JP2012232944A - α−オレフィンの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】長鎖脂肪族第一級アルコールの液相脱水反応にて、高収率かつ高選択的に長鎖α−オレフィンを製造する方法を提供する。
【解決手段】固体酸触媒の存在下、炭素数12〜24の脂肪族第一級アルコールの液相脱水反応によりα−オレフィンを製造する方法であって、前記固体酸触媒が、アンモニア昇温脱離法(NH3−TPD)により測定された全酸量のうち、脱離温度300℃以下におけるアンモニア脱離量から算出された酸量が70%以上であり、前記液相脱水反応を、沸点が230℃以上の有機溶媒の存在下で行う、α−オレフィンの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明はα−オレフィンの製造方法に関し、特に、長鎖脂肪族第一級アルコールの液相脱水反応により長鎖α−オレフィンを製造する方法に関する。
アルコールの脱水反応によるオレフィン化合物の製造方法として種々の方法が知られており、例えば、気相でのアルコールの脱水反応によるオレフィン化合物の製造方法が知られている。ここで、気相反応とは、原料アルコールの沸点以上での反応をいう。
特許文献1には、酸化ジルコニウムの存在下、反応温度300〜400℃、気相での第二級アルコールの脱水反応によるオレフィン化合物の製造方法が開示されている。また、特許文献2には、第一級アルコール又はエーテルを原料として使用し、気相条件での反応となるように反応温度を150〜350℃の範囲内で設定して、アミン共存下でアルミナ触媒を使用して気相での脱離反応を行うα−オレフィンの製造方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1又は2に記載の方法に代表される気相反応では、原料を全て気化させる必要があり、特に高沸点である長鎖脂肪族アルコールに関してはエネルギーの消費が大きく、コスト的にも不利である。更に、高温条件でのオレフィン化は、アルキル転位による分岐化及びオレフィンの多量化を併発しやすく、生成物の収率低下が問題となる。
これに対し、濃硫酸やスルホン酸等の均一系酸触媒を用いた液相反応でのアルコールの脱水によるオレフィン化合物の製造方法も知られている。なお、液相反応とは、原料アルコールの沸点以下、即ち液相が存在する温度以下での反応のことを指す。例えば特許文献3には、脱水触媒としてトリフルオロメタンスルホン酸を使用して、液相での第一級アルコールの脱水によるオレフィン化合物の製造方法が開示されている。
しかしながら、この特許文献3に記載の方法に代表される液相反応において使用される均一系酸触媒は、一般的に腐食性があり、反応器からの金属分溶出が懸念される。また廃触媒の中和処理等、コスト的に不利な点がある。更に、強酸点を有する触媒を用いたオレフィン化では、前述の高温条件下における反応と同様、アルキル転位による分岐化及びオレフィンの多量化を併発しやすく、生成物の収率低下が問題となる。
上述した理由から、固体酸触媒を用いた低温かつ液相でのアルコールの脱水によるオレフィン化が望まれている。
ところが、低温条件でのアルコールの脱水反応では、一般的に、分子間脱水が優先してエーテルが生成することが知られている。例えば特許文献4では、スルホン酸基含有イオン交換樹脂を触媒として使用して、イソプロピルアルコールを150〜300℃で反応させるジイソプロピルエーテルの製造方法が開示されている。
このように、アルコールの脱水反応は条件次第で分子内脱水及び分子間脱水の双方が並行して起こり得る。特に比較的低温でのアルコールの脱水反応では、分子間脱水によるエーテルの生成が優先することから、効率的なオレフィンの製造は困難とされている。
さらに、アルコールから脱水反応によってオレフィンを製造する際においては、生成したα−オレフィンが異性化して内部オレフィンが生成することがある。この内部オレフィンとα−オレフィンとの沸点差はごくわずかであるため蒸留等によって両者を分離することは困難であり、高純度のα−オレフィンを製造するのは困難である。
特開昭61−53230号公報 特開2003−95994号公報 特表2008−538206号公報 特開平9−157200号公報
本発明の課題は、長鎖脂肪族第一級アルコールの液相脱水反応にて、高収率かつ高選択的に長鎖α−オレフィンを製造する方法を提供することにある。なお、液相反応とは、原料アルコールの沸点以下、即ち液相が存在する温度以下での反応のことを指す。
本発明者は、アルミナやリン酸アルミニウムに代表される酸強度の弱い固体酸触媒の存在下、かつ、沸点が230℃以上の有機溶媒の存在下で、280℃以下の比較的低温で長鎖脂肪族第一級アルコールの液相脱水反応を行ったところ、生成したオレフィンの固体酸触媒への吸着率が低く、長鎖α−オレフィンが高選択的に得られることを見出した。
すなわち、本発明は、固体酸触媒の存在下、炭素数12〜24の脂肪族第一級アルコールの液相脱水反応によりα−オレフィンを製造する方法であって、前記固体酸触媒が、アンモニア昇温脱離法(NH3−TPD)により測定された全酸量のうち、脱離温度300℃以下におけるアンモニア脱離量から算出された酸量が70%以上であり、前記液相脱水反応を、沸点が230℃以上の有機溶媒の存在下で行う、α−オレフィンの製造方法を提供する。
本発明の方法によれば、長鎖脂肪族第一級アルコールの液相脱水反応にて、高収率かつ高選択的に長鎖α−オレフィンを製造することができる。本発明の方法は、酸強度の弱い固体酸触媒を用いて比較的低温で脱水反応を液相中で行うため、エネルギー消費量が少ない。
[原料アルコール]
本発明において原料として用いられるアルコールは、炭素数12〜24の脂肪族第一級アルコールである。本発明における反応温度が原料アルコールの沸点以下であることを考慮すると、原料アルコールの炭素数は、12〜20が好ましく、14〜20がより好ましく、16〜20が更に好ましい。
原料アルコールの具体例としては、1−ドデカノール、1−トリデカノール、1−テトラデカノール、1−ペンタデカノール、1−ヘキサデカノール、1−ヘプタデカノール、1−オクタデカノール、1−ノナデカノール、1−エイコサノール等が挙げられる。
これらの原料アルコールは、単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
[固体酸触媒]
本発明に用いられる固体酸触媒は、アンモニア昇温脱離法(NH3−TPD)により測定された全酸量のうち、脱離温度300℃以下におけるアンモニア脱離量から算出された酸量(弱酸量)が70%以上のものであり、弱酸量の割合が多く全体として酸強度の低い触媒である。
アンモニア昇温脱離法とは、固体触媒にアンモニアを吸着させた後、一定の昇温速度に制御して連続的に昇温させて、脱離するアンモニア量及び脱離温度を測定する方法である。固体触媒の酸点のうち弱い酸点に吸着しているアンモニアは低温で脱離し、強い酸点に吸着しているアンモニアは高温で脱離することから、触媒の酸量や酸強度を測定することができる。アンモニア昇温脱離法による測定は、例えば触媒分析装置(商品名:全自動昇温脱離装置TPD−1At、日本ベル株式会社製)を用いて行うことができる。上記の酸点の量は、ZSM−5型ゼオライト(エクソンモービルカタリスト社製、商品名:JRC−Z5−25H)のhighピーク(観測される2種のピークのうち、高温側のピーク)を0.99mmol/gとしてこれに対する相対的な量として測定する。ピークの検出は、重量スペクトルにおけるアンモニアのm/e=17のフラグメントでアンモニアを定量することにより行う。
TPD(アンモニア昇温脱離)の測定法としては、一般的に行われる測定法を用いることができる。具体的には、以下のような条件で前処理、NH3吸着処理、真空処理を順に行った後、TPD測定を行う。
前処理:ヘリウム中200℃まで20分で昇温、1時間保持
NH3吸着処理:50℃、2.7kPaで10分間NH3を吸着
真空処理:50℃、4時間処理
TPD測定:ヘリウムガスを50ml/minで流通、昇温速度5℃/minで600℃まで昇温
本発明では、測定開始から脱離温度300℃までの温度範囲におけるアンモニア脱離量から弱酸量を算出し、脱離温度300℃を超えすべてのアンモニアが脱離するまでの温度範囲におけるアンモニア脱離量から強酸量を算出し、その合計を全酸量と定義している。全酸量に対する弱酸量の割合は次式により計算される。
弱酸量の割合(%)=弱酸量(mmol/g)/全酸量(mmol/g)×100
固体酸触媒における弱酸量の割合は、80%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、93%以上が更に好ましく、95%以上が特に好ましい。上限は100%が好ましい。固体酸触媒における弱酸量の割合が高いほど、固体酸触媒の強酸点で起きるアルキル転位や二量化、異性化を抑制して、目的とするα−オレフィンの収率を向上させることができる。
固体酸触媒における弱酸量は、前述の固体酸触媒における弱酸量の割合を満たし、かつその絶対量は0.01mmol/g以上が好ましく、0.05mmol/g以上がより好ましく、0.1mmol/g以上が更に好ましい。
本発明に用いることができる固体酸触媒は、弱酸量の割合が70%以上のものであれば特に限定されないが、好ましい具体例としてはアルミナやリン酸アルミニウム等を挙げることができる。
固体酸触媒の使用量は、特に制限されるものではないが、反応速度の観点から、懸濁床反応においては、原料アルコールに対して0.1〜200重量%が好ましく、0.5〜100重量%がより好ましく、1〜50重量%が更に好ましい。本発明の方法は比較的低温で反応を行うため触媒の使用量を増加させても副反応の併発は見られず、触媒量を増減させることで反応時間を適宜調整することができる。
[有機溶媒]
本発明に用いられる有機溶媒は、沸点が230℃以上の有機溶媒である。本発明の方法において、有機溶媒を使用することでα−オレフィンを高収率かつ高選択的に製造できるメカニズムについては完全には明らかにされていないが、本発明に用いられる有機溶媒は、生成したα−オレフィンが固体酸触媒に吸着するのを妨げる希釈剤としての作用を奏するものであると考えられる。本願発明は、有機溶媒の存在下で反応を行うことで、α−オレフィンが内部オレフィンに異性化されるのを抑制でき、α−オレフィンを高選択的に製造することができる。
有機溶媒の沸点は、α−オレフィンの選択性の観点から、好ましくは250〜450℃、より好ましくは270〜400℃である。なお、本発明における沸点は、1atmにおける標準沸点を意味する。
本発明に用いられる有機溶媒としては、反応温度において液体であり、基質及び生成物と相溶し、かつ反応を阻害しないものであれば特に限定されず、混合物であってもよい。また、反応後、沸点差を利用して生成物と分離できるものが好ましい。
本発明に用いられる有機溶媒としては、飽和脂肪族炭化水素、不飽和脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素系有機溶媒が好ましい。
飽和脂肪族炭化水素としては、直鎖状、分岐状又は環状のいずれでもよい。
飽和脂肪族炭化水素の具体例としては、トリデカン(沸点:234℃)、ヘキサデカン(沸点:287℃)、オクタデカン(沸点:316℃)、エイコサン(沸点:343℃)、ドコサン(沸点:369℃)、トリアコンタン(沸点:450℃)、スクアラン(沸点:350℃)等の化合物が挙げられる。
また、飽和脂肪族炭化水素としては、流動パラフィン(沸点:300℃〜)や、ナフテン系炭化水素、イソパラフィン系炭化水素のような混合物であってもよい。イソパラフィン系炭化水素の市販品として、例えば、アイソゾール(商品名、JX日鉱日石エネルギー株式会社製)、IPソルベント(商品名、出光興産株式会社製)等を使用することができる。また、固形パラフィンのように、常温において固体であるが反応温度において液体であるものも使用することができる。
また、飽和脂肪族炭化水素としては、オリゴマーを使用することもできる。そのようなオリゴマーとして、例えば、α−オレフィンオリゴマー(Ineos社製、商品名:シルクフロー)、イソブテンオリゴマー(日油株式会社製、商品名:パールリーム23)等が挙げられる。
不飽和脂肪族炭化水素としては、直鎖状、分岐状又は環状のいずれでもよい。
不飽和脂肪族炭化水素の具体例としては、エイコセン(炭素数20、沸点:330℃)、ヘンイコセン(炭素数21)、ドコセン(炭素数22)、トリコセン(炭素数23)、スクアレン(炭素数30、沸点:335℃)等の化合物が挙げられる。不飽和脂肪族炭化水素は混合物であってもよい。
芳香族炭化水素の具体例としては、n−ドデシルベンゼン(沸点:288℃)、n−トリデシルベンゼン、n−テトラデシルベンゼン(沸点:359℃)、n−ペンタデシルベンゼン(沸点:373℃)、n−ヘキサデシルベンゼン、ジイソプロピルナフタレン(沸点:279℃)等が挙げられる。
[オレフィン化反応]
本発明の方法における反応はアルコールの脱水縮合反応であり、副生した水が系内に滞留すると反応速度が低下するおそれがある。したがって、反応速度向上の観点から、撹拌下、通常0.03〜0.09MPa程度の減圧下又は常圧で反応系内に窒素を導入し、生成する水を系外に除去しながら反応を行うことが好ましい。
反応温度は、反応速度の観点及びアルキル転位や多量化等の副反応抑制の観点から、原料アルコールの沸点以下であり、240〜300℃が好ましく、250〜290℃がより好ましく、260〜280℃が更に好ましい。
反応時間としては、目的とするα−オレフィンの収率の観点から、アルコール転化率及び反応中間体であるエーテルの転化率がそれぞれ好ましくは95%以上、より好ましくは97%以上、更に好ましくは98%以上になるような時間であることが好ましい。そのような反応時間は、反応温度、有機溶媒の種類、並びに固体酸触媒の種類やその使用量等によって変動し得るが、懸濁床反応においては、好ましくは0.1〜20時間程度、より好ましくは0.5〜10時間程度、更に好ましくは1〜5時間程度である。固定床反応においては、LHSV(液空間速度)0.1〜5.0/hが好ましく、0.2〜3.5/hがより好ましく、0.3〜2.0/hが更に好ましい。
本発明の方法においてα−オレフィンを高収率かつ高選択的に製造できるメカニズムは完全には明らかにされていないが、以下のように考えられる。
本発明の方法では、酸強度の弱い固体酸触媒を用いて比較的低温で行うアルコールの脱水反応であることから、まず分子間脱水によりエーテルが生成する。アルコール共存下においては、エーテルからのオレフィン化速度が遅いため、アルコールがほぼ完全に転化するまでは高収率でエーテルが生成する。そして、アルコールが消費された後にはエーテルからのオレフィン化が進行するが、生成したα−オレフィンが有機溶媒によって希釈されて、固体酸触媒に吸着するα−オレフィン量が減少する。これにより、α−オレフィンが内部オレフィンに異性化されるのを抑制し、α−オレフィンを高選択的に生成することが可能となる。
このように、本発明の方法では、原料アルコールから一度エーテルを経由してα−オレフィンを生成しているため反応に若干の時間を要するが、酸強度の弱い固体酸触媒及び希釈剤としての有機溶媒の存在下において低温で反応させているため、アルキル転位による分岐化及びオレフィンの多量化を併発しにくく、かつ、オレフィンの異性化を抑制できるという利点がある。更に脱水反応を液相で行うことができるため、エネルギー消費量を少なく済ませることができる。しかも、触媒量を増加させても副反応の併発は見られないことから、反応時間の問題は触媒量の調整により回避可能である。
本発明の製造方法によれば、アルコール転化率及び反応中間体であるエーテルの転化率が通常80%以上、好ましくは90%以上に達し、しかもα−オレフィンの収率は、通常90%以上となる。またα−オレフィンに含まれる分岐オレフィン及び二量化体の生成率は、それぞれ通常5%以下となる。
本発明の製造方法によれば、直鎖状の長鎖α−オレフィンを、好ましくは70%以上、より好ましくは75%以上の高選択率で製造することができる。
本発明においては、上記のようにして得られた反応生成物から、α−オレフィンのみを蒸留精製することにより、純度95%以上のα−オレフィンを得ることができる。
この純度95%以上のα−オレフィンは、有機溶剤、柔軟剤、サイズ剤等の原料又は中間原料として有用である。
実施例1
撹拌装置付きフラスコに、1−オクタデカノール(商品名:カルコール8098、花王株式会社製、沸点:336℃)25.0g(0.19モル)、固体酸触媒としてγ−アルミナ(水澤化学工業(株)製、商品名:Neobead GB−45、粉末)0.75g(原料アルコールに対して3.0重量%)、有機溶媒としてスクアラン25.0g(原料アルコールに対して100重量%)を仕込み、撹拌下、280℃にて窒素を系内に流通させながら(窒素流通量:50mL/min)、4.5時間、反応を行った。なお、固体酸触媒として用いたγ−アルミナについて、あらかじめ触媒分析装置(商品名:全自動昇温脱離装置TPD−1At、日本ベル株式会社製)を用いてアンモニア昇温脱離法により以下の測定条件で弱酸量の割合を測定したところ93%であった。
<測定条件>
(前処理)
TPD測定用セル内に0.10g精秤したγ−アルミナを、ヘリウム中200℃まで20分で昇温、1時間保持した。
(NH3吸着処理)
前処理したγ−アルミナを用いて、50℃、2.7kPaで10分間NH3を吸着させた。
(真空処理)
NH3吸着処理後のγ−アルミナを、50℃、10-6Paで4時間、TPD測定用セル内で真空処理して物理吸着しているアンモニアを脱離させた。
(TPD測定)
前記触媒分析装置に真空処理後のγ−アルミナを配置し、該装置内にヘリウムを50ml/minで流通させ、昇温速度5℃/minで600℃まで昇温した。酸点の量は、ZSM−5型ゼオライト(エクソンモービルカタリスト社製、商品名:JRC−Z5−25H)のhighピーク(観測される2種のピークのうち、高温側のピーク)を0.99mmol/gとしてこれに対する相対的な量として決定した。
反応終了後の溶液はヘキサンにより希釈した後、ガスクロマトグラフ分析装置(商品名:HP6890、HEWLETT PACKARD社製)、[カラム:Ultra ALLOY−1キャピラリーカラム30.0m×250μm(商品名、フロンティア・ラボ株式会社製)、検出器:水素炎イオン検出器(FID)、インジェクション温度:300℃、ディテクター温度:350℃、He流量:4.6mL/分]を用いて分析し、生成物を定量した。
その結果、アルコール転化率が100%のときにおけるα−オレフィンの選択率は78%であった。
なお、アルコール転化率、α−オレフィン収率、及びα−オレフィン選択率は、以下の式により算出した。
アルコール転化率(%)=100−[残存アルコール量(モル)/原料アルコール仕込み量(モル)]×100
α−オレフィン収率(%)=[α−オレフィン量(モル)/原料アルコール仕込み量(モル)]×100
α−オレフィン選択率(%)=[α−オレフィン量(モル)/全オレフィン量(モル)]×100
反応条件及び結果を表1にまとめて示す。
実施例2〜9及び比較例1〜2
反応条件を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして反応を行い、測定を行った。反応条件及び結果を表1にまとめて示す。
Figure 2012232944
有機溶媒を用いなかった比較例1では、直鎖α−オレフィンの選択率は60%と低かった。また、弱酸量の割合が67%の触媒を用いた比較例2では、直鎖α−オレフィンの選択率はわずか3%と低く、α−オレフィンが内部オレフィンに異性化していた。
これに対し、実施例1〜9では、いずれも目的とする直鎖α−オレフィンを高収率かつ高選択的に製造することができた。
以上の結果から明らかなように、本発明の方法によれば、長鎖脂肪族第一級アルコールの液相脱水反応にて、高収率かつ高選択的に長鎖α−オレフィンを製造することができる。
本発明によれば、高収率かつ高選択的にα−オレフィンを製造することができる。得られたα−オレフィンは、有機溶剤、界面活性剤、繊維油剤、柔軟剤、化粧品、医薬品、潤滑油等の分野における直接又は中間原料として有用である。より具体的には、例えば、シャンプー、リンス、トリートメント、コンディショナー等の毛髪用化粧料、皮膚用化粧料、シャワー浴剤等の成分として、クリーム、ゲル、ローション、溶液、エマルジョン等の形態で使用することができる。

Claims (6)

  1. 固体酸触媒の存在下、炭素数12〜24の脂肪族第一級アルコールの液相脱水反応によりα−オレフィンを製造する方法であって、前記固体酸触媒が、アンモニア昇温脱離法(NH3−TPD)により測定された全酸量のうち、脱離温度300℃以下におけるアンモニア脱離量から算出された酸量が70%以上であり、前記液相脱水反応を、沸点が230℃以上の有機溶媒の存在下で行う、α−オレフィンの製造方法。
  2. 前記有機溶媒が炭化水素系有機溶媒である、請求項1に記載のα−オレフィンの製造方法。
  3. 前記固体酸触媒が、アルミナ又はリン酸アルミニウムである、請求項1又は2に記載のα−オレフィンの製造方法。
  4. 前記脂肪族第一級アルコールの炭素数が16〜20である、請求項1〜3のいずれかに記載のα−オレフィンの製造方法。
  5. 前記固体酸触媒の使用量が、前記脂肪族第一級アルコールに対して1〜50重量%である、請求項1〜4のいずれかに記載のα−オレフィンの製造方法。
  6. 前記液相脱水反応の反応温度が240〜300℃である、請求項1〜5のいずれかに記載のα−オレフィンの製造方法。
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