JP2012239446A - 水産動物油含有水素添加油脂の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】水産動物油20〜80質量%と、ヨウ素価が前記水産動物油より低く水産動物油を含まない食用油80〜20質量%との混合油またはエステル交換油を水素添加し、この水素添加によるトランス酸の増加量が18質量%以下であるように水素添加によるヨウ素価の低下量1単位当たりの油脂温度上昇率が0〜0.5に調整して水産動物油含有水素添加油脂を製造する。ヨウ素価が前記水産動物油より低く水産動物油を含まない食用油は、水素添加の速度が遅いので、相対的に水産動物油の水素添加反応が速く起こり、混合油またはエステル交換油は、水産動物油の単独の場合に比べて低温で速やかに水素添加し、その間のトランス酸の増加は抑制されて、トランス酸の増加を抑制しながら充分に水素添加ができる。
【選択図】なし
Description
そのため、マーガリンやショートニングの主たる需要者である製菓製パン業界にも敬遠されないようなトランス酸含有量の少なく、それらに加工したときに物性の良い魚油を含む硬化油脂の製造が求められている。
すなわち、特許文献1では、ニッケル触媒の特定の温度間の活性の差を測定し、低温で活性の強い触媒を採用したものであって、本願の発明のように食用油脂を溶剤として利用するものではないことから、目的を達成するための手段に相違がある。
水産動物油に対し、充分にヨウ素価を下げ、いわゆる深い水素添加を行なう場合には、比較的高温の反応条件(150〜200℃程度)が必要であり、それによってトランス酸が生成されやすくなる。
これにより、魚油などの水産動物油に対してトランス酸の生成を少なくするようにできるだけ低温での水素添加を円滑に進めることが可能になる。
なぜなら、水素添加油の原料中で水産動物油が20質量%未満であれば、硬化された水産動物油の特性を有効に利用できずに好ましくなく、また水産動物油が80質量%を超える多量では、水産動物油以外のヨウ素価がより低い食用油量が相対的に少なくなって、溶剤としての機能を充分に発揮できないので好ましくないからである。
このような効果が奏される油脂組成物として、上述のように水素添加によって得られた油脂を25%以上含む水素添加油脂組成物としても良い。
ヨウ素価の1単位当りの油脂温度上昇率が0.5を超える状態では、魚油やその他の油脂にトランス異性体の過剰な発生が起こってトランス酸増加量を18質量%以下にすることが困難になる。また、油脂温度上昇率が0未満では効率よく水素添加することが困難となり、水素添加によって混合油脂中の魚油などの水産動物油のヨウ素価を概ね80以上低下させることが困難になり、硬化油脂の風味も魚油の生臭みが残り好ましくない。
魚油75質量部と、弊社工場において作製したヤシ極度硬化油25質量部を混合した油に、0.3質量部のナトリウムメトキシドを加え、70℃で30分混合攪拌してランダムエステル交換反応を行ない、反応後水洗して触媒を除去し、脱色してエステル交換油脂(ヨウ素価:118.2、原料のトランス酸量:1.5質量%、多価不飽和脂肪酸量:19.1質量%)を得た。
メンヘーデン油50質量部と、弊社工場において作製したヤシ極度硬化油50質量部を混合した油を用い、実施例1と同様の手順でエステル交換油脂(ヨウ素価:78.4、原料のトランス酸量:1.1質量%、多価不飽和脂肪酸量:7.3質量%)を得た。
これに、ヨウ素価32.3で水素添加反応を停止した以外は、実施例1と同様の方法にて水素添加を行ない、水素添加油脂を得た。この水素添加油脂100質量部を油脂組成物とし、実施例1と同様にして得られた結果を表2に示した。
メンヘーデン油25質量部と、弊社工場において作製したヤシ極度硬化油75質量部を単に混合した油を用い、実施例1と同様の手順でエステル交換油脂(ヨウ素価:40.0、原料のトランス酸量:1.1質量%、多価不飽和脂肪酸量:6.4質量%)を得た。
これに、ヨウ素価16.0で水素添加反応を停止した以外は、実施例1と同様の方法にて水素添加を行ない、水素添加油脂を得た。この水素添加油脂100質量部を油脂組成物とし、実施例1と同様にして得られた結果を表2中に示した。
メンヘーデン油75質量部と、弊社工場において作製したヤシ極度硬化油25質量部を単に混合した油(ヨウ素価:118.2、原料のトランス酸量:1.5質量%、多価不飽和脂肪酸量:19.1質量%)を得た。
これに、ヨウ素価47.7で水素添加反応を停止した以外は、実施例1と同様の方法にて水素添加を行ない、水素添加油脂を得た。この水素添加油脂100質量部を油脂組成物とし、実施例1と同様にして得られた結果を表2中に示した。
メンヘーデン油50質量部と、弊社工場において作製したヤシ極度硬化油50質量部を単に混合した油(ヨウ素価:78.4、原料のトランス酸量:1.1質量%、多価不飽和脂肪酸量:7.3質量%)を用い、ヨウ素価33.5で水素添加反応を停止した以外は、実施例1と同様の方法にて水素添加を行ない、水素添加油脂を得た。この水素添加油脂100質量部を油脂組成物とし、実施例1と同様にして得られた結果を表2中に示した。
メンヘーデン油50質量部と、ラード50質量部を混合した油を用い、実施例1と同様の手順でエステル交換油脂(ヨウ素価:106.9、原料のトランス酸量:1.7質量%、多価不飽和脂肪酸量:16.4質量%)を得た。
メンヘーデン油50質量部と、パーム油50質量部を単に混合した油(ヨウ素価:104.8、原料のトランス酸量:1.3質量%、多価不飽和脂肪酸量:17.81質量%)を用い、ヨウ素価56.4で水素添加反応を停止した以外は、実施例1と同様の方法にて水素添加を行ない、水素添加油脂を得た。この水素添加油脂100質量部を油脂組成物とし、実施例1と同様にして得られた結果を表2中に示した。
サンマ油50質量部と、弊社工場において作製したヤシ極度硬化油50質量部を単に混合した油を用い、実施例1と同様の手順でエステル交換油脂(ヨウ素価:77.5、原料のトランス酸量:1.1質量%、多価不飽和脂肪酸量:30.8質量%)を得た。
これに、ヨウ素価32.0で水素添加反応を停止した以外は、実施例1と同様の方法にて水素添加を行ない、水素添加油脂を得た。この水素添加油脂100質量部を油脂組成物とし、実施例1と同様にして得られた結果を表2中に示した。
メンヘーデン油100質量部を用い、これに対油0.5質量%のニッケル触媒(堺化学工業社製 SO-750)を添加し、水素圧力0.4MPa下で攪拌しながら65〜75℃で水素添加反応を行なったが、反応が進まなかったため、反応開始から二時間後に作成を中止した。回収した油脂の100質量部を油脂組成物とし、ヨウ素価、トランス酸含量、多価不飽和脂肪酸量を表3中に示した。
メンヘーデン油100質量部を用い、対油0.3質量%のニッケル触媒(堺化学工業社製 SO-750)を添加し、水素圧力0.3MPa下で攪拌しながら150〜200℃で水素添加反応を行なった。ヨウ素価65.6で水素添加反応を停止し、触媒を除去後、脱色、脱臭して水素添加油脂を得た。得られた水素添加油脂を実施例1と同様にトランス酸増加量、トランス酸増加率、及び油脂組成物のヨウ素価、トランス酸含量、多価不飽和脂肪酸量、融点を表3中に示した。
比較例2で得られた水素添加油脂(ヨウ素価:65.6、原料のトランス酸量:44.9質量%、多価不飽和脂肪酸量:8.0質量%)50質量部と、弊社工場において常法により作製したヤシ極度硬化油50質量部を混合して得られた油脂のヨウ素価、トランス酸含量、多価不飽和脂肪酸量、融点を表3中に示した。
大豆白絞油を用い、ヨウ素価64.0で水素添加反応を停止した以外は、比較例2と同様の方法にて水素添加を行ない、水素添加油脂を得た。この水素添加油脂のトランス酸増加量、トランス酸増加率、及び油脂組成物のヨウ素価、トランス酸含量、多価不飽和脂肪酸量、融点を表3中に示した。
パーム油50質量部と、ヤシ極度硬化油50質量部を混合した油を用い、実施例1と同様の手順でエステル交換油脂(ヨウ素価:26.2、原料のトランス酸量:0.5質量%、多価不飽和脂肪酸量:12.3質量%)を得た。この油脂組成物のヨウ素価、トランス酸含量、多価不飽和脂肪酸量、融点を表3中に示した。
メンヘーデン油50質量部と、大豆白絞油50質量部を用い、実施例1と同様の手順でエステル交換油脂(ヨウ素価:132.3、原料のトランス酸量:2.0質量%、多価不飽和脂肪酸量:55.5質量%)を得た。
表4に示すように、実施例および比較例などの油脂組成物と、その他の油脂とを合計100質量%となるように配合して油脂配合例1〜6を調製した。
ショートニング100gが乳化し得る水の最大量。
ショートニング300gを、各油脂組成物の上昇融点より10℃低い温度で一晩調温し、ミキサー(ホバートジャパン(株)社製 N50)を用いて、中速回転で撹拌しながら25℃に調温した水を添加していき、最大量を測定した。
試料100g当たりに含気される空気量。
ショートニング300gを、各油脂組成物の上昇融点より10℃低い温度で一晩調温し、ミキサー(ホバートジャパン(株)社製 N50)を用いて中速回転で10分間ホイップし、ヘラを用いて撹拌後のショートニングを計量カップ(100ml)に充填し、重量を測定した。表中のクリーミング価は、以下の計算式により算出したものである。
=撹拌前のショートニングの重量/撹拌後のショートニングの重量×100
作製した各ショートニングについて風味を評価した。また、以下の方法によりクッキーを作成し、焼成後の食感および口溶けを評価した。尚、生地作成にはミキサー(ホバートジャパン(株)社製 N50)を用いた。
5:非常にサクサクしている
4:ややサクサクしている
3:普通
2:やや硬い
1:非常に硬い
5:非常に口溶けがよい
4:やや口溶けがよい
3:普通
2:やや口溶けが悪い
1:非常に口溶けが悪い
Claims (7)
- 水産動物油20〜80質量%と、ヨウ素価が前記水産動物油より低く水産動物油を含まない食用油80〜20質量%との混合油またはエステル交換油を水素添加し、この水素添加によるトランス酸の増加量が18質量%以下であるように前記水素添加によるヨウ素価の低下量1単位当たりの油脂温度上昇率を0〜0.5に調整する水産動物油含有水素添加油脂の製造方法。
- 上記水産動物油が、サンマ油、サバ油、イワシ油、タラ油、ニシン油、アジ油、アンチョビ油、メンヘーデン油、鮭油および鯨油から選ばれる一種以上の水産動物油である請求項1に記載の水産動物油含有水素添加油脂の製造方法。
- 上記ヨウ素価が水産動物油より低く水産動物油を含まない食用油が、脂肪酸組成における高度不飽和脂肪酸20質量%以下の食用油である請求項1または2に記載の水産動物油含有水素添加油脂の製造方法。
- 上記ヨウ素価が水産動物油より低く水産動物油を含まない食用油が、ヤシ油、パーム核油もしくはこれらの硬化油または分別油からなるラウリン系油脂である請求項3に記載の水産動物油含有水素添加油脂の製造方法。
- 上記調整が、水素添加の反応温度60〜75℃での調整である請求項1〜4のいずれかに記載の水産動物油含有水素添加油脂の製造方法。
- 上記水素添加が、ニッケル触媒下において水素圧力0.5MPa以下で攪拌しながらヨウ素価を1単位低下させる際のトランス酸の増加量が0.05〜0.25質量%の水素添加である請求項1〜5のいずれかに記載の水産動物油含有水素添加油脂の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法で得られた水産動物油含有水素添加油脂を25質量%以上含有する水産動物油含有水素添加油脂組成物。
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