JP2012220357A - 検体の前処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】糞便検体を用い、免疫学的反応や遺伝子がハイブリダイズする特異性を利用して、該生体試料に含まれる種々の成分を測定する際に、正確に測定を行うために必要な糞便検体前処理液、並びにこの検体前処理液を用いた糞便に含まれる成分測定用キット及び成分測定方法を提供すること。
【解決手段】
糞便に由来する検体の前処理方法であって、前記検体を、pHが0.5〜2.9の範囲内に保たれた、Gly−HCl緩衝液、Ala−HCl緩衝液またはSer−HCl緩衝液で懸濁する工程を含むことを特徴とする検体の前処理方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、検体の前処理方法、前処理液、並びにこの検体前処理液を用いた糞便に含まれる成分測定用キット及び成分測定方法に関する。
生体試料を用い、免疫学的反応や遺伝子がハイブリダイズする特異性を利用して、該生体試料に含まれる種々の成分を測定する方法が知られている。
特開2001−235471号公報
本発明者らは、上記方法により糞便検体を測定した場合、測定項目に関係なく異常値が高率で発生する現象があることを見出した。
本発明者らが測定データを解析した結果、異常値の発生は、検出を化学発光法で行った場合に多いことが明らかになった。次いで、本発明者らは、検出系に影響を与える要因に着目して異常値が発生する原因を検討したところ、原因は、糞便に含まれるアルカリホスファターゼによるものであることがわかった。
そこで、本発明者らは、該アルカリホスファターゼの影響を排除する方法について検討し、前処理においてpHを0.5〜2.9の間で処理することによりアルカリホスファターゼの影響をなくして、測定の正確性を向上させることができることを見出し、検体の前処理方法に関する発明を完成するに至った(特願2011−82610)。
しかしながら、本発明者らがさらに検体の前処理方法について研究を重ねたところ、アルカリホスファターゼの影響が排除されているにも関わらず、なお、異常値が発生する場合があることがわかった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、糞便検体を用い、免疫学的反応や遺伝子がハイブリダイズする特異性を利用して、該生体試料に含まれる種々の成分を測定する際に、正確に測定を行うために必要な糞便検体前処理液、並びにこの検体前処理液を用いた糞便に含まれる成分測定用キット及び成分測定方法を提供することを目的としている。
本発明者らは、異常値が発生する原因についてさらに検討し、前処理においてpHを0.5〜2.9の間で処理するにあたり、検体を、pHが0.5〜2.9の範囲内に保たれた、Gly−HCl緩衝液、Ala−HCl緩衝液またはSer−HCl緩衝液で懸濁することにより、測定の正確性をさらに向上させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は以下の構成からなる。
[項1]
糞便に由来する検体の前処理方法であって、前記検体を、pHが0.5〜2.9の範囲内に保たれた、Gly−HCl緩衝液、Ala−HCl緩衝液またはSer−HCl緩衝液で懸濁する工程を含むことを特徴とする検体の前処理方法。
[項2]
請求項1で処理した懸濁液のpHを6.0〜8.0の間になるよう調整する工程を含む、請求項1に記載の前処理方法。
[項3]
pHの調整にTricine−NaOH緩衝液を用いる、請求項2に記載の前処理方法。
[項4]
前記前処理方法が、免疫学的反応、または、遺伝子がハイブリダイズする相互作用の特異性を利用して、糞便に由来する検体に含まれる目的成分を測定する方法のために用いられる、請求項1〜3のいずれかに記載の前処理方法。
[項5]
前記の目的成分測定法が、検出系に化学発光反応を用いる方法である、請求項4に記載の検体前処理方法。
[項6]
前記の目的成分測定法が、酵素免疫測定法である、請求項4または5に記載の検体前処理方法。
[項7]
前記の目的成分が、Rotaウイルスである、請求項4〜7のいずれかに記載の検体前処理方法。
[項8]
請求項1に記載の前処理方法であって、以下の(1)〜(3)の工程を含むことを特徴とする検体の前処理方法。
(1)前記検体を検体抽出液に懸濁し懸濁液とする工程
(2)前記懸濁液のpHを0.5〜2.9の間になるようGly−HCl緩衝液、Ala−HCl緩衝液またはSer−HCl緩衝液で調整する工程
(3)(2)で処理した懸濁液のpHを6.0〜8.0の間になるよう調整する工程
[項9]
糞便に由来する検体に含まれる目的成分を測定する方法であって、以下の(1)および(2)の工程を含むことを特徴とする目的成分測定法。
(1)糞便に由来する検体を、請求項1〜8のいずれかに記載の検体前処理方法で、処理する工程
(2)免疫学的反応、または、遺伝子がハイブリダイズする相互作用の特異性を利用して、糞便に由来する検体に含まれる目的成分を測定する工程
[項10]
前記の目的成分測定法が、検出系に化学発光反応を用いる方法である、請求項9に記載の目的成分測定法。
[項11]
前記の目的成分測定法が、酵素免疫測定法である、請求項9または10に記載の目的成分測定法。
[項12]
前記の酵素免疫測定法が、以下の(A)に記載された(a)から(e)の工程、または、(B)に記載された(a)から(d)の工程を含む方法である、請求項11に記載の目的成分測定法。
(A)
(a)目的成分を含む処理検体と、該目的成分に特異的に結合する第一の抗体にリガンドが結合された結合体(試薬1)を含む溶液とを接触させて、試薬1と該目的成分との複合体を溶液中にて形成する工程。
(b)該複合体を含む溶液を、上記リガンドの補捉剤が結合された多孔性フィルタの表面に滴下して、該複合体のリガンド部分を、該リガンド補捉剤に結合させる工程。
(c)多孔性フィルタの表面に、上記目的成分に特異的に結合する、酵素で標識された第二の抗体(試薬2)の溶液を滴下して、試薬2を、リガンド補捉剤とリガンド部分とを介して多孔性フィルタに結合している第一の抗体と目的成分との複合体に結合させる工程。
(d)多孔性フィルタを洗浄することにより、多孔性フィルタに結合していない試薬を除去する工程。
(e)多孔性フィルタに結合した酵素の活性を、発光基質を用いて測定する工程。
(B)
(a)目的成分を含む処理検体と、該目的成分に特異的に結合する第一の抗体にリガンドが結合された結合体(試薬1)と、該目的成分に特異的に結合する第一の抗体とは別の抗体であって、第一の抗体と同じもしくは異なる部分で該目的成分に結合する第二の抗体が酵素で標識された第二の抗体(試薬2)を接触させて、試薬1と試薬2と目的成分との複合体を溶液中にて形成する工程。
(b)該複合体を含む溶液を、上記リガンドの補捉剤が結合された多孔性フィルタの表面に滴下して、該複合体のリガンド部分を、該リガンド補捉剤に結合させる工程。
(c)多孔性フィルタを洗浄することにより、多孔性フィルタに結合していない試薬を除去する工程。
(d)多孔性フィルタに結合した酵素の活性を、発光基質を用いて測定する工程。
[項13]
請求項1〜8のいずれかに記載の糞便に由来する検体の前処理方法に用いるためのセットであって、pHが0.5〜2.9の範囲内に保たれた、Gly−HCl緩衝液、Ala−HCl緩衝液またはSer−HCl緩衝液を含むことを特徴とする検体前処理用セット。
[項14]
請求項9〜12のいずれかに記載の糞便に由来する検体に含まれる目的成分を測定する方法に用いるためのキットであって、以下の(1)〜(3)の構成を含むことを特徴とするキット。
(1)請求項13に記載の検体前処理用セット
(2)前記検体に含まれる目的成分に特異的に結合する第一の抗体
(3)前記検体に含まれる目的成分に特異的に結合する第二の抗体
(4)未結合の検体・抗体を除去するための洗浄液
(5)多孔性フィルタに結合した酵素の活性を、測定するための発光基質
糞便検体を用い、免疫学的反応や遺伝子がハイブリダイズする特異性を利用して、該生体試料に含まれる種々の成分を測定する場合において、本発明の検体前処理液を用いて糞便検体を前処理することにより、正確性の高い測定が可能になる。
種々の酸処理法を用いてロタウイルス抗原を測定したときの発光強度を示す。
以下、本発明を詳述するが、これに限定されるものではない。
本発明の実施形態の一つは、糞便に由来する検体の前処理方法であって、前記検体を、pHが0.5〜2.9の範囲内に保たれた、Gly−HCl緩衝液、Ala−HCl緩衝液またはSer−HCl緩衝液で懸濁する工程を含むことを特徴とする検体の前処理方法である。
本発明の前処理方法に適用される検体は、特に限定されない。糞便に由来するものとして、糞便そのものや、糞便を緩衝液などの水溶液で懸濁したもの、あるいは、それらを濾過などの手段で清澄化したものなどが例示される。また、生体から採取できるものに限らず、糞便を種々の方法で処理したものや、糞便由来の成分が含まれる可能性のあるものも糞便に由来する検体として、本発明の前処理方法を適用できる。
検体を採取する方法は特に限定されず、公知の方法を採用することができる。具体的には、綿棒、糞便採取器具などを用いて採取することができる。
糞便の由来は特に限定されないが、ヒトのほか、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヤギなどの哺乳類、鳥類などが挙げられる。
本発明の前処理方法における懸濁操作は特に限定されないが、例えば、検体採取に用いた綿棒を用いて懸濁液を攪拌することにより行うことが出来る。
本発明の前処理方法において、糞便に由来する検体を、pHが0.5〜2.9の範囲内に保たれた、Gly−HCl緩衝液、Ala−HCl緩衝液またはSer−HCl緩衝液で懸濁するための手段は、特に限定されない。
例えば、そのような緩衝液(本明細書ではこのような溶液を「前処理液」ともよぶ。)で前記検体を懸濁させることにより行うことができる。
また、上記工程は必要に応じて、pHが2.9を越える範囲で調整された溶液(本明細書ではこのような溶液を「検体抽出液」ともよぶ。)に糞便に由来する検体を懸濁する工程と、そこに前記前処理液を添加して前記検体を懸濁させる工程とに分けても良い。
工程を分ける場合、検体抽出液と前処理液とを混合するときの液量比は特に限定されないが、検体抽出液:前処理液=3:2の割合が好ましい。
pHが0.5〜2.9の範囲内に保たれた、Gly−HCl緩衝液、Ala−HCl緩衝液またはSer−HCl緩衝液の濃度は限定されないが、0.5Mから2.0Mが好ましい。また、pHは0.5〜2.9であれば特に限定されないが、2.0以下が好ましい。
糞便に由来する検体を、pHが0.5〜2.9の範囲内に保たれた、Gly−HCl緩衝液、Ala−HCl緩衝液またはSer−HCl緩衝液で懸濁する工程においては、前処理した検体の目的成分を測定する際における非特異的発光の防止効果を上げるために、また、当該測定において免疫学的反応を使用する場合は免疫反応の感度を上げるために、界面活性剤を含んでもよい。
界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、非イオン性界面活性剤が好ましい。例えば、Triton X−100、Tween20、Pluronicなどが挙げられる。
界面活性剤の濃度は0.10重量%から0.25重量%が好ましい。中でも0.25重量%が好ましい。
界面活性剤は、前処理液に添加されていても良いし、検体抽出液に添加されていてもよい。
糞便に由来する検体を、pHが0.5〜2.9の範囲内に保たれた、Gly−HCl緩衝液、Ala−HCl緩衝液またはSer−HCl緩衝液で懸濁する工程においては、前処理した検体の目的成分を測定する際において免疫学的反応を使用する場合は、前記検体を懸濁する際に、抗原が該懸濁液を入れる容器の表面へ吸着することを防止するために、BSA(ウシ血清アルブミン)を含んでも良い。また、防腐のためにアジ化ナトリウムなどの各種防腐剤を含んでも良い。
これらの試薬は、前処理液に添加されていても良いし、検体抽出液に添加されていてもよい。
上記工程の処理時間は特に限定されないが、30秒から5分の間が好ましい。
糞便に由来する検体を、pHが0.5〜2.9の範囲内に保たれた、Gly−HCl緩衝液、Ala−HCl緩衝液またはSer−HCl緩衝液で懸濁する工程の後には、必要に応じて、懸濁液のpHを6.0から8.0の間に調整する工程を含んでも良い。
pHを6.0〜8.0の間に調整する方法は、混合時にそのようなpHになるように溶液(本明細書ではこのような溶液を「中和液」ともよぶ。)を添加するのであれば、特に限定されない。例えば検体抽出液にpHが6.0を越える溶液を含有させることにより行うことができる。
中和液としては、pHが6.0を越える範囲で調整されたものであれば特に限定されない。アルカリ溶液類、または、アルカリ性に調整された緩衝液が例示できる。
さらに具体的には、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、グリシン‐NaOH緩衝液、トリシン‐NaOH緩衝液、リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、トリス塩酸緩衝液が例示でき、中でもトリシン‐NaOH緩衝液が好ましい。
アルカリ溶液類など実質的に緩衝能を持たない場合は、濃度は限定されないが0.05Mから2.0Mが好ましい。また、pHは6.0以上であれば特に限定されないが、12.0以上が好ましい。
アルカリ性に調整された緩衝液の場合、濃度は限定されないが0.5Mから2.0Mが好ましい。また、pHは6.0以上であれば特に限定されないが、7.0〜9.0の塩基性の範囲の溶液が好ましく、7.0〜8.0が更に好ましい。
先の工程でpHを0.5〜2.9の範囲になるよう調整した溶液と、上記pHが6.0を越える溶液との液量比は特に限定されないが、2:1の割合が好ましい。
上記工程の処理時間は特に限定されないが、30秒から5分の間が好ましい。
本発明の前処理方法で処理された検体は、特に限定されることなく種々の測定方法に適用することができる。
例えば、免疫学的反応や遺伝子がハイブリダイズする相互作用の特異性を利用して、該生体試料に含まれる種々の目的成分を測定する方法が例示できる。
免疫学的方法としては、酵素免疫測定法、放射免疫測定法、免疫比濁測定法、免疫凝集測定法などが例示できる。
遺伝子がハイブリダイズする相互作用の特異性を利用した方法としては、LAMP法、Qプローブ法などが例示できる。
本発明の検体前処理方法が適用される測定項目は、特に限定されるものではないが、例えば、糞便に含まれるRotaウイルスの検出に利用することができる。
本発明の前処理方法は、中でも、検出系に化学発光反応を用いる目的成分測定方法に好ましく適用できる。
化学発光反応を用いる検出系としては、特に限定されるものではないが、ウエスタンブロッティング法、免疫共沈降法、酵素免疫測定法などが挙げられる。
本発明の実施形態の一つは、糞便に由来する検体に含まれる目的成分を測定する方法であって、以下の(1)および(2)の工程を含むことを特徴とする目的成分測定法である。
(1)糞便に由来する検体を、上述の検体前処理方法で、処理する工程
(2)免疫学的反応、または、遺伝子がハイブリダイズする相互作用の特異性を利用して、糞便に由来する検体に含まれる目的成分を測定する工程
当該実施形態における検体前処理方法については、上記で詳しく説明したとおりである。
また、当該実施形態における目的成分測定方法としては、特に限定されないが、例えば、以下の(A)に記載された(a)から(e)の工程、または、(B)に記載された(a)から(d)の工程を含む酵素免疫測定法が例示できる。この測定法は、特開2001−235471号公報(特許文献1)などで公知である。
(A)
(a)目的成分を含む処理検体と、該目的成分に特異的に結合する第一の抗体にリガンドが結合された結合体(試薬1)を含む溶液とを接触させて、試薬1と該目的成分との複合体を溶液中にて形成する工程。
(b)該複合体を含む溶液を、上記リガンドの補捉剤が結合された多孔性フィルタの表面に滴下して、該複合体のリガンド部分を、該リガンド補捉剤に結合させる工程。
(c)多孔性フィルタの表面に、上記目的成分に特異的に結合する、酵素で標識された第二の抗体(試薬2)の溶液を滴下して、試薬2を、リガンド補捉剤とリガンド部分とを介して多孔性フィルタに結合している第一の抗体と目的成分との複合体に結合させる工程。
(d)多孔性フィルタを洗浄することにより、多孔性フィルタに結合していない試薬を除去する工程。
(e)多孔性フィルタに結合した酵素の活性を、発光基質を用いて測定する工程。
(B)
(a)目的成分を含む処理検体と、該目的成分に特異的に結合する第一の抗体にリガンドが結合された結合体(試薬1)と、該目的成分に特異的に結合する第一の抗体とは別の抗体であって、第一の抗体と同じもしくは異なる部分で該目的成分に結合する第二の抗体が酵素で標識された第二の抗体(試薬2)を接触させて、試薬1と試薬2と目的成分との複合体を溶液中にて形成する工程。
(b)該複合体を含む溶液を、上記リガンドの補捉剤が結合された多孔性フィルタの表面に滴下して、該複合体のリガンド部分を、該リガンド補捉剤に結合させる工程。
(c)多孔性フィルタを洗浄することにより、多孔性フィルタに結合していない試薬を除去する工程。
(d)多孔性フィルタに結合した酵素の活性を、発光基質を用いて測定する工程。
本発明の実施形態の一つは、上記で説明した糞便に由来する検体の前処理方法に用いるためのセットであって、pHが0.5〜2.9の範囲内に保たれた、Gly−HCl緩衝液、Ala−HCl緩衝液またはSer−HCl緩衝液を含むことを特徴とする検体前処理用セットである。
セットの各構成については、本発明の前処理方法の項で説明したとおりである。
本発明の実施形態の一つは、糞便に由来する検体に含まれる目的成分を測定する方法に用いるためのキットであって、上記で説明した検体前処理用のセットに加え、さらに、目的成分を測定するために必要な試薬構成を含むものである。
検体に含まれる目的成分を測定するために必要な試薬構成部分については、特に限定されない。例えば、下記の全てを含む一式が例示される。
・前記検体に含まれる目的成分に特異的に結合する第一の抗体、
・前記検体に含まれる目的成分に特異的に結合する第二の抗体、
・未結合の検体・抗体を除去するための洗浄液、および、
・多孔性フィルタに結合した酵素の活性を測定するための発光基質
(実施例)
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実験1)ビオチン標識抗ロタウイルス抗体の調製
抗ロタウイルスマウスモノクローナル抗体(Fitzgerald社)1 mgとビオチンアミドカプロン酸−N−ヒドロキシスクシンイミドエステルを25℃で4時間反応させ、Amicon Ultra−4(ミリポア社製)を用いて分画し、第1抗体液を調製した。
(実験2)ALP標識抗ロタウイルス抗体の調製
抗ロタウイルスマウスモノクローナル抗体(Fitzgerald社)0.1 mgをAlkaline Phosphatase Labeling Kit - SH(同人化学社製)を用いて、第2抗体液を調製した。
(実験3)ロタウイルス抗原測定の実施
症状から明らかにロタウイルス感染症である人より糞便を採取し、そのうちイムノクロマト法を原理とする市販のロタウイルス検出キット(日本ベクトン・ディッキンソン社 商品名BD Rota/Adeno エグザマンTM スティック)でロタウイルス感染症陽性であることを確認できた糞便を使用し(52例)、ロタウイルス抗原を測定した。検体抽出液としては、0.15重量% Triton X−100(ナカライテスク社製)、0.1重量% Tween20(ナカライテスク社製)、1重量% BSAを含む溶液を用い、糞便を前記検体抽出液に懸濁したものを検体とした。検体30μlに各種強酸性溶液(1.0M HCl、1.0M NaNO、0.5M HSO)20μlを添加し、40℃で1分間インキュベーション後、1.0M Tricine−NaOH緩衝液(pH 8.0)25μlを添加した。前記溶液75μlに第1抗体液20μlを添加し、混合後、40℃でインキュベーションした(検体・第1抗体液混合液)。10秒後に、検体・第1抗体液混合液70μlをあらかじめ50μlの蒸留水を添加したPOCube(東洋紡績社製)専用反応容器(第1抗体に結合したリガンドを特異的に認識するリガンド捕捉剤が結合された多孔性フィルタを含む容器)に添加し、さらに、第2抗体液を20μl添加し、40℃でインキュベーションした。150秒後に、0.05%のTween20を含む蒸留水を80μlずつ2回添加し、さらに発色基質としてLumigenTM APS−5(Lumigen社製)を30μl添加し、発光強度を測定した。発光強度で10000以上を示す検体をロタウイルス感染症陽性と判定した。結果を表1に示す。
表1の結果から、1.0M HCl、1.0M NaNO、1.0M HSOを用いた酸処理法を用いると、偽陰性判定が出てしまうことがわかった。
(実験4)酸処理法の探索
実験3の結果から、現行の酸処理法には問題があることがわかった。そこで、酸処理法を探索するため、市販のロタウイルス標準抗原(陽性コントロール)を用いて、(実験3)と同様の方法で測定を行った。得られた結果を図1に示す。
図1の結果から、1.0M 酢酸、1.0M KCl−HCl(pH 2.5)、1.0M Gly−HCl(pH 2.5)、1.0M Ala−HCl(pH 2.5)、1.0M Ser−HCl(pH 2.5)については、酸処理しないときと同等の発光強度が得られることがわかった。
(実験5)ロタウイルス抗原測定の実施
(実験3)で用いたロタウイルス感染症陽性である糞便のうち20例と、症状から明らかにロタウイルス感染症でない人より糞便を採取し、そのうちイムノクロマト法を原理とする市販のロタウイルス検出キット(日本ベクトン・ディッキンソン社 商品名BD Rota/Adeno エグザマンTM スティック)でロタウイルス感染症陰性であることを確認できた糞便20例とを用いて、実験5で得られた酸処理法の効果の確認を行った。測定は(実験3)と同様の手法で行った。得られた結果を表2に示す。
表2の結果から、1.0M 酢酸、1.0M KCl−HCl (pH 2.5)を用いると、陽性検体での一致率は100%となったものの、陰性検体での一致率が0%となった。これは、何らかの測定系への影響があるためと考えられる。
一方、1.0M Gly−HCl(pH 2.5)、1.0M Ala−HCl(pH 2.5)、1.0M Ser−HCl(pH 2.5)を用いると、陽性検体、陰性検体、ともに一致率が100%となり、偽陰性判定を防ぎ、かつ、抗原を正確に測定できることがわかった。
本発明によれば、糞便検体を用い、免疫学的反応や遺伝子がハイブリダイズする特異性を利用して、該生体試料に含まれる種々の成分を測定する場合において、本発明の検体前処理液を用いて糞便検体を前処理することにより、正確性の高い測定が可能になる。種々の診断システムに適用できる。

Claims (14)

  1. 糞便に由来する検体の前処理方法であって、前記検体を、pHが0.5〜2.9の範囲内に保たれた、Gly−HCl緩衝液、Ala−HCl緩衝液またはSer−HCl緩衝液で懸濁する工程を含むことを特徴とする検体の前処理方法。
  2. 請求項1で処理した懸濁液のpHを6.0〜8.0の間になるよう調整する工程を含む、請求項1に記載の前処理方法。
  3. pHの調整にTricine−NaOH緩衝液を用いる、請求項2に記載の前処理方法。
  4. 前記前処理方法が、免疫学的反応、または、遺伝子がハイブリダイズする相互作用の特異性を利用して、糞便に由来する検体に含まれる目的成分を測定する方法のために用いられる、請求項1〜3のいずれかに記載の前処理方法。
  5. 前記の目的成分測定法が、検出系に化学発光反応を用いる方法である、請求項4に記載の検体前処理方法。
  6. 前記の目的成分測定法が、酵素免疫測定法である、請求項4または5に記載の検体前処理方法。
  7. 前記の目的成分が、Rotaウイルスである、請求項4〜7のいずれかに記載の検体前処理方法。
  8. 請求項1に記載の前処理方法であって、以下の(1)〜(3)の工程を含むことを特徴とする検体の前処理方法。
    (1)前記検体を検体抽出液に懸濁し懸濁液とする工程
    (2)前記懸濁液のpHを0.5〜2.9の間になるようGly−HCl緩衝液、Ala−HCl緩衝液またはSer−HCl緩衝液で調整する工程
    (3)(2)で処理した懸濁液のpHを6.0〜8.0の間になるよう調整する工程
  9. 糞便に由来する検体に含まれる目的成分を測定する方法であって、以下の(1)および(2)の工程を含むことを特徴とする目的成分測定法。
    (1)糞便に由来する検体を、請求項1〜8のいずれかに記載の検体前処理方法で、処理する工程
    (2)免疫学的反応、または、遺伝子がハイブリダイズする相互作用の特異性を利用して、糞便に由来する検体に含まれる目的成分を測定する工程
  10. 前記の目的成分測定法が、検出系に化学発光反応を用いる方法である、請求項9に記載の目的成分測定法。
  11. 前記の目的成分測定法が、酵素免疫測定法である、請求項9または10に記載の目的成分測定法。
  12. 前記の酵素免疫測定法が、以下の(A)に記載された(a)から(e)の工程、または、(B)に記載された(a)から(d)の工程を含む方法である、請求項11に記載の目的成分測定法。
    (A)
    (a)目的成分を含む処理検体と、該目的成分に特異的に結合する第一の抗体にリガンドが結合された結合体(試薬1)を含む溶液とを接触させて、試薬1と該目的成分との複合体を溶液中にて形成する工程。
    (b)該複合体を含む溶液を、上記リガンドの補捉剤が結合された多孔性フィルタの表面に滴下して、該複合体のリガンド部分を、該リガンド補捉剤に結合させる工程。
    (c)多孔性フィルタの表面に、上記目的成分に特異的に結合する、酵素で標識された第二の抗体(試薬2)の溶液を滴下して、試薬2を、リガンド補捉剤とリガンド部分とを介して多孔性フィルタに結合している第一の抗体と目的成分との複合体に結合させる工程。
    (d)多孔性フィルタを洗浄することにより、多孔性フィルタに結合していない試薬を除去する工程。
    (e)多孔性フィルタに結合した酵素の活性を、発光基質を用いて測定する工程。
    (B)
    (a)目的成分を含む処理検体と、該目的成分に特異的に結合する第一の抗体にリガンドが結合された結合体(試薬1)と、該目的成分に特異的に結合する第一の抗体とは別の抗体であって、第一の抗体と同じもしくは異なる部分で該目的成分に結合する第二の抗体が酵素で標識された第二の抗体(試薬2)を接触させて、試薬1と試薬2と目的成分との複合体を溶液中にて形成する工程。
    (b)該複合体を含む溶液を、上記リガンドの補捉剤が結合された多孔性フィルタの表面に滴下して、該複合体のリガンド部分を、該リガンド補捉剤に結合させる工程。
    (c)多孔性フィルタを洗浄することにより、多孔性フィルタに結合していない試薬を除去する工程。
    (d)多孔性フィルタに結合した酵素の活性を、発光基質を用いて測定する工程。
  13. 請求項1〜8のいずれかに記載の糞便に由来する検体の前処理方法に用いるためのセットであって、pHが0.5〜2.9の範囲内に保たれた、Gly−HCl緩衝液、Ala−HCl緩衝液またはSer−HCl緩衝液を含むことを特徴とする検体前処理用セット。
  14. 請求項9〜12のいずれかに記載の糞便に由来する検体に含まれる目的成分を測定する方法に用いるためのキットであって、以下の(1)〜(3)の構成を含むことを特徴とするキット。
    (1)請求項13に記載の検体前処理用セット
    (2)前記検体に含まれる目的成分に特異的に結合する第一の抗体
    (3)前記検体に含まれる目的成分に特異的に結合する第二の抗体
    (4)未結合の検体・抗体を除去するための洗浄液
    (5)多孔性フィルタに結合した酵素の活性を、測定するための発光基質
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JP2014209113A (ja) * 2013-03-29 2014-11-06 東洋紡株式会社 免疫測定方法

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