表示態様を特定する。
ステップS2302にて変動表示態様を把握した後は、ステップS2303に進み、今回受信した変動開始コマンドがスーパーリーチAに対応しているか否かを判定する。ステップS2303にて肯定判定をした場合にはステップS2304に進み、ワークRAM504の各種カウンタエリアに設けられたスーパーリーチA実行回数カウンタの更新処理を行う。具体的には当該カウンタを「1」加算する処理を行う。当該カウンタはパチンコ機10の電源遮断時に0クリアされるが、電源がONとなっている期間中はカウント値が記憶保持されることとなる。
ステップS2304にて更新処理を実行した後は、ステップS2305に進み今回受信した変動開始コマンドが大当たりに対応しているか否かを判定する。ステップS2305にて否定判定をした場合には、そのまま本蓄積処理を終了する。ステップS2305にて肯定判定をした場合にはステップS2306に進む。
ステップS2306では、ワークRAM504の各種カウンタエリアに設けられたスーパーリーチA経由当選カウンタの更新処理を行う。具体的には当該カウンタを「1」加算する処理を行う。当該カウンタはパチンコ機10の電源遮断時に0クリアされるが、電源がONとなっている期間中はカウント値が記憶保持されることとなる。
ステップS2302の説明に戻り、当該ステップS2302にて否定判定をした場合にはステップS2307に進む。ステップS2307では、今回受信した変動開始コマンドがスーパーリーチBに対応しているか否かを判定する。ステップS2307にて肯定判定をした場合にはステップS2308に進み、ワークRAM504の各種カウンタエリアに設けられたスーパーリーチB実行回数カウンタの更新処理を行う。具体的には当該カウンタを「1」加算する処理を行う。当該カウンタはパチンコ機10の電源遮断時に0クリアされるが、電源がONとなっている期間中はカウント値が記憶保持されることとなる。
ステップS2308にて更新処理を実行した後は、ステップS2309に進み今回受信した変動開始コマンドが大当たりに対応しているか否かを判定する。ステップS2309にて否定判定をした場合には、そのまま本蓄積処理を終了する。ステップS2309にて肯定判定をした場合にはステップS2310に進む。
ステップS2310では、ワークRAM504の各種カウンタエリアに設けられたスーパーリーチB経由当選カウンタの更新処理を行う。具体的には当該カウンタを「1」加算する処理を行う。当該カウンタはパチンコ機10の電源遮断時に0クリアされるが、電源がONとなっている期間中はカウント値が記憶保持されることとなる。
ステップS2307の説明に戻り、当該ステップS2307にて否定判定をした場合にはステップS2311に進む。ステップS2311では、今回受信した変動開始コマンドがスーパーリーチCに対応しているか否かを判定する。ステップS2311にて肯定判定をした場合にはステップS2312に進み、ワークRAM504の各種カウンタエリアに設けられたスーパーリーチC実行回数カウンタの更新処理を行う。具体的には当該カウンタを「1」加算する処理を行う。当該カウンタはパチンコ機10の電源遮断時に0クリアされるが、電源がONとなっている期間中はカウント値が記憶保持されることとなる。
ステップS2312にて更新処理を実行した後は、ステップS2313に進み今回受信した変動開始コマンドが大当たりに対応しているか否かを判定する。ステップS2313にて否定判定をした場合又は上記ステップS2311にて否定判定をした場合には、そのまま本蓄積処理を終了する。ステップS2311にて肯定判定をした場合にはステップS2314に進む。
ステップS2314では、ワークRAM504の各種カウンタエリアに設けられたスーパーリーチC経由当選カウンタの更新処理を行う。具体的には当該カウンタを「1」加算する処理を行う。当該カウンタはパチンコ機10の電源遮断時に0クリアされるが、電源がONとなっている期間中はカウント値が記憶保持されることとなる。
一般的に、遊技ホールにおいては営業時間の終了後に節電等の目的でパチンコ機10等への電力の供給が停止される。本実施の形態における表示制御装置150には電源遮断時に情報を記憶保持するバックアップ機能が付与されていないため、上述した各種カウンタの値は、日単位で記憶保持されることとなる。図柄表示装置94の表示画面94aには、このようにして日毎に蓄積された情報に基づいて当否履歴が表示される。
具体的には図40(a)のフローチャートに示すように、表示制御装置150のMPU502では定期的に実行される通常処理の一環として当否履歴表示処理が実行される。
当否履歴表示処理においては、先ずステップS2401にてリアルタイム解説モードがONになっているか否かを判定する。ステップS2401にて否定判定をした場合には、そのまま本当否履歴表示処理を終了する。つまり、上記当否履歴の表示は表示演出の解説の一環として行われるものであり、リアルタイム解説モード中であることを条件として実行される。
ステップS2401にて肯定判定をした場合にはステップS2402に進み、スーパーリーチへの移行タイミングであるか否かを判定する。本実施の形態においては上記蓄積処理(図39参照)によってスーパーリーチ実行時の当選履歴が蓄積されており、ノーマルリーチ等には対応していない。故に、例えばスーパーリーチ以外の場合には、ステップS2402にて否定判定し、そのまま当否履歴表示処理を終了する。
ステップS2402にてスーパーリーチへの移行タイミングであると判定した場合にはステップS2403に進む。ステップS2403では上記各種カウンタの値を参照してキャプション表示領域CEにおける表示内容を決定し、その後VDP505に対して当該表示内容でのキャプション表示を実行させるコマンドを送信する。
ここで、キャプション表示領域CEにおける表示内容について図40(b)を参照して例示する。なお、図40(b)群についてはスーパーリーチAが実行される場合の表示例である。
スーパーリーチAへ移行する場合には、それまでに実行されたスーパーリーチAの回数と当該スーパーリーチAを経由して大当たりに当選した回数とが分数表示される。具体的には、図40(b1)に示すように、予め規定された定形分として「本日の当選確率」がキャプション表示され、それに併せて上記分数が表示される。これにより、遊技者は遊技中の台にてスーパーリーチAがどれほど期待できるものであるかを把握することができる。なお、スーパーリーチAが始めて実行される場合、すなわちスーパーリーチA実行回数カウンタの値が0である場合には、その旨を示すメッセージとして「本日初のスーパーリーチAです」がキャプション表示されることとなる。
このように、スーパーリーチへ移行した場合に、その日単位でみた場合にはどれほどの信頼度があるのかを明示することで、実行中のスーパーリーチがどれほど期待できるものであるかを把握することができる。
また、遊技機の仕様等によって決められた各スーパーリーチの大当たり期待度と日毎の期待度との差によって、本来あまり期待できないスーパーリーチに対する期待感を高めたり、逆に本来かなり期待の持てるスーパーリーチに対する期待感を下げたりすることで、キャプション(解説)に対する遊技者の注目度を向上させることが可能とである。
<第7の実施の形態>
第6の実施の形態においては、日毎に蓄積された情報に基づいてその日のスーパーリーチの期待度を明示する構成としたが、期待度の表示態様については上記のものに限定されるものではない。
そもそも、各変動表示態様(スーパーリーチ)の選択についてはテーブルと乱数の値とを照らし合わせることで決定されており、実質的に同テーブルにより当選時や非当選時に選択される可能性(確率)が決まっている。つまり、実際にその変動表示態様が選択された場合の当選期待度についてはそれぞれの変動表示態様に対応して決まっている。
しかしながら、これら各変動表示態様は、既に説明したように取得した乱数の値とテーブルとを参照しての選択されるため、長期スパン(例えば月単位や年単位)では設定値に近くなるように収束するが、日単位では上記設定値に収束するとは限らない。
このようなばらつきは、遊技者からしてみればその変動表示態様が調子のよいものか悪いものかを判断する材料ともなり得る。遊技機の仕様を熟知した遊技者にとっては好調・不調を自身の知識に基づいて判断できるが、その日その台における変動表示態様の選択の偏りをも踏まえて判断することは困難である。
更には、遊技機の仕様を熟知していない遊技初心者にとっては、その演出の期待度が実際には如何ほどに設定されているものであり、その日に限って見た場合には設定値を上回っているのかそれとも下回っているのかを判断することは極めて困難であると想定される。つまり、多様な演出を実現しても、その演出が期待できるものであるか否かがその日の台の調子等に左右される構成においては、実績を踏まえて判断することにより、より精度よく当否の予想をすることができる。
このような実情を考慮して、本実施の形態においては、スーパーリーチが実行される際には表示制御装置150にて設定値と実績値との比較を行った上でスーパーリーチの解説態様を決定するという工夫がなされている。以下、図41を参照して当該工夫について説明する。
本実施の形態における当否履歴表示処理においては、上記工夫を実現すべく上記第6の実施の形態に示した当否履歴表示処理が変更されている。そこで、先ず図41(a)のフローチャートを参照して、本実施の形態における当否履歴表示処理について説明する。
当否履歴表示処理においては、先ずステップS2501にてリアルタイム解説モードがONになっているか否かを判定する。ステップS2501にて否定判定をした場合には、そのまま本当否履歴表示処理を終了する。
ステップS2501にて肯定判定をした場合にはステップS2502に進み、スーパーリーチへの移行タイミングであるか否かを判定する。本実施の形態においては蓄積処理(図39参照)によってスーパーリーチ実行時の当選履歴が蓄積されており、ノーマルリーチ等には対応していない。故に、例えばスーパーリーチ以外の場合には、ステップS2502にて否定判定し、そのまま当否履歴表示処理を終了する。
ステップS2502にて肯定判定をした場合にはステップS2503に進む。ステップS2503では実行されるスーパーリーチについて予め設定されている期待度(設定値)と、上記蓄積処理によって蓄積されたデータに基づく実際の当否状況(実績値)との比較処理を行う。
ステップS2502にて比較処理を実行した後はステップS2504に進む。ステップS2504では実績値が当選率100%であるか否かを判定する。ステップS2504にて肯定判定をした場合にはステップS2505に進み、表示するキャプションにそのスーパーリーチが期待の持てるものであることを示すメッセージとして「絶好調!!」を追加する処理を行う。
一方、ステップS2504にて否定判定をした場合にはステップS2506にて累積記憶された当否状況(実績値)が設定値を上回っているか否かを判定する。ステップS2506にて肯定判定をした場合にはステップS2507に進み、表示するキャプションにそのスーパーリーチが期待の持てるものであることを示すメッセージとして「好調」を追加する処理を行う。ステップS2506にて否定判定をした場合には、ステップS2508に進み、表示するキャプションにそのスーパーリーチが期待の小さいものであることを示すメッセージとして「不調」を追加する処理を行う。
なお、当該当否履歴表示処理においても、上記図40(a)に示した当否履歴表示処理とどうようにステップS2505,S2507,S2508にて決定されたキャプションに基づいてVDPへの描画指示が行われるが、この点については説明を援用する。
ここで、キャプション表示領域CEにおける表示内容について図41(b)群を参照して例示する。なお、図40(b)群についてはスーパーリーチAが実行される場合の表示例である。
スーパーリーチAへ移行する場合には、上記第6の実施の形態と同様にそれまでに実行されたスーパーリーチAの回数と当該スーパーリーチAを経由して大当たりに当選した回数とが分数表示され、これに加えて予め設定されたスーパーリーチAの期待度が分数表示され、更にそれら両情報に基づいて当該スーパーリーチAが好調であるか否かがキャプション表示される。
具体的には、図40(b1)に示すように実績値が設置値を上回っている場合にはその旨を示す定形文として「好調」がキャプション表示され、図40(b2)に示すように実績値が設定値を下回っている場合にはその旨を示す定形文として「不調」がキャプション表示されることとなる。
このような構成とすれば、遊技者は、遊技機の仕様に関する知識レベルに関係なく、実行されているスーパーリーチがどの程度信頼できるかを容易に把握することが可能となる。これにより、解説機能を好適に発揮させることができる。
<その他の実施の形態>
なお、上述した各実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。因みに、以下の別形態の構成を、上記各実施の形態における構成に対して、個別に適用してもよく、相互に組み合わせて適用してもよい。
(1)リアルタイム解説機能をON/OFFで切替可能な構成としたが、当該機能が常に有効化(ON)となる構成とすることも可能である。
(2)上記第2の実施の形態では、監視カメラ701をセンターフレーム95に配置したが、監視カメラ701の配置対象については任意である。例えば、台座部材141や遊技盤80の板体を配置対象としてもよい。
また、監視カメラ701による監視範囲については変動表示領域ME全体に限定されるものではない。少なくとも表示演出の進行状況を把握し得るだけの情報を得られるのであれば、その監視範囲を変動表示領域MEの一部とすることも可能である。これにより、画像解析を行う際の監視制御装置180の処理負荷を軽減できる。
(3)上記第3の実施の形態では、監視範囲を遊技領域PEにまで拡大して作動口83を監視する構成としたが、これを以下のように変更することも可能である。すなわち、作動口83の上方に遊技球が左右に転動可能なステージを有している場合、このステージ上の遊技球を監視対象とすることも可能である。ステージ上に遊技球が到達した場合に、当該ステージ上を転動する遊技球が作動口83付近にて揺動し始めた場合(例えば作動口83への誘導部が形成されている場合にはその誘導部付近にて揺動し始めた場合)、画像解析処理によってその旨を把握し、表示画面94aに入球が発生しそうな旨を示すメッセージ(例えば「ステージに注目」等)をキャプション表示することも可能である。
パチンコ機等の遊技球を使用する遊技機においては、遊技球の動きを見て楽しむことが本来の趣旨である。そこで、上述したように、遊技球の動きを監視対象とすることには技術的意義がある。
(4)上記各実施の形態では、表示画面94aの一部に解説用の表示領域(例えばキャプション表示領域CEやマップ表示領域NE)を設けたが、これに限定されるものではなく、解説表示用の表示部を別途設けることも可能である。但し、遊技者の注目が専ら表示画面94aに向きやすいことを考慮した場合には、解説用の表示部を別途設けた場合、解説が見逃される可能性が高くなると想定される。故に、望ましくは上記各実施の形態に示したように表示画面94aに解説用の表示領域を配設するとよい。
(5)上記第4の実施の形態及び第5の実施の形態では、マップ表示を行う場合に、どのルートにどれくらいの確率で振り分けられるかを示す情報(分岐確率等)を表示する構成とすることも可能である。
(6)上記第4の実施の形態及び第5の実施の形態では、リアルタイム解説モードとなっている場合に、マップを常時表示する構成としてもよい。また、マップ表示開始のタイミングを、遊技回の開始タイミングとしたり、リーチ表示等に移行する移行タイミング(又は分岐タイミング)としたりすることも可能である。
(7)上記各実施の形態では、表示画面94aにキャプションを表示することにより表示演出の解説を行う構成としたが、解説をどのような方法で行うかは任意である。例えば、スピーカ部27から解説用の音声を出力する構成としてもよい。
(8)上記各実施の形態とは異なる他のタイプのパチンコ機等、例えば特別装置の特定領域に遊技球が入ると電動役物が所定回数開放するパチンコ機や、特別装置の特定領域に遊技球が入ると権利が発生して大当たりとなるパチンコ機、他の役物を備えたパチンコ機、アレンジボール機、雀球等の遊技機にも、本発明を適用できる。
また、弾球式でない遊技機、例えば、複数種の図柄が周方向に付された複数のリールを備え、メダルの投入及びスタートレバーの操作によりリールの回転を開始し、ストップスイッチが操作されることでリールが停止した後に、表示窓から視認できる有効ライン上に特定図柄又は特定図柄の組み合わせが成立していた場合にはメダルの払い出し等といった特典を遊技者に付与するスロットマシンにも本発明を適用できる。
更に、外枠に開閉可能に支持された遊技機本体に貯留部及び取込装置を備え、貯留部に貯留されている所定数の遊技球が取込装置により取り込まれた後にスタートレバーが操作されることによりリールの回転を開始する、パチンコ機とスロットマシンとが融合された遊技機にも本発明を適用できる。
<上記実施の形態から抽出される発明群について>
以下、上述した実施の形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
以下の特徴群は、「例えばパチンコ遊技機等の遊技機においては、遊技領域に設けられた入球部への入球を契機として絵柄の変動表示を行う絵柄表示装置を備え、この絵柄表示装置の表示画面にて各種演出を行うことにより、遊技に対する注目度の向上が図られているものがある(例えば特開2002−78904号公報参照)。近年では絵柄表示装置等の高機能化に伴いより多様な演出を行うことが可能となっており、遊技演出が単調になって遊技機への興味が早々に低下することを抑制している。しかしながら、このような演出の多様化を行った場合、遊技機の仕様等を熟知した熟練者等に対して興趣向上効果を上手く発揮させることができる反面、遊技機の仕様等をよくわかっていない遊技初心者にとっては何が起こっているのかを理解するのが一層困難になり得る。これでは、上述した演出の多様化機能を上手く発揮させることが難しくなると懸念される。」という背景・課題等に鑑みてなされたものである。
特徴1.遊技領域に設けられ、遊技球が入球する入球部(作動口83)と、
前記入球部への入球に基づいて、通常よりも遊技者に有利な特別遊技状態へ移行させるか否かの抽選を行う抽選手段(主制御装置162)と、
表示画面(表示画面94a)を有し、前記抽選手段による抽選結果を表示する表示手段(図柄表示装置94)と、
前記表示手段により前記抽選結果を表示する過程にて、予め記憶されている複数の表示演出のうち1の表示演出を行うように同表示手段を制御する表示制御手段(表示制御装置150)と、
前記表示手段にて表示演出が行われている場合に、その表示演出の進行に応じて当該表示演出の解説を行う解説手段(表示制御装置150)と
を備えていることを特徴とする遊技機。
表示演出を経由して抽選結果を遊技者に告知するタイプの遊技機においては、表示演出を複数設定して単調化を抑えることにより、遊技機への興味が早々に低下することを抑制することができる。ただし、表示演出を多様なものとした場合、遊技機の仕様等を熟知した熟練者等に対して興趣向上効果を上手く発揮させることができる反面、遊技機の仕様等をよくわかっていない遊技初心者にとっては何が起こっているのかを理解するのが一層困難になり得る。これでは、上述した演出の多様化機能を上手く発揮させることが難しくなると懸念される。
この点、本特徴に示すように、表示手段にて表示演出が行われている場合にその表示演出の進行に応じて当該表示演出の解説を行う構成とすれば、演出に対する理解を促すことができ、上記不都合の発生を回避することが可能となる。特に、表示演出の実行中にその進行に応じて(例えば連動又は同期させて)解説を行うことで、演出内容と解説内容との結びつきを強くすることができる。これにより、更なる理解の容易化に貢献できる。
特徴2.前記複数の表示演出には演出進行の過程で分岐する複数の表示演出態様を有する分岐演出が含まれており、その分岐演出の進行パターンを記憶する記憶手段(表示制御装置150)を備え、
前記解説手段は、前記表示画面にて前記分岐演出が行われている状況下にて分岐箇所に到達する場合に、分岐演出の進行に応じて当該分岐にかかる演出の解説を行うことを特徴とする特徴1に記載の遊技機。
特徴2によれば、表示演出を分岐させることで演出の多様化を図った場合には、分岐パターンがどのようなものがあるか、またどようにして表示演出が進行することが当選期待度の高いものに対応しているかが分かりにくくなる。そこで、表示演出(分岐演出)が分岐箇所に到達する場合にその分岐にかかる演出の解説を行うことにより、遊技者に当該演出の理解を促すことができる。これにより、演出の多様化による注目度向上効果を上手く発揮させることが可能となる。
特徴3.前記解説手段は、
前記表示画面にて表示演出が行われている場合に、前記分岐する複数の表示演出態様の進行パターンをマップ化して表示するマップ表示手段(表示制御装置150)と、
前記表示画面にて表示演出が行われている場合に当該表示演出が前記マップにおけるどの箇所に対応しているかを表示演出の進行に応じて表示する到達箇所表示手段(表示制御装置150)と
を有していることを特徴とする特徴2に記載の遊技機。
特徴3によれば、演出の分岐パターンの全容をマップによって確認することができる。表示演出が行われる場合には、進行状況に応じてマップ上のどの箇所に到達しているかが表示されるため、遊技者に対して表示演出がどのように進行しているかの理解を促すことができる。
なお、表示演出開始後にたどった経路を表示する構成とし、どのように表示演出が進行してきたかを(全体の流れ)確認できる構成とすることが好ましい。
特徴4.前記マップ表示手段には、前記マップの全体を表示する第1表示モードと、前記マップの一部を拡大して示す第2表示モードとが設定されており、各表示モードを前記分岐演出の進行状況に応じて切り替える切替手段(操作スイッチ40及び制御装置143,150)を有していることを特徴とする特徴3に記載の遊技機。
特徴3に示したようにマップを表示する構成においてはその表示領域の確保が課題となる。特に、表示演出の種類や分岐パターンが多様になればマップ自体が大きくなって、その表示領域の確保が困難になりえる。そこで、本特徴に示すように全体表示用の第1表示モードと部分拡大表示用の第2表示モードとの切り替えを行う構成とすれば、限られた範囲内でマップを表示する場合であっても当該マップが見づらくなる等して、その解説機能が上手く発揮されなくなることを抑制できる。
特徴5.前記表示演出が実行される場合に、その演出の実行回数及び前記抽選手段による抽選に当選したことに基づいて当該演出が実行されていた回数を記憶する記憶手段(表示制御装置150)を備え、
前記解説手段は、前記解説として、前記表示手段にて表示演出が行われている場合に前記記憶手段に記憶されている回数情報に基づいてその表示演出経由した当選期待度の表示を行うことを特徴とする特徴1又は特徴2に記載の遊技機。
特徴5によれば、表示演出の過去の履歴を記憶し、その内容に応じて、実際に進行中の表示演出がどの程度期待できるものであるかを示すことにより、表示演出の多様化によって実行中の演出が実際のどの程度期待できるものであるかを示すことが可能となる。
また、複数種の表示演出が設定されている遊技機においては抽選等に基づいて実行される表示演出の選択が行われること一般的である。この種の遊技機においては、時間(日)毎、機種毎に上記選択に偏りが生じ得るため、所定の表示演出が実行されたとしてもその演出に対応させて設定された期待度通りに特別遊技状態への移行抽選に当選するとは限らない。この点、記憶手段に記憶された過去の情報に基づいて当選期待度の解説を行う構成とすることで、より実情に即した情報が遊技者に供給できる。
以下に、以上の各特徴を適用し得る遊技機の基本構成を示す。
パチンコ遊技機:遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル41)と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段(遊技球発射機構110)と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く球通路(誘導レール100)と、遊技領域内に配置された各遊技部品(釘等)とを備え、それら各遊技部品のうち所定の通過部(一般入賞口81等)を遊技球が通過した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。
スロットマシン等の回胴式遊技機:複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄列を最終停止表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段の操作に起因して又は所定時間経過することにより図柄の変動が停止され、その停止時の最終停止図柄が特定図柄であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態(ボーナスゲーム等)を発生させるようにした遊技機。
球使用ベルト式遊技機:複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄列を最終停止表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段の操作に起因して又は所定時間経過することにより図柄の変動が停止され、その停止時の最終停止図柄が特定図柄であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態(ボーナスゲーム等)を発生させるようにし、さらに、球受皿を設けてその球受皿から遊技球を取り込む投入処理を行う投入装置と、前記球受皿に遊技球の払出を行う払出装置とを備え、投入装置により遊技球が投入されることにより前記始動用操作手段の操作が有効となるように構成した遊技機。