JP2012222282A - 接続構造体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電極間の導通信頼性を高めることができる接続構造体の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る接続構造体1の製造方法は、電極2bを上面2aに有する第1の接続対象部材2上に、異方性導電材料層3Aを配置する工程と、異方性導電材料層3Aに光を照射することにより硬化を進行させて、異方性導電材料層3AをBステージ化する工程と、Bステージ化された異方性導電材料層3Bの上面3aに、電極4bを下面4aに有する第2の接続対象部材4をさらに積層する工程とを備える。異方性導電材料層3AをBステージ化する際に、一方の表面側3aの厚み1/2の領域における異方性導電材料層部分3Baの硬化率と他方の表面側3bの厚み1/2の領域における異方性導電材料層部分3Bbの硬化率とを特定の関係となるように制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数の導電性粒子を含む異方性導電材料を用いた接続構造体の製造方法であって、例えば、フレキシブルプリント基板、ガラス基板、ガラスエポキシ基板及び半導体チップなどの様々な接続対象部材の電極間を電気的に接続する接続構造体の製造方法に関する。
ペースト状又はフィルム状の異方性導電材料が広く知られている。該異方性導電材料では、バインダー樹脂などに複数の導電性粒子が分散されている。
上記異方性導電材料は、各種の接続構造体を得るために、例えば、フレキシブルプリント基板とガラス基板との接続(FOG(Film on Glass))、半導体チップとフレキシブルプリント基板との接続(COF(Chip on Film))、半導体チップとガラス基板との接続(COG(Chip on Glass))、並びにフレキシブルプリント基板とガラスエポキシ基板との接続(FOB(Film on Board))等に使用されている。
また、上記接続構造体の製造方法の一例として、第一の回路電極を有する第一の回路部材と、第二の回路電極を有し、テープキャリアパッケージ又はフレキシブルプリント基板を構成する第二の回路部材とを、上記第一の回路電極と上記第二の回路電極とを対向配置させた状態で、異方性導電材料により接続する接続構造体の製造方法が開示されている。また、特許文献1には、熱硬化性組成物と光硬化性組成物とを含有する異方性導電材料としてフィルム状回路接続材料を用いて、該フィルム状回路接続材料に光を照射して、光硬化性樹脂組成物を硬化させて、フィルム状回路接続材料の流動性を低下させ、次に本接続時にフィルム状回路接続材料を加熱して、熱硬化性樹脂組成物を硬化させる方法が記載されている。
特開2005−235530号公報
特許文献1に記載の接続構造体の製造方法では、電極間の電気的な接続の際に、異方性導電材料中の導電性粒子を除く成分が、導電性粒子と電極との間から十分に排除されないことがある。このため、得られる接続構造体の導通信頼性が低いことがある。
さらに、特許文献1に記載の接続構造体の製造方法では、接続対象部材上に配置された異方性導電材料に含まれている導電性粒子が、硬化前に大きく流動することがある。このため、導電性粒子を特定の領域に配置できないことがある。さらに、接続されるべき上下の電極間に導電性粒子を配置できなかったり、接続されてはならない隣接する電極間が複数の導電性粒子を介して電気的に接続されたりすることがある。このことによっても、得られる接続構造体の導通信頼性が低くなるという問題がある。
本発明の目的は、電極間の導通信頼性を高めることができる接続構造体の製造方法を提供することである。
本発明の広い局面によれば、電極を上面に有する第1の接続対象部材上に、硬化性化合物と、熱硬化剤と、光硬化開始剤と、導電性粒子とを含有する異方性導電材料を用いた異方性導電材料層を配置する工程と、上記異方性導電材料層に、該異方性導電材料層の一方の表面側から光を照射することにより硬化を進行させて、上記異方性導電材料層をBステージ化する工程と、Bステージ化された異方性導電材料層の上面に、電極を下面に有する第2の接続対象部材をさらに積層する工程とを備え、上記異方性導電材料層をBステージ化する工程において、上記一方の表面側の厚み1/2の領域における異方性導電材料層部分の硬化率を35%以下にし、上記一方の表面側と反対の他方の表面側の厚み1/2の領域における異方性導電材料層部分の硬化率を25%以上にし、かつ空気に触れている表面側の厚み1/2の領域における異方性導電材料層部分の硬化率が上記第1の接続対象部材に触れている表面側の厚み1/2の領域における異方性導電材料層部分の硬化率よりも低い、接続構造体の製造方法が提供される。
また、本発明の広い局面によれば、電極を上面に有する第1の接続対象部材上に、硬化性化合物と、熱硬化剤と、光硬化開始剤と、導電性粒子とを含有する異方性導電材料を用いた異方性導電材料層を配置する工程と、上記異方性導電材料層に、該異方性導電材料層の一方の表面側から光を照射することにより硬化を進行させて、上記異方性導電材料層をBステージ化する工程と、Bステージ化された異方性導電材料層の上面に、電極を下面に有する第2の接続対象部材をさらに積層する工程とを備え、上記異方性導電材料層をBステージ化する工程において、上記導電性粒子により光が遮られずに光が照射された異方性導電材料層部分の硬化率を20%以上にし、かつ上記導電性粒子により光が遮られて光が直接照射されなかった異方性導電材料層部分の硬化率を10%以下にする、接続構造体の製造方法が提供される。
本発明に係る接続構造体の製造方法のある特定の局面では、上記異方性導電材料として、熱硬化性化合物と光硬化性化合物と熱硬化剤と光硬化開始剤と導電性粒子とを含む異方性導電材料が用いられる。
本発明に係る接続構造体の製造方法の他の特定の局面では、上記異方性導電材料として、上記光硬化性化合物と上記熱硬化性化合物とを重量比で、1:99〜50:50で含む異方性導電材料が用いられる。
本発明に係る接続構造体の製造方法では、上記異方性導電材料として、異方性導電フィルムを用いてもよく、異方性導電ペーストを用いてもよい。本発明に係る接続構造体の製造方法では、上記異方性導電材料として、異方性導電ペーストを用いることが好ましい。
本発明に係る接続構造体の製造方法では、硬化性化合物と熱硬化剤と光硬化開始剤と導電性粒子とを含む異方性導電材料を用いた異方性導電材料層に、該異方性導電材料層の一方の表面側から光を照射することにより硬化を進行させて、上記異方性導電材料層をBステージ化するので、更に、上記異方性導電材料層をBステージ化する際に、一方の表面側の厚み1/2の領域における異方性導電材料層部分の硬化率を35%以下にし、他方の表面側の厚み1/2の領域における異方性導電材料層部分の硬化率を25%以上にし、かつ空気に触れている表面側の厚み1/2の領域における異方性導電材料層部分の硬化率を第1の接続対象部材に触れている表面側の厚み1/2の領域における異方性導電材料層部分の硬化率よりも低くするので、第1,第2の接続対象部材における電極間の接続時に、異方性導電材料中の導電性粒子を除く成分を、電極と導電性粒子との間から排除して、電極と導電性粒子とを精度よく接触させることができる。このため、接続構造体における電極間の導通信頼性を高めることができる。
本発明に係る接続構造体の製造方法では、硬化性化合物と熱硬化剤と光硬化開始剤と導電性粒子とを含む異方性導電材料を用いた異方性導電材料層に、該異方性導電材料層の一方の表面側から光を照射することにより硬化を進行させて、上記異方性導電材料層をBステージ化するので、更に、上記異方性導電材料層をBステージ化する際に、上記導電性粒子により光が遮られずに光が照射された異方性導電材料層部分の硬化率を20%以上にし、かつ上記導電性粒子により光が遮られて光が直接照射されなかった異方性導電材料層部分の硬化率を10%以下にするので、第1,第2の接続対象部材における電極間の接続時に、異方性導電材料中の導電性粒子を除く成分を、電極と導電性粒子との間から排除して、電極と導電性粒子とを精度よく接触させることができる。このため、接続構造体における電極間の導通信頼性を高めることができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る接続構造体の製造方法により得られた接続構造体を模式的に示す部分切欠正面断面図である。 図2(a)〜(c)は、本発明の一実施形態に係る接続構造体の製造方法の各工程を説明するための部分切欠正面断面図である。 図3(a)及び(b)は、光が照射され、Bステージ化した異方性導電材料層における硬化率が異なる領域を説明するための模式図である。 図4は、電極に形成された凹部を説明するための模式図である。
以下、図面を参照しつつ本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
図1に、本発明の一実施形態に係る接続構造体の製造方法により得られた接続構造体を模式的に部分切欠正面断面図で示す。
図1に示す接続構造体1は、第1の接続対象部材2と、第2の接続対象部材4と、第1,第2の接続対象部材2,4を接続している接続部3とを備える。接続部3は、硬化物層である。接続部3は、硬化性化合物と熱硬化剤と光硬化開始剤と導電性粒子5とを含む異方性導電材料を硬化させることにより形成されている。上記異方性導電材料は、複数の導電性粒子5を含む。
第1の接続対象部材2は上面2aに、複数の電極2bを有する。第2の接続対象部材4は下面4aに、複数の電極4bを有する。電極2bと電極4bとが、1つ又は複数の導電性粒子5により電気的に接続されている。
接続構造体1では、第1の接続対象部材2としてガラス基板が用いられており、第2の接続対象部材4として半導体チップが用いられている。第1,第2の接続対象部材は、特に限定されない。第1,第2の接続対象部材としては、具体的には、半導体チップ、コンデンサ及びダイオード等の電子部品、並びにプリント基板、フレキシブルプリント基板、ガラス基板及びガラスエポキシ基板等の回路基板等が挙げられる。上記異方性導電材料は、電子部品又は回路基板の接続に用いられる異方性導電材料であることが好ましい。
図1に示す接続構造体1は、例えば、以下のようにして得ることができる。
図2(a)に示すように、電極2bを上面2aに有する第1の接続対象部材2を用意する。次に、第1の接続対象部材2の上面2aに、硬化性化合物と熱硬化剤と光硬化開始剤と導電性粒子5を含む異方性導電材料を用いて、第1の接続対象部材2の上面2aに異方性導電材料層3Aを配置する。このとき、電極2b上に、1つ又は複数の導電性粒子5が配置されていることが好ましい。上記異方性導電材料として異方性導電ペーストを用いる場合には、異方性導電ペーストの配置は、異方性導電ペーストの塗布により行われる。また、上記異方性導電材料層は、異方性導電ペースト層になる。
次に、異方性導電材料層3Aに光を照射することにより、異方性導電材料層3Aの硬化を進行させる。異方性導電材料層3Aの硬化を進行させて、異方性導電材料層3AをBステージ化する。図2(b)に示すように、異方性導電材料層3AのBステージ化により、第1の接続対象部材2の上面2aに、Bステージ化された異方性導電材料層3Bを形成する。
異方性導電材料層3A及びBステージ化された異方性導電材料層3Bの厚み(平均厚み)は、好ましくは10μm以上、好ましくは100μm以下である。COG用途においては、異方性導電材料層3A及びBステージ化された異方性導電材料層3Bの厚み(平均厚み)は、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上、好ましくは30μm以下、より好ましくは25μm以下である。FOG用途においては、異方性導電材料層3A及びBステージ化された異方性導電材料層3Bの厚み(平均厚み)は、好ましくは30μm以上、より好ましくは40μm以上、好ましくは70μm以下、より好ましくは60μm以下である。
異方性導電材料層3Aの硬化を進行させて、異方性導電材料層3AをBステージ化する際に、一方の表面(第1の表面3a)側の厚み1/2の領域における異方性導電材料層部分3Ba(図3(a)参照、破線の上側の領域)の硬化率(1)を35%以下にし、一方の表面(第1の表面3a)側と反対の他方の表面(第2の表面3b)側の厚み1/2の領域における異方性導電材料層部分3Bb(図3(a)参照、破線の下側の領域)の硬化率(2)を25%以上にし、かつ空気に触れている表面(第1の表面3a)側の厚み1/2の領域における異方性導電材料層部分3Baの硬化率(1)を第1の接続対象部材2に触れている表面(第2の表面3b)側の厚み1/2の領域における異方性導電材料層部分3Bbの硬化率(2)よりも低くすることが好ましい。光Xが入射した一方の表面(第1の表面3a)は、異方性導電材料層3Aにおける光が入射する側の表面である。異方性導電材料層部分3Ba,3Bbの硬化率(1),(2)を上記のように制御することによって、異方性導電材料層中の導電性粒子を除く成分を電極と導電性粒子との間から排除して、電極と導電性粒子とを効果的に接触させることができる。さらに、異方性導電材料層部分3Ba,3Bbの硬化率(1),(2)を上記のように制御することによって、電極に導電性粒子が押し込まれた凹部を形成することができる。図4に示すように、導電性粒子5が押し込まれることによって、電極2bに凹部2cを形成することも可能である。従って、得られる接続構造体における電極間の導通信頼性を高めることができる。なお、上記導電性粒子を除く成分としては、硬化性化合物、熱硬化剤及び光硬化開始剤等が挙げられる。
さらに、異方性導電材料層3Aの硬化を進行させて、異方性導電材料層3AをBステージ化する際に、導電性粒子5により光が遮られずに光Xが照射された異方性導電材料層部分3Be(図3(b)参照、導電性粒子5の下方の2本の破線間部分を除く領域)の硬化率(3)を20%以上にし、かつ導電性粒子5により光が遮られて光Xが直接照射されなかった異方性導電材料層部分3Bf(図3(b)参照、導電性粒子5の下方の2本の破線間部分の領域)の硬化率(4)を10%以下にすることが好ましい。異方性導電材料層部分3Be,3Bfの硬化率(3),(4)を上記のように制御することによって、異方性導電材料層中の導電性粒子を除く成分を電極と導電性粒子との間から排除して、電極と導電性粒子とを効果的に接触させることができる。特に、導電性粒子5と電極2bとの間に存在する異方性導電材料層3B中の導電性粒子5を除く成分を効果的に排除することができる。さらに、異方性導電材料層部分3Be,3Bfの硬化率(3),(4)を上記のように制御することによって、電極に導電性粒子が押し込まれた凹部を形成することができる。図4に示すように、導電性粒子5が押し込まれることによって、電極2bに凹部2cを形成することも可能である。従って、得られる接続構造体における電極間の導通信頼性を高めることができる。
さらに、異方性導電材料層部分3Ba,3Bb,3Be,3Bfの硬化率(1)〜(4)を上記のように制御することによって、異方性導電材料層に含まれている導電性粒子の流動を充分に抑制できる。すなわち、硬化率が上記下限以上である異方性導電材料層部分3Bb,3Beの硬化率(2),(3)を比較的高くすることによって、導電性粒子の流動を充分に抑制できる。このため、電極間に、導電性粒子が配置されやすくなる。さらに、第1の接続対象部材又は第2の接続対象部材の外周面よりも側方の領域に、導電性粒子が意図せずに流動するのを抑制できる。このため、第1,第2の接続対象部材の電極間を電気的に接続した場合に、導通信頼性を高めることができる。例えば、接続されるべき上下の電極間を導電性粒子により容易に接続でき、かつ接続されてはならない隣り合う電極間が複数の導電性粒子を介して接続されるのを抑制できる。
異方性導電材料層部分3Ba,3Bb,3Be,3Bfの硬化率(1)〜(4)は、異方性導電材料に含まれている成分の種類及び含有量などにより制御可能であり、特に導電性粒子の平均粒子径及び含有量により容易に制御可能である。
接続構造体における電極間の導通信頼性を効果的に高めるために、異方性導電材料層部分3Baの上記硬化率(1)は、35%以下であり、好ましくは20%以下、0%以上である。
接続構造体における電極間の導通信頼性を効果的に高めるために、異方性導電材料層部分3Bbの上記硬化率(2)は、25%以上であり、好ましくは30%以上、100%以下である。
接続構造体における電極間の導通信頼性を効果的に高めるために、異方性導電材料層部分3Beの上記硬化率(3)は、20%以上であり、好ましくは30%以上、100%以下である。
接続構造体における電極間の導通信頼性を効果的に高めるために、異方性導電材料層部分3Bfの上記硬化率(4)は、10%以下であり、好ましくは5%以下、0%以上である。
なお、本明細書において、上記硬化率とは、IR(赤外分光法)を使用して反応性官能基の官能基量を測定し下記式より計算される値を意味する。
硬化率(%)=(1−(光照射後の異方性導電材料の官能基量/光照射前の異方性導電材料の官能基量))×100
第1の接続対象部材2の上面2aに、異方性導電材料を配置しながら、異方性導電材料層3Aに光を照射することが好ましい。さらに、第1の接続対象部材2の上面2aへの異方性導電材料の配置と同時に、又は配置の直後に、異方性導電材料層3Aに光を照射することも好ましい。配置と光の照射とが上記のように行われた場合には、異方性導電材料層3Aの流動をより一層抑制できる。このため、得られた接続構造体1における導通信頼性をより一層高めることができる。第1の接続対象部材2の上面2aに異方性導電材料を配置してから光を照射するまでの時間は、0秒以上、好ましくは3秒以下、より好ましくは2秒以下である。
光の照射により異方性導電材料層3AをBステージ化させるために、異方性導電材料層3Aの硬化を適度に進行させるための光照射強度は、例えば、好ましくは0.1〜100mW/cm程度である。また、異方性導電材料層3Aの硬化を適度に進行させるための光の照射エネルギーは、例えば、好ましくは100〜10000mJ/cm程度である。
光を照射する際に用いる光源は特に限定されない。該光源としては、例えば、波長420nm以下に充分な発光分布を有する光源等が挙げられる。また、光源の具体例としては、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ及びLEDランプ等が挙げられる。
次に、図2(c)に示すように、Bステージ化された異方性導電材料層3Bの第1の表面3aに、第2の接続対象部材4を積層する。第1の接続対象部材2の上面2aの電極2bと、第2の接続対象部材4の下面4aの電極4bとが対向するように、第2の接続対象部材4を積層する。
さらに、第2の接続対象部材4の積層の際に、異方性導電材料層3Bに熱を付与することにより、異方性導電材料層3Bをさらに硬化させ、接続部3を形成する。ただし、第2の接続対象部材4の積層の前に、異方性導電材料層3Bに熱を付与してもよい。第2の接続対象部材4の積層の後に、異方性導電材料層3Bに熱を付与し完全に硬化させることが好ましい。
熱の付与により異方性導電材料層3Bを硬化させる場合には、異方性導電材料層3Bを充分に硬化させるための加熱温度は好ましくは160℃以上、好ましくは250℃以下、より好ましくは200℃以下である。
異方性導電材料層3Bを硬化させる際に、加圧することが好ましい。加圧によって電極2bと電極4bとで導電性粒子5を圧縮することにより、電極2b,4bと導電性粒子5との接触面積を大きくすることができる。このため、導通信頼性を高めることができる。
異方性導電材料層3Bを硬化させることにより、第1の接続対象部材2と第2の接続対象部材4とが、接続部3を介して接続される。また、電極2bと電極4bとが、導電性粒子5を介して電気的に接続される。このようにして、図1に示す接続構造体1を得ることができる。本実施形態では、光硬化と熱硬化とが併用されているため、異方性導電材料を短時間で硬化させることができる。
上記異方性導電材料は、異方性導電フィルムであってもよく、異方性導電ペーストであってもよい。上記異方性導電材料は、ペースト状の異方性導電ペーストであることが好ましい。異方性導電ペーストを用いる場合には、異方性導電フィルムを用いる場合と比較して、導電性粒子が流動しやすく、導通信頼性が低くなる傾向がある。本発明に係る接続構造体により、異方性導電ペーストを用いたとしても、導通信頼性を十分に高めることができる。
本発明に係る接続構造体の製造方法は、例えば、フレキシブルプリント基板とガラス基板との接続(FOG(Film on Glass))、半導体チップとフレキシブルプリント基板との接続(COF(Chip on Film))、半導体チップとガラス基板との接続(COG(Chip on Glass))、又はフレキシブルプリント基板とガラスエポキシ基板との接続(FOB(Film on Board))等に使用できる。なかでも、本発明に係る接続構造体の製造方法は、COG又はFOG用途に好適であり、COG用途により好適である。本発明に係る接続構造体の製造方法では、上記第1の接続対象部材と上記第2の接続対象部材として、半導体チップとガラス基板とを用いることが好ましい。
COG用途では、特に、半導体チップとガラス基板との電極間を、異方性導電材料の導電性粒子により確実に接続することが困難なことが多い。例えば、COG用途の場合には、半導体チップの隣り合う電極間、及びガラス基板の隣り合う電極間の間隔が10〜20μm程度であることがあり、微細な配線が形成されていることが多い。微細な配線が形成されていても、本発明に係る接続構造体の製造方法により、導電性粒子を電極間に精度よく配置することができることから、半導体チップとガラス基板との電極間を高精度に接続することができ、導通信頼性を高めることができる。
本発明に係る接続構造体の製造方法に用いられる異方性導電材料は、硬化性化合物と、熱硬化剤と、光硬化開始剤と、導電性粒子とを含む。異方性導電材料の硬化性及び硬化率を容易に制御する観点からは、上記硬化性化合物は、熱硬化性化合物と、光硬化性化合物とを含むことが好ましい。
以下、上記異方性導電材料に含まれている各成分の詳細を説明する。
[熱硬化性化合物]
上記熱硬化性化合物は熱硬化性を有する。上記熱硬化性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記熱硬化性化合物としては、エポキシ化合物、エピスルフィド化合物、(メタ)アクリル化合物、フェノール化合物、アミノ化合物、不飽和ポリエステル化合物、ポリウレタン化合物、シリコーン化合物及びポリイミド化合物等が挙げられる。上記熱硬化性化合物は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記異方性導電材料の硬化を容易に制御したり、接続構造体における導通信頼性をより一層高めたりする観点からは、上記硬化性化合物は、エポキシ基又はチイラン基を有する熱硬化性化合物を含むことが好ましく、チイラン基を有する熱硬化性化合物を含むことがより好ましい。エポキシ基を有する熱硬化性化合物は、エポキシ化合物である。チイラン基を有する熱硬化性化合物は、エピスルフィド化合物である。異方性導電材料の硬化性を高める観点からは、上記熱硬化性化合物100重量%中、上記エポキシ基又はチイラン基を有する化合物の含有量は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上、100重量%以下である。上記熱硬化性化合物の全量が上記エポキシ基又はチイラン基を有する化合物であってもよい。
上記エピスルフィド化合物は、エポキシ基ではなくチイラン基を有するので、低温で速やかに硬化させることができる。すなわち、チイラン基を有するエピスルフィド化合物は、エポキシ基を有するエポキシ化合物と比較して、チイラン基に由来してより一層低い温度で硬化可能である。
上記エポキシ基又はチイラン基を有する熱硬化性化合物は、芳香族環を有することが好ましい。上記芳香族環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、テトラセン環、クリセン環、トリフェニレン環、テトラフェン環、ピレン環、ペンタセン環、ピセン環及びペリレン環等が挙げられる。なかでも、上記芳香族環は、ベンゼン環、ナフタレン環又はアントラセン環であることが好ましく、ベンゼン環又はナフタレン環であることがより好ましい。また、ナフタレン環は、平面構造を有するためにより一層速やかに硬化させることができるので好ましい。
[光硬化性化合物]
光の照射によって硬化するように、上記異方性導電材料は、光硬化性化合物を含むことが好ましい。光の照射により光硬化性化合物を半硬化(Bステージ化)させ、硬化性化合物の流動性を低下させることができる。
上記光硬化性化合物としては特に限定されず、(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物及び環状エーテル基を有する光硬化性化合物等が挙げられる。
上記光硬化性化合物は、(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物であることが好ましい。(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物の使用により、Bステージ化した異方性導電材料層の各部分における硬化率を好適な範囲に制御することが容易になり、得られる接続構造体の導通信頼性をより一層高めることができる。
Bステージ化した異方性導電材料層の硬化率を容易に制御し、更に得られる接続構造体の導通信頼性をより一層高める観点からは、上記光硬化性化合物は、(メタ)アクリロイル基を1個又は2個有することが好ましい。
上記(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物としては、エポキシ基及びチイラン基を有さず、かつ(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物、及びエポキシ基又はチイラン基を有し、かつ(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物が挙げられる。
上記(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物として、(メタ)アクリル酸と水酸基を有する化合物とを反応させて得られるエステル化合物、(メタ)アクリル酸とエポキシ化合物とを反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート、又はイソシアネートに水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート等が好適に用いられる。上記「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基とメタクリロイル基とを示す。上記「(メタ)アクリル」は、アクリルとメタクリルとを示す。上記「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートとを示す。
上記(メタ)アクリル酸と水酸基を有する化合物とを反応させて得られるエステル化合物は特に限定されない。該エステル化合物として、単官能のエステル化合物、2官能のエステル化合物及び3官能以上のエステル化合物のいずれも用いることができる。
上記エポキシ基又はチイラン基を有し、かつ(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物は、エポキシ基を2個以上又はチイラン基を2個以上有する化合物の一部のエポキシ基又は一部のチイラン基を、(メタ)アクリロイル基に変換することにより得られた光硬化性化合物であることが好ましい。このような光硬化性化合物は、部分(メタ)アクリレート化エポキシ化合物又は部分(メタ)アクリレート化エピスルフィド化合物である。
光硬化性化合物は、エポキシ基を2個以上又はチイラン基を2個以上有する化合物と、(メタ)アクリル酸との反応物であることが好ましい。この反応物は、エポキシ基を2個以上又はチイラン基を2個以上有する化合物と(メタ)アクリル酸とを、常法に従って塩基性触媒の存在下で反応することにより得られる。エポキシ基又はチイラン基の20%以上が(メタ)アクリロイル基に変換(転化率)されていることが好ましい。該転化率は、より好ましくは30%以上、好ましくは80%以下、より好ましくは70%以下である。エポキシ基又はチイラン基の40%以上、60%以下が(メタ)アクリロイル基に変換されていることが最も好ましい。
上記部分(メタ)アクリレート化エポキシ化合物としては、ビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート、クレゾールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート、カルボン酸無水物変性エポキシ(メタ)アクリレート、及びフェノールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
光硬化性化合物として、エポキシ基を2個以上又はチイラン基を2個以上有するフェノキシ樹脂の一部のエポキシ基又は一部のチイラン基を(メタ)アクリロイル基に変換した変性フェノキシ樹脂を用いてもよい。すなわち、エポキシ基又はチイラン基と(メタ)アクリロイル基とを有する変性フェノキシ樹脂を用いてもよい。
また、上記光硬化性化合物は、架橋性化合物であってもよく、非架橋性化合物であってもよい。
上記架橋性化合物の具体例としては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、グリセリンメタクリレートアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸ビニル、ジビニルベンゼン、ポリエステル(メタ)アクリレート、及びウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記非架橋性化合物の具体例としては、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート及びテトラデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
光硬化性化合物と熱硬化性化合物との配合比は、光硬化性化合物と熱硬化性化合物との種類に応じて適宜調整される。上記異方性導電材料は、光硬化性化合物と熱硬化性化合物とを重量比で、1:99〜90:10で含むことが好ましく、5:95〜70:30で含むことがより好ましく、10:90〜50:50で含むことが更に好ましい。上記異方性導電材料は、光硬化性化合物と熱硬化性化合物とを重量比で、1:99〜50:50で含むことが特に好ましい。
(熱硬化剤)
上記熱硬化剤は特に限定されない。上記熱硬化剤として、従来公知の熱硬化剤を用いることができる。上記熱硬化剤としては、イミダゾール硬化剤、アミン硬化剤、フェノール硬化剤、ポリチオール硬化剤及び酸無水物等が挙げられる。上記熱硬化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
異方性導電材料を低温でより一層速やかに硬化させることができるので、上記熱硬化剤は、イミダゾール硬化剤、ポリチオール硬化剤又はアミン硬化剤であることが好ましい。また、異方性導電材料の保存安定性を高めることができるので、潜在性の硬化剤が好ましい。該潜在性の硬化剤は、潜在性イミダゾール硬化剤、潜在性ポリチオール硬化剤又は潜在性アミン硬化剤であることが好ましい。上記熱硬化剤は、ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂等の高分子物質で被覆されていてもよい。
上記イミダゾール硬化剤としては、特に限定されず、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン及び2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物等が挙げられる。
上記ポリチオール硬化剤としては、特に限定されず、トリメチロールプロパン トリス−3−メルカプトプロピオネート、ペンタエリスリトール テトラキス−3−メルカプトプロピオネート及びジペンタエリスリトール ヘキサ−3−メルカプトプロピオネート等が挙げられる。
上記アミン硬化剤としては、特に限定されず、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラスピロ[5.5]ウンデカン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、メタフェニレンジアミン及びジアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。
上記熱硬化剤の含有量は特に限定されない。上記硬化性化合物中の上記熱硬化性化合物100重量部に対して、上記熱硬化剤の含有量は、好ましくは5重量部以上、より好ましくは10重量部以上、好ましくは40重量部以下、より好ましくは30重量部以下、更に好ましくは20重量部以下である。上記熱硬化剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、異方性導電材料を充分に熱硬化させることができる。
(光硬化開始剤)
上記光硬化開始剤は特に限定されない。上記光硬化開始剤として、従来公知の光硬化開始剤を用いることができる。上記光硬化開始剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記光硬化開始剤としては、特に限定されず、アセトフェノン光硬化開始剤、ベンゾフェノン光硬化開始剤、ベンゾインエーテル光硬化開始剤、チオキサンソン光硬化開始剤、ケタール光硬化開始剤、ハロゲン化ケトン、アシルホスフィノキシド及びアシルホスフォナート等が挙げられる。
上記アセトフェノン光硬化開始剤の具体例としては、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、及び2−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルアセトフェノン等が挙げられる。上記ベンゾフェノン光硬化開始剤の具体例としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン等が挙げられる。上記ベンゾインエーテル光硬化開始剤の具体例としては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル及びベンゾインイソブチルエーテル等が挙げられる。上記チオキサンソン光硬化開始剤の具体例としては、チオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、2−イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジクロロチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン及び2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等が挙げられる。上記ケタール光硬化開始剤の具体例としては、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
上記光硬化開始剤の含有量は特に限定されない。上記硬化性化合物中の上記光硬化性化合物100重量部に対して、上記光硬化開始剤の含有量は、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは0.2重量部以上、好ましくは2重量部以下、より好ましくは1重量部以下である。上記光硬化開始剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、異方性導電材料を適度に光硬化させることができる。異方性導電材料に光を照射し、Bステージ化することにより、異方性導電材料の流動を抑制できる。
(導電性粒子)
上記異方性導電材料に含まれている導電性粒子は、第1,第2の接続対象部材の電極間を電気的に接続する。上記導電性粒子は、導電性を有する粒子であれば特に限定されない。導電性粒子の導電層の表面が絶縁層により被覆されていてもよい。この場合には、接続対象部材の接続時に、導電層と電極との間の絶縁層が排除される。上記導電性粒子としては、例えば、有機粒子、無機粒子、有機無機ハイブリッド粒子もしくは金属粒子等の表面を金属層で被覆した導電性粒子、並びに実質的に金属のみで構成される金属粒子等が挙げられる。上記金属層は特に限定されない。上記金属層としては、金層、銀層、銅層、ニッケル層、パラジウム層及び錫を含有する金属層等が挙げられる。
電極間の導通信頼性をより一層高める観点からは、上記導電性粒子は、樹脂粒子と、該樹脂粒子の表面上に設けられた導電層とを有することが好ましい。
導電性粒子の平均粒子径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、好ましくは100μm以下、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは15μm以下である。
導電性粒子の「平均粒子径」は、数平均粒子径を示す。導電性粒子の平均粒子径は、任意の導電性粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することにより求められる。
上記導電性粒子の含有量は特に限定されない。異方性導電材料100重量%中、上記導電性粒子の含有量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、更に好ましくは1重量%以上、好ましくは40重量%以下、より好ましくは30重量%以下、更に好ましくは19重量%以下である。上記導電性粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、接続されるべき上下の電極間に導電性粒子を容易に配置できる。さらに、接続されてはならない隣接する電極間が複数の導電性粒子を介して電気的に接続され難くなる。すなわち、隣り合う電極間の短絡をより一層防止できる。
(他の成分)
上記異方性導電材料は、フィラーを含むことが好ましい。フィラーの使用により、異方性導電材料の硬化物の潜熱膨張を抑制できる。上記フィラーの具体例としては、シリカ、窒化アルミニウム及びアルミナ等が挙げられる。フィラーは1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記異方性導電材料は、硬化促進剤をさらに含むことが好ましい。硬化促進剤の使用により、硬化速度をより一層速くすることができる。硬化促進剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記硬化促進剤の具体例としては、イミダゾール硬化促進剤及びアミン硬化促進剤等が挙げられる。なかでも、イミダゾール硬化促進剤が好ましい。なお、イミダゾール硬化促進剤又はアミン硬化促進剤は、イミダゾール硬化剤又はアミン硬化剤としても用いることができる。
上記異方性導電材料は、溶剤を含んでいてもよい。該溶剤の使用により、異方性導電材料の粘度を容易に調整できる。上記溶剤としては、例えば、酢酸エチル、メチルセロソルブ、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、テトラヒドロフラン及びジエチルエーテル等が挙げられる。
以下、本発明について、実施例および比較例を挙げて具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
実施例及び比較例では、以下の導電性粒子を用いた。
導電性粒子A(平均粒子径10μm、ジビニルベンゼン樹脂粒子の表面にニッケルめっき層が形成されており、かつ該ニッケルめっき層の表面に金めっき層が形成されている金属層を有する)
導電性粒子B(平均粒子径30μm、ジビニルベンゼン樹脂粒子の表面にニッケルめっき層が形成されており、かつ該ニッケルめっき層の表面に金めっき層が形成されている金属層を有する)
導電性粒子C(平均粒子径50μm、ジビニルベンゼン樹脂粒子の表面にニッケルめっき層が形成されており、かつ該ニッケルめっき層の表面に金めっき層が形成されている金属層を有する)
導電性粒子D(平均粒子径3μm、ジビニルベンゼン樹脂粒子の表面にニッケルめっき層が形成されており、かつ該ニッケルめっき層の表面に金めっき層が形成されている金属層を有する)
(実施例1)
(1)異方性導電ペーストの調製
下記式(1B)で表される構造を有するエピスルフィド化合物を用意した。
Figure 2012222282
上記エピスルフィド化合物15重量部に、熱硬化剤であるアミンアダクト(味の素ファインテクノ社製「PN−23J」)4重量部と、光硬化性化合物であるエポキシアクリレート(ダイセル・サイテック社製「EBECRYL3702」)8重量部と、光重合開始剤であるアシルホスフィンオキサイド系化合物(チバ・ジャパン社製「DAROCUR TPO」)0.2重量部と、硬化促進剤である2−エチル−4−メチルイミダゾール1重量部と、フィラーであるアルミナ(平均粒子径0.5μm)10重量部とを配合し、さらに導電性粒子A(平均粒子径10μm)を異方性導電ペースト100重量%中での含有量が10重量%となるように添加した後、遊星式攪拌機を用いて2000rpmで5分間攪拌することにより、異方性導電ペーストを得た。
(2)接続構造体の作製
L/Sが15μm/15μmのAl−4%Ti電極パターンが上面に形成された透明ガラス基板(第1の接続対象部材)を用意した。また、L/Sが15μm/15μm、1電極あたりの電極面積が1500μmの銅電極パターンが下面に形成された半導体チップ(第2の接続対象部材)を用意した。
上記透明ガラス基板上に、得られた異方性導電ペーストを厚さ20μmとなるように塗工し、異方性導電ペースト層を形成した。次に、紫外線照射ランプを用いて、照射エネルギーが1000mJ/cmとなるように、異方性導電ペースト層に該異方性導電ペースト層の主面に対して紫外線が垂直に入射するように上方から紫外線を照射し、光重合によって異方性導電ペースト層を半硬化させ、Bステージ化した。次に、異方性導電ペースト層上に上記半導体チップを、電極同士が対向するように積層した。その後、異方性導電ペースト層の温度が185℃となるようにヘッドの温度を調整しながら、半導体チップの上面に加圧加熱ヘッドを載せ、3MPaの圧力をかけて異方性導電ペースト層を185℃で完全硬化させ、接続構造体を得た。
(実施例2)
異方性導電ペーストの調製の際に、導電性粒子A(平均粒子径10μm)を、導電性粒子B(平均粒子径30μm)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電ペーストを得た。得られた異方性導電ペーストを用いたこと以外は実施例1と同様にして、接続構造体を得た。
(実施例3)
異方性導電ペーストの調製の際に、導電性粒子A(平均粒子径10μm)を、導電性粒子C(平均粒子径50μm)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電ペーストを得た。得られた異方性導電ペーストを用いたこと以外は実施例1と同様にして、接続構造体を得た。
(実施例4)
異方性導電ペーストの調製の際に、導電性粒子Aを異方性導電ペースト100重量%中での含有量を15重量%となるように用いたこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電ペーストを得た。得られた異方性導電ペーストを用いたこと以外は実施例1と同様にして、接続構造体を得た。
(実施例5)
異方性導電ペーストの調製の際に、導電性粒子Aを異方性導電ペースト100重量%中での含有量を20重量%となるように用いたこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電ペーストを得た。得られた異方性導電ペーストを用いたこと以外は実施例1と同様にして、接続構造体を得た。
(実施例6)
異方性導電ペーストの調製の際に、エポキシアクリレートをウレタンアクリレート(ダイセル・サイテック社製「EBECRYL8804」)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電ペーストを得た。得られた異方性導電ペーストを用いたこと以外は実施例1と同様にして接続構造体を得た。
(実施例7)
異方性導電ペーストの調製の際に、エポキシアクリレートをトリシクロデカンジメタノールジアクリレート(ダイセル・サイテック社製「IRR−214K」)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電ペーストを得た。得られた異方性導電ペーストを用いたこと以外は実施例1と同様にして接続構造体を得た。
(実施例8)
下記式(2B)で表されるエピスルフィド化合物を用意した。
Figure 2012222282
上記式(1B)で表されるエピスルフィド化合物を、上記式(2B)で表されるエピスルフィド化合物に変更したこと以外は実施例1と同様にして、接続構造体を得た。
(実施例9〜12及び比較例1〜2)
接続構造体を作製する際に、紫外線を下記の表1に示す照射エネルギーとなるように異方性導電ペースト層に照射したこと以外は実施例1と同様にして、接続構造体を得た。
(実施例13)
異方性導電ペーストの調製の際に、導電性粒子A(平均粒子径10μm)を、導電性粒子D(平均粒子径3μm)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電ペーストを得た。得られた異方性導電ペーストを用いたこと以外は実施例1と同様にして、接続構造体を得た。
(実施例14)
異方性導電ペーストの調製の際に、導電性粒子Aを異方性導電ペースト100重量%中での含有量を5重量%となるように用いたこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電ペーストを得た。得られた異方性導電ペーストを用いたこと以外は実施例1と同様にして、接続構造体を得た。
(比較例3)
異方性導電ペーストの調製の際に、エポキシアクリレートと、光重合開始剤であるアシルホスフィンオキサイド系化合物とを用いなかったこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電ペーストを得た。得られた異方性導電ペースト100重量%中、導電性粒子Aの含有量は10重量%であった。
L/Sが15μm/15μmのAl−4%Ti電極パターンが上面に形成された透明ガラス基板(第1の接続対象部材)を用意した。また、L/Sが15μm/15μm、1電極あたりの電極面積が1500μmの銅電極パターンが下面に形成された半導体チップ(第2の接続対象部材)を用意した。
上記透明ガラス基板上に、得られた異方性導電ペーストを厚さ20μmとなるように塗工し、異方性導電ペースト層を形成した。異方性導電ペーストの塗工の際及び塗工の後に光を照射しなかった。
次に、異方性導電ペースト層の上面に上記半導体チップを、電極同士が対向するように積層した。その後、異方性導電ペースト層の温度が185℃となるようにヘッドの温度を調整しながら、半導体チップの上面に加圧加熱ヘッドを載せ、3MPaの圧力をかけて異方性導電ペースト層を185℃で完全硬化させ、接続構造体を得た。
(評価)
(1)硬化率
接続構造体の製造の際に形成したBステージ化した異方性導電ペースト層における硬化率を評価した。
一方の表面(上面)側の厚み1/2の領域における異方性導電材料層部分の硬化率(1)と、異方性導電ペースト層の他方の表面(下面)側の厚み1/2の領域における異方性導電材料層部分の硬化率(2)とを測定した。測定する際に、2mm×2mmの領域において100μm間隔で5箇所の硬化率(1),(2)をそれぞれ測定して、測定値の平均値を硬化率とした。
さらに、導電性粒子により光が遮られずに光が照射された異方性導電ペースト層部分の硬化率(3)と、かつ導電性粒子により光が遮られて光が直接照射されなかった異方性導電ペースト層部分の硬化率(4)とを測定した。測定する際に、導電性粒子以外の部分の任意の5箇所の硬化率(3)と導電性粒子部分の任意の5箇所の硬化率(4)とをそれぞれ測定して、測定値の平均値を硬化率とした。
(2)圧痕状態
得られた接続構造体における100箇所の導電性粒子と電極との接続部分について、電極に形成された圧痕の状態を観察した。
偏光顕微鏡を使用し、1電極あたり(1500μmあたり)に明らかな球状の圧痕が平均25個以上確認できる場合を、良好な圧痕が形成されていると判断した。また、1電極あたり(1500μmあたり)明らかな球状の圧痕が平均5個未満確認できる場合を、圧痕の形成が不十分と判断した。圧痕状態を下記の判定基準で判定した。
[圧痕状態の判定基準]
○○:100箇所の接続部分中、明らかな球状の圧痕が平均25個以上
○:100箇所の接続部分中、明らかな球状の圧痕が平均10個以上25個未満
△:100箇所の接続部分中、明らかな球状の圧痕が平均5個以上10個未満
×:100箇所の接続部分中、明らかな球状の圧痕が平均5個未満
(3)導通信頼性(上下の電極間の導通試験)
得られた接続構造体の上下の電極間の接続抵抗をそれぞれ、4端子法により測定した。100箇所の接続抵抗の平均値を算出した。なお、電圧=電流×抵抗の関係から、一定の電流を流した時の電圧を測定することにより接続抵抗を求めることができる。
結果を下記の表1に示す。なお、下記の表1において、「−」は評価していないことを示す。
Figure 2012222282
1…接続構造体
2…第1の接続対象部材
2a…上面
2b…電極
2c…凹部
3…接続部
3a…第1の表面
3b…第2の表面
3A…異方性導電材料層
3B…Bステージ化された異方性導電材料層
3Ba,3Bb,3Be,3Bf…Bステージ化された異方性導電材料層部分
4…第2の接続対象部材
4a…下面
4b…電極
5…導電性粒子

Claims (5)

  1. 電極を上面に有する第1の接続対象部材上に、硬化性化合物と、熱硬化剤と、光硬化開始剤と、導電性粒子とを含有する異方性導電材料を用いた異方性導電材料層を配置する工程と、
    前記異方性導電材料層に、該異方性導電材料層の一方の表面側から光を照射することにより硬化を進行させて、前記異方性導電材料層をBステージ化する工程と、
    Bステージ化された異方性導電材料層の上面に、電極を下面に有する第2の接続対象部材をさらに積層する工程とを備え、
    前記異方性導電材料層をBステージ化する工程において、前記一方の表面側の厚み1/2の領域における異方性導電材料層部分の硬化率を35%以下にし、かつ前記一方の表面側と反対の他方の表面側の厚み1/2の領域における異方性導電材料層部分の硬化率を25%以上にし、かつ空気に触れている表面側の厚み1/2の領域における異方性導電材料層部分の硬化率が第1の接続対象部材に触れている表面側の厚み1/2の領域における異方性導電材料層部分の硬化率よりも低い、接続構造体の製造方法。
  2. 電極を上面に有する第1の接続対象部材上に、硬化性化合物と、熱硬化剤と、光硬化開始剤と、導電性粒子とを含有する異方性導電材料を用いた異方性導電材料層を配置する工程と、
    前記異方性導電材料層に、該異方性導電材料層の一方の表面側から光を照射することにより硬化を進行させて、前記異方性導電材料層をBステージ化する工程と、
    Bステージ化された異方性導電材料層の上面に、電極を下面に有する第2の接続対象部材をさらに積層する工程とを備え、
    前記異方性導電材料層をBステージ化する工程において、前記導電性粒子により光が遮られずに光が照射された異方性導電材料層部分の硬化率を20%以上にし、かつ前記導電性粒子により光が遮られて光が直接照射されなかった異方性導電材料層部分の硬化率を10%以下にする、接続構造体の製造方法。
  3. 前記異方性導電材料として、熱硬化性化合物と光硬化性化合物と熱硬化剤と光硬化開始剤と導電性粒子とを含む異方性導電材料を用いる、請求項1又は2に記載の接続構造体の製造方法。
  4. 前記異方性導電材料として、前記光硬化性化合物と前記熱硬化性化合物とを重量比で、1:99〜50:50で含む異方性導電材料を用いる、請求項3に記載の接続構造体の製造方法。
  5. 前記異方性導電材料として、異方性導電ペーストを用いる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の接続構造体の製造方法。
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