JP2012223169A - 睡眠改善作用を有する焼き菓子及び該焼き菓子用プレミックス - Google Patents

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Abstract

【課題】睡眠薬や睡眠導入薬を服用するほどではないが、眠りが浅い、寝覚めがすっきりしない、寝つきがよくない等の睡眠に関する不満を有する人達に対して、持ち運びが便利で水がなくても日常的に簡便に摂取することができ、かつ効果的に睡眠の質を改善することが可能な睡眠改善作用を有する焼き菓子及び該焼き菓子用プレミックスを提供すること。
【解決手段】ペポカボチャ(Cucurbita pepo)種子又は西洋カボチャ(Cucurbita maxima)種子を含有し、140℃以下で焼成することを特徴とする睡眠改善作用を有する焼き菓子及び該焼き菓子用プレミックスにより解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は、新規な機能を有する焼き菓子に関し、さらに詳しくはカボチャ属(Cucurbita)種子を含有する睡眠改善作用を有する焼き菓子に関する。
人生の約3分の1は「眠り」に占められており、睡眠は、ヒトにとって重要な行為である。しかし、最近、生活リズムの乱れ、ストレス、運動不足等により睡眠不足、不眠等の症状を訴えるヒトが増加している。このような睡眠の質の低下は、昼間の集中力の低下、自律神経失調症等の生活の質(QOL)の低下の原因ともなり、眠りの質を改善することは重要な課題となっている。
睡眠の質の低下は、一般に、寝つきが悪い入眠障害、夜中に何度も目が覚める熟眠障害、朝早くに目が覚めてしまう早期覚醒、よく眠った感じがしない熟眠不全などに分類される。薬物を用いた治療法としては、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬や、抗ヒスタミン系の睡眠補助薬などが用いられているが、これらの薬剤には精神症状や筋弛緩作用などの副作用があり、服用に対する不安などの課題もある。また、医薬品であるため簡便に入手することができず、必ずしも睡眠の質の低下に対する十分な解決策とはなっていない。
食品由来の機能性成分を有効成分として含有する睡眠改善剤としては、これまでに、テアニンを含有する睡眠促進用組成物(特許文献1)、グリシンを含有する熟眠障害改善剤(特許文献2)、オルニチンを含有する寝つきまたは寝起き改善用経口剤(特許文献3)、γ−アミノ酪酸を有効成分として含有する睡眠の質改善用組成物(特許文献4)、アルギニンを含有する睡眠誘導剤あるいはストレス性不眠症改善剤(特許文献5)、グルタチオンを含有する睡眠誘導剤(特許文献6)、納豆菌などバシラス・サブチルス(Bacillus subtilis)に属する微生物の菌体破砕物を有効成分とする睡眠改善組成物(特許文献7)、カゼイン加水分解物およびミネラルを含有することを特徴とする睡眠改善用組成物(特許文献8)、セサミン類を有効成分として含有する睡眠障害改善剤(特許文献9)などが報告されている。
カボチャ(南瓜)はアメリカ大陸が原産であり、瓜(ウリ)科、南瓜属(Cucurbita)に分類され、Cucurbita maxima(カボチャの西洋種)、Cucurbita moscha(カボチャの東洋種)、Cucurbita pepo(カボチャのペポ種、ペポカボチャ)が知られている。
ペポカボチャはオーストリア、ハンガリー等で栽培され、主として種子を採取し、油の製造に供される。種子油は不飽和脂肪酸含量が高く、食用油としてその栄養学的価値が高い。油を採取した後の画分は安全性の高い食品としてスナック菓子、シリアル、パン、ソーセージ等に添加され、また飼料添加物、医薬品原料としても利用されている。
ペポカボチャ種子の生化学的、薬理学的作用としては、前立腺肥大抑制作用、利尿作用、駆虫作用、蛋白質生合成に対する作用、血液凝固・線溶系に対する作用、膀胱機能に対する作用等が知られている(非特許文献1)。
国際公開第01/074352号 特開2006−333872号公報 特開2006−342148号公報 特開2007−063236号公報 特開2007−230954号公報 特開2008−056628号公報 特開2008−137941号公報 特開2009−013143号公報 特開2010−285427号公報
ニューフードインダストリー(New Food Industry),Vol.52,No.10 ,2010 年,p.1〜10
睡眠薬や睡眠導入薬を服用するほどではないが、眠りが浅い、寝覚めがすっきりしない、寝つきがよくない等の睡眠に関する不満を有する人達にとって、睡眠薬や睡眠導入薬を服用することには抵抗がある。また、これら薬剤の持つ精神症状や筋弛緩作用などの副作用に対する不安が少なからず存在している。そのため、睡眠に関する不満を有する人達に対して、彼らの睡眠満足度を高める要望は潜在的に存在する。
そこで、本発明は、睡眠薬や睡眠導入薬を服用するほどではないが、眠りが浅い、寝覚めがすっきりしない、寝つきがよくない等の睡眠に関する不満を有する人達に対して、持ち運びが便利で水がなくても日常的に簡便に摂取することができ、効果的に睡眠の質を改善することが可能な睡眠改善作用を有する焼き菓子及び該焼き菓子用プレミックスを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の条件で製造したペポカボチャ(Cucurbita pepo)種子又は西洋カボチャ(Cucurbita maxima)種子を含有する焼き菓子を摂取することによって睡眠の質が改善されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明はペポカボチャ(Cucurbita pepo)種子又は西洋カボチャ(Cucurbita maxima)種子を含有し、少なくとも焼き菓子が焼成できる温度から140℃の範囲内で焼成することを特徴とする睡眠改善作用を有する焼き菓子及び該焼き菓子用プレミックスを提供するものである。
本発明の睡眠改善作用を有する焼き菓子は、眠りが浅い、寝覚めがすっきりしない、寝つきがよくない、といった睡眠に関する不満を解消し、眠りの質を改善することができる。
また、焼き菓子の形態にすることによって持ち運びが便利で水がなくても日常的に簡便に摂取することができる。
さらに、カボチャ属(Cucurbita)種子は古くから食品として摂取されており、安全性に優れることから、本発明の焼き菓子は長期間にわたり摂取することが可能である。
焼成温度が異なるクッキーを摂取したときの睡眠満足度の差異を示す図である。
本発明の実施形態における睡眠改善作用を有する焼き菓子について説明する。本実施形態に係る睡眠改善作用を有する焼き菓子は、ペポカボチャ(Cucurbita pepo)種子又は西洋カボチャ(Cucurbita maxima)種子を含有するものである。
さらに、前記焼き菓子にゴマ属(Sesamum)種子を添加することで、ペポカボチャ(Cucurbita pepo)種子又は西洋カボチャ(Cucurbita maxima)種子とゴマ属(Sesamum)種子との相乗効果によって、より高い睡眠改善効果が得られるので好ましい。
本実施形態において「睡眠改善」とは、自然の睡眠導入の促進(入眠促進)、熟眠感の向上など、睡眠全般の質が向上することをいい、睡眠薬や睡眠導入薬を服用するほどではないが、眠りが浅い、寝覚めがすっきりしない、寝つきがよくない等の睡眠に関する不満を有する人達に対して、彼らの睡眠満足度を高めることを意味する。
本実施形態において「焼き菓子」とは、文字どおり「焼いて作ったお菓子」であり、クッキー、ビスケット、ワッフル、クレープ、バウムクーヘン、パンケーキ、ホットケーキ、カステラ、パウンドケーキ、マドレーヌ等の洋菓子や煎餅、どら焼、栗饅頭等の和菓子などが挙げられる。
前記焼き菓子の原料は、製造する焼き菓子の種類によって適宜設定されるが、少なくともペポカボチャ(Cucurbita pepo)種子又は西洋カボチャ(Cucurbita maxima)種子が含まれ、必要に応じて、強力粉、中力粉、薄力粉、全粒粉、玄米粉、ライ麦、とうもろこし、脱脂大豆粉末、米粉等の穀類粉末、ブドウ糖、果糖、上白糖、三温糖、グラニュー糖、黒砂糖、和三盆、粉砂糖、麦芽糖、乳糖、トレハロース、ソルビトール、マルチトール等の糖類、バター、マーガリン、ファットスプレッド、ショートニング等の脂質、全卵、卵白、卵黄、乾燥卵等の卵、タンパク質、食物繊維、食塩、ベーキングパウダー、香料、色素等を用いることができる。
前記焼き菓子は保存性が高く、持ち運びに便利であり、水がなくても簡便に摂取することができる。
本実施形態においては、ウリ科(Cucurbitaceae)、カボチャ属(Cucurbita)のペポカボチャ(Cucurbita pepo)又は西洋カボチャ(Cucurbita maxima)に分類される植物の果実中の種子を用いる。
前記ペポカボチャ(Cucurbita pepo)種子又は西洋カボチャ(Cucurbita maxima)種子はそのまま用いてもよいが、種子の酸化に対する保存安定性を考慮した場合、種子から油を採取した後の脂肪含量の低い脱脂カボチャ種子を使用することが好ましい。具体的には、油を取り除いた後の脂肪含量を種子重量の約10重量%以下に取り除いたペポカボチャ(Cucurbita pepo)種子又は西洋カボチャ(Cucurbita maxima)種子である。
また、ペポカボチャ(Cucurbita pepo)種子又は西洋カボチャ(Cucurbita maxima)種子の形状には限定されない。例えば、外皮の薄い種子ではそのまま使用してもよく、外皮の厚いものでは二つ割以上に割ったものを使用することもできる。また、種子の搾油後に残った搾り粕を使用することもでき、さらにそれを粉砕処理した種子粉末を使用することもできる。
本実施形態において使用されるペポカボチャ(Cucurbita pepo)種子又は西洋カボチャ(Cucurbita maxima)種子の含有量は、適宜設定することができるが、高い睡眠改善効果を得る観点から5重量%以上であることが好ましい。
本実施形態における焼き菓子は、少なくとも焼き菓子が焼成できる温度から140℃の範囲内で焼き上げたものである。これは、ペポカボチャ(Cucurbita pepo)種子又は西洋カボチャ(Cucurbita maxima)種子に含まれる睡眠改善作用を有する成分の活性が加熱によって低下するのを防ぐためである。
本実施形態における焼き菓子に添加するゴマ属(Sesamum)種子は、ゴマ科(Pedaliaceae)、ゴマ属に分類される植物の果実中の種子を用いる。ゴマ属(Sesamum)種子としては、その品種に限定されることはない。
前記ゴマ属(Sesamum)種子はそのまま用いてもよいが、種皮を剥いだゴマ、切ったゴマ(切りゴマ)、すりつぶしたゴマ(すりゴマ)、炒ったゴマ(炒りゴマ)を用いることもできる。特に、炒ったゴマ(炒りゴマ)を用いることで種皮が軟らかく香りも良くなるので好ましい。
本実施形態における焼き菓子に添加するゴマ属(Sesamum)種子の添加量は、適宜設定することができるが、高い睡眠改善効果を得る観点から2.5重量%以上であることが好ましい。
前記ゴマ属(Sesamum)種子の添加によって、ペポカボチャ(Cucurbita pepo)種子又は西洋カボチャ(Cucurbita maxima)種子特有の匂いを減殺し、前記焼き菓子の風味が改善する効果もあり、よりおいしく摂取できるようになる。
また、本発明の睡眠改善効果を減じない、すなわち、本実施形態における睡眠改善作用を有する焼き菓子との配合により好ましくない相互作用を生じない限り、必要に応じて、生理活性成分であるビタミンA、カロチン類、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンD群、ビタミンE、ビタミンK群、ビタミンP、ナイアシン、ニコチン酸、パントテン酸、ビオチン、イノシトール、コリン、葉酸等のビタミン類、カルシウム、カリウム、マグネシウム、ナトリウム、銅、鉄、マンガン、亜鉛、セレン等のミネラル類を混合することができる。これらの添加物はいずれも飲食品に一般的に用いられるものが使用できる。
次に本実施形態における睡眠改善作用を有する焼き菓子用プレミックスについて説明する。
本実施形態における焼き菓子用プレミックスは、ペポカボチャ(Cucurbita pepo)種子又は西洋カボチャ(Cucurbita maxima)種子を含有するものである。
さらに、前記焼き菓子用プレミックスにゴマ属(Sesamum)種子を添加すると、ゴマ属(Sesamum)種子を添加した前記焼き菓子用プレミックスを用いて製造した焼き菓子が、ペポカボチャ(Cucurbita pepo)種子又は西洋カボチャ(Cucurbita maxima)種子とゴマ属(Sesamum)種子との相乗効果によって、より高い睡眠改善効果が得られるので好ましい。
本実施形態における焼き菓子用プレミックスによって、簡単に睡眠改善作用を有する焼き菓子を製造できる。また、好みの配合にアレンジした睡眠改善作用を有する焼き菓子を製造することもできる。
本実施形態における焼き菓子用プレミックスは、目的となる焼き菓子の種類によって配合が適宜設定されるが、少なくともペポカボチャ(Cucurbita pepo)種子又は西洋カボチャ(Cucurbita maxima)種子が含まれ、必要に応じて、強力粉、中力粉、薄力粉、全粒粉、玄米粉、ライ麦、とうもろこし、脱脂大豆粉末、米粉等の穀類粉末、ブドウ糖、果糖、上白糖、三温糖、グラニュー糖、黒砂糖、和三盆、粉砂糖、麦芽糖、乳糖、トレハロース、ソルビトール、マルチトール等の糖類、バター、マーガリン、ファットスプレッド、ショートニング等の脂質、全卵、卵白、卵黄、乾燥卵等の卵、タンパク質、食物繊維、食塩、ベーキングパウダー、香料、色素等を用いることができる。
本実施形態においては、ウリ科(Cucurbitaceae)、カボチャ属(Cucurbita)のペポカボチャ(Cucurbita pepo)種子又は西洋カボチャ(Cucurbita maxima)種子に分類される植物の果実中の種子を用いる。
前記ペポカボチャ(Cucurbita pepo)種子又は西洋カボチャ(Cucurbita maxima)種子はそのまま用いてもよいが、種子の酸化に対する保存安定性を考慮した場合、種子から油を採取した後の脂肪含量の低い脱脂カボチャ種子を使用することが好ましい。具体的には、油を取り除いた後の脂肪含量を種子重量の約10重量%以下に取り除いたペポカボチャ(Cucurbita pepo)種子又は西洋カボチャ(Cucurbita maxima)種子である。
また、ペポカボチャ(Cucurbita pepo)種子又は西洋カボチャ(Cucurbita maxima)種子の形状には限定されない。例えば外皮の薄い種子ではそのまま使用してもよく、外皮の厚いものでは二つ割以上に割ったものを使用することもできる。また、種子の搾油後に残った搾り粕を使用することもでき、さらにそれを粉砕処理した種子粉末を使用することもできる。
本実施形態において使用されるペポカボチャ(Cucurbita pepo)種子又は西洋カボチャ(Cucurbita maxima)種子の配合量は、適宜設定することができるが、高い睡眠改善効果を得る観点から5重量%以上であることが好ましい。
本実施形態において添加するゴマ属(Sesamum)種子は、ゴマ科(Pedaliaceae)、ゴマ属に分類される植物の果実中の種子を用いる。ゴマ属(Sesamum)種子としては、その品種に限定されることはない。
前記ゴマ属(Sesamum)種子はそのまま用いてもよいが、種皮を剥いだゴマ、切ったゴマ(切りゴマ)、すりつぶしたゴマ(すりゴマ)、炒ったゴマ(炒りゴマ)を用いることもできる。特に、炒ったゴマ(炒りゴマ)を用いることで種皮が軟らかく香りも良くなるので好ましい。
本実施形態において配合するゴマ属(Sesamum)種子の配合量は、適宜設定することができるが、高い睡眠改善効果を得る観点から2.5重量%以上であることが好ましい。
前記ゴマ属(Sesamum)種子を添加した焼き菓子用プレミックスによって製造した焼き菓子は、ペポカボチャ(Cucurbita pepo)種子又は西洋カボチャ(Cucurbita maxima)種子特有の匂いを減殺し、焼き菓子の風味が改善する効果もあり、よりおいしく摂取できるようになる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
1.睡眠改善作用を有する焼き菓子の作製
(1)クッキー
睡眠改善作用を有するクッキーを以下の手順によって作製した。すなわち、(1)バターを加温し、クリーム状になるまで泡だて器で撹拌し、(2)グラニュー糖を2回に分けて加え、その都度混合した後、(3)溶いた卵を添加し、さらに混合した。(4)ここに、ペポカボチャ(Cucurbita pepo)脱脂種子粉末又は西洋カボチャ(Cucurbita maxima)種子粉末を加えてよく混ぜた後、(5)薄力粉を加えて、よく混捏し、(6)前記(1)〜(5)で調製した生地を17gずつ分け、これを成型し、130℃のオーブンで21分間焼成することでクッキーを作製した(実施例1及び2)。
また、上記の手順(1)〜(5)の後、炒りゴマを加えて再度混捏することで生地を調製し、手順(6)によってクッキーを作製した(実施例3)。この時、手順(4)では、ペポカボチャ(Cucurbita pepo)脱脂種子粉末を用いた。
なお、カボチャ粉末を添加せずに、炒りゴマを添加したクッキーも作製した(比較例1)。また、これらの配合を表1に示した。
Figure 2012223169
(2)マドレーヌ
睡眠改善作用を有するマドレーヌを以下の手順によって作製した。すなわち、(1)卵を泡だて器でよくほぐし、グラニュー糖、塩を加えよく混合し、(2)薄力粉、ペポカボチャ脱脂種子粉末、すりゴマとベーキングパウダーを加えよく混捏した後、(3)溶かしたバターを加え、ダマができないようによく混ぜて生地を調製した。(4)前記(1)〜(3)で調製した生地25gずつをマドレーヌ型に入れ、140℃のオーブンで17分間焼成することでマドレーヌを作製した。なお、配合は表2に示した。
Figure 2012223169
(3)煎餅
睡眠改善作用を有する煎餅を以下の手順によって作製した。すなわち、(1)ボールに全ての材料を入れてよく混捏して生地を調製し、(2)前記(1)の生地を10gずつ分け、3〜4mmの厚さになるように麺棒でのばし、(3)品温が140℃を超えないようにして、焼き上げることで煎餅を作製した。なお、配合は表3に示した。
Figure 2012223169
2.睡眠改善効果に及ぼす焼成温度の影響
(1)供試クッキー
上記1.(1)で示した手順(1)〜(5)によってクッキー生地を調製し、該生地を17gずつ分け、これを成型し、オーブンで焼成した。ここで、焼成温度及び焼成時間は、焼成温度130℃で焼成時間21分、焼成温度140℃で焼成時間19分又は焼成温度150℃で焼成時間18分とし、それぞれの焼成温度及び時間で作製したクッキーを以下に試験に供した。なお、クッキーの配合は実施例1に示した配合と同様である。
(2)試験方法
睡眠薬や睡眠導入薬を飲むほどではないが、睡眠に不満のある被験者15名を選び、以下の要領で睡眠改善確認試験を行った。すなわち、被験者15名を無作為に5名ずつ3グループに分け、上記のとおり作製した供試クッキーをそれぞれのグループに割り当てた。また、全ての被験者は、試験開始1〜5日目の就寝1時間前〜就寝前には何も摂取せず(摂取前)、試験開始6〜10日目の就寝1時間前〜就寝前に各グループの被験者に割り当てられた供試クッキーを1日2枚(ペポカボチャ脱脂種子粉末として5.1g)摂取し(摂取中)、試験開始11〜15日目の就寝1時間前〜就寝前には、再び全ての被験者は何も摂取しなかった(摂取後)。
(3)睡眠改善に関する評価
試験開始から試験終了日までの全15日間にわたり、被験者に日誌記載を依頼した。日誌には、前記で示した供試クッキーを摂取した時刻、就寝・起床時間、普段の生活と異なる点(運動量や飲酒について)、補足メモ(体調や副作用について)を記載させた。睡眠改善に関する評価は、摂取前と比較したときの摂取中及び摂取後の睡眠の改善度合いを、「2」:著明改善、「1」:少し改善、「0」:不変、「−1」:悪化、の4段階で評価し、睡眠満足度とした。
(4)データ集計および統計解析
試験期間の15日間について、5日間ごとに4段階の評価数値の平均値を算出し、スコア化した。摂取前のスコアを0とし、それぞれとの統計解析を行った。
スコアについてはKruskal Wallis H-testを行い、有意差が認められたときにはDunnett’s testにてpost−hoc test(多重比較検定)を行った。
睡眠満足度の変化について、試験期間中の睡眠満足度スコアの平均値を図1に示す。焼成温度130℃又は焼成温度140℃で作製したクッキーを摂取した場合(試験開始6〜10日目)、睡眠満足度の有意な改善(P<0.05)が認められたのに対し、焼成温度150℃で作製したクッキーを摂取した場合では、睡眠改善効果は認められなかった。この結果から、150℃以上の加熱によって睡眠改善に有効な成分が失活することが示唆された。
3.各種焼き菓子の摂取による睡眠改善効果
(1)試験方法
睡眠薬や睡眠導入薬を飲むほどではないが、睡眠に不満のある被験者30名を選び、以下の要領で睡眠改善確認試験を行った。すなわち、被験者30名を無作為に5名ずつ6グループに分け、上記1.(1)〜(3)のとおりに作製した焼き菓子をそれぞれのグループに割り当てた。また、最初の1週間(摂取前期間)は全グループとも対照期間とし、全ての被験者は就寝1時間前〜就寝前には何も摂取せず、その後の3週間(摂取期間)にわたって、各グループの被験者は、割り当てられた焼き菓子を就寝1時間前〜就寝前に摂取した。なお、クッキー(130℃、21分間焼成品)の場合は1日2枚(ペポカボチャ脱脂種子粉末又は西洋カボチャ脱脂種子粉末として5.1g)、マドレーヌの場合は1日2個(ペポカボチャ脱脂種子粉末として3.3g)、煎餅の場合は1日2枚(ペポカボチャ脱脂種子粉末として4.2g)を摂取した。
(2)睡眠改善に関する評価
試験開始から試験終了日までの全4週間にわたり、被験者に日誌記載を依頼した。日誌には、前記で示した各種焼き菓子を摂取した時刻、就寝・起床時間、普段の生活と異なる点(運動量や飲酒について)、補足メモ(体調や副作用について)を記載させた。睡眠改善に関する評価は、対照期間(摂取前期間)と比較したときの摂取期間中の睡眠の改善度合いを、「2」:著明改善、「1」:少し改善、「0」:不変、「−1」:悪化、の4段階で評価し、睡眠満足度とした。
(3)データ集計および統計解析
摂取期間の3週間について、1週間ごとに4段階の評価数値の平均値を算出し、スコア化した。試験期間前のスコアを0とし、それぞれとの統計解析を行った。
スコアについてはKruskal Wallis H-testを行い、有意差が認められたときにはDunnett’s testにてpost−hoc test(多重比較検定)を行った。
睡眠満足度の変化について、摂取期間中の睡眠満足度スコアの平均値を表4に示す。ペポカボチャ属(Cucurbita pepo)種子又は西洋カボチャ(Cucurbita maxima)種子粉末を含有するクッキーを摂取した場合(実施例1及び2)、摂取期間1週目と2週目に改善傾向が見られ(P<0.05)、摂取期間3週目で有意差が認められた(P<0.01)。また、カボチャ属(Cucurbita)種子及びゴマ属(Sesamum)種子を含有したクッキーを摂取した場合(実施例3)、睡眠満足度は摂取期間1週目から有意に改善し(P<0.01)、試験が後半になるにつれて改善度合いも大きくなった。一方、ゴマ属(Sesamum)種子を含有したクッキーを摂取した場合(比較例1)、摂取期間2週目までは有意差がなく、摂取期間3週目になって改善傾向が見られた(P<0.05)。
また、摂取期間1週目におけるペポカボチャ属(Cucurbita pepo)種子単独のクッキーを摂取した場合(実施例1)の睡眠満足度スコアの平均値は0.25±0.19、ゴマ属(Sesamum)種子単独のクッキーを摂取した場合(比較例1)では0.15±0.10であり、ペポカボチャ属種子及びゴマ属種子ともに添加されたクッキーを摂取した場合(実施例3)の0.83±0.79の値と比較すると、ペポカボチャ属種子を単独で摂取することによって得られた値とゴマ属種子を単独で摂取することによって得られた値を合算した値以上の睡眠満足度スコアを示した。
ペポカボチャ属(Cucurbita pepo)種子とゴマ属(Sesamum)種子を含有したマドレーヌ(実施例4)又は煎餅(実施例5)を摂取した場合のどちらにおいても、睡眠満足度は摂取期間1週目から有意に改善した(P<0.01)。
Figure 2012223169
以上の結果から、ペポカボチャ(Cucurbita pepo)種子又は西洋カボチャ(Cucurbita maxima)種子を摂取することで睡眠改善効果が認められた。さらに、カボチャ属種子及びゴマ属種子を同時に摂取することで、単独でカボチャ属種子を摂取した場合と比べて顕著な睡眠改善効果が認められ、カボチャ属種子及びゴマ属種子の同時摂取による相乗効果が確認された。

Claims (8)

  1. ペポカボチャ(Cucurbita pepo)種子又は西洋カボチャ(Cucurbita maxima)種子を含有し、少なくとも焼き菓子が焼成できる温度から140℃の範囲内で焼成されたことを特徴とする、
    睡眠改善作用を有する焼き菓子。
  2. 前記ペポカボチャ(Cucurbita pepo)種子又は西洋カボチャ(Cucurbita maxima)種子を5重量%以上含有する、
    請求項1に記載の睡眠改善作用を有する焼き菓子。
  3. さらに、ゴマ属(Sesamum)種子を含有する、
    請求項1又は2に記載の睡眠改善作用を有する焼き菓子。
  4. 前記ゴマ属(Sesamum)種子を2.5重量%以上含有する、
    請求項3に記載の睡眠改善作用を有する焼き菓子。
  5. 睡眠改善作用を有する焼き菓子用プレミックスであって、
    配合にペポカボチャ(Cucurbita pepo)種子又は西洋カボチャ(Cucurbita maxima)種子を含有することを特徴とする、
    睡眠改善作用を有する焼き菓子用プレミックス。
  6. 前記ペポカボチャ(Cucurbita pepo)種子又は西洋カボチャ(Cucurbita maxima)種子の配合量が5重量%以上である、
    請求項5に記載の睡眠改善作用を有する焼き菓子用プレミックス。
  7. さらに、ゴマ属(Sesamum)種子を含有する、
    請求項5又は6に記載の睡眠改善作用を有する焼き菓子用プレミックス。
  8. 前記ゴマ属(Sesamum)種子の配合量が2.5重量%以上である、
    請求項7に記載の睡眠改善作用を有する焼き菓子用プレミックス。
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