JP2012228801A - 表面処理装置及び表面処理装置のフィルムカートリッジ - Google Patents

表面処理装置及び表面処理装置のフィルムカートリッジ Download PDF

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Abstract

【課題】フィルムの交換の際にフィルムの表面や加熱手段の表面にほこりなどが付着することなく容易にフィルムを交換することができる表面処理装置及び表面処理装置のフィルムカートリッジを提供する。
【解決手段】表面処理装置100は、加熱ユニット50と、着脱可能なフィルムカートリッジ14と、を有する。フィルムカートリッジ14は、加熱ユニット50が侵入する第1の開口部80やケーシング31の内部に配置され加熱ユニット50のシャッター55に作用してシャッター55を閉鎖位置(第1の位置)と開放位置(第2の位置)との間で移動させる作用部37a、37bを有する。加熱ユニット50はシャッター55が閉鎖位置にある状態で第1の開口部80からケーシング31内に侵入し、ケーシング31内で作用部37a、37bがシャッター55に作用してシャッター55は開放位置に移動する。
【選択図】図18

Description

本発明は、フィルムを介して被処理媒体の面を加熱する処理を行う表面処理装置及び表面処理装置のフィルムカートリッジに関するものである。
従来、印刷物の多くは、記録材と色材との光沢度が違うことから、印字率によりその表面の光沢が異なる。このような印刷物に対し、オーバーコートを施すなどの様々な後処理工程により、印刷物の表面全体に均一な光沢面を作る方法が種々提案されている。
又、近年、光沢を制御する技術も種々提案されている。例えば、オフセット印刷においては、次のような手法により、様々な光沢表現が可能になっている。即ち、色材インキで印刷後、UV硬化性の透明インキを用いて、特定の部分にオフセット印刷する。そして、印刷物の表面全体に対しUV照射することにより、UV硬化性の透明インキを固定させる。この手法によれば、特定の部分(写真や見出し部など)のグロスを向上し視覚効果に富んだ印刷物を出力することが可能である。
電子写真方式においては、印刷物の表面全体のグロスを向上させて写真調の記録を行う方法が提案されている(特許文献1)。この方法では、トナーで画像が形成された印刷物の表面を、表面の平滑性の高い無端状のベルトを介して再加熱することによりトナーを再溶融させる。その後、ベルトと接触した状態でトナーを冷却させることにより、トナーで形成された画像の表面にベルトの平滑性が転写された状態でトナーを固化させる。この方法では、印刷物の全体の光沢を制御することができるが、印刷物の表面の光沢を部分的に制御することは困難である。
尚、特許文献2には、フィルムを用いて用紙にラミネート処理を行う画像形成装置における、フィルム送り装置が開示されている。
特開2007−086747号公報 特開2002−120960号公報
本発明者らは、鋭意研究の結果、例えばサーマルヘッドと薄いフィルムを用いて部分的に印刷物を加熱する方法が、電子写真方式などにより画像が形成された印刷物の表面の光沢を部分的に制御するのに適していることを見出した。この方法によれば、サーマルヘッドを電気的に制御することで、印刷物上の任意の位置を加熱することができる。被処理媒体が電子写真方式によってトナーで画像が形成された印刷物である場合、印刷物のトナー像を、フィルムを介して加熱・溶融させ、その後冷却・分離することで、印刷物の任意位置の光沢を制御することができる。
ここで、サーマルヘッドは与える熱量が小さいため、トナー像を加熱するには、熱抵抗の小さい、薄いフィルムを使用することが望まれる。このようなフィルムは、加熱すると熱収縮によって変形し、再利用が困難となる。従って、このフィルムは、巻き取り軸に巻き取る巻き取り式にして使い切りにするのが簡便である。
しかしながら、このようにフィルムを使い切りとすると、サービスマンやユーザーによるフィルムの交換が必要となる。本願発明者の知る限りにおいて、このような表面処理装置に好適に適用することができ、フィルムを容易に交換することを可能とするフィルムの収容方法や表面処理装置本体への装着方法はない。
特に、ユーザーがフィルムを扱うにあたっては、装着の操作が煩雑でないこと、フィルムやサーマルヘッドにほこりなどが付着しないことなどが重要である。
尚、特許文献2には、フィルムを用いて用紙にラミネート処理を行う画像形成装置における、フィルム送り装置が開示されている。しかし、フィルムにほこりなどが付着する可能性については考慮されていない。
従って、本発明の目的は、フィルムの交換の際にフィルムの表面や加熱手段の表面にほこりなどが付着することなく容易にフィルムを交換することができる表面処理装置及び表面処理装置のフィルムカートリッジを提供することである。
上記目的は本発明に係る表面処理装置及び表面処理装置のフィルムカートリッジにて達成される。要約すれば、本発明は、供給軸から引き出されて巻き取り軸に巻き取られて搬送されるフィルムを介して加熱手段をプラテンに押圧し、該押圧部において被処理媒体の面を前記加熱手段により前記フィルムを介して加熱する処理を行う表面処理装置において;装置本体内の前記加熱手段が前記フィルムを介して圧接可能な位置に設けられたプラテンと;前記加熱手段、前記プラテンに押圧される側の前記加熱手段の表面を覆う第1の位置と前記加熱手段の表面を開放する第2の位置との間で移動可能なシャッター、及び前記加熱手段を前記プラテンに対して位置決めする加熱手段位置決め部を備えた加熱ユニットと;前記供給軸から前記巻き取り軸に巻き取り可能に前記フィルムを収容するケーシングであって、前記加熱ユニットが侵入する第1の開口部、及び前記フィルムの前記加熱手段が接触する側とは反対側の面を前記プラテンに露出させる第2の開口部を備えたケーシングと、前記ケーシングを前記プラテンに対して位置決めするカートリッジ位置決め部と、前記ケーシングの内部に配置され前記加熱ユニットの前記シャッターに作用して前記シャッターを前記第1の位置と第2の位置との間で移動させる作用部と、を備え、前記表面処理装置の本体に対して着脱可能なフィルムカートリッジと;を有し;前記加熱ユニットは前記シャッターが前記第1の位置にある状態で前記第1の開口部から前記ケーシング内に侵入し、前記ケーシング内で前記作用部が前記シャッターに作用して前記シャッターは前記第2の位置に移動すること特徴とする表面処理装置である。
本発明の他の態様によると、供給軸から引き出されて巻き取り軸に巻き取られて搬送されるフィルムを介して加熱手段をプラテンに押圧し、該押圧部において被処理媒体の面を前記加熱手段により前記フィルムを介して加熱する処理を行う表面処理装置であって、装置本体内の前記加熱手段が前記フィルムを介して圧接可能な位置に設けられたプラテンと、前記加熱手段、前記プラテンに押圧される側の前記加熱手段の表面を覆う第1の位置と前記加熱手段の表面を開放する第2の位置との間で移動可能なシャッター、及び前記加熱手段を前記プラテンに対して位置決めする加熱手段位置決め部を有する加熱ユニットと、を有する表面処理装置の本体に対して着脱可能なフィルムカートリッジであって;前記供給軸から前記巻き取り軸に巻き取り可能に前記フィルムを収容するケーシングであって、前記加熱ユニットが侵入する第1の開口部、及び前記フィルムの前記加熱手段が接触する側とは反対側の面を前記プラテンに露出させる第2の開口部を備えたケーシングと、前記ケーシングを前記プラテンに対して位置決めするカートリッジ位置決め部と、前記ケーシングの内部に配置され前記加熱ユニットの前記シャッターに作用して前記シャッターを前記第1の位置と第2の位置との間で移動させる作用部と、を有し;前記作用部は、前記シャッターが前記第1の位置にある状態で前記加熱ユニットが前記第1の開口部から前記ケーシング内に侵入した際に、前記ケーシング内で前記シャッターに作用して前記シャッターを前記第2の位置に移動させるように設けられていること特徴とするフィルムカートリッジが提供される。
本発明によれば、フィルムの交換の際にフィルムの表面や加熱手段の表面にほこりなどが付着することなく容易にフィルムを交換することができる。
本発明の一実施例に係る表面処理装置の模式的な断面図である。 サーマルヘッドの駆動回路の一例を示す回路図である。 サーマルヘッドの構成の一例を示す模式的な断面図である。 サーマルヘッドの当接、離間動作を説明するための模式図である。 サーマルヘッドの当接、離間動作を説明するための模式図である。 本発明の一実施例に係る表面処理装置の概略制御態様を示すブロック図である。 本発明の一実施例に係る表面処理装置の表面処理動作のフローチャート図である。 本発明の一実施例に係るフィルムカートリッジの装着前の模式的な断面図である。 本発明の一実施例に係るフィルムカートリッジの装着する際の模式的な断面図である。 一部の要素を省略して示すフィルムカートリッジの模式的な斜視図である。 フィルムカートリッジを、表面処理装置の装置本体に設けられた搬送ユニットにセットした状態の模式的な断面図である。 フィルムカートリッジを表面処理装置の装置本体に設けられた搬送ユニットにセットした状態における上視図である。 左側から見たサーマルヘッドユニットの一部要素を省略した側面図である。 左右中央付近で切ったサーマルヘッドユニットの一部要素を省略した断面図である。 左右中央付近で切ったサーマルヘッドユニットの一部をより詳細に示す断面図である。 進入側から見たサーマルヘッドユニットの部分断面側面図である。 サーマルヘッドユニットの装着過程でのシャッター位置を示す模式的な断面図である。 サーマルヘッドユニットの装着過程でのシャッター位置を示す模式的な断面図である。 サーマルヘッドの装着位置でのシャッター位置を示す模式的な断面図である。 本発明の他の実施例におけるフィルムカートリッジを表面処理装置の装置本体に設けられた搬送ユニットにセットした状態における上視図である。 本発明の他の実施例における左右中央付近で切ったサーマルヘッドユニットの一部をより詳細に示す断面図である。 本発明の他の実施例における進入側から見たサーマルヘッドユニットの部分断面側面図である。 本発明の一実施例に係る表面処理装置を備えた画像形成システムの模式的な断面図である。
以下、本発明に係る表面処理装置を図面に則して更に詳しく説明する。
実施例1
1.表面処理装置の基本構成
図1は、本発明の一実施例に係る表面処理装置100の模式的な断面図である。本実施例では、表面処理装置100は、電子写真方式の画像形成装置によって熱溶融性のトナーで別途画像が形成された記録材を被処理媒体Sとして、その表面の表面性状を制御する処理(表面処理)を行う。
表面処理装置100は、装置本体1、被処理媒体Sを積載したカセット2、カセット2から被処理媒体Sを一枚ずつ分離給送する供給ローラ3、被処理媒体Sを挟持搬送する搬送ローラ対4、9などを有する。又、表面処理装置100は、被処理媒体Sを処理部Tに搬送する際に被処理媒体Sの先端を検知するセンサ6を有する。又、表面処理装置100は、搬送ローラ対4から送られてきた被処理媒体Sの斜行を補正し、被処理媒体Sの搬送タイミングを補正するレジストローラ5を有する。
又、表面処理装置100は、被処理媒体Sの搬送経路を挟んで対向して配置される、支持部材としてのローラ型のプラテンであるプラテンローラ7と、加熱手段としての接触型の局所加熱装置であるサーマルヘッド8と、を有する。プラテンローラ7は、サーマルヘッド8が後述するフィルム11及び被処理媒体Sを介して押圧される際の下支えとなると共に、被処理媒体Sを搬送する。サーマルヘッド8は、後述する処理領域情報に応じて選択的に発熱する。
表面処理装置100は更に、サーマルヘッド8によって被処理媒体Sに押圧されると共に選択的に加熱されるフィルム11と、フィルム11の巻き取り手段としての巻き取り軸13と、フィルム11の供給手段としての供給軸12とを有する。巻き取り軸13は、駆動源としての巻き取り軸駆動モータM1(図6)によって回転駆動される。巻き取り軸駆動モータM1は、フィルム11を供給軸12から巻き取り軸12に巻き取る方向に巻き取り軸13を回転駆動することができる。このとき、供給軸12は、フィルム11を巻き取り軸13へと供給する方向に回転可能とされる。尚、供給軸12を上記方向とは逆方向に回転させる方向に付勢してフィルム11のたるみを防止するための付勢手段を設けてもよい。
ここで、フィルム11の被処理媒体Sに接触する側の面を表面、その反対側の面を裏面とする。又、被処理媒体Sのフィルム11が接触する側の面を表面、その反対側であるプラテンローラ7に接触する側の面を裏面とする。
表面処理装置100は更に、フィルム11の裏面側に接触するように設けられた、第1の張架ローラ34と第2の張架ローラ35とを有する。又、表面処理装置100は、フィルム11の裏面側に接触するように設けられ、サーマルヘッド8によって加熱押圧されたフィルム11と被処理媒体Sとを分離する分離部材15を有する。供給軸12、巻き取り軸13、プラテンローラ7、第1の張架ローラ34及び第2の張架ローラ35の回転軸線方向並びに分離部材15の長手方向は略平行である。フィルム11は、供給軸12から引き出され、第1の張架ローラ34の外周の一部に掛け回されて、サーマルヘッド8とプラテンローラ7とによる押圧部(ニップ)である処理部Tに案内される。そして、フィルム11は、処理部Tを通過して、第2の張架ローラ35を通過して、分離部材15によって屈曲されて、巻き取り軸13に案内され、巻き取り軸13によって巻き取られる。このフィルム11の搬送方向を順方向とする。フィルム11の搬送方向は、供給軸12、巻き取り軸13、プラテンローラ7、第1の張架ローラ34及び第2の張架ローラ35の回転軸線方向並びに分離部材15の長手方向と略直交する。被処理媒体Sの表面処理を行うとき、処理部Tにおけるフィルム11と被処理媒体Sの搬送方向は同方向である。第1の張架ローラ34、第2の張架ローラ35は、フィルム11を張架する回転可能なガイドローラである。第1の張架ローラ34、第2の張架ローラ35は、フィルム11の搬送に伴って回転する。
表面処理装置100は更に、被処理媒体Sの搬送方向において処理部Tの上流側に、処理を行う前に被処理媒体Sの姿勢を整える、互いに押圧されたローラ対であるレジストローラ対5を有する。レジストローラ対5は、駆動源としてのレジストローラ駆動モータM2(図6)によって回転駆動される。レジストローラ対5は、被処理媒体Sの斜行を補正した後、その被処理媒体Sを処理部Tに搬送する。被処理媒体Sは、回転が停止されているレジストローラ対5の接触部(ニップ)にその搬送方向の先端が突き当たることで斜行が補正される。
表面処理装置100は更に、被処理媒体Sの搬送方向においてレジストローラ対5の上流側に、互いに押圧されたローラ対である搬送ローラ対4を有する。又、表面処理装置100は、被処理媒体Sの搬送方向において処理部Tの下流側に、互いに押圧されたローラ対である搬送ローラ対9を有する。搬送ローラ対4は、被処理媒体Sをレジストローラ対5へと搬送する。又、搬送ローラ対9は、処理後の被処理媒体Sを後述する表面処理装置100の外部の排出トレイ16或いは後処理工程へと搬送する。
更に、表面処理装置100には、被処理媒体Sの搬送方向においてレジストローラ対5の下流側、且つ、第1の張架ローラ34の上流側に、被処理媒体Sの有無を検知する被処理媒体センサ6が設けられている。被処理媒体センサ6により、搬送中の被処理媒体Sを検知することができる。
詳しくは後述するように、フィルム11、供給軸12、巻き取り軸13、第1、第2の張架ローラ34、35、分離部材15は、フィルムカートリッジ14に収納されて一体的に装置本体1に対して着脱可能とされている。
表面処理装置100は更に、表面処理が施された後の被処理媒体Sを装置本体1の筐体外へ排出する排出ローラ対10を有する。又、表面処理装置100は、装置本体1の外部において排出された被処理媒体Sが積載される排紙トレイ16を有する。
2.表面処理装置の各部の構成
次に、表面処理装置100の各部の構成について更に説明する。
2−1.サーマルヘッド
サーマルヘッド8の基本構成及び基本仕様について説明する。図3は、特に、サーマルヘッド8の発熱体の構成の概略図である。サーマルヘッド8は、アルミナなどを用いた基板151に印刷されたグレーズ152(保温層)上にコモン(共通)電極153a、リード(個別)電極153bを形成すると共に、これらの各電極の上面に発熱抵抗体155を形成して構成されている。更に、上記基板151、保温層152、各電極153a、153b及び発熱抵抗体155の上面に、保護膜154(オーバーコート層)が形成されている。又、サーマルヘッド8には、発熱体に選択的に電力を印加して発熱させるための駆動回路160(図6)が接続されている。更に、サーマルヘッド8には、被処理媒体Sに熱を与えた後の余分な熱を放熱させる放熱板などの部材が設けられている。サーマルヘッド8は、被処理媒体Sの搬送方向と略直交する方向に沿って直線状に配列された複数の発熱体(加熱部)を有し、その配列方向において異なる領域を選択的に加熱することでフィルム11を介して被処理媒体Sの面を加熱することができる。
本実施例で使用したサーマルヘッド8は、発熱体密度300dpi、記録密度(処理密度)300dpi、駆動電圧30V、発熱体平均抵抗値5000Ωである。しかし、サーマルヘッド8の構成や仕様は、本実施例のものに限定されるものではない。
図2は、一般的なサーマルヘッド8の駆動回路の概略図である。アルミナ基板上には、1ライン分の発熱抵抗体が設けられ、その両サイドに電極が配線されている。又、1ライン分のデータ(処理領域情報)を転送し保持するレジスタ群を含むドライバICが、同一アルミナ基板上或いは別個の配線基板上に設けられている。
2−2.プラテンローラ
プラテンローラ7は、軸(芯金)7aの周りに、硬質ゴムなどの摩擦係数の高い部材から成る弾性層7bをローラ状に形成した弾性ローラである。本実施例では、軸7aの周りにシリコーンゴムから成る弾性層7bをローラ状に形成した耐熱性のゴムローラである。プラテンローラ7は、軸7aにより装置本体1に回動可能に取り付けられている。そして、この軸7aを介してプラテンローラ7を駆動源としてのプラテンローラ駆動モータM3(図6)により回転駆動することにより、被処理媒体Sとフィルム11とが搬送される。本実施例では、被処理媒体Sの搬送速度は、プラテンローラ7の回転速度によって決定され、サーマルヘッド8へ送られるデータ(処理領域情報)は、このプラテンローラ7の回転速度に基づいて形成される。本実施例では、表面処理時に、処理部Tにおいて被処理媒体Sとフィルム11は略等速度で同方向に搬送される。
2−3.フィルム
フィルム(転写フィルム)11は、供給軸12に所望の長さ巻き取られて蓄えられており、必要に応じて巻き取り軸13により巻き取ることにより、処理部Tに供給される。フィルム11は、被処理媒体Sの表面を局所的に加熱するために、薄い可撓性材料で構成することが望まれる。この観点から、フィルム11の厚さは40μm以下が望ましい。フィルム11の厚さは、光沢処理の観点からは2μmまで薄くすることが可能であるが、強度の観点からは4μm以上が好ましい。更に、表面処理において、写真調の写像性に優れた表面性を得るために、フィルム11はある程度の剛度を持つことが有効であり、下記のような材質においては8μm以上が好ましい。又、材質については、サーマルヘッド8に対する耐熱性が必要である。ポリイミドなど、200℃を超える耐熱性を有する材質が望ましい。しかし、加熱履歴は残るが、PET(ポリエチレンテレフタラート)など安価で一般的な樹脂フィルム(熱可塑性フィルム)を採用することができる。又、フィルム11の表層(被処理媒体Sに接触する面)には、離型コーティングを施すことができる。この機能層は、低表面エネルギーのコーティング層であり、フィルム11と被処理媒体Sの表層の樹脂の離型性を向上するために施すことができる。フィルム11の表面の形状を被処理媒体Sの表面に転写するにあたっては、フィルム11の形状を如何に正確に転写するかという観点から、スムーズに離型することが望ましい。これらの組成としては、例えばフッ素樹脂、シリコーン樹脂などを用いることができる。又、形成方法については、コーティングを用いることができるが、コーティングに限ることはなく、あくまで転写すべき表面性を形成できることが重要となる。例えば、写真用の平滑な面を作るため、ベースフィルムにコーティングにより平滑面を作成することができる。又、フィルム11の裏面(サーマルヘッド8と摺動する面)には、スティック防止層を設けることができる。これはサーマルヘッド8との機械的摩擦を低減するために施すことができる。上述の離型コーティングに近い特性が要求されるため、具体的には、離型層と同様のフッ素樹脂、シリコーン樹脂などによるコーティングが有効である。本実施例では、フィルム11として、PETフィルム(基材)に離型コーティングを施し、又スティック防止層を設けたものを使用した。
フィルム11は、その表面形状(表面性状)を被処理媒体Sに転写するため、高光沢の平滑フィルムであれば、高光沢な写真調の光沢表面に処理することが可能になる。又、逆に、サンドブラストなどによるマットフィルムを使用するか或いは特定の形状を施したフィルムを使えば、その形状の反転形状を被処理媒体Sに転写することが可能である。例えば、絹目や和紙や、エンボス紙に有るような様々な風合いの形状を転写することが可能である。又、幾何学模様を施すことも可能であり、格子など様々な風合いを転写することが可能である。又、更に1μmからサブμmオーダーの幾何学構造を作ることによりホログラム色を呈する表面を転写することが可能である。本実施例では、フィルム11はフィルムカートリッジ14として供給され交換可能である。又、本実施例では、表面処理装置100は、部分的に処理が可能であるため、これらのフィルム11から種類の異なるフィルム11を複数備えて、必要な場所にのみさまざまな形状やホログラム色を処理することが可能である。
本実施例では、フィルム11のサイズは、その搬送方向と略直交する方向の幅が320mm〜350mm程度のものを使用し、サーマルヘッド8の同方向の幅も同等の幅を持つものを使用する。これにより、A3サイズ程度までの様々なサイズの被処理媒体Sに対応することが可能である。又、本実施例では、フィルム11は、その表面が平滑で、被処理媒体Sに光沢を付与するためのものであるものとする。又、本実施例では、フィルム107は、熱可塑性フィルムから成り、その薄さから、一度使用すると、加熱部分にしわが発生し、再利用することはできない。
2−4.分離部
フィルム11から被処理媒体Sが分離する部分(分離部)について説明する。適切な表面処理のためには、サーマルヘッド8及び分離部の構成は重要である。本実施例では、分離部材15は、フィルム11の冷却機能と曲率によるフィルム11からの被処理媒体Sの分離機能の2つの役目を担っている。本実施例では、分離部材15は、SUS板などの金属により構成し、分離曲率(本例では曲率半径で1mm)を十分小さい値に設定することにより、被処理媒体Sとフィルム11とを確実に離型できるようにした。
又、分離部材15には、分離部の温度上昇を抑えるため冷却機構(図示せず)が設けられていることが望ましい。冷却機構としては、空冷機構を設けたり、冷却フィンを取り付けたりすることなどが有効である。
又、分離部の温度は、複数箇所に設けられた温度検知手段としてのサーミスタ抵抗により監視し、冷却目標温度T1℃以下になるよう、ファン風量や印字動作を制御する。冷却目標温度は、被処理媒体S上の色材或いはオーバーコート材などの、被処理媒体Sの表層の樹脂(熱可塑性樹脂)のTgに合わせることが望ましい。Tgと溶融開始点のずれを考慮すると、Tg+15℃程度以下に設定するのが好ましく、Tg以下に設定するのが更に好ましい。又、色材層には樹脂や着色材以外にWaxなどの成分を含む表層材質もある。この場合、Waxの融点以下に設定することが好ましい。記録材質が定まらない場合は室温程度に十分低い温度に設定することが好ましい。例えば30〜50℃程度が良好である。
2−5.被処理媒体(カット紙)
本実施例では、被処理媒体Sとして、電子写真画像形成装置により出力された印刷物を用いた。例えば、CMYKの4色プロセスにより画像が形成された記録材、或いはCMYKの4色のトナーによる記録画像と色材を含まない樹脂主体の透明トナーとを用いた5色プロセスにより画像が形成された記録材が挙げられる。透明トナーとしては、例えば、顔料を含まず、主にポリエステル樹脂で構成されるものを用いることができる。又、透明トナーとしては、光透過性が高く、着色剤が実質的に入らない樹脂から成る、実質的に無色であり、少なくとも可視光を実質的に散乱することなく良く透過する粒子を好適に用いることができる。但し、透明トナーは、定着後に上述のように実質的に無色透明となるものであれば好適に用いることができ、定着前には無色透明でなくてもよく、例えば集合したときに白色に見えるようなものであっても構わない。例えば、透明トナーは、CMYKに分版後、印字率の低い部分に透明トナーを補い、記録材の全体をトナーで覆うように印字パターンを決定し出力することができる。これにより、被処理媒体Sの任意の場所の表面処理が可能となる。その他、一定量の透明トナーを記録材の全面に載せるなどしてもよい。例えば、電子写真画像形成装置による印刷物のグロスは、60°グロスで10%程度になるよう電子写真画像形成装置におけるトナーの定着状態を調整することができる。
又、例えば、被処理媒体Sとして、上記4色及び5色プロセスに限らず、樹脂コーティングを施した記録材に4色プロセスにより画像が形成された記録材を用いてもよい。
又、例えば、溶融熱転写記録、昇華熱転写記録、インクジェット記録などにより記録された記録も同様に、被処理媒体Sとして用いることができる。この場合も、熱可塑性樹脂で記録材の面を覆うことより、被処理媒体Sの全面の任意の場所の表面処理が可能となる。
2−6.搬送ローラ
本実施例では、被処理媒体Sの最小サイズとしては、写真のL版相当を想定しているため、各ローラ間のピッチは約100mm以下としている。プラテンローラ7も同様、上流・下流の搬送ローラとの距離は約100mmである。
2−7.表面処理の基本動作
図6は、本実施例の表面処理装置100の概略制御態様を示す。又、図7は、本実施例の表面処理装置100の表面処理の基本動作の手順を示す。
光沢処理装置100の動作は、制御手段としてのコントローラ(制御部)500によって制御される。コントローラ500には、パーソナルコンピュータや操作部600から処理命令(光沢処理命令)が伝送され、CPU501がその処理命令を取得する。又、CPU501は、搬送ローラ対4、9、レジストローラ対5による搬送制御、サーマルヘッド8の着脱手段(後述)の動作制御、巻き取り軸13の動作制御、サーマルヘッド駆動回路160の駆動制御、被処理媒体センサ6の検知制御などを行う。
図7を参照して、先ず、コントローラ500は、パーソナルコンピュータやその他の接続機器(USBメモリー、SDカード等)からの光沢処理データの受信の有無(S1)及び操作部600からの光沢処理データの入力の有無(S2)を確認する。光沢処理データは、光沢処理する記録紙のサイズ、光沢処理パターン、処理領域、画像データ等で構成されている。コントローラ500については、後述して更に説明する。
光沢処理データが受信又は入力されると、コントローラ500は、被処理媒体Sの搬送を開始する(S3)。即ち、記録材Pに画像が記録されている被処理媒体Sを積載したカセット2から、供給ローラ3で被処理媒体が一枚ずつ装置本体1内に分離給送されると共に、被処理媒体Sが搬送ローラ対4によって挟持して搬送される。被処理媒体Sは、レジストローラ対5の位置まで搬送され、斜行補正されるために一旦停止する。
その後、レジストローラ対5が駆動されて、被処理媒体Sの搬送が再開されると、被処理媒体Sの搬送方向の先端が被処理媒体センサ6によって検知される(S4)。そして、被処理媒体Sが被処理媒体センサ6を通過するタイミングに合わせて、サーマルヘッド8を駆動するタイミングが制御される。
本実施例では、図4に示すように、サーマルヘッド8は、通常時はプラテンローラ7から離間した状態で待機している。コントローラ500は、被処理媒体センサ6によって被処理媒体Sの先端が該被処理媒体6を通過したことを検知すると、そのタイミングに基づいて、被処理媒体Sの処理開始位置が処理部Tに搬送されるタイミングを求める。そして、そのタイミングに合わせて、コントローラ500は、図5に示すようにサーマルヘッド8を図中下方に移動させてプラテンローラ7に押圧するように、サーマルヘッド着脱手段(後述)の駆動(加圧動作)を制御する(S5)。コントローラ500は、サーマルヘッド8の加圧が完了させてからフィルム11の搬送を開始させる(S6)。即ち、巻き取り軸13は、図4の状態では停止しており、図5のようにプラテンローラ7にサーマルヘッド8が押圧されると、巻き取り軸13も同時に駆動される。
処理部Tにおいては、被処理媒体Sの搬送経路を挟んでプラテンローラ7と、処理領域情報に応じて選択的に発熱するサーマルヘッド8とが対向している。そして、サーマルヘッド8の下方にはフィルム11、更にその下方に被処理媒体Sが搬送される。フィルム11は、フィルムカートリッジ14に収納されており、サーマルヘッド8とプラテンローラ7とにより、被処理媒体Sと共に挟持されて搬送される。コントローラ500は、サーマルヘッド8の発熱抵抗体を後述する処理領域情報により決定された加熱パターンにより選択的に加熱するように制御する。これにより、フィルム11と被処理媒体Sをサーマルヘッド8とプラテンローラ7との間に挟持して搬送しながら、被処理媒体S上のトナー像を再溶融させる。被処理媒体Sの搬送方向においてサーマルヘッド8の下流には分離部材15が設けられており、フィルム11は被処理媒体Sから分離される。この時、被処理媒体Sは十分に冷却されているため、被処理媒体Sの表面のトナー像は、フィルム11の表面性が転写された状態で固化し、被処理媒体Sに所望の光沢を付与することができる(S7)。
フィルムカートリッジ14内に設けられているフィルム11の巻き取り軸13には、駆動装置(巻き取り軸駆動モータM1)が接続されている。尚、供給軸12にも駆動装置が設けられ、フィルム11を逆方向に巻き取ることでフィルム11のたるみを防止するようになっていてよい。巻き取り軸13は、被処理媒体Sの搬送に伴って搬送されるフィルム11を巻き取り、同時に分離部材15による分離部でフィルム11と被処理媒体Sを分離するために必要なテンションを発生させている。このフィルム11を被処理媒体Sから分離する際に必要なテンションは、被処理媒体Sの搬送速度よりフィルム11の巻き取り速度を若干速めに設定し、駆動装置にトルクリミッタ等を介すことで発生させている。このように、巻き取り軸13は、光沢処理中は、フィルム11が被処理媒体Sから分離するテンションを発生させつつ被処理媒体Sの搬送と共に搬送されるフィルム11を巻き取っている。
光沢処理の終了後に、コントローラ500は、巻き取り軸13の回転を停止するように制御し(S8)、ほぼ同時に図4に示すようにサーマルヘッド8をプラテンローラ7から離間(圧解除)させるように制御する。
最後に、被処理媒体Sは、排出ローラ対10へ案内され、装置本体1の筐体外へ排出されて、表面処理の動作が終了する。尚、本実施例では、表面処理時(記録時)の被処理媒体(被記録媒体)Sの移動スピードは100mm/sに制御した。
上記表面処理装置100の各種動作は、コントローラ(制御部)500により統括的に制御される。コントローラ500はパーソナルコンピュータなどから送られてくる処理命令や、表面処理装置100に設けられた操作部600により入力される処理命令に基づいて表面処理装置100の各部の動作を制御する。コントローラ500は、制御手段としてのCPU501、記憶手段としてのROM503及びRAM502などを有し、CPU501が処理命令に応じて、ROM503、RAM502に格納されたプログラムやデータに従って制御を実行する。処理命令は、対応する領域が処理部Tを通過するタイミングに合わせてサーマルヘッド8を選択的に発熱させるための処理領域情報を含む。サーマルヘッド8は、その処理領域情報に基づき被処理媒体Sの所定位置に対応して発熱して、被処理媒体Sの表面処理を行なう。コントローラ500は、処理命令が送られてくると、搬送手段へ命令を送り、被処理媒体Sの搬送が開始される。コントローラ500は、これと平行して、サーマルヘッド駆動回路160へも処理領域情報(光沢画像データ)を伝送する。被処理媒体Sが被処理媒体センサ6を通過してから所定時間後、サーマルヘッド着脱手段へ命令を送り、サーマルヘッド8をプラテンローラ7に押圧する。サーマルヘッド8は、処理領域情報に基づき被処理媒体Sの所定位置に表面処理(光沢処理)を行なう。又、コントローラ500は、被処理媒体Sが分離部材15による分離部を通過した後、サーマルヘッド着脱手段へ命令を送り、サーマルヘッド8をプラテンローラ7から離間する。
ここで、前述のように、フィルム11は被処理媒体Sと共に搬送されるため、被処理媒体Sの長さと同じ長さが搬送される。前述のように、本実施例では、フィルム11の材料として、非常に薄い熱可塑性の樹脂フィルムであるPETフィルムを使用している。これはサーマルヘッド8で選択的に被処理媒体S上のトナーを再溶融するためには、フィルムが厚いとサーマルヘッド8へ供給する電力が大きくなることと、熱を加えた時にエッジ部がぼやけてしまうことを避けるためである。このような薄いフィルムを使用することにより電力量の低減と画像のシャープさが達成できる反面、フィルムは熱変形を起こすため繰り返し使用することができない。
尚、本実施例では、被処理媒体Sとしては、電子写真方式で印刷された印刷物を使用するが、通常このような印刷物は記録紙などの記録材の先端部・後端部に余白が設けられている。この余白部分にはトナー像が形成されていないため、本実施例の表面処理装置100では光沢処理をすることはできない。又、本実施例の表面処理装置100では、光沢処理を部分的に行なえるが、光沢処理を行なう画像データによっては紙幅方向に全く画像データが無いような領域も存在することがある。又、レジストローラ対5、搬送ローラ対9のそれぞれと、プラテンローラ7とのローラ間ピッチは、約100mmに設定されている。このためハガキなど200mm以下の被処理媒体Sに対して光沢処理を行なう際、被処理媒体Sを搬送するためにはサーマルヘッド8はプラテンローラ7に押圧されている必要がある。
3.フィルムカートリッジ
次に、フィルムカートリッジ14の構成について詳細に説明する。
図8及び図9は、フィルムカートリッジ14の模式的な断面図であり、図8は表面処理装置100の装置本体1に装着する前の状態、図9は装着する際の状態を示す。又、図10は、一部の要素を省略して示すフィルムカートリッジ14の模式的な斜視図である。
以下、便宜上、フィルムカートリッジ14について、フィルムカートリッジ14を表面処理装置100の装置本体1に装着した状態で図1における紙面手前側となる側を左側、紙面奥側になる側を右側という。又、同様に、図1における右側になる側を進入側、左側になる側を排出側という。又、同様に、図1における上側になる側を上側、下側になる側を下側という。
フィルムカートリッジ14は、ケーシング31を有する。ケーシング31は、概略、左右両側面31A、31Aと、進入側及び排出側両側面32B、32Bと、上側面31Cとを有する。ケーシング31の上側面31Cには、詳しくは後述するようにサーマルヘッドユニット50によってサーマルヘッド8が侵入するための第1の開口部80が設けられている。又、ケーシング31の下側には、進入側及び排出側両側面32B、32Bの縁部31B1、31B1と、左右両側面31A、31Aによって画成される第2の開口部81が設けられている。第2の開口部81は、サーマルヘッド8とプラテンローラ7とが対向(処理時にはフィルム11を介して当接)するのを可能とするものである。
図8に示すように、第1の開口部80と、第2の開口部80は、それぞれ第1のシール32A、第2のシール32Bで封止される。又、図9に示すように、第1のシール32Aと第2のシール32Bは、フィルムカートリッジ14を表面処理装置100の装置本体1に装着する際には取り除くことができるようになっている。第1、第2のシール32A、32Bは、適当な樹脂フィルムで作成することができ、装着時に操作者が剥離することができるように接着、溶着などの適当な固定手段によって除去可能に固定されている。
ケーシング31の内部には、フィルム11が巻き取り軸13、供給軸12、第1の張架ローラ34及び第2の張架ローラ35によって張架され、フィルム11の裏面側(内側)に分離部材15が配置されている。巻き取り軸13、供給軸12、第1の張架ローラ34及び第2の張架ローラ35は、ケーシング31の左右両側面31A、31Aによって軸支されており、又分離部材15は左右両側面31A、31A間に固定されている。
又、第1の開口部80とフィルム11の面の間には、遮蔽部材としての可撓性を有するシート部材である可撓性シート36が取り付けられている。本実施例では可撓性シート36は、進入側端部の一部である固定部36Bが、ケーシング31の上側面31Cによって形成される第1の開口部80の進入側縁部に貼り付けられて、固定されている。そして、可撓性シート36は、自然状態(外部からの力が加わらない状態)では、その排出側端部が第1の開口部80の排出側縁部に当接して、面状の遮蔽部36Aが第1の開口部80を実質的に完全に閉じる。これにより、フィルムカートリッジ14の装置本体1への装着時に、第1の開口部80からフィルム11の面にほこりなどが直接落下しないようになっている。後述するように、可撓性シート36は、サーマルヘッドユニット50が第1の開口部80からフィルムカートリッジ14の内部に侵入してくる際に、サーマルヘッドユニット50によって押されてフィルムカートリッジ14の内側に開き、第1の開口部80を開放する。
このように、本実施例では、フィルムカートリッジ14は、第1の開口部80を封止する、取外し自在にケーシング31に取付けられた第1のシール32Aを有する。又、フィルムカートリッジ14は、第2の開口部81を封止する、取外し自在にケーシング31に取付けられた第2のシール32Bを有する。更に、フィルムカートリッジ14は、第1の開口部80の内側にフィルム11の面を覆うようにケーシング31に取り付けられたシート部材36を有する。
又、ケーシング31の左右両側面31A、31Aのそれぞれの内側に、後述するサーマルヘッド8のシャッター55の開閉機構と作用してシャッター55を開閉する開閉作用部37(37a、37b)が形成されている。
図11は、フィルムカートリッジ14を、表面処理装置100の装置本体1に設けられた搬送ユニット110(プラテンローラ7、レジストローラ対5、搬送ローラ対9を含む)にセットした状態の模式的な断面図である。又、図12は、同状態における上視図である。
図11及び12に示すように、フィルムカートリッジ14は、ハウジング31の左右両側面31A、31Aが、それぞれ外側から搬送ユニット110のフレーム42(42a、42b)に嵌合する。それと共に、ハウジング31の左右両側面31A、31Aにそれぞれ形成された位置決め部38(38a、38b)が、プラテンローラ7の軸7aに取り付けられた軸受け41(41a、41b)と嵌合する。又、それと共に、本実施例では、ハウジング31の左右両側面31A、31Aの排出側端部近傍の縁部が、それぞれ追加の位置決め部39(39a、39b)として作用する。そして、この追加の位置決め部39(39a、39b)が、それぞれ搬送ユニット110に配置された受け部43(43a、43b)上に載置される。このようにして、フィルムカートリッジ14は、装置本体1に対して位置決めされるようになっている。
4.サーマルヘッドユニット
次に、サーマルヘッドユニット50について説明する。図13は、左側から見たサーマルヘッドユニット50の一部要素を省略した側面図である。又、図14は、左右中央付近で切ったサーマルヘッドユニット50の一部要素を省略した断面図である。図15は、左右中央付近で切ったサーマルヘッドユニット50の一部をより詳細に示す断面図である。又、図16は、進入側から見たサーマルヘッドユニット50の部分断面側面図である。
図13に示すように、サーマルヘッドユニット50は、回動軸53を中心に回動自在に支持されたフレーム52を有する。回動軸53は、表面処理装置100の装置本体1に軸支されている。フレーム52は、サーマルヘッドユニット50を使用可能状態に位置決めするための左右両側の位置決めホルダー51(51a、51b)を支持する。左右両側の位置決めホルダー51(51a、51b)は、それぞれ搬送ユニット110のフレーム42(42a、42b)(図12)に内側から嵌合する。それと共に、左右両側の位置決めホルダー51(51a、51b)には、それぞれプラテンローラ7の軸7aに取り付けられた軸受け40(40a、40b)と嵌合するユニット位置決め部54(54a、54b)が形成されている。これにより、後述するようにサーマルヘッドユニット50がフィルムカートリッジ14の内部に侵入して、使用可能状態となる際に、プラテンローラ7に対してサーマルヘッド8が位置決めされる。
又、図14に示すように、サーマルヘッドユニット50は、左右両側の位置決めホルダー51(51a、51b)に対してそれぞれ取り付けられた、左右両側のサーマルヘッドホルダー62(62a、62b)を有する。サーマルヘッド8は、左右両側のサーマルヘッドホルダー62(62a、62b)間に固定されている。又、サーマルヘッドユニット50は、左右両側の位置決めホルダー51(51a、51b)間に回動可能に固定されたシャッター軸58を有する。このシャッター軸58には、該シャッター軸58を介して回動自在に位置決めホルダー51(51a、51b)に取付けられた、左右両側のシャッターホルダー56(56a、56b)が設けられている。左右両側のシャッターホルダー56(56a、56b)は、それぞれ位置決めホルダー51(51a又は51b)とサーマルヘッドホルダー62(62a又は62b)との間において、シャッター軸58に取付けられている。そして、サーマルヘッド8の表面を覆うシャッター55が、左右両側のシャッターホルダー56(56a、56b)間に固定されている。
又、シャッター軸58の左右両端部には、シャッター軸58を中心に、駆動受け手段としてのシャッター軸ギア57(57a、57b)が固定されている。この左右両側のシャッター軸ギア57(57a、57b)には、それぞれ駆動伝達手段としての駆動ギア60(60a、60b)が噛合っている。この左右両側の駆動ギア60(60a、60b)は、左右両側の位置決めホルダー51(51a、51b)にそれぞれ回動可能に固定された駆動軸59(59a、59b)を中心に、該駆動軸59(59a、59b)に固定されている。そして、この左右両側の駆動ギア60(60a、60b)には、それぞれシャッターレバー61(61a、61b)が固定されている。従って、このシャッターレバー61(61a、61b)の回動に伴って、駆動ギア60(60a、60b)が回動する。そして、この駆動ギア60(60a、60b)の回動により、シャッター軸ギア57(57a、57b)が回動させられて、シャッター軸58が回動し、シャッター55が回動するようになっている。
ここで、本実施例では、サーマルヘッド8は、プラテンローラ7に対して当接、離間が可能となっている。そのため、図15、図16により詳しく示すように、左右両側のサーマルヘッドホルダー62(62a、62b)は、ガイド72(72a、72b)を介して、上下にスライド可能に位置決めホルダー51(51a、51b)に取り付けられている。この左右両側のガイド72(72a、72b)は、左右両側の位置決めホルダー51(51a、51b)にそれぞれ固定されている。更に説明すると、左右両側のサーマルヘッドホルダー62(62a、62b)は、上端部に形成された凸部62a1、62b1の上面とフレーム52との間に設けられた付勢手段としての加圧バネ73によって、下方に付勢されている。又、該凸部62a1、62b1の下面には、左右両側の位置決めホルダー51(51a、51b)に回動可能に固定された切り替え軸76に固定された左右両側のカム75(75a、75b)が当接している。又、左右両側のサーマルヘッドホルダー62(62a、62b)は、連結ステー74によって連結されている。そして、切り替え軸76に連結された駆動源としてのカムモータ(Mc)77によってカム75(75a、75b)を回動させることで、左右両側のサーマルヘッドホルダー62(62a、62b)を同位相で上下させられるようになっている。これにより、サーマルヘッド8を、プラテンローラ7に対して当接、離間させることが可能となっている。本実施例では、ガイド72(72a、72b)、加圧バネ73、カム75(75a、75b)、切り替え軸76、カムモータ77などによって、サーマルヘッド着脱手段70が構成される。尚、本実施例では、図15に示すように、左右両側のサーマルヘッドホルダー62(62a、62b)には、サーマルヘッドホルダー62(62a、62b)が上下動する際に切り替え軸76、シャッター軸58を逃がす溝62a2、62b2が設けられている。
次に、サーマルヘッドシャッター55の開閉動作について説明する。図17、図18及び図19は、サーマルヘッドユニット50の装着過程でのシャッター55の位置を示している。
図17に示すように、サーマルヘッドユニット50は、回動軸53を中心に回動しながら、シャッター55は閉じた状態で第1の開口部80(図9〜図12)から侵入するようになっている。
この状態で、サーマルヘッドユニット50は、位置決めホルダー51(51a、51b)によるプラテンローラ7との位置決め部近傍まで回動される。すると、図18に示すように、シャッターレバー61(61a、61b)が開閉作用部37(37a、37b)と接触しながら回動して、シャッター55が開く。そして、図19に示すように、位置決めホルダー51(51a、51b)によるプラテンローラ7との位置決めが完了した位置にて、サーマルヘッドユニット50の装着が完了する。
ここで、本実施例では、サーマルヘッドユニット50が位置決めホルダー51(51a、51b)によるプラテンローラ7との位置決めが完了した位置まで回動されると、次のようになる。即ち、上述の連結ステー74(図15)に取り付けられている係止手段としてのフィルムカートリッジ固定用ロック爪71が、係止受け手段としてのフィルムカートリッジ14のハウジング31の上側面31Cに設けられたロック穴33(図10)に係合する。これにより、上述のように左右両側のサーマルヘッドホルダー62(62a、62b)が上下動する際に、フィルムカートリッジ14も上下動することで、フィルム11がプラテンローラ7に対して当接、離間できるようになっている。尚、固定用ロック爪71とロック穴33の係合力は、サーマルヘッドユニット50を開放する際に、使用者によって容易に係合を解除できる程度に設定されている。
このように、本実施例の表面処理装置100は、供給軸12から引き出されて巻き取り軸13に巻き取られて搬送されるフィルム11を介して加熱手段8をプラテン7に押圧する。そして、該押圧部Tにおいて被処理媒体Sの面を加熱手段8によりフィルム11を介して加熱する処理を行う。即ち、本実施例の表面処理装置100は、装置本体内の加熱手段8がフィルム11を介して圧接可能な位置に設けられたプラテン7を有する。又、この表面処理装置100は、加熱ユニット50を有する。この加熱ユニット50は、加熱手段8、プラテン7に押圧される側の加熱手段8の表面を覆う第1の位置(閉鎖位置)と加熱手段8の表面を開放する第2の位置(開放位置)との間で移動可能なシャッター55を備えている。又、上記加熱ユニット50は、加熱手段8をプラテン7に対して位置決めする加熱手段位置決め部(ユニット位置決め部)54a、54bを備えている。又、本実施例の表面処理装置100は、表面処理装置100の本体1に対して着脱可能なフィルムカートリッジ14を有する。このフィルムカートリッジ14は、供給軸12から巻き取り軸13に巻き取り可能にフィルム11を収容するケーシング31を備えている。このケーシング31は、加熱ユニット50が侵入する第1の開口部80、及びフィルム11の加熱手段8が接触する側とは反対側の面をプラテン8に露出させる第2の開口部81を備えている。又、上記フィルムカートリッジ14は、ケーシング31をプラテン7に対して位置決めするカートリッジ位置決め部38a、38bを有する。更に、上記フィルムカートリッジ14は、ケーシング31の内部に配置され加熱ユニット50のシャッター55に作用してシャッター55を第1の位置(閉鎖位置)と第2の位置(開放位置)との間で移動させる作用部37a、37bを備えている。そして、加熱ユニット50はシャッター55が第1の位置(閉鎖位置)にある状態で第1の開口部80からケーシング31内に侵入し、ケーシング内で作用部37a、37bがシャッター55に作用してシャッター55は第2の位置(開放位置)に移動する。
上述のように、本実施例では、フィルムカートリッジ14は、ケーシング31の内部に配置され加熱ユニット50のシャッター55に作用してシャッター55を第1の位置(閉鎖位置)と第2の位置(開放位置)との間で移動させる作用部37a、37bを有する。この作用部37a、37bは、シャッター55が第1の位置にある状態で加熱ユニット50が第1の開口部80からケーシング31内に侵入した際に、ケーシング内でシャッター55に作用してシャッター55を第2の位置に移動させるように設けられている。
尚、本実施例では、サーマルヘッドホルダー62は、位置決めホルダー51に対して移動可能に取り付けられている。しかし、本発明は斯かる態様に限定されるものではなく、例えばサーマルヘッド8がプラテン7に対して当接・離間しない構成の場合に、サーマルヘッドホルダー62が位置決めホルダー51に対して移動不可能に固定されていてもよい。
以上、本実施例によれば、フィルムの交換の際にフィルムの表面や加熱手段の表面にほこりなどが付着することなく容易にフィルムを交換することができる。
実施例2
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例において、実施例1の表面処理装置のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付して、詳しい説明は省略する。
図20は、本実施例における、フィルムカートリッジ14を、表面処理装置100の装置本体1に設けられた搬送ユニット110(プラテンローラ7、レジストローラ対5、搬送ローラ対9を含む)にセットした状態の模式的な上視図である。又、図21は、本実施例における、左右中央付近で切ったサーマルヘッドユニット50の一部をより詳細に示す断面図である。又、図22は、本実施例における、進入側から見たサーマルヘッドユニット50の部分断面側面図である。
実施例1では、サーマルヘッド8のプラテンローラ7に対する位置決め部が、フィルムカートリッジ14内に配置されていた。しかし、本発明は係る態様に限定されるものではなく、フィルムカートリッジ14の外に配置されていてもよい。
図20に示すように、本実施例では、フィルムカートリッジ14の外側に搬送ユニット110のフレーム72(72a、72b)を配置する。そして、プラテンローラ7の軸7aに取り付けられた軸受け71(71a、71b)と、フィルムカートリッジ14の位置決め部38(38a、39b)が嵌合するようにする。それと共に、実施例1と同様に、追加の位置決め部39(39a、39b)が搬送ユニット110に配置された受け部43(43a、43b)上に載置される(図11)。これによりフィルムカートリッジ14が位置決めされるようになっている。
そして、本実施例では、図22に示すように、サーマルヘッドユニット50の左右両側の位置決めホルダー51(51a、51b)は、搬送ユニット110のフレーム72(72a、72b)(図20)に外側から嵌合する。それと共に、左右両側の位置決めホルダー51(51a、51b)に形成された左右両側のユニット位置決め部54(54a、54b)が、それぞれプラテンローラ7の軸7aに取り付けられた軸受け70(70a、70b)と嵌合する。これにより、サーマルヘッドユニット50がフィルムカートリッジ14の内部に侵入して、使用可能状態となる際に、プラテンローラ7に対してサーマルヘッド8が位置決めされる。
又、本実施例では、シャッター軸58、フィルムカートリッジ14の内部に侵入するサーマルヘッドホルダー62(62a、62b)間に回動可能に固定されている。そして、駆動軸59(59a、59b)、シャッター軸ギア57(57a、57b)、駆動ギア60(60a、60b)も、サーマルヘッドホルダー62(62a、62b)にそれぞれ固定されている。更に、シャッターホルダー56(56a、56b)、シャッターレバー61(61a、61b)も、サーマルヘッドホルダー62(62a、62b)にそれぞれ固定されている。
尚、本実施例では、図21に示すように、左右両側のサーマルヘッドホルダー62(62a、62b)には、サーマルヘッドホルダー62(62a、62b)が上下動する際に切り替え軸76を逃がす溝62a2、62b2が設けられている。又、本実施例では、左右両側のサーマルヘッドホルダー62(62a、62b)が上下動する際に、シャッター55及びその開閉機構も上下動する。本実施例では、この際に、フィルムカートリッジ14内の開閉作用部37(37a、37b)の位置の設定により、シャッター55がサーマルヘッド8の当接、離間動作を妨げることはないようになっている。
以上、本実施例の構成によっても、実施例1と同様の効果がえられる。又、本実施例では、サーマルヘッドユニット50の位置決め部がフィルムカートリッジ14の外にあるので、フィルムの交換の際にフィルムの表面へのほこりなどの付着がより発生しにくい。
実施例3
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例において、実施例1、2の表面処理装置のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付して、詳しい説明は省略する。
実施例1、2では、表面処理装置は、電子写真方式の画像形成装置によって別途画像が形成された記録材を被処理媒体として、その表面処理を行う個別の表面処理装置であった。しかし、表面処理装置は、電子写真方式の画像形成装置に接続され、画像形成装置において画像が形成された記録材が、被処理媒体として表面処理装置に搬送されるものであってもよい。
図23は、本発明の一実施例に係る表面処理装置を備えた画像形成システムの全体構成を示す模式的な断面図である。本実施例では、表面処理装置100と、電子写真方式の画像形成装置200とが連結されて、画像形成システム300が構成されている。画像形成システム300は、画像形成装置200において記録用紙などの記録材Pに電子写真方式により熱溶融性トナーで画像を形成して、記録材Pの搬送方向において下流側に連結された表面処理装置100に受け渡す。表面処理装置100は、この画像が形成された記録材Pを被処理媒体Sとして、その表面の表面性状を制御する処理(表面処理)を行った後に出力する。
本実施例では、画像形成装置200は、電子写真方式を用いてフルカラー画像を形成することのできる中間転写方式を採用した1ドラム型の画像形成装置である。
画像形成装置200は、像担持体としてのドラム型の電子写真感光体(感光体)である感光ドラム201を有する。感光ドラム201は、図中矢印R1方向に回転駆動される。感光ドラム201の周りには、その回転方向に従って順に次の各手段が設けられている。先ず、帯電手段としての帯電ローラ202である。次に、露光手段としての露光装置(レーザースキャナ)203である。次に、現像手段としての複数の現像器204を備えたロータリー現像装置240である。次に、転写手段としての中間転写ユニット205である。次に、感光体クリーニング手段としてのドラムクリーナ206である。
中間転写ユニット205は、感光ドラム201に対向するように、中間転写体として無端ベルト状の中間転写体ベルト253を有する。中間転写ベルト253は、複数の張架ローラに張架されて図中矢印R2方向に回転駆動される。中間転写ベルト253の内周面側には、感光ドラム201と対向する位置に一次転写手段としての一次転写ローラ251が配置されており、中間転写ベルト253と感光ドラム201とが接触する一次転写部(一次転写ニップ)N1が形成されている。又、中間転写ベルト253の外周面側において、中間転写ベルト253と接触して二次転写部(二次転写ニップ)N2を形成するように、二次転写手段としての二次転写ローラ252が配置されている。
本実施例では、ロータリー現像装置203は、それぞれCMYKの各色のトナーを用いる現像器204に加え、クリア(透明)トナーを用いる現像器204を有している。表面処理装置100は、トナー像を再加熱してフィルム11の表面性を転写することで光沢性を付与する装置であるため、トナー量が比較的少ない画像部では光沢性を十分に付与することが難しい。このためトナー量が比較的少ない画像部や余白部などにクリアトナーを使用することにより、このような部分にも光沢処理をすることが可能となる。尚、クリアトナーであるために、本来のフルカラー画像に対して影響を及ぼすことはない。
尚、YMCKの4色のトナーは、樹脂と顔料とを主成分とする微粉体であり、又クリアトナーは顔料を含まない樹脂を主成分とする微粉体である。本実施例では、トナーを構成する樹脂としては、ポリエステル樹脂を用いた。
画像形成装置200は更に、記録材Pを給送する給送部207、記録材Pにトナー像を定着させる定着部208、記録材Pを画像形成装置200から表面処理装置100へと搬送する排出部209などを有して構成されている。
斯かる構成の画像形成装置200は、一般的な電子写真方式の画像形成装置と同様の動作でクリアトナーを含むフルカラーの画像形成を行なうことができる。クリアトナーを含むフルカラー画像の形成時を例として説明すると、画像形成時には、回転する感光ドラム201の表面は帯電ローラ202によって一様に帯電させられる。又、帯電した感光ドラム201の表面は、露光装置203に分解色の画像信号が入力されることで、この画像信号に応じて走査露光される。これにより、感光ドラム201上には画像信号に応じた静電潜像(静電像)が形成される。感光ドラム201上に形成された静電潜像は、当該分解色に対応する現像器204によって、対応する色のトナーが供給されてトナー像として現像される。感光ドラム201上に形成されたトナー像は、一次転写ローラ251の作用によって中間転写体ベルト253に一次転写される。このような帯電、露光、現像、一次転写の各工程を、必要な分解色分(ここでは、YMCK及びクリア)繰り返し、中間転写ベルト253上に各色のトナーが順次に重ね合わせるように一次転写された多重トナー像を形成する。中間転写ベルト253に形成されたトナー像は、二次転写ローラ252の作用によって、記録材P上に一括して二次転写される。記録材Pは、中間転写ベルト253上の多重トナー像とタイミングを合わせて、給送部207から二次転写部N2に搬送されてくる。又、このタイミングに合わせて、二次転写ローラ252が中間転写ベルト253に当接される。トナー像が転写された記録材Pは、定着装置208に搬送され、ここで加熱及び加圧されることで、記録材P上にトナー像が定着される。一次転写工程後に感光ドラム201上に残留したトナーは、ドラムクリーナ206によって除去されて回収される。又、二次転写工程後に中間転写ベルト253上に残留したトナーは、図示しないクリーニング手段によって除去されて回収される。そして、画像が定着された記録材Pは、表面処理装置100における被処理媒体Sとして、排出部209により表面処理装置100へと搬送される。
表面処理装置100は、画像形成装置200の排出部209に接続されている。このため、通常の画像形成装置200の排出部に設けられる排出トレイ、又表面処理装置100の給送部に設けられる給送装置(カセット2、供給ローラ3など)は、本実施例の画像形成システム300には含まれていない。
又、表面処理装置100の構成は、実施例1、2のものと実質的に同じである。但し、本実施例では、上述のように、実施例1、2の表面処理装置100におけるカセット2、供給ローラ3は設けられておらず、画像形成装置200から画像形成済みの記録材Pが被処理媒体Sとして直接搬送される。又、本実施例では、表面処理装置100のコントローラ500は、図示しない画像形成装置200側のコントローラ(制御部)と通信可能である。そして、本実施例では、コントローラ500は、画像形成装置200から入力される処理命令や、表面処理装置100に設けられた操作部600により入力される処理命令に基づいて、表面処理装置100の各部の動作を制御することができる。処理命令は、対応する領域が処理部Tを通過するタイミングに合わせてサーマルヘッド8を選択的に発熱させるための処理領域情報を含む。サーマルヘッド8は、その処理領域情報に基づき被処理媒体Sの所定位置に対応して発熱して、被処理媒体Sの表面処理を行なう。実施例1、2と同様、コントローラ500は、パーソナルコンピュータなどの外部装置から処理命令が入力されるようになっていてもよい。
画像形成装置200の排出部209から排出される、例えばクリアトナーを含むフルカラーの記録材Pは、被処理媒体Sとして表面処理装置100の搬送ローラ対4へと搬送される。搬送ローラ対4へと搬送された被処理媒体Sに対する光沢処理は、実施例1で説明したのと同様に行なわれる。
このようなインラインで光沢処理を行う場合、表面処理装置100の処理能力は画像形成装置200の印刷処理能力より高いことが望ましい。表面処理装置100の処理能力が画像形成装置200の印刷能力より低い場合は、画像形成装置200の印刷スピードを落とすか、紙間を開けるなどして表面処理装置100の処理能力に合わせる必要がある。
この様に表面処理装置100を画像形成装置200の排出部209と接続することにより、インラインでの光沢処理が可能となり、光沢処理を施した印刷物を作成する際の生産性が向上する。更に、表面処理装置100の下流側に製本や仕分け等の後処理装置を接続することも可能である。
このような画像形成システム300に本発明に従う表面処理装置を適用しても、上記実施例1、2と同様の効果を奏し得る。
その他
上述の実施例では、被処理媒体の表面に部分的に光沢を付与する場合について説明した。一方、印刷物としては、特色として、金、銀などの金属質を表現することが求められることがある。サーマルヘッドを用いた熱転写プリンタでは、金属色のインクとして、例えばフィルムに金属蒸着層を形成し、これを熱により転写することにより、金属質の画像を形成することが可能である。熱転写方式で使用するフィルムは、フィルム基材と、フィルム基材にコーティングされたインク層とを有する。インク層は剥離層を介してフィルム基材にコーティングされることがあり、又インク層の上には接着層が設けられることがある。本発明は、このようなフィルムに金、銀などの金属色のインクを蒸着したものなどの特色用のフィルムを用い、サーマルヘッドで加熱することにより被処理媒体の表面に部分的にその特色の画像を熱転写する表面処理装置及びフィルムカートリッジにも適用できる。本発明においては、このように被処理媒体の表面に部分的に金属色のインクを熱転写し、金属光沢などの金属質の表現を付与することも含めて、被処理媒体の表面処理という。即ち、フィルムは被処理媒体上の熱可塑性樹脂画像表面と表面粗さが異なる表面粗さを表層に有するもの、或いは被処理媒体に加熱により溶融して転写されるインクがコーティングされたものとすることができる。このように、本発明は、フィルムを介して加熱して被処理媒体の表面の表面性状を部分的に制御したり、フィルム上の熱溶融性インクを被処理媒体の表面に部分的に熱転写したりする表面処理装置及びそのフィルムカートリッジに適用可能である。
5 レジストローラ対
7 プラテンローラ
8 サーマルヘッド
9 搬送ローラ対
11 フィルム
12 供給軸
13 巻き取り軸
14 フィルムカートリッジ
15 分離部材
50 サーマルヘッドユニット
55 シャッター
100 表面処理装置
200 画像形成装置

Claims (3)

  1. 供給軸から引き出されて巻き取り軸に巻き取られて搬送されるフィルムを介して加熱手段をプラテンに押圧し、該押圧部において被処理媒体の面を前記加熱手段により前記フィルムを介して加熱する処理を行う表面処理装置において、
    装置本体内の前記加熱手段が前記フィルムを介して圧接可能な位置に設けられたプラテンと、
    前記加熱手段、前記プラテンに押圧される側の前記加熱手段の表面を覆う第1の位置と前記加熱手段の表面を開放する第2の位置との間で移動可能なシャッター、及び前記加熱手段を前記プラテンに対して位置決めする加熱手段位置決め部を備えた加熱ユニットと、
    前記供給軸から前記巻き取り軸に巻き取り可能に前記フィルムを収容するケーシングであって、前記加熱ユニットが侵入する第1の開口部、及び前記フィルムの前記加熱手段が接触する側とは反対側の面を前記プラテンに露出させる第2の開口部を備えたケーシングと、前記ケーシングを前記プラテンに対して位置決めするカートリッジ位置決め部と、前記ケーシングの内部に配置され前記加熱ユニットの前記シャッターに作用して前記シャッターを前記第1の位置と第2の位置との間で移動させる作用部と、を備え、前記表面処理装置の本体に対して着脱可能なフィルムカートリッジと、
    を有し、
    前記加熱ユニットは前記シャッターが前記第1の位置にある状態で前記第1の開口部から前記ケーシング内に侵入し、前記ケーシング内で前記作用部が前記シャッターに作用して前記シャッターは前記第2の位置に移動すること特徴とする表面処理装置。
  2. 供給軸から引き出されて巻き取り軸に巻き取られて搬送されるフィルムを介して加熱手段をプラテンに押圧し、該押圧部において被処理媒体の面を前記加熱手段により前記フィルムを介して加熱する処理を行う表面処理装置であって、装置本体内の前記加熱手段が前記フィルムを介して圧接可能な位置に設けられたプラテンと、前記加熱手段、前記プラテンに押圧される側の前記加熱手段の表面を覆う第1の位置と前記加熱手段の表面を開放する第2の位置との間で移動可能なシャッター、及び前記加熱手段を前記プラテンに対して位置決めする加熱手段位置決め部を有する加熱ユニットと、を有する表面処理装置の本体に対して着脱可能なフィルムカートリッジであって、
    前記供給軸から前記巻き取り軸に巻き取り可能に前記フィルムを収容するケーシングであって、前記加熱ユニットが侵入する第1の開口部、及び前記フィルムの前記加熱手段が接触する側とは反対側の面を前記プラテンに露出させる第2の開口部を備えたケーシングと、前記ケーシングを前記プラテンに対して位置決めするカートリッジ位置決め部と、前記ケーシングの内部に配置され前記加熱ユニットの前記シャッターに作用して前記シャッターを前記第1の位置と第2の位置との間で移動させる作用部と、を有し、
    前記作用部は、前記シャッターが前記第1の位置にある状態で前記加熱ユニットが前記第1の開口部から前記ケーシング内に侵入した際に、前記ケーシング内で前記シャッターに作用して前記シャッターを前記第2の位置に移動させるように設けられていること特徴とするフィルムカートリッジ。
  3. 前記第1の開口部を封止する、取外し自在に前記ケーシングに取付けられた第1のシールと、前記第2の開口部を封止する、取外し自在に前記ケーシングに取付けられた第2のシールと、前記第1の開口部の内側に前記フィルムの面を覆うように前記ケーシングに取り付けられたシート部材と、を有することを特徴とする請求項2に記載のフィルムカートリッジ。
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