JP2012230892A - 空気電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】正極触媒を含む正極21、負極22、正極21に空気を補給する空気補給口201、及び負極22を支持する面(上面)23aを有する拡散部材23が設けられた本体部2Aと、電解液3と、本体部2Aに電解液3を循環させる循環手段(貯留部4、送液手段5及び配管6)とを備え、負極22は、負極補給口202から本体部2Aに連続的に補充可能とされ、電解液3が拡散部材23の内部を通過して、負極22の拡散部材23により支持される面(底面)22aに到達可能とされた空気電池1。
【選択図】図1
Description
空気中の酸素を正極活物質として使用可能なため、空気電池本体の大部分は負極で構成できる。そのため、他の電池と比べて高エネルギー密度の電池が得られるという利点を有する。
また、従来のアルミニウム空気電池の電解液としては、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化アルミニウム(AlCl3)、塩化マンガン(II)(MnCl2)などの電解質を水に溶解させた中性水溶液、又は水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)などの電解質を水に溶解させたアルカリ性水溶液が用いられている。
一方、アルカリ性水溶液を電解液として用いた場合には、動作電圧および電流効率が高いものの、電池が無負荷な状態におけるアルミニウム合金の腐食(いわゆる、自己腐食)、すなわち自己放電が大きいという問題点があった。
前記空気電池においては、前記拡散部材が、前記電解液と反応しない多孔質絶縁材料からなることが好ましい。
前記空気電池においては、前記多孔質絶縁材料がジルコニアであることが好ましい。
前記空気電池においては、前記本体部内の電解液が前記負極補給口側で外部から遮蔽された、遮蔽構造が設けられていることが好ましい。
前記空気電池においては、前記遮蔽構造が、前記本体部内で前記負極と前記本体部との間を封止した第一のパッキングを有することが好ましい。
前記空気電池においては、前記第一のパッキングが、さらに前記拡散部材に接して配置されていることが好ましい。
前記空気電池においては、前記遮蔽構造が、さらに前記本体部内で前記負極と前記本体部との間を封止した第二のパッキングを有することが好ましい。
前記空気電池においては、前記第一のパッキングと、前記第二のパッキングとの間の空隙部に、前記負極と反応しない気体又は液体が封入されていることが好ましい。
前記空気電池においては、前記第一のパッキング及び第二のパッキングのいずれか一方又は両方が、O字状であることが好ましい。
前記空気電池においては、前記負極が角柱状又は円柱状であることが好ましい。
前記空気電池においては、前記負極がアルミニウム又はアルミニウム合金からなることが好ましい。
前記空気電池においては、前記負極がアルミニウム合金からなり、前記アルミニウム合金が下記条件を満たすことが好ましい:
マグネシウムの含有量が0.0001〜8質量%であり、
下記(a)及び(b)の少なくとも一方を満たし、
(a)鉄の含有量が0.0001〜0.03質量%
(b)ケイ素の含有量が0.0001〜0.02質量%
且つ、アルミニウム、マグネシウム、ケイ素及び鉄以外の元素の含有量が、それぞれ0.005質量%以下である。
前記空気電池においては、前記アルミニウム合金における、アルミニウム及びマグネシウム以外の元素の含有量の合計値が0.1質量%以下であることが好ましい。
前記空気電池においては、前記負極がアルミニウム合金からなり、前記アルミニウム合金が、合金マトリックス中に金属間化合物粒子を含み、前記合金の表面において観察される前記金属間化合物粒子のうち、表面積が0.1μm2以上100μm2未満の粒子の密度が1000個/mm2以下であり、100μm2以上の粒子の密度が10個/mm2以下であり、且つ、前記合金の表面単位面積あたりの前記金属間化合物粒子の占有面積が、0.5%以下であることが好ましい。
前記空気電池においては、前記電解液が、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化バリウム及び水酸化マグネシウムからなる群より選ばれる一種以上の電解質を含有する水溶液であることが好ましい。
前記空気電池においては、前記正極触媒が、二酸化マンガン又は白金を含むことが好ましい。
前記空気電池においては、前記正極触媒が、一般式「ABO3」で表されるペロブスカイト型複合酸化物を含むことが好ましく、Aはランタン、ストロンチウム及びカルシウムからなる群より選ばれる二種以上の元素を含むことが好ましく、Bはマンガン、鉄、クロム及びコバルトからなる群より選ばれる一種以上の元素を含むことが好ましい。
前記空気電池においては、前記空気補給口から補給された空気のうち、酸素を透過させて前記酸素を前記正極に到達させる酸素選択透過膜が設けられていることが好ましい。
前記空気電池においては、前記酸素選択透過膜の表面に対する前記電解液の接触角が90°以上であることが好ましい。
前記空気電池においては、前記接触角が150°以上であることが好ましい。
前記空気電池においては、前記酸素選択透過膜の酸素選択係数が、400×10−10cm3・cm/cm2・s・cmHg以上であることが好ましい。
前記空気電池においては、前記酸素選択透過膜の酸素/二酸化炭素の選択透過性が、0.15以上であることが好ましい。
図1は、本発明に係る空気電池の第一の実施形態を例示する概略構成図である。
ここに示す空気電池1は、本体部2Aと、電解液3と、電解液3が充填された貯留部4と、電解液3を送液する送液手段5と、配管6と、を備える。本体部2A、貯留部4及び送液手段5は、配管6により相互に接続され、送液手段5の作動時に、本体部2Aに電解液3が連続的に供給(循環)可能となっている。すなわち、貯留部4、送液手段5及び配管6は、空気電池1において、本体部2Aに電解液3を循環させるための循環手段として機能する。図1においては、説明を判り易くするために、本体部2Aの一部のみ断面表示している。
負極22は、本体部2Aの上部に開口された負極補給口202より、本体部2Aの内部に挿入され、本体部2Aの内表面203の凸部によってガイドされると共に、拡散部材23の上面23aによって、底面22aにおいて支持されている。このように、負極22は、本体部2Aにおいて、着脱可能に配置されている。また、負極補給口202より外側に位置する負極22の表面には、負極リード24の一端が接触して配置され、その他端は螺子25によって本体部2Aの上面に固定されている。負極リード24の固定方法は、ここに示す螺子留め以外の方法でもよい。
また、本体部2Aの側面には、内部の負極22の配置部位に接続するように、二つの第二のノズル262,262が設けられている。これら第二のノズル262,262を、開放又は閉塞することで、本体部2Aの内部を外部に対して開放又は遮断するように調節できる。開放時には、例えば、第二のノズル262を介して外部から洗浄液を供給することで、本体部2Aの内部を洗浄できる。また、電解液3の循環時に、第二のノズル262を介して外部から加圧することで、負極22の配置部位への電解液3の漏れを抑制できる。
好ましい正極集電体21aとしては、ステンレス等の合金製の材料が例示できる。
好ましい正極触媒層21bとしては、アセチレンブラック等の導電材と、二酸化マンガン(MnO2)又は白金(Pt)等の酸素還元触媒(正極触媒)と、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の結着剤とを含有する材料が例示できる。また、正極触媒として一般式「ABO3」で表されるペロブスカイト型複合酸化物を含む材料も例示できる。かかる複合酸化物は、Aサイトにランタン、ストロンチウム及びカルシウムからなる群より選ばれる二種以上の元素を含み、Bサイトにマンガン、鉄、クロム及びコバルトからなる群より選ばれる一種以上の元素を含む。
拡散部材23は、多孔質体等、電解液3が内部を通過可能な構造を有し、その材料は、絶縁性を有し、且つ電解液3と反応しない材料であればよく、好ましくはジルコニア(二酸化ジルコニウム、ZrO2)が例示できる。
拡散部材23の多孔度は、特に限定されないが、強度を損なうことなく、後述するように電解液3に効率よく乱流を生じさせるためには、30〜70%であることが好ましい。多孔度の下限値としては、35%以上がより好ましく、40%以上がさらに好ましい。多孔度の上限値としては、65%以下がより好ましく、60%以下がさらに好ましい。
拡散部材23の大きさは、負極22の大きさや電解液3の送液量等を考慮して適宜調節すればよい。例えば、厚さは、負極22の拡散部材23との接触面である底面22a(拡散部材23により支持される面)の面積が20〜180mm2である場合には、2〜8mmであることが好ましい。上記厚さは3mm以上であることがより好ましく、4mm以上であることがさらに好ましい。また、上記厚さは7mm以下であることがより好ましく、6mm以下であることがさらに好ましい。上面23aの面積は、負極22の前記底面22aの面積に対して2〜6倍であることが好ましい。負極22の前記底面22aの面積に対する、上面23aの面積の下限値として、3倍以上がより好ましい。また、上限値として、5倍以下であることがより好ましく、4倍以下であることがさらに好ましい。
(a)鉄の含有量が0.0001〜0.03質量%
(b)ケイ素の含有量が0.0001〜0.02質量%。
また、(iii)前記アルミニウム合金は、アルミニウム、マグネシウム、ケイ素及び鉄以外の元素の含有量が、それぞれ0.005質量%以下であることが好ましい。
本発明において、前記アルミニウム合金は、前記(i)〜(iii)のいずれか一つ以上を満たすことが好ましく、前記(i)〜(iii)をすべて満たすことがより好ましい。前記(i)〜(iii)をすべて満たす場合、前記アルミニウム合金は、さらに、アルミニウム及びマグネシウム以外の元素の含有量の合計値が0.1質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以下であることがより好ましく、0.01質量%以下であることがさらに好ましい。下限値としては、0.0001質量%以上が好ましい。前記アルミニウム合金における各元素の含有量は、例えば、発光分光分析装置、グロー放電質量分析装置等により測定できる。
前記マグネシウムの含有量は、0.001質量%以上であることがより好ましく、0.005質量%以上であることがさらに好ましい。また、前記マグネシウムの含有量は、7質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましい。
前記鉄の含有量は、0.0005質量%以上がより好ましく、0.001質量%以上がさらに好ましい。また、前記鉄の含有量は、0.02質量%以下がより好ましく、0.01質量%以下がさらに好ましい。
前記ケイ素の含有量は、0.0005質量%以上がより好ましく、0.001質量%以上がさらに好ましい。また、前記ケイ素の含有量は、0.01質量%以下がより好ましく、0.005質量%以下がさらに好ましい。
前記アルミニウム、マグネシウム、ケイ素及び鉄以外の元素の含有量は、それぞれ0.002質量%以下がより好ましく、0.001質量%以下がさらに好ましい。また、前記アルミニウム、マグネシウム、ケイ素及び鉄以外の元素の含有量は、それぞれ0質量%でもよい。
また、(vi)合金の表面単位面積あたりの前記金属間化合物粒子の占有面積は、0.5%以下であることが好ましい。合金の表面における前記金属間化合物粒子の占有面積は、例えば、電子顕微鏡等により合金の表面を観察することで測定できる。
本発明において、前記アルミニウム合金は、前記(iv)〜(vi)のいずれか一つ以上を満たすことが好ましく、前記(iv)〜(vi)をすべて満たすことがより好ましい。
前記金属間化合物粒子のうち、前記表面積が0.1μm2以上100μm2未満の粒子の密度は、800個/mm2以下であることがより好ましく、700個/mm2以下であることがさらに好ましい。また、前記表面積が0.1μm2以上100μm2未満の粒子の密度は、0個/mm2でもよい。
前記金属間化合物粒子のうち、前記表面積が100μm2以上の粒子の密度は、7個/mm2以下であることがより好ましく、5個/mm2以下であることがさらに好ましい。また、前記表面積が100μm2以上の粒子の密度は、0個/mm2でもよい。
前記合金の表面単位面積あたりの前記金属間化合物粒子の占有面積は、0.3%以下ことがより好ましく、0.1%以下であることがさらに好ましい。また、前記合金の表面単位面積あたりの前記金属間化合物粒子の占有面積は、0.001%以上であることが好ましい。
前記中性水溶液としては、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化アルミニウム(AlCl3)、塩化マンガン(II)(MnCl2)等の電解質を含有する水溶液が例示できる。
前記アルカリ性水溶液としては、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化リチウム(LiOH)、水酸化バリウム(Ba(OH)2)、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)等の電解質を含有する水溶液が例示できる。
電解液3の電解質は、一種のみでもよいし二種以上でもよい。二種以上である場合、その組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
送液手段5としては、液体を送液し得る手段であればよく、通常の送液ポンプが使用できる。
配管6は、電解液3と反応しない材料から構成されていればよく、貯留部4と同様の材料でよい。
前記酸素選択透過膜の材料は公知の材料でよく、特に限定されないが、好ましい材料として、シリコーン等のシロキサン結合を主骨格として有する有機ケイ素化合物が例示できる。
図4は、本発明に係る空気電池の第二の実施形態における本体部を例示する概略断面図である。
ここに示す本体部2Bは、図1に示す本体部2Aにおいて、開口部を有するO(オー)字状(リング状)である第一のパッキング271が内部に装着され、第一のパッキング271により、負極22と本体部の内表面203との間が封止された構成を持つ。「O字状」とは、開口部を見下ろすように平面視した時の第一のパッキング271の形状を指し、長半径と短半径から計算される扁平率が−5°〜5°程度のズレを許容し、そのズレは−3°〜3°であることが好ましく、−1°〜1°であることがより好ましい。
ここで、負極22の外周面に沿って拡散部材23の上部に設けられ、第一のパッキング271が装着された空隙部を、第一の空隙部と称し、符号204Aを付す。この点以外は、本体部2Bは、図1に示す本体部2Aと同じである。第二の実施形態の空気電池は、本体部2Aに代えて本体部2Bを備えていること以外は、空気電池1と同じである。
ここに示す本体部2Cは、図4に示す本体部2Bにおいて、第一の空隙部204Aの形状が異なり、第一のパッキング271が、さらに拡散部材23に接して配置された構成を持つ。ここでは、第一のパッキング271の下部が、拡散部材23の上面23aに密着した例を示している。拡大断面図にも示すように、ここでは、負極22の外周面のうち、拡散部材23近傍の最下部22bにおいては、第一のパッキング271が密着し、この部位への電解液3の接触が抑制される。その結果、電解液3は、負極22に対して、その底面22a(拡散部材23により支持される面)のみに接触するようになり、放電が底面22aのみで起こるので、底面が優先的に消費され、使用中の負極22の形状をより安定して保持できる。
第三の実施形態の空気電池は、本体部2Aに代えて本体部2Cを備えていること以外は、空気電池1と同じである。
ここに示す本体部2Dは、図5に示す本体部2Cにおいて、内部に第一のパッキング271以外に、さらにO(オー)字状のリングである第二のパッキング272が装着され、第二のパッキング272により、負極22と本体部の内表面203との間が封止された構成を持つ。ここで、負極22の外周面に沿って、第一の空隙部204Aの上部に設けられ、第二のパッキング272が装着された空隙部を、第二の空隙部と称し、符号204Bを付す。
第二のパッキング272は、第一のパッキング271と同様の材料であり、第一のパッキング271と同じでもよいし、異なってもよい。
第四の実施形態の空気電池は、本体部2Aに代えて本体部2Dを備えていること以外は、空気電池1と同じである。
[製造例1]
導電材としてアセチレンブラックと、酸素還元触媒として電解MnO2と、結着剤としてPTFE粉末とを混合し(アセチレンブラック:電解MnO2:PTFE=10:10:1、質量比)、混合物を得た。得られた混合物を直径15mm、厚さ0.3mmとなるように成形した後、ステンレスメッシュ製の正極集電体(直径30mm、厚さ0.1mm)上に圧着した。また、正極集電体の端部には、外部接続用のニッケルリボン端子(縦50mm、横3mm、厚さ0.20mm)を接続した。以上により、図3(a)に示す第一の積層体を作製した。
次いで、得られた第二の積層体を、開口部を有するリング状のゴム製板2枚で挟み込んで圧着し、図3(c)に示す正極(1)を作製した。
ポリフッ化ビニリデン製多孔質膜に代えて、酸素選択透過膜を用いたこと以外は、製造例1と同様の方法で正極(2)を作製した。酸素選択透過膜は、電解液の接触角が105°であるシリコーン膜(アズワン社製「シリコンフィルム」、厚さ0.1mm)で、酸素選択係数(PO2)は620×10−10cm3・cm/cm2・s・cmHgで、酸素/二酸化炭素の選択透過性は0.20であった。
[製造例3]
高純度アルミニウム(純度:99.999%以上)を750℃で溶融し、マグネシウム(純度:99.99%以上)を溶融アルミニウム中に加えて、マグネシウムの含有量が2.5質量%であるアルミニウム−マグネシウム合金溶湯を得た。
次いで、得られた合金溶湯を、750℃で2時間、真空度50Paの条件で保持することにより清浄化した。
次いで、150℃の鋳鉄鋳型(22mm×150mm×200mm)を用いて合金溶湯を鋳造し、鋳塊を得た。
次いで、得られた鋳塊を以下の条件で溶体化処理した。すなわち、鋳塊を室温(25℃)から430℃まで50℃/時の速度で昇温し、430℃で10時間保持した。引き続き、500℃まで50℃/時の速度で昇温し、500℃で10時間保持した。その後、500〜200℃まで300℃/時の速度で冷却した。
次いで、溶体化処理した鋳塊の6面を2mm面削加工した後、直径10mm、長さ196mmのアルミニウム円柱に加工した。その後、長さ30mmに切断して、アルミニウム合金からなる負極(1)を作製した。負極(1)のアルミニウム(Al)以外の元素の含有量を、発光分光分析装置を用いて測定した。測定結果を表1及び2に示す。
マグネシウムを加えなかったこと以外は、製造例3と同様の方法で、直径10mm、長さ30mmのアルミニウム(アルミニウム純度:99.999%)からなる負極(2)を作製した。負極(2)のアルミニウム(Al)以外の元素の含有量を、グロー放電質量分析装置を用いて測定した。測定結果を表1及び2に示す。
高純度アルミニウムに代えて、純度が99%のアルミニウムを用いたこと以外は、製造例4と同様の方法で、直径10mm、長さ30mmのアルミニウム(アルミニウム純度:99%)からなる負極(3)を作製した。負極(3)のアルミニウム(Al)以外の元素の含有量を、発光分光分析装置を用いて測定した。測定結果を表1及び2に示す。
[実施例1]
図1と同じ構成の空気電池(1)を製造した。正極として正極(1)を、負極として負極(1)を、電解液として濃度が1.0モル/Lの水酸化カリウム水溶液を、拡散部材としてジルコニア製円板(直径20mm、厚さ5.0mm、多孔度50%)を、貯留手段として1000mLのポリプロピレン製容器を、送液手段として送液ポンプを、配管としてポリプロピレン製チューブを、それぞれ用いた。
本体部2Aに代えて、図4に示す本体部2Bを用いたこと以外は、実施例1と同様に空気電池(2)を製造した。第一のパッキングとしては、NOK社製「ZF型オイルシール(部品番号AZ0264E0)」を用いた。
本体部2Aに代えて、図5に示す本体部2Cを用いたこと以外は、実施例1と同様に空気電池(3)を製造した。第一のパッキングとしては、NOK社製「ZF型オイルシール(部品番号AZ0264E0)」を用いた。
本体部2Aに代えて、図6示す本体部2Dを用いたこと以外は、実施例1と同様に空気電池(4)を製造した。第一及び第二のパッキングとしては、NOK社製「ZF型オイルシール(部品番号AZ0264E0)」を用いた。
本体部2Dにおいて、正極(1)に代えて正極(2)を用いたこと以外は、実施例4と同様に空気電池(5)を製造した。
本体部2Dにおいて、負極(1)に代えて負極(2)を用いたこと以外は、実施例5と同様に空気電池(6)を製造した。
本体部2Dにおいて、負極(1)に代えて負極(3)を用いたこと以外は、実施例5と同様に空気電池(7)を製造した。
本体部2Dにおいて、負極(1)に代えて負極(2)を用いたこと以外は、実施例4と同様に空気電池(8)を製造した。
本体部2Dにおいて、負極(1)に代えて負極(3)を用いたこと以外は、実施例4と同様に空気電池(9)を製造した。
本体部2Aにおいて、拡散部材に代えて、側面に直径1mmの2つの孔を有するリング状のスペーサー(外径20mm、厚さ4mm、孔径(内径)12mm)の2つの孔に、円柱状の支持部材(直径1mm、長さ7mm)が挿入された構成を用いたこと以外は、実施例1と同様に空気電池(1R)を製造した。
上記で製造した空気電池を、充放電試験機(東洋システム社製「TOSCAT−3000U」)に接続し、23.55mA(負極に対して、30mA/cm2)で定電流放電(CC放電)を行う。電解液の送液量は0.5g/分とする。充放電試験機は、電池電圧が0.5V以下になると放電が停止するように設定する。以下の手順で空気電池の性能試験を行う。
実施例1の空気電池(1)の性能試験1を行う。この時、放電開始から90時間経過後に、別途未使用の負極(1)を補充する。
その結果、後述する試験例8よりも、負極が脱落しにくい。
実施例2の空気電池(2)の性能試験1を行う。この時、5時間毎に負極(1)をその上部から加圧することで拡散部材に押しつける(放電での消失により生じたスペースを埋め合わせる)こと以外は、試験例1と同様にして性能試験を行う。また、放電開始から90時間経過後に、別途未使用の負極(1)を補充する。
その結果、後述する試験例8よりも、負極が脱落しにくい。
試験例2と同様にして、実施例3の空気電池(3)の性能試験1を行う。この時、放電開始から90時間経過後に、別途未使用の負極(1)を補充する。
その結果、後述する試験例8よりも、負極が脱落しにくい。
試験例2と同様にして、実施例4の空気電池(4)の性能試験1を行う。この時、放電開始から90時間経過後に、別途未使用の負極(1)を補充する。
その結果、後述する試験例8よりも、負極が脱落しにくい。
試験例2と同様にして、実施例5の空気電池(5)の性能試験1を行う。この時、放電開始から90時間経過後に、別途未使用の負極(1)を補充する。
その結果、後述する試験例8よりも、負極が脱落しにくい。
試験例5と同様にして、実施例6の空気電池(6)の性能試験1を行う。この時、放電開始から50時間経過後に、別途未使用の負極(2)を補充する。
その結果、後述する試験例8よりも、負極が脱落しにくい。
試験例5と同様にして、実施例7の空気電池(7)の性能試験1を行う。
その結果、後述する試験例8よりも、負極が脱落しにくい。
試験例2と同様にして、比較例1の空気電池(1R)の性能試験1を行う。
上記で製造した空気電池を、それぞれソーラーモーターに接続し、20mA(負極に対して、25.5mA/cm2)相当で放電試験を行った。電解液の送液量は0.5g/分とした。ソーラーモーターの回転が停止する時間を確認した。
実施例4の空気電池(4)の性能試験2を行ったところ、放電開始から8時間経過後もソーラーモーターは回転していた。また、後述する試験例12よりも、負極が脱落しにくい。
実施例8の空気電池(8)の性能試験2を行ったところ、放電開始から60分後にソーラーモーターが停止した。負極のアルミニウムを確認したところ正極触媒に対向している面が白色になっていた。この白色化は、アルミニウムの酸化を示す。また、後述する試験例12よりも、負極が脱落しにくい。
実施例9の空気電池(9)の性能試験2を行ったところ、放電開始から10分後にソーラーモーターが停止した。負極のアルミニウムを確認したところ正極触媒に対向している面が白色になっていた。この白色化は、アルミニウムの酸化を示す。また、後述する試験例12よりも、負極が脱落しにくい。
比較例1の空気電池(1R)の性能試験2を行ったところ、放電開始から30分後にソーラーモーターが停止した。負極のアルミニウムを確認したところ正極触媒に対向している面は平らではなく白色になっていた。この白色化は、アルミニウムの酸化を示す。
Claims (22)
- 正極触媒を含む正極、負極、及び前記負極を支持する面を有する拡散部材が設けられた本体部と、
前記正極に空気を補給する空気補給口と、
電解液と、
前記本体部に前記電解液を循環させる循環手段と、
を備えた空気電池であって、
前記負極は、負極補給口から前記本体部に連続的に補充可能とされ、
前記電解液が前記拡散部材の内部を通過して、前記負極の前記拡散部材により支持された面に到達可能とされた空気電池。 - 前記拡散部材が、前記電解液と反応しない多孔質絶縁材料からなる請求項1に記載の空気電池。
- 前記多孔質絶縁材料がジルコニアである請求項2に記載の空気電池。
- 前記本体部内の電解液が前記負極補給口側で外部から遮蔽された、遮蔽構造が設けられている請求項1〜3のいずれか一項に記載の空気電池。
- 前記遮蔽構造が、前記本体部内で前記負極と前記本体部との間を封止した第一のパッキングを有する請求項4に記載の空気電池。
- 前記第一のパッキングが、さらに前記拡散部材に接して配置されている請求項5に記載の空気電池。
- 前記遮蔽構造が、さらに前記本体部内で前記負極と前記本体部との間を封止した第二のパッキングを有する請求項4〜6のいずれか一項に記載の空気電池。
- 前記第一のパッキングと、前記第二のパッキングとの間の空隙部に、前記負極と反応しない気体又は液体が封入されている請求項7に記載の空気電池。
- 前記第一のパッキング及び第二のパッキングのいずれか一方又は両方が、O字状である請求項5〜8のいずれか一項に記載の空気電池。
- 前記負極が角柱状又は円柱状である請求項1〜9のいずれか一項に記載の空気電池。
- 前記負極がアルミニウム又はアルミニウム合金からなる請求項1〜10のいずれか一項に記載の空気電池。
- 前記負極がアルミニウム合金からなり、前記アルミニウム合金が下記条件を満たす請求項11に記載の空気電池:
マグネシウムの含有量が0.0001〜8質量%であり、
下記(a)及び(b)の少なくとも一方を満たし、
(a)鉄の含有量が0.0001〜0.03質量%
(b)ケイ素の含有量が0.0001〜0.02質量%
且つ、アルミニウム、マグネシウム、ケイ素及び鉄以外の元素の含有量が、それぞれ0.005質量%以下である。 - 前記アルミニウム合金における、アルミニウム及びマグネシウム以外の元素の含有量の合計値が0.1質量%以下である請求項12に記載の空気電池。
- 前記負極がアルミニウム合金からなり、前記アルミニウム合金が、合金マトリックス中に金属間化合物粒子を含み、
前記合金の表面において観察される前記金属間化合物粒子のうち、表面積が0.1μm2以上100μm2未満の粒子の密度が1000個/mm2以下であり、100μm2以上の粒子の密度が10個/mm2以下であり、
且つ、前記合金の表面単位面積あたりの前記金属間化合物粒子の占有面積が、0.5%以下である請求項11〜13のいずれか一項に記載の空気電池。 - 前記電解液が、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化バリウム及び水酸化マグネシウムからなる群より選ばれる一種以上の電解質を含有する水溶液である請求項1〜14のいずれか一項に記載の空気電池。
- 前記正極触媒が、二酸化マンガン又は白金を含む請求項1〜15のいずれか一項に記載の空気電池。
- 前記正極触媒が、一般式「ABO3」で表されるペロブスカイト型複合酸化物を含み、Aはランタン、ストロンチウム及びカルシウムからなる群より選ばれる二種以上の元素を含み、Bはマンガン、鉄、クロム及びコバルトからなる群より選ばれる一種以上の元素を含む請求項1〜15のいずれか一項に記載の空気電池。
- 前記空気補給口から補給された空気のうち、酸素を透過させて前記酸素を前記正極に到達させる酸素選択透過膜が設けられている請求項1〜17のいずれか一項に記載の空気電池。
- 前記酸素選択透過膜の表面に対する前記電解液の接触角が90°以上である請求項18に記載の空気電池。
- 前記接触角が150°以上である請求項19に記載の空気電池。
- 前記酸素選択透過膜の酸素選択係数が、400×10−10cm3・cm/cm2・s・cmHg以上である請求項18〜20のいずれか一項に記載の空気電池。
- 前記酸素選択透過膜の酸素/二酸化炭素の選択透過性が、0.15以上である請求項18〜21のいずれか一項に記載の空気電池。
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