JP2012227765A - 光ファイバ伝送システム及び光受信装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、光MIMO技術を用いた光ファイバ伝送における長距離伝送を実現する技術を提供することを目的とする。
【解決手段】FIRフィルタ装置6の遅延素子の遅延時間を、単にTの整数倍やT/2の整数倍に調整するのではなく、Dの整数倍又はDの整数倍に最も近いTの整数倍に調整する。ここで、Dは各光受信機2が受信した光信号の群遅延差であり、Tは各光送信器1が送信した光信号の1シンボル時間である。このように、群遅延差の補償に寄与するタップのみを残すことにより、FIRフィルタ装置6においてタップ数を削減し計算時間を短縮するとともに、光MIMO技術を用いた光ファイバ伝送において長距離伝送を実現する。
【選択図】図1

Description

本発明は、光ファイバ伝送の群遅延差を補償する技術に関する。
光ファイバ伝送システムでは、光ファイバ中で発生する非線形効果やファイバヒューズが問題となり、伝送の大容量化が制限されている。これらの制限を緩和するためには、光ファイバに導波する光の密度を低減する必要があり、非特許文献1、2に示すように大コアファイバが検討されている。
しかし、曲げ損失低減、単一モード動作領域の拡大、実効断面積の拡大は互いにトレードオフの関係にあり、所定の条件下における実効断面積の拡大量には限界があるという課題があった。そこで、無線での大容量化技術であるMulti−input multi−output(MIMO)技術を光ファイバ伝送に適用する試みが行われている(例えば、非特許文献3、4参照)。
光MIMO技術は伝送媒体としてマルチモード光ファイバを用い、伝送容量を拡大できるとともに、先に述べた大コア光ファイバで制限要因であった単一モード動作条件が不要になるため、さらなる大コア化が可能であることも特徴である。
T.Matsui,K.Nakajima and C.Fukai,"Applicability of Photonic Crystal Fiber With Uniform Air−Hole Structure to High−Speed and Wide−Band Transmission Over Conventional Telecommunication Bands",J.Lightwave Technol.27,5410−5416,2009. K.Mukasa,K.Imamura,R.Sugizaki and T.Yagi,"Comparisons of merits on wide−band transmission systems between using extremely improved solid SMFs with Aeff of 160μm2 and loss of 0.175dB/km and using large−Aeff holey fibers enabling transmission over 600nm bandwidth",the Proceedings of OFC2008,OthR1,Feb.2008. Akhil R.Shah,Rick C.J.Hsu,Alireza Tarighat,Ali H.Sayed and Bahram Jalali,"Coherent Optical MIMO(COMIMO)",J.Lightwave Technol.23,2410−2419,2005. B.C.Thomsen,"MIMO Enabled 40Gb/s Transmission Using Mode Division Multiplexing in Multimode Fiber",in Optical Fiber Communication Conference,OSA Technical Digest(CD)(Optical Society of America,2010),paper OThM6. M.Taylor,"Coherent Detection for Fiber Optic Communications Using Digital Signal Processing",in Optical Amplifiers and Their Applications/Coherent Optical Technologies and Applications,Technical Digest(CD)(Optical Society of America,2006),paper CThB1.
しかし、光MIMO技術を用いた光ファイバ伝送では、伝送距離の長距離化に伴ってモード分散に起因する符号間干渉が発生し、信号の復元が困難になり、伝送距離が数kmに制限されていることが問題となっている。
そこで、前記課題を解決するために、本発明は、光MIMO技術を用いた光ファイバ伝送における長距離伝送を実現する技術を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、FIRフィルタの遅延素子の遅延時間を、Dの整数倍又はDの整数倍に最も近いTの整数倍(Dは各光受信機が受信した光信号の群遅延差であり、Tは各光送信器が送信した光信号の1シンボル時間である)に調整することとした。これにより、FIRフィルタにおいてタップ数を削減し計算時間を短縮するとともに、光MIMO技術を用いた光ファイバ伝送において長距離伝送を実現する。
具体的には、本発明は、光信号を送信するN個(Nは1以上の整数)の光送信機と、前記光信号を受信するM個(MはN以上の整数)の光受信機と、前記N個の光送信機が送信した前記光信号を合波し、合波した前記光信号をP個(PはN以上の整数。ただし、Nが1であるときには、Pは2以上の整数)の伝搬モードを有する光ファイバに送出する合波器と、前記光ファイバが伝搬した前記光信号を前記M個の光受信機に分波する分波器と、各光受信機が受信した前記光信号について、Dの整数倍又はDの整数倍に最も近いTの整数倍(Dは各光受信機が受信した前記光信号の群遅延差であり、Tは各光送信器が送信した前記光信号の1シンボル時間である)に遅延時間を調整する遅延素子、並びに振幅及び位相を調整する振幅位相調整器からなるFIRフィルタを利用して、群遅延差を補償する群遅延差補償装置と、を備えることを特徴とする光ファイバ伝送システムである。
また、本発明は、光信号を送信するN個(Nは1以上の整数)の光送信機と、前記光信号を受信するM個(MはN以上の整数)の光受信機と、前記N個の光送信機が送信した前記光信号を合波する合波器と、前記合波器が合波した前記光信号を伝搬し、P個(PはN以上の整数。ただし、Nが1であるときには、Pは2以上の整数)の伝搬モードを有する光ファイバと、前記光ファイバが伝搬した前記光信号を前記M個の光受信機に分波する分波器と、各光受信機が受信した前記光信号について、Dの整数倍又はDの整数倍に最も近いTの整数倍(Dは各光受信機が受信した前記光信号の群遅延差であり、Tは各光送信器が送信した前記光信号の1シンボル時間である)に遅延時間を調整する遅延素子、並びに振幅及び位相を調整する振幅位相調整器からなるFIRフィルタを利用して、群遅延差を補償する群遅延差補償装置と、を備えることを特徴とする光ファイバ伝送システムである。
また、本発明は、光信号を送信するN個(Nは1以上の整数)の光送信機から、送信後及び合波後の前記光信号を伝搬しP個(PはN以上の整数。ただし、Nが1であるときには、Pは2以上の整数)の伝搬モードを有する光ファイバを介して、伝搬後及び分波後の前記光信号を受信するM個(MはN以上の整数)の光受信機と、各光受信機が受信した前記光信号について、Dの整数倍又はDの整数倍に最も近いTの整数倍(Dは各光受信機が受信した前記光信号の群遅延差であり、Tは各光送信器が送信した前記光信号の1シンボル時間である)に遅延時間を調整する遅延素子、並びに振幅及び位相を調整する振幅位相調整器からなるFIRフィルタを利用して、群遅延差を補償する群遅延差補償装置と、を備えることを特徴とする光受信装置である。
この構成によれば、群遅延差の補償に寄与するタップのみを残すことにより、FIRフィルタにおいてタップ数を削減し計算時間を短縮するとともに、光MIMO技術を用いた光ファイバ伝送において長距離伝送を実現することができる。
また、本発明は、前記光ファイバでは、使用波長における伝搬モードの個数が2個以上かつ7個以下であることを特徴とする光ファイバ伝送システムである。
また、本発明は、前記光ファイバでは、使用波長における伝搬モードの個数が2個以上かつ7個以下であることを特徴とする光受信装置である。
この構成によれば、タップ数をより削減することができる。
また、本発明は、各光受信機が受信した前記光信号では、連続するデータシンボルが、D/T個のデータシンボルを含む各セットに区分され、D/T個のデータシンボルを含む各セットを入力する各振幅位相調整器が調整する振幅及び位相を決定するためのトレーニングシンボルが、D/T個のデータシンボルを含む各セットの先頭に挿入され、前記群遅延差補償装置は、前記トレーニングシンボルを利用して、各振幅位相調整器が調整する振幅及び位相を決定した後に、D/T個のデータシンボルを含む各セットを各振幅位相調整器に入力して、各光受信機が受信した前記光信号の群遅延差を補償することを特徴とする光ファイバ伝送システムである。
また、本発明は、各光受信機が受信した前記光信号では、連続するデータシンボルが、D/T個のデータシンボルを含む各セットに区分され、D/T個のデータシンボルを含む各セットを入力する各振幅位相調整器が調整する振幅及び位相を決定するためのトレーニングシンボルが、D/T個のデータシンボルを含む各セットの先頭に挿入され、前記群遅延差補償装置は、前記トレーニングシンボルを利用して、各振幅位相調整器が調整する振幅及び位相を決定した後に、D/T個のデータシンボルを含む各セットを各振幅位相調整器に入力して、各光受信機が受信した前記光信号の群遅延差を補償することを特徴とする光受信装置である。
この構成によれば、適応等化アルゴリズムにおいて、トレーニングシンボルを増加させることなく、データシンボルを効率よく送受信することができる。
上記目的を達成するために、各光受信機が光信号を受信したときに、各FIRフィルタが当該光信号のEシンボル(EはD/T以上の整数。ただし、Dは各光受信機が受信した光信号の群遅延差であり、Tは各光送信器が送信した光信号の1シンボル時間である)以前の光信号を復元することとした。これにより、FIRフィルタにおいてタップ数を増加させないで、光MIMO技術を用いた光ファイバ伝送において長距離伝送を実現する。
具体的には、本発明は、光信号を送信するN個(Nは2以上の整数)の光送信機と、前記光信号を受信するM個(MはN以上の整数)の光受信機と、前記N個の光送信機が送信した前記光信号を合波し、合波した前記光信号をP個(PはN以上の整数)の伝搬モードを有する光ファイバに送出する合波器と、前記光ファイバが伝搬した前記光信号を前記M個の光受信機に分波する分波器と、各光受信機が受信した前記光信号について、遅延時間を調整する遅延素子並びに振幅及び位相を調整する振幅位相調整器からなり群遅延差を補償するFIRフィルタを有し、当該光信号のEシンボル(EはD/T以上の整数。ただし、Dは各光受信機が受信した前記光信号の群遅延差であり、Tは各光送信器が送信した前記光信号の1シンボル時間である)以前に各光受信機が受信した前記光信号に対応する各光送信機が送信した前記光信号を復元する群遅延差補償装置と、を備えることを特徴とする光ファイバ伝送システムである。
また、本発明は、光信号を送信するN個(Nは2以上の整数)の光送信機と、前記光信号を受信するM個(MはN以上の整数)の光受信機と、前記N個の光送信機が送信した前記光信号を合波する合波器と、前記合波器が合波した前記光信号を伝搬し、P個(PはN以上の整数)の伝搬モードを有する光ファイバと、前記光ファイバが伝搬した前記光信号を前記M個の光受信機に分波する分波器と、各光受信機が受信した前記光信号について、遅延時間を調整する遅延素子並びに振幅及び位相を調整する振幅位相調整器からなり群遅延差を補償するFIRフィルタを有し、当該光信号のEシンボル(EはD/T以上の整数。ただし、Dは各光受信機が受信した前記光信号の群遅延差であり、Tは各光送信器が送信した前記光信号の1シンボル時間である)以前に各光受信機が受信した前記光信号に対応する各光送信機が送信した前記光信号を復元する群遅延差補償装置と、を備えることを特徴とする光ファイバ伝送システムである。
また、本発明は、光信号を送信するN個(Nは2以上の整数)の光送信機から、送信後及び合波後の前記光信号を伝搬しP個(PはN以上の整数)の伝搬モードを有する光ファイバを介して、伝搬後及び分波後の前記光信号を受信するM個(MはN以上の整数)の光受信機と、各光受信機が受信した前記光信号について、遅延時間を調整する遅延素子並びに振幅及び位相を調整する振幅位相調整器からなり群遅延差を補償するFIRフィルタを有し、当該光信号のEシンボル(EはD/T以上の整数。ただし、Dは各光受信機が受信した前記光信号の群遅延差であり、Tは各光送信器が送信した前記光信号の1シンボル時間である)以前に各光受信機が受信した前記光信号に対応する各光送信機が送信した前記光信号を復元する群遅延差補償装置と、を備えることを特徴とする光受信装置である。
この構成によれば、各光受信機が光信号を受信したときに、各FIRフィルタが当該光信号のEシンボル以前の光信号を復元するように、FIRフィルタのタップ係数を設定することにより、FIRフィルタにおいてタップ数を増加させないで、光MIMO技術を用いた光ファイバ伝送において長距離伝送を実現する。
本発明は、光MIMO技術を用いた光ファイバ伝送における長距離伝送を実現する技術を提供することができる。
実施形態1において、FIRフィルタ装置を利用して、複数のモードの間の群遅延差を補償する、光ファイバ伝送システム及び光受信装置の構成を示す図である。 実施形態1のFIRフィルタ装置の構成を示す図である。 実施形態1のタップ係数を更新する適応等化アルゴリズムを示す図である。 実施形態1、2のタップ係数を更新するトレーニングシンボルを示す図である。 実施形態1において、FIRフィルタ装置を利用して、光送信機が1個であり光受信機が1個であるときに、基本モード及び高次モードの間の群遅延差0.5nsを補償できるかどうかを調べた、シミュレーション結果を示す図である。 実施形態1において、FIRフィルタ装置を利用して、光送信機が1個であり光受信機が1個であるときに、基本モード及び高次モードの間の群遅延差5nsを補償できるかどうかを調べた、シミュレーション結果を示す図である。 実施形態1において、FIRフィルタ装置を利用して、光送信機が1個であり光受信機が1個であるときに、基本モード及び高次モードの間の群遅延差5nsを補償できるかどうかを調べた、シミュレーション結果を示す図である。 実施形態1において、FIRフィルタ装置を利用して、光送信機が1個であり光受信機が1個であるときに、基本モード及び高次モードの間の5nsを中心とする群遅延差を補償できるかどうかを調べた、シミュレーション結果を示す図である。 実施形態1のマルチモード光ファイバの基本モード及び高次モードにおける、光信号波長及び実効屈折率の間の関係を示す図である。 実施形態1のタップ係数を更新するトレーニングシンボルを示す図である。 実施形態2において、FIRフィルタ装置を利用して、光送信機が2個であり光受信機が2個であるときに、基本モード及び高次モードの間の群遅延差0.04nsを補償できるかどうかを調べた、シミュレーション結果を示す図である。 実施形態2において、FIRフィルタ装置を利用して、光送信機が2個であり光受信機が2個であるときに、基本モード及び高次モードの間の群遅延差0.1nsを補償できるかどうかを調べた、シミュレーション結果を示す図である。 実施形態2において、FIRフィルタ装置を利用して、光送信機が2個であり光受信機が2個であるときに、基本モード及び高次モードの間の様々な群遅延差を補償できるかどうかを調べた、シミュレーション結果を示す図である。 実施形態2において、FIRフィルタ装置を利用して、複数のモードの間の群遅延差を補償する、光ファイバ伝送システム及び光受信装置の構成を示す図である。 実施形態2のFIRフィルタ装置の構成を示す図である。 実施形態2のタップ係数を更新する適応等化アルゴリズムを示す図である。 実施形態2において、FIRフィルタ装置を利用して、光送信機が2個であり光受信機が2個であるときに、基本モード及び高次モードの間の群遅延差0.5nsを補償できるかどうかを調べた、シミュレーション結果を示す図である。 実施形態2において、FIRフィルタ装置を利用して、光送信機が2個であり光受信機が2個であるときに、基本モード及び高次モードの間の群遅延差0.5nsを補償できるかどうかを調べた、シミュレーション結果を示す図である。 実施形態2において、FIRフィルタ装置を利用して、光送信機が2個であり光受信機が2個であるときに、基本モード及び高次モードの間の群遅延差0.5nsを補償するタップ係数を調べた、シミュレーション結果を示す図である。 実施形態3において、FIRフィルタ装置を利用して、光送信機が2個であり光受信機が2個であるときに、基本モード及び高次モードの間の群遅延差0.5nsを補償できるかどうかを調べた、シミュレーション結果を示す図である。
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施の例であり、本発明は以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
(実施形態1)
FIRフィルタ装置を利用して、複数のモードの間の群遅延差を補償する、光ファイバ伝送システム及び光受信装置の構成を図1に示す。光ファイバ伝送システムは、光送信機1−1、1−2、・・・、1−N、光受信機2−1、2−2、・・・、2−M、合波器3、光ファイバ4、分波器5及びFIRフィルタ装置6から構成される。光受信装置Rは、光受信機2−1、2−2、・・・、2−M及びFIRフィルタ装置6から構成される。
N個の光送信機1−1、1−2、・・・、1−N、マルチモードの光ファイバ4及びM個の光受信機2−1、2−2、・・・、2−Mを利用して、N入力M出力のMIMO伝送を行なうことができ、N種の光信号の並列伝送を行なうことができる。
光送信機1−1、1−2、・・・、1−Nは、それぞれ光信号x(n)、x(n)、・・・、x(n)を送信する。ここで、Nは1以上の整数であり、光信号x(n)、x(n)、・・・、x(n)はn番目のシンボルとして送信される光信号である。
光受信機2−1、2−2、・・・、2−Mは、それぞれ光信号y(n)、y(n)、・・・、y(n)を受信する。ここで、MはN以上の整数であり、光信号y(n)、y(n)、・・・、y(n)はn番目のシンボルとして受信される光信号である。
合波器3は、光送信機1−1、1−2、・・・、1−Nが送信した光信号を合波する。ここで、光送信機1の個数が1個であっても、合波という用語を使用する。光ファイバ4は、合波器3が合波した光信号を伝搬し、P個の伝搬モードを有する。ここで、PはN以上の整数である。ただし、Nが1であるときには、Pは2以上の整数である。分波器5は、光ファイバ4が伝搬した光信号を光受信機2−1、2−2、・・・、2−Mに分波する。ここで、光受信機2の個数が1個であっても、分波という用語を使用する。
FIRフィルタ装置6は、光受信機2−1、2−2、・・・、2−Mがそれぞれ受信した光信号y(n)、y(n)、・・・、y(n)について、遅延時間を調整する遅延素子並びに振幅及び位相を調整する振幅位相調整器からなるFIRフィルタを利用して、群遅延差を補償する。そして、FIRフィルタ装置6は、光信号u(n)、u(n)、・・・、u(n)を復元する。ここで、光信号u(n)、u(n)、・・・、u(n)は、n番目のシンボルとして復元される光信号である。
受信信号y(n)、y(n)、・・・、y(n)は、複数のモードの間の群遅延差を包含する可能性がある。復元信号u(n)、u(n)、・・・、u(n)は、複数のモードの間の群遅延差を補償されていることが望ましく、それぞれ送信信号x(n)、x(n)、・・・、x(n)と一致していることが望ましい。
FIRフィルタ装置の構成を図2に示す。FIRフィルタ装置6は、FIRフィルタ61−1、61−2、・・・、61−M及び合波器62から構成される。復元信号u(n)、u(n)、・・・、u(n)を生成する構成はそれぞれ同様であるため、図2では復元信号u(n)を生成する構成についてのみ説明する。
FIRフィルタ61−1、61−2、・・・、61−Mは、それぞれ受信信号y(n)、y(n)、・・・、y(n)を入力し、それぞれ光信号z(n)、z(n)、・・・、z(n)を生成する。合波器62は、光信号z(n)、z(n)、・・・、z(n)を合波し、復元信号u(n)を生成する。
FIRフィルタ61−1、61−2、・・・、61−Mは、それぞれ1番目からL番目までのタップから構成される。1番目からL番目までのタップは、それぞれ遅延素子(図2ではτで示す)及び振幅位相調整器(図2ではwで示す)から構成される。遅延素子は、遅延時間を調整し、振幅位相調整器は、振幅及び位相を調整する。図2では、直接形のFIRフィルタを利用しているが、転置形のFIRフィルタを利用してもよい。
受信信号y(n)についてのi番目のタップにおいて、遅延素子での遅延時間をτとし、振幅位相調整器でのタップ係数をw(i)とする。遅延時間τ及びタップ係数w(i)を調整することにより、光ファイバ4中で発生する目的外の光送信機1からの混信、モード分散、波長分散、偏波モード分散などによる信号劣化を補償することができる。局発光源、90°ハイブリッド、バランスレシーバ、アナログデジタルコンバータを利用することにより、受信信号y(n)、y(n)、・・・、y(n)の電界の振幅及び位相の情報を取得することができる(例えば、非特許文献5参照)。
タップ係数を更新する適応等化アルゴリズムを図3に示す。タップ係数を更新するトレーニングシンボルを図4に示す。送信信号xは、前段にトレーニングシンボルx(1)、・・・、x(Ntraining)を有し、後段にデータ部x(Ntraining+1)、・・・、x(Nall)を有する。ここで、Ntraining>Lである必要がある。光受信装置Rは、データ部x(Ntraining+1)、・・・、x(Nall)を未知とするが、トレーニングシンボルx(1)、・・・、x(Ntraining)は既知とするため、以下のようにタップ係数を更新することができる。
まず、トレーニングシンボルを受信中であり、n≦Ntrainingであるときについて説明する。FIRフィルタ装置6は、既に設定されたタップ係数を利用することにより、受信信号y(n)を復元信号u(n)に変換する。減算器8は、復元信号u(n)及び既知のトレーニング信号x(n)の差分を生成することにより、誤差信号e(n)を生成する。適応等化アルゴリズム7は、誤差信号e(n)を小さくするように、タップ係数を更新する。この処理を、すべてのトレーニングシンボルについて繰り返す。
次に、データ部を受信中であり、n≧Ntraining+1であるときについて説明する。タップ係数の設定は、トレーニングシンボルの受信中に完了している。FIRフィルタ装置6は、既に設定されたタップ係数を利用することにより、受信信号y(n)を復元信号u(n)に変換する。この処理を、すべてのデータ部について繰り返す。
なお、適応等化アルゴリズムには、非特許文献2に記載のLeast mean square(LMS)アルゴリズムやRecursive least square(RLS)アルゴリズムを利用することができる。
FIRフィルタ装置6を利用して、光送信機1が1個であり光受信機2が1個であるときに、基本モード及び高次モードの間の群遅延差0.5nsを補償できるかどうかを調べた、シミュレーション結果を図5に示す。FIRフィルタ装置6を利用して、光送信機1が1個であり光受信機2が1個であるときに、基本モード及び高次モードの間の群遅延差5nsを補償できるかどうかを調べた、シミュレーション結果を図6に示す。
図5及び図6において、送受信信号は、10GbpsのBinary phase shift keying(BPSK)変調されたNon return to zero(NRZ)信号の4096bit分である。光ファイバ4の伝搬モード数は2個であり、基本モード及び高次モードがそれぞれ10:4の割合で励振される。Ntrainingは100とし、Lは20とする。τは10Gbpsのシンボル長T=0.1nsを単位とし、τ=0、τ=0.1ns、τ=0.1×2ns、・・・、τ=0.1×(L−1)nsとする。τは10Gbpsのシンボル長の半分T/2=0.05nsを単位としてもよい。適応等化アルゴリズムにはRLSを用いる。RLSにおけるステップサイズ及び忘却係数は、それぞれ0.001及び1とする。
基本モード及び高次モードの間の群遅延差が0.5nsである図5の場合について説明する。図5の左上には、送信信号x(n)のコンスタレーションマップを示す。図5の右上には、受信信号y(n)のコンスタレーションマップを示す。受信信号y(n)は、モード分散に起因して、送信信号x(n)を正しく反映していない。図5の左下には、復元信号u(n)のコンスタレーションマップを示す。復元信号u(n)は、FIRフィルタ装置6を利用することにより、送信信号x(n)を正しく復元している。図5の右下には、タップ番号及びタップ係数の絶対値の間の関係を示す。タップ係数の絶対値は、周期的に大きな値を取っており、遅延時間が群遅延差0.5nsの整数倍に相当するタップ番号のタップ係数が、復元に大きく寄与していることが分かる。
基本モード及び高次モードの間の群遅延差が5nsである図6の場合について説明する。図6の左上には、送信信号x(n)のコンスタレーションマップを示す。図6の右上には、受信信号y(n)のコンスタレーションマップを示す。受信信号y(n)は、モード分散に起因して、送信信号x(n)を正しく反映していない。図6の左下には、復元信号u(n)のコンスタレーションマップを示す。復元信号u(n)は、FIRフィルタ装置6を利用しているとしても、送信信号x(n)を正しく復元していない。図6の右下には、タップ番号及びタップ係数の絶対値の間の関係を示す。タップ係数の絶対値は、周期的に変化していない。つまり、タップ数Lが群遅延差5nsと比較して不足していることが分かる。ここで、タップ数Lが群遅延差5nsと比較して十分であればよい。しかし、適応等化アルゴリズム7における計算量が増大するため、好ましくない。
実施形態1の以上の説明では、遅延素子の遅延時間を、Tの整数倍又はT/2の整数倍に調整する。実施形態1の以下の説明では、遅延素子の遅延時間を、Dの整数倍又はDの整数倍に最も近いTの整数倍に調整する。ここで、Dは光受信機2が受信した光信号の群遅延差であり、Tは光送信器1が送信した光信号の1シンボル時間である。
このように、群遅延差の補償に寄与するタップのみを残すことにより、FIRフィルタにおいてタップ数を削減し計算時間を短縮するとともに、光MIMO技術を用いた光ファイバ伝送において長距離伝送を実現することができる。
FIRフィルタ装置6を利用して、光送信機1が1個であり光受信機2が1個であるときに、基本モード及び高次モードの間の群遅延差5nsを補償できるかどうかを調べた、シミュレーション結果を図7に示す。FIRフィルタ装置6を利用して、光送信機1が1個であり光受信機2が1個であるときに、基本モード及び高次モードの間の5nsを中心とする群遅延差を補償できるかどうかを調べた、シミュレーション結果を図8に示す。
図7及び図8において、Ntrainingは400とし、Lは5とする。τは群遅延差D=5nsを単位とし、τ=0、τ=5ns、τ=5×2ns、・・・、τ=5×(L−1)nsとする。そして、他の条件については、図6、図7及び図8において同様である。ここで、図6では、τはシンボル長Tを単位としており、Ntraining>Lである必要があるが、図7及び図8では、τは群遅延差Dを単位としており、Ntraining>L×D/Tである必要がある。
基本モード及び高次モードの間の群遅延差が5nsである図7の場合について説明する。図7の左上には、送信信号x(n)のコンスタレーションマップを示す。図7の右上には、受信信号y(n)のコンスタレーションマップを示す。受信信号y(n)は、モード分散に起因して、送信信号x(n)を正しく反映していない。図7の左下には、復元信号u(n)のコンスタレーションマップを示す。復元信号u(n)は、FIRフィルタ装置6を利用することにより、送信信号x(n)を正しく復元している。図7の右下には、タップ番号及びタップ係数の絶対値の間の関係を示す。タップ番号1−5のタップ係数すべてが復元に寄与しており、タップ数が5であっても正しく復元していることが分かる。
基本モード及び高次モードの間の群遅延差が5nsを中心とする図8の場合について説明する。ここで、EVM値とは、コンスタレーション上での送信信号x(n)と復元信号u(n)との距離の絶対値を、コンスタレーション上での送信信号x(n)の原点からの距離の絶対値で除したものである。つまり、EVM値が小さいならば、精度良く復元できていることになる。群遅延差が5nsであるとき、復元信号u(n)のEVM値は受信信号y(n)のEVM値より大幅に小さく、図7で示したように正しい復元ができている。
群遅延差が4.98〜5.02nsであるときには、群遅延差が5nsであるときと同様に、復元信号u(n)のEVM値は受信信号y(n)のEVM値より大幅に小さく、正しい復元ができている。群遅延差が4.95〜4.98ns又は5.02〜5.05nsであるときには、復元信号u(n)のEVM値は受信信号y(n)のEVM値より若干小さい。群遅延差が4.95ns以下又は5.05ns以上であるときには、復元信号u(n)のEVM値は受信信号y(n)のEVM値と同等である。
このように、遅延素子の遅延時間がDの整数倍であるときには、正しい復元ができている。そして、遅延素子の遅延時間がDの整数倍から若干離れるときでも、正しい復元ができている。ただし、遅延素子の遅延時間がDの整数倍から若干離れるときには、遅延素子の遅延時間はDの整数倍に最も近いTの整数倍であることが望ましい。
遅延素子の遅延時間は、伝搬モード数が2個であるときでも、伝搬モード数が3個以上であるときでも、同様に設定することができる。つまり、高次モードがk個(kは2以上の整数)あり、基本モード及び各高次モードの間の群遅延差がD、D、・・・Dであるときには、遅延素子の遅延時間はD、D、・・・Dの整数倍又はD、D、・・・Dの整数倍に最も近いTの整数倍に設定することができる。
例えば、高次モードが2個あり、基本モード及び各高次モードの間の群遅延差がD、Dであるときについて説明する。遅延素子の遅延時間は、D、Dの整数倍、つまり、τ=0、τ=Dns、τ=D×2ns、・・・、τ=D×(L−1)ns、τL+1=0、τL+2=Dns、τL+3=D×2ns、・・・、τ2L=D×(L−1)nsに設定することができる。遅延素子の遅延時間は、上記の数値に最も近いTの整数倍に設定することもできる。なお、タップ数は、2L個としている。
ここで、光ファイバ4では、使用波長における伝搬モードの個数が2個以上かつ7個以下であってもよい。マルチモード光ファイバにおける、規格化周波数及び伝搬モード数の間の関係を図9に示す。規格化周波数が6.38であるとき、伝搬モード数は7となる。規格化周波数が6.38以下であるときには、規格化周波数の増加に対して伝搬モード数の増加は緩やかであるが、規格化周波数が6.38以上であるときには、規格化周波数の増加に対して伝搬モード数の増加は急速になる。そこで、光ファイバ4では、使用波長における伝搬モードの個数が2個以上かつ7個以下になるようにする。これにより、タップ数は伝搬モード数に比例するところ、タップ数をより削減することができる。
実施形態1の以上の説明では、τが群遅延差Dを単位としているため、Ntraining>L×D/Tである必要があり、Dが大きいときにはNtrainingが増加する。実施形態1の以下の説明では、復元信号u(n)を復元するためには、受信信号y(n)、y(n−D/T)、y(n−2×D/T)、・・・、y(n−(L−1)×D/T)のみを利用することに着目して、τが群遅延差Dを単位としていても、Dが大きいときでもNtrainingが増加しないようにする。
タップ係数を更新するトレーニングシンボルを図10に示す。図10の左側から図10の右側まで、この順序でトレーニングシンボル及びデータ部が送受信される。連続するデータシンボルが、D/T個のデータシンボルを含む各セットに区分される。D/T個のデータシンボルを含む各セットを入力する各振幅位相調整器が調整する振幅及び位相を決定するためのトレーニングシンボルが、D/T個のデータシンボルを含む各セットの先頭に挿入される。各トレーニングシンボルはS個である。
FIRフィルタ装置6は、まず、トレーニングシンボルを利用して、各振幅位相調整器が調整する振幅及び位相を決定する。図2及び図10を用いて、具体的に説明する。図10の左側から1番目のトレーニングシンボルは、図2のw(L)で示した振幅位相調整器に入力される。図10の左側から2番目のトレーニングシンボルは、図2のw(L−1)で示した振幅位相調整器に入力される。以下は同様である。各振幅位相調整器において、各トレーニングシンボルの左端から順番に、各トレーニングシンボルが処理される。
FIRフィルタ装置6は、次に、D/T個のデータシンボルを含む各セットを各振幅位相調整器に入力して、各光受信機2が受信した光信号の群遅延差を補償する。図2及び図10を用いて、具体的に説明する。図10の左側から1番目のデータ部は、図2のw(L)で示した振幅位相調整器に入力される。図10の左側から2番目のデータ部は、図2のw(L−1)で示した振幅位相調整器に入力される。以下は同様である。各振幅位相調整器において、各データ部の左端から順番に、各データ部が処理される。
この場合、Ntraining=S×Lであり、群遅延差Dに依存しない。よって、群遅延差Dが大きいときでも、適応等化アルゴリズムにおいて、トレーニングシンボルを増加させることなく、データシンボルを効率よく送受信することができる。
(実施形態2)
FIRフィルタ装置6を利用して、光送信機1が2個であり光受信機2が2個であるときに、基本モード及び高次モードの間の群遅延差0.04nsを補償できるかどうかを調べた、シミュレーション結果を図11に示す。FIRフィルタ装置6を利用して、光送信機1が2個であり光受信機2が2個であるときに、基本モード及び高次モードの間の群遅延差0.1nsを補償できるかどうかを調べた、シミュレーション結果を図12に示す。
図11及び図12において、送受信信号は、10GbpsのBPSK変調されたNRZ信号の4096bit分である。光ファイバ4の伝搬モード数は2個である。光送信機1−1の送信信号について、基本モード及び高次モードがそれぞれ10:5の割合で励振され、光送信機1−2の送信信号について、基本モード及び高次モードがそれぞれ10:3の割合で励振される。基本モードが光受信機2−1、2−2にそれぞれ3:7の割合で分波され、高次モードが光受信機2−1、2−2にそれぞれ6:4の割合で分波される。
trainingは400とし、Lは20とする。τは10Gbpsのシンボル長T=0.1nsを単位とし、τ=0、τ=0.1ns、τ=0.1×2ns、・・・、τ=0.1×(L−1)nsとする。適応等化アルゴリズムにはRLSを用いる。RLSにおけるステップサイズ及び忘却係数は、それぞれ0.001及び1とする。
基本モード及び高次モードの間の群遅延差が0.04nsである図11の場合について説明する。図11の上段の左端には、送信信号x(n)、x(n)のコンスタレーションマップを示す。図11の上段の中央には、受信信号y(n)のコンスタレーションマップを示す。受信信号y(n)は、モード分散に起因して、送信信号を正しく反映していない。図11の上段の右端には、復元信号u(n)のコンスタレーションマップを示す。復元信号u(n)は、FIRフィルタ装置6を利用することにより、送信信号x(n)を正しく復元している。図11の下段の左側には、受信信号y(n)のコンスタレーションマップを示す。受信信号y(n)は、モード分散に起因して、送信信号を正しく反映していない。図11の下段の右側には、復元信号u(n)のコンスタレーションマップを示す。復元信号u(n)は、FIRフィルタ装置6を利用することにより、送信信号x(n)を正しく復元している。
基本モード及び高次モードの間の群遅延差が0.1nsである図12の場合について説明する。図12の上段の左端には、送信信号x(n)、x(n)のコンスタレーションマップを示す。図12の上段の中央には、受信信号y(n)のコンスタレーションマップを示す。受信信号y(n)は、モード分散に起因して、送信信号を正しく反映していない。図12の上段の右端には、復元信号u(n)のコンスタレーションマップを示す。復元信号u(n)は、FIRフィルタ装置6を利用しているとしても、送信信号x(n)を正しく復元していない。図12の下段の左側には、受信信号y(n)のコンスタレーションマップを示す。受信信号y(n)は、モード分散に起因して、送信信号を正しく反映していない。図12の下段の右側には、復元信号u(n)のコンスタレーションマップを示す。復元信号u(n)は、FIRフィルタ装置6を利用しているとしても、送信信号x(n)を正しく復元していない。
FIRフィルタ装置6を利用して、光送信機1が2個であり光受信機2が2個であるときに、基本モード及び高次モードの間の様々な群遅延差を補償できるかどうかを調べた、シミュレーション結果を図13に示す。ここで、シミュレーション条件については、群遅延差以外は、図11、図12及び図13において同様である。
図13の上段には、受信信号y(n)及び復元信号u(n)のEVM値を群遅延差に対して示し、図13の下段には、受信信号y(n)及び復元信号u(n)のEVM値を群遅延差に対して示す。群遅延差が〜0.05ns以下であるときには、復元信号u(n)のEVM値は受信信号y(n)のEVM値より小さくなるが、群遅延差が〜0.05ns以上であるときには、復元信号u(n)のEVM値は受信信号y(n)のEVM値と同等となる。つまり、群遅延差がシンボル長の半分より大きいときには、適応等化による復元が困難になる。これは、符号間干渉が発生しているためであると考えられる。
実施形態2の以上の説明では、各光受信機2が光信号を受信したときに、各FIRフィルタは、当該光信号に対応する各光送信機1が送信した光信号を復元する。実施形態2の以下の説明では、各光受信機2が光信号を受信したときに、各FIRフィルタは、当該光信号のEシンボル以前の光信号に対応する各光送信機1が送信した光信号を復元する。ここで、EはD/T以上の整数である。ただし、Dは各光受信機2が受信した光信号の群遅延差であり、Tは各光送信器1が送信した光信号の1シンボル時間である。
このように、各光受信機2が光信号を受信したときに、各FIRフィルタが当該光信号のEシンボル以前の光信号を復元するように、FIRフィルタのタップ係数を設定することにより、FIRフィルタにおいてタップ数を増加させないで、光MIMO技術を用いた光ファイバ伝送において長距離伝送を実現することができる。
FIRフィルタ装置を利用して、複数のモードの間の群遅延差を補償する、光ファイバ伝送システム及び光受信装置の構成を図14に示す。光ファイバ伝送システム及び光受信装置Rの構成が、図1及び図14において異なる部分について説明する。
光送信機1の個数は、2個以上である。各光受信機2が光信号を受信したときに、FIRフィルタ装置6は、当該光信号のEシンボル以前の光信号に対応する各光送信機1が送信した光信号を、u(n−E)、u(n−E)、・・・、u(n−E)として復元する。ここで、EはD/T以上の整数である。ただし、Dは各光受信機2が受信した光信号の群遅延差であり、Tは各光送信器1が送信した光信号の1シンボル時間である。
FIRフィルタ装置の構成を図15に示す。FIRフィルタ装置6の構成が、図2及び図15において異なる部分について説明する。復元信号u(n−E)、u(n−E)、・・・、u(n−E)を生成する構成はそれぞれ同様であるため、図15では復元信号u(n−E)を生成する構成についてのみ説明する。
FIRフィルタ61−1、61−2、・・・、61−Mは、それぞれ受信信号y(n)、y(n)、・・・、y(n)を入力し、それぞれ光信号z(n)、z(n)、・・・、z(n)を生成する。合波器62は、光信号z(n)、z(n)、・・・、z(n)を合波し、復元信号u(n−E)を生成する。
タップ係数を更新する適応等化アルゴリズムを図16に示す。タップ係数を更新するトレーニングシンボルは、実施形態1及び実施形態2において同様であり、適応等化アルゴリズムの処理が、図3及び図16において異なる部分について説明する。
まず、トレーニングシンボルを受信中であり、n≦Ntrainingであるときについて説明する。FIRフィルタ装置6は、既に設定されたタップ係数を利用することにより、受信信号y(n)を当該受信信号よりEシンボル以前の受信信号に対応する復元信号u(n−E)に変換する。減算器8は、復元信号u(n−E)及び既知のトレーニング信号x(n−E)の差分を生成することにより、誤差信号e(n−E)を生成する。適応等化アルゴリズム7は、誤差信号e(n−E)を小さくするように、タップ係数を更新する。この処理を、すべてのトレーニングシンボルについて繰り返す。
次に、データ部を受信中であり、n≧Ntraining+1であるときについて説明する。タップ係数の設定は、トレーニングシンボルの受信中に完了している。FIRフィルタ装置6は、既に設定されたタップ係数を利用することにより、受信信号y(n)を当該受信信号よりEシンボル以前の受信信号に対応する復元信号u(n−E)に変換する。この処理を、すべてのデータ部について繰り返す。
FIRフィルタ装置6を利用して、光送信機1が2個であり光受信機2が2個であるときに、基本モード及び高次モードの間の群遅延差0.5nsを補償できるかどうかを調べた、シミュレーション結果を図17に示す。ここで、シミュレーション条件については、群遅延差及びEシンボルずれ以外は、図13及び図17において同様である。
図17の上段には、受信信号y(n)及び復元信号u(n)のEVM値をEシンボルずれに対して示し、図17の下段には、受信信号y(n)及び復元信号u(n)のEVM値をEシンボルずれに対して示す。Eシンボルずれが〜5シンボルずれ以下であるときには、復元信号u(n)のEVM値は受信信号y(n)のEVM値と同等となるが、Eシンボルずれが〜5シンボルずれ以上であるときには、復元信号u(n)のEVM値は受信信号y(n)のEVM値より小さくなる。つまり、EがD/T以上の整数であれば、適応等化による復元が可能になる。ただし、EがL以下の整数である必要がある。
FIRフィルタ装置6を利用して、光送信機1が2個であり光受信機2が2個であるときに、基本モード及び高次モードの間の群遅延差0.5nsを補償できるかどうかを調べた、シミュレーション結果を図18に示す。FIRフィルタ装置6を利用して、光送信機1が2個であり光受信機2が2個であるときに、基本モード及び高次モードの間の群遅延差0.5nsを補償するタップ係数を調べた、シミュレーション結果を図19に示す。ここで、シミュレーション条件については、図18及び図19においてE=10であること以外は、図17、図18及び図19において同様である。
図18の上段の左端には、送信信号x(n)、x(n)のコンスタレーションマップを示す。図18の上段の中央には、受信信号y(n)のコンスタレーションマップを示す。受信信号y(n)は、モード分散に起因して、送信信号を正しく反映していない。図18の上段の右端には、復元信号u(n)のコンスタレーションマップを示す。復元信号u(n)は、E=10としたFIRフィルタ装置6を利用することにより、送信信号x(n)を正しく復元している。図18の下段の左側には、受信信号y(n)のコンスタレーションマップを示す。受信信号y(n)は、モード分散に起因して、送信信号を正しく反映していない。図18の下段の右側には、復元信号u(n)のコンスタレーションマップを示す。復元信号u(n)は、E=10としたFIRフィルタ装置6を利用することにより、送信信号x(n)を正しく復元している。
図19の上段には、受信信号y(n)に対して作用する、タップ番号及びタップ係数の絶対値の間の関係を示す。図19の下段には、受信信号y(n)に対して作用する、タップ番号及びタップ係数の絶対値の間の関係を示す。タップ係数の絶対値は、周期的に大きな値を取っており、遅延時間が群遅延差0.5nsの整数倍に相当するタップ番号のタップ係数が、復元に大きく寄与していることが分かる。
(実施形態3)
そこで、実施形態3として、実施形態2のように各光受信機2が光信号を受信したときに、各FIRフィルタが当該光信号のEシンボル以前の光信号を復元するにあたり、実施形態1のように群遅延差の補償に寄与するタップのみを残すことが考えられる。
FIRフィルタ装置6を利用して、光送信機1が2個であり光受信機2が2個であるときに、基本モード及び高次モードの間の群遅延差0.5nsを補償できるかどうかを調べた、シミュレーション結果を図20に示す。ここで、シミュレーション条件については、図20において連続する2個の遅延素子を利用してτ=0、τ=0.5nsとしていること以外は、図19及び図20において同様である。
図20の上段の左側には、復元信号u(n)のコンスタレーションマップを示し、図20の上段の右側には、復元信号u(n)のコンスタレーションマップを示す。図20の中段の左側には、復元信号u(n)を生成するにあたり、受信信号y(n)に対して作用したタップ係数を示し、図20の中段の右側には、復元信号u(n)を生成するにあたり、受信信号y(n)に対して作用したタップ係数を示す。図20の下段の左側には、復元信号u(n)を生成するにあたり、受信信号y(n)に対して作用したタップ係数を示し、図20の下段の右側には、復元信号u(n)を生成するにあたり、受信信号y(n)に対して作用したタップ係数を示す。図20では図19と比較して、タップ数が2であっても正しく復元していることが分かる。
本発明に係る光ファイバ伝送システム及び光受信装置は、光ファイバ中で発生する非線形効果やファイバヒューズを低減しつつ、伝送容量を大容量化し伝送距離を長距離化する、光ファイバ伝送において適用することができる。
R:光受信装置
1、1−1、1−2、1−N:光送信機
2、2−1、2−2、2−M:光受信機
3:合波器
4:光ファイバ
5:分波器
6:FIRフィルタ装置
7:適応等化アルゴリズム
8:減算器
61、61−1、61−2、61−M:FIRフィルタ
62:合波器

Claims (10)

  1. 光信号を送信するN個(Nは1以上の整数)の光送信機と、
    前記光信号を受信するM個(MはN以上の整数)の光受信機と、
    前記N個の光送信機が送信した前記光信号を合波し、合波した前記光信号をP個(PはN以上の整数。ただし、Nが1であるときには、Pは2以上の整数)の伝搬モードを有する光ファイバに送出する合波器と、
    前記光ファイバが伝搬した前記光信号を前記M個の光受信機に分波する分波器と、
    各光受信機が受信した前記光信号について、Dの整数倍又はDの整数倍に最も近いTの整数倍(Dは各光受信機が受信した前記光信号の群遅延差であり、Tは各光送信器が送信した前記光信号の1シンボル時間である)に遅延時間を調整する遅延素子、並びに振幅及び位相を調整する振幅位相調整器からなるFIRフィルタを利用して、群遅延差を補償する群遅延差補償装置と、
    を備えることを特徴とする光ファイバ伝送システム。
  2. 光信号を送信するN個(Nは1以上の整数)の光送信機と、
    前記光信号を受信するM個(MはN以上の整数)の光受信機と、
    前記N個の光送信機が送信した前記光信号を合波する合波器と、
    前記合波器が合波した前記光信号を伝搬し、P個(PはN以上の整数。ただし、Nが1であるときには、Pは2以上の整数)の伝搬モードを有する光ファイバと、
    前記光ファイバが伝搬した前記光信号を前記M個の光受信機に分波する分波器と、
    各光受信機が受信した前記光信号について、Dの整数倍又はDの整数倍に最も近いTの整数倍(Dは各光受信機が受信した前記光信号の群遅延差であり、Tは各光送信器が送信した前記光信号の1シンボル時間である)に遅延時間を調整する遅延素子、並びに振幅及び位相を調整する振幅位相調整器からなるFIRフィルタを利用して、群遅延差を補償する群遅延差補償装置と、
    を備えることを特徴とする光ファイバ伝送システム。
  3. 前記光ファイバでは、使用波長における伝搬モードの個数が2個以上かつ7個以下であることを特徴とする、請求項2に記載の光ファイバ伝送システム。
  4. 各光受信機が受信した前記光信号では、連続するデータシンボルが、D/T個のデータシンボルを含む各セットに区分され、D/T個のデータシンボルを含む各セットを入力する各振幅位相調整器が調整する振幅及び位相を決定するためのトレーニングシンボルが、D/T個のデータシンボルを含む各セットの先頭に挿入され、
    前記群遅延差補償装置は、前記トレーニングシンボルを利用して、各振幅位相調整器が調整する振幅及び位相を決定した後に、D/T個のデータシンボルを含む各セットを各振幅位相調整器に入力して、各光受信機が受信した前記光信号の群遅延差を補償することを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれかに記載の光ファイバ伝送システム。
  5. 光信号を送信するN個(Nは2以上の整数)の光送信機と、
    前記光信号を受信するM個(MはN以上の整数)の光受信機と、
    前記N個の光送信機が送信した前記光信号を合波し、合波した前記光信号をP個(PはN以上の整数)の伝搬モードを有する光ファイバに送出する合波器と、
    前記光ファイバが伝搬した前記光信号を前記M個の光受信機に分波する分波器と、
    各光受信機が受信した前記光信号について、遅延時間を調整する遅延素子並びに振幅及び位相を調整する振幅位相調整器からなり群遅延差を補償するFIRフィルタを有し、当該光信号のEシンボル(EはD/T以上の整数。ただし、Dは各光受信機が受信した前記光信号の群遅延差であり、Tは各光送信器が送信した前記光信号の1シンボル時間である)以前に各光受信機が受信した前記光信号に対応する各光送信機が送信した前記光信号を復元する群遅延差補償装置と、
    を備えることを特徴とする光ファイバ伝送システム。
  6. 光信号を送信するN個(Nは2以上の整数)の光送信機と、
    前記光信号を受信するM個(MはN以上の整数)の光受信機と、
    前記N個の光送信機が送信した前記光信号を合波する合波器と、
    前記合波器が合波した前記光信号を伝搬し、P個(PはN以上の整数)の伝搬モードを有する光ファイバと、
    前記光ファイバが伝搬した前記光信号を前記M個の光受信機に分波する分波器と、
    各光受信機が受信した前記光信号について、遅延時間を調整する遅延素子並びに振幅及び位相を調整する振幅位相調整器からなり群遅延差を補償するFIRフィルタを有し、当該光信号のEシンボル(EはD/T以上の整数。ただし、Dは各光受信機が受信した前記光信号の群遅延差であり、Tは各光送信器が送信した前記光信号の1シンボル時間である)以前に各光受信機が受信した前記光信号に対応する各光送信機が送信した前記光信号を復元する群遅延差補償装置と、
    を備えることを特徴とする光ファイバ伝送システム。
  7. 光信号を送信するN個(Nは1以上の整数)の光送信機から、送信後及び合波後の前記光信号を伝搬しP個(PはN以上の整数。ただし、Nが1であるときには、Pは2以上の整数)の伝搬モードを有する光ファイバを介して、伝搬後及び分波後の前記光信号を受信するM個(MはN以上の整数)の光受信機と、
    各光受信機が受信した前記光信号について、Dの整数倍又はDの整数倍に最も近いTの整数倍(Dは各光受信機が受信した前記光信号の群遅延差であり、Tは各光送信器が送信した前記光信号の1シンボル時間である)に遅延時間を調整する遅延素子、並びに振幅及び位相を調整する振幅位相調整器からなるFIRフィルタを利用して、群遅延差を補償する群遅延差補償装置と、
    を備えることを特徴とする光受信装置。
  8. 前記光ファイバでは、使用波長における伝搬モードの個数が2個以上かつ7個以下であることを特徴とする、請求項7に記載の光受信装置。
  9. 各光受信機が受信した前記光信号では、連続するデータシンボルが、D/T個のデータシンボルを含む各セットに区分され、D/T個のデータシンボルを含む各セットを入力する各振幅位相調整器が調整する振幅及び位相を決定するためのトレーニングシンボルが、D/T個のデータシンボルを含む各セットの先頭に挿入され、
    前記群遅延差補償装置は、前記トレーニングシンボルを利用して、各振幅位相調整器が調整する振幅及び位相を決定した後に、D/T個のデータシンボルを含む各セットを各振幅位相調整器に入力して、各光受信機が受信した前記光信号の群遅延差を補償することを特徴とする、請求項7又は請求項8に記載の光受信装置。
  10. 光信号を送信するN個(Nは2以上の整数)の光送信機から、送信後及び合波後の前記光信号を伝搬しP個(PはN以上の整数)の伝搬モードを有する光ファイバを介して、伝搬後及び分波後の前記光信号を受信するM個(MはN以上の整数)の光受信機と、
    各光受信機が受信した前記光信号について、遅延時間を調整する遅延素子並びに振幅及び位相を調整する振幅位相調整器からなり群遅延差を補償するFIRフィルタを有し、当該光信号のEシンボル(EはD/T以上の整数。ただし、Dは各光受信機が受信した前記光信号の群遅延差であり、Tは各光送信器が送信した前記光信号の1シンボル時間である)以前に各光受信機が受信した前記光信号に対応する各光送信機が送信した前記光信号を復元する群遅延差補償装置と、
    を備えることを特徴とする光受信装置。
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