JP2012208130A - 原子炉炉心 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料集合体内の冷却材流量の増加時での燃料集合体の出力の増加を低減し、熱的余裕を向上できる原子炉炉心を提供する。
【解決手段】炉心5Aは、最外層領域9よりも内側に複数の燃料集合体10及び11を配置する。燃料集合体10は、燃料支持金具内に形成され、入口に第1オリフィスを設けた第1冷却水通路に連絡される。燃料集合体11は、燃料支持金具内に形成され、入口に第2オリフィスを設けた第2冷却水通路に連絡される。第1オリフィスの圧力損失は第2オリフィスのそれよりも小さい。複数の燃料集合体10の4つの側面に隣接する燃料集合体10の体数が1以下であり、残りのその側面に燃料集合体11が隣接して配置される。燃料集合体10は、冷却水流量が増加するが、出力の低い燃料集合体11が3体以上隣接しているので、出力の上昇割合が抑制される。
【選択図】図1

Description

本発明は、原子炉炉心に係り、特に、冷却水流量調節装置を有する沸騰水型原子炉に適用するのに好適な原子炉炉心に関する。
沸騰水型原子炉(BWR)に用いられる燃料集合体は、核分裂性物質を含む複数の燃料ペレットを被覆管内に充填した複数の燃料棒を正方格子状に束ね、このバンドルを外幅が約14cmで横断面が正方形のチャネルボックスで取り囲むことによって構成されている。炉心は、BWRの原子炉圧力容器内に配置され、内部に複数の燃料集合体を装荷している。燃料ペレットを構成する核燃料物質として、濃縮ウランまたはプルトニウムを富化したウランが酸化物の化学形態で使用される。燃料棒は、核燃料物質の核分裂により加熱されるので、炉心に供給される軽水である冷却水(冷却材)によって冷却される。冷却水はポンプにより循環される。
熱的余裕は、最小限界出力比(MCPR)によって表され、燃料棒の被覆管表面において冷却水が膜沸騰状態に遷移し除熱効率が著しく低下し始める燃料棒出力、すなわち限界出力を実際の出力で割った値で定義される。この熱的余裕は、設計基準で決められた値を原子炉の運転中及び過渡時において下回らない様にする必要がある。熱的余裕は、炉心出力密度を増大することによって減少する。
原子炉の定格出力運転時では、燃料集合体の熱出力は、中性子の漏洩が多い炉心の最外層で最も低くなる。このため、従来技術では、炉心の最外層領域に配置される冷却水入口オリフィスの口径を、最外層領域よりも内側の領域でのその口径よりも小さくし、冷却水の流入抵抗を大きくしている。炉心において最外層領域以外の領域、すなわち、燃料集合体の出力が比較的高くなる内側領域において冷却水の流量が増大し、定格出力運転時での炉心の熱的余裕が確保される。
冷却水入口オリフィスの口径の調整は、特開平7−181280号公報にも記載されている。この従来技術は、最外層領域を除いて炉心を内側及び外側の2領域に分割し、炉心の半径方向においてその半径に対して70%よりも外側の領域の冷却材入口オリフィスの口径を、その領域よりも内側の領域(中央領域)よりも小さくしている。これにより、相対的に出力の高い炉心半径に対して70%よりも内側の領域での冷却水流量が増加し、炉心における熱的余裕が向上する。特開平7−181280号公報に記載された実施例においては、炉心滞在期間に応じて炉心内の燃料集合体を2つのグループに分割し、2種類の冷却材入口オリフィスを用い、より効率的に熱的余裕を向上させている。しかし、この従来技術では、定格運転時の熱的余裕を最大にするという観点において、後述する冷却水流量の増加に伴う燃料集合体の出力の上昇について何ら考慮されておらず、炉心領域の分割及び冷却水入口オリフィス口径の設定について必ずしも最適化されていなかった。
特開平7−181280号公報
低コストで炉心の出力密度を向上させるため、炉心システムを最小の変更により熱的余裕を向上させることが必要となる。また、燃料経済性を向上させるために原子炉の長期サイクル運転が必要であり、必然的に、運転サイクル終了後において炉心内に装荷された燃料集合体の取り替え体数が多くなる。おおむね炉心内の全燃料集合体数の25%以上を取り替える必要があり、燃料交換のバッチ数は4以下となる。これは炉心内で炉心滞在1サイクル目の新燃料集合体の割合を増加させることになる。したがって、炉心において出力の高い燃料集合体が相対的に増加し、炉心の熱的余裕が厳しくなる。そこで、炉心滞在1サイクル目の燃料集合体の出力を低減し、炉心半径方向の出力ピークを平坦化することで熱的余裕を確保することが必要である。
発電コストの低減には炉心システムの変更を最小にすることにより熱的余裕を向上させ、出力密度を向上させることが有効となる。一方、原子力プラントの稼働率向上のためには長期サイクル運転が有効である。いずれの場合も燃料集合体の取り替え体数が多くなり、濃縮度5wt%以下の制限の下では、おおむね炉心内の全燃料集合体数の25%以上(4バッチ以下)の取り替えが必要となる。これは、上記したように、炉心内で出力の高い燃料集合体の割合が相対的に増加し、熱的余裕が厳しい燃料集合体の割合が増加することになる。上記したように、炉心滞在1サイクル目の燃料集合体の出力を低減し、炉心半径方向の出力ピークを平坦化することで熱的余裕を確保することが必要である。
熱的余裕を向上させる方法として、燃料集合体あたりの冷却水(冷却材)の流量を調節する手段に着目し、燃料集合体ごとに相対的な冷却水の流量分布を付けることが考えられる。具体的には、熱的余裕を向上させたい燃料集合体に対して燃料集合体下部が挿入される燃料支持金具の冷却水入口のオリフィスの抵抗値を小さくすることによって、炉心滞在1サイクル目の燃料集合体内の冷却水流量を増加させ、熱的余裕を向上させることができる。
しかしながら、燃料集合体に供給される冷却水流量が増加すると燃料集合体のボイド率が低下し中性子が減速しやすくなる。沸騰水型原子炉において中性子が減速しやすくなると核分裂が促進されるため、その燃料集合体の出力は増大する。このため、燃料集合体に供給される冷却水流量が増加すると、同時に燃料集合体の相対的な出力が上昇するため、熱的余裕の向上において十分な効果が得られなかった。
本発明の目的は、燃料集合体内の冷却材流量の増加による燃料集合体の出力の増加を抑制し、熱的余裕を向上できる原子炉炉心を提供することにある。
上記した目的を達成する本発明の特徴は、炉心領域内で炉心領域の中心から最も遠くに位置する燃料集合体の軸心までの距離をLとしたとき、最外層領域を含まない炉心領域が、炉心中心を基点にした炉心領域の半径方向におけるL/√2の位置よりも内側に軸心が配置される燃料集合体が存在する内側領域、及び内側領域よりも外側に存在する外側領域を含んでおり、
複数の第1燃料集合体のそれぞれの4つの側面に隣り合う4体の燃料集合体に占める第1燃料集合体の体数をαとしたとき、体数αを内側領域の平均で1以下にすることにある。
体数αを内側領域の平均で1以下にすることによって、炉心の熱的余裕をさらに増加させることができる。
本発明によれば、燃料集合体内の冷却材流量の増加による燃料集合体の出力の増加を抑制し、熱的余裕を向上させることができる。
本発明の好適な一実施例である、BWRに適用した実施例1の原子炉炉心の1/4横断面図である。 図1に示す原子炉炉心が適用されるBWRプラントの構成図である。 図1に示す原子炉炉心の一部の拡大図である。 原子炉炉心における内側炉心領域、外側炉心領域及び最外層領域を示す説明図である。 燃料支持金具に形成される低圧損の冷却水通路に連絡される燃料集合体の側面に隣り合って配置される、別の低圧損の冷却水通路に連絡される他の燃料集合体の体数と、その燃料集合体一体あたりの出力の増加割合を示した特性図である。 図5に示す別の低圧損の冷却水通路に連絡される他の燃料集合体の平均体数が0になる原子炉炉心における燃料集合体の配置を示す構成図である。 図5に示す別の低圧損の冷却水通路に連絡される他の燃料集合体の平均体数が1になる原子炉炉心における燃料集合体の配置を示す構成図である。 図5に示す別の低圧損の冷却水通路に連絡される他の燃料集合体の平均体数が2になる原子炉炉心における燃料集合体の配置を示す構成図である。 図5に示す別の低圧損の冷却水通路に連絡される他の燃料集合体の平均体数が3になる原子炉炉心における燃料集合体の配置を示す構成図である。 図5に示す別の低圧損の冷却水通路に連絡される他の燃料集合体の平均体数が4になる原子炉炉心における燃料集合体の配置を示す構成図である。 本発明の他の実施例である、BWRに適用した実施例1の原子炉炉心の1/4横断面図である。 本発明の他の実施例である、ABWRに適用した実施例1の原子炉炉心の1/4横断面図である。 本発明の他の実施例である、ABWRに適用した実施例1の原子炉炉心の1/4横断面図である。 本発明の他の実施例である、BWRに適用した実施例1の原子炉炉心の1/4横断面図である。
発明者らは、燃料集合体内の冷却材流量の増加時に燃料集合体の出力の増加を抑制する方法を検討した。この検討に当たって、発明者らは、ある燃料集合体の出力の上昇がその周囲に位置する燃料集合体の出力に影響されることに着目した。炉心の最外層領域では、中性子の漏れの効果により炉心の中央部に対して出力が低くなるため、熱的余裕を向上させる必要がない。このため、炉心において、炉心最外層領域よりも内側の領域に存在する燃料集合体に対し、冷却材流量の増加時での出力増加の抑制策の適用を試みた。
図4に示すように、炉心5の最外層領域9に装荷された燃料集合体を除き、炉心中心を基点にして最も遠い位置に装荷されている燃料集合体の中心と、炉心中心の間の距離をLとする。図4に示す炉心5は炉心全体の1/4を示している。最外層領域9は、炉心5の最も外側に装荷された一層の燃料集合体で形成される。炉心5は、燃料集合体の中心軸の位置が炉心中心を基点にしてL/√2よりも内側に位置する燃料集合体が装荷されている内側炉心領域7、及び内側炉心領域7と最外層領域9の間に位置する外側炉心領域8を有している。√2はルート2を意味する。発明者らは、そのような炉心5において、運転サイクル初期及び運転サイクル末期で熱的余裕が厳しい燃料集合体が内側炉心領域7及び外側炉心領域8にそれぞれ存在する場合についても検討した。
一つの燃料集合体の出力がこの燃料集合体の周囲に位置する燃料集合体の出力の影響を受けることに着目して、発明者らは、内側炉心領域7及び外側炉心領域8にそれぞれ装荷される複数の燃料集合体を、図6に示すように、第1グループの複数の燃料集合体10及び第2グループの複数の燃料集合体11にした。これらの燃料集合体は、炉心5の下端部に設置される燃料支持金具(燃料支持部材)に保持される。1つの燃料支持金具は、通常、4体の燃料集合体の下端部を保持し、それぞれの燃料集合体に冷却水を供給する4つの冷却水流路を形成している。燃料支持金具は、4つの冷却水通路の入口にそれぞれオリフィス(開口部を有する抵抗体)を設置している。燃料集合体10に連絡される冷却水通路(第1冷却水通路という)の入口に設けられた第1オリフィスの口径は、燃料集合体11に連絡される冷却水通路(第2冷却水通路という)の入口に設けられた第2オリフィスのそれよりも大きくなっている。すなわち、オリフィス係数は、第1オリフィスが第2オリフィスよりも小さくなっている。最外層領域9に配置された燃料集合体12を保持する燃料支持金具において、この燃料集合体12に連絡される冷却水通路(第3冷却水通路という)の入口に設けられた第3オリフィスのオリフィス係数は、第2オリフィスのそれよりも大きくなっている。
例えば、燃料集合体10は炉心滞在1サイクル目、燃料集合体11は炉心滞在2サイクル目、及び燃料集合体12は炉心滞在3サイクル目の各燃料集合体である。燃料集合体10の四面に燃料集合体11が隣接している。第1オリフィスは第2オリフィスよりもオリフィス係数が小さいので、燃料集合体11よりも燃料集合体10により多くの冷却水が供給され、燃料集合体10の出力が上昇しようとする。しかしながら、出力が高くなる燃料集合体10の周囲に出力が低くなる燃料集合体11を配置しているので、燃料集合体10の出力上昇を抑制することが可能になる。
発明者らは、ある燃料集合体10に隣接する他の燃料集合体10の体数を変えた場合における前者の燃料集合体10の出力増加割合の変化について、検討を行い、図5に示す新たな知見を得ることができた。ある燃料集合体10に隣接する他の燃料集合体10の体数は、炉心5の平均値である。隣接する他の燃料集合体10の体数が0であるときの内側炉心領域7及び外側炉心領域8における燃料集合体10,11の配置を、図6に示す。すなわち、1つの燃料集合体10の4つの側面に隣接する他の燃料集合体10が存在しない。第1及び第2オリフィスの配置も、燃料集合体10,11の配置と同じである。隣接する他の燃料集合体10の体数が1のとき、すなわち、1つの燃料集合体10の1つの側面に他の燃料集合体10が隣接しているときの燃料集合体10,11の配置を、図7に示す。隣接する他の燃料集合体10の体数が2のときの燃料集合体10,11の配置を、図8に示す。隣接する他の燃料集合体10の体数が3のときの燃料集合体10,11の配置を、図9に示す。隣接する他の燃料集合体10の体数が4のときの燃料集合体10,11の配置を、図10に示す。
炉心5は764体の燃料集合体が装荷されたBWR5型炉心であり、この炉心5を有するBWRの電気出力は110万kWである。炉心5の下端部に位置する各燃料支持金具に設けられた各オリフィスのオリフィス係数は、第3オリフィスを除き、オリフィス係数が一様な炉心に対して、第1オリフィスが−38%、第2オリフィスが+32%である。しかしながら、炉心5全体の圧力損失は、オリフィス係数が一様な炉心と同等になっている。
特開平7−181280号公報に記載されている炉心では、高流量領域22の燃料集合体及び低流量領域21の燃料集合体が混在されて配置されている。高流量領域22の燃料集合体に対応して設けられたオリフィスのオリフィス係数は、低流量領域21の燃料集合体に対応して設けられたオリフィスのそれよりも大きい。高流量領域22のある燃料集合体の側面に隣り合う他の燃料集合体(高流量領域22の他の燃料集合体)の体数の平均は約2〜4である。
ある燃料集合体10の側面に隣り合う燃料集合体10の体数が異なるそれぞれのケース(図5参照)において、燃料集合体10に対する平均冷却水流量の上昇割合は、オリフィス係数が一様の炉心と比較して約7.5%である。このとき、その1つの燃料集合体の出力上昇は図5のようになるため、例えば、図10に示す隣接する他の燃料集合体10の体数が4である場合では、熱的余裕が、オリフィス係数が一様である炉心に対して0.5%上昇する。これに対し、図6に示す隣接する他の燃料集合体10の体数が0である場合では、熱的余裕が、オリフィス係数が一様である炉心に対して2.1%上昇する。発明者らは、図5に示す新たな知見に基づいて、ある燃料集合体10に隣接する他の燃料集合体10の体数を1以下、換言すれば、ある燃料集合体10に隣接する、燃料集合体10よりも出力が低い燃料集合体11の体数を3体または4体にすれば、従来例と比べて燃料集合体10において大きな出力増加割合の抑制効果が生じることを見出した。ある燃料集合体10に隣接する他の燃料集合体10の体数を1以下とすることは、換言すれば、ある燃料集合体の4つの側面に隣り合っている4体の燃料集合体が、3体及び4体のいずれかの燃料集合体11を含んでいることでもある。
発明者らは、内側炉心領域、及び内側炉心領域及び外側炉心領域のいずれかにおいて、該当する領域に存在する全燃料集合体10のうち半数の燃料集合体10に、1体及び0体の他の燃料集合体10を隣り合せて配置することによって、供給される冷却水流量が多くなる燃料集合体10の出力上昇を抑制できることを新たに見出した。この考え方を適用した実施例を以下に説明する。
沸騰水型原子炉(BWR)プラントに適用した本発明の好適な一実施例である原子炉炉心を、図1〜図3を用いて説明する。まず、本実施例の原子炉炉心が適用されるBWRシステムの構成を説明する。BWRプラントは、原子炉圧力容器(以下、RPVと称する)21を有する原子炉20、インバータ電源装置28及び炉心流量制御装置29等を有する。原子炉20は、RPV21内に炉心5Aを配置しており、さらに、RPV21内に中性子検出器26及び流量計27を設けている。炉心5Aは、RPV21内に設けられた炉心シュラウド30によって取り囲まれている。気水分離器(図示せず)及び蒸気乾燥器(図示せず)が、RPV21内で炉心5Aの上方に配置されている。複数のインターナルポンプ24がRPV21に取り付けられ、各インターナルポンプ24のインペラ32がRPV21と炉心シュラウド30の間に形成される環状のダウンカマ31内に配置される。複数の燃料集合体22が炉心5Aに装荷され、各燃料集合体22の下端部は炉心5Aの下端部に設けられた燃料支持金具23に保持される。1つの燃料支持金具23は、4体の燃料集合体22を保持する。炉心5Aの周辺部で1つの燃料支持金具23に4体の燃料集合体22が保持できない場合には、1つの燃料支持金具で一体の燃料集合体22を保持する場合もある。4体の燃料集合体22を保持する燃料支持金具23は、個々の燃料集合体22に別々に冷却水を導く4つの冷却水通路(図示せず)を内部に形成している。それぞれの冷却水通路の入口には、オリフィス(図示せず)が設置されている。1体の燃料集合体を保持する燃料支持金具は、入口にオリフィスを設けて1体の燃料集合体に冷却水を導く1つの冷却水通路を形成している。
炉心5Aの内側炉心領域7及び外側炉心領域8に配置される大部分の燃料支持金具23は、2つの第1冷却水通路及び2つの第2冷却水通路を内部に形成している。第1冷却水通路の入口に第1オリフィスが設けられ、第2冷却水通路の入口に第2オリフィスが設けられている。燃料集合体10の下端部が第1冷却水通路内に挿入され、燃料集合体11の下端部が第2冷却水通路内に挿入されて、それぞれの燃料集合体が燃料支持金具23によって保持される。
炉心5Aの横断面の一部を図3に示す。炉心5A内には複数の制御棒32が配置されている。制御棒32は、横断面が十字形をしており、複数の中性子吸収棒33を有している。中性子吸収棒33はBCを充填している。4体の燃料集合体22が、1本の制御棒32を取り囲むように配置されている。1本制御棒32を取り囲む4体の燃料集合体22は、1つのセル34を構成する。炉心5Aは、複数のセル34を含んでいる。燃料集合体22は、横断面が正方形状をした筒状体であるチャンネルボックス36内に74本の燃料棒35を9行9列の正方格子状に配置している。各燃料棒35は、内部に核燃料物質で構成された複数の燃料ペレットを充填している。1本の制御棒32の周囲に配置され、1つのセル34を構成する4体の燃料集合体22の下端部が、1つの燃料支持金具23によって保持される。燃料集合体22は、炉心5A内に滞在して原子炉の運転を経験した運転サイクル数が後述するように異なっている。これらの燃料集合体22は、燃焼度ゼロの新燃料集合体の状態において平均ウラン濃縮度が約4%であり、平均取出し燃焼度が約45GWd/tとなっている。
炉心5A内に挿入されている複数の制御棒32を炉心5Aから引抜くことによって、原子炉出力が上昇する。インターナルポンプ24を駆動させることによって、ダウンカマ31内の冷却水が昇圧される。インペラ32から吐出された冷却水は、下部プレナム25、及び燃料支持金具23に形成された各冷却水通路を通って各燃料集合体22内に導かれる。この冷却水は、燃料集合体22内の核燃料物質の核分裂によって加熱され、一部が蒸気になる。この蒸気は、気水分離器及び蒸気乾燥器で湿分を除去された後、RPV21からタービン(図示せず)に供給される。タービンは、この蒸気によって回転され、連結されている発電機(図示せず)を回転させる。タービンから排出された蒸気は、復水器(図示せず)で凝縮されて水になる。この凝縮水は、給水として、RPV21内に供給される。
炉心流量制御装置29は、各中性子検出器26で計測された中性子束に基づいて原子炉出力を求め、求められた原子炉出力及び流量計27で計測された炉心流量に基づいて、インバータ電源装置28を制御する。この制御によって、インバータ電源装置28はインターナルポンプ24に供給する電流を調節し、インターナルポンプ24の回転数を調節する。このように、炉心流量制御装置29は、インターナルポンプ24の回転数を調節し、炉心流量を制御する。炉心流量は、炉心に供給される冷却水の流量である。
本実施例の原子炉炉心である炉心5A内での燃料集合体22の配置を、図1を用いて説明する。炉心5Aは、764体の燃料集合体22を装荷しており、191本の制御棒32を有する。BWR5型炉心である炉心5Aを有する原子炉20を用いたBWRプラントの電気出力は110万kWである。1つの運転サイクルは24ヶ月の運転期間であり、燃料交換のバッチ数は2.2バッチである。燃料交換は、ある運転サイクルと次の運転サイクルの間の原子炉停止期間に行われる。炉心5Aに装荷されている764体の燃料集合体22は、炉心5Aの最外層領域9を除き、最外層領域9よりも内側に存在する内側炉心領域7及び外側炉心領域8(これらの領域については図4参照)に、前述した第1グループの複数の燃料集合体10及び第2グループの複数の燃料集合体11を配置している。最外層領域9は、炉心5Aの最も外側に装荷された一層の燃料集合体22によって形成される。本実施例における内側炉心領域7は、燃料集合体22の中心軸の位置が炉心5Aの中心を基点にしてL/√2よりも内側に軸心が配置されている燃料集合体22が装荷されている領域である。外側炉心領域8は内側炉心領域7と最外層領域9の間に存在する。
炉心5A内には、1サイクル目の運転サイクルでの運転を経験している燃料集合体22(炉心滞在1サイクル目の燃料集合体という)、2サイクル目の運転サイクルでの運転を経験している燃料集合体22(炉心滞在2サイクル目の燃料集合体という)、及び3サイクル目の運転サイクルでの運転を経験している燃料集合体22(炉心滞在3サイクル目の燃料集合体という)が装荷されている。図1において、「1」が炉心滞在1サイクル目の燃料集合体22、「2」が炉心滞在2サイクル目の燃料集合体22、及び「3」が炉心滞在3サイクル目の燃料集合体22を表している。これらの表現は、後述の実施例2〜実施例5においても同じである。炉心5Aの最外層領域9に装荷される複数の燃料集合体22、すなわち、複数の燃料集合体12は、炉心滞在2サイクル目の燃料集合体2及び炉心滞在3サイクル目の燃料集合体3を含んでいる。本実施例の内側炉心領域7及び外側炉心領域8に配置される全ての燃料集合体10は、燃料集合体1である。内側炉心領域7及び外側炉心領域8に配置される全ての燃料集合体11は、燃料集合体2である。核分裂性物質の含有量、及び燃料集合体の出力は、燃料集合体1、燃料集合体2及び燃料集合体3の順に低くなっている。
燃料支持金具23に形成される第1冷却水通路の入口に設けられた第1オリフィスの口径は、燃料支持金具23に形成される第2冷却水通路の入口に設けられた第2オリフィスのそれよりも大きくなっている。すなわち、オリフィス係数は、第1オリフィスが第2オリフィスよりも小さくなっている。最外層領域9に配置された、炉心滞在2サイクル目及び炉心滞在サイクル3サイクル目の燃料集合体を含む燃料集合体12を保持する燃料支持金具において、この燃料集合体12に連絡される第3冷却水通路の入口に設けられた第3オリフィスのオリフィス係数は、第2オリフィスのそれよりも大きくなっている。これは、最外層領域9に配置された燃料集合体12から炉心5Aの外部に漏れる中性子の量が最も大きく、燃料集合体12の出力が小さくなるからである。炉心5Aの下端部に位置する各燃料支持金具に設けられた各オリフィスのオリフィス係数は、第3オリフィスを除き、オリフィス係数が一様な炉心に対して、第1オリフィスが−38%、第2オリフィスが+32%となっている。第1オリフィスのオリフィス係数は、第2オリフィスのそれよりも小さくなっている。しかしながら、炉心5全体の圧力損失は、オリフィス係数が一様な炉心と同等になっている。
本実施例の特徴は、炉心5Aの最外層領域9に装荷される燃料集合体12を除いた残りの燃料集合体22が、圧力損失が炉心平均よりも小さくなっている第1オリフィスを設けた第1冷却水通路に連絡される第一グループの燃料集合体10、及び圧力損失が炉心平均よりも大きくなっている第2オリフィスを設けた第2冷却水通路に連絡される第二グループの燃料集合体11を含んでおり、ある燃料集合体10の4辺を形成する4つの側面に他の燃料集合体10が隣接して配置されていないことである。ある燃料集合体10の側面に隣接する他の燃料集合体10は0体である。この場合の平均隣接体数αは0である。ここで、燃料集合体の側面に隣接とは、格子状に配列された燃料集合体の配列方向で隣接していることを意味する。ある燃料集合体10の4つの側面には、燃料集合体10よりも無限増倍率が低い燃料集合体11がそれぞれ隣接して(対向して)配置される。なお、燃料集合体10の2つの対角線方向では、その燃料集合体10の4つのコーナー部にはコーナー部が隣接するように他の4体の燃料集合体10が配置されている。22が全て燃料集合体である。
内側炉心領域7および外側炉心領域8のいずれの領域においても、1つの燃料集合体10の側面に対向する他の燃料集合体10は実質的に0体であり、平均隣接体数αが0である。本実施例においては、炉心滞在期間が炉心平均よりも短い燃料集合体22が燃料集合体10である。
最外層領域を除いてオリフィス係数が一様な炉心と比較して、本実施例では、各燃料集合体10における冷却水流量の平均の上昇割合は約7.5%となるが、各燃料集合体10の出力の上昇割合は0.6%に抑制される。本実施例は、ある燃料集合体10に隣り合う4体の燃料集合体が全て他の燃料集合体10である場合に、ある燃料集合体10の出力上昇割合が1.8になるのに対し、0.6%と抑制される。このため、炉心5Aの熱的余裕は約2%上昇する。
本実施例は、オリフィス係数が第2オリフィスよりも小さい第1オリフィスが設けられる第1冷却水通路に連絡される燃料集合体10の4つの側面に、第2オリフィスが設けられる第2冷却水通路に連絡される出力の低い4体の燃料集合体11が隣り合って配置されている。燃料集合体10は、その内部に供給される冷却水流量が増加し出力も増加する。燃料集合体11は、その内部に供給される冷却水流量が燃料集合体10でのそれよりも少なく、出力も燃料集合体10よりも低くなる。この結果、燃料集合体10は、冷却水流量が増加するが、出力の低い4体の燃料集合体11が燃料集合体10の各側面に隣り合っているので、出力の上昇割合が上記のように抑制される。したがって、炉心5Aの熱的余裕が約2%上昇するのである。
特開平7−181280号公報は燃料集合体内の冷却水流量の増大による熱的余裕の向上に着目しているのに対し、本実施例は、前述した出力上昇割合の抑制に着目しており、この出力上昇割合の抑制を考慮することによって、さらに熱的余裕を増大させることができる。
BWRに適用した本発明の他の実施例である実施例2の原子炉炉心を、図11により説明する。炉心5Bが適用されるBWRプラントは、炉心5Bを有する図1に示す原子炉20を有している。本実施例の炉心5Bは、燃料集合体22の中心軸の位置が炉心5Bの中心を基点にしてL/√2よりも内側に位置する燃料集合体22が装荷されている領域である内側炉心領域7に、複数の燃料集合体10,11を配置し、内側炉心領域7と最外層領域9の間に位置する外側炉心領域8に、燃料集合体10を配置せずに複数の燃料集合体11を配置している。炉心5Bが適用されるBWRプラントの他の構成は、実施例1と同じである。外側炉心領域8に配置される複数の燃料集合体11は、燃料集合体1及び燃料集合体2を含んでいる。外側炉心領域8において、ほとんどの燃料集合体1ではこの燃料集合体1の4つの側面に燃料集合体2をそれぞれ隣り合わせて配置している。これらの燃料集合体1,2は、入口に第2オリフィスが設けられる第2冷却水通路にそれぞれ連絡されている。
内側炉心領域7では、実施例1の内側炉心領域7と同様に、燃料集合体10の4つの側面に燃料集合体11をそれぞれ隣り合わせて配置している。すなわち、燃料集合体10の4つの側面には他の燃料集合体10が隣接して配置されていない。このため、内側炉心領域7における平均隣接体数αは0である。内側炉心領域7に配置された燃料集合体10は燃料集合体1であり、燃料集合体11は燃料集合体2である。内側炉心領域7の燃料集合体1は、第1冷却水通路に連絡されている。また、内側炉心領域7の燃料集合体2は、第2冷却水通路に連絡されている。
本実施例においても、実施例1と同様に、最外層領域を除いてオリフィス係数が一様な炉心と比較して、各燃料集合体10における冷却水流量の平均の上昇割合は約7.5%となるが、各燃料集合体10の出力の上昇割合は0.6%に抑制される。このため、炉心5Bの熱的余裕は約2%上昇する。本実施例も、燃料集合体10内の冷却水流量を増大させた場合であっても、実施例1と同じ理由で、オリフィスの圧力損失係数が一様な炉心に対して、熱的余裕を上昇させることができる。
BWRに適用した本発明の他の実施例である実施例3の原子炉炉心を、図12により説明する。本実施例の炉心5Cは、最外層領域9よりも内側に存在する内側炉心領域7及び外側炉心領域8にそれぞれ燃料集合体10,11を配置している。炉心5Cが適用されるBWRプラントは、原子炉20としてABWRを用いたABWRプラントである。このABWRプラントも、炉心5C以外は図2に示す実施例1のBWRプラントの構成を有する。炉心5CはABWR型炉心である。
ABWRプラントの電気出力は135万kWであり、炉心5Cには平均取出燃焼度が45GWd/tである872体の燃料集合体22が装荷されている。制御棒32は、218本設けられており、中性子吸収棒33の替りにハフニウム型中性子吸収体を備えている。1つの運転サイクルの期間は15ヶ月であり、燃料交換のバッチ数は3.8バッチである。このため、炉心5Cは、燃料集合体1〜3以外に、4サイクル目の運転サイクルでの運転を経験している燃料集合体22(炉心滞在4サイクル目の燃料集合体という)が存在する。
炉心5Cは、最外層領域9に炉心滞在4サイクル目の燃料集合体4を装荷している。最外層領域9よりも内側の内側炉心領域7及び外側炉心領域8に複数の燃料集合体10及び複数の燃料集合体11を配置している。複数の燃料集合体10は燃料集合体1である。複数の燃料集合体11は、燃料集合体2,3及び4を含んでいる。1つの燃料集合体10の4つの側面に、4体の燃料集合体11が隣り合わせになって配置される。燃料集合体で10である燃料集合体1は、入口に第1オリフィスを設けている第1冷却水通路に連絡されている。燃料集合体11である燃料集合体2,3及び4は、入口に第2オリフィスを設けている第2冷却水通路に連絡されている。
燃料支持金具23に設けられた各オリフィスのオリフィス係数は、最外層領域9に位置する第3オリフィスを除いて、オリフィス係数が一様な炉心に対して、第1オリフィスが−41%、第2オリフィスが+19%となっている。第3オリフィスのオリフィス係数は、第2オリフィスのそれよりも大きくなっている。炉心5C全体の圧力損失は、オリフィス係数が一様な炉心と同等になっている。
1つの燃料集合体10の4つの側面に、4体の燃料集合体11が別々に隣り合うように配置されている。1つの燃料集合体10の4つの側面に隣り合うこれらの燃料集合体11は、ほとんどの燃料集合体10に対して炉心滞在期間が異なる少なくとも2種類の燃料集合体22である。外側炉心領域8の周辺部に位置する一部の燃料集合体10は4つの側面のうち1つの側面に燃料集合体10を隣り合わせて配置している。炉心5Cの内側炉心領域7および外側炉心領域8における平均隣接体数αはほぼ0である。
本実施例では、最外層領域を除いてオリフィス係数が一様な炉心と比較して、各燃料集合体10における冷却水流量の平均上昇割合は約4.3%となるが、各燃料集合体10の出力の上昇割合は0%に抑制される。この結果、炉心5Cの熱的余裕は約2%上昇する。バッチ数が4バッチに近い炉心であっても、燃料集合体10の冷却水流量を増大させた場合で炉心の熱的余裕を向上させることができる。本実施例は、炉心の大きさ及び燃料交換のバッチ数が変わった場合でも、蒸気の効果を得ることができる。
BWRに適用した本発明の他の実施例である実施例4の原子炉炉心を、図13により説明する。本実施例の炉心5Dは、最外層領域9よりも内側に存在する内側炉心領域7及び外側炉心領域8にそれぞれ燃料集合体10,11を配置している。炉心5Dが適用されるBWRプラントは、実施例3と同様に、原子炉20としてABWRを用いたABWRプラントである。このABWRプラントも、炉心5D以外は図2に示す実施例1のBWRプラントの構成を有する。炉心5DはABWR型炉心である。炉心5Dは、炉心5Cと、燃料集合体22の配置、オリフィス係数及び燃料集合体10が燃料集合体2を含んでいる点で異なっている。
炉心5Dも、燃料集合体22の中心軸の位置が炉心5Bの中心を基点にしてL/√2よりも内側に位置する燃料集合体22が装荷されている領域である内側炉心領域7、及び内側炉心領域7と最外層領域9の間に存在する外側炉心領域8を有する。炉心5Dの内側炉心領域7には、この内側炉心領域7の周辺部の一部を除いて、炉心5Cの内側炉心領域7と同様に燃料集合体10及び燃料集合体11が配置されている。炉心5Dの内側炉心領域7の周辺部の一部には、燃料集合体10として燃料集合体2を配置している。このため、その周辺部の一部には、燃料集合体10である燃料集合体1の2つの側面に燃料集合体10である燃料集合体2をそれぞれ隣り合わせて配置している。炉心5Dは、その周辺部を除く内側炉心領域7の大部分では、燃料集合体10である燃料集合体1の4つの側面に、燃料集合体11を隣り合わせて配置している。このため、内側炉心領域7における平均隣接体数αはほぼ1になる。
炉心5Dの外側炉心領域8には、燃料集合体10である燃料集合体1の2つの側面に燃料集合体10である燃料集合体2をそれぞれ隣り合わせて配置する第1配置、及び燃料集合体10である燃料集合体1の4つの側面に、燃料集合体11をそれぞれ隣り合わせては位置する第2配置を有する。この第2配置においては、燃料集合体10の4つの側面に、他の燃料集合体10が隣り合わせで配置されてはいない。外側炉心領域8において、第2配置は第1配置よりも多くなっており、第1配置が最外層領域9側、第2配置が内側炉心領域7側に配置されている。外側炉心領域8における平均隣接体数αはほぼ1.5になる。
燃料集合体10である燃料集合体1及び2は第1冷却水通路にそれぞれ連絡され、燃料集合体11である燃料集合体2,3及び4は第2冷却水通路にそれぞれ連絡される。燃料支持金具23に設けられた各オリフィスのオリフィス係数は、最外層領域9に位置する第3オリフィスを除いて、オリフィス係数が一様な炉心に対して、第1オリフィスが−41%、第2オリフィスが+32%となっている。第3オリフィスのオリフィス係数は、第2オリフィスのそれよりも大きい。炉心全体の圧力損失は、オリフィス係数が一様な炉心と同等にしている。
このような本実施例は、内側炉心領域7の中央部において、ある燃料集合体10に隣り合う4体の燃料集合体が全て燃料集合体11になっており、さらに、後述するように、内側炉心領域7の外周部に位置する炉心滞在2サイクル目の燃料集合体10に隣り合う2体の燃料集合体を燃料集合体11にすることによって、最外層領域を除いてオリフィス係数が一様な炉心と比較して、各燃料集合体10における冷却水流量の平均上昇割合は約4.5%になるが、各燃料集合体10の出力の上昇割合は0.6%に抑制される。この結果、炉心5Dの熱的余裕は約2%上昇する。
内側炉心領域7の外周部に位置する炉心滞在2サイクル目の燃料集合体の熱的余裕が比較的厳しくなる場合、本実施例は、その炉心滞在2サイクル目の燃料集合体を、第1オリフィスを有する第1冷却水通路に連絡させる。これによって、内側炉心領域7の外周部に位置する炉心滞在2サイクル目の燃料集合体10について、隣り合う2体の燃料集合体を他の燃料集合体10、換言すれば、隣り合う他の2体の燃料集合体を燃料集合体11にすることによって、図5に示すように、その炉心滞在2サイクル目の燃料集合体10における出力増加割合を抑制することができる。
BWRに適用した本発明の他の実施例である実施例4の原子炉炉心を、図14により説明する。本実施例の炉心5Eは、最外層領域9よりも内側に存在する内側炉心領域7及び外側炉心領域8にそれぞれ燃料集合体10,11を配置している。炉心5Eが適用されるBWRプラントは、炉心5Eを有する図1に示す原子炉20を有している。炉心5Eにおける内側炉心領域7と外側炉心領域8の境界は、実施例1と同じで、炉心5Eの中心を基点とするL/√2である。
炉心5Eの最外層領域9には、燃料集合体2及び3が配置されている。燃料集合体1及び11は、共に、燃料集合体1及び2を含んでいる。炉心5Eの内側炉心領域7では、全ての燃料集合体10は、1つの側面に他の燃料集合体10を隣り合わせて配置している。すなわち、燃料集合体10である1つの燃料集合体1の1つの側面に、燃料集合体10である1体の燃料集合体2を隣り合わせて配置している。燃料集合体10である燃料集合体1における他の3つの側面には、燃料集合体11である3体の燃料集合体2が別々に隣り合わせて配置される。燃料集合体10である燃料集合体2における他の3つの側面には、燃料集合体11である3体の燃料集合体1が別々に隣り合わせて配置される。このような内側炉心領域7の平均隣接体数αは1になる。
外側炉心領域8も、大部分の領域で、内側炉心領域7と同様に、燃料集合体10である燃料集合体1の1つの側面に、他の燃料集合体10である燃料集合体2を隣り合わせて配置している。このような外側炉心領域8の平均隣接体数αはほぼ1になる。
燃料集合体10である燃料集合体1及び2は第1冷却水通路にそれぞれ連絡され、燃料集合体11である燃料集合体1及び2は第2冷却水通路にそれぞれ連絡される。燃料支持金具23に設けられた各オリフィスのオリフィス係数は、最外層領域9に位置する第3オリフィスを除いて、オリフィス係数が一様な炉心に対して、第1オリフィスが−38%、第2オリフィスが+33%となっている。第3オリフィスのオリフィス係数は、第2オリフィスのそれよりも大きい。炉心全体の圧力損失は、オリフィス係数が一様な炉心と同等である。
このような本実施例は、最外層領域9を除いてオリフィス係数が一様な炉心と比較して、各燃料集合体10における冷却水流量の平均上昇割合は約6.5%になるが、各燃料集合体10の出力の上昇割合は0.7%に抑制される。炉心5Eの熱的余裕は約2%上昇する。
炉心5Eにおいて、外側炉心領域8に燃料集合体10を配置せずに複数の燃料集合体11を配置し、内側炉心領域7に複数の燃料集合体10及び11をそれぞれ配置しても良い。この内側炉心領域7において、燃料集合体10の1つの側面には他の燃料集合体10が隣り合わせて配置されており、残りの3つの側面には燃料集合体11がそれぞれ隣り合わせて配置されている。
1…炉心滞在1サイクル目の燃料集合体、2…炉心滞在2サイクル目の燃料集合体、3…炉心滞在3サイクル目の燃料集合体、4…炉心滞在4サイクル目の燃料集合体、5,5A〜5E…炉心、7…内側炉心領域、8…外側炉心領域、9…最外層領域、10,11,12,22…燃料集合体、20…原子炉、21…原子炉圧力容器、23…燃料支持金具、24…インターナルポンプ。

Claims (5)

  1. 最外層領域と、前記最外層領域の内側に存在する炉心領域と、前記最外層領域及び前記炉心領域の下端部にそれぞれ配置された複数の燃料支持部材と、前記最外層領域及び前記炉心領域にそれぞれ装荷され、前記燃料支持部材に保持される複数の燃料集合体とを有し、
    前記炉心領域に配置された複数の前記燃料集合体が、前記燃料支持部材内に形成され、開口部を有する第1抵抗体が設けられた第1冷却材通路に連絡される複数の第1燃料集合体、及び前記燃料支持部材内に形成され、開口部を有して前記第1抵抗体よりも圧力損失が大きい第2抵抗体が設けられた別々の第2冷却材通路にそれぞれ連絡される複数の第2燃料集合体を含んでおり、
    前記炉心領域内で前記炉心領域の中心から最も遠くに位置する前記燃料集合体の軸心までの距離をLとしたとき、前記炉心領域が、前記炉心中心を基点にした前記炉心領域の半径方向におけるL/√2の位置よりも内側に前記軸心が配置される前記燃料集合体が存在する内側領域、及び前記内側領域よりも外側に存在する外側領域を含んでおり、
    複数の第1燃料集合体のそれぞれの4つの側面に隣り合う4体の前記燃料集合体に占める前記第1燃料集合体の体数をαとしたとき、体数αが前記内側領域の平均で1以下になることを特徴とする原子炉炉心。
  2. 前記4つの側面に隣り合う前記4体の燃料集合体が3体及び4体のいずれかの前記第2燃料集合体を含んでいる請求項1に記載の原子炉炉心。
  3. 前記外側領域は前記第1燃料集合体を配置せず前記第2燃料集合体を配置している請求項1または請求項2に記載の原子炉炉心。
  4. 前記外側領域は前記第1燃料集合体及び前記第2燃料集合体を配置しており、
    前記外側領域に存在する前記第1燃料集合体の少なくとも一部の前記4つの側面に隣り合う4体の前記燃料集合体が、3体及び4体のいずれかの前記第2燃料集合体を含んでいる請求項1または請求項2に記載の原子炉炉心。
  5. 前記体数αが前記内側領域の平均で0である請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の原子炉炉心。
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