JP2012237320A - ポンプユニット - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は気体分離室から溢れた気体がポンプ室に流入することを防止することを課題とする。
【解決手段】オーバーフロー防止機構240には、噴出し防止弁242が上方に作動して排気口241を閉止したことを検知する検知手段300が設けられている。吐出側逆止弁機構230Aは、アクチュエータ310が上部蓋体180に取り付けられている。検知手段300により噴出し防止弁242が閉弁動作したことを検知した検知信号が制御部320に出力されると、吐出側逆止弁機構230Aのアクチュエータ310を駆動するための駆動信号がアクチュエータ310に出力される。これにより、出口側逆止弁45の弁体52が閉弁駆動され、弁体52が弁座51を閉止し、又はポンプ19を停止させる。
【選択図】図13

Description

本発明はポンプユニットに係り、特に流体を供給する系路で流体中に含まれる液体と気体とを分離する気液分離装置を備えたポンプユニットに関する。
この種、ポンプユニットとして、流入口および流出口を有するケーシングを備え、このケーシング内に、流入口から流体を吸込むポンプと、ポンプから吐出された流体を旋回させて液体と気体富化液とに分離する気液分離装置と、気液分離装置で分離された気体富化液から気体を分離する気体分離室と、気体分離室で気体を除去された液体を濾過するフィルタ室とを設け、フィルタ室で濾過された液体をポンプの吸込口側に戻すように構成したものがある(例えば、特許文献1参照)。
特開平8−28442号公報
しかしながら、上記のように特許文献1に記載された構成のものでは、例えば、気体分離室で分離された気体が気体分離室の上部空間に溜まった状態で気体分離室の液面が所定高さに上昇すると、フロート弁が開弁して液体をポンプ側へ排出して液面を低下させるが、例えばケーシングの流入口に接続された液タンク側のトラブル(例えば液タンクと流入口との間の配管に亀裂が生じること)により多量の空気がケーシング内に吸込まれることがある。
この場合、該流路を通じての空気の逃がしが不十分となってケーシング内に空気が充満し、この結果、空気が混入した液体が気体分離室からポンプの流出口へ漏れ出てしまい、流出口に接続された流量計が空気を多量に含んだ流体(液体燃料に気泡が混ざった状態)を計量することとなり、給油量の計測に誤差が生じることになる。
そこで、本発明は上記事情に鑑み、上記課題を解決したポンプユニットを提供すること
を目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は以下のような手段を有する。
本発明は、流入口および流出口を有するケーシング内に、前記流入口から流体を吸込むポンプと、該ポンプから吐出された流体を液体と気体富化液とに分離する気体分離室と、前記気体分離室で分離された液体の液面高さが上昇すると開弁して液体を前記ポンプへ戻すフロート弁と、前記気体分離室の上部に設けられ、当該気体分離室内と外部とを連通する排気通路と、前記気体分離室の液面が所定の高さ以下の場合には開弁して前記排気通路を開放し、前記気体分離室の液面が上昇して当該所定高さに達した場合には、閉弁して前記排気通路からの流体の噴出しを防止する噴出し防止弁と、該噴出し防止弁が作動したことを検知する検知手段と、を有するポンプユニットであって、前記検知手段が前記噴出し防止弁の作動を検出した際、前記ポンプを停止させるよう制御することにより、上記課題を解決するものである。
本発明によれば、検知手段が噴出し防止弁の作動を検出した際、ポンプから吐出される流体の流れを停止させる。これにより、流出口に接続された流量計に空気を多量に含んだ液体が供給されることが防止でき、給油量の計測に誤差が生じることを防止できる。
本発明によるポンプユニットの参考例1を示す縦断面図である。 本ポンプユニットの構造を示したもので、図4のII−II矢視線に沿う断面図である。 図1のIII−III矢視線に沿う断面図である。 図1のIV−IV矢視線に沿う断面図である。 図1のV−V矢視線に沿う断面図である。 本ポンプユニットを一部断面として示す側面図である。 サイクロン32と気体分離室60と噴出し防止弁242の構造を示す縦断面図である。 気体分離室60の通常の動作状態、及び、気体分離室60に液体と大量の気泡が流入した状態を示す縦断面図である。 気体分離室60に液体が充満してオーバーフロー防止機構が作動した状態を示す縦断面図である。 ポンプユニットにおける流体の流れる経路を順番に示すフローチャートである。 参考例1の吐出側逆止弁機構230を拡大して示す縦断面図である。 参考例1の吐出側逆止弁機構230の動作を示す縦断面図である。 参考例2を示す縦断面図である。 本発明による実施例1を示す縦断面図である。 実施例1の吐出側逆止弁機構230Aを拡大して示す縦断面図である。 実施例1の制御系を示す制御ブロック図である。 実施例1の吐出側逆止弁機構230Aの動作を示す縦断面図である。
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。
〔参考例1〕
図1は本発明によるポンプユニットの参考例1を示す縦断面図である。図2は本ポンプユニットの構造を示したもので、図4のII−II矢視線に沿う断面図である。図3は図1のIII−III矢視線に沿う断面図である。図4は図1のIV−IV矢視線に沿う断面図である。図5は図1のV−V矢視線に沿う断面図である。図6は本ポンプユニットを一部断面として示す側面図である。
図1乃至図6に示されるように、ポンプユニットのケーシング10は、下部に流入口11を有し、上部に流出口12をそれぞれ有し、アルミニウム合金により一体に鋳造されている。ケーシング10内の下部側には、流入口11に臨んで吸込室13が形成され、この吸込室13にはストレーナ14と吸込側逆止弁15とから成る弁組立体16が配設されている。一方、ケーシング10内の上部側には、吸込室13と流路17(図4参照)を介して連通するポンプ室18が形成されており、このポンプ室18にはベーン形ポンプ(回転式ポンプ)19が配設されている。ポンプ19は、ポンプ室18に嵌装された有底筒状の本体20を備えており、この本体20には流路17に接続する吸込口21と後述する他の流路30に接続する吐出口22とが設けられている。
ポンプ19の本体20内にはロータ23が配設されており、ロータ23は本体20の偏心位置を延ばされた回転軸24に固定的に取付けられている。回転軸24は、ケーシング10の内部に一体形成した軸受部25とケーシング10の外壁に被蓋した蓋体26に一体形成した軸受部26aとに回動自在に支持されている。ポンプ室18と本体20とは、蓋体26によりケーシング10の開口10aを閉じることにより密閉室として区画されている。ロータ23には、半径方向へ摺動自在に複数のベーン27が放射状に装着されており、各ベーン27は、ロータ23の両側面に設けた凹部23a内に配置したリング28によりそれぞれの基端が支承されている。また、ケーシング10外に延ばした回転軸24の一端部にはモータ(図示略)により回転駆動されるプーリ29が装着されている。
ポンプ19においては、図示を略すモータの作動でプーリ29を回転させると、その回転が回転軸24を介してロータ23に伝えられ、各ベーン27はその先端を本体20の内周面に摺接させながら回転する。この時、ロータ23が本体20に対する偏心位置を中心に回転するので、ベーン27で仕切られた各室の容積が拡大、縮小を繰返し、これにより本体20内吸込側に負圧が発生する。したがって、流入口11をタンクに接続しておけば、ロータ23の回転によりタンク内の流体が流入口11からストレーナ14、吸込側逆止弁15、流路17および吸込口21を経てポンプ19内に吸込まれ、その吐出口22から流路30へと吐出されるようになる。
また、ケーシング10の上部側でかつポンプ19と反対側に位置する部分には気液分離装置31が配設されている(図1参照)。この気液分離装置31は下端を開放した縦形のサイクロン32から成り、このサイクロン32は、上部側の円筒状の導入部32aと、この導入部32aから下方へ延ばされかつ下端開口に向かって次第に絞られた裁頭円錐状の胴部32bと導入部32aの上側を覆う円錐状の天井部32cとを備えている。サイクロン32の胴部32bは、その下側のほぼ半分長に相当する部分が、後述するフィルタ室40内に突出するように形成され、この突出部分34aの周壁には縦方向に延びるスリット33が形成されている。
サイクロン32の上部には、流路30の一端を構成する開口30aが形成されている。この開口30aは、ポンプ19からの流体をサイクロン32の接線方向に流出させるように形成されると共に、導入部32aと天井部32cとを跨いで縦長に設けられている。サイクロン32の天井部32cの中央には貫通孔34aを有する栓部材34が嵌着されている。この栓部材34の貫通孔34aはケーシング10に取付けた蓋体35内の流路36を介して後述する気体分離室60に連通している。
気液分離装置31においては、ポンプ19から流路30を通じて圧送されてきた、気体が混入した液体は、開口30aからサイクロン32内へ流入して旋回運動を起こし、液体と気体とで作用する遠心力が異なることにより液体が半径外方に集まると共に気体が半径内方に集まる。そして、この分離された液体は胴部32bの下端開口からフィルタ室40に流下し、一方、気体を含む気体富化液は、天井部32cの栓部材34の貫通孔34aから蓋体35内の流路36を通過して気体分離室60へと排出される。
図5に示されるように、フィルタ室40内にはフィルタ41が配設されている。このフィルタ41は、その先端部がフィルタ室40を区画するケーシング10内の垂直隔壁42に設けた孔42aに嵌合されている。フィルタ41の後方にはケーシング10に被蓋した蓋体43に一端を当接させた圧縮ばね44が配設されており、フィルタ41はこの圧縮ばね44により垂直隔壁42に押圧されている。蓋体43により閉じられたケーシング10の開口10bはフィルタ41を出し入れできる十分なる大きさを有しており、これにより、フィルタ41は蓋体43を取外すことにより、適宜その交換を行うことができるようになる。
図4及び図6に示されるように、上記フィルタ41の前方には、ケーシング10の上部側に設けた出口側逆止弁45に通じる流路46の一端部と吸込側逆止弁15の2次側の流路17に通じる流路47の一端部とが垂直隔壁48を挟んで配設されている。出口側逆止弁45は、ケーシング10の水平隔壁49に形成した貫通孔50に嵌着された弁座51と、弁座51に離着座する軸付の弁体52とケーシング10の蓋体53に一端を当接させて弁体52を常時は閉じ方向に付勢する弁ばね54とを備えており、弁ばね54のばね力は流路抵抗を少なくするため、弱いばね力に設定され、ポンプ19が停止しているときの弁体52が閉弁するようになっている。
この出口側逆止弁45の2次側は流路55を介して流出口12に接続されている。したがって、気液分離装置31で分離されフィルタ室40に流下した液は、フィルタ41から流路46を通って出口側逆止弁45を開き、さらに流路55から流出口12を通って外部の機器(例えば流量計)へと圧送され、流出口12へ導く方向への油液の流れのみを許すようになっている。
図4に示されるように、流路46の上部には、上記出口側逆止弁45と、出口側逆止弁45を閉弁させるピストン210と、ピストン210が摺動するシリンダ212に気体分離室60の液圧を供給する連通路220とを有する吐出側逆止弁機構230が設けられている。
しかして、垂直隔壁48には、ケーシング10の側壁にボルト止めした、リリーフ弁56(図5参照)が嵌合されており、いま、ポンプ19を駆動したまま外部の機器を閉じたり、あるいは絞ったりした場合は、このリリーフ弁56が開き、液が流路47および流路17からポンプ19の吸込口21へ戻されるようになる。また、上記フィルタ室40と流路46とにより流体流路が形成されている。
図7に示すように、気体分離室60を形成するケーシング10の上面に取り付けられた蓋体35の下面には、気液分離装置31と気体分離室60の間を連通する流路36が設けられている。流路36の図中左方の端部近傍には、気液分離装置31で分離された気体富化液を気体分離室60に供給するための管部材62が圧入されている。この管部材62の下端は、気体分離室60内の最低液位付近に設けられた小容積の液溜り64内まで延ばされている。液溜り64はケーシング10の垂直隔壁63と、この隔壁の段部63aと隔壁63に平行な縦壁64aとからU字溝状に形成され、その一端は、図3に示すように開放されている。これにより管部材62を通じて気体分離室60内に供給された気体富化液は、一旦液溜り64に溜った後、その一端から気体分離室60の底部側に流動して溜るようになる。そしてこの間、気体富化液から気体が分離され、この気体はケーシング10の上壁に設けた排気通路130から外部へと排出される。
この排気通路130には、気体分離室60から溢れた液体が外部に流出することを防止するオーバーフロー防止弁機構240が設けられている。オーバーフロー防止弁機構240には、気体分離室60で溢れた液体が流入した場合に上昇して流出口241を閉弁する噴出し防止弁242が設けられている。尚、通常は、噴出し防止弁242が下方に変位しているので、気体分離室60で分離された気体は、流出口241から外部に排気される。
ここで、気体分離室60に溜まった液体をポンプ19の吸込口21に戻す構成について説明する。図2及び図3に示されるように、気体分離室60の底部側にはフロート67が配設されている。フロート67は、その一面から延ばした軸部67aの先端部をケーシング10の側面開口を閉塞する蓋体68に軸着させることにより上下方向に回動自在となっている。蓋体68には、その表・裏面に突出して第1のボス部69が設けられており、この第1のボス部69には軸穴70が形成されている。
また、気体分離室60内に位置する前記ボス部69の先端部にはその軸穴70を気体分離室60内に連通させる開口71が形成されている。この開口71の周りは戻し弁72の弁座として構成されており、この開口71には、フロート67の軸部67aに軸着された弁体74が嵌合されている。この戻し弁72は、フロート67の上昇に応じて弁体74を上動させ、開口71を開く。
なお、フロート67および弁体74は、側面の蓋体68に対して予め一体化されており、該蓋体68により閉じられたケーシング10の開口10cを通じて気体分離室60内に出し入れできるようになっている。また、蓋体68の外側において前記第1のボス部69の一端部にはその軸穴70を閉じるプラグ75が螺合されている。
一方、ケーシング10内の下部には、図4,図5に示されるように、ケーシング10の側面からリリーフ弁56の2次側の流路47に連通する戻し流路76が形成されている。この戻し流路76と前記第1のボス部69内の軸穴70とはケーシング10に設けた第2のボス部77内の連通孔(図示略)により接続されており、その接続部には第1のボス部69内の軸穴70への液の逆流を規制する逆止弁(フラッパ弁)78が設けられている。これにより、気体分離室60内に液が溜ってフロート67が上昇すると、戻し弁72の弁体74が開いて気体分離室60内の液が第1のボス部69内の軸穴70、第2のボス部77内の連通孔、戻し流路76、リリーフ弁56の2次側の流路47、吸込側逆止弁15の2次側の流路17を経由してポンプ19の吸込口21に戻されるようになる。
弁組立体16は、ポンプ19内の負圧発生により弁体が開弁動作して、ストレーナ14から流入した流体がポンプ19の吸込口21に通じる流路17に流れ込む。
一方、フィルタ41の前方に配置したリリーフ弁56は、流路46内の液圧が必要以上に高まった場合には、弁体が開弁動作して流路46内の液が流路47および流路17からポンプ19の吸込口21へ戻される。
以下、上記のように構成したポンプユニットの作用を説明する。ポンプ19のロータ23をモータ(図示せず)により回転駆動させると、吸込側逆止弁15が開き、流入口11からストレーナ14、吸込側逆止弁15および流路17を経てタンク内の流体がポンプ19内に吸込まれ、かつその吐出口22から流路30へと吐出される。そして、ポンプ19から吐出された流体は気液分離装置31側へ流動し、流路30の開口30aからサイクロン32内に流入して旋回運動を起こし、遠心力の差により液体が半径外方に集まると共に気体が半径内方に集まる。
本実施例においては、特に気液分離装置31として縦形サイクロン32を用いているので、比重差により液体と気体とが上下方向にも分離し、遠心分離と相まって気液分離能力が向上する。また、サイクロン32の胴部32bを下端開口に向かって次第に絞っているので、上記旋回流の流速が下方に向かうに従って大きくなり、気液分離能力がより一層向上する。また、サイクロン32の天井部32cを円錐状に形成しているので、下向きの旋回流をつくりやすくなるばかりか、サイクロン32内に流体が流入する初期段階でも旋回流の流速が高まり、気液分離能力がさらに向上する。
このようにして分離された液体は胴部32bの下端開口からフィルタ室40に流下し、一方、気体を含む気体富化液は、天井部32cの栓部材34の貫通孔34aから蓋体35内の流路36に供給される。
この時、サイクロン32の天井部32cが円錐形状となっていることより気体富化液の排出が容易となる。そして、サイクロン32の上方に吐出された気体富化液は、管部材62を通過して気体分離室60へ排出される。図3に示されるように、気体分離室60とポンプ19の吸込口21に連通された流路47との間は、バイパス管からなる連通路220によって連通されており、後述するように、気体分離室60内の液面が所定高さ以上に上昇し、オーバーフロー防止弁機構240の噴出し防止弁242が閉弁した場合、気体分離室60の圧力が連通路220に供給され、吐出側逆止弁機構230のピストン210を押圧する(図4参照)。
フィルタ室40に流下した液体は、フィルタ41を通って流路46内に押し出され、液体の圧力により出口側逆止弁45を開いて流路55から流出口12へと圧送される。ここで、気液分離装置31で分離された液体中に気体がわずか残存している場合は、気体はフィルタ室40の上部に溜るようになる。この溜った気体は、ポンプ19の作動中は液の流れがあるため、フィルタ室40の上部に溜ったままとなるが、ポンプ19が停止されると、胴部32bのスリット33からサイクロン32内に戻り、ポンプ19の再作動に応じて天井部32cから排出される。したがって、流出口12へ気体を含む液体が供給されることはない。なお、流出口12からの液体の流出が止められ、あるいは絞られた場合にリリーフ弁56が開いて液がポンプ19の吸込口21へ戻されることは前記したとおりである。
一方、サイクロン32から排出された気体富化液は、管部材62を通じて気体分離室60内に供給される。そして、気体分離室60内で気体の分離が進行し、分離された気体はケーシング10上部の排気通路130から外部へと排出される。このようにして、気体分離室60内には気体を分離した液が溜り、次第にその液位を上昇させる。すると、フロート67が上昇して戻し弁72の弁体74が開き、気体分離室60内の液が戻し流路76へ流れ、さらにリリーフ弁56の2次側の流路47、吸込側逆止弁15の2次側の流路17を経由してポンプ19の吸込口21に戻される。
しかして、例えばタンク側の問題によりケーシング10内に多量の空気(液体を含む)が吸込まれると、流路36,管部材62を介して気体分離室60へ排出される。
ここで、図8A及び図8Bを参照して気体分離室60の各状態について説明する。図8Aは気体分離室60の通常の動作状態、及び、気体分離室60に液体Aと大量の気泡Bが流入した状態を示す縦断面図である。図8Bは気体分離室60に液体が充満してオーバーフロー防止機構が作動した状態を示す縦断面図である。
図8Aに示されるように、正常状態では、気体分離室60において、流路36及び管部材62を介して気泡が混入した流体Aが徐々に流入しており、流体Aの液面が上昇し、所定以上になると、フロート67の上昇動作により戻し弁72の弁体74を開弁動作させる。これにより、気体分離室60の底部に溜った液体が流路30を介してポンプ室18に戻される。一方、気体分離室60に配管異常などにより流体Aの上方に大量の気泡Bが流入した場合は、フロート67の上昇動作により戻し弁72の弁体74が開弁動作するため、気泡Bが混入した流体Aがポンプ室18に戻されることになる。この場合、ポンプ室18において、気泡Bが圧縮されることにより、液体の流入が阻害されてしまい、ポンプ19が正常に機能しなくなる。
図8Bに示されるように、気体分離室60に大量の液体が流入した場合は、フロート67の上昇動作により戻し弁72の弁体74が開弁動作するが、戻し弁72から流出される流量が供給量よりも少ないので、流体Aの排出が間に合わず、気体分離室60における液面上昇が続くことになる。その結果、戻し弁72の弁体74が開弁しているにも拘わらず、流体Aが気体分離室60から溢れてしまうため、それまで、気体の排出を行なっていたオーバーフロー防止機構240の噴出し防止弁242が上方に作動して排気口241を閉止して流体A(気体と液体とを含む)の流出を防止する。
ここで、図9を参照して上記ケーシング10内の各機器を通過して流量計へ送液される流体の流れについて説明する。図9はポンプユニットにおける流体の流れる経路を順番に示すフローチャートである。
図9に示されるように、ポンプユニットの駆動状態において、流体(燃料)は、先ず、ストレーナ14で濾過され、次に吸込み側逆止弁15を通過してポンプ19のポンプ室18に流入する。ポンプ19は、ロータ23の回転により流体を吸込口21からポンプ室18に吸込み、吐出口22から流路30へ吐出する。流体は、液体燃料に気泡が混入した状態でこの流路30を流れて気体分離装置31に供給される。気体分離装置31では、サイクロン32の旋回流により気体と液体とを分離している。気体分離装置31で気体を除去された液体は、フィルタ41で濾過された後、出口側逆止弁45を通過して流量計200に供給されて流量を計測される。流量計200は、ポンプユニットの下流に配されており、給油ノズルに供給される流体の供給量(流量)を計測する。
また、ポンプ19の吸込口21と吐出口22との間をバイパスする流路47には、リリーフ弁56が設けられている。ポンプ19のロータ23の回転しているときに逆止弁45が閉弁状態に保持されると、ポンプ19から吐出された流体は、ポンプ圧によりリリーフ弁56を開弁させてポンプ19の吸込口21に戻される。そのため、ポンプ19の運転時に逆止弁45が閉弁しても、ポンプ19には負荷がかからない。
気体分離装置31の上部に溜った気泡を多く含んだ気体富化液は、流路36及び管部材62を通じて気体分離室60内に供給される。気体分離室60内の気体富化液の気泡は、気体分離室60の液面上に溜り、気泡が分離された液体が増えてフロート67が上昇すると、戻し弁72が開弁し、気体分離室60内の液体がポンプ19の吸込口21に戻される。
また、図4に示されるように、気体分離装置31の圧力が所定値以上に上昇すると、出口側逆止弁45を閉弁させるためのピストン210が設けられている。そのため、後述するように、気体分離室60内の圧力が連通路220を介してピストン210に伝わると、ピストン210は下方に駆動されて出口側逆止弁45を強制的に閉弁させる位置に移動する。
そして、気体分離室60内で気体富化液から分離された気体は、気体分離室60内の上壁に設けた排気通路130から外部へと排出される。
ここで、本発明の要部を構成する吐出側逆止弁機構230及び可動ピストン機構について説明する。図10は吐出側逆止弁機構230を拡大して示す縦断面図である。図10に示されるように、吐出側逆止弁機構230は、弁座51と、弁体52と、付勢部材54とで構成されている。
また、上部蓋体180の下面には、付勢部材54を保持する保持部材190が嵌合固定されている。
ポンプ19が停止している時の弁体52は、付勢部材54の付勢力によって弁座51に押圧されて閉弁位置にあり、ポンプ19から流体が吐出されると、流体の吐出圧が付勢部材54の付勢力よりも大きくなった時点で開弁動作する。これにより、ポンプ19によって送液された流体が流出口12から流量計200へ供給される。
可動ピストン機構232は、連通路220が連通されたシリンダ212と、シリンダ212内に液密(シールされた状態)、かつ、移動自在に設けられたピストン210と、シリンダ212のシリンダ室においてシリンダ蓋214とピストン210との間に設けられ、ピストン210を上方に付勢する付勢部材216とから構成されている。この可動ピストン機構232は、ピストン210が吐出側逆止弁機構230の弁体52の上方で同軸上に配され、且つピストン210から下方に延在するロッド208の下端が弁体52の中央部に対向している。すなわち、ピストンは、弁体52に対して対向する位置に設けられており、ロッド208の下端が逆止弁45の弁体52を押圧できるように逆止弁45の開閉方向と同方向に可動可能に設けられている。
また、逆止弁45の保持部材190の上面には、ピストン210のロッド218が挿通される貫通孔192が設けられ、保持部材190の下面には付勢部材54が当接するバネ受け194が設けられている。
前述した図8A、図8Bに示されるように、気体分離室60に大量の液体が流入した場合(気体分離室60内の液面が所定高さ以上に上昇した場合)は、フロート67の上昇動作により戻し弁72の弁体74が開弁動作するが、戻し弁72から流出される流量が供給量よりも少ないので、気体分離室60の圧力が所定圧以上に上昇する場合がある。その場合、図11に示されるように、連通路220からの流体圧が付勢部材216の付勢力以上になると、シリンダ212内のピストン210が下方に駆動される。
これにより、ピストン210は、シリンダ212を摺動して下方に移動し、下方に延在するロッド218の先端を出口側逆止弁45の弁体52に当接させる。そのため、ポンプ19が運転中であっても、気体分離室60内の液面で所定高さ以上に上昇すると(図8A、図8B参照)、ピストン210が気体分離室60からの流体圧によって出口側逆止弁45の弁体52を閉弁動作させ、弁体52を弁座51に密着させる。これで、気体分離室60から溢れた流体(気泡及び液体)がポンプ19のポンプ室18に流入されることが防止されるとともに、ポンプ19から吐出された液体が流量計200に供給されなくなる。
また、弁体52の上面中央には、小径な貫通孔250を下側から閉止する副弁260が設けられている。この副弁260は、通常、付勢部材270の付勢力により上方(閉弁方向)に付勢されており、弁体52が弁座51に当接した後も気体分離室60内の圧力が上昇した場合にピストン210がさらに下方に駆動されて副弁260を開弁させる。これにより、流路46の流体が少量ずつ下流に流出してポンプ室18及び気体分離室60の圧力を減圧する。
また、ポンプ19が停止すると、流路46の圧力と気体分離室60の圧力が同圧になるので、ピストン210は付勢部材216の付勢力により上方に復帰する。これと共に、ポンプ19が停止状態では、弁体52に吐出圧力すると、弁体52も付勢部材54の付勢力によって下方に移動して弁座51を閉止する。
このように、本実施例では、気体分離室60の圧力上昇によってピストン210を駆動して出口側逆止弁45の弁体52を閉弁動作させるため、モータなどの電気部品を使用せずに済み、燃料を供給する場合、安全性の面で有利である。
ここで、参考例2について説明する。
〔参考例2〕
図12は参考例2を示す縦断面図である。図12に示されるように、気体分離室60における泡立ちが少ない液種(油種)の場合には、排気通路130及びオーバーフロー防止機構240の位置をケーシング10の上部ではなく、ケーシング10の側面に設けることも可能になる。この場合でも、出口側逆止弁45の弁体52を閉弁動作させるに必要な圧力を低く設定することにより、気体分離室60の圧力が所定圧に達した時点でピストン210を作動させてポンプ190からの流体の吐出を停止させて気体分離室60の気泡がポンプ18に流入することを防止することができる。
ここで、本発明による実施例1を説明する。
〔実施例1〕
図13は本発明による実施例1を示す縦断面図である。図13に示されるように、オーバーフロー防止機構240には、噴出し防止弁242が上方に作動して排気口241を閉止したことを検知する検知手段300が設けられている。検知手段300としては、磁気センサあるいはマイクロスイッチなどが用いられる。
図14に示されるように、吐出側逆止弁機構230Aは、上記ピストン210に代えてアクチュエータ310が上部蓋体180に取り付けられている。アクチュエータ310としては、モータあるいはソレノイドなどからなる駆動手段が用いられる。
図15に示されるように、検知手段300により噴出し防止弁242が閉弁動作したことを検知した検知信号が制御部320に出力されると、吐出側逆止弁機構230Aのアクチュエータ310を駆動するための駆動信号がアクチュエータ310に出力される。
図16に示されるように、これにより、出口側逆止弁45の弁体52が閉弁駆動され、弁体52が弁座51に密着する。そのため、気体分離室60から溢れた流体(気泡及び液体)がポンプ19のポンプ室18に流入されることが防止されるとともに、ポンプ19から吐出された液体が流量計200に供給されなくなる。
また、上記制御部320は、検知手段300により噴出し防止弁242が閉弁動作したことを検知した検知信号が出力された場合、ポンプ19のロータ23を回転駆動するポンプモータを停止させるようにしても良い。
上記実施例では、油液を供給する系路にポンプユニットを配置したが、油液以外の流体を供給する系路にポンプユニットを配置する場合にも本発明を適用できるのは勿論である。
10 ケーシング
11 流入口
12 流出口
15 吸込側逆止弁
18 ポンプ室
19 ポンプ
21 ポンプの吸込口
22 ポンプの吐出口
23 ロータ
31 気液分離装置
32 サイクロン
35 蓋体
36 流路
40 フィルタ室
41 フィルタ
45 出口側逆止弁
51 弁座
52 弁体
54 付勢部材
60 気体分離室
62 管部材
67 フロート
72 戻し弁
130 排気通路
200 流量計
210 ピストン
212 シリンダ
214 シリンダ蓋
216 付勢部材
218 ロッド
220 連通路
230,230A 吐出側逆止弁機構
232 可動ピストン機構
240 オーバーフロー防止機構
241 排気口
242 噴出し防止弁
260 副弁
300 検知手段
310 アクチュエータ
320 制御部

Claims (1)

  1. 流入口および流出口を有するケーシング内に、前記流入口から流体を吸込むポンプと、
    該ポンプから吐出された流体を液体と気体富化液とに分離する気体分離室と、
    前記気体分離室で分離された液体の液面高さが上昇すると開弁して液体を前記ポンプへ戻すフロート弁と、
    前記気体分離室の上部に設けられ、当該気体分離室内と外部とを連通する排気通路と、
    前記気体分離室の液面が所定の高さ以下の場合には開弁して前記排気通路を開放し、前記気体分離室の液面が上昇して当該所定高さに達した場合には、閉弁して前記排気通路からの流体の噴出しを防止する噴出し防止弁と、
    該噴出し防止弁が作動したことを検知する検知手段と、
    を有するポンプユニットであって、
    前記検知手段が前記噴出し防止弁の作動を検出した際、前記ポンプを停止させるよう制御することを特徴とするポンプユニット。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPS624100A (ja) * 1985-07-01 1987-01-10 株式会社タツノ・メカトロニクス 給油装置
JPH01308798A (ja) * 1988-05-25 1989-12-13 Tokyo Tatsuno Co Ltd 気液分離室

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