JP2012220336A - 内燃機関用ノックセンサ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】フランジ部2aと、フランジ部から軸方向に延びる筒部2bとを有し、フランジ部に内燃機関の振動発生部に当接される取り付け面2eが形成された金属ベース2、筒部2bに設けられ振動発生部のノッキング振動を電気信号に変換して検出する圧電素子4、圧電素子4をフランジ部2aに押圧保持する保持部材10を備えた非共振型ノックセンサであって、少なくとも取り付け面2eを含む金属ベース2の表面に、ビッカース強度Hv20以下の表面処理3を施した。
【選択図】図1
Description
ノッキングにより発生する固有振動数は、公知である下記のドレーパの式(1)で提唱されている。
内燃機関より発生する振動には、ノッキング振動に近い周波数成分を持つものがあり、燃焼時に生じるノイズ(燃焼ノイズと言う。)、ピストンの首振りによりシリンダ内壁に接触することで発生する打音(ピストンスラップノイズと言う)などのノイズが存在する。
近年のECUは、CPUの高性能化により処理速度が向上しており、より高次でのノッキング制御が可能となっていることから、25kHzまでの周波数帯において、変動が小さく平坦な出力信号を得られるノックセンサが求められている。
また、小型二輪車においても、燃費向上を目的にノッキング制御が採用されている。
小型二輪車は、自動車と比べて排気量が小さく、シリンダボア径が小さいため、ノッキング周波数は更に高い。
ノックセンサは、金属ベースを介してノックセンサに伝達された、内燃機関より発生する振動加速度を、ノックセンサの共振特性を利用して、圧電効果を有する圧電素子に印加することで、内燃機関より伝達される振動周波数、及び振動加速度に応じた交流電圧に変換し、電気信号として出力する振動センサである。
ノックセンサは、図10に示すような、ばねと見なすことができ、ノックセンサの共振周
波数frは、下記に示す集中定数的ばね−質量系の式(2)で表される。
集中定数的ばね−質量系の前記式(2)より、断面積S、ヤング率Eが大きく、振動方向長さL、負荷質量Wが小さいほど、共振周波数frは高くなる。従って、図13に示すように、入力周波数が共振周波数に近づくほど、出力信号は増大するため、共振周波数がばらつくと、共振周波数に近い周波数帯における出力信号は、ばらつきが大きくなる。
出力信号のばらつきが小さく、且つ平坦な出力信号を得られる周波数範囲が広いほど、ノッキング制御には有利である。次に従来のノックセンサを図12に基づいて説明する。
非共振型ノックセンサ100は、主体金具(金属ベースとも言う。)101、絶縁スリーブ102、絶縁板(絶縁シートとも言う。)103、104、圧電変換器(圧電素子とも言う。)105、特性調整用ウェイト106、ワッシャ107、ナット108、ハウジング109から構成されている。
主体金具101は、透孔101aが貫設された円筒状の筒体101bと、その筒体101bの下端部周縁からフランジ状に突設したドーナツ状円板形の座面部分101cとから構成されている。主体金具101の材質は鉄を主体とし、更に主体金具101の表面には、耐食性を向上させるために鍍金処理(亜鉛クロメートめっき等)が施されている。
従来のノックセンサは、金属ベースの表面に、耐食性を向上させるためにめっき処理(亜鉛クロメートめっき等)が施されているが、亜鉛クロメートめっきの表面硬度は、金属ベース(鉄)に比べて低い。このため、ノックセンサを、フランジボルトなどを用いて内燃機関のシリンダブロックに螺合する際に発生する軸力により、加工ばらつきにより生じた金属ベースの内燃機関取り付け面の凸部に形成された亜鉛めっき層が、金属ベースの内燃機関取り付け面の凹部と内燃機関側取り付け面との隙間を埋める方向に、若干座屈変形し、ノックセンサと内燃機関の取り付け面の接触面積は僅かに増える。
に発生する軸力により、ノックセンサと内燃機関側の取り付け面の接触面積を増大させることができ、また、接触面積のばらつきを減少させることができる。その結果、共振周波数のばらつきが減少し、高周波数帯における出力信号のばらつきが減少し、如いては、振動検出可能な周波数範囲を広くすることができる内燃機関用ノックセンサを得ることができる。
図1はこの発明の実施の形態1の内燃機関用ノックセンサ1の内部構造を表す断面図である。図1において、1は合成樹脂(例えば、ナイロン66)製のケース13によって全ての構成部品が覆われたノックセンサを示し、ケース13には点火時期制御装置(図示せず)からのコネクタを接続するコネクタ部13aが形成されている。2はノックセンサ1の金属ベースを示し、円板状のフランジ部2aと、該フランジ部2aから軸方向に延びる筒部2bからなり、フランジ部2aと筒部2bの両方に貫通する貫通孔2cを有し、筒部2bの先端部には外周面を一周する溝部2dが形成されている。また、フランジ部2aには、内燃機関への取り付け部位面2eが、切削加工などで形成されている。
金属ベース2は、安価で入手性に優れ、弾性率が高く、加工性が良い鉄(炭素鋼)が使用されており、金属ベース2の表面には、ビッカース硬度Hv20以下の表面処理3が施されている。
ーミナルプレートを示し、金属ベース2の筒部2bに嵌挿された状態で、 圧電素子
4の下面に当接する。また、6は同じく導電性金属板により形成された上側ターミナルプレートを示し、金属ベース2の筒部2bに嵌挿された状態で、圧電素子4の上面に当接している。12は下側ターミナルプレート5および上側ターミナルプレート6に溶接された端子部であり、コネクタ部13aの電気端子を形成する。7は薄い板状の絶縁樹脂を円環状に形成した下側絶縁シートを示し、該下側絶縁シート7は金属ベース2の筒部2bに嵌挿され、下側ターミナルプレート5の下側に位置して設けられ、下側ターミナルプレート5と金属ベース2のフランジ部2aとを絶縁するものである。また、同じく、8は薄い板状の絶縁樹脂を円環状に形成した上側絶縁シートを示し、該上側絶縁シート8は金属ベース2の筒部2bに嵌挿され、上側ターミナルプレート6の上側に位置して設けられ、上側ターミナルプレート6と後述するウェイト9とを絶縁するものである。
10は保持部材である金属製ストッパリングで、金属ベース2の筒部2bに嵌挿され、同じく筒部2bに嵌挿された下側絶縁シート7、下側ターミナルプレート5、圧電素子4、上側ターミナルプレート6、上側絶縁シート8、ウェイト9、後述する皿ばね11をフランジ部2aとの間で挟圧保持した状態で、筒部2bの先端部に形成された環状の溝部2dにカシメ固定される。
11はストッパリング10とウェイト9の間に嵌め込むことにより、急激に過大な押圧荷重が加わっても圧電素子4が破損するのを防止できるとともに、内燃機関のノッキング振動によるウェイト9の振動を生じさせ易くするための皿ばねである。
内燃機関へのノックセンサ1の取り付けは図示しないフランジボルトにより行われるが、フランジボルトの螺合により発生する軸力により、加工ばらつきにより生じた金属ベース2の内燃機関取り付け面2eの凸部に形成された柔らかいすずめっき層が、金属ベース2の内燃機関取り付け面2eの凹部と内燃機関側取り付け面との隙間を埋める方向に大きく座屈変形し、取り付け面2eに生じる加工ばらつきである凸凹やテーパを吸収する。このためノックセンサと内燃機関側の取り付け面との接触面積が増大し、また接触面積のばらつきは減少する。その結果、実施形態1によるノックセンサは、共振周波数のばらつきが減少するため、高周波数帯における出力信号のばらつきが減少し、如いては、振動検出可能な周波数範囲を広くすることができる。
半光沢すずめっき、光沢すずめっき、及びすず亜鉛合金クロメートめっき表面におけるビッカース硬度は、それぞれ、おおよそHv8から14、Hv15から20、及びHv13から15である。尚、亜鉛クロメートめっき表面のビッカース硬度は、おおよそHv60から140である。
また、図4は、図2、及び図3に示す出力特性を、それぞれの試料におけるめっき表面硬度と、入力周波数が5kHzにおける出力信号に対する20kHz出力信号の出力比を
示すグラフであり、出力比は1に近いほど、出力信号がフラットであることを示す。
亜鉛すず合金クロメートめっきは、すず共析率が70から80%の有機酸浴において、膜厚8μmのめっき処理を行い、その後、クロメート処理を施した。尚、めっき表面におけるビッカース硬度の実測値は、Hv14であった。
亜鉛ニッケル合金クロメートめっきは、ニッケル含有率が5から10%のジンケート浴をにおいて、膜厚8μmのめっき処理を行い、その後、クロメート処理を施した。尚、前記亜鉛ニッケル合金めっき表面におけるビッカース硬度の実測値は、おおよそHv220であった。今回、めっき膜厚は8μmで評価を行ったが、例えばめっき膜厚を13μmに厚くすることで、めっき処理費用は若干高くなるが、金属ベース2の取り付け部位面2eに生じる加工ばらつきの吸収効果が更に向上し、フラットな出力特性が得られることは言うまでも無い。
また、すずめっき、および、すず亜鉛合金クロメートめっきは、亜鉛クロメートめっきに比べると、一般的に若干高価であるが、実施の形態1のノックセンサによれば、ノックセンサと内燃機関の取り付け面との間にグリスなどを塗布する方策に比べて、グリス塗布による材料費、および塗布作業に要する費用、作業性、信頼性は大幅に改善される。
また、すず亜鉛合金クロメートめっきの耐食性は、亜鉛クロメートめっき、および、すずめっきに対して遥かに優れ、船外機などの海水が被水する使用環境において有利である。
なお、本発明の表面処理をめっきの場合で説明したが、表面処理の方法はめっきに限るものでない。例えば、樹脂などの材料を塗装により付着させるなどしても良い。
燃機関取り付け面の凸部に形成された柔らかい表面処理層が、金属ベースの内燃機関取り付け面の凹部と内燃機関側取り付け面との隙間を埋める方向に、大きく座屈変形し、取り付け部位面に生じる加工ばらつきである凸凹やテーパを吸収するため、ノックセンサと内燃機関の取り付け面の接触面積が増大し、また接触面積のばらつきは減少する。
このため、本発明によるノックセンサは、共振周波数のばらつきが減少、高周波数帯における出力信号のばらつきが減少し、如いては、振動検出可能な周波数範囲を広くすることができる。
次に、この発明の実施の形態2について、図5、および図6に基づいて説明する。
図5はこの発明の実施の形態2のノックセンサ30を示す断面図であり、図6は図5における金属ベースの内燃機関取り付け面を示す拡大図である。
図5、図6において、この発明の実施形態2の内燃機関用ノックセンサは、上記実施の形態1とほぼ同様であるが、金属ベース2のフランジ部2aに形成された内燃機関取り付け面2eには、金属ベース2の取り付け面2eの外周から内周に向かって、内燃機関側取り付け面と逆の方向にテーパ2fが形成されている。また、金属ベース2の表面には、ビッカース硬度Hv20以下の表面処理3が施されている。
次に、実施の形態1、実施の形態2とは異なる形状のノックセンサである実施の形態3について、図8、図9に基づいて説明する。
図8はこの発明の実施形態3の内燃機関用ノックセンサ40を示す断面図であり、図9はその上面図である。図8、図9において、16はノックセンサ40の金属ケースを示し、環状のフランジ部16aと該フランジ部16aから軸方向に延びる筒部16bからなり、フランジ部16aと筒部16bとでカップ形状に形成されている。
フランジ部16aには、内燃機関に螺合し固定するための、雄ねじ16cが形成されている。筒部16bには、図示しないスパナなどの工具による内燃機関に締め付け固定を容易にするための六角形状部が形成されている。また、フランジ部16aには、内燃機関への取り付け部位面16dが、切削加工などで形成され、後述する圧電素子4a、およびウェイト9aを、ねじ17により締め付け固定するための、雌ねじ16eが形成されている。
置され、金属ケース16を介して伝わる軸方向の振動を電圧信号として出力する。
9aは圧電素子4aに加振力を与えるための環状のウェイトを示し、圧電素子4aの上に配置される。17は圧電素子4a、およびウェイト9aを金属ケース16に締め付け固定するための、保持部材であるねじで、金属ケース16に形成された雌ねじ16eに螺合して、トルクレンチ締付ヘッドなどの工具を使用して、ノックセンサの構成部材である圧電素子4a、ウェイト9a等を所定のトルクで締め付ける。
12aはノックセンサの出力信号を外部に取り出すための端子部であり、例えばリード線などを使用する。19は、前記構成部品の保護を目的とした充填材であり、例えばエポキシ樹脂などを金属ケース16の筒部16b内に充填し、加熱硬化により形成する。
更に、実施の形態3に示す構成のノックセンサは、金属ケース16の外部への露出が、実施の形態1に示す構成のノックセンサに比べて大きいため、実施の形態1に示すすずめっき、又はすず亜鉛合金クロメートめっきを施すことにより、耐食性が大幅に向上し、高い信頼性を得ることが可能となる。
2b 筒部、2c 貫通孔、2d 環状の溝部、2e 取り付け面、
2f テーパ、3、18 表面処理、4、4a 圧電素子、
5、6 ターミナルプレート、7、8 絶縁シート、9、9a ウェイト、
10 ストッパリング、11 皿ばね、12、12a 端子部、
13 ケース、13a コネクタ部、14 内燃機関、15 フランジボルト、
16 金属ケース、16a フランジ部、16b 筒部、16c 取り付けねじ、
16d 取り付け面、16e 雌ねじ、17 ねじ、19 充填剤。
Claims (7)
- フランジ部と、このフランジ部から軸方向に延びる筒部とを有し、前記フランジ部に内燃機関の振動発生部に当接される取り付け面が形成された金属ベース、前記筒部に設けられ前記振動発生部のノッキング振動を電気信号に変換して検出する圧電素子、前記圧電素子を前記フランジ部に押圧保持する保持部材を備えた非共振型ノックセンサであって、少なくとも前記取り付け面を含む前記金属ベースの表面に、ビッカース強度Hv20以下の表面処理を施したことを特徴とする内燃機関用ノックセンサ。
- 前記金属ベースの表面処理として、錫が主成分のめっきを施すことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用ノックセンサ。
- 前記金属ベースの表面処理として、錫亜鉛めっきを施すことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用ノックセンサ。
- 前記金属ベースにおける内燃機関への取り付け面の外周から内周に向って、内燃機関取り付け部位と逆の方向にテーパ加工を施したことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の内燃機関用ノックセンサ。
- 前記保持部材および前記圧電素子は、前記金属ベースの筒部外周に嵌挿され、前記保持部材は、同じく前記筒部外周に嵌挿され前記圧電素子上に配設された環状のウェイトおよび、このウェイト上に配設された環状スプリングを介して前記圧電素子を前記フランジ部に押圧するようにしたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の内燃機関用ノックセンサ。
- 前記金属ベースは、筒部とフランジ部とでカップ状に形成され、前記フランジ部には、内燃機関の振動発生部に金属ベースを取り付けるための雄ねじ部と、前記圧電素子を取り付けるための雌ねじ部が形成され、前記圧電素子は前記筒部の内部で前記フランジ部の上に配置され、保持部材であるねじを前記雌ねじ部に螺合することによって、前記圧電素子を前記フランジ部に押圧するようにしたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の内燃機関用ノックセンサ。
- 前記金属ベースの筒部に樹脂を充填して硬化させるようにしたことを特徴とする請求項6に記載の内燃機関用ノックセンサ。
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