JP2012219655A - 内燃機関の排ガス浄化装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】内燃機関の停止時に、ポンプによって還元剤供給通路から還元剤を吸い戻す場合において、その後の還元剤の供給時に、還元剤供給通路に混入した空気を早期に排出し、それにより、還元剤を過不足なく供給でき、排ガス特性を向上させることができる内燃機関の排ガス浄化装置を提供する。
【解決手段】この内燃機関3の排ガス浄化装置1は、ポンプ11によって、内燃機関3の運転中に、還元剤タンク11から還元剤供給通路8を介して還元剤供給手段9に還元剤を供給し、内燃機関3の停止時に、還元剤供給通路から還元剤を吸い戻す。また、検出された通路内圧力PUがしきい値PLOW1を下回っているときに、ポンプ11からの還元剤の供給中に還元剤供給通路8内に空気が混入するエア噛み状態であると判定し、この場合、還元剤供給手段9から供給される還元剤の供給量を増量する還元剤増量制御を実行する。
【選択図】図3

Description

本発明は、液体状の還元剤を用いて排ガス中のNOxを浄化する内燃機関の排ガス浄化装置に関し、特に、内燃機関の停止時に、還元剤供給通路から還元剤を吸い戻すように構成された排ガス浄化装置に関する。
従来の内燃機関の排ガス浄化装置として、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。この内燃機関はディーゼルエンジンである。排ガス浄化装置は、尿素を還元剤とするNOx選択還元触媒を用いて、NOxを浄化するものであり、尿素水を貯える尿素水タンクと、この尿素水タンクに接続された尿素水供給管と、排気管のNOx選択還元触媒よりも上流側に設けられ、尿素水供給管を介して供給された尿素水を排気管内に添加する尿素水添加弁などを備えている。
尿素水タンク内には、正逆回転が可能な尿素水ポンプが設けられている。内燃機関の運転時には、尿素水ポンプを正回転方向に駆動することによって、尿素水が、尿素水タンクから尿素水供給管を介して尿素添加弁に供給されるとともに、尿素添加弁によって排気管内に添加され、NOx選択還元触媒におけるNOxの還元に用いられる。この尿素水の供給量は、内燃機関の負荷、排ガス中に含まれるNOxおよびアンモニアの量に応じて算出される。さらに、内燃機関の停止時には、尿素水ポンプを逆回転方向に駆動し、負圧を発生させることによって、尿素水が尿素水供給管から尿素水タンクに吸い戻される。このような尿素水の吸戻しにより、内燃機関の停止時に尿素水が尿素水供給管内に残留し、低温時、停止中に凍結した場合の不具合を防止するようにしている。
特開2010−84694号公報
しかし、上記のような尿素水の吸戻しを行うと、その後、尿素水を供給する際、尿素水供給管内に残留していた空気が尿素水に混入するため、尿素添加弁からNOx選択還元触媒に実際に供給される尿素水が不足しやすくなる。これに対して、従来の内燃機関の排ガス浄化装置では、尿素水の供給量を、内燃機関の負荷、NOxおよびアンモニアの量に応じて算出するにすぎない。このため、尿素水供給管内に空気が混入している場合には、空気が完全に排出されるまでに時間を要してしまい、その間、NOx選択還元触媒に供給される尿素水が不足することで、排ガス特性が悪化してしまう。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、内燃機関の停止時に、ポンプによって還元剤供給通路から還元剤を吸い戻す場合において、その後の還元剤の供給時に、還元剤供給通路に混入した空気を早期に排出し、それにより、還元剤を過不足なく供給でき、排ガス特性を向上させることができる内燃機関の排ガス浄化装置を提供することを目的とする。
この目的を達成するために、本願の請求項1に係る内燃機関3の排ガス浄化装置1は、内燃機関3の排気通路(実施形態における(以下、本項において同じ)排気管4)に設けられ、供給された液体状の還元剤を用いてNOxを浄化するNOx選択還元触媒(NOx触媒5)と、排気通路のNOx選択還元触媒よりも上流側に設けられ、NOx選択還元触媒に還元剤を供給するための還元剤供給手段(インジェクタ9)と、還元剤を貯える還元剤タンク(尿素水タンク7)と、還元剤タンクと還元剤供給手段に接続された還元剤供給通路(尿素水供給管8)と、内燃機関3の運転中に、還元剤タンクから還元剤供給通路を介して還元剤供給手段に還元剤を供給するとともに、内燃機関3の停止時に、還元剤供給通路から還元剤を吸い戻すためのポンプ11と、還元剤供給通路内の圧力を検出する通路内圧力センサ(供給管内圧センサ21)と、検出された通路内圧力(供給管内圧PU)が所定のしきい値(第1しきい値PLOW1)を下回っているときに、ポンプ11からの還元剤の供給中に還元剤供給通路内に空気が混入するエア噛み状態であると判定するエア噛み状態判定手段(ECU2、図2のステップ9)と、エア噛み状態であると判定されたときに、還元剤供給手段から供給される還元剤の供給量を増量する還元剤増量制御を実行する還元剤増量制御実行手段(ECU2、図3のステップ17)と、を備えることを特徴とする。
この内燃機関の排ガス浄化装置によれば、内燃機関の運転中には、ポンプによって、液体状の還元剤が、還元剤タンクから還元剤供給通路を介して還元剤供給手段に供給されるとともに、還元剤供給手段によってNOx選択還元触媒に供給される。NOx選択還元触媒では、供給された還元剤を用いて、排ガス中のNOxが還元され、浄化される。また、内燃機関の停止時には、還元剤供給通路での還元剤の残留と、残留した還元剤の凍結をできるだけ抑制するために、ポンプにより、還元剤が還元剤供給通路から吸い戻される。
前述したように、還元剤供給通路から還元剤を吸い戻す場合、その後、還元剤を供給する際に、還元剤供給通路内に空気が混入するエア噛みが発生する。また、エア噛みが発生すると、還元剤供給手段から還元剤とともに空気が供給されるため、還元剤供給通路内の圧力は大きく脈動する。
以上のような観点に基づき、本発明によれば、検出された還元剤供給通路内の圧力(以下「通路内圧力」という)が所定のしきい値を下回っているときには、エア噛み状態であると判定するので、このエア噛み状態の判定を適切に行うことができる。また、エア噛み状態であると判定されたときには、還元剤供給手段から供給される還元剤の供給量を増量する還元剤増量制御を実行する。これにより、還元剤供給通路に混入した空気を早期に排出できるので、その後において、還元剤を過不足なく供給でき、排ガス特性を向上させることができる。また、通路内圧力を検出する通路内圧力センサは、ポンプの制御などのために通常、設けられるものであるので、エア噛み判定を、特別な専用の装置を用いることなく、容易に行うことができる。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の内燃機関3の排ガス浄化装置1において、内燃機関3の運転状態を検出する運転状態検出手段(クランク角センサ23、エアフローセンサ24、ECU2)と、検出された内燃機関の運転状態(エンジン回転数NE、吸入空気量QA)に応じて、還元剤供給手段から供給すべき還元剤の目標量(目標尿素水噴射量QINJCMD)を設定する還元剤目標量設定手段(ECU2、図2のステップ5)と、設定された目標量の還元剤を供給するための還元剤供給手段への指示値(開弁時間TOUT)を算出する指示値算出手段(ECU2、ステップ7)と、算出された指示値に応じて、しきい値を設定するしきい値設定手段(ECU2、ステップ8)と、をさらに備えることを特徴とする。
この構成によれば、検出された内燃機関の運転状態に応じて、還元剤供給手段から供給すべき還元剤の目標量が設定され、この目標量の還元剤を供給するための還元剤供給手段への指示値が算出される。この指示値に応じて、還元剤供給通路に供給される還元剤の供給量が変更される。内燃機関から排出されるNOx量は、内燃機関の運転状態に応じて変化するので、上述したようにして設定した目標量を用いて還元剤の供給量を変更することによって、NOxの浄化に必要な還元剤がNOx選択還元触媒に過不足なく供給される。
また、還元剤供給手段からの還元剤の供給量が多いほど、その供給に伴って、通路内圧力は一旦大きく低下し、低下した通路内圧力を回復させるようにポンプが駆動される。このため、エア噛み状態のときに発生する通路内圧力の脈動の幅はより大きくなる。本発明によれば、ポンプへの指示値に応じて、エア噛み状態の判定に用いられるしきい値を設定するので、このしきい値の設定を適切に行うことができる。
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載の内燃機関3の排ガス浄化装置1において、エア噛み判定手段は、通路内圧力が連続してしきい値以上になった回数(エア噛み非発生カウンタ値COK1)が、第1所定回数CREF1以上のときに、エア噛み状態でないと判定することを特徴とする。
前述したように、エア噛み状態のときには、通路内圧力は大きく脈動するのに対し、エア噛み状態でないときには、通路内圧力は安定して高い値を示す。本発明によれば、通路内圧力が連続してしきい値以上になった回数が、第1所定回数以上のときに、エア噛み状態でないと判定するので、エア噛み状態であるにもかかわらず、通路内圧力がしきい値を一時的に上回ることによる誤判定を回避でき、エア噛み状態の判定を精度良く行うことができる。
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の内燃機関3の排ガス浄化装置1において、エア噛み判定手段は、通路内圧力が連続してしきい値以上になった回数が第1所定回数に達する前に、通路内圧力がしきい値を下回った回数(エア噛み発生カウンタ値CNG)が第2所定回数CREF2に達したときに、エア噛み状態であると判定することを特徴とする。
この構成によれば、通路内圧力が連続してしきい値以上になった回数が第1所定回数に達する前に、通路内圧力がしきい値を下回った回数が第2所定回数に達したときに、エア噛み状態であると判定するので、請求項3に係る発明と同様、エア噛み状態の判定を精度良く行うことができる。
請求項5に係る発明は、請求項2に記載の内燃機関3の排ガス浄化装置1において、還元剤増量制御の実行中、指示値算出手段は、還元剤の供給量が増大する側に指示値を算出し、しきい値設定手段は、算出された指示値に応じて、しきい値を設定し、エア噛み状態判定手段は、通路内圧力が、設定されたしきい値以上になったときに、エア噛み状態が解消したと判定し、還元剤増量制御実行手段は、エア噛み状態が解消したと判定されたときに、還元剤増量制御を終了することを特徴とする。
この構成によれば、還元剤増量制御の実行中には、還元剤の供給量が増大する側に算出された指示値に応じてしきい値を設定するとともに、通路内圧力がしきい値を上回ったときに、エア噛み状態が解消したと判定する。前述したように、還元剤の供給量が多いほど、エア噛み状態のときに発生する通路内圧力の脈動の幅はより大きくなる。このため、還元剤増量制御の実行中、上述したようにしきい値を設定することによって、しきい値を増大側に算出された供給量に見合った値に設定でき、したがって、エア噛み状態が解消したか否かを適切に判定することができる。
また、エア噛み状態が解消したと判定されたときには、還元増量制御を終了するので、NOx選択還元触媒をスリップして大気中に放出される還元剤を抑制でき、それによる排ガス特性の悪化を回避することができる。
請求項6に係る発明は、請求項5に記載の内燃機関3の排ガス浄化装置1において、しきい値設定手段は、還元剤増量制御の実行中のしきい値を、還元剤増量制御の実行中でないときのしきい値よりも小さな値に設定することを特徴とする。
この構成によれば、還元剤増量制御の実行中には、実行中でないときよりもしきい値を小さな値に設定するので、還元剤増量制御の実行中においても、しきい値を適切に設定することができる。
本発明の実施形態による排ガス浄化装置を、内燃機関とともに概略的に示す図である。 尿素水供給制御処理を示すフローチャートである。 図2の尿素水供給制御処理の残りの部分を示すフローチャートである。 エア噛み状態を判定するためのしきい値の算出に用いられるテーブルである。 エア噛みの発生状態、尿素水供給管圧としきい値の関係を模式的に示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について説明する。図1に示す内燃機関(以下「エンジン」という)3は、例えば車両(図示せず)に搭載されたディーゼルエンジンであり、理論空燃比よりもリーンな空燃比で混合気の燃焼が行われる。
実施形態による排ガス浄化装置1は、エンジン3の排気管4に設けられたNOx触媒5と、NOx触媒5に還元剤としての尿素水を供給する尿素水供給装置6を備えている。
NOx触媒5は、尿素を還元剤とする選択還元触媒であり、排気管4内に供給された尿素水の加水分解によって生成されたNH3(アンモニア)を吸着するとともに、吸着したNH3によって、エンジン3から排出された排ガス中のNOxを還元し、浄化する。
尿素水供給装置6は、尿素水を貯える尿素水タンク7と、尿素水タンク7から尿素水を供給するための尿素水供給管8と、供給された尿素水を排気管4内に噴射する尿素水噴射弁(以下「インジェクタ」という)9などで構成されている。
尿素水タンク7内にはポンプ室10が設けられ、ポンプ室10にはポンプ11が収容されている。ポンプ11は、正逆回転が可能なモータ(図示せず)を有する電動式のものであり、モータの正回転時には、ポンプ室10内の尿素水を、吐出管12を介して圧送することによって尿素水供給管8に供給し、モータの逆回転時には、負圧を発生させることによって、尿素水を尿素水供給管8からポンプ室10内に吸い戻す。
また、ポンプ11は、吐出管12から吐出する尿素水の流量を変更可能に構成されており、この流量は、ECU2からの通電用の駆動信号のデューティ比(以下「ポンプデューティ比」という)PDUTYが大きいほど、より大きくなるように制御される。
尿素水供給管8は、車両の前後方向に延びており、一端部が吐出管12に接続されるとともに、ポンプ室10および尿素タンク7の外部に延び、他端部はインジェクタ9に接続されている。
インジェクタ9は、開閉式の電磁弁で構成されており、排気管4のNOx触媒5よりも上流側に取り付けられ、排気管4内に臨むように設けられている。インジェクタ9は、ECU2からの駆動信号によって開弁し、それにより、尿素水タンク7から尿素水供給管8を介して供給された尿素水が、排気管4内に噴射され、NOx触媒5におけるNOxの還元・浄化に用いられる。インジェクタ9の開弁時間TOUTは、ECU2によって制御され、それにより、NOx触媒5に供給される尿素水の供給量が制御される。
ポンプ11の吐出管12には、絞り13およびリリーフ弁14を介して、戻り通路15が接続されている。リリーフ弁14は、尿素水の圧力が上昇し、所定圧に達したときに開弁することによって、尿素水を逃がし、尿素水の圧力が過大化するのを防止する。リリーフ弁14の開弁によって逃がされた尿素水は、戻り通路15を介して尿素水タンク7に戻される。
ポンプ室10の周壁および底壁の外面と尿素水供給管8には、ヒータ16が取り付けられている。ヒータ16は、凍結した尿素水を加熱し、解凍するためのものであり、電熱線(図示せず)を有する電気式ヒータで構成されている。ヒータ16の動作は、ECU2からの制御信号によって制御される。
また、尿素水供給管8には供給管内圧センサ21が設けられ、ポンプ室10内には尿素水温センサ22が設けられている。供給管内圧センサ21は尿素水供給管8内の圧力(以下「供給管内圧」という)PUを検出し、尿素水温センサ22は尿素水の温度(以下「尿素水温」という)TUを検出し、それらの検出信号はECU2に出力される。
さらに、ECU2には、エンジン3のクランクシャフト(図示せず)に設けられたクランク角センサ23から、パルス信号であるCRK信号が所定のクランク角ごとに出力され、エンジン3の吸気管17に設けられたエアフローセンサ24から、吸入空気量QAを表す検出信号が出力される。ECU2は、CRK信号に基づき、エンジン3の回転数(以下「エンジン回転数」という)NEを算出する。
ECU2は、CPU、RAM、ROMおよびI/Oインターフェースなどから成るマイクロコンピュータ(いずれも図示せず)で構成されている。上述した各種のセンサ21〜24の検出信号は、I/OインターフェースでA/D変換や整形がなされた後、CPUに入力される。
ECU2は、これらの検出信号などに応じて、インジェクタ9、ポンプ11およびヒータ16を制御する。具体的には、エンジン3の運転中は、ポンプ11を正回転方向に駆動し、ポンプデューティ比PDUTYを設定することによって、ポンプ11から尿素水供給管8を介してインジェクタ9に尿素水を供給するとともに、検出された供給管内圧PUを所定の目標値に維持しながら、インジェクタ9の開弁時間TOUTを制御することによって、排気管4への尿素水の供給量を制御する尿素水の供給制御を実行する。
また、エンジン3の停止時には、ポンプ11を逆回転方向に駆動することによって、尿素水供給管8から尿素タンク7に尿素水を吸い戻す吸い戻し制御を実行する。さらに、検出された尿素水温TUなどに基づき、尿素水が凍結していると判定した場合には、ヒータ16を駆動することによって、尿素水を解凍する解凍制御を実行する。
なお、本実施形態では、ECU2が、エア噛み状態判定手段、還元剤増量制御実行手段、運転状態検出手段、還元剤目標量設定手段、指示値算出手段およびしきい値設定手段に相当する。
次に、図2〜図5を参照しながら、上述した尿素水供給制御処理について説明する。本処理は、所定時間ごとに実行される。本処理ではまず、ステップ1(「S1」と図示。以下同じ)において、尿素水供給許可フラグF_SPLが「1」であるか否かを判別する。この答がNOで、インジェクタ9から排気管4への尿素水の供給が許可されていないときには、インジェクタ9による尿素水の噴射を実行しないものとして、尿素水噴射実行フラグF_INJを「0」にセットし(ステップ2)、本処理を終了する。
上記ステップ1の答がYESのときには、尿素水噴射実行フラグF_INJが「1」であるか否かを判別する(ステップ3)。この答がNOで、今回が排気管4への尿素水の供給が許可された直後に相当するときには、インジェクタ9による尿素水の噴射を開始するために、尿素水噴射実行フラグF_INJを「1」にセットする(ステップ4)。
次に、目標尿素水噴射量QINJCMDを算出し(ステップ5)、後述するステップ6に進む。この目標尿素水噴射量QINJCMDは、インジェクタ9から噴射すべき尿素水の目標量であり、エンジン3から排出されるNOxの排出量に応じて設定される。また、このNOx排出量は、エンジン回転数NEおよび吸入空気量QAに応じて算出される。一方、前記ステップ3の答がYESで、インジェクタ9による尿素水の噴射がすでに実行されているときには、上記ステップ4および5をスキップして、ステップ6に進む。
このステップ6では、尿素水増量フラグF_QINCが「1」であるか否かを判別する。後述するように、この尿素水増量フラグF_QINCは、インジェクタ9からの尿素水の供給量を増量する後述の尿素水増量制御の実行中のときに「1」にセットされるものである。
このステップ6の答がNOで、尿素水増量制御の実行中でないときには、ステップ5で算出された目標尿素水噴射量QINJCMDに応じ、所定のテーブルを検索することによって、インジェクタ9の開弁時間TOUTを算出する(ステップ7)。図示しないが、このテーブルでは、目標尿素水噴射量QINJCMDが大きいほど、開弁時間TOUTはより大きな値に設定されている。
次に、算出された開弁時間TOUTに応じ、図4に示すテーブルを検索することによって、テーブル値PLOWを算出するとともに、算出したテーブル値PLOWを、エア噛み状態の判定用の第1しきい値PLOW1として設定する(ステップ8)。このテーブルでは、テーブル値PLOWは、開弁時間TOUTが長いほど、より小さな値に設定されている。
次に、検出された供給管内圧PUが、第1しきい値PLOW1以上であるか否かを判別する(ステップ9)。図5に示すように、尿素水供給管8内にエア噛みが発生していないときには、供給管内圧PUは、安定して高い値を示すため、第1しきい値PLOW1を上回るのに対し、尿素水供給管8にエア噛みが発生しているときには、インジェクタ9から尿素水とともに空気が噴射されるため、供給管内圧PUは、大きく脈動し、第1しきい値PLOW1を下回るようになる。
したがって、上記ステップ9の答がYESで、PU≧PLOW1のときには、エア噛みが発生していないと仮判定し、その回数をカウントするカウンタの値(以下「エア噛み非発生カウンタ値」という)COK1をインクリメントする(ステップ10)。なお、このエア噛み非発生カウンタ値COK1は、上記ステップ9の答がNOで、PU<PLOW1になると、後述するステップ13で0にリセットされるので、供給管内圧PUが連続して第1しきい値PLOW1以上になった回数を表す。
次に、エア噛み非発生カウンタ値COK1が第1所定値(第1所定回数)CREF1(例えば5)以上であるか否かを判別する(ステップ11)。この答がNOのときには、そのまま本処理を終了する。一方、ステップ11の答がYESのとき、すなわち、供給管内圧PUが連続して第1しきい値PLOW1以上になった回数が、第1所定回数CREF1以上になったときには、エア噛みが発生していないと確定し、後述するエア噛み発生カウンタ値CNGを0にリセットした(ステップ12)後、本処理を終了する。
一方、前記ステップ9の答がNOで、PU<PLOW1のときには、エア噛みが発生していると仮判定し、エア噛み非発生カウンタ値COK1を0にリセットする(ステップ13)とともに、エア噛み発生カウンタ値CNGをインクリメントする(ステップ14)。次に、エア噛み発生カウンタ値CNGが第2所定値(第2所定回数)CREF2(例えば10)以上であるか否かを判別する(ステップ15)。この答がNOのときには、そのまま本処理を終了する。
一方、ステップ15の答がYESのとき、すなわち、供給管内圧PUが第1しきい値PLOW1を下回った回数が第2所定回数CREF2以上になったときには、エア噛みが発生していると確定し、エア噛み発生カウンタ値CNGを0にリセットする(ステップ16)とともに、尿素水増量制御を開始するために、尿素水増量フラグF_QINCを「1」にセットし(ステップ17)、後述するステップ18に進む。また、このように尿素水増量フラグF_QINCが「1」にセットされると、その後は前記ステップ6の答がYESになるので、その場合には、ステップ18に直接、進む。
このステップ18では、開弁時間TOUTを所定の最大値TOUTMAX(図4参照)に設定する。これにより、インジェクタ9から噴射される尿素水の量が最大に制御され、尿素水の供給量が増量される。なお、最大値TOUTMAXは、インジェクタ9およびポンプ11の性能に基づいてあらかじめ定められる。
次に、設定された開弁時間TOUTに応じ、図4のテーブルを検索することによって、テーブル値PLOWを算出するとともに、算出したテーブル値PLOWを、エア噛み状態の判定用の第2しきい値PLOW2として設定する(ステップ19)。開弁時間TOUTが最大値TOUTMAXに設定されていることと、このテーブルの設定の傾向から、第2しきい値PLOW2は、前記第1しきい値PLOW1よりも小さな値に設定される。
次に、供給管内圧PUが、第2しきい値PLOW2以上であるか否かを判別する(ステップ20)。この答がNOのときには、そのまま本処理を終了する。一方、ステップ20の答がYESで、PU≧PLOW2のときには、エア噛みが解消していると仮判定し、その回数をカウントするカウンタの値(以下「エア噛み解消カウンタ値」という)COK2をインクリメントする(ステップ21)。
次に、エア噛み解消カウンタ値COK2が第3所定値(第3所定回数)CREF3(例えば10)以上であるか否かを判別する(ステップ22)。この答がNOのときには、そのまま本処理を終了する。一方、ステップ22の答がYESのとき、すなわち、供給管内圧PUが第2しきい値PLOW2以上になった回数が、第3所定回数CREF3以上になったときには、エア噛みが解消されたと確定し、エア噛み解消カウンタ値COK2を0にリセットする(ステップ23)。また、尿素水増量制御を終了するために、尿素水増量フラグF_QINCを「0」にリセットし(ステップ24)、本処理を終了する。このように尿素水増量フラグF_QINCが「0」にリセットされると、その後は前記ステップ6の答がNOになり、前記ステップ7以降の動作が実行される。
なお、インジェクタ9が開弁してから開弁時間TOUTが経過したときには、尿素水供給許可フラグF_SPLが「0」にリセットされ、インジェクタ9からの尿素水の供給が終了する。
以上のように、本実施形態によれば、供給管内圧PUが第1しきい値PLOW1以上のときに、エア噛みが発生していないと判定する一方、第1しきい値PLOW1を下回ったときには、エア噛みが発生していると判定し、尿素水増量制御を実行する。これにより、尿素水供給管8に混入した空気を早期に排出できるので、その後において、尿素水を過不足なく供給でき、排ガス特性を向上させることができる。
また、供給管内圧センサ21は、ポンプ11の制御などのために通常、設けられるものであるので、エア噛み状態の判定を、特別な専用のセンサを用いることなく、容易に行うことができる。さらに、エア噛み状態の判定とその判定結果に基づく尿素水増量制御を、尿素水の通常の供給時を利用して行うので、そのための尿素水の消費量を抑制することができる。
さらに、エンジン回転数NEおよび吸入空気量QAに応じて算出されたNOxの排出量に応じて、目標尿素水噴射量QINJCMDを算出し(ステップ5)、この目標尿素水噴射量QINJCMDに応じてインジェクタ9の開弁時間TOUTを算出する(ステップ7)。これにより、NOxの浄化に必要な尿素水がNOx触媒5に過不足なく供給される。また、開弁時間TOUTに応じて、第1しきい値PLOW1を設定するので、この第1しきい値PLOW1の設定を適切に行うことができる。
また、供給管内圧PUが第1しきい値PLOW1以上の場合、その連続回数を表すエア噛み非発生カウンタ値COK1が第1所定回数CREF1以上のときに、エア噛みが発生していないと確定するので、エア噛み状態であるにもかかわらず、供給管内圧PUが第1しきい値PLOW1を一時的に上回ることによる誤判定を回避でき、エア噛み状態の判定を精度良く行うことができる。
さらに、エア噛み非発生カウンタ値COK1が第1所定回数CREF1に達する前に、供給管内圧PUが第1しきい値PLOW1を下回った回数を表すエア噛み発生カウンタ値CNGが第2所定回数CREF2に達したときに、エア噛みが発生していると確定するので、エア噛みが発生しているか否かを適切に判定することができる。
また、尿素水増量制御の実行中には、開弁時間TOUTを最大値TOUTMAXに設定し(ステップ18)、この最大値TOUTMAXに応じて第2しきい値PLOW2を設定するとともに、供給管内圧PUが第2しきい値PLOW2以上になったときに、エア噛みが解消したと判定するので、第2しきい値PLOW2を増大側に算出された供給量に見合った値に設定でき、したがって、エア噛み状態が解消したか否かを適切に判定することができる。
さらに、エア噛みが解消したと判定されたときに、尿素水増量制御を終了するので、NOx触媒5をスリップして大気中に放出されるNH3を抑制でき、それによる排ガス特性の悪化を回避することができる。
また、尿素水増量制御の実行中に用いられる第2しきい値PLOW2を、実行中でないときに用いられる第1しきい値PLOW1よりも小さな値に設定するので、尿素水増量制御の実行中においても、第2しきい値PLOW2を適切に設定することができる。
なお、本発明は、説明した実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、実施形態では、第1しきい値PLOW1を、エンジン回転数NEおよび吸入空気量QAに応じて設定しているが、これに限らず、一定値に設定してもよい。また、実施形態では、エア噛み状態の判定とその判定結果に基づく尿素水増量制御を、還元剤の通常の供給中に実行しているが、エンジン3の始動直後などに、これとは別個の専用のエア排出制御として実行してもよい。その場合には、エア噛みが発生していないと判定された時点で、または発生したエア噛みが解消されたと判定された時点で、尿素水の供給が停止される。
また、実施形態では、NOxを還元するための液体状の還元剤として、尿素水を用いているが、これに限らず、例えばアンモニア水を用いてもよい。
さらに、実施形態は、本発明を車両に搭載されたディーゼルエンジンに適用した例であるが、本発明は、これに限らず、リーンバーン運転を行うガソリンエンジンなどの各種のエンジンに適用してもよく、また、車両用以外のエンジン、例えば、クランク軸を鉛直に配置した船外機などのような船舶推進機用エンジンにも適用可能である。その他、本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜、変更することが可能である。
1 排ガス浄化装置
2 ECU(エア噛み状態判定手段、還元剤増量制御実行手段、運転状態検出手段、
指示値算出手段およびしきい値設定手段)
3 エンジン(内燃機関)
4 排気管(排気通路)
5 NOx触媒(NOx選択還元触媒)
7 尿素水タンク(還元剤タンク)
8 尿素水供給管(還元剤供給通路)
9 インジェクタ(還元剤供給手段)
11 ポンプ
21 供給管内圧センサ(通路内圧力センサ)
23 クランク角センサ(運転状態検出手段)
24 エアフローセンサ(運転状態検出手段)
PU 供給管内圧(検出された通路内圧力)
NE エンジン回転数(検出された内燃機関の運転状態)
QA 吸入空気量(検出された内燃機関の運転状態)
PLOW1 第1しきい値(所定のしきい値)
TOUT 開弁時間(指示値)
QINJCMD 目標尿素水噴射量(目標量)
COK1 エア噛み非発生カウンタ値(通路内圧力がしきい値を連続して上回った
回数)
CREF1 第1所定回数
CNG エア噛み発生カウンタ値(通路内圧力がしきい値以下である回数)
CREF2 第2所定回数

Claims (6)

  1. 内燃機関の排気通路に設けられ、供給された液体状の還元剤を用いてNOxを浄化するNOx選択還元触媒と、
    前記排気通路の前記NOx選択還元触媒よりも上流側に設けられ、当該NOx選択還元触媒に前記還元剤を供給するための還元剤供給手段と、
    前記還元剤を貯える還元剤タンクと、
    当該還元剤タンクと前記還元剤供給手段に接続された還元剤供給通路と、
    前記内燃機関の運転中に、前記還元剤タンクから前記還元剤供給通路を介して前記還元剤供給手段に前記還元剤を供給するとともに、前記内燃機関の停止時に、前記還元剤供給通路から前記還元剤を吸い戻すためのポンプと、
    前記還元剤供給通路内の圧力を検出する通路内圧力センサと、
    当該検出された通路内圧力が所定のしきい値を下回っているときに、前記ポンプからの前記還元剤の供給中に前記還元剤供給通路内に空気が混入するエア噛み状態であると判定するエア噛み状態判定手段と、
    当該エア噛み状態であると判定されたときに、前記還元剤供給手段から供給される前記還元剤の供給量を増量する還元剤増量制御を実行する還元剤増量制御実行手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の排ガス浄化装置。
  2. 前記内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出手段と、
    当該検出された内燃機関の運転状態に応じて、前記還元剤供給手段から供給すべき前記還元剤の目標量を設定する還元剤目標量設定手段と、
    当該設定された目標量の還元剤を供給するための前記還元剤供給手段への指示値を算出する指示値算出手段と、
    前記算出された指示値に応じて、前記しきい値を設定するしきい値設定手段と、をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の内燃機関の排ガス浄化装置。
  3. 前記エア噛み判定手段は、前記通路内圧力が連続して前記しきい値以上になった回数が、第1所定回数以上のときに、エア噛み状態でないと判定することを特徴とする、請求項1または2に記載の内燃機関の排ガス浄化装置。
  4. 前記エア噛み判定手段は、前記通路内圧力が連続して前記しきい値以上になった回数が前記第1所定回数に達する前に、前記通路内圧力が前記しきい値を下回った回数が第2所定回数に達したときに、エア噛み状態であると判定することを特徴とする、請求項3に記載の内燃機関の排ガス浄化装置。
  5. 前記還元剤増量制御の実行中、前記指示値算出手段は、前記還元剤の供給量が増大する側に前記指示値を算出し、前記しきい値設定手段は、前記算出された前記指示値に応じて、前記しきい値を設定し、前記エア噛み状態判定手段は、前記通路内圧力が、前記設定されたしきい値以上になったときに、エア噛み状態が解消したと判定し、
    前記還元剤増量制御実行手段は、前記エア噛み状態が解消したと判定されたときに、前記還元剤増量制御を終了することを特徴とする、請求項2に記載の内燃機関の排ガス浄化装置。
  6. 前記しきい値設定手段は、前記還元剤増量制御の実行中のしきい値を、当該還元剤増量制御の実行中でないときのしきい値よりも小さな値に設定することを特徴とする、請求項5に記載の内燃機関の排ガス浄化装置。
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