JP2012219283A - 焼結鉱の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】鉄鉱石、固体燃料、及び石灰石系原料を含む焼結原料を、造粒機で擬似造粒した後、この擬似造粒物を焼結パレット上に装入して焼結する焼結鉱の製造方法であり、固体燃料の一部又は全部の被覆用固体燃料15に、粒径0.5mm未満を60質量%以上含む製鋼スラグ微粉及び消石灰を添加し、更に水分を添加して混練し造粒することにより、被覆用固体燃料15の表面を、製鋼スラグ微粉及び消石灰を含む被覆物16で覆うに際し、被覆物16中のCa(OH)2量が被覆物16量の60質量%以上となるように、消石灰を添加する。
【選択図】図1
Description
この焼結原料の焼結時に発生する排ガス中には、窒素酸化物(NOx)が含まれているため、発生した排ガスは、窒素酸化物を除去した後に大気へ放散される。窒素酸化物の除去方法としては、例えば、特許文献1に、CaO−FetO(酸化鉄)系複合酸化物を含有する微粉末触媒と燃料コークス(固体燃料)とからなる擬似粒子を用いて焼結を行う方法が開示されている。
また、製鉄所の製鋼工程からは、製鋼スラグが発生しており、これを路盤材や埋立て材等に使用している。
また、製鉄所から発生する製鋼スラグの使用可能な分野には限りがあり、利用用途の更なる拡大が望まれている。
このため、燃料コークスの表面を製鋼スラグで被覆し、焼結機で発生する排ガス中のNOxの低減を図ることも考えられるが、この製鋼スラグは燃料コークスの表面に付着しづらいため、付着層厚が薄くなる場合や、また付着力が十分でなく搬送途中で燃料コークスの表面から剥がれ落ち易かった。
(1)鉄鉱石、固体燃料、及び石灰石系原料を含む焼結原料を、造粒機で擬似造粒した後、この擬似造粒物を焼結パレット上に装入して焼結する焼結鉱の製造方法において、
前記固体燃料の一部又は全部の被覆用固体燃料に、粒径0.5mm未満を60質量%以上含む製鋼スラグ微粉及び消石灰を添加し、更に水分を添加して混練し造粒することにより、該被覆用固体燃料の表面を、前記製鋼スラグ微粉及び前記消石灰を含む被覆物で覆うに際し、該被覆物中のCa(OH)2量が該被覆物量の60質量%以上となるように、前記消石灰を添加することを特徴とする焼結鉱の製造方法。
更に、被覆物中のCa(OH)2量が被覆物量の60質量%以上となるように消石灰を添加するので、製鋼スラグ由来のCa(OH)2と、添加した消石灰のCa(OH)2によるバインダー機能を発揮させることができ、被覆用固体燃料の表面に被覆物を、確実かつ強固に、所定の層厚に形成できる。
これにより、固体燃料の低温燃焼を抑制できると共に、1200℃以上の高温領域では、被覆物中のCaOが周囲の鉄鉱石と反応して低融点のカルシウムフェライトになって溶融し溶け落ちる。従って、焼結時に発生する排ガス中のNOxを経済的に低減できると共に、製鋼スラグの有効利用も図れる。
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る焼結鉱の製造方法は、焼結原料を焼結機10の焼結パレット上に装入して焼結する方法であり、製鋼スラグ微粉を使用して、焼結原料の焼結時に発生する排ガス中のNOxを経済的に低減すると共に、製鋼スラグの有効利用を図る方法である。以下、詳しく説明する。
そして、この鉄鉱石、コークス、石灰石系原料、及びその他の副原料を含む焼結原料を1次ドラムミキサー(造粒機の一例)12へ投入し、これに水分を添加して造粒を行う。更に、これらを、1次ドラムミキサー12の下流側に配置された2次ドラムミキサー(造粒機の一例)13へ投入して、更なる造粒を行う。
これにより、核となる粒子の周囲に粉を付着させ、平均粒径が2〜4mm程度の擬似造粒物を製造することができる。例えば、核となる粒子が粗粒鉄鉱石であれば、その周囲に微粉鉄鉱石や粉コークスが付着し易く、また、核となる粒子が粗粒コークスであれば、その周囲に微粉鉄鉱石が付着し易い。
被覆物16は、製鋼スラグ微粉と消石灰(水酸化カルシウム:Ca(OH)2)で構成されて、このコークス15の表面を覆っている。
ここで、製鋼スラグ微粉には、製鉄所から発生する転炉スラグ、脱硫スラグ、脱燐スラグ、電気炉スラグ等の製鋼スラグを使用できる。この製鋼スラグは、CaO成分系(例えば、CaOやCa(OH)2等)を20質量%以上(好ましくは、25質量%以上)含有し、CaO成分系の上限は、例えば、50質量%程度である。なお、製鋼スラグには、Fe成分(T.Fe(全鉄)で5質量%以上40質量%以下程度)も含まれている。
ここで、粒径0.5mm未満の微粉を60質量%以上としたのは、製鋼スラグ微粉の表面積を大きくして、カルシウムフェライトの生成効率を向上させるため、またコークスの粒径(粒径0.5mm未満を20質量%以下、かつ粒径0.5mm以上5.0mm以下を40質量%以上、好ましくは70質量%以上)を考慮して付着させ易くするためである。このため、微粉量の上限値については、特に規定していないが、製鋼スラグを粉砕する場合、その作業の効率等を考慮すれば、90質量%、更には85質量%程度である。
このCaOは、コークス15の表面を被覆物16で覆うに際して添加される水分によってCa(OH)2となり、これが、元来含まれていたCa(OH)2と共にコークス15の表面に被覆物16を付着させるバインダーとなって機能するが、これだけでは十分ではないことがある。このため、この製鋼スラグに消石灰単味を加えて、バインダー機能の不足分を補っている。
なお、加える消石灰としては、市販のものでもよいが、生灰石に水を加えて消化したものを、そのまま使用してもよい。いずれの場合においても、消石灰の構成を、粒径0.15mm以下が70質量%以上とすることが好ましい。
従って、被覆物中のCa(OH)2量を被覆物量の60質量%以上とした。
一方、被覆物中のCa(OH)2量の上限値は、特に規定しないが、製鋼スラグの有効利用の観点から95質量%、更には90質量%であることが好ましい。
このため、貯留槽11から1次ドラムミキサー12へ供給されるコークス量は、焼結パレットに供給する全コークス量から、被覆物16で被覆するコークス15量を差し引いた量(70質量%以下)となる。
ここで、コークスを被覆する被覆物の被覆層厚が5μm未満の場合、被覆物の被覆層厚が薄過ぎるため、被覆物がコークス表面から剥がれてコークス表面が露出し易くなり、コークスが低温領域で燃焼し、排ガス中のNOx量の低減効果が少なくなる。一方、被覆層厚が500μmを超える場合、被覆物の被覆層厚が厚過ぎるため、焼結パレットに供給された後に、被覆物の溶融に時間がかかり、被覆されたコークスが未燃のままになる。
以上のことから、コークスを被覆する被覆物の被覆層厚を、5μm以上500μm以下としたが、下限を50μm、更には100μmとし、上限を300μm、更には200μmとすることが好ましい。
なお、ダウミキサー17での混練中(更には造粒中)に添加する水分量は、コークス15表面への被覆物16の付着効果を高めるため、被覆物16中の水分量(消石灰中の水分も含む)が、9質量%以上16質量%以下(好ましくは、下限を11質量%、上限を14質量%)となるように調整することが好ましいが、これに限定されるものではない。
なお、上記した水分量とは、最終的な製品(焼結機へ装入される前の造粒物である被覆造粒物)の被覆物中の水分量であり、製鋼スラグ微粉及び消石灰の含有水分量と、混合時(更には造粒時)の添加水分量との合計量で現される。この水分量は、乾燥状態の被覆物(製鋼スラグ微粉及び消石灰)100に対する割合(質量%:外掛け)である。
上記した方法により、コークス15の表面の全部を、被覆物16で覆うことができる。
以上の方法で得られた被覆物16で覆われたコークス15、即ち被覆造粒物を、最下流位置に配置された2次ドラムミキサー13内の下流側(排出口から供給口側に向かって5m(2次ドラムミキサーの全長の20%)以内の位置が好ましい)に供給することで、この被覆造粒物を、前記した核となる粒子の周囲に粉を付着させた擬似造粒物と混合することができる。なお、被覆造粒物の添加位置は、上記した位置に限定されるものではなく、例えば、2次ドラムミキサー13の下流側に配置された擬似造粒物を搬送するコンベア(図示しない)のベルト上とすることもできる(図1中の点線矢印参照)。
このとき、被覆造粒物は、コークスの表面が被覆物で構成された被覆層で覆われているため、コークスの燃焼初期である低温領域で、被覆層内のコークスの燃焼を抑えてNOxの発生を抑制できる。一方、1200℃以上の高温領域に達すると、被覆層中のCa(OH)2に、周囲の鉱石及び被覆物中の製鋼スラグに含まれている前記したFe成分と反応し、低融点のカルシウムフェライトとして溶融し、溶け落ちる。
これにより、コークス表面は、被覆層が消失して裸の状態になるが、裸の状態であってもコークスは1200℃以上の高温領域で燃焼されるため、NOxの発生は少ない。
従って、本発明の焼結鉱の製造方法を使用することで、焼結原料の焼結時に発生する排ガス中のNOxを経済的に低減できると共に、製鋼スラグの有効利用も図れる。
準備した焼結鉱の配合原料は、鉄原料、石灰石系原料、MgO系及びその他の副原料、返鉱、及びコークス、である。なお、鉄原料は67.5質量%、石灰石系原料は10.7質量%、MgO系及びその他の副原料は2.3質量%、返鉱は16.1質量%、コークスは3.4質量%、である。
ここで、被覆造粒物を製造にするに際しては、上記した配合原料のコークス3.4質量%のうちの3質量%分のコークス(被覆用固体燃料)を使用し、製鋼スラグと消石灰を新たに準備した。
被覆造粒物は、上記したコークス、製鋼スラグ、消石灰、及び水を、ダウミキサー(混練機)に供給して混練した後、この混練物をパンペレタイザーに供給して造粒し、コークス表面に製鋼スラグと消石灰を付着させて製造した。なお、パンペレタイザーは、直径が5mであり、回転数を8rpmとし、傾斜角度を57度とした(水の添加なし)。
ここで、使用したコークスの粒度分布及び含有水分量を表1に、また製鋼スラグの主成分構成及び含有水分量と粒度分布を表2と表3に、それぞれ示す。
ここで、前記した被覆造粒物は、2次ドラムミキサー内に供給され、被覆造粒物を擬似造粒物と共に混合した。なお、被覆造粒物の添加位置は、2次ドラムミキサーによる混合造粒が終了する0.3分(18秒)前とした。
そして、被覆造粒物と擬似造粒物の混合物を使用して、鍋試験を行った。
図2に示すように、鍋試験装置は、鍋本体、集塵機、冷却機、ブロワー、及びNOx計を有し、鍋本体で発生したガスをブロワーによってその下方から吸引し、集塵機及び冷却機で処理して、焼結排ガスの煙道に設置されたNOx計((株)島津製作所の常圧式化学発光方式の測定器)で、ガス中のNOx濃度を測定する装置である。
なお、鍋本体は、上記した混合物を装入する部分が円筒状となっており、その底部にグレートバー(火格子)を簀子状に敷いたものである。この円筒状部分の直径dは300mm、深さhは500mmである。
上記した試験条件と試験結果を、表4に示す。なお、表4中の製鋼スラグの種類に記載のA、B、及びCは、表2及び表3に記載のスラグA、スラグB、及びスラグCに、それぞれ該当する。
特に、実施例1〜4に示すように、被覆物中のCa(OH)2量を増加させるに伴い、被覆物の被覆層厚5〜500μmの歩留りも、80質量%以上、更には90質量%以上にでき、NOx濃度も138ppmから130ppmまで減少できた。
また、比較例3は、粒径0.5mm未満を60質量%未満含む製鋼スラグCを使用した結果である。このように、微粉量を減少させた製鋼スラグを使用することで、製鋼スラグ微粉の表面積が小さくなり、カルシウムフェライトの生成効率が低下すると共に、製鋼スラグがコークス表面へ付着しづらくなった。このため、被覆物の被覆層厚5〜500μmの歩留りが20質量%まで減少し、その結果、発生するNOx量が150ppmまで上昇した。
また、実施例7、8は、実施例1〜4とは主成分構成及び含有水分量と粒度分布が異なる製鋼スラグBを使用した結果であるが、この製鋼スラグBも、実施例1〜4に示す製鋼スラグAと同様、粒径0.5mm未満を60質量%以上含むため、実施例1〜4と同程度のNOx濃度にできた。
また、前記実施の形態においては、コークスの表面を覆う被覆物を、製鋼スラグ微粉と消石灰のみで構成した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、被覆物中に、例えば、鉄鉱石微粉や固体燃料微粉等が含まれる場合もある。この固体燃料微粉については、NOx低減の観点から、被覆物に含まれないことが好ましいが、製造上、完全に除去することができない。
Claims (4)
- 鉄鉱石、固体燃料、及び石灰石系原料を含む焼結原料を、造粒機で擬似造粒した後、この擬似造粒物を焼結パレット上に装入して焼結する焼結鉱の製造方法において、
前記固体燃料の一部又は全部の被覆用固体燃料に、粒径0.5mm未満を60質量%以上含む製鋼スラグ微粉及び消石灰を添加し、更に水分を添加して混練し造粒することにより、該被覆用固体燃料の表面を、前記製鋼スラグ微粉及び前記消石灰を含む被覆物で覆うに際し、該被覆物中のCa(OH)2量が該被覆物量の60質量%以上となるように、前記消石灰を添加することを特徴とする焼結鉱の製造方法。 - 請求項1記載の焼結鉱の製造方法において、前記被覆物中の水分量が9質量%以上16質量%以下となるように、混練中に水分を添加することを特徴とする焼結鉱の製造方法。
- 請求項1又は2記載の焼結鉱の製造方法において、前記被覆物の被覆層厚を5μm以上500μm以下とすることを特徴とする焼結鉱の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の焼結鉱の製造方法において、前記造粒機の下流側から前記被覆物で覆われた前記被覆用固体燃料を供給し、該被覆物で覆われた被覆用固体燃料と前記擬似造粒物とを混合した後、前記焼結パレット上に装入することを特徴とする焼結鉱の製造方法。
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