JP2012214953A - 紙の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明によって、古紙パルプを含む固形分濃度が1.5重量%以上であるパルプスラリーを、0.1mm〜0.3mmのスリット幅の開口部を有するアウトワード型スリットスクリーンを用いて長繊維画分と短繊維画分に分級する工程であって、長繊維画分と短繊維画分の固形分比が10:90〜60:40であり、長繊維画分と短繊維画分のカナダ標準濾水度の差が100ml〜300mlである工程、短繊維画分のパルプスラリーに1つ以上の抄紙用添加剤を添加する工程、抄紙用添加剤を添加した短繊維画分のパルプスラリーを用いて抄紙する工程、を含む紙の製造方法が提供される。
【選択図】なし
Description
(1) 古紙パルプを含む固形分濃度が1.5重量%以上であるパルプスラリーを、0.1mm〜0.3mmのスリット幅の開口部を有するアウトワード型スリットスクリーンを用いて長繊維画分と短繊維画分に分級する工程であって、長繊維画分と短繊維画分の固形分比が10:90〜60:40であり、長繊維画分と短繊維画分のカナダ標準濾水度の差が100ml〜300mlである工程、短繊維画分のパルプスラリーに1つ以上の抄紙用添加剤を添加する工程、抄紙用添加剤を添加した短繊維画分のパルプスラリーを用いて抄紙する工程、を含む、紙の製造方法。
(2) 前記抄紙用添加剤が有機高分子である、(1)に記載の方法。
(3) 短繊維画分のパルプスラリーに対して前記抄紙用添加剤とともに填料を添加する、(1)または(2)に記載の方法。
(4) 抄紙用添加剤を添加した短繊維画分のパルプスラリーを長繊維画分のパルプスラリーと混合してから抄紙する、(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5) 長繊維画分のパルプスラリーと混合して得たパルプスラリーに別の抄紙用添加剤をさらに添加してから抄紙する、(4)に記載の方法。
(6) 前記填料が炭酸カルシウムを含む、(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。
(7) 短繊維画分のパルプスラリーに添加される抄紙用添加剤がポリアクリルアミドを含む、(1)〜(6)のいずれかに記載の方法。
本発明において再生パルプとは、古紙から再生されたパルプを意味し、古紙を離解した古紙パルプや古紙を離解後にインキを除去した脱墨パルプが含まれる。原料となる古紙としては、例えば、新聞紙、チラシ、雑誌、書籍、事務用紙、封書、感熱紙、ノーカーボン紙、段ボール、白板紙、その他複写機、OA機器から生ずる印刷紙などが含まれる。粘着剤、接着剤、粘着テープ、雑誌の背糊等の粘着物を含む雑誌古紙等も本発明の再生パルプの原料として用いることができる。
本発明においては、古紙パルプを含む固形分濃度が1.5重量%以上であるパルプスラリーを、0.1mm〜0.3mmのスリット幅の開口部を有するアウトワード型スリットスクリーンを用いて長繊維画分と短繊維画分に分級する。
本発明における長繊維画分とは、パルプスラリーをスクリーンで処理した際にリジェクト側として回収される画分であり、処理前のパルプスラリーの中の比較的長い繊維を多く含む画分のことである。短繊維画分とは、スクリーンのアクセプト側として回収される画分であり、処理前のパルプスラリーの中の比較的短い繊維や微細繊維、灰分を多く含む画分のことである。
本発明においては、長繊維画分に対してインキ剥離工程および異物除去工程を行って再生パルプを得てもよい。好ましい態様において本発明では、パルプスラリーを固形分濃度1.5重量%以上で上記スクリーンを用いて分級することで、分級直後の長繊維画分の濃度を2.0重量%以上とし、長繊維画分について、低濃度濃縮機を経ること無しに、中〜高濃度濃縮機を用いて高濃度化できるため効率的であり、例えば、固形分濃度25%以上まで脱水した後の長繊維画分は、高濃度インキ剥離装置などを用いて長繊維に固着したインキや粗大なダートを微細化し極めて効率的にインキを剥離することができ、さらに、例えば、固形分濃度0.5〜1.2%まで希釈して精選スクリーン処理して異物を分離除去することによって、効率的に長繊維完成パルプを得ることができる。
本発明においては、短繊維画分に対してインキ除去工程を行って再生パルプを得てもよい。好ましい態様において本発明では、短繊維画分について、固形分濃度5重量%以下でインキ剥離を行った後に、脱水洗浄および/またはフローテーションによるインキ除去を行うことで、残インキの少ない短繊維完成パルプを得ることができる。
本発明によって得られた長繊維完成パルプと短繊維完成パルプについては、それぞれ別個に原料として配合し紙を製造することができる。また、任意の比率で混合することで、ホールパルプを用いて抄紙して得られる従来の紙に対して、特徴のある紙を得ることができる。例えば、長繊維完成パルプの比率を多くすると、より嵩高となり、引裂き強さが高くなる。逆に短繊維完成パルプの比率を多くすると、より密度の高い紙になり、引っ張り強さ(裂断長)が高くなり、平滑・透気抵抗度が高くなる。
短繊維に添加する填料の量は特に制限されないが、短繊維絶乾固形分に対して1〜70固形分重量%の範囲での添加が好ましく、10〜60固形分重量%がより好ましく、20〜50固形分重量%がさらに好ましい。また、全紙料固形分に対して1〜50固形分重量%が好ましく、10〜40固形分重量%がより好ましく、15〜30固形分重量%がさらに好ましい。このような範囲で填料を予め添加することにより、紙の強度を効果的に向上させることができる。
本発明においては、前処理した短繊維を、繊維分級によって得られた長繊維画分の長繊維と再配合して紙料を調成することもできる。このようにすれば、原料の古紙を有効に利用することができるため特に好適にである。再配合の比率は特に制限されず、紙の用途や要求品質に応じて適宜調整すればよい。
得られた長繊維画分および短繊維画分の濃度および濾水度、分級に要した電力(電力原単位)、ならびに、水使用量を、以下のように評価した。また、分級前の繊維、及び、長繊維画分と短繊維画分について、灰分並びに平均繊維長、篩分繊維組成と粘着異物個数を測定した。さらに、坪量60g/m2の手抄きシートをJIS P 8209に基づき丸形手抄き機を用いて作製し、ダート個数、白色度、インキ量を測定した。
(濾水度CSF)
カナダ標準濾水度測定法JIS P 8121:1995に基づき測定した。
(電力原単位)
スクリーン運転時のモーター負荷と一時間あたりの処理量から、分級に要した電力を電力原単位として算出した。この値が高ければ高いほど、製造コストが高くなる。
(水使用量)
スクリーン処理時の時間あたりの処理流量を処理固形分で割り、パルプ1トンあたりの水の量として算出した。この値が高ければ高いほど、固形分1トンのパルプを処理するために必要な水の量が多くなり、また、処理能力(容積)の大きな設備が必要になる。
(灰分)
JIS P 8251:2003に従い測定した。
(平均繊維長)
ファイバーテスター(Lorentzen&Wettre社製)を用いて長さ加重平均繊維長を測定した。
(篩分繊維組成)
JIS P 8207:1976に従い、24メッシュ、42メッシュ、80メッシュ、150メッシュのふるいを用いて繊維組成を測定した。なお、以下の表2・表3において、24mesh onは、24メッシュのふるいを用いて篩い分けを行った場合にふるい上に残る繊維の割合を示すものである。また、42mesh onは、24メッシュのふるいは通過するが、42メッシュのふるい上に残る繊維の割合を示すものである(80mesh on、150mesh onもそれぞれ同様の意味である)。さらに、150mesh passは、150メッシュのふるいを通過する繊維の割合を示すものである。
(ダート個数)
夾雑物測定装置(スペックスキャン2000:アポジーテクノロジー製)を用いて、異なる5枚の手抄きシート上の0.05mm2以上のダートを画像処理にて測定し、1m2あたりのダート個数を算出した。
(白色度)
JIS P 8148に準じて、色差計(村上色彩製)で測定した。
(残インキ量)
残インキを測定するため、微細インキについて残インキ測定装置(カラータッチ:テクニダイン製)を用いてERIC(有効残インキ濃度)値を測定した。
(粘着異物)
パルプスラリー絶乾約1kgを精秤し、6カットフラットスクリーンで処理して、スクリーン上に残った残渣を回収し、ろ紙の間でホットプレスした後、疎水性染料を用いて着色した。染料によって着色した異物を画像解析にて計数した。
(実施例1)
相川鉄工株式会社パイロットテストプラントにて、新聞古紙と雑誌古紙を重量比が7:3となるように高濃度パルパーに仕込み、仕込み量固形分に対して苛性ソーダ(純分)1重量%、珪酸ソーダ(有姿)1重量%、過酸化水素(純分)0.5%、高級アルコール系脱墨剤(有姿)0.2%を添加し、温度40℃で15分間離解した。離解後のパルプについて、0.2mmのスリット幅を有する粗選スクリーンを用いて固形分濃度2.5重量%で処理し、粗大粘着異物などの異物の除去を行い、古紙パルプを含むパルプスラリーを得た(古紙パルプスラリーA)。
(実施例2)
分級スクリーンの入口流量とリジェクト流量を調節することで、長繊維画分と短繊維画分の分級比率を47:53とした以外は、実施例1と同様にした。
(実施例3)
古紙パルプスラリーAの固形分濃度を1.6重量%に調整し、スリット幅0.13mm、通過流速0.9m/s、アジテータ周速14m/sの条件で処理し、分級スクリーンの入口流量とリジェクト流量を調節することで、長繊維画分と短繊維画分の分級比率を22:78にした以外は、実施例1と同様にした。
(実施例4)
通過流速0.7m/s、アジテータ周速13m/sの条件で処理し、分級スクリーンの入口流量とリジェクト流量を調節することで、長繊維画分と短繊維画分の分級比率を26:74にした以外は、実施例3と同様にした。
(実施例5)
相川鉄工株式会社パイロットテストプラントにて、新聞古紙と雑誌古紙を重量比が8:2となるように高濃度パルパーに仕込み、仕込み量固形分に対して苛性ソーダ(純分)1重量%、珪酸ソーダ(有姿)1重量%、過酸化水素(純分)0.17%、高級アルコール系脱墨剤(有姿)0.18%を添加し、温度40℃で15分間離解した。離解後のパルプについて、0.2mmのスリット幅を有する粗選スクリーンを用いて固形分濃度3.3重量%で処理し、粗大粘着異物などの異物の除去を行い、古紙パルプを含むパルプスラリーを得た(古紙パルプスラリーB)。
(実施例6)
分級スクリーンの入口流量とリジェクト流量を調節することで、長繊維画分と短繊維画分の分級比率を30:70とした以外は、実施例5と同様にした。
(実施例7)
分級スクリーンの入口流量とリジェクト流量を調節することで、長繊維画分と短繊維画分の分級比率を44:56とした以外は、実施例5と同様にした。
(実施例8)
分級スクリーンの入口流量とリジェクト流量、および入口/出口の差圧を調節することで、長繊維画分と短繊維画分の分級比率を40:60とした以外は、実施例5と同様にした。
(比較例1)
分級スクリーンの入口流量とリジェクト流量を調節することで、長繊維画分と短繊維画分の分級比率を65:35とした以外は、実施例1と同様にした。
(比較例2)
古紙パルプスラリーAの固形分濃度を1.3重量%に調整し、分級スクリーンの入口流量とリジェクト流量を調節することで、長繊維画分と短繊維画分の分級比率を22:78とした以外は、実施例1と同様にした。
(比較例3)
分級スクリーンの入口流量とリジェクト流量を調節することで、長繊維画分と短繊維画分の分級比率を48:52とした以外は、比較例2と同様にした。
(比較例4)
長繊維画分と短繊維画分の分級比率を分級スクリーンの入口流量とリジェクト流量を調節することで、60:40とした以外は、比較例2と同様にした。
(比較例5)
フローテーション処理によるインキ除去を行ってから分級処理を行った。すなわち、実施例5の古紙パルプBについて、相川鉄工製マックセルフローテーターを用いて、固形分濃度1%、40℃でフローテーション処理し、フローテーションのアクセプト原料を得た。次いで、固形分濃度0.8重量%のアクセプト分について、実施例1と同じアウトワード型スリットスクリーンを用いて、スリット幅0.13mm、通過流速0.8m/s、アジテータ周速16.5m/sの条件で処理し、長繊維画分と短繊維画分の分級比率が39:61となるように分級した。
(比較例6)
相川鉄工株式会社パイロットテストプラントにて、新聞古紙と雑誌古紙を重量比が8:2となるように高濃度パルパーに仕込み、仕込み量固形分に対して苛性ソーダ(純分)1重量%、珪酸ソーダ(有姿)1重量%、過酸化水素(純分)0.5%、高級アルコール系脱墨剤(有姿)0.2%を添加し、温度40℃で15分間離解した。離解後のパルプについて、0.2mmのスリット幅を有する粗選スクリーンを用いて固形分濃度2.3重量%で処理し、粗大粘着異物などの異物の除去を行い、更に固形分濃度1.2%、40℃でフローテーションを行いインキを除去して古紙パルプを含むパルプスラリーを得た(古紙パルプスラリーC)。
(比較例7)
長繊維画分と短繊維画分の分級比率を39:61とした以外は、比較例6と同様にした。
評価結果を表1および表2に示す。
実施例1・2と比較例2〜5より、分級スクリーンでの処理濃度を1.5重量%より低くした場合、長繊維画分の濃度が低くなるため、後工程の設備を大きくする必要があり、製造コストが高くなる。また、水の使用量が多くなることから製造コストが高くなるため不利である。
以下の方法で紙を製造し、灰分、厚さ、坪量、密度、裂断長、層間強度(紙の厚さ方向の強度)を測定した。なお、本実験における添加率は、全紙料固形分重量に対しての数値である。
・灰分:JIS P 8251:2003に従った。
・厚さ:JIS P 8118:1998に従った。
・坪量:JIS P 8124:1998に従った。
・密度:厚さ(紙厚)、坪量の測定値より算出した。
・引張り強さ:JIS P 8113に準じて測定した。
・裂断長:JIS P 8113:1998に従った。
・層間強度:L&W ZD Tensile Tester SE 155(Lorentzen&Wettre社製)で層間強度を測定した。(TAPPI T 541, ISO 15754)
(実施例2−1)
新聞古紙と雑誌古紙の重量比が8:2である古紙を用い、長繊維画分と短繊維画分の分級比率を20:80にした以外は、実施例1と同様にして長繊維画分と短繊維画分を得た。
(実施例2−2)
紙力剤の添加量を0.4質量%にした以外は、実施例2−1と同様にして抄紙した。
(実施例2−3)
短繊維に対して軽質炭酸カルシウムを添加しなかった以外は、実施例2−1と同様にして短繊維を前処理した。
(実施例2−4)
紙力剤の添加量を0.4質量%にした以外は、実施例2−3と同様にして抄紙した。
(比較例2−1)
長繊維と短繊維を20:80の重量比で混合した後、硫酸バンド(添加量2%)、紙力剤(ポリアクリルアミド、ハリマ化成製EX288、添加量0.2%)、軽質炭酸カルシウム(平均粒子径2.5μm、添加量10%)、歩留向上剤(ハイモ株式会社製ND300、添加量100ppm)をこの順番で添加して紙料を調成した以外は、実施例2−1と同様にして抄紙した。
(比較例2−2)
紙力剤の添加量を0.4質量%にした以外は、比較例2−1と同様にして抄紙した。
(比較例2−3)
炭酸カルシウムのスラリーをスリーワン・モーターにて500rpmの速度で攪拌しながら、抄紙用添加剤として紙力剤(ポリアクリルアミド、ハリマ化成製EX288)を添加した(試料A)。長繊維と短繊維を20:80の重量比で混合した後、硫酸バンド(添加量2%)、試料A、歩留向上剤(添加量100ppm)をこの順番で添加して紙料を調成した(紙料中の炭酸カルシウム濃度は10%、紙力剤濃度は0.2%)。それ以外は、実施例2−1と同様にして抄紙した。
(比較例2−4)
紙力剤の添加量を0.4質量%にした以外は、比較例2−3と同様にして抄紙した。
評価結果を表3に示す。短繊維を予め抄紙用添加剤で処理した実施例の手抄き紙は、前処理を行わなかった比較例と比べて、裂断長や層間強度が高くなる傾向にあった。また、短繊維に紙力剤と填料を予め添加して前処理を行うと(実施例2−1、2−2)、抄紙用添加剤のみで短繊維を前処理した場合(実施例2−3,2−4)よりも裂断長、層間強度がさらに高くなった。さらに、填料を抄紙用添加剤で前処理した場合(比較例2−3,2−4)と比べて、本発明の実施例は、裂断長、層間強度ともに高くなる傾向があった。
(実施例3−1)
新聞古紙と雑誌古紙の重量比が8:2である古紙を用い、長繊維画分と短繊維画分の分級比率を40:60にした以外は、実施例1と同様にして長繊維画分と短繊維画分を得た。この分級後の原料に対して以下の薬品処理を行った。添加率は、全紙料固形分重量に対しての数値である。
<試料B> 長繊維のスラリー(濃度0.5%)に、スリーワン・モーターにて500rpmの速度で攪拌しながら、硫酸バンドを2%添加して混合した。
<試料C> 短繊維のスラリー(濃度0.5%)に、スリーワン・モーターにて500rpmの速度で攪拌しながら、軽質炭酸カルシウムを17%添加・混合し、その後抄紙用添加剤として紙力剤(ポリアクリルアミド、ハリマ化成社製EX288)を0.2%添加した。
(実施例3−2)
軽質炭酸カルシウムの添加率を22%にした以外は、実施例3−1と同様にして抄紙した。
(実施例3−3)
紙力剤に代えてアニオン性の歩留向上剤(ハーキュレス社製SP7200)を0.02%添加した以外は、実施例3−2と同様にして抄紙した。
(実施例3−4)
紙力剤に代えて凝結剤(ハイモ社製FR740)を0.04%添加した以外は、実施例3−2と同様にして抄紙した。
(実施例3−5)
歩留向上剤として、カチオン性歩留向上剤(ハイモ社製ND300)0.02%とアニオン性歩留向上剤(ハイモ社製FA230)0.02%とを併用した以外は、実施例3−2と同様にして抄紙した。この2種類の歩留向上剤の添加順はカチオン性歩留向上剤、アニオン性歩留向上剤の順である。
(比較例3−1)
長繊維スラリー(濃度0.5%)と短繊維スラリー(濃度0.5%)を混合した後、硫酸バンド、抄紙用添加剤として紙力剤(ポリアクリルアミド、ハリマ化成社製EX288)、軽質炭酸カルシウム、抄紙用添加剤として歩留向上剤(ハイモ株式会社製ND300)の順番で添加した。それ以外は、実施例3−1と同様にして抄紙した。
(比較例3−2)
軽質炭酸カルシウムの添加率を22%にした以外は、比較例3−1と同様にして抄紙した。
評価結果を表4に示す。実施例3−1は、比較例3−1に比べて、灰分歩留が若干向上し裂断長や層間強度が高くなった。実施例3−2と、比較例3−2を比べても同様であった。実施例3−3は、比較例3−2に比べて、灰分歩留はほぼ同等で裂断長、層間強度ともに高くなった。実施例3−4および3−5は、比較例3−2に比べて、灰分歩留が低下するものの裂断長、層間強度ともに高くなった。以上のことから、抄紙用添加剤を用いて填料を短繊維に定着させることで、紙力が向上することを見出した。本発明の実施例3は、裂断長、層間強度ともに高くする傾向があった。
(実施例4−1)
新聞古紙と雑誌古紙の重量比が8:2である古紙を用い、長繊維画分と短繊維画分の分級比率を40:60にした以外は、実施例1と同様にして長繊維画分と短繊維画分を得た。この分級後の原料に対して以下の薬品処理を行った。添加率は、全紙料固形分重量に対しての数値である。
<試料D> 長繊維スラリー(濃度0.5%)に、スリーワン・モーターにて500rpmの速度で攪拌しながら、硫酸バンドを2%添加・混合した。
<試料E> 短繊維スラリー(濃度0.5%)に、スリーワン・モーターにて500rpmの速度で攪拌しながら、軽質炭酸カルシウムを22%添加・混合し、その後抄紙用添加剤として紙力剤(カチオン化澱粉、日本エヌエスシー社製Cato304)を0.5%添加した。
(実施例4−2)
紙力剤の添加率を0.3%にした以外は、実施例4−1と同様にして抄紙した。
(比較例4−1)
長繊維スラリー(濃度0.5%)と短繊維スラリー(濃度0.5%)を混合した後、硫酸バンド、抄紙用添加剤として紙力剤(カチオン化澱粉、日本エヌエスシー社製Cato304)を0.5%添加し、軽質炭酸カルシウムを22%添加し、抄紙用添加剤として歩留向上剤(ハイモ株式会社製ND300)を100ppmとなるように順番に添加した。それ以外は、実施例4−1と同様にして抄紙した。
評価結果を表5に示す。実施例4−1は、比較例4−1に比べて、灰分歩留が大幅に向上し、層間強度も高くなった。実施例4−2は、比較例4−1に比べて、抄紙用添加剤の添加率が低いにも関わらず灰分歩留が向上し、層間強度も高くなった。以上のことから、抄紙用添加剤を用いて填料を短繊維に定着させることで、灰分歩留、および紙力が向上することを見出した。本発明の実施例4は、灰分歩留を向上させ、層間強度ともに高くする傾向があった。灰分歩留と層間強度を同時に向上させていることは、以下のグラフからも明らかである。
(実施例5−1)
新聞古紙と雑誌古紙の重量比が8:2である古紙を用い、長繊維画分と短繊維画分の分級比率を40:60にした以外は、実施例1と同様にして長繊維画分と短繊維画分を得た。この分級後の原料に対して以下の薬品処理を行った。添加率は、全紙料固形分重量に対しての数値である。
<試料F> 長繊維スラリー(濃度0.5%)に、スリーワン・モーターにて500rpmの速度で攪拌しながら、硫酸バンドを2%添加・混合した。
<試料G> 短繊維スラリー(濃度0.5%)に、スリーワン・モーターにて500rpmの速度で攪拌しながら、軽質炭酸カルシウムを17%添加・混合し、その後紙力剤(カチオン化澱粉、日本エヌエスシー社製Cato304)を0.3%添加した。
(実施例5−2)
軽質炭酸カルシウムの添加率を22%にした以外は、実施例5−1と同様にして抄紙した。
(実施例5−3)
試料Gに添加する抄紙用添加剤をポリアクリルアミド(ハリマ化成社製EX288)の0.15%添加とし、試料Fと試料Gを混合後に添加する抄紙用添加剤をカチオン化澱粉(日本エヌエスシー社製Cato304)の0.3%添加とした以外は、実施例5−1と同様にして抄紙した。
(実施例5−4)
軽質炭酸カルシウムの添加率を22%にした以外は、実施例5−3と同様にして抄紙した。
(比較例5−1)
長繊維スラリー(濃度0.5%)と短繊維スラリー(濃度0.5%)を混合した後、硫酸バンド、抄紙用添加剤としてカチオン化澱粉(日本エヌエスシー株式会社製Cato304)を0.3%添加、ポリアクリルアミド(ハリマ化成社製EX288)を0.15%添加、軽質炭酸カルシウムを17%添加、抄紙用添加剤として歩留向上剤(ハイモ株式会社製ND300)を100ppmとなるように、この順番に添加して、紙料を調成した。この紙料を用いて、実施例5−1と同様にして抄紙した。
(比較例5−2)
軽質炭酸カルシウムの添加率を22%にした以外は、比較例5−1と同様にして抄紙した。
評価結果を表6に示す。実施例5−1および実施例5−3は、比較例5−1に比べて、裂断長および層間強度が高くなった。実施例5−2および実施例5−4と比較例5−2を比べても、この傾向は同様であった。以上のことから、抄紙用添加剤を用いて填料を短繊維に定着させることで、紙力が向上することを見出した。
Claims (7)
- 古紙パルプを含む固形分濃度が1.5重量%以上であるパルプスラリーを、0.1mm〜0.3mmのスリット幅の開口部を有するアウトワード型スリットスクリーンを用いて長繊維画分と短繊維画分に分級する工程であって、長繊維画分と短繊維画分の固形分比が10:90〜60:40であり、長繊維画分と短繊維画分のカナダ標準濾水度の差が100ml〜300mlである工程、
短繊維画分のパルプスラリーに1つ以上の抄紙用添加剤を添加する工程、
抄紙用添加剤を添加した短繊維画分のパルプスラリーを用いて抄紙する工程、
を含む、紙の製造方法。 - 前記抄紙用添加剤が有機高分子である、請求項1に記載の方法。
- 短繊維画分のパルプスラリーに対して前記抄紙用添加剤とともに填料を添加する、請求項1または2に記載の方法。
- 抄紙用添加剤を添加した短繊維画分のパルプスラリーを長繊維画分のパルプスラリーと混合してから抄紙する、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
- 長繊維画分のパルプスラリーと混合して得たパルプスラリーに別の抄紙用添加剤をさらに添加してから抄紙する、請求項4に記載の方法。
- 前記填料が炭酸カルシウムを含む、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
- 短繊維画分のパルプスラリーに添加される抄紙用添加剤がポリアクリルアミドを含む、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
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