JP6077360B2 - 紙の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、紙の製造方法に関する。本発明は、クラフトパルプを含むパルプを分級したパルプスラリーを用いて、強度の強い紙を効率的に製造する方法に関する。
近年、印刷用紙、情報用紙などにおいて、高白色、高不透明化が進められ、これらの品質は飛躍的に向上している。その品質向上を低コストで実現する手段として、炭酸カルシウムに代表される填料を紙中に抄き込むことが行われ、その紙中填料の含有率も日進月歩の技術開発により高まってきている。
しかしながら、紙中填料率を高めることにより、引張り強度、層間強度等に代表される紙の強度低下が問題となっており、このような課題の解決、強度低下対策の一つとして、原料のクラフトパルプを長繊維分と短繊維分に篩い分け(分級)し、長繊維画分、短繊維画分に別々の処理を行い紙に配合する試みがおこなわれている。
特許文献1では、抄紙工程における微細繊維に対し、選択的にカルシウムイオン及び炭酸イオンで処理を行い、炭酸カルシウムの結晶化をこの微細繊維の存在下で行い、填料と結合させ、繊維と填料の複合体を形成させている。この処理では、接着剤や歩留剤を添加せずに、微細繊維上に直接顆粒塊を組織化させており、得られた微細繊維−填料の複合体を用いる紙または板紙の製造方法を試みている。
この製造方法では、抄紙される紙はこわさ特性、填料リテンションが向上し、z方向及び幅方向で均一な填料プロファイルを有するとされているが、填料を紙中に高配合した際の問題である引張り強度、層間強度等に代表される紙の強度低下については、紙の強度を改善する場合、パルプスラリーに接着性をもつ添加剤をより多く添加するなどの手段が必要となると考えられる。
本発明の目的は、繊維分級の技術を応用して特徴のあるパルプを効率的に調製し、そのパルプを利用して特徴のある紙、特に強度の強い紙を製造する技術を提供することである。
上記課題について本発明者が鋭意検討したところ、クラフトパルプを含むパルプスラリーを繊維分級し、得られる長繊維画分と短繊維画分を別々に処理する事により、紙力を効率的に向上させることを見出した。
本発明は、これに限定されるものではないが、以下の発明を包含する。
(1) クラフトパルプを含むパルプのスラリーを、スクリーンを用いて長繊維画分と短繊維画分に分級する工程であって、長繊維画分と短繊維画分の固形分比が10:90〜70:30となるように分級し、分級前のパルプスラリーと比較して短繊維画分のカナダ標準ろ水度を5%以上小さくする工程、
長繊維画分および/または短繊維画分に抄紙用添加剤を添加する工程、次いで、
抄紙用添加剤を添加した長繊維画分および/または短繊維画分のパルプスラリーを用いて抄紙する工程、
を含む、紙の製造方法。
(2) アウトワード型スリットスクリーンを用いて分級を行う、(1)に記載の方法。
(3) 0.10mm〜0.30mmのスリット幅の開口部を有するスリットスクリーンを用いて分級を行う、(1)または(2)に記載の方法。
(4) 前記抄紙用添加剤が有機高分子である、(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5) 短繊維画分のパルプスラリーに対して前記抄紙用添加剤とともに填料を添加する、(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
(6) 長繊維画分のパルプスラリーと短繊維画分のパルプスラリーを混合して得たパルプスラリーを用いて抄紙する、(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。
(7) 混合して得たパルプスラリーに別の抄紙用添加剤をさらに添加してから抄紙する、(6)に記載の方法。
(8) 前記填料が炭酸カルシウムを含む、(5)に記載の方法。
(9) 前記填料が、ロゼッタ型軽質炭酸カルシウムを含む、(5)に記載の方法。
(10) 長繊維画分のパルプスラリー、短繊維画分のパルプスラリー、長繊維画分のパルプスラリーと短繊維画分のパルプスラリーを混合して得たパルプスラリー、のいずれか1つ以上に、ポリアクリルアミドを含む抄紙用添加剤を添加する、(1)〜(9)のいずれかに記載の方法。
(11) 長繊維画分のパルプスラリー、短繊維画分のパルプスラリー、長繊維画分のパルプスラリーと短繊維画分のパルプスラリーを混合して得たパルプスラリー、のいずれか1つ以上に、澱粉を含む抄紙用添加剤を添加する、(1)〜(10)のいずれかに記載の方法。
(12) 前記分級前のパルプスラリーの濃度が、2.0%〜4.0%である、(1)〜(11)のいずれかに記載の方法。
(1) クラフトパルプを含むパルプのスラリーを、スクリーンを用いて長繊維画分と短繊維画分に分級する工程であって、長繊維画分と短繊維画分の固形分比が10:90〜70:30となるように分級し、分級前のパルプスラリーと比較して短繊維画分のカナダ標準ろ水度を5%以上小さくする工程、
長繊維画分および/または短繊維画分に抄紙用添加剤を添加する工程、次いで、
抄紙用添加剤を添加した長繊維画分および/または短繊維画分のパルプスラリーを用いて抄紙する工程、
を含む、紙の製造方法。
(2) アウトワード型スリットスクリーンを用いて分級を行う、(1)に記載の方法。
(3) 0.10mm〜0.30mmのスリット幅の開口部を有するスリットスクリーンを用いて分級を行う、(1)または(2)に記載の方法。
(4) 前記抄紙用添加剤が有機高分子である、(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5) 短繊維画分のパルプスラリーに対して前記抄紙用添加剤とともに填料を添加する、(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
(6) 長繊維画分のパルプスラリーと短繊維画分のパルプスラリーを混合して得たパルプスラリーを用いて抄紙する、(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。
(7) 混合して得たパルプスラリーに別の抄紙用添加剤をさらに添加してから抄紙する、(6)に記載の方法。
(8) 前記填料が炭酸カルシウムを含む、(5)に記載の方法。
(9) 前記填料が、ロゼッタ型軽質炭酸カルシウムを含む、(5)に記載の方法。
(10) 長繊維画分のパルプスラリー、短繊維画分のパルプスラリー、長繊維画分のパルプスラリーと短繊維画分のパルプスラリーを混合して得たパルプスラリー、のいずれか1つ以上に、ポリアクリルアミドを含む抄紙用添加剤を添加する、(1)〜(9)のいずれかに記載の方法。
(11) 長繊維画分のパルプスラリー、短繊維画分のパルプスラリー、長繊維画分のパルプスラリーと短繊維画分のパルプスラリーを混合して得たパルプスラリー、のいずれか1つ以上に、澱粉を含む抄紙用添加剤を添加する、(1)〜(10)のいずれかに記載の方法。
(12) 前記分級前のパルプスラリーの濃度が、2.0%〜4.0%である、(1)〜(11)のいずれかに記載の方法。
本発明によれば、特定の方法で繊維分級することにより特徴のあるパルプを効率的に調製し、そのパルプに対して特定の前処理を施すことによって強度の強い紙を製造することが可能になる。
本発明においては、クラフトパルプを含むパルプを含むパルプスラリーを、長繊維画分と短繊維画分の固形分比が10:90〜70:30にスクリーンを用いて分級する工程を備え、この短繊維画分のパルプスラリーのカナダ標準ろ水度が、分級前のパルプスラリーと比較して5%以上小さい。ここで、短繊維画分とは、分級前のパルプスラリーから長繊維画分を除いた残りのパルプスラリーであり、スクリーンを用いた分級においてアクセプトされたものであり、長繊維画分とはスクリーンを用いた分級におけるリジェクトである。
(クラフトパルプ)
本発明においては、クラフトパルプを含むパルプを使用し、好ましい態様において、全パルプの固形分重量に対してクラフトパルプを50重量%以上含むパルプを用いる。クラフトパルプの量は、全パルプの固形分重量に対して70重量%以上であることが好ましく、80重量%以上であることがより好ましく、90重量%以上であることがさらに好ましい。本発明において用いられるクラフトパルプとしては、例えば、広葉樹晒パルプ(LBKP)、針葉樹晒パルプ(NBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹半晒クラフトパルプ(LSBKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹半晒クラフトパルプ(NSBKP)、また、広葉樹亜硫酸パルプ、針葉樹亜硫酸パルプ等の化学パルプを用いても良い。1つの態様において、本発明のクラフトパルプは広葉樹クラフトパルプ(LKP)である。
本発明においては、クラフトパルプを含むパルプを使用し、好ましい態様において、全パルプの固形分重量に対してクラフトパルプを50重量%以上含むパルプを用いる。クラフトパルプの量は、全パルプの固形分重量に対して70重量%以上であることが好ましく、80重量%以上であることがより好ましく、90重量%以上であることがさらに好ましい。本発明において用いられるクラフトパルプとしては、例えば、広葉樹晒パルプ(LBKP)、針葉樹晒パルプ(NBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹半晒クラフトパルプ(LSBKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹半晒クラフトパルプ(NSBKP)、また、広葉樹亜硫酸パルプ、針葉樹亜硫酸パルプ等の化学パルプを用いても良い。1つの態様において、本発明のクラフトパルプは広葉樹クラフトパルプ(LKP)である。
晒クラフトパルプの製造法は特に制限されない。例えば、晒クラフトパルプの製造では、蒸解・酸素脱リグニン後に、塩素、次亜塩素酸塩、二酸化塩素、酸素、過酸化水素などの酸化剤を組合せて漂白しても良いが、環境問題に対応し、有機塩素化合物やクロロホルムの発生を防止する塩素や次亜塩素酸塩を用いない、いわゆるECF(Elemental Chlorine Free)漂白法が好ましい。塩素の代替薬品としては、オゾン、二酸化塩素が用いられ、次亜塩素酸塩に代えて過酸化水素、二酸化塩素が用いられることも多く、本発明においては、必要に応じてこれらの漂白処理を行った晒クラフトパルプを使用することができる。
(分級)
本発明においては、クラフトパルプを含むパルプスラリーを、スクリーンを用いて長繊維画分と短繊維画分のスラリーに分級する。ここで、スクリーンを通過する画分(アクセプト)が短繊維画分であり、スクリーンを通過しない画分(リジェクト)が長繊維画分となる。一般に、繊維が短いとろ水度が低くなるが、本発明においては、分級前のパルプスラリーと比較して分級後の短繊維画分のろ水度が5%以上小さくなる。また、分級前のパルプのカナダ標準ろ水度(CSF)に制限はないが、例えば1つの態様において、250〜500mlとすることができる。
本発明においては、クラフトパルプを含むパルプスラリーを、スクリーンを用いて長繊維画分と短繊維画分のスラリーに分級する。ここで、スクリーンを通過する画分(アクセプト)が短繊維画分であり、スクリーンを通過しない画分(リジェクト)が長繊維画分となる。一般に、繊維が短いとろ水度が低くなるが、本発明においては、分級前のパルプスラリーと比較して分級後の短繊維画分のろ水度が5%以上小さくなる。また、分級前のパルプのカナダ標準ろ水度(CSF)に制限はないが、例えば1つの態様において、250〜500mlとすることができる。
本発明において短繊維画分は、分級前のパルプスラリーと比較して、カナダ標準ろ水度が5%以上小さいが、10%以上小さいことが好ましく、30%小さいことがより好ましい。分級前パルプと短繊維画分のカナダ標準ろ水度差が5%より小さい場合、長繊維と短繊維の分級が不十分なものとなり、それに伴い、パルプスラリーを分級してから別個に処理を行う本発明のメリットが小さくなる。結果として得られる完成パルプ、抄紙後の紙の品質低下をも招くため不適である。
本発明ではスクリーンをパルプの分級手段として用いるが、その種類や形式は特に制限されず、丸穴スクリーン、スリットスクリーンなどが挙げられるが、本発明はスリットスクリーンが好ましい。丸穴状の開口部では、穴径を小さくするとバスケットの開口面積が小さくなり、大きな設備が必要になるとともに原料や異物の詰りが生じ易いことから、濃度を高くすることが困難である。穴径を大きくした場合は、粘着異物などの分離が不十分となりやすい。スリットスクリーンとしては、アウトワード形式、インワード形式のどちらの形式のスリットスクリーンでも良く、例えば、相川鉄工製のマックスセーバーなどのリジェクトスクリーンの利用が好適である。
本発明ではアウトワード形式のスリットスクリーンが好ましく、アウトワード形式のスクリーンとは、処理される原料がスクリーンバスケットの内側から外側に向かって開口部を通過するタイプのスクリーンである。このタイプのスクリーンは、内側よりも外側の開口部の面積が大きく、内側の圧力よりも外側の圧力が低い傾向にあること、外側に向かって遠心力が働くことから、原料が通過し易い。一方、インワード形式のスクリーンとは、原料がスクリーンバスケットの外側から内側に向かって開口部を通過するタイプのスクリーンであり、アウトワード形式のスクリーンよりも原料が通り難く、特に固形分濃度が4.0重量%以上と高濃度の場合に詰り易いという特徴がある。それゆえ、アウトワード形式のスクリーンの方が、インワード形式より詰まりにくく、処理する際の固形分濃度が高く設定でき、分級処理設備の省エネ・コンパクト化に好適である。
本発明の一つの態様においてスリット幅は、例えば0.10〜0.30mmであり、好ましくは0.13〜0.2mm、更に好ましくは0.13〜0.15mmである。スリット幅が0.10mmより小さい場合、やはり詰り易くなることから、固形分濃度1.5重量%以上のパルプスラリーの処理が困難となる場合があり、本発明にあるように濃度2.0重量%以上で運転することは極めて困難となる。一方、スリット幅が0.30mmを超える場合、分級が不十分となり、それに伴い、パルプスラリーを分級してから別個に処理を行う本発明のメリットが小さくなる。結果として得られる完成パルプ、抄紙後の紙の品質低下をも招くため不適である。
本発明の分級条件としては、処理するパルプスラリーの固形分濃度を0.5重量%以上とすることが望ましい。濃度1.0重量%以上4.0%未満でスクリーン処理することが好ましく、濃度1.8重量%以上3.5%未満で処理することがより好ましく、濃度2.
2重量%以上3.0%未満で処理することが更に好ましい。
2重量%以上3.0%未満で処理することが更に好ましい。
濃度を0.5%未満とすると分級効率は向上するものの、分級処理設備が大きくなること、処理後の短繊維画分(アクセプト側)の濃度が低くなり、本発明で得られるような省エネ・コンパクト化のメリットが得られにくい。一方、濃度を4.0%以上とするとスクリーンでの分級が困難になり、詰り等の問題を生じ易いことから不適である。
本発明では、スクリーンを用いた分級によって、分級前のパルプスラリーと比較してカナダ標準ろ水度が5%以上小さい短繊維画分を得るが、例えば、パルプスラリー流量上昇、スクリーンの入り口と出口の差圧増加といったスクリーンの運転条件の調整や、分級前パルプスラリーの濃度低下などにより短繊維画分に分離される繊維の量を多くすることで、短繊維画分のろ水度を調整することができる。
(長繊維画分と短繊維画分)
本発明における長繊維画分とは、パルプスラリーをスクリーンで処理した際にリジェクト側として回収される画分であり、処理前のパルプスラリーの中の比較的長い繊維を多く含む画分のことである。短繊維画分とは、スクリーンのアクセプト側として回収される画分であり、処理前のパルプスラリーの中の比較的短い繊維や微細繊維を多く含む画分のことである。
本発明における長繊維画分とは、パルプスラリーをスクリーンで処理した際にリジェクト側として回収される画分であり、処理前のパルプスラリーの中の比較的長い繊維を多く含む画分のことである。短繊維画分とは、スクリーンのアクセプト側として回収される画分であり、処理前のパルプスラリーの中の比較的短い繊維や微細繊維を多く含む画分のことである。
本発明では、得られる長繊維画分/短繊維画分の分級比が固形分重量で10:90〜70:30となるように分級するが、本発明の効果は、分級比が20:80〜50:50である場合に更に顕著であり、30:70〜50:50である場合に特に顕著である。長繊維画分/短繊維画分の分級比に占める長繊維の割合が10:90よりも小さい場合は、所謂、異物除去に用いられる精選スクリーンなどと同じ働きとなり、分級という点でも長繊維画分に分離される繊維の量が少なく、その後の処理を別個に行うメリットが小さくなる。長繊維の割合が70:30より大きい場合は、スクリーンのリジェクト側をアクセプト側よりも多く出す必要があり、スリットの目詰まりやリジェクト配管の詰りなどが生じ易いなどの問題があるため不適である。
(紙の製造)
本発明によって得られた長繊維完成パルプと短繊維完成パルプについては、それぞれ別個に原料として配合し紙を製造することができる。また、任意の比率で混合することで、ホールパルプを用いて抄紙して得られる従来の紙に対して、特徴のある紙を得ることができる。例えば、長繊維完成パルプの比率を多くすると、より嵩高となり、引裂き強さが高くなる。逆に短繊維完成パルプの比率を多くすると、より密度の高い紙になり、引っ張り強さ(裂断長)が高くなり、平滑・透気抵抗度が高くなる。
本発明によって得られた長繊維完成パルプと短繊維完成パルプについては、それぞれ別個に原料として配合し紙を製造することができる。また、任意の比率で混合することで、ホールパルプを用いて抄紙して得られる従来の紙に対して、特徴のある紙を得ることができる。例えば、長繊維完成パルプの比率を多くすると、より嵩高となり、引裂き強さが高くなる。逆に短繊維完成パルプの比率を多くすると、より密度の高い紙になり、引っ張り強さ(裂断長)が高くなり、平滑・透気抵抗度が高くなる。
本発明においては、上記のようにして得られた長繊維画分と短繊維画分のいずれかまたは両方に対してそれぞれ予め抄紙用添加剤を添加して前処理を行う。長繊維に前処理を行うことで、より強度の強い紙が得られ、微細繊維を含む短繊維に前処理を行うことにより、微細繊維が紙に効率よく歩留るとともに紙の強度にも寄与し、強度の高い紙を得ることができる。
本発明で用いる抄紙用添加剤とは、以下に制限されるものではないが、パルプおよび填料を除く、抄紙工程で添加される添加剤のことであり、例えば、一般に紙力向上剤および/または歩留向上剤および/または凝結剤として使用される抄紙用添加剤を好適に使用することができる。このような薬品は、製紙用薬品として開発されており、パルプ繊維に対する定着性などが一般に良好である。これらは、無機分子を主に構成されるもの、有機高分子を主に構成されるものがあるが、有機高分子からなるものを好適に使用することがで
きる。
きる。
無機分子の抄紙用添加剤としては、例えば、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、アルミン酸ソーダや、塩基性塩化アルミニウム、塩基性ポリ水酸化アルミニウム等の塩基性アルミニウム化合物や、水に易分解性のアルミナゾル等の水溶性アルミニウム化合物、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄等の多価金属化合物、シリカゾル等などが挙げられる。
本発明で用いる有機高分子に特に制限はないが、一般に紙力向上剤および/または歩留向上剤として使用される有機高分子を好適に使用することができる。このような薬品は、製紙用薬品として開発されており、パルプ繊維に対する定着性などが一般に良好である。
有機高分子としては、イオン性ポリマー、すなわち、カチオンポリマー、アニオン性ポリマー、両性ポリマーおよび、これらからなるポリイオンコンプレックスを好適に使用することができ、また、デンプンおよびその誘導体も好適に使用することができる。また、本発明においては、有機高分子として複数種類を組み合わせて使用することも可能である。好ましい有機高分子としては、ポリアクリルアミド、ポリビニルアミン、デンプン、グアーガム、ポリアミドアミンエピクロルヒドリン、カルボキシメチルセルロース、セルロースナノファイバー、キトサン、アルギン酸およびその誘導体などが挙げられ、ポリアクリルアミド系ポリマー、デンプン類がより好ましく、ポリアクリルアミド系ポリマーがさらに好ましい。ポリアクリルアミド系ポリマーとしては、分子量100万以上であるものが良く、両性であり、カチオンリッチであることが良い。澱粉類としては、生澱粉や、酸化澱粉、エステル化澱粉、カチオン化澱粉、酵素変性澱粉、アルデヒド化澱粉、ヒドロキシエチル化澱粉などが使用される。生澱粉の原料としてはコーン、タピオカ、ポテトなどが挙げられる。
長繊維画分に添加する抄紙用添加剤の量は特に制限されないが、長繊維絶乾固形分重量に対して0.001〜6.0%の範囲の添加が好ましく、0.001〜2.0%がより好ましく、0.001〜0.4%の添加がさらに好ましい。また、全紙料固形分に対して0.001〜5.0%の範囲の添加が好ましく、0.001〜1.0%がより好ましく、0.001〜0.3%がさらに好ましい。
また、短繊維画分に添加する抄紙用添加剤の量は特に制限されないが、短繊維絶乾固形分重量に対して0.001〜6.0%の範囲の添加が好ましく、0.001〜2.0%がより好ましく、0.001〜0.4%の添加がさらに好ましい。また、全紙料固形分に対して0.001〜5.0%の範囲の添加が好ましく、0.001〜1.0%がより好ましく、0.001〜0.3%がさらに好ましい。このような範囲で抄紙用添加剤を予め添加することにより、紙の強度を効果的に向上させることができる。
本発明の好ましい態様において、短繊維画分のパルプスラリーに対して抄紙用添加剤とともに填料を添加する。このようにして微細繊維を含む短繊維に填料を予め定着させることによって、ホールパルプに填料を添加した後に抄紙用添加剤を添加した場合よりもさらに紙力を向上させることができる。
長繊維パルプに対する填料と抄紙用添加剤の添加方法、および短繊維パルプに対する填料と抄紙用添加剤の添加方法については特に制限はなく、特に長繊維に填料を添加した後に抄紙用添加剤を加えることや、抄紙用添加剤を添加した後に填料を加えてもよく、長繊維に対して予め填料と抄紙用添加剤を混合したものを添加してもよいが、特に長繊維パルプに抄紙用添加剤を添加した後に填料を添加した場合に、長繊維パルプへの紙力剤の定着性が高く紙力が効果的に発現される。特に短繊維に填料を添加した後に抄紙用添加剤を加えることや、抄紙用添加剤を添加した後に填料を加えてもよく、短繊維に対して予め填料と抄紙用添加剤を混合したものを添加してもよいが、特に短繊維パルプに填料を添加した後に抄紙用添加剤を添加した場合に、填料の短繊維パルプへの定着性が高く、微細繊維などのフィブリルに填料を絡めることができるため効果が高くなる。
前処理に用いる填料に特に制限はなく、一般に無機填料及び有機填料と呼ばれる粒子が使用できる。例えば、無機填料として、炭酸カルシウム(軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム)、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、クレー(カオリン、焼成カオリン、デラミカオリン)、タルク、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、二酸化チタン、ケイ酸ナトリウムと鉱酸から製造されるシリカ(ホワイトカーボン、シリカ/炭酸カルシウム複合体、シリカ/二酸化チタン複合体)、白土、ベントナイト、珪藻土、硫酸カルシウム、脱墨工程から得られる灰分を再生して利用する無機填料および再生する過程でシリカや炭酸カルシウムと複合体を形成した無機填料などが挙げられる。炭酸カルシウム−シリカ複合物としては、炭酸カルシウムおよび/または軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物以外に、ホワイトカーボンのような非晶質シリカを併用しても良い。この中でも、中性抄紙やアルカリ抄紙における代表的な填料である炭酸カルシウムや軽質炭酸カルシウムーシリカ複合物が好ましく使用される。有機填料としては、尿素−ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、微小中空粒子、アクリルアミド複合体、木材由来の物質(微細繊維、ミクロフィブリル繊維、粉体ケナフ)、変性不溶化デンプン、未糊化デンプンなどが挙げられる。これらは単独でも2種類以上の組み合わせでも構わない。
好ましい填料としては、軽質炭酸カルシウムや重質炭酸カルシウムなどの炭酸カルシウム、カオリン、タルク、酸化チタンなどを挙げることができる。
軽質炭酸カルシウムの形状は、カルサイト、アラゴナイトのいずれでも良く、また形状についても針状、柱状、紡錘状、球状、立方形状、ロゼッタ型のいずれでも良いが、本発明においてはロゼッタ型の軽質炭酸カルシウムを配合しても、紙力剤の効果が損なわれないことが特徴として挙げられ、この特徴を生かしロゼッタ型の軽質炭酸カルシウムの持つ嵩高、不透明度改善効果を積極的に発現させつつ、同時に強度にも優れる紙を製造することも本発明の特徴である。
ここで、ロゼッタ型の軽質炭酸カルシウムとは、紡錘状の軽質炭酸カルシウム一次粒子が毬栗状に凝集した形状を指し、他の軽質炭酸カルシウムより高い比表面積と吸油性を示す特徴がある。
ロゼッタ型の軽質炭酸カルシウムを配合することで、嵩高、不透明度、強度に優れた紙が得られるメカニズムは定かではないが、次のように推察される。
一般に、抄紙原料に紙力剤を添加すると、紙力剤がパルプ繊維に作用し、パルプ繊維同士や、パルプ繊維と填料との結合が促進される。このとき填料として、比表面積が大きく、また構造的にも紙力剤が入り込む隙間が多いロゼッタ型の炭酸カルシウムを使用した場合、填料に紙力剤が作用し消費されてしまい、パルプ繊維への紙力剤の効果が発現されにくい。
しかしながら本発明では、分級させた繊維に対して、紙力剤を先に添加し作用させる場合、紙力剤がパルプ繊維に有効に定着し、填料に消費されることを防止して、繊維の結合を促進することができる。
特に長繊維パルプは、短繊維パルプに比べて、紙力が発現しにくいが、長繊維画分に紙力剤を添加し、その後に填料を加えた場合、紙層全体を構成する長繊維が効果的に結合され、より強度に優れる紙を得られる。ゆえに、ロゼッタ型の炭酸カルシウムの嵩高、不透明度向上効果を得ると共に、強度に優れた紙を抄造することが可能となる。
一方、ロゼッタ型でない、例えば、紡錘状や柱状の炭酸カルシウムを使用した場合、紙力剤が填料に消費されにくく、パルプ繊維へ作用しやすいため、もともと強度に優れた紙となる傾向があり、本発明のように分級した繊維へ前処理した場合にも、強度向上効果は得られるものの、ロゼッタ型の炭酸カルシウムを使用した場合と比較すると、それほど大きくない。
本発明では、特異的なこの特徴によりロゼッタ型の軽質炭酸カルシウムの持つ嵩高、不透明度改善効果を積極的に発現させつつ、同時に強度にも優れる紙を製造することが可能となる。
長繊維に添加する填料の量は特に制限されないが、長繊維絶乾固形分に対して1〜70固形分重量%の範囲での添加が好ましく、10〜60固形分重量%がより好ましく、20〜50固形分重量%がさらに好ましい。また、全紙料固形分に対して1〜50固形分重量%が好ましく、10〜40固形分重量%がより好ましく、15〜30固形分重量%がさらに好ましい。このような範囲で填料を添加することにより、紙の強度を効果的に向上させることができる。
短繊維に添加する填料の量は特に制限されないが、短繊維絶乾固形分に対して1〜70固形分重量%の範囲での添加が好ましく、10〜60固形分重量%がより好ましく、20〜50固形分重量%がさらに好ましい。また、全紙料固形分に対して1〜50固形分重量%が好ましく、10〜40固形分重量%がより好ましく、15〜30固形分重量%がさらに好ましい。このような範囲で填料を予め添加することにより、紙の強度を効果的に向上させることができる。
本発明においては、このように前処理した長繊維パルプ、短繊維パルプを用いて抄紙することによって、紙力に優れた紙を得ることができる。前処理した繊維パルプは、適宜、その他の原料に配合して紙料を調成し、紙を製造しても良い。その他の原料としては、針葉樹または広葉樹クラフトパルプ(NKPまたはLKP)、針葉樹または広葉樹を用いた機械パルプ、例えば、砕木パルプ(GP)、リファイナー砕木パルプ(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、ケミグランドパルプ(CGP)、セミケミカルパルプ(SCP)等、段ボールを離解した古紙パルプ、塗工紙や塗工原紙、その他の紙を含む損紙を離解してなるコートブローク、及び、これらのパルプの2種以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、多層抄き抄紙機において、本発明によって得られた長繊維完成パルプ、または、短繊維完成パルプ、または両者を任意の比率で、各層の紙料に配合して多層紙を製造することもできる。
本発明によって得られた長繊維完成パルプまたは短繊維完成パルプに、別個に薬品および/または填料を添加して抄紙することができる。特に長繊維完成パルプに澱粉や紙力剤を添加した後に填料を添加し、短繊維パルプに填料を添加した後に歩留剤や凝結剤、紙力剤、澱粉を添加し、それぞれ配合して紙を製造することで、高灰分であっても強度の高い紙など特徴のある紙を製造することができる。
添加する薬品としては、ロジンエマルションや中性ロジン、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸、スチレン/アクリル共重合体などのサイズ剤、カチオン性や両イオン性、アニオン性のポリアクリルアミド、ポリビニルアミン、ポリアクリル酸を含む樹脂、グアーガムなどの乾燥紙力増強剤、カチオン性や両イオン性、アニオン性の変性澱
粉、ポリアミドアミンエピクロロヒドリン、カルボキシメチルセルロースなどの湿潤紙力増強剤、ろ水性向上剤、着色剤、染料、蛍光染料などの従来から使用されている内添薬品、更に紙を嵩高化(低密度化)するための紙用嵩高剤などが挙げられる。
粉、ポリアミドアミンエピクロロヒドリン、カルボキシメチルセルロースなどの湿潤紙力増強剤、ろ水性向上剤、着色剤、染料、蛍光染料などの従来から使用されている内添薬品、更に紙を嵩高化(低密度化)するための紙用嵩高剤などが挙げられる。
また、凝結剤としては、ポリエチレンイミンおよび第三級および/または四級アンモニウム基を含む改質ポリエチレンイミン、ポリアルキレンイミン、ジシアンジアミドポリマー、ポリアミン、ポリアミン/エピクロヒドリン重合体、並びにジアルキルジアリル第四級アンモニウムモノマー、ジアルキルアミノアルキルアクリレート、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート、ジアルキルアミノアルキルアクリルアミド及びジアルキルアミノアルキルメタクリルアミドとアクリルアミドの重合体、モノアミン類とエピハロヒドリンからなる重合体、ポリビニルアミン及びビニルアミン部を持つ重合体やこれらの混合物などのカチオン性のポリマーに加え、前記ポリマーの分子内にカルボキシル基やスルホン基などのアニオン基を共重合したカチオンリッチな両イオン性ポリマー、カチオン性ポリマーとアニオン性または両イオン性ポリマーとの混合物などが挙げられる。
更に、歩留剤として、カチオン性や両イオン性、アニオン性の高分子ポリマー、特にポリアクリルアミド系物質や、同物質を含む共重合ポリマーに加えて、少なくとも一種以上のカチオン性またはアニオン性の薬品を併用するいわゆるデュアルポリマーやマイクロポリマーと呼ばれる歩留りシステムでもよく、少なくとも一種類以上のアニオン性のベントナイトやコロイダルシリカ、ポリ珪酸、ポリ珪酸もしくはポリ珪酸塩ミクロゲルおよびこれらのアルミニウム改質物などの無機微粒子やアクリルアミドが架橋重合したいわゆるマイクロポリマーといわれる粒径100μm以下の有機系の微粒子を一種以上併用する歩留りシステムであってもよい。また、これらを組合せた多成分歩留システムであっても良い。
また、短繊維の前処理に用いる填料とは別に、分級した短繊維と長繊維を再配合した紙料に填料を添加してもよく、添加する填料としては、一般に無機填料及び有機填料と呼ばれる粒子であれば良く、特に限定はない。具体的には、無機填料として、炭酸カルシウム(軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、合成炭酸カルシウム)、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、クレー(カオリン、焼成カオリン、デラミカオリン)、タルク、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、二酸化チタン、ケイ酸ナトリウムと鉱酸から製造されるシリカ(ホワイトカーボン、シリカ/炭酸カルシウム複合体、シリカ/二酸化チタン複合体)、白土、ベントナイト、珪藻土、硫酸カルシウム、脱墨工程から得られる灰分を再生して利用する無機填料および再生する過程でシリカや炭酸カルシウムと複合体を形成した無機填料などが上げられる。炭酸カルシウム−シリカ複合物としては、炭酸カルシウムおよび/または軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物以外に、ホワイトカーボンのような非晶質シリカを併用しても良い。この中でも、中性抄紙やアルカリ抄紙における代表的な填料である炭酸カルシウムや軽質炭酸カルシウムーシリカ複合物が好ましく使用される。有機填料としては、尿素−ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、微小中空粒子、アクリルアミド複合体、木材由来の物質(微細繊維、ミクロフィブリル繊維、粉体ケナフ)、変性不溶化デンプン、未糊化デンプンなどが挙げられる。これらは単独でも2種類以上の組み合わせでも構わない。
更に、セルロースナノファイバーや微粉砕セルロース、または、これらを改質したものなどを添加しても良い。
本発明においては、前処理した長繊維および短繊維を、再配合して紙料を調成する際、再配合の比率は特に制限されず、紙の用途や要求品質に応じて適宜調整すればよい。
本発明において抄紙方法や抄紙条件は特に制限されず、公知の抄紙法によって紙を製造
することができる。抄紙する紙の種類、坪量なども自由であり、必要に応じて、紙表面に接着剤のクリア塗工層や顔料を含む顔料塗工層を設けることができる。
することができる。抄紙する紙の種類、坪量なども自由であり、必要に応じて、紙表面に接着剤のクリア塗工層や顔料を含む顔料塗工層を設けることができる。
以下に本発明の実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。なお、特に断らない限り、本明細書において部および%はそれぞれ重量基準であり、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。
なお、各薬品・填料の添加率は、長繊維画分・短繊維画分と填料を合わせた総固形分に対する数値である。このように表記することで、総固形分を基準として、実験結果間での添加率の比較を行いやすくした。
評価方法
分級前の繊維、及び、得られた長繊維画分と短繊維画分について、ろ水度、及び、平均繊維長あるいは篩分繊維組成を以下のように測定した。
(カナダ標準ろ水度:CSF)
JIS P 8121:1995に基づき測定した。
(平均繊維長)
ファイバーテスター(Lorentzen&Wettre社製)を用いて長さ加重平均繊維長を測定した。
(篩分繊維組成)
JIS P 8207:1976に従い、24メッシュ、42メッシュ、80メッシュ、150メッシュのふるいを用いて繊維組成を測定した。なお、以下の表2・表3において、24mesh onは、24メッシュのふるいを用いて篩い分けを行った場合にふるい上に残る繊維の割合を示すものである。また、42mesh onは、24メッシュのふるいは通過するが、42メッシュのふるい上に残る繊維の割合を示すものである(80mesh on、150mesh onもそれぞれ同様の意味である)。さらに、150mesh passは、150メッシュのふるいを通過する繊維の割合を示すものである。
分級前の繊維、及び、得られた長繊維画分と短繊維画分について、ろ水度、及び、平均繊維長あるいは篩分繊維組成を以下のように測定した。
(カナダ標準ろ水度:CSF)
JIS P 8121:1995に基づき測定した。
(平均繊維長)
ファイバーテスター(Lorentzen&Wettre社製)を用いて長さ加重平均繊維長を測定した。
(篩分繊維組成)
JIS P 8207:1976に従い、24メッシュ、42メッシュ、80メッシュ、150メッシュのふるいを用いて繊維組成を測定した。なお、以下の表2・表3において、24mesh onは、24メッシュのふるいを用いて篩い分けを行った場合にふるい上に残る繊維の割合を示すものである。また、42mesh onは、24メッシュのふるいは通過するが、42メッシュのふるい上に残る繊維の割合を示すものである(80mesh on、150mesh onもそれぞれ同様の意味である)。さらに、150mesh passは、150メッシュのふるいを通過する繊維の割合を示すものである。
また、以下の方法で製造した紙について、灰分、厚さ、坪量、密度、裂断長、層間強度(紙の厚さ方向の強度)を測定した。なお、以下の実験における添加率は、全紙料固形分重量に対しての数値である。
・灰分:JIS P 8251:2003に従った。
・厚さ:JIS P 8118:1998に従った。
・坪量:JIS P 8124:1998に従った。
・密度:厚さ(紙厚)、坪量の測定値より算出した。
・引張り強さ:JIS P 8113に準じて測定した。
・裂断長:JIS P 8113:1998に従った。
・層間強度:TAPPI T 541(ISO 15754)に従って、L&W ZD Tensile Tester SE 155 (Lorentzen&Wettre社製)で層間強度を測定した。
・灰分:JIS P 8251:2003に従った。
・厚さ:JIS P 8118:1998に従った。
・坪量:JIS P 8124:1998に従った。
・密度:厚さ(紙厚)、坪量の測定値より算出した。
・引張り強さ:JIS P 8113に準じて測定した。
・裂断長:JIS P 8113:1998に従った。
・層間強度:TAPPI T 541(ISO 15754)に従って、L&W ZD Tensile Tester SE 155 (Lorentzen&Wettre社製)で層間強度を測定した。
さらに、炭酸カルシウムの物性については、平均粒径は、マスターサイザーマイクロ(Malvern Instruments社製)を使用してレーザー回折法により測定し、BET比表面積は、マイクロメリティックス・ジェミニ2360(島津製作所製)を用いて窒素吸着法により算出した。
実験1:紙の製造
(実施例1−1)
LBKP(叩解後ろ水度310ml)からなるスラリー(固形分濃度3.0重量%)を、100meshの篩いを用いて、長繊維画分と短繊維画分の固形分比(分級比率)が50:50となるように分級した。短繊維画分のろ水度は220mlであり、分級前のパルプスラリーと比較して29%小さかった。
(実施例1−1)
LBKP(叩解後ろ水度310ml)からなるスラリー(固形分濃度3.0重量%)を、100meshの篩いを用いて、長繊維画分と短繊維画分の固形分比(分級比率)が50:50となるように分級した。短繊維画分のろ水度は220mlであり、分級前のパルプスラリーと比較して29%小さかった。
この分級後の原料に対して、以下の薬品処理を行った。
長繊維画分を固形分濃度0.5%まで希釈し、スリーワン・モーターにて500rpmの速度で攪拌しながら、バンドを3%添加した後、抄紙用添加剤として紙力剤(カチオン化澱粉)を0.5%添加して、長繊維を前処理した。
このように前処理した長繊維を、固形分濃度0.5%に調整した短繊維画分のパルプスラリーと、長繊維:短繊維の重量比が50:50となるように混合した。このパルプスラリーに、軽質炭酸カルシウムを10%添加・混合し、その後抄紙用添加剤として歩留向上剤(ハイモ株式会社製ND300)を300ppmとなるように添加・混合し、紙料を調成した。パルプスラリーに添加した軽質炭酸カルシウムは、平均粒子径が2.5μm、比表面積が9.0m2/gであるロゼッタ型軽質炭酸カルシウムであった。
この紙料を用いて、JIS P 8209に基づいて坪量60g/m2の手抄シートを作製した。
(実施例1−2)
軽質炭酸カルシウムの添加量を15%とした以外は、実施例1−1と同様に抄紙した。
軽質炭酸カルシウムの添加量を15%とした以外は、実施例1−1と同様に抄紙した。
(実施例1−3)
軽質炭酸カルシウムの添加量を20%とした以外は、実施例1−1と同様に抄紙した。
軽質炭酸カルシウムの添加量を20%とした以外は、実施例1−1と同様に抄紙した。
(実施例1−4)
実施例1−1と同様にして、長繊維画分と短繊維画分を得た。
実施例1−1と同様にして、長繊維画分と短繊維画分を得た。
この分級後の原料に対して、以下の薬品処理を行った。
<試料A> 長繊維のスラリー(濃度0.5%)に、スリーワン・モーターを用いて500rpmの速度で攪拌しながら、硫酸バンドを3%添加して混合し、その後抄紙用添加剤として紙力剤紙力剤(カチオン化澱粉)を0.5%添加した。
<試料B> 短繊維のスラリー(濃度0.5%)に、スリーワン・モーターを用いて500rpmの速度で攪拌しながら、軽質炭酸カルシウムを10%添加・混合し、その後抄紙用添加剤として歩留り向上剤(ハイモ株式会社製ND300)を150ppmとなるように添加した。軽質炭酸カルシウムは、平均粒子径が2.5μm、比表面積が9.0m2/gであるロゼッタ型軽質炭酸カルシウムであった。
<試料A> 長繊維のスラリー(濃度0.5%)に、スリーワン・モーターを用いて500rpmの速度で攪拌しながら、硫酸バンドを3%添加して混合し、その後抄紙用添加剤として紙力剤紙力剤(カチオン化澱粉)を0.5%添加した。
<試料B> 短繊維のスラリー(濃度0.5%)に、スリーワン・モーターを用いて500rpmの速度で攪拌しながら、軽質炭酸カルシウムを10%添加・混合し、その後抄紙用添加剤として歩留り向上剤(ハイモ株式会社製ND300)を150ppmとなるように添加した。軽質炭酸カルシウムは、平均粒子径が2.5μm、比表面積が9.0m2/gであるロゼッタ型軽質炭酸カルシウムであった。
この試料Aと試料Bを、紙料A:紙料Bの重量比が50:50となるように混合後、抄紙用添加剤として歩留向上剤(ハイモ株式会社製ND300)を150ppmとなるように添加・混合し、紙料を調製した。
この紙料を用いて、JIS P 8209に基づいて坪量60g/m2の手抄シートを作製した。
(実施例1−5)
軽質炭酸カルシウムの添加量を15%とした以外は、実施例1−4と同様に抄紙した。
軽質炭酸カルシウムの添加量を15%とした以外は、実施例1−4と同様に抄紙した。
(実施例1−6)
軽質炭酸カルシウムの添加量を20%とした以外は、実施例1−4と同様に抄紙した。
軽質炭酸カルシウムの添加量を20%とした以外は、実施例1−4と同様に抄紙した。
(比較例1−1)
分級後の短繊維画分と長繊維画分に抄紙用添加剤を添加することなく、長繊維と短繊維を50:50の重量比で混合した後、硫酸バンド(添加量3%)、紙力剤(カチオン化澱粉、添加量0.5%)、軽質炭酸カルシウム(平均粒子径2.5μm、添加量10%)、歩留向上剤(ハイモ株式会社製ND300、添加量300ppm)をこの順番で添加して紙料を調成した。次いで、この紙料を用いて、JIS P 8209に基づいて坪量60g/m2の手抄シートを抄紙した。パルプスラリーに添加した軽質炭酸カルシウムは、比表面積が9.0m2/gであるロゼッタ型軽質炭酸カルシウムであった。
分級後の短繊維画分と長繊維画分に抄紙用添加剤を添加することなく、長繊維と短繊維を50:50の重量比で混合した後、硫酸バンド(添加量3%)、紙力剤(カチオン化澱粉、添加量0.5%)、軽質炭酸カルシウム(平均粒子径2.5μm、添加量10%)、歩留向上剤(ハイモ株式会社製ND300、添加量300ppm)をこの順番で添加して紙料を調成した。次いで、この紙料を用いて、JIS P 8209に基づいて坪量60g/m2の手抄シートを抄紙した。パルプスラリーに添加した軽質炭酸カルシウムは、比表面積が9.0m2/gであるロゼッタ型軽質炭酸カルシウムであった。
(比較例1−2)
軽質炭酸カルシウムの添加量を15%とした以外は、比較例1−1と同様に抄紙した。
軽質炭酸カルシウムの添加量を15%とした以外は、比較例1−1と同様に抄紙した。
(比較例1−3)
軽質炭酸カルシウムの添加量を20%とした以外は、比較例1−1と同様に抄紙した。
軽質炭酸カルシウムの添加量を20%とした以外は、比較例1−1と同様に抄紙した。
<評価結果>
分級により得られた繊維の物性を表1、作製した紙の評価結果を表2に示す。長繊維を紙力剤で処理した実施例の手抄き紙は、前処理を行わなかった比較例と比べて、裂断長が高くなる傾向にあった。また、長繊維を紙力剤、短繊維を填料と歩留り向上剤半量で処理した後に混合し、抄紙すると(実施例1−4、1−5、1−6)、長繊維を紙力剤で処理し、短繊維と混合後に填料と歩留り向上剤を配合した場合(実施例1−1、1−2、1−3)よりも、裂断長がさらに高くなった。また、裂断長上昇率も高くなっていた。
分級により得られた繊維の物性を表1、作製した紙の評価結果を表2に示す。長繊維を紙力剤で処理した実施例の手抄き紙は、前処理を行わなかった比較例と比べて、裂断長が高くなる傾向にあった。また、長繊維を紙力剤、短繊維を填料と歩留り向上剤半量で処理した後に混合し、抄紙すると(実施例1−4、1−5、1−6)、長繊維を紙力剤で処理し、短繊維と混合後に填料と歩留り向上剤を配合した場合(実施例1−1、1−2、1−3)よりも、裂断長がさらに高くなった。また、裂断長上昇率も高くなっていた。
以上のことから、特に、比較的紙力が発現しづらい長繊維を、あらかじめ紙力剤で処理することで、紙力が大きく向上すること、また、比較的紙力が発現しやすい短繊維に填料を添加し、短繊維と填料とを凝集させることで、さらに紙力が向上することを見出した。
実験2:紙の製造
(実施例2−1)
実施例1−1と同様にして、長繊維画分と短繊維画分を得た。
この分級後の原料に対して、以下の薬品処理を行った。
<試料C> 長繊維のスラリー(濃度0.5%)に、スリーワン・モーターを用いて50
0rpmの速度で攪拌しながら、硫酸バンドを3%添加して混合し、その後抄紙用添加剤として紙力剤(ポリアクリルアミド、ハリマ化成社製DS4412)を0.2%添加した。
<試料D> 短繊維のスラリー(濃度0.5%)に、スリーワン・モーターを用いて500rpmの速度で攪拌しながら、軽質炭酸カルシウムを10%添加・混合し、その後抄紙用添加剤として歩留り向上剤(ハイモ株式会社製ND300g)を100ppmとなるように添加した。軽質炭酸カルシウムは、平均粒子径が2.5μm、比表面積が9.0m2/gであるロゼッタ型軽質炭酸カルシウムであった。
(実施例2−1)
実施例1−1と同様にして、長繊維画分と短繊維画分を得た。
この分級後の原料に対して、以下の薬品処理を行った。
<試料C> 長繊維のスラリー(濃度0.5%)に、スリーワン・モーターを用いて50
0rpmの速度で攪拌しながら、硫酸バンドを3%添加して混合し、その後抄紙用添加剤として紙力剤(ポリアクリルアミド、ハリマ化成社製DS4412)を0.2%添加した。
<試料D> 短繊維のスラリー(濃度0.5%)に、スリーワン・モーターを用いて500rpmの速度で攪拌しながら、軽質炭酸カルシウムを10%添加・混合し、その後抄紙用添加剤として歩留り向上剤(ハイモ株式会社製ND300g)を100ppmとなるように添加した。軽質炭酸カルシウムは、平均粒子径が2.5μm、比表面積が9.0m2/gであるロゼッタ型軽質炭酸カルシウムであった。
この試料Aと試料Bを、紙料A:紙料Bの重量比が50:50となるように混合後、抄紙用添加剤として歩留向上剤(ハイモ株式会社製ND300)を100ppmとなるように添加・混合し、紙料を調製した。
この紙料を用いて、JIS P 8209に基づいて坪量60g/m2の手抄シートを作製した。
(実施例2−2)
軽質炭酸カルシウムの添加量を15%とした以外は、実施例2−1と同様に抄紙した。
軽質炭酸カルシウムの添加量を15%とした以外は、実施例2−1と同様に抄紙した。
(実施例2−3)
軽質炭酸カルシウムの添加量を20%とした以外は、実施例2−1と同様に抄紙した。
軽質炭酸カルシウムの添加量を20%とした以外は、実施例2−1と同様に抄紙した。
(比較例2−1)
分級後の短繊維画分と長繊維画分に抄紙用添加剤を添加することなく、長繊維と短繊維を50:50の重量比で混合した後、硫酸バンド(添加量3%)、紙力剤(ポリアクリルアミド、ハリマ化成社製DS4412、添加量0.2%)、軽質炭酸カルシウム(平均粒子径2.5μm、添加量10%)、歩留向上剤(ハイモ株式会社製ND300、添加量200ppm)をこの順番で添加して紙料を調成した。次いで、この紙料を用いて、JIS P 8209に基づいて坪量60g/m2の手抄シートを抄紙した。軽質炭酸カルシウムは、比表面積が9.0m2/gであるロゼッタ型軽質炭酸カルシウムであった。
分級後の短繊維画分と長繊維画分に抄紙用添加剤を添加することなく、長繊維と短繊維を50:50の重量比で混合した後、硫酸バンド(添加量3%)、紙力剤(ポリアクリルアミド、ハリマ化成社製DS4412、添加量0.2%)、軽質炭酸カルシウム(平均粒子径2.5μm、添加量10%)、歩留向上剤(ハイモ株式会社製ND300、添加量200ppm)をこの順番で添加して紙料を調成した。次いで、この紙料を用いて、JIS P 8209に基づいて坪量60g/m2の手抄シートを抄紙した。軽質炭酸カルシウムは、比表面積が9.0m2/gであるロゼッタ型軽質炭酸カルシウムであった。
(比較例2−2)
軽質炭酸カルシウムの添加量を15%とした以外は、比較例2−1と同様に抄紙した。
軽質炭酸カルシウムの添加量を15%とした以外は、比較例2−1と同様に抄紙した。
(比較例2−3)
軽質炭酸カルシウムの添加量を20%とした以外は、比較例2−1と同様に抄紙した。
軽質炭酸カルシウムの添加量を20%とした以外は、比較例2−1と同様に抄紙した。
<評価結果>
作製した紙の評価結果を表3に示す。長繊維を紙力剤で処理した実施例の手抄き紙は、前処理を行わなかった比較例と比べて、裂断長が高くなる傾向にあった。また、裂断長の上昇率は、灰分が高いほど大きくなる傾向にあった。
作製した紙の評価結果を表3に示す。長繊維を紙力剤で処理した実施例の手抄き紙は、前処理を行わなかった比較例と比べて、裂断長が高くなる傾向にあった。また、裂断長の上昇率は、灰分が高いほど大きくなる傾向にあった。
紙力剤の種類を実施例1と変更しても(実施例1:カチオン化澱粉、実施例2:ポリアクリルアミド)、同様の効果を見出した。
実験3:紙の製造
(実施例3−1)
相川鉄工株式会社パイロットテストプラントにて、LBKP(叩解後ろ水度285ml)のスラリー(固形分濃度1.0重量%)について、スリットスクリーンを用いて長繊維画分と短繊維画分に分級した。具体的には、スリットスクリーンとして相川鉄工社製ラボスクリーンを用い、スリット幅0.15mm、アジテータ周速16m/sの条件で処理し、長繊維画分と短繊維画分を得た。ここで、スクリーンのリジェクト分が長繊維画分であり、アクセプト分が短繊維画分であり、長繊維画分と短繊維画分の固形分比(分級比率)は55:45であった。短繊維画分のろ水度は235mlであり、分級前のパルプスラリーと比較して18%小さかった。
この分級後の原料に対して以下の薬品処理を行った。添加率は、全紙料固形分重量に対しての数値である。
<試料E> 長繊維画分のスラリー(濃度0.5%)に、スリーワン・モーターを用いて500rpmの速度で攪拌しながら、硫酸バンドを3%添加して混合し、その後抄紙用添加剤として紙力剤(ポリアクリルアミド、ハリマ化成社製DS4412)を0.2%添加した。
<試料F> 短繊維画分のスラリー(濃度0.5%)に、スリーワン・モーターを用いて500rpmの速度で攪拌しながら、軽質炭酸カルシウムを10%添加・混合し、その後抄紙用添加剤として歩留り向上剤(ハイモ株式会社製ND300)を100ppmとなるように添加した。軽質炭酸カルシウムは、平均粒子径が2.5μm、比表面積が9.0m2/gであるロゼッタ型軽質炭酸カルシウムであった。
(実施例3−1)
相川鉄工株式会社パイロットテストプラントにて、LBKP(叩解後ろ水度285ml)のスラリー(固形分濃度1.0重量%)について、スリットスクリーンを用いて長繊維画分と短繊維画分に分級した。具体的には、スリットスクリーンとして相川鉄工社製ラボスクリーンを用い、スリット幅0.15mm、アジテータ周速16m/sの条件で処理し、長繊維画分と短繊維画分を得た。ここで、スクリーンのリジェクト分が長繊維画分であり、アクセプト分が短繊維画分であり、長繊維画分と短繊維画分の固形分比(分級比率)は55:45であった。短繊維画分のろ水度は235mlであり、分級前のパルプスラリーと比較して18%小さかった。
この分級後の原料に対して以下の薬品処理を行った。添加率は、全紙料固形分重量に対しての数値である。
<試料E> 長繊維画分のスラリー(濃度0.5%)に、スリーワン・モーターを用いて500rpmの速度で攪拌しながら、硫酸バンドを3%添加して混合し、その後抄紙用添加剤として紙力剤(ポリアクリルアミド、ハリマ化成社製DS4412)を0.2%添加した。
<試料F> 短繊維画分のスラリー(濃度0.5%)に、スリーワン・モーターを用いて500rpmの速度で攪拌しながら、軽質炭酸カルシウムを10%添加・混合し、その後抄紙用添加剤として歩留り向上剤(ハイモ株式会社製ND300)を100ppmとなるように添加した。軽質炭酸カルシウムは、平均粒子径が2.5μm、比表面積が9.0m2/gであるロゼッタ型軽質炭酸カルシウムであった。
この試料Eと試料Fを、紙料E:紙料Fの重量比が55:45となるように混合後、抄紙用添加剤として歩留向上剤(ハイモ株式会社製ND300)を100ppmとなるように添加・混合し、紙料を調製した。
この紙料を用いて、JIS P 8209に基づいて坪量60g/m2の手抄シートを作製した。
(実施例3−2)
軽質炭酸カルシウムの添加量を20%とした以外は、実施例3−1と同様に抄紙した。
軽質炭酸カルシウムの添加量を20%とした以外は、実施例3−1と同様に抄紙した。
(実施例3−3)
軽質炭酸カルシウムの添加量を30%とした以外は、実施例3−1と同様に抄紙した。
軽質炭酸カルシウムの添加量を30%とした以外は、実施例3−1と同様に抄紙した。
(比較例3−1)
分級後の短繊維画分と長繊維画分に抄紙用添加剤を添加することなく、長繊維と短繊維を55:45の重量比で混合した後、硫酸バンド(添加量3%)、紙力剤(ポリアクリルアミド、ハリマ化成製DS4412、添加量0.2%)、軽質炭酸カルシウム(平均粒子径2.5μm、添加量10%)、歩留向上剤(ハイモ株式会社製ND300、添加量200ppm)をこの順番で添加して紙料を調成した。この紙料を用いて、JIS P 8209に基づいて坪量60g/m2の手抄シートを抄紙した。軽質炭酸カルシウムは、比表面積が9.0m2/gであるロゼッタ型軽質炭酸カルシウムであった。
分級後の短繊維画分と長繊維画分に抄紙用添加剤を添加することなく、長繊維と短繊維を55:45の重量比で混合した後、硫酸バンド(添加量3%)、紙力剤(ポリアクリルアミド、ハリマ化成製DS4412、添加量0.2%)、軽質炭酸カルシウム(平均粒子径2.5μm、添加量10%)、歩留向上剤(ハイモ株式会社製ND300、添加量200ppm)をこの順番で添加して紙料を調成した。この紙料を用いて、JIS P 8209に基づいて坪量60g/m2の手抄シートを抄紙した。軽質炭酸カルシウムは、比表面積が9.0m2/gであるロゼッタ型軽質炭酸カルシウムであった。
(比較例3−2)
軽質炭酸カルシウムの添加量を20%とした以外は、比較例3−1と同様に抄紙した。
軽質炭酸カルシウムの添加量を20%とした以外は、比較例3−1と同様に抄紙した。
(比較例3−3)
軽質炭酸カルシウムの添加量を30%とした以外は、比較例3−1と同様に抄紙した。
軽質炭酸カルシウムの添加量を30%とした以外は、比較例3−1と同様に抄紙した。
<評価結果>
分級により得られた繊維の物性を表4、作製した紙の評価結果を表5に示す。長繊維を紙力剤で処理した実施例の手抄き紙は、前処理を行わなかった比較例と比べて、裂断長が高くなることを見出した。また、裂断長の上昇率は、灰分が高いほど大きくなる傾向にあった。
分級により得られた繊維の物性を表4、作製した紙の評価結果を表5に示す。長繊維を紙力剤で処理した実施例の手抄き紙は、前処理を行わなかった比較例と比べて、裂断長が高くなることを見出した。また、裂断長の上昇率は、灰分が高いほど大きくなる傾向にあった。
実験4:紙の製造
(実施例4−1)
分級処理前のLBKPのろ水度を430mlとした以外は、実験3と同様にして長繊維画分と短繊維画分を得た。短繊維画分のろ水度は380mlであり、分級前のパルプスラリーと比較して12%小さかった。
この分級後の原料に対して、実施例3−1と同様の薬品処理を行い、紙料を調製した。
(実施例4−1)
分級処理前のLBKPのろ水度を430mlとした以外は、実験3と同様にして長繊維画分と短繊維画分を得た。短繊維画分のろ水度は380mlであり、分級前のパルプスラリーと比較して12%小さかった。
この分級後の原料に対して、実施例3−1と同様の薬品処理を行い、紙料を調製した。
この紙料を用いて、JIS P 8209に基づいて坪量60g/m2の手抄シートを作製した。
(実施例4−2)
軽質炭酸カルシウムの添加量を20%とした以外は、実施例4−1と同様に抄紙した。
軽質炭酸カルシウムの添加量を20%とした以外は、実施例4−1と同様に抄紙した。
(実施例4−3)
軽質炭酸カルシウムの添加量を30%とした以外は、実施例4−1と同様に抄紙した。
軽質炭酸カルシウムの添加量を30%とした以外は、実施例4−1と同様に抄紙した。
(比較例4−1)
実施例4−1の分級後の原料に、抄紙用添加剤を添加することなく、長繊維と短繊維を55:45の重量比で混合した後、硫酸バンド(添加量3%)、紙力剤(ポリアクリルアミド、ハリマ化成製DE4412、添加量0.2%)、軽質炭酸カルシウム(平均粒子径2.5μm、添加量10%)、歩留向上剤(ハイモ株式会社製ND300、添加量200ppm)をこの順番で添加して紙料を調成した。この紙料を用いて、JIS P 8209に基づいて坪量60g/m2の手抄シートを抄紙した。軽質炭酸カルシウムは、比表面積が9.0m2/gであるロゼッタ型軽質炭酸カルシウムであった。
実施例4−1の分級後の原料に、抄紙用添加剤を添加することなく、長繊維と短繊維を55:45の重量比で混合した後、硫酸バンド(添加量3%)、紙力剤(ポリアクリルアミド、ハリマ化成製DE4412、添加量0.2%)、軽質炭酸カルシウム(平均粒子径2.5μm、添加量10%)、歩留向上剤(ハイモ株式会社製ND300、添加量200ppm)をこの順番で添加して紙料を調成した。この紙料を用いて、JIS P 8209に基づいて坪量60g/m2の手抄シートを抄紙した。軽質炭酸カルシウムは、比表面積が9.0m2/gであるロゼッタ型軽質炭酸カルシウムであった。
(比較例4−2)
軽質炭酸カルシウムの添加量を20%とした以外は、比較例4−1と同様に抄紙した。
軽質炭酸カルシウムの添加量を20%とした以外は、比較例4−1と同様に抄紙した。
(比較例4−3)
軽質炭酸カルシウムの添加量を30%とした以外は、比較例4−1と同様に抄紙した。
軽質炭酸カルシウムの添加量を30%とした以外は、比較例4−1と同様に抄紙した。
<評価結果>
分級により得られた繊維の物性を表6、作製した紙の評価結果を表7に示す。長繊維を紙力剤で処理した実施例の手抄き紙は、前処理を行わなかった比較例と比べて、裂断長が高くなることを見出した。また、裂断長の上昇率は、灰分が高いほど大きくなる傾向にあった。
分級により得られた繊維の物性を表6、作製した紙の評価結果を表7に示す。長繊維を紙力剤で処理した実施例の手抄き紙は、前処理を行わなかった比較例と比べて、裂断長が高くなることを見出した。また、裂断長の上昇率は、灰分が高いほど大きくなる傾向にあった。
実験5:紙の製造
(実施例5−1)
相川鉄工株式会社パイロットテストプラントにて、LBKPとNBKPを7:3の割合で混合したパルプスラリー(混合後ろ水度381ml、固形分濃度2.2重量%)について、スリットスクリーンを用いて長繊維画分と短繊維画分に分級した。スリットスクリーンとして相川鉄工社製MAXセーバー(MAX−S、アウトワード形式)を用い、スリット幅0.13mmの条件で処理し、長繊維画分と短繊維画分を得た。ここで、スクリーンのリジェクト分が長繊維画分であり、アクセプト分が短繊維画分であり、長繊維画分と短繊維画分の固形分比(分級比率)は60:40であった。短繊維画分のろ水度は290mlであり、分級前のパルプスラリーと比較して24%小さかった。
この分級後の原料に対して以下の薬品処理を行った。添加率は、全紙料固形分重量に対しての数値である。
<試料G> 長繊維画分のスラリー(濃度0.5%)に、スリーワン・モーターを用いて500rpmの速度で攪拌しながら、硫酸バンドを3%添加して混合した。
<試料H> 短繊維画分のスラリー(濃度0.5%)に、スリーワン・モーターを用いて500rpmの速度で攪拌しながら、ロゼッタ型の軽質炭酸カルシウム(平均粒子径2.5μm、比表面積9.0m2/g)を20%添加・混合し、その後抄紙用添加剤として、紙力剤(ポリアクリルアミド、ハリマ化成製DE4412、添加量0.2%)を添加した。
(実施例5−1)
相川鉄工株式会社パイロットテストプラントにて、LBKPとNBKPを7:3の割合で混合したパルプスラリー(混合後ろ水度381ml、固形分濃度2.2重量%)について、スリットスクリーンを用いて長繊維画分と短繊維画分に分級した。スリットスクリーンとして相川鉄工社製MAXセーバー(MAX−S、アウトワード形式)を用い、スリット幅0.13mmの条件で処理し、長繊維画分と短繊維画分を得た。ここで、スクリーンのリジェクト分が長繊維画分であり、アクセプト分が短繊維画分であり、長繊維画分と短繊維画分の固形分比(分級比率)は60:40であった。短繊維画分のろ水度は290mlであり、分級前のパルプスラリーと比較して24%小さかった。
この分級後の原料に対して以下の薬品処理を行った。添加率は、全紙料固形分重量に対しての数値である。
<試料G> 長繊維画分のスラリー(濃度0.5%)に、スリーワン・モーターを用いて500rpmの速度で攪拌しながら、硫酸バンドを3%添加して混合した。
<試料H> 短繊維画分のスラリー(濃度0.5%)に、スリーワン・モーターを用いて500rpmの速度で攪拌しながら、ロゼッタ型の軽質炭酸カルシウム(平均粒子径2.5μm、比表面積9.0m2/g)を20%添加・混合し、その後抄紙用添加剤として、紙力剤(ポリアクリルアミド、ハリマ化成製DE4412、添加量0.2%)を添加した。
この試料Gと試料Hを、紙料G:紙料Hの重量比が20:80となるように混合後、抄紙用添加剤として歩留向上剤(ハイモ株式会社製ND300)を200ppmとなるように添加・混合し、紙料を調製した。
この紙料を用いて、JIS P 8209に基づいて坪量60g/m2の手抄シートを作製した。
(実施例5−2)
試料Gと試料Hの重量比を40:60とした以外は、実施例5−1と同様に抄紙した。
試料Gと試料Hの重量比を40:60とした以外は、実施例5−1と同様に抄紙した。
(実施例5−3)
試料Gと試料Hの重量比を80:20とした以外は、実施例5−1と同様に抄紙した。
試料Gと試料Hの重量比を80:20とした以外は、実施例5−1と同様に抄紙した。
(比較例5−1)
この分級後の原料に抄紙用添加剤を添加することなく、長繊維と短繊維を20:80の重量比で混合した後、硫酸バンド(添加量3%)、紙力剤(ポリアクリルアミド、ハリマ化成製DE4412、添加量0.2%)、ロゼッタ型の軽質炭酸カルシウム(平均粒子径2.5μm、比表面積9.0m2/g、添加量20%)、歩留向上剤(ハイモ株式会社製ND300、添加量200ppm)をこの順番で添加して紙料を調成した。この紙料を用いて、JIS P 8209に基づいて坪量60g/m2の手抄シートを抄紙した。
この分級後の原料に抄紙用添加剤を添加することなく、長繊維と短繊維を20:80の重量比で混合した後、硫酸バンド(添加量3%)、紙力剤(ポリアクリルアミド、ハリマ化成製DE4412、添加量0.2%)、ロゼッタ型の軽質炭酸カルシウム(平均粒子径2.5μm、比表面積9.0m2/g、添加量20%)、歩留向上剤(ハイモ株式会社製ND300、添加量200ppm)をこの順番で添加して紙料を調成した。この紙料を用いて、JIS P 8209に基づいて坪量60g/m2の手抄シートを抄紙した。
(比較例5−2)
長繊維と短繊維の混合割合を40:60とした以外は、比較例4−1と同様に抄紙した。
長繊維と短繊維の混合割合を40:60とした以外は、比較例4−1と同様に抄紙した。
(比較例5−3)
長繊維と短繊維の混合割合を80:20とした以外は、比較例4−1と同様に抄紙した。
長繊維と短繊維の混合割合を80:20とした以外は、比較例4−1と同様に抄紙した。
<評価結果>
分級により得られた繊維の物性を表8、作製した紙の評価結果を表9に示す。短繊維を紙力剤で処理した実施例の手抄き紙は、前処理を行わなかった比較例と比べて、裂断長が高くなることを見出した。
分級により得られた繊維の物性を表8、作製した紙の評価結果を表9に示す。短繊維を紙力剤で処理した実施例の手抄き紙は、前処理を行わなかった比較例と比べて、裂断長が高くなることを見出した。
実験6:紙の製造
(実施例6−1)
実施例5−1と同様にして、長繊維画分と短繊維画分を得た。
この分級後の原料に対して、以下の薬品処理を行った。
<試料I> 長繊維画分のスラリー(濃度0.5%)に、スリーワン・モーターを用いて500rpmの速度で攪拌しながら、硫酸バンドを3%添加して混合した。
<試料J> 短繊維画分のスラリー(濃度0.5%)に、スリーワン・モーターを用いて500rpmの速度で攪拌しながら、紡錘状の軽質炭酸カルシウム(平均粒子径2.6μm、比表面積6.0m2/g、図2参照)を20%添加・混合し、その後抄紙用添加剤として、紙力剤(ポリアクリルアミド、ハリマ化成製DE4412、添加量0.2%)を添加した。
(実施例6−1)
実施例5−1と同様にして、長繊維画分と短繊維画分を得た。
この分級後の原料に対して、以下の薬品処理を行った。
<試料I> 長繊維画分のスラリー(濃度0.5%)に、スリーワン・モーターを用いて500rpmの速度で攪拌しながら、硫酸バンドを3%添加して混合した。
<試料J> 短繊維画分のスラリー(濃度0.5%)に、スリーワン・モーターを用いて500rpmの速度で攪拌しながら、紡錘状の軽質炭酸カルシウム(平均粒子径2.6μm、比表面積6.0m2/g、図2参照)を20%添加・混合し、その後抄紙用添加剤として、紙力剤(ポリアクリルアミド、ハリマ化成製DE4412、添加量0.2%)を添加した。
この試料Iと試料Jを、紙料I:紙料Jの重量比が40:60となるように混合後、抄紙用添加剤として歩留向上剤(ハイモ株式会社製ND300)を200ppmとなるように添加・混合し、紙料を調製した。
この紙料を用いて、JIS P 8209に基づいて坪量60g/m2の手抄シートを作製した。
(比較例6−1)
この分級後の原料に抄紙用添加剤を添加することなく、長繊維と短繊維を40:60の重量比で混合した後、硫酸バンド(添加量3%)、紙力剤(ポリアクリルアミド、ハリマ化成製DE4412、添加量0.2%)、紡錘状の軽質炭酸カルシウム(平均粒子径2.6μm、比表面積6.0m2/g、添加量20%、図2参照)、歩留向上剤(ハイモ株式会社製ND300、添加量200ppm)をこの順番で添加して紙料を調成した。この紙料を用いて、JIS P 8209に基づいて坪量60g/m2の手抄シートを抄紙した。
この分級後の原料に抄紙用添加剤を添加することなく、長繊維と短繊維を40:60の重量比で混合した後、硫酸バンド(添加量3%)、紙力剤(ポリアクリルアミド、ハリマ化成製DE4412、添加量0.2%)、紡錘状の軽質炭酸カルシウム(平均粒子径2.6μm、比表面積6.0m2/g、添加量20%、図2参照)、歩留向上剤(ハイモ株式会社製ND300、添加量200ppm)をこの順番で添加して紙料を調成した。この紙料を用いて、JIS P 8209に基づいて坪量60g/m2の手抄シートを抄紙した。
<評価結果>
作製した紙の評価結果を表10に示す。短繊維を紙力剤で処理した実施例の手抄き紙は、前処理を行わなかった比較例と比べて、裂断長が高くなることを見出した。
作製した紙の評価結果を表10に示す。短繊維を紙力剤で処理した実施例の手抄き紙は、前処理を行わなかった比較例と比べて、裂断長が高くなることを見出した。
ただし実施例5と比較すると、使用する軽質炭酸カルシウムをロゼッタ型から紡錘状へ変更したことで、裂断長の上昇率は小さくなった。これは、紡錘状の軽質炭酸カルシウムとロゼッタ型の軽質炭酸カルシウムとを比較して、構造が異なること、比表面積が小さいことに由来すると考えられた。
実験7:紙の製造
(実施例7−1)
相川鉄工株式会社パイロットテストプラントにて、LBKPとNBKPを7:3の割合で混合したパルプスラリー(混合後ろ水度357ml、固形分濃度2.6重量%)について、スリットスクリーンを用いて長繊維画分と短繊維画分に分級した。具体的には、スリットスクリーンとして相川鉄工社製MAXセーバー(MAX−S、アウトワード形式)を用い、スリット幅0.15mmの条件で処理し、長繊維画分と短繊維画分を得た。ここで、スクリーンのリジェクト分が長繊維画分であり、アクセプト分が短繊維画分であり、長繊維画分と短繊維画分の固形分比(分級比率)は20:80であった。短繊維画分のろ水度は198mlであり、分級前のパルプスラリーと比較して45%小さかった。
この分級後の原料に対して、以下の薬品処理を行った。
(実施例7−1)
相川鉄工株式会社パイロットテストプラントにて、LBKPとNBKPを7:3の割合で混合したパルプスラリー(混合後ろ水度357ml、固形分濃度2.6重量%)について、スリットスクリーンを用いて長繊維画分と短繊維画分に分級した。具体的には、スリットスクリーンとして相川鉄工社製MAXセーバー(MAX−S、アウトワード形式)を用い、スリット幅0.15mmの条件で処理し、長繊維画分と短繊維画分を得た。ここで、スクリーンのリジェクト分が長繊維画分であり、アクセプト分が短繊維画分であり、長繊維画分と短繊維画分の固形分比(分級比率)は20:80であった。短繊維画分のろ水度は198mlであり、分級前のパルプスラリーと比較して45%小さかった。
この分級後の原料に対して、以下の薬品処理を行った。
長繊維画分を固形分濃度0.5%まで希釈し、スリーワン・モーターにて500rpmの速度で攪拌しながら、硫酸バンド(添加量3%)、ロゼッタ型の軽質炭酸カルシウム(平均粒子径2.5μm、比表面積9.0m2/g、添加量10%)、紙力剤(ポリアクリルアミド、ハリマ化成製DE4412、添加量0.2%)、歩留向上剤(ハイモ株式会社製ND300、添加量200ppm)をこの順番で添加して紙料を調成した。この紙料を用いて、JIS P 8209に基づいて坪量60g/m2の手抄シートを作製した。
(実施例7−2)
分級後の原料として、短繊維画分を使用した以外は、実施例6−1と同様に抄紙した。
分級後の原料として、短繊維画分を使用した以外は、実施例6−1と同様に抄紙した。
(比較例7−1)
分級後の原料に抄紙用添加剤を添加することなく、長繊維と短繊維を20:80の重量比で混合した後、硫酸バンド(添加量3%)、ロゼッタ型の軽質炭酸カルシウム(平均粒子径2.5μm、比表面積9.0m2/g、添加量10%)、紙力剤(ポリアクリルアミド、ハリマ化成製DE4412、添加量0.2%)、歩留向上剤(ハイモ株式会社製ND300、添加量200ppm)をこの順番で添加して紙料を調成した。この紙料を用いて、JIS P 8209に基づいて坪量60g/m2の手抄シートを作製した。
分級後の原料に抄紙用添加剤を添加することなく、長繊維と短繊維を20:80の重量比で混合した後、硫酸バンド(添加量3%)、ロゼッタ型の軽質炭酸カルシウム(平均粒子径2.5μm、比表面積9.0m2/g、添加量10%)、紙力剤(ポリアクリルアミド、ハリマ化成製DE4412、添加量0.2%)、歩留向上剤(ハイモ株式会社製ND300、添加量200ppm)をこの順番で添加して紙料を調成した。この紙料を用いて、JIS P 8209に基づいて坪量60g/m2の手抄シートを作製した。
<評価結果>
分級により得られた繊維の物性を表8、作製した紙の評価結果を表9に示す。長繊維だけを使用した実施例1の手抄き紙は、分級前と同様の比率で長繊維と短繊維とを混合したパルプを使用した比較例と比べて、特に比引裂き強さが高くなることを見出した。一方、短繊維だけを使用した実施例1の手抄き紙は、同様の比較例と比べて、特に裂断長が高くなることを見出した。
分級により得られた繊維の物性を表8、作製した紙の評価結果を表9に示す。長繊維だけを使用した実施例1の手抄き紙は、分級前と同様の比率で長繊維と短繊維とを混合したパルプを使用した比較例と比べて、特に比引裂き強さが高くなることを見出した。一方、短繊維だけを使用した実施例1の手抄き紙は、同様の比較例と比べて、特に裂断長が高くなることを見出した。
実施例7−1、実施例7−2、及び比較例7−1では、裂断長の値が、他の実験の填料添加が同じ場合の結果と比べ、高めの傾向であったが、実験7ではNBKPを30%配合しており、裂断長が高まり、このような結果が得られたと考えられた。
Claims (12)
- クラフトパルプを含むパルプのスラリーを、スクリーンを用いて長繊維画分と短繊維画分に分級する工程であって、長繊維画分と短繊維画分の固形分比が10:90〜70:30となるように分級し、分級前のパルプスラリーと比較して短繊維画分のカナダ標準ろ水度を5%以上小さくする工程、
長繊維画分および/または短繊維画分に抄紙用添加剤を添加する工程、次いで、
抄紙用添加剤を添加した長繊維画分および/または短繊維画分のパルプスラリーを用いて抄紙する工程、
を含む、紙の製造方法。 - アウトワード型スリットスクリーンを用いて分級を行う、請求項1に記載の方法。
- 0.10mm〜0.30mmのスリット幅の開口部を有するスリットスクリーンを用いて分級を行う、請求項1または2に記載の方法。
- 前記抄紙用添加剤が有機高分子である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
- 短繊維画分のパルプスラリーに対して前記抄紙用添加剤とともに填料を添加する、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
- 長繊維画分のパルプスラリーと短繊維画分のパルプスラリーを混合して得たパルプスラリーを用いて抄紙する、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
- 混合して得たパルプスラリーに別の抄紙用添加剤をさらに添加してから抄紙する、請求項6に記載の方法。
- 前記填料が炭酸カルシウムを含む、請求項5に記載の方法。
- 前記填料が、ロゼッタ型軽質炭酸カルシウムを含む、請求項5に記載の方法。
- 長繊維画分のパルプスラリー、短繊維画分のパルプスラリー、長繊維画分のパルプスラリーと短繊維画分のパルプスラリーを混合して得たパルプスラリー、のいずれか1つ以上に、ポリアクリルアミドを含む抄紙用添加剤を添加する、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
- 長繊維画分のパルプスラリー、短繊維画分のパルプスラリー、長繊維画分のパルプスラリーと短繊維画分のパルプスラリーを混合して得たパルプスラリー、のいずれか1つ以上に、澱粉を含む抄紙用添加剤を添加する、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
- 前記分級前のパルプスラリーの濃度が、2.0%〜4.0%である、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
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