JP2008061167A - トランスバーサルフィルタ - Google Patents
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Abstract
【課題】タップ係数の制御のみで、分散によって劣化した信号波形のアイ開口度を最大にできるようにしたトランスバーサルフィルタを提供する。
【解決手段】入力信号x(t)に対して、出力信号y(t)を出力するため、タップ係数a1・・・aNを有するN個の乗算器と時間TのN−1個の固定遅延素子とを持つトランスバーサルフィルタにおいて、出力信号y(t)を
y(t)=a1(t)+a2x(t-T)+・・・+aNx(t-NT)
と表すとき、すべてのタップ係数a1・・・aNの総和が常に一定値であるようにする。
【選択図】図1
【解決手段】入力信号x(t)に対して、出力信号y(t)を出力するため、タップ係数a1・・・aNを有するN個の乗算器と時間TのN−1個の固定遅延素子とを持つトランスバーサルフィルタにおいて、出力信号y(t)を
y(t)=a1(t)+a2x(t-T)+・・・+aNx(t-NT)
と表すとき、すべてのタップ係数a1・・・aNの総和が常に一定値であるようにする。
【選択図】図1
Description
本発明は、光ファイバ伝送における信号劣化を電気信号として処理し、補償するトランスバーサルフィルタに関するものである。
インターネットの普及に伴って、通信サービスの多様化が進むとともに所要ビットレートが目覚しく上昇している。光ファイバを用いた光アクセスサービスは、光ファイバの高速広帯域という特性を活用できるため、ビットレートの上昇に対応できる高速アクセスサービスとして注目されている。
ところが、信号が高速になるほど、光ファイバ中を伝搬する信号が光ファイバの波長分散の影響を受けることは、非特許文献1などによってよく知られている。また、電気信号を光信号に変換する際に用いられるレーザダイオードは、例えば非特許文献2に示されるようにチャープ特性(発振波長の揺らぎ)を持ち、光ファイバの波長分散の影響をより大きく受けることがよく知られている。従来、この光ファイバ分散の影響を低減させるための様々な技術が用いられてきた。
例えば、光ファイバの屈折率分布を変化させ、使用する光信号の波長付近で波長分散値が零になる分散補償光ファイバを使用することにより、波長分散による劣化を最小限に抑えることが可能になる。また、レーザダイオードによつて発生するチャープを回避するために、レーザ自体は直流光を発生させ、ニオブ酸リチウム結晶などが有する電気的光学効果を利用した光変調器を用いることにより、チャープ量を小さくし、波長分散の影響を最小限に抑えることが可能である。これらの技術、製品などは、主に中継系光伝送システムに導入されてきた。
一方、ユーザ宅と通信事業者の収容局とを結ぶ区間で提供される光アクセスネットワークにおいては、設備費用、運用保守などのコストを徹底的に低減させることが求められる。よって、前述のような波長分散の影響が発生する場合においても、収容局とユーザ宅間に設置される設備に、従来中継ネットワークで用いられた前述した技術を用いることは、コスト削減という観点からは望ましくない。
例えば、光アクセスネットワークにおいては、すでに敷設されているシングルモード光ファイバを、分散補償光ファイバに置き換えることは、現在敷設されている光ファイバを撤去すると共に、新しく光ファイバを敷設する費用が必要である。また、電気光学効果を用いる変調器を用いる方式は、従来用いられてきたレーザダイオードを直接変調させる方式よりも非常に高価になる。よって、低コストを実現するために、従来の技術やデバイスを用い、わずかな追加コスト負担となる新しい技術が求められている。
そこで、これらの問題を回避するために、受信光信号を電気信号に変換した後に、波長分散によって劣化した信号波形を補償する電気分散補償技術が提案されている。電気分散補償回路は集積回路によって実現されるため、大量生産や検査の自動化などにより、他の集積回路と同様に低価格で製造することが可能である。また、等化増幅回路など光受信器内に実装される他の集積回路と同じく、プリント基板上に一括して実装することが可能である。よって、電気分散補償回路を追加するコスト負担はわずかとなるため、コスト条件の厳しい光アクセスネットワークに適した分散補償技術である。
図6に電気分散補償技術を用いた光受信器の構成を示す。光ファイバ100を介して受信光モジュール200に入力された光信号はフォトダイオード(PD)210によって光信号から電気信号に変換される。PD210によって変換される電気信号は非常に微弱であるため、受信光モジュール200内にPD210と一体化して実装されるプリアンプ220によって増幅される。その後、電気分散補償回路300Aによって、波長分散によって劣化した信号が補償される。補償された信号は後段のクロックデータリカバリ回路400によって識別再生される。
図7にフィードバック型の電気分散補償回路300Aの構成例を示す。受信光モジュール200のプリアンプ220から入力された電気信号は、増幅器310に入力される。この増幅器310は出力信号の振幅が一定になるよう利得が調整される自動利得制御型増幅器である。これは、後段のトランスバーサルフィルタ320Aに受信レベルの異なる信号が入力されると、受信信号レベルに応じた補償を行わなければならず、トランスバーサルフィルタ320Aに不必要なダイナミックレンジ特性を課すことになるためである。また、増幅器の利得が大きいと、振幅制限(リミッティング)が生じ、信号の上部または下部の値が制限された信号に変形され、出力波形に入力光信号パワーに依存した歪みが発生することを防ぐためである。トランスバーサルフィルタ320Aは入力信号を分岐し、それぞれ異なる遅延を加え、それぞれ係数を乗じた後、分岐された信号の総和を出力する。トランスバーサルフィルタ320Aの各信号に乗ずる係数を「タップ係数」という。このタップ係数を変化させることによってトランスバーサルフィルタ320Aは異なる周波数特定、位相伝達特性を示し、このタップ係数を適応的に制御することによって、異なる距離の波長分散によって劣化した信号を、送信した波形と同じ波形になるよう自動等化を行う。トランスバーサルフィルタ320Aの出力は、電気分散補償回路300Aの出力となるが、その一方で、その出力から分岐された信号はアイモニタ回路330に入力される。アイモニタ回路330はアイパターンの中央部がどの程度余裕があるかを判定する回路である。NRZ(Nonreturn to zero)信号やRZ(Return to zero)信号において、“0”レベルと“1”レベルの識別が正しく行われるかどうかを、信号波形を、クロスポイントからクロスポイントまでの、ビット間隔ごとに重ね書きした場合、目のような波形になり、その目の開き具合(アイ開口度)で判定する。
図8にアイパターンの一例を示す。ここでは、図8におけるアイの中央の縦方向の広がりHを「アイ開口度」と定義する。アイ開口度Hが大きい場合は、“0”レベルと“1”レベルを識別する場合の、しきい値設定レベル、タイミングの許容範囲が大きくなる。逆にアイ開口度Hが小さい場合は、回路内外からの雑音によって、“0”レベルと“1”レベルの判定が正しく行われず、ビット誤りが発生する。アイモニタ回路330によってアイ開口度をタップ係数制御部340Aに伝えることで、タップ係数制御部340Aはより品質のいい、開いたアイパターンが得られるようタップ係数を制御する。
具体的なアイモニタ回路330としては、たとえば非特許文献3に記載の構成がある。非特許文献3におけるアイモニタ回路330を図9に示す。アイモニタ回路330は2つの判定回路331,332、排他的論理和回路333、および積分器334から構成される。判定回路331,332はクロックが入力された時点で、入力信号がしきい値を超えているかどうかを判定し、出力する。判定回路331はNRZ信号のビットが“0”か“1”かを判定する通常の判定回路である。よって、しきい値1は通常“1”レベルと“0”レベルの中間に設定される。一方、判定回路332は判定回路331と同じ構成であるが、しきい値2を掃引させる。しきい値2を可変させることによって判定回路331とは異なる、擬似的なエラーが発生した信号となる。そして、判定回路331の出力と判定回路332の出力との排他的論理和を排他的論理和回路333で演算する。これは、判定回路331の出力と、判定回路332の出力とを同時刻に重ねたとき、重ならない部分を出力させることに等しい。よって、その出力を後段の積分器334で積分することにより、判定回路332の疑似エラー成分を検出することが可能になる。
たとえば、しきい値2を大きくしてアイ上部に近づけると、判定回路331の出力はビット“1”であるにもかかわらず、判定回路332ではしきい値を下回ることによって“0”を出力してしまう。このとき、判定回路331の出力であるビット“1”が排他的論理和回路333から出力される。疑以エラーの数が多ければ多いほど、積分器334からの出力レベルが上昇する。
横軸をしきい値2のレベルとし、縦軸を積分回路334の出力として、両者の関係をグラフにすると、図10に示すようにバスタブ曲線が出力される。アイ開口度が大きいほど、このU字の底となる部分(アイ開口度)が広くなるため、図9のアイモニタ回路330の回路構成によってアイの開口度をモニタリングすることができる。
電気分散補償回路300Aは、光アクセスネットワークにおいて波長分散の効果が顕著となる10Gbit/s以上の信号速度に用いられるため、それらの信号をシリアル信号として取り扱うのに十分な速度を持つデバイスによって構成されなくてはならない。以上説明した図7の構成のうち、主信号が通過する増幅器310とトランスバーサルフィルタ320Aについては、信号をアナログ処理するものであり、信号波形をサンプリングしてディジタル処理する方法に比べ、高速信号の補償に適した構成である。アイモニタ回路330とタップ係数制御部340Aについては、主信号に影響を与えないため、本来高速に処理する必要はないが、アイモニタ回路330が図9に示した回路構成の場合は、判定回路331,332および排他的論理和回路333の各回路は、高い高周波特性を担保する必要がある。
ここで、トランスバーサルフィルタ320Aの信号入出力関係を定式化しておく。図11はトランスバーサルフィルタ320Aの構成を示す。入力信号は分岐ごとに単位遅延素子321を通過することを繰り返す。分岐された各信号はそれぞれ乗算器322でタップ係数が乗じられた後に、加算器323によって総和が求められ、出力される。トランスバーサルフィルタ320Aの入力信号をx(t)、出力信号をy(t)、各分岐信号の単位遅延素子321での遅延時間をT、各乗算器322のタップ係数をa1・・・aNとすると、入力信号x(t)と出力信号y(t)の関係は以下の通りとなる。Nは乗算器322の数である。
y(t)=a1x(t)+a2(t-T)+・・・+aNx(t-NT) (1)
よって、出力信号y(t)の周波数特性Y(ω)は、入力信号x(t)の周波数特性X(ω)を用いて以下のように表される。
Y(ω)={a1+a2exp(-jωT)+・・・+aNexp(-jωNT)}X(ω) (2)
y(t)=a1x(t)+a2(t-T)+・・・+aNx(t-NT) (1)
よって、出力信号y(t)の周波数特性Y(ω)は、入力信号x(t)の周波数特性X(ω)を用いて以下のように表される。
Y(ω)={a1+a2exp(-jωT)+・・・+aNexp(-jωNT)}X(ω) (2)
通常、トランスバーサルフィルタ320Aは集積回路として構成されることが多く、そのため単位遅延素子321の遅延時間Tは固定されることが多い。ただし、遅延時間Tの具体的な値については本出願の支配的なパラメータではない。一方、タップ係数a1・・・aNは式(1)、(2)に表されるように周波数、位相特性を決定づける非常に重要なパラメータであり、このタップ係数を決定するための様々な手法が提案されている。
Govind P.Agrawal,"DISPERSION IN SINGLE-MODE FIBERS" Fiber-Optic communication systems,p39-47,Jobn Wiley & Sons,1997
Amnon Yariv 著、多田・神谷監訳、「電流変調された半導体レーザ中での利得制御と周波数チャープ」、ヤリーブ 光エレクトロニクス 基礎編、325−335頁、丸善、平成14年4月25日。
F.Buchali et al, "Fast Eye Monitor for 10Gbit/s and its Applicaition for Optical PMD compensation",in Optical Fiber Commnucation Conference,OSA Technical Digest,2000,TuP5-1
ところが、図7に示す構成の電気分散補償回路300AをNRZ信号の電気分散補償回路として用いた場合に、トランスバーサルフィルタ320Aに直流利得が発生すると、アイモニタ回路330におけるアイ開口度が正しく判定されないという欠点がある。これを図12を用いて説明する。図12(a)はトランスバーサルフィルタ320Aに入力される前の、波長分散によってゆがんだアイパターンの一例を示している。H1はアイ中央におけるアイ開口度を、Hs1は入力信号の“1”レベルと“0”レベルの差をあらわす。また、図12(b)はトランスバーサルフィルタ320Aから出力された、分散補償後のアイパターンの一例を示している。H2はアイ中央のアイ開口度を、Hs2は出力信号の“1”レベルと“0”レベルの差を表す。
一般的に、トランスバーサルフィルタ320Aの後段に接続されるクロックデータリカバリ回路400(図6)は、入力される信号の0レベル、1レベルを固定していることが多く、したがって、そのビットが“0”なのか“1”なのかを判定する判定しきい値を固定している。ところがトランスバーサルフィルタ320Aが直流レベルで利得を持ち、それがタップ係数によって変化する場合、アイ開口の下の部分が、クロックデータリカバリ回路400のしきい値付近まで増幅されて、雑音による判定エラーが発生することになる。
また、トランスバーサルフィルタのタップ係数の設定によっては、トランスバーサルフィルタの補償前と補償後におけるH1やH2の増加量よりも、Hs1やHs2の増加量が大きくなる場合も考えられる。これは、補償前と補償後のアイパターンにおいて、相対的にアイ上部、下部が狭くなる、目を薄く開いたようなアイパターンになることを示す。このようなアイパターンでは後段のクロックデータリカバリ回路における時間方向の識別再生タイミングの変動で、アイ開口度が変化するため、タイミングジッタによるビットエラーが発生し易くなる。非特許文献3に示すアイモニタ回路はH1やH2のみを検出すものである。すなわち、トランスバーサルフィルタ320Aの直流利得が一定でない場合は、Hs1やHs2も変化するため、アイモニタ回路330の出力が、後段のクロックデータリカバリ回路400においで、“0”レベルと“1”レベルを識別するのに必要とするしきい値余裕や、タイミングの許容範囲を増大させたかどうかを正確に示さない。よって、Hs1やHs2もモニタリングして比較できる機構、回路を追加しなくてはならない。
また、H1やH2を最大化するという観点でタップ係数を制御する場合、単純にトランスバーサルフィルタ320Aのすべての係数を設定可能な正の最大値に設定することでも、H1やH2を大きくすることは可能である。しかし、これは同時にHs1とHs2を大きくすることであり、例えば、トランスバーサルフィルタ320Aの加算器323が飽和するなどして不正なデューティ比の信号を出力するなど、望ましくない結果が生じる。アイモニタ回路330の出力に応じて、タップ係数制御部340Aが自動でタップ係数の最適値を計算する場合、このような計算結果に陥らないような手段を講じておく必要がある。
上記示した従来例の問題点は、非特許文献3に示したアイモニタ回路を例に述べたが、H1やH2を測定して、その大きさを出力する他のアイモニタ回路においても同様の問題が生じることは明らかである。
本発明の目的は、電気分散補償回路において、タップ係数の制御のみで、分散によって劣化した信号波形のアイ開口度を最大にできるようにしたトランスバーサルフィルタを提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、入力信号x(t)に対して、出力信号y(t)を出力するため、タップ係数a1・・・aNを有するN個の乗算器と時間TのN−1個の固定遅延素子とを持つトランスバーサルフィルタにおいて、出力信号y(t)を、
y(t)=a1x(t)+a2x(t-T)+・・・+aNx(t-NT)
と表すとき、すべてのタップ係数a1・・・aNの総和が常に一定値であるようにしたことを特徴とする。
請求項2にかかる発明は、請求項1に記載のトランスバーサルフィルタにおいて、前記入力信号をディジタル振幅変調信号とし、前記出力信号を分岐してアイ開口度をモニタリングし、該モニタリング結果に応じて前記アイ開口度を最大化するように前記タップ係数a1・・・aNを制御することを特徴とする。 請求項3にかかる発明は、請求項2に記載のトランスバーサルフィルタにおいて、前記入力信号は常に一定電力となるよう調整された信号であることを特徴とする。
y(t)=a1x(t)+a2x(t-T)+・・・+aNx(t-NT)
と表すとき、すべてのタップ係数a1・・・aNの総和が常に一定値であるようにしたことを特徴とする。
請求項2にかかる発明は、請求項1に記載のトランスバーサルフィルタにおいて、前記入力信号をディジタル振幅変調信号とし、前記出力信号を分岐してアイ開口度をモニタリングし、該モニタリング結果に応じて前記アイ開口度を最大化するように前記タップ係数a1・・・aNを制御することを特徴とする。 請求項3にかかる発明は、請求項2に記載のトランスバーサルフィルタにおいて、前記入力信号は常に一定電力となるよう調整された信号であることを特徴とする。
本発明のトランスバーサルフィルタによれば、分散によって劣化した波形のアイ開口度を最大化する手段を、簡便な実装方法で提供できる。従来技術例で用いられるような、アイの開口度のみを出力するアイモニタ回路では、“1”レベルと“0”レベルの差をモニタリングする別の手段を追加する必要があったが、本発明によれば、これらの問題を解決するためにタップ係数の総和を定数に制限することで実現するため、別のモニタリング回路を付加するなど複雑な追加部品の実装や集積回路の設計実装は必要ない。
図1に本発明の実施例の電気分散補償回路300の構成を示す。光電変換された受信信号は増幅器310に入力される。増幅器310は出力信号の振幅が一定になるように利得が制御された自動利得制御増幅器である。次に、2つの遅延素子321、増幅器310の出力信号および遅延素子321ごとに分岐された信号にタップ係数a1,a2,a3をかける3つの乗算器322、並びにそれらの乗算された信号の総和を計算する加算器323からなるトランスバーサルフィルタ320を通過して、信号が出力される。また、トランスバーサルフィルタ320から出力された信号は分岐され、アイモニタ回路330に入力される。アイモニタ回路330は図12のH1、H2に示されるようにアイの開口度の絶対値を検出し、タップ係数制御部340に伝達する機能を有するものであれば、特に特定はしない。一例として非特許文献3のアイモニタ回路を使用しても良い。タップ係数制御部340は、以下の2つの条件を同時に満たすようタップ係数a1,a2,a3を変化させ、トランスバーサルフィルタ320の周波数特性を変化させる。
(1)アイの開口度の絶対値がより大きくなる。
(2)タップ係数の総和が一定値α(a1+a2+a3=α)なるよう維持する。
(1)アイの開口度の絶対値がより大きくなる。
(2)タップ係数の総和が一定値α(a1+a2+a3=α)なるよう維持する。
アイ開口度の絶対値を大きくするトランスバーサルフィルタ320の一例として、たとえば高周波特性を強調する手法が考えられる。高周波成分を強調することによって、分散による影響で劣化したアイ開口度を改善することが可能である。図2には式(1)においてN=3、T=50psecとし、
a1=a3=−0.1、a2=1.2
としたときと、
a1=a3=−0.4、a2=1.8
としたときの、増幅器310とトランスバーサルフィルタ320の両特性をあわせた周波数特性の例を示す。これは、タップ係数の総和αをα=1に固定する場合に相当する。ただし、増幅器310は、出力信号の振幅が1となるよう自動利得制御されるとし、その周波数特性は以下の式で表現されるとする。
ここで、f1=10GHzである。
a1=a3=−0.1、a2=1.2
としたときと、
a1=a3=−0.4、a2=1.8
としたときの、増幅器310とトランスバーサルフィルタ320の両特性をあわせた周波数特性の例を示す。これは、タップ係数の総和αをα=1に固定する場合に相当する。ただし、増幅器310は、出力信号の振幅が1となるよう自動利得制御されるとし、その周波数特性は以下の式で表現されるとする。
ここで、f1=10GHzである。
一般に、トランスバーサルフィルタ320の高周波特性をより強調する、すなわちエンファシス処理を強くするほうが、より劣化したアイ開口度を改善できる。図2からわかるとおり、a1=a3=−0.4、a2=1.8とした場合がより高周波特性が強調されているため、劣化したアイ開口度の改善に効果が高い。
一方で、本実施例ではタップ係数の総和αは1になるよう、タップ係数制御部340でタップ係数が制御されている。“0”レベル、“1”レベルの高さに相当する部分は、入力されるNRZ信号の低周波成分が主成分である。よって、図2の低周波部分はどちらのタップ係数でも0dBであり、すなわち、図12におけるHs1やHs2に相当する大きさは、トランスバーサルフィルタ320の前後では変化しない。
これは、式(3)において、ωが限りなく0に近い領域では、
Y(ω)≒(a1+a2+a3)X(ω) (4)
と表されることからわかるとおり、タップ係数の和を固定すれば、NRZ信号の直流成分、すなわち“0”レベル、“1”レベルそれぞれに相当する部分はトランスバーサルフィルタ320の入力、出力共に常に一定に保たれる。すなわち、アイモニタ回路330は、つねに“0”レベル、“1”レベルの高さに相当する部分が一定の状態でアイ開口度を制御することが可能であり、図12のH1、H2に示されるようなアイ開口度を検出するアイモニタ回路においても、安定したアイ開口度を測定することが可能になる。
Y(ω)≒(a1+a2+a3)X(ω) (4)
と表されることからわかるとおり、タップ係数の和を固定すれば、NRZ信号の直流成分、すなわち“0”レベル、“1”レベルそれぞれに相当する部分はトランスバーサルフィルタ320の入力、出力共に常に一定に保たれる。すなわち、アイモニタ回路330は、つねに“0”レベル、“1”レベルの高さに相当する部分が一定の状態でアイ開口度を制御することが可能であり、図12のH1、H2に示されるようなアイ開口度を検出するアイモニタ回路においても、安定したアイ開口度を測定することが可能になる。
図3、図4、図5に、本実施例におけるトランスバーサルフィルタ320への入力前の分散によって劣化したアイパターン(図3)、a1=a3=−0.1、a2=1.2としたときのアイパターン(図4)、a1=a3=−0.4、a2=1.8としたときのアイパターン(図5)のシミュレーション波形をそれぞれ示す。
図4においては、図3よりも多少アイ開口度が改善しているものの、十分な効果が得られているとはいえない。一方、より高周波特性を強調した図5においてはアイ開口度が十分改善しているといえる。これら3つの波形はいずれも“1”レベルは1であり、“0”レベルは0のままである。すなわち、アイモニタ回路330によつて検出される量が、図12におけるH1やH2に相当する値であったとしても、当該アイモニタ回路330によって十分アイ開口度を判定することが可能であり、かつその値によって最適なアイ開口度をモニタリングしながらタップ係数を制御することが可能である。
また、実際に製作されたトランスバーサルフィルタ320のタップ係数の絶対値を無限に大きくすることは、現実的に不可能であり、上限値が存在する。しかし、アイモニタ回路330が、図12におけるH1やH2に相当する値のみを検出する場合、トランスバーサルフィルタ320のタップ係数それぞれを正の最大値にすることで、アイの開口度を改善することができる。たとえば、それぞれのタップ係数の最大値を10とする場合、すべてのタップ係数を10にすることでも、図12におけるH1やH2に相当する値を大きくすることは可能である。しかし、その後段に位置する加算器323や、アイモニタ回路330、クロックデータリカバリ回路400のダイナミックレンジを超えた信号が出力され、正常に補償できない。
しかし、本実施例においてはトランスバーサルフィルタ320の出力電力は、α倍になるよう設定される。このαを適切に設定することにより、後段のアイモニタ回路330やクロックデータリカバリ回路400のダイナミックレンジを満たすよう常に利得が満たされるため、適切なNRZ波形を出力、モニタリングすることが可能である。
以上説明したとおり、本発明のようにトランスバーサルフィルタ320のタップ係数の総和を定数に制限することにより、アイモニタ回路330を用いてNRZ信号が光ファイバ伝送中に受けた分散による劣化を補償する量の最適化を、簡便な方法で実現することが可能になる。
100:光ファイバ
200:受信光モジュール、210:ホトダイオード、220:プリアンプ
300,300A:フィードバック型電気分散補償回路、310:増幅器、320,320A:トランスバーサルフィルタ、321:固定遅延素子、322:乗算器、323:加算器、330:アイモニタ回路、331,332:判定回路、333:排他的論理和回路、334:積分回路、340,340A:タップ係数制御部
400:クロックデータリカバリ回路
200:受信光モジュール、210:ホトダイオード、220:プリアンプ
300,300A:フィードバック型電気分散補償回路、310:増幅器、320,320A:トランスバーサルフィルタ、321:固定遅延素子、322:乗算器、323:加算器、330:アイモニタ回路、331,332:判定回路、333:排他的論理和回路、334:積分回路、340,340A:タップ係数制御部
400:クロックデータリカバリ回路
Claims (3)
- 入力信号x(t)に対して、出力信号y(t)を出力するため、タップ係数a1・・・aNを有するN個の乗算器と時間TのN−1個の固定遅延素子とを持つトランスバーサルフィルタにおいて、
出力信号y(t)を
y(t)=a1x(t)+a2x(t-T)+・・・+aNx(t-NT)
と表すとき、すべてのタップ係数a1・・・aNの総和が常に一定値であるようにしたことを特徴とするトランスバーサルフィルタ。 - 請求項1に記載のトランスバーサルフィルタにおいて、
前記入力信号をディジタル振幅変調信号とし、前記出力信号を分岐してアイ開口度をモニタリングし、該モニタリング結果に応じて前記アイ開口度を最大化するように前記タップ係数a1・・・aNを制御することを特徴とするトランスバーサルフィルタ。 - 請求項2に記載のトランスバーサルフィルタにおいて、
前記入力信号は常に一定電力となるよう調整された信号であることを特徴とするトランスバーサルフィルタ。
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