JP2012210763A - 多層構造体および容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】層間接着性および透明性に優れた多層構造体、およびそれからなる容器を提供することを目的とする。
【解決手段】層(X)および熱可塑性樹脂層(Y)を有する多層構造体であって、
前記層(X)が、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂(A)、ポリアミド系樹脂(B)、周期律表第II族の金属塩(C)および遷移金属塩(D)を含有する樹脂組成物からなり、
前記樹脂(A)と樹脂(B)の質量比(A)/(B)が50/50〜95/5であり、
前記樹脂(A)および樹脂(B)の合計量100質量部に対して、金属塩(C)を金属換算で0.005〜0.05質量部および遷移金属塩(D)を金属換算で0.01〜0.1質量部含有し、
前記樹脂(A)のエチレン含有量が20〜65モル%、ケン化度が90モル%以上である多層構造体。
【選択図】なし

Description

本発明は、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂およびポリアミド系樹脂を含む樹脂組成物からなる層および熱可塑性樹脂層を含む多層構造体、並びにそれからなる容器に関する。
エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、「EVOH」と略記することがある。)樹脂とポリアミド系樹脂との樹脂組成物は、EVOH樹脂に基づくガスバリア性、耐油性、耐薬品性に、ポリアミド系樹脂に基づく成形性、耐衝撃性、耐熱水性が付与された非常に有用な性質を持つ。
また、前記樹脂組成物層と各種熱可塑性樹脂層を積層することにより、熱可塑性樹脂に樹脂組成物の特徴であるガスバリア性を付与することができる。さらには、前記多層構造体を成形、必要に応じて延伸および/または熱処理を施すことで、フィルム、シートあるいはボトルなどの成形品が得られる。特に、上記熱可塑性樹脂に熱可塑性ポリエステル系樹脂を用いた場合、熱可塑性ポリエステル系樹脂本来の透明性、剛直性に加え、ガスバリア性と力学的物性に優れた成形品を得ることができ、主に食品用容器に用いられている。
しかしながら、多層構造体を構成する前記樹脂組成物層と各種熱可塑性樹脂との層間接着が不充分なため、成形品の製造時、および成形品に食品などを充填し、落下等の衝撃を与えた場合、熱可塑性樹脂層と樹脂組成物層とが剥離し、特に熱可塑性樹脂に透明なポリエステル系樹脂を用いた場合、外観上大きな問題であった。
このような外観上の問題を解決する目的で、特許文献1には、前記樹脂組成物に周期律表第II族の金属塩を少なくとも2種添加することが記載されている。特許文献1の方法によれば、前記樹脂組成物のゲル化を抑制できるため、長時間の溶融成形後も外観の優れたフィルムまたは多層構造体が得られることが記載されている。また、特許文献2には、前記樹脂組成物に周期律表第I族、II族およびIII族から選ばれる少なくとも1種の金属の脂肪酸塩を添加することが記載されている。特許文献2の方法によれば、樹脂組成物中のEVOH樹脂とポリアミド樹脂との相溶性が向上するため、樹脂組成物の外観不良を改善できることが記載されている。
また、層間接着性を向上させる目的で、特許文献3には、EVOHにチタニウム塩、コバルト塩、マンガン塩、アンチモン塩およびゲルマニウム塩から選ばれる少なくとも1種の塩を特定量添加することが記載されている。さらに、このようなEVOH樹脂組成物層は、熱可塑性ポリエステル等の樹脂層との層間接着性が改善することが記載されている。
特開平7−097491号公報 特開平8−253638号公報 特開平3−175033号公報
しかしながら、特許文献1および2のいずれにおいても、EVOH樹脂およびポリアミド系樹脂を含む組成物からなる層と他の熱可塑性樹脂層との層間接着性について何ら記載されていない。また、特許文献3に記載の方法でも、未だEVOH樹脂組成物層と熱可塑性樹脂層との層間接着強度は不充分であり、接着不良による外観不良の問題は依然改善されていない。
本発明は上記のような事情に基づいてなされたものであり、層間接着性が改善された多層構造体、並びに、この多層構造体を用いた容器を提供することを目的とする。
本発明者らは上記の目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、EVOH樹脂(A)、ポリアミド系樹脂(B)、周期律表第II族の金属塩(C)および遷移金属塩(D)をそれぞれ特定量含有する樹脂組成物からなる層(X)、並びに熱可塑性樹脂層(Y)を有することにより、層間接着性に優れる多層構造体が得られることを見出した。本発明者らは当該知見に基づいてさらに検討を重ねて本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
[1]層(X)および熱可塑性樹脂層(Y)を有する多層構造体であって、
前記層(X)が、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂(A)、ポリアミド系樹脂(B)、周期律表第II族の金属塩(C)および遷移金属塩(D)を含有する樹脂組成物からなり、
前記樹脂(A)と樹脂(B)の質量比(A)/(B)が50/50〜95/5であり、
前記樹脂(A)および樹脂(B)の合計量100質量部に対して、金属塩(C)を金属換算で0.005〜0.05質量部および遷移金属塩(D)を金属換算で0.01〜0.1質量部含有し、
前記樹脂(A)のエチレン含有量が20〜65モル%、ケン化度が90モル%以上である多層構造体
[2]前記層(X)が、前記熱可塑性樹脂層(Y)に直接積層されてなる、上記[1]の多層構造体
[3]前記熱可塑性樹脂層(Y)がポリエステル系樹脂層である、上記[1]または[2]の多層構造体
[4]前記層(X)の両側に前記熱可塑性樹脂層(Y)が積層されてなる、上記[1]〜[3]のいずれか1つの多層構造体
[5]前記遷移金属塩(D)が、鉄塩、ニッケル塩、銅塩、マンガン塩およびコバルト塩からなる群から選択される少なくとも1種の金属塩である、上記[1]〜[4]のいずれか1つの多層構造体
[6]前記ポリアミド系樹脂がナイロン6である、上記[1]〜[5]のいずれか1つの多層構造体
[7]前記前記層(X)が、炭素−炭素二重結合を有する熱可塑性樹脂(E)を含む、上記[1]〜[6]のいずれか1つの多層構造体
[8]上記[1]〜[7]のいずれか1つの多層構造体からなる容器
[9]ボトル形状である、上記[8]の容器
に関する。
本発明によれば、透明性、および製膜性および他の熱可塑性樹脂層との接着性に優れた樹脂組成物を用いることで、層間接着性および透明性に優れ、さらにデラミネーションの発生が抑制された多層構造体が提供される。また、当該多層構造体から、層間接着性および透明性に優れたおよび各種容器が提供される。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の説明において特定の機能を発現するものとして具体的な材料を例示する場合があるが、本発明はこれに限定されない。また、例示される材料は、特に記載がない限り、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の多層構造体は、層(X)および熱可塑性樹脂層(Y)の少なくとも2層を有する多層構造体であって、上記層(X)が、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂(A)、ポリアミド系樹脂(B)、周期律表第II族の金属塩(C)および遷移金属塩(D)を含有する樹脂組成物からなり、上記樹脂(A)と樹脂(B)の質量比(A)/(B)が50/50〜95/5であり、上記樹脂(A)および樹脂(B)の合計量100質量部に対して、金属塩(C)を金属換算で0.005〜0.05質量部および遷移金属塩(D)を金属換算で0.01〜0.1質量部含有し、上記樹脂(A)のエチレン含有量が20〜65モル%、ケン化度が90モル%以上である。
[層(X)]
本発明の多層構造体を構成する層(X)は、主としてEVOH樹脂(A)およびポリアミド系樹脂(B)からなる樹脂に、周期律表第II族の金属塩(C)および遷移金属塩(D)を含有する樹脂組成物からなる層である。
(EVOH樹脂(A))
本発明に用いられるEVOH樹脂(A)におけるEVOHは、主要構造単位として、エチレン単位およびビニルアルコール単位を有する重合体である。本発明においては、EVOH樹脂(A)を用いることにより、層(X)にガスバリア性を付与できる。
EVOHのエチレン含有量(すなわち、EVOH中の単量体単位の総数に対するエチレン単位の数の割合)としてはガスバリア性の観点で20〜60モル%であることが重要であり、25〜55モル%がより好ましく、25〜45モル%がさらに好ましい。EVOHのエチレン含有量を上記範囲とすることで、充分な外観特性およびロングラン性を発揮することができる。EVOHのエチレン含有量が20モル%未満であると、多層構造体を成形した際の耐水性、耐熱水性および高湿度下でのガスバリア性が低下するおそれや、溶融成形性が悪化するおそれがある。一方、EVOHのエチレン含有量が60モル%を超えると、多層構造体を成形した際のガスバリア性が低下するおそれがある。
EVOHのケン化度(すなわち、EVOH中のビニルアルコール単位およびビニルエステル単位の総数に対するビニルアルコール単位の数の割合)の下限としては、90モル%であることが重要であり、95モル%がより好ましく、99モル%が特に好ましい。一方、EVOHのケン化度の上限としては100モル%が好ましく、99.99モル%がさらに好ましい。EVOHのケン化度が上記下限より小さいと、多層構造体を成形した際のガスバリア性が低下するおそれや耐着色性が不満足なものとなるおそれがある。
EVOHがエチレン含有量の異なる2種類以上のEVOHの混合物からなる場合には、混合質量比から算出される平均値をエチレン含有量とする。この場合、エチレン含有量が最も離れたEVOH同士のエチレン含有量の差が30モル%以下であり、かつケン化度の差が10モル%以下であることが好ましい。これらの条件から外れる場合には、多層構造体を成形した際のガスバリア性が低下するおそれがある。エチレン含有量の差はより好適には20モル%以下であり、さらに好適には15モル%以下である。また、ケン化度の差はより好適には7%以下であり、さらに好適には5%以下である。
本発明に用いられるEVOH樹脂(A)のメルトフローレート(MFR)(190℃、2160g荷重下)は、0.1〜50g/10分の範囲であることが好ましく、0.5〜30g/10分の範囲であることがより好ましい。但し、融点が190℃付近あるいは190℃を超えるものは2160g荷重下、融点以上の複数の温度で測定し、片対数グラフで絶対温度の逆数を横軸、MFRの対数を縦軸にプロットし、190℃に外挿した値で表す。
本発明に用いられるEVOH樹脂(A)は、熱安定性や粘度調整の観点で種々の酸や金属塩等の添加物を含有していることが好ましい。該添加物としては、アルカリ金属塩、カルボン酸および/またはその塩、リン酸化合物およびホウ素化合物などが挙げられる。
(ポリアミド系樹脂(B))
本発明においては、ポリアミド系樹脂(B)を用いることにより、従来より知られている成形性、耐衝撃性、耐水性が付与されるだけでなく、得られる樹脂組成物からなる層(X)と熱可塑性樹脂層(Y)との接着性が向上するという特異的な効果を奏している。このように接着性が向上する理由は必ずしも明らかではないが、後述する遷移金属塩(D)が、ポリアミド系樹脂(B)および熱可塑性樹脂層(Y)を構成する樹脂との間の化学的な相互作用によるものと推測される。
本発明に用いられるポリアミド系樹脂(B)としては、ナイロン6(ポリカプロラクタム)、ナイロン7(ポリ−7−アミノヘプタン酸)、ナイロン9(ポリ−9−アミノノナン酸)、ポリ−11−アミノウンデカン酸)、ナイロン12(ポリラウリルラクタム)、ナイロン2,6(ポリエチレンジアミンアジバミド)、ナイロン4,6(ポリテトラメチレンアジバミド)、ナイロン6,6(ポリヘキサメチレンアジバミド)、ナイロン6,10(ポリヘキサメチレンセバカミド)、ナイロン6,12(ポリヘキサメチレンドデカミド)、ナイロン8,6(ポリオクタメチレンアジバミド)、ナイロン10,8(ポリデカメチレンアジバミド)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド、またはこれらの共重合体などが挙げられる。また、これらのポリアミド系樹脂(B)をメチルベンジルアミン、メタキシリレンジアミンのような芳香族アミンにより変性したものを用いてもよい。
このようなポリアミド系樹脂(B)は一種のみで用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。そして、この中でも、ポリアミド系樹脂(B)としては、得られる樹脂組成物および多層構造体の透明性向上の観点から、ナイロン6(ポリカプロラクタム)およびナイロン12(ポリラウリルラクタム)が好ましく、ポリカプロラクタム(ナイロン6)がより好ましい。
(EVOH樹脂(A)およびポリアミド系樹脂(B)の質量比)
本発明に用いられる層(X)を構成する樹脂組成物における、EVOH樹脂(A)およびポリアミド系樹脂(B)の質量比(A)/(B)は50/50〜95/5であることが重要であり、65/35〜85/15であることが好ましく、70/30〜80/20であることがより好ましい。上記範囲とすることで、ゲル化を抑制しつつ優れた層間接着性を達成することができる。ポリアミド系樹脂(B)の質量比が5未満の場合は、ポリアミド系樹脂(B)による改質効果が不充分となるおそれがあり、一方、50を超えるとゲル化が進行し、長時間にわたる成形が困難となる上、透明性が低下したり、EVOH樹脂(A)によるガスバリア性が充分に発揮されないおそれがある。
(周期律表第II族の金属塩(C))
本発明においては、周期律表第II族の金属塩(C)を用いることにより、EVOH樹脂(A)とポリアミド系樹脂(B)から主としてなる樹脂組成物のゲル化を抑制できるため、長時間にわたる成形が可能となる。
本発明に用いられる周期律表第II族の金属としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛(Zn)、バリウムが挙げられ、この中でも樹脂組成物のゲル化抑制の観点から、マグネシウム、カルシウム、亜鉛が好ましく、マグネシウムがより好ましい。金属塩(C)としては、前記金属の脂肪酸塩が代表例として挙げられる。脂肪酸塩を構成する脂肪酸としては、炭素数2〜22の脂肪酸、例えば炭素2〜9の低級脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸等)や、炭素数10〜22の高級脂肪酸(ラウリン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸等)が挙げられ、これらの中でも、より一層ゲル化を抑制する観点で、炭素数10〜22の高級脂肪酸が好適である。これらの金属塩(C)の添加方法としては特に限定されないが、例えば、金属塩(C)をEVOH樹脂(A)あるいはポリアミド系樹脂(B)にあらかじめ〔例えば重合時(重合時のケン化、水洗等の一連の工程も含まれる)など〕添加しておき、EVOH樹脂(A)とポリアミド系樹脂(B)を単軸あるいは二軸スクリュー押出機(同方向あるいは異方向)等による溶融押出後、冷却下にペレット化する方法や、EVOH樹脂(A)とポリアミド系樹脂(B)を溶融混練する際、上記金属塩(C)を粉末あるいは液体の状態で添加する方法が挙げられる。さらに上記金属塩(C)を高濃度で添加したマスターバッチブレンドなどを成形時に添加する方法も採用できる。
周期律表第II族の金属塩(C)の含有量はEVOH樹脂(A)とポリアミド系樹脂(B)の合計量100質量部に対して、0.005〜0.05質量部であることが重要であり、0.0055〜0.03質量部であることが好ましく、0.006〜0.02質量部であることがより好ましく、0.06〜150重量部であることが特に好ましい。金属塩(C)の含有量をこの範囲とすることで、特にEVOH樹脂(A)とポリアミド系樹脂(B)から主としてなる樹脂組成物のゲル化を抑制でき、長時間にわたる成形が可能となる。金属塩(C)の含有量が0.005質量部未満では、成形時のゲル化を抑制できず製膜性が低下するおそれがあり、0.05質量部を超える場合は、得られる樹脂組成物及びさらには多層構造体の透明性が低下するのに加えて、力学物性およびガスバリア性も低下するおそれがあるため好ましくない。
(遷移金属塩(D))
本発明においては、遷移金属塩(D)を用いることにより、EVOH樹脂(A)とポリアミド系樹脂(B)を含有する樹脂組成物からなる層(X)と熱可塑性樹脂層(Y)との間の層間接着性が向上する。このように接着性が向上する理由は必ずしも明らかでないが、金属塩(D)が触媒的に作用し、ポリアミド系樹脂(B)と熱可塑性樹脂層(Y)を構成する樹脂との化学的な相互作用の形成を促進させているものと推測される。
本発明に用いられる遷移金属塩(D)の金属としては、鉄、ニッケル、銅、マンガン、およびコバルトが挙げられ、この中でも層間接着性向上の観点から、コバルト、マンガンが好ましく、コバルトがより好ましい。遷移金属塩(D)としては、上記金属の脂肪酸塩が代表例としてあげられ、周期律表第II族の金属塩(C)と同様の脂肪酸が好適に使用される。この中でも、特に炭素数10〜22の高級脂肪酸塩が好適である。これらの遷移金属塩(D)の添加方法としては特に限定されず、周期律表第II族に属する金属塩(C)と同様の添加方法が挙げられる。
遷移金属塩(D)の含有量はEVOH樹脂(A)とポリアミド系樹脂(B)の合計量100質量部に対して、0.01〜0.1質量部であることが重要であり、0.012〜0.09質量部であることが好ましく、0.0014〜0.095質量部であることがより好ましく、0.016〜0.08質量部であることが特に好ましい。遷移金属塩(D)の含有量が0.01質量部未満であると、層(X)と層(Y)間の層間接着力が不充分となるおそれがあり、0.1質量部を超えると、力学物性、透明性、気体遮断性の低下が著しいばかりか、ゲルが発生しやすくなるおそれがある。
(熱可塑性樹脂(E))
さらに、層(X)のガスバリア性をより一層させるために、層(X)に、EVOH樹脂(A)およびポリアミド系樹脂(B)以外の炭素−炭素二重結合を有する熱可塑性樹脂(E)をさらに適量配合することも好ましい態様の一つである。分子内に炭素−炭素二重結合を有する熱可塑性樹脂(E)としては、例えば、ポリジエン(ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ポリ(2−エチルブタジエン)、ポリ(2−ブチルブタジエン)など);シクロオレフィンの開環メタセシス重合体(ポリオクテニレン、ポリペンテニレン、ポリノルボルネンなど)などが挙げられる。これらの中でも、ポリジエンの1,4位重合体およびポリオクテニレンが好ましく、1,4−ポリブタジエンおよびポリオクテニレンがより好ましい。
上記熱可塑性樹脂(E)の含有量は特に限定されないが、EVOH樹脂(A)およびポリアミド系樹脂(B)100質量部に対して、0.1〜30質量部であることが好ましく、1〜10質量部であることがより好ましい。熱可塑性樹脂(E)の含有量が0.01質量部未満であると、熱可塑性樹脂(E)による優れた効果が奏されないおそれがあり、一方、30質量部を超えると、ゲル化が顕著となり、多層構造体の外観が損なわれ、長時間の運転も困難となるおそれがある。また、30質量部を超えた場合、EVOH樹脂(A)のバリア性が発揮されないおそれもある。
(添加物)
本発明に用いられる層(X)には、本発明の効果を損なわない範囲で、可塑剤、安定剤、界面活性剤、色剤、紫外線吸収剤、スリップ剤、帯電防止剤、乾燥剤、架橋剤、アルカリ金属以外の金属塩、充填剤、各種繊維等の補強剤等を適量添加することも可能である。また、本発明の効果を損なわない範囲で、EVOH樹脂(A)、ポリアミド系樹脂(B)および熱可塑性樹脂(E)以外の樹脂を添加することも可能である。
[熱可塑性樹脂層(Y)]
本発明の多層構造体に用いられる熱可塑性樹脂(Y)に使用される樹脂は、層(X)との層間接着性が良好であれば特に限定されないが、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ビニルエステル系樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、ポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン共重合体(炭素数4〜20のα−オレフィン)、ポリブテン、ポリペンテン等のオレフィンの単独またはその共重合体、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリエステルエラストマー、ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、ポリウレタンエラストマー、ポリカーボネート、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等が挙げられる。これらの中でも、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド、ポリスチレン、ポリエステルが好ましく用いられ、透明性および層間接着性の観点から、ポリエステルが好ましい。
上記熱可塑性樹脂(Y)に用いられる樹脂であるポリエステルとしては、芳香族ジカルボン酸又はそれらのアルキルエステルと、ジオールとを主成分とする縮合重合体が用いられる。特に本発明の目的を達成するには、エチレンテレフタレート成分を主とするポリエチレンテレフタレートが好ましい。具体的には、テレフタル酸単位とエチレングリコール単位との合計割合(モル%)が、ポリエステルを構成する全構造単位の合計モル数に対して、70モル%以上であることが好ましく、90モル%以上がより好ましい。テレフタル酸単位とエチレングリコール単位の合計割合が70モル%未満であると、得られるポリエステルが非晶性となり、機械的強度が不足する上に、延伸して容器とした後に内容物を加熱充填(ホットフィル)すると、熱収縮が大きく使用に耐えないおそれがある。また、樹脂内に含有されるオリゴマーを低減するために固相重合を行うと、樹脂の軟化による膠着が生じやすく、生産が困難になるおそれがある。
[多層構造体]
本発明の多層構造体は、EVOH樹脂(A)、ポリアミド系樹脂(B)、周期律表第II族の金属塩(C)および遷移金属塩(D)を含有する樹脂組成物からなる層(X)、並びに熱可塑性樹脂層(Y)を少なくとも一層ずつ備える多層構造体である。その層構成は特に限定されないが、層(X)をX、接着性樹脂層をAd、熱可塑性樹脂層(Y)をYで表わす場合、X/Y、Y/X/Y、X/Ad/Y、Y/Ad/X/Ad/Yなどの層構成が挙げられる。なお、これらの各層は、単層であってもよいし、多層であってもよい。
上記の層構成のなかでも、熱可塑性樹脂層(Y)との層間接着性に優れるという層(X)の性能を活かして、接着性樹脂層を使用しないことが、経済性や作製の容易さの観点からも好ましい。具体的な層構成としては、層(X)が熱可塑樹脂層(Y)に直接積層してなるX/Y、Y/X/Yなどの構成が好ましく、高湿度下でのガスバリア性を維持するためには、層(X)の両側に熱可塑樹脂層(Y)を配置したY/X/Yの層構成とすることが特に好ましい。
それぞれの層の厚みは特に限定されないが、層(X)は10〜100μmが好ましく、20〜80μmであることがより好ましく、30〜60μmであることがさらに好ましい。そして層(Y)は50〜500μmであることが好ましく、100〜300μmであることがより好ましい。さらに接着性樹脂層(Ad)は1〜50μmであることが好ましく、1〜20μmであることがより好ましい。
上記接着性樹脂としては、本発明の多層構造体を構成する層(X)および熱可塑性樹脂層(Y)の両方と接着する限り特に限定されないが、例えば、ポリオレフィンを無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸またはその誘導体をグラフト重合した変性ポリオレフィンなどが挙げられる。
本発明の多層構造体を製造する方法としては、特に限定されないが、例えばフィルム状やシート状の層(X)に熱可塑性樹脂層(Y)を溶融押出する方法、層(X)と熱可塑性樹脂層(Y)とを共押出する方法、層(X)と熱可塑性樹脂層(Y)とを共射出する方法、層(X)と熱可塑性樹脂層(Y)とを上述の接着性樹脂を介してラミネートする方法などが採用される。これらの方法の中でも、層(X)と熱可塑性樹脂層(Y)とを共押出する方法が好ましく採用される。
上記共押出の方法としては特に限定されないが、マルチマニホールド合流方式Tダイ法、フィードプロック合流方式Tダイ法、インフレーション法等を挙げることができる。
上記共射出の方法としては特に限定されないが、例えば、多層構造体の各層を構成する樹脂および/または樹脂組成物を2台またはそれ以上の射出シリンダーより同心円状のノズル内に導き、同時にまたはタイミングをずらして交互に単一の金型内に射出し、1回の型締め操作を行うことにより成形が行われる。例えば(1)先に内外層用の熱可塑性樹脂層(Y)の樹脂を射出し、次いで、中間層となる樹脂組成物を射出して、熱可塑性樹脂層(Y)/樹脂組成物層(X)/熱可塑性樹脂層(Y)の3層構成の成形容器を得る方法、(2)先に内外層用の熱可塑性樹脂層(Y)を射出し、次いで樹脂組成物を射出して、それと同時にまたはその後に熱可塑性樹脂層(Y)を再度射出し、熱可塑性樹脂層(Y)/樹脂組成物層(X)/熱可塑性樹脂層(Y)/樹脂組成物層(X)/熱可塑性樹脂層(Y)の5層構成の多層構造体であるパリソンを製造する方法が採用される。なお、上記層構成において、樹脂組成物からなる層(X)と熱可塑性樹脂層(X)との間に、必要に応じて接着性樹脂層を配置してもよい。
このようにして得られた多層構造体を二次加工することにより、各種成形体(フィルム、シート、チューブ、ボトル等)を得ることができる。この各種成形体としては例えば、以下のようなものが挙げられる。
(1)多層構造体(シートまたはフィルム等)を一軸または二軸方向に延伸、熱処理することにより得られる多層共延伸シートまたはフィルム、
(2)多層構造体(シートまたはフィルム等)を圧延することにより得られる多層圧延シートまたはフィルム、
(3)多層構造体(シートまたはフィルム等)を真空成形、圧空成形、真空圧空成形など熱成形加工することにより得られる多層トレーカップ状容器、
(4)多層構造体(パイプ等)からの延伸ブロー成形等により得られるボトル、カップ状容器等。
なお、二次加工法は、上記成形体を得る際に例示した各方法に制限されることなく、上記以外の公知の二次加工法を適宜用いることができる。これらの中でも、延伸ブロー成形により得られる容器が好ましく、特に、共射出延伸ブロー成形容器が好ましい。
これらの中でも、本発明の多層構造体は、透明性等の外観に優れたEVOH樹脂(A)を含む樹脂組成物からなる層を有しているため、深絞り容器、カップ状容器、ボトル等の食品容器等として好適に用いることができる。外観に優れる本発明の多層構造体の特徴を活かすには、内容物の識別が求められるボトル形状の容器に特に好適に用いられる。
以下実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本実施例における各定量は、以下の方法で行ったものである。
EVOHのエチレン含有量およびケン化度
DMSO−dを溶媒としたH−NMR測定(日本電子株式会社製「Lambda500」を使用)によりそれぞれ求めた。
EVOH樹脂(A)のメルトフローレート(MFR)
メルトインデクサ(宝工業株式会社製「L244」)を用い、温度190℃、荷重2160gまたは温度210℃、荷重2160gの条件下で、試料の流出速度(g/10分)を測定し求めた。
(実施例1)
エチレン含有量32モル%、ケン化度99.8%、およびMFR(190℃、2160g)が4.5g/10分のEVOH樹脂からなるペレット80質量部、およびナイロン6(Ny−6、融点220℃)のペレット20質量部をドライブレンドして得られた、混合ペレット100質量部に対して、ステアリン酸マグネシウムを金属換算で90ppm、ステアリン酸コバルトを金属換算で400ppm添加し、二軸押出機(株式会社東洋精機製作所製「D2020」、D(mm)=20、ダイ温度:220℃)を用いて、窒素雰囲気下で溶融押出を行い、樹脂組成物のペレットを得た。
この樹脂組成物ペレットおよびポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」と略記することがある。)を、2種3層の共押出装置を用いて、PET層/樹脂組成物層/PET層=150μm/50μm/150μmの多層構造体を作製した。なお、共押出の条件は、樹脂組成物ペレットの溶融温度220℃、PETの溶融温度270℃、ダイ温度270℃とした。本試験に用いた押出機およびTダイは以下の通りである。
(押出機およびTダイ)
樹脂組成物層用: 20φ押出機 ラボ機ME型CO−EXT(東洋精機製)
PET層用 : 32φ押出機 GF−32−A(プラスチック工学研究所製)
Tダイ : 300mm幅コートハンガーダイ(プラスチック工学研究所製)
また、PETと前記樹脂組成物のペレットを用いて、共射出成形機(KORTEC/HUSKY製「SL160型4個取り」)により共射出成形を行い、PET層/樹脂組成物層/PET層の2種3層の有底パリソンを成形した。このとき、PET層側の射出機温度は270℃、樹脂組成物層側の射出機温度は220℃、PETと樹脂組成物とが合流するホットランナーブロック部は270℃、射出金型コア温度は10℃、射出金型キャビティー温度は10℃とした。また、容器におけるPET層と樹脂組成物層の厚み比がPET層/樹脂組成物層=95/5となるように射出速度および射出量を調節した。得られたパリソンを目視で観察したところ、着色はなく、ストリークは認められず、良好な状態であった。続いて、CRUPP CORPOPLAST MASCHINENBAU製延伸ブロー成形機(CRUPP CORPOPLAST MASCHINENBAU製「LB01型530mL1個取り」)を使用して、有底パリソンの表面温度を105℃に加熱し、延伸ブロー成形を行い、2種3層の共射出延伸ブロー成形容器を得た。
[樹脂組成物、多層構造体および延伸ブロー成形容器の評価]
上記実施例1で得られたEVOH樹脂およびナイロン6を含有する樹脂組成物、多層構造体および延伸ブロー成形容器について、それぞれ以下(1)〜(4)の評価を行った。評価結果を表1に示す。
(1)製膜性
上記実施例1における、EVOH樹脂およびポリアミド系樹脂を含有する樹脂組成物について、二軸押出機を用いて溶融押出を行った際の製膜性について以下のように判定した。
判定:基準
A :良好
B :少しゲル化
C :ゲル化
(2)透明性
上記実施例1により作製された多層構造体(PET層/樹脂組成物層/PET層)の透明性を肉眼で以下のように判定した。
判定:基準
A :透明
B :少し不透明
C :不透明
(3)剥離強度
上記実施例1により作製された多層構造体について、PET層とEVOH樹脂とポリアミド系樹脂を含有する樹脂組成物からなる層との層間接着性の指標として、下記条件で剥離強度を測定した。
23℃、50%RHの雰囲気下で7日間調湿したのち、15mm×200mmの短冊状の試験片を切出したサンプルについて、島津製作所製オートグラフAGS−H型にて、チャック間隔200mm、引張速度250mm/分の条件で引張破断点強度(gf/15mm)の測定を行った。測定は10サンプルについて行い、その平均値を剥離強度とした。
(4)デラミ発生率
上記実施例1により作製された延伸ブロー成形容器について、層間接着性の指標として、下記条件でデラミ発生率(%)を算出した。
延伸ブロー成形容器に水を充填し、常圧下で密栓した後、168cmの高さから、90°の角度を持った長さ5.1cm三角形の台の上に、台の角部が容器胴部の中央に当たるように、容器胴部を水平にして一回のみ自然落下させた。32本の容器について試験を行い、デラミを生じた容器の本数(Nd)から、下記式(I)によりデラミ発生率(%)を算出した。
Figure 2012210763
(実施例2)
EVOHのエチレン含有量を表1に示すとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物、多層構造体および延伸ブロー成形容器を作製した。そして、実施例1と同様の方法により評価を行った。評価結果を表1に示す。
(実施例3〜4)
EVOH樹脂とポリアミド系樹脂(Ny−6)の配合量を表1に示すとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物、多層構造体および延伸ブロー成形容器を作製した。そして、実施例1と同様の方法により評価を行った。評価結果を表1に示す。
(実施例5)
ポリアミド系樹脂としてナイロン6に代えて、ナイロン12(Ny−12、ラウリルラクタムの重縮合物、融点180℃)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物、多層構造体および延伸ブロー成形容器を作製した。そして、実施例1と同様の方法により評価を行った。評価結果を表1に示す。
(実施例6〜8)
ステアリン酸コバルトの配合量を表1に示すとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物、多層構造体および延伸ブロー成形容器を作製した。そして、実施例1と同様の方法により評価を行った。評価結果を表1に示す。
(実施例9)
ステアリン酸マグネシウムの配合量を表1に示すとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物、多層構造体および延伸ブロー成形容器を作製した。そして、実施例1と同様の方法により評価を行った。評価結果を表1に示す。
(比較例1〜2)
EVOH系樹脂とポリアミド系樹脂(Ny−6)の配合量を表1に示すとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物、多層構造体および延伸ブロー成形容器を作製した。そして、実施例1と同様の方法により評価を行った。評価結果を表1に示す。
(比較例3〜5)
ステアリン酸コバルトの配合量を表1に示すとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物、多層構造体および延伸ブロー成形容器を作製した。そして、実施例1と同様の方法により評価を行った。評価結果を表1に示す。
(比較例6〜9)
ステアリン酸マグネシウムの配合量を表1に示す通りに変更したこと以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物、多層構造体および延伸ブロー成形容器を作製した。そして、実施例1と同様の方法により評価を行った。評価結果を表1に示す。
Figure 2012210763
表1に示す通り、本発明の要件を満たす実施例1〜9は、樹脂組成物の製膜性をはじめ、多層構造体の層間接着性、透明性および耐デラミ性のいずれにも優れていることがわかる。
一方、ポリアミド系樹脂を含有していない比較例1では、剥離強度が低く層間接着性に劣っており、延伸ブロー成形容器のデラミ確率も高いことがわかる。そして、ポリアミド系樹脂の配合量が多い比較例2では、樹脂組成物の製膜性が良好でなく、多層構造体の透明性も劣っていることがわかる。また、ステアリン酸コバルトを含有していない、または配合量が少ない比較例3〜4では、剥離強度が低く層間接着性に劣っており、逆に配合量が多い比較例5では、樹脂組成物のゲル化が激しく、得られた多層構造体の透明性も劣っていることがわかる。さらに、ステアリン酸マグネシウムを含有していない、または配合量が少ない比較例6〜8では、樹脂組成物のゲル化が激しく、得られた多層構造体の透明性も劣っており、逆に配合量が多い比較例9は、多層構造体の透明性が劣っていることがわかる。
本発明によれば、透明性、製膜性および他の熱可塑性樹脂層との接着性に優れた樹脂組成物を得ることができる。また、このような樹脂組成物からなる層を用いることで、層間接着性および透明性に優れ、さらにデラミネーションの発生が抑制された多層構造体および容器を得ることができる。

Claims (9)

  1. 層(X)および熱可塑性樹脂層(Y)を有する多層構造体であって、
    前記層(X)が、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂(A)、ポリアミド系樹脂(B)、周期律表第II族の金属塩(C)および遷移金属塩(D)を含有する樹脂組成物からなり、
    前記樹脂(A)と樹脂(B)の質量比(A)/(B)が50/50〜95/5であり、
    前記樹脂(A)および樹脂(B)の合計量100質量部に対して、金属塩(C)を金属換算で0.005〜0.05質量部および遷移金属塩(D)を金属換算で0.01〜0.1質量部含有し、
    前記樹脂(A)のエチレン含有量が20〜65モル%、ケン化度が90モル%以上である多層構造体。
  2. 前記層(X)が、前記熱可塑性樹脂層(Y)に直接積層されてなる請求項1に記載の多層構造体。
  3. 前記熱可塑性樹脂層(Y)がポリエステル系樹脂層である、請求項1または2に記載の多層構造体。
  4. 前記層(X)の両側に前記熱可塑性樹脂層(Y)が積層されてなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の多層構造体。
  5. 前記遷移金属塩(D)が、鉄塩、ニッケル塩、銅塩、マンガン塩およびコバルト塩からなる群から選択される少なくとも1種の金属塩である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の多層構造体。
  6. 前記ポリアミド系樹脂がナイロン6である請求項1〜5のいずれか1項に記載の多層構造体。
  7. 前記層(X)が、さらに炭素−炭素二重結合を有する熱可塑性樹脂(E)を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の多層構造体。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の多層構造体からなる容器。
  9. ボトル形状である請求項8に記載の容器。
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