JP2012229715A - 走行用回転体の支持装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】軸体30に外嵌したカラー50の外周面と支持筒40の内周面40aとの間にシール材60を装着し、カラー50に、シール材60を外嵌装着可能なシール材装着部51と、シール材装着部51よりも筒端対向部材31側へ延長され、シール材装着部51の径と同径又はシール材装着部51の径よりも小径に形成された把持部52とを備え、支持筒40の内周面40a側におけるカラー50の把持部52の外周面52aと、筒端対向部材31の対向面32と、シール材60の支持筒40端部側の端面60aとの間に、嵌合部から侵入した泥水などを貯留するための貯留用空間Sを形成した。
【選択図】図4
Description
また、カラーの外周面にシール材を外嵌させて位置決めするために、支持筒の筒端側におけるカラーの外周面からカラーの半径方向外側に向けて、位置決めのための鍔状の部分が一体に形成されている。したがって、シール材を交換するなどのメンテナンス作業の際には、カラーとシール材とを脱着する必要があるが、その脱着操作が行い難くてカラーが変形するなどの不具合を伴う虞もあり、この点で改善の余地がある。
〔解決手段1〕
走行用回転体を一体回転するように装着した軸体とその軸体をベアリングを介して相対回転自在に支承する支持筒との間に、シール材を設けてある走行用回転体の支持装置であって、前記軸体と一体回転する筒端対向部材を前記支持筒の端部に対向する位置に設け、この筒端対向部材の前記支持筒の端部に対向する対向面側に、前記支持筒の端部に対して外嵌又は内嵌する嵌合部を形成し、前記支持筒内の軸体にカラーを外嵌し、そのカラーの外周面と前記支持筒の内周面との間に前記シール材を装着するとともに、前記カラーに、前記シール材を外嵌装着可能なシール材装着部と、そのシール材装着部よりも前記筒端対向部材側へ延長されていて、かつ前記シール材装着部の径と同径又は前記シール材装着部の径よりも小径に形成された把持部とを備え、前記支持筒の内周面側における前記カラーの前記把持部の外周面と、前記筒端対向部材の前記対向面と、前記シール材の前記支持筒端部側の端面との間に、前記嵌合部から侵入した泥水などを貯留するための貯留用空間を形成してあることを特徴とする。
上記の解決手段1にかかる発明によると、支持筒の筒端側とその筒端側に嵌合する筒端対向部材の嵌合部との間から泥水などが侵入してきたとしても、その侵入した泥水などが直接にシール材の内部にまで入り込むことを抑制し、一旦、貯留用空間内に貯留することができる。
したがって、泥水などの入り込み量が僅かであればシール材の内部にまで泥水などが到達することを制限することができ、仮に泥水などの入り込み量が多くてシール材の内部にまで泥水などが入り込むことがあっても、その入り込み量を少なくし得る点で有利である。
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記カラーの前記筒端対向部材から遠い側の端部には、前記シール材の前記筒端対向部材から遠い側の端部に係合する引き出し用突部を形成してあることである。
上記の解決手段2にかかる発明によると、カラーの把持部を掴んで抜き出し操作を行う際に、シール材の筒端対向部材から遠い側の端部に係合する引き出し用突部がカラーに形成されているので、カラーの抜き出し操作に伴って、そのシール材も一緒に抜き出されることになる。したがって、メンテナンス作業をより一層簡単に、能率よく行い易くなる利点がある。
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記筒端対向部材の前記対向面側に形成される嵌合部を、前記支持筒の端部側の内周面に対して内嵌するように筒状に突出形成された筒状突起部によって構成し、その筒状突起部の突出端を前記シール材の前記支持筒端部側の端面に近接させてあることである。
上記の解決手段3にかかる発明によると、筒端対向部材の対向面側に、支持筒の端部に内嵌する筒状突起部を突出形成してあることにより、その筒状突起部の突出代に相当する量だけ、貯留用空間の支持筒長さ方向での寸法を大きく確保することができる点で有利である。また、その筒状突起部がシール材の抜け出しを阻止する部材としての役割をも兼ねている。
〔コンバインの全体構成〕
図1に、本発明の走行用回転体の支持装置を適用した作業車の一例としての自脱型のコンバインを示す。
このコンバインは、機体の骨格である機体フレーム1と、機体を支持する左右一対のクローラ式の走行装置2と、機体フレーム1の前部に連結された刈取部3と、機体フレーム1の後側に設けた脱穀装置4及びグレンタンク5と、を備えている。脱穀装置4は、フィードチェーン9を機体の左横側に備えている。また、機体フレーム1の前側には、機体右側に運転座席6aを有する運転部6を備えてある。
この静油圧式無段変速装置10は、容量が可変のアキシャルプランジャ形の油圧ポンプ11と、油圧ポンプ11からの圧油によって駆動されるアキシャルプランジャ形の油圧モータ12とを備えて構成され、前記油圧ポンプ11の入力軸13に設けた入力プーリ14にエンジンEの駆動力を伝える伝動ベルト15が掛張されている。この静油圧式無段変速装置10から出力される駆動力は、油圧モータ12に連結された出力軸16を介して伝動ケース7の内部に伝えられる。
前記エンジンEの駆動力は、図示しないが脱穀装置4に対してもベルト伝動機構等を介して動力が伝達されるように構成されている。
エンジンEの駆動力が走行装置2、刈取部3に伝達される構造について説明する。
伝動ケース7の内部には、前記静油圧式無段変速装置10の出力軸16から出力される前進側及び後進側の無段階に変速された駆動力を、さらに変速して下方の走行駆動軸30に伝達する走行ミッション部20が備えられている。
静油圧式無段変速装置10の出力軸16は、伝動ケース7内において、出力軸16に対して、走行副変速機構21の入力軸21aがギヤ連係されている。そして、この入力軸21aの軸端側には、刈取部3への駆動力を出力するための刈取出力プーリ3aが一体回動自在に支持され、その刈取出力プーリ3aから刈取部3へ向けてベルト伝動機構などによる伝動機構が設けられている。これにより、静油圧式無段変速装置10から出力された駆動力は、走行副変速機構21と刈取部3とに各別に伝達される。
前記旋回伝動機構22は、伝動ケース7に回転自在に支持された支軸25と、支軸25に回転自在に支持された「駆動ギヤ」としてのセンタギヤ24と、前記支軸25に相対回転可能に外装されていてセンタギヤ24の左右両側において係脱される左右一対のクラッチギヤ26と、左右一対の湿式多板クラッチからなるサイドブレーキ27とを備えて構成されている。
したがって、支軸25上でのクラッチギヤ26の移動によって、センタギヤ24に対して係合した入り状態にある左右のクラッチギヤ26が各別に係合を解除されることによって、各別にクラッチ切り状態となる。そして、クラッチ切り側に操作されたクラッチギヤ26がさらに切り方向に操作されることによって、そのクラッチ切り側のサイドブレーキ27をブレーキ作用状態に切り換えるように構成されている。
左側の駆動伝達ギヤ28Lと左側の走行ギヤ29Lとは常時咬合しており、左側の駆動伝達ギヤ28Lから左側の走行ギヤ29Lに駆動力が伝達されると、走行駆動軸30及びクローラ駆動輪体31(走行用回転体、及び筒端対向部材に相当する)を介して左側の走行装置2が駆動される。同様に、右側の駆動伝達ギヤ28Rと右側の走行ギヤ29Rとは常時咬合しており、右側の駆動伝達ギヤ28Rから右側の走行ギヤ29Rに駆動力が伝達されると、走行駆動軸30及びクローラ駆動輪体31(走行用回転体、及び筒端対向部材に相当する)を介して右側の走行装置2が駆動される。
前記旋回伝動機構22は、運転部6に設けられた操向操作具としての操向レバー8(図1参照)が操作されることにより、これに連係して作動するシフト操作体17L,17Rが左右のクラッチギヤ26を各別に入り切り操作するように構成してある。
図2乃至図4に示すように、前記伝動ケース7の左右両側に連設された筒状の車軸ケース40(支持筒に相当する)の端部近くに、ボールベアリング41を介して前記走行駆動軸30(軸体に相当する)の端部が支持されている。
前記走行駆動軸30は、端部にスプライン軸部30a及びネジ軸部30bを備え、このスプライン軸部30aに嵌合するスプライン孔31bを形成した前記クローラ駆動輪体31が外嵌され、ネジ軸部30bに螺入するナット34、及び押さえ板35で締め付け固定されている。
前記ボールベアリング41のアウターレース41bは、車軸ケース40の筒端側寄りの箇所でストッパーリング42により係止してあり、そのアウターレース41bよりも前記車軸ケース40の筒端側寄りの箇所で、前記カラー50の外周面と前記車軸ケース40の内周面40aとの間にシール材60を装着してある。
その上、上記のように把持部52が小径に構成されることにより、その把持部52と外側の車軸ケース40の内周面40aとの間に形成される後述する貯留用空間Sを大きく確保する上でも有用である。
この引き出し用突部53がシール材装着部51の外周面よりも外方側へ突出するように形成されていることにより、シール材装着部51に装着されるシール材60のインナーシール部61の内奥側の端部が接当して、その挿入端位置を規制されることになる。
したがって、この引き出し用突部53が、シール材60の挿入装着位置を決めるための位置決め手段としての役割と、カラー50の把持部52を把持してシール材60を抜き出す際に、シール材60の後方側(車軸ケース40の筒端から遠い側)に係合してシール材60を後方側から押しながら抜き出すための係合手段としての役割とを兼ねることになる。
このとき、シール材60が接当している引き出し用突部53の前記車軸ケース40の筒端に近い側の面53aは、ストッパーリング42の前記車軸ケース40の筒端に近い側の面42aとほぼ面一となるように形成してある。
また、前記シール材60のインナーシール部61の内周側で、前記引き出し用突部53に近い内奥側の端部には、端部側ほど径が大きくなるように傾斜面が形成してあり、この傾斜面に対向する箇所のカラー50の外周面52aには、その外周面52aの最大径部分よりも少し小径となるように形成された溝部分が設けてある。
このカラー50とクローラ駆動輪体31の対向面32との間に設けられたオイルシール64は、カラー50の前記車軸ケース40の筒端に近い側の平坦な端面50aと、クローラ駆動輪体31の対向面32に形成した凹部32aとの間で、その凹部32aに大部分が挿入された状態で装着されている。
前記クローラ駆動輪体31の対向面32に筒状に突出形成された筒状突起部33は、車軸ケース40の内周面40aに対向する外周面33aと、その筒状突起部33の内周側の内周面33bと、前記対向面32から離れた突出端面33cとを備え、前記内周面33bの内周側に、前記突出端面33cから対向面32側に凹入する空間を形成することによって、前記貯留用空間Sの容積を大きくするようにしてある。
この貯留用空間Sには、図4に点線で図示するように、車軸ケース40の内周面40aとクローラ駆動輪体31の対向面32に形成された筒状突起部33の外周面33aとの僅かな隙間を通って泥水等が侵入してくることがあるが、この侵入してきた泥水等を貯留用空間S内に溜置くことで、シール材60のインナーシール部61とアウターシール部62との接触箇所に泥水等が入り込む可能性を低減できる。もしくは、入り込んだとしても、その入り込み量を低減することができる。
また、前記カラー50の外周面52aのうち、シール材装着部51と把持部52との境界に位置する部分は、把持部52側が小径でシール材装着部51側が大径となる傾斜面に形成してあり、シール材60のインナーシール部61の内周側で前記端面60aに近い側の端部には、前記端面60aに近い側ほど大径で前記端面60aから離れる側ほど小径となる傾斜面を形成してある。このカラー50の外周面52aにおける前記境界に位置する部分の傾斜面と前記インナーシール部61の内周側で前記端面60aに近い側の端部に形成される傾斜面とによって、前記貯留用空間Sの一部となる断面三角形状の空間が形成されている。
取り付ける際には逆の手順で、カラー50にシール材60を装着し、その後にカラー50の把持部52を支持して走行駆動軸30にカラー50を装着し、外していたクローラ駆動輪体31及び押さえ板35を走行駆動軸30のスプライン軸部30aに挿入して、ナット34を締め付けることにより装着する。
上記の実施形態では、クローラ駆動輪体31の対向面32に形成する筒状突起部33を、車軸ケース40の筒端に対して内嵌するように嵌合部を構成したものであるが、これに限らず、例えば、図6(a)に示すように、車軸ケース40の筒端に対して外嵌するように嵌合部を構成してもよい。
また、図6(b)に示すように、クローラ駆動輪体31の対向面32側には筒状突起部33を設けずに、対向面32に備えた段部36に対して車軸ケース40の筒端側を外嵌するようにして嵌合部を構成してもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
上記の実施形態では、車軸ケース40の筒端に対向する位置で走行駆動軸30と一体回転する筒端対向部材として、クローラ駆動輪体31を例示したが、これに限らず、例えば、クローラ駆動輪体31とは別に、走行駆動軸30に装着されて車軸ケース40の筒端に対向する対向面32を備えた図示しない別の部材を設けてもよい。
この場合、前記車軸ケース40の筒端に対して内嵌又は外嵌する嵌合部は、その別の部材の対向面32に形成すればよい。
また、筒端対向部材を備える軸体は走行駆動軸30に限らず、例えば駆動力を伝達するものではない単なる軸体であってもよく、走行用回転体もクローラ駆動輪体31のように駆動力を伝達するものに限らず、転輪などの遊転する回転体であってもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
上記の実施形態では、カラー50に形成する把持部52を、シール材60が嵌着されるシール材装着部51よりも小径に形成したものを示したが、これに限らず、例えば、把持部52とシール材装着部51とを同径のもので構成してもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
31 筒端対向部材
32 対向面
33 筒状突起部
40 支持筒
40a 内周面
50 カラー
51 シール材装着部
52 把持部
52a 外周面
53 引き出し用突部
60 シール材
60a 端面
S 貯留用空間
Claims (3)
- 走行用回転体を一体回転するように装着した軸体とその軸体をベアリングを介して相対回転自在に支承する支持筒との間に、シール材を設けてある走行用回転体の支持装置であって、
前記軸体と一体回転する筒端対向部材を前記支持筒の端部に対向する位置に設け、この筒端対向部材の前記支持筒の端部に対向する対向面側に、前記支持筒の端部に対して外嵌又は内嵌する嵌合部を形成し、
前記支持筒内の軸体にカラーを外嵌し、そのカラーの外周面と前記支持筒の内周面との間に前記シール材を装着するとともに、前記カラーに、前記シール材を外嵌装着可能なシール材装着部と、そのシール材装着部よりも前記筒端対向部材側へ延長されていて、かつ前記シール材装着部の径と同径又は前記シール材装着部の径よりも小径に形成された把持部とを備え、
前記支持筒の内周面側における前記カラーの前記把持部の外周面と、前記筒端対向部材の前記対向面と、前記シール材の前記支持筒端部側の端面との間に、前記嵌合部から侵入した泥水などを貯留するための貯留用空間を形成してあることを特徴とする走行用回転体の支持装置。 - 前記カラーの前記筒端対向部材から遠い側の端部には、前記シール材の前記筒端対向部材から遠い側の端部に係合する引き出し用突部を形成してある請求項1記載の走行用回転体の支持装置。
- 前記筒端対向部材の前記対向面側に形成される嵌合部を、前記支持筒の端部側の内周面に対して内嵌するように筒状に突出形成された筒状突起部によって構成し、その筒状突起部の突出端を前記シール材の前記支持筒端部側の端面に近接させてある請求項1又は2記載の走行用回転体の支持装置。
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