JP2012206327A - 積層フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 プラスチックフィルムの少なくとも一方の表面に樹脂組成物層が積層してなる蒸着用の積層フィルムであって、樹脂組成物層は、ウレタン結合基及びウレア結合基と酸基を有するポリウレタン樹脂とオキサゾリン基を含有する樹脂からなる樹脂組成物により形成されることを特徴とするガスバリア性積層フィルム。
【選択図】 なし
Description
そのため、従来からポリビニルアルコール(以下、PVAとする)、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、或いはポリ塩化ビニリデン樹脂(以下、PVDCとする)など一般にガスバリア性が比較的高いと言われる高分子樹脂組成物を積層したフィルムが包装材料として使用されてきた。また、適当な高分子樹脂組成物のフィルムにAlなどの金属を蒸着したものやアルミナ、シリカなどの無機酸化物を蒸着したものも包装材料として一般的に使用され始めている。
ところが、上述のPVA,EVOH系の高分子樹脂組成物を用いてなるガスバリア性積層フィルムは、温度依存性及び湿度依存性が大きいため、高温又は高湿下においてガスバリア性の低下が見られる。またPVDCは被膜中に塩素を多量に含むため、焼却処理やリサイクリングなど廃棄物処理の面で問題がある。
さらに、上述の金属を蒸着したフィルムやアルミナ、シリカなどの無機酸化物を蒸着したフィルムは、蒸着物と樹脂フィルムの機械的性質、化学的性質、熱的性質などの物性が非常に異なっていることから、ガスバリア層に用いられる無機物の薄膜が柔軟性に欠け、折り曲げに弱い。また、基材との密着性が悪いため、取り扱いに注意を要し、とくに印刷、ラミネート、製袋など包装材料の後加工の際に、クラックを発生しガスバリア性が著しく低下する問題がある。さらに、真空プロセスを用いて形成するため装置が高価であったり、形成工程において局部的に高温となり、基材に損傷を生じたり、低分子量部或いは可塑剤などの添加剤の分解、脱ガスなどを起因として蒸着層中に欠陥、ピンホール等を発生することがある。すなわち、これまでの蒸着フィルムは高いガスバリア性を達成できないこと、コスト的に高価となるという問題を有している。
また、基材にi)ウレタン基およびウレア基の合計濃度が高く、かつ酸基を有するポリウレタン樹脂と、(ii)ポリアミン化合物とを含んでいるアニオン性自己乳化型ポリウレタン樹脂からなる被膜の上に無機蒸着層を形成してなるガスバリア材が提案されている(例えば、特許文献1参照。)が、さらなるバリア性の向上が求められている。
本発明で用いる基材層は、例えば、有機高分子を溶融押し出しして、必要に応じ、長手方向及び/又は幅方向に延伸、冷却、熱固定を施したフィルムであり、有機高分子としては、ナイロン4・6、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン12などで代表されるポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンー2,6一ナフタレートなどで代表されるポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンなどで代表されるポリオレフィンの他、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、全芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリ乳酸などを挙げることができる。
また本発明における基材層は、積層型フィルムであってもよい。積層型フィルムとする場合の積層体の種類、積層数、積層方法等は特に限定されず、目的に応じて公知の方法から任意に選択することができる。
またフィルムにはシリカなどの微粒子を添加することができる。基材層の製造方法については、共押出し法、キャスト法など、既存の方法を使用することができる。
この様な基材層の少なくとも一方の面に、特定の被覆層が積層される。
特定の被覆層としては、膜強度と耐水性に優れ、かつ無機薄膜層との密着性に優れるポリウレタン樹脂が好ましい。
特に、膜強度を高め、耐水性を高めるためには、上記(C)ポリヒドロキシ酸や(D)鎖延長剤により、ポリウレタン樹脂を3次元化(架橋)することが有効である。
上記(C)ポリヒドロキシ酸はポリウレタン樹脂を水性あるいは水分散化するうえで有効である。
その他のウレタン樹脂の成分については、本願発明の目的を阻害しない範囲であれば、特に制限されるものではない。
ポリイソシアネート化合物には、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、脂環族ポリイソシアネートなどが含まれる。ポリイソシアネート化合物としては、通常、ジイソシアネート化合物が使用される。
より具体的には、ジイソシアネート成分のうち芳香族ジイソシアネートとしては、TDI、MDI、NDIなどが好ましく、芳香脂肪族ジイソシアネートとしては、XDI、TMXDIなどが好ましく、脂環族ジイソシアネートとしては、IPDI、水添XDI、水添MDIなどが好ましい。芳香脂肪族ジイソシアネート、脂環族ポリイソシアネートの割合については、それらの合計に対して、水添キシリレンジイソシアネート(水添XDI)が20重量%以上が好ましく、さらに好ましくは40重量%以上、特に好ましくは60%以上である。
フィルムへのコート特性の観点からは、芳香脂肪族ジイソシアネート(XDI、TMXDIなど)および脂環族ジイソシアネート(IPDI、水添XDI、水添MDIなど)が好ましく、特に、XDI、水添XDIなどが好ましい。これらのポリイソシアネート化合物は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
キシリレンジイソシアネート(XDI)及び水添キシリレンジイソシアネート(水添XDI)に含まれるキシリレン基は、高いパッキング性を有する官能基であり、自己架橋が進行するとさらに最密な構造になるためバリア性向上に寄与すると推測される。
キシリレンジイソシアネートと水添キシリレンジイソシアネートを併用することで、酸価が向上し自己架橋が進行しやすくなるという利点がある。
キシリレンジイソシアネート(XDI)と水添キシリレンジイソシアネート(水添XDI)の合計量の割合は、通常、ポリイソシアネート化合物(A)全体に対して10〜100重量%の範囲から選択でき、通常20〜100重量%が好ましく、さらに好ましくは25〜100重量%、特に好ましくは30〜100重量%である。
ポリオール成分(特にジオール成分)としては、低分子量のグリコールからオリゴマーまで用いることはできるが、ガスバリア性の観点から、通常、アルキレングリコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘプタンジオール、オクタンジオールなどの直鎖状又は分岐鎖状C2−Cl0アルキレングリコール)、(ポリ)オキシC2−C4アルキレングリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコールなど)などの低分子量グリコールが使用される。好ましいグリコール成分は、C2−C8ポリオール成分[例えば、C2−C6アルキレングリコール(特に、エチレングリコール、1,2−または1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチルー1,5−ペンタンジオール)など]、ジ又はトリオキシC2−C3アルキレングリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなど)であり、特に好ましいジオール成分はC2−C8アルキレングリコール(特にC2−C6アルキレングリコール)である。
さらに、必要により、3官能以上のポリオール成分、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどのポリオール成分を併用することもできる。
ポリオール成分は、少なくともC2−C8ポリオール成分を含むのが自己架橋を阻害しない点で好ましく、さらに、C2−C6アルキレングリコールを含むのが好ましく、特にC2−C4アルキレングリコールを含むのが好ましい。
ポリオール成分全体に対するC2−C8ポリオール成分の割合は、50〜100重量%程度の範囲から選択でき、通常、70重量%以上、100重量%以下、好ましくは80重量%以上、100重量%以下、さらに好ましくは90重量%以上、100重量%以下である。
ポリヒドロキシカルボン酸(特にジヒドロキシカルボン酸)としては、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロールヘキサン酸などのジヒドロキシC2−C10のアルカン−カルボン酸、ジオキシマレイン酸などのジヒドロキシC4−C10のアルカン−ポリカルボン酸又はジヒドロキシC4−C10のアルケン−ポリカルボン酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸などのジヒドロキシC6−C10のアレーン−カルボン酸などが例示できる。これらのポリヒドロキシ酸は単独または2種以上組み合わせて使用できる。好ましいポリヒドロキシ酸は、ポリヒドロキシアルカンカルボン酸、特にジヒドロキシアルカン酸、例えば、ジヒドロキシC2−C8のアルカン−カルボン酸である。
鎖伸長剤には、ポリアミンが使用でき、通常、活性水素原子を有する窒素含有化合物、特に、ジアミンが使用される。
好ましいコーティング方法を下記に挙げるが、これに限定するものではない。
水/低級アルコール混合溶媒を用いることで、ポリウレタン樹脂、オキサゾリン基を有する樹脂の分散性、コートの均一性、製造時の安全性が満足できる。
なお、必要であれば、被覆層を形成させる前に基材フィルムにコロナ放電処理、その他の表面活性化処理や公知のアンカー処理剤を用いてアンカー処理を施してもよい。
以上の様な被覆層上に無機薄膜層が蒸着される。この無機薄膜層は、ガスバリア性を向上させるもので、無機薄膜の材料としては、A1,Si,Ti,Zn,Zr,Mg,Sn,Cu,Fe等の金属や、これら金属の酸化物、窒化物、フッ素物、硫化物等が挙げられ、具体的には、SiOx(x=1.0〜2.0)、アルミナ、マグネシア、硫化亜鉛、チタニア、ジルコニア、酸化セリウム、あるいはこれらの混合物が例示される。無機薄膜層は1層でもあるいは2層以上の積層体であってもよい。
上記無機薄膜層の膜厚は、好ましくは10〜5000Å、より好ましくは50〜2000Åである。膜厚が10Å未満の場合は十分なガスバリア性が得られない恐れがあり好ましくない。逆に5000Åを超える場合、それに相当する効果は奏されず、また耐屈曲性が低下し、さらに製造コストの点で不利となり好ましくない。
上記無機薄膜層の蒸着方法としては、公知の方法、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理蒸着法や、PECVD等の化学蒸着法等が採用される。
作成したフィルムの水蒸気透過度につき、40℃、90%RHの条件で3時間調温・調湿後、米国、モコン(MOCON)社製の測定機(PARMATRAN−W)を用いて測定した。
実施例、比較例で得られた積層体の無機薄膜層の上に、ウレタン系2液硬化型接着剤を用いてドライラミネート法により熱接着性樹脂として厚み70μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡績株式会社製、P1147)を貼り合わせ、40℃にて4日間エージングして実施例1〜4、比較例1〜4のラミネートガスバリア性積層フィルムを得た。
[ポリウレタン樹脂組成物(A−1)の製造例]
MXDI(メタキシリレンジイソシアネート)45.59、水添XDI(1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン)93.9g、エチレングリコール24.8g、ジメチロールプロピオン酸13.4g及び溶剤としてメチルエチルケトン80.2gを混合し、窒素雰囲気下70℃で5時間反応させた。次いで、このカルボキシル基含有ウレタンプレポリマー溶液を40℃でトリエチルアミン9.6gにて中和した。このポリウレタンプレポリマー溶液を624.8gの水にホモディスパーにより分散させ、2−[(2−アミノエチル)アミノ]エタノール21.1gで鎖伸長反応を行い、メチルエチルケトンを留去することにより、固形分25重量%、平均粒子径90nmの水分散型ポリウレタン樹脂(A−1)を得た。この樹脂の酸価は26.9mgKOH/g、ウレタン基濃度及びウレア基濃度の合計は39.6重量%である。これを水で希釈し、固形分30重量%の被覆液とした。
ポリウレタン樹脂組成物(A−2)は、30重量%エマルジョンとして、DIC株式会社製のハイドランHW350を使用した。
攪拌機、還流冷却器、窒素導入管および温度計を備えたフラスコに、イソプロピルアルコール460.6部を仕込み、緩やかに窒素ガスを流しながら80℃に加熱した。そこへ予め調製しておいたメタクリル酸メチル126部、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン210部およびメトキシポリエチレングリコールアクリレート84部からなる単量体混合物と、ABN−E(日本ヒドラジン工業株式会社製の重合開始剤:2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル))21部およびイソプロピルアルコール189部からなる開始剤溶液を、それぞれ滴下ろうとにより2時間かけて滴下した。反応中は窒素ガスを流し続け、フラスコ内の温度を80±1℃に保った。滴下終了後も5時間同じ温度に保った後冷却し、オキサゾリン基を有する樹脂(B−1)を得た。得られたオキサゾリン基を有する樹脂(B−1)のオキサゾリン価は130g−solid/eq.であった。
共重合ポリエステル樹脂の製造例撹拌機、温度計および部分還流式冷却器を具備したステンレススチール製オートクレーブにジメチルテレフタレート466部、ジメチルイソフタレート466部、ネオペンチルグリコール401部、エチレングリコール443部、およびテトラ−n−ブチルチタネート0.52 部を仕込み、160℃〜220℃まで4時間かけてエステル交換反応を行なった。次いでフマール酸23部を加え、200℃から220℃まで1時間かけて昇温し、エステル化反応を行なった。次いで、255℃まで昇温し、反応系を徐々に減圧したのち、0.2mmHgの減圧下で1時間30分反応させた後、無水トリメリット酸19部を加え、窒素下220℃で1時間撹拌しポリエステル樹脂(C−1)を得た。得られたポリエステルは淡黄色透明で重量平均分子量は12000である。
極限粘度0.62(30℃、フェノール/テトラクロロエタン=60/40)のポリエチレンテレフタレート樹脂を予備結晶化後,本乾燥し,Tダイを有する押出し機を用いて280℃で押出し,表面温度40℃のドラム上で急冷固化して無定形シートを得た。次に得られたシートを加熱ロールと冷却ロールの間で縦方向に100℃で4.0倍延伸を行った。そして、得られた一軸延伸フィルムの片面に,上記塗布液をファウンテンバーコート法によりコートした。乾燥しつつテンターに導き、100℃で予熱、120℃で4.0倍横方向に延伸し、6%の横方向の弛緩を行いながら225℃で熱処理を行い、厚さ12μmの二軸延伸ポリエステルフィルムに0.15g/m2の被覆層が形成された積層フィルムを得た。
次に、得られた積層フィルムの被覆面へ蒸着するために、蒸着源として、3mm〜5mm程度の粒子状SiO2(純度99.9%)とAl2O3(純度99.9%)を用いて、電子ビーム蒸着法で、得られた塗布フィルム上に酸化アルミニウムと二酸化ケイ素の複合無機酸化物層の形成を行った。
これらにつき、実施例冒頭で示した方法・条件で、水蒸気透過度を測定した。結果を表1に示す。
コートせずに、実施例1と同様の手順でサンプル作製、評価を行なった。結果を表1に示す。
塗布液の樹脂の種類と組成を変更した以外は、実施例1と同様の手順でサンプル作製、評価を行なった。結果を表1に示す。
Claims (4)
- プラスチックフィルムの少なくとも一方の表面に樹脂組成物層が積層してなる蒸着用の積層フィルムであって、樹脂組成物層は、ウレタン結合基及びウレア結合基と酸基を有するポリウレタン樹脂とオキサゾリン基を含有する樹脂からなる樹脂組成物により形成されることを特徴とするガスバリア性積層フィルム。
- 該ガスバリア性樹脂組成物層のそれぞれの比率が、ポリウレタン樹脂組成物50〜90%、オキサゾリン基を含有する樹脂の比率が10〜50%である請求項1記載のガスバリア性積層フィルム。
- 該ガスバリア性樹脂組成物層のコート量が0.1〜1g/m2である請求項1記載のガスバリア性積層フィルム。
- 該無機薄膜層は少なくともシリカを含む、一成分もしくは二成分以上の無機材料を使用の請求項1記載のガスバリア性積層フィルム。
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