JP2007095438A - 燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】
燃料電池電源を携帯情報機器或いはポータブル機器に搭載する、又は、携帯用の二次電池充電電源として使用する場合には、A)燃料供給のための補機動力を必要とせず、B)如何なる姿勢の運転も可能で、C)簡便な操作で燃料補給が可能で、D)液体燃料のクロスリーク及びクロスオーバーが少なく、E)高出力密度,高エネルギー密度で、F)高い安全性と信頼性を実現する液体燃料直接型燃料電池を提供することを目的とする。
【解決手段】
液体燃料を酸化するアノードと、酸素を還元するカソードと、前記アノードと前記カソードの間に形成される固体高分子電解質膜とを有する燃料電池において、多孔質のアノードに対向して毛管力によって液体燃料輸送路を形成する連続した細孔と液体保持力を持たない連続した細孔で構成された多孔質体を用い、アノードで生じる毛管負圧によって液体燃料を供給することを特徴とする燃料電池。
【選択図】図3

Description

固体高分子膜電解質型燃料電池発電 (PEM−FC:Polymer Electrolyte Membrane
Fuel Cell)システムは一般的に固体高分子電解質膜の両面に多孔質のアノード及びカソードを配した単位電池を直列及び必要に応じて並列に接続した電池,燃料容器,燃料供給装置と空気又は酸素供給装置から構成される。特に液体燃料を用いるDMFCのような燃料電池を携帯機器用電源として用いるためには、より出力密度の高い電池を目指して電極触媒の高性能化,電極構造の高性能化,燃料クロスオーバー(浸透)の少ない固体高分子膜の開発などの努力が払われているとともに、燃料ポンプや空気ブロアの小型化の極限技術追求,燃料供給ポンプ,空気供給ブロアなどの補機動力を必要としないシステムも追求されている。このような補機動力を低減あるいは必要としない発電構造に関する提案として、液体燃料輸送動力を必要としない、所謂パッシブ型電源として特許文献1が開示されている。
特開2000−268835号公報
燃料電池電源を携帯情報機器或いはポータブル機器に搭載する、又は、携帯用の二次電池充電電源として使用する場合には、A)燃料供給のための補機動力を必要とせず、B)如何なる姿勢の運転も可能で、C)簡便な操作で燃料補給が可能で、D)液体燃料のクロスリーク及びクロスオーバーが少なく、E)高出力密度,高エネルギー密度で、F)高い安全性と信頼性を実現する液体燃料直接型燃料電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来技術の課題を克服すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に説明する全姿勢で運転が可能な燃料供給システムとそれを用いた燃料電池電源システムを発明するに至った。即ち、液体燃料を酸化するアノードと、酸素を還元するカソードと、前記アノードと前記カソードの間に形成される固体高分子電解質膜とを有する燃料電池において、多孔質のアノードに対向して毛管力によって液体燃料輸送路を形成する連続した細孔と液体保持力を持たない連続した細孔で構成された多孔質体を用い、アノードで生じる毛管負圧によって液体燃料を供給することを特徴とする燃料電池。より好ましくは、液体燃料を酸化するアノードと、酸素を還元するカソードと、前記アノードと前記カソードの間に形成される固体高分子電解質膜とを有する燃料電池において、多孔質のアノードに対向して毛管力によって液体燃料輸送路を形成する連続した細孔と液体保持力を持たない連続した細孔で構成された多孔質体を有する燃料電池であって、該燃料電池に毛管力を持った空気交換部を有することを特徴とする燃料電池とすることによって開発課題が解決される。
本発明は、液体を直接燃料とする燃料電池において、多孔質材料を用いて、着脱可能な燃料カートリッジから燃料電池電源のアノードまでを多孔質材料の毛管力によって液体燃料輸送路を形成し、アノードでの発電による燃料消費で発生する毛管負圧で燃料供給することにより、補機動力を必要とせず、如何なる姿勢の運転も可能で、簡便な操作で燃料補給が可能で、運転することが可能となり、燃料漏れの無い高い安全性と信頼性を持った燃料電池電源を提供することができる。
又、アノードに対向して用いられる吸い上げ構造体を液体輸送にかかわる連続した細孔構造部分とアノードで発生するガス成分を輸送する連続した細孔部分とから構成し、液体輸送細孔の半径よりもガス輸送細孔の半径を大きく採ることによって、ガスによる電極反応場の閉塞が無く高性能な電池運転が可能となり、発電に伴う吸い上げ部の圧力上昇が無く、液体燃料のクロスリークを少なくすることができる。併せて、吸い上げ部が上記した2元細孔構造であるため、液体燃料のMEAに対する実質的接触面積が減少するために燃料のクロスオーバーを少なくし、高出力密度,高エネルギー密度で運転することが可能となる。特に、吸い上げ部の材料に弾性を持たせることによって、MEAは全面にわたって、しかも長期に安定して均一に押し圧を受けることが可能となるために、電源の内部抵抗低減が可能となり、電源の出力向上を図ることができる。
又、多孔質の空気交換部を電池本体に設け、バブルプレッシアーバリアとすることによって燃料電池からの液漏れが無く、特に複雑な制御手段を必要とせず、燃料カートリッジから安定に燃料を供給することが可能となる。
又、アノードに対面する吸い上げ部を収納する燃料電池の壁面に複数のピンホールを設けることによって、アノード近傍で発生するガスを液漏れなく排出することが可能になり、ピンホールの開口面積を必要最小限にすることによって、燃料電池外部からの空気拡散を抑えて、アノードの性能低下を最小限にすることができる。更に、該ピンホールを多孔質の気液分離膜でシールすることによって、本発明になる燃料電池電源が強い衝撃を受けたときにも燃料の漏れ出しを防ぐことができる。
以下に本発明に係る実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
本実施の形態に用いられるメタノールを液体燃料とする燃料電池では、以下に示す電気化学反応でメタノールの持っている化学エネルギーが直接電気エネルギーに変換される形で発電される。アノード側では供給されたメタノール水溶液が(1)式にしたがって反応して炭酸ガスと水素イオンと電子に解離する。
CH3OH+H2O → CO2+6H++6e- …(1)
生成された水素イオンは電解質膜中をアノードからカソード側に移動し、カソード電極上で空気中から拡散してきた酸素ガスと電極上の電子と(2)式に従って反応して水を生成する。
6H++3/2O2+6e- → 3H2O …(2)
従って発電に伴う全化学反応は(3)式に示すようにメタノールが酸素によって酸化されて炭酸ガスと水とを生成し、化学反応式はメタノールの火炎燃焼と同じになる。
CH3OH+3/2O2 → CO2+3H2O …(3)
単位電池の開路電圧は概ね1.2Vで燃料が電解質膜を浸透する影響で実質的には0.85〜1.0V であり、特に限定されるものではないが実用的な負荷運転の下での電圧は
0.2〜0.6V程度の領域が選ばれる。従って実際に電源として用いる場合には負荷機器の要求にしたがって所定の電圧が得られるように単位電池を直列接続して用いられる。単電池の出力電流密度は電極触媒,電極構造その他の影響で変化するが、実効的に単電池の発電部面積を選択して所定の電流が得られるように設計される。また、適宜、並列に接続することで電池容量を調整することが可能である。
以下に本実施の形態にかかる燃料電池の実施例を詳細に説明する。
図1に本実施例にかかる電源システムの構成を示す。電源システムは、燃料電池1,燃料カートリッジ2,出力端子3及び排気用ピンホール4から構成されている。電池出力は直流/直流変換器5を介して負荷機器に電力を供給する方式をとっており、燃料電池1,燃料カートリッジタンク2の燃料残量,直流/直流変換器5などの運転時及び停止時の状況にかかわる信号を得て、直流/直流変換器5を制御し、必要に応じて警告信号を出力するように設定された制御器6をもって電源システムが構成されている。また、制御器6は、必要によっては電池電圧,出力電流,電池温度などの電源の運転状態を負荷機器に表示することができ、燃料カートリッジタンク2の残量が諸定置を下回る状況になった場合、或いはカソード側の空気拡散量などが所定の範囲から外れた場合には、直流/直流変換器5から負荷への電力供給を停止するとともに音響,音声,パイロットランプ又は文字表示などの異常警報を駆動する。正常運転時においても燃料カートリッジタンク2の燃料残量信号を受けて、負荷機器に燃料残量表示が出来る。
図2に本発明による一実施例による燃料電池の部品構成を示す。燃料電池における燃料保持部は、燃料室枠12とその内部に収納される液体燃料吸い上げ構造体14によって形成される。その一方の面に、カレントコレクタ,出力端子3とMEA(Membrane
Electrode Assembly:膜電極接合体)とが一体化された発電デバイス11が、カソード端板13aによって挟持され、燃料保持部と発電デバイス11はガスケット19によってシールされる。更に、もう一方の燃料保持部の面には、上記と同じ発電デバイス11が、筐体機能を持ったもう一方のカソード端板13bによって挟持され、更に、発電デバイス
11と燃料保持部はガスケット19によってシールされ、全体をネジ18によって、面内の押し圧が均一になるように締め付け、実装する構造をとっている。燃料室枠12には、輸送用中芯15とガス排気用ピンホール4が設けられている。
カソード端板13a,13bの面には、発電デバイス11のカソード面に作られたのと同期した空気拡散のためのカソードスリット16が設けられている。一方、図示されていないが、発電デバイス11のアノード面には燃料供給用のアノードスリット17が設けられており、燃料吸い上げ構造体14に供給,保持された液体燃料が毛管力によってアノードに供給される。
図3には、本発明による液体燃料吸い上げ材構造体14を備えた燃料室枠12によって構成される燃料供給システムの概要を示す。燃料室枠12内には燃料吸い上げ構造体14が収納され、該枠体にはカートリッジ用コネクタ25が設けられ、ここに、燃料輸送用中芯22を持ち、液体燃料21が充填された燃料カートリッジ2が装着されている。カートリッジ用コネクタ25は、燃料カートリッジ2の燃料輸送用中芯22と接合できるように、燃料吸い上げ構造体14と接合された輸送用中芯23がオス型のコネクタ構造となるように構成されている。カートリッジ用コネクタ25には、空気孔24が設けられており、輸送用中芯23と空気孔24で燃料の供給に伴って生ずる燃料カートリッジ2内の負圧を調整し,燃料供給を安定化するための空気交換部を構成している。即ち、アノードの燃料消費によって燃料カートリッジ2内から液体燃料が供給されると、燃料カートリッジ内は負圧になり、そのままではやがて負圧によって燃料供給ができなくなる。このとき、空気孔24からの空気進入をシールしていた輸送用中芯23の毛管力がカートリッジ内の負圧によって破られ、空気が輸送用中芯23,燃料輸送用中芯22を通して燃料カートリッジ内に供給され負圧状態が解消される。その結果、カートリッジ内は再び供給可能な圧力バランスに回復し、安定に燃料供給が継続されることになる。ここでは、空気交換部を燃料電池のカートリッジ用コネクタ25に設ける実施例を示しているが、本発明の主旨とするところはこれに限定されること無く、後述するように燃料カートリッジ2に空気交換部を設ける燃料供給システムも含む。又、燃料室枠12には1つ以上の排気用ピンホール4が設けられ、燃料室で発生したガスを排気する機能を持っている。
燃料供給システムの基本構成は、燃料吸い上げ材に接合されるアノードの毛細管,吸い上げ構造体14の毛細管,輸送用中芯,空気孔で構成される空気交換部の毛細管によって構成され、これらが連続する液体燃料輸送経路を形成し、アノード部で燃料消費によって発生する毛管負圧によって燃料カートリッジ内の燃料が輸送される。ここで、アノードの毛管力をPA 、吸い上げ部の毛管力をPC 、該空気交換部の毛管力をPF とし、各毛細管材料の表面が親水的であるとき、
F≦PC<PA
の関係が成立すれば、燃料カートリッジに充填された液体燃料は空気交換部を構成している輸送用中芯23に吸収され、これが、より毛管力の強い燃料吸い上げ構造体14に移動し、更に、アノード電極の細孔へと移動して行き連続した燃料輸送経路が形成される。又、空気交換部の毛管力と燃料吸い上げ構造体14の毛管力が実質的に同じであってもこの燃料輸送経路は形成される。ここでは、毛管力PF ,PC ,PA それぞれの多孔質構造体の低部を液体燃料に浸漬して計測される平衡吸い上げ高さとして定義する。これらの部材の微細孔によって連続する液輸送経路が形成されれば、アノード電極の毛細管内の液体燃料が発電によって消費されて発生する毛管負圧によって燃料が輸送される。このとき、燃料カートリッジ内に設けられた燃料輸送用中芯22は、空気交換部を構成する輸送用中芯23の毛管力と同じか、それ以下の毛管力を持った材料であれば良く特に限定は無い。燃料輸送用中芯22がカートリッジ内を図4に図示したように貫通する構造を持たせることによって、燃料電池を図示した姿勢に対して転地逆方向にしても、中芯22の毛管力によって充填された液体燃料を実質的に全てを使い切ることができる。
ここで別な観点でみると、該多孔質構造体と液体燃料の接触角θC 、及び平均細孔半径rC が、
θF≧θC>θA
F≧rC>rA
を同時に、或いは何れかを満たす関係を選択することで毛管力による連続した燃料輸送経路が形成される。ここで、θF ,θA はそれぞれ空気交換部の材料と液体燃料の接触角,アノード材料と液体燃料の接触角、rF ,rA はそれぞれ空気交換部、アノードの平均細孔径を示す。
次に、燃料カートリッジ2を燃料電池1から取り外したとき、排気孔4,空気孔24から衝撃等によって燃料漏れをさせないための最低限の制約条件は、吸い上げ構造体14の液体燃料輸送路を形成する連続した細孔の有する毛管力PC が、
O+ρgh≦PC≦PA
の関係を満足するように選定されると良い。
ここで、衝撃等の外部から加えられる圧力はPO 、液体燃料の粘度はρ、重力加速度はg、多孔質体に保持された液体燃料のヘッド差をh、PA は多孔質アノードの毛管力を示す。又、液体燃料輸送路を形成する連続した細孔の平均細孔半径rC が、
2σcosθC/(PO+ρgh)≧rC≧rA(cosθC/cosθA
の関係を満たすことによって衝撃等による燃料電池からの液漏れを防止することができる。ここで、液体燃料の界面張力はσ,θC ,θA はそれぞれ多孔質体と液体燃料の接触角、アノードと液体燃料の接触角、rA はアノードの平均細孔半径を示す。
更に、排気用ピンホール4を撥水性多孔質膜でシールして気液分離する方法は液漏れを2重に防止する意味で有効な方法であると言える。
次に、本発明による燃料電池に用いられる吸い上げ構造体14の特性に関して以下に詳しく述べる。燃料室内では、液体燃料の供給と発電に伴ってアノード電極で発生する炭酸ガスの排出を同時に成立させる必要がある。従って、本発明の主旨は、燃料輸送にかかわる連続した細孔群と液体燃料の表面張力によって閉塞することなく、アノード室内で発生した気相成分を排気,輸送するための比較的半径の大きい、或いは撥水性の連続した細孔群とで構成される2元構造或いは親水性細孔と撥水性細孔と言う2元機能を持った構造体とするところにある。こうすることによって、アノード室内で発生した気相成分は、比較的大きな連続細孔或いは撥水性を持った連続細孔を経由して排気用ピンホール4から電池外へ排気され、比較的小さな連続細孔或いは親水性の連続細孔を経由して液体燃料が輸送される。
次に本発明による燃料供給システムに用いられる材料について詳しく説明する。吸い上げ構造材14に用いられる材料は、構造体として安定な強度を有し、電池環境下での腐食に耐えられ、メタノール水溶液に対する溶出成分を持たない材料であれば特に限定は無い。燃料室枠材料は、電池構造を支える材料の一部として、強度,耐食性などの特性を備えた多孔質材料であれば特に限定は無く、パルプなどの天然繊維材料,高分子などからなる多孔質材料,合成繊維から構成される多孔質材料,セラミックス或いは金属などから構成される多孔質材料などを用いることができる。特に、高い剛性が期待できるセラミックス,金属管化合物,金属などの多孔質体又は、特定の弾性を持った金属多孔質体は有効な材料である。このとき、アノード電極は、一般に炭素二次粒子で構成される1〜50μm半径の細孔と数十ナノ半径の一次粒子で構成される細孔からなっているので、前記した平均細孔径に関する制限条件から、吸い上げ構造体14の燃料輸送用の細孔半径は平均で50〜250μmとなるように設計され、一方、ガス輸送用の細孔は、液体燃料の表面張力で閉塞しない500μm以上の平均半径を持つように設計,製造される。このような細孔半径は、一義的ではなく、用いられる吸い上げ材料と液体燃料の接触角や液体燃料の粘度との関係において選択されることは言うまでも無い。
次に、燃料吸い上げ構造体14まで燃料カートリッジ2内の燃料を輸送する機能と、空気交換部を構成する機能を持った輸送用中芯23に用いられる材料は、構造体として安定な強度を有し、電池環境下での腐食に耐えられ、メタノール水溶液に対する溶出成分を持たない材料であれば特に限定は無く、パルプ等の天然繊維,高分子などからなる多孔質材料,合成繊維から構成される多孔質材料,セラミックス或いは金属などから構成される多孔質材料などを用いることができる。中でも、多様な構造に対応するために、可撓性を持つ、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリエステル,ポリエチレンテレフタレートなどの単糸を束ねた材料,綿糸などのセルロース等の天然繊維或いはナイロン,テトロン,ポリエチレン,ポリプロピレン,アクリル系,ポリウレタン系,ポリフェニレン系,ポリエステル,ポリエチレンテレフタレート合成繊維の撚り糸で構成された多孔質体、又は、連続孔を有する発泡性ポリマー材料などは好ましい材料ということができる。この空気交換部の機能を担う中芯の平均細孔半径は、50〜500μmの範囲で設計,製作される。50μm以下の細孔半径の場合には、アノード電極細孔半径との差が小さく、燃料消費に伴う液体燃料の吸引力も小さく、輸送抵抗も大きくなり不利であり、500μm以上では液体燃料を細孔内で連続的に保持することが困難となり、液漏れの原因となって燃料輸送は不可能となってしまう。この場合にも、細孔半径は、一義的に決定されるのではなく、用いられる中芯材料と液体燃料の接触角或いは液体燃料の粘度との関係において選択されることは言うまでも無い。燃料カートリッジ内に用いられる液体燃料輸送用中芯22は、上記した燃料室内に用いられた輸送用中芯23と実質的に同じ物で良いが、特にこれに限定されること無く別な材料を用いることも可能である。このとき、用いられる液体燃料輸送用中芯22の持つ細孔半径は、50〜500μmの範囲で選択され、輸送用中芯23の持つ細孔半径と同等以上とすることによって、カートリッジ内の液体燃料は安定的にアノード電極に向かって輸送される。
このように、本発明による燃料電池電源の燃料供給システムは複数の多孔質材料の組み合わせによって燃料輸送経路が形成され、発電に伴うアノードでの燃料消費によって発生する毛管負圧で安定的に燃料を輸送する構成になっているのが特徴である。異なる多孔質材料を接合するとき、接合面で、液の移動抵抗が大きくなるのを防ぐ目的で、その接合面に可撓性に優れたセルロース,ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリエステル,ポリウレタン,ポリエチレンテレフタレートなどの繊維状多孔質材,高分子製の海綿状の多孔質材料を補助輸送材として介在させることは有効な方法である。
燃料室枠12に用いられる材料は、実質的に絶縁性を有し、電池構造を支える強度と運転環境下における耐食性を持つ材料であれば特に限定は無いが、高密度塩化ビニル,高密度ポリエチレン,高密度ポリプロピレン,エポキシ樹脂,ポリエーテルエーテルケトン類,ポリエーテルスルフォン類,ポリ−カーボネート或いはこれらをガラス繊維強化したものを用いると良い。また、炭素板や鋼,ニッケル、その他軽量なチタン,アルミニウム,マグネシウムなどの金属及び合金材料、或いは、銅−アルミニウムなどに代表される金属間化合物や各種のステンレススチールを用い、表面を不導体化する方法や樹脂を塗布して絶縁化する方法を用いることが出来る。
図4に本発明による発電デバイス11を構成する複合集電体31の構造と構成を示す。複合集電体31は、スリット36を有する複数の導電性集電板32を集電板32に同期してスリット36を設けた樹脂フィルム34で図3A−A′断面に示すような構造で密着された構造となっている。各集電板は、組み立て時に面内に配置される複数のMEAが直列に接続するためのインターコネクタ33及び外部に電気を取り出す出力端子3がそれぞれ機密に埋め込まれた構造となっている。
集電板32に用いられる材料は特に限定はないが、炭素板やステンレススチール,チタン,タンタルなどの金属、或いはこれらと他の金属からなる合金系板、又、これらの金属系材料と他の金属例えば、炭素鋼,ステンレススチール,銅,ニッケル等のクラッドなどの複合材料な集電板の通電接触部に耐食性貴金属をメッキすることや、導電性炭素塗料などを塗布して実装時の接触抵抗を低減することは電池の出力密度向上と長期性能安定性の確保には有効である。
複合集電体31に用いられる樹脂フィルム34は、発電環境において安定で、耐熱性があり、且つ、一定の寸法安定性があれば特に限定は無く、塩化ビニル,ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリイミド類,エポキシ樹脂,ポリエーテルエーテルケトン類,ポリエーテルスルフォン類,ポリ−カーボネートなどを用いることができる。
図5(a)に本発明に用いられる複数の構成からなるMEA40の構造を示す。複数の構成からなるMEA40は、電解質膜41の対応する両面に複数の電極として、アノード42a,カソード42cが接合される。
ここで、発電部を構成するアノード触媒としては炭素系粉末担体に白金とルテニウムの混合金属或いは白金/ルテニウム合金の微粒子を分散担持したもの、カソード触媒としては炭素系担体に白金微粒子を分散担持したものは容易に製造,利用できる材料である。触媒の主成分である白金の炭素粉末に対する担持量は一般的には50wt%以下が好ましく、活性の高い触媒或いは炭素担体上への分散の改善によっては30wt%以下でも高い性能の電極を形成することが可能である。電極中の白金量は、アノード電極42aでは0.5〜5mg/cm2、カソード電極42cでは0.1〜2mg/cm2が好ましい。
しかしながら本発明による燃料電池のアノード及びカソードの触媒は通常の直接形メタノール燃料電池に用いられるものであれば特定の触媒組成に制限されるものではなく用いることができ、性能の高い触媒ほど触媒量を削減でき電源システムの低コスト化に有効である。
電解質膜には水素イオン導電性材料を用いると大気中の炭酸ガスの影響を受けることなく安定な燃料電池を実現できる。このような材料としてポリパーフルオロスチレンスルフォン酸,パーフルオロカーボン系スルフォン酸などに代表されるスルフォン酸化したフッ素系ポリマーやポリスチレンスルフォン酸,スルフォン酸化ポリエーテルスルフォン類,スルフォン酸化ポリエーテルエーテルケトン類などの炭化水素系ポリマーをスルフォン化した材料或いは炭化水素系ポリマーをアルキルスルフォン酸化した材料を用いることができる。これらの材料を電解質膜として用いれば一般に燃料電池を80℃以下の温度で作動することができる。また、タングステン酸化物水和物,ジルコニウム酸化物水和物,スズ酸化物水和物などの水素イオン導電性無機物を耐熱性樹脂若しくはスルフォン酸化樹脂にミクロ分散した複合電解質膜等を用いることによって、より高温域まで作動する燃料電池とすることもできる。特にスルフォン酸化されたポリエーテルスルフォン類,ポリエーテルエーテルスルフォン類或いは水素イオン導電性無機物を用いた複合電解質類は、ポリパーフルオロカーボンスルフォン酸類に比較して燃料のメタノール透過性の低い電解質膜として好ましい。いずれにしても水素イオン伝導性が高く、メタノール透過性の低い電解質膜を用いると燃料の発電利用率が高くなるため本実施例の効果であるコンパクト化及び長時間発電をより高いレベルで達成することができる。
本発明によるMEAの調製方法について、その一例について以下に説明するが、特に開示した方法に限定されることは無い。即ち、上記で調製された触媒を重量で10部秤量し、これにバインダーとして4〜7重量部となるように、予めアルコール水溶液系溶媒に溶解した上程で添加する。これをボールミル,ミキサー,スターラーなどを用いて電極用インクを調製する。バインダーとするスルフォン酸化樹脂は、用いる電解質膜と接合性或いは相溶性のあるスルフォン酸化樹脂を用いるのが好ましい。調製された電極用インクを電解質膜に接合する方法としては、スクリーン印刷,スプレーコーター,インクジェットコーターやロールプロセスを用いた転写法などを採用することができる。これらの接合方法には特別な限定は無く、それぞれの方法に関して、電極のミクロ構造において、電極触媒の利用率が最も高くなるような電子伝導ネットワーク,イオン伝導ネットワーク,反応物及び生成物拡散抵抗が形成されるように、インク固形物濃度,粘度,分散などのパラメータ,温度,乾燥速度,プレス圧などの条件を選択して調整される。
図5(b),(c)には、本発明に用いられるカソード拡散層43c及びアノード拡散層43aの構造の概略を示す。カソード拡散層43cは、撥水性を強くした撥水層45と基板44cから構成されており、撥水層45がカソード42cと接するように積層され、アノード拡散層43aは基板44aからなり、アノード42aの面接触に関しては特に限定は無い。カソード拡散層43c,アノード拡散層43aの基板44c,44aには導電性で多孔質な材料が用いられる。一般的には炭素繊維の織布或いは布織布、例えば、炭素繊維織布としてはカーボンクロス(トレカクロス:東レ製)やカーボンペーパー(東レ製:TGP−H−060)などを用いられる。カソード拡散層43cの撥水層45は炭素粉末と撥水性微粒子,撥水性フィブリル又は撥水性繊維、例えば、ポリテトラフルオロエチレンなどを混合して構成される。より詳細に説明すれば、カーボンペーパー(東レ製:
TGP−H−060)を所定の寸法に切り出し、予め吸水量を求めた後、このカーボンペーパーを焼付け後の重量比が20〜60wt%となるように希釈したポリテトラフルオロカーボン/水分散液(D−1:ダイキン工業社製)に漬し、120℃で約1時間乾燥し、更に、空気中、270〜360℃の温度で0.5 〜1時間焼き付け操作をする。次に、炭素粉末(XC−72R:キャボット社製)に対して10〜60wt%となるようにポリテトラフルオロカーボン/水分散液を加えて混練する。ペースト状になった混練物を上記のように撥水化されたカーボンペーパーの一方の面に厚みが10〜30μmとなるように塗布する。これを120℃で約1時間乾燥した後、270〜360℃で0.5 〜1時間、空気中で焼成してカソード拡散層43cが得られる。カソード拡散層43cの通気性及び透湿性、即ち、供給酸素及び生成水の拡散性は、ポリテトラフルオロエチレンの添加量,分散性,焼き付け温度に大きく依存するので、燃料電池の設計性能,使用環境などを考慮して適正な条件が選定される。アノード拡散層70は導電性と多孔質の条件を満たす炭素繊維の織布或いは布織布、例えば、炭素繊維織布としてはカーボンクロス(トレカクロス:東レ製)やカーボンペーパー(東レ製:TGP−H−060)などの材料は好適なものである。アノード拡散層43aの機能は、水溶液燃料の供給と生成された炭酸ガスの速やかな散逸を促進するものであるため、上記した炭素多孔質板を親水性樹脂を分散する方法や、酸化チタンなどに代表される強い親水性を有する方法は、燃料電池の出力密度を高めるために有効な方法である。又、アノード拡散層43aは、上記した材料に限定されること無く、実質的に電気化学不活性な金属系材料(例えば、ステンレススチール繊維不織布,多孔質体,多孔質なチタン,タンタルなど)を用いることも出来る。
図6に上記で開示した方法で調製されたMEA40とカソード拡散層43c,アノード拡散層43aとで構成されるMEAの構成及び断面構造を示す。各拡散層は、予めMEA調製に用いたバインダーを電極周辺部に塗布して冷間プレス或いはホットプレス等で一体化しておく方法は生産性を高める上で有効な方法である。
以上、ここでは、電極層を電解質膜に接合した後で拡散層を配置する方法を開示したが、これに限定されること無く、各拡散層にアノード触媒,カソード触媒を塗布しておき、これを電解質膜とホットプレス接合する方法も有効である。特に、室温近傍を燃料電池作動領域に選択する場合には、高温作動型に比較して最適電極厚さが大きくなるために、電極層内にも撥水性物質を分散させる場合には有効な調整方法と言える。
図7に本発明によって調製された発電デバイス11外観と断面構成を示す。発電デバイス11は、集電板32を樹脂モールドした可撓性を持った複合集電体31の一方の集電板32に接するようにMEAを配置し、接着性シール材46で挟んで可撓性を持った複合集電体31のもう一方の面を折り返して挟む方式で構成されている。この方式によって発電デバイス11単独で複数のMEA40で構成される発電部位を直列に接続し、アノード,カソード間がシールされた出力端子を備えた構造体として一体化されているのが特徴である。このとき、MEAのフランジ部となっている電解質膜を挟んで、折り返した可撓を持った複合集電体31の面とを接合するシール材は、特に限定は無いが、電気化学的に安定で、メタノールに対する実質的な溶解性,膨潤性を持たない材料であれば良く、合成ゴムなどシート,各種の液状シーラント材などの公知のガスケット材料などが用いられる。特に熱接着性を持ったブチルゴム系の熱接着性シートは、高い平面性を維持し、電解質膜などにダメージを与えない温度で融着する特性をもっており、好ましい材料である。
図8(A)には、本発明による燃料電池1と燃料カートリッジ2を結合するカートリッジ用コネクタ25のオス型コネクタと燃料カートリッジ2のメス型コネクタ構造の概要を示す。カートリッジ用コネクタ25は、燃料電池1の燃料室枠12の一部に設けられ、一部が開口したケースに収められた燃料輸送用中芯15がオス型コネクタとして機能する。又、該カートリッジ用コネクタ25の一部に、空気交換機能を有する空気孔24が少なくとも1つ以上設けられている。一方、燃料カートリッジ側に設けられるメス型コネクタは、燃料輸送用中芯22とスリット弁51から構成され、メス型コネクタの先端には、燃料電池側のオス型コネクタの輸送用中芯15との接合を安定化させるための補助輸送材52が充填されている。図8(B)には、燃料電池1に燃料カートリッジ2を装着した時の断面構造の概略を示す。燃料カートリッジ2を装着するためにカートリッジ用コネクタ25に挿入するとき、オス型のコネクタ部分は、スリット弁51を貫通してカートリッジ内のメス型コネクタ先端の補助輸送材52を介して燃料輸送用中芯22と接合され、燃料は電池の発電に伴ってアノードで発生した毛管負圧によって燃料電池内へと輸送される。燃料カートリッジ2と燃料電池1との接続は一般に用いられる方法で、特に限定は無いが、燃料カートリッジを2をカートリッジ用コネクタ25にネジ式で固定する方法,フックで固定する方法、或いはラチェット式構造で固定する方法などがある。
燃料カートリッジ内には所定濃度の燃料であるメタノール水溶液が充填されている。燃料濃度は、用いられる電解質膜の性質によって異なる。即ち、ナフィオン(デユポン社製)に代表されるようなメタノールクロスオーバーの大きいパーフルオロカーボン系膜では比較的低濃度で、炭化水素系するフォン酸膜では比較的高濃度のメタノール水溶液を用いることができる。一般に、直接液体燃料を供給する方法では、パーフルオロカーボン系電解質膜で、3〜10wt%メタノール水溶液が用いられ、炭化水素系電解質膜では、10〜40wt%のメタノール水溶液を用いることができる。然しながら、本発明による吸い上げ材の毛管力を用いた燃料供給システムを採用する場合には、アノードに対する液体燃料の実質的な接触率低下が生じているため、メタノール,水の実質的クロスオーバー量を小さくすることができる。そのために、直接液体燃料を供給する場合に比較して燃料濃度を高くして運転してもクロスオーバーに基づくカソードでの発熱,カソードのフラッデイング,電池性能の低下を招くことなく運転できる。例えば、パーフルオロカーボン系電解質膜では、最大25wt%、炭化水素系電解質膜では、最大40wt%まで濃度を高めても安定に運転することができるようになる。当然のことながら、更にクロスオーバーの小さな電解質膜を用いると、更に高濃度燃料を直接用いた運転が可能になる。本発明によれば、燃料の利用率を高めることができ、より高濃度燃料による運転が可能となり、用いる燃料のエネルギー密度が高くなり、燃料1充填当たりの電源エネルギー密度、即ち、発電継続時間を大幅に延長することができる特徴をもっている。
本発明による毛管輸送では、毛細管を構成する材料,細孔半径、などの特性によって燃料輸送速度,漏液防止効果が決定される。然しながら、メタノール濃度の異なる燃料を用いると、メタノール濃度によって表面張力,固液接触角,液体粘度などが変化し、毛管輸送材料の輸送速度,漏液防止効果などが変化してしまう。従って、濃度の異なる燃料に対して互換性を確保するために、燃料液体に電気化学的に不活性な物質を加えて固液接触角,粘度などを変化させて調整する方法は、有効な方法である。例えば、燃料の粘度を変化させるためには、高級アルコール類として、エチレングリコール,ヘプタノール,オクタノールなど、糖類として、リボース,デオキシリボース,グルコース,フラクトース,ガラクトース,ソルビトールなど、セルロースエーテル類として、メチルセルロース,エチルセルロース,カルボキシルメチルセルロースなど、他に寒天,ゼラチンなどの中から選ばれた1種以上を添加すると良い。添加量は、設定する液粘度によって選択されるが、概ね0.1mol%〜1mol% 程度が好ましい。上記した物質を添加したメタノール水溶液は、所望の粘度に調整できると同時に、液体燃料の浸透圧が高められるために、副次的効果として、水,メタノールのクロスオーバーを低減し、燃料利用率を高めることができる。
本発明に用いられる液体燃料に有色固体微粒子を分散した、所謂、顔料を添加して用いることは、燃料の識別,燃料残量の視認,燃料の用途の確認などを容易にすることができ、電源システム,燃料供給システムの安全性を確保する上で有効な方法である。液体燃料に、染料などを添加して着色することも可能であるが、この場合には液体燃料に溶解しているため電極に吸着被毒となる恐れ、或いは、電池構成部材からの成分溶出による燃料電池或いは構成材料の劣化を加速する恐れがあったが、有色固体微粒子を分散した、所謂、顔料を用いることで燃料電池電源の信頼性を損なうことなく安全性を高めることができる。
添加して着色できる市販の顔料としては、C.I.Pigment Yellow 24,101,108,109,110,117,120,123,138,139,135、C.I.Pigment
Orange 2,5,17,24,31,36,38,40,43、C.I.Pigment Red1,2,3,4,5,7,9,10,12,14,15,17,18,22,23,31,48,49,50,53,57,58,60,63,64,81,83,87,112,122,123,144,146,149,166,168,170,171,175,176,177,178,179,185,187,188,198,190,192,194,208,209,216,243,245、C.I.Pigment Violet1,3,19,23,31,32,33,36,38,49,50、C.I.Pigment Blue1,2,15,16,
22,25,63、C.I.Pigment Green 8,10,12,47、C.I.Pigment Brown 1,5,25,26,28、C.I.Pigment Black 1,7などを挙げることができる。着色する色調に特に限定は無いが、青系統の顔料、即ち、C.I.Pigment Blue系統の顔料を用いることは、飲料などに忌避感を与えると言われており、警告を与え、安全性を確保する上で有効な手段と言える。
以上、本発明を実施するための形態を説明してきたが、以下に本発明の最も特徴的な幾つかの実施例に関して更に詳しく述べる。
(電池の構造)図9に本発明による燃料電池電源の概観及びその縦断面,横断面を示す。この燃料電池1は燃料室枠12,発電デバイス11,カソード端板13からなっており、燃料室枠の両面に発電デバイスを配置することを特徴としている。燃料室枠12の内部に燃料吸い上げ構造体14が収納されており、燃料室枠12には一体化された燃料カートリッジホルダー61と図示されていないがカートリッジ用コネクタ25が内蔵一体化されている。本実施例のもう1つの特徴は円筒型の燃料カートリッジ直径及びカートリッジホルダー61の直径を燃料電池の厚みよりも大きくすることにより該燃料電池が床面に置かれたときにも、床面に対向した発電デバイス11への空気拡散が十分に取れるように設計した点にある。
(金属製吸い上げ材の調製)水アトマイズ法で粉砕された平均粒径100μmのSUS316L微粉末を20体積%、平均粒径1000μmのパラフィンワックス80体積%の固形分と市販のメチルセルロース3wt%の水溶液を体積比6:4で混合,混練したスラリーを鋳型に流し込んで24時間静置する。この成形体を0.7MPa の圧力で板状に成形し、50℃で乾燥した。得られた成形体は、n−へキサンを溶媒として洗浄し、成形体中のパラフィンワックス粒を溶解,抽出した。これを90℃で乾燥後、窒素雰囲気中において600℃で1時間脱脂し、更に真空中1200℃で焼結することにより、SUS316L 製の吸い上げ材を調製した。通常の細孔分布評価法及び走査型電子顕微鏡観測の結果、得られた金属吸い上げ材は、細孔径50μm及び細孔径850μmを中心とする2種類の分布を持つ多孔質材であった。
このSUS316L発泡金属を用いた燃料吸い上げ構造体は、約15kg/cm2 の弾性限を持った弾性体であり、電池構成部材を全てネジ止めで固定すると約50μm圧縮されるように設計されており、その反力で各電池部材は約5kg/cm2 の押し圧を受け、電池構成材料の一部に若干のクリープ変形が生じても一定の押し圧が補償されるようになっている。
(MEAの調製)発電デバイスを構成するMEAは、図5(a)示した構造で、発電部を構成するアノード触媒としては炭素系粉末担体にケッチェンブラック(ライオン社製)を用い、白金とルテニウムの原子比が1:1.5 で炭素担体に対する貴金属総重量比が
54%となるように分散担持したもの、カソード触媒としては炭素系担体ケッチェンブラック(ライオン社製)に白金担持量が、重量比で50%となるように微粒子を分散担持したものを用いた。MEAは、それぞれの電極触媒を20wt%ナフィオン(アルドリッチ社製)をバインダーとしたペーストを通常のスプレー法で塗布して作成した。得られた
MEAのアノード電極の細孔は半径が1〜30μmにわたって分布し、平均細孔半径が約20μmであった。
カソード及びアノード拡散層には図5(b),(c)示した構造のものを用いた。カソード拡散層におけるカーボンペーパー(東レ製:TGP−H−060)のPTFE(分散液D−1:ダイキン工業社製を用いた)担持量は20wt%であり、担持後、360℃空気中で30分焼き付けたものに炭素粉末(XC−72R:キャボット社製)をPTFEが20wt%となるように分散液D1(ダイキン工業社製)をバインダーとしてスラリー化したものを片面に厚さ約50μmとなるように塗布し、乾燥後360℃で焼成したものを用いた。一方、アノード拡散層は、カソード拡散層と同様な製造方法で、カーボンペーパーに対するPTFE担持量を10wt%とし、炭素粉末層のPTFE担持量を10wt%とした。
(複合集電体の調製)図10に本発明による発電デバイス11を構成する複合集電体
31の構造と構成を示す。複合集電体31は、カソードスリット16を有する8枚の導電性集電板32に同期してカソードスリット16を設けた樹脂フィルム34で図10A−
A′断面に示すように密着された構造となっている。各集電板32は、組み立て時に面内に配置される4枚のMEAが直列に接続されるようにインターコネクタ33及び外部に電気を取り出す出力端子3がそれぞれ機密に埋め込まれた構造となっている。集電板32は、発電部の面積に対応して16mm×18mmのサイズで、0.2mm 厚みのチタンを用い、表面を0.5μm 厚みになるように、ニッケルなどの下地材を用いずに直接金メッキを施したものを用いた。複合集電体31を構成する樹脂としては、厚さ0.2mmの ポリイミド膜を用いた。
図11に上記で開示した方法で調製されたMEA40とカソード拡散層43c,アノード拡散層43aとで構成される発電デバイス11の構成及び断面構造を示す。各拡散層は、予めMEA調製に用いたバインダーを電極周辺部に塗布して冷間プレスで一体化したものを用いた。
図12に本実施例になる燃料電池1の燃料室部分の縦断面図を示す。燃料室枠12には、吸い上げ構造体14が充填されている。燃料吸い上げ構造体14は、燃料カートリッジ2の接続口から輸送用中芯23によって燃料輸送経路が形成されている。燃料室枠12と燃料カートリッジホルダー61は一体化された構造とした。又、燃料室枠の一部には直径0.5mm のピンホール4を2箇所設けて、燃料室内が発電によって生成した炭酸ガスや水蒸気,メタノール蒸気等で大気に対して正圧となったときの排気口とした。
(コネクタ構造)図13(A)には、本実施例による燃料電池1と燃料カートリッジ2を結合するカートリッジ用コネクタ25のオス型コネクタと燃料カートリッジ2のメス型コネクタ構造の概要を示す。カートリッジ用コネクタ25は、燃料電池1の燃料室枠12の一部に設けられ、輸送用中芯15がオス型コネクタとして燃料吸い上げ構造体14に接続されて燃料輸送機能を担う。この輸送用中芯15は、ポリプロピレン繊維を束ねたもので、繊維間に形成された毛管の平均半径は約180μmであった。又、該カートリッジ用コネクタ25の一部に、空気交換機能を有するコレクタ26が設けられて、燃料消費に伴って燃料カートリッジ2内部が負圧になったときに空気を送り込んで燃料輸送が継続するように制御する機能と燃料電池内圧の変化及び衝撃等による圧力で燃料が燃料電池1外に漏れるのを防止する機能を持っている。一方、燃料カートリッジ2側に設けられるメス型コネクタは、燃料輸送用中芯22とスリット弁51から構成され、メス型コネクタの先端には、電源側のオス型コネクタの輸送用中芯15との接合を安定化させるための補助輸送材52として多孔質ポリウレタンフォームにオス型カートリッジ用コネクタ25差込用の切り欠きを入れたものが充填されている。こうすることによって、オス型のカートリッジ用コネクタ25と燃料カートリッジ2内に設けられた燃料輸送用中芯22との間の燃料輸送経路が容易に形成され、燃料輸送時の流体抵抗を小さくすることができる。図13(B)には、燃料電池1に燃料カートリッジ2を装着した時の断面構造の概略を示す。燃料カートリッジ2を装着するためにカートリッジ用コネクタ25に挿入するとき、オス型のカートリッジ用コネクタ25は、スリット弁51を貫通してカートリッジ内のメス型コネクタ先端の補助輸送材52を介して燃料カートリッジないの燃料輸送用中芯22と接合され各材料の毛管力によって連続する燃料輸送経路を形成する。燃料は電池の発電に伴って発生した毛管負圧によって燃料カートリッジ2から燃料電池1内のアノードへと輸送される。
こうして作成した電源のサイズは、115mm×90mm×9mmであり、30wt%メタノール水溶液を充填した燃料カートリッジを装着して、室温で発電試験を実施したところ、出力は、2.4V,0.8Wであった。この電源は、手にとって如何なる姿勢にしても出力が変化する事無く、又、手にもって振っても液体燃料が漏れる事無く発電を継続することが確認できた。
本実施例は、同一面内に複数の膜/電極接合体を電気的に直列配列した発電デバイスで、細孔半径の異なる2種の細孔を持つ多孔質弾性体を燃料吸い上げ構造体として挟持した電池構造をとっている。該多孔質吸い上げ構造体は燃料輸送用中芯と接合され、中芯の一方にはコレクタ構造を有する空気交換部を持ち、更にオス型コネクタを形成し、燃料カートリッジと結合する機能を持っている。こうすることによって、燃料カートリッジからアノード電極まで毛細管による液体輸送経路が連続的に形成され、更に、燃料吸い上げ構造体の内部には液体燃料が充填されない細孔が存在することによって、アノード電極近傍で発生した炭酸ガスが燃料から分離されて燃料室枠に設けたピンホールから電池外に廃棄される構造となっていることが特徴である。燃料輸送経路は、燃料カートリッジと燃料室枠内に用いられた輸送用中芯部分が平均で約180μm、燃料吸い上げ構造体で平均約50μm、及びアノード電極で平均約20μmという序列で、燃料カートリッジから電極まで設計配列され、燃料室内で発生するガスは850μm半径の細孔で、30wt%メタノール水溶液が毛管現象によって閉塞を生じないサイズが選定され、ここを通して排気用ピンホール4から排気される。従って、燃料電池がその姿勢を変えても燃料液体の輸送経路は変化せず、又、燃料電池を手で持って強く振っても液体保持毛管からメタノール燃料が漏れる事が無い。このことは、燃料電池が如何なる姿勢においても安定に運転できることを示している。更に、従来、燃料系には必須であった燃料液体と生成ガスを分離,排気するための気液分離機構として、姿勢限定や分離膜機構を採る必要は無く、本実施例では2種類の細孔を持たせて気液分離するため、生成ガス排気のための排気口断面積は十分に小さくでき、従来の気液分離膜機構では1cm2 以上の面積を必要としていたのに比較して、約2mm2 以下と小さくすることができ、燃料の無駄な蒸発を防ぎ、燃料室への空気拡散を低減できるため燃料利用率の高いシステムとすることができた。
(電池の構造)第2の実施例による燃料電池1は、図示されていないが、実施例1と同様に燃料室枠12,ガスケット19,発電デバイス11,カソード端板13からなっている。燃料室枠12の内部に燃料吸い上げ構造体14が収納されている。この燃料電池1は、燃料室両面に配置された合計12個の膜/電極接合体を直列に結合した構造をとっており、実施例1との大きな違いは、燃料カートリッジ2が燃料電池1の中央部に配置された燃料カートリッジホルダー61に収納される構造をとっていることにある。
図14に燃料室枠12内の各部品のレイアウトを示す。燃料室枠内は2分割された構造をとり、各々に燃料吸い上げ構造体14が収納され、燃料室枠12の中央部には燃料カートリッジホルダー61と空気交換機能を持ったコレクタ26を持ったオス型コネクタが一体化されている。オス型コネクタに充填された輸送用中芯15は、2枚の燃料吸い上げ構造体14と連結して燃料輸送経路を形成している。燃料室枠の2室に区分された各々の室には排気用ピンホール4が設けられている。燃料カートリッジは、第1の実施例に用いたのと同様な構造のものを用いた。又、燃料吸い上げ構造体は実施例1と同じ材料でSUS316Lの多孔質体を用いた。この燃料電池1では、燃料吸い上げ構造体14の両面に実装する構造をとっており、燃料吸い上げ構造体14が導電性であるため、図4A−A′断面図に示すように、面内に実装される各MEAの短絡を防止するために多孔質絶縁シート64を配置した。更に、本実施例では発電デバイス11を燃料吸い上げ構造体14の両面に配置する構造をとっているため、発電中に両面の発電デバイス11間で反応中間体であるイオン導電性物質による液短絡が発生することになる。そのために厚み方向に2分割した燃料吸い上げ構造体間にイオン伝導性を持たない絶縁シート63を配置した。
発電デバイスは実施例1と同様の方法で、面内に6個のMEAが直列に接続されるように複合集電体31に挟持する構造をとった。集電板,複合集電体を構成する樹脂フィルム,MEAアノード拡散層及びカソード拡散層は実施例1に用いたものと同じモノを用いた。又、燃料カートリッジ,コネクタ構造,空気交換部を形成するコレクタ構造及び燃料輸送用中芯は、実施例1に用いたものと同じ仕様のものを用いた。
本実施例になる燃料電池では、アノードの平均細孔半径が20μmであり、燃料吸い上げ構造体の平均細孔半径が50μmであり、輸送用中芯と燃料カートリッジに用いられた燃料輸送用中芯の平均細孔半径は180μmの関係にあり、毛管力によって容易に連続する燃料輸送経路が形成される序列になっている。又、このとき燃料室内の気相成分を排出するための大口径細孔の平均半径は約850μmであり、液体燃料の吸い上げによって閉塞することは無かった。
本実施例の電源のサイズは、120mm×100mm×15mmであり、30wt%メタノール水溶液を充填した燃料カートリッジを装着して、室温で発電試験を実施したところ、出力は、4.0V,1.28Wであった。この電源は、燃料室内に存在するイオン性物質によるMEA間の液短絡による電源電圧の低下も実質的に無く、各MEAから電圧端子を取り出す構造にしたときにおいても、各MEAの電圧は概ね0.33±0.02の範囲にあった。本実施例による電池は、手にとって如何なる姿勢にしても出力が変化する事無く、又、手にもって振っても液体燃料が漏れる事無く発電を継続することが確認できた。
本実施例においては、実施例2と同様の燃料電池構造で、実施例2では、コレクタ構造を持った空気交換部62がカートリッジ用コネクタ25に設けられていたのに比較して、燃料カートリッジ2側にオス型コネクタを設け、このコネクタ部にコレクタ式空気交換部を設け、燃料室枠12側をメス型コネクタとしたことを特徴とする。
(セラミックス製吸い上げ材の調製)平均粒径が1μmのムライト粉末15体積%,平均粒径180μmのパラフィンワックス10体積%及び900μm粒径パラフィンワックス75体積%の混合粉末と平均分子量100000のポリビニルアルコール5wt%水溶液を体積比6:4で添加,混合してスラリーとする。このスラリーを平板上の鋳型に流し込んで凍結させて24時間保持する。この成形体は50℃で2時間、空気中で乾燥する。その後、この成形体をn−へキサン溶媒で洗浄して成形対中のパラフィンワックスを除去する。得られた成形体は600℃で脱脂した後、空気中、1250℃で3時間小生してセラミックス製吸い上げ材を調製した。通常の細孔分布評価法及び走査型電子顕微鏡観測の結果、平均細孔半径90μmと950μmを中心とする2種の分布を持つ多孔質材であった。
本実施例に採用した燃料カートリッジの断面構造を図15に示し、燃料電池1とのコネクタ構造を図16(A),(B)に示す。燃料カートリッジ2は、ポリプロピレン製のコネクタ72と液体燃料保持部71の少なくとも2室から構成され、コネクタ72はコレクタ26を持った空気交換部とこれを貫通する平均細孔半径が220μmのポリプロピレン製の燃料輸送用中芯22で構成される。液体燃料保持部71には燃料輸送用中芯22に接続するもう1つの中芯77が接続さる。この中芯77は、液体燃料保持部71のもう一方の端部にまで届くように配置され、更に空隙率約90体積%のポリプロピレン製中綿76でとりまかれ、ここに液体燃料が保持される。中芯77を用いる代わりに燃料輸送用中芯22のみで燃料供給を行っても良いが、燃料輸送用中芯22と中芯77とを接続して、燃料供給路を形成することにより、容器内に充填された液体燃料を十分に使い切ることを可能にするという効果がある。未使用の燃料カートリッジ2は、機密性の通常キャップ73で封じられている。キャップ73の機密性を持たせるために、コネクタ72にはリング状に固定用突起74が設けられ、キャップ73の内面にはリング状の固定用溝75が設けられている。使用時には、このキャップ73を外して、カートリッジ2本体をカートリッジホルダー61に挿入する。燃料室枠12に一体化されたカートリッジホルダー61のメス型カートリッジ用コネクタ25の構造は図16に示すように、燃料カートリッジキャップと同じような機密性構造のシール部を持っていて、カートリッジホルダー61内に固定される。使用済みの燃料カートリッジは、上記したキャップ73で密封して回収又は廃棄することによって、残留液体燃料の漏洩を防止して安全に取り扱うことができる。
本実施例の燃料輸送を担う各部材の細孔は、アノードの平均細孔半径が20μm、セラミックスス性燃料吸い上げ材の液輸送用細孔の半径が90μm、輸送用中芯の平均細孔半径が180μm燃料輸送用中芯の細孔半径が220μmという組み合わせで構成される。又、このとき燃料室内の気相成分を排出するための大口径細孔の平均半径は約950μmであり、液体燃料の吸い上げによって閉塞することは無かった。このような組み合わせの結果、燃料カートリッジ装着とともに容易に液体燃料輸送路が形成され、燃料電池の運転が開始され、燃料電池の姿勢を変えても、手で持って振り回しても液漏れする事無く発電が継続した。
本実施例では、実施例1と同じ構造の電池を用いた。本実施例では、燃料カートリッジ2が、実施例4と同様に透明なポリプロピレン製カートリッジを用いている点と30wt%メタノール水溶液燃料に1ppmの顔料Pigment Blue 15を添加して青色に着色した点が特徴である。
こうして作成した電源のサイズは、115mm×90mm×9mmであり、青色の30wt%メタノール水溶液を充填した燃料カートリッジを装着して、室温で発電試験を実施したところ、出力は、2.4V,0.8Wであった。このように燃料水溶液を着色することによって、本実施例の燃料電池電源専用の燃料として色によって明瞭に識別が可能であり、そのことによって装着ミスや誤って別目的に使用することが無いように管理することが可能となる。又、添加物が極めて少量の顔料であり、メタノール水溶液に溶解することも無く、電池性能は顔料無添加の時と同じであった。この電源は、手にとって如何なる姿勢にしても出力が変化する事無く、又、手にもって振っても液体燃料が漏れる事無く発電を継続することが確認できた。
本発明に関わる燃料電池発電システム構成図。 本発明に関わる燃料電池の積層構成の概略図。 本発明に関わる燃料電池の実施例を示す断面構造図。 本発明に用いた複合集電体の構成を示す平面図及び断面図。 本発明に用いたるMEA及びアノード,カソード拡散層の構造図。 本発明に用いたMEAと拡散層を一体化した構造図。 本発明に用いた発電デバイスの構造を示す平面図及び断面図。 本発明に関わる燃料カートリッジコネクタの断面図及び装着断面図。 本発明に関わる燃料電池の実施例を示す外観及び断面図。 本発明に用いた複合集電体の構成を示す平面図及び断面図。 本発明に用いた発電デバイスの構造を示す平面図及び断面図。 本発明に関わる燃料電池の燃料室内の構成を示す断面図。 本発明に関わる燃料カートリッジコネクタの断面図及び装着断面図。 本発明に関わる燃料電池の燃料室内の構成を示す断面図。 本発明に関わる燃料電池に用いられる燃料カートリッジの断面図。 本発明に関わる燃料カートリッジコネクタの断面図及び装着断面図。
符号の説明
1…燃料電池、2…燃料カートリッジ、3…出力端子、4…排気用ピンホール、5…直流/直流変換器、6…制御器、11…発電デバイス、12…燃料室枠、13a,13b…カソード端板、14…燃料吸い上げ構造体、15…輸送用中芯、16…カソードスリット、17…アノードスリット、18…ネジ、19…ガスケット、21…液体燃料、22…燃料輸送用中芯、23…輸送用中芯、24…空気孔、25…カートリッジ用コネクタ、26…コレクタ、27…コレクタフィン、31…複合集電体、32…集電板、33…インターコネクタ、34…樹脂フィルム、40…MEA、41…電解質膜、42a…アノード、
42c…カソード、43a…アノード拡散層、43c…カソード拡散層、44a…アノード拡散層基板、44c…カソード拡散層基板、45…撥水層、46…シール材、51…スリット弁、52…補助輸送材、61…カートリッジホルダー、62…空気交換部、63…絶縁シート、64…多孔質絶縁シート、71…液体燃料保持部、72…コネクタ、73…キャップ、74…固定用突起、75…固定用溝、76…中綿、77…中芯。

Claims (9)

  1. 液体燃料を酸化するアノードと、酸素を還元するカソードと、前記アノードと前記カソードの間に形成される固体高分子電解質膜とを有する燃料電池において、多孔質のアノードに対向して毛管力によって液体燃料輸送路を形成する連続した細孔と液体保持力を持たない連続した細孔で構成された多孔質体を用い、アノードで生じる毛管負圧によって液体燃料を供給することを特徴とする燃料電池。
  2. 請求項1において、該多孔質体が金属,セラミックス,高分子樹脂から選ばれた少なくとも1つ以上の材料によって構成されることを特徴とする燃料電池。
  3. 請求項1において、該多孔質材料の液体燃料輸送路を形成する連続した細孔の有する毛管力PC が、
    O+ρgh≦PC≦PA
    の関係にあることを特徴とする燃料電池。
    ここで、外部から加えられる圧力はPO 、液体燃料の粘度はρ、重力加速度はg、多孔質体に保持された液体燃料のヘッド差をh、PA は多孔質アノードの毛管力を示す。
  4. 請求項1において、該多孔質材料の液体燃料輸送路を形成する連続した細孔の有する平均細孔半径rCが、
    2σcosθC/(PO+ρgh)≧rC≧rA(cosθC/cosθA
    の関係にあることを特徴とする燃料電池。ここで、液体燃料の界面張力はσ,θC ,θA はそれぞれ多孔質体と液体燃料の接触角、アノードと液体燃料の接触角、rA はアノードの平均細孔半径を示す。
  5. 液体燃料を酸化するアノードと、酸素を還元するカソードと、前記アノードと前記カソードの間に形成される固体高分子電解質膜とを有する燃料電池において、多孔質のアノードに対向して毛管力によって液体燃料輸送路を形成する連続した細孔と液体保持力を持たない連続した細孔で構成された多孔質体を有する燃料電池であって、該燃料電池に毛管力を持った空気交換部を有することを特徴とする燃料電池。
  6. 請求項5において、該空気交換部が多孔質材料で構成されることを特徴とする燃料電池。
  7. 請求項5において、該空気交換部がコレクタ構造からなることを特徴とする燃料電池。
  8. 請求項6において、該多孔質体の液体燃料輸送路を形成する連続した細孔の有する毛管力PC が、
    F≦PC<PA
    の関係にあることを特徴とする液体燃料供給システム。ここで、PF は空気交換部の細孔の有する毛管力でPA はアノードの毛管力を示す。
  9. 請求項6において、該多孔質構造体と液体燃料の接触角θC 、及び平均細孔半径rC が、
    θF≧θC>θA
    F≧rC>rA
    を同時に、或いは何れかを満たす関係を選択することを特徴とする液体燃料供給システム。ここで、θF ,θA はそれぞれ空気交換部の材料と液体燃料の接触角、アノード材料と液体燃料の接触角、rF ,rA はそれぞれ空気交換部、アノードの平均細孔径を示す。
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