JP2012229717A - ダイナミックダンパ - Google Patents

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Abstract

【課題】摺動摩擦により転動体の振子運動が妨げられる。
【解決手段】内部に転動室が形成された本体部2と、前記転動室に収容され、前記転動室を転動する転動体12と、前記転動体を前記転動体12の回転中心軸線と平行な方向に押圧することにより、前記転動体12の本体部方向面に対向する前記本体部の内側面に押し付けて前記転動体12を固定する可動部材とを備え、前記可動部材は、前記転動体12の可動部材方向面に接触する押圧面が構成され、前記本体部2の内側面,前記転動体12の本体部方向面,前記転動体12の可動部材方向面及び前記押圧面は、少なくとも1つに突起部20を備え、前記突起部20は、前記突起部20が設けられた面と対向する面に接触するように形成されていることを特徴とするダイナミックダンパ。
【選択図】図1

Description

この発明は、ダイナミックダンパに関し、より具体的には車両に搭載するのに好適なダイナミックダンパに関する。
従来、回転体に入力されるトルク変動等が原因で発生する振動を抑制するためのダイナミックダンパが知られている。(例えば、特許文献)このダイナミックダンパは、内部に転動室が形成された本体部と、転動室に収容された転動体とを備えており、本体部が回転している際に、転動体が振子運動を行うことにより振動を抑制している。
特開2002−340097号公報
このダイナミックダンパは、転動室の内面と転動体との衝突により異音が発生することがある。このような課題を解決する方法として、転動体を転動体の回転中心軸線と平行な方向に押圧することにより転動体の本体部方向面に対向する本体部の内側面に押し付けて転動体を固定する可動部材とを備え、可動部材は転動体の可動部材方向面に接触する押圧面で構成され、転動体を押圧面で本体部の内側面に押し付けて固定する方法が考えられる。そのため、転動体が転動室の内面と衝突することを抑制できる。
しかしながら、転動体を押圧面と本体部とで固定する方法では、転動体の固定が解除され再び転動体が振子運動を始める際に、転動体が本体部の内側面または押圧面(以下、本体の内側面と押圧面の両面を合わせた面を、転動室の側面と称する。)に接触したまま振子運動を始めてしまう場合がある。すると、転動室の側面と転動体の側面(以下、転動体の本体部方向面と転動体の可動部材方向面の両面を合わせた面を、転動体の側面と称する。)との摺動摩擦が振子運動の妨げとなる。そのため、振動低減効果が損なわれてしまうという問題がある。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、転動体の側面と転動室の側面との摺動摩擦を抑制するのに好適なダイナミックダンパを提供することを目的とする。
第1の発明は、上記目的を達成するため、ダイナミックダンパであって、
内部に転動室が形成された本体部と、
前記転動室に収容され、前記転動室を転動する転動体と、
前記転動体を前記転動体の回転中心軸線と平行な方向に押圧することにより、前記転動体の本体部方向面に対向する前記本体部の内側面に押し付けて前記転動体を固定する可動部材と、を備え
前記可動部材は、前記転動体の可動部材方向面に接触する押圧面が構成され、
前記本体部の内側面,前記転動体の本体部方向面,前記転動体の可動部材方向面及び前記押圧面は、少なくとも1つに突起部を備え、
前記突起部は、前記突起部が設けられた面と対向する面に接触するように形成されていることを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明において、
前記突起部は、弾性体を介して前記本体部の内側面,前記転動体の本体部方向面,前記転動体の可動部材方向面及び前記押圧面のうち少なくとも1つに設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、本体部の内側面,転動体の本体部方向面,転動体の可動部材方向面及び押圧面は、少なくとも1つに突起部を備え、突起部は、前記突起部が設けられた面と対向する面に接触するように形成されている。そのため、転動体の側面と転動室の側面との接触面を極力小さくすることができる。よって、転動体の側面と転動室の側面との摺動摩擦を抑制することができる。
第2の発明によれば、突起部は、弾性体を介して本体部の内側面,転動体の本体部方向面,転動体の可動部材方向面及び押圧面のうち少なくとも1つに設けられている。そのため、押圧面により縮められた弾性体が、転動体の固定解除時に伸びることで転動体を転動室の側面から突き放す。よって、転動体の固定解除時の転動室の側面からの離れを良くし、転動体の側面と転動室の側面との摺動摩擦を抑制することができる。
本発明の実施の形態1にかかるダイナミックダンパを回転軸方向から見た正面断面図である。 図1の断面図である。 押圧面と本体部で転動体を固定している状態を示した図である。 転動体の側面が本体部の内側面に接触している状態を示す図である。 実施の形態2による突起部周辺の拡大図である。 弾性体に皿ばねを適用した本発明の変形例を示す図である。 本体部の内側面に突起部を複数個設けた本発明の変形例を示す図である。 押圧面にも突起部を設けた本発明の変形例を示す正面断面図である。 押圧面にも突起部を設けた本発明の変形例を示す図8の断面図である。 押圧面にも弾性体を設けた本発明の変形例を示す突起部周辺の拡大図である。 転動体に突起部を設けた本発明の変形例が転動体を固定している状態を示す図である。 突起部を転動体の内部に設けた本発明の変形例が転動体の固定を開放している状態を示す図である。 突起部の先端部に回転可能な球状部材を設けた本発明の変形例を示す図である。
実施の形態1.
以下に、本発明の実施の形態1にかかるダイナミックダンパを図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態1にかかるダイナミックダンパを回転軸方向から見た正面断面図である。
図に示すように、ダイナミックダンパは、本体部2を備えている。本体部2は、円筒状に形成されている。本体部2は、張出部15と本体部の側面17を備えている。本体部2の中央部には図示しない貫通孔が形成されており、この貫通孔に図示しない回転シャフトが挿入されることにより、本体部2は回転シャフトとともに回転可能に設けられている。つまり、本体部2の中心軸は回転軸である。なお、回転シャフトは、例えば、クランクシャフト、変速機のインプットシャフト、変速機のアウトプットシャフト、ドライブシャフトなどである。また、ダイナミックダンパ自体をフライホイールとして適用しても構わない。
本体部2の径方向の外周側には、中空部4が回転軸を中心とした環状に等間隔(45度ピッチ)に形成されている。中空部4の形状は、外周側の面が、連続して凸凹に変化する面として形成されている。また、内周側の面が単純な円として形成されている。外周側の面と内周側の面との間隔が狭い部分の間によって区画された部分と可動部材6とシール材8とで囲まれた部分を転動室10とする。なお、図1には便宜上、中空部4を3つのみ示す。
各々の転動室10の内部には、周方向に転動可能な転動体12が収容されている。転動体12は、コロ状に形成されている。転動体12の外周面には転動面14が形成されている。転動面14は、転動体12が遠心力を受けた場合に接触し、かつ転動体12を沿わせて移動させる面である。なお、転動体12は各転動室10内に複数個収容されていてもよい。
図2は、図1の断面図である。
図に示すように、ダイナミックダンパは、矩形をなし、かつ図における右側が開口する本体部2を備える。本体部2は、図における右側に向けて張り出す張出部15と本体部の側面17とで構成されている。また、本体部2の開口部は、環状の可動部材6とシール材8により閉塞される。
本体部2は、転動体12をその回転中心軸線(図4の点線)と平行な方向に押圧することにより、転動体の本体部方向面23に対向する本体部の内側面18に押し付けて転動体12を固定する可動部材6が動作可能に嵌め込まれている。可動部材6には、転動体の可動部材方向面24に接触する押圧面16が形成されている。可動部材6が本体部2の開口端側に移動した状態では、可動部材6は転動体12から離れている。一方、可動部材6が図2における左側に押し込まれた状態では、押圧面16と本体部の内側面18との間に挟み付けて転動体12を固定するように構成されている。
本体部の内側面18には、転動体12に向けて凸となった突起部20が形成されている。突起部20は、転動体12に向けて先端部が突出するように四角錐状となっている。突起部20は、本体部の内側面18と別部材で形成されている。なお、突起部20は本体部の内側面18と一体に形成されていてもよい。
回転シャフトに捩り振動が加えられると、転動体12は、振子運動をするように、転動室10内を転動する。この際、転動体12には、遠心力が加えられているため、特に高回転で回転している際には転動体12は転動面14に沿って転動する。このように、転動体12が転動室10内を振子運動するように転動することで、本体部2には転動体12から荷重が加えられる。本体部2に加えられる荷重のベクトルは、回転シャフトに加えられた振動のトルクと反対方向になる。そのため、ダイナミックダンパにより捩り振動を低減させることができる。
一方、エンジン始動時あるいは停止時もしくは低回転時で回転シャフトの回転速度が遅くなった場合には、転動体12に加えられる遠心力が小さくなる。そのため、転動体12が不規則な方向に変位する。そして、転動体12が転動室10の内面と衝突して、異音が発生する。
図3は、可動部材6と本体部2で転動体12を固定している状態を示した図である。そこで、本実施の形態は図3のように可動部材6と本体部2で転動体12を押圧して固定することができる構成としている。そのため、転動体12が転動室10の内面と衝突することを抑制できる。
図4は、転動体の本体部方向面23が本体部の内側面18に接触している状態を示す図である。なお、転動体の本体部方向面23と本体部の内側面18とで起こる現象は、転動体の可動部材方向面24と押圧面16とで起こる現象と同様である。ここでは、代表例として転動体の本体部方向面23と本体部の内側面18とで起こる現象を説明する。図4のように転動体12の固定が解除され再び転動体12が振子運動を始める際に、転動体の本体部方向面23が本体部の内側面18に接触したまま振子運動を始めてしまう場合がある。すると、本体部の内側面18と転動体の本体部方向面23との摺動摩擦が振子運動の妨げとなる。そのため、振動低減効果が損なわれてしまうという問題がある。
そこで、実施の形態1では本体部の内側面18に突起部20を設けることにより、突起部20を介して転動体の本体部方向面23と本体部の内側面18を接触させている。そのため、転動体の本体部方向面23と本体部の内側面18との接触面を極力小さくすることができる。
以上より、実施の形態1は、転動体の可動部材方向面24と転動室の側面22との摺動摩擦を抑制することができる。
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2にかかるダイナミックダンパについて説明する。上記実施の形態では、突起部20は、直接本体部の内側面18に設けられている。
これに対して、本実施の形態2は、突起部20は弾性体26を介して本体部の内側面18に設けられている。以下、上記実施の形態1にかかるダイナミックダンパとの相違点を中心に説明する。
図5は、実施の形態2による突起部20周辺の拡大図である。突起部20は弾性体26を介して本体部の内側面18に設けられている。弾性体26は、コイルばねで形成されている。なお、弾性体26は、コイルばねに限らず板ばねや皿ばねでもよい。また、ゴム素材や合成樹脂材料で形成することも可能である。図6は弾性体に皿ばねを適用した本発明の変形例を示す図である。皿ばねに環状の突起部を設けている。弾性体と突起部を複数の転動室に対して共有化している。そのため、転動室ごとに弾性体と突起部を設ける必要がなくなり、部品点数を削減することができる。
本体部の内側面18と転動体12とで起こる現象は、弾性体26を介して設けられた突起部20を、転動体の側面18または押圧面16に設けた場合に、押圧面16と転動体12とで起こる現象と同様である。ここでは、代表例として転動体の側面18と本体部の内側面16とで起こる現象を説明する。本体部2の内側面18は、弾性体26を介して設けられた突起部20を備えている。そのため、転動体12を押圧面16により固定することで縮められた弾性体26が、転動体12の固定が解除される際に伸びることで転動体12を本体部の内側面18から突き放す。よって、転動体12の固定が解除された際の、転動体の本体部方向面23と本体部の内側面18との離れが良くなる。その結果、転動体の本体部方向面23と本体部の内側面18との摺動摩擦を抑制することができる。
また弾性体26によって、突起部20を可動することができる。そのため、突起部20と転動体12が接触する際の応力が緩和される。よって突起部20と転動体12の耐久性が向上する。また、弾性体26の弾性係数を調整すれば、転動体12が転動する際の動きを規制する、ガイドとしての役割も果たすことができる。
なお、実施の形態1,2では、突起部20は、各転動室10にそれぞれ1つずつ設けられている。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。各転動室10に突起部20を複数個設けてもよい。図7は、本体部の内側面18に突起部20を複数個設けた本発明の変形例を示す図である。
また、実施の形態1,2では、突起部20は本体部の内側面18に設けられている。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。本体部の内側面18,転動体12及び押圧面16のうち、少なくとも1つに設けられていればよい。図8は、押圧面にも突起部を設けた本発明の変形例を示す正面断面図である。図9は押圧面にも突起部を設けた本発明の変形例を示す図8の断面図である。本体部の内側面18にのみ、突起部20を設けるのではなく、押圧面16にも突起部30を設けている。
また、弾性体は本体部の内側面18にのみ設けられるのに限定されない。本体部の内側面18,転動体12及び押圧面16のうち、少なくとも1つに設けられていればよい。図10は、押圧面にも弾性体を設けた本発明の変形例を示す突起部周辺の拡大図である。本体部の内側面18は、弾性体26を介して設けられた突起部20を備えている。押圧面16は、弾性体40を介して設けられた突起部30を備えている。図11は、転動体に突起部を設けた本発明の変形例が転動体を固定している状態を示す図である。転動体12の内部に弾性体44と突起部46,48を設けている。なお、図11では突起部46、48を転動体12の内部に設けているが、転動体の側面23、24に設けてもよい。図12は、突起部を転動体12の内部に設けた本発明の変形例が転動体の固定を開放している状態を示す図である。なお、弾性体はすべての突起部に設けられている必要はなく、突起部のうち少なくとも1つに設けられていればよい。図示しないが例えば、本体部の内側面18は、弾性体26を介して設けられた突起部20を備えており、押圧面16には突起部のみを備えている構成でもよい。
また、実施の形態1,2では、突起部20は、転動体12に向けて先端部が突出するように四角錐状となっている。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、突起部58の先端部に回転可能な球状部材を設けてもよい。図13は、突起部の先端部に回転可能な球状部材を設けた本発明の変形例を示す図である。突起部58の先端部が回転するため、突起部58と転動体12または転動室10の側面との接触により発生する異音を抑制することができる。さらに、突起部20は、半球状に形成されてもよいし、円錐状に形成されてもよいし、矩形に形成されてもよい。
2…本体部、4…中空部、6…可動部材、8…シール材、10…転動室、12…転動体、14…転動面、15…張出部、16…押圧面、17…本体部の側面、18…本体部の内側面、20,28,30,46,48,58…突起部、22…転動室の側面、23…転動体の本体部方向面,24…転動体の可動部材方向面、26,40,44…弾性体

Claims (2)

  1. 内部に転動室が形成された本体部と、
    前記転動室に収容され、前記転動室を転動する転動体と、
    前記転動体を前記転動体の回転中心軸線と平行な方向に押圧することにより、前記転動体の本体部方向面に対向する前記本体部の内側面に押し付けて前記転動体を固定する可動部材と、を備え
    前記可動部材は、前記転動体の可動部材方向面に接触する押圧面が構成され、
    前記本体部の内側面,前記転動体の本体部方向面,前記転動体の可動部材方向面及び前記押圧面は、少なくとも1つに突起部を備え、
    前記突起部は、前記突起部が設けられた面と対向する面に接触するように形成されていることを特徴とするダイナミックダンパ。
  2. 前記突起部は、弾性体を介して前記本体部の内側面,前記転動体の本体部方向面,前記転動体の可動部材方向面及び前記押圧面のうち少なくとも1つに設けられていることを特徴とする請求項1に記載のダイナミックダンパ。
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