JP5598439B2 - 焼結鉱の製造方法 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、コークスを、ドラムミキサーの上流側と下流側から分割して装入する方法が開示されており、これにより、ドラムミキサーで製造する造粒物の燃焼性を良好にできるため、この造粒物の焼結時に発生する排ガス中のNOx量を低減できる。
なお、排ガス中のNOx量を低減するため、脱硝設備を新たに設置することも考えられるが、設備の設置や維持に多大なコストがかかる。
(1)鉄鉱石、固体燃料、及び副原料を、造粒機で擬似造粒した後、この擬似造粒物を焼結機で焼結する焼結鉱の製造方法において、
前記固体燃料として、カルシウム成分を含む被覆物で覆った被覆固体燃料と未被覆固体燃料を使用し、前記擬似造粒物の焼結時に発生するNOx量が予め設定したNOxの基準値を超える際には、前記被覆固体燃料の使用割合を増加すると共に、前記未被覆固体燃料の使用割合を低減し、NOxの発生量を抑制して、該NOxの発生量が前記予め設定したNOxの基準値を超えないようにすることを特徴とする焼結鉱の製造方法。
ここで、擬似造粒物の焼結時に発生するNOx量が、予め設定したNOxの基準値を超える際には、被覆固体燃料の使用割合を増加すると共に、未被覆固体燃料の使用割合を低減するので、NOxの発生量を抑制でき、この発生量が上記した基準値を超えないようにできる。従って、製造する焼結鉱を減産することなく、安価で経済的に、焼結時のNOx発生量を制御できる。
まず、本発明の一実施の形態に係る焼結鉱の製造方法を適用する焼結鉱の焼結プラントについて説明した後、本発明の一実施の形態に係る焼結鉱の製造方法について説明する。
図1に示すように、焼結鉱の焼結プラント(以下、単に焼結プラントともいう)10は、焼結鉱の焼結設備(以下、単に焼結設備ともいう)11と、固体燃料の改質処理設備(以下、単に改質処理設備ともいう)12とを有している。
これにより、各貯留槽13〜17に貯留された焼結原料を、予め設定した配合割合となるように、それぞれ切出すことができる。
これにより、各貯留槽13〜17から切出された焼結原料を、1次ドラムミキサー18と2次ドラムミキサー19で順次造粒処理し、核となる粒子の周囲に粉を付着させて擬似造粒物にできる。
これにより、2次ドラムミキサー19で製造した擬似造粒物を、ドラムフィーダ等の供給装置(図示しない)を介して焼結機20へ装入し焼結させることで、焼結鉱を製造できる。
焼結機20の下流側には、煙突が配置され、焼結機20と煙突は焼結排ガス路21で接続されている。また、この焼結排ガス路21には、焼結機20側から煙突側にかけて、電気集塵機22、ブロワー23、及びNOx計24が、順次設けられている。
これにより、焼結時に発生する排ガスは、ブロワー23により焼結機20から吸引され、電気集塵機22により粉塵等が集塵された後、煙突から大気へ放散される。なお、大気へ放散される排ガスは、NOx計24により、事前にNOx濃度が測定される。
これにより、各貯留槽25、26に貯留された改質原料を、予め設定した配合割合となるように、それぞれ切出すことができる。
これにより、各貯留槽25、26から切出された改質原料を、ダウミキサー27で混練処理し、更にパンペレタイザー28で造粒処理して、カルシウム成分を含む被覆物で粉コークスの表層を覆った改質コークスを製造できる。
この一時貯留槽29は、パンペレタイザー28で製造した改質コークスを、一時的に貯留可能な槽である。また、一時貯留槽29は、ダウミキサー27あるいはパンペレタイザー28がトラブルで停止した際に、安定した成分の改質コークスを、焼結設備11の焼結機20へ供給するためのバッファーでもある。
これにより、焼結設備11の2次ドラムミキサー19へ供給する改質コークス量を調整できる。
これにより、改質処理設備12で製造した改質コークスを、焼結設備11を構成する最下流位置に配置された2次ドラムミキサー19の内部に装入でき、改質コークスを造粒途中の焼結原料と共に混合して擬似造粒物にできる。なお、改質コークスの添加位置は、上記した位置に限定されるものではなく、例えば、2次ドラムミキサー19の下流側に配置され、焼結設備11で製造した擬似造粒物を焼結機20へ搬送するコンベア(図示しない)のベルト上とし、この擬似造粒物と改質コークスとを混合することもできる。
このように、改質コークスの混合時期を、2次ドラムミキサー19の下流側以降にすることで、焼結原料との混合時や、焼結機への原料装入までの搬送過程において、粉コークス表面からの被覆物の剥離を抑制できる。
制御装置30には、NOx計24の測定値(NOx濃度)が、NOx計24からリアルタイムに送信される。
この制御装置30は、演算手段を有し、NOx計24から送信された測定値を記憶し、この記憶した測定値(過去の測定値)のうち、予め設定した直近の過去の時間(例えば、10〜20分程度)内の測定値を基にNOx発生量を算出し、予め設定した時間(例えば、40〜90分程度)後のNOx発生予測値を算出し推定する装置である。
なお、NOx発生予測値を算出するに際しては、例えば、予め設定した直近の過去の時間内のNOx発生量から、NOx発生量の上昇又は下降の傾きを求める方法を使用できる。
焼結鉱の焼結設備11では、まず、鉄鉱石、石灰系原料、その他の副原料、石灰石、及び粉コークスを、各貯留槽13〜17から予め設定した配合割合でそれぞれ切出す。
そして、この鉄鉱石、石灰系原料、その他の副原料、石灰石、及び粉コークスを含む焼結原料を、1次ドラムミキサー18へ投入し、これに水分を添加して造粒処理を行った後、2次ドラムミキサー19へ投入して、更なる造粒処理を行う。
これにより、表層が、カルシウム成分を含む被覆物で形成された改質コークスを製造できる。なお、消石灰と粉コークスの配合割合は、粉コークス100質量%に対する被覆物中の換算CaO割合が、予め設定した割合となるように調整する。
なお、被覆物で被覆しない粉コークス(貯留槽17に貯留された粉コークス)は、貯留槽17を介して1次ドラムミキサー18へ投入することなく、一時貯留層29に貯留された改質コークスと共に、別途設けた貯槽(図示しない)から2次ドラムミキサー19内の下流側に装入することもできる。この場合、粉コークスの大部分は、擬似造粒物内に埋没することなく、擬似造粒物の表層部に存在する(改質コークスと共に外装化される)。
このように、焼結鉱を製造するに際しては、固体燃料として、カルシウム成分を含む被覆物で覆われた粉コークスと、被覆物で覆われていない粉コークスを使用する。
ここで、図2に、改質コークスの使用割合と排ガス中のNOx発生量との関係を示す。なお、図2の横軸の改質コークスの使用割合とは、焼結機に装入する全粉コークス量に対する改質コークスに使用した粉コークスの使用割合、即ち(改質コークス中の粉コークス量)/(全粉コークス量)×100(質量%)である。また、全粉コークス量とは、改質コークス中の粉コークス量と、被覆物のない粉コークス量の合計量である(以下同様)。
この図2は、鍋試験の結果である。以下に、鍋試験の条件を示す。
そして、この造粒後の配合原料に、上記した改質コークスを添加し混合して、鍋試験の試料に使用した。なお、鍋試験においては、上記した混合原料の層厚を500mm、下方からの吸引風量を1.2Nm3/分、焼結温度を1300℃とした。
この鍋試験に際し、NOxの測定は、(株)島津製作所の常圧式化学発光方式の測定器を用いて行った。
改質コークスは、粉コークスの表面が被覆物(被覆層)で覆われているため、粉コークスの燃焼初期である低温領域で、被覆物で覆われた粉コークスの燃焼を抑えてNOxの発生を抑制できる。
一方、1200℃以上の高温領域に達すると、被覆物中のカルシウム成分と、周囲の鉱石に含まれているFe成分とが反応し、低融点のカルシウムフェライトとして溶融し、溶け落ちる。これにより、粉コークスの表面は、被覆層が消失して裸の状態になるが、裸の状態であっても粉コークスは1200℃以上の高温領域で燃焼されるため、NOxの発生は少ない。
ここで、被覆物に消石灰が含まれる場合、この消石灰がバインダーとなって、粉コークス表面に密着した被覆物を形成するため、例えば、焼結原料との混合時や、焼結機への原料装入までの搬送過程において、粉コークス表面からの被覆物の脱離を抑制できる。
また、製鋼スラグを使用する場合、資源の有効利用が図れる。
また、製鋼スラグ(製鋼スラグ微粉)には、製鉄所から発生する転炉スラグ、脱硫スラグ、脱燐スラグ、電気炉スラグ等の製鋼スラグを使用できる。
そして、被覆物が、バインダーとして機能する生石灰や消石灰を含まずに、製鋼スラグや石灰石を主体(含有量が、例えば、被覆物の80質量%以上)とする場合には、有機バインダーを用いるのがよい。
また、被覆される粉コークスを100質量%として、この粉コークスの2質量%以上30質量%未満の被覆物を被覆することが好ましい。これにより、低温域での大気中の酸素の遮断によるNOx低減効果が得られると共に、粉コークスの燃焼性を維持できて焼結鉱の強度や焼結成品の歩留りを良好にできる。
そして、被覆物の被覆層厚は、5μm以上500μm以下であることが好ましい。これにより、排ガス中のNOx量の低減効果が得られると共に、被覆物の溶融に要する時間が過剰に長くなることを抑制できる。
この固体燃料は、通常、焼結原料として使用している粒径5mm以下のものでもよいが、その中の粒径0.5mm未満の微粉炭材の累積質量を20質量%以下(好ましくは、11質量%以下)にした粗粒固体燃料を使用することが好ましい。一方、粒径0.5mm未満の固体燃料の累計質量の下限値は、上記した理由から特に規定していないが、篩網による篩分け限界を考慮すれば5質量%である。
更に、粒径0.5mm以上5mm以下の固体燃料の累積質量は、40質量%以上であることが望ましく、70質量%以上であることが特に望ましい。
そこで、擬似造粒物の焼結時に発生するNOx量が、予め設定したNOxの基準値を超える際には、改質コークスに使用する粉コークスの使用割合を、現状よりも増加すると共に、被覆物が被覆されていない未被覆の粉コークス(即ち被覆物の非被覆の粉コークス)の使用割合を、現状よりも低減する。
これにより、NOxの発生量を抑制して、このNOxの発生量が予め設定したNOxの基準値を超えないように(基準値以下に)、NOxの発生量を制御する。
以下、図1、図3を参照しながら、詳しく説明する。
なお、ここでは、2つの基準を設けているが、これに限定されるものではなく、焼結現場の管理基準等に応じて、複数(3以上)の基準を設けることも可能である。また、管理値のNOx発生量のレベルは、例えば、NOx発生量を低減させるためのアクションをとった場合に、NOx発生量が規制値を超えないこと(タイムラグ)を考慮して設定する。
この各基準を基に、NOxの発生量を制御する。
なお、図3の点線は、図1に示すNOx計24の測定値(NOx濃度)を基に、制御装置30でこの時間内のNOx発生量を算出し推定したNOx発生予測値である。具体的には、制御装置30により、NOx計24から送信された測定値(過去の測定値)のうち、予め設定した直近の過去の時間(例えば、10〜20分程度)内の測定値を基にNOx発生量を算出し、予め設定した時間(例えば、40〜90分程度)後のNOx発生予測値を算出し推定する。
(NOx発生予測値)=Q×T1/T2
ここで、Q(Nm3/時間)とは、NOx計で測定した直近の過去の時間(上記した10〜15分)の合計NOx発生量であり、T1(分)は、NOx発生予測値を算出する予め設定した時間(上記した40〜90分後)であり、T2(分)は、NOx計で測定した直近の過去の時間である。
なお、図3では、T1を60分とし、T2を15分として、上記した式により、NOx発生予測値を算出している。
この場合、制御装置30により、改質処理設備12の一時貯留槽29から切出す改質コークス量(改質コークスに使用する粉コークス量)を、現状よりも増加させると共に、焼結設備11の貯留槽17から切出す粉コークス量を、改質コークスに使用する粉コークス量に相当する粉コークス量だけ減少させる。
従って、焼結鉱の製造に使用する粉コークス合計量を変更することなく、焼結鉱の焼結設備11と固体燃料の改質処理設備12で使用する粉コークスの使用割合のみを変更できる。
そして、上記した使用割合の調整を行った後、引き続きNOx計24で測定した直近の過去の時間(ここでは、15〜30分の15分間)内の測定値を基にNOx発生量を算出し、予め設定した時間後のNOx発生予測値を算出し推定する。
これにより、図3中の0分を基準とした60分後のNOx発生予測値は、その後、図3の実線に示す直線のように、管理値以下に低下するため、制御装置30によって発令された警報は、30分後の時点(即ち、NOx発生予測値を算出した時点)で解除される。
{(NOx発生予測値)−(管理値)}×D
上記Dは、前記した図2から求めた傾き、即ち{(改質コークスの使用割合)/(排ガス中のNOx発生量)}である。
なお、改質コークスに使用する粉コークスの必要調整量は、この方法で算出することに限定されるものではなく、例えば、改質コークスに使用する粉コークス量を、予め設定した量だけ複数回に分けて段階的に使用し、調整することもできる。
例えば、NOx発生予測値が、管理値より大幅に低い場合(例えば、管理値の50〜85%程度)、オペレータの判断により、改質コークスに使用する粉コークスの使用量を減少することが、コスト面で好ましい。この際における粉コークスの減少量は、{(管理値)−(現時点(0時)のNOx測定値)+(余裕代)}の式により、増加しても大丈夫なNOx量を求め、この求めたNOx量と前記した図2を基に、算出することが望ましい。なお、上記した余裕代は、操業条件の変動状態、即ち、NOx発生量の変動が多い場合には大きくし、変動が少ない場合には小さくするようにする。
一方、NOx発生予測値が、管理値に近い場合(例えば、管理値の85%超、更には90%以上、98%以下の場合)、前記したNOx発生予測値の算出方法を用いて、改質コークスに使用する粉コークスの使用量を減少するのがよい。
焼結機では、点火炉で焼結原料に着火するが、この着火源として、被覆物で被覆されていない粉コークスが必要である。つまり、焼結機へ装入する粉コークスの95質量%超を被覆物で被覆した場合(改質コークスに使用する粉コークスの使用割合を95質量%超にした場合)、焼結原料の表面への着火不良が発生する。
従って、改質コークスに使用する粉コークスの使用割合を、全粉コークス量の0を超え95質量%以下としたが、NOx発生量を低減させると共に着火源を確保するため、下限を50質量%、上限を90質量%、更には85質量%とすることが好ましい。
更に、前記したように、貯留槽26から切出す粉コークス量を、現状よりも増加(減少)させた場合、この粉コークスの増加(減少)量相当分だけ、貯留槽17から切出す粉コークス量を、現状よりも減少(増加)させる。また、貯留槽25から切出す消石灰量を、現状よりも増加(減少)させた場合も、この消石灰中のカルシウム成分の増加(減少)量相当分だけ、貯留槽16から切出す石灰石量を、現状よりも減少(増加)させる。
従って、本発明の焼結鉱の製造方法を使用することで、製造する焼結鉱を減産することなく、安価で経済的に、焼結時のNOx発生量を制御できる。
ここでは、DL式焼結機を使用した。
なお、試験は、パレット幅5.5m、ストランド長120m、焼結面積660m2の焼結機を用い、層厚730mm、吸引負圧17.9kPaの操業条件において、全固体燃料に対する被覆固体燃料の使用割合を変更して、操業評価試験を行った。焼結原料の条件としては、ブレンド鉱石64.0質量%、石灰石11.2質量%、生石灰1.2質量%、ドロマイト2.8質量%、及び返鉱20.8質量%の焼結配合原料をベースに、固体燃料(被覆固体燃料と未被覆固体燃料の合計)を3.8質量%(外枠配合)添加した。なお、固体燃料には、粉コークスを使用した。また、被覆固体燃料の表面に形成した被覆物は、被覆固体燃料100質量%に対し、CaOに換算して10.0質量%の消石灰を配合して形成した。この消石灰中の水酸化カルシウム量(Ca(OH)2量)は90質量%である。
実施例1は、焼結機に装入する全固体燃料量を50.0(kg/t−s)に固定した結果である。なお、「kg/t−s」とは、焼結鉱を1トン製造するのに使用した量、即ち全固体燃料量、被覆固体燃料量、未被覆固体燃料量、又は改質コークスの配合量を意味する。
固体燃料の使用割合の調整前は、被覆固体燃料の配合量を5.0(kg/t−s)とし、未被覆固体燃料の配合量を45.0(kg/t−s)として、焼結原料を焼結させた。このときのNOx発生予測値(排ガス中のNOx発生量)を算出すると、221(Nm3/時間)となり、図4の点線に示すように、管理値を超えた。
そこで、被覆固体燃料の配合量を30.0(kg/t−s)へ増加すると共に、未被覆固体燃料の配合量を20.0(kg/t−s)へ低減して、被覆固体燃料の使用割合を10.質量%から60.0質量%へと増加した。
これにより、算出したNOx発生予測値は208(Nm3/時間)まで低下(NOxの発生量を抑制)し、図4の実線に示すように、管理値を下回った。
実施例2は、焼結機に装入する全固体燃料量を52.0(kg/t−s)に固定した結果である。
固体燃料の使用割合の調整前は、被覆固体燃料の配合量を9.0(kg/t−s)とし、未被覆固体燃料の配合量を43.0(kg/t−s)として、焼結原料を焼結させた。このときのNOx発生予測値を算出すると、225(Nm3/時間)となり、図4の点線に示すように、管理値を超えた。
そこで、被覆固体燃料の配合量を38.7(kg/t−s)へ増加すると共に、未被覆固体燃料の配合量を13.3(kg/t−s)へ低減して、被覆固体燃料の使用割合を17.3質量%から74.4質量%へと増加した。
これにより、算出したNOx発生予測値は210(Nm3/時間)まで低下(NOxの発生量を抑制)し、図4の実線に示すように、管理値を下回った。
実施例3は、焼結機に装入する全固体燃料量を50.0(kg/t−s)に固定した結果である。
固体燃料の使用割合の調整前は、被覆固体燃料の配合量を4.5(kg/t−s)とし、未被覆固体燃料の配合量を45.5(kg/t−s)として、焼結原料を焼結させた。このときのNOx発生予測値を算出すると、235(Nm3/時間)となり、図5(A)の点線に示すように、管理値を超えた。
そこで、固体燃料の使用割合の調整1として、被覆固体燃料の配合量を45.0(kg/t−s)へ増加すると共に、未被覆固体燃料の配合量を5.0(kg/t−s)へ低減して、被覆固体燃料の使用割合を9.0質量%から90.0質量%へと増加した。
このとき、NOx発生予測値は、管理値まで7(Nm3/時間)の余裕があった。
そこで、固体燃料の使用割合の調整2として、被覆固体燃料の配合量を36.0(kg/t−s)へ低減すると共に、未被覆固体燃料の配合量を14.0(kg/t−s)へ増加して、被覆固体燃料の使用割合を90.0質量%から72.0質量%へと低減した。
これにより、算出したNOx発生予測値は、図5(A)の実線に示すように、管理値を超えない範囲内で218(Nm3/時間)まで上昇した。
実施例4は、焼結機に装入する全固体燃料量を53.0(kg/t−s)に固定した結果である。
固体燃料の使用割合の調整前は、被覆固体燃料の配合量を40.5(kg/t−s)とし、未被覆固体燃料の配合量を12.5(kg/t−s)として、焼結原料を焼結させた。このときのNOx発生予測値を算出すると、204(Nm3/時間)となり、図5(B)の点線に示すように、管理値を下回った。なお、この固体燃料の使用割合の調整は、事前に、被覆固体燃料の使用割合を増加すると共に、未被覆固体燃料の使用割合を低減し、NOxの発生量を抑制して管理値を超えないように調整している。
そこで、被覆固体燃料の配合量を27.0(kg/t−s)へ低減すると共に、未被覆固体燃料の配合量を26.0(kg/t−s)へ増加して、被覆固体燃料の使用割合を76.4質量%から50.9質量%へと低減した。
これにより、算出したNOx発生予測値は、図5(B)の実線に示すように、管理値を超えない範囲内で210(Nm3/時間)まで上昇した。
また、表1に示す生産率、石灰石原単位、及び落下強度は、被覆固体燃料と未被覆固体燃料の使用割合の調整前後において、ほぼ同程度の結果が得られた。
従って、本発明の焼結鉱の製造方法を使用することで、製造する焼結鉱を減産することなく、安価で経済的に、焼結時のNOx発生量を制御できることを確認できた。
また、前記実施の形態においては、本発明の焼結鉱の製造方法を、脱硝設備が設けられていない焼結鉱の焼結プラントに適用した場合について説明したが、脱硝設備が設けられた焼結鉱の焼結プラントに適用することも可能である。この場合、NOx発生量の更なる低減が図れる。
Claims (4)
- 鉄鉱石、固体燃料、及び副原料を、造粒機で擬似造粒した後、この擬似造粒物を焼結機で焼結する焼結鉱の製造方法において、
前記固体燃料として、カルシウム成分を含む被覆物で覆った被覆固体燃料と未被覆固体燃料を使用し、前記擬似造粒物の焼結時に発生するNOx量が予め設定したNOxの基準値を超える際には、前記被覆固体燃料の使用割合を増加すると共に、前記未被覆固体燃料の使用割合を低減し、NOxの発生量を抑制して、該NOxの発生量が前記予め設定したNOxの基準値を超えないようにすることを特徴とする焼結鉱の製造方法。 - 請求項1記載の焼結鉱の製造方法において、前記被覆固体燃料の使用割合の変更は、前記焼結機の焼結排ガス路に設置されたNOx計の測定値を基にして推定される、予め設定した時間後のNOx発生予測値により行うことを特徴とする焼結鉱の製造方法。
- 請求項2記載の焼結鉱の製造方法において、前記被覆固体燃料の使用割合の増加量は、前記NOx発生予測値が、前記予め設定したNOxの基準値を超える量を基にして決定することを特徴とする焼結鉱の製造方法。
- 請求項2又は3記載の焼結鉱の製造方法において、前記NOx発生予測値が前記予め設定したNOxの基準値を超えない範囲内で、前記被覆固体燃料の使用割合を低減させると共に、前記未被覆固体燃料の使用割合を増加させることを特徴とする焼結鉱の製造方法。
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