以下、必要に応じて図面を参照し、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
本発明の電極パターンの形成方法は、基板上に導電膜を備えてなる積層板の導電膜上に、(a)フェノール樹脂のフェノール性水酸基に多塩基酸無水物を反応させて得られる化合物と、(b)キノンジアジド化合物と、を含有する感光性樹脂組成物を含む感光層を形成する工程と、感光層の所定部分を露光する工程と、感光層を現像液で現像してレジストパターンを形成すると共に、導電膜の一部を露出する工程と、露出した導電膜をエッチングして電極パターンを形成する工程とを備えることを特徴としている。
導電膜としては、例えば、SnO2、SnO2に添加物(Sb、F等)を含有させたもの、In2O3、ITO、ZnO、ZnOに添加物(Al、Ga等)を含有させたもの、Ga2O3、CdO、TiO2、CdIn2O4、Cd2SnO2、Zn2SnO4、In2O3−ZnO系、MgInO4、CaGaO4、CuAlO2、CuGaO2、SrCu2O2、CuInO2、ZnRh2O4、InSbO4、ZnMgO、CuI、TiN、ZrN、HfN、LaB6、金属(Au、Ag、Pt、Cu、Rh、Al、Cr、Ta、Mo、Ni、W等)薄膜、有機材料等が挙げられる。
上記導電膜は、ZnO又はZnOに添加物として金属を含有させたものであることが好ましい。
上記金属は、導電膜の導電性を高めるために添加物として含有させるものであって、例えば、Al、Ga、Mg、Be、Zn、Rh等が挙げられる。これらの中でも、より高い導電性が得られるという点で、Al又はGaがより好ましい。
上記導電膜の膜厚は、0.05〜0.5μmであることが好ましく、0.1〜0.4μmであることがより好ましく、0.15〜0.3μmであることがさらに好ましい。導電膜の膜厚がこの範囲の場合に導電性と透明性とのバランスが優れ、導電膜としてZnO系膜を有する基板上に実用可能な電極パターンを形成できる。
導電膜の形成方法としては、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、分子線エピタキシー法(MBE法)、イオン化蒸着法、PLD(レーザーアブレーション)法、アークプラズマ蒸着法、熱CVD法、プラズマCVD法、有機金属気相成長法(MOCVD法)、スプレー法(スピンコート法)、ディップ法、LB法、ゾル−ゲル法、めっき法、塗布法等が挙げられる。
導電膜を形成するための基板材料としては、ソーダライムガラス、無(低)アルカリガラス若しくは石英ガラス等のガラス基板、又は、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PES(ポリエーテルサルフィン)、PAr(ポリアリレート)、PC(ポリカーボネ−ト)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)若しくはPVC(ポリ塩化ビニル)等の有機基板・フィルム等が挙げられる。
((a)成分について)
上記(a)成分は、フェノール樹脂のフェノール性水酸基に多塩基酸無水物を反応させて得られる化合物であるが、分子内に上記一般式(A)で表される2価の基を少なくとも1つ有することが好ましい。
上記フェノール樹脂は、フェノール性水酸基を有していれば特に限定されないが、例えば、フェノール化合物と、アルデヒド及び/又はケトンとを原料とする縮重合反応で得られる。
フェノール化合物としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール;エチルフェノール、ブチルフェノール、トリメチルフェノール等のアルキルフェノール;メトキシフェノール、2−メトキシ−4−メチルフェノール等のアルコキシフェノール;ビニルフェノール、アリルフェノール等のアルケニルフェノール;フェニルフェノール等のアリールフェノール;ベンジルフェノール等のアラルキルフェノール;メトキシカルボニルフェノール等のアルコキシカルボニルフェノール;ベンゾイルオキシフェノール等のアリールカルボニルフェノール;クロロフェノール等のハロゲン化フェノール;カテコール、レゾルシノール等のポリヒドロキシベンゼン;ビスフェノールA、ビスフェノールF等のビスフェノール;α−あるいはβ−ナフトール等のナフトール化合物;ビスヒドロキシメチル−p−クレゾール等のメチロール化物;p−ヒドロキシフェニル−2−エタノール、p−ヒドロキシフェニル−3−プロパノール、p−ヒドロキシフェニル−4−ブタノール等のヒドロキシアルキルフェノール;ヒドロキシエチルクレゾール等のヒドロキシアルキルクレゾール;ビスフェノールのモノエチレンオキサイド付加物;ビスフェノールのモノプロピレンオキサイド付加物等のアルコール性水酸基含有フェノール化合物;p−ヒドロキシフェニル酢酸、p−ヒドロキシフェニルプロピオン酸、p−ヒドロキシフェニルブタン酸、p−ヒドロキシ桂皮酸、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシフェニル安息香酸、ヒドロキシフェノキシ安息香酸、ジフェノール酸等のカルボキシル基含有フェノール化合物;等が挙げられる。さらに、これらのフェノール化合物は、m−キシレンのようなフェノール以外の化合物が縮重合されていてもよい。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アルデヒド及び/又はケトンとしては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、メトキシベンズアルデヒド、ヒドロキシフェニルアセトアルデヒド、メトキシフェニルアセトアルデヒド、クロトンアルデヒド、クロロアセトアルデヒド、クロロフェニルアセトアルデヒド、アセトン、グリセルアルデヒド、グリオキシル酸、グリオキシル酸メチル、グリオキシル酸フェニル、グリオキシル酸ヒドロキシフェニル、ホルミル酢酸、ホルミル酢酸メチル、2−ホルミルプロピオン酸、2−ホルミルプロピオン酸メチル、ピルビン酸、レプリン酸、4−アセチルブチル酸、アセトンジカルボン酸、3,3’−4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸等が挙げられる。なお、ホルムアルデヒドはその前駆体であるp−ホルムアルデヒド、トリオキサン等の形態で用いてもよい。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、縮重合反応は、公知の反応条件で行えばよいが、酸性触媒を含有させることが好ましい。この場合、縮重合反応を迅速に進行できる。かかる酸性触媒としては、塩酸、硫酸、蟻酸、酢酸、p−トルエンスルホン酸、シュウ酸等が挙げられる。
原料のアルデヒド及び/又はケトンの含有量は、上記フェノール化合物の1モルに対し、0.7〜1モルであることが好ましい。この場合、上記縮重合反応を迅速に進行できる。
上記多塩基酸無水物は、複数のカルボン酸を有し、このカルボン酸が脱水縮合した形態(酸無水物)を有していれば、特に限定されない。多塩基酸無水物としては、例えば、無水フタル酸、無水コハク酸、オクテニル無水コハク酸、ペンタドデセニル無水コハク酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水ナジック酸、3,6−エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、無水トリメリット酸等の二塩基酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等の脂肪族、芳香族四塩基酸二無水物等が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、二塩基酸無水物が好ましく、例えば、テトラヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、及びヘキサヒドロ無水フタル酸からなる群より選ばれる1種以上であることがより好ましい。この場合、パターニング性に優れるという利点がある。パターニング性とは、レジストパターンの形成性のことをいう。
また、フェノール樹脂と多塩基酸無水物との反応は、50〜130℃で行われ、フェノール樹脂のフェノール性水酸基の1モルに対し、多塩基酸無水物を0.10〜0.80モル反応させることが好ましく、0.15〜0.60モル反応させることがより好ましく、0.20〜0.40モル反応させることがさらに好ましい。上記範囲にある場合と比較して、反応させる多塩基酸無水物が、0.10モル未満であると、現像性に劣る傾向があり、反応させる多塩基酸無水物が、0.80モルを超えると、未露光部分の耐アルカリ性が劣る傾向にある。
なお、上記反応には、必要に応じて触媒を含有させてもよい。この場合、反応を迅速に行うことができる。かかる触媒としては、トリエチルアミン等の三級アミン、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、トリフェニルフォスフィン等のリン化合物が挙げられる。
こうして得られるフェノール樹脂の酸価は、30〜150mgKOH/gであることが好ましく、40〜140mgKOH/gであることがより好ましく、50〜120mgKOH/gであることがさらに好ましい。酸価が上記範囲にある場合と比較して、酸価が30mgKOH/g未満であると、アルカリ現像に長時間を要する傾向にあり、150mgKOH/gを超えると、未露光部分のレジストの耐現像液性が低下する傾向にある。
フェノール樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィによるポリスチレン換算重量平均分子量は特に制限されないが、300〜100000が好ましく、1000〜50000がより好ましく、3000〜20000がさらに好ましい。この場合、塗膜性に優れるという利点がある。
また、フェノール樹脂の重量平均分子量が小さい場合は、鎖延長剤を用いてフェノール樹脂の多量体化を行い、上記重量平均分子量の範囲となるように分子量を増大させてもよい。このとき、鎖延長剤としては、カルボキシル基と反応可能なジエポキシ化合物やジオキサゾリン化合物又は水酸基と反応可能なジイソシアネート化合物等が用いられる。
フェノール樹脂の分散度は、1〜10であることが好ましい。この場合、塗膜性に優れるという利点がある。分散度とは、重量平均分子量を数平均分子量で割った値をいう。
フェノール樹脂は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上を組み合わせて用いる場合のフェノール樹脂の組み合わせとしては、例えば、異なる原料からなる2種以上のフェノール樹脂、異なる重量平均分子量の2種以上のフェノール樹脂、異なる分散度の2種以上のフェノール樹脂等が挙げられる。
上記(a)成分の感光性樹脂組成物中の配合割合は、(a)成分及び(b)成分の総量を100質量部として50〜95質量部であることが好ましく、55〜90質量部であることがより好ましく、60〜85質量部であることが特に好ましい。配合割合が上記範囲にある場合と比較して、感光性樹脂組成物をレジスト膜として用いた場合に配合割合が50質量部未満であると、レジスト膜が脆くなりやすく、剥がれてしまう傾向にあり、95質量部を超えるとレジスト膜の光感度が不十分となる傾向にある。
((b)成分について)
上記(b)成分は、キノンジアジド化合物であるが、水酸基及び/又はアミノ基を有する有機化合物と、スルホ基及び/又はスルホニルクロリド基を有するキノンジアジド化合物とを反応させて得られる化合物であることが好ましい。
この場合、水酸基又はアミノ基を有する有機化合物(以下単に「有機化合物」という。)の水酸基又はアミノ基と、キノンジアジド化合物のスルホ基又はスルホニルクロリド基とが結合するが、この結合は、得られるキノンジアジド化合物の分子内に少なくとも一つ以上あればよい。
上記スルホ基及び/又はスルホニルクロリド基を有するキノンジアジド化合物としては、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸、オルトアントラキノンジアジドスルホン酸、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホニルクロリド、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロリド、オルトアントラキノンジアジドスルホニルクロリド等が挙げられる。これらの中でも、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホニルクロリド若しくは1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロリドであることが好ましい。これらのスルホ基及び/又はスルホニルクロリド基を有するキノンジアジド化合物は、溶剤によく溶解することから、有機化合物との反応効率を高めることができる。
上記有機化合物としては、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,4’−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,6−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,6−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシ−2’−メチルベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3’,4,4’,6−ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,3,4,4’−ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,3,4,5−ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,3’,4,4’,5’,6−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、2,3,3’,4,4’,5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン等のポリヒドロキシベンゾフェノン類;ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−(2’,4’−ジヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(2’,3’,4’−トリヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−{1−[4−〔2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル〕フェニル]エチリデン}ビスフェノール,3,3’−ジメチル−{1−[4−〔2−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル〕フェニル]エチリデン}ビスフェノール等のビス[(ポリ)ヒドロキシフェニル]アルカン類;トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3、5−ジメチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン等のトリス(ヒドロキシフェニル)メタン類又はそのメチル置換体;ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−2−ヒドロキシフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−2−ヒドロキシフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−2−ヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン等のビス(シクロヘキシルヒドロキシフェニル)(ヒドロキシフェニル)メタン類又はそのメチル置換体;フェノール、p−メトキシフェノール、ジメチルフェノール、ヒドロキノン、ナフトール、ピロカテコール、ピロガロール、ピロガロールモノメチルエーテル、ピロガロール−1,3−ジメチルエーテル、没食子酸、アニリン、p−アミノジフェニルアミン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ノボラック、ピロガロール−アセトン樹脂、p−ヒドロキシスチレンのホモポリマー又はこれと共重合し得るモノマーとの共重合体等が挙げられる。これらの中でも、ポリヒドロキシベンゾフェノン類、ビス[(ポリ)ヒドロキシフェニル]アルカン類、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン類、ビス(シクロヘキシルヒドロキシフェニル)(ヒドロキシフェニル)メタン類であることが好ましい。
上記有機化合物の中でも、下記一般式(1)〜(3)で表される化合物であることがより好ましい。この場合、光照射前と光照射後との現像液に対する溶解度差が大きくなるため、画像コントラストにより優れるという利点がある。
[式(1)〜(3)中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11及びR
12は、それぞれ独立に水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基、又は置換若しくは無置換の炭素数1〜5のアルコキシ基を示し、Xは単結合、酸素原子、又はフェニレン基を示す。]
有機化合物が上記一般式(1)〜(3)で表される化合物である場合において、スルホ基及び/又はスルホニルクロリド基を有するキノンジアジド化合物が、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホニルクロリド若しくは1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロリドであることが好ましい。これらのスルホ基及び/又はスルホニルクロリド基を有するキノンジアジド化合物は、上記一般式(1)〜(3)で表される化合物との相溶性が良好であることから、(a)成分と(b)成分とを混合した場合に生じる凝集物の発生量を低減させることができる。これらを含有する感光性樹脂組成物をポジ型フォトレジストの感光性成分として用いると、感度、画像コントラスト、耐熱性により優れるものとなる。
上記一般式(1)〜(3)で表わされる化合物の中でも、下記化学式(4)〜(6)で表わされる化合物であることがより好ましい。この場合、光感度により優れるという利点がある。
上記一般式(4)〜(6)で表される化合物を用いたキノンジアジド化合物の合成方法としては、例えば、上記一般式(4)〜(6)で表される化合物と、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−スルホニルクロリドとを、ジオキサン、THFのような溶媒中に添加し、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、炭酸アルカリ、炭酸水素アルカリ等のアルカリ触媒存在下で反応させる方法が挙げられる。このとき、上記一般式(4)〜(6)で表される化合物の水酸基と、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−スルホニルクロリドのスルホニル基とが縮合したキノンジアジド化合物が合成される。なお、得られるキノンジアジド化合物の分子内において、上記一般式(4)〜(6)で表される化合物の水酸基と、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−スルホニルクロリドのスルホニル基との結合は少なくとも一つあればよい。
なお、上記1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−スルホニルクロリドとしては、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホニルクロリド、又は1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロリドが好適である。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記(b)成分の感光性樹脂組成物中の配合割合は、(a)成分及び(b)成分の総量を100質量部として5〜50質量部であることが好ましく、10〜45質量部であることがより好ましく、15〜40質量部であることが特に好ましい。配合割合が上記範囲にある場合と比較して、配合割合が5質量部未満であると光感度が不十分となる傾向にあり、50質量部を超えると、感光性樹脂組成物をレジスト膜として用いた場合にレジスト膜が脆くなりやすく、剥がれてしまう傾向にある。
((a)成分及び(b)成分以外の成分について)
上記感光性樹脂組成物の中には、上記(a)成分と共に、カルボキシル基を有しないフェノール樹脂を含有させてもよい。この場合、耐アルカリ性に優れるという利点がある。カルボキシル基を有しないフェノール樹脂としては公知のものが使用でき、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、ビスフェノール樹脂;ジビニルベンゼン、ジシクロペンタジエン等のジオレフィン化合物とフェノール化合物との付加反応により得られるポリフェノール化合物;アラルキルハライド、アラルキルアルコール又はこれらの誘導体とフェノール化合物との反応により得られるポリフェノール化合物;トリアジンフェノールノボラック樹脂等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上記感光性樹脂組成物には、必要に応じて、塗布性、消泡性、レベリング性等を向上させる目的で界面活性剤を含有させてもよい。かかる界面活性剤としては、特に限定されないが、フッ素系界面活性剤であることが好ましい。このようなフッ素系界面活性剤は、例えばBM−1000、BM−1100(BMケミー社製);メガファックF142D、メガファックF172、メガファックF173、メガファックF183、メガファックR−08、メガファックR−30、メガファックR−90PM−20、メガファックBL−20(大日本インキ化学工業(株)製);フロラードFC−135、フロラードFC−170C、フロラードFC−430、フロラードFC−431、フロラードFC−4430(住友スリーエム(株)製);サーフロンS−112、サーフロンS−113、サーフロンS−131、サーフロンS−141、サーフロンS−145(旭硝子(株)製);SH−28PA、SH−190、SH−193、SZ−6032、SF−8428(東レシリコーン(株)製)等の市販品を用いることができる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
界面活性剤の配合割合は、(a)成分及び(b)成分の総量100質量部に対して5質量部以下であることが好ましい。配合割合が5質量部を超えると、配合割合が上記範囲にある場合と比較して、画像コントラストが低下する傾向にある。
上記感光性樹脂組成物には、基材等との接着性を向上させるために接着助剤を含有させてもよい。かかる接着助剤としては、官能性シランカップリング剤が有効である。官能性シランカップリング剤とは、カルボキシル基、メタクリロイル基、イソシアネート基、エポキシ基等の反応性置換基を有するシランカップリング剤を意味し、具体例にはトリメトキシシリル安息香酸、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルプロピルイソシアネート、1,3,5−N−トリス(トリメトキシシリルプロピル)イソシアネート等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
接着助剤の配合割合は、(a)成分及び(b)成分の総量100質量部に対して20質量部以下が好ましい。配合割合が20質量部を超えると、配合割合が上記範囲にある場合と比較して、現像残渣が発生する傾向にある。
上記感光性樹脂組成物には、アルカリ現像液に対する溶解性の微調整を行うために、酸や高沸点溶媒を含有させてもよい。酸としては、酢酸、プロピオン酸、n−酪酸、イソ酪酸、n−吉草酸、イソ吉草酸、安息香酸、けい皮酸等のモノカルボン酸、乳酸、2−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、サリチル酸、m−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ桂皮酸、3−ヒドロキシ桂皮酸、4−ヒドロキシ桂皮酸、5−ヒドロキシイソフタル酸、シリンギン酸等のヒドロキシモノカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、イタコン酸、ヘキサヒドロフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、1,2,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸等の多価カルボン酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水ドデセニルコハク酸、無水トリカルバニル酸、無水マレイン酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸、無水ハイミック酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、エチレングリコールビス無水トリメリテート、グリセリントリス無水トリメリテート等の酸無水物が挙げられる。また、高沸点溶媒としては、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアニリド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセトニルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、フェニルセロソルブアセテート等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
酸や高沸点溶媒の配合割合は、用途、塗布方法に応じて調整でき、かつ感光性樹脂組成物に均一に混合させることができれば特に限定されるものではないが、感光性樹脂組成物全量に対して60質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましい。この場合、感光性樹脂組成物の特性を損なわないという利点がある。
さらに、上記感光性樹脂組成物には、必要に応じて、増感剤、吸光剤(染料)、架橋剤、可塑剤、顔料、充填材、難燃剤、安定剤、密着性付与剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、イメージング剤、熱架橋剤等の添加剤を含有させてもよい。これらの添加剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの添加剤の配合割合は、感光性樹脂組成物の特性を損なわない範囲であれば特に限定されるものではないが、感光性樹脂組成物全量に対して50質量%以下であることが好ましい。
上記感光性樹脂組成物の調製は、通常の方法で混合、攪拌すればよく、充填材、顔料を添加する場合にはディゾルバー、ホモジナイザー、3本ロールミル等の分散機を用い分散、混合させればよい。また、必要に応じて、さらにメッシュ、メンブレンフィルター等を用いてろ過してもよい。
(感光性エレメントについて)
図2は、感光性エレメントの好適な一実施形態を示す模式断面図である。図2に示した感光性エレメント1は、支持体10上に感光層14が積層された構造を有する。感光層14は、感光性樹脂組成物を含む層である。
支持体10としては、例えば、銅、銅系合金、鉄、鉄系合金等の金属プレートや、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の重合体フィルム等を用いることができる。支持体の厚みは、1〜100μmであることが好ましい。
感光層14は、感光性樹脂組成物を液状レジストとして支持体10上に塗布することで形成できる。
感光性樹脂組成物を支持体10上に塗布する際には、必要に応じて、感光性樹脂組成物を所定の溶剤に溶解して固形分30〜60質量%の溶液としたものを塗布液として用いてもよい。かかる溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、オクタン、デカン、石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ、アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン、N,N−ジメチルホルムアミド、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の有機溶剤、又はこれらの混合溶剤が挙げられる。
塗布の方法としては、例えば、ロールコータ、コンマコータ、グラビアコータ、エアーナイフコータ、ダイコータ、バーコータ等の方法が挙げられる。また、溶剤の除去は、例えば、加熱により行うことができ、その場合の加熱温度は約70〜150℃であることが好ましく、加熱時間は約5〜約30分間であることが好ましい。
このようにして形成された感光層14中の残存有機溶剤量は、後の工程における有機溶剤の拡散を防止する観点から、2質量%以下であることが好ましい。
また、感光層14の厚みは、用途により異なるが、溶剤を除去した後の厚みが0.5〜100μm程度であることが好ましい。
感光性エレメント1においては、必要に応じて、感光層14の支持体側と反対側の面F1を保護フィルム(図示せず)で被覆していてもよい。
保護フィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等の重合体フィルム等が挙げられる。また、保護フィルムは低フィッシュアイのフィルムが好ましく、保護フィルムと感光層14との間の接着力は、保護フィルムを感光層14から剥離しやすくするために、感光層14と支持体10との間の接着力よりも小さいことが好ましい。
感光性エレメント1は、支持体10と感光層14との間、及び/又は、感光層14と保護フィルムとの間に、クッション層、接着層、光吸収層、ガスバリア層等の中間層又は保護層をさらに備えていてもよい。
感光性エレメント1は、例えば、そのままの平板状の形態で、又は感光層の一方の面に(保護されず露出している面に)保護フィルムを積層して、円筒状等の巻芯に巻きとり、ロール状の形態で貯蔵できる。巻芯としては、従来から用いられているものであれば特に限定されず、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)等のプラスチック等が挙げられる。貯蔵時には、支持体が最も外側になるように巻き取られることが好ましい。また、ロール状に巻き取られた感光性エレメント(感光性エレメントロール)の端面には、端面保護の観点から端面セパレータを設置することが好ましく、加えて耐エッジフュージョンの観点から防湿端面セパレータを設置することが好ましい。また、感光性エレメント1を梱包する際には、透湿性の小さいブラックシートに包んで包装することが好ましい。
(レジストパターン及び電極パターンの形成方法について)
レジストパターンの形成方法は、基材上に、感光性エレメント1を、感光層14が密着するようにして積層し、活性光線を画像状に照射して露光部分を現像により除去するものである。活性光線が照射されていない部分は、キノンジアジド化合物がフェノール樹脂と相互作用を起こして溶解禁止剤として働いているためアルカリに溶けないが、活性光線が照射された部分では、キノンジアジド化合物が光分解して、溶解禁止効果を失っているため、露光部分がアルカリ可溶となる。上記の感光性樹脂組成物は、上述したようにカルボキシル基を有しているので、弱アルカリや希薄なアルカリ水溶液で速やかに現像できる。
基材上への感光層14の積層方法としては、感光性エレメントが保護フィルムを備える場合には、保護フィルムを除去した後、感光層14を70〜130℃程度に加熱しながら基材に0.1〜1MPa程度(1〜10kgf/cm2程度)の圧力で圧着する方法等が挙げられる。かかる積層工程は減圧下で行ってもよい。
このようにして基材上に積層された感光層14に対して、ネガ又はポジマスクパターンを通して活性光線を画像状に照射して露光部分を形成させる。この際、感光層14上に存在する支持体10が活性光線に対して透明である場合には、支持体10を通して活性光線を照射し、支持体10が活性光線に対して遮光性を示す場合には、支持体10を除去した後に感光層14に活性光線を照射する。
活性光線の光源としては、従来から公知の光源、例えば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、高圧水銀灯、キセノンランプ等の紫外線、可視光等を有効に放射するものが用いられる。また、レーザー直接描画露光法等を用いてもよい。
露光部分の形成後、露光部分の感光層を現像により除去することで、レジストパターンが形成される。かかる露光部分の除去方法としては、感光層14上に支持体10が存在する場合にはオートピーラー等で支持体10を除去し、アルカリ性水溶液、水系現像液、有機溶剤等の現像液によるウェット現像、あるいはドライ現像等で露光部分を除去して現像する方法等が挙げられる。ウェット現像に用いるアルカリとしては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、アンモニア等の弱アルカリ無機化合物;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属化合物;水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属化合物;モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノプロピルアミン、ジメチルプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ポリエチレンイミン等の弱アルカリ有機化合物;テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド等が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて水溶液として用いてもよい。アルカリ性水溶液のpHは、9〜11の範囲が好ましく、その温度は、感光層の現像性に合わせて調整される。また、アルカリ性水溶液中には、界面活性剤、消泡剤、有機溶剤等を混入させてもよい。上記現像の方式としては、例えば、ディップ方式、スプレー方式、ブラッシング、スラッピング等が挙げられる。
なお、現像後の処理として、必要に応じて60〜250℃程度の加熱等を行うことによりレジストパターンを硬化させて用いてもよい。
このようにしてレジストパターンが得られるが、レジスト膜の露光部分が弱アルカリに容易に溶解して基材から剥離し、弱アルカリ現像性が極めて良好な感光性エレメント1を用いることによって、コントラストに優れた微細なレジストパターンを得ることが可能となる。
次に、レジストパターンで覆われていない導電膜部分を酸若しくはアルカリを用いてエッチング後、レジスト膜を剥離することによって所望の電極パターンを形成できる。剥離で使用する剥離液の種類については、レジストを溶解し得るものであれば、特に限定されず、有機溶剤、水系剥離液、市販されているリムーバー類等を使用できる。上記有機溶剤としては、例えば、アセトンのようなケトン系有機溶剤、2−メチル−2−プロパノールのようなアルコール系有機溶剤、ジクロロメタンのようなハロゲン系有機溶剤等の単一又はこれらを組み合わせた溶剤を挙げることができる。また、処理時間、処理温度、処理に使用する装置等についても特に限定はなく、適宜決定できる。好ましい処理時間としては、10〜600秒、より好ましくは20〜540秒であり、最も好ましくは、30〜480秒である。また、好ましい処理温度としては0〜50℃、より好ましくは10〜40℃であり、最も好ましくは、20〜30℃である。そして、必要に応じて、攪拌装置、恒温装置等を使用できる。この処理に関して、ディップ式やスピン式等を適宜選択して使用できる。
なお、剥離後の処理として、もし、レジスト残渣が残ってしまった場合には、必要に応じてアッシング工程等を行うことによりレジスト残渣を除去できる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[ノボラック型フェノール樹脂Aの合成]
m−クレゾール(フェノール化合物)とp−クレゾール(フェノール化合物)とを質量比40:60の割合で混合し、この混合液216質量部にホルマリン(アルデヒド)54質量部を加え、シュウ酸(触媒)2.2質量部をさらに加えて常法により縮合反応を行い、重量平均分子量10000のノボラック型フェノール樹脂を得た。その後、このノボラック型フェノール樹脂85質量部と、無水コハク酸(多塩基酸無水物)12質量部と、トリエチルアミン(触媒)0.9質量部とを混合し、100℃で反応させ(酸価80mgKOH/g)、ノボラック型フェノール樹脂Aを得た。
[ノボラック型フェノール樹脂Bの合成]
m−クレゾール(フェノール化合物)とp−クレゾール(フェノール化合物)とを質量比50:50の割合で混合し、この混合液216質量部にホルマリン(アルデヒド)54質量部を加え、シュウ酸(触媒)2.2質量部を更に加えて常法により縮合反応を行い、重量平均分子量10000のノボラック型フェノール樹脂を得た。その後、このノボラック型フェノール樹脂85質量部と、テトラヒドロ無水フタル酸(多塩基酸無水物)23質量部と、トリエチルアミン(触媒)0.9質量部とを混合し、100℃で反応させ(酸価100mgKOH/g)、ノボラック型フェノール樹脂Bを得た。
[ノボラック型フェノール樹脂Cの合成]
m−クレゾール(フェノール化合物)とp−クレゾール(フェノール化合物)とを質量比40:60の割合で混合し、この混合液216質量部にホルマリン(アルデヒド)54質量部を加え、シュウ酸(触媒)2.2質量部を更に加えて常法により縮合反応を行い、重量平均分子量10000のノボラック型フェノール樹脂を得た。その後、このノボラック型フェノール樹脂85質量部と、ヘキサヒドロ無水フタル酸(多塩基酸無水物)28質量部と、トリエチルアミン(触媒)0.9質量部とを混合し、100℃で反応させ(酸価120mgKOH/g)、ノボラック型フェノール樹脂Cを得た。
[ノボラック型フェノール樹脂Dの合成]
m−クレゾール(フェノール化合物)とp−クレゾール(フェノール化合物)とを質量比50:50の割合で混合し、この混合液216質量部にホルマリン(アルデヒド)54質量部を加え、シュウ酸(触媒)2.2質量部をさらに加えて常法により縮合反応を行い、重量平均分子量10000のノボラック型フェノール樹脂を得た。以下、この樹脂をノボラック型フェノール樹脂Dと呼ぶ。
[ノボラック型エポキシ樹脂E]
酸変性フェノールノボラック型エポキシアクリレートオリゴマー(PCR−1150)を日本化薬株式会社から購入した。以下、この樹脂をノボラック型エポキシ樹脂Eと呼ぶ。
(実施例1)
ノボラック型フェノール樹脂A85質量部(不揮発分)と、上記化学式(5)で表される化合物1モルに対して1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロリド3モルを反応させた1,2−キノンジアジド化合物15質量部とを、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート200質量部に溶解して調製した感光性樹脂組成物の溶液を用い、以下の手順に従って感光性エレメントを作製した。
まず、幅380mm、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、「PETフィルム」という)上に、感光性樹脂組成物の溶液を塗布し、100℃に設定した熱風対流式乾燥機内に保持して感光層を形成させた。その際、加熱後の感光層の膜厚が2μmとなるようにした。形成された感光層上には、厚さ35μmのポリエチレンフィルムを載せ、ロールで加圧し、感光層が保護フィルムで被覆された感光性エレメントを得た。
こうして得られた感光性エレメントは、120℃で加熱しながら、ZnO膜をスパッタリングで形成したガラス板上に積層し、特性評価用サンプルを得るために使用した。
特性評価用サンプルからPETフィルムを除去し、テストパターンマスクを配置し、高圧水銀灯ランプを有する露光機(株式会社オーク製作所製、商品名:HMW−590)を用いて露光量100mJ/cm2で露光した。露光後、1質量%の炭酸ナトリウム水溶液(30℃)を60秒間スプレーすることによって露光部分を除去し、ZnO膜上にレジストパターンを形成した後、レジストパターンをマスクとして露出したZnO膜を塩酸(23℃)中に10秒間浸漬してZnO膜をエッチングした。その後、レジストパターンをアセトン(23℃)中に30秒間浸漬することにより剥離し、ZnO膜のパターンを観察した。
その結果、ライン細りすることなく、3μmの微細な電極パターンが形成されていることが確認された。
(実施例2)
実施例1で使用したノボラック型フェノール樹脂Aをノボラック型フェノール樹脂Bに代え、実施例1と同じ操作でエッチングを行い、レジスト剥離後にZnO膜のパターンを観察した。
その結果、ライン細りすることなく、3μmの微細な電極パターンが形成されていることが確認された。
(実施例3)
実施例1で使用したノボラック型フェノール樹脂Aをノボラック型フェノール樹脂Cに代え、実施例1と同じ操作でエッチングを行い、レジスト剥離後にZnO膜のパターンを観察した。
その結果、ライン細りすることなく、3μmの微細な電極パターンが形成されていることが確認された。
(実施例4)
実施例1で使用したZnO成膜ガラス板を、AZO膜(ZnOにAlをドープした膜)をスパッタリングで形成したガラス板に代えた以外は実施例1と同じ操作でエッチングを行い、レジスト剥離後にAZO膜のパターンを観察した。
その結果、ライン細りすることなく、3μmの微細な電極パターンが形成されていることが確認された。
(実施例5)
実施例1で使用したZnO成膜ガラス板を、GZO膜(ZnOにGaをドープした膜)をイオンプレーティングして形成したガラス板に代えた以外は実施例1と同じ操作でエッチングを行い、レジスト剥離後にGZO膜のパターンを観察した。
その結果、ライン細りすることなく、3μmの微細な電極パターンが形成されていることが確認された。
(比較例1)
実施例1で使用したノボラック型フェノール樹脂Aをノボラック型フェノール樹脂Dに代え、現像液を1質量%の炭酸ナトリウム水溶液から2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液に代えた以外は実施例1と同じ操作でレジストパターンを形成させた。
その結果、ZnO膜が溶解し、細線部ではレジスト膜の一部に剥離が観察され、ZnO膜のパターン形成が困難なことが確認された。すなわち、3μmの微細な電極パターンの形成は確認されなかった。
(比較例2)
実施例1で使用したノボラック型フェノール樹脂Aをノボラック型エポキシ樹脂Eに代え、実施例1と同じ操作でエッチングを行い、レジスト剥離後にZnO膜のパターンを観察した。
その結果、レジスト膜の耐アルカリ性が低く、基板との密着性が不十分なため、現像後にレジスト膜の細線部に剥離が観察され、その後のエッチングにおいてZnO膜の細線パターン形成が困難なことが確認された。すなわち、3μmの微細な電極パターンの形成は確認されなかった。
以上の結果より、本発明によれば、現像液が弱アルカリ水溶液であっても、基板上に導電膜からなる電極パターンを形成できることが確認され、導電膜がZnO系膜であっても電極パターンを形成できることが判明した。