(第1実施形態)
以下、本発明に係る温度応動表示装置の第1実施形態として、道路脇等に好適に設置される道路用標識装置の第1実施形態について、図1乃至図14を参照して説明する。
図1乃至図4に示すように、本実施形態における道路用標識装置1は、道路脇の地面等の設置面上に略垂直に立設された支柱2に、公知の取付手段3によって取付けられている。ここで、本実施形態における道路用標識装置1は、その使用環境温度に応じて、路面の凍結への注意を促す凍結注意標識機能、安全を意識した走行への注意を促す走行注意標識機能および熱中症への注意を促す熱中症注意標識機能を選択的に発揮するものである。これらの各標識機能は、それぞれに対応する表示面に形成された情報の選択的な表示によって実現されるようになっているが、その詳細は後述する。
また、図2に示すように、取付手段3は、道路用標識装置1の一構成部としての矩形箱状のハウジング4の背面に、溝付のレール部材5を取り付け、このレール部材5の溝内に、ボルトの頭部をその回動を拘束した状態で挿入し、さらに、当該ボルトに対してΩ状のサドル6の両端を嵌め込んだ上で当該ボルトにナット7を螺合することによって、レール部材5とサドル6との間に支柱2を挟持するように構成されている。なお、取付手段3は、支柱2に直接ボルト・ナットを一体に取付けることによって構成することもできる。
さらに、図6に示すように、ハウジング4は、前後において開口された略四角筒状の胴体部4bと、この胴体部4bの前部開口を遮蔽する透光性の窓部4aと、胴体部4bの後部開口を遮蔽する背板部4cとを有している。ここで、胴体部4bおよび背板部4cは、不透明な合成樹脂材料、金属板または鋳型(例えば、アルミニウム鋳型)等によって形成してもよい。また、窓部4aは、透明アクリル板や透明ガラス板等によって形成してもよい。なお、窓部4aは、ハウジング4における表示面の表示位置に対応する部位である。さらに、窓部4aと胴体部4bとの間および胴体部4bと背板部4cとの間には、必要なシール性を確保するように図示しないシール剤、シール材または接着剤を充填もしくは介在させてもよい。さらにまた、図5および図7に示すように、胴体部4bの後端面には、背板部4cを固着するためのネジ穴17aが形成されている。すなわち、ネジ穴17aには、これに対応する背板部4c上の位置に穿設されたネジ孔17bを介して背板部4cの後方からネジ17cが螺合されており、これによって、背板部4cが胴体部4bに固着されている。
そして、このようなハウジング4の内部には、図1に示すように、4つの回動表示手段10(10A,10B,10C,10D)が、水平方向において互いに隣接するようにしてそれぞれ鉛直軸回りに回動自在に支持されている。
ここで、図3および図4は、本実施形態における具体例を示すものであり、これら図3および図4においては、支柱2に、上側の道路用標識装置1Uと下側の道路用標識装置1Dとの2つの道路用標識装置1(1U,1D)が、鉛直方向において互いに隣接するように取り付けられている。そして、これら2つの道路用標識装置1は、各4つずつの回動表示手段10(10A〜10D)を備えている。なお、回動表示手段10の数は4つに限定されるものではないが、2〜5つ程度にすれば、各回動表示手段10の接触抵抗が比較的小さく、機械的強度も強く構成することができる。
また、図3および図4(b)に示すように、各道路用標識装置1(1U,1D)の各回動表示手段10(10A〜10D)は、それぞれ、第1の表示面としての平面状の走行注意標識面11(11A,11B,11C,11D)を有している。同各図に示すように、上側の道路用標識装置1Uの各走行注意標識面11(11A〜11D)は、使用環境温度(外気温度)が温度上昇によって所定の第1の温度に達した場合に、各面11(11A〜11D)全体で「走」の文字をハウジング4の窓部4aに臨む表示位置において窓部4aを透して外部(前方)から視認可能な状態で表示するようになっている。一方、同各図に示すように、下側の道路用標識装置1Dの各走行注意標識面11(11A〜11D)は、使用環境温度が温度上昇によって第1の温度に達した場合に、各面11(11A〜11D)全体で「行」の文字を表示位置において窓部4aを透して外部から視認可能な状態で表示するようになっている。
さらに、図4(a)に示すように、各道路用標識装置1(1U,1D)の各回動表示手段10(10A〜10D)は、それぞれ、第2の表示面としての平面状の凍結注意標識面12(12A,12B,12C,12D)を有している。同図に示すように、上側の道路用標識装置1Uの各凍結注意標識面12(12A〜12D)は、使用環境温度が温度下降によって第1の温度よりも低温の所定の第2の温度に達した場合に、各面12(12A〜12D)全体で「凍」の文字を表示位置において窓部4aを透して外部から視認可能な状態で表示するようになっている。一方、同図に示すように、下側の道路用標識装置1Dの各凍結注意標識面12(12A〜12D)は、使用環境温度が温度下降によって第2の温度に達した場合に、各面12(12A〜12D)全体で「結」の文字を表示位置において窓部4aを透して外部から視認可能な状態で表示するようになっている。
さらにまた、図4(c)に示すように、各道路用標識装置1(1U,1D)の各回動表示手段10(10A〜10D)は、それぞれ、第3の表示面としての平面状の熱中症注意標識面13(13A,13B,13C,13D)を有している。同図に示すように、上側の道路用標識装置1Uの各熱中症注意標識面13(13A〜13D)は、使用環境温度が温度上昇によって第1の温度よりも高温の所定の第3の温度に達した場合に、各面13(13A〜13D)全体で「熱」の文字を表示位置において窓部4aを透して外部から視認可能な状態で表示するようになっている。一方、同図に示すように、下側の道路用標識装置1Dの各熱中症注意標識面13(13A〜13D)は、使用環境温度が温度上昇によって第3の温度に達した場合に、各面13(13A〜13D)全体で「中」の文字を表示位置において窓部4aを透して外部から視認可能な状態で表示するようになっている。
また、図3および図4に示すように、支柱2における下側の道路用標識装置1Dの下部には、固定表示板100が取り付けられており、この固定表示板100の前面には、固定表示情報として「注意」の文字が描かれている。
したがって、図3および図4の具体例においては、標識(1U,1D,100)全体としては、温度上昇によって第1の温度に達した場合に「走行注意」と表示され、温度下降によって第2の温度に達した場合に「凍結注意」と表示され、温度上昇によって第3の温度に達した場合に「熱中注意」と表示されることになる。
なお、走行注意標識面11(11A〜11D)の表示状態は、温度上昇によって第1の温度に達した後は、後述する第1の形状記憶合金(第1形状記憶引張コイルばね35,36)の温度ヒステリシスによって、第2の温度に達する温度下降が生じない限りは維持されることになる。ただし、更なる温度上昇によって第3の温度に達した場合は除く。また、熱中症注意標識面13(13A,13B,13C,13D)の表示状態は、温度上昇によって第3の温度に達した後は、後述する第2の形状記憶合金(第2形状記憶引張コイルばね135,136)の温度ヒステリシスによって、第3の温度よりも低温かつ第2の温度よりも高温の所定の第4の温度に達する温度下降がない限りは維持されることになる。ただし、第4の温度は、第1の温度よりも高温であってもよい。
また、道路用標識装置1は、走行注意標識面、凍結注意標識面および熱中症注意標識面を、文字を含まずに、黄色、赤色、青色および白色等の互いに異なる色のみで表現してもよい。さらに、図4の例では、複数個の道路用標識装置1(1U,1D)が上下で別個独立の構成となっているが、道路用標識装置1は1個であってもよい。また、道路用標識装置1を縦長または横長として、複数の文字、例えば、「走行」、「凍結」、「熱中」、「走行注意」、「凍結注意」または「熱中注意」を単独の道路用標識装置1によってまとめて表示するように構成することもできる。さらにまた、各種注意標識面11,12,13に文字を描く場合には、各面11,12,13の地の色を、例えば、白色、黄色、赤色または青色のうちの一色(各面11,12,13間で互いに異なる色であってもよい)とし、文字を、他の色、例えば、地に対して補色になる色によって描いてもよい。また、各種注意標識面11,12,13は、それぞれに対応するキャラクタ、色彩または記号等が記されたものであってもよい。
次に、回動表示手段10を含めたハウジング4の内部の構成についてさらに詳述すると、図7に示すように、ハウジング4の内部であってハウジング4の上壁部の近傍位置には、水平板状の支持部材60が、背板部4cに固着されるようにして配設されている。なお、図7に示すように、支持部材60の背板部4cへの固着は、支持部材60の複数のネジ孔60bおよびこれらに対峙する背板部4cの複数のネジ孔9aに、背板部4cの後方側からネジ60aを螺合することによって行われている。
また、図7に示すように、ハウジング4の内部であってハウジング4の底壁部側の位置には、水平板状の第1駆動機構取付部材20が、背板部4cに固着されるようにして配設されている。なお、図7に示すように、第1駆動機構取付部材20の背板部4cへの固着は、第1駆動機構取付部材20の複数のネジ孔20bおよびこれらに対峙する背板部4cの複数のネジ孔9bに、背板部4cの後方側からネジ20aを螺合することによって行われている。
そして、図7に示すように、前述した回動表示手段10(10A〜10D)は、これら支持部材60と第1駆動機構取付部材20との間に回動自在に支持されている。
さらに、図7に示すように、ハウジング4の内部であって第1駆動機構取付部材20に対する下方近傍位置には、水平板状の第2駆動機構取付部材120が、背板部4cに固着されるようにして配設されている。なお、図7に示すように、第2駆動機構取付部材120の背板部4cへの固着は、第2駆動機構取付部材120の複数のネジ孔120bおよびこれらに対峙する背板部4cの複数のネジ孔9cに、背板部4cの後方側からネジ120aを螺合することによって行われている。
さらにまた、図8に示すように、回動表示手段10は、その上端面を構成する平面形状が正三角形状の上端部材15と、その下端面を構成する平面形状が正三角形状の下端部材14とを有している。これら上端部材15および下端部材14は、鉛直方向に間隔を設けて互いに平行に配置されているとともに、一方の部材15(14)の平面形状の外形をなす三辺が、いずれも他方の部材14(15)の平面形状の外形をなす三辺のいずれかと平行な位置関係を有している。
また、図8に示すように、上端部材15の中央には、略円筒形状の上端軸15aが、鉛直上方に向かって立設されており、この上端軸15aは、回動表示手段10の上側の回動軸を構成している。一方、図8に示すように、下端部材14の中央には、上端軸15aと同軸状の下端軸14aが、鉛直下方に向かって垂設されており、この下端軸14aは、回動表示手段10の下側の回動軸を構成している。そして、回動表示手段10は、これら上端軸15aおよび下端軸14aを中心として回動するようになっている。
さらに、図8および図9に示すように、回動表示手段10は、上端部材15の側面の上端から下端部材14の側面の下端にわたるようにして両部材15,14の側面に接合された正三角筒状の板材16を有している。この板材16は、単一の部材であってもよいし、3つの平板が三角筒状に隣接配置されたものであってもよく、要は、回動表示手段10は前記回動軸を中心とした3つの側面を有する三角柱状に形成されている。そして、前記板材16の外面、即ち、外表面には、再帰反射材を混入した合成樹脂シートが接着されており、これにより、再帰反射面からなる回動表示手段10の3つの側面が形成されている。そして、図9に示すように、これら3つの側面の1つが、前述した走行注意標識面11(11A〜11D)とされている。また、当該3つの側面のうちの走行注意標識面11(11A〜11D)以外の2つの側面の1つが、前述した凍結注意標識面12(12A〜12D)とされている。さらに、当該3つの側面のうちの走行注意標識面11(11A〜11D)および凍結注意標識面12(12A〜12D)以外の1つの側面が、前述した熱中症注意標識面13(13A〜13D)とされている。
ここで、回動表示手段10(10A〜10D)は、図9(a)の状態すなわち凍結注意標識面12(12A〜12D)が窓部4aに臨む表示位置(同図における最下端の回転位置)に位置されている状態において、使用環境温度が温度上昇によって第1の温度に達すると、全体が右回りに120°回転することによって、図9(b)に示すように、走行注意標識面11(11A〜11D)を表示位置に位置させるようになっている。
逆に、回動表示手段10(10A〜10D)は、図9(b)の状態において、使用環境温度が温度下降によって第2の温度に達すると、全体が左回りに120°回転することによって、図9(a)の状態に戻るようになっている。
また、回動表示手段10(10A〜10D)は、図9(b)の状態において、使用環境温度が温度上昇によって第3の温度に達すると、全体が右回りに120°回転することによって、図9(c)に示すように、熱中症注意標識面13(13A〜13D)を表示位置に位置させるようになっている。
逆に、回動表示手段10(10A〜10D)は、図9(c)の状態において、使用環境温度が温度下降によって第4の温度に達すると、全体が左回りに120°回転することによって、図9(b)の状態に戻るようになっている。
すなわち、図9(b)のように、各回動表示手段10(10A〜10D)の走行注意標識面11(11A〜11D)が面一となったとき、走行注意標識面11(11A〜11D)の全面が入射光(ヘッドライトからの光であってもよい)の方向に反射光を反射させるように作用する。これにより、ユーザ(運転者)は、走行注意標識面11(11A〜11D)の情報を明確に視認して、安全運転への意識を高めることができる。また、図9(a)のように、回動表示手段10(10A〜10D)の凍結注意標識面12(12A〜12D)が面一となったとき、凍結注意標識面12(12A〜12D)の全面が入射光の方向に反射光を反射させるように作用する。これにより、ユーザは、凍結注意標識面12(12A〜12D)の情報を明確に視認して、路面凍結の可能性があることを確実に把握することができる。さらに、 図9(c)のように、回動表示手段10(10A〜10D)の熱中症注意標識面13(13A〜13D)が面一となったとき、熱中症注意標識面13(13A〜13D)の全面が入射光の方向に反射光を反射させるように作用する。これにより、ユーザは、熱中症注意標識面13(13A〜13D)の情報を明確に視認して、熱中症の可能性を確実に把握することができる。
また、図10(a)に示すように、回動表示手段10の上端部は、支持部材60に取り付けられている。すなわち、同図に示すように、支持部材60には、各回動表示手段10ごとの4つの貫通孔61が穿設されており、この貫通孔61には、回動表示手段10の上端軸15aが下方から挿入されている。また、同図に示すように、貫通孔61と上端軸15aとの間には、軸受けメタル62が介在されている。さらに、同図に示すように、上端軸15aは、ワッシャ64および軸受メタル62とともに、低接触抵抗面のスラスト軸受(例えば、スラスト球軸受、ドライベアリング)を構成する摺動リング63を介して、ボルト65によって螺止されている。つまり、上端軸15aはワッシャ64および摺動リング63を介してボルト65によって堅固に締め付けられている。したがって、回動表示手段10は、摺動リング63と一体となって回動し、この際に、軸受メタル62の上面(フランジ部)と摺動リング63の下端面とが、低摩擦抵抗状態で摺接するようになっている。
一方、図10(b)に示すように、各回動表示手段10(10A〜10D)の下端部は、第1駆動機構取付部材20に穿設された各回動表示手段10ごとの貫通孔38を通して第2駆動機構取付部材120に取り付けられている。すなわち、同図および図11に示すように、第2駆動機構取付部材120には、各回動表示手段10ごとの4つの回動支持用突起部21(21A,21B,21C,21D)が鉛直上方に向かって突設されている。図10(b)に示すように、回動支持用突起部21には、低摩擦抵抗のスリーブ23を介して回動表示手段10の下端軸14aが回動自在に嵌合されている。また、図10(b)および図11に示すように、下端軸14aにおける下端側の所定範囲の部位には、ピニオン14b(14bA,14bB,14bC,14bD)が周設されている。なお、下端軸14aの下端と第2駆動機構取付部材120の上面との間には、両者が接触しないための若干の間隔が設けられている。すなわち、回動表示手段10は支持部材60側のみで片持ち支持(釣支)されている。
また、図8および図11に示すように、第1駆動機構取付部材20の上面には、各回動表示手段10ごとに、これらの右回転をそれぞれ拘束する右回動ストッパ22R(22RA,22RB,22RC,22RD)と、左回転をそれぞれ拘束する左回動ストッパ22L(22LA,22LB,22LC,22LD)とが立設されている。また、図11に示すように、各回動表示手段10の下端部材14には、左回転拘束用突起部14c(14cA,14cB,14cC,14cD)が垂設されている。この左回転拘束用突起部14cは、これに対応する左回動ストッパ22Lに当接することによって、左回動ストッパ22Lとともに回動表示手段10の左回転を拘束するようになっている。そして、このようにして左回転を拘束することによって、図9(a)および図11(a)に示すように、凍結注意標識面12(12A〜12D)を左回転させ過ぎることなく表示位置に適切に保持することができる。さらに、図11に示すように、各回動表示手段10の下端部材14には、右回転拘束用突起部14d(14dA,14dB,14dC,14dD)が垂設されている。この右回転拘束用突起部14dは、これに対応する右回動ストッパ22Rに当接することによって、右回動ストッパ22Rとともに回動表示手段10の右回転を拘束するようになっている。そして、このようにして右回転を拘束することによって、図9(c)および図11(c)に示すように、熱中症注意標識面13(13A〜13D)を右回転させ過ぎることなく表示位置に適切に保持することができる。
ここで、回動表示手段10は、軸受メタル62に対して摺動リング63(図10参照)を介して低摩擦抵抗の状態で回動するため、板材16、走行注意標識面11、凍結注意標識面12および熱中症注意標識面13の重量が回動表示手段10のトルクに与える影響力は小さいと言える。したがって、板材16および各標識面11,12,13の長さを長くして二次元的大型化に対応することができる。
図8、図11および図12に示すように、第1駆動機構取付部材20の上面には、本発明における温度応動駆動機構を構成する第1駆動機構(第1の駆動機構)が取り付けられている。また、図8に示すように、第2駆動機構取付部材120の上面には、第1駆動機構とともに温度応動駆動機構を構成する第2駆動機構(第2の駆動機構)が取り付けられている。
ここでまず、第1駆動機構について詳述すると、この第1駆動機構は、図8および図11乃至図13に示すように、前述したピニオン14bと、第1の移動部材としての第1移動部材40と、第1の形状記憶合金としての2つの第1形状記憶引張コイルばね35,36と、第1の付勢手段としての温度による変形(線膨脹)が極めて小さい2つの第1通常引張コイルばね30,31とを有している。
このうち、第1移動部材40は、4つの回動表示手段10(10A〜10D)の整列方向に沿って長尺に形成されているとともに、第1駆動機構取付部材20の上面に、自身の長手方向に沿って往復動自在に取り付けられている。なお、第1移動部材40の往復動方向は、下端軸14aの軸方向(鉛直方向)に直交している。より具体的には、図11に示すように、第1駆動機構取付部材20の上面には、2つの案内突起部24が立設されている。図12に示すように、案内突起部24には、上面の接触抵抗が小さい摺動ワッシャ25が遊嵌されており、この摺動ワッシャ25と案内突起部24との間には、外周面の接触抵抗が小さいブッシュ26が嵌合されている。また、図13に示すように、第1移動部材40には、その長手方向に長尺な長孔状の案内孔42a,42cが穿設されており、この案内孔42a,42cを介して、第1移動部材40が、摺動ワッシャ25上に載置されるようにしてブッシュ26に嵌合されている。さらに、図12に示すように、案内突起部24には、ネジ頭の直径が案内孔42aにおける長手方向に直交する方向の寸法よりも大きく形成された取付ネジ27が、上方から螺合されている。このようにして、第1移動部材40は、往復動方向への円滑な往復動が確保された状態で、往復動方向からの離脱および上下へのガタツキが生じないように第1駆動機構取付部材20に安定的に取り付けられている。
第1移動部材40について更に詳述すると、図8および図13に示すように、第1移動部材40は、各回動表示手段10(10A〜10D)のピニオン14b(14bA,14bB,14bC,14bD)にそれぞれ対応する位置に、第1移動部材40の長手方向(すなわち往復動方向)に長尺な長孔状の4つの移動孔42A,42B,42C,42Dを有している。図13に示すように、各移動孔42A〜42Dの内周面には、第1のラックとしての第1ラック41(41A,41B,41C,41D)が、第1移動部材40の長手方向に沿ってそれぞれ形成されている。各第1ラック41A〜41Dは、それぞれに対応するピニオン14b(14bA,14bB,14bC,14bD)に噛合されるようになっている。また、図13に示すように、各第1ラック41の長手方向における一方の端部(図13における左端部)には、第1ラック41とピニオン14bとの噛合状態を解除するための第1の平坦部としての第1平坦部47(47A,47B,47C,47D)がそれぞれ連設されている。第1平坦部47は、第1移動部材40の往復動方向に平行な面であって、第1ラック41の歯を切り欠いたような滑らかな面に形成されている。そして、第1移動部材40が第1ラック41とピニオン14bとの噛合状態にて第1ラック41と一体的に往復動すると、この運動がピニオン14bによって各回動表示手段10の回動運動に変換されるようになっている。具体的には、第1移動部材40が第1ラック41とピニオン14bとの噛合状態にて図13の右方に移動すると、回動表示手段10が右回転し、逆に、第1移動部材40が第1ラック41とピニオン14bとの噛合状態にて図13の左方に移動すると、回動表示手段10が左回転するようになっている。
第1形状記憶引張コイルばね35,36および第1通常引張コイルばね30,31について更に詳述すると、図13に示すように、第1形状記憶引張コイルばね35,36および第1通常引張コイルばね30,31は、いずれも、第1移動部材40の長手方向に長尺に形成されている。ここで、図13に示すように、第1移動部材40の前端部(図13における下端部)には、第1移動部材40の長手方向に間隔を設けて2つの前側フック部43,44が前方に向かって突出形成されている。これら前側フック部43,44には、各第1形状記憶引張コイルばね35,36がそれぞれ長手方向の一端部(左端部)を介して連結されている。各第1形状記憶引張コイルばね35,36の長手方向の他端部(右端部)は、第1駆動機構取付部材20の上面に立設されたピン35a,36aにそれぞれ取り付けられている。また、図13に示すように、第1移動部材40の後端部(図13における上端部)には、第1移動部材40の長手方向に間隔を設けて2つの後側フック部45,46が後方に向かって突出形成されている。これら後側フック部45,46には、各第1通常引張コイルばね30,31がそれぞれ長手方向の一端部(右端部)を介して連結されている。各第1通常引張コイルばね30,31の長手方向の他端部(左端部)は、第1駆動機構取付部材20の上面に立設されたピン30a,31aにそれぞれ取り付けられている。各第1通常引張コイルばね30,31は、使用環境温度にかかわらず、常に、第1移動部材40に対してこれの往復動方向の一方(図13における左方向)への付勢力を付与するようになっている。
ここで、第1形状記憶引張コイルばね35,36は、使用環境温度が第2の温度以下の温度からの温度上昇によって第1の温度(変態点)に達した場合に、マルテンサイト変態を示して、記憶された形状(ばね35,36が縮む形状)に回復することにより、第1通常引張コイルばね30,31の付勢力に抗する弾性力を発現させるようになっている。この弾性力〔N〕は、第1通常引張コイルばね30,31の付勢力〔N〕と正反対の方向(図13における右方向)に向かう力であって、第1通常引張コイルばね30,31に想定される伸びにかかわらず当該付勢力よりも絶対値が大きくなるような力に設定されている。そして、第1形状記憶引張コイルばね35,36は、当該弾性力を以て、第1移動部材40を第1ラック41とピニオン14bとの噛合状態にて往復動方向の他方(図13における右方向)移動させるようになっている。そして、この移動は、第1ラック41に噛合されているピニオン14bにおいて右回りの回転力に変換されて、温度上昇時の第1の駆動力として回動表示手段10に付与されるようになっている。これにより、回動表示手段10が右回りに回転して、図13(a)に示す温度上昇前の状態から、図13(b)に示す温度上昇後の状態へと変位するようになっている。なお、図13(a)の状態においては、図9(a)に示したように、回動表示手段10が、凍結注意標識面12(12A〜12D)を表示位置に位置させる第2の回動位置に位置され、図13(b)の状態においては、回動表示手段10が、図9(b)に示したように、走行注意標識面11(11A〜11D)を表示位置に位置させる第1の回動位置に位置されるようになっている。すなわち、本実施形態によれば、第2の温度以下の温度からの第1の温度に達する温度上昇が生じた場合には、回動表示手段10に対して第2の回動位置から第1の回動位置へと変位する温度上昇時の第1の駆動力を付与することによって、凍結注意標識面12(12A〜12D)から走行注意標識面11(11A〜11D)への切替表示を行うことができる。
一方、第1形状記憶引張コイルばね35,36は、使用環境温度が第1の温度以上の温度からの温度下降によって第2の温度に達した場合に、第1通常引張コイルばね30,31の付勢力に抗する弾性力(形状記憶効果)を失うようになっている。これにより、第1移動部材40が第1通常引張コイルばね30,31の付勢力を以て第1ラック41とピニオン14bとの噛合状態にて往復動方向の一方(図13における左方向)に移動されることを許容するようになっている。そして、この移動は、第1ラック41に噛合されているピニオン14bにおいて左回りの回転力に変換されて、温度下降時の第1の駆動力として回動表示手段10に付与されるようになっている。これにより、回動表示手段10が左回りに回転して、図13(b)、図9(b)に示す温度下降前の状態から図13(a)、図9(a)に示す温度下降後の状態へと変位するようになっている。すなわち、本実施形態によれば、第1の温度以上の温度からの第2の温度以下の温度への温度下降が生じた場合には、回動表示手段10に対して第1の回動位置から第2の回動位置へと変位する温度下降時の第1の駆動力を付与することによって、走行注意標識面11(11A〜11D)から凍結注意標識面12(12A〜12D)への切替表示を行うことができる。
なお、第2の温度としては、凍結注意標識面12(12A〜12D)を表示させる観点から、略氷点温度付近の温度(例えば、0〜3℃の範囲内の所定の温度(2℃であってもよい))を採用することが望ましい。また、第1の温度としては、第1形状記憶引張コイルばね35,36の温度ヒステリシスによって決まる温度(例えば、第2の温度から2〜5℃の範囲内の所定の温度だけ上昇した温度(6.5℃であってもよい))が採用されることになる。さらに、第1形状記憶引張コイルばね35,36の材料としては、Ni−Ti系合金等の所望の特性(変態点、温度ヒステリシス等)を示す形状記憶合金を採用すればよい。また、第1通常引張コイルばね30,31の材料としては、公知の通常のばね材を用いればよい。
次に、第2駆動機構について詳述すると、この第2駆動機構は、図8および図13に示すように、第1駆動機構と共有のピニオン14bと、第2の移動部材としての第2移動部材140と、第2の形状記憶合金としての2つの第2形状記憶引張コイルばね135,136と、第2の付勢手段としての温度による変形(線膨脹)が極めて小さい2つの第2通常引張コイルばね130,131とを有している。
このうち、第2移動部材140は、第1移動部材40の往復動方向に沿って長尺に形成されているとともに、第2駆動機構取付部材120の上面に、自身の長手方向に沿って往復動自在に取り付けられている。なお、図8に示すように、第2移動部材140は、第1移動部材40と同様に、案内突起部24、摺動ワッシャ25、ブッシュ26、案内孔42a,42cおよび取付ネジ27の各構成部によって、往復動方向への円滑な往復動が確保された状態で、往復動方向からの離脱および上下へのガタツキが生じないように第2駆動機構取付部材120に安定的に取り付けられている。
第2移動部材140について更に詳述すると、図8および図13に示すように、第2移動部材140は、各回動表示手段10のピニオン14bにそれぞれ対応する位置に、第2移動部材140の長手方向(すなわち往復動方向)に長尺な長孔状の4つの移動孔142A,142B,142C,142Dを有している。図13に示すように、各移動孔142A〜142Dの内周面には、第2のラックとしての第2ラック141(141A,141B,141C,141D)が、第2移動部材140の長手方向に沿ってそれぞれ形成されている。各第2ラック141A〜141Dは、それぞれに対応するピニオン14b(14bA,14bB,14bC,14bD)に噛合されるようになっている。なお、各第2ラック141は、鉛直方向に長尺な各ピニオン14bの外周における各第1ラック41が噛合される位置よりも下方の位置に噛合されるようになっている。また、図13に示すように、各第2ラック141の長手方向における一方の端部(図13における右端部)には、第2ラック141とピニオン14bとの噛合状態を解除するための第2の平坦部としての第2平坦部147(147A,147B,147C,147D)がそれぞれ連設されている。第2平坦部147は、第2移動部材140の往復動方向に平行な面であって、第2ラック141の歯を切り欠いたような滑らかな面に形成されている。そして、第2移動部材140が第2ラック141とピニオン14bとの噛合状態にて第2ラック141と一体的に往復動すると、この運動がピニオン14bによって各回動表示手段10の回動運動に変換されるようになっている。具体的には、第2移動部材140が第2ラック141とピニオン14bとの噛合状態にて図13の右方に移動すると、回動表示手段10が右回転し、逆に、第2移動部材140が第2ラック141とピニオン14bとの噛合状態にて図13の左方に移動すると、回動表示手段10が左回転するようになっている。
第2形状記憶引張コイルばね135,136および第2通常引張コイルばね130,131について更に詳述すると、図13に示すように、第2形状記憶引張コイルばね135,136および第2通常引張コイルばね130,131は、いずれも、第2移動部材140の長手方向に長尺に形成されている。ここで、図13に示すように、第2移動部材140の前端部(図13における下端部)には、第2移動部材140の長手方向に間隔を設けて2つの前側フック部143,144が前方に向かって突出形成されている。これら前側フック部143,144には、各第2形状記憶引張コイルばね135,136がそれぞれ長手方向の一端部(左端部)を介して連結されている。各第2形状記憶引張コイルばね135,136の長手方向の他端部(右端部)は、第2駆動機構取付部材120の上面に立設されたピン135a,136aにそれぞれ取り付けられている。また、図13に示すように、第2移動部材140の後端部(図13における上端部)には、第2移動部材140の長手方向に間隔を設けて2つの後側フック部145,146が後方に向かって突出形成されている。これら後側フック部145,146には、各第2通常引張コイルばね130,131がそれぞれ長手方向の一端部(右端部)を介して連結されている。各第2通常引張コイルばね130,131の長手方向の他端部(左端部)は、第2駆動機構取付部材120の上面に立設されたピン130a,131aにそれぞれ取り付けられている。各第2通常引張コイルばね130,131は、使用環境温度にかかわらず、常に、第2移動部材140に対してこれの往復動方向の一方(図13における左方向)への付勢力を付与するようになっている。
ここで、第2形状記憶引張コイルばね135,136は、使用環境温度が第4の温度以下の温度からの温度上昇によって第3の温度(変態点)に達した場合に、マルテンサイト変態を示して、記憶された形状(ばね135,136が縮む形状)に回復することにより、第2通常引張コイルばね130,131の付勢力に抗する弾性力を発現させるようになっている。この弾性力〔N〕は、第2通常引張コイルばね130,131の付勢力〔N〕と正反対の方向(図13における右方向)に向かう力であって、第2通常引張コイルばね130,131に想定される伸びにかかわらず当該付勢力よりも絶対値が大きくなるような力に設定されている。そして、第2形状記憶引張コイルばね135,136は、当該弾性力を以て、第2移動部材140を第2ラック141とピニオン14bとの噛合状態にて往復動方向の他方(図13における右方向)移動させるようになっている。そして、この移動は、第2ラック141に噛合されているピニオン14bにおいて右回りの回転力に変換されて、温度上昇時の第2の駆動力として回動表示手段10に付与されるようになっている。これにより、回動表示手段10が右回りに回転して、図13(b)に示す温度上昇前の状態から、図13(c)に示す温度上昇後の状態へと変位するようになっている。なお、図13(b)の状態においては、図9(b)に示したように、回動表示手段10が、走行注意標識面11(11A〜11D)を表示位置に位置させる第1の回動位置に位置され、図13(c)の状態においては、回動表示手段10が、図9(c)に示したように、熱中症注意標識面13(13A〜13D)を表示位置に位置させる第3の回動位置に位置されるようになっている。すなわち、本実施形態によれば、第4の温度以下の温度からの第3の温度に達する温度上昇が生じた場合には、回動表示手段10に対して第1の回動位置から第3の回動位置へと変位する温度上昇時の第2の駆動力を付与することによって、走行注意標識面11(11A〜11D)から熱中症注意標識面13(13A〜13D)への切替表示を行うことができる。
一方、第2形状記憶引張コイルばね135,136は、使用環境温度が第3の温度以上の温度からの温度下降によって第4の温度に達した場合に、第2通常引張コイルばね130,131の付勢力に抗する弾性力(形状記憶効果)を失うようになっている。これにより、第2移動部材140が第2通常引張コイルばね130,131の付勢力を以て第2ラック141とピニオン14bとの噛合状態にて往復動方向の一方(図13における左方向)に移動されることを許容するようになっている。そして、この移動は、第2ラック141に噛合されているピニオン14bにおいて左回りの回転力に変換されて、温度下降時の第2の駆動力として回動表示手段10に付与されるようになっている。これにより、回動表示手段10が左回りに回転して、図13(c)、図9(c)に示す温度下降前の状態から図13(b)、図9(b)に示す温度下降後の状態へと変位するようになっている。すなわち、本実施形態によれば、第3の温度以上の温度からの第4の温度以下の温度への温度下降が生じた場合には、回動表示手段10に対して第3の回動位置から第1の回動位置へと変位する温度下降時の第2の駆動力を付与することによって、熱中症注意標識面13(13A〜13D)から走行注意標識面11(11A〜11D)への切替表示を行うことができる。
なお、第3の温度としては、熱中症注意標識面13(13A〜13D)を表示させる観点から、外気として高温とみなされはじめる温度(例えば、31℃であってもよい)を採用することが望ましい。また、第4の温度としては、第2形状記憶引張コイルばね135,136の温度ヒステリシスによって決定される温度(第3の温度から所定の温度だけ下降した温度(例えば、24℃であってもよい))が採用されることになる。さらに、第2形状記憶引張コイルばね135,136の材料としては、Ni−Ti系合金等の所望の特性(変態点、温度ヒステリシス等)を示す形状記憶合金を採用すればよい。また、第2通常引張コイルばね130,131の材料としては、公知の通常のばね材を用いればよい。
ところで、図13(c)に示すように、ピニオン14bは、第2ラック141との噛合状態においては、第1移動部材40の移動にともなってピニオン14bの位置に移動された第1平坦部47によって、第1ラック41との噛合状態が解除されるようになっている。また、図13(a)に示すように、ピニオン14bは、第1ラック41との噛合状態においては、第2移動部材140の移動にともなってピニオン14bの位置に移動された第2平坦部147によって第2ラック141との噛合状態が解除されるようになっている。これにより、回動表示手段10に対する第1の駆動力の付与と第2の駆動力の付与とが抵触することを防止して、回動表示手段10の回動およびこれにともなう各注意標識面11,12,13の切替表示を適切に行わしめるようになっている。
ただし、図13(b)に示すように、ピニオン14bは、走行注意標識面11の表示状態においては、第1の平坦部47および第2の平坦部147の双方がピニオン14bの位置に移動されることによって、第1ラック41および第2ラック141の双方との噛合状態が解除されるようになっている。この場合には、走行注意標識面11を表示位置(すなわち、第1の回動位置)に保持するための補助手段(形状記憶引張コイルばね以外の手段)として、ギア(ラック・ピニオン)の噛合を用いることができないので、別の手段を講じることが望ましい。
そこで、本実施形態においては、回動表示手段10の第1の回動位置への回動姿勢を永久磁石の磁力を以て補助する回動姿勢補助手段が備えられている。具体的には、本実施形態において、上端部材15および下端部材14の少なくとも一方は、少なくとも走行注意標識面11に対向する頂点部分が、鉄等の強磁性体によって形成されている。また、本実施形態において、図14に示すように、背板部4cの内側における上端部材15および/または下端部材14の強磁性体部分が最近接する位置には、永久磁石50が配設されている。これにより、第1の回動位置に回動された回動手段10を、永久磁石50の磁力によって第1の回動位置に安定的に保持することができる。なお、永久磁石50の代わりに、上端部材15および/または下端部材14の頂点部分を背板部4cの最近接位置において嵌合させる嵌合溝構造を設けてもよい。この場合においても、嵌合溝構造の係止力によって、回動表示手段10を第1の回動位置に安定的に保持することができる。ただし、回動姿勢補助手段による回動表示手段10の保持力(磁力または係止力)は、ピニオン14bといずれかのラック41,141との噛合が復活した後の移動部材40,140の移動を妨げない程度の力とされている。
(第2実施形態)
次に、道路用標識装置の第2実施形態について、図15を参照して説明する。ただし、第1実施形態と基本的構成が同一もしくはこれに類する箇所については、同一の符号を用いて説明する。
図15に示すように、本実施形態においては、第2駆動機構を支持部材60の下面に取り付けるとともに、第2駆動機構取付部材120を省略することによって、第2駆動機構取付部材120を要する第1実施形態に比べて軽量化を図ることができる。
ただし、本実施形態においては、上端軸15aの外周に、下端軸14aのピニオン14bと同ピッチかつ各歯の周方向における位置が完全一致するピニオン15bを形成することを要する。この上端軸15aのピニオン15bは、本実施形態における第2駆動機構の一部を構成し、第2ラック141に噛合された状態での第2移動部材140の往復動を、第2の駆動力に変換するようになっている。
また、本実施形態においては、図示はしないが、第1駆動機構取付部材20における第1実施形態において貫通孔38が形成された位置に、第1実施形態における回動支持用突起部21A〜21Dと同様の部材を設けて、回動表示手段10の下端を安定的に軸支することが望ましい。
その他の構成および作用は基本的に第1実施形態と同様であるので、詳細は省略する。
以上述べたように、本発明によれば、各注意標識面11,12,13の情報を温度に応じて選択的に表示することができ、このような各情報の選択的な表示を行う際に、走行注意標識面11の表示と凍結注意標識面12の表示との切り替えに要する回動表示手段10の回動角度および走行注意標識面11の表示と熱中症注意標識面13の表示との切り替えに要する回動表示手段10の回動角度をともに120°に抑えることができるので、回動表示手段10を回動させるために個々の形状記憶合金35,36,135,136の変位量、駆動エネルギを大きくしなくて済む。
また、第1形状記憶引張コイルばね35,36の温度ヒステリシスは、路面が一旦凍結すると外気温が氷点温度を超えた場合においても直ちに凍結が解消されないというタイムラグを考慮して、氷点温度よりも高い第1の温度を設定できる点で実情に見合っている。
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の特徴を損なわない限度において種々変更することができる。
例えば、前述した左回動ストッパー22Lおよび左回転拘束用突起部14cの一方を永久磁石、他方を強磁性体に形成することによって、回動表示手段10の第2の回動位置への回動状態の安定化を図ってもよい。同様に、前述した右回動ストッパー22Rおよび右回転拘束用突起部14dの一方を永久磁石、他方を強磁性体に形成することによって、回動表示手段10の第3の回動位置への回動状態の安定化を図ってもよい。これらと同様な効果は、移動部材40,140の左右端部に永久磁石を設けるとともに、移動部材40,140の左右の外側位置(往復動範囲外の位置)に、当該永久磁石を吸引する強磁性体のストッパを設けることによっても実現することができる。
また、再帰反射面は、小球体、プリズム面等として形成してもよいし、反射光に対する着色は、反射面の着色、透明体を有色透過性部材とすること等によって実現することができる。
さらに、第1および第2の形状記憶合金としては、引張コイルばね以外の態様のもの(例えば、板ばね等)を採用してもよい。
さらにまた、本発明は、道路用標識装置以外の用途に適用してもよい。