JP2012214573A - スラッシュ成形用樹脂粉末組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】成形時に良好な溶融流動性を改善しながら強度に優れた成形体を与える、スラッシュ成形用樹脂粉末組成物を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)であらわされる構造単位(x)を有するアクリル樹脂(A11)及びウレタン構造を有する単位(y)を有するアクリル樹脂(A12)を含有してなる混合アクリル樹脂(A1)又は一分子内に構造単位(x)及び(y)を有するアクリル樹脂(A2)及び添加剤(B)を含有するスラッシュ成形用樹脂粉末組成物である。
Figure 2012214573

(1)[n=3又は4]
【選択図】なし

Description

本発明は、低温での成形性に優れ、かつ成形物が高強度を有するスラッシュ成形用樹脂粉末組成物に関する。
従来、スラッシュ成形用樹脂粉末組成物としては、ポリ塩化ビニル樹脂やポリウレタン樹脂などの樹脂粉末組成物が広く使用されているが、環境に対する負荷やコストの観点で代替材料が検討されている。
アクリル樹脂は、ブロック体を構成する成分を適宜選択することで、スチレン系樹脂などの他の熱可塑性樹脂に比べて高い柔軟性を与えることができ、表皮材として要求される物性を満足させることが可能である。特許文献1では、エポキシ基を有するアクリル系ブロック共重合体と架橋剤からなる組成物とすることで成形時に良好な溶融流動性を改善しながら耐熱性に優れた成形体が得られることが提案されている。
特開2010−254761号公報
しかし、特許文献1では、エポキシ結合により架橋させることで高強度化を図ることができるが、成形性が十分ではなかった。
本発明の目的は、成形時に良好な溶融流動性を改善しながら強度に優れた成形体を与える、スラッシュ成形用樹脂粉末組成物を得ることである。
本発明者らは上記課題を解決するスラッシュ成形用樹脂粉末組成物を得るべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は下記に示す混合アクリル樹脂(A1)又はアクリル樹脂(A2)を含有するアクリル樹脂(A)及び添加剤(B)を含有するスラッシュ成形用樹脂粉末組成物である。
(A1):下記一般式(1)であらわされる構造単位(x)を有するアクリル樹脂(A11)及び下記一般式(2)であらわされる構造単位(y)を有するアクリル樹脂(A12)を含有してなる混合アクリル樹脂
(A2):同一分子内に構造単位(x)及び構造単位(y)を有するアクリル樹脂
Figure 2012214573
[式中、nは3又は4の整数を表す。]
Figure 2012214573
本発明のスラッシュ成形用樹脂粉末組成物は、成型時に良好な溶融流動性をしめし、かつ、強度に優れた成形体を与えることができる。
本発明におけるアクリル樹脂(A11)とは、3価又は4価の芳香族ポリカルボン酸(a)と炭素数が1〜30の脂肪族ジオール(d1)又はジアルカノールアミン(d2)とのエステル(x1)を構成単位(x)として含有する。
3価又は4価の芳香族カルボン酸(a)としては、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸、1,2,3,5−ベンゼンテトラカルボン酸及び1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸等が挙げられる。
これらのうち、樹脂強度向上の観点から、好ましいのは1,2,4−ベンゼントリカルボン酸及び1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸であり、更に好ましいのは1,2,4−ベンゼントリカルボン酸である。
脂肪族ジオール(d1)としては、炭素数2〜30のアルキレングリコール[エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール及び1,10−デカンジオール等];炭素数4〜30のアルキレンエーテルグリコール[ジエチレングリコール、トリエチレングリコール及びジプロピレングリコール等]等が挙げられる。
(d1)のうち、3価又は4価の芳香族カルボン酸(a)との反応性の観点から、好ましいのはアルキレングリコール(エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール及び1,10−デカンジオール等)であり、更に好ましいのは、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール及び1,4−ブタンジオールであり、特に好ましいのは1,3−プロピレングリコール及びエチレングリコールである。
ジアルカノールアミン(d2)としては、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−n−プロピルジエタノールアミン、1−ヒドロキシエチル−1−ヒドロキシ−n−プロピルアミン、ジ(1−ヒドロキシ−n−プロピル)アミン、ジ(1−ヒドロキシ−n−ヘキシル)−N−メチルアミン、ジ(1−ヒドロキシ−n−プロピル)アミン、ジ(1−ヒドロキシ−n−ヘキシル)アミン、ジ(1−ヒドロキシ−n−オクチル)アミン及びジ(1−ヒドロキシ−n−デシル)アミン等が挙げられ、これらの2種以上を併用してもよい。
(d2)のうち、3価又は4価の芳香族カルボン酸(a)との反応性の観点から好ましいのは、ジエタノールアミン及びN−メチルジエタノールアミンである。
構成単位(x)を構成する3価又は4価の芳香族カルボン酸(a)と(d1)又は(d2)とのモル比は、樹脂強度向上の観点から、好ましくは(a)1モルに対して(d1)又は(d2)が、1.0〜2.8モルであり、更に好ましくは1.2〜2.5モルである。
構成単位(x)を形成するエステル縮合反応の反応条件は、公知の反応条件等を適用すればよく、必要により反応触媒を用いてもよい。
エステル(x1)は、必要によりモノアルコール及び/又はハロゲン化ベンジルを構成単位として含有してもよい。
モノアルコールとしては、3価又は4価の芳香族カルボン酸(a)とエステルを形成できるものであれば特に限定はない。具体例としては、炭素数1〜30のアルカノール(ドデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール及びステアリルアルコール等)、炭素数2〜30のアルケノール(オレイルアルコール及びリノリルアルコール等)及び炭素数7〜30の芳香脂肪族アルコール(ベンジルアルコール等)等が挙げられる。
ハロゲン化ベンジルとしては、3価又は4価の芳香族カルボン酸(a)のカルボン酸末端水素原子をベンジル基で置き換えるものであれば特に限定はない。具体例としては、塩化ベンジル、臭化ベンジル等である。
エステル(x1)は、樹脂強度の観点から、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸と脂肪族ジオール又は脂肪族ジアミンとのエステルが好ましく、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸と1,3−プロピレングリコールとのハーフエステル及び1,2,4−ベンゼントリカルボン酸とジエチレングリコールとのハーフエステル並びにベンジル基を含有するそれらのハーフエステルが更に好ましい。
構成単位(x)を有するエステル(x1)の数平均分子量(以下Mnと略記する)は、樹脂強度の観点から好ましくは180〜2,000であり、更に好ましくは200〜800、特に好ましくは220〜700である。
本発明において、樹脂の分子量[Mn及び重量平均分子量(以下Mwと略記する)]は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件で測定される。
装置(一例) :「HLC−8120」[東ソー(株)製]
カラム(一例) :「TSK GEL GMH6」2本[東ソー(株)製]
測定温度 :40℃
試料溶液 :0.25重量%のTHF(テトラヒドロフラン)溶液
溶液注入量 :100μl
検出装置 :屈折率検出器
基準物質 :標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量 500、1,050、2,800、5,970、9,100、18,100、37,900、96,400、190,000、355,000、1,090,000、2,890,000)[東ソー(株)製]
なお、分子量の測定には、試料をTHFに溶解し、不溶解分をグラスフィルターでろ別したものを試料溶液とし用いる。
アクリル樹脂(A11)は、構造単位(x)を分子内に有する単量体(c1)の単独重合体、又は(x)を分子内に有さない単量体(c2)と(c1)との共重合体であることが好ましい。
(A11)中の構造単位(x)の含有率としては、(A11)の重量に基づいて0.3〜50重量%含有することが、樹脂強度の観点から好ましい。
単量体(c1)は、分子内に構造単位(x)を有する単量体であり、製造方法は特に限定はされないが、生産性の観点から構造単位(x)を有するエステル(x1)とカルボキシル基を有する単量体(c11)から得られる単量体が好ましい。
単量体(c11)としては、カルボキシル基及び重合性不飽和基を有する単量体であり、具体例としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸及び2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸等が挙げられる。反応性の観点から好ましくは、アクリル酸、メタアクリル酸及び無水マレイン酸である。
単量体(c1)としては、好ましくは(x1)と(メタ)アクリル酸とのエステルであり、更に好ましくは、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸ジ(1,3−プロピレングリコール)エステルとメタクリル酸とのエステル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸ジ(エチレングリコール)エステルとメタクリル酸とのエステル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸ジ(1,3−プロピレングリコール)エステルとアクリル酸とのエステル及び1,2,4−ベンゼントリカルボン酸ジ(エチレングリコール)エステルとアクリル酸とのエステルが挙げられる。
単量体(c2)としては、炭素数4〜24のアルキル(メタ)アクリレート[メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレートなど];ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート[アルキル基の炭素数2〜20:2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(HEMA)、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート及びヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等(アルキル基については以下同様)];アミノアルキル(メタ)アクリレート[アミノエチル(メタ)アクリレート、アミノイソプロピル(メタ)アクリレート、アミノブチル(メタ)アクリレート及びアミノヘキシル(メタ)アクリレート等];グリシジルメタクリレート;ポリエチレングリコール(Mw100〜10000)モノ(メタ)アクリレート;ポリエチレン・ポリプロピレングリコール(Mw200〜10000、オキシエチレンの含有量10〜90重量%)モノ(メタ)アクリレート;ポリプロピレングリコール(Mw100〜10000)モノ(メタ)アクリレート;酢酸ビニル、スチレンなどが挙げられる。
単量体の重合手法としては、一般的な単量体の重合法を用いることができるが
、汎用性やコスト等を考慮して、有機溶剤中におけるラジカル重合法が最も適している。即ち、キシレン、トルエン等の芳香族溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、3−メトキシブチルアセテート等のエステル系溶剤;n−ブタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤等の溶剤中でアゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド等の重合開始剤の存在下、60〜150℃程度の温度範囲内で重合反応を行うことによって、容易に目的の重合体を得ることができる。
アクリル樹脂(A11)のMwは、好ましくは10,000〜500,000、さらに好ましくは30,000〜300,000である。成形体の破断強度の観点から10,000以上が好ましく、熱溶融時の溶融粘度の観点から500,000以下が好ましい。
アクリル樹脂(A12)は、構造単位(y)を有する樹脂であり、構造単位(y)とは、イソシアネート基を有する化合物と水酸基を有する化合物とがウレタン化反応して得られるウレタン基を表している。
アクリル樹脂(A12)は、一般式(2)で表される構造単位(y)を有する単量体(c3)の単独重合体及び単量体(c3)と構造単位(y)を有さない単量体(c4)との共重合体等が挙げられ、柔軟性の観点から、(c3)と(c4)の共重合体であることが好ましい。
アクリル樹脂(A12)のMwは、好ましくは10,000〜500,000、さらに好ましくは30,000〜300,000である。成形体の破断強度の観点から10,000以上が好ましく、熱溶融時の溶融粘度の観点から500,000以下が好ましい。
単量体(c3)は、水酸基を有する単量体(c31)とイソシアネート基を有する化合物(n)との反応、又はイソシアネート基を有する単量体(c32)と水酸基を有する化合物(h)との反応によって得ることができる。
水酸基を有する単量体(c31)としては、水酸基と重合性不飽和基を有する単量体であり、具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のアクリル酸及びメタクリル酸の炭素数2〜8のヒドロキシアルキルエステル等が挙げられる。
イソシアネート基を有する化合物(n)としては、炭素数(イソシアネート基中の炭素を除く、以下同様。)6〜20の芳香族モノイソシアネート(n1)、炭素数2〜18の脂肪族モノイソシアネート(n2)及び炭素数4〜15の脂環式モノイソシアネート(n3)等が挙げられる。
炭素数6〜20の芳香族イソシアネート(n1)としては、フェニルイソシアネート、トリレンイソシアネート、キシリレンイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンイソシアネート及びナフチレンイソシアネート等が挙げられる。
炭素数2〜18の脂肪族モノイソシアネート(n2)としては、エチルイソシアネート、プロピルイソシアネート、ヘキシルイソシアネート、オクチルイソシアネート、デシルイソシアネート、ドデシルイソシアネート、テトラデシルイソシアネート、ヘキサデシルイソシアネート及びオクタデシルイソシネート等が挙げられる。
炭素数4〜15の脂環式モノイソシアネート(n3)としては、シクロブチルイソシネート、シクロヘキシルイソシネート、シクロオクチルイソシアネート、シクロデシルイソシネート、シクロドデシルイソシアネート、シクロテトラデシルイソシネート、シクロテトラデシルイソシネート、イソホロンイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4−イソシアネート、シクロヘキシレンイソシアネート、メチルシクロヘキシレンイソシアネート、ノルボルナンイソシアネート及びビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート等が挙げられる。
これらのイソシアネート基を有する化合物うち、反応性の観点から、脂肪族モノイソシアネートが好ましく、ヘキサデシルイソシアネート及びオクタデシルイソシネートが更に好ましい。
イソシアネート基を有する単量体(c32)としては、イソシアネートアルキル基を有する(メタ)アクリレートが挙げられ、原料入手の容易性や反応性に優れる点から、炭素数2〜8(イソシアネート基の炭素原子を除く)の直鎖状、分岐状及び環状のイソシアネートアルキル基を有する(メタ)アクリレートであることが好ましく、該イソシアネート基が末端に存在することが好ましい。イソシアネート基の炭素原子を除いてイソシアネートアルキル基の炭素数は特に2〜4であることが好ましく、例えば、2−イソシアネートエチルメタクリレート、2−イソシアネートエチルアクリレート、4−イソシアネートブチルメタクリレート及び4−イソシアネートブチルアクリレート等が挙げられる。
水酸基を有する化合物(h)としては、炭素数1〜30のアルコール(ドデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール及びステアリルアルコール等)、炭素数2〜30のアルケノール(オレイルアルコール及びリノリルアルコール等)及び炭素数7〜30の芳香脂肪族アルコール(ベンジルアルコール等)等が挙げられる。これらのうち、生産性の観点から、炭素数1〜30のアルコールが好ましく、ドデシルアルコール及びミリスチルアルコールが更に好ましい。
単量体(c3)としては、反応性の観点から単量体(c31)と、(n1)又は(n2)との反応により得られる単量体が好ましく、具体的には、2−ヒドロキシエチルメタクリレートとフェニルイソシアネートとの反応生成物、2−ヒドロキシエチルメタクリレートとラウリルイソシアネートとの反応生成物及び2−ヒドロキシエチルメタクリレートとオクタデシルイソシアネートとの反応生成物が挙げられる。
その他のウレタン基を有さない単量体(c4)としては、前記(c11)および(c2)が挙げられる。
上記ウレタン化反応の反応条件としては、イソシアネート基と水酸基の比率はイソシアネート基濃度に対し、水酸基は当量比(イソシアネート基/水酸基)で0.5〜1.5、好ましくは0.6〜1.4、更に好ましくは0.7〜1.3である。反応温度は通常40〜200℃、反応においては、ウレタン化反応に用いられる触媒を使用することもできる。
(A12)中のウレタン基濃度は、(A12)の重量に基づいてウレタン基濃度を0.3〜50重量%含有することが、樹脂強度の観点から好ましい。
本発明において、アクリル樹脂(A11)とアクリル樹脂(A12)を含有する混合アクリル樹脂(A1)の作成方法は特に限定されず、通常行われる公知の方法等でよく、溶融混合、粉体混合のいずれでもよい。
(A11)と(A12)混合比率としては、混合樹脂(A1)中の(x)のモル濃度に対する(y)のモル濃度比率[x]/[y]が、樹脂強度の観点から0.8〜1.2が好ましい。
溶融混合する場合の混合装置としては、反応槽等のバッチ式混合装置および連続式混合装置が挙げられる。適正な温度で短時間で均一に混合するためには、連続式混合装置が好ましい。連続混合装置としては、エクストルーダー、コンティニアスニーダーおよび3本ロール等が挙げられる。
溶融混練する条件は、通常25〜250℃、好ましくは50〜200℃である。溶融混練時間は通常2分〜10時間、好ましくは5分〜5時間である。
粉体混合する場合の混合装置としては、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー及びバンバリーミキサー等が挙げられる。好ましくはヘンシェルミキサーである。
樹脂(A1)のMwとしては、溶融特性の観点から、10,000〜500,000であり、好ましくは30,000〜300,000である。
構造単位(x)及び構造単位(y)を分子内に有するアクリル樹脂(A2)の合成方法は特に限定されないが、単量体(c1)と単量体(c3)を共重合させて得る方法、単量体(c1)と単量体(c31)とを共重合した後、イソシアネート化合物(n)を反応させる方法及び単量体(c1)と単量体(c32)とを共重合した後、水酸基を含有する化合物(h)を反応させる方法等が挙げられる。これらのうち、生産性の観点から単量体(c1)と単量体(c3)を共重合させて得る方法が好ましい。
単量体の共重合手法としては、一般的な単量体の重合法等を用いることができるが、汎用性やコスト等を考慮して、有機溶剤中におけるラジカル重合法が最も適している。即ち、キシレン、トルエン等の芳香族溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、3−メトキシブチルアセテート等のエステル系溶剤;n−ブタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤等の溶剤中でアゾビスイソブチロニトリル又はベンゾイルパーオキサイド等の重合開始剤の存在下、60〜150℃程度の温度範囲内で共重合反応を行うことによって、容易に目的の重合体を得ることができる。
樹脂(A2)のMwとしては、溶融特性の観点から、10,000〜500,000であり、好ましくは30,000〜300,000である。
アクリル樹脂(A1)又はアクリル樹脂(A2)を含有するアクリル樹脂(A)中の構成単位(x)と構成単位(y)の当量比([x]/[y])は、樹脂強度の関係から0.8〜1.2が好ましく、0.9〜1.1が更に好ましい。
混合アクリル樹脂(A)のMwは、10,000〜500,000が好ましく、さらに好ましくは30,000〜300,000である。この範囲であると、成形体の破断強度及び熱溶融時の溶融粘度がさらに良好となる。また、樹脂の熱軟化開始温度は、スラッシュ成型用に使用できる観点から好ましくは180〜250℃である。
アクリル樹脂(A)は、アクリル樹脂以外の熱可塑性樹脂(T)を含有してもよい。そのような樹脂(T)としては、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、フェノール系樹脂、シリコーン系樹脂、エチレン‐ビニルアルコール系共重合体、アクリロニトリル‐ブタジエン系樹脂(例えばABS系樹脂)、塩化ビニル‐酢酸ビニル系共重合体等が挙げられ、これらを単独でまたは2種以上混合して用いることができる。
アクリル樹脂(A)に含有する熱可塑性樹脂(T)の含有量としては、耐摩耗性と樹脂の溶融性の観点から樹脂(A)の重量に対して、0〜40重量%が好ましく、0〜30重量%が更に好ましい。
アクリル樹脂(A)と熱可塑性樹脂との混合方法は、通常行われる公知の方法等でよく、粉体混合、溶融混合のいずれでもよい。
溶融混合する場合の混合装置としては、反応槽等のバッチ式混合装置および連続式混合装置が挙げられる。適正な温度かつ短時間で均一に混合するためには、連続式混合装置が好ましい。連続混合装置としては、エクストルーダー、コンティニアスニーダーおよび3本ロール等が挙げられる。
粉体混合する場合の混合装置としては、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサーおよびバンバリーミキサー等が挙げられる。好ましくはヘンシェルミキサーである。
本発明で用いられるアクリル樹脂(A)はスラッシュ成型性の観点から粉末である。粉末を製造する方法は特に限定されないが、例えばブロック状又はペレット状のアクリル樹脂を冷凍粉砕法、常温粉砕法の方法で粉砕し、アクリル樹脂粉体を得る方法がある。
これらの結果得られた粉体は、ふるい等を用いて、粒径100〜500μmのものだけを分取するのが好ましく、150〜300μmのものだけを分取するのが更に好ましい。100μmより粒径の小さいものを含んだ粉体は、粉体同士の凝集を促進させる原因となり、ハンドリング性が低下すると共に粉体流動性が悪化する。このため、パウダースラッシュ成形に用いたときに、金型の端部まで粉体が十分に届かず、成形体の意匠性が損なわれる。また、500μmより大きな粒径のものを含んだ粉体は、パウダースラッシュ成形に用いたときに、粒径の大きな粉体が十分に溶融しないため、成形体の意匠性が損なわれることとなる。
また、本発明のスラッシュ成形用樹脂組成物とは、上記のアクリル樹脂(A)に、成形性の観点から添加剤(B)を添加する。添加剤としてはフィラー、安定剤、顔料、離型剤、ブロッキング防止剤及び分散剤等が添加できる。
添加剤(B)の添加量は(A)と(B)の合計重量に基づいて好ましくは0.1〜50重量%である。
フィラーとは、例えばカオリン、タルク、シリカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、ベントナイト、マイカ、セリサイト、ガラスフレーク、ガラス繊維、黒鉛、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、三酸化アンチモン、硫酸バリウム、ホウ酸亜鉛、アルミナ、マグネシア、ウォラストナイト、ゾノトライト、ウィスカー及び金属粉末等の無機フィラーが挙げられる。これらのなかで、カオリン、タルク、シリカ及び酸化チタン、炭酸カルシウムが好ましく、カオリン及びタルクが更に好ましい。
無機フィラーの体積平均粒径は、熱可塑性樹脂中への分散性の観点から好ましくは0.1〜30μm、更に好ましくは1〜20μm、特に好ましくは5〜10μmである。
安定剤とは、例えば公知の酸化防止剤及び/又は光安定剤である。
酸化防止剤とは、例えばフェノール系(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール等)、ビスフェノール系(2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等)及びリン系(トリフェニルフォスファイト、ジフェニルイソデシルフォスファイト等)等が挙げられる。
光安定剤とは、紫外線吸収剤[ベンゾフェノン系(2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等)等]、クエンチャー[ニッケルキレート系等]、サリチル酸系[フェニルサリシレート等]、ラジカル補足剤[ヒンダードアミン系((ビス2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート等)等が挙げられる。
顔料としては、例えば公知の有機顔料及び/または無機顔料を使用することができる。有機顔料としては不溶性アゾ顔料、可溶性アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料、キナクリドン系顔料等が挙げられ、無機顔料としてはカーボンブラック、クロム酸塩、フェロシアン化合物、金属酸化物、硫化セレン化合物及び金属塩類(硫酸塩、硅酸塩、炭酸塩、リン酸塩等)金属粉末等が挙げられる。
離型剤としては、公知の離型剤が使用でき、フッ素系離型剤(リン酸フルオロアルキルエステル等)、シリコン系離型剤(ジメチルポリシロキサン、アミノ変性ジメチルポリシロキサン、カルボキシル変性ジメチルポリシロキサン、エーテル変性ジメチルポリシロキサン等)、脂肪酸エステル系離型剤(アルカン(炭素数11〜24)酸アルケニル(炭素数6〜24)エステル等)、リン酸エステル系離型剤(リン酸トリブチルエステル等)等が挙げられる。
ブロッキング防止剤としては、公知の無機系ブロッキング防止剤及び/または有機系ブロッキング防止剤を使用することができる。無機系ブロッキング防止剤としては、シリカ、タルク、酸化チタン及び炭酸カルシウム等が挙げられ、有機系ブロッキング防止剤としては、粒子径10ミクロン以下の熱硬化性樹脂(熱硬化性ポリウレタン樹脂、グアナミン系樹脂、エポキシ系樹脂等)及び粒子径10ミクロン以下の熱可塑性樹脂(熱可塑性ポリウレタン、ポリ(メタ)アクリレート樹脂等)及びマレイミド樹脂粉末等が挙げられる。
上記添加剤(B)をアクリル樹脂(A)に添加、混合するときに使用する混合装置としては、公知の粉体混合装置を使用でき、容器回転型混合機、固定容器型混合機、流体運動型混合機のいずれも使用できる。例えば固定容器型混合機としては高速流動型混合機、複軸パドル型混合機、高速剪断混合装置(ヘンシエルミキサー(登録商標)等)、低速混合装置(プラネタリーミキサー等)や円錐型スクリュー混合機(ナウタミキサ(登録商標)等)を使ってドライブレンドする方法が良く知られている。これらの方法の中で、複軸パドル型混合機、低速混合装置(プラネタリーミキサー等)、および円錐型スクリュー混合機(ナウタミキサ(登録商標、以下省略)等)を使用するのが好ましい。
本発明のスラッシュ成形用樹脂組成物をスラッシュ成形法で成形するには、例えば、本発明の粉末組成物が入ったボックスと200〜280℃に加熱した金型を共に振動回転させ、パウダーを型内で溶融流動させた後冷却後固化させ、シートを製造する方法で好適に実施することができる。
本発明の成形用材料で成形されたシート厚さは、0.5〜1.5mmが好ましい。
これらの成形シートは金型形状により様々な形状に対応する事ができ、例えばインスツルメントパネルやドアトリム等の自動車内装部品、家電部品、玩具、雑貨品等のスラッシュ成形用材料として適する。
<重合反応の転化率測定法>
本実施例に示す重合反応の転化率は以下に示すガスクロマトグラフィー分析装置、条件で測定した。
使用機器:(株)島津製作所製ガスクロマトグラフィーGC−14A
試料調整:サンプルを酢酸エチルにより約3倍に希釈した。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下において「部」は重量部、「%」は重量%を示す。
製造例1
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽(以下の製造例で用いる反応槽も同様)中に、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(a−1)109部、エチレングリコール(d1−1)291部、重合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、180℃で窒素気流下に生成する水とエチレングリコールを留去しながら8時間反応させ、Mwがおよそ350になった時点で取り出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化し、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸ジ(エチレングリコール)エステル(x1−1)を得た。
製造例2
反応容器に、酢酸エチル384部、無水トリメリット酸192部、エチレングリコール(d1−1)62部及びトリエチルアミン202部を投入し、70℃で2時間反応させた後、ベンジルクロライド252部を入れ、70℃で5時間反応させた。その後、分液、脱溶剤を行い、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸ジベンジルクロライドモノエチレングリコールエステル(x1−2)を得た。
製造例3
耐圧反応器内を窒素置換したのち、アクリル酸70部、化合物(x1−1)280部及びビスマス系触媒「ネオスタン U−600」(日東化成(株)製)を0.02部仕込み、攪拌下で、温度80℃まで加熱した。窒素気流下に生成する水を留去しながら4時間反応させ、単量体である1,2,4−ベンゼントリカルボン酸ジ(エチレングリコール)エステルとアクリル酸とのエステル化物(c1−1)を合成した。反応が終了したのち、臭化銅0.89部、アクリル酸−n−ブチル384部及びアクリル酸−t−ブチル4.46部を仕込み、攪拌を開始した。その後、開始剤として2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル1.24部をアセトニトリル(窒素バブリングしたもの)9.18部に溶解させた溶液を仕込み、溶液温度を75℃に昇温しつつ30分間攪拌した。溶液温度が75℃に到達した時点で、配位子としてペンタメチルジエチレントリアミン0.11部を加えてアクリル系重合体ブロックの重合を開始した。
重合開始から一定時間ごとに、サンプリング溶液のガスクロマトグラフィー分析によりアクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−t−ブチルの転化率を決定した。アクリル酸−n−ブチルの転化率が99.0%、アクリル酸−t−ブチルの転化率が99.1%の時点で、トルエン212.77部を加え、反応器を冷却して反応を終了させた。上記のアクリル系ブロック共重合体を含有する反応溶液にトルエンを加えて、重合体濃度を25%とした。この溶液100部にp−トルエンスルホン酸を0.41部加え、反応器内を窒素置換し、30℃で3時間撹拌した。
更に酸化防止剤としてイルガノックス1010を0.15部添加した後、反応器内を窒素置換し、耐圧反応器中で、150℃で4時間攪拌した。30℃に冷却した反応液に固体塩基としてキョーワード500SH(協和化学製)1.75部を加えた後、反応器内を窒素置換して、2時間撹拌した。反応液をサンプリングし、溶液が中性になっていることを確認して反応終了とした。その後反応機を窒素により0.1〜0.4MPaに加圧し、濾材としてポリエステルフェルトを備えた加圧濾過機を用いて固体分を分離し、アクリル樹脂を含有する重合体溶液を得た。引き続き重合体溶液から溶媒成分を蒸発させた。蒸発機は株式会社栗本鐵工所製SCP100を用いた。蒸発機入口の熱媒オイルを180℃、蒸発機の減圧度を90mmHg、スクリュー回転数を60rpm、重合体溶液の供給速度を32kg/hに設定し重合体溶液の蒸発を実施した。重合体は排出機を通じ、4mmφのダイスにてストランドとし、アルフローH50ES(主成分:エチレンビスステアリン酸アミド、日本油脂(株)製)の3%懸濁液で満たした水槽で冷却後、ペレタイザーにより円柱状のアクリル樹脂ペレット(A11−1)を得た。得られたアクリル樹脂(A11−1)のGPC分析を行ったところ、Mwは72,000であった。
製造例4
(x1−1)280部を(x1−2)385部に変更する以外は、製造例3と同様にして、アクリル樹脂ペレット(A11−2)を得た。(A11−2)のMwは74,000であった。
製造例5
耐圧反応器内を窒素置換したのち、ヒドロキシエチルメタクリレート(c31−1)130部、オクタデシルイソシアネート(n2−1)296部、ビスマス系触媒「ネオスタン U−600」(日東化成(株)製)を0.02部仕込み、攪拌下で、温度80℃まで加熱した。重合開始から一定時間ごとに、サンプリングし、NCO含量が0.01%以下になるまで、反応させ、構造単位(y)を有する単量体(c3−1)を得た。耐圧反応器に、キシレン450部を仕込み、反応容器内の空気を窒素で置換した後、反応容器を密閉として160℃まで昇温した。ついで、単量体(c3−1)100部、メタクリル酸メチル218部とジ−t−ブチルパーオキサイド8部の混合物を2時間かけて滴下した。さらに、同温度で2時間熟成した後、冷却し、常圧にもどした。そして170℃まで昇温しながら脱溶剤し、170℃になったところで減圧に切り替え、さらに揮発分が0.2%以下になるまで脱溶剤をおこない、アクリル樹脂粒子(A12−1)を得た。(A12−1)のMwは95,000であった。
製造例6
製造例5において、メタクリル酸メチル218部を100部に変更する以外は、同様にしてアクリル樹脂粒子(A12−2)を得た。(A12−2)のMwは、52,000であった。
製造例7
アクリル樹脂(A11−1)100部とアクリル樹脂(A12−1)100部とをコンティニアスニーダー[(株)栗本鐵工所製]にて、ジャケット温度200℃、滞留時間3分で溶融混合した。溶融樹脂を室温まで冷却後、粉砕機にて粉砕し、粉末状のアクリル樹脂(A1−1)を得た。(A1−1)中の構造単位(x)と構造単位(y)との当量比([x]/[y])は、1.0であった。
製造例8
製造例7において、(A12−1)を(A12−2)に変更する以外は製造例7と同様にして粉末状のアクリル樹脂(A1−2)を得た。(A1−2)中の構造単位(x)と構造単位(y)との当量比([x]/[y])は、0.7であった。
製造例9
製造例7において、(A11−1)を(A11−2)に変更する以外は製造例7と同様にして粉末状のアクリル樹脂(A1−3)を得た。(A1−3)中の構造単位(x)と構造単位(y)との当量比([x]/[y])は、1.0であった。
製造例10
耐圧反応器に、キシレン450部を仕込み、反応容器内の空気を窒素で置換した後、反応容器を密閉として160℃まで昇温した。ついで、製造例3で合成した単量体(c1−1)33部、製造例5で合成した単量体(c3−1)52部、メタクリル酸メチル100部及びジ−t−ブチルパーオキサイド8部の混合物を2時間かけて滴下した。さらに、同温度で2時間熟成した後、冷却し、常圧にもどした。そして170℃まで昇温しながら脱溶剤し、170℃になったところで減圧に切り替え、さらに揮発分が0.2重量%以下になるまで脱溶剤をおこない、アクリル樹脂粒子(A2−1)を得た。(A2−1)のMwは84,000であった。(A2−1)中の構造単位(x)と構造単位(y)との当量比([x]/[y])は、1.2であった。
実施例1
ナウタミキサー内に、アクリル樹脂(A1−1)のみからなるアクリル樹脂(A−1)100部、紫外線安定剤ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート及びメチル1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルセバケート(混合物)[商品名:TINUVIN 765、チバ社製]0.3部、内添離型剤であるジメチルポリシロキサン[日本ユニカー(株)製;ケイL45−1000]0.06部、カルボキシル変性シリコン[信越化学工業(株)製;X−22−3710]0.05部を投入し70℃で4時間含浸した後室温まで冷却した。最後に、ブロッキング防止剤架橋ポリメチルメタクリレート[ガンツ化成(株);ガンツパールPM−030S]0.5部を投入混合することでスラッシュ成形用樹脂粉末組成物(P−1)を得た。
実施例2
実施例1において、アクリル樹脂(A1−1)の代わりにアクリル樹脂(A1−2)のみからなるアクリル樹脂(A−2)を用いた他は同様の操作を行い、スラッシュ成形用樹脂粉末組成物(P−2)を得た。
実施例3
実施例1において、アクリル樹脂(A1−1)の代わりにアクリル樹脂(A1−3)のみからなるアクリル樹脂(A−3)を用いた他は同様の操作を行い、スラッシュ成形用樹脂粉末組成物(P−3)を得た。
実施例4
実施例1において、アクリル樹脂(A1−1)の代わりにアクリル樹脂(A2−1)のみからなるアクリル樹脂(A−4)を用いた他は同様の操作を行い、スラッシュ成形用樹脂粉末組成物(P−4)を得た。
比較製造例11
製造例3において、アクリル酸70部及び化合物(x1−1)280部をアクリル酸140部に変更した以外は、製造例3と同様の操作を行い、順に単量体(c’1−1)及びアクリル樹脂(A’11−1)を得た。(A’11−1)のMwは68,000であった。
更に製造例7において、(A11−1)を(A’11−1)に変更する以外は製造例7と同様にしてアクリル樹脂(A’1−1)を得た。
比較例1
実施例1において、アクリル樹脂(A1−1)の代わりにアクリル樹脂(A’1−1)のみからなるアクリル樹脂(A’−1)を用いた他は同様の操作を行い、スラッシュ成形用樹脂粉末組成物(P’−1)を得た。
比較製造例12
製造例10において、単量体(c1−1)を(c’1−1)に変更する以外は製造例10と同様にしてアクリル樹脂(A’2−1)を得た。(A’2−1)のMwは82,000であった。
比較例2
実施例1において、アクリル樹脂(A1−1)の代わりにアクリル樹脂(A’2−1)のみからなるアクリル樹脂(A’−2)を用いた他は同様の操作を行い、スラッシュ成形用樹脂粉末組成物(P’−2)を得た。
比較例3
実施例1において、アクリル樹脂(A1−1)の代わりにアクリル樹脂(A11−1)を用いた他は同様の操作を行い、スラッシュ成形用樹脂粉末組成物(P’−3)を得た。
比較製造例13
窒素置換した15L耐圧反応器に、臭化銅9.2部、アクリル酸−n−ブチル1030部、グリシジルメタクリレート25.4部、アセトニトリル94部、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル12.8部を加えて攪拌し、75℃に昇温させた。その後、ペンタメチルジエチレントリアミン1.1部を添加して重合を開始させた。アクリル酸−n−ブチルの転化率が50%の時点で、グリシジルメタクリレート25.4gを追加して重合を続け、アクリル酸−n−ブチルの転化率が99%の時点で、トルエン1422g、塩化銅6.4g、メタクリル酸メチル660部を追加した。メタクリル酸メチルの転化率が95%の時点で、トルエン7200部を追加するとともに冷却して反応を停止させた。
重合後のアクリル系樹脂溶液に、活性アルミナ144g、キョーワード700SEN(協和化学製)72gを加え、100℃で3時間吸着処理をおこなった。冷却後の溶液を加圧濾過器を用いて濾過することにより吸着剤を濾別し、得られたアクリル樹脂溶液を、真空乾燥することにより、エポキシ基含有アクリル樹脂(A’−3)を得た。(A’−3)のMwは51,000であった。
比較例4
実施例1において、アクリル樹脂(A1−1)の代わりにエポキシ基含有アクリル樹脂(A’−3)を用い、更に架橋剤としてカルボキシル基含有アクリル系重合体であるアクトフローCBB−3098(総研化学製)を9.8部、触媒としてラウリン酸亜鉛を1部添加する他は同様の操作を行い、スラッシュ成形用樹脂粉末組成物(P’−4)を得た。
得られた樹脂粉末組成物の溶融性を評価するために、190℃の溶融粘度を測定した。また、樹脂粉末組成物をスラッシュ成形して得られたシートについて、裏面溶融性、引張強度、伸び測定、耐熱性試験を実施した。結果を表1に示した。
Figure 2012214573
<190℃溶融粘度測定方法>
島津(株)製フローテスターCFT−500を用いて、以下の条件で等速昇温し、190℃の溶融粘度を測定した。
荷重 : 5kg
ダイ : 穴径0.5mm、長さ1.0mm
昇温速度 : 5℃/min.
<表皮の作成>
低温成形を目的に、予め210℃に加熱されたしぼ模様の入ったNi電鋳型にスラッシュ成形用樹脂粉末組成物(P−1)〜(P−4)、(P’−1)〜(P’−4)を充填し、10秒後余分な樹脂粉末組成物を排出した。60秒後水冷して表皮(厚さ1.0mm)を作成した。
<裏面溶融性>
成形表皮裏面中央部を目視で観察し、以下の判定基準で溶融性を評価する。
1級:パウダーが溶融せず、成形品にならない。
2級:裏面全面にパウダーの形状の凹凸があり、かつ表面に貫通するピンホールがある。
3級:裏面全面に凹凸があり、光沢はない。表面に貫通するピンホールはない。
4級:一部未溶融のパウダーが有るが、光沢がある。
5級:均一で光沢がある。
<引張強度、伸び測定>
成形表皮からJIS K 6301の引張試験片ダンベル1号形を3枚打ち抜き、その中心に40mm間隔で標線をした。板厚は標線間5カ所の最小値を採用した。これを25℃雰囲気下にてオートグラフに取り付け、200mm/minの速さで引っ張り、試験片が破断にいたるまでの破断強度、最大伸びを算出した。
<耐熱性試験後の25℃引張強度、伸び測定>
成形表皮を、循風乾燥機中に、130℃、600時間処理した。続いて、処理後の表皮を25℃24時間静置した。続いて、これからJIS K 6301の引張試験片ダンベル1号形を3枚打ち抜き、その中心に40mm間隔で標線をした。板厚は標線間5カ所の最小値を採用した。これを25℃雰囲気下にてオートグラフに取り付け、200mm/minの速さで引っ張り、試験片が破断にいたるまでの破断強度、最大伸びを算出した。
実施例1〜4の樹脂粉末組成物(P−1)〜(P−4)は、210℃の裏面溶融性、25℃引張強度、25℃伸び、耐熱性試験後の25℃引張強度、25℃伸びの全てにおいて優れている。また、0.3mmの破断応力が優れていることから、成形表皮の薄膜化も可能である。一方、比較例1〜3の樹脂粉末組成物は、溶融粘度は優れるものの、引張強度及び伸びが十分でないため、成形皮膜としては十分でない。また、比較例4の樹脂粉末組成物は、成形表皮の樹脂強度に優れるものの溶融粘度が高いため、成形性に問題がある。このことより実施例1〜4の粉末組成物は、低温溶融性、引張強度、伸びを高いレベルで両立できていることから、特にインストルメントパネル用材料として優れている。
本発明の樹脂粉末成形用材料から成形される表皮は、自動車部品や家電部品、玩具、雑貨品等のスラッシュ成形用材料として、例えばインストルメントパネル、ドアトリム等のスラッシュ成形用材料として好適に使用される。

Claims (3)

  1. 下記に示す混合アクリル樹脂(A1)又はアクリル樹脂(A2)を含有するアクリル樹脂(A)及び添加剤(B)を含有するスラッシュ成形用樹脂粉末組成物。
    (A1):下記一般式(1)であらわされる構造単位(x)を有するアクリル樹脂(A11)及び下記一般式(2)であらわされる構造単位(y)を有するアクリル樹脂(A12)を含有してなる混合アクリル樹脂
    (A2):同一分子内に構造単位(x)及び構造単位(y)を有するアクリル樹脂
    Figure 2012214573
    [式中、nは3又は4の整数を表す。]
    Figure 2012214573
  2. アクリル樹脂(A)中の構造単位(x)と構造単位(y)との当量比([x]/[y])が0.8〜1.2である請求項1に記載の組成物。
  3. アクリル樹脂(A11)、アクリル樹脂(A12)及びアクリル樹脂(A2)の各重量平均分子量が10,000〜500,000である請求項1又は2に記載の組成物。
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