JP2012234739A - フラットケーブルおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】絶縁材料とフッ素系樹脂フィルムとの積層体で導電体を被覆したフレキシブルフラットケーブルにおいて、接着剤を介することなく絶縁材料とフッ素系フィルムとが積層されたフレキシブルフラットケーブルを提供する。
【解決手段】絶縁層と低誘電層とが積層された第1の被覆材と、絶縁層と低誘電層とが積層された第2の被覆材と、前記第1の被覆材の絶縁層と、前記第2の被覆材の絶縁層とが対向するように、前記第1及び第2の被覆材で挟持された導電体と、を備えたフラットケーブルであって、前記絶縁体と前記低誘電層とが、電子線照射により接着剤を介することなく接着したものであり、前記第1の被覆材の絶縁体と、前記第2の被覆材の絶縁体とが、ヒートシールにより接着したものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、フラットケーブルに関し、より詳細には、接着剤を使用することなく絶縁層と低誘電層とが接着したフラットケーブルおよびその製造方法に関する。
電子機器では、電子部品どうしの電気的な接続や種々の配線のため、フラットケーブルが使用されている。このフラットケーブルは、複数の導電体を配列させたものを、接着剤を塗布したPETフィルム等で挟持して被覆した構造を有する。
近年、自動車や生活家電などは軽量化、薄型化が進み、回路基盤同士の配線などにはフレキシブルフラットケーブルが広く使われており、フラットケーブルの使われ方も多様化している。例えば、高周波用のフラットケーブルは、電磁干渉とノイズを低減するために、導電体を被覆したフィルムの外側にさらにシールド層が設けられる場合がある。このような不要輻射対策(以下、EMI対策ともいう)としてシールド層が設けられたフレキシブルフレットケーブルでは、導電体とシールド層との間の静電容量が大きくなるため、伝導体とシールド層との間を、低誘電率材料で構成することが試みられている。
例えば、特開2003−31033号公報(特許文献1)には、導電体を発泡絶縁体で被覆し、その発泡絶縁体の表面にシールド層を設けた構造のフレキシブルフラットケーブルが開示されており、このような発泡絶縁体を用いることで、絶縁体の誘電率が空気(気泡)の誘電率と複合化するため絶縁体の誘電率が低くなり、高周波特性に優れるフレキシブルフラットケーブルが得られることが提案されている。また、特開2008−198592号公報(特許文献2)には、誘電率の低い特定の材料、例えばフッ素系樹脂等で導電体を被覆したフレキシブルフラットケーブルが開示されている。
しかしながら、導電層を発泡絶縁体で挟持して被覆する際には接着剤を介在させるため、発泡絶縁体の空孔に接着剤が入り込んでしまい、絶縁体の誘電率に影響を与える場合があった。また、フッ素系樹脂フィルムは、その表面エネルギーが小さく、撥水・撥油性を有するため、他方のフィルムとの接着性が低く、使用状況によっては剥離が生じてしまう場合がある。そのため、フッ素樹脂フィルムの接着性を改善するために、フッ素樹脂フィルムの表面にプラズマ放電処理やコロナ放電処理を行って表面改質を行ったり、あるいは、特殊な粘着剤や接着剤を使用するか、または接着剤等に特殊な処理(例えば金属ナトリウム処理等)を施す必要があった。さらに、フレキシブルフラットケーブルの長期使用により接着剤自体が劣化したり、溶出する場合もあった。
ところで、放射線や電子線を用いて材料の表面改質を行うことが従来から行われている。例えば、特開2003−119293号公報(特許文献3)には、フッ素系樹脂に放射線を照射することにより架橋複合フッ素系樹脂が得られることが提案されている。また、Journal of Photopolymer Science and Technology Vol.19, No. 1 (2006), pp123-127(非特許文献1)には、ポリテトラフルオロエチレンフィルムとポリイミドフィルムとを積層させて高温下で電子線(以下、EBと略す場合もある)を照射することにより、互いを接着することが提案されている。また、Material Transactions Vol.50, No.7 (2009), pp1859-1863(非特許文献2)には、ポリカーボネート樹脂の表面をナイロンフィルムで覆い、その上から電子線(以下、EBと略す場合もある)を照射することにより、ポリカーボネート樹脂表面にナイロンフィルムを接着する技術が提案されている。さらに、日本金属学会誌第72巻第7号(2008)、pp526−531(非特許文献3)には、シリコーンゴム上に置いたナイロンフィルムの上からEBを照射することにより、互いを接着できることが記載されている。
特開2003−31033号公報 特開2008−198592号公報 特開2003−119293号公報
Journal of Photopolymer Science and Technology Vol.19, No. 1 (2006), pp123-127 Material Transactions Vol.50, No. 7(2009), pp1859-1863 日本金属学会誌第72巻第7号(2008)、pp526−531
本発明者らは、今般、絶縁材料およびフッ素系フィルムの少なくとも一方に電子線を照射することにより、ラミネート樹脂等を用いることなく、互いを強固に接着できることを見いだした。そして、このような接着剤を介することなく絶縁材料とフッ素系フィルムとが積層された材料を用いて導電体を被覆することにより、高周波特性に優れ、異物や残留溶剤等が滲出することがなく、また、耐候性にも優れるフレキシブルフラットケーブルが実現できる、との知見を得た。本発明はかかる知見によるものである。
したがって、本発明の目的は、絶縁材料とフッ素系樹脂フィルムとの積層体で導電体を被覆したフレキシブルフラットケーブルにおいて、接着剤を介することなく絶縁材料とフッ素系フィルムとが積層されたフレキシブルフラットケーブルを提供することである。
また、本発明の別の目的は、上記したフレキシブルフラットケーブルを製造する方法を提供することである。
本発明によるフラットケーブルは、絶縁層と低誘電層とが積層された第1の被覆材と、絶縁層と低誘電層とが積層された第2の被覆材と、前記第1の被覆材の絶縁層と、前記第2の被覆材の絶縁層とが対向するように、前記第1及び第2の被覆材で挟持された導電体と、を備えたフラットケーブルであって、
前記絶縁体と前記低誘電層とが、電子線照射により接着剤を介することなく接着したものであり、
前記第1の被覆材の絶縁体と、前記第2の被覆材の絶縁体とが、ヒートシールにより接着したものであることを特徴とするものである。
また、本発明の態様として、前記第1および第2の被覆材の絶縁層が、ヒートシール性ポリエステル樹脂からなることが好ましい。
また、本発明の態様として、前記第1および第2の被覆材の絶縁層が、ポリオレフィン不織布からなることが好ましい。
また、本発明の態様として、前記低誘電層がフッ素系樹脂からなることが好ましい。
また、本発明の態様として、前記前記第1および第2の被覆材の表面に、さらに金属シールド層が設けられていることが好ましい。
また、本発明の別の態様としての製造方法は、上記フラットケーブルを製造する方法であって、低誘電層の一方の面に電子線を照射し、
前記低誘電層の電子線が照射された面上に、絶縁層を重ね合わせて接着して、被覆材を形成し、
前記被覆材の絶縁層どうしが対向するように、一対の前記被覆材で導電体を挟持し、
絶縁層どうしをヒートシールして接着する、
ことを含んでなることを特徴とするものである。
また、本発明の態様として、前記低誘電層と前記絶縁層とを重ね合わせる前に、前記絶縁層の表面に電子線を照射することが好ましい。
また、本発明の別の態様として、前記低誘電層と前記絶縁層とを重ね合わせた後、押圧して接着を行うことが好ましい。
また、本発明の別の態様として、前記押圧を加熱しながら行うことが好ましい。
本発明によれば、絶縁体と低誘電層とが電子線照射により接着剤を介することなく接着されており、かつ絶縁体どうしがヒートシールにより接着されているため、ラミネート樹脂等の接着剤を一切使用しないフラットケーブルとすることができる。その結果、高周波特性に優れ、異物や残留溶剤等が滲出することがなく、また、耐候性にも優れるフレキシブルフラットケーブルを実現することができる。
本発明によるフラットケーブルの一実施形態の構成を示す模式的概略図である。
以下、本発明によるフラットケーブルを、図面を参照しながら説明する。本発明によるフラットケーブル1は、複数の導電体を同一平面内で配列した導電体列5を、絶縁層11と低誘電層12とが積層された第1の被覆材10と、絶縁層21と低誘電層22とが積層された第2の被覆材20とによって、前記第1の被覆材10の絶縁層11と、前記第2の被覆材20の絶縁層21とが対向するように挟持して両面から被覆したものである。
被覆材10(20)は、絶縁体11(21)と低誘電層12(22)とが電子線照射により接着剤を介することなく接着されたものであり、また、導電体列5を挟持する一対の絶縁体11および21は、ヒートシールにより接着剤を介することなく接着されたものである。以下、本発明によるフラットケーブルを構成する材料について、先ず説明する。
<絶縁体>
本発明によるフラットケーブルに用いられる絶縁層は、上記したようにヒートシール性を有していれば、どのような形態であってもよく、例えば、フィルム状のものや、織布または不織布等を好適に使用することができる。また、後記するように、低誘電層状に塗布することによって形成されるものであってもよい。本発明においては、電子線照射による接着のし易さの観点から、絶縁層として、ヒートシール性ポリエステル樹脂またはポリオレフィン不織布を好適に使用することができる。
ヒートシール性ポリエステル樹脂は、ガラス転移点が−20℃〜30℃と比較的低く柔軟性に富むポリエステル樹脂を主成分とし、ガラス転移点が30℃〜120℃と比較的高く耐熱性に富むポリエステル樹脂を配合したものを好適に使用することができる。このように二種のポリエステル樹脂を併用することにより、柔軟でかつ耐熱性に優れるフラットケーブル被覆材が得られる。これら二種のポリエステル樹脂の配合割合は、ガラス転移点が−20℃〜30℃のポリエステル系樹脂組成物を樹脂成分の全質量に対して80〜99質量%と、ガラス転移点が30℃〜120℃のポリエステル系樹脂組成物を樹脂成分の全質量に対して1〜20質量%とを含んでなることが好ましい。ヒートシール性ポリエステル樹脂を用いる場合、上記のようなポリエステル系樹脂組成物を低誘電層に塗布することにより絶縁層を形成することができる。この場合、樹脂層の厚みは、15〜150μm(乾燥時)程度とすることが好ましい。
また、絶縁層に使用されるポリオレフィン不織布としては、ポリオレフィン樹脂からなる繊維を不織布とすることにより得られる。ポリオレフィン樹脂としては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等の単体、または、ポリプロピレンと低密度ポリエチレンとの混合物や、ポリプロピレンと高密度ポリエチレンとの混合物からなる樹脂を用いることができるが、これらのなかでも、ポリプロピレン樹脂が好ましく使用できる。
また、ポリオレフィン不織布は、芯鞘構造を有する複合繊維からなる不織布であってもよく、例えば、芯がポリエステル樹脂やポリアミド樹脂等からなり、鞘が上記したポリオレフィン樹脂からなる複合繊維なども好適に使用することができる。
上記した樹脂からなる繊維を不織布とするには、通常用いられているローラーカード、フラットカード等のカード機を用いて、定法によりウェッブを作製する。ウェッブからの不織布の製造は、目的とする不織布の用途等に応じて熱融着法、スパンボンド法、メルトブロー法、溶剤系によるフラッシュ紡糸法などの従来公知の方法を適宜選択して行えばよい。また、交絡させた繊維どうしを熱融着させて不織布としてもよい。ポリオレフィン不織布として、市販のものを使用してもよく、例えば、エルタスシリーズ(旭化成せんい株式会社製)やエルベス(ユニチカ株式会社製)等を好適に使用することができる。
絶縁層には、必要に応じて、難燃剤、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、充填剤、滑剤等、従来公知の各種添加剤を適宜添加することができる。難燃剤としては、従来公知のものを使用でき、例えば、ヘキサブロモベンゼンや、デカブロモベンゼン等の臭素系難燃剤や、トリアリルホスフェートなどのリン化合物系、水酸化アルミ、水酸化マグネシウムなどの無機化合物系などが使用できる。光安定剤、紫外線吸収剤としては、従来公知のものを使用でき、例えば、フェノール系、リン系、ヒンダードアミン系の光吸収剤や、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸エステル系の紫外線吸収剤が使用できる。
<低誘電層>
本発明によるフラットケーブルに用いられる低誘電層は、後記するように、電子線照射により絶縁層と接着でき、かつ、機械的強度に優れ、耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性、屈曲性、絶縁性等に優れるフィルム状の基材を好適に使用することができる。このようなフィルム基材として、ポリカーボネート樹脂や、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアリレート樹脂、フッ素樹脂等からなる樹脂フィルムが挙げられる。本発明においては、これらのなかでも誘電率の低いフッ素樹脂を好適に使用することができる。
フッ素樹脂としては、フッ素を含むオレフィンを重合して得られる樹脂からなるフィルムを意味するが、他のモノマーとの共重合樹脂からなるフィルムであってもよく、例えば、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体からなるパーフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体樹脂(FEP)、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体樹脂(EPE)、テトラフルオロエチレンとエチレンとの共重合体樹脂(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂(PCTFE)、エチレンとクロロトリフルオロエチレンとの共重合体樹脂(ECTFE)、フッ化ビニリデン系樹脂(PVDF)、フッ化ビニル系樹脂(PVF)等が挙げられる。これらフッ素樹脂は、市販のものを使用してもよく、例えば、テフロン(登録商標)、テフゼル(登録商標)、カルレッツ(登録商標)、ヴァイトン(登録商標)、フルオン(登録商標)、テドラー(登録商標)、ヘイラー(登録商標)、ハイラー(登録商標)、カイナー(登録商標)、テクノフロン(登録商標)、フルオン(登録商標)、アフレックス(登録商標)等の樹脂フィルムを好適に使用することができる。
上記したフッ素樹脂フィルムは、一軸ないし二軸方向に延伸されているものでもよく、また、その厚さとしては、10〜200μm程度、特に、10〜100μm程度が好ましい。
<金属シールド層>
本発明によるフラットケーブルに用いられる金属シールド層は、電磁干渉やノイズを低減するために設けられるものであり、金属蒸着膜、金属箔、金属メッシュ等の従来公知のものを使用することができ、例えば、銀やアルミニウム等を樹脂フィルム表面に蒸着したもの、あるいは、これら金属の金属箔や金属メッシュ等を好適に使用することができる。金属シールド層の厚みは、使用する用途にもよるが、概ね数十μm程度である。
<フラットケーブルの製造方法>
次に、本発明によるフラットケーブルの製造方法について説明する。先ず、絶縁体と低誘電層とを接着して被覆材を形成する。この接着は、低誘電層の一方の面に電子線を照射し、低誘電層の電子線が照射された面上に、絶縁層を重ね合わせることにより行われる。電子線の照射によって、接着剤を用いることなく絶縁体と低誘電層とを接着できる理由は定かではないが、以下のように考えられる。
低誘電層に電子線を照射すると、低誘電層を構成している材料にラジカルが発生する。このラジカルが消失する前に、絶縁層を重ね合わせると、絶縁層を構成する材料と低誘電層を構成している材料との間に化学的な結合が形成されて、両者が接着されるものと考えられる。低誘電層であるフッ素樹脂は、表面張力が非常に小さく、また、フッ素樹脂表面には、水酸基等の水素結合に関与するような官能基も存在しないため、ヒートシールによって絶縁層(ポリエステルやポリオレフィン)と接着を行うことができず、特殊な接着剤を使用する必要があった。本発明においては、電子線を低誘電層に照射することによりラジカルを発生させて絶縁層との接着を行うため、従来のような接着剤を使用することなく、絶縁体と低誘電層とを接着できる。接着剤由来の異物や残留溶剤等が滲出することがなく、また、接着剤の影響により低誘電層の誘電率が増加してしまうことがないため、高周波特性に優れるフラットケーブルとすることができる。
電子線の照射エネルギーは、低誘電層の厚み等に応じて適宜調整する必要がある。本発明においては、20〜750kV、好ましくは25〜400kV、より好ましくは30〜300kV程度の照射エネルギー範囲で電子線を照射するが、より低い照射エネルギーとすることが好ましく、40〜200kVとすることができる。このように低い照射エネルギーとすることにより、低誘電層を構成する樹脂フィルムの劣化を抑制することができる。
電子線は、電子線照射装置を用いて照射することができ、このような電子線照射装置としては、従来公知のものを使用でき、例えばカーテン型電子照射装置(LB1023、株式会社アイ・エレクトロンビーム社製)やライン照射型低エネルギー電子線照射装置(EB−ENGINE、浜松ホトニクス株式会社製)等を好適に使用することができる。
電子線を照射する際には、酸素濃度を100ppm以下とすることが好ましい。酸素存在下で電子線を照射するとオゾンが発生するため環境に悪影響を及ぼすとともに低誘電層の表面がオゾンと反応して樹脂フィルムの表面特性が変化してしまう場合があるからである。酸素濃度を100ppm以下とするには、真空下または窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下において、フィルムに電子線を照射すればよく、例えば、電子線照射装置内を窒素充填することにより、酸素濃度100ppm以下を達成することができる。
次に、低誘電層に電子線を照射した後、すぐに、低誘電層の電子線が照射された面上に、絶縁層を重ね合わせる。絶縁層として、上記したようなポリエステル系樹脂を用いる場合には、ポリエステル系樹脂を適当な溶剤で溶解ないし分散させた樹脂組成物を、低誘電層の電子線が照射された面上に塗布した被膜を乾燥させることにより形成することができる。樹脂組成物の塗布は、例えばロールコート、リバースロールコート、グラビアコート、リバースグラビアコート、バーコート、ロッドコート、キスコート、ナイフコート、ダイコート、コンマーコート、フローコート、スプレーコートなどのコ−ティング方式を採用することができる。
低誘電層に電子線を照射してから、樹脂組成物を塗布するまでの時間は、12時間以内であるこのましい。電子線照射後、12時間以内であれば、絶縁層と低誘電層との接着力がほとんど低下しないことは、ラジカルの失活を考慮すると驚くべきことであった。一方、電子線照射から樹脂組成物の塗布までの時間が12時間を超えると、後記するように、電子線照射により発生したラジカルが失活し、絶縁層と低誘電層との接着力が弱くなる場合がある。
絶縁層としてポリオレフィン不織布等を用いる場合、低誘電層に電子線を照射した後、すぐに、低誘電層の電子線が照射された面上に、ポリオレフィン不織布等を重ね合わせることにより両者を接着することができる。この際、ローラー等を用いて、重ね合わせた低誘電層および絶縁層を押圧することが好ましい。両者の表面にはミクロレベルで凹凸があるため、互いを重ね合わせても完全に密着しておらず、接触界面での接触面積が小さい。ローラー等で重ね合わせた低誘電層および絶縁層を押圧することにより、両者の接着面での接触面積が増加するため、接着力が向上する。
押圧する際には、加熱しながら押圧することが好ましい。加熱しながら押圧することにより、絶縁層と低誘電層の柔軟性が向上し、両者の界面(接着面)での接触面積をより増加させることができるため、密着性がより向上する。加熱する温度は、使用する材料の種類にもよるが、フィルムおよび/または不織布が熱変形できる温度であればよく、例えば、フィルムや不織布を構成する樹脂のガラス転移温度以上に加熱することができる。例えば、フッ素樹脂フィルムとポリプロピレン不織布とを重ね合わせる場合には、加熱温度は80〜180℃、好ましくは100〜160℃である。例えば、ヒートローラー等を用いることにより、押圧と加熱とを同時に行うことができる。
また、低誘電層と絶縁層とを重ね合わせる前に、絶縁層の、低誘電層と重ね合わせる面側に電子線を照射しておくことが好ましい。低誘電層および絶縁層の両方に電子線を照射することにより、より接着力が向上する。
次に、被覆材の絶縁層どうしが対向するように、一対の前記被覆材で導電体列を挟持する。この状態で加熱することにより、絶縁層どうしが熱融着し、導電体列がヒートシール層中に埋め込まれて一体化したフラットケーブルが製造される。
ヒートシールの際には、加熱とともに加圧してもよい。また、加熱温度は、100〜300℃程度、好ましくは150〜250℃である。加熱時間は1〜240分間、好ましくは10〜60分間である。加熱工程は、被覆材どうしを重ね合わせて導電体列を挟持したものを一旦巻き取ってロール状とした後に、ロール状の形態で加熱してもよく、また、長尺状の積層体を所望の長さに切断して枚葉状の形態として加熱してもよい。
このようにして得られたフラットケーブルを、さらに金属シールド層で被覆してもよい。金属シールド層としては、例えば、絶縁性の樹脂フィルムの表面に、銀等の導電性金属を蒸着したものや、金属箔や金属メッシュを貼り合わせたものなどを好適に使用することができる。金属シールド層をフラットケーブルの表面に被覆するには、フラットケーブルの低誘電層の面と金属シールド層の金属層の面とが対向するようにして、接着剤を介して両者を接着してもよい。接着剤としては、ウレタン系、酢酸ビニル系、アクリル系、ゴム系等、特に制限なく使用することができる。また、金属シールド層の金属蒸着面(金属箔または金属メッシュ面)にアンカーコート剤を塗布してアンカーコート層を形成し、フラットケーブルの低誘電層とアンカーコート層とが対向するように重ね合わせ、上記と同様に電子線を照射することにより両者を接着してもよい。電子線照射により低誘電層と接着可能なアンカーコート剤としては、従来公知のポリエステル系ポリウレタン樹脂等を好適に使用することができる。
実施例1
<被覆材の作製>
低誘電層として、厚み50μmのエチレンテトラフルオロエチレンフィルム(ネオフロン、ダイキン製)を用い、絶縁層として、目付20g/m、厚み120μmのポリオレフィン系不織布(ELEVES T0203WDO、ユニチカ製)を用いた。
電子線照射装置(ライン照射型低エネルギー電子線照射装置EES−L−DP01、浜松ホトニクス株式会社製)を用いて、チャンバー内の酸素濃度が100ppm以下となるように窒素ガスでパージした後、下記の電子線照射条件により、上記したエチレンテトラフルオロエチレンフィルムおよびポリオレフィン系不織布の表面に電子線を照射した。
電圧:40kV
吸収線量:200kGy
装置内酸素濃度:100ppm以下
電子線を照射した後、試料を装置内から取り出し、すぐに両者の電子線照射面側が対向するようにして重ね合わせ、ゴム製のヒートロールにより、150℃、0.6Mpaの条件で押圧することにより被覆材を得た。
<フラットケーブルの作製>
巾0.035mm、厚さ30μmの導電体を複数本準備した。次いで、上記のようにして得られた被覆材から、巾15mm、長さ100cmの2枚のシートを切り出し、一方のシートのポリオレフィン系不織布面側に複数の導電体が等間隔となるように載置し、導電体を挟持するように、他方のシートのポリオレフィン系不織布面と重ね合わせ、130℃に加熱した金属ロ−ルとゴムロ−ルとの間を3m/minのスピ−ドで通して加熱加圧することによりポリオレフィン系不織布どうしを熱融着させることにより、フラットケーブルを得た。
実施例2
<絶縁層形成用組成物の調製>
ガラス転移点5℃のポリエステル樹脂40質量%とガラス転移点70℃のポリエステル樹脂4.5質量%と、難燃剤成分として、平均粒径2〜3μmに微粒子化したホスフィン酸アルミニウムパウダー15質量%と、フィラー成分(水酸化アルミニウム、酸化チタンとシリカ)40質量%と、さらに多官能性化合物(硬化剤)としてイソシアネート系アダクト体0.5質量%とを、メチルエチルケトン−トルエン混合溶剤(1:1の混合比)に溶解分散させて、絶縁層形成用組成物を調製した。
<被覆材の作製>
実施例1と同様にして、厚み50μmのエチレンテトラフルオロエチレンフィルム(ネオフロン、ダイキン製)の一方の面に電子線照射を行い、電子線照射後すぐに、エチレンテトラフルオロエチレンフィルムの電子線照射面に上記の絶縁層形成用組成物を、乾燥後の膜厚が35μmとなるように塗布し、乾燥させることより被覆材を得た。
<フラットケーブルの作製>
上記のようにして得られた被覆材を用いて、実施例1と同様にしてフラットケーブルを得た。
<評価>
実施例1および2のフラットケーブルから、それぞれ幅15mmの短冊状試験片を切り出し、引張試験機(テンシロン万能材料試験機RTC−1310A、ORIENTEC社製)を用いて、50mm/分の剥離速度にて、低誘電層と絶縁層の層間強度試験を行った。結果は、下記の表1に示される通りであった。
Figure 2012234739
1 フラットケーブル
3、4 金属シールド層
5 導電体列
10 第1の被覆材
20 第2の被覆材

Claims (9)

  1. 絶縁層と低誘電層とが積層された第1の被覆材と、絶縁層と低誘電層とが積層された第2の被覆材と、前記第1の被覆材の絶縁層と、前記第2の被覆材の絶縁層とが対向するように、前記第1及び第2の被覆材で挟持された導電体と、を備えたフラットケーブルであって、
    前記絶縁体と前記低誘電層とが、電子線照射により接着剤を介することなく接着したものであり、
    前記第1の被覆材の絶縁体と、前記第2の被覆材の絶縁体とが、ヒートシールにより接着したものであることを特徴とする、フラットケーブル。
  2. 前記第1および第2の被覆材の絶縁層が、ヒートシール性ポリエステル樹脂からなる、請求項1に記載のフラットケーブル。
  3. 前記第1および第2の被覆材の絶縁層が、ポリオレフィン不織布からなる、請求項1に記載のフラットケーブル。
  4. 前記低誘電層がフッ素系樹脂からなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載のフラットケーブル。
  5. 前記前記第1および第2の被覆材の表面に、さらに金属シールド層が設けられている、請求項1〜4のいずれか一項に記載のフラットケーブル。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のフラットケーブルを製造する方法であって、
    低誘電層の一方の面に電子線を照射し、
    前記低誘電層の電子線が照射された面上に、絶縁層を重ね合わせて接着して、被覆材を形成し、
    前記被覆材の絶縁層どうしが対向するように、一対の前記被覆材で導電体を挟持し、
    絶縁層どうしをヒートシールして接着する、
    ことを含んでなることを特徴とする、方法。
  7. 前記低誘電層と前記絶縁層とを重ね合わせる前に、前記絶縁層の表面に電子線を照射する、請求項6に記載の方法。
  8. 前記低誘電層と前記絶縁層とを重ね合わせた後、押圧して接着を行う、請求項6または7に記載の方法。
  9. 前記押圧を加熱しながら行う、請求項8に記載の方法。
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