JP2012213152A - モノポールアンテナ、携帯端末 - Google Patents

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Ryosuke Nakamura
亮輔 中村
Ryo Kikuta
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Abstract

【課題】180MHzから222MHzのような低周波帯域に適用可能であり、かつ携帯端末に容易に搭載可能である小型のモノポールアンテナを提供する。
【解決手段】本発明のモノポールアンテナは、そのアンテナ導体が、磁性粉体を絶縁材料中に分散してなる複合磁性体によって被覆された構成である。
【選択図】図1

Description

本発明はモノポールアンテナに関し、70MHzから500MHzまでの周波数帯域であるVHF帯の中でも特に180MHzから222MHzにおいて、携帯端末で使用することができるモノポールアンテナに関するものである。
情報通信機器の高速化、高密度化に伴い、電子機器に搭載されるアンテナや電子部品の小型化が強く求められている。一般に、物質内を伝播する電磁波の波長λgは、真空中を伝播する電磁波の波長λoと物質の複素誘電率の実部εr’(以下、比誘電率εrという)及び複素透磁率の実部μr’(以下、比透磁率μrという)を用いて、以下の式(1)のように表すことができる。
λg=λo/(εr・μr)1/2 ……(1)
式(1)に示されるように、比誘電率εr及び比透磁率μrが大きいほど波長λgの短縮率が大きくなるので、アンテナや電子部品の小型化が可能になる。
ところで、近年、携帯端末で使用されている電波の周波数帯域で最も低いものは、移動体向けの地上デジタル放送(ワンセグ)の470MHz〜770MHzである。また日本国内において、207MHz〜222MHzを携帯端末向けマルチメディア放送として利用することが計画されている。また韓国では180MHz〜210MHzの周波数帯域がデジタル放送に利用されようとしている。
このような携帯端末に使用するアンテナは、携帯端末に搭載可能な小型のアンテナであることが必要である。しかし、アンテナが共振するためには、波長の1/4の長さのアンテナ導体が必要であり、180MHz〜222MHz帯のように周波数が低く、波長が長い帯域については、携帯端末に搭載するにはアンテナが大きくなりすぎるという問題があった。
上記問題を解決するために、高透磁率を有するフェライトを使用することで、波長短縮効果により磁性体アンテナを小型化する方法が提案されている(特許文献1)。
特開2009−159244号公報
しかし特許文献1記載の技術では、フェライトのようなセラミックス材料は、180MHzから222MHzでは透磁率が小さいので波長短縮効果が小さく、十分なアンテナの小型化ができなかった。さらにセラミックス材料は加工性に劣るため、使用できる形状に制限があるという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、180MHzから222MHzのような低周波帯域にも適用可能であり、かつ携帯端末に搭載可能である小型のモノポールアンテナを提供することを目的の一つとする。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、磁性粉体を絶縁材料中に分散してなる複合磁性体でモノポールアンテナの導体を被覆させることにより、そのアンテナを小型化できることを見出した。
すなわち本発明は、モノポールアンテナにおいて、アンテナ導体が、磁性粉体を絶縁材料中に分散してなる複合磁性体によって被覆されていることを特徴とする。
上記複合磁性体は、180MHzから222MHzまでの周波数帯域における複素透磁率の実部μr’が3以上であることが好ましい。この場合に、複合磁性体は2.4mm以上かつ10mm以下の厚さとすることが好ましい。
上記複合磁性体は、180MHzから222MHzまでの周波数帯域における複素透磁率の実部μr’が6以上であることが好ましい。この場合に、複合磁性体は1.2mm以上かつ10mm以下の厚さとすることが好ましい。
上記磁性粉体は、厚みが0.01μm以上かつ0.4μm以下、長径が0.05μm以上かつ5μm以下、かつアスペクト比(長径/厚み)が5以上であることが好ましい。すなわち、扁平形状の磁性粉体を用いることが好ましい。
本発明におけるモノポールアンテナは、そのアンテナ導体の長さが200mm以下であることが好ましい。
本発明の携帯端末は、上記のモノポールアンテナを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、アンテナ導体を複合磁性体で被覆させることにより、波長の1/4よりもアンテナ導体を短くさせることができるので、180MHz〜222MHzの低周波数帯域の電波を送信、受信または送受信が可能でありながら、携帯端末に搭載できるほど小型のモノポールアンテナが得られる。
また本発明によれば、本発明のモノポールアンテナを備えたことで、小型化、薄型化が図られた携帯端末が提供される。
本実施形態のモノポールアンテナの構造及び給電方法を示す模式図である。 密閉容器を用いてスラリー及び分散媒体を高速撹拌する様子を示す図である。 実施例1の複合磁性体の各周波数における透磁率(実部)と損失正接tanδを示す図である。 複合磁性体の被覆厚さと共振するアンテナ長の関係を示す図である。 携帯端末の一実施の形態を示す斜視図。
本実施形態のモノポールアンテナについて詳細に説明する。なお、この形態は発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り本発明を限定するものではない。
[モノポールアンテナ]
図1は、本発明の一実施の形態であるモノポールアンテナを示す図であり、(a)は斜視図、(b)はA−A線に沿う位置における断面図である。
本実施形態のモノポールアンテナ20は、棒状のアンテナ導体22と、アンテナ導体22の表面に被覆された複合磁性体21とを有する。本実施形態の場合、図1(b)に示すように、円柱状のアンテナ導体22の周面に断面正方形状に複合磁性体21が形成され、全体として四角柱状を成すモノポールアンテナである。モノポールアンテナ20は、典型的には、図1(a)に示すように、所定寸法の導体地板24の中央にコネクタ等を介して接続され、この接続部26を給電点とするように交流信号発信機25が接続される。
モノポールアンテナ20に用いられるアンテナ導体22の形状は特に限定されず、直線状のロッドアンテナ、ホイップアンテナや、曲線状のヘリカル型アンテナ、ミアンダ型アンテナ等の公知の形状を用いることができる。これらの中でも、アンテナ導体間での静電容量が発生しにくく、高いアンテナ利得が得られる点で直線状のアンテナが好ましい。
なお、本実施形態における「直線状」は、アンテナの共振部が真っ直ぐな棒状若しくは板状であることを意味する。したがって、直線状のモノポールアンテナ20の形状は、通常の円柱状だけでなく、角柱状や細長い平板状であってもよい。また、芯材となるアンテナ導体22についても同様に、円柱状、角柱状、及び平板状のいずれであってもよい。
アンテナ導体22としては導電性の金属や合金を用いることが好ましい。このような金属としては例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、金(Au)などが挙げられ、合金としてはこれらのうちから選ばれる2種以上の金属の合金が好ましい。
アンテナ導体22の断面形状は、携帯端末に搭載できる大きさ程度のものであれば特に限定されず、例えば径Dが0.5mm〜2mm程度の角状または丸状の断面形状とすることができる。
さらに、180MHzから222MHzの電波は導電体の表面を流れることから、アンテナ導体22を表面積が大きいテープ形状とすることも有効である。テープ形状のアンテナ導体22は、その幅が0.5mm〜2mmで、厚さが0.05〜0.2mmであることが好ましい。
アンテナ導体22の長さLは携帯端末に容易に搭載できる程度の長さであれば特に限定されず、40mm以上かつ200mm以下であることが好ましく、50mm以上かつ100mm以下がより好ましい。長さLを上記範囲とすることで、携帯端末に容易に搭載でき、180MHz〜222MHzの周波数帯域で使用できるモノポールアンテナ20とする
ことができる。
[複合磁性体]
本実施形態の複合磁性体21は、磁性粉体を絶縁材料中に分散させて硬化させたものである。
複合磁性体21は、180MHzから222MHzまでの周波数帯域における複素透磁率の実部μr’が3以上であることが好ましく、6以上であることがさらに好ましい。
複合磁性体21の複素透磁率の実部μr’が3以上であれば、2.4mm以上の被覆厚さとすることで、長さ200mmのアンテナ導体22を用いた場合にも200MHzの周波数で共振を起こすことができるモノポールアンテナ20を得ることができる。
複合磁性体21の複素透磁率μr’が6以上であれば、さらなる波長短縮効果が得られるため、アンテナ導体22への被覆厚さを1.2mmにまで薄くしても、長さ200mmのアンテナ導体22を用いて200MHzの周波数で共振を起こすことができるモノポールアンテナ20を得ることができる。
複合磁性体21の被覆厚さdは、厚くなりすぎるとアンテナが太くなり、携帯端末の装置の構成やデザインの関係上搭載することが難しくなる。そのため実用上は、複合磁性体による被覆厚さdは10mm以下の範囲である。
なお、複合磁性体21とアンテナ導体22は密着している必要はなく、例えば円筒状の複合磁性体21の内部にアンテナ導体22を配置して、外観上被覆しているような形態でも良い。
本実施形態の複合磁性体21は、180MHzから222MHzまでの周波数帯域における損失正接tanδが0.05以下であることが好ましい。損失正接tanδを0.05以下とすることにより、180MHzから222MHzの周波数帯域の信号を損失することに起因するアンテナの利得低下を防ぐことができる。
[磁性粉体]
本実施形態の磁性粉体は、磁性粉体の厚みが0.01μm以上かつ0.4μm以下、長径が0.05μm以上かつ5μm以下、及びアスペクト比(長径/厚み)が5以上の扁平形状であることが好ましい。かかる扁平形状は、扁平面に平行な方向の反磁界が格段に小さくなり、得られる透磁率が大きくなるため好ましい。
上記磁性粉体の厚みは0.01μm以上かつ0.2μm以下がより好ましく、0.012μm以上かつ0.18μm以下が好ましい。ここで、磁性粉体の厚みが0.01μm未満であると、製造が困難であり取扱いも難しくなるので好ましくない。一方、磁性粉体の厚みが0.4μmを超えると、粒子同士の融着に起因する厚みのばらつきが生じ、180MHzから222MHzの周波数帯域における損失正接が上昇するので好ましくない。
上記磁性粉体の長径は、0.05μm以上かつ5μm以下が好ましく、0.5μm以上かつ4μm以下が好ましい。磁性粉体の長径が0.05μm未満であると、製造や取扱いが難しいので好ましくない。一方、磁性粉体の長径が5μmを超えると、後述する絶縁材料中への分散が困難になるため好ましくない。
上記磁性粉体のアスペクト比(長径/厚み)は5以上であることが好ましく、7以上がより好ましい。ここで、磁性粉体のアスペクト比(長径/厚み)が5より小さいと、磁性粉体の反磁界係数が大きくなり、その結果、複合磁性体の比透磁率μrが低下するので好ましくない。一方、アスペクト比が大きくなると、磁性粉体の強度が低下したりするため、アスペクト比は15以下が好ましく、実用的には20程度が上限となる。
上記磁性粉体の組成は、磁性を有する粒子であれば特に限定されず、例えば、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、銅(Cu)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)のいずれか1種または2種以上を用いることができる。また、これらの中から選択される2種以上の元素の合金でもよい。
二元素系の合金としては、Fe−Ni合金、Fe−Si合金、Fe−Co合金、Fe−Cr合金等が挙げられる。
三元素系の合金としては、Fe−Si−Al合金、Fe−Cr−Si、Fe−Ni−Mo合金等が挙げられる。
鉄―ニッケル合金は、Ni78質量%−Fe22質量%の合金が、磁性粉体の厚みが0.2μm以下、長さが2μm以下のものが得られやすく、高透磁率とともに低磁気損失の複合磁性体を得られるので好ましい。
上記磁性粉体の組成は、パーマロイ等のFe−Ni合金、スーパーマロイ等のFe−Ni−Mo合金、センダスト(登録商標)等のFe−Si−Al合金、Fe−Si合金、Fe−Co合金、Fe−Cr合金、Fe−Cr−Si合金等の高透磁率合金、あるいはこれらの合金に、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、インジウム(In)、すず(Sn)等の金属元素を添加した合金が好ましい。
磁性粉体における上記の金属元素の添加量は、0.1質量%以上かつ90質量%以下が好ましく、1質量%以上かつ12質量%以下がより好ましく、1質量%以上かつ5質量%以下がさらに好ましい。
ここで、上記の金属元素の添加量を上記の範囲に限定した理由は、金属元素の添加量が0.1質量%未満では、後述する球状の磁性粒子2を扁平状にさせるための十分な塑性変形能を付与することができず、一方、添加量が90質量%を超えると、金属元素自体の磁気モーメントが小さいことから、磁性粉体全体の飽和磁化が小さくなり、その結果、得られる透磁率も小さくなるからである。
特に、高透磁率の複合磁性体が得られる点で、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、インジウム(In)、スズ(Sn)の群から選択される1種または2種以上の金属元素を1質量%以上かつ12質量%以下、好ましくは1質量%以上かつ5質量%以下含む鉄−ニッケル合金を用いるのが好ましい。
これらの中でも、ニッケル−鉄−亜鉛(Ni−Fe−Zn)合金は、Fe−Ni合金へのZnの添加により、後述する球状の磁性粒子の加工性が高くなるため、大きなアスペクト比を有する扁平状の磁性粉体が得られやすいので好ましい。組成比は例えば、Ni75質量%−Fe20質量%−Zn5質量%の合金や、Ni76質量%−Fe20質量%−Zn4質量%等を好適に用いることができる。
上記磁性粉体は、絶縁性の磁性粉体を用いることが好ましい。絶縁性の磁性粉体を用いることで、複合磁性体中で磁性粉体同士が接触することにより導電パスが形成されるのを抑制することができる。その結果、複合磁性体の誘電損失を低減させることができる。したがって、磁性粉体における絶縁性は、少なくとも絶縁粉体の表面に付与されていればよい。
磁性粉体を絶縁性にする方法は特に限定されないが、例えば、磁性粉体の表面に5nm程度の酸化皮膜を形成する方法が挙げられる。磁性粉体は大気中で取り扱うことにより、自然に表面に酸化皮膜が形成される。しかしながら、複合磁性体の誘電損失を低減させるためには、50℃〜200℃で1時間〜数時間程度加熱処理された磁性粉体を用いることが好ましい。
また、磁性粉体の表面に磁性粉体と異なる成分を含む絶縁皮膜を形成してもよい。このような成分としては例えば、シリカ、リン酸塩等の無機物質や、樹脂、界面活性剤等の有機物質等が挙げられる。これらの絶縁皮膜は、酸化皮膜(自然酸化、加熱酸化のものを含む)を有する磁性粉体の表面に形成してもよく、酸化皮膜を有しない磁性粉体の表面に形成してもよい。
[絶縁材料]
上記の絶縁材料としては、機械的強度が高く、吸湿性が低く、形状加工性に優れていることが好ましい。このような絶縁材料としては例えば、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリベンゾシクロブテン樹脂、ポリアリーレンエーテル樹脂、ポリシロキサン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂、シアネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ノルボルネン樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン樹脂等の熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂が好適に用いられる。
なかでも、熱硬化性樹脂としては、機械的強度及び形状加工性に優れているエポキシ樹脂が好ましい。また、熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン樹脂、ポリフェニレン樹脂、ABS樹脂が好ましい。
また、上記絶縁材料に加えて、熱可塑性エラストマーが添加されてもよい。熱可塑性エラストマーの添加により、複合磁性体の機械的強度や形状加工性を向上させることができる。そのため、熱可塑性エラストマーが添加された複合磁性体は、靭性、柔軟性、変形性により優れることとなる。
熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系、オレフィン系、塩化ビニル系、ウレタン系、エステル系、アミド系の群から選択される少なくとも1種を用いることができる。
熱可塑性エラストマーの添加量は、複合磁性体の用途により必要とされる耐熱性を勘案して、適宜調整して実施すればよい。
[モノポールアンテナの製造方法]
本実施形態のモノポールアンテナ20の製造方法は、球状の磁性粒子を扁平状に加工することで磁性粉体を作製する第1の工程と、扁平状の磁性粉体をバインダーと混合して成形材料を作製する第2の工程と、磁性粉体を含む成形材料をアンテナ導体に被覆する第3の工程とを備えている。
以下、図2を参照しつつ、各工程について詳細に説明する。
図2は、本実施形態の製造方法における第1の工程を示す説明図である。
(第1の工程)
第1の工程では、まず、球状の磁性粒子2を界面活性剤を含む溶液中に分散してスラリー3を調製する。
球状の磁性粒子2の一次粒子径は特に限定されないが、微細な磁性粉体を作製するためには、球状の磁性粒子2の一次粒子径は500nm以下が好ましく、200nm以下がより好ましい。一次粒子径が500nm以下の球状の磁性粒子2は、粒子表面が高活性となるため、磁性粒子2同士の親和性も高くなり、磁性粒子2同士の凝着が促進されるため好ましい。一方、球状の磁性粒子2の一次粒子径が小さくなりすぎると、球状の磁性粒子2の表面活性が高すぎて、球状の磁性粒子2が著しく酸化されやすくなるため、磁気特性が悪くなる虞がある。そのため、球状の磁性粒子2の一次粒子径は30nm以上が好ましく、実用上の下限値は10nm程度である。
球状の磁性粒子2の組成は、上記の磁性粉体の組成と全く同様である。
界面活性剤としては、球状の磁性粒子2の表面と相性の良い窒素、リン、イオウ等の元素を含有している界面活性剤が好ましく、例えば、窒素含有ブロックコポリマー、燐酸塩、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
界面活性剤を溶解させる溶媒としては、球状の磁性粒子2に含まれる金属元素の酸化を防止する必要があることから、有機溶媒が好ましく、特に、キシレン、トルエン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等の非極性有機溶媒が好ましい。
また、スラリー3を分散させる分散媒体4を用意する。分散媒体4は、球状の磁性粒子2よりも硬度が高いことが必要であるため、その材質は磁性粒子2の材質に応じて適宜変更する。
分散媒体4としては、例えば、アルミニウム、鋼(スチール)、ステンレススチール、鉛等の金属球、アルミナ、ジルコニア、二酸化ケイ素、チタニア等の金属酸化物あるいは無機酸化物からなる球状焼結体、窒化ケイ素等の無機窒化物からなる球状焼結体、炭化ケイ素等の無機炭化物からなる球状焼結体、ソーダガラス、鉛ガラス、高比重ガラス等からなるビーズと称される球状粒子が挙げられる。これらの中でも、比重6以上のジルコニア、鋼(スチール)、ステンレススチール等が効率の点から好ましい。
次いで、スラリー3及び分散媒体4を、図2に示すように、密閉可能な密閉容器1内に、スラリー3及び分散媒体4の合計の体積が密閉容器1内の体積と同じになるように充填する。そして、スラリー3を分散媒体4と共に密閉状態にて撹拌し、球状の磁性粒子2同士を変形及び融着させて扁平状の磁性粉体とする。
球状の磁性粒子2への機械的応力の付加は、分散媒体4同士、あるいは分散媒体4と内壁との衝突の際の衝撃によって行われるので、分散媒体4同士、あるいは分散媒体4と内壁との衝突回数が増加するにつれて、球状の磁性粒子2同士の変形及び融着性が向上する。
すなわち、分散媒体4の平均粒径が小さいほど、単位体積当たりに存在する個数が増加し、衝突回数も多くなり、変形及び融着性も向上する。一方、分散媒体4の平均粒径が小さすぎると、分散媒体4をスラリー3から分離することが困難となる。したがって、分散媒体4の平均粒径は、少なくとも0.01mm以上であることが必要である。
また、分散媒体4の平均粒径が大き過ぎると衝突回数が減少することから、球状の磁性粒子2同士の変形及び融着性が低下する。したがって、分散媒体4の平均粒径の上限値は3.0mmである。
密閉容器1としては、ディスク、スクリュー、羽根等を有する一軸回転体5を高速回転することで、分散媒体4をスラリーとともに高速回転する形態の容器が好ましい。図2に示す密閉容器1は、単純な一軸回転方式であることから、大型化も容易であり、工業生産上も有利である。
なお、密閉容器1に、スラリー3を容器内に導入・導出するための流入口及び流出口を設け、スラリー3を密閉容器1内外に循環させる構成としてもよい。この場合に、予め分散媒体4を密閉容器1内に収納しておき、球状の磁性粒子2と界面活性剤と溶媒とを混合したスラリー3を流入口から投入して密閉容器1内に空間がないように充填し、流出口から排出されるスラリー3を再び流入口へ案内して密閉容器1内へ投入するように循環経路を形成すればよい。
本実施形態では、スラリー3及び分散媒体4の密閉容器1内への充填量を、密閉容器1内の体積と同一とする。換言すれば、スラリー3及び分散媒体4を、密閉容器1内に隙間なく充填する。このような製造工程とすることで、一軸回転体5から分散媒体4を介して球状の磁性粒子2に伝搬される機械的応力が均一になるため好ましい。応力が均一に伝播されることにより、磁性粉体の厚みのばらつきが生じにくくなる。また、磁性粉体が不規則な衝撃を受けることもないため、磁性粉体に割れや欠け等も発生しにくくなる。
一軸回転体5の回転数は、密閉容器1の大きさに応じて決定される。例えば、内径が120mmの密閉容器1の場合、球状の磁性粒子2を含むスラリー3及び分散媒体4の一軸回転体5の径方向の外周端5a付近の流速が5m/秒以上となるように一軸回転体5の回転数を設定することが好ましい。さらに、8m/秒以上となるように一軸回転体5の回転数を設定することがより好ましい。
以上に説明した第1の工程において、一軸回転体5により加えられた機械的応力により球状の磁性粒子2同士が変形及び融着し、扁平状の磁性粉体となる。
次いで、作製した扁平状の磁性粉体を、分散媒体4及び溶媒から分離する。
分離工程は、磁性粒子の扁平化処理に使用した溶媒と、後に混合する絶縁性材料との相溶性を考慮して、適宜実施すればよい。
具体的には、扁平化処理に用いた溶媒と、絶縁性材料の相溶性が悪い場合には、磁性粉体の分離工程において、上記溶媒が4質量%以下、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下となるまで乾燥処理することが好ましい。一方、扁平化処理に用いた溶媒と絶縁性材料の相溶性が良い場合には、分離工程を省略し、磁性粉体を溶媒中に分散させた状態のまま第2の工程に移行してもよい。
乾燥方法は、扁平化処理後のスラリー3から溶媒を除去することができれば特に限定されず、加熱乾燥、真空乾燥、フリーズドライ等が挙げられるが、乾燥効率の点で真空乾燥が好ましい。また、乾燥効率を高めるために、乾燥工程の前に、固液分離等の手法によりある程度の溶媒を除去してもよい。固液分離の方法としては、フィルタープレスや吸引ろ過等のろ過操作や、デカンターや遠心分離機による遠心分離操作等、通常の方法を用いればよい。
また、溶媒が除去された磁性粉体を、50℃〜200℃で1〜数時間加熱処理してもよい。この加熱処理より、磁性粉体の表面に酸化皮膜を形成することができ、絶縁性の磁性粉体を得ることができる。
(第2の工程)
次に、第2の工程では、上述の扁平状の磁性粉体を、液状の樹脂中または樹脂を溶媒に溶解した溶液中に分散し混合して成形材料とする。この成形材料を固化させると、絶縁材料中に磁性粉体が分散された複合磁性体21となる。
上記の樹脂としては、液状の樹脂が好ましく、例えば、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリベンゾシクロブテン樹脂、ポリアリーレンエーテル樹脂、ポリシロキサン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂、シアネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ノルボルネン樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン樹脂等の熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂が好適に用いられる。なお、硬化剤の種類や量などは、使用する樹脂の種類に対して、適宜選択すればよい。
また、上記の樹脂に加えて、さらに上記の項目で説明した熱可塑性エラストマーを適宜添加してもよい。
また、上記の溶媒としては、上記の樹脂を溶解させることができるものであればよく、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン等のエステル類、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類が好適に用いられ、これらの溶媒は、1種のみ単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
上記成形材料中の磁性粉体の含有率は、成形材料中の揮発成分以外が硬化して複合磁性体21になった場合の体積に対して、20体積%以上かつ50体積%以下が好ましく、30体積%以上かつ40体積%以下がより好ましい。
ここで磁性粉体の含有率が20体積%未満では、磁性粉体が少なすぎて複合磁性体21の透磁率が低下するので好ましくなく、50体積%を超えると、磁性粉体が多すぎて、成形材料の流動性が低下し、その結果、成形材料中の磁性粉体の配向性が低下して複合磁性体21の透磁率が低下する場合があるので好ましくない。
磁性粉体を樹脂又は樹脂溶液に分散混合させる方法は、特に制限はないが、遊星ミル、サンドミル、ボールミル、プラネタリーミキサー、バタフライミキサー等の攪拌装置を用いることができる。また、加圧ニーダ、二軸式ニーダ、ブラストミル等の混練装置を用いることもできる。熱可塑性樹脂を用いる場合には、必要に応じて加熱すればよい。
(第3の工程)
第3の工程では、第2の工程で作製した成形材料をアンテナ導体22の外周面に塗布し、これを硬化させることで複合磁性体21とする。これにより、本実施形態のモノポールアンテナ20を得ることができる。
アンテナ導体22に成形材料を塗布し、複合磁性体21を被覆する方法としては、所望の被覆厚さdの複合磁性体21を被覆することができる方法であれば特に限定されない。複合磁性体21の被覆厚さdは、アンテナ導体の長さLと複合磁性体21の透磁率とに基づいて決定される。複合磁性体21の被覆方法としては、例えば、加熱プレス法、射出成形方法、押出成形方法により、アンテナ導体22を上記成形材料の内側に挟み込むように成形、硬化させて被覆させる方法が挙げられる。なお、熱硬化性樹脂を用いる場合には、還元性雰囲気中または真空中にて、熱処理又は加熱プレス処理により成形材料を硬化させるのが好ましい。
また、上記成形材料を任意の形状のシート状またはフィルム状に成形したものを、所望の被覆厚になるように複数枚積層させたもので、アンテナ導体22を挟み込むことにより被覆させてもよい。成形材料をシート状又はフィルム状に成形する方法としては、例えば、加熱プレス法、ドクターブレード法、射出成形法等が好適に用いられる。
これらの方法の中でも、扁平状の磁性粉体を樹脂中に配向させやすい点で、平面状に引き伸ばす加熱プレス成形法が好ましい。引き伸ばす際の粘度調整のために、可塑剤の添加、扁平状の磁性粉体の表面処理を行うことも好ましい。必要があれば、加熱して流動性を維持した状態で、磁場の配向により扁平状の磁性粉体を配向させる処理を行うことが好ましい。
扁平状の磁性粉体を配向させる方向は、モノポールアンテナ20中に発生する磁界が、扁平状の磁性粉体中を長い距離通過して波長短縮効果をより得られるようにするのが好ましい。すなわち、アンテナ導体22の軸周り方向(周方向)と磁性粉体の長軸が略平行になるように配向させるのが好ましい。
また複合磁性体21の形成に際して、上記成形材料の粘度調整を行う必要がある場合には、成形材料に含まれる溶媒を揮発させて濃縮した後に成形を行えばよい。
また磁性粉体の配向処理が必要な場合には、アンテナ導体22を内側に挟み込むように成形材料を成形した後、これを乾燥させる前に成形材料に磁場を印加し、扁平状の磁性粉体をアンテナ導体22の軸周り方向(周方向)と磁性粉体の長軸が略平行になるように配向させればよい。
以上説明したように、本実施形態のモノポールアンテナによれば、扁平状の磁性粉体を絶縁材料中に分散してなる複合磁性体によってアンテナ導体が被覆されているので、携帯端末に搭載が可能なほど小型化でき、180MHz〜222MHzの低周波数帯域において使用が可能である。
また、180MHz〜222MHzまでの周波数帯域における複素透磁率の実部μr’が3以上である場合には、本実施形態の複合磁性体21を2.4mm以上被覆させることで、アンテナ導体が200mm以下でも200MHzの周波数と共振させることができる。
また、180MHz〜222MHzまでの周波数帯域における複素透磁率の実部μr’が6以上である場合には、本実施形態の複合磁性体21を1.2mm以上被覆させることで、アンテナ導体が200mm以下でも200MHzの周波数と共振させることができる。
本実施形態の直線状のモノポールアンテナ20は、整合回路と併用することにより、さらに小型化させることができる。
アンテナ導体22に被覆させる複合磁性体21は、本実施形態の磁性粉体を含むものに限らない。すなわち、必要とされる周波数帯域で複素透磁率の実部μr’が3以上である複合磁性体21を構成できるものであれば、磁性粉体の材質や形状、及び絶縁材料の材質を変更してもよい。
[携帯端末]
図5は、携帯端末の一実施の形態を示す斜視図である。
本実施形態の携帯端末100は、筐体101と、筐体101の一主面に設けられた表示部102と、筐体101の外部に備えられたモノポールアンテナ20と、を備えている。なお、図5では、導体地板24や交流信号発信機25の図示は省略した。また本実施形態の携帯端末100において、表示部102を省略した構成としてもよい。また、モノポールアンテナ20は筐体101から取り出し可能かつ筐体102に収納可能となるように備えられてもよい。また、モノポールアンテナ20は伸縮自在となるように備えられてもよい。
この携帯端末100としては、電磁波を介して各種情報の送信、受信、送受信のいずれかを行う装置であればよく、特に限定されない。例えば、パーソナルコンピューター、携帯用電話機、携帯情報端末、スマートフォン等の多機能携帯用情報端末、PDA(Personal Digital Assistant)等の通信機器が挙げられる。
これらの携帯端末においては、上記のモノポールアンテナは、携帯端末の外部に設けられていてもよく、また、内蔵されていてもよく、いずれでもよい。
上記のモノポールアンテナを携帯端末に搭載させる態様及び方法は特に限定されず、公知の態様及び方法により搭載させればよい。
以下実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例では以下の方法により評価した。
(1)磁性粉体の観察
走査型電子顕微鏡(日立ハイテク社製、S−4000)で観察した。
(2)比透磁率及び磁気損失測定
透磁率測定装置(Agilent Technologies社製、マテリアルアナライザー E4991A型)にて、大気中室温において、100MHz〜500MHzで測定した。
[実施例1]
エポキシ樹脂中へ平均厚み0.19μm、平均長径1.63μm、平均アスペクト比8.6の磁性粉体(Ni76質量%−Fe20質量%−Zn4質量%)を分散させて成形材料を得た。得られた成形材料を型に入れて成形し、熱硬化させて複合磁性体を得た。
この複合磁性体を厚さ1.7mmでアンテナ導体に被覆して、図1に示す四角柱状のモノポールアンテナを作製した。このモノポールアンテナはアンテナ長を200mmにすると180MHzで共振し、アンテナ長を200mmよりも短くすると180MHz以上の周波数で共振し、アンテナ長が180mmのときに200MHzで共振した。このアンテナの図1におけるX−Z平面における平均利得は−5.5dBdであった。この複合磁性体の複合磁性体の複素透磁率の実部μr’と損失正接tanδを測定した結果を図3に示す。得られた複合磁性体の180〜222MHzにおける複素透磁率の実部μr’は6以上であり、損失正接tanδは0.05以下であった。
[実施例2]
実施例1において複合磁性体の被覆厚さを2.5mmとした以外は同様にして、実施例2のモノポールアンテナを作製した。このモノポールアンテナはアンテナ長を200mmにすると120MHzで共振し、アンテナ長を200mmよりも短くすると120MHz以上の周波数で共振し、150mmのときに200MHzで共振した。このアンテナのX−Z平面における平均利得は−6.5dBdであった。
[実施例3]
エポキシ樹脂中へ平均厚み0.35μm、平均長径2.49μm、平均アスペクト比7.3の磁性粉体(Ni76質量%−Fe20質量%−Zn4質量%)を分散させて成形材料を得た。この成形材料を型に入れて成形し、熱硬化させて複合磁性体を得た。この複合磁性体を棒状のアンテナ導体の周囲に厚さ2.5mmで被覆して、図1に示した四角柱状のモノポールアンテナを作製した。
このモノポールアンテナは、アンテナ長を200mmにすると197MHzで共振し、アンテナ長を200mmよりも短くすると197MHz以上の周波数で共振し、195mmのときに200MHzで共振した。このアンテナのX−Z平面における平均利得は−5.0dBdであった。
この複合磁性体の180MHz〜222MHzにおける複素透磁率の実部μr’は約3であり、損失正接tanδは0.03であった。
[比較例1]
実施例1において複合磁性体の被覆厚さを0.8mmとした以外は同様にして、比較例1のモノポールアンテナを作製した。このモノポールアンテナはアンテナ長を200mmにすると230MHzで共振し、222MHz以下の周波数で共振させるには、アンテナ長は200mm以上必要であり、アンテナ長220mmのときに200MHzで共振した。
[比較例2]
実施例3において複合磁性体の被覆厚さを1.7mmとした以外は同様にして、比較例2のモノポールアンテナを作製した。このモノポールアンテナはアンテナ長を200mmにすると236MHzで共振し、222MHz以下の周波数で共振させるには、アンテナ長は200mm以上必要でありアンテナ長230mmのときに200MHzで共振した。
次に、図1に示したモノポールアンテナをモデルとして、複素透磁率の実部μr’=3、tanδ=0.02の複合磁性体でアンテナ導体を被覆したモノポールアンテナ、及びμr’=6、tanδ=0.02の複合磁性体でアンテナ導体を被覆したモノポールアンテナについて、複合磁性体の被覆厚さと200MHzで共振する最小アンテナ長との関係を電磁界シミュレーターHFSSにて計算した。計算結果を図4中に直線で示す。上記各実施例及び比較例の結果も図4中にプロットした。
図4に示すように、計算値の直線上に実測値がほぼ一致することから、複素透磁率の実部μr’=3と6の複合磁性体の被覆によって、アンテナ導体長が200mm以下でありながら、200MHz以下の周波数で共振させるには、被覆厚さが2.4mmあるいは1.2mm以上必要であることがわかる。
[実施例4]
ポリスチレン樹脂とスチレン・ブタジエン系熱可塑性エラストマーを等量ずつキシレン溶媒中で混合した。次いで、この混合物中へ、平均厚みが0.18μm、平均長径が1.50μm、平均アスペクト比が8.3の磁性粉体(Ni78質量%−Fe22質量%)を分散させて成形材料を得た。得られた成形材料を型に入れて成形し、溶媒をポリスチレン樹脂の軟化点温度以上で除去して、複合磁性体を得た。
この複合磁性体を厚さ1.7mmでアンテナ導体に被覆して、図1に示す四角柱状のモノポールアンテナを作製した。このポールアンテナはアンテナ長を200mmにすると180MHzで共振し、アンテナ長を200mmよりも短くすると180MHz以上の周波数で共振し、アンテナ長が180mmのときに200MHzで共振した。このアンテナの図1におけるX−Z平面における平均利得は−5.0dBdであった。
この複合磁性体の180MHz〜222MHzにおける複素透磁率の実部μr’は約6であり、損失正接tanδは0.02であった。
[実施例5]
ポリスチレン樹脂をキシレン溶媒に混合した。次いで、この混合物中へ、平均厚みが0.18μm、平均長径が1.50μm、平均アスペクト比が8.3の磁性粉体(Ni78質量%−Fe22質量%)を分散させて成形材料を得た。得られた成形材料を型に入れて成形し、溶媒をポリスチレン樹脂の軟化点温度以上で除去して、複合磁性体を得た。
この複合磁性体を厚さ1.7mmでアンテナ導体に被覆して、図1に示す四角柱状のモノポールアンテナを作製した。このポールアンテナはアンテナ長を200mmにすると180MHzで共振し、アンテナ長を200mmよりも短くすると180MHz以上の周波数で共振し、アンテナ長が180mmのときに200MHzで共振した。
このアンテナの図1におけるX−Z平面における平均利得は−5.0dBdであった。
この複合磁性体の180MHz〜222MHzにおける複素透磁率の実部μr’は約6であり、損失正接tanδは0.02であった。
1 密閉容器
2 磁性粒子
3 スラリー
4 分散媒体
5 一軸回転体
20 モノポールアンテナ
21 複合磁性体
22 導体
24 導体地板
25 交流信号発信機
26 接続部

Claims (8)

  1. アンテナ導体が、磁性粉体を絶縁材料中に分散してなる複合磁性体によって被覆されていることを特徴とするモノポールアンテナ。
  2. 前記複合磁性体は、180MHzから222MHzまでの周波数帯域における複素透磁率の実部μr’が3以上であることを特徴とする請求項1記載のモノポールアンテナ。
  3. 前記複合磁性体の被覆厚さが2.4mm以上かつ10mm以下であることを特徴とする請求項2記載のモノポールアンテナ。
  4. 前記複合磁性体は、180MHzから222MHzまでの周波数帯域における複素透磁率の実部μr’が6以上であることを特徴とする請求項1記載のモノポールアンテナ。
  5. 前記複合磁性体の被覆厚さが1.2mm以上かつ10mm以下であることを特徴とする請求項4記載のモノポールアンテナ。
  6. 前記磁性粉体の厚みが0.01μm以上かつ0.4μm以下、長径が0.05μm以上かつ5μm以下、かつアスペクト比(長径/厚み)が5以上であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載のモノポールアンテナ。
  7. 前記アンテナ導体の長さが200mm以下であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載のモノポールアンテナ。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項記載のモノポールアンテナを搭載したことを特徴とする、携帯端末。
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