JP2012226148A - 感光性フィルム - Google Patents

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【課題】感光樹脂組成物からなる感光層の支持体フィルムからの剥離性が十分に高く、欠陥のないレジストパターンを形成できる感光性フィルムを提供すること。
【解決手段】本発明の感光性フィルムは、少なくとも一方の面が離型処理された支持体フィルムと、フェノール樹脂、1,2−キノンジアジド化合物及びフッ素系界面活性剤を含有する感光性樹脂組成物からなる感光層と、保護フィルムとをこの順に積層してなり、感光層が支持体フィルムの離型処理面上に形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、ポジ型感光性フィルムに関する。
半導体集積回路、液晶表示素子、プリント配線板等のパターニング等に利用される画像形成方法として、ノボラック型フェノール樹脂と1,2−キノンジアジド化合物とを含有する感光性樹脂組成物を原料としたポジ型フォトレジストを利用する方法が知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
この感光性樹脂組成物の塗布を経てポジ型フォトレジストを形成する場合、その塗布厚さは0.5〜15μm程度が一般的である。このポジ型フォトレジストを用いると、広い寸法範囲に亘る画像パターンが形成される。その寸法範囲は、例えば、0.3μm程度のサブハーフミクロン領域のものから、数十〜数百μm程度のかなり大きな寸法幅のものまで、広範に亘る。これにより、多種多様な基板表面の微細加工を可能にしている。
上記ポジ型フォトレジストはアルカリ水溶液による現像が可能であって、溶剤での現像を必要とするフォトレジスト、例えば、ゴム系のネガ型フォトレジストよりも広く採用されている。これは、従来のゴム系のネガ型フォトレジストよりもポジ型フォトレジストの方が解像性に優れていること、上記ポジ型フォトレジストは耐酸性・耐エッチング特性が良好であること、現像に溶剤を使用しないため廃液処理の問題が溶剤を用いる場合よりも小さいこと、などに起因している。
そして、最も大きな要因として、上述のポジ型フォトレジストでは、その現像時の膨潤に起因する画像寸法の変化が、上記ネガ型フォトレジストよりも極めて小さく、その寸法制御性が比較的容易であることが挙げられる。
最近、ポジ型フォトレジストには、レジスト層を基材に積層する際に、両面同時に加工できる点、及び、フレキシブル基材への追従性に優れる点から、ドライフィルム化してレジストホットロールラミネート方式で積層することが強く望まれている。
しかしながら、従来のフェノールノボラック樹脂を主成分とする感光性樹脂組成物をドライフィルム化すると、支持体フィルムとの接着力が高くなりやすい傾向があるため、ラミネータを用いて基材上に圧着しながら熱転写する際、感光性樹脂組成物からなる感光層が部分的に支持体フィルム上に残り、フォトレジストを用いて形成される画像パターンには欠陥が生じることがある。
これに対し、特許文献3では、感光性樹脂組成物中に剥離剤を添加して、感光層と支持体フィルムとの剥離性を改善することが検討されている。
特開平6−27657号公報 特開2000−105466号公報 特表2008−529080号公報
しかしながら、感光性樹脂組成物中に剥離剤を添加しただけでは、支持体フィルムからの剥離性と感光性能とを両立することが難しい傾向にある。本発明者らの検討によると、感光層における剥離剤の添加量が少ないと支持体フィルムからの剥離性が十分ではなく、剥離剤の添加量を増やすと感光層の感度、解像度等の感光特性が低下する傾向にあることが確認されている。
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、感光性樹脂組成物からなる感光層の支持体フィルムからの剥離性が十分に高く、欠陥のないレジストパターンを形成できる感光性フィルムを提供することを目的とする。
本発明は、少なくとも一方の面が離型処理された支持体フィルムと、(a)フェノール樹脂、(b)1,2−キノンジアジド化合物及び(c)フッ素系界面活性剤を含有する感光性樹脂組成物からなる感光層と、保護フィルムとをこの順に積層してなり、感光層が支持体フィルムの離型処理面上に形成されている感光性フィルムを提供する。
上記感光性フィルムによれば、特定の成分を含有するポジ型感光性樹脂組成物を、離型処理を施した支持体フィルム上に積層することで、支持体フィルムと感光性樹脂組成物からなる感光層との接着力を十分に制御でき、感光層が支持体フィルムに残ることなく、基材への感光層の転写が可能となる。
感光層の接着性及び転写性を両立する観点から、感光性樹脂組成物中の(c)フッ素系界面活性剤の含有量が、(a)フェノール樹脂及び(b)1,2−キノンジアジド化合物の総量100質量部に対して0.1〜5質量部であることが好ましい。
支持体フィルムの離型処理面の23℃における表面張力が、20〜45mN/mであると、感光層が支持体フィルムに残ることなく、基材への感光層の転写がし易くなる。
本発明の感光性フィルムにおいて、感光層と保護フィルムとの剥離強度が、2.0N/m以下であり、かつ、該剥離強度が、感光層と支持体フィルムとの剥離強度よりも小さいことが好ましい。
本発明によれば、感光性樹脂組成物からなる感光層の支持体フィルムからの剥離性が十分に高く、欠陥のないレジストパターンを形成できる感光性フィルムを提供することができる。
本発明の感光性フィルムの一実施形態を示す模式断面図である。
本発明の感光性フィルムは、少なくとも一方の面が離型処理された支持体フィルムと、フェノール樹脂、1,2−キノンジアジド化合物及びフッ素系界面活性剤を含有する感光性樹脂組成物からなる感光層と、保護フィルムとをこの順に積層してなり、感光層が支持体フィルムの離型処理面上に形成されていることを特徴とする。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
図1は、本発明の感光性フィルムの一実施形態を示す模式断面図である。図1に示した感光性フィルム1は、支持体フィルム10上に感光層14が積層され、さらに感光層14の支持体フィルム10と反対側の面に保護フィルム15を積層した構造を有する。感光層14は、後述する本実施形態の感光性樹脂組成物からなる層である。
<支持体フィルム>
本実施形態に係る支持体フィルム10は、少なくとも一方の面が離型処理されている。ここで、本実施形態における離型処理とは、シリコーン系界面活性剤、シリコーン樹脂等のシリコーン系化合物、フッ素系界面活性剤、フッ素樹脂等のフッ素含有化合物、アルキッド樹脂等の離型剤で支持体フィルムの表面を薄くコートする化学処理や、支持体フィルムをコロナ処理する等の物理処理を指す。
支持体フィルムに離型剤をコートする場合は、離型の効果が得られる限度で薄くコートすることが好ましい。コート後は、熱やUV処理により離型剤を支持体フィルムに定着させてもよい。離型剤をコートする前に、支持体フィルムに下塗り層を施すことがより好ましい。
感光性樹脂組成物の塗布性及び感光層の剥離性の観点からは、支持体フィルムの離型処理面の23℃における表面張力(ぬれ張力)が、20〜45mN/mであることが好ましく、30〜45mN/mであることがより好ましく、35〜45mN/mであることが更に好ましい。
また、感光層の剥離性の観点から、支持体フィルムの離型処理面の23℃における180℃剥離強度が、5〜300g/インチ(1.97〜118g/cm)であることが好ましく、5〜200g/インチ(1.97〜78.7g/cm)であることがより好ましく、100〜200g/インチ(39.4〜78.7g/cm)であることが更に好ましい。上記180°剥離強度は、粘着テープ(日東電工社製、商品名:「NITTO31B」)を用いて、一般的な方法(例えば、JIS K6854−2に準拠する方法等)で測定することができる。
離型処理を施す前の支持体フィルムとしては、表面が平滑であれば特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の重合体フィルムを用いることができ、中でも、ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、「PETフィルム」という)が好ましい。
少なくとも一方の面がシリコーン化合物で離型処理されたPETフィルムとしては、例えば、帝人デュポンフィルム株式会社製の商品名「A31−25」、「A51−25」及び「A53−38」を市販品として入手可能である。
支持体フィルム10の厚さは、15〜50μmであることが好ましく、25〜40μmであることがより好ましい。上記支持体フィルム10の厚さが15μm未満では、離型処理時のひずみが残留したり、フィルムを巻き取った際に巻きしわの発生が起こる可能性があり、50μmを超えると、基材に感光層14をラミネートする際の加熱圧着時に、基材と感光層14との間に気泡が巻き込みやすくなる傾向がある。
<感光層>
感光層14は、(a)成分であるフェノール樹脂、(b)成分である1,2−キノンジアジド化合物及び(c)成分であるフッ素系界面活性剤を含有する感光性樹脂組成物を支持体フィルム10の離型処理された面に塗布することにより形成されたものである。以下、各成分について詳細に説明する。
[(a)成分:フェノール樹脂]
フェノール樹脂は、フェノール又はその誘導体とアルデヒド類との重縮合生成物である。重縮合は、酸又は塩基等の触媒存在下で行われる。酸触媒を用いた場合に得られるフェノール樹脂を特にノボラック型フェノール樹脂という。ノボラック樹脂の具体例としては、フェノール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂、クレゾール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂、キシリレノール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂、レゾルシノール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂及びフェノール−ナフトール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂が挙げられる。
フェノール樹脂を得るために用いられるフェノール誘導体としては、例えば、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−ブチルフェノール、m−ブチルフェノール、p−ブチルフェノール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノール及び3,4,5−トリメチルフェノール等のアルキルフェノール、メトキシフェノール及び2−メトキシ−4−メチルフェノール等のアルコキシフェノール、ビニルフェノール及びアリルフェノール等のアルケニルフェノール、ベンジルフェノール等のアラルキルフェノール、メトキシカルボニルフェノール等のアルコキシカルボニルフェノール、ベンゾイルオキシフェノール等のアリールカルボニルフェノール、クロロフェノール等のハロゲン化フェノール、カテコール、レゾルシノール及びピロガロール等のポリヒドロキシベンゼン、ビスフェノールA及びビスフェノールF等のビスフェノール、α−又はβ−ナフトール等のナフトール誘導体、p−ヒドロキシフェニル−2−エタノール、p−ヒドロキシフェニル−3−プロパノール及びp−ヒドロキシフェニル−4−ブタノール等のヒドロキシアルキルフェノール、ヒドロキシエチルクレゾール等のヒドロキシアルキルクレゾール、ビスフェノールのモノエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールのモノプロピレンオキサイド付加物等のアルコール性水酸基含有フェノール誘導体、p−ヒドロキシフェニル酢酸、p−ヒドロキシフェニルプロピオン酸、p−ヒドロキシフェニルブタン酸、p−ヒドロキシ桂皮酸、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシフェニル安息香酸、ヒドロキシフェノキシ安息香酸及びジフェノール酸等のカルボキシル基含有フェノール誘導体が挙げられる。また、ビスヒドロキシメチル−p−クレゾール等の上記フェノール誘導体のメチロール化物をフェノール誘導体として用いてもよい。
さらに、フェノール樹脂は、上述のフェノール又はフェノール誘導体をm−キシレンのようなフェノール以外の化合物とともにアルデヒド類と縮重合して得られる生成物であってもよい。この場合、縮重合に用いられるフェノール誘導体に対するフェノール以外の化合物のモル比は、0.5未満であると好ましい。
上述のフェノール誘導体及びフェノール化合物以外の化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
フェノール樹脂を得るために用いられるアルデヒド類は、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、メトキシベンズアルデヒド、ヒドロキシフェニルアセトアルデヒド、メトキシフェニルアセトアルデヒド、クロトンアルデヒド、クロロアセトアルデヒド、クロロフェニルアセトアルデヒド、アセトン、グリセルアルデヒド、グリオキシル酸、グリオキシル酸メチル、グリオキシル酸フェニル、グリオキシル酸ヒドロキシフェニル、ホルミル酢酸、ホルミル酢酸メチル、2−ホルミルプロピオン酸及び2−ホルミルプロピオン酸メチルから選ばれる。また、パラホルムアルデヒド、トリオキサン等のホルムアルデヒドの前駆体を反応に用いてもよい。さらに、フェノール樹脂を得るためにピルビン酸、レブリン酸、4−アセチルブチル酸、アセトンジカルボン酸等のケト酸、及び3,3’−4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸を用いることもできる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
(a)成分の重量平均分子量は、500〜500000であることが好ましく、500〜100000がより好ましく、1000〜50000が更に好ましい。ここで、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定し、標準ポリスチレン検量線より換算して得られる値である。
(a)成分は、感光層14の可とう性をより向上できる観点から、(a1)不飽和炭化水素基を有する変性フェノール樹脂(以下、「(a1)成分」という場合がある)を含むことができる。また、(a1)成分としては、機械特性(破断伸び、弾性率等)をより向上できる観点から、炭素数4〜100の不飽和炭化水素基を有する化合物で変性されたフェノール樹脂を用いることが好ましい。
(a1)不飽和炭化水素基を有する変性フェノール樹脂は、一般に、フェノール又はその誘導体と不飽和炭化水素基を有する化合物(好ましくは炭素数が4〜100のもの)(以下場合により単に「不飽和炭化水素基含有化合物」という。)との反応生成物(以下「不飽和炭化水素基変性フェノール誘導体」という。)と、アルデヒド類との縮重合生成物、又は、フェノール樹脂と不飽和炭化水素基含有化合物との反応生成物である。
フェノール誘導体は、(a)成分としてのフェノール樹脂の原料として上述したフェノール誘導体と同様のものを用いることができる。
不飽和炭化水素基含有化合物の不飽和炭化水素基は、レジストパターンの密着性及び感光層14の可とう性の観点から、2以上の不飽和基を含むことが好ましい。また、樹脂組成物とした時の相溶性及び硬化膜の可とう性の観点からは、不飽和炭化水素基含有化合物は炭素数8〜80のものが好ましく、炭素数10〜60のものがより好ましい。
不飽和炭化水素基含有化合物としては、例えば、炭素数4〜100の不飽和炭化水素、カルボキシル基を有するポリブタジエン、エポキシ化ポリブタジエン、リノリルアルコール、オレイルアルコール、不飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸エステルである。好適な不飽和脂肪酸としては、クロトン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リノール酸、α−リノレン酸、エレオステアリン酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、イワシ酸及びドコサヘキサエン酸が挙げられる。これらの中でも特に、炭素数8〜30の不飽和脂肪酸と、炭素数1〜10の1価から3価のアルコールとのエステルがより好ましく、炭素数8〜30の不飽和脂肪酸と3価のアルコールであるグリセリンとのエステルが特に好ましい。
炭素数8〜30の不飽和脂肪酸とグリセリンとのエステルは、植物油として商業的に入手可能である。植物油は、ヨウ素価が100以下の不乾性油、100を超えて130未満の半乾性油又は130以上の乾性油がある。不乾性油として、例えば、オリーブ油、あさがお種子油、カシュウ実油、さざんか油、つばき油、ひまし油及び落花生油が挙げられる。半乾性油として、例えば、コーン油、綿実油及びごま油が挙げられる。乾性油としては、例えば、桐油、亜麻仁油、大豆油、胡桃油、サフラワー油、ひまわり油、荏の油及び芥子油が挙げられる。また、これらの植物油を加工して得られる加工植物油を用いてもよい。
上記植物油の中で、フェノール若しくはその誘導体又はフェノール樹脂と植物油との反応において、過度の反応の進行に伴うゲル化を防ぎ、歩留まりが向上する観点から、不乾性油を用いることが好ましい。一方、レジストパターンの密着性及び機械特性が向上する観点では乾性油を用いることが好ましい。乾性油の中でも、本発明による効果をより有効かつ確実に発揮できることから、桐油、亜麻仁油、大豆油、胡桃油及びサフラワー油が好ましく、桐油及び亜麻仁油がより好ましい。
これらの不飽和炭化水素基含有化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
(a1)成分を調製するにあたり、まず、上記フェノール誘導体と上記不飽和炭化水素基含有化合物とを反応させ、不飽和炭化水素基変性フェノール誘導体を作製する。上記反応は、50〜130℃で行うことが好ましい。フェノール誘導体と不飽和炭化水素基含有化合物との反応割合は、感光層14の可とう性を向上させる観点から、フェノール誘導体100質量部に対し、不飽和炭化水素基含有化合物1〜100質量部であることが好ましく、5〜50質量部であることがより好ましい。上記反応においては、必要に応じて、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等を触媒として用いてもよい。
上記反応により生成する不飽和炭化水素基変性フェノール誘導体と、アルデヒド類とを重縮合させることにより、不飽和炭化水素基含有化合物によって変性されたフェノール樹脂が生成する。アルデヒド類は、フェノール樹脂を得るために用いられるアルデヒド類として上述したものと同様のものを用いることができる。
上記アルデヒド類と、上記不飽和炭化水素基変性フェノール誘導体との反応は、重縮合反応であり、従来公知のフェノール樹脂の合成条件を用いることができる。反応は酸又は塩基等の触媒の存在下で行うことが好ましく、酸触媒を用いることがより好ましい。酸触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、ぎ酸、酢酸、p−トルエンスルホン酸及びシュウ酸が挙げられる。これらの酸触媒は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記反応は、通常反応温度100〜120℃で行うことが好ましい。また、反応時間は使用する触媒の種類や量により異なるが、通常1〜50時間である。反応終了後、反応生成物を200℃以下の温度で減圧脱水することで不飽和炭化水素基含有化合物によって変性されたフェノール樹脂が得られる。なお、反応には、トルエン、キシレン、メタノール等の溶媒を用いることができる。
不飽和炭化水素基含有化合物によって変性されたフェノール樹脂は、上述の不飽和炭化水素基変性フェノール誘導体を、m−キシレンのようなフェノール以外の化合物とともにアルデヒド類と重縮合することにより得ることもできる。この場合、フェノール誘導体と不飽和炭化水素基含有化合物とを反応させて得られる化合物に対するフェノール以外の化合物のモル比は、0.5未満であると好ましい。
(a1)成分は、上記(a)成分のフェノール樹脂と不飽和炭化水素基含有化合物とを反応させて得ることもできる。
フェノール樹脂と反応させる不飽和炭化水素基含有化合物は、上述した不飽和炭化水素基含有化合物と同様のものを使用することができる。
フェノール樹脂と不飽和炭化水素基含有化合物との反応は、通常50〜130℃で行うことが好ましい。また、フェノール樹脂と不飽和炭化水素基含有化合物との反応割合は、感光層14の可とう性を向上させる観点から、フェノール樹脂100質量部に対し、不飽和炭化水素基含有化合物1〜100質量部であることが好ましく、2〜70質量部であることがより好ましく、5〜50質量部であることが更に好ましい。このとき、必要に応じて、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等を触媒として用いてもよい。なお、反応にはトルエン、キシレン、メタノール、テトラヒドロフラン等の溶媒を用いることができる。
以上のような方法により生成する不飽和炭化水素基含有化合物によって変性されたフェノール樹脂中に残ったフェノール性水酸基に、更に多塩基酸無水物を反応させることにより酸変性したフェノール樹脂を(a1)成分として用いることもできる。多塩基酸無水物で酸変性することにより、カルボキシ基が導入され、弱アルカリ水溶液(現像液)でも容易に現像することが可能となる。
多塩基酸無水物は、複数のカルボキシ基を有する多塩基酸のカルボキシ基が脱水縮合して形成された酸無水物基を有していれば、特に限定されない。多塩基酸無水物としては、例えば、無水フタル酸、無水コハク酸、オクテニル無水コハク酸、ペンタドデセニル無水コハク酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水ナジック酸、3,6−エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸及び無水トリメリット酸等の二塩基酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、無水ピロメリット酸及びベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等の芳香族四塩基酸二無水物が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、多塩基酸無水物は二塩基酸無水物であることが好ましく、テトラヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸及びヘキサヒドロ無水フタル酸からなる群より選ばれる1種以上であることがより好ましい。この場合、さらに良好な形状を有するレジストパターンを形成できるという利点がある。
フェノール性水酸基と多塩基酸無水物との反応は、50〜130℃で行うことができる。この反応において、多塩基酸無水物をフェノール性水酸基1モルに対して、0.10〜0.80モルを反応させることが好ましく、0.15〜0.60モル反応させることがより好ましく、0.20〜0.40モル反応させることが更に好ましい。多塩基酸無水物が0.10モル未満では、現像性が低下する傾向にあり、0.80モルを超えると、未露光部の耐アルカリ性が低下する傾向にある。
なお、上記反応には、反応を迅速に行う観点から、必要に応じて、触媒を含有させてもよい。触媒としては、トリエチルアミン等の3級アミン、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、トリフェニルホスフィン等のリン化合物が挙げられる。
多塩基酸無水物で更に変性したフェノール樹脂の酸価は、30〜200mgKOH/gであることが好ましく、40〜170mgKOH/gであることがより好ましく、50〜150mgKOH/gであることが更に好ましい。酸価が30mgKOH/g未満であると、酸価が上記範囲にある場合と比較して、アルカリ現像に長時間を要する傾向にあり、200mgKOH/gを超えると、酸価が上記範囲にある場合と比較して、未露光部の耐現像液性が低下する傾向にある。
(a1)成分の分子量は、アルカリ水溶液に対する溶解性や、感光特性(感度、解像度)と機械特性(破断伸び、弾性率及び残留応力)とのバランスを考慮すると、重量平均分子量で、500〜150000であることが好ましく、500〜100000であることがより好ましく、1000〜50000であることが特に好ましい。
また、(a)成分は、不飽和炭化水素基含有化合物によって変性されていないフェノール樹脂のフェノール性水酸基に、多塩基酸無水物を反応させて酸変性したフェノール樹脂を含有することもできる。
感光性樹脂組成物の(a)成分の含有量は、(a)成分及び(b)成分の総量を100質量部としたとき、50〜95質量部であることが好ましく、55〜90質量部であることがより好ましく、60〜85質量部であることが更に好ましい。(a)成分の含有量が50質量部未満であると、含有量が上記範囲にある場合と比較して、感光層14が脆くなって剥がれやすくなる傾向にあり、95質量部を超えると、含有量が上記範囲にある場合と比較して、感光層14の光感度が低下する傾向にある。
[(b)成分:1,2−キノンジアジド化合物]
(b)成分は、1,2−キノンジアジド化合物であり、1,2−キノンジアミド及び/又はその誘導体である。かかる1,2−キノンジアジド化合物は、水酸基又はアミノ基を有する有機化合物(以下単に「有機化合物」という。)に、スルホ基及び/又はスルホニルクロリド基を有する1,2−キノンジアジド化合物を反応させて得られる化合物である。このとき、有機化合物の水酸基又はアミノ基と、1,2−キノンジアジド化合物のスルホ基又はスルホニルクロリド基とが結合する。なお、この結合は、得られる1,2−キノンジアジド化合物の分子内に少なくとも一つ以上あればよい。
上記スルホ基及び/又はスルホニルクロリド基を有する1,2−キノンジアジド化合物としては、例えば、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸、オルトアントラキノンジアジドスルホン酸、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホニルクロリド、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロリド、及びオルトアントラキノンジアジドスルホニルクロリドが挙げられる。これらの中でも、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホニルクロリド及び1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロリドからなる群より選ばれる1種以上の化合物が好ましい。これらのスルホ基及び/又はスルホニルクロリド基を有する1,2−キノンジアジド化合物は、溶剤によく溶解することから、有機化合物との反応効率を高めることができる。
上記有機化合物としては、例えば、ポリヒドロキシベンゾフェノン類、ビス[(ポリ)ヒドロキシフェニル]アルカン類、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン類又はそのメチル置換体、ビス(シクロヘキシルヒドロキシフェニル)(ヒドロキシフェニル)メタン類又はそのメチル置換体、フェノール、p−メトキシフェノール、ジメチルフェノール、ヒドロキノン、ナフトール、ピロカテコール、ピロガロール、ピロガロールモノメチルエーテル、ピロガロール−1,3−ジメチルエーテル、没食子酸、アニリン、p−アミノジフェニルアミン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ノボラック、ピロガロール−アセトン樹脂、p−ヒドロキシスチレンのホモポリマー又はこれと共重合し得るモノマーとの共重合体が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
ポリヒドロキシベンゾフェノン類としては、例えば、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,4’−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,6−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,6−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシ−2’−メチルベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3’,4,4’,6−ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,3,4,4’−ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,3,4,5−ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,3’,4,4’,5’,6−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン及び2,3,3’,4,4’,5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノンが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
ビス[(ポリ)ヒドロキシフェニル]アルカン類としては、例えば、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−(2’,4’−ジヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(2’,3’,4’−トリヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−{1−[4−〔2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル〕フェニル]エチリデン}ビスフェノール及び3,3’−ジメチル−{1−[4−〔2−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル〕フェニル]エチリデン}ビスフェノールが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
トリス(ヒドロキシフェニル)メタン類又はそのメチル置換体としては、例えば、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3、5−ジメチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン及びビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタンが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
ビス(シクロヘキシルヒドロキシフェニル)(ヒドロキシフェニル)メタン類又はそのメチル置換体としては、例えば、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−2−ヒドロキシフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−2−ヒドロキシフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−2−ヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン及びビス(5−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタンが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
これらの中でも、有機化合物は、ポリヒドロキシベンゾフェノン類、ビス[(ポリ)ヒドロキシフェニル]アルカン類、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン類、及び/又は、ビス(シクロヘキシルヒドロキシフェニル)(ヒドロキシフェニル)メタン類であることが好ましい。
また、上記有機化合物は、下記一般式(1)〜(3)のいずれかで表される化合物であることがより好ましい。この場合、感光性樹脂組成物への光照射前と光照射後との現像液に対する溶解度差が大きくなるため、画像コントラストにより優れるという利点がある。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
Figure 2012226148
ここで、式(1)〜(3)中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11及びR12は、それぞれ独立に水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基、又は置換若しくは無置換の炭素数1〜5のアルコキシ基を示し、Xは単結合、酸素原子、又はフェニレン基を示す。
有機化合物が上記一般式(1)〜(3)のいずれかで表される化合物である場合、スルホ基及び/又はスルホニルクロリド基を有する1,2−キノンジアジド化合物が、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホニルクロリド、及び/又は1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロリドであることが好ましい。これらのスルホ基及び/又はスルホニルクロリド基を有する1,2−キノンジアジド化合物は、上記一般式(1)〜(3)で表される化合物との相溶性が良好であることから、(a)成分と(b)成分とを混合した場合に生じる凝集物の発生量を低減させることができる。また、これらを含む感光性樹脂組成物をポジ型フォトレジストの感光性成分として用いると、感度、画像コントラスト及び耐熱性により優れるものとなる。
また、上記一般式(1)〜(3)で表される化合物は、下記化学式(4)〜(6)のいずれかで表される化合物であることがより好ましい。この場合、光感度により優れるという利点がある。
Figure 2012226148
上記化学式(4)〜(6)で表される化合物を用いた1,2−キノンジアジド化合物の合成方法としては、下記の方法が挙げられる。すなわち、例えば、上述の化学式(4)〜(6)のいずれかで表される化合物と、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−スルホニルクロリドとを、ジオキサン、THFのような溶媒中に添加し、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、炭酸アルカリ又は炭酸水素アルカリ等のアルカリ触媒存在下で反応させる方法が挙げられる。このとき、上記化学式(4)〜(6)で表される化合物の水酸基と、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−スルホニルクロリドのスルホニル基とが縮合した1,2−キノンジアジド化合物が合成される。なお、得られる1,2−キノンジアジド化合物の分子内において、化学式(4)〜(6)で表される化合物の水酸基と、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−スルホニルクロリドのスルホニル基との結合は少なくとも一つあればよい。
1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−スルホニルクロリドとしては、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホニルクロリド、又は1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロリドが好適である。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
感光性樹脂組成物中の(b)成分の含有量は、(a)成分及び(b)成分の総量を100質量部として5〜50質量部であることが好ましく、10〜45質量部であることがより好ましく、15〜40質量部であることが更に好ましい。この含有量が5質量部未満であると、含有量が上記範囲にある場合と比較して、光感度が低下する傾向にある。この含有量が50質量部を超えると、含有量が上記範囲にある場合と比較して、感光性樹脂組成物をレジスト膜として用いた場合、このレジスト膜が脆くなり、剥がれやすくなる傾向にある。
[(c)成分:フッ素系界面活性剤]
(c)成分は、感光性樹脂組成物の塗布性、消泡性、レベリング性等を向上させ、かつ、感光層14の支持体フィルム10からの剥離性を向上する目的で配合される。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、BM−1000、BM−1100(以上、BMケミー社製、商品名);メガファックF142D、メガファックF172、メガファックF173、メガファックF183、メガファックR−08、メガファックR−30、メガファックR−90PM−20、メガファックBL−20(以上、大日本インキ化学工業社製、商品名);フロラードFC−135、フロラードFC−170C、フロラードFC−430、フロラードFC−431、ノベックFC−4430、ノベックFC−4432(以上、住友スリーエム社製、商品名);サーフロンS−112、サーフロンS−113、サーフロンS−131、サーフロンS−141、サーフロンS−145(以上、旭硝子社製、商品名)等の市販品を用いることができる。これらの中でも特に、露光後のクラック発生性をより向上できる観点からは、パーフルオロブタンスルホン酸骨格を有するフッ素系界面活性剤である、ノベックFC−4430、ノベックFC−4432が好ましい。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
感光性樹脂組成物中の(c)成分の含有量は、(a)成分及び(b)成分の総量100質量部に対して0.1〜5質量部であることが好ましく、0.2〜2質量部であることが好ましく、0.3〜1質量部であることが更に好ましい。(c)成分の含有量が5質量部を超えると、画像コントラストが低下する傾向にある。
[その他の成分]
本実施形態の感光性樹脂組成物には、基材等との接着性を向上させるために接着助剤を含有させてもよい。接着助剤としては、官能性シランカップリング剤が好ましい。ここで、官能性シランカップリング剤とは、カルボキシル基、メタクリロイル基、イソシアネート基、エポキシ基等の反応性置換基を有するシランカップリング剤を意味する。
官能性シランカップリング剤としては、例えば、トリメトキシシリル安息香酸、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルプロピルイソシアネート及び1,3,5−N−トリス(トリメトキシシリルプロピル)イソシアネートが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
上記接着助剤を用いる場合の含有量は、(a)成分及び(b)成分の総量100質量部に対して20質量部以下であると好ましい。この含有量が20質量部を超えると、含有量が上記範囲にある場合と比較して、現像残渣が発生しやすくなる傾向にある。
上記感光性樹脂組成物には、アルカリ現像液に対する溶解性の微調整を目的として、酸や高沸点溶媒等の溶解性調整剤を含有させてもよい。
酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、n−酪酸、iso−酪酸、n−吉草酸、iso−吉草酸、安息香酸、桂皮酸等のモノカルボン酸、乳酸、2−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、サリチル酸、m−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ桂皮酸、3−ヒドロキシ桂皮酸、4−ヒドロキシ桂皮酸、5−ヒドロキシイソフタル酸、シリンギン酸等のヒドロキシモノカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、イタコン酸、ヘキサヒドロフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、1,2,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸等の多価カルボン酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水ドデセニルコハク酸、無水トリカルバニル酸、無水マレイン酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸、無水ハイミック酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、エチレングリコールビス無水トリメリテート、グリセリントリス無水トリメリテート等の酸無水物が挙げられる。
また、高沸点溶媒としては、例えば、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアニリド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセトニルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、フェニルセロソルブアセテート等が挙げられる。
これらの溶解性調整剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。溶解性調整剤の含有量は、用途、塗布方法に応じて調整することができ、感光性樹脂組成物に均一に混合させることができれば特に限定されるものではない。例えば、溶解性調整剤の含有量は、感光性樹脂組成物全量に対して60質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましい。この場合、感光性樹脂組成物の特性を損なわないという利点がある。
上記感光性樹脂組成物には、必要に応じて、増感剤、吸光剤(染料)、架橋剤、可塑剤、顔料、充填材、難燃剤、安定剤、密着性付与剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、イメージング剤、熱架橋剤等の添加剤を含有させてもよい。これらの添加剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
感光性樹脂組成物の調製は、通常の方法で混合、攪拌して行われればよい。また、充填材、顔料等を感光性樹脂組成物に添加する場合には、ディゾルバー、ホモジナイザー、3本ロールミル等の分散機を用い分散、混合させればよい。さらには、必要に応じて、更にメッシュ、メンブレンフィルター等を用いてろ過してもよい。
<保護フィルム>
保護フィルム15としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル等の重合体フィルムを用いることができる。また、支持体フィルムと同様に、離型処理を施した重合体フィルムを用いてもよい。感光性フィルムをロール状に巻き取る際の柔軟性の観点からは、保護フィルム15として、ポリエチレンフィルムが特に好ましい。また、保護フィルム15は、感光層表面の凹みを低減できるよう、低フィッシュアイのフィルムであることが好ましい。
保護フィルム15と感光層14との間の剥離強度は、2.0N/m以下であることが好ましい。保護フィルム15を感光層14から剥離しやすくするために、この剥離強度が感光層14と支持体フィルム10との間の剥離強度よりも小さくなるように、保護フィルムを選定することが好ましい。
保護フィルム15の厚さは、10〜100μmであることが好ましく、15〜80μmであることが特に好ましい。
次に、本実施形態の感光性フィルム1の作製方法について説明する。
感光層14は、上記感光性樹脂組成物を液状レジストとして支持体フィルム10上に塗布することで形成することができる。感光性樹脂組成物を支持体フィルム10上に塗布する際には、必要に応じて、上記感光性樹脂組成物を所定の溶剤に溶解して固形分30〜60質量%の溶液としたものを塗布液として用いてもよい。
かかる溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、オクタン、デカン、石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ、アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン、N,N−ジメチルホルムアミド、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の有機溶剤、又はこれらの混合溶剤が挙げられる。
塗布の方法としては、例えば、ロールコータ、コンマコータ、グラビアコータ、エアーナイフコータ、ダイコータ、バーコータ等の方法が挙げられる。また、上記溶剤の除去は例えば、加熱により行うことができ、その場合の加熱温度は約70〜150℃であると好ましく、加熱時間は約5〜約30分間であると好ましい。
このようにして形成された感光層14中の残存有機溶剤量は、後の工程での有機溶剤の拡散を防止する観点から、2質量%以下であることが好ましい。
また、感光層14の厚さは、用途により異なるが、溶剤を除去した後の厚さが1〜30μm程度であることが好ましい。また、感光性フィルムをロール状にして使用する場合には、感光層14のクラックを低減できる観点から、感光層14の厚さは1〜5μmとすることが好ましい。なお、感光層14の厚さを5μm〜30μmとして厚膜の感光性フィルムを作製する場合には、(a)成分として、(a1)不飽和炭化水素基を有する変性フェノール樹脂を用いることにより、感光層14のクラックを抑制できる。
感光性フィルム1は、支持体フィルム10と感光層14との間、及び/又は、感光層14と保護フィルム15との間に、クッション層、接着層、光吸収層、ガスバリア層等の中間層又は保護層を更に備えていてもよい。
感光性フィルム1は、例えば、円筒状等の巻芯に巻きとり、ロール状の形態で貯蔵することができる。巻芯としては、従来用いられているものであれば特に限定されず、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)等のプラスチック等が挙げられる。貯蔵時には、支持体フィルムが最も外側になるように巻き取られることが好ましい。また、ロール状に巻き取られた感光性フィルム(感光性フィルムロール)の端面には、端面保護の観点から端面セパレータを設置することが好ましく、加えて耐エッジフュージョンの観点から防湿端面セパレータを設置することが好ましい。また、感光性フィルム1を梱包する際には、透湿性の小さいブラックシートに包んで包装することが好ましい。
次に、レジストパターンの形成方法について説明する。
レジストパターンの形成方法は、基材上に、上記感光性フィルム1を、感光層14が密着するようにして積層し、活性光線を画像状に照射して露光部を現像により除去するものである。活性光線が照射されていない部分は、1,2−キノンジアジド化合物がフェノール樹脂と相互作用を起こして溶解禁止剤として働いているのでアルカリに溶けない。しかしながら、活性光線が照射された部分では、1,2−キノンジアジド化合物が光分解して、溶解禁止効果を失う。これにより、活性光線が照射された露光部分がアルカリ可溶となる。
基材上への感光層14の積層方法としては、保護フィルム15を除去した後、感光層14を70〜130℃程度に加熱しながら基材に0.1〜1MPa程度(1〜10kgf/cm程度)の圧力でラミネータ等を用いて圧着する方法等が挙げられる。かかる積層工程は減圧下で行ってもよい。感光層14が積層される基材の表面は、特に制限されない。
このようにして基材上に積層された感光層14に対して、ネガ又はポジマスクパターンを通して活性光線を画像状に照射して露光部を形成させる。この際、感光層14上に存在する支持体10が活性光線に対して透明である場合には、支持体10を通して活性光線を照射することができ、支持体10が活性光線に対して遮光性を示す場合には、支持体10を除去した後に感光層14に活性光線を照射する。
活性光線の光源としては、従来公知の光源、例えば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、高圧水銀灯、キセノンランプ等の紫外線、可視光等を有効に放射するものが用いられる。また、レーザー直接描画露光法等を用いてもよい。
露光部の形成後、露光部の感光層を現像により除去することで、レジストパターンが形成される。かかる露光部の除去方法としては、感光層14上に支持体10が存在する場合にはオートピーラー等で支持体10を除去し、アルカリ性水溶液、水系現像液、有機溶剤等の現像液によるウェット現像、あるいはドライ現像等で露光部を除去して現像する方法等が挙げられる。
ウェット現像に用いるアルカリとしては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、アンモニア等の弱アルカリ無機化合物;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属化合物;水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属化合物;モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノプロピルアミン、ジメチルプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ポリエチレンイミン等の弱アルカリ有機化合物;テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて水溶液として用いてもよい。アルカリ性水溶液のpHは9〜13の範囲とすると好ましく、その温度は、感光層の現像性に合わせて調整される。また、アルカリ性水溶液中には、界面活性剤、消泡剤、有機溶剤等を混入させてもよい。
上記現像の方式としては、例えば、ディップ方式、スプレー方式、ブラッシング、スラッピング等が挙げられる。なお、現像後の処理として、必要に応じて60〜250℃程度の加熱等を行うことによりレジストパターンを硬化させて用いてもよい。
このようにしてレジストパターンが得られる。本発明の感光性フィルム1を用いることにより、感光層14の基材への転写性に優れるため、支持体フィルム10の剥離・除去が容易でなり、感光層14が欠陥なく基材へ転写でき、その結果、欠陥の十分に少ないレジストパターンを形成することができる。
また、感光層14の露光部分は弱アルカリ水溶液で容易に溶解して基材から剥離し、弱アルカリ現像性が極めて良好であるため、コントラストに優れた微細なレジストパターンを形成することが可能となる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[フェノール樹脂(A1)の合成]
フェノール化合物であるm−クレゾール及びp−クレゾールを質量比50:50の割合で混合した混合液216質量部に、アルデヒドであるホルマリン54質量部を加え、触媒のシュウ酸2.2質量部を用いて常法により縮合反応を行い、重量平均分子量10000のノボラック型フェノール樹脂を得た。
次に、上記ノボラック型フェノール樹脂100質量部と、乾性油である桐油10質量部と、酸性触媒であるp−トルエンスルホン酸0.01質量部とを混合し、90℃で反応した。反応液を室温まで冷却し、反応生成物である桐油変性フェノール樹脂(以下、「フェノール樹脂A1」という。)を得た。
[フェノール樹脂(A2)の合成]
m−クレゾール及びp−クレゾールを質量比50:50の割合で混合した混合液216質量部に、ホルマリン54質量部を加え、シュウ酸2.2質量部を用いて常法により縮合反応を行い、重量平均分子量10000のノボラック型フェノール樹脂(以下、「フェノール樹脂A2」という。)を得た。
[ポジ型感光性樹脂組成物の調製]
(a)成分として、上記フェノール樹脂A1及びフェノール樹脂A2を準備した。
(b)成分として、上記化学式(5)で表される化合物1モルに対して1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロリド3モルを反応させた1,2−キノンジアジド化合物(以下、「DNQ」という。)を準備した。
(c)成分として、フッ素系界面活性剤である住友スリーエム社製の商品名「ノベックFC−4430」及び「ノベックFC−4432」、並びに、大日本インキ化学工業社製の商品名「メガファックR−08」及び「メガファックR−30」を準備した。
(c’)成分として、シリコーン系界面活性剤である東レ・ダウコーニング社製の商品名「SH−193」を準備した。
表1に示す組成(単位:質量部)となるように各成分、メチルエチルケトン(MEK)及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を混合して、感光性樹脂組成物1〜10を調製した。なお、表1中の質量は不揮発分の質量である。
Figure 2012226148
支持体フィルム及び保護フィルムとして、下記フィルムを準備した。
・シリコーン系化合物で離型処理されたPETフィルム「A31−25」:帝人デュポンフィルム株式会社製、幅380mm、厚さ25μm、日東電工株式会社製の粘着テープ「NITTO31B」を用いた23℃での180°剥離強度5g/インチ。離型処理面の表面張力23mN/m。
・シリコーン系化合物で離型処理されたPETフィルム「A53−38」:帝人デュポンフィルム株式会社製、幅380mm、厚さ38μm、「NITTO31B」を用いた23℃での180°剥離強度100g/インチ。離型処理面の表面張力44mN/m。
・シリコーン系化合物で離型処理されたPETフィルム「A51−25」:帝人デュポンフィルム株式会社製、商品名、幅380mm、厚さ25μm、「NITTO31B」を用いた23℃での180°剥離強度200g/インチ。離型処理面の表面張力38mN/m。
・PETフィルム「G2−38」:帝人デュポンフィルム株式会社製、幅380mm、厚さ38μm、「NITTO31B」を用いた23℃での180°剥離強度500g/インチ超。表面張力46mN/m。
・ポリエチレンフィルム「NF−15」:タマポリ株式会社製、幅380mm、厚さ23μm。
ここで、上記支持体フィルムにおける離型処理面の表面張力は、以下のようにして測定した値である。
23℃の条件下、綿棒を用いて市販の濡れ張力試験用混合液(和光純薬工業株式会社製)を、支持体フィルムの離型処理面に塗布した時に、撥液することなしに、べったり濡れる試験用混合液番号の最小値を表面張力(ぬれ張力)とした。比較のために、離型処理していないPETフィルム「G2−38」も同様にして評価した。
[感光性フィルムの作製]
(実施例1)
感光性樹脂組成物1の溶液を用い、以下の手順に従って感光性フィルムを作製した。まず、支持体フィルムとして、離型処理PETフィルムである「A31−25」を用い、離型処理面の上に、感光性樹脂組成物1の溶液を塗布した。次いで、感光性樹脂組成物1の溶液を塗布したPETフィルムを100℃に設定した熱風対流式乾燥機内に保持して感光層を形成させた。その際、加熱後の感光層の厚さが3μmとなるようにした。そして、形成された感光層上に、保護フィルムとして「NF−15」を載せてロールで加圧した。こうして、実施例1の感光性フィルムを得た。
(実施例2〜7)
表2に示す支持体フィルム、感光性樹脂組成物の溶液、保護フィルムを用い、実施例1と同じ手順に従って各感光性フィルムを作製した。
(比較例1〜6)
表3に示す支持体フィルム、感光性樹脂組成物の溶液、保護フィルムを用い、実施例1と同じ手順に従って各感光性フィルムを作製した。
[支持体フィルムへの塗布性]
支持体フィルム上に、感光性樹脂組成物の溶液を、乾燥後の感光層の厚さが3μmになるように塗布し、以下の基準により塗布性を評価した。
A:感光性樹脂組成物の溶液を均一に塗布できる。
B:はじき(塗布されていない部分あり)が多数ある。
[保護フィルムの剥離性]
実施例及び比較例でそれぞれ作製した感光性フィルムを23℃で20時間保管した後、保護フィルムを180°の角度で引き剥がしたときの感光層から剥離強度を測定し、以下の基準により剥離性を評価した。
A:剥離強度が2.0N/m以下で、引き剥がし性が良好。
B:保護フィルムが感光層と強固に接着し、支持体フィルムから感光層の一部又は全部が剥離。
[支持体フィルムの剥離性]
実施例及び比較例でそれぞれ作製した感光性フィルムから保護フィルムを除去し、感光層を120℃に加熱しながらガラス板上に積層し、感光層を転写した特性評価用サンプルを作製した。次いで、特性評価用サンプルから支持体フィルムを剥離除去し、感光層の転写の状態を目視により評価した。
A:支持体フィルムに感光層が付着することなく、剥離除去が可能。
B:感光層の一部又は全面で、支持体フィルムに感光層が付着した状態で剥離。
[露光部の現像性]
上記特性評価用サンプルから支持体フィルムを剥離除去し、高圧水銀灯ランプを有する露光機(株式会社オーク製作所製、商品名「HMW−590」)を用いて露光量100mJ/cmで、感光層を露光してレジスト膜を得た。露光後、2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液を使用して30℃で60秒間現像を行い、露光部分におけるレジスト膜の状態を下記基準で目視により評価した。
A:ガラス面上におけるレジスト膜の残存が認められず、現像性が良好であった。
B:ガラス面上におけるレジスト膜の残存が認められ、現像性が良好ではなかった。
[密着性の評価]
特性評価用サンプルから支持体フィルムを剥離除去し、感光層上にライン/スペースが3/50〜30/50(単位:μm)の配線パターンを有するフォトツールを配置した。次いで、高圧水銀灯ランプを有する露光機(株式会社オーク製作所製、商品名:HMW−590)を用いて露光量100mJ/cmで、フォトツールを介して感光層を露光した。露光後、2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液(30℃)をスプレーすることによって現像した。現像後、剥離することなく残存したラインの最小ライン幅(μm)を測定して密着性を評価した。得られた結果を表2及び3に示す。表2及び3中、密着性は最小ライン幅で示され、この最小ライン幅が小さいほど密着性に優れ、未露光部分と露光部分との間のコントラストがより明確になっていることを示す。
[露光後のクラック発生性]
特性評価用サンプルから支持体フィルムを剥離除去した。次いで、高圧水銀灯ランプを有する露光機(株式会社オーク製作所製、商品名:HMW−590)を用いて露光量100mJ/cmで、感光層を露光してレジスト膜を得た。得られたレジスト膜の表面を目視で観察し、以下の基準によりクラック発生性を評価した。
A:レジスト膜にクラックがない。
B:レジスト膜にクラックがある。
Figure 2012226148
Figure 2012226148
1…感光性フィルム、10…支持体フィルム、14…感光層、15…保護フィルム。

Claims (4)

  1. 少なくとも一方の面が離型処理された支持体フィルムと、
    (a)フェノール樹脂、(b)1,2−キノンジアジド化合物及び(c)フッ素系界面活性剤を含有する感光性樹脂組成物からなる感光層と、
    保護フィルムと、
    をこの順に積層してなり、
    前記感光層が前記支持体フィルムの離型処理面上に形成されている、感光性フィルム。
  2. 前記(c)フッ素系界面活性剤の含有量が、(a)フェノール樹脂及び(b)1,2−キノンジアジド化合物の総量100質量部に対して0.1〜5質量部である、請求項1に記載の感光性フィルム。
  3. 前記支持体フィルムの離型処理面の23℃における表面張力が、20〜45mN/mである、請求項1又は2に記載の感光性フィルム。
  4. 前記感光層と前記保護フィルムとの剥離強度が、2.0N/m以下であり、かつ、前記剥離強度が、前記感光層と支持体フィルムとの剥離強度よりも小さい、請求項1〜3のいずれか一項に記載の感光性フィルム。
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