JP2012227291A - 洗浄組成物、これを用いた洗浄方法及び半導体素子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】洗浄組成物により、エッチング工程及び/又は前記アッシング工程において半導体基板上に形成されたプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣を洗浄除去する洗浄工程を含む半導体素子の製造方法であって、該洗浄組成物は、水と、塩基性有機化合物と、酸性有機化合物と、有機溶媒とを組み合わせて含有し、pHが1.5〜5.0に調整されたことを特徴とする半導体素子の製造方法。
【選択図】なし
Description
(1)(a)(a−1)半導体基板に対してプラズマエッチングを行うエッチング工程、及び/又は、(a−2)半導体基板上のレジストに対してアッシングを行うアッシング工程、並びに、
(b)洗浄組成物により、前記エッチング工程及び/又は前記アッシング工程において前記半導体基板上に形成されたプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣を洗浄除去する洗浄工程を含む半導体素子の製造方法であって、
該洗浄組成物は、水と、塩基性有機化合物と、酸性有機化合物と、有機溶媒とを含有し、pHが1.5〜5.0に調整されたことを特徴とする半導体素子の製造方法。
(2)前記有機溶媒を洗浄組成物中に5〜40質量%含有させることを特徴とする(1)に記載の製造方法。
(3)さらに高分子化合物を含有させることを特徴とする(1)又は(2)に記載の製造方法。
(4)さらに無機アニオンを共存させることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の製造方法。
(5)前記有機溶媒が、エーテル系溶媒、含硫黄系溶媒、アルコール系溶媒、及びアミン系溶媒からなる群より選ばれる少なくとも1種の有機溶媒であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の製造方法。
(6)(1)〜(5)記載の製造方法により製造された半導体素子。
(7)水と、塩基性有機化合物と、酸性有機化合物と、有機溶媒とを組み合わせて含有し、pHが1.5〜5.0に調整されたことを特徴とする半導体基板洗浄用の洗浄組成物。
(8)前記有機溶媒を洗浄組成物中に5〜40質量%含有させたことを特徴とする(7)に記載の洗浄組成物。
(9)さらに高分子化合物を含有させたことを特徴とする(7)又は(8)に記載の洗浄組成物。
(10)さらに無機アニオンを共存させたことを特徴とする(7)〜(9)のいずれか1項に記載の洗浄組成物。
(11)前記有機溶媒が、エーテル系溶媒、含硫黄系溶媒、アルコール系溶媒、及びアミン系溶媒、からなる群より選ばれる少なくとも1種の有機溶媒であることを特徴とする(7)〜(10)のいずれか1項に記載の洗浄組成物。
(12)前記有機溶媒が、ジメチルスルホキシド、スルホラン、及びジプロピレングリコールからなる群より選ばれる少なくとも1種の有機溶媒であることを特徴とする(7)〜(11)のいずれか1項に記載の洗浄組成物。
(13)前記酸性有機化合物が、クエン酸、乳酸、酢酸、プロピオン酸、リンゴ酸、酒石酸、マロン酸、シュウ酸、コハク酸、グルコン酸、グリコール酸、ジグリコール酸、マレイン酸、安息香酸、フタル酸、サリチル酸、サリチルヒドロキサム酸、及びフタルヒドロキサム酸よりなる群から選ばれた少なくとも1つの化合物であることを特徴とする(7)〜(12)のいずれか1項に記載の洗浄組成物。
(14)前記塩基性化合物が、有機アミン及び第4級アンモニウム水酸化物よりなる群から選ばれた少なくとも1つの化合物であることを特徴とする(7)〜(13)のいずれか1項に記載の洗浄組成物。
(15)前記高分子化合物が、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、及びポリアリルアミンからなる群から選ばれた少なくとも1種の高分子化合物であることを特徴とする(7)〜(14)のいずれか1項に記載の洗浄組成物。
(16)前記無機アニオンがヒドロキシアミン硫酸塩もしくは硫酸由来の硫酸イオン(SO4 2−)であることを特徴とする(10)〜(15)のいずれか1項に記載の洗浄組成物。
(17)(7)〜(16)のいずれか1項に記載の洗浄組成物を使用し、半導体基板上のプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣を洗浄することを特徴とする洗浄方法。
(18)前記浸漬式洗浄装置で洗浄処理することを特徴とする(17)に記載の洗浄方法。
通常、洗浄液を酸性方向に振ると、半導体洗浄における残渣の洗浄性が低下する。特にビア洗浄においては、その傾向が顕著になる。これに対し、本発明では、酸性有機化合物だけではなく、塩基性有機化合物と組合せて上記pHにしたため十分な洗浄性が確保されたと考えられる。そして、本発明においては有機溶媒をさらに組み合わせたため、特に大型メタル等の洗浄において、高い洗浄性と部材の保護性とのバランスが保たれ、シリコンウエハや金属配線の性状が保持され、各部材の剥離や変色等が抑制されたものと考えられる。
なお、本明細書において、特定の剤を組み合わせて含有する組成物とは、当該剤を含有する組成物を意味するほか、使用前にそれぞれの剤ないしそれを含有する組成物を混合して用いる混合前のキットとしての意味を包含するものである。
以下、本発明の洗浄組成物、それを用いた洗浄方法及び半導体素子の製造方法の好ましい実施形態について、一部図面を参照しながら詳細に説明する。
半導体素子の製造プロセスにおいては、レジストパターン等をマスクとして用いたプラズマエッチングにより半導体基板上の金属層等をエッチングする工程がある。具体的には、金属層、半導体層、絶縁層などをエッチングし、金属層や半導体層をパターニングしたり、絶縁層にビアホールや配線溝等の開口部を形成したりすることが行われる。上記プラズマエッチングにおいては、マスクとして用いたレジストや、エッチングされる金属層、半導体層、絶縁層に由来する残渣が半導体基板上に生じる。本発明においては、このようにプラズマエッチングにより生じた残渣を「プラズマエッチング残渣」と称する。
本発明の洗浄組成物は、上述のように、水(a)、塩基性有機化合物(b)、酸性有機化合物(c)、及び有機溶媒(d)を組み合わせて含む。以下、各成分について順に説明する。
本発明の洗浄組成物は、その媒体として水が適用されており、各含有成分が均一に溶解した水溶液であることが好ましい。水の含有量は、洗浄組成物の全質量に対して50〜99.5質量%であることが好ましく、55〜95質量%であることが好ましい。このように、水を主成分(50質量%以上)とする洗浄組成物を特に水系洗浄組成物と呼ぶことがあり、有機溶剤の比率の高い洗浄組成物と比較して、安価であり、環境に適合する点で好ましい。水としては、本発明の効果を損ねない範囲で溶解成分を含む水性媒体であってもよく、あるいは不可避的な微量混合成分を含んでいてもよい。なかでも、蒸留水やイオン交換水、あるいは超純水といった浄化処理を施された水が好ましく、半導体製造に使用される超純水を用いることが特に好ましい。
本発明の洗浄組成物は、塩基性有機化合物を含む。本発明において、塩基性有機化合物には後述するヒドロキシルアミン化合物を含まず、ここでこれが採用されることはない。その構成元素として炭素及び窒素を有することが好ましく、アミノ基を有することがより好ましい。具体的には、塩基性有機化合物は、有機アミン及び第4級アンモニウム水酸化物よりなる群から選ばれた少なくとも1つの化合物であることが好ましい。なお、有機アミンとは、構成元素として炭素を含むアミンを意味する。
本発明の洗浄組成物の塩基性有機化合物として使用される有機アミンには、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレングリコールアミン、N−ヒドロキシルエチルピペラジンなどのアルカノールアミン、及び/又はエチルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミン、n−ブチルアミン、3−メトキシプロピルアミン、tert−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、n−オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、o−キシレンジアミン、m−キシリレンジアミン、1−メチルブチルアミン、エチレンジアミン(EDA)、1,3−プロパンジアミン、2−アミノベンジルアミン、N−ベンジルエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどの水酸基を有しない有機アミンが含まれる。金属の腐食防止の観点から、アルカノールアミンよりも、水酸基を有しない有機アミンの方が好ましい。さらにエチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、o−キシレンジアミン、m−キシリレンジアミンが金属と配位することができるので特に好ましい。
これら有機アミン及び第4級アンモニウム水酸化物は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
なお、本明細書において***化合物というときには、当該化合物そのものに加え、その塩、錯体、そのイオンを含む意味に用いる。また、所望の効果を奏する範囲で、所定の置換基等を伴った誘導体を含む意味である。有機酸等にあっては、その酸エステル等も含む意味である。また、本明細書において置換基に関してxxx基というときには、そのxxx基に任意の置換基を有していてもよい。
本発明の洗浄組成物は、少なくとも1つの酸性有機化合物(有機酸ともいう)を含有する。これは、1官能性、2官能性、3官能性、又は4官能性酸性有機化合物であることが好ましい。官能基の数は特に限定されないが、中でも1官能性または2官能性または3官能性であることがより好ましい。
酸性有機化合物は、中でも、カルボン酸化合物が、アルミニウム、銅及びそれらの合金の金属腐食を有効に防止するため好ましく、ヒドロキシル基を有するヒドロキシカルボン酸化合物が金属腐食の防止に特に有効であるためより好ましい。カルボン酸化合物はこれらの金属に対してキレート効果を有する。好ましいカルボン酸化合物には、モノカルボン酸化合物及びポリカルボン酸化合物が含まれる。カルボン酸化合物としては、これらに限定されないが、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、バレリア酸、イソバレリア酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、グリコール酸、乳酸、クエン酸、サリチル酸、酒石酸、グルコン酸、ジグリコール酸、リンゴ酸、アセトヒドロキサム酸、ベンゾヒドロキサム酸、サリチルヒドロキサム酸、フタルヒドロキサム酸、安息香酸、ジヒドロキシ安息香酸及びそれらの混合物が例示できる。中でも、ヒドロキシカルボン酸であるクエン酸、リンゴ酸、酒石酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸が好ましく使用できる。
なお、カルボン酸化合物は、構成元素をC、H、及びOのみとするものであることが好ましく、アミノ基を有しないことがより好ましい。
本発明の洗浄組成物は、水溶性有機溶剤を含有してもよい。水溶性有機溶剤は、腐食防止の点でよい。例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、1−プロピルアルコール、2−プロピルアルコール、2−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、ソルビトール、キシリトール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール等のアルコール系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル系溶剤、ホルムアミド、モノメチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド、アセトアミド、モノメチルアセトアミド、ジメチルアセトアミド、モノエチルアセトアミド、ジエチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶剤、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄系溶剤、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン系溶剤等が挙げられる。これらの中で好ましいのはアルコール系、エーテル系、含硫黄系、アミド系であり、より好ましくは、エーテル系、含硫黄系であり、更に好ましくは、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジメチルスルホキシド、スルホランであり、特に好ましくはジメチルスルホキシド、スルホラン、ジプロピレングリコールである。水溶性有機溶剤は単独でも2種類以上適宜組み合わせて用いてもよい。
本発明の洗浄組成物は酸性領域のpH1.5〜5.0に設定されており、好ましくはpH1.9〜4.0であり、より好ましくは2.1〜3.5である。pHが上記の数値の範囲内であると、上記有機溶媒を採用した作用と相俟って、エッチング残渣ないしアッシング残渣を十分に除去しながらメタル等の剥離やシリコンウエハの腐食抑制、メタル配線の表面荒れ抑制を常時に達成することができる。
本発明においては、特に断らない限り、pHは実施例で示した条件で測定した値をいう。洗浄組成物を所定のpHに調整するためには、塩基性有機化合物の添加量を調節した滴定により行うことができる。なお、本明細書においてpHは、特に断らない限り、室温(25℃)においてHORIBA社製、F−51(商品名)で測定した値を言う。
・高分子化合物
本発明の洗浄組成物は、前記基本成分のほかに、高分子化合物を含有させてもよい。この高分子化合物は特に限定されないが、水媒体に均一に分散するあるいは溶解するものであることが好ましく、所定の含有量で均一に溶解するものであることがより好ましい。具体的には、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレンイミン、ポリフェノール、又はポリアリルアミンが挙げられる。なかでも、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコールが好ましい。高分子化合物の分子量は特に限定されないが、400〜300,000であることが好ましく、5,000〜90,000であることがより好ましい。分子量が小さいと満足する防食性を得ることができない。また、大きすぎると防食性は達成できるが、洗浄性を阻害してしまう。
本発明の洗浄組成物にはヒドロキシルアミン化合物を用いることも好ましい。その塩としては、ヒドロキシルアミン硝酸塩(HANとも称される)、ヒドロキシルアミン硫酸塩(HASとも称される)、ヒドロキシルアミンリン酸塩、ヒドロキシルアミン塩酸塩などが例示できる。洗浄組成物に、ヒドロキシルアミンの有機酸塩も使用することができ、ヒドロキシルアミンクエン酸塩、ヒドロキシルアミンシュウ酸塩などが例示できる。これらヒドロキシルアミンの塩のうち、ヒドロキシルアミン硝酸塩、ヒドロキシルアミン硫酸塩、ヒドロキシルアミンリン酸塩、ヒドロキシルアミン塩酸塩などの無機酸塩が、アルミニウムや銅、チタンなどの金属に対して不活性なので好ましい。とりわけ、ヒドロキシルアミン硝酸塩、ヒドロキシルアミン硫酸塩が好ましく、ヒドロキシルアミン硫酸塩が特に好ましく。これらヒドロキシルアミン化合物は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
本発明において、上記ヒドロキシルアミン化合物は、そのヒドロキシルアミンが求核剤として機能するというより、対になるアニオンが関与している可能性があると考えられる。すなわち、本発明の洗浄組成物は上述のとおりそのpHが酸性領域に調整されたため、ヒドロキシルアミン化合物を導入したとしてもヒドロキシルアミンはプロトネーションしており、有効な求核剤としては機能しないと解される。一方、硫酸塩などを用いた場合には硫酸根が系内に生じ、それによる特有の洗浄効果があるのではないかと推察される。
そうした観点から好ましい実施形態を規定すると、特定の無機アニオンを系内に共存させることが好ましく、中でも硫酸イオン[SO4 2−](硫酸根)、硝酸イオン[NO3 −](硝酸根)、塩化物イオン[Cl−](塩酸根)を共存させることがより好ましいといえる。この無機アニオンを生じる基質はどのようなものであってもよく、硫酸イオンであれば例えば、ヒドロキシルアミン硫酸塩、硫酸テトラメチルアンモニウムや硫酸[H2SO4]が挙げられる。
無機アニオンを共存させる量は特に限定されないが、モル濃度でみて、0.05〜2規定度が好ましく、0.1〜1規定度がより好ましい。
本発明の洗浄組成物は、その他に、アミノ基含有カルボン酸化合物を含有してもよい。アミノ基含有カルボン酸化合物は、金属腐食を効率よく防止する点で好ましい。アミノ基含有カルボン化合物は、の中でも、アルギニン、ヒスチジン、グルタミン、EDTA、DTPA、HIDAが好ましく、アルギニン、ヒスチジンがより好ましい。これらアミノ基含有カルボン酸化合物は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。本発明の洗浄組成物において、アミノ基含有カルボン酸化合物を含有させる場合、その添加量は、適宜選択できるが、本発明の洗浄組成物の全質量に対して、約0.01〜約5.0質量%であることが好ましく、0.01〜3質量%であることがより好ましい。
また、本発明の洗浄組成物は界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤としては、ノニオン性、アニオン性、カチオン性界面活性剤、及び、両性界面活性剤を用いることができる。洗浄組成物中の界面活性剤の含有量は、洗浄組成物の全質量に対して、好ましくは0.0001〜5質量%であり、より好ましくは0.0001〜1質量%である。界面活性剤を洗浄組成物に添加することで洗浄組成物の粘度を調整し、洗浄対象物への濡れ性を改良することができるため好ましく、加えて基板や絶縁膜などに対する腐食性の両者がより優れるという点からも好ましい。このような界面活性剤は一般に商業的に入手可能である。これらの界面活性剤は、単独又は複数組み合わせて用いてもよい。
次に、本発明の洗浄方法における好ましい実施形態について説明する。本実施形態の洗浄方法は、上記本発明の洗浄組成物を使用し、半導体基板に形成されたプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣を洗浄する洗浄工程を含むものである。この洗浄方法においては、上述した本発明の洗浄組成物の利点である高い洗浄力と金属層の腐食防止性が効果的に発揮される点で、半導体基板において、例えばビアや配線などの金属層が形成され露出し、そこに上記残渣が堆積した状態のものであることが好ましい。金属層としては、アルミニウム及び/又は銅を含むものであることが、上記本発明の洗浄組成物の効果が発揮されるため、より好ましい。前記洗浄工程における洗浄の態様は、少なくともプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣が形成された半導体基板の面を本発明の洗浄組成物に接触させる態様であれば、特に限定されるものではないが、本発明の洗浄組成物に該半導体基板を浸漬する態様が好ましい。
次に、本発明の半導体素子の製造方法における好ましい実施形態について詳述する。本実施形態の製造方法は、(a)(a−1)半導体基板に対してプラズマエッチングを行うエッチング工程、及び/又は、(a−2)半導体基板上のレジストに対してアッシングを行うアッシング工程、並びに、(b)上記の洗浄組成物により、前記エッチング工程及び/又は前記アッシング工程において前記半導体基板上に形成されたプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣を洗浄除去する洗浄工程を含む。具体的には、ビアホール又は配線を形成した後の半導体基板の洗浄において、上記の洗浄組成物を適用する製造方法であることが好ましい。なお、本発明における「半導体基板」とは、半導体素子(最終製品)を製造する途中の中間加工品(半導体素子前駆体)全般をいい、特に断りのない限り、シリコンウエハだけでなく、例えば、シリコンウエハ上に、層間絶縁膜や、タングステンプラグ、ビアホール、配線等を形成したものを含む意味である。
図1は、本発明の第1実施形態に基づく半導体装置の製造方法の概要を示す工程断面図である。なお、図1〜3は断面を想定して示しているが、図中の煩雑さを避け、ハッチングを省略して示している。
・工程a:図1a参照
本実施形態においては、シリコンウエハ上に、CVD(Chemical Vapor Deposition、化学気相堆積)法等により、例えば膜厚約500nmのシリコン酸化膜18を形成する。このとき、シリコンウエハ等の半導体基板10上に、トランジスタその他の素子や1層又は2層以上の配線を形成してもよい。本工程ではさらに、シリコン酸化膜18の表面を研磨し、シリコン酸化膜18の表面を平坦化することが好ましい。
次いで、シリコン酸化膜18上に、フォトリソグラフィーにより、ビアパターンを有するフォトレジスト膜Rを形成する。続いて、このフォトレジスト膜をマスクとして、プラズマエッチングにより、シリコン酸化膜18をエッチングする。こうして、シリコン酸化膜18にビアホール(ビアパターンA)20を形成する(図1(b)参照)。シリコン酸化膜18のプラズマエッチングは、それぞれ公知の方法を用いて行うことができる。このときすでにエッチング残渣Gが発生している。
次いで、例えばプラズマ、酸素などを用いたアッシングにより、マスクとして用いたフォトレジスト膜を除去する。フォトレジスト膜のアッシングは、公知の方法を用いて行うことができる。ビアホール20を形成するためのプラズマエッチング及びフォトレジスト膜を除去するためのアッシングにおいては、ビアホール20周辺の表面を含む基板表面に、変質したフォトレジスト膜、シリコン酸化膜18等に由来する残渣(プラズマエッチング残渣及びアッシング残渣)Gが付着する。図1cでは、この残渣Gが存在する状態を示している。
そこで、フォトレジスト膜を除去するためのアッシング後、本実施形態による洗浄組成物により、ビアホール20までが形成された半導体基板を洗浄する。こうして、ビアホール20までが形成された半導体基板の表面に付着したプラズマエッチング残渣及びアッシング残渣を除去する。その結果、半導体基板の表面は極めて清浄な状態にされ、理想的な電気的特性を有する各材料の表面が露出した状態とされる(図1(d)参照)。
本発明によれば、このときにシリコンウエハ10の表面dにおける変色を生じさせずに洗浄できるため好ましい。このような変色は、製品品質上、例えば、歩留まりの悪化や信頼性の悪化という不具合になって顕在化することがある。
次いで、必要により、タングステン膜を形成したり、さらにCMP法によりシリコン酸化膜18の表面が露出するまでタングステン膜を研磨する加工を行ってもよい。これにより、ビアホール20内に、タングステンよりなるビアを埋め込むことができる。このようにして、素子の部材界面に上記アッシング残渣のない高品質の半導体素子ないしその中間部材が得られる。
本実施形態における、工程(a)から(d)への流れは、基本的には、上記第1実施形態と同様である。ただし、積層する材料が異なっており、シリコンウエハ10の上部に、例えばCVD法により、膜厚約500nm程度のAl合金膜や、膜厚約50nm程度の窒化チタン膜を順次積層したものとする。これにより、Al合金膜と窒化チタン膜とを順次積層してなる導体膜を形成する。なお、Al合金膜12は、例えば0.1〜5質量%のCuを含有するAlとCuとの合金膜である。
本工程では、さらに、SiON膜19を窒化チタン膜の上側に形成している。
次に、本発明の第3実施形態による半導体装置の製造方法の概要について図3を用いて説明する。
・工程(a):図3(a)参照
まず、第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様に、素子等が形成された半導体基板上に、層間絶縁膜(シリコン酸化膜)24を形成する。次いで、全面に、例えばCVD法により、例えば膜厚約50nmの窒化チタン膜26と、例えば膜厚約20nmのチタン膜28と、例えば膜厚約500nmのAl合金膜30とを順次積層する。なお、Al合金膜30は、例えば0.1〜5%のCuを含有するAlとCuとの合金膜である。上記寸法は一例であり本実施形態がこれに限定して解釈されるものではない。
次いで、フォトリソグラフィーにより、配線パターンを有するフォトレジスト膜を形成する。続いて、このフォトレジスト膜をマスクとして、プラズマエッチングにより、Al合金膜30、チタン膜28及び窒化チタン膜26を順次エッチングする。こうして、Al合金膜30、チタン膜28及び窒化チタン膜26をパターニングし、これら導体膜よりなる配線(配線パターン)34を形成する。
次いで、薬液を用いたウェット処理により、マスクとして用いたフォトレジスト膜の大部分を剥離除去する。続いて、例えばプラズマ、酸素などを用いたアッシングにより、フォトレジスト膜の残部を除去する(図3(c)参照)。配線34を形成するためのプラズマエッチング及びフォトレジスト膜の残部を除去するためのアッシングにおいては、図3(c)に示すように、配線34の上面及び側面を含む基板表面に、残渣(プラズマエッチング残渣及びアッシング残渣)Gが付着する。この残渣Gは、変質したフォトレジスト膜、Al合金膜30、チタン膜28、及び窒化チタン膜26に由来する。
そこで、フォトレジスト膜の残部を除去するためのアッシング後、本発明による洗浄組成物により、配線34までが形成された半導体基板10を洗浄する。こうして、配線34までが形成された半導体基板10の表面に付着したプラズマエッチング残渣及びアッシング残渣を除去する。その結果、半導体基板dの表面は極めて清浄な状態にされ、理想的な電気的特性を有する各材料の表面が露出した状態とされる(図3(d)参照)。特に本発明によれば、リセス(ソースとドレインとの間の溝)29におけるTiN、Ti、Alの各膜の剥離、層間絶縁膜表面d11、TiN表面d12、Ti表面d13、Al表面d14の荒れや変色が抑えられる。
以下の表1に示す成分をそこに示した組成(質量%)で水に含有させて洗浄組成物101〜127を調液した(実施例)。水は、半導体製造工程で使用される一般的な超純水を用いた。また、上記実施例に対し以下の表1に示す成分組成について代え、洗浄組成物c11〜c17(比較例)を調液した。なお、表中に組成(質量%、ppm)を示した成分はこの量を含有させ、塩基性有機化合物は各試料について示したpHになる量で含有させた。これらに水の組成(質量%)を合わせて100質量%となることを意味する。
上記第1及び第2実施形態について、ビアホール形成後、パターンウエハを走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)により観察したところ、いずれもビアホール壁面にプラズマエッチング残渣及びアッシング残渣が認められた(図1(c)及び図2(c)参照)。また、上記第3実施形態について、配線形成後、パターンウエハをSEMにより観察したところ、配線の上面及び側面にプラズマエッチング残渣及びアッシング残渣が認められた(図3(c)参照)。なお、各評価についてどの実施形態を対象にしたかは、各評価項目に図面の番号を記載することにより示している。複数の実施形態を対象としたものについては、その平均評価値とした。
AA:フォトレジスト及び残渣が完全に除去された。
A:フォトレジスト及び残渣がほぼ完全に除去された。
B:フォトレジスト及び残渣の溶解不良物が残存していた。
C:フォトレジスト及び残渣がほとんど除去されていなかった。
AA:Alべた膜剥れは見られなかった。
A:Alべた膜剥れが配線全体に対して0.1%以下で起こっていた。
B:Alべた膜剥れが配線全体に対して1%以下で起こっていた。
C:Alべた膜剥れが配線全体に対して5%以下で起こっていた。
AA:シリコンウエハの変色は見られなかった。
A:シリコンウエハの変色が配線全体に対して5%以下で起こっていた。
B:シリコンウエハの変色が配線全体に対して10%以下で起こっていた。
C:シリコンが完全に変色していた。
AA:Al配線の表面荒れは見られなかった。
A:Al配線の表面荒れが配線全体に対して5%以下で起こっていた。
B:Al配線の表面荒れが配線全体に対して10%以下で起こっていた。
C:Al配線が完全に表面腐食していた。
・「%」は質量%を意味する。
(ヒドロキシルアミン化合物)
・HAS:ヒドロキシルアミン硫酸塩
・HAN:ヒドロキシルアミン硝酸塩
・MC:カルバジン酸メチル
(塩基性有機化合物)
・TMAH:テトラメチルアンモニウムヒドロキシド
・EDA:エチレンジアミン
(高分子化合物)
・PVP:ポリビニルピロリドン
・PVA:ポリビニルアルコール
・PAA:ポリアクリル酸
・PEG:ポリエチレングリコール
・PSS:ポリスチレンスルホン酸
(アミノ基含有カルボン酸)
AG:アルギニン
(有機溶剤)
DPG:ジプロピレングリコール
DMSO:ジメチルスルホキシド
Sl:スルホラン
MPO:2−メチル−2,4−ペンタンジオール
THFA:テトラヒドロフルフリルアルコール
ACAC:アセチルアセトン
(酸性有機化合物)
AA:酢酸
CA:クエン酸
LA:乳酸
MA:リンゴ酸
OA:シュウ酸
TA:酒石酸
12 Al合金膜
14 窒化チタン膜
16 配線
18 シリコン酸化膜
19 SiON膜
20 ビアホール
24 層間絶縁膜
26 窒化チタン膜
28 チタン膜
29 リセス
30 Al合金膜
34 配線
R レジスト
G 残渣(プラズマエッチング残渣及びアッシング残渣)
Claims (18)
- (a)(a−1)半導体基板に対してプラズマエッチングを行うエッチング工程、及び/又は、(a−2)半導体基板上のレジストに対してアッシングを行うアッシング工程、並びに、
(b)洗浄組成物により、前記エッチング工程及び/又は前記アッシング工程において前記半導体基板上に形成されたプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣を洗浄除去する洗浄工程を含む半導体素子の製造方法であって、
該洗浄組成物は、水と、塩基性有機化合物と、酸性有機化合物と、有機溶媒とを含有し、pHが1.5〜5.0に調整されたことを特徴とする半導体素子の製造方法。 - 前記有機溶媒を洗浄組成物中に5〜40質量%含有させることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
- さらに高分子化合物を含有させることを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
- さらに無機アニオンを共存させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記有機溶媒が、エーテル系溶媒、含硫黄系溶媒、アルコール系溶媒、及びアミン系溶媒からなる群より選ばれる少なくとも1種の有機溶媒であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
- 請求項1〜5記載の製造方法により製造された半導体素子。
- 水と、塩基性有機化合物と、酸性有機化合物と、有機溶媒とを組み合わせて含有し、pHが1.5〜5.0に調整されたことを特徴とする半導体基板洗浄用の洗浄組成物。
- 前記有機溶媒を洗浄組成物中に5〜40質量%含有させたことを特徴とする請求項7に記載の洗浄組成物。
- さらに高分子化合物を含有させたことを特徴とする請求項7又は8に記載の洗浄組成物。
- さらに無機アニオンを共存させたことを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の洗浄組成物。
- 前記有機溶媒が、エーテル系溶媒、含硫黄系溶媒、アルコール系溶媒、及びアミン系溶媒、からなる群より選ばれる少なくとも1種の有機溶媒であることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載の洗浄組成物。
- 前記有機溶媒が、ジメチルスルホキシド、スルホラン、及びジプロピレングリコールからなる群より選ばれる少なくとも1種の有機溶媒であることを特徴とする請求項7〜11のいずれか1項に記載の洗浄組成物。
- 前記酸性有機化合物が、クエン酸、乳酸、酢酸、プロピオン酸、リンゴ酸、酒石酸、マロン酸、シュウ酸、コハク酸、グルコン酸、グリコール酸、ジグリコール酸、マレイン酸、安息香酸、フタル酸、サリチル酸、サリチルヒドロキサム酸、及びフタルヒドロキサム酸よりなる群から選ばれた少なくとも1つの化合物であることを特徴とする請求項7〜12のいずれか1項に記載の洗浄組成物。
- 前記塩基性化合物が、有機アミン及び第4級アンモニウム水酸化物よりなる群から選ばれた少なくとも1つの化合物であることを特徴とする請求項7〜13のいずれか1項に記載の洗浄組成物。
- 前記高分子化合物が、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、及びポリアリルアミンからなる群から選ばれた少なくとも1種の高分子化合物であることを特徴とする請求項7〜14のいずれか1項に記載の洗浄組成物。
- 前記無機アニオンがヒドロキシアミン硫酸塩もしくは硫酸由来の硫酸イオン(SO4 2−)であることを特徴とする請求項10〜15のいずれか1項に記載の洗浄組成物。
- 請求項7〜16のいずれか1項に記載の洗浄組成物を使用し、半導体基板上のプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣を洗浄することを特徴とする洗浄方法。
- 前記浸漬式洗浄装置で洗浄処理することを特徴とする請求項17に記載の洗浄方法。
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