JP5217903B2 - 被覆フィルムおよび蒸着フィルム - Google Patents
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Description
そのため、従来からポリビニルアルコール(以下、PVAとする)、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、或いはポリ塩化ビニリデン樹脂(以下、PVDCとする)など一般にガスバリア性が比較的高いと言われる高分子樹脂組成物を積層したフィルムが包装材料として使用されてきた。また、適当な高分子樹脂組成物のフィルムにAlなどの金属を蒸着したものやアルミナ、シリカなどの無機酸化物を蒸着したものも包装材料として一般的に使用され始めている。
ところが、上述のPVA,EVOH系の高分子樹脂組成物を用いてなるガスバリア性積層フィルムは、温度依存性及び湿度依存性が大きいため、高温又は高湿下においてガスバリア性の低下が見られる。またPVDCは被膜中に塩素を多量に含むため、焼却処理やリサイクリングなど廃棄物処理の面で問題がある。
さらに、上述の金属を蒸着したフィルムやアルミナ、シリカなどの無機酸化物を蒸着したフィルムは、蒸着物と樹脂フィルムの機械的性質、化学的性質、熱的性質などの物性が非常に異なっていることから、ガスバリア層に用いられる無機物の薄膜が可携性に欠け、操みや折り曲げに弱い。また、基材との密着性が悪いため、取り扱いに注意を要し、とくに印刷、ラミネート、製袋など包装材料の後加工の際に、クラックを発生しガスバリア性が著しく低下する問題がある。さらに、真空プロセスを用いて形成するため装置が高価であったり、形成工程において局部的に高温となり、基材に損傷を生じたり、低分子量部或いは可塑剤などの添加剤の分解、脱ガスなどを起因として蒸着層中に欠陥、ピンホール等を発生することがある。すなわち、これまでの蒸着フィルムは高いガスバリア性を達成できないこと、コスト的に高価となるという問題を有している。
また、基材にi)ウレタン基およびウレア基の合計濃度が高く、かつ酸基を有するポリウレタン樹脂と、(ii)ポリアミン化合物とを含んでいるアニオン性自己乳化型ポリウレタン樹脂からなる被膜の上に無機蒸着層を形成してなるガスバリア材が提案されている(例えば、特許文献1参照。)が、さらなるバリア性の向上が求められている。
本発明で用いる基材層は、例えば、有機高分子を溶融押し出しして、必要に応じ、長手方向及び/又は幅方向に延伸、冷却、熱固定を施したフィルムであり、有機高分子としては、ナイロン4・6、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン12などで代表されるポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンー2,6一ナフタレートなどで代表されるポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンなどで代表されるポリオレフィンの他、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、全芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリ乳酸などを挙げることができる。
また本発明における基材層は、積層型フィルムであってもよい。積層型フィルムとする場合の積層体の種類、積層数、積層方法等は特に限定されず、目的に応じて公知の方法から任意に選択することができる。
またフィルムにはシリカなどの微粒子を添加することができる。基材層の製造方法については、共押出し法、キャスト法など、既存の方法を使用することができる。
この様な基材層の少なくとも一方の面に、特定の被覆層が積層される。
特定の被覆層としては、膜強度と耐水性に優れ、かつ無機薄膜層との密着性に優れるポリウレタン樹脂が好ましいが、無機蒸着層のバリア性、特に水蒸気バリア性を改善するには、被覆層の水の接触角は60°〜100°であることが必要で、65°〜70°であることが特に好ましい。
被覆層の水の接触角が60°を下回ると、表面が親水性になるため蒸着後の酸素バリア性、特に水蒸気バリア性が十分に発現しない。一方、被覆層の水の接触角が100°を超えると、表面の疎水性が強すぎてしまい、接着性が悪化してしまう。
また、被覆層表面の三次元表面粗さSRaが0.040μm以下であることが必要で、0.040μmを越えると、表面の透明性が不良となり、被覆層の表面に荒れが生じ、蒸着後のバリア性に悪影響を及ぼしてしまう。
特に、膜強度を高め、耐水性を高めるためには、上記(C)ポリヒドロキシ酸により、ポリウレタン樹脂を水性あるいは水分散化したり、上記(C)ポリヒドロキシ酸や(D)鎖延長剤により、ポリウレタン樹脂を3次元化(架橋)することが有効である。
特に、上記(C)ポリヒドロキシ酸はフィルム上に被覆後に加熱することにより容易することやポリウレタン樹脂を水性あるいは水分散化するうえで有効である。
その他のウレタン樹脂の成分については、本願発明の目的を阻害しない範囲であれば、特に制限されるものではない。
ポリイソシアネート化合物には、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートなどが含まれる。ポリイソシアネート化合物としては、通常、ジイソシアネート化合物が使用される。
より具体的には、ジイソシアネート成分のうち芳香族ジイソシアネートとしては、TDI、MDI、NDIなどが好ましく、芳香脂肪族ジイソシアネートとしては、XDI、TMXDIなどが好ましく、脂環族ジイソシアネートとしては、IPDI、水添XDI、水添MDIなどが好ましい。
フィルムへのコート特性の観点からは、芳香脂肪族ジイソシアネート(XDI、TMXDIなど)および脂環族ジイソシアネート(IPDI、水添XDI、水添MDIなど)が好ましく、特に、XDI、水添XDIなどが好ましい。これらのポリイソシアネート化合物は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
キシリレンジイソシアネート(XDI)及び水添キシリレンジイソシアネート(水添XDI)に含まれるキシリレン基は、高いパッキング性を有する官能基であり、自己架橋が進行するとさらに最密な構造になるためバリア性向上に寄与すると推測される。
キシリレンジイソシアネートと水添キシリレンジイソシアネートを併用することで、酸価が向上し結晶化が進行しやすくなるという利点がある。
キシリレンジイソシアネート(XDI)と水添キシリレンジイソシアネート(水添XDI)の合計量の割合は、通常、ポリイソシアネート化合物(A)全体に対して10〜100重量%の範囲から選択でき、通常20〜100重量%が好ましく、さらに好ましくは25〜100重量%、特に好ましくは30〜100重量%である。
また、キシリレンジイソシアネート(XDI)と水添キシリレンジイソシアネート(水添XDI)の割合については、それらの合計に対して、水添キシリレンジイソシアネート(水添XDI)が20重量%以上が好ましく、さらに好ましくは40重量%以上、特に好ましくは60%以上である。
ポリオール成分(特にジオール成分)としては、低分子量のグリコールからオリゴマーまで用いることはできるが、ガスバリア性の観点から、通常、アルキレングリコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘプタンジオール、オクタンジオールなどの直鎖状又は分岐鎖状C2−Cl0アルキレングリコール)、(ポリ)オキシC2−C4アルキレングリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコールなど)などの低分子量グリコールが使用される。好ましいグリコール成分は、C2−C8ポリオール成分[例えば、C2−C6アルキレングリコール(特に、エチレングリコール、1,2−または1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチルー1,5−ペンタンジオール)など]、ジ又はトリオキシC2−C3アルキレングリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなど)であり、特に好ましいジオール成分はC2−C8アルキレングリコール(特にC2−C6アルキレングリコール)である。
さらに、必要により、3官能以上のポリオール成分、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどのポリオール成分を併用することもできる。
ポリオール成分は、少なくともC2−C8ポリオール成分を含むのが自己架橋を阻害しない点で好ましく、さらに、C2−C6アルキレングリコールを含むのが好ましく、特にC2−C4アルキレングリコールを含むのが好ましい。
ポリオール成分全体に対するC2−C8ポリオール成分の割合は、50〜100重量%程度の範囲から選択でき、通常、70重量%以上、100重量%以下、好ましくは80重量%以上、100重量%以下、さらに好ましくは90重量%以上、100重量%以下である。
ポリヒドロキシカルボン酸(特にジヒドロキシカルボン酸)としては、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロールヘキサン酸などのジヒドロキシC2−C10のアルカン−カルボン酸、ジオキシマレイン酸などのジヒドロキシC4−C10のアルカン−ポリカルボン酸又はジヒドロキシC4−C10のアルケン−ポリカルボン酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸などのジヒドロキシC6−C10のアレーン−カルボン酸などが例示できる。これらのポリヒドロキシ酸は単独または2種以上組み合わせて使用できる。好ましいポリヒドロキシ酸は、ポリヒドロキシアルカンカルボン酸、特にジヒドロキシアルカン酸、例えば、ジヒドロキシC2−C8のアルカン−カルボン酸である。
鎖伸長剤には、ポリアミンが使用でき、通常、活性水素原子を有する窒素含有化合物、特に、ジアミンが使用される。
共重合ポリエステル樹脂に対するラジカル重合性単量体のグラフト化反応の実施に際しては、溶媒に加温下溶解されている共重合ポリエステル樹脂に対し、ラジカル重合性単量体混合物とラジカル開始剤を一時に添加して行なってもよいし、別々に一定時間を要して滴下した後、更に一定時間撹拌下に加温を継続して反応を進行せしめてもよい。また、ある種のモノマーをさきに一時に添加しておいてから別種のモノマー、開始剤を別々に一定時間を要して滴下した後、更に一定時間撹拌下に加温を継続して反応を進行させることも必要に応じて行なわれる。
被覆液の樹脂比率が、樹脂A/樹脂B=10/90〜70/30、特に15/85〜50/50が接着性、酸素、水蒸気バリア性を発現することにおいて好ましい。
そのため、被覆液の樹脂比率が樹脂A/樹脂B=5/95の場合、バリア性を発現するウレタン結合基及びウレア結合基と酸基を有するポリウレタン樹脂組成物の含有量が少ないと、結晶化が不十分となり良好なバリア性が得られない。また、被覆液の樹脂比率が、樹脂A/樹脂B=75/25の場合は、基材フィルムとの密着性の効果があると考えているカルボン酸などの官能基の含有量が少ないため十分な接着性が得られない。
好ましいコーティング方法を下記に挙げるが、これに限定するものではない。
水/低級アルコール混合溶媒を用いることで、ポリウレタン樹脂、共重合ポリエステル樹脂の分散性、コートの均一性、製造時の安全性が満足できる。
このような場合、通常予熱ゾーンで50〜100℃程度、延伸ゾーンで125℃程度、熱固定ゾーンで205〜225℃で行う。
なお、必要であれば、被覆層を形成させる前に基材フィルムにコロナ放電処理、その他の表面活性化処理や公知のアンカー処理剤を用いてアンカー処理を施してもよい。
しかし、熱固定ゾーンの温度条件が高すぎると、高分子樹脂組成物からなる基材の強度の低下が顕著になり基材に表面荒れが生じてしまい、被覆層も影響を受け表面荒れが発生する。そのため、被覆層の水の接触角が60°を下回り酸素バリア性、水蒸気バリア性、ラミ強度が悪化する。
一方で、熱固定ゾーンの温度条件が低いと、熱が十分にかからず被覆層のメタキシリレン基及び水添キシリレン基含有ウレタン樹脂の結晶化が十分に進行せずに反応不足であるため表面荒れが生じてしまう。また、熱が十分にかかっていないため、表面に共重合ポリエステル樹脂が十分に露出されないため表面が親水性となり、被覆層の水の接触角が60°を下回り酸素バリア性、水蒸気バリア性、ラミ強度が悪化する。
以上の様な被覆層上に無機薄膜層が蒸着される。この無機薄膜層は、ガスバリア性を向上させるもので、無機薄膜の材料としては、A1,Si,Ti,Zn,Zr,Mg,Sn,Cu,Fe等の金属や、これら金属の酸化物、窒化物、フッ素物、硫化物等が挙げられ、具体的には、SiOx(x=1.0〜2.0)、アルミナ、マグネシア、硫化亜鉛、チタニア、ジルコニア、酸化セリウム、あるいはこれらの混合物が例示される。無機薄膜層は1層でもあるいは2層以上の積層体であってもよい。
上記無機薄膜層の膜厚は、好ましくは10〜5000A、より好ましくは50〜2000Aである。膜厚が10A未満の場合は十分なガスバリア性が得られない恐れがあり好ましくない。逆に5000Aを超える場合、それに相当する効果は奏されず、また耐屈曲性が低下し、さらに製造コストの点で不利となり好ましくない。
上記無機薄膜層の蒸着方法としては、公知の方法、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理蒸着法や、PECVD等の化学蒸着法等が採用される。
作成したフィルムの酸素透過度につき、23℃、85%RHの条件で3時間調温・調湿後、酸素透過率測定装置(モダンコントロールズ社製OX−TRAN100)を用いて測定した。
作成したフィルムの水蒸気透過度につき、40℃、90%RHの条件で3時間調温・調湿後、米国、モコン(MOCON)社製の測定機(PARMATRAN−W)を用いて測定した。
本発明の被覆フィルムの被覆層に接触角計(モデル:CAM200、販売会社:アルテックアルト株式会社、製造会社:フィランド国KSV Instruments社)で水を着滴し、その接触角を測定した。接触角は、水を着滴して5秒後の値を読み取った。解析ソフトは、FAMAS(協和界面科学株式会社)を使用した。測定の詳細条件は以下に示す。
温湿度:23℃、35%
測定方法:液適法(θ/2法)
液滴の大きさ:7.0μL
針の太さ:22G、内径0.4mm
被覆フィルムの被覆面あるいは蒸着フィルムの蒸着面に、ポリウレタン系接着剤(東洋モートン株式会社製、TM590/CAT56)を約3μmコートし、80℃で熱処理した後、低密度ポリエチレンフィルム(東洋紡績製L6102厚み40μm)を80℃に加熱した金属ロール上で490kPaのニップ圧力でドライラミネートし、ラミネートフィルムを得た。これにつき、フィルム製膜流れ方向を長手方向として・15mm幅状の短冊状にサンプリングを行った。そのサンプルにつき、引っ張り試験機(東洋測機社製、テンシロンUTM)にて、剥離部に水滴を連続してづけながら、剥離速度200mm/分で、下型剥離強度を測定した。
[ポリウレタン樹脂組成物の水分散高分子樹脂の製造例]
MXDI(メタキシリレンジイソシアネート)45.59、水添XDI(1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン)93.9g、エチレングリコール24.8g、ジメチロールプロピオン酸13.4g及び溶剤としてメチルエチルケトン80.2gを混合し、窒素雰囲気下70℃で5時間反応させた。次いで、このカルボキシル基含有ウレタンプレポリマー溶液を40℃でトリエチルアミン9.6gにて中和した。このポリウレタンプレポリマー溶液を624.8gの水にホモディスパーにより分散させ、2−[(2−アミノエチル)アミノ]エタノール21.1gで鎖伸長反応を行い、メチルエチルケトンを留去することにより、固形分25重量%、平均粒子径90nmの水分散型ポリウレタン樹脂Aを得た。この樹脂の酸価は26.9mgKOH/g、ウレタン基濃度及びウレア基濃度の合計は39.6重量%である。これを水で希釈し、固形分30重量%の被覆液とした。
共重合ポリエステル樹脂の製造例撹拌機、温度計および部分還流式冷却器を具備したステンレススチール製オートクレーブにジメチルテレフタレート466部、ジメチルイソフタレート466部、ネオペンチルグリコール401部、エチレングリコール443部、およびテトラ−n−ブチルチタネート0.52 部を仕込み、160℃〜220℃まで4時間かけてエステル交換反応を行なった。次いでフマール酸23部を加え、200℃から220℃まで1時間かけて昇温し、エステル化反応を行なった。次いで、255℃まで昇温し、反応系を徐々に減圧したのち、0.2mmHgの減圧下で1時間30分反応させた後、無水トリメリット酸19部を加え、窒素下220℃で1時間撹拌しポリエステルを得た。得られたポリエステルは淡黄色透明で重量平均分子量は12000である。
極限粘度0.62(30℃、フェノール/テトラクロロエタン=60/40)、シリカ100ppmのPETを予備結晶化後、本乾燥し、Tダイを有する押出し機を用いて280℃で押出し、表面温度40℃のドラム上で急冷固化して無定形シートを得た。次に得られたシートを加熱ロールと冷却ロールの間で縦方向に100℃で4倍延伸を行った。
一方、上記のメタキシリレン基及び水添キシリレン基含有ウレタン樹脂(樹脂A)、及び重合性不飽和基含有ジカルボン酸成分を全酸成分に対して2〜7モル%共重合して得られた共重合ポリエステル樹脂に親水性基含有ラジカル重合性単量体を含むラジカル重合性単量体がグラフト重合せしめられたグラフト重合体が水または水と水溶性を有する有機溶媒との混合溶媒中に分散せしめられた共重合ポリエステル樹脂系水分散体であり、前記グラフト重合体が、平均粒子径 500nm以下の微粒子に分散せしめられている共重合ポリエステル樹脂系水分散体(樹脂B)を含む被覆液については、液をフィルム表面へ吐出するファウンテンがつながった温調タンクに投入し、撹持しながら、25℃に制御した。
30p孔のポリプロピレン製カプセルフィルターを通して異物を濾別したクリーンな液を、吐出量0.028m3/分の条件で、得られた一軸延伸フィルムの片面に、ファウンテンを接面し、液をコートした。その後、14mm直径の平滑なバーを液面につけ、コート液をかきとり、延伸後の被覆層の厚みが0.20μmとなる様にコートを行った。コート速度(製膜速度)は150m/分である。コート性に関連するバーの回転速度については、フィルムの進行方向と同方向で、60rpm(周速で2.6m/分)とした。次に、乾燥ゾーン(テンター)にフィルムを導き、予熱温度100℃で、溶媒を揮発、乾燥した。そして、120℃の温度で4.0倍横方向に延伸し、6%の横方向の弛緩を行いながら、熱固定ゾーンの温度を225℃に設定し熱固定処理を行った。各温度での処理時間は、予熱温度100℃で3秒、延伸温度120℃で5秒、熱固定処理温度225℃で8秒行ったが、この処理時間に限定するものではない。その後冷却し、厚さ12μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
その後冷却し、両縁部を裁断除去することによって、厚さ12μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを1000m以上に亘って連続的に製膜してミルロールを作製した。得られたミルロールについて、幅400mm、長さ1000mにスリットして、3インチ紙管に巻き取り、本発明の被覆層を有する蒸着用フィルムロールを得た。
次にこの蒸着用フィルムロールを用いて、フィルムの被覆面側に、各種の金属あるいは金属酸化物を蒸着した。
蒸着源として、3〜5mm程度の大きさの粒子状のSiO2(純度99.99%)とA12O3(純度99.9%)を用い、上記の如く得られた蒸着用フィルムロールの被覆層面側に、電子ビーム蒸着法により、酸化アルミニウムと二酸化ケイ素との混合薄膜の形成を行った。蒸着材料は、混合せずに、2つに区切って投入した。加熱源として、EB銃を用い、A12O3とSiO2のそれぞれを時分割で加熱した。そのときのEB銃のエミッション電流を1.2Aとし、A12O3とSiO2との組成比が45:55となるように、各材料を加熱した。フィルム送り速度を30m/minとし、20nm犀の膜を作った。また、蒸着時の圧力を、1×10−2Paに調整した。また、蒸着時のフィルムを冷却するためのロールの温度を−10℃に調整した。
これらにつき、実施例冒頭で示した方法・条件で、酸素透過度、水蒸気透過度、水の接触角を測定した。表1に評価結果を示す。
(実施例2)
実施例1の被覆液の樹脂比率が、樹脂A/樹脂B=10/90(wt%)になるよう混合した。
被覆液の樹脂比率(wt%)を変更した以外は、実施例1と同様の手順でサンプル作製、評価を行なった。表1に評価結果を示す。
(実施例3)
実施例1の被覆液の樹脂比率が、樹脂A/樹脂B=70/30(wt%)になるよう混合した。
被覆液の樹脂比率(wt%)を変更した以外は、実施例1と同様の手順でサンプル作製、評価を行なった。表1に評価結果を示す。
(実施例4)
実施例1の被覆層の厚みが0.10μmとなる様にコートを行った。
被覆層の厚みを変更した以外は、実施例1と同様の手順でサンプル作製、評価を行なった。表1に評価結果を示す。
(実施例5)
実施例1の被覆層の厚みが0.50μmとなる様にコートを行った。
被覆層の厚みを変更した以外は、実施例1と同様の手順でサンプル作製、評価を行なった。表1に評価結果を示す。
(実施例6)
実施例1の被覆液をコート後、乾燥ゾーン(テンター)にフィルムを導き、予熱温度100℃で、溶媒を揮発、乾燥した。そして、120℃の温度で4.0倍横方向に延伸し、6%の横方向の弛緩を行いながら、熱固定ゾーンの温度を205℃に設定し熱固定処理を行った。各温度での処理時間は、予熱温度100℃で3秒、延伸温度120℃で5秒、熱固定処理温度205℃で8秒行ったが、この処理時間に限定するものではない。その後冷却し、厚さ12μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
熱固定ゾーンの温度を変更した以外は、実施例1と同様の手順でサンプル作製、評価を行なった。表1に評価結果を示す。
(実施例7)
実施例1の被覆液をコート後、乾燥ゾーン(テンター)にフィルムを導き、予熱温度100℃で、溶媒を揮発、乾燥した。そして、120℃の温度で4.0倍横方向に延伸し、6%の横方向の弛緩を行いながら、熱固定ゾーンの温度を235℃に設定し熱固定処理を行った。各温度での処理時間は、予熱温度100℃で3秒、延伸温度120℃で5秒、熱固定処理温度235℃で8秒行ったが、この処理時間に限定するものではない。その後冷却し、厚さ12μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
熱固定ゾーンの温度を変更した以外は、実施例1と同様の手順でサンプル作製、評価を行なった。表1に評価結果を示す。
(比較例1)
被覆層なし以外は、実施例1と同様の手順でサンプル作製、評価を行なった。表1に評価結果を示す。
(比較例2)
被覆液に樹脂Aのみを用いコートした。
被覆液を変更した以外は、実施例1と同様の手順でサンプル作製、評価を行なった。表1に評価結果を示す。
(比較例3)
被覆液に樹脂Bのみを用いコートした。
被覆液を変更した以外は、実施例1と同様の手順でサンプル作製、評価を行なった。表1に評価結果を示す。
(比較例4)
実施例1の被覆液の樹脂比率が、樹脂A/樹脂B=5/95(wt%)になるよう混合した。
被覆液の樹脂比率(wt%)を変更した以外は、実施例1と同様の手順でサンプル作製、評価を行なった。表1に評価結果を示す。
(比較例5)
実施例1の被覆液の樹脂比率が、樹脂A/樹脂B=75/25(wt%)になるよう混合した。
被覆液の樹脂比率(wt%)を変更した以外は、実施例1と同様の手順でサンプル作製、評価を行なった。表1に評価結果を示す。
(比較例6)
実施例1の被覆層の厚みが0.05μmとなる様にコートを行った。
被覆層の厚みを変更した以外は、実施例1と同様の手順でサンプル作製、評価を行なった。表1に評価結果を示す。
(比較例7)
実施例1の被覆層の厚みが0.55μmとなる様にコートを行った。
被覆層の厚みを変更した以外は、実施例1と同様の手順でサンプル作製、評価を行なった。表1に評価結果を示す。
(比較例8)
実施例1の被覆液をコート後、乾燥ゾーン(テンター)にフィルムを導き、予熱温度100℃で、溶媒を揮発、乾燥した。そして、120℃の温度で4.0倍横方向に延伸し、6%の横方向の弛緩を行いながら、熱固定ゾーンの温度を200℃に設定し熱固定処理を行った。各温度での処理時間は、予熱温度100℃で3秒、延伸温度120℃で5秒、熱固定処理温度200℃で8秒行ったが、この処理時間に限定するものではない。その後冷却し、厚さ12μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
熱固定ゾーンの温度を変更した以外は、実施例1と同様の手順でサンプル作製、評価を行なった。表1に評価結果を示す。
(比較例9)
実施例1の被覆液をコート後、乾燥ゾーン(テンター)にフィルムを導き、予熱温度100℃で、溶媒を揮発、乾燥した。そして、120℃の温度で4.0倍横方向に延伸し、6%の横方向の弛緩を行いながら、熱固定ゾーンの温度を240℃に設定し熱固定処理を行った。各温度での処理時間は、予熱温度100℃で3秒、延伸温度120℃で5秒、熱固定処理温度240℃で8秒行ったが、この処理時間に限定するものではない。その後冷却し、厚さ12μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
熱固定ゾーンの温度を変更した以外は、実施例1と同様の手順でサンプル作製、評価を行なった。表1に評価結果を示す。
Claims (5)
- 高分子樹脂組成物からなる未延伸フィルムを一方向に延伸した後、(A)ポリイソシアネート化合物、(B)ポリオール化合物、(C)ポリヒドロキシ酸、(D)鎖延長剤を使用し、反応させて得るウレタン結合基及びウレア結合基と酸基を有し、かつポリイソシアネート化合物(A)全体に対してキシリレンジイソシアネート(XDI)と水添キシリレンジイソシアネート(水添XDI)の合計量の割合が10〜100重量%の範囲であるポリウレタン樹脂組成物の水分散高分子樹脂(樹脂A)、及び重合性不飽和基含有ジカルボン酸成分を全酸成分に対して2〜7モル%共重合して得られた共重合ポリエステル樹脂に親水性基含有ラジカル重合性単量体を含むラジカル重合性単量体がグラフト重合せしめられたグラフト重合体が水または水と水溶性を有する有機溶媒との混合溶媒中に分散せしめられた共重合ポリエステル樹脂系水分散体であり、前記グラフト重合体が、平均粒子径 500nm以下の微粒子に分散せしめられている共重合ポリエステル樹脂系水分散高分子樹脂(樹脂B)を混合した樹脂を、前記延伸フィルムに塗布した後、前記被覆液を塗布した延伸フィルムを先の延伸方向と直行方向に延伸する工程と熱処理工程を経て得られる被覆フィルムであって、かつ被覆層の水の接触角が60°〜100°の範囲であり、三次元表面粗さSRaが0.040μm以下であることを特徴とする被覆フィルム。
- 請求項1記載の被覆フィルムであって、前記熱処理工程を205℃以上、235℃以下の温度範囲で行い、かつ前記被覆層の厚みが0.10〜0.50μmであることを特徴とする被覆フィルム。
- 請求項1、2記載の被覆フィルムの被覆層上に無機薄膜層を蒸着したことを特徴とする蒸着フィルム。
- 請求項1〜3記載の蒸着フィルムであって、前記蒸着フィルムの酸素透過度が7ml/m
2・day・MPa以下、水蒸気透過度が1.0g/m2・day以下、ラミ強度が3.5N/15mm以上であることを特徴とする蒸着フィルム。 - 請求項1〜4記載のフィルムを用いてなる包装体。
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