JP2012225098A - 構造物の下部に設けられる作業用足場の移動方法、及びその方法に用いられる作業用足場 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】構造物1の下部に設けられる作業用足場4は、足場本体5と、足場本体5上に設けられ、足場本体5を構造物1の下部に固定する本体固定具6と、足場本体5上に設けられ、レール7を水平方向に摺動自在に保持するレール保持具8と、レール7を構造物1の下部に固定するレール固定具と、足場本体5をレール7に吊り下げ、レール7に沿って移動させる移動吊具とを備えている。レール7を送り出し、レール7を構造物1の下部に固定し、足場本体5を移動吊具によってレール7に沿って移動させることができるので、別途取付用足場を設ける必要がない。
【選択図】図1
Description
このため、杭式海上構造物の下面は、比較的短いサイクルで点検、補修、補強等のメンテナンス作業が必要となり、従来、海上構造物の上部開口又は船舶から単管足場を組み立て、作業が終了したら、これを再び分解して、別の作業場所に移動して組み立てる、という作業を繰り返していた。
しかし、このような組み立て、分解をしながら移動を繰り返す作業は、組み立て、分解に要する時間がかかり、効率的ではないという問題がある。
また、屋根や天井部分に作業用足場を構築する技術として、特許文献2に開示された技術では、天井鉄骨梁間にレールガイドを架設し、作業用足場に設けられたワイヤウィンチを利用してレールガイド上を移動できるようにした技術が提案されている。
一方、前記特許文献2に開示された技術では、鉄骨梁にレールガイドを固定するための治具を設ける必要があり、そのために別途足場が必要となる、という問題がある。
[1]構造物の下部に設けられる作業用足場の移動方法であって、
前記構造物の下部に固定され、レールが水平方向に摺動自在に保持された足場本体から、移動方向に前記レールを送り出す工程と、
前記構造物の下部に前記レールを固定するとともに、前記構造物及び前記足場本体の固定部分を取り外す工程と、
前記レールに沿って前記足場本体を移動させる工程と、
前記足場本体を前記構造物の下部に固定するとともに、前記レールを前記構造物の下部から取り外す工程と、
取り外された前記レールを前記足場本体に引き戻す工程とを実施することを特徴とする作業用足場の移動方法。
足場本体と、
前記足場本体上に設けられ、前記足場本体を前記構造物の下部に固定する本体固定具と、
前記足場本体上に設けられ、レールを水平方向に摺動自在に保持するレール保持具と、
前記レールを前記構造物の下部に固定するレール固定具と、
前記足場本体を前記レールに吊り下げ、前記レールに沿って移動させる移動吊具とを備えていることを特徴とする作業用足場。
前記レール保持具は、前記レールの上端が前記本体固定具の固定位置よりも所定寸法下になるように、前記レールを保持することを特徴とする作業用足場。
[4][3]に記載の作業用足場において、
前記足場本体を、前記構造物の下部に対して昇降させる足場本体昇降具を備えていることを特徴とする作業用足場。
また、構造物がシーバース等の海上構造物の場合、台船等を用いることなく、作業用足場を移動させることができるので、波浪等の影響を受けることなく、作業を行える。
この発明によれば、前記の構造物の下部に設けられる作業用足場の移動方法を好適に実施することができ、構造物の下部のメンテナンス作業を迅速にかつ簡単に行うことができる。
この発明によれば、レール保持具が、レールの上端が本体固定具の固定位置よりも所定寸法下にあるようにレールを保持することにより、構造物の下面と、レールの上端の間に隙間ができるので、レールが配置された構造物の下面部分のメンテナンス作業を阻害することがない。
この発明によれば、足場本体昇降具を備えていることにより、足場本体が本体固定具で固定され、足場本体を降下させて構造物及びレールの上端の間に確実に隙間を設けることができ、レール固定具により固定する場合には、足場本体を上昇させてレールを構造物の下部に当接させて、レールを構造物に確実に固定することができる。
[1]作業用足場4の構造
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1(A)、(B)には、本発明の実施の形態が示されており、港湾等に設置されるシーバース1のメンテナンス作業を行うための作業用足場4が示されている。
シーバース1は、海底地盤に打設される複数の杭2と、複数の杭2間に架設される主桁3とを備えて構成され、主桁3の下部は、海水に曝されるため、防錆塗装作業等のメンテナンス作業を定期的に行う必要がある。
足場本体5は、図1(A)に示されるように、平面視で略平行四辺形状の枠体51と、この枠体51の互いに対向する一対の辺に架設される横架材52とを備えている。
枠体51及び横架材52は角形鋼管から構成され、これらを溶接することにより、足場本体5が形成される。尚、図1(A)、(B)では、図示を略したが、足場本体5の上面には、面材が取り付けられ、作業者は、その上を歩行することにより、メンテナンス作業を行う。
作業床はね出し部55は、上側の枠体51の端部から水平方向に突出して設けられる一対の片持ち梁部材56と、この一対の片持ち梁部材56同士を連結する水平部材57と、片持ち梁部材56の先端及び下側の枠体51の端部を連結する斜材58とを備えている。
本体固定具6は、図2(A)、(B)に示されるように、足場本体5に固定されるベース部61と、このベース部61の上部に設けられ、主桁3に固定される固定部62とを備えている。
ベース部61は、H形鋼から構成され、その基端部分は、枠体51を構成し、主桁3の延出方向に沿って延びる角形鋼管511に設けられるボックス状金物512にハイテンションボルト513によって緊結固定される。
また、それぞれのC形鋼621の開口面の略中央は、五角形状の連結プレート623で塞がれている。この連結プレート623は、C形鋼621に溶接により固定され、五角形の下端部分で下方に配置されるベース部61のフランジ面と、複数のハイテンションボルト611によって緊結固定されている。
二枚の切欠プレート624のうち、一方の切欠プレート624(図2(A)中右側)はC形鋼621に溶接により固定され、他方の切欠プレート624(図2(A)中左側)はハイテンションボルト625によってC形鋼621に固定されている。
切欠プレート624の切欠部は、C形鋼621の上端より上の部分に形成され、切欠部の上端縁には、水平方向に延び、主桁3のフランジ面上端に掛けられる水平プレート626が溶接により固定されている。
また、水平プレート626の上面には、二枚の切欠プレート624と直交する方向に延びる補強プレート628が設けられ、さらにその外側には補強プレート628と平行に、補強プレート629が切欠プレート624間に設けられている。水平プレート626、切欠プレート624、補強プレート628、及び補強プレート629は、溶接により互いに固定されている。
このような構造の固定部62では、切欠部が対向配置される二枚の切欠プレート624が主桁3のフランジ面の上面に引っ掛けられ、足場本体5は、主桁3に固定される。尚、C形鋼621は、足場本体5が浮き上がった場合に当接して、足場本体5の浮き上がり防止機構として機能する。
このレール保持具8は、図3(A)、(B)に示されるように、ベース部81と、このベース部81の上部に設けられるレール保持部82とを備えている。
ベース部81は、H形鋼から構成され、その基端部分は、枠体51に架設される横架材52に設けられるボックス状金物521にハイテンションボルト522によって緊結固定される。また、このベース部81の延出方向中間には、ブラケット811が溶接固定されている。このブラケット811と、横架材52に溶接固定されたブラケット523との間は、ターンバックル812で連結され、レール7が摺動した際、レール保持具8が転倒しないように補強されている。
底面プレート821は、ベース部81の上面に溶接固定される矩形状の鋼製プレートであり、図示を略したが、この底面プレート821のレール7の送り出し方向略中央には、端部に垂直ローラ825を支持するための孔が形成されている。また、この底面プレート821の下面には、補強プレート827が溶接固定されて補強される。
側面プレート822は、底面プレート821の矩形の互いに対向する辺縁から立設される矩形状の鋼製プレートであり、その底部近傍には、水平ローラ826を支持するための孔828が形成されている。また、側面プレート822の上部内側面には、垂直ローラ支持具829が突出して設けられている。
上面プレート824は、一対の側面プレート822の底部を、複数箇所で連結する金具であり、側面プレート822にボルトナット830で固定されている。
垂直ローラ825は、下端を底面プレート821、上端を側面プレート822の垂直ローラ支持具829によって回転自在に支持され、レール7のフランジ先端に当接している。
水平ローラ826は、両端を側面プレート822に形成された孔828に回転自在に保持され、レール7のフランジ下面を支持する。
このような構造のレール保持具8は、一本のレール7に対して二箇所設けられ(図1(A)参照)、それぞれのレール保持具8の一対の垂直ローラ825及び一対の水平ローラ826により、レール7を摺動自在に保持している。
レール浮き防止具9は、図4(A)、(B)に示されるように、山形鋼を矩形状に溶接接合した門型フレーム91を備えている。
この門型フレーム91の互いに向き合う上部側面には、それぞれ垂直ローラ支持具92がボルトナットにより二箇所に取り付けられ、上下の垂直ローラ支持具92によって、垂直ローラ93を回転自在に支持する。
また、門型フレーム91の上面には、水平ローラ支持具94を介して、水平ローラ95が回転自在に取り付けられている。
このような構造のレール浮き防止具9には、門型フレーム91の内側にレール7が挿通され、垂直ローラ93及び水平ローラ95が当接することにより、レール7を摺動自在に案内し、レール7が浮き上がることを防止している。
トロリー101は、図5(A)、(B)に示されるように、レール7の下部に摺動自在に取り付けられている。このトロリー101は、対向配置される一対のプレートのそれぞれに、水平方向に二個の滑車を回転自在に取り付けた構造である。四つの滑車は、レール7の下側フランジに当接して、転動することにより、かご体102をレール7に沿って摺動させる。
尚、一方のトロリー101(図5(A)の左側)は、プレート外側面にチェーンで回転可能な円板が設けられている。この円板はプレートを貫通し、内側にギヤが設けられ、ギヤが二つの滑車に設けられたギヤと噛合している。そして、かご体102内部の作業者がチェーンを操作して、円板を回すと、これに伴い、内部のギヤが回転し、滑車が転動するようになっている。
また、かご体102の側面及び底面には、エキスパンドメタル106が取り付けられている。
かご体102には、かご体102の移動方向から見た一対の柱103の略中央に、H形鋼からなる連結部材107が設けられており、その上端がトロリー101に連結される。連結部材107の上端から柱103の間には、かご体102の揺れを防止するための鋼管108が架設されている。
足場本体昇降具11は、図6に示されるように、主桁3に固定される固定部111及び足場本体5の昇降機構となるチェーンブロック112とを備えている。
固定部111は、前述した本体固定具6を構成する固定部62の構造と略同じであり、固定部111の下端の略中央には、吊下プレート113が垂下する。
フック117は、足場本体5を構成する枠体51から上方に突出して設けられる揚重ブラケット514に引っ掛けられている。
固定金具121は、水平方向に延びるレール取付プレート124と、レール取付プレート124の略中央からレール7の延出方向に沿って起立する係合プレート125と、レール取付プレート124のレール7の幅方向に沿った端縁から起立する補強プレート126とを備えている。
係合プレート125は、矩形状の鋼製プレートの下側角隅部の一部を矩形状に切り欠いた形状であり、切り欠いた部分が主桁3の下側フランジの上面と係合する。
補強プレート126は、三角形状の鋼製プレートであり、係合プレート125の側面に溶接固定され、係合プレート125の倒れを防止する。
このブルマン金具123は、主桁3の下側フランジ上面と、レール7の上側フランジ下面との間に設けられ、C字先端のそれぞれのボルトを回転させてこれらを締め付ける。
ギヤ付きトロリー131は、レール7の下部に摺動自在に取り付けられ、一対のプレート134、内側滑車135、連結ボルト136、外側滑車137、チェーン138、及び孔開きプレート139を備えている。
一対のプレート134は、レール7を挟んで対向配置され、それぞれのプレート134の内側面には、その下部に二個の内側滑車135が回転自在に取り付けられている。尚、図示を略したが、それぞれの内側滑車135には、同心円状に歯車が設けられている。
連結ボルト136は、一対のプレート134を所定間隔保持した状態で連結する部材であり、連結ボルト136には、孔開きプレート139が装着されている。
連結部材133は、U字シャックル132の下部に設けられ、H形鋼からなるベース部140と、ベース部140の上端に設けられる孔開きプレート141とを備えている。
ベース部140は、下端部分のフランジ面に孔が四箇所形成されており、横架材52に設けられたボックス状金物526に挿入され、ハイテンションボルト527によって緊結固定される。
孔開きプレート141は、ベース部140の上端にプレート142を介して設けられ、その側面には倒れ防止用の補強プレート143が溶接固定されている。孔開きプレート141の孔には、U字シャックル132が挿通される。
前述した構造の作業用足場の移動方法を、図9乃至図12に基づいて説明する。
まず、図9(A)〜(C)に示されるように、足場本体5を本体固定具6により主桁3に固定した状態で、レール保持具8に挿通されたレール7を作業用足場4の移動方向に送り出す。
本体固定具6の取り外しは、図2を参照して説明すると、まず、ハイテンションボルト625を緩めて、切欠プレート624を主桁3から取り外した後、ベース部61の下部のハイテンションボルト513を緩めて、本体固定具6を倒すことにより、主桁3から取り外す。
すべての本体固定具6が取り外され、足場本体5が吊り下げ状態となったら、足場本体昇降具11のチェーンブロック112を操作して、レール7の上面が主桁3の下面に当接するまで、足場本体5を引き上げる。
レール7の送り出し部分については、レール7に摺動自在に取り付けられた移動式足場10で作業者が移動し、送り出し部分のレール7を主桁3に緊結固定する。尚、移動式足場10には、足場本体5まで延びる控えロープ109を設けておき、往路は、移動式足場10内の作業者がギヤ付きのトロリーを操作して先端部分まで移動し、復路は、足場本体5上の作業者がこの控えロープで移動式足場10を引っ張ることにより、移動式足場10を引き寄せる。
移動吊具13を取り外したら、移動式足場10を適宜利用してレール固定具12を取り外す。
レール固定具12の取り外しが終了したら、作業者が足場本体昇降具11のチェーンブロック112を操作して、足場本体5を降下させる。
足場本体5が所定の位置まで降下したら、本体固定具6を足場本体5及び主桁3に取り付け、足場本体昇降具11を取り外して、足場本体5の移動を終了する。
このような本実施形態によれば、以下のような効果がある。
足場本体5からレール保持具8を利用してレール7を送り出す工程、送り出されたレール7をレール固定具12によってシーバース1の主桁3に固定するとともに、本体固定具6を主桁3から取り外す工程、移動吊具13を用いて足場本体5をレール7に沿って移動させる工程を実施することにより、作業用台船を用いることなく、作業用足場4の移動が可能となるので、波浪の影響を受けることなく、メンテナンス作業を実施することができる。
さらに、レール保持具8が本体固定具6の固定部62の位置よりも低い位置でレール7を保持していることにより、本体固定具6で足場本体5を固定したときに、レール7と主桁3の間で隙間ができるので、レール7が障害となってメンテナンス作業を阻害することがない。
また、作業用足場4が足場本体昇降具11を備えていることにより、足場本体5を本体固定具6で固定した際には、レール7と主桁3の間に隙間を形成することができ、レール固定具12でレール7と主桁3を固定する際には、足場本体5を上昇させてレール7を主桁3に当接させて、レール7を主桁3に確実に固定することができる。
尚、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、以下に示すような変形をも含むものである。
すなわち、前記実施形態では、シーバース1の下部に作業用足場4を設け、本発明に係る作業用足場4の移動方法を実施していたが、これに限られない。例えば、河川に架設される橋梁の下部や、体育館等の天井に本発明に係る作業用足場4を設け、本発明に係る作業用足場4の移動方法を実施して、これらの構造物の下部のメンテナンス作業を行ってもよい。
また、前記実施形態では、シーバース1の下部のメンテナンス作業に作業用足場4を用いていたが、これに限らず、構造物の下部にライト等の造作物を取り付けるために、本発明に係る作業用足場4を用い、前記の移動方法を実施してもよい。
Claims (4)
- 構造物の下部に設けられる作業用足場の移動方法であって、
前記構造物の下部に固定され、レールが水平方向に摺動自在に保持された足場本体から、移動方向に前記レールを送り出す工程と、
前記構造物の下部に前記レールを固定するとともに、前記構造物及び前記足場本体の固定部分を取り外す工程と、
前記レールに沿って前記足場本体を移動させる工程と、
前記足場本体を前記構造物の下部に固定するとともに、前記レールを前記構造物の下部から取り外す工程と、
取り外された前記レールを前記足場本体に引き戻すことを実施することを特徴とする作業用足場の移動方法。 - 構造物の下部に設けられる作業用足場であって、
足場本体と、
前記足場本体上に設けられ、前記足場本体を前記構造物の下部に固定する本体固定具と、
前記足場本体上に設けられ、レールを水平方向に摺動自在に保持するレール保持具と、
前記レールを前記構造物の下部に固定するレール固定具と、
前記レールに摺動自在に取り付けられる移動式足場と、
前記足場本体をレールに吊り下げ、前記レールに沿って移動させる移動吊具とを備えていることを特徴とする作業用足場。 - 請求項2に記載の作業用足場において、
前記レール保持具は、前記レールの上端が前記本体固定具の固定位置よりも所定寸法下になるように、前記レールを保持することを特徴とする作業用足場。 - 請求項3に記載の作業用足場において、
前記足場本体を、前記構造物の下部に対して昇降させる足場本体昇降具を備えていることを特徴とする作業用足場。
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